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特許7559751複列転がり軸受のアキシアル隙間測定方法及び複列転がり軸受の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】複列転がり軸受のアキシアル隙間測定方法及び複列転がり軸受の製造方法
(51)【国際特許分類】
   F16C 19/18 20060101AFI20240925BHJP
   F16C 25/06 20060101ALI20240925BHJP
   F16C 43/04 20060101ALI20240925BHJP
   G01B 21/16 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
F16C19/18
F16C25/06
F16C43/04
G01B21/16
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021512124
(86)(22)【出願日】2020-03-30
(86)【国際出願番号】 JP2020014591
(87)【国際公開番号】W WO2020203982
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2023-02-17
(31)【優先権主張番号】P 2019070758
(32)【優先日】2019-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前田 徹
(72)【発明者】
【氏名】白川 直人
【審査官】西藤 直人
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0113735(US,A1)
【文献】特開2001-004308(JP,A)
【文献】特開平10-185717(JP,A)
【文献】特開2000-009562(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 19/18
F16C 25/06-25/08
F16C 43/04
G01B 21/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハブ軸と、このハブ軸の軸方向一端の外周に嵌合される内輪と、前記ハブ軸及び内輪の径方向外側に当該ハブ軸と同軸に設けられる外輪と、前記ハブ軸及び内輪と前記外輪との間の環状空間に軸方向に沿って2列に設けられる転動体と、を備えた複列転がり軸受のアキシアル隙間の測定方法であって、
前記転動体を介して外輪を取り付けたハブ軸の軸が上下方向を向く姿勢で前記内輪を当該ハブ軸に仮圧入し、
前記内輪をハブ軸に仮圧入した状態で前記外輪を上方に持ち上げて、前記2列の転動体のうち内輪側の転動体と、当該内輪側の転動体のための軌道面とを接触させ、
前記転動体と軌道面とを接触させた状態で、前記外輪の軸方向の端面と前記内輪の軸方向の端面との間の距離R1を測定し、
上方に持ち上げていた前記外輪を元の位置に戻し、
前記内輪とハブ軸とが互いに突き当たるまで当該内輪を当該ハブ軸に本圧入し、
前記内輪をハブ軸に本圧入した状態で、前記外輪の軸方向の端面と前記内輪の軸方向の端面との間の距離R2を測定し、
前記距離R2と距離R1との差である(R2-R1)からアキシアル隙間を求め、
前記差が正の値である場合に、(R2-R1)をアキシアル隙間とし、前記差がゼロ又は負の値である場合に、Cを所定の定数(ただし、C>0)として、アキシアル隙間を(R2-R1)×Cとする、
複列転がり軸受のアキシアル隙間測定方法。
【請求項2】
前記定数Cが2である、請求項1に記載の複列転がり軸受のアキシアル隙間測定方法。
【請求項3】
ハブ軸と、前記ハブ軸の軸方向一端の外周に嵌合される内輪と、前記ハブ軸及び内輪の径方向外側に当該ハブ軸と同軸に設けられる外輪と、前記ハブ軸及び内輪と前記外輪との間の環状空間に軸方向に沿って2列に設けられる転動体と、を備える複列転がり軸受を組み立てるために、
前記転動体及び前記外輪を組み付けた前記ハブ軸の軸方向一端の外周に、前記内輪を圧入して製造する方法であって、
前記転動体を介して外輪を取り付けたハブ軸の軸が上下方向を向く姿勢で前記内輪を当該ハブ軸に仮圧入する仮圧入工程と、
前記仮圧入工程により前記内輪をハブ軸に仮圧入した状態で前記外輪を上方に持ち上げて、前記2列の転動体のうち内輪側の転動体と、当該内輪側の転動体のための軌道面とを接触させ、前記転動体と軌道面とを接触させた状態で、前記外輪の軸方向の端面と前記内輪の軸方向の端面との間の距離R1を測定し、上方に持ち上げていた前記外輪を元の位置に戻す第1測定工程と、
前記内輪とハブ軸とが互いに突き当たるまで当該内輪を当該ハブ軸に本圧入する本圧入工程と、
前記本圧入工程により前記内輪をハブ軸に本圧入した状態で、前記外輪の軸方向の端面と前記内輪の軸方向の端面との間の距離R2を測定し、前記距離R2と距離R1との差である(R2-R1)からアキシアル隙間を求める第2測定工程と、を有し、
前記差が正の値である場合に、(R2-R1)をアキシアル隙間とし、前記差がゼロ又は負の値である場合に、Cを所定の定数(ただし、C>0)として、アキシアル隙間を(R2-R1)×Cとする、
複列転がり軸受の製造方法。
【請求項4】
前記仮圧入工程、前記第1測定工程、前記本圧入工程及び前記第2測定工程は、同じ台座に前記ハブ軸が載置された状態で実行される、
請求項3に記載の複列転がり軸受の製造方法。
【請求項5】
前記第2測定工程により求められた前記アキシアル隙間と、基準値との比較に基づいて、前記アキシアル隙間が適正な値であるか否かを判定する判定工程と、
前記判定工程により前記アキシアル隙間が適切な値ではないと判断された後に実行され、前記複列転がり軸受を検査する工程及び前記複列転がり軸受を廃棄する工程のうち少なくとも一方を含む確認工程と、
をさらに備える、請求項3又は4に記載の複列転がり軸受の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複列転がり軸受のアキシアル隙間測定方法及び複列転がり軸受の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の車輪を懸架装置に支持するための装置として、例えば、図11に示されるような複列転がり軸受からなるハブユニット1が用いられている。外輪2は、そのフランジ2aが自動車の懸架装置(図示せず)に取り付けられて、軸受の固定側の部材を構成する。外輪2の径方向内側には、軸受の可動側の部材を構成するハブ軸3のスピンドル部3aが挿入されている。スピンドル部3aは、車両アウタ側(図11において左側)の環状列を形成する複数個の転動体4e及び車両インナ側(図11において右側)の環状列を形成する複数個の転動体4fを介して、外輪2の内部に回転自在に保持されている。スピンドル部3aの、車両インナ側の転動体4fに対向する部分は、他の部分より小径の円筒部3bとして形成されている。円筒部3bの外周面には内輪5が嵌合されて当該円筒部3bに固定されている。
【0003】
車両アウタ側の転動体4eは、保持器6eによって、外輪2の内周面に形成された第1の外輪軌道2eと、スピンドル部3aの外周面に形成された第1の内輪軌道3eとの間に転動自在に保持されている。車両インナ側の転動体4fは、保持器6fによって、外輪2の内周面に形成された第2の外輪軌道2fと、内輪5の外周面に形成された第2の内輪軌道5fとの間に転動自在に保持されている。ハブ軸3の車両アウタ側の端部外周にはフランジ3dが形成され、このフランジ3dの周縁部に複数のボルト7が固定されている。車輪のホイール(図示せず)は、ボルト7とナット(図示せず)により、ハブ軸3に固定され、当該ハブ軸3とともに回転する。
特許文献1及び特許文献2に前記のようなハブユニット1が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平10-185717号公報
【文献】特開2000-9562号公報
【発明の概要】
【0005】
本開示は、ハブ軸と、前記ハブ軸の軸方向一端の外周に嵌合される内輪と、前記ハブ軸及び内輪の径方向外側に当該ハブ軸と同軸に設けられる外輪と、前記ハブ軸及び内輪と前記外輪との間の環状空間に軸方向に沿って2列に設けられる転動体と、を備えた複列転がり軸受のアキシアル隙間の測定方法であって、
前記転動体を介して外輪を取り付けたハブ軸の軸が上下方向を向く姿勢で前記内輪を当該ハブ軸に仮圧入し、
前記内輪をハブ軸に仮圧入した状態で前記外輪を上方に持ち上げて、前記2列の転動体のうち内輪側の転動体と、当該内輪側の転動体のための軌道面とを接触させ、
前記転動体と軌道面とを接触させた状態で、前記外輪の軸方向の端面と前記内輪の軸方向の端面との間の距離R1を測定し、
上方に持ち上げていた前記外輪を元の位置に戻し、
前記内輪とハブ軸とが互いに突き当たるまで当該内輪を当該ハブ軸に本圧入し、
前記内輪をハブ軸に本圧入した状態で、前記外輪の軸方向の端面と前記内輪の軸方向の端面との間の距離R2を測定し、
前記距離R2と距離R1との差からアキシアル隙間を求める。
【0006】
本開示は、ハブ軸と、前記ハブ軸の軸方向一端の外周に嵌合される内輪と、前記ハブ軸及び内輪の径方向外側に当該ハブ軸と同軸に設けられる外輪と、前記ハブ軸及び内輪と前記外輪との間の環状空間に軸方向に沿って2列に設けられる転動体と、を備える複列転がり軸受を組み立てるために、
前記転動体及び前記外輪を組み付けた前記ハブ軸の軸方向一端の外周に、前記内輪を圧入して製造する方法であって、
前記転動体を介して外輪を取り付けたハブ軸の軸が上下方向を向く姿勢で前記内輪を当該ハブ軸に仮圧入する仮圧入工程と、
前記仮圧入工程により前記内輪をハブ軸に仮圧入した状態で前記外輪を上方に持ち上げて、前記2列の転動体のうち内輪側の転動体と、当該内輪側の転動体のための軌道面とを接触させ、前記転動体と軌道面とを接触させた状態で、前記外輪の軸方向の端面と前記内輪の軸方向の端面との間の距離R1を測定し、上方に持ち上げていた前記外輪を元の位置に戻す第1測定工程と、
前記内輪とハブ軸とが互いに突き当たるまで当該内輪を当該ハブ軸に本圧入する本圧入工程と、
前記本圧入工程により前記内輪をハブ軸に本圧入した状態で、前記外輪の軸方向の端面と前記内輪の軸方向の端面との間の距離R2を測定し、前記距離R2と距離R1との差からアキシアル隙間を求める第2測定工程と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】隙間測定方法の一実施形態の手順を示す断面説明図である。
図2】隙間測定方法の一実施形態の手順を示す断面説明図である。
図3】隙間測定方法の一実施形態の手順を示す断面説明図である。
図4】隙間測定方法の一実施形態の手順を示す断面説明図である。
図5図1~4に示される一実施形態に係る隙間測定方法の変形例の手順を示す断面説明図である。
図6図1~4に示される一実施形態に係る隙間測定方法の変形例の手順を示す断面説明図である。
図7】製造方法の一実施形態の手順を示すフローチャートである。
図8】製造方法の一実施形態の手順を示すフローチャートである。
図9】製造方法の一実施形態の手順を示す断面説明図である。
図10】製造方法の一実施形態の手順を示す断面説明図である。
図11】隙間測定方法が適用可能な複列転がり軸受の一例の構造を示す断面説明図である。
図12】隙間測定方式Aの手順を示す断面説明図である。
図13】隙間測定方式Aの手順を示す断面説明図である。
図14】隙間測定方式Aの手順を示す断面説明図である。
図15】隙間測定方式Aの手順を示す断面説明図である。
図16】隙間測定方式Bの手順を示す断面説明図である。
図17】隙間測定方式Bの手順を示す断面説明図である。
図18】隙間測定方式Bの手順を示す断面説明図である。
図19】隙間測定方式Bの手順を示す断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<本開示が解決しようとする課題>
前記のように構成されたハブユニット1においては、転動体4eとその第1の外輪軌道2e及び第1の内輪軌道3eとの間、並びに、転動体4fとその第2の外輪軌道2f及び第2の内輪軌道5fとの間に適正な予圧が付与されるように、各部材の寸法が調整される。予圧が適正値より小さい場合は軸受剛性が不足し、著しく小さい場合はハブ軸3が振動して騒音が発生する等の事態に至る恐れもある。また、逆に、予圧が適正値より大きい場合は、回転抵抗の増大により自動車の動力性能や燃費が低下する恐れもある。したがって、かかる弊害が生じないように、軸受の製造工程においては、所望の適正な予圧が付与されているか否かを確認する必要がある。
【0009】
そこで、従来、軸受に付与された予圧とアキシアル隙間との間に一定の関係があることを利用して、軸受のアキシアル隙間を測定し、このアキシアル隙間に基づいて、適正な予圧が付与されているか否かを確認することが提案されている。
【0010】
複列転がり自軸受のアキシアル隙間を測定する方法として、従来、2種類の隙間測定方式、すなわち隙間測定方式A(例えば、特許文献1参照)と、隙間測定方式B(例えば、特許文献2参照)とが提案されている。
【0011】
(1)隙間測定方式A
隙間測定方式Aは、内輪をハブ軸に仮圧入する工程、仮圧入した状態で正隙間を測定する工程、及び、内輪をハブ軸に本圧入し、内輪の移動量を測定する工程を含む。
まず、図12に示されるように、その軸が上下方向を向いており、且つ、フランジ3dが下方に位置するように台座10上に配置したハブ軸3に、外輪2及び転動体4e、4fを組み付ける。ハブユニット1の上方に配設した治具30を用いて内輪5をハブ軸3の円筒部3bの外周に圧入する。このときの圧入は、転動体4e、4fとそれに対応する軌道とが接しない程度(転動体4e、4fに予圧がかからない程度)の圧入(仮圧入)である。なお、図12及び以下の説明で言及する図では、アキシアル隙間の測定方法を説明するために、図11に示される構成を備えた複列転がり軸受(ハブユニット)を用いている。したがって、図12及び以下の説明で言及する図において、図11に示される複列転がり軸受と同じ部材ないし要素には同じ参照符号を付しており、簡単のために、それらの説明は省略している。
【0012】
ついで、図13に示されるように、内輪5をハブ軸3に仮圧入した状態のハブユニット1を上下動可能な台座11上に搬送する。その後、外輪2のフランジ2aの下方に配設したクランプ12を上昇させて外輪2を持ち上げる(図13の白抜き矢印参照)。このとき、車両インナ側の転動体4fと第2の外輪軌道2f及び第2の内輪軌道5fとの間の隙間はゼロ(ゼロタッチ)である。この状態で、外輪2と内輪5との位置関係を測定する。具体的に、外輪2のフランジ2aの車両インナ側の端面2a1と内輪5の車両インナ側の端面5aとの間の距離C1を測定する。この測定は、例えばデジタルインジケータ等の計器を用いて行われる。治具30の径方向外側には、外輪2の位置を測定するための円筒形状の治具31が配設されている。
【0013】
ついで、図14に示されるように、クランプ12を持ち上げた状態で、台座11を上方に移動させてハブ軸3を上方に持ち上げる(図14の白抜き矢印参照)。このとき、車両アウタ側の転動体4eと第1の外輪軌道2e及び第1の内輪軌道3eとの間の隙間はゼロ(ゼロタッチ)である。この状態で、外輪2と内輪5との位置関係を測定する。具体的に、外輪2のフランジ2aの車両インナ側の端面2a1と内輪5の車両インナ側の端面5aとの間の距離C2を測定する。距離C1及び距離C2を測定し、これらの差(C2-C1)を求めることで外輪2の軸方向のガタ量(正隙間)が得られる。
【0014】
ついで、ハブユニット1を台座11とは異なる別の台座13の上に搬送する。その後、図15に示されるように、ハブユニット1の上方に配設された治具32を用いて内輪5とハブ軸3とが互いに突き当たるまで当該内輪5をハブ軸3に圧入(本圧入)し、その状態でハブ軸3に対する内輪5の移動量を測定する。具体的に、仮圧入時におけるハブ軸3の車両インナ側の端面3b1と内輪5の車両インナ側の端面5a(図14参照)との距離m1と、本圧入後におけるハブ軸3の車両インナ側の端面3b1と内輪5の車両インナ側の端面5aとの距離m2との差である移動量Mを測定する。
アキシアル隙間は、(C2-C1)-Mで求められる。
【0015】
(2)隙間測定方式B
隙間測定方式Bでは、ハブ軸に対する外輪の沈み込み量より、負隙間値を算出する。
まず、図16に示されるように、その軸が上下方向を向いており、且つ、フランジ3dが下方に位置するように台座14上に配置したハブ軸3に、外輪2及び転動体4e、4fを組み付ける。ハブユニット1の上方に配設した治具33を用いて内輪5をハブ軸3の円筒部3bの外周に仮圧入する。この状態で、外輪2とハブ軸3との位置関係を測定する。具体的に、図17に示されるように、外輪2の車両インナ側の端面2bとハブ軸3の円筒部3bの車両インナ側の端面3b1との間の距離S1を測定する。この測定も、前述したように、例えばデジタルインジケータ等の計器を用いて行われる。
【0016】
ついで、図18に示されるように、治具33を用いて内輪5とハブ軸3とが互いに突き当たるまで当該内輪5をハブ軸3に圧入(本圧入)する。その後、本圧入のために治具33により与えていた下向きの荷重を開放して、内輪5に荷重がかかっていない状態にする。荷重を開放することで内輪5を弾性変形していない状態になる。この状態で、外輪2とハブ軸3との位置関係を測定する。具体的に、図19に示されるように、外輪2の車両インナ側の端面2bとハブ軸3の円筒部3bの車両インナ側の端面3b1との間の距離S2を測定する。なお、測定に際し、治具33により与えていた下向きの荷重を前記のように開放しない場合もある。
【0017】
アキシアル隙間は、Caを所定の定数とすると、(S2-S1)×Caで求められる。Caの値は、転動体が2列に配設されているので、理論上は2である。しかし、車両インナ側と車両アウタ側とで転動体のサイズや仕様が異なる場合、転動体の軌道面を構成する外輪2の車両インナ側の端部と車両アウタ側の端部とで剛性が異なる場合等には、2以外の値となり得る。このCaの値は、複列転がり軸受の仕様ごとに、手動測定との相関により任意に決定される。
【0018】
(3)隙間測定方法A、Bの課題
隙間測定方式Aでは、内輪の仮圧入、正隙間測定及び本圧入という工程に従ってハブユニットを3つのポジションに配置する必要がある。このため、測定のための装置が大型化し、コストがかさむとともに大きな設備スペースを要するという課題がある。
これに対し、隙間測定方式Bでは、1つのポジション、すなわち同一の軸上で測定することができる。しかし、S1<S2、すなわち正隙間の場合は、外輪2が移動しないため正隙間の値を測定することができず、すべて隙間ゼロと判定されてしまう。このため、隙間測定方式Bでは、正隙間の値を測定する必要がある場合には正隙間測定機が別途必要である。
近年、燃費向上等を目的として、転がり軸受の回転トルクを低減させることが要求される。この要求に応じてアキシアル隙間を正側にシフトさせることが考えられる。隙間測定方式Bでは、隙間測定方式Aと異なり1つのポジションでの測定が可能であるが、前記のように正隙間の値を測定することができない。
【0019】
そこで、本開示は、1つのポジションで正隙間及び負隙間を測定することができる、複列転がり軸受のアキシアル隙間測定方法、及び複列転がり軸受の製造方法を提供することを目的とする。
【0020】
<本開示の効果>
本開示によれば、1つのポジションで正隙間及び負隙間を測定することができる。
【0021】
<本開示の発明の実施形態の概要>
以下、本開示の発明の実施形態の概要を列記して説明する。
【0022】
本開示の複列転がり軸受のアキシアル隙間測定方法(以下、単に「隙間測定方法」ともいう)は、
(1)ハブ軸と、前記ハブ軸の軸方向一端の外周に嵌合される内輪と、前記ハブ軸及び内輪の径方向外側に当該ハブ軸と同軸に設けられる外輪と、前記ハブ軸及び内輪と前記外輪との間の環状空間に軸方向に沿って2列に設けられる転動体と、を備えた複列転がり軸受のアキシアル隙間の測定方法であって、
前記転動体を介して外輪を取り付けたハブ軸の軸が上下方向を向く姿勢で前記内輪を当該ハブ軸に仮圧入し、
前記内輪をハブ軸に仮圧入した状態で前記外輪を上方に持ち上げて、前記2列の転動体のうち内輪側の転動体と、当該内輪側の転動体のための軌道面とを接触させ、
前記転動体と軌道面とを接触させた状態で、前記外輪の軸方向の端面と前記内輪の軸方向の端面との間の距離R1を測定し、
上方に持ち上げていた前記外輪を元の位置に戻し、
前記内輪とハブ軸とが互いに突き当たるまで当該内輪を当該ハブ軸に本圧入し、
前記内輪をハブ軸に本圧入した状態で、前記外輪の軸方向の端面と前記内輪の軸方向の端面との間の距離R2を測定し、
前記距離R2と距離R1との差からアキシアル隙間を求める。
【0023】
本開示において、「下方」は重力が作用する方向であり、「上方」は下方の反対方向である。複列転がり軸受の軸方向一方を上方に向け、その複列転がり軸受の軸方向他方を下方に向けた場合、その複列転がり軸受の中心線(軸受中心線)に沿った方向が「上下方向」となる。本開示では、軸受中心線が鉛直方向に完全に一致する場合のみならず、軸受中心線が鉛直方向に傾いていてもよい。
【0024】
前記隙間測定方法では、内輪をハブ軸に仮圧入した状態及び本圧入した状態のそれぞれの状態において、外輪の軸方向の端面と内輪の軸方向の端面との間の距離R1、R2を測定することでアキシアル隙間が求められる。かかる仮圧入、本圧入及び距離R1、R2の測定は、アキシアル隙間の測定装置において複列転がり軸受を同じ位置に配設した状態、すなわち1ポジションで行うことができる。このため、測定のための装置を小型化して設備コストを削減するとともに、設備スペースを小さくすることができる。また、距離R2と距離R1との差から正隙間及び負隙間の双方を測定することができる。
【0025】
(2)前記(1)の隙間測定方法において、前記差が正の値である場合に、(R2-R1)をアキシアル隙間とし、前記差がゼロ又は負の値である場合に、Cbを所定の定数として、アキシアル隙間を(R2-R1)×Cbとすることができる。この場合、距離R2と距離R1との差(R2-R1)に基づいて、正隙間及び負隙間を測定することができる。
【0026】
(3)前記(2)の隙間測定方法において、前記定数Cbを2とすることができる。車両インナ側の転動体の隙間と車両アウタ側の転動体の隙間とが同じ大きさであるとの前提で、(R2-R1)の値を2倍することでアキシアル隙間を求めることができる。
【0027】
(4)前記(1)の隙間測定方法は、前記内輪をハブ軸に仮圧入した状態で、前記外輪の軸方向の端面と前記ハブ軸の軸方向の端面との間の距離L1を測定すること、及び、
前記内輪をハブ軸に本圧入した状態で、前記外輪の軸方向の端面と前記ハブ軸の軸方向の端面との間の距離L2を測定すること、を更に含んでおり、
前記差が正の値である場合に、(R2-R1)をアキシアル隙間とし、
前記差がゼロ又は負の値である場合に、(R2-R1)と、(L2-L1)との和をアキシアル隙間とすることができる。
この場合、アウタ側の転動体の変形量を測定することが可能となる。前記差がゼロ又は負の値である場合に、インナ側の転動体の変形量に定数Cbを乗じて軸受としてのアキシアル隙間を求めるよりも、正確に負隙間を測定することができる。
【0028】
(5)前記(1)の隙間測定方法は、前記内輪をハブ軸に仮圧入した状態で、前記内輪の軸方向の端面と前記ハブ軸の軸方向の端面との間の距離P1を測定すること、及び、
前記内輪をハブ軸に本圧入した状態で、前記内輪の軸方向の端面と前記ハブ軸の軸方向の端面との間の距離P2を測定すること、を更に含んでおり、
前記差が正の値である場合に、(R2-R1)をアキシアル隙間とし、
前記差がゼロ又は負の値である場合に、前記P1及び前記R1に基づいて仮圧入時における外輪の軸方向の端面とハブ軸の軸方向の端面との間の距離Q1を求めるとともに、前記P2及び前記R2に基づいて本圧入時における外輪の軸方向の端面とハブ軸の軸方向の端面との間の距離Q2を求め、(R2-R1)と、(Q2-Q1)との和をアキシアル隙間とすることができる。
この場合、アウタ側の転動体の変形量を測定することが可能となる。前記差がゼロ又は負の値である場合に、インナ側の転動体の変形量に定数Cbを乗じて軸受としてのアキシアル隙間を求めるよりも正確に負隙間を測定することができる。
【0029】
本開示の複列転がり軸受の製造方法(以下、単に「製造方法」ともいう)は、
(6)ハブ軸と、前記ハブ軸の軸方向一端の外周に嵌合される内輪と、前記ハブ軸及び内輪の径方向外側に当該ハブ軸と同軸に設けられる外輪と、前記ハブ軸及び内輪と前記外輪との間の環状空間に軸方向に沿って2列に設けられる転動体と、を備える複列転がり軸受を組み立てるために、
前記転動体及び前記外輪を組み付けた前記ハブ軸の軸方向一端の外周に、前記内輪を圧入して製造する方法であって、
前記転動体を介して外輪を取り付けたハブ軸の軸が上下方向を向く姿勢で前記内輪を当該ハブ軸に仮圧入する仮圧入工程と、
前記仮圧入工程により前記内輪をハブ軸に仮圧入した状態で前記外輪を上方に持ち上げて、前記2列の転動体のうち内輪側の転動体と、当該内輪側の転動体のための軌道面とを接触させ、前記転動体と軌道面とを接触させた状態で、前記外輪の軸方向の端面と前記内輪の軸方向の端面との間の距離R1を測定し、上方に持ち上げていた前記外輪を元の位置に戻す第1測定工程と、
前記内輪とハブ軸とが互いに突き当たるまで当該内輪を当該ハブ軸に本圧入する本圧入工程と、
前記本圧入工程により前記内輪をハブ軸に本圧入した状態で、前記外輪の軸方向の端面と前記内輪の軸方向の端面との間の距離R2を測定し、前記距離R2と距離R1との差からアキシアル隙間を求める第2測定工程と、を有する。
【0030】
前記製造方法では、内輪をハブ軸に仮圧入した状態及び本圧入した状態のそれぞれの状態において、外輪の軸方向の端面と内輪の軸方向の端面との間の距離R1、R2を測定することでアキシアル隙間が求められる。本開示に係る仮圧入工程、第1測定工程、本圧入工程及び第2測定工程は、複列転がり軸受の製造装置において複列転がり軸受を同じ位置に置いた状態、すなわち1ポジションで行うことができる。このため、製造のための装置を小型化して設備コストを削減するとともに、設備スペースを小さくすることができる。また、距離R2と距離R1との差から正隙間及び負隙間の双方を測定することができる。
【0031】
(7)前記(6)の製造方法において、前記仮圧入工程、前記第1測定工程、前記本圧入工程及び前記第2測定工程は、同じ台座に前記ハブ軸が載置された状態で実行されるのが好ましい。この場合、ハブ軸が台座に載置されることで、1つのポジションで正隙間及び負隙間を測定することができる。
【0032】
(8)前記(6)又は(7)の製造方法は、前記第2測定工程により求められた前記アキシアル隙間と、基準値との比較に基づいて、前記アキシアル隙間が適正な値であるか否かを判定する判定工程と、前記判定工程により前記アキシアル隙間が適切な値ではないと判断された後に実行され、前記複列転がり軸受を検査する工程及び前記複列転がり軸受を廃棄する工程のうち少なくとも一方を含む確認工程と、をさらに備えることができる。アキシアル隙間が適切な値ではないと判断された場合に、製造した複列転がり軸受を検査又は廃棄することができ、複列転がり軸受の品質を向上することができる。
【0033】
<本開示の発明の実施形態の詳細>
以下、本開示の発明の実施形態を説明する。
〔隙間測定方法〕
図1~4は、本発明の一実施形態に係る隙間測定方法の手順を示す断面説明図である。本実施形態では、図11に示されるタイプの複列転がり軸受におけるアキシアル隙間を測定する。すなわち、ハブ軸3と、このハブ軸3の軸方向一端の外周に嵌合される内輪5と、前記ハブ軸3及び内輪5の径方向外側に当該ハブ軸3と同軸に設けられる外輪2と、前記ハブ軸3及び内輪5と前記外輪2との間の環状空間に軸方向に沿って2列に設けられる転動体4e、4fと、を備えた複列転がり軸受のアキシアル隙間を測定する。
【0034】
本実施形態では、軸受に付与された予圧の適否を判断するために、当該予圧と予圧隙間との間に一定の関係があることを利用して、予圧隙間を測定する。ここで、予圧隙間とは、予圧が付与されていない状態から予圧が付与された状態に転じたときに、軸受の転動体及びこれに関連した各部材の軸方向の弾性変形により形成される負の「隙間」(負隙間)をいう。また、予圧が付与されていない状態を正隙間の状態という。
【0035】
図11に示される複列転がり軸受からなるハブユニット1について説明する。
外輪2は、そのフランジ2aが自動車の懸架装置(図示せず)に取り付けられて、軸受の固定側の部材を構成する。外輪2の径方向内側には、軸受の可動側の部材を構成するハブ軸3のスピンドル部3aが挿入されている。スピンドル部3aは、車両アウタ側(図11において左側)の環状列を形成する複数個の転動体4e及び車両インナ側(図11において右側)の環状列を形成する複数個の転動体4fを介して、外輪2の内部に回転自在に保持されている。スピンドル部3aの、車両インナ側の転動体4fに対向する部分は、他の部分より小径の円筒部3bとして形成されている。円筒部3bの外周面には内輪5が嵌合されて当該円筒部3bに固定されている。
【0036】
車両アウタ側の転動体4eは、保持器6eによって、外輪2の内周面に形成された第1の外輪軌道2eと、スピンドル部3aの外周面に形成された第1の内輪軌道3eとの間に転動自在に保持されている。転動体4eは、外輪軌道2e及び内輪軌道3eにアンギュラ接触する。
車両インナ側の転動体4fは、保持器6fによって、外輪2の内周面に形成された第2の外輪軌道2fと、内輪5の外周面に形成された第2の内輪軌道5fとの間に転動自在に保持されている。転動体4fは、外輪軌道2f及び内輪軌道5fにアンギュラ接触する。
内輪5が円筒部3bに固定されることで、転動体4e、4f及び外輪2はハブ軸3から脱落不能となって組み立てられた状態となる。
【0037】
ハブ軸3の車両アウタ側の端部外周にはフランジ3dが形成され、このフランジ3dの周縁部に複数のボルト7が固定される。車輪のホイール(図示せず)は、ボルト7とナット(図示せず)により、ハブ軸3に固定され、当該ハブ軸3とともに回転する。外輪2の車両アウタ側の端部の内周面には弾性体からなるシール8が装着されている。シール8は、回転するハブ軸3と摺接して、水や砂等の異物が外輪2の内部に侵入することを防ぐ。なお、ハブユニットによっては、フランジ3dに形成した孔3fにボルト7を圧入する代わりに、当該フランジ3dにネジ孔(図示せず)を形成して、このネジ孔とボルトとによってホイールをハブ軸3に固定する形態もある。
【0038】
本実施形態に係る隙間測定方法は、後述する載置工程S121、仮圧入工程S122、第1測定工程S123、本圧入工程S124及び第2測定工程S125を有する。
【0039】
隙間測定方法では、まず、載置工程S121が実行される。載置工程S121が開始されると、外輪2を取り付けたハブ軸3は、ハブ軸3の軸が上下方向を向いており、且つ、ハブ軸3のフランジ3dが下方に位置する姿勢で、台座20の上に載置される。以上により、載置工程S121が終了する。ここで、後述する仮圧入工程S122、第1測定工程S123、本圧入工程S124及び第2測定工程S125は、台座20にハブ軸3が載置された状態で実行される。
【0040】
次に、仮圧入工程S122が実行される。仮圧入工程S122が開始されると、図1に示されるように、アキシアル隙間測定装置の台座20の上に載置されたハブ軸3の外周に、正隙間の状態となるように内輪5を浅く圧入する(仮圧入)。ハブ軸3は、当該ハブ軸3の軸が上下方向を向いており、且つ、当該ハブ軸3のフランジ3dが下方に位置するように台座20の上に載置される。ハブ軸3には、外輪2及び転動体4e、4fが組み付けられている。外輪2及び転動体4e、4fが組み付けられた状態のハブ軸3の円筒部3bの外周に内輪5を圧入する。より詳細には、ハブユニット1の上方に昇降自在に設けられた圧入治具21に内輪5を装着する。この内輪5の車両インナ側(図1において上側)の端面5aを圧入治具21を用いて下方に押圧することで、ハブ軸3の円筒部3bの外周に内輪5を圧入する。以上により、仮圧入工程S122が終了する。
【0041】
圧入治具21は、図示しない駆動手段の下端部に固定されており、この駆動手段によって上下動する。かかる駆動手段としては、圧入治具21を圧入に必要な力で下方向に押すことができ、かつ、圧入治具21の上下方向の位置を所定の精度で調整できる構造を有する。前記駆動手段として、例えば、油圧シリンダ、送りねじ機構等が使用される。なお、圧入治具21の径方向外側には円筒状の錘22が配設されており、この錘22によって外輪2に下方向の荷重が負荷される。錘22は、圧入治具21とは別体の部材である。なお、ハブ軸3が載置される台座20の昇降操作によって、内輪5をハブ軸3に圧入することもできる。
【0042】
次に、第1測定工程S123が実行される。第1測定工程S123が開始されると、図2に示されるように、前記仮圧入の状態で、外輪2のフランジ2aの下方に配置したクランプ23を上方に移動させる。これにより、クランプ23の上面23aをフランジ2aの下面2a2と当接させる。その当接の後にさらにクランプ23を上方に移動させて2列の転動体のうち内輪5側(車両インナ側)の転動体4fと、当該転動体4fのための軌道面である外輪2の内周面に形成された第2の外輪軌道2f及び内輪5の外周面に形成された第2の内輪軌道5fとを接触させる(図2の白抜き矢印参照)。そして、転動体4fと第2の外輪軌道2f及び第2の内輪軌道5fとを接触させた状態で、外輪2の車両インナ側の端面2bと内輪5の車両インナ側の端面5aとの間の距離R1を測定する。
【0043】
この状態では、車両インナ側の転動体4fは弾性変形しておらず、転動体4fと当該転動体4fのための軌道面との間の隙間はゼロ(ゼロタッチ)である。一方、車両アウタ側の転動体4eと当該転動体4eのための軌道面との間の隙間は正隙間である。前記距離R1の測定は、前述したように、例えばデジタルインジケータ等の計器を用いて行われる。また、端面2b及び端面5aは、本開示において、軸方向の端面である。かかる「軸方向の端面」は、ある部材と他の部材との軸方向の距離を測定するための基準面となり得る面である。「部材」は、ある部品又は要素全体だけでなく、後述する外輪2のフランジ2aのように、当該部品又は要素の一部も含まれる。
【0044】
ついで、図3に示されるように、クランプ23を下降させて上方に持ち上げていた外輪2を元の位置に戻す(図3の白抜き矢印参照)。以上により、第1測定工程S123が終了する。
【0045】
次に、本圧入工程S124が実行される。本圧入工程S124が開始されると、図4に示されるように、内輪5とハブ軸3とが互いに突き当たるまで当該内輪5をハブ軸3の外周に圧入する(本圧入)。その後、本圧入のために圧入治具21により与えていた下向きの荷重を開放して、内輪5に荷重がかかっていない状態にする。荷重を開放することで内輪5は弾性変形していない状態となる。ただし、外輪2には圧入治具21の径方向外側に配設された円筒状の錘22によって下方向に荷重が負荷されている。かかる下方向の荷重を外輪2に負荷することで、後述する本圧入後の距離R2を測定する際に車両アウタ側に配設されているシール8のリップ反力等によって外輪2が上方に浮き上がるのを抑制することができる。これにより、距離R2の測定精度を向上させることができる。以上により、本圧入工程S124を終了する。
【0046】
次に、第2測定工程S125を実行する。第2測定工程S125が実行されると、内輪5に荷重がかかっておらず、かつ、錘22によって外輪2に下方向の荷重を負荷した状態で、外輪2の車両インナ側の端面2bと内輪5の車両インナ側の端面5aとの間の距離R2を測定する。距離R2の測定は、本圧入工程S124により内輪5がハブ軸3に本圧入した状態で行われる。なお、測定に際し、前述した圧入治具21により与えていた下向きの荷重を必ずしも開放しなくてもよい。また、錘22による下方向の荷重負荷に代えて、バネ(図示せず)を用いて下方向の荷重を外輪2に負荷してもよい。さらに、シールの仕様等によっては、かかる外輪2への下方向の荷重負荷を省略してもよい。
【0047】
アキシアル隙間は、前記のようにして求めた距離R2と距離R1との差から得られる。具体的に、距離R2と距離R1との差である(R2-R1)が正の値である場合は、(R2-R1)をアキシアル隙間とする。このとき、アキシアル隙間は正隙間である。一方、(R2-R1)がゼロ又は負の値である場合は、Cbを所定の定数とすると、アキシアル隙間を(R2-R1)×Cbとする。このとき、アキシアル隙間はゼロ隙間又は負隙間である。以上により、第2測定工程S125を終了する。
【0048】
本実施形態で用いたハブユニット1は、2列の転動体、すなわち車両インナ側の転動体4f及び車両アウタ側の転動体4eを備える。したがって、定数Cbの値は理論上「2」である。しかし、車両インナ側と車両アウタ側とで転動体のサイズや仕様が異なる場合、転動体の軌道面を構成する外輪2の車両インナ側の端部と車両アウタ側の端部とで剛性が異なる。このような剛性が相違する場合等を考慮して、手動で測定したアキシアル隙間と、本実施形態に係る隙間測定方法で求めた前記差(距離R2と距離R1との差)との相関関係を利用して、Cbの値を決定してもよい。
【0049】
以上、本実施形態に係る隙間測定方法では、ハブ軸3の円筒部3bの外周に内輪5を仮圧入した状態及び本圧入した状態のそれぞれの状態において、外輪2の車両インナ側の端面2bと内輪5の車両インナ側の端面5aとの間の距離R1、R2を測定することで、アキシアル隙間が求められる。内輪5のハブ軸3への仮圧入及び本圧入、並びに距離R1、R2の測定は、アキシアル隙間の測定装置においてハブユニット1を同じ位置に配設した状態で行うことができる。すなわち、従来の隙間測定方式Aでは、仮圧入後に正隙間測定のためにハブユニット1を移動させ、さらに、正隙間測定後に本圧入のためにハブユニット1を移動させる必要がある。従来の隙間測定方式Aでは、ハブユニット1を3つのポジションに配設する必要がある。しかし、本実施形態では1つのポジションで隙間測定を行うことができる。このため、測定のための装置を小型化して設備コストを削減するとともに、設備スペースを小さくすることができる。また、距離R2と距離R1との差から正隙間及び負隙間の双方を測定することができる。
【0050】
また、本実施形態に係る隙間測定方法では、前記距離R2と距離R1との差が正の値である場合に、(R2-R1)をアキシアル隙間とし、前記差がゼロ又は負の値である場合に、Cbを所定の定数として、アキシアル隙間を(R2-R1)×Cbとする。このように、前記距離R2と距離R1との差に基づいて、ハブユニット1の正隙間及び負隙間の双方を測定することができる。
【0051】
また、本実施形態に係る隙間測定方法では、距離R2と距離R1との差がゼロまた負である場合にアキシアル隙間を求めるために、かかる差に乗じる定数Cbを2とすることができる。車両インナ側の転動体の隙間と車両アウタ側の転動体の隙間とが同じ大きさであるとの前提で、前記差の値を2倍することでハブユニット1のアキシアル隙間を求めることができる。
【0052】
〔隙間測定方法の変形例〕
以上のとおり開示した実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。例えば、前述した実施形態では、距離R2と距離R1との差がゼロ又は負である場合、当該差(R2-R1)に所定の定数Cbを乗じることでハブユニット1のアキシアル隙間を求めている。しかし、他の方法でハブユニット1のアキシアル隙間を求めることもできる。前述した実施形態では、車両インナ側の転動体の変形量を実測し、この実測値に基づいて車両アウタ側の転動体の変形量を推測することでハブユニット1のアキシアル隙間を求めている。これに対し、車両アウタ側の転動体の変形量を測定し、この変形量と、車両インナ側の転動体の変形量とをたすことで負隙間の測定精度を向上させることができる。
【0053】
具体的に、前述した実施形態において、仮圧入後及び本圧入後に、外輪2の軸方向の端面とハブ軸3の軸方向の端面との間の距離L1及びL2をそれぞれ測定する。前述した距離R2と距離R1との差がゼロ又は負の値である場合に、(R2-R1)と、(L2-L1)との和をアキシアル隙間とする。これにより、ハブユニット1のアキシアル隙間(負隙間)をより正確に測定することができる。距離L1としては、仮圧入状態を示す図5に示されるように、例えば、外輪2の車両インナ側の端面2bとハブ軸3の円筒部3bの車両インナ側の端面3b1との間の距離である。同様に、距離L2としては、本圧入状態を示す図6に示されるように、例えば、外輪2の車両インナ側の端面2bとハブ軸3の円筒部3bの車両インナ側の端面3b1との間の距離である。
【0054】
なお、内輪5とハブ軸3との軸方向の位置関係を測定し、得られた測定値と、別途測定する内輪5と外輪2との軸方向の位置関係とを用いて間接的に外輪2とハブ軸3との軸方向(図5~6では上下方向)の位置関係を求めてもよい。具体的に、前述した実施形態において、内輪5をハブ軸3に仮圧入した状態で(図5参照)、内輪5の軸方向の端面5aとハブ軸3の軸方向の端面3b1との間の距離P1を測定する。この測定とともに、内輪5をハブ軸3に本圧入した状態で(図6参照)、内輪5の軸方向の端面5aとハブ軸3の軸方向の端面3b1との間の距離P2を測定する。そして、前記差(R2-R1)がゼロ又は負の値である場合に、P1及びR1に基づいて仮圧入時における外輪2の軸方向の端面2bとハブ軸3の軸方向の端面3b1との間の距離Q1を間接的に求める。これとともに、P2及びR2に基づいて本圧入時における外輪2の軸方向の端面2bとハブ軸3の軸方向の端面3b1との間の距離Q2を間接的に求める。そして、(R2-R1)と、(Q2-Q1)との和をアキシアル隙間とする。
【0055】
〔製造方法〕
図7は、本発明の一実施形態に係る製造方法の手順を示すフローチャートである。本実施形態では、図11に示されるタイプの複列転がり軸受が製造される。すなわち、複列転がり軸受は、ハブ軸3と、ハブ軸3の軸方向一端の外周に嵌合される内輪5と、ハブ軸3及び内輪5の径方向外側にハブ軸3と同軸に設けられる外輪2と、ハブ軸3及び内輪5と外輪2との間の環状空間に軸方向に沿って2列に設けられる転動体4e、4fと、を備える。本発明の一実施形態に係る製造方法は、この複列転がり軸受を組み立てるために、転動体4e、4f及び外輪2を組み付けたハブ軸3の軸方向一端の外周に、内輪5を圧入して製造する方法である。その製造方法には、仮圧入工程と、第1測定工程と、本圧入工程と、第2測定工程とが少なくとも含まれる。本実施形態の製造方法では、上記の隙間測定方法と同様に、軸受に付与された予圧の適否を判断するために、予圧隙間を測定する。以下、製造方法の具体例を説明する。
【0056】
本実施形態に係る製造方法が開始されると、はじめに準備工程S11が実行される。準備工程S11は、外輪2と、2列の転動体4e、4fとが組み付けられた状態のハブ軸3を準備する工程である。準備工程S11は、ハブユニット1を構成する各部材(例えば外輪2、ハブ軸3、転動体4e、4f及び内輪5)を形成する形成工程(例えば焼鈍処理工程、被膜処理工程、冷間鍛造工程、旋削工程、熱処理工程及び研磨工程)と、形成工程の後に実行され、ハブ軸3に外輪2及び2列の転動体4e、4fを組み付ける組付工程と、を有する。
【0057】
次に、圧入工程S12が実行される。圧入工程S12は、外輪2及び2列の転動体4e、4fが組み付けられた状態のハブ軸3の軸方向一端の外周に内輪5を圧入する工程である。図8は、本発明の一実施形態に係る製造方法の手順のうち、圧入工程S12に係る手順を示すフローチャート(圧入工程S12のサブルーチンの内容)である。圧入工程S12は、載置工程S121と、仮圧入工程S122と、第1測定工程S123と、本圧入工程S124と、第2測定工程S125とを有する。圧入工程S12における各工程S121~S125は、上記の隙間測定方法にて説明した隙間測定装置による各工程S121~S125と共通するため、ここでは説明を省略する。
【0058】
図7を参照する。次に、判定工程S13が実行される。判定工程S13は、第2測定工程S125により求められたアキシアル隙間と、基準値との比較に基づいて、ハブユニット1についてのアキシアル隙間が適正な値であるか否かを判定する工程である。判定工程S13では、演算部及び記憶部を有するコンピュータが用いられる。記憶部には、予め適正なアキシアル隙間を示す基準値が記憶されている。記憶部には、第2測定工程S125が実行された後、第2測定工程S125により求められたアキシアル隙間が新たに記憶される。
【0059】
判定工程S13が開始されると、コンピュータの演算部が、記憶部に記憶されている基準値と第2測定工程S125により求められたアキシアル隙間とを比較する。例えば、基準値と第2測定工程S125により求められたアキシアル隙間との差又は比を算出する。そして、当該差又は比が、所定のしきい値よりも大きい場合に、圧入工程S12後のハブユニット1のアキシアル隙間が適正な値ではないと判定する。当該差又は比が、所定のしきい値以下である場合に、圧入工程S12後のハブユニット1のアキシアル隙間が適正な値であると判定する。以上により、判定工程S13が終了する。
【0060】
次に、後工程S14又は確認工程S15が実行される。後工程S14は、判定工程S13により圧入工程S12後のハブユニット1のアキシアル隙間が適正な値であると判定された後に実行される工程である。後工程S14は、ハブユニット1の一部を変形させる工程及びハブユニット1の一部に部材を取付ける工程のうち少なくとも一方を含む。ハブユニット1の一部を変形させる工程としては、本圧入後の内輪5の位置を固定する工程が挙げられる。具体的には、例えばかしめ工程である。ハブユニット1の一部に部材を取付ける工程としては、例えば外輪2とハブ軸3との間の環状空間を密閉するためのシールを、外輪2及びハブ3の少なくとも一方に取付ける工程が挙げられる。
【0061】
かしめ工程を有する場合の例について、図9及び図10を用いて説明する。図9は、判定工程S13の後、かしめ工程が実行される前のハブユニット1の様子を示す断面説明図である。この例に係るハブユニット1は、前記実施形態のハブ軸3に替えてハブ軸300を有する点で、前記実施形態と相違する。その他の点は共通するため、共通点の説明は省略する。ハブ軸300における円筒部300bは、ハブ軸3の円筒部3b(図1参照)よりも軸方向一端側が長く、内輪5の車両インナ側の端面5aよりも車両インナ側に突出している。
【0062】
また、図9に示される圧入治具21aは、車両アウタ側の端面に凹部21bを有する点で、前記実施形態の圧入治具20と相違する。その他の点は共通するため、共通点の説明は省略する。凹部21bは、端面5aよりも車両インナ側に突出した円筒部300bの形状よりも大きく凹んだ形状を有する。圧入治具21aが内輪5を仮圧入及び本圧入する際に、円筒部300bの車両インナ側の端部は、凹部21bと接触しない。
【0063】
図10は、かしめ工程が実行された後のハブユニット1の様子を示す断面説明図である。かしめ工程では、図示しないがかしめ治具が用いられる。そのかしめ治具は、例えば、円筒部300bの内周より直径が小さい部分と、円筒部300bの内周より直径が大きい部分とを有する。直径の小さい部分と直径の大きい部分とが同軸に配置され、直径の小さい部分から直径の大きい部分まで縮径することなく拡径する面(例えば円すい面)が構成されている。かしめ工程が開示されると、かしめ治具の直径の小さい部分が円筒部300bの内周に挿入され、かつ、そのかしめ治具の前記拡径する面(例えば円すい面)が円筒部300bを押し付けた状態で揺動運動する。
これにより、円筒部300bは基準点300cを起点に塑性変形されて、図10に示すように径方向外側に拡径する。その後、かしめ治具の揺動が止められ、かしめ治具が揺動せずに円筒部300bの車両インナ側の端面に押し当てられた状態で所定時間保持される。以上により、ハブ軸300に対する内輪5の位置が固定され、かしめ工程が終了する。
【0064】
図7を参照する。確認工程S15は、判定工程S13により圧入工程S12後のハブユニット1におけるアキシアル隙間が適切な値ではないと判断された後に実行される工程である。確認工程S15は、ハブユニット1を検査する工程及びハブユニット1を廃棄する工程のうち少なくとも一方を含む。
【0065】
ハブユニット1を検査する工程では、例えば、ハブユニット1を分解してハブ軸3、内輪5、外輪2、転動体4e、4fの各部品の寸法を測定する単品精度確認や、ハブユニット1をアキシアル隙間測定装置から外して他の方法でアキシアル隙間を測定することを行う。
これらの検査に基づいて、ハブユニット1のアキシアル隙間が適切な値ではない原因(異常原因)を判断し、必要に応じて製造ラインの検査を行う。
【0066】
ハブユニット1を廃棄する工程では、アキシアル隙間が適切な値ではないと判断されたハブユニット1を廃棄する。なお、上記の検査を行った後にハブユニット1を廃棄してもよい。
【0067】
以上のように、確認工程S15によれば、アキシアル隙間が適切な値ではないと判断された場合に、製造したハブユニット1を検査又は廃棄することができる。このため、製造ラインに乗るハブユニット1の品質を向上することができる。また、後工程S14は、アキシアル隙間が適切な値であると判断されたハブユニット1に対してのみ行われるため、後工程S14後の歩留まりが向上し、製造ラインの製造効率を向上することができる。
【0068】
本実施形態の製造方法では、内輪5をハブ軸3に仮圧入した状態及び本圧入した状態のそれぞれの状態において、外輪2の軸方向の端面と内輪5の軸方向の端面との間の距離R1、R2を測定することでアキシアル隙間を求めている。本実施形態に係る仮圧入工程S122、第1測定工程S123、本圧入工程S124及び第2測定工程S125は、複列転がり軸受の製造装置において複列転がり軸受(ハブユニット1)を同じ位置(台座20)に置いた状態、すなわち1ポジションで行うことができる。このため、製造のための装置を小型化して設備コストを削減するとともに、設備スペースを小さくすることができる。また、距離R2と距離R1との差から正隙間及び負隙間の双方を測定することができる。
【0069】
〔製造方法の変形例〕
以上のとおり開示した実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。例えば、上記の実施形態に係る準備工程S11では、外輪2と、2列の転動体4e、4fとが組み付けられた状態のハブ軸3を準備する。そして、圧入工程S12では外輪2及び2列の転動体4e、4fが組み付けられた状態のハブ軸3の軸方向一端の外周に内輪5を圧入する。
しかしながら、本開示の準備工程及び圧入工程はこれに限られない。準備工程では外輪2と、軸方向他端側の1列の転動体4eが組み付けられた状態のハブ軸3を準備し、圧入工程では、その状態のハブ軸3の軸方向一端の外周に、1列の転動体4fを備えた内輪5を圧入してもよい。この場合、1列の転動体4fは、保持器6fと共に内輪5に保持され、1列の転動体4fと内輪5とが一体化した状態でハブ軸3に内輪5が圧入される。
上記の実施形態では、ハブ軸3の軸が上下方向を向く姿勢で、そのハブ軸3を台座20の上に載置し、転動体4e,4fをハブ軸3に設けた状態で外輪2を転動体4fの上に載置する載置工程が行われている。しかし、これに代えて、載置工程では、ハブ軸3の軸が上下方向を向く姿勢で、ハブ軸3を台座20の上に載置し、転動体4e,4fをハブ軸3の上に載置した上で外輪2を転動体4fの上に載置してもよい。
【0070】
上記のように構成する場合にも、1ポジションでアキシアル隙間の測定を行うことができる。このため、製造のための装置を小型化して設備コストを削減するとともに、設備スペースを小さくすることができる。また、距離R2と距離R1との差から正隙間及び負隙間の双方を測定することができる。
なお、上記の実施形態及び各種の変形例については、その少なくとも一部を、相互に任意に組み合わせてもよい。また、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0071】
1:ハブユニット 2:外輪 2a:フランジ
2b:車両インナ側の端面 2e:第1の外輪軌道 2f:第2の外輪軌道
3:ハブ軸 3a:スピンドル部 3b:円筒部
3d:フランジ 3e:第1の内輪軌道 3f:孔
4e:車両アウタ側の転動体 4f:車両インナ側の転動体
5:内輪 5a:車両インナ側の端面
5f:第2の内輪軌道 6e:車両アウタ側の保持器
6f:車両インナ側の保持器 7:ボルト 8:シール
20:台座 21:圧入冶具 22:錘
23:クランプ
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