(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】ソーラー充電システム、方法、及び車両
(51)【国際特許分類】
H02J 7/35 20060101AFI20240925BHJP
B60L 53/20 20190101ALI20240925BHJP
B60L 58/10 20190101ALI20240925BHJP
H02S 40/38 20140101ALI20240925BHJP
【FI】
H02J7/35 A
B60L53/20
B60L58/10
H02S40/38
(21)【出願番号】P 2021145668
(22)【出願日】2021-09-07
【審査請求日】2023-10-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001276
【氏名又は名称】弁理士法人小笠原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大越 康樹
(72)【発明者】
【氏名】宮本 雄真
(72)【発明者】
【氏名】林 泰祐
(72)【発明者】
【氏名】深井 崇史
(72)【発明者】
【氏名】河村 陽章
(72)【発明者】
【氏名】高橋 雅大
【審査官】杉田 恵一
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-087153(JP,A)
【文献】特開2014-174876(JP,A)
【文献】特開2021-086302(JP,A)
【文献】特開2021-087291(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0078428(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 53/20
B60L 58/10
H02J 7/35
H02S 40/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソーラー充電システムであって、
ソーラーパネルと、
前記ソーラーパネルの発電電力を制御する電力変換ユニットと、
前記電力変換ユニットを介して前記ソーラーパネルの発電電力を直接充電可能なバッテリと、
前記ソーラーパネルから前記バッテリへの充電可否状態を制御する信号を、通信線を介して前記電力変換ユニットに送信する制御部と、を備え、
前記制御部は
、
前記ソーラー充電システムを、前記ソーラーパネルから前記バッテリへの充電を許可する充電可状態に制御し、
前記ソーラーパネルの発電電力が第1閾値以上である状態が第1時間継続した場合、前記ソーラー充電システムを、前記ソーラーパネルから前記バッテリへの充電を許可しない充電不可状態に制御し、
前記充電不可状態が第2時間継続するまでに前記ソーラーパネルと前記バッテリとの間の電圧である中間点の電圧
が第2閾値以上になる場合、前記通信線の
断線チェックを行う、ソーラー充電システム。
【請求項2】
前記制御部は
、前記ソーラーパネルの発電電力が前記第1閾値以上である状態が前記第1時間継続しない場合、前記バッテリの充電を実施しない、請求項1に記載のソーラー充電システム。
【請求項3】
前記制御部は
、前記充電不可状態が前記第2時間継続しても前記中間点の電圧が前記第2閾値未満である場合、前記バッテリの充電を実施しない、請求項2に記載のソーラー充電システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記通信線の断線チェックにおいて前記通信線が断線していないと判断した場合、前記バッテリの充電を実施する、請求項3に記載のソーラー充電システム。
【請求項5】
前記電力変換ユニットは、
前記ソーラーパネルの発電電力を入力する第1DCDCコンバータと、
前記第1DCDCコンバータが出力する電力を入力して前記バッテリへ出力する第2DCDCコンバータと、を含み、
前記中間点は、前記第1DCDCコンバータの出力と前記第2DCDCコンバータの入力とが接続される箇所である、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のソーラー充電システム。
【請求項6】
ソーラー充電システムを搭載した車両であって、
前記ソーラー充電システムは、
ソーラーパネルと、
前記ソーラーパネルの発電電力を制御する電力変換ユニットと、
前記電力変換ユニットを介して前記ソーラーパネルの発電電力を直接充電可能なバッテリと、
前記ソーラーパネルから前記バッテリへの充電可否状態を制御する信号を、通信線を介して前記電力変換ユニットに送信する制御部と、を備え、
前記制御部は
、
前記ソーラー充電システムを、前記ソーラーパネルから前記バッテリへの充電を許可する充電可状態に制御し、
前記ソーラーパネルの発電電力が第1閾値以上である状態が第1時間継続した場合、前記ソーラー充電システムを、前記ソーラーパネルから前記バッテリへの充電を許可しない充電不可状態に制御し、
前記充電不可状態が第2時間継続するまでに前記ソーラーパネルと前記バッテリとの間の電圧である中間点の電圧
が第2閾値以上になる場合、前記通信線の
断線チェックを行う、車両。
【請求項7】
前記制御部は、停車中に前記通信線の異常の有無を判断する、請求項6に記載の車両。
【請求項8】
ソーラーパネルと、前記ソーラーパネルの発電電力を制御する電力変換ユニットと、前記電力変換ユニットを介して前記ソーラーパネルの発電電力を直接充電可能なバッテリと、前記ソーラーパネルから前記バッテリへの充電可否状態を制御する信号を、通信線を介して前記電力変換ユニットに送信する制御部と、を備える、ソーラー充電システムが行う方法であって、
前記ソーラー充電システムを、前記ソーラーパネルから前記バッテリへの充電を許可する充電可状態を第1時間継続させた後、前記ソーラーパネルから前記バッテリへの充電を許可しない充電不可状態に制御するステップと、
前記充電不可状態が第2時間継続するまでに、前記ソーラーパネルと前記バッテリとの間の電圧である中間点の電圧が第2閾値以上になる場合、前記通信線の断線チェックを行うステップと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ソーラーパネルの発電電力を用いたバッテリ充電を行うソーラー充電システムなどに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、ソーラーパネルと、ソーラーパネルに対応して設けられるソーラーDCDCコンバータと、ソーラーDCDCコンバータの出力電力を蓄電装置に一時的に蓄電することなく高圧バッテリに供給する高圧DCDCコンバータと、ソーラーDCDCコンバータの出力電力を蓄電装置に一時的に蓄電することなく補機バッテリに供給する補機DCDCコンバータと、を備えた、ソーラー充電システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載のソーラー充電システムでは、高圧バッテリの充電状態を制御する電子制御装置(ECU:Electronic Control Unit)が、充電許可信号を高圧DCDCコンバータに出力することによって、高圧バッテリの充電が可能となる。
【0005】
高圧バッテリの充電を実施するにあたり、充電許可信号を正常に高圧DCDCコンバータに出力できるか否かの事前チェックにおいて高圧バッテリの充電が不可能であった場合には、日射量不足によるソーラーパネルの発電電力の低下が原因なのか、通信線の断線によって充電許可信号を高圧DCDCコンバータに出力できないことが原因なのかを、判断することができない。このため、日射量不足によるソーラーパネルの発電電力の低下を原因とする高圧バッテリの充電不可状態を、通信線の断線として誤判断してしまうおそれがあった。
【0006】
本開示は、上記課題を鑑みてなされたものであり、日射量不足によるソーラーパネルの発電電力の低下を原因とする高圧バッテリの充電不可状態を、通信線の断線として誤判断してしまうことを抑制することができる、ソーラー充電システムなどを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示技術の一態様は、ソーラーパネルと、ソーラーパネルの発電電力を制御する電力変換ユニットと、電力変換ユニットを介してソーラーパネルの発電電力を直接充電可能なバッテリと、ソーラーパネルからバッテリへの充電可否状態を制御する信号を、通信線を介して電力変換ユニットに送信する制御部と、を備え、制御部は、ソーラーパネルの発電電力と、ソーラーパネルとバッテリとの間の電圧である中間点の電圧とに基づいて、通信線の異常の有無を判断する、ソーラー充電システムである。
【発明の効果】
【0008】
上記本開示のソーラー充電システムなどによれば、ソーラーパネルの発電電力と、ソーラーパネルとバッテリとの間の中間点の電圧に基づいて、通信線の異常の有無を判断する。これにより、日射量不足によるソーラーパネルの発電電力の低下を原因とする高圧バッテリの充電不可状態を、通信線の断線として誤判断してしまうことを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態に係るソーラー充電システムの概略構成を示すブロック図
【
図2A】ソーラー充電システムが実行する高圧バッテリ充電処理のフローチャート
【
図2B】ソーラー充電システムが実行する高圧バッテリ充電処理のフローチャート
【
図4】高圧バッテリ充電処理の他のタイミングチャート
【
図5】高圧バッテリ充電処理の他のタイミングチャート
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示によるソーラー充電システムは、ソーラーパネルから高圧バッテリへ直接充電が可能な構成において、高圧バッテリに対する充電許可/禁止を指示する信号を送信する通信線の異常判断の際、ソーラーパネルの発電が十分であることを確認してから断線チェックを実施する。これにより、日射量不足によるソーラーパネルの発電電力の低下を原因とする高圧バッテリの充電不可状態を、通信線の断線として誤判断してしまうことを抑制できる。
以下、本開示の一実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
<実施形態>
[構成]
図1は、本開示の一実施形態に係るソーラー充電システムの概略構成を示すブロック図である。
図1に例示したソーラー充電システム1は、ソーラーパネル10と、ソーラーDDC20と、高圧DDC30と、補機DDC40と、高圧バッテリ50と、補機バッテリ60と、コンデンサ70と、制御部100と、を備えている。このソーラー充電システム1は、車両などに搭載することができる。
【0012】
ソーラーパネル10は、太陽光の照射を受けて発電する発電装置であり、典型的には太陽電池セルの集合体である太陽電池モジュールである。このソーラーパネル10は、例えば車両のルーフなどに設置することができる。ソーラーパネル10は、後述するソーラーDDC20に接続されており、ソーラーパネル10で発電された電力がソーラーDDC20に出力される。ソーラーパネル10によって発電される電力は、パネルが受ける日射量に依存する。
【0013】
ソーラーDDC20は、ソーラーパネル10で発電された電力を、高圧DDC30及び補機DDC40に供給するDCDCコンバータ(第1DCDCコンバータ)である。ソーラーDDC20は、電力供給の際、入力電圧であるソーラーパネル10の発電電圧を所定の電圧に変換(昇圧/降圧)して、高圧DDC30及び補機DDC40に出力することができる。
【0014】
高圧DDC30は、ソーラーDDC20が出力する電力を、高圧バッテリ50に供給するDCDCコンバータ(第2DCDCコンバータ)である。高圧DDC30は、電力供給の際、入力電圧であるソーラーDDC20の出力電圧を、所定の電圧に変換(昇圧)して、高圧バッテリ50に出力することができる。
【0015】
補機DDC40は、ソーラーDDC20が出力する電力を、補機バッテリ60に供給するDCDCコンバータ(第3DCDCコンバータ)である。補機DDC40は、電力供給の際、入力電圧であるソーラーDDC20の出力電圧を、所定の電圧に変換(降圧)して、補機バッテリ60に出力することができる。
【0016】
高圧バッテリ50は、例えばリチウムイオン電池やニッケル水素電池などの、充放電可能に構成された二次電池である。この高圧バッテリ50は、高圧DDC30が出力する電力によって充電可能に高圧DDC30と接続されている。車両に搭載される高圧バッテリ50としては、スタータモーターや電動モーターなどの、車両を駆動させるための主機的な機器(図示せず)の動作に必要な電力を供給することができる、いわゆる駆動用バッテリを例示できる。
【0017】
補機バッテリ60は、例えばリチウムイオン電池や鉛蓄電池などの、充放電可能に構成された二次電池である。この補機バッテリ60は、補機DDC40が出力する電力によって充電可能に補機DDC40と接続されている。車両に搭載される補機バッテリ60は、ヘッドランプや室内灯などの灯火類、ヒーターやクーラーなどの空調類、及び自動運転や先進運転支援の装置などの、車両を駆動させるため以外の補機的な機器(図示せず)の動作に必要な電力を供給することができるバッテリである。
【0018】
コンデンサ70は、ソーラーDDC20と高圧DDC30及び補機DDC40との間に接続されている。このコンデンサ70は、ソーラーパネル10で発生した電力を必要に応じて充放電したり、ソーラーDDC20の出力と高圧DDC30及び補機DDC40の入力とが接続される接続点(以下「中間点」という)の電圧を安定させたり、するためなどに用いられる大容量の容量素子である。
【0019】
上述したソーラーDDC20、高圧DDC30、補機DDC40、及びコンデンサ70は、電力変換ユニット80を構成する。
【0020】
制御部100は、高圧バッテリ50に対する充電許可又は充電禁止を指示する信号(以下「充電制御信号」という)を、通信線SSENを介して電力変換ユニット80に送信することによって、ソーラーパネル10から高圧バッテリ50への充電状態を制御する。また、制御部100は、ソーラーDDC20と高圧DDC30及び補機DDC40とが接続される中間点の電圧を取得することができる。中間点電圧は、例えば電力変換ユニット80が備える電圧センサなどで検出される。そして、本実施形態の制御部100は、この取得した中間点電圧とソーラーパネル10の発電電力とに基づいて、通信線SSENの異常(断線)の有無を判断する制御を行う。この制御部100が行う処理の詳細については、後述する。
【0021】
なお、ソーラーDDC20、高圧DDC30、補機DDC40、及び制御部100の一部又は全部は、典型的にはプロセッサ、メモリ、及び入出力インタフェースなどを含んだ電子制御装置(例えば、PWC-ECU)として構成され得る。この電子制御装置は、メモリに格納されたプログラムをプロセッサが読み出して実行することによって、上述した様々な制御を実施することができる。
【0022】
[制御]
次に、
図2A、
図2B、
図3、
図4、及び
図5をさらに参照して、ソーラー充電システム1によって実行される制御を説明する。
図2A及び
図2Bは、ソーラー充電システム1の制御部100が実行する高圧バッテリ充電処理を説明するフローチャートである。
図2Aの処理と
図2Bの処理とは、結合子X及びYで結ばれる。
図3、
図4、及び
図5は、異なる状況における高圧バッテリ充電処理のタイミングチャートの例である。
【0023】
この
図2A及び
図2Bに示した高圧バッテリ充電処理は、車両の駐車中や停車中などにおいて車両のイグニッションがオフ(IG-OFF)されると開始され、一例として次にイグニッションがオン(IG-ON)されるまで、繰り返し実行される。
【0024】
(ステップS201)
制御部100は、高圧バッテリ50の充電を実施する期間になったか否かを判断する。一般に、車両のイグニッションがオフされた後では、各バッテリの消耗を抑えるため電力変換ユニット80の一部の機能が停止するスリープ状態と、全ての機能を作動させるウェイクアップ状態とが、周期的に繰り返される。高圧バッテリ50の充電制御は、ウェイクアップ状態のときに実施される。高圧バッテリ50の充電期間になった場合のみ(ステップS201、はい)、ステップS202に処理が進む。
【0025】
(ステップS202)
制御部100は、SSENチェックを開始する。このSSENチェックでは、まず発電電力安定チェックが行われ、問題なければ次に通信線SSENの断線チェックが行われる。発電電力安定チェックに際し、制御部100は、電力変換ユニット80に対してソーラーパネル10から高圧バッテリ50への充電を許可する充電制御信号(充電制御信号「ON」)を、通信線SSENを介して送信する。このSSENチェックが開始されると、ステップS203に処理が進む。
【0026】
(ステップS203)
制御部100は、ソーラーDDC20の入力電力が第1閾値以上であるか否かを判断する。この判断は、ソーラーパネル10が十分な日射を受けて電力を発生させているか否かを確認するために実施される。よって、第1閾値は、SSENチェックに必要な電力に基づいて任意に設定することができる。ソーラーDDC20の入力電力が第1閾値以上である場合は(ステップS203、はい)、ステップS204に処理が進む。一方、ソーラーDDC20の入力電力が第1閾値未満である場合は(ステップS203、いいえ)、ステップS210に処理が進む。
【0027】
(ステップS204)
制御部100は、SSENチェックを開始してから(充電制御信号がONになってから)第1時間が経過したか否かを判断する。この判断は、ソーラーDDC20の入力電力が第1時間継続して十分にあるか否かを判断するために行われる。この第1時間は、ソーラーパネル10が受ける日射量の変動の有無を判定するために必要な任意の時間(例えば350ms)に設定することができる。SSENチェックの開始から第1時間が経過した場合は(ステップS204、はい)、ステップS205に処理が進む。一方、SSENチェックの開始から第1時間がまだ経過していない場合は(ステップS204、いいえ)、ステップS203に処理が進む。
【0028】
(ステップS205)
制御部100は、ソーラーパネル10の発電電力が安定していると判断する。この判断に基づいて、制御部100は、電力変換ユニット80に対してソーラーパネル10から高圧バッテリ50への充電を禁止する充電制御信号(充電制御信号「OFF」)を、通信線SSENを介して送信する。ソーラーパネル10の発電電力が安定していると判断されると、ステップS206に処理が進む。
【0029】
(ステップS206)
制御部100は、充電制御信号がOFFになってから第2時間が経過するまでに、中間点電圧が第2閾値以上になったか否かを判断する。高圧DDC30が動作していないときにソーラーDDC20から電力出力を続けた場合、コンデンサ70に電荷が徐々に蓄積されていくため中間点電圧が上昇する(なお、補機DDC40による電力入力がソーラーDDC20からの電力出力より少ないものとする)。ソーラーDDC20からの電力出力が続くのはソーラーパネル10への十分な日射が続いているものと考えられる。そこで、制御部100は、充電制御信号がOFFの状態で第2時間が経過するまでに中間点電圧が第2閾値以上になっている場合には、ソーラーパネル10への日射量が十分にあると判断することができる。この第2閾値は、中間点が過電圧となる値に設定することができる。また、第2時間は、SSENチェックに割り当て可能な時間などに基づいて任意の時間(例えば700ms)に設定することができる。中間点電圧が第2時間の経過までに第2閾値以上になった場合は(ステップS206、はい)、ステップS207に処理が進む。一方、中間点電圧が第2時間の経過までに第2閾値以上にならなかった場合は(ステップS206、いいえ)、ステップS210に処理が進む。
【0030】
(ステップS207)
制御部100は、充電制御信号を送信する通信線SSENに断線が生じているか否かのチェックを実施する。この断線チェックは、充電制御信号のON/OFF制御及びソーラーDDC20のオン/OFF制御を行い、そのときの中間点電圧を判断することよって実施することができる。通信線SSENの断線チェックが実施されると、ステップS208に処理が進む。
【0031】
(ステップS208)
制御部100は、充電制御信号を送信する通信線SSENに断線が生じているか否かを判断する。この判断が行われると、SSENチェックが終了する。通信線SSENに断線がないと判断した場合は(ステップS208、はい)、ステップS209に処理が進む。一方、通信線SSENに断線があると判断した場合は(ステップS208、いいえ)、ステップS210に処理が進む。
【0032】
(ステップS209)
制御部100は、ソーラーパネル10の発電電力を高圧バッテリ50に充電することを許可する。この許可は、制御部100が電力変換ユニット80に対して、ソーラーパネル10から高圧バッテリ50への充電を許可する充電制御信号(充電制御信号「ON」)を、通信線SSENを介して送信することで実行される。高圧バッテリ50の充電が許可されると、ステップS211に処理が進む。
【0033】
(ステップS210)
制御部100は、ソーラーパネル10の発電電力を高圧バッテリ50に充電することを禁止する(高圧バッテリ50を遮断する)。この禁止は、制御部100が電力変換ユニット80に対して、ソーラーパネル10から高圧バッテリ50への充電を禁止する充電制御信号(充電制御信号「OFF」)を、通信線SSENを介して送信することで実行される。高圧バッテリ50の充電が禁止されると、ステップS211に処理が進む。
【0034】
(ステップS211)
制御部100は、高圧バッテリ50の充電実施期間が終了したか否かを判断する。つまり、電力変換ユニット80をスリープ状態にする期間になったか否かを判断する。高圧バッテリ50の充電実施期間が終了になった場合のみ(ステップS211、はい)、ステップS201に処理が戻る。
【0035】
図3に、ソーラーパネル10が受ける日射量が十分にあるときにSSENチェックの全て(充電電力安定チェック、通信線断線チェック)が行われた場合における、高圧バッテリ充電処理のタイミングチャートを示す。以下に、
図3を説明する。
【0036】
時間T0:SSENチェックが開始されると、充電制御信号が「ON」される。充電制御信号が「ON」されることによって、高圧DDC30の出力が「ON」されて高圧DDC30に対して高圧バッテリ50の充電が許可される。
時間T1:高圧DDC30が出力を始めると、ソーラーDDC20の入力電力によって中間点の電圧が上昇を始める。この中間点の電圧は、正常な充電制御時における所定の電圧値まで上昇する。
時間T2:充電制御信号が「ON」になってから(時間T0)ソーラーDDC20の入力電力が低下する(OFFになる)ことなく第1時間が経過すると、充電制御信号が「OFF」される。充電制御信号が「OFF」されることによって、高圧DDC30の出力が「OFF」されて高圧DDC30に対して高圧バッテリ50の充電が禁止される。
時間T3:高圧バッテリ50の充電が禁止されてもソーラーDDC20の入力電力がある(ONである)場合には、中間点の電圧が所定の電圧値を超えて上昇を続ける。
時間T4:中間点の電圧が上昇して過電圧(第2閾値)に到達すると、中間点過電圧信号が「ON」されてソーラーDDC20の入力が停止される(OFFになる)。これにより、中間点の電圧が下降を始める。
時間T5:中間点の電圧が所定の値まで低下すると、中間点過電圧信号が「OFF」される。これによって、ソーラーDDC20の入力が再開する(ONになる)。
時間T6:充電制御信号が「OFF」されてから(時間T2)第2時間が経過するまでに中間点の電圧が過電圧(第2閾値)に到達したため、充電制御信号が「ON」される。これによりSSENチェックが終了し、高圧DDC30の出力が「ON」されて高圧DDC30に対して高圧バッテリ50の充電が許可される。よって、ソーラーパネル10から高圧バッテリ50への充電制御が実施される。
【0037】
図4に、SSENチェック中にソーラーパネル10が受ける日射量が減少してSSENチェックのうち通信線断線チェックの途中まで行われた場合における、高圧バッテリ充電処理のタイミングチャートを示す。以下に、
図4を説明する。
【0038】
時間T0:SSENチェックが開始されると、充電制御信号が「ON」される。充電制御信号が「ON」されることによって、高圧DDC30の出力が「ON」されて高圧DDC30に対して高圧バッテリ50の充電が許可される。
時間T1:高圧DDC30が出力を始めると、ソーラーDDC20の入力電力によって中間点の電圧が上昇を始める。この中間点の電圧は、正常な充電制御時における所定の電圧値まで上昇する。
時間T2:充電制御信号が「ON」になってから(時間T0)ソーラーDDC20の入力電力が低下する(OFFになる)ことなく第1時間が経過すると、充電制御信号が「OFF」される。充電制御信号が「OFF」されることによって、高圧DDC30の出力が「OFF」されて高圧DDC30に対して高圧バッテリ50の充電が禁止される。
時間T3:高圧バッテリ50の充電が禁止されてもソーラーDDC20の入力電力がある(ONである)場合には、中間点の電圧が所定の電圧値を超えて上昇を続ける。
時間T4:ソーラーパネル10の日射量不足によってソーラーDDC20の入力が停止される(OFFされる)。これにより、中間点の電圧が、過電圧(第2閾値)に到達することなく下降を始める。
時間T5:第2時間が経過しても中間点の電圧が過電圧(第2閾値)に到達しなかったため、中間点過電圧信号が「OFF」されたことに従って制御部100への充電要求が「OFF」される。これにより、通信線断線チェックが途中で終了する。
時間T6:SSENチェック期間の終了時には、制御部100への充電要求が「OFF」であることに応じて、充電制御信号が「OFF」のままとなる。これにより、高圧DDC30に対して高圧バッテリ50の充電が禁止される。従って、ソーラーパネル10から高圧バッテリ50への充電制御が実施されない。
【0039】
図5に、SSENチェック中にソーラーパネル10が受ける日射量が減少してSSENチェックのうち充電電力安定チェックの途中まで行われた場合における、高圧バッテリ充電処理のタイミングチャートを示す。以下に、
図5を説明する。
【0040】
時間T0:SSENチェックが開始されると、充電制御信号が「ON」される。充電制御信号が「ON」されることによって、高圧DDC30に対して高圧バッテリ50の充電が許可される。
時間T1:高圧DDC30が出力を始めると、ソーラーDDC20の入力電力によって中間点の電圧が上昇を始める。この中間点の電圧は、正常な充電制御時における所定の電圧値まで上昇する。
時間T2:ソーラーパネル10の日射量不足によってソーラーDDC20の入力が停止される(OFFされる)。これにより、制御部100への充電要求が「OFF」される。
時間T3:制御部100への充電要求が「OFF」であることに応じて、高圧DDC30の出力が「OFF」されて高圧DDC30に対して高圧バッテリ50の充電が禁止される。
時間T4:高圧DDC30の出力が「OFF」されると、充電制御信号が「OFF」される。従って、ソーラーパネル10から高圧バッテリ50への充電制御が実施されない。
【0041】
<作用・効果>
以上のように、本開示の一実施形態に係るソーラー充電システム1によれば、ソーラーパネル10から高圧バッテリ50へ直接充電が可能な構成、例えば中間点に一時蓄電用のバッテリを接続していない構成において、高圧バッテリ50に対する充電許可又は充電禁止を指示する充電制御信号を送信する通信線SSENの異常の有無を判断するSSENチェックの際に、ソーラーパネル10の発電状態(日射量)を確認してから通信線SSENの断線チェックを実施する。
【0042】
これにより、十分な電力が高圧バッテリ50へ充電される状態で通信線SSENの断線チェックを実施することができ、日射量不足によるソーラーパネル10の発電電力の低下を原因とする高圧バッテリ50の充電不可状態を、通信線SSENの断線として誤判断してしまうことを抑制することができる。
【0043】
以上、本開示技術の一実施形態を説明したが、本開示は、ソーラー充電システムだけでなく、ソーラー充電システムが行う方法、その方法のプログラム、そのプログラムを記憶したコンピューター読み取り可能な非一時的記憶媒体、ソーラー充電システムを備えた車両などとして捉えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本開示のソーラー充電システムは、ソーラーパネルで発電された電力を利用してバッテリを充電する車両などに利用可能である。
【符号の説明】
【0045】
1 ソーラー充電システム
10 ソーラーパネル
20 ソーラーDDC
30 高圧DDC
40 補機DDC
50 高圧バッテリ
60 補機バッテリ
70 コンデンサ
80 電力変換ユニット
100 制御部
SSEN 通信線