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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】撮像装置、検査装置及び検査方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/892 20060101AFI20240925BHJP
   G01J 3/51 20060101ALI20240925BHJP
   B41J 29/393 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
G01N21/892 Z
G01J3/51
B41J29/393
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2021556135
(86)(22)【出願日】2020-11-11
(86)【国際出願番号】 JP2020042141
(87)【国際公開番号】W WO2021095785
(87)【国際公開日】2021-05-20
【審査請求日】2023-10-12
(31)【優先権主張番号】P 2019206855
(32)【優先日】2019-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】313005282
【氏名又は名称】東洋製罐株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】弁理士法人エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】白坂 竜矢
(72)【発明者】
【氏名】栃木 隆之
(72)【発明者】
【氏名】幡野 修
【審査官】嶋田 行志
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0027164(US,A1)
【文献】特開平08-014846(JP,A)
【文献】特開平06-331564(JP,A)
【文献】特開昭64-038637(JP,A)
【文献】特開平09-300596(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84-G01N21/958
G01J 3/00-G01J 3/52
B41J 29/00-B41J29/70
JSTPlus/JST7580/JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象物の対象面の印刷状態を撮像する撮像装置であって、
第1光源と、
第2光源と、
拡散反射剤で覆われた内周面を有し、前記第1光源から出射した光を拡散反射させて拡散反射光を前記対象面に出射する拡散筒と、
前記拡散反射光を前記対象面で反射した光を受光するラインセンサと、
前記第1光源、前記第2光源、及び前記ラインセンサを制御する作動制御部と、
を備え、
前記第2光源は、前記第2光源から出射した光が前記ラインセンサに対して前記対象面で正反射する位置に配置され、
前記拡散筒は、前記第2光源から出射した光を、前記拡散筒の前記内周面で反射させずに前記拡散筒の内部を通過させて直接光として前記対象面に入射させ、
前記ラインセンサは、前記直接光を前記対象面で正反射した光を受光し、
前記作動制御部は、
第1態様において、前記第1光源及び前記第2光源のそれぞれを点灯させて、拡散反射光及び直接光を前記対象面で反射した正反射光及び乱反射光を含む反射光を前記ラインセンサに受光させて第1画像データを取得するように制御し、
第2態様において、前記第1光源を点灯させると共に前記第2光源を消灯させて、前記拡散反射光を前記対象面で反射した乱反射光のみを前記ラインセンサに受光させて第2画像データを取得するように制御する、撮像装置。
【請求項2】
前記拡散筒の前記内周面の少なくとも一部は、前記拡散筒の中心軸を曲率中心とする曲面である、請求項1記載の撮像装置。
【請求項3】
前記対象面を前記ラインセンサに対して、前記ラインセンサの受光素子の配列方向に交差する方向に相対的に移動させる移動機構を更に備え、
前記移動機構は、
前記対象面の少なくとも一部が、前記拡散筒の長手方向に沿った軸線を曲率中心として前記拡散筒側に凸状の曲面であり、前記対象面の曲率中心を回転軸として前記検査対象物を回転させる、請求項1又は請求項2記載の撮像装置。
【請求項4】
前記第1光源は、前記対象面の前記拡散筒に最も近接した位置における法線に直交し前記拡散筒の中心軸を含む平面よりも前記対象面から遠い側に配置されると共に、その光軸が、前記平面よりも前記対象面に近い側の前記内周面へ向かう方向に延びるように配置される、請求項1~3の何れか1項記載の撮像装置。
【請求項5】
前記対象面は、金属光沢を有する下地に印刷が施された面である、請求項1~4の何れか1項記載の撮像装置。
【請求項6】
前記対象面の少なくとも一部が、前記拡散筒の長手方向に沿った軸線を曲率中心として前記拡散筒側に凸状の曲面であり、
前記第2光源の光軸と前記ラインセンサの光軸との交点が、前記対象面の前記拡散筒側の所定範囲内に位置するように、前記第2光源及び前記ラインセンサを配置する、請求項1~5の何れか1項記載の撮像装置。
【請求項7】
前記第1光源は、その光軸が、前記拡散筒の外部から前記拡散筒の前記内周面へ向かう方向に延びるように配置され、
前記第2光源は、その光軸が、前記対象面の前記拡散筒に最も近接した位置における法線に対して特定の角度を成して前記拡散筒の外部から前記対象面へ延びるように配置され、
前記ラインセンサは、その光軸が、前記対象面の前記法線に対して前記特定の角度と同じ大きさの角度を成して前記拡散筒の外部から前記対象面へ延びるように配置されると共に、その受光素子の配列方向が、前記拡散筒の長手方向に沿って延びるように配置され、
前記拡散筒には、
前記拡散筒の長手方向に沿って延びるスリット状に形成され、前記第1光源から前記内周面に向けて出射した光を前記拡散筒の内部に入射させる第1光源用ポートと、
前記拡散筒の長手方向に沿って延びるスリット状に形成され、前記第2光源から前記対象面に向けて出射した光を前記拡散筒の内部に入射させる第2光源用ポートと、
前記拡散筒の長手方向に沿って延びるスリット状に形成され、前記内周面で拡散反射した前記拡散反射光、及び、前記第2光源用ポートから入射した光を直接光として前記対象面へ出射させると共に、前記拡散反射光及び前記直接光を前記対象面で反射した光を前記拡散筒の内部へ入射させる対象面用ポートと
前記拡散筒の長手方向に沿って延びるスリット状に形成され、前記拡散反射光及び前記直接光を前記対象面で反射した光を前記ラインセンサに向けて出射させるラインセンサ用ポートと、
が形成される
ことを特徴とする、請求項1~6の何れか1項記載の撮像装置。
【請求項8】
前記第2光源用ポートの長手方向に沿う長さY1が、以下の関係を満たす、請求項記載の撮像装置。
Y1≧2(A+D)tan(θ/2)+H
ただし、Aは対象面から拡散筒までの距離、Dは拡散筒の径、θは対象面に対するラインセンサの視野角、Hはラインセンサの受光素子の配列方向における対象面の長さである。
【請求項9】
前記第2光源の前記拡散筒の長手方向に沿う長さY2が、以下の関係を満たす、請求項又は請求項記載の撮像装置。
Y2≧2Ltan(θ/2)+H
ただし、θは対象面に対するラインセンサの視野角、Hはラインセンサの受光素子の配列方向における対象面の長さ、Lは対象面から第2光源までの距離である。
【請求項10】
前記作動制御部は、前記対象面を前記ラインセンサに対して、前記ラインセンサの受光素子の配列方向に交差する方向に相対的に移動させる移動機構を更に制御し、
前記対象面の少なくとも一部が、前記拡散筒の長手方向に沿った軸線を曲率中心として前記拡散筒側に凸状の曲面であり、
前記第1態様及び前記第2態様のそれぞれにおいて、前記第1光源、前記第2光源及び前記ラインセンサの作動に同期して、前記対象面が当該対象面の曲率中心を回転軸として前記検査対象物を複数周回転するように前記移動機構を作動させる、請求項1~9の何れか1項記載の撮像装置。
【請求項11】
請求項1~10の何れか1項に記載された撮像装置と、
前記第1画像データに基づいて前記対象面の第1測色値を取得し、前記第2画像データに基づいて前記対象面の第2測色値を取得する測色部と、
前記第1測色値及び前記第2測色値に基づいて前記印刷状態の良否を判断する判断部と
を備え、
前記判断部は、
前記対象面に応じて、前記第1測色値又は前記第2測色値が予め定められた許容範囲内に有るか否かによって、前記印刷状態の良否を判断する、検査装置。
【請求項12】
前記判断部は、
前記対象面のうち少なくとも白色で印刷された領域に対しては、前記第2測色値が、予め定められた許容範囲内に有るか否かを判断することによって、前記印刷状態の良否を判断し、
前記対象面のうち前記第2測色値を用いて前記印刷状態の良否を判断した領域以外の領域に対しては、前記第1測色値が、予め定められた許容範囲内に有るか否かを判断することによって、前記印刷状態の良否を判断する、請求項11記載の検査装置。
【請求項13】
対象面の印刷状態を検査する検査方法であって、
第1光源から出射した光を拡散筒内で拡散反射させた拡散反射光を前記対象面に照射し、
前記対象面で反射した正反射光及び乱反射光を含む反射光をラインセンサで受光して第1画像データを取得し、
第1光源から出射した光を拡散筒内で拡散反射させた拡散反射光を前記対象面に照射し、
前記拡散反射光を前記対象面で反射した乱反射光のみをラインセンサで受光して第2画像データを取得し、
前記第1画像データが示す第1測色値および前記第2画像データが示す第2測色値に基づいて前記印刷状態の良否を判断する、検査方法。
【請求項14】
前記正反射光は、第2光源から出射した直接光が前記対象面で反射した正反射光である請求項13記載の検査方法。
【請求項15】
前記対象面のうち少なくとも白色以外の色で印刷された領域に対して、前記第1測色値に基づいて前記印刷状態の良否を判断する請求項13又は請求項14記載の検査方法。
【請求項16】
前記対象面のうち少なくとも白色で印刷された領域に対して、前記第2測色値に基づいて前記印刷状態の良否を判断する、請求項13~15の何れか1項記載の検査方法。
【請求項17】
前記対象面は、前記対象面の少なくとも一部が、前記拡散筒の長手方向に沿った軸線を曲率中心として、前記拡散筒側に突出した曲面であり、
前記対象面を、前記曲率中心を回転軸として回転させながら前記対象面の前記印刷状態を検査する、請求項13~16のいずれか1項記載の検査方法。
【請求項18】
前記対象面は、金属光沢を有する下地に印刷が施された面である
ことを特徴とする、請求項13~17の何れか1項記載の検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置、検査装置及び検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
対象面における反射光を受光して、対象面の状態を把握する装置が知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1には、測定試料の試料面を互いに異なる照射角度で照明する第1、第2、第3の照明手段を備え、複数の照射角度にそれぞれ対応する複数の定数がメモリに格納されている測定装置が記載されている。特許文献1に記載の測定装置は、測定制御手段により個別に発光させ、受光手段により測定試料からの反射光のうち試料面の法線方向の成分を受光してその光強度に応じた電気信号を出力する。特許文献1に記載の測定装置は、この電気信号を用いて、演算処理手段により、照射角度に対応する測定試料の反射特性を求め、各反射特性と、これに対応する各定数とを用いて測定試料の合成反射特性を求める。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2000-283851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術は、拡散反射した光で試料面を照明するに過ぎないため、試料面の反射特性を正確に測定することが難しい。このため、特許文献1に記載の技術では、試料面の反射特性の測定値に基づいて試料面の印刷状態を把握しようとしても、正確な状態を簡易に取得することが難しい。
【0006】
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、上述のような問題点を解決することを課題の一例とする。すなわち、本発明の課題の一例は、対象面の印刷状態を簡易且つ正確に把握することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る撮像装置は、検査対象物の対象面の印刷状態を撮像する撮像装置であって、第1光源と、拡散反射剤で覆われた内周面を有し、前記第1光源から出射した光を拡散反射させて拡散反射光を前記対象面に出射する拡散筒と、前記拡散反射光を前記対象面で反射した光を受光するラインセンサと、を備える。
【0008】
前記撮像装置において、前記拡散筒の前記内周面の少なくとも一部は、前記拡散筒の中心軸を曲率中心とする曲面であることが好ましい。
【0009】
前記撮像装置において、前記対象面を前記ラインセンサに対して、前記ラインセンサの受光素子の配列方向に交差する方向に相対的に移動させる移動機構を更に備え、前記移動機構は、前記対象面の少なくとも一部が、前記拡散筒の長手方向に沿った軸線を曲率中心として前記拡散筒側に凸状の曲面であり、前記対象面の曲率中心を回転軸として前記検査対象物を回転させることが好ましい。
【0010】
前記撮像装置において、前記第1光源は、前記対象面の前記拡散筒に最も近接した位置における法線に直交し前記拡散筒の中心軸を含む平面よりも前記対象面から遠い側に配置されると共に、その光軸が、前記平面よりも前記対象面に近い側の前記内周面へ向かう方向に延びるように配置されることが好ましい。
【0011】
前記撮像装置において、前記対象面は、金属光沢を有する下地に印刷が施された面であることが好ましい。
【0012】
本発明に係る他の撮像装置は、前記撮像装置において、第2光源をさらに備え、前記第2光源は、前記第2光源から出射した光が前記ラインセンサに対して前記対象面で正反射する位置に配置され、前記拡散筒は、前記第2光源から出射した光を、前記拡散筒の前記内周面で反射させずに前記拡散筒の内部を通過させて直接光として前記対象面に入射させ、前記ラインセンサは、前記直接光を前記対象面で正反射した光を受光する。
【0013】
前記撮像装置において、前記対象面の少なくとも一部が、前記拡散筒の長手方向に沿った軸線を曲率中心として前記拡散筒側に凸状の曲面であり、前記第2光源の光軸と前記ラインセンサの光軸との交点が、前記対象面の前記拡散筒側の所定範囲内に位置するように、前記第2光源及び前記ラインセンサを配置することが好ましい。
【0014】
前記撮像装置において、前記第1光源は、その光軸が、前記拡散筒の外部から前記拡散筒の前記内周面へ向かう方向に延びるように配置され、前記第2光源は、その光軸が、前記対象面の前記拡散筒に最も近接した位置における法線に対して特定の角度を成して前記拡散筒の外部から前記対象面へ延びるように配置され、前記ラインセンサは、その光軸が、前記対象面の前記法線に対して前記特定の角度と同じ大きさの角度を成して前記拡散筒の外部から前記対象面へ延びるように配置されると共に、その受光素子の配列方向が、前記拡散筒の長手方向に沿って延びるように配置され、前記拡散筒には、前記拡散筒の長手方向に沿って延びるスリット状に形成され、前記第1光源から前記内周面に向けて出射した光を前記拡散筒の内部に入射させる第1光源用ポートと、前記拡散筒の長手方向に沿って延びるスリット状に形成され、前記第2光源から前記対象面に向けて出射した光を前記拡散筒の内部に入射させる第2光源用ポートと、前記拡散筒の長手方向に沿って延びるスリット状に形成され、前記内周面で拡散反射した前記拡散反射光、及び、前記第2光源用ポートから入射した光を直接光として前記対象面へ出射させると共に、前記拡散反射光及び前記直接光を前記対象面で反射した光を前記拡散筒の内部へ入射させる対象面用ポートと前記拡散筒の長手方向に沿って延びるスリット状に形成され、前記拡散反射光及び前記直接光を前記対象面で反射した光を前記ラインセンサに向けて出射させるラインセンサ用ポートと、が形成されることが好ましい。
【0015】
前記撮像装置において、前記第2光源用ポートの長手方向に沿う長さY1が、以下の関係を満たすことが好ましい。
Y1≧2(A+D)tan(θ/2)+H
ただし、Aは対象面から拡散筒までの距離、Dは拡散筒の径、θは対象面に対するラインセンサの視野角、Hはラインセンサの受光素子の配列方向における対象面の長さである。
【0016】
前記撮像装置において、前記第2光源の前記拡散筒の長手方向に沿う長さY2が、以下の関係を満たすことが好ましい。
Y2≧2Ltan(θ/2)+H
ただし、θは対象面に対するラインセンサの視野角、Hはラインセンサの受光素子の配列方向における対象面の長さ、Lは対象面から第2光源までの距離である。
【0017】
前記撮像装置は、第1光源、第2光源、及びラインセンサを制御する作動制御部を更に備え、前記作動制御部は、第1態様において、前記第1光源及び前記第2光源のそれぞれを点灯させて、前記拡散反射光及び前記直接光を前記対象面で反射した光を前記ラインセンサに受光させて第1画像データを取得するように制御し、第2態様において、前記第1光源を点灯させると共に前記第2光源を消灯させて、前記拡散反射光を前記対象面で反射した乱反射光を前記ラインセンサに受光させて第2画像データを取得するように制御することが好ましい。
【0018】
前記撮像装置において、前記作動制御部は、前記対象面を前記ラインセンサに対して、前記ラインセンサの受光素子の配列方向に交差する方向に相対的に移動させる移動機構を更に制御し、前記対象面の少なくとも一部が、前記拡散筒の長手方向に沿った軸線を曲率中心として前記拡散筒側に凸状の曲面であり、前記第1態様及び前記第2態様のそれぞれにおいて、前記第1光源、前記第2光源及び前記ラインセンサの作動に同期して、前記対象面が当該対象面の曲率中心を回転軸として前記検査対象物を複数周回転するように前記移動機構を作動させることが好ましい。
【0019】
本発明に係る検査装置は、前記撮像装置と、前記第1画像データに基づいて前記対象面の第1測色値を取得し、前記第2画像データに基づいて前記対象面の第2測色値を取得する測色部と、前記第1測色値及び前記第2測色値に基づいて前記印刷状態の良否を判断する判断部とを備え、前記判断部は、前記対象面に応じて、前記第1測色値又は前記第2測色値が予め定められた許容範囲内に有るか否かによって、前記印刷状態の良否を判断する。
【0020】
前記検査装置において、前記判断部は、前記対象面のうち少なくとも白色で印刷された領域に対しては、前記第2測色値が、予め定められた許容範囲内に有るか否かを判断することによって、前記印刷状態の良否を判断し、前記対象面のうち前記第2測色値を用いて前記印刷状態の良否を判断した領域以外の領域に対しては、前記第1測色値が、予め定められた許容範囲内に有るか否かを判断することによって、前記印刷状態の良否を判断することが好ましい。
【0021】
本発明に係る検査方法は、対象面の印刷状態を検査する検査方法であって、第1光源から出射した光を拡散筒内で拡散反射させた拡散反射光を前記対象面に照射し、前記対象面で反射した正反射光及び乱反射光を含む反射光をラインセンサで受光して第1画像データを取得し、前記第1画像データが示す第1測色値に基づいて前記印刷状態の良否を判断する。
【0022】
前記検査方法において、前記正反射光は、第2光源から出射した直接光が前記対象面で反射した正反射光であることが好ましい。
【0023】
前記検査方法において、前記対象面のうち少なくとも白色以外の色で印刷された領域に対して、前記第1測色値に基づいて前記印刷状態の良否を判断することが好ましい。
【0024】
本発明に係る他の前記検査方法は、対象面の印刷状態を検査する検査方法であって、第1光源から出射した光を拡散筒内で拡散反射させた拡散反射光を前記対象面に照射し、前記拡散反射光を前記対象面で反射した乱反射光をラインセンサで受光して第2画像データを取得し、前記第2画像データが示す第2測色値に基づいて前記印刷状態の良否を判断する。
【0025】
前記検査方法において、前記対象面のうち少なくとも白色で印刷された領域に対して、前記第2測色値に基づいて前記印刷状態の良否を判断することが好ましい。
【0026】
本発明に係る他の前記検査方法は、対象面の印刷状態を検査する検査方法であって、第1光源から出射した光を拡散筒内で拡散反射させた拡散反射光を前記対象面に照射し、前記対象面で反射した正反射光及び乱反射光を含む反射光をラインセンサで受光して第1画像データを取得し、第1光源から出射した光を拡散筒内で拡散反射させた拡散反射光を前記対象面に照射し、前記拡散反射光を前記対象面で反射した乱反射光のみをラインセンサで受光して第2画像データを取得し、前記第1画像データが示す第1測色値および前記第2画像データが示す第2測色値に基づいて前記印刷状態の良否を判断する。
【0027】
前記検査方法において、前記対象面は、前記対象面の少なくとも一部が、前記拡散筒の長手方向に沿った軸線を曲率中心として、前記拡散筒側に突出した曲面であり、前記対象面を、前記曲率中心を回転軸として回転させながら前記対象面の前記印刷状態を検査することが好ましい。
【0028】
前記検査方法において、前記対象面は、金属光沢を有する下地に印刷が施された面であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、対象面の印刷状態を簡易且つ正確に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】実施形態1に係る検査装置の構成を示す上面図である。
図2図1に示された検査装置の構成を示す斜視図である。
図3図1に示された検査装置の機能的構成を示す図である。
図4】対象面、拡散筒、第1光源、第2光源及びラインセンサのそれぞれの位置関係を説明するための図である。
図5】第2光源用ポート及び第2光源の詳細構成を説明するための図である。
図6】検査装置を用いてインキの膜厚に対する測色値の応答性を確認した結果を示した図である。
図7】赤色インキの膜厚の変化に対する測色値の変化を示す図である。
図8】白色インキの膜厚の変化に対する測色値の変化を示す図である。
図9】画像データ取得処理の流れを示す図である。
図10】検査処理の流れを示す図である。
図11】実施形態2に係る検査装置に備えられた撮像装置を説明するための図である。
図12】実施形態3に係る検査装置に備えられた撮像装置を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。以下に説明される実施形態は、本発明のいくつかの例を示すものであって、本発明の内容を限定するものではない。また、実施形態で説明される構成及び動作の全てが本発明の構成及び動作として必須であるとは限らない。
【0032】
[実施形態1:検査装置の構成]
図1は、実施形態1に係る検査装置1の構成を示す上面図である。図2は、図1に示された検査装置1の構成を示す斜視図である。図3は、図1に示された検査装置1の機能的構成を示す図である。図4は、対象面W1、拡散筒10、第1光源20、第2光源30及びラインセンサ40のそれぞれの位置関係を説明するための図である。
【0033】
なお、図1は、回転機構(移動機構)50及び制御装置60の図示を省略している。図2は、拡散筒10を中心線Kに沿った方向で破断させた状態を示すと共に、第1光源20及び制御装置60の図示を省略している。図3は、回転機構50の図示を省略している。図4は、拡散筒10をその内周面11の中心線Kに直交する平面で切断した断面を示している。
【0034】
検査装置1は、検査対象物の対象面W1の印刷状態を検査する検査装置である。検査装置1は、対象面W1を照明し、対象面W1で反射された反射光を受光することによって、対象面W1の画像データを取得する撮像装置5を備える。対象面W1は、撮像装置5の撮像対象でもある。検査装置1は、対象面W1の画像データに基づいて、対象面W1の測色値を取得し、測色値に基づいて対象面W1の印刷状態を検査する。
【0035】
対象面W1は、少なくとも一部に、拡散筒10の長手方向に沿った軸線を曲率中心として拡散筒10側に凸状の曲面を有している。対象面W1の曲面を成す部分は、対象面W1の曲率中心W2と平行な母線を、曲率中心線W2を回転軸として周回させることによって描かれる面である。例えば、検査対象物が円筒である場合、円筒の側面である曲面を対象面とすることができる。実施形態1では、2ピース缶等の円筒状を成す金属缶を検査対象物Wとし、金属光沢を有する下地に印刷が施された金属缶の外周面を対象面W1とする。実施形態1に係る対象面W1の曲率中心線W2は、対象物Wの中心線と同一である。
【0036】
検査装置1は、図1図3に示されるように、拡散筒10と、第1光源20と、第2光源30と、ラインセンサ40と、回転機構50と、制御装置60とを備える。拡散筒10と、第1光源20と、第2光源30と、ラインセンサ40とが、検査装置1に備えられた撮像装置5を構成する。撮像装置5は、これらの構成要素に加えて、制御装置60に含まれる後述の作動制御部61と、回転機構50とを含んで構成されてよい。
【0037】
拡散筒10は、中空の筒状物であり、拡散筒10の内周面11は、少なくとも一部に、拡散筒10の中心軸を曲率中心とする曲面を有している。拡散筒10として、例えば、円筒を用いることができる。
拡散筒10は、その内周面11が拡散反射材で一様に覆われており、いわゆる積分球の代替物として機能する。拡散反射材は、硫酸バリウム又はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等を原料とする事が一般的であるが、それに限定されず、拡散反射率の高い白色の塗料や材料で構成されていれば良い。拡散筒10の底面12の内面側も拡散反射材で一様に覆われていることが好ましい。拡散筒10は、拡散筒10の長手方向と対象面W1の母線とが略平行になるように配置され、内周面11で拡散反射した拡散反射光で対象面W1を照明する。
【0038】
拡散筒10には、第1光源用ポート15と、第2光源用ポート16と、ラインセンサ用ポート17と、対象面用ポート18とが形成される。
【0039】
第1光源用ポート15は、第1光源20から内周面11に向けて出射した光を拡散筒10の内部に入射させるポートである。第1光源用ポート15は、対象面W1の母線(拡散筒10の長手方向)に沿って延びるスリット状に形成されてよい。
【0040】
ここで、図4に示されるように、対象面W1の母線であって、拡散筒10の内周面11の中心線Kに交差する対象面W1の法線W3と交差するような母線を、基準母線W4とする。好適には、法線W3は、内周面11の中心線Kに直交する対象面W1の法線である。好適には、基準母線W4は、中心線Kに直交する法線W3と直交し、且つ、内周面11の中心線Kと平行である。
【0041】
第1光源用ポート15は、図4に示されるように、基準母線W4を含み法線W3に対して角度αを成す平面Mが、拡散筒10と交差する位置に形成される。角度αは、例えば35°である。第1光源用ポート15は、拡散筒10の内周面11の中心線Kを含み法線W3に直交する平面Nよりも、対象面W1から遠い側に形成される。第1光源用ポート15は、対象面W1の母線に沿った長さが、対象面W1の母線の長さHよりも長くなるように形成されてよい。
【0042】
第2光源用ポート16は、対象面W1の母線(拡散筒10の長手方向)に沿って延びるスリット状に形成され、第2光源30から対象面W1に向けて出射した光を拡散筒10の内部に入射させるポートである。第2光源用ポート16は、図4に示されるように、基準母線W4を含み法線W3に対して角度βを成す平面Pが、拡散筒10と交差する位置に形成される。角度βは、0°~90°の範囲で光源やセンサが干渉しない角度であれば良く、本実施形態では、8°である。なお、第2光源用ポート16の寸法に係る構成については、図5を用いて後述する。
【0043】
ラインセンサ用ポート17は、対象面W1の母線(拡散筒10の長手方向)に沿って延びるスリット状に形成され、対象面W1で反射した乱反射光及び正反射光をラインセンサ40に向けて出射させるポートである。ラインセンサ用ポート17は、図4に示されるように、基準母線W4を含み、法線W3を対称軸として平面Pと線対称の関係にある平面Qが、拡散筒10と交差する位置に形成される。平面Qは、法線W3と角度βを成す。ラインセンサ用ポート17は、対象面W1の母線に沿った長さが、図2に示されるように、対象面W1の母線の長さHよりも長くなるように形成されてよい。
【0044】
対象面用ポート18は、対象面W1の母線(拡散筒10の長手方向)に沿って延びるスリット状に形成されている。対象面要ポート18は、第1光源用ポート15から入射し内周面11で拡散反射した拡散反射光を対象面W1へ出射させる。また、対象面用ポート18は、第2光源用ポート16から入射した光を、内周面11で反射させずに拡散筒10内を通過させて対象面W1へ直接光として出射させる。対象面用ポート18は、対象面W1で拡散反射光及び直接光を反射した乱反射光及び正反射光を含む反射光を拡散筒10の内部へ入射させるポートである。対象面用ポート18は、基準母線W4と対向し、法線W3が拡散筒10と交差する位置に形成される。対象面用ポート18は、対象面W1の母線に沿った長さが、図2に示されるように、対象面W1の母線の長さHよりも長くなるように形成されてよい。
【0045】
第1光源20から出射した光は、拡散筒10の内周面11で拡散反射して拡散反射光として対象面W1を照明する。第1光源20は、内周面11を向く姿勢で拡散筒10の外部に配置される。第1光源20は、その光軸21が、拡散筒10の外部から内周面11へ向かう方向に延びるように配置される。
【0046】
具体的には、第1光源20は、図4に示されるように、平面Nよりも対象面W1から遠い側に配置されると共に、その光軸21が、平面Nよりも対象面W1に近い側の内周面11へ向かう方向に延びるように配置される。それにより、第1光源20から出射した光は、第1光源用ポート15を通過して内周面11で複数回拡散反射した後に、対象面W1に入射し得る。すなわち、第1光源20は、内周面11で拡散反射しなかった光や、内周面11で1回だけ拡散反射した光で対象面W1を照明することを抑制し、内周面11で複数回拡散反射した均質な拡散反射光で対象面W1を照明することができる。
【0047】
第2光源30から出射した光は、拡散筒10の内周面11で反射せずに拡散筒10の内部を通過して直接光として対象面W1を照明する。第2光源30は、対象面W1を向く姿勢で拡散筒10の外部に配置される。第2光源30は、その光軸31が、拡散筒10の外部から対象面W1へ向かう方向に延びるように配置される。
【0048】
具体的には、第2光源30は、図4に示されるように、その光軸31が、平面Pに含まれて対象面W1へ延びるように配置される。すなわち、第2光源30は、その光軸31が、法線W3に対して特定の角度βを成して拡散筒10の外部から対象面W1へ延びるように配置される。それにより、第2光源30から出射した光は、第2光源用ポート16を通過して内周面11で反射せずに、角度βで対象面W1に入射し得る。すなわち、第2光源30は、内周面11で反射せずに拡散筒10の内部を通過した直接光で対象面W1を照明することができる。なお、第2光源30の寸法に係る構成については、図5を用いて後述する。
【0049】
第1光源20および第2光源30は可視光領域を発光する照明を用いる。照明の分光波形については、カメラ側でホワイトバランスを補正するため一般的なものを用いることができる。しかし、後述する第1様態、第2様態で別々のホワイトバランス補正を行うのが難しいため、第1光源20および第2光源30の分光波形は同一または近いものを用いるのが望ましい。
【0050】
ラインセンサ40は、対象面W1で拡散反射光を反射した乱反射光と第2光源30から出射した直接光を対象面W1で正反射した正反射光とを受光する。ラインセンサ40は、その受光素子の配列方向が、対象面W1の母線、すなわち、曲率中心線W2及び基準母線W4に沿って(拡散筒10の長手方向に沿って)延びるように配置される。ラインセンサ40は、受光された光を電気信号に変換して対象面W1の画像データを取得し、制御装置60へ出力する。なお、対象面W1の画像データを取得する手段としては、ラインセンサ40に限定されず、エリアセンサ又はカメラ等の、画像データを取得可能な各種センサで構成されてよい。
【0051】
具体的には、ラインセンサ40は、図4に示されるように、その光軸41が、平面Qに含まれて対象面W1へ延びるように配置される。すなわち、ラインセンサ40は、その光軸41が、法線W3に対して角度βを成して拡散筒10の外部から対象面W1へ延びるように配置される。それにより、第1光源20から出射して拡散筒10で拡散反射した拡散反射光が対象面W1で反射した乱反射光は、ラインセンサ用ポート17を通過してラインセンサ40に入射する。加えて、第2光源30から出射して対象面W1にて角度βで正反射した正反射光は、ラインセンサ用ポート17を通過してラインセンサ40に入射し得る。すなわち、ラインセンサ40は、対象面W1で反射した乱反射光と、対象面W1で反射した正反射光とを受光することができる。なお、ラインセンサ40の配置に係る構成については、図5を用いて後述する。
【0052】
対象面W1、拡散筒10の各ポート15~18、第1光源20、第2光源30、ラインセンサ40を、図4のような位置関係とすることで、第1光源20から出射した光は、拡散筒10で拡散反射し拡散反射光となり対象面W1で乱反射および正反射し、ラインセンサ40において主に乱反射光のみが受光される。これは第2光源用ポートがラインセンサに対して正反射となる位置にあるためこの部分では拡散反射せず、拡散反射光にはラインセンサに対して正反射となる角度の正反射成分が含まれないためである。一方、第2光源30から出射した光は、対象面W1で乱反射および正反射し、ラインセンサ40において主に正反射光のみが受光される。このため、第1光源20は、主としてラインセンサ40が受光する対象面W1の乱反射光の光源として機能し、第2光源30は、主としてラインセンサ40が受光する対象面W1の正反射光の光源として機能する。
【0053】
第1光源20、第2光源30、ラインセンサ40が設置される場所の雰囲気温度は、ラインセンサ40の受光感度や各光源の発光量に影響を与える。そのため、雰囲気温度の変化は±2℃以内にすることが望ましい。
【0054】
回転機構50(移動機構)は、対象面W1をラインセンサに対して、ラインセンサの受光素子の配列方向に交差する方向に相対的に移動させる。本実施形態においては、回転機構50は、対象面W1の曲率中心を回転軸として検査対象物を回転させる。回転機構50は、図2に示されるように、対象物Wを保持する保持部51と、保持部51を回転させる駆動部52とを含む。保持部51は、マンドレル又はテーブル等により構成される。駆動部52は、モータ等により構成される。
【0055】
制御装置60は、検査装置1の各構成要素を統括的に制御する装置である。制御装置60は、プロセッサ及び記憶装置を含むと共に、検査装置1の機能を実装したプログラムを含むコンピュータ等により構成される。
【0056】
制御装置60は、第1光源20、第2光源30、ラインセンサ40、回転機構50の作動を制御して、対象面W1の画像データを取得する。更に、制御装置60は、取得された画像データに基づいて対象面W1の測色値を取得し、取得された測色値に基づいて、対象面W1の印刷状態を検査する。本実施形態では、第1光源20、第2光源30、ラインセンサ40、回転機構50の作動を制御して、対象面W1の画像データを取得する処理を、「画像データ取得処理」とも称する。また、本実施形態では、画像データ取得処理によって取得された画像データに基づいて、対象面W1の測色値を取得し、対象面W1の印刷状態を検査する処理を、「検査処理」とも称する。また、本実施形態では、検査処理を行うことによって、対象面W1の印刷状態を検査する方法を、「検査方法」とも称する。画像データ取得処理及び検査処理のそれぞれの詳細については、図9及び図10を用いて後述する。
【0057】
制御装置60は、図3に示されるように、作動制御部61と、画像データ処理部62とを備える。
【0058】
作動制御部61は、画像データ取得処理を行うために第1光源20、第2光源30、ラインセンサ40及び回転機構50の作動を制御する。作動制御部61は、異なる2つの態様である第1態様又は第2態様で、対象面W1を照明して対象面W1の画像データを取得し得るよう、第1光源20、第2光源30及びラインセンサ40を作動させる。
【0059】
第1態様は、第1光源20及び第2光源30のそれぞれを点灯させて対象面W1を照明し、対象面W1で反射した乱反射光及び正反射光をラインセンサ40に受光させる態様である。言い換えると、第1態様は、拡散反射して対象面W1に入射する拡散反射光で対象面W1を照明すると共に、拡散反射せずに対象面W1に入射する直接光で対象面W1を照明して、対象面W1で反射した乱反射光及び正反射光を受光する態様である。
【0060】
第2態様は、第1光源20を点灯させると共に第2光源30を消灯させて対象面W1を照明し、対象面W1で反射した乱反射光をラインセンサ40に受光させる態様である。言い換えると、第2態様は、拡散反射して対象面W1に入射する拡散反射光で対象面W1を照明して、対象面W1で反射した乱反射光を受光する態様である。この際、拡散筒10の第2光源用ポート16は開口したままとなっているため、対象面W1を照明する拡散反射光にはラインセンサに対して正反射となる正反射成分が含まれず、ラインセンサ40は、正反射光を含まない乱反射光のみを受光する。
【0061】
なお、本実施例では第1態様、第2態様の切り替えを第2光源30の点灯・消灯で行っているが、これに限定されず、第2光源30は用いずに反射材が塗布された蓋で第2光源用ポート16を開閉する方法でも良い。
【0062】
また、第1態様、第2態様の切り替えを行わずに第1態様のみ用いる場合は、第2光源用ポート16の無い拡散筒を用いても良い。これにより拡散反射光に、ラインセンサに対して正反射となる正反射成分を含めることが出来る。
また、第1態様、第2態様の切り替えを行わずに第2態様のみ用いる場合は、第2光源は用いずに、ラインセンサに対して正反射となる位置に光を逃がすポートを有する拡散筒10を用いたり、ラインセンサに対して正反射となる位置に拡散反射材の無い拡散筒10を用いたりしても良い。第1態様又は第2態様で取得された画像データと印刷状態の検査と関係については、図6図8を用いて後述する。
【0063】
作動制御部61は、第1光源20、第2光源30及びラインセンサ40の作動に同期して、回転機構50の作動を制御する。作動制御部61は、第1態様及び第2態様のそれぞれにおいて、対象面W1がその円周方向に複数周回転するよう回転機構50を作動させる。回転機構50の作動内容の詳細については、図9を用いて後述する。
【0064】
画像データ処理部62は、画像データ取得処理によって取得された画像データに基づいて検査処理を行う。画像データ処理部62は、ラインセンサ40で受光された光に応じた対象面W1の画像データに基づいて対象面W1の測色値を取得する測色部63と、測色部63により取得された測色値に基づいて対象面W1の印刷状態の良否を判断する判断部64とを含む。
【0065】
測色部63は、ラインセンサ40により取得された対象面W1のRGB色空間の画像データをXYZ空間へ変換を行い、さらにCIELAB空間へ変換し、L表色系におけるL値、a値及びb値等の、機器に依存しない測色値を取得する。CIELAB空間へ変換することで、明るさの変化や、人の感性に近い色差を取得することが可能となる。測色部63は、画像データの所定領域毎に測色値を取得する。この所定領域は、1つの画素の領域であってもよし、複数の画素が占める領域であってもよい。測色部63は、取得された測色値を判断部64へ出力する。
【0066】
判断部64は、測色部63により取得された測色値と基準画像データの測色値との色差(ΔL値、Δa値、Δb値、ΔE値、ΔE00値など)が、許容範囲以内に有るか否かを判断することによって、対象面W1の印刷状態の良否を判断する。測色値の許容範囲は、色毎に異なる。測色値の許容範囲は、ラインセンサ40により取得された画像データの所定領域毎に予め定められる。この所定領域は、測色部63が測色値を取得する単位となる上述の所定領域と同一である。測色値の許容範囲は、対象面W1の印刷状態が良好な状態において取得される測色値の上限値及び下限値から定められてよい。
【0067】
[実施形態1:ラインセンサ、第2光源用ポート及び第2光源の詳細]
図5は、第2光源用ポート16及び第2光源30の詳細構成を説明するための図である。図5(a)は、図2の一部を拡大した図である。図5(b)は、図5(a)を側面から視て模式的に示す図である。
【0068】
図5(b)において、ラインセンサの受光素子の配列方向における対象面W1の長さをHとする。対象面W1の母線の長さHは、対象物Wである金属缶のハイト寸法を示す。対象面W1から拡散筒10までの距離をAとする。対象面W1から第2光源30までの距離をLとする。拡散筒10の直径をDとする。対象面W1に対するラインセンサ40の視野角をθとする。対象面W1に対するラインセンサ40の視野42が、対象面W1で正反射したと仮定した場合に、第2光源用ポート16及び第2光源30へ向かって延びる仮想視野を42’とする。
【0069】
ラインセンサ40の視野42は、対象面W1において、対象面W1の母線に沿って延びるように形成される。また、ラインセンサ40の視野42は、対象面W1における母線に沿った長さが、対象面W1の母線の長さH以上であると、好適である。対象面W1において、視野42の母線に沿った長さが母線の長さHより短いと、検査装置1では、対象面W1の画像を取得する際に、対象面W1の母線に沿った方向に対してラインセンサ40又は対象面W1を走査する必要が生じるからである。よって、ラインセンサ40は、対象面W1における視野42の母線に沿った長さが、母線の長さH以上となるように設けられる。ただし、対象面の一部の範囲を検査する場合は、視野42は母線の長さH以下でもよい。
【0070】
また、対象面W1に対するラインセンサ40の視野42が、対象面W1で正反射し、第2光源用ポート16に到達すると仮定する。第2光源用ポート16の位置における仮想視野42’の母線に沿った長さ(拡散筒の長手方向に沿う長さ)を、第1所定長Y1とする。第1所定長Y1が母線の長さHより長くなる部分の寸法の半値をX1とする。すると、X1及びY1は、次のような式(1)及び式(2)で表される。
X1=(A+D)tan(θ/2)・・・(1)
Y1=2×X1+H=2(A+D)tan(θ/2)+H・・・(2)
【0071】
第2光源用ポート16の母線に沿った長さが第1所定長Y1以下であると、第1光源20を点灯させると共に第2光源30を消灯させて対象面W1を照明する上述の第2態様において、次のような事象が発生する可能性が有る。すなわち、第1光源20から出射し拡散筒10で拡散反射した光の一部が、第2光源用ポート16付近の内周面11で反射すると、対象面W1を照明し、ラインセンサ40に正反射光として入射してしまう事象が発生する可能性が有る。このような事象は、対象面W1における乱反射光のみをラインセンサ40に受光させるという第2態様の意図から外れており、対象面W1の印刷状態に係る検査結果の正確性に支障を来たす可能性が有る。よって、第2光源用ポート16の長手方向に沿う長さが、第1所定長Y1よりも長くなるように形成される。
【0072】
対象面W1から拡散筒10までの距離Aについては、対象面と接触しない範囲で近づけることが好ましい。Aの設定範囲としては5mm以下とし、対象物毎のAのバラツキは±0.5mm以内とすることが好ましい。
【0073】
また、第1光源20を点灯させると共に第2光源30を消灯させて対象面W1を照明する上述の第2態様において、次のような事象が発生する可能性が有る。すなわち、第1光源20から出射し拡散筒10で拡散反射した光の一部が、第2光源30の発光面で反射して対象面W1を照明し、ラインセンサ40に正反射光として入射してしまう事象が発生する可能性が有る。このような事象は、対象面W1における乱反射光のみをラインセンサ40に受光させるという第2態様の意図から外れており、対象面W1の印刷状態に係る検査結果の正確性に支障を来たす可能性が有る。よって、第2光源30は、第1光源20から出射した光の一部が第2光源30の発光面で反射しても、第2光源用ポート16から拡散筒10の内部へ再入射し難くなるよう、第2光源用ポート16から所定距離だけ離間して配置される。それにより、検査装置1は、拡散筒10に光トラップが無くても、対象面W1の印刷状態を正確に検査することができる。
【0074】
本実施形態では、この所定距離として、第2光源用ポート16から第2光源30までの距離(図5(b)に示されたL-(A+D))が、50mm以上に設定される。また、第2光源30が第2光源用ポート16から離れすぎると対象面W1を照明する光が弱くなるため、この所定距離の上限値は、90mmに設定される。但し、この所定距離の上限値は、第2光源30の強さに応じて適宜設定される。
【0075】
また、対象面W1に対するラインセンサ40の視野42が、対象面W1で正反射し、第2光源30に到達すると仮定する。第2光源30の位置における仮想視野42’の母線に沿った長さ(拡散筒の長手方向に沿う長さ)を、第2所定長Y2とする。第2所定長Y2が母線の長さHより長くなる部分の寸法の半値をX2とする。すると、X2及びY2は、次のような式(3)及び式(4)で表される。
X2=Ltan(θ/2)・・・(3)
Y2=2×X2+H=2Ltan(θ/2)+H・・・(4)
【0076】
第2光源30の母線に沿った長さが第2所定長Y2より短いと、第2光源30が対象面W1を照明する際に、対象面W1の母線端部付近において光量が不足する事象が発生する可能性が有る。このような事象は、対象面W1の印刷状態に係る検査結果の正確性に支障を来たす可能性が有る。よって、第2光源30は、母線に沿った長さが、第2所定長Y2以上となるように設けられる。
【0077】
また、第2光源30の光軸とラインセンサ40の光軸の交点は、図4に示すように対象面W1の頂点にあるのが望ましい。しかし、対象物Wの位置のバラツキにより第2光源30およびラインセンサ40と対象物Wの距離がズレる場合がある。この距離がズレると、撮像した画像データの測色値が変化するため、このズレは±0.5mm以内とするのが望ましい。
【0078】
[実施形態1:インキの種類毎の測色性能]
図6は、検査装置1を用いてインキの膜厚に対する測色値の応答性を確認した結果を示した図である。図7は、赤色インキの膜厚の変化に対する測色値の変化を示す図である。図8は、白色インキの膜厚の変化に対する測色値の変化を示す図である。
【0079】
図6において、「インキの種類」の列は、対象面W1の印刷に用いられる代表的なインキを色毎に示している。「照明」の列は、第1光源20及び第2光源30の両方を点灯して応答性を確認したのか、第1光源20のみを点灯して応答性を確認したのかを示す。「拡散筒無し」の列は、拡散筒10を使用せずに、正反射照明及び正反射と異なる角度から直接照射した照明を使用して応答性を確認した結果を示す。「拡散筒有り」の列は、拡散筒10を使用して応答性を確認した結果を示す。「×」の記号は、応答性を確認できなかったことを示す。「○」の記号は、応答性を十分に確認できたことを示す。「△」の記号は、応答性を確認できたが不十分だったことを示す。
【0080】
図6に示されるように、拡散筒10を使用しない場合には、インキの膜厚に対する測色値の応答性を確認できるインキと確認できないインキとが混在することが分かる。これに対し、拡散筒10を使用した場合には、対象面W1の印刷に用いられる代表的なインキにおいて、インキの膜厚に対する測色値の応答性を概ね確認できることが分かる。
【0081】
具体例を挙げて説明する。図7の実線は、拡散筒10を使用して、赤色インキの膜厚の変化に対するL値の変化を確認した結果を示す。図7の破線は、拡散筒10を使用せずに、赤色インキの膜厚の変化に対するL値の変化を確認した結果を示す。白色以外のインキでは、インキの膜厚が増加すると、照明される白色光のうちインキで吸収される波長成分が増加し、インキで反射される波長成分が減少する得るため、L値は低下する。
【0082】
図7の実線は、赤色インキの膜厚が増加するとL値が低下する関係を示しており、白色以外のインキにおいて、拡散筒10を使用した場合には、インキの膜厚に対する測色値の応答性を十分に確認できることが分かる。一方、図7の破線は、赤色インキの膜厚が増加してもL値が余り変化しておらず、白色以外のインキにおいて、拡散筒10を使用しない場合には、インキの膜厚に対する測色値の応答性を十分に確認できるとは限らないことが分かる。
【0083】
但し、図6に示されるように、拡散筒10を使用した場合でも、白色インキでは、第1光源20及び第2光源30の両方を点灯すると、インキの膜厚に対する測色値の応答性を十分に確認できないが、第1光源20のみを点灯すると、この応答性を十分に確認できる。
【0084】
具体例を挙げて説明する。図8の実線は、拡散筒10を使用し、第1光源20のみを点灯させて、白色インキの膜厚の変化に対するL値の変化を確認した結果を示す。図8の破線は、拡散筒10を使用し、第1光源20及び第2光源30を点灯させて、白色インキの膜厚の変化に対するL値の変化を確認した結果を示す。白色インキでは、インキの膜厚が増加すると、照明される白色光のうちインキで反射される波長成分が増加し、インキで吸収される波長成分が減少する得るため、L値は増加する。
【0085】
図8の実線は、白色インキの膜厚が増加するとL値が増加する関係を示しており、白色インキにおいて、拡散筒10を使用し、第1光源20のみを点灯させた場合には、インキの膜厚に対する測色値の応答性を十分に確認できることが分かる。一方、図8の破線は、白色インキの膜厚が減少すると、L値が一旦減少した後に再び増加するように変化しており、拡散筒10を使用しても、第1光源20及び第2光源30の両方を点灯した場合には、インキの膜厚に対する測色値の応答性を確認できないことが分かる。これは、対象面W1の下地が、正反射率の高いアルミ地等の、光沢を有する金属の下地で構成されていることが原因である。白色インキは膜厚が減少するとL値が一旦減少するが、更に白色インキの膜厚が減少すると、正反射率の高いアルミ地の影響が大きくなり、アルミ地における正反射光がラインセンサ40に受光される割合が大きくなるためである。
【0086】
このようなことから、制御装置60の作動制御部61は、第1態様として、第1光源20及び第2光源30のそれぞれを点灯させて対象面W1を照明し、対象面W1で反射した乱反射光及び正反射光をラインセンサ40に受光させる。制御装置60の作動制御部61は、第2態様として、第1光源20を点灯させると共に第2光源30を消灯させて対象面W1を拡散反射光により照明し、対象面W1で反射した乱反射光をラインセンサ40に受光させる。ラインセンサ40は、乱反射光及び正反射光に応じた画像データを、第1態様で取得された第1画像データとして記憶し、乱反射光に応じた画像データを、第2態様で取得された第2画像データとして記憶する。
【0087】
測色部63は、第1画像データに基づいて、乱反射光及び正反射光が示す測色値を取得すると共に、第2画像データに基づいて、乱反射光が示す測色値を取得する。判断部64は、対象面W1のうち白色で印刷された領域に対しては、第2画像データに基づき取得された第2測色値に基づいて印刷状態の良否を判断する。判断部64は、対象面W1のうち白色以外の色で印刷された領域(前記第2測色値を用いて前記印刷状態の良否を判断した領域以外の領域)に対しては、第1画像データに基づき取得された第1測色値に基づいて印刷状態の良否を判断する。
【0088】
それにより、検査装置1は、様々な色のインキが様々な膜厚で対象面W1に印刷されていても、対象面W1の測色値を正確に取得することができるため、対象面W1の印刷状態を正確に検査することができる。
【0089】
なお、本実施形態では、白色については、第2画像データによって印刷状態の良否判断を行っているが、白色に限定されず、図8の実線のように第2態様で良好な応答性を示す色であれば本技術を適用可能である。また、本実施形態では、対象面W1を円柱面状の金属缶の外周面としているが、対象面W1は円柱面状に限定されず、平面や任意の曲面でも本技術が適用可能である。
【0090】
[実施形態1:画像データ取得処理]
図9は、画像データ取得処理の流れを示す図である。
【0091】
検査対象物Wが金属缶である場合、検査装置1は、検査対象物Wに印刷を施す印刷機を備えた製造ラインに組み込まれて設けられ得る。検査装置1の制御装置60は、検査対象物Wが、印刷機から対象面用ポート18に搬送されると、画像データ取得処理を行う。
【0092】
ステップS901において、制御装置60は、第1光源20及び第2光源30のそれぞれを点灯させ、対象面W1を照明する。
【0093】
ステップS902において、制御装置60は、ラインセンサ40の受光を開始させ、対象面W1の画像データを取得し始める。ラインセンサ40で受光される光は、対象面W1で反射した乱反射光及び正反射光である。すなわち、制御装置60は、ステップS901及びステップS902において、第1光源20、第2光源30及びラインセンサ40を第1態様で作動させる。
【0094】
ステップS903において、制御装置60は、回転機構50の駆動を開始させ、対象面W1を回転させる。
【0095】
ステップS904において、制御装置60は、対象面W1がその円周方向に複数周回転したか否かを判断する。制御装置60は、回転機構50に設けられたロータリエンコーダの検出値や、制御装置60に設けられたタイマカウンタの計数値等を参照することによって、対象面W1が複数周回転したか否かを判断することができる。制御装置60は、対象面W1が複数周回転していない場合、対象面W1が複数周回転するまで待機する。一方、制御装置60は、対象面W1が複数周回転した場合、ステップS905へ移行する。
【0096】
ステップS905において、制御装置60は、ラインセンサ40の受光を停止する。制御装置60は、対象面W1の画像データを取得し終わる。
【0097】
ステップS906において、制御装置60は、取得された画像データを、第1態様で取得された第1画像データとして記憶する。
【0098】
ステップS907において、制御装置60は、第2光源30を消灯させる。
【0099】
ステップS908において、制御装置60は、ラインセンサ40の受光を開始させ、対象面W1の画像データを取得し始める。第1光源20は点灯した状態であるが、第2光源30は消灯した状態である。ラインセンサ40で受光される光は、対象面W1で反射した乱反射光である。すなわち、制御装置60は、ステップS907及びステップS908において、第1光源20、第2光源30及びラインセンサ40を第2態様で作動させる。
【0100】
ステップS909において、制御装置60は、ステップS904と同様に、対象面W1がその円周方向に複数周回転したか否かを判断する。制御装置60は、対象面W1が複数周回転していない場合、対象面W1が複数周回転するまで待機する。一方、制御装置60は、対象面W1が複数周回転した場合、ステップS910へ移行する。
【0101】
ステップS910において、制御装置60は、ステップS905と同様に、ラインセンサ40の受光を停止する。
【0102】
ステップS911において、制御装置60は、取得された画像データを、第2態様で取得された第2画像データとして記憶する。
【0103】
ステップS912において、制御装置60は、回転機構50の駆動を停止する。その後、制御装置60は、本処理を終了する。本処理が終了すると、制御装置60は、図10に示された検査処理を行う。本処理の対象となった対象物Wは、次工程に搬送される。制御装置60は、印刷機から新たな対象物Wが搬送されると、新たな対象物Wに対して本処理を行う。
【0104】
なお、本実施形態では第1画像データ、第2画像データの順に画像データを取得しているが、この順番に限定されずどちらの画像データを先に取得しても良い。また、第1態様のみ又は第2態様のみで検査が可能な場合は、どちらか一方の画像データのみを取得しても良い。
【0105】
図9に示された画像データ取得処理では、制御装置60は、対象面W1がその円周方向に複数周回転している間、対象面W1の画像データを取得し続けている。このため、図9に示された画像データ取得処理では、制御装置60は、対象面W1が複数回重複して出現するような画像データを取得し得る。1周回転分の画像データの場合では、画像データの取得開始位置によっては印刷の端部が画像データの中央部に位置する可能性があり、中途半端な位置で分断された画像データとなる。このため、制御装置60は、少なくとも2周回転分以上の画像データを取得することによって、画像データの取得開始位置が対象面W1の円周方向で対象物W毎に異なっていても、対象面W1の全周が分断されずに常に出現するような画像データを取得することができる。それにより、検査装置1では、対象物Wが印刷機から対象面用ポート18に搬送された際に、対象物Wを円周方向に回転させて位置合わせを行う必要がなく、対象物Wの位置合わせが容易になる。
【0106】
[実施形態1:検査処理]
図10は、検査処理の流れを示す図である。
【0107】
ステップS1001において、制御装置60は、第1態様で取得された第1画像データにおいて、有効範囲を指定する。上述のように、図9に示された画像データ取得処理では、制御装置60は、第1態様及び第2態様のそれぞれにおいて、対象面W1をその円周方向に複数周回転させるため、対象面W1が複数回重複して出現するような画像データを取得し得る。制御装置60は、対象面W1が複数回重複して出現するような画像データのうちから重複して出現した範囲を除外し、1周分の対象面W1が出現した範囲を、検査の有効範囲に指定する。
【0108】
ステップS1002において、制御装置60は、指定された有効範囲内の所定領域毎に測色値を取得する。この所定領域は、1つの画素の領域であってもよし、複数の画素が占める領域であってもよい。この所定領域は、対象面W1に印刷される画像に応じて予め定められる。
【0109】
ステップS1003において、制御装置60は、取得された測色値が、白色以外の色の許容範囲以内にあるか否かを判断する。この許容範囲は、第1態様で取得された第1画像データの所定領域毎に予め定められる。この許容範囲は、白色以外の色毎に予め定められる。この所定領域は、ステップS1002において測色値を取得する単位となる上述の所定領域と同一である。制御装置60は、取得された測色値が許容範囲以内に無い場合、ステップS1005へ移行する。一方、制御装置60は、取得された測色値が許容範囲以内に有る場合、ステップS1004へ移行する。
【0110】
すなわち、制御装置60は、ステップS1001~ステップS1003において、対象面W1のうち白色以外の色で印刷された領域に対しては、第1態様で取得された第1画像データに基づき取得された測色値に基づいて、対象面W1の印刷状態の良否を判断する。言い換えると、制御装置60は、対象面W1のうち白色以外の色で印刷された領域に対しては、対象面W1で反射した乱反射光及び正反射光が示す測色値に基づいて、対象面W1の印刷状態の良否を判断する。
【0111】
ステップS1004において、制御装置60は、対象面W1において、白色以外の色の印刷状態が良好であると判断する。その後、制御装置60は、ステップS1007へ移行する。
【0112】
ステップS1005において、制御装置60は、対象面W1において、白色以外の色の印刷状態が不良である判断する。
【0113】
ステップS1006において、制御装置60は、不良箇所を特定する。制御装置60は、ステップS1001で指定された有効範囲内のうちから、許容範囲以内に無かった測色値を取得した領域を特定することによって、不良箇所を特定する。その後、制御装置60は、ステップS1007へ移行する。
【0114】
ステップS1007において、制御装置60は、ステップS1001と同様に、第2態様で取得された画像データにおいて、有効範囲を指定する。
【0115】
ステップS1008において、制御装置60は、ステップS1002と同様に、指定された有効範囲内の所定領域毎に測色値を取得する。
【0116】
ステップS1009において、制御装置60は、取得された測色値が、白色の許容範囲以内にあるか否かを判断する。この許容範囲は、第2態様で取得された第2画像データの所定領域毎に予め定められる。この所定領域は、ステップS1008において測色値を取得する単位となる上述の所定領域と同一である。制御装置60は、取得された測色値が許容範囲以内に無い場合、ステップS1011へ移行する。一方、制御装置60は、取得された測色値が許容範囲以内に有る場合、ステップS1010へ移行する。
【0117】
すなわち、制御装置60は、ステップS1007~ステップS1009において、対象面W1のうち白色で印刷された領域に対しては、第2態様で取得された第2画像データに基づき取得された測色値に基づいて、対象面W1の印刷状態の良否を判断する。言い換えると、制御装置60は、対象面W1のうち白色で印刷された領域に対しては、対象面W1で反射した乱反射光が示す測色値に基づいて、対象面W1の印刷状態の良否を判断する。
【0118】
ステップS1010において、制御装置60は、対象面W1において、白色の印刷状態が良好であると判断する。その後、制御装置60は、ステップS1013へ移行する。
【0119】
ステップS1011において、制御装置60は、対象面W1において、白色の印刷状態が不良である判断する。
【0120】
ステップS1012において、制御装置60は、ステップS1006と同様に、不良箇所を特定する。その後、制御装置60は、ステップS1013へ移行する。
【0121】
ステップS1013において、制御装置60は、検査結果を報知する。例えば、制御装置60は、ステップS1004~ステップS1006の結果、及び/又は、ステップS1010~ステップS1012の結果を、ディスプレイに表示したり、外部の生産管理装置へ送信したりする。生産管理装置は、検査装置1とは離れた場所で、検査装置1が組み込まれた製造ラインの稼動状態を集中的に管理する装置である。また、制御装置60は、印刷状態が不良と判断された場合には、スピーカ及び/又はランプ等にて警報を発報してもよい。その後、制御装置60は、本処理を終了する。
【0122】
なお、本実施形態では、第1画像データ、第2画像データの順で検査処理を行っているが、この順番に限定されずどちらの画像データを先に検査処理しても良い。また、第1態様のみ又は第2態様のみで検査が可能な場合は、どちらか一方の画像データのみ検査処理しても良い。
【0123】
[実施形態1:作用効果]
以上のように、実施形態1に係る検査装置1は、撮像装置5を備える。撮像装置5は、第1光源20と、第2光源30と、拡散反射材で覆われ、内周面11の少なくとも一部に、拡散筒10の中心軸を曲率中心とする曲面を有する拡散筒10と、を備え、第1光源から出射した光が、拡散筒10の内周面11で拡散反射した拡散反射光が対象面W1を照明するとともに、第2光源から出射した光が、内周面11で反射せずに拡散筒10の内部を通過して直接光として対象面W1を照明する。そして、撮像装置5は、拡散反射光が対象面W1で反射した乱反射光と、直接光が対象面W1で反射した正反射光とを受光するラインセンサ40を備える。
【0124】
このため、実施形態1に係る検査装置1では、撮像装置5が、大型の積分球を用いなくても、曲面状の対象面W1に対して拡散光を比較的均一に照明することができると共に、対象面W1で反射した乱反射光及び正反射光に応じて、対象面W1の鮮明な画像データを取得することができる。よって、実施形態1に係る検査装置1では、撮像装置5が、対象面W1の印刷状態を簡易且つ正確に把握することができる。
【0125】
更に、実施形態1に係る検査装置1では、対象面W1は、少なくとも一部に、拡散筒10の長手方向に沿った軸線を曲率中心として拡散筒10側に凸状の曲面を有し、拡散筒10の内周面11は、少なくとも一部に、拡散筒10の中心軸を曲率中心とする曲面を有している。そして、実施形態1に係る検査装置1では、撮像装置5が、対象面W1の曲率中心を回転軸として検査対象物を回転させることにより、対象面W1をラインセンサに対して、ラインセンサの受光素子の配列方向に交差する方向に相対的に移動させる回転機構50を備える。
【0126】
すなわち、実施形態1に係る検査装置1では、撮像装置5が、対象面W1の曲面形状に即した形状に形成された拡散筒10の内周面11で拡散反射した光によって、対象面W1を回転させながら照明する。このため、実施形態1に係る検査装置1では、撮像装置5が、大型の積分球を用いなくても円柱面状の対象面W1に対して拡散光を更に均一に照明しながら、対象面W1の画像データを円滑に取得することができる。それにより、実施形態1に係る検査装置1では、撮像装置5が、簡易な構成であっても、曲面を有する対象面W1の印刷状態を正確に把握することができる。よって、実施形態1に係る検査装置1では、撮像装置5が、対象面W1の印刷状態を更に簡易且つ正確に把握することができる。
【0127】
更に、実施形態1に係る検査装置1において、第1光源20は、その光軸21が、拡散筒10の外部から拡散筒10の内周面11へ向かう方向に延びるように配置される。第2光源30は、その光軸31が、法線W3に対して特定の角度βを成して拡散筒10の外部から対象面W1へ延びるように配置される。ラインセンサ40は、その光軸41が、法線W3に対して角度βを成して拡散筒10の外部から対象面W1へ延びるように配置されると共に、その受光素子の配列方向が、対象面W1の母線に沿って延びるように配置される。そして、拡散筒10には、第1光源20、第2光源30、ラインセンサ40及び対象面W1の位置関係に対応して、第1光源用ポート15、第2光源用ポート16、ラインセンサ用ポート17及び対象面用ポート18が形成される。
【0128】
このため、実施形態1に係る検査装置1では、撮像装置5が、第1光源20及び第2光源30を拡散筒10の内部に配置せずに、円柱面状の対象面W1に対して拡散光を均一に照明することができる。加えて、撮像装置5では、ラインセンサ40が円柱面状の対象面W1に即した視野42を確保することができるため、対象面W1で反射した乱反射光及び正反射光をラインセンサ40に適切に受光させることができる。それにより、実施形態1に係る検査装置1では、撮像装置5が、拡散筒10の構造の簡素化を図りつつも、対象面W1の印刷状態を正確に把握することができる。よって、実施形態1に係る検査装置1では、撮像装置5が、対象面W1の印刷状態をより簡易且つ正確に把握することができる。
【0129】
更に、実施形態1に係る検査装置1では、第2光源用ポート16は、対象面W1の母線に沿った長さが、第1所定長Y1よりも長くなるように形成される。このため、撮像装置5では、第1光源20のみが対象面W1を照明する際、第1光源20から出射した光が、第2光源用ポート16付近の内周面11で反射して対象面W1を照明し、ラインセンサ40に正反射光として不意に入射することを抑制することができる。それにより、撮像装置5では、ラインセンサ40が迷光を受光することを抑制することができるため、簡易な構成であっても対象面W1の印刷状態をより正確に把握することができる。よって、実施形態1に係る検査装置1では、撮像装置5が、対象面W1の印刷状態をより簡易且つ正確に把握することができる。
【0130】
更に、実施形態1に係る検査装置1では、第2光源30は、拡散筒の長手方向に沿う長さが、第2所定長Y2以上となるように形成される。このため、撮像装置5では、第2光源30が対象面W1を照明する際に、対象面W1の長手方向端部付近において光量が不足することを抑制することができる。それにより、実施形態1に係る検査装置1では、撮像装置5が、対象面W1の長手方向端部付近においても印刷状態を正確に把握することができる。よって、実施形態1に係る検査装置1では、撮像装置5が、対象面W1の印刷状態をより簡易且つ正確に把握することができる。
【0131】
更に、実施形態1に係る検査装置1では、第1光源20が、内周面11の中心線Kを含み法線W3に直交する平面Nよりも対象面W1から遠い側に配置される。しかも、第1光源20は、その光軸21が、平面Nよりも対象面W1に近い側の内周面11へ向かう方向に延びるように配置される。このため、撮像装置5では、第1光源20が、内周面11で拡散反射しなかった光や、内周面11で1回だけ拡散反射した光で対象面W1を照明することを抑制することができる。それにより、実施形態1に係る検査装置1では、撮像装置5が、内周面11で複数回拡散反射した均質な光で対象面W1を照明することができるため、簡易な構成であっても対象面W1の印刷状態をより正確に把握することができる。よって、実施形態1に係る検査装置1では、撮像装置5が、対象面W1の印刷状態をより簡易且つ正確に把握することができる。
【0132】
更に、実施形態1に係る検査装置1では、撮像装置5が、第1光源20及び第2光源30のそれぞれを点灯させて、乱反射光及び正反射光をラインセンサ40に受光させる第1態様と、第1光源20を点灯させると共に第2光源30を消灯させて、乱反射光をラインセンサ40に受光させる第2態様とによって、第1光源20、第2光源30及びラインセンサ40を作動させる。このため、撮像装置5では、拡散筒10に光トラップが無くても、ラインセンサ40に乱反射光及び正反射光を受光させるのか、乱反射光のみを受光させるのかを自在に切り替えることができる。それにより、実施形態1に係る検査装置1では、撮像装置5が、簡易な構成であっても対象面W1の様々な印刷状態を正確に把握することができる。よって、実施形態1に係る検査装置1では、撮像装置5が、対象面W1の印刷状態をより簡易且つ正確に把握することができる。
【0133】
更に、実施形態1に係る検査装置1では、撮像装置5が、第1光源20、第2光源30及びラインセンサ40の作動に同期して回転機構50を制御し、第1態様及び第2態様のそれぞれにおいて対象面W1が円周方向に複数周回転するよう回転機構50を作動させる。このため、実施形態1に係る検査装置1では、撮像装置5が、対象面W1が複数回重複して出現するような画像データを取得し得る。それにより、撮像装置5では、画像データの取得開始位置が、対象面W1の円周方向で対象物W毎に異なっていても、対象物Wを円周方向に回転させて位置合わせを行う必要がなく、対象物Wの位置合わせが容易になる。よって、実施形態1に係る検査装置1では、撮像装置5が、対象面W1の印刷状態をより簡易且つ正確に把握することができる。
【0134】
更に、実施形態1に係る検査装置1は、ラインセンサ40で受光された光に応じた対象面W1の画像データに基づいて対象面W1の測色値を取得する測色部63と、測色部63にて取得された測色値に基づいて被検査面W1の印刷状態の良否を判断する判断部64とを備える。そして、実施形態1に係る検査装置1では、判断部64が、対象面W1のうち白色で印刷された領域に対しては、乱反射光が示す測色値に基づいて対象面W1の印刷状態の良否を判断し、白色以外の色で印刷された領域(乱反射光が示す測色値に基づいて対象面W1の印刷状態の良否を判断した領域以外の領域)に対しては、乱反射光及び正反射光が示す測色値に基づいて対象面W1の印刷状態の良否を判断する。
【0135】
このため、実施形態1に係る検査装置1は、いわゆる分光測色計のような高価な装置を用いなくても、対象面W1の測色値を取得することができる。加えて、実施形態1に係る検査装置1は、様々な色のインキが様々な膜厚で対象面W1に印刷されていても、対象面W1の測色値を正確に取得することができるため、対象面W1の印刷状態を正確に把握することができる。よって、実施形態1に係る検査装置1は、対象面W1の印刷状態をより簡易且つ正確に把握し、検査することができる。
【0136】
更に、実施形態1に係る検査装置1は、対象面W1が、金属光沢を有する下地に印刷が施された面である。すなわち、実施形態1に係る検査装置1では、対象面W1の下地が、正反射率の高い材料で構成されても、インキの膜厚に対する応答性を十分に確保でき、対象面W1の印刷状態を把握することができる。よって、実施形態1に係る検査装置1は、対象面W1の下地が正反射率の高い材料で構成されても、対象面W1の印刷状態をより簡易且つ正確に把握し、検査することができる。
【0137】
[他の実施形態]
実施形態2及び3に係る検査装置1について説明する。実施形態2及び3に係る検査装置1の説明において、実施形態1に係る検査装置1と同様の構成及び動作に係る説明については、重複する説明となるため省略する。
【0138】
図11は、実施形態2に係る検査装置1に備えられた撮像装置5を説明するための図である。
【0139】
実施形態1に係る撮像装置5では、図4に示されるように、第2光源30の光軸31とラインセンサ40の光軸41との交点が基準母線W4上に位置するように、第2光源30及びラインセンサ40が配置される。それにより、実施形態1に係る撮像装置5では、第2光源30から出射された直接光を対象面W1で正反射した正反射光がラインセンサ40に適切に受光され得るため、対象面W1の測色値を正確に取得し、対象面W1の印刷状態を正確に把握することができる。
【0140】
これに対し、実施形態2に係る撮像装置5では、第2光源30の光軸31とラインセンサ40の光軸41との交点が、対象面W1の拡散筒10側の所定範囲内に位置するように、第2光源30及びラインセンサ40を配置する。より具体的には、図11に示されるように、第2光源30の光軸31とラインセンサ40の光軸41との交点が、基準母線W4上ではなく、一対の母線W5で区切られた対象面W1の範囲内に位置するように、第2光源30及びラインセンサ40を配置する。一対の母線W5は、対象面W1の曲率中心線W2を回転軸として対象面W1の円周方向に沿って基準母線W4から第2光源30側に所定角度φ1、第1光源20側に所定角度φ2だけ正逆回転させた位置にある母線である。
【0141】
所定角度φ1は、正反射光に係る角度βと同値であると好適である。所定角度φ1が角度β以上となると、対象面W1で正反射した光が第2光源30と干渉し、ラインセンサ40で適切に受光されない可能性が生じ得るからである。また、所定角度φ2は、(α+β)/2であると好適である。所定角度φ2が(α+β)/2以上となると、対象面W1で正反射した光が第1光源20と干渉し、ラインセンサ40で適切に受光されない可能性が生じ得るからである。
【0142】
このような構成により、実施形態2に係る撮像装置5では、第2光源30の光軸31とラインセンサ40の光軸41との交点を基準母線W4上と異なる位置に設定しても、ラインセンサ40を適切な位置に配置することができる。それにより、実施形態2に係る撮像装置5では、撮像装置5の設置位置の自由度が増し、対象面W1の印刷状態をより簡易に把握することができる。
【0143】
図12は、実施形態3に係る検査装置1に備えられた撮像装置5を説明するための図である。
【0144】
実施形態1に係る検査装置1撮像装置5では、対象物Wが金属缶であり、対象面W1が金属光沢を有する金属缶の外周面である。これに対し、実施形態3に係る撮像装置5では、図12に示されるように、対象物Wがフィルム状物又はシート状物であり、対象面W1がフィルム状物又はシート状物の表面であってよい。特に、実施形態3に係る対象物Wは、表面に金属光沢を有しパウチ等に使用されるシート状物であったり、表面に金属光沢を有しペットボトル等のラベルに使用されるフィルム状物であったりしてよい。金属光沢を得る手段としては、フィルム状物又はシート状物にアルミ蒸着層や金属箔層を積層する手段を採用することができる。
【0145】
また、実施形態3に係る撮像装置5では、回転機構50が、保持部51及び駆動部52の代わりに、ローラ53及び駆動部54を含んでよい。ローラ53は、円柱状を成し、その外周面にフィルム状物又はシート状物の検査対象物Wが巻き掛けられる。検査対象物Wのローラ53に巻き掛けられた部分の表面が、対象面W1を構成する。対象面W1の曲率中心線W2は、ローラ53の回転軸と一致する。駆動部54は、ローラ53を回転させる駆動部であり、モータ等により構成される。
【0146】
このような構成により、実施形態3に係る撮像装置5では、検査対象物Wがフィルム状物又はシート状物であっても、実施形態1と同様に、対象面W1の印刷状態を正確に把握することができる。なお、実施形態3に係る撮像装置5では、フィルム状物又はシート状物の検査対象物Wをローラ53に巻き掛けて撮像を行っているが、複数のローラの間などの平面上で撮像を行ってもよい。
【0147】
上述の実施形態1~3において、拡散筒10を円筒とした例について説明したが、拡散筒10の内周面11は第1光源20から出射した光が拡散すればよく、拡散筒10の内周面11における断面形状を楕円や、半円、蒲鉾型形状に形成してもよい。
【0148】
また、上述の実施形態1~3において、検査装置1では、ラインセンサ40が対象面W1の画像データを取得し、測色部63が画像データに基づいて対象面W1の測色値を取得していたが、これに限定されない。検査装置1は、ラインセンサ40が、測色部63の機能を含み、測色計として機能するように構成されてよい。この場合、検査装置1は、ラインセンサ40が、対象面W1の画像データを取得せず、刺激値直読法又は分光測色法を用いて対象面W1の測色値を直接取得し、判断部64へ出力してよい。
【0149】
[その他]
上述の実施形態は、変形例を含めて各実施形態同士で互いの技術を適用することができる。上述の実施形態は、本発明の内容を限定するものではなく、特許請求の範囲を逸脱しない程度に変更を加えることができる。
【0150】
上述の実施形態及び特許請求の範囲で使用される用語は、限定的でない用語として解釈されるべきである。例えば、「含む」という用語は、「含むものとして記載されたものに限定されない」と解釈されるべきである。「含有する」という用語は、「含有するものとして記載されたものに限定されない」と解釈されるべきである。「備える」という用語は、「備えるものとして記載されたものに限定されない」と解釈されるべきである。「有する」という用語は、「有するものとして記載されたものに限定されない」と解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0151】
1 検査装置
5 撮像装置
10 拡散筒
11 内周面
12 底面
15 第1光源用ポート
16 第2光源用ポート
17 ラインセンサ用ポート
18 対象面用ポート
20 第1光源
21 光軸
30 第2光源
31 光軸
40 ラインセンサ
41 光軸
42 視野
42’ 仮想視野
50 回転機構(移動機構)
51 保持部
52 駆動部
53 ローラ
54 駆動部
60 制御装置
61 作動制御部
62 画像データ処理部
63 測色部
64 判断部
K 中心線
M 平面
N 平面
P 平面
Q 平面
W 対象物
W1 対象面
W2 曲率中心線
W3 法線
W4 基準母線
W5 一対の母線
α 角度
β 角度
γ 角度
φ1 所定角度
φ2 所定角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12