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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】固体撮像素子
(51)【国際特許分類】
   H04N 25/772 20230101AFI20240925BHJP
【FI】
H04N25/772
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021164836
(22)【出願日】2021-10-06
(65)【公開番号】P2023055445
(43)【公開日】2023-04-18
【審査請求日】2023-12-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】520124752
【氏名又は名称】株式会社ミライズテクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 広器
【審査官】彦田 克文
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-501936(JP,A)
【文献】特開2020-068483(JP,A)
【文献】特開2006-148339(JP,A)
【文献】特開2020-088724(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0020726(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 25/772
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光電変換によって光量に応じた光電流を発生させる光電変換素子(400)と、前記光電流に対応する電荷を蓄積し、この蓄積した前記電荷の量に応じた電圧を出力する電荷蓄積部(415)と、電源(605)と、前記電源に接続されているトランジスタ(600)と、前記トランジスタに電圧を印加することにより前記トランジスタをオンさせる駆動回路(28)と、前記駆動回路から前記トランジスタに印加される電圧である素子電圧(Vb)が接地電圧(Vb_G)であるとき、前記電源からの電圧が印加されることにより一端の電圧が所定の電圧に維持されるとともに前記電荷蓄積部の電圧の変化に応じた電圧を他端から出力し、前記素子電圧(Vb)が前記接地電圧よりも大きい電圧(Vb_P)であるとき、前記電荷蓄積部の電圧の変化に応じた電圧を前記一端から出力する共通トランジスタ(50)と、前記共通トランジスタの一端からの電圧が増減したか否かを検出する検出部(621、622)と、を有する画素(30)と、
前記素子電圧が前記接地電圧であるとき、前記共通トランジスタの他端から出力された電圧の変化に基づいて、輝度画像を生成する画像処理部(75)と、
を備える固体撮像素子。
【請求項2】
前記電源は、第1電源であって、
前記トランジスタは、第1トランジスタであって、
前記駆動回路は、第1駆動回路であって、
前記画素は、
第2電源(445、615)と、
前記第2電源に接続されている第2トランジスタ(440)と、
前記第2トランジスタに電圧を印加することにより、前記第2トランジスタをオンさせる第2駆動回路(26)と、
をさらに有し、
前記第2トランジスタは、前記素子電圧(Vb)が前記接地電圧よりも大きい電圧(Vb_P)であるとき、オンすることで前記第2電源からの電圧を前記電荷蓄積部に印加することにより、前記電荷蓄積部の電圧を前記第2電源の電圧に対応した電圧にし、
前記共通トランジスタは、前記第2トランジスタにより前記電荷蓄積部の電圧が前記第2電源の電圧に対応した電圧になった後、前記電荷蓄積部の電圧の変化に応じた電圧を前記一端から出力する請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項3】
光電変換によって光量に応じた光電流を発生させる第1光電変換素子(401)を有する第1画素(301)と、
光電変換によって前記第1光電変換素子にて反応する光の色とは異なる色の光量に応じた光電流を発生させる第2光電変換素子(402)を有する第2画素(302)と、
画像処理部(75)と、
を備え、
前記第1画素および前記第2画素は、
前記第1光電変換素子および前記第2光電変換素子によって発生した光電流に対応する電荷を蓄積し、この蓄積した前記電荷の量に応じた電圧を出力する電荷蓄積部(415)と、
電源(605)と、
前記電源に接続されているトランジスタ(600)と、
前記トランジスタに電圧を印加することにより前記トランジスタをオンさせる駆動回路(28)と、
前記駆動回路から前記トランジスタに印加される電圧である素子電圧(Vb)が接地電圧(Vb_G)であるとき、前記電源からの電圧が印加されることにより一端の電圧が所定の電圧に維持されるとともに前記電荷蓄積部の電圧の変化に応じた電圧を他端から出力し、前記素子電圧(Vb)が前記接地電圧よりも大きい電圧(Vb_P)であるとき、前記電荷蓄積部の電圧の変化に応じた電圧を前記一端から出力する共通トランジスタ(50)と、
前記共通トランジスタの一端からの電圧が増減したか否かを検出する検出部(621、622)と、を共有し、
前記画像処理部は、前記素子電圧が前記接地電圧であるとき、前記共通トランジスタの他端から出力された電圧の変化に基づいて、輝度画像を生成する固体撮像素子。
【請求項4】
光電変換によって光量に応じた光電流を発生させる光電変換素子(400)と、前記光電流に対応する電荷を蓄積し、この蓄積した前記電荷の量に応じた電圧を出力する電荷蓄積部(415)と、電源(605)と、前記電源に接続されているトランジスタ(600)と、前記トランジスタに電圧を印加することにより前記トランジスタをオンさせる駆動回路(28)と、前記駆動回路から前記トランジスタに印加される電圧である素子電圧(Vb)が前記電源の電圧以上であるとき、前記電源からの電圧が印加されることにより一端の電圧が所定の電圧に維持されるとともに前記電荷蓄積部の電圧の変化に応じた電圧を他端から出力し、前記素子電圧(Vb)が前記電源の電圧よりも小さい電圧であるとき、前記電荷蓄積部の電圧の変化に応じた電圧を前記一端から出力する共通トランジスタ(50)と、前記共通トランジスタの一端からの電圧が増減したか否かを検出する検出部(621、622)と、を有する画素(30)と、
前記素子電圧が前記電源の電圧以上であるとき、前記共通トランジスタの他端から出力された電圧の変化に基づいて、輝度画像を生成する画像処理部(75)と、
を備える固体撮像素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、固体撮像素子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載されているように、画素の光量の時間変化を示すイベントを検出するとともに、輝度画像を生成する固体撮像素子が知られている。この固体撮像素子は、光電変換素子、浮遊拡散層、増幅トランジスタ、選択トランジスタ、垂直信号線、接続トランジスタ、N型トランジスタおよびコンパレータ等を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-88724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発明者等の検討によれば、特許文献1に記載された固体撮像素子では、光電変換素子からの光電流が浮遊拡散層を通じて電圧に変換され、この変換された電圧が信号として増幅トランジスタおよび選択トランジスタを経由して垂直信号線に流れることにより、輝度画像が生成される。また、浮遊拡散層にて分岐がされており、光電変換素子からの光電流が浮遊拡散層、接続トランジスタおよびN型トランジスタ等を経由して、電圧変換部にて電圧に変換され、変換された電圧が信号としてコンパレータに流れることにより、イベントが検出される。したがって、この固体撮像素子では、輝度画像生成用のトランジスタおよびイベント検出用のトランジスタを備える必要があることから、トランジスタの数が多くなる。
【0005】
本開示は、トランジスタの数を削減できる固体撮像素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、光電変換によって光量に応じた光電流を発生させる光電変換素子(400)と、光電流に対応する電荷を蓄積し、この蓄積した電荷の量に応じた電圧を出力する電荷蓄積部(415)と、電源(605)と、電源に接続されているトランジスタ(600)と、トランジスタに電圧を印加することによりトランジスタをオンさせる駆動回路(28)と、駆動回路からトランジスタに印加される電圧である素子電圧(Vb)が接地電圧(Vb_G)であるとき、電源からの電圧が印加されることにより一端の電圧が所定の電圧に維持されるとともに電荷蓄積部の電圧の変化に応じた電圧を他端から出力し、素子電圧(Vb)が接地電圧よりも大きい電圧(Vb_P)であるとき、電荷蓄積部の電圧の変化に応じた電圧を一端から出力する共通トランジスタ(50)と、共通トランジスタの一端からの電圧が増減したか否かを検出する検出部(621、622)と、を有する画素(30)と、素子電圧が接地電圧であるとき、共通トランジスタの他端から出力された電圧の変化に基づいて、輝度画像を生成する画像処理部(75)と、を備える固体撮像素子である。
【0007】
また、請求項3に記載の発明は、光電変換によって光量に応じた光電流を発生させる第1光電変換素子(401)を有する第1画素(301)と、光電変換によって第1光電変換素子にて反応する光の色とは異なる色の光量に応じた光電流を発生させる第2光電変換素子(402)を有する第2画素(302)と、画像処理部(75)と、を備え、第1画素および第2画素は、第1光電変換素子および第2光電変換素子によって発生した光電流に対応する電荷を蓄積し、この蓄積した電荷の量に応じた電圧を出力する電荷蓄積部(415)と、電源(605)と、電源に接続されているトランジスタ(600)と、トランジスタに電圧を印加することによりトランジスタをオンさせる駆動回路(28)と、駆動回路からトランジスタに印加される電圧である素子電圧(Vb)が接地電圧(Vb_G)であるとき、電源からの電圧が印加されることにより一端の電圧が所定の電圧に維持されるとともに電荷蓄積部の電圧の変化に応じた電圧を他端から出力し、素子電圧(Vb)が接地電圧よりも大きい電圧(Vb_P)であるとき、電荷蓄積部の電圧の変化に応じた電圧を一端から出力する共通トランジスタ(50)と、共通トランジスタの一端からの電圧が増減したか否かを検出する検出部(621、622)と、を共有し、画像処理部は、素子電圧が接地電圧であるとき、共通トランジスタの他端から出力された電圧の変化に基づいて、輝度画像を生成する固体撮像素子である。
【0008】
さらに、請求項4に記載の発明は、光電変換によって光量に応じた光電流を発生させる光電変換素子(400)と、光電流に対応する電荷を蓄積し、この蓄積した電荷の量に応じた電圧を出力する電荷蓄積部(415)と、電源(605)と、電源に接続されているトランジスタ(600)と、トランジスタに電圧を印加することによりトランジスタをオンさせる駆動回路(28)と、駆動回路からトランジスタに印加される電圧である素子電圧(Vb)が電源の電圧以上であるとき、電源からの電圧が印加されることにより一端の電圧が所定の電圧に維持されるとともに電荷蓄積部の電圧の変化に応じた電圧を他端から出力し、素子電圧(Vb)が電源の電圧よりも小さい電圧であるとき、電荷蓄積部の電圧の変化に応じた電圧を一端から出力する共通トランジスタ(50)と、共通トランジスタの一端からの電圧が増減したか否かを検出する検出部(621、622)と、を有する画素(30)と、素子電圧が電源の電圧以上であるとき、共通トランジスタの他端から出力された電圧の変化に基づいて、輝度画像を生成する画像処理部(75)と、を備える固体撮像素子である。
【0009】
これにより、輝度画像を生成するとき、共有トランジスタは、電荷蓄積部の電圧の変化に応じた電圧を他端から出力する。また、画素の光量の時間変化を示すイベントを検出するとき、共有トランジスタは、電荷蓄積部の電圧の変化に応じた電圧を一端から出力する。したがって、輝度画像生成用のトランジスタおよびイベント検出用のトランジスタを備える必要がなくなる。よって、トランジスタの数を削減することができる。
【0010】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態の固体撮像素子を備える撮像装置の構成図。
図2】固体撮像素子の構成図。
図3】固体撮像素子の構成図。
図4】固体撮像素子の画素の構成図。
図5】固体撮像素子による輝度画像の生成の処理を示すタイムチャート。
図6】第2実施形態の固体撮像素子の画素の構成図。
図7】第3実施形態の固体撮像素子の構成図。
図8】固体撮像素子の画素ブロックの構成図。
図9】固体撮像素子による輝度画像の生成の処理を示すタイムチャート。
図10】第4実施形態の固体撮像素子の画素の構成図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0013】
(第1実施形態)
本実施形態の固体撮像素子20は、撮像装置10に備えられる。この撮像装置10は、例えば、図示しない車両に搭載される。まず、この撮像装置10について説明する。
【0014】
撮像装置10は、輝度画像を生成するとともに、イベントを生成する。なお、イベントとは、画素中の光量の時間変化による増減を非同期にデータ化したものである。
【0015】
具体的には、撮像装置10は、図1に示すように、レンズ15、固体撮像素子20、記憶部80および制御部85を備える。レンズ15は、撮像装置10の外部からの光を集めて、集めた光を後述の固体撮像素子20に導く。固体撮像素子20は、レンズ15から導かれた光の量の変化に応じた信号を後述の記憶部80に出力する。なお、この固体撮像素子20の詳細については、後述する。
【0016】
記憶部80は、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリを含むことにより、固体撮像素子20からの信号を記憶する。また、記憶部80に記憶されたデータは、記憶部80から読み出し可能になっている。
【0017】
制御部85は、マイコン等を主体として構成されており、CPU、ROM、フラッシュメモリ、RAM、I/O、駆動回路およびこれらの構成を接続するバスライン等を備えている。また、制御部85は、ROMに記憶されているプログラムを実行することにより、図示しない車両のシステムからの信号に基づいて、固体撮像素子20内の電圧を制御する。これによって、制御部85は、固体撮像素子20から出力される信号を変化させる。
【0018】
以上のように、撮像装置10は、構成されている。次に、固体撮像素子20の詳細について説明する。
【0019】
固体撮像素子20は、図2図4に示すように、受光チップ22、回路チップ24、接合部25、APS用駆動回路26、DVS用駆動回路28、複数の画素30、信号処理部70および画像処理部75を有する。なお、APSは、Active Pixel Sensorの略である。また、DVSは、Dynamic Vision Sensorの略である。
【0020】
受光チップ22および回路チップ24では、両部の接合界面にてそれぞれのCuパッドが露出している。この露出したそれぞれのCuが接合されていることにより、接合部25が形成されている。なお、Cuは、銅を意味する。
【0021】
APS用駆動回路26は、制御部85からの信号に基づいて、後述の画素30のAPS用回路40に電圧を印加する。
【0022】
DVS用駆動回路28は、制御部85からの信号に基づいて、後述の画素30のDVS用回路60に電圧を印加する。
【0023】
複数の画素30は、受光チップ22および回路チップ24によって形成されている。これらの画素30は、2次元格子状に配列されている。また、画素30は、APS用回路40、アンプトランジスタ50およびDVS用回路60を含む。
【0024】
APS用回路40は、受光チップ22上に配置されている。また、APS用回路40は、フォトダイオード400、PD用グラウンド405、転送トランジスタ410および浮遊拡散層415を含む。さらに、APS用回路40は、セレクトトランジスタ420、ビットライン425、BL用トランジスタ430、BL用グラウンド435およびリセットトランジスタ440を含む。なお、PDは、PhotoDiodeの略である。また、BLは、BitLineの略である。
【0025】
フォトダイオード400のアノードは、PD用グラウンド405に接続されている。また、フォトダイオード400は、光電変換により、レンズ15から導かれた光の量に応じた光電流を発生させる。さらに、フォトダイオード400は、この発生した光電流を後述の転送トランジスタ410に流す。
【0026】
転送トランジスタ410は、NチャネルMOSFETである。また、転送トランジスタ410のソースは、フォトダイオード400のカソードに接続されている。さらに、転送トランジスタ410のゲートは、APS用駆動回路26に接続されている。このため、APS用駆動回路26からの電圧が転送トランジスタ410のゲートに印加されることにより、転送トランジスタ410は、オンオフする。また、転送トランジスタ410は、オンするとき、フォトダイオード400から流れる光電流に応じた電荷を後述の浮遊拡散層415に転送する。さらに、転送トランジスタ410は、オフするとき、フォトダイオード400から流れる光電流に応じた電荷を後述の浮遊拡散層415に転送しない。なお、転送トランジスタ410のドレインがフォトダイオード400のカソードに接続されてもよい。
【0027】
浮遊拡散層415は、転送トランジスタ410のドレインに接続されている。また、浮遊拡散層415は、転送トランジスタ410から転送された電荷を蓄積する。さらに、浮遊拡散層415は、この蓄積した電荷の量に応じた電圧を後述のアンプトランジスタ50に印加する。なお、浮遊拡散層415は、転送トランジスタ410のソースに接続されてもよい。
【0028】
セレクトトランジスタ420は、NチャネルMOSFETである。また、セレクトトランジスタ420のゲートは、APS用駆動回路26に接続されている。このため、APS用駆動回路26からの電圧がセレクトトランジスタ420のゲートに印加されることにより、セレクトトランジスタ420は、オンオフする。また、セレクトトランジスタ420は、オンするとき、後述のアンプトランジスタ50からの電圧を後述のビットライン425に印加する。さらに、セレクトトランジスタ420は、オフするとき、後述のアンプトランジスタ50からの電圧を後述のビットライン425に印加しない。
【0029】
ビットライン425は、セレクトトランジスタ420のソース、後述のBL用トランジスタ430および画像処理部75に接続されている。
【0030】
BL用トランジスタ430は、NチャネルMOSFETである。BL用トランジスタ430のドレインは、ビットライン425に接続されている。また、BL用トランジスタ430のソースは、BL用グラウンド435に接続されている。さらに、BL用トランジスタ430のゲートは、APS用駆動回路26に接続されている。このため、APS用駆動回路26からの電圧がBL用トランジスタ430のゲートに印加されることにより、BL用トランジスタ430は、オンオフする。BL用トランジスタ430がオンするとき、ビットライン425とBL用グラウンド435とが接続される。また、BL用トランジスタ430がオフするとき、ビットライン425とBL用グラウンド435とは、接続されない。
【0031】
リセットトランジスタ440は、NチャネルMOSFETである。リセットトランジスタ440のドレインは、後述のフィードバックトランジスタ610のソースに接続されている。また、リセットトランジスタ440のソースは、転送トランジスタ410および浮遊拡散層415の間に接続されている。さらに、リセットトランジスタ440のゲートは、APS用駆動回路26に接続されている。このため、APS用駆動回路26からの電圧がリセットトランジスタ440のゲートに印加されることにより、リセットトランジスタ440は、オンオフする。また、リセットトランジスタ440は、オンするとき、後述のFB用電源615からの電圧を浮遊拡散層415に印加することにより、浮遊拡散層415の電圧をFB用電源615の電圧に対応した電圧にする。これによって、リセットトランジスタ440は、浮遊拡散層415の状態を初期化する。さらに、リセットトランジスタ440は、オフするとき、後述のFB用電源615からの電圧を浮遊拡散層415に印加しない。
【0032】
アンプトランジスタ50は、NチャネルMOSFETである。アンプトランジスタ50のドレインは、接合部25および後述のフィードバックトランジスタ610の間に接続されている。また、アンプトランジスタ50のソースは、セレクトトランジスタ420のドレインに接続されている。さらに、アンプトランジスタ50のゲートは、浮遊拡散層415に接続されている。このため、浮遊拡散層415からの電圧がアンプトランジスタ50のゲートに印加されることにより、アンプトランジスタ50は、オンオフする。また、アンプトランジスタ50は、オンするとき、浮遊拡散層415からの電圧をセレクトトランジスタ420、後述のフィードバックトランジスタ610および後述のオペアンプ620に印加する。さらに、アンプトランジスタ50は、オフするとき、浮遊拡散層415からの電圧をセレクトトランジスタ420、後述のフィードバックトランジスタ610および後述のオペアンプ620に印加しない。
【0033】
DVS用回路60は、切替トランジスタ600、切替用電源605、フィードバックトランジスタ610、FB用電源615、オペアンプ620、第1コンパレータ621、第2コンパレータ622およびロジック回路625を含む。なお、フィードバックトランジスタ610およびFB用電源615は、受光チップ22上に配置されている。また、切替トランジスタ600、切替用電源605、オペアンプ620、第1コンパレータ621、第2コンパレータ622およびロジック回路625は、回路チップ24上に配置されている。さらに、FBは、FeedBackの略である。
【0034】
切替トランジスタ600は、PチャネルMOSFETである。切替トランジスタ600のドレインは、切替用電源605に接続されている。また、切替トランジスタ600のソースは、接合部25および後述のオペアンプ620の間に接続されている。さらに、切替トランジスタ600のゲートは、DVS用駆動回路28に接続されている。このため、DVS用駆動回路28からの電圧が切替トランジスタ600のゲートに印加されることにより、切替トランジスタ600は、オンオフする。また、切替トランジスタ600は、オンするとき、切替用電源605からの電圧をアンプトランジスタ50に印加する。さらに、切替トランジスタ600は、オフするとき、切替用電源605からの電圧をアンプトランジスタ50に印加しない。
【0035】
フィードバックトランジスタ610は、NチャネルMOSFETである。フィードバックトランジスタ610のドレインは、FB用電源615に接続されている。また、フィードバックトランジスタ610のソースは、後述のリセットトランジスタ440に接続されている。さらに、フィードバックトランジスタ610のゲートは、アンプトランジスタ50のドレインおよび接合部25に接続されている。このため、アンプトランジスタ50のドレインおよび接合部25からの電圧がフィードバックトランジスタ610のゲートに印加されることによって、フィードバックトランジスタ610は、オンオフする。また、フィードバックトランジスタ610は、オンするとき、アンプトランジスタ50からの電圧および接合部25からの電圧をリセットトランジスタ440に印加する。さらに、フィードバックトランジスタ610は、オフするとき、アンプトランジスタ50からの電圧および接合部25からの電圧をリセットトランジスタ440に印加しない。
【0036】
オペアンプ620は、アンプトランジスタ50からの電圧を増幅する。また、オペアンプ620は、この増幅した電圧を第1コンパレータ621および第2コンパレータ622に印加する。
【0037】
第1コンパレータ621は、オペアンプ620からの電圧が第1電圧閾値以上であるとき、電圧レベルがローレベルの信号を後述のロジック回路625に出力する。また、第1コンパレータ621は、オペアンプ620からの電圧が第1電圧閾値未満であるとき、電圧レベルがハイレベルの信号を後述のロジック回路625に出力する。これらにより、第1コンパレータ621は、オペアンプ620からの電圧が減少したか否かを判定することにより、フォトダイオード400からの光電流が減少したか否かを判定する。なお、第1電圧閾値は、実験やシミュレーション等により設定される。
【0038】
第2コンパレータ622は、オペアンプ620からの電圧が第2電圧閾値未満であるとき、電圧レベルがローレベルの信号を後述のロジック回路625に出力する。また、第2コンパレータ622は、オペアンプ620からの電圧が第2電圧閾値以上であるとき、電圧レベルがハイレベルの信号を後述のロジック回路625に出力する。これらにより、第2コンパレータ622は、オペアンプ620からの電圧が増加したか否かを判定することにより、フォトダイオード400からの光電流が増加したか否かを判定する。なお、第2電圧閾値は、実験やシミュレーション等により設定される。
【0039】
ロジック回路625は、第1コンパレータ621からの信号および第2コンパレータ622からの信号に基づいて、そのロジック回路625に対応する画素30の位置およびイベントの極性を後述の信号処理部70に出力する。また、ロジック回路625は、信号処理部70に出力後、第1コンパレータ621からの信号および第2コンパレータ622からの信号をリセットする。さらに、ロジック回路625は、リセットした旨を示す信号をオペアンプ620に出力する。なお、画素30の位置は、例えば、XY座標で表される。また、イベントの極性は、例えば、フォトダイオード400からの光電流が増加したとき、+1である。さらに、イベントの極性は、例えば、フォトダイオード400からの光電流が減少したとき、-1である。
【0040】
信号処理部70は、マイコン等を主体として構成されており、CPU、ROM、フラッシュメモリ、RAM、I/O、駆動回路およびこれらの構成を接続するバスライン等を備えている。また、信号処理部70は、ROMに記憶されているプログラムを実行することにより、ロジック回路625から取得した画素30の位置およびイベントの極性についての信号を外部に出力する。さらに、信号処理部70は、画像認識処理等の信号処理を行うことで、イベントフレームを生成する。また、信号処理部70は、この生成したイベントフレームを外部に出力する。例えば、信号処理部70からの画素30の位置、イベントの極性およびイベントフレームは、記憶部80に記憶される。なお、イベントフレームは、イベントを可視化させたものである。
【0041】
画像処理部75は、マイコン等を主体として構成されており、CPU、ROM、フラッシュメモリ、RAM、I/O、駆動回路およびこれらの構成を接続するバスライン等を備えている。また、画像処理部75は、ROMに記憶されているプログラムを実行することにより、各画素30のビットライン425から取得した信号について、AD変換、CDS処理、暗電流補正等の処理をすることによって、輝度画像を生成する。さらに、画像処理部75は、この生成した輝度画像を外部に出力する。例えば、画像処理部75からの輝度画像は、記憶部80に記憶される。
【0042】
以上のように、固体撮像素子20は、構成されている。この固体撮像素子20は、輝度画像を生成するとともに、イベントを検出する。次に、固体撮像素子20による輝度画像の生成について、図5のタイムチャートを参照して説明する。
【0043】
ここで、この説明するため、以下の用語を定義する。図4に示すように、切替トランジスタ600のゲート電圧をVbとする。セレクトトランジスタ420のゲート電圧をSELとする。リセットトランジスタ440のゲート電圧をRSTとする。転送トランジスタ410のゲート電圧をTXとする。BL用トランジスタ430のゲート電圧をBLGとする。水平方向に配列された画素30の集合を行とする。
【0044】
図5に戻って、時刻t0において、撮像装置10が搭載された車両が運転者によって操縦されていることにより、輝度画像を運転者に向けて表示する必要があるとする。このとき、車両のシステムは、輝度画像を運転者に向けて表示する必要がある旨を示す信号を制御部85に出力する。このシステムからの信号により、制御部85は、輝度画像を生成するための信号をDVS用駆動回路28およびAPS用駆動回路26に出力にする。
【0045】
このとき、DVS用駆動回路28は、Vbを接地電圧Vb_Gにする。これにより、切替トランジスタ600は、PチャネルMOSFETであるため、オンする。このため、切替用電源605からの電圧が切替トランジスタ600および接合部25を経由してアンプトランジスタ50のドレインに印加される。これにより、アンプトランジスタ50のドレインの電圧がアンプトランジスタ50のゲート電圧と閾値電圧との和よりも高くなることから、アンプトランジスタ50の状態が飽和状態になる。このため、浮遊拡散層415からの電圧がアンプトランジスタ50を経由してセレクトトランジスタ420に印加される。さらに、切替用電源605からの電圧が切替トランジスタ600および接合部25を経由してフィードバックトランジスタ610のゲートに印加されることから、フィードバックトランジスタ610は、オンする。なお、接地電圧Vb_Gは、撮像装置10の接地の電圧である。
【0046】
また、APS用駆動回路26は、SEL、RST、TXおよびBLGの電圧レベルをローレベルにする。これにより、セレクトトランジスタ420、リセットトランジスタ440、転送トランジスタ410およびBL用トランジスタ430は、オフする。このため、セレクトトランジスタ420は、アンプトランジスタ50からの電圧をビットライン425に印加しない。リセットトランジスタ440は、浮遊拡散層415に電圧を印加しない。転送トランジスタ410は、フォトダイオード400から流れる光電流に応じた電荷を後述の浮遊拡散層415に転送しない。ビットライン425は、BL用グラウンド435に接続されていない状態である。なお、図5において、ローレベルは、Lで示されている。また、ハイレベルは、Hで示されている。
【0047】
時刻t0から時刻t1までの期間において、車両のシステム、制御部85、固体撮像素子20の状態が時刻t0と同様の状態である。このため、車両のシステム、制御部85、APS用駆動回路26およびDVS用駆動回路28は、時刻t0と同様の処理を行う。
【0048】
時刻t1において、車両のシステムは、輝度画像を運転者に向けて表示する必要がある旨を示す信号を制御部85に出力している。このシステムからの信号により、制御部85は、輝度画像を生成するための信号をDVS用駆動回路28およびAPS用駆動回路26に出力にしている。
【0049】
このとき、DVS用駆動回路28は、Vbを接地電圧Vb_Gにしている。これにより、切替トランジスタ600は、PチャネルMOSFETであるため、オンしている。このため、切替用電源605からの電圧が切替トランジスタ600および接合部25を経由してアンプトランジスタ50のドレインに印加されている。これにより、アンプトランジスタ50のドレインの電圧がアンプトランジスタ50のゲート電圧と閾値電圧との和よりも高くなっていることから、アンプトランジスタ50の状態が飽和状態になっている。このため、浮遊拡散層415からの電圧がアンプトランジスタ50を経由してセレクトトランジスタ420に印加されている。さらに、切替用電源605の電圧が切替トランジスタ600および接合部25を経由してフィードバックトランジスタ610のゲートに印加されていることから、フィードバックトランジスタ610は、オンしている。
【0050】
また、APS用駆動回路26は、SELの電圧レベルをハイレベルにする。このため、セレクトトランジスタ420は、オンする。このとき、切替用電源605からの電圧が切替トランジスタ600、接合部25、アンプトランジスタ50およびセレクトトランジスタ420を経由してビットライン425に印加される。これにより、読み出される画素30の行が選択される。
【0051】
さらに、APS用駆動回路26は、RST、TXおよびBLGの電圧レベルをローレベルにしている。これにより、リセットトランジスタ440、転送トランジスタ410およびBL用トランジスタ430は、オフしている。このため、リセットトランジスタ440は、浮遊拡散層415に電圧を印加しない。転送トランジスタ410は、フォトダイオード400から流れる光電流に応じた電荷を後述の浮遊拡散層415に転送しない。ビットライン425は、BL用グラウンド435に接続されていない状態である。
【0052】
時刻t1から時刻t2までの期間において、車両のシステム、制御部85、固体撮像素子20の状態が時刻t1と同様の状態である。このため、車両のシステム、制御部85、APS用駆動回路26およびDVS用駆動回路28は、時刻t1と同様の処理を行う。
【0053】
時刻t2において、車両のシステムは、輝度画像を運転者に向けて表示する必要がある旨を示す信号を制御部85に出力している。このシステムからの信号により、制御部85は、輝度画像を生成するための信号をDVS用駆動回路28およびAPS用駆動回路26に出力にしている。
【0054】
このとき、DVS用駆動回路28は、Vbを接地電圧Vb_Gにしている。これにより、切替トランジスタ600は、PチャネルMOSFETであるため、オンしている。このため、切替用電源605からの電圧が切替トランジスタ600および接合部25を経由してアンプトランジスタ50のドレインに印加されている。これにより、アンプトランジスタ50のドレインの電圧がアンプトランジスタ50のゲート電圧と閾値電圧との和よりも高くなることから、アンプトランジスタ50の状態が飽和状態になっている。このため、浮遊拡散層415からの電圧がアンプトランジスタ50を経由してセレクトトランジスタ420に印加されている。さらに、切替用電源605の電圧が切替トランジスタ600および接合部25を経由してフィードバックトランジスタ610のゲートに印加されていることから、フィードバックトランジスタ610は、オンしている。
【0055】
また、APS用駆動回路26は、SELの電圧レベルをハイレベルにしている。このため、セレクトトランジスタ420は、オンしている。このとき、切替用電源605からの電圧が切替トランジスタ600、接合部25、アンプトランジスタ50およびセレクトトランジスタ420を経由してビットライン425に印加されている。これにより、読み出される画素30の行が選択されている。
【0056】
さらに、APS用駆動回路26は、RSTの電圧レベルをハイレベルにする。このため、リセットトランジスタ440は、オンする。これにより、FB用電源615からの電圧がフィードバックトランジスタ610およびリセットトランジスタ440を経由して浮遊拡散層415に印加されることから、浮遊拡散層415の電圧がFB用電源615からの電圧に対応した電圧となる。このため、浮遊拡散層415の状態が初期化される。
【0057】
また、APS用駆動回路26は、TXおよびBLGの電圧レベルをローレベルにしている。これにより、転送トランジスタ410およびBL用トランジスタ430は、オフしている。このため、転送トランジスタ410は、フォトダイオード400から流れる光電流に応じた電荷を後述の浮遊拡散層415に転送しない。ビットライン425は、BL用グラウンド435に接続されていない状態である。
【0058】
時刻t2から時刻t3までの期間において、固体撮像素子20の状態が時刻t2と同様の状態である。このため、車両のシステム、制御部85、APS用駆動回路26およびDVS用駆動回路28は、時刻t2と同様の処理を行う。
【0059】
時刻t3において、車両のシステムは、輝度画像を運転者に向けて表示する必要がある旨を示す信号を制御部85に出力している。このシステムからの信号により、制御部85は、輝度画像を生成するための信号をDVS用駆動回路28およびAPS用駆動回路26に出力にしている。
【0060】
このとき、DVS用駆動回路28は、Vbを接地電圧Vb_Gにしている。これにより、切替トランジスタ600は、PチャネルMOSFETであるため、オンしている。このため、切替用電源605からの電圧が切替トランジスタ600および接合部25を経由してアンプトランジスタ50のドレインに印加されている。これにより、アンプトランジスタ50のドレインの電圧がアンプトランジスタ50のゲート電圧と閾値電圧との和よりも高くなっていることから、アンプトランジスタ50の状態が飽和状態になっている。このため、浮遊拡散層415からの電圧がアンプトランジスタ50を経由してセレクトトランジスタ420に印加されている。さらに、切替用電源605の電圧が切替トランジスタ600および接合部25を経由してフィードバックトランジスタ610のゲートに印加されていることから、フィードバックトランジスタ610は、オンしている。
【0061】
また、APS用駆動回路26は、SELの電圧レベルをハイレベルにしている。このため、セレクトトランジスタ420は、オンしている。このとき、切替用電源605からの電圧が切替トランジスタ600、接合部25、アンプトランジスタ50およびセレクトトランジスタ420を経由してビットライン425に印加されている。これにより、読み出される画素30の行が選択されている。
【0062】
さらに、APS用駆動回路26は、RSTの電圧レベルをローレベルにする。このため、リセットトランジスタ440は、オフする。これにより、FB用電源615からフィードバックトランジスタ610およびリセットトランジスタ440を経由して浮遊拡散層415に印加される電圧が停止される。
【0063】
また、APS用駆動回路26は、TXおよびBLGの電圧レベルをローレベルにしている。これにより、転送トランジスタ410およびBL用トランジスタ430は、オフしている。このため、転送トランジスタ410は、フォトダイオード400から流れる光電流に応じた電荷を後述の浮遊拡散層415に転送しない。ビットライン425は、BL用グラウンド435に接続されていない状態である。
【0064】
時刻t3から時刻t4までの期間において、車両のシステムは、輝度画像を運転者に向けて表示する必要がある旨を示す信号を制御部85に出力している。このシステムからの信号により、制御部85は、輝度画像を生成するための信号をDVS用駆動回路28およびAPS用駆動回路26に出力にしている。
【0065】
このとき、DVS用駆動回路28は、Vbを接地電圧Vb_Gにしている。これにより、切替トランジスタ600は、PチャネルMOSFETであるため、オンしている。このため、切替用電源605からの電圧が切替トランジスタ600および接合部25を経由してアンプトランジスタ50のドレインに印加されている。これにより、アンプトランジスタ50のドレインの電圧がアンプトランジスタ50のゲート電圧と閾値電圧との和よりも高くなっていることから、アンプトランジスタ50の状態が飽和状態になっている。このため、浮遊拡散層415からの電圧がアンプトランジスタ50を経由してセレクトトランジスタ420に印加されている。さらに、切替用電源605の電圧が切替トランジスタ600および接合部25を経由してフィードバックトランジスタ610のゲートに印加されていることから、フィードバックトランジスタ610は、オンしている。
【0066】
また、APS用駆動回路26は、SELの電圧レベルをハイレベルにしている。このため、セレクトトランジスタ420は、オンしている。このとき、切替用電源605からの電圧が切替トランジスタ600、接合部25、アンプトランジスタ50およびセレクトトランジスタ420を経由してビットライン425に印加されている。これにより、読み出される画素30の行が選択されている。
【0067】
さらに、APS用駆動回路26は、RSTの電圧レベルをローレベルにしている。このため、リセットトランジスタ440は、オフしている。これにより、FB用電源615からフィードバックトランジスタ610およびリセットトランジスタ440を経由して浮遊拡散層415に印加される電圧が停止されている。このとき、浮遊拡散層415の電圧が初期状態として安定している。このため、画像処理部75は、浮遊拡散層415からアンプトランジスタ50、セレクトトランジスタ420およびビットライン425を経由して画像処理部75に印加される電圧を読み取る。
【0068】
また、APS用駆動回路26は、TXおよびBLGの電圧レベルをローレベルにしている。これにより、転送トランジスタ410およびBL用トランジスタ430は、オフしている。このため、転送トランジスタ410は、フォトダイオード400から流れる光電流に応じた電荷を後述の浮遊拡散層415に転送しない。ビットライン425は、BL用グラウンド435に接続されていない状態である。
【0069】
時刻t4において、車両のシステムは、輝度画像を運転者に向けて表示する必要がある旨を示す信号を制御部85に出力している。このシステムからの信号により、制御部85は、輝度画像を生成するための信号をDVS用駆動回路28およびAPS用駆動回路26に出力にしている。
【0070】
このとき、DVS用駆動回路28は、Vbを接地電圧Vb_Gにしている。これにより、切替トランジスタ600は、PチャネルMOSFETであるため、オンしている。このため、切替用電源605からの電圧が切替トランジスタ600および接合部25を経由してアンプトランジスタ50のドレインに印加されている。これにより、アンプトランジスタ50のドレインの電圧がアンプトランジスタ50のゲート電圧と閾値電圧との和よりも高くなっていることから、アンプトランジスタ50の状態が飽和状態になっている。このため、浮遊拡散層415からの電圧がアンプトランジスタ50を経由してセレクトトランジスタ420に印加されている。さらに、切替用電源605の電圧が切替トランジスタ600および接合部25を経由してフィードバックトランジスタ610のゲートに印加されていることから、フィードバックトランジスタ610は、オンしている。
【0071】
また、APS用駆動回路26は、SELの電圧レベルをハイレベルにしている。このため、セレクトトランジスタ420は、オンしている。このとき、切替用電源605からの電圧が切替トランジスタ600、接合部25、アンプトランジスタ50およびセレクトトランジスタ420を経由してビットライン425に印加されている。これにより、読み出される画素30の行が選択されている。
【0072】
さらに、APS用駆動回路26は、RSTの電圧レベルをローレベルにしている。このため、リセットトランジスタ440は、オフしている。これにより、FB用電源615からフィードバックトランジスタ610およびリセットトランジスタ440を経由して浮遊拡散層415に印加される電圧が停止されている。
【0073】
また、APS用駆動回路26は、TXの電圧レベルをハイレベルにする。このため、転送トランジスタ410は、オンする。このとき、転送トランジスタ410は、フォトダイオード400から流れる光電流に応じた電荷を浮遊拡散層415に転送する。これにより、浮遊拡散層415の電圧が変化する。
【0074】
さらに、APS用駆動回路26は、BLGの電圧レベルをローレベルにしている。これにより、BL用トランジスタ430は、オフしている。このため、ビットライン425は、BL用グラウンド435に接続されていない状態である。
【0075】
時刻t4から時刻t5までの期間において、車両のシステム、制御部85、固体撮像素子20の状態が時刻t4と同様の状態である。このため、車両のシステム、制御部85、APS用駆動回路26およびDVS用駆動回路28は、時刻t4と同様の処理を行う。
【0076】
時刻t5において、車両のシステムは、輝度画像を運転者に向けて表示する必要がある旨を示す信号を制御部85に出力している。このシステムからの信号により、制御部85は、輝度画像を生成するための信号をDVS用駆動回路28およびAPS用駆動回路26に出力にしている。
【0077】
このとき、DVS用駆動回路28は、Vbを接地電圧Vb_Gにしている。これにより、切替トランジスタ600は、PチャネルMOSFETであるため、オンしている。このため、切替用電源605からの電圧が切替トランジスタ600および接合部25を経由してアンプトランジスタ50のドレインに印加されている。これにより、アンプトランジスタ50のドレインの電圧がアンプトランジスタ50のゲート電圧と閾値電圧との和よりも高くなっていることから、アンプトランジスタ50の状態が飽和状態になっている。このため、浮遊拡散層415からの電圧がアンプトランジスタ50を経由してセレクトトランジスタ420に印加されている。さらに、切替用電源605の電圧が切替トランジスタ600および接合部25を経由してフィードバックトランジスタ610のゲートに印加されていることから、フィードバックトランジスタ610は、オンしている。
【0078】
また、APS用駆動回路26は、SELの電圧レベルをハイレベルにしている。このため、セレクトトランジスタ420は、オンしている。このとき、切替用電源605からの電圧が切替トランジスタ600、接合部25、アンプトランジスタ50およびセレクトトランジスタ420を経由してビットライン425に印加されている。これにより、読み出される画素30の行が選択されている。
【0079】
さらに、APS用駆動回路26は、RSTの電圧レベルをローレベルにしている。このため、リセットトランジスタ440は、オフしている。これにより、FB用電源615からフィードバックトランジスタ610およびリセットトランジスタ440を経由して浮遊拡散層415に印加される電圧が停止されている。
【0080】
また、APS用駆動回路26は、TXの電圧レベルをローレベルにする。このため、転送トランジスタ410は、オフする。このとき、フォトダイオード400から流れる光電流に応じた電荷の転送トランジスタ410から浮遊拡散層415への転送が停止される。これにより、浮遊拡散層415の電圧の変化が停止する。
【0081】
さらに、APS用駆動回路26は、BLGの電圧レベルをローレベルにしている。これにより、BL用トランジスタ430は、オフしている。このため、ビットライン425は、BL用グラウンド435に接続されていない状態である。
【0082】
時刻t5から時刻t6までの期間において、車両のシステムは、輝度画像を運転者に向けて表示する必要がある旨を示す信号を制御部85に出力している。このシステムからの信号により、制御部85は、輝度画像を生成するための信号をDVS用駆動回路28およびAPS用駆動回路26に出力にしている。
【0083】
このとき、DVS用駆動回路28は、Vbを接地電圧Vb_Gにしている。これにより、切替トランジスタ600は、PチャネルMOSFETであるため、オンしている。このため、切替用電源605からの電圧が切替トランジスタ600および接合部25を経由してアンプトランジスタ50のドレインに印加されている。これにより、アンプトランジスタ50のドレインの電圧がアンプトランジスタ50のゲート電圧と閾値電圧との和よりも高くなっていることから、アンプトランジスタ50の状態が飽和状態になっている。このため、浮遊拡散層415からの電圧がアンプトランジスタ50を経由してセレクトトランジスタ420に印加されている。さらに、切替用電源605の電圧が切替トランジスタ600および接合部25を経由してフィードバックトランジスタ610のゲートに印加されていることから、フィードバックトランジスタ610は、オンしている。
【0084】
また、APS用駆動回路26は、SELの電圧レベルをハイレベルにしている。このため、セレクトトランジスタ420は、オンしている。このとき、切替用電源605からの電圧が切替トランジスタ600、接合部25、アンプトランジスタ50およびセレクトトランジスタ420を経由してビットライン425に印加されている。これにより、読み出される画素30の行が選択されている。
【0085】
さらに、APS用駆動回路26は、RSTの電圧レベルをローレベルにしている。このため、リセットトランジスタ440は、オフしている。これにより、FB用電源615からフィードバックトランジスタ610およびリセットトランジスタ440を経由して浮遊拡散層415に印加される電圧が停止されている。
【0086】
また、APS用駆動回路26は、TXの電圧レベルをローレベルにしている。このため、転送トランジスタ410は、オフしている。このとき、フォトダイオード400から流れる光電流に応じた電荷の転送トランジスタ410から浮遊拡散層415への転送が停止されている。これにより、浮遊拡散層415の電圧の変化が停止している。このとき、転送トランジスタ410からの転送による変化後の浮遊拡散層415の電圧が安定している。このため、画像処理部75は、浮遊拡散層415からアンプトランジスタ50、セレクトトランジスタ420およびビットライン425を経由して画像処理部75に印加される電圧を読み取る。また、画像処理部75は、この読み取った電圧から初期化されたときの浮遊拡散層415の電圧を減算することにより、浮遊拡散層415の電圧の変化分を算出する。さらに、画像処理部75は、この算出した電圧の変化分についてAD変換、CDS処理、暗電流補正等の処理をすることによって、輝度画像を生成する。さらに、画像処理部75は、この生成した輝度画像を記憶部80に記憶させる。なお、初期化された浮遊拡散層415の電圧は、時刻t3から時刻t4までの期間に読み取った浮遊拡散層415の電圧に対応する。
【0087】
さらに、APS用駆動回路26は、BLGの電圧レベルをローレベルにしている。これにより、BL用トランジスタ430は、オフしている。このため、ビットライン425は、BL用グラウンド435に接続されていない状態である。
【0088】
時刻t6において、車両のシステムは、輝度画像を運転者に向けて表示する必要がある旨を示す信号を制御部85に出力している。このシステムからの信号により、制御部85は、輝度画像を生成するための信号をDVS用駆動回路28およびAPS用駆動回路26に出力にしている。
【0089】
このとき、DVS用駆動回路28は、Vbを接地電圧Vb_Gにしている。これにより、切替トランジスタ600は、PチャネルMOSFETであるため、オンしている。このため、切替用電源605からの電圧が切替トランジスタ600および接合部25を経由してアンプトランジスタ50のドレインに印加されている。これにより、アンプトランジスタ50のドレインの電圧がアンプトランジスタ50のゲート電圧と閾値電圧との和よりも高くなっていることから、アンプトランジスタ50の状態が飽和状態になっている。このため、浮遊拡散層415からの電圧がアンプトランジスタ50を経由してセレクトトランジスタ420に印加されている。さらに、切替用電源605の電圧が切替トランジスタ600および接合部25を経由してフィードバックトランジスタ610のゲートに印加されていることから、フィードバックトランジスタ610は、オンしている。
【0090】
また、APS用駆動回路26は、SELの電圧レベルをローレベルにする。このため、セレクトトランジスタ420は、オフする。このとき、切替用電源605から切替トランジスタ600、接合部25、アンプトランジスタ50およびセレクトトランジスタ420を経由してビットライン425に印加される電圧が停止する。これにより、読み出される画素30の行の選択が停止する。
【0091】
さらに、APS用駆動回路26は、RST、TXおよびBLGの電圧レベルをローレベルにしている。これにより、リセットトランジスタ440、転送トランジスタ410およびBL用トランジスタ430は、オフしている。このため、リセットトランジスタ440は、浮遊拡散層415に電圧を印加しない。転送トランジスタ410は、フォトダイオード400から流れる光電流に応じた電荷を後述の浮遊拡散層415に転送しない。ビットライン425は、BL用グラウンド435に接続されていない状態である。したがって、固体撮像素子20の状態は、時刻t0の状態に戻り、行における処理が終わる。
【0092】
以上のシーケンスを複数繰り返すことにより、固体撮像素子20は、フレームとして、輝度画像を生成する。次に、固体撮像素子20によるイベントの検出について説明する。
【0093】
例えば、PCS制御等を行う運転支援システムが作動している状態で、撮像装置10が搭載された車両が操縦されているとする。このとき、車両のシステムは、運転支援システムが作動している信号を制御部85に出力する。このシステムの信号により、制御部85は、イベントを検出させるための信号をDVS用駆動回路28およびAPS用駆動回路26に出力にする。なお、PCSは、Pre Crash Safety Controlの略である。
【0094】
このとき、DVS用駆動回路28は、各画素30のVbを所定電圧Vb_Pにする。これにより、切替トランジスタ600は、オンする。なお、所定電圧Vb_Pは、接地電圧Vb_Gよりも大きく、切替用電源605の電圧よりも小さい電圧である。
【0095】
また、APS用駆動回路26は、各画素30のRSTの電圧レベルをハイレベルにする。これにより、リセットトランジスタ440は、オンする。これにより、FB用電源615からの電圧がフィードバックトランジスタ610およびリセットトランジスタ440を経由して浮遊拡散層415に印加されることから、浮遊拡散層415の電圧は、FB用電源615の電圧に対応した電圧になる。また、この浮遊拡散層415の電圧がアンプトランジスタ50のゲートに印加されることにより、アンプトランジスタ50は、オンする。なお、FB用電源615の電圧に対応した電圧は、PD用グラウンド405の電圧よりも大きく、FB用電源615の電圧よりも小さい電圧である。
【0096】
さらに、APS用駆動回路26は、各画素30のTXの電圧レベルをハイレベルにする。このため、転送トランジスタ410は、オンする。このとき、転送トランジスタ410は、フォトダイオード400から流れる光電流に応じた電荷を浮遊拡散層415に転送する。これにより、浮遊拡散層415の電圧は、FB用電源615の電圧に対応した電圧から変化する。
【0097】
また、APS用駆動回路26は、各画素30のSELおよびBLGの電圧レベルをハイレベルにする。このため、セレクトトランジスタ420およびBL用トランジスタ430は、オンする。このとき、アンプトランジスタ50のソースの電圧は、BL用グラウンド435の電圧になる。
【0098】
ここで、例えば、フォトダイオード400によって光電流が発生するとき、転送トランジスタ410から浮遊拡散層415に光電子が転送されることにより、浮遊拡散層415の電圧は、減少する。このため、アンプトランジスタ50のドレインおよびゲートの電圧差が大きくなることから、アンプトランジスタ50からオペアンプ620に印加される電圧は、大きくなる。このとき、オペアンプ620は、この入力された電圧を増幅し、この増幅した電圧を第1コンパレータ621および第2コンパレータ622に印加する。第1コンパレータ621は、オペアンプ620に入力された電圧が大きくなっていることから、電圧レベルがローレベルの信号をロジック回路625に出力する。第2コンパレータ622は、オペアンプ620に入力された電圧が大きくなっていることから、電圧レベルがハイレベルの信号をロジック回路625に出力する。このとき、ロジック回路625は、そのロジック回路625に対応する画素30の位置およびイベントの極性である+1を信号処理部70に出力する。また、信号処理部70は、これらの画素30の位置およびイベントの極性についての信号を外部に出力する。さらに、信号処理部70は、画像認識処理等の信号処理を行うことで、イベントフレームを生成する。また、信号処理部70は、この生成したイベントフレームを外部に出力する。例えば、信号処理部70からの画素30の位置、イベントの極性およびイベントフレームは、記憶部80に記憶される。
【0099】
また、ロジック回路625は、信号処理部70に出力後、第1コンパレータ621からの信号および第2コンパレータ622からの信号をリセットする。さらに、ロジック回路625は、リセットした旨を示す信号をオペアンプ620に出力する。このとき、オペアンプ620は、この入力された電圧を増幅し、この増幅した電圧を第1コンパレータ621および第2コンパレータ622に印加する。したがって、オペアンプ620、第1コンパレータ621、第2コンパレータ622およびロジック回路625によるイベントの検出が繰り返される。
【0100】
また、アンプトランジスタ50のドレインおよびゲートの電圧差が大きくなっていることから、アンプトランジスタ50からフィードバックトランジスタ610のゲートに印加される電圧は、大きくなる。このため、フィードバックトランジスタ610の駆動力が大きくなることからフィードバックトランジスタ610からリセットトランジスタ440を経由して浮遊拡散層415に電流が流れやすくなる。したがって、このとき、浮遊拡散層415の電圧は、フィードバックトランジスタ610からの電圧によって大きくなる。このため、フォトダイオード400によって光電流が発生する前のときの電圧に近づくことで、浮遊拡散層415の状態がフォトダイオード400によって光電流が発生する前の状態に戻りやすくなる。よって、浮遊拡散層415の電圧の応答性が向上することから、ロジック回路625から出力される信号の応答性が向上する。
【0101】
以上のように、固体撮像素子20は、イベントを検出する。次に、この固体撮像素子20によってトランジスタの数を削減できることについて説明する。
【0102】
固体撮像素子20は、画素30と、画像処理部75とを備える。画素30は、フォトダイオード400と、浮遊拡散層415と、切替用電源605と、切替トランジスタ600と、DVS用駆動回路28と、アンプトランジスタ50と、第1コンパレータ621と、第2コンパレータ622とを有する。フォトダイオード400は、光電変換によって光量に応じた光電流を発生させる。浮遊拡散層415は、光電流に対応する電荷を蓄積し、この蓄積した電荷の量に応じた電圧を出力する。切替トランジスタ600は、切替用電源605に接続されている。DVS用駆動回路28は、切替トランジスタ600に電圧を印加することにより切替トランジスタ600をオンさせる。アンプトランジスタ50は、Vbが接地電圧Vb_Gであるとき、切替用電源605からの電圧が印加されることによりドレインの電圧が所定の電圧に維持されるとともに、浮遊拡散層415の電圧の変化に応じた電圧をソースから出力する。また、アンプトランジスタ50は、Vbが接地電圧Vb_Gよりも大きい所定電圧Vb_Pであるとき、浮遊拡散層415の電圧の変化に応じた電圧をドレインから出力する。第1コンパレータ621は、アンプトランジスタ50のドレインからの電圧が減少したか否かを検出する。第2コンパレータ622は、アンプトランジスタ50のドレインからの電圧が増加したか否かを検出する。画像処理部75は、Vbが接地電圧Vb_Gであるとき、アンプトランジスタ50のソースから出力された電圧の変化に基づいて、輝度画像を生成する。なお、フォトダイオード400は、光電変換素子に対応する。浮遊拡散層415は、電荷蓄積部に対応する。アンプトランジスタ50は、共通トランジスタに対応する。アンプトランジスタ50のドレインは、共通トランジスタの一端に対応する。アンプトランジスタ50のソースは、共通トランジスタの他端に対応する。Vbは、DVS用駆動回路28から切替トランジスタ600に印加される電圧に対応するとともに、素子電圧に対応する。所定の電圧は、アンプトランジスタ50のゲート電圧と閾値電圧との和よりも高い電圧に対応する。
【0103】
これにより、輝度画像を生成するとき、アンプトランジスタ50は、浮遊拡散層415の電圧の変化に応じた電圧をソースから出力する。また、画素30の光量の時間変化を示すイベントを検出するとき、アンプトランジスタ50は、浮遊拡散層415の電圧の変化に応じた電圧をドレインから出力する。したがって、輝度画像生成用のトランジスタおよびイベント検出用のトランジスタを備える必要がなくなる。よって、トランジスタの数を削減することができる。
【0104】
また、第1実施形態では、以下に記載する効果も奏する。
【0105】
[1-1]画素30は、FB用電源615、リセットトランジスタ440と、APS用駆動回路26と、をさらに有する。リセットトランジスタ440は、FB用電源615に接続されている。APS用駆動回路26は、リセットトランジスタ440に電圧を印加することにより、リセットトランジスタ440をオンさせる。また、リセットトランジスタ440は、Vbが接地電圧Vb_Gよりも大きい所定電圧Vb_Pであるとき、浮遊拡散層415の電圧をFB用電源615の電圧に対応した電圧にする。そして、アンプトランジスタ50は、リセットトランジスタ440により浮遊拡散層415の電圧が前記第2電源の電圧に対応した電圧になった後、浮遊拡散層415の電圧の変化に応じた電圧をドレインから出力する。なお、切替用電源605は、第1電源に対応する。DVS用駆動回路28は、第1駆動回路に対応する。切替トランジスタ600は、第1トランジスタに対応する。FB用電源615は、第2電源に対応する。APS用駆動回路26は、第2駆動回路に対応する。リセットトランジスタ440は、第2トランジスタに対応する。
【0106】
これにより、アンプトランジスタ50は、FB用電源615の電圧に対応した電圧からの変動分の電圧をドレインから出力する。このため、浮遊拡散層415の電圧の変化に応じた電圧が算出されやすくなることから、第1コンパレータ621および第2コンパレータ622によるアンプトランジスタ50のドレインからの電圧の増減が検出されやすくなる。したがって、イベントの検出がされやすくなる。
【0107】
[1-2]画素30は、ビットライン425、BL用トランジスタ430およびBL用グラウンド435をさらに有する。ビットライン425は、Vbが接地電圧Vb_Gであるとき、アンプトランジスタ50のソースからの電圧を画像処理部75に出力する。BL用トランジスタ430は、APS用駆動回路26からの電圧によってオンすることで、ビットライン425とBL用グラウンド435とを接続させる。BL用グラウンド435は、Vbが接地電圧Vb_Gよりも大きい所定電圧Vb_Pであるとき、ビットライン425と接続されることにより、アンプトランジスタ50のソースの電圧をBL用グラウンド435の電圧にする。
【0108】
これにより、イベントを検出するとき、画素30のウェルに電流が流れることによる画素30のウェルの電位上昇が抑制される。このため、ウェルの電位上昇によるフォトダイオード400の特性変化が抑制されることから、固体撮像素子20の画質劣化が抑制される。
【0109】
(第2実施形態)
第2実施形態では、APS用回路40の形態が第1実施形態と異なる。これ以外は、第1実施形態と同様である。
【0110】
APS用回路40は、図6に示すように、リセット用電源445およびモードトランジスタ450をさらに含む。リセット用電源445は、リセットトランジスタ440のドレインに接続されている。また、リセットトランジスタ440のソースは、浮遊拡散層415に接続されている。さらに、リセットトランジスタ440は、オンするとき、リセット用電源445からの電圧を浮遊拡散層415に印加することにより、浮遊拡散層415の電圧をリセット用電源445の電圧に対応した電圧にする。これによって、リセットトランジスタ440は、浮遊拡散層415の状態を初期化する。また、リセットトランジスタ440は、オフするとき、リセット用電源445からの電圧を浮遊拡散層415に印加しない。
【0111】
モードトランジスタ450は、NチャネルMOSFETである。モードトランジスタ450のドレインは、フィードバックトランジスタ610のソースに接続されている。また、モードトランジスタ450のソースは、転送トランジスタ410および浮遊拡散層415の間に接続されている。さらに、モードトランジスタ450のゲートは、APS用駆動回路26に接続されている。このため、APS用駆動回路26からの電圧がリセットトランジスタ440のゲートに印加されることにより、モードトランジスタ450は、オンオフする。
【0112】
以上のように、第2実施形態は、構成されている。次に、固体撮像素子20による輝度画像の生成について説明する。
【0113】
撮像装置10が搭載された車両が運転者によって操縦されていることにより、輝度画像を運転者に向けて表示する必要があるとする。このとき、車両のシステムは、輝度画像を運転者に向けて表示する必要がある旨を示す信号を制御部85に出力する。このシステムからの信号により、制御部85は、輝度画像を生成するための信号をDVS用駆動回路28およびAPS用駆動回路26に出力にする。
【0114】
このとき、APS用駆動回路26は、モードトランジスタ450のゲート電圧の電圧レベルをローレベルにする。これにより、モードトランジスタ450は、オフする。その後、車両のシステム、制御部85、APS用駆動回路26およびDVS用駆動回路28は、上記時刻t0~t6と同様の処理を行う。
【0115】
以上のように、固体撮像素子20は、輝度画像を生成する。次に、固体撮像素子20によるイベントの検出について説明する。
【0116】
例えば、PCS制御等を行う運転支援システムが作動している状態で、撮像装置10が搭載された車両が操縦されているとする。このとき、車両のシステムは、運転支援システムが作動している信号を制御部85に出力する。このシステムの信号により、制御部85は、イベントを検出させるための信号をDVS用駆動回路28およびAPS用駆動回路26に出力にする。
【0117】
このとき、APS用駆動回路26は、モードトランジスタ450のゲート電圧の電圧レベルをハイレベルにする。これにより、モードトランジスタ450は、オンする。その後、固体撮像素子20は、上記第1実施形態と同様の処理を行うことにより、イベントを検出する。
【0118】
以上のように、固体撮像素子20は、イベントを検出する。この第2実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏する。また、第2実施形態では、以下に記載する効果も奏する。
【0119】
[2]ここで、第1実施形態では、FB用電源615からの電圧がフィードバックトランジスタ610およびリセットトランジスタ440を経由して浮遊拡散層415に印加されることにより、浮遊拡散層415の状態が初期化される。しかし、第2実施形態では、リセットトランジスタ440は、リセット用電源445および浮遊拡散層415に接続されている。このため、リセット用電源445からの電圧がリセットトランジスタ440を経由して浮遊拡散層415に印加されることにより、浮遊拡散層415の状態が初期化される。なお、リセット用電源445は、第2電源に対応する。
【0120】
これにより、フィードバックトランジスタ610による電圧降下分の電圧変化を読み出すことができるため、第1実施形態と比較して、画素30のダイナミックレンジが拡大する。
【0121】
(第3実施形態)
第3実施形態では、画素30の形態が第1実施形態と異なる。これ以外は、第1実施形態と同様である。
【0122】
ここでは、固体撮像素子20は、図7に示すように、複数の画素ブロック300を有する。この画素ブロック300は、第1画素301、第2画素302、第3画素303および第4画素304を含む。これらの第1画素301、第2画素302、第3画素303および第4画素304は、図8に示すように、浮遊拡散層415、セレクトトランジスタ420およびビットライン425を共有している。また、第1画素301、第2画素302、第3画素303および第4画素304は、BL用トランジスタ430、BL用グラウンド435およびリセットトランジスタ440を共有している。さらに、第1画素301、第2画素302、第3画素303および第4画素304は、DVS用回路60を共有している。また、第1画素301、第2画素302、第3画素303および第4画素304の配置は、例えば、Bayer配列になっている。なお、画素ブロック300中の画素30の配置は、Bayer配列になっていることに限定されないで、任意の配置でよい。
【0123】
さらに、第1画素301は、第1フォトダイオード401、PD用第1グラウンド406および第1転送トランジスタ411を含む。また、第2画素302は、第2フォトダイオード402、PD用第2グラウンド407および第2転送トランジスタ412を含む。さらに、第3画素303は、第3フォトダイオード403、PD用第3グラウンド408および第3転送トランジスタ413を含む。また、第4画素304は、第4フォトダイオード404、PD用第4グラウンド409、および第4転送トランジスタ414を含む。
【0124】
第1フォトダイオード401のアノードは、PD用第1グラウンド406に接続されている。また、第1フォトダイオード401は、光電変換により、レンズ15から導かれた赤色光の量に応じた光電流を発生させる。さらに、第1フォトダイオード401は、この発生した光電流を後述の第1転送トランジスタ411に流す。
【0125】
第1転送トランジスタ411は、NチャネルMOSFETである。また、第1転送トランジスタ411のソースは、第1フォトダイオード401のカソードに接続されている。さらに、第1転送トランジスタ411のゲートは、APS用駆動回路26に接続されている。このため、APS用駆動回路26からの電圧が第1転送トランジスタ411のゲートに印加されることにより、第1転送トランジスタ411は、オンオフする。また、第1転送トランジスタ411は、オンするとき、第1フォトダイオード401から流れる光電流に応じた電荷を後述の浮遊拡散層415に転送する。さらに、第1転送トランジスタ411は、オフするとき、第1フォトダイオード401から流れる光電流に応じた電荷を後述の浮遊拡散層415に転送しない。
【0126】
第2フォトダイオード402のアノードは、PD用第2グラウンド407に接続されている。また、第2フォトダイオード402は、光電変換により、レンズ15から導かれた緑色光の量に応じた光電流を発生させる。さらに、第2フォトダイオード402は、この発生した光電流を後述の第2転送トランジスタ412に流す。
【0127】
第2転送トランジスタ412は、NチャネルMOSFETである。また、第2転送トランジスタ412のソースは、第2フォトダイオード402のカソードに接続されている。さらに、第2転送トランジスタ412のゲートは、APS用駆動回路26に接続されている。このため、APS用駆動回路26からの電圧が第2転送トランジスタ412のゲートに印加されることにより、第2転送トランジスタ412は、オンオフする。また、第2転送トランジスタ412は、オンするとき、第2フォトダイオード402から流れる光電流に応じた電荷を後述の浮遊拡散層415に転送する。さらに、第2転送トランジスタ412は、オフするとき、第2フォトダイオード402から流れる光電流に応じた電荷を後述の浮遊拡散層415に転送しない。
【0128】
第3フォトダイオード403のアノードは、PD用第3グラウンド408に接続されている。また、第3フォトダイオード403は、光電変換により、レンズ15から導かれた緑色光の量に応じた光電流を発生させる。さらに、第3フォトダイオード403は、この発生した光電流を後述の第3転送トランジスタ413に流す。
【0129】
第3転送トランジスタ413は、NチャネルMOSFETである。また、第1転送トランジスタ411のソースは、第3フォトダイオード403のカソードに接続されている。さらに、第3転送トランジスタ413のゲートは、APS用駆動回路26に接続されている。このため、APS用駆動回路26からの電圧が第3転送トランジスタ413のゲートに印加されることにより、第3転送トランジスタ413は、オンオフする。また、第3転送トランジスタ413は、オンするとき、第3フォトダイオード403から流れる光電流に応じた電荷を後述の浮遊拡散層415に転送する。さらに、第3転送トランジスタ413は、オフするとき、第3フォトダイオード403から流れる光電流に応じた電荷を後述の浮遊拡散層415に転送しない。
【0130】
第4フォトダイオード404のアノードは、PD用第4グラウンド409に接続されている。また、第4フォトダイオード404は、光電変換により、レンズ15から導かれた青色光の量に応じた光電流を発生させる。さらに、第4フォトダイオード404は、この発生した光電流を後述の第4転送トランジスタ414に流す。
【0131】
第4転送トランジスタ414は、NチャネルMOSFETである。また、第4転送トランジスタ414のソースは、第4フォトダイオード404のカソードに接続されている。さらに、第4転送トランジスタ414のゲートは、APS用駆動回路26に接続されている。このため、APS用駆動回路26からの電圧が第4転送トランジスタ414のゲートに印加されることにより、第4転送トランジスタ414は、オンオフする。また、第4転送トランジスタ414は、オンするとき、第4フォトダイオード404から流れる光電流に応じた電荷を後述の浮遊拡散層415に転送する。さらに、第4転送トランジスタ414は、オフするとき、第4フォトダイオード404から流れる光電流に応じた電荷を後述の浮遊拡散層415に転送しない。
【0132】
以上のように、第3実施形態は、構成されている。次に、固体撮像素子20による輝度画像の生成について、図9のタイムチャートを参照して説明する。
【0133】
ここで、この説明をするため、以下の用語を定義する。図8に示すように、第1転送トランジスタ411のゲート電圧をTX1とする。第2転送トランジスタ412のゲート電圧をTX2とする。第3転送トランジスタ413のゲート電圧をTX3とする。第4転送トランジスタ414のゲート電圧をTX4とする。
【0134】
図9に戻って、時刻t10から時刻t14までの期間において、車両のシステム、制御部85、APS用駆動回路26およびDVS用駆動回路28は、上記時刻t0から時刻t4までの期間と同様の処理を行う。
【0135】
時刻t14において、車両のシステムは、輝度画像を運転者に向けて表示する必要がある旨を示す信号を制御部85に出力している。このシステムからの信号により、制御部85は、輝度画像を生成するための信号をDVS用駆動回路28およびAPS用駆動回路26に出力にしている。
【0136】
このとき、DVS用駆動回路28は、Vbを接地電圧Vb_Gにしている。これにより、切替トランジスタ600は、PチャネルMOSFETであるため、オンしている。このため、切替用電源605からの電圧が切替トランジスタ600および接合部25を経由してアンプトランジスタ50のドレインに印加されている。これにより、アンプトランジスタ50のドレインの電圧がアンプトランジスタ50のゲート電圧と閾値電圧との和よりも高くなっていることから、アンプトランジスタ50の状態が飽和状態になっている。このため、浮遊拡散層415からの電圧がアンプトランジスタ50を経由してセレクトトランジスタ420に印加されている。さらに、切替用電源605の電圧が切替トランジスタ600および接合部25を経由してフィードバックトランジスタ610のゲートに印加されていることから、フィードバックトランジスタ610は、オンしている。
【0137】
また、APS用駆動回路26は、SELの電圧レベルをハイレベルにしている。このため、セレクトトランジスタ420は、オンしている。このとき、切替用電源605からの電圧が切替トランジスタ600、接合部25、アンプトランジスタ50およびセレクトトランジスタ420を経由してビットライン425に印加されている。これにより、読み出される画素30の行が選択されている。
【0138】
さらに、APS用駆動回路26は、RSTの電圧レベルをローレベルにしている。このため、リセットトランジスタ440は、オフしている。これにより、FB用電源615からフィードバックトランジスタ610およびリセットトランジスタ440を経由して浮遊拡散層415に印加される電圧が停止されている。
【0139】
また、APS用駆動回路26は、TX1の電圧レベルをハイレベルにする。このため、第1転送トランジスタ411は、オンする。このとき、第1転送トランジスタ411は、第1フォトダイオード401から流れる光電流に応じた電荷を浮遊拡散層415に転送する。これにより、浮遊拡散層415の電圧が変化する。
【0140】
さらに、APS用駆動回路26は、BLGの電圧レベルをローレベルにしている。これにより、BL用トランジスタ430は、オフしている。このため、ビットライン425は、BL用グラウンド435に接続されていない状態である。
【0141】
時刻t14から時刻t15までの期間において、車両のシステム、制御部85、固体撮像素子20の状態が時刻t14と同様の状態である。このため、車両のシステム、制御部85、APS用駆動回路26およびDVS用駆動回路28は、時刻t14と同様の処理を行う。
【0142】
時刻t15において、車両のシステムは、輝度画像を運転者に向けて表示する必要がある旨を示す信号を制御部85に出力している。このシステムからの信号により、制御部85は、輝度画像を生成するための信号をDVS用駆動回路28およびAPS用駆動回路26に出力にしている。
【0143】
このとき、DVS用駆動回路28は、Vbを接地電圧Vb_Gにしている。これにより、切替トランジスタ600は、PチャネルMOSFETであるため、オンしている。このため、切替用電源605からの電圧が切替トランジスタ600および接合部25を経由してアンプトランジスタ50のドレインに印加されている。これにより、アンプトランジスタ50のドレインの電圧がアンプトランジスタ50のゲート電圧と閾値電圧との和よりも高くなっていることから、アンプトランジスタ50の状態が飽和状態になっている。このため、浮遊拡散層415からの電圧がアンプトランジスタ50を経由してセレクトトランジスタ420に印加されている。さらに、切替用電源605の電圧が切替トランジスタ600および接合部25を経由してフィードバックトランジスタ610のゲートに印加されていることから、フィードバックトランジスタ610は、オンしている。
【0144】
また、APS用駆動回路26は、SELの電圧レベルをハイレベルにしている。このため、セレクトトランジスタ420は、オンしている。このとき、切替用電源605からの電圧が切替トランジスタ600、接合部25、アンプトランジスタ50およびセレクトトランジスタ420を経由してビットライン425に印加されている。これにより、読み出される画素30の行が選択されている。
【0145】
さらに、APS用駆動回路26は、RSTの電圧レベルをローレベルにしている。このため、リセットトランジスタ440は、オフしている。これにより、FB用電源615からフィードバックトランジスタ610およびリセットトランジスタ440を経由して浮遊拡散層415に印加される電圧が停止されている。
【0146】
また、APS用駆動回路26は、TX1の電圧レベルをローレベルにする。このため、第1転送トランジスタ411は、オフする。このとき、第1フォトダイオード401から流れる光電流に応じた電荷の第1転送トランジスタ411から浮遊拡散層415への転送が停止される。これにより、浮遊拡散層415の電圧の変化が停止する。
【0147】
さらに、APS用駆動回路26は、BLGの電圧レベルをローレベルにしている。これにより、BL用トランジスタ430は、オフしている。このため、ビットライン425は、BL用グラウンド435に接続されていない状態である。
【0148】
時刻t15から時刻t16までの期間において、車両のシステムは、輝度画像を運転者に向けて表示する必要がある旨を示す信号を制御部85に出力している。このシステムからの信号により、制御部85は、輝度画像を生成するための信号をDVS用駆動回路28およびAPS用駆動回路26に出力にしている。
【0149】
このとき、DVS用駆動回路28は、Vbを接地電圧Vb_Gにしている。これにより、切替トランジスタ600は、PチャネルMOSFETであるため、オンしている。このため、切替用電源605からの電圧が切替トランジスタ600および接合部25を経由してアンプトランジスタ50のドレインに印加されている。これにより、アンプトランジスタ50のドレインの電圧がアンプトランジスタ50のゲート電圧と閾値電圧との和よりも高くなっていることから、アンプトランジスタ50の状態が飽和状態になっている。このため、浮遊拡散層415からの電圧がアンプトランジスタ50を経由してセレクトトランジスタ420に印加されている。さらに、切替用電源605の電圧が切替トランジスタ600および接合部25を経由してフィードバックトランジスタ610のゲートに印加されていることから、フィードバックトランジスタ610は、オンしている。
【0150】
また、APS用駆動回路26は、SELの電圧レベルをハイレベルにしている。このため、セレクトトランジスタ420は、オンしている。このとき、切替用電源605からの電圧が切替トランジスタ600、接合部25、アンプトランジスタ50およびセレクトトランジスタ420を経由してビットライン425に印加されている。これにより、読み出される画素30の行が選択されている。
【0151】
さらに、APS用駆動回路26は、RSTの電圧レベルをローレベルにしている。このため、リセットトランジスタ440は、オフしている。これにより、FB用電源615からフィードバックトランジスタ610およびリセットトランジスタ440を経由して浮遊拡散層415に印加される電圧が停止されている。
【0152】
また、APS用駆動回路26は、TX1の電圧レベルをローレベルにしている。このため、第1転送トランジスタ411は、オフしている。このとき、第1フォトダイオード401から流れる光電流に応じた電荷の第1転送トランジスタ411から浮遊拡散層415への転送が停止されている。これにより、浮遊拡散層415の電圧の変化が停止している。このとき、第1転送トランジスタ411からの転送による変化後の浮遊拡散層415の電圧が安定している。このため、画像処理部75は、浮遊拡散層415からアンプトランジスタ50、セレクトトランジスタ420およびビットライン425を経由して画像処理部75に印加される電圧を読み取る。また、画像処理部75は、この読み取った電圧から初期化されたときの浮遊拡散層415の電圧を減算することにより、浮遊拡散層415の電圧の変化分を算出する。さらに、画像処理部75は、この算出した電圧の変化分についてAD変換、CDS処理、暗電流補正等の処理をすることによって、輝度画像を生成する。さらに、画像処理部75は、この生成した輝度画像を記憶部80に記憶させる。なお、初期化された浮遊拡散層415の電圧は、時刻t13から時刻t14までの期間に読み取った浮遊拡散層415の電圧に対応する。
【0153】
さらに、APS用駆動回路26は、BLGの電圧レベルをローレベルにしている。これにより、BL用トランジスタ430は、オフしている。このため、ビットライン425は、BL用グラウンド435に接続されていない状態である。
【0154】
時刻t16から時刻t18までの期間において、固体撮像素子20は、時刻t12から時刻t14までの期間と同様の処理を行う。なお、時刻t12から時刻t14までの期間の処理は、第1実施形態の時刻t2から時刻t4までの期間の処理に対応する。
【0155】
時刻t18から時刻t20までの期間において、固体撮像素子20は、時刻t14から時刻t16までの期間と同様の処理を行う。なお、ここでは、TX1がTX2に読み替えられる。第1転送トランジスタ411が第2転送トランジスタ412に読み替えられる。第1フォトダイオード401が第2フォトダイオード402に読み替えられる。
【0156】
時刻t20から時刻t22までの期間において、固体撮像素子20は、時刻t12から時刻t14までの期間と同様の処理を行う。
【0157】
時刻t22から時刻t24までの期間において、固体撮像素子20は、時刻t14から時刻t16までの期間と同様の処理を行う。なお、ここでは、TX1がTX3に読み替えられる。第1転送トランジスタ411が第3転送トランジスタ413に読み替えられる。第1フォトダイオード401が第3フォトダイオード403に読み替えられる。
【0158】
時刻t24から時刻t26までの期間において、固体撮像素子20は、時刻t12から時刻t14までの期間と同様の処理を行う。
【0159】
時刻t26から時刻t28までの期間において、固体撮像素子20は、時刻t14から時刻t16までの期間と同様の処理を行う。なお、ここでは、TX1がTX4に読み替えられる。第1転送トランジスタ411が第4転送トランジスタ414に読み替えられる。
第1フォトダイオード401が第4フォトダイオード404に読み替えられる。
【0160】
時刻t28において、固体撮像素子20は、時刻t6と同様の処理を行う。なお、ここでは、TXがTX1、TX2、TX3、TX4に読み替えられる。転送トランジスタ410が第1転送トランジスタ411、第2転送トランジスタ412、第3転送トランジスタ413、第4転送トランジスタ414に読み替えられる。フォトダイオード400が第1フォトダイオード401、第2フォトダイオード402、第3フォトダイオード403、第4フォトダイオード404に読み替えられる。
【0161】
以上のシーケンスを複数繰り返すことにより、固体撮像素子20は、フレームとして、輝度画像を生成する。次に、固体撮像素子20によるイベントの検出について説明する。
【0162】
例えば、PCS制御等を行う運転支援システムが作動している状態で、撮像装置10が搭載された車両が操縦されているとする。このとき、車両のシステムは、運転支援システムが作動している信号を制御部85に出力する。このシステムの信号により、制御部85は、イベントを検出させるための信号をDVS用駆動回路28およびAPS用駆動回路26に出力にする。
【0163】
このとき、DVS用駆動回路28は、各画素ブロック300のVbを所定電圧Vb_Pにする。これにより、切替トランジスタ600は、オンする。なお、所定電圧Vb_Pは、接地電圧Vb_Gよりも大きく、切替用電源605の電圧よりも小さい電圧である。
【0164】
また、APS用駆動回路26は、各画素ブロック300のRSTの電圧レベルをハイレベルにする。これにより、リセットトランジスタ440は、オンする。これにより、FB用電源615からの電圧がフィードバックトランジスタ610およびリセットトランジスタ440を経由して浮遊拡散層415に印加されることから、浮遊拡散層415の電圧は、FB用電源615の電圧に対応した電圧になる。また、この浮遊拡散層415の電圧がアンプトランジスタ50のゲートに印加されることにより、アンプトランジスタ50は、オンする。なお、FB用電源615の電圧に対応した電圧は、PD用グラウンド405の電圧よりも大きく、FB用電源615の電圧よりも小さい電圧である。
【0165】
さらに、APS用駆動回路26は、各画素ブロック300のTX1、TX2、TX3、TX4の電圧レベルをハイレベルにする。このため、第1転送トランジスタ411、第2転送トランジスタ412、第3転送トランジスタ413および第4転送トランジスタ414は、オンする。このとき、第1転送トランジスタ411は、第1フォトダイオード401から流れる光電流に応じた電荷を浮遊拡散層415に転送する。第2転送トランジスタ412は、第2フォトダイオード402から流れる光電流に応じた電荷を浮遊拡散層415に転送する。第3転送トランジスタ413は、第3フォトダイオード403から流れる光電流に応じた電荷を浮遊拡散層415に転送する。第4転送トランジスタ414は、第4フォトダイオード404から流れる光電流に応じた電荷を浮遊拡散層415に転送する。これにより、浮遊拡散層415の電圧は、FB用電源615の電圧に対応した電圧から変化する。
【0166】
また、APS用駆動回路26は、各画素ブロック300のSELおよびBLGの電圧レベルをハイレベルにする。このため、セレクトトランジスタ420およびBL用トランジスタ430は、オンする。このとき、アンプトランジスタ50のソースの電圧は、BL用グラウンド435の電圧になる。
【0167】
さらに、オペアンプ620は、アンプトランジスタ50からの電圧を増幅し、この増幅した電圧を第1コンパレータ621および第2コンパレータ622に印加する。また、ロジック回路625は、第1コンパレータ621および第2コンパレータ622からの信号に基づいて、そのロジック回路625に対応する画素ブロック300の位置およびイベントの極性を信号処理部70に出力する。また、信号処理部70は、これらの画素30の位置およびイベントの極性について画像認識処理等の信号処理を行うことで、イベントフレームを生成する。さらに、信号処理部70は、これらの画素30の位置およびイベントの極性を記憶部80に記憶させるとともに、この生成したイベントフレームを記憶部80に記憶させる。
【0168】
また、ロジック回路625は、信号処理部70に出力後、第1コンパレータ621からの信号および第2コンパレータ622からの信号をリセットする。さらに、ロジック回路625は、リセットした旨を示す信号をオペアンプ620に出力する。このとき、オペアンプ620は、この入力された電圧を増幅し、この増幅した電圧を第1コンパレータ621および第2コンパレータ622に印加する。したがって、オペアンプ620、第1コンパレータ621、第2コンパレータ622およびロジック回路625によるイベントの検出が繰り返される。
【0169】
また、アンプトランジスタ50のドレインおよびゲートの電圧差が変化することから、アンプトランジスタ50からフィードバックトランジスタ610のゲートに印加される電圧は、変化する。このため、フィードバックトランジスタ610の駆動力が変化することからフィードバックトランジスタ610からリセットトランジスタ440を経由して浮遊拡散層415に電流が流れやすさが変化する。したがって、このとき、浮遊拡散層415の電圧は、フィードバックトランジスタ610からの電圧によって変化する。このため、第1フォトダイオード401、第2フォトダイオード402、第3フォトダイオード403、第4フォトダイオード404によって光電流が発生する前のときの電圧に近づく。したがって、浮遊拡散層415の状態が第1フォトダイオード401、第2フォトダイオード402、第3フォトダイオード403、第4フォトダイオード404によって光電流が発生する前の状態に戻りやすくなる。よって、浮遊拡散層415の電圧の応答性が向上することから、ロジック回路625から出力される信号の応答性が向上する。
【0170】
以上のように、固体撮像素子20は、イベントを検出する。この第3実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏する。さらに、第3実施形態では、以下に記載する効果も奏する。
【0171】
[3]固体撮像素子20は、第1画素301と、第2画素302と、画像処理部75と、を備える。第1画素301は、第1フォトダイオード401を有する。第1フォトダイオード401は、光電変換によって光量に応じた光電流を発生させる。第2画素302は、第2フォトダイオード402を有する。第2フォトダイオード402は、光電変換によって第1フォトダイオード401にて反応する光の色とは異なる色の光量に応じた光電流を発生させる。第1画素301および第2画素302は、浮遊拡散層415と、切替用電源605と、DVS用駆動回路28と、アンプトランジスタ50と、第1コンパレータ621と、第2コンパレータ622とを共有する。画像処理部75は、Vbが接地電圧Vb_Gであるとき、アンプトランジスタ50のソースから出力された電圧の変化に基づいて、輝度画像を生成する。なお、第1フォトダイオード401は、第1光電変換素子に対応する。第2フォトダイオード402は、第2光電変換素子に対応する。
【0172】
これにより、第1フォトダイオード401に反応する光の色と第2フォトダイオード402に反応する光の色とが異なるため、固体撮像素子20は、複数の色についてのイベントを検出することができる。
【0173】
(第4実施形態)
第4実施形態では、切替トランジスタ600の形態が第1実施形態と異なる。これ以外は、第1実施形態と同様である。
【0174】
切替トランジスタ600は、図10に示すように、NチャネルMOSFETである。この場合、輝度画像を生成するとき、DVS用駆動回路28は、Vbを切替用電源605の電圧以上にする。これにより、切替トランジスタ600は、オンする。このため、切替用電源605からの電圧が切替トランジスタ600および接合部25を経由してアンプトランジスタ50のドレインに印加される。これにより、アンプトランジスタ50のドレインの電圧がアンプトランジスタ50のゲート電圧と閾値電圧との和よりも高くなることから、アンプトランジスタ50の状態が飽和状態になる。このため、浮遊拡散層415からの電圧がアンプトランジスタ50を経由してセレクトトランジスタ420に印加される。さらに、切替用電源605からの電圧が切替トランジスタ600および接合部25を経由してフィードバックトランジスタ610のゲートに印加されることから、フィードバックトランジスタ610は、オンする。その後、固体撮像素子20は、第1実施形態と同様の処理をすることにより、輝度画像を生成する。
【0175】
また、イベントを検出するとき、DVS用駆動回路28は、各画素30のVbを所定電圧Vb_Pにする。これにより、切替トランジスタ600は、オンする。その後、固体撮像素子20は、第1実施形態と同様の処理をすることにより、イベントを検出する。なお、所定電圧Vb_Pは、接地電圧Vb_Gよりも大きく、切替用電源605の電圧よりも小さい電圧である。
【0176】
以上のように、第4実施形態は、構成されている。この第4実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0177】
(他の実施形態)
本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、上記実施形態に対して、適宜変更が可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0178】
本開示に記載の検出部、処理部およびその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサおよびメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の検出部、処理部およびその手法は、一つ以上の専用ハードウエア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の検出部、処理部およびその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサおよびメモリと一つ以上のハードウエア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【0179】
上記実施形態では、撮像装置10は、車両に搭載される。これに対して、撮像装置10は、車両に搭載されることに限定されないで、例えば、産業用ロボット等に搭載されてもよい。
【0180】
上記実施形態では、接合部25は、フィードバックトランジスタ610およびオペアンプ620の間に配置されている。これに対して、接合部25は、フィードバックトランジスタ610およびオペアンプ620の間に配置されていることに限定されない。例えば、接合部25は、切替トランジスタ600のソースおよびオペアンプ620の間に配置されてもよい。また、接合部25は、フィードバックトランジスタ610のソースおよびリセットトランジスタ440のドレインの間に配置されてもよい。
【0181】
上記実施形態では、固体撮像素子20は、複数の画素30を有する。これに対して、画素30の数は、2つ以上であることに限定されないで、1つ以上であればよい。
【0182】
上記第3実施形態では、イベントを検出するとき、APS用駆動回路26は、各画素ブロック300のTX1、TX2、TX3、TX4の電圧レベルをハイレベルにする。これに対して、イベントを検出するとき、APS用駆動回路26は、各画素ブロック300のTX1、TX2、TX3、TX4の電圧レベルをハイレベルにすることに限定されない。イベントを検出するとき、APS用駆動回路26は、各画素ブロック300のTX1、TX2、TX3、TX4の少なくとも1つの電圧レベルをハイレベルにしてもよい。
【0183】
上記第3実施形態では、画素ブロック300は、4つの画素で構成されている。これに対して、画素ブロック300は、4つの画素で構成されていることに限定されない。画素ブロック300は、2つ以上の画素で構成されてよい。
【0184】
上記実施形態は、適宜組み合わされてもよい。
【符号の説明】
【0185】
20 固体撮像素子
28 DVS用駆動回路
30 画素
50 アンプトランジスタ
75 画像処理部
400 フォトダイオード
415 浮遊拡散層
600 切替トランジスタ
605 切替用電源
621 第1コンパレータ
622 第2コンパレータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10