(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】ヘッドアップディスプレイ
(51)【国際特許分類】
G02B 27/01 20060101AFI20240925BHJP
B60K 35/23 20240101ALI20240925BHJP
【FI】
G02B27/01
B60K35/23
(21)【出願番号】P 2021572813
(86)(22)【出願日】2021-01-22
(86)【国際出願番号】 JP2021002206
(87)【国際公開番号】W WO2021149793
(87)【国際公開日】2021-07-29
【審査請求日】2023-11-17
(31)【優先権主張番号】P 2020008797
(32)【優先日】2020-01-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100144048
【氏名又は名称】坂本 智弘
(72)【発明者】
【氏名】金子 文吉
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 達也
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 航
(72)【発明者】
【氏名】林 岳
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 舞
【審査官】鈴木 俊光
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-166852(JP,A)
【文献】国際公開第2019/181927(WO,A1)
【文献】特開2017-161661(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102017217772(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/01
B60K 35/23 - 35/235
G03B 21/16
G02F 1/1333
G02F 1/13357
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体(2)と、
平面状の基板載置領域(70A)を有する放熱部材(7)と、
光源(60A)が実装され、前記基板載置領域に載置される基板(60)と、
前記基板載置領域に垂直な方向である基板垂直方向で前記基板に対向し、前記光源から放射された光が透過する1つ以上のレンズ部材(34、36、38)と、
前記筐体及び前記放熱部材に固定され、前記1つ以上のレンズ部材を保持する保持部材(30)とを備え、
前記放熱部材は、前記基板垂直方向に視て前記基板載置領域の外側に、複数の第1取付脚部(72)を有し、
前記複数の第1取付脚部は、それぞれ、前記基板垂直方向に直交する方向に視て前記保持部材に重なるように延在し、
前記保持部材は、前記複数の第1取付脚部の端面に締結される複数の第1締結部(302)を有する、ヘッドアップディスプレイ(1)。
【請求項2】
前記保持部材は、前記1つ以上のレンズ部材が配置される内部空間を形成する筒状の本体部(301)を有し、
前記複数の第1締結部は、前記本体部における前記内部空間側とは逆側に配置され、
前記複数の第1取付脚部は、前記本体部における前記内部空間側とは逆側の表面に隣接する、請求項1に記載のヘッドアップディスプレイ。
【請求項3】
前記保持部材は、前記本体部における前記内部空間側とは逆側に、前記放熱部材から離れる方向へと延在する第2取付脚部(303)を更に有し、
前記筐体は、前記第2取付脚部の端面に締結される第2締結部(22)を有する、請求項2に記載のヘッドアップディスプレイ。
【請求項4】
前記保持部材は、前記本体部における前記内部空間側とは逆側に、取付部(304)を更に有し、
前記筐体は、前記取付部の端面に締結される第3締結部(23)を有し、
前記第2締結部は、前記第3締結部よりも、前記基板載置領域を含む平面からの前記基板垂直方向の離間距離が長い、請求項3に記載のヘッドアップディスプレイ。
【請求項5】
前記複数の第1取付脚部の前記端面は、第1平面内に延在し、前記第2取付脚部の前記端面及び前記取付部の前記端面は、前記第1平面に対して傾斜する第2平面内に延在する、請求項4に記載のヘッドアップディスプレイ。
【請求項6】
前記放熱部材は、更に、
前記基板載置領域内に、前記基板の位置決め用の突起部(702)と、
前記突起部まわりに、前記基板垂直方向で前記基板から離れる方向に凹む周溝(703)とを有する、請求項1から5のうちのいずれか1項に記載のヘッドアップディスプレイ。
【請求項7】
前記放熱部材は、前記基板載置領域内で、前記基板に面沿いに当接する、請求項1から6のうちのいずれか1項に記載のヘッドアップディスプレイ。
【請求項8】
前記複数の第1取付脚部は、前記1つ以上のレンズ部材のうちの、前記基板垂直方向で前記基板に最も近いレンズ部材(38)よりも、前記基板垂直方向で前記基板から離れた位置に、前記端面を有する、請求項1から7のうちのいずれか1項に記載のヘッドアップディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ヘッドアップディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
レンズ部材を保持する保持部材と、ヒートシンク(放熱部材)との間に、基板が挟持される態様で、ヒートシンクの取付面に保持部材をネジで固定する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、放熱部材が保持部材を介して筐体に固定される構成では、放熱部材と保持部材との間の締結部(「放熱部材側締結部」という」が、保持部材と筐体との間の締結部(「筐体側締結部」という)に対して、基板垂直方向で比較的長い距離、離間するので、筐体側締結部において必要な強度を確保することが難しい。放熱部材は比較的質量が大きいため、振動等により放熱部材側締結部には比較的大きい荷重が作用する場合があり、かかる荷重の作用点に対して、モーメントアーム長が比較的長くなることで、筐体側締結部に比較的高い応力が発生しやすい構造となる。
【0005】
そこで、本開示は、放熱部材が保持部材を介して筐体に固定される構成において、筐体側の締結部に生じうる応力を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの側面では、筐体と、
平面状の基板載置領域を有する放熱部材と、
光源が実装され、前記基板載置領域に載置される基板と、
前記基板載置領域に垂直な方向である基板垂直方向で前記基板に対向し、前記光源から放射された光が透過する1つ以上のレンズ部材と、
前記筐体及び前記放熱部材に固定され、前記1つ以上のレンズ部材を保持する保持部材とを備え、
前記放熱部材は、前記基板垂直方向に視て前記基板載置領域の外側に、複数の第1取付脚部を有し、
前記複数の第1取付脚部は、それぞれ、前記基板垂直方向に直交する方向に視て前記保持部材に重なるように延在し、
前記保持部材は、前記複数の第1取付脚部の端面に締結される複数の第1締結部を有する、ヘッドアップディスプレイが開示される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、放熱部材が保持部材を介して筐体に固定される構成において、筐体側の締結部に生じうる応力を低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1A】一実施例によるヘッドアップディスプレイの内部構成を上側から示す斜視図である。
【
図1B】ヘッドアップディスプレイを下側から示す斜視図である。
【
図1C】TFTパネルユニットを示す斜視図である。
【
図1D】バックライトユニット及び放熱部材を示す斜視図である。
【
図2】ヘッドアップディスプレイの車両搭載状態を車両側方視で概略的に示す図である。
【
図3】TFTパネルユニットと放熱部材との結合態様を説明する斜視図である。
【
図4】バックライトユニット及び放熱部材の分解斜視図である。
【
図6】ケースから、組立体を切り離した分解斜視図である。
【
図7】TFTパネルユニットの内部構成を示す斜視図である。
【
図8】ライトボックスのA方向A1側の構成要素の組み付け手順の説明図である。
【
図9】ライトボックスのA方向A2側の構成要素の組み付け手順の説明図である。
【
図10A】A方向A1側から視たレンチキュラレンズの斜視図である。
【
図10B】A方向A2側から視たレンチキュラレンズの斜視図である。
【
図11】レンチキュラレンズの組み付けの説明図である。
【
図12】位置決め溝での各レンチキュラレンズの耳部の状態を示す断面図である。
【
図13A】A方向A1側から視たコンデンサーレンズの斜視図である。
【
図13B】A方向A2側から視たコンデンサーレンズの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら各実施例について詳細に説明する。なお、
図1A等では、見易さのために、複数存在する同一属性の部位や部分には、一部のみしか参照符号が付されていない場合がある。
【0010】
[ヘッドアップディスプレイの構成]
図1Aは、一実施例によるヘッドアップディスプレイ1の内部構成を上側から示す斜視図である。
図1Bは、ヘッドアップディスプレイ1を下側から示す斜視図である。
図1Cは、TFTパネルユニット3を示す斜視図である。
図1Dは、バックライトユニット6及び放熱部材7を示す斜視図である。
図2は、ヘッドアップディスプレイ1の車両搭載状態を車両側方視で概略的に示す図である。なお、
図1A及び
図1Bでは、ヘッドアップディスプレイ1の一部の構成要素の図示は省略されている。
図1A等には、右手系で、互いに直交する3方向であるX方向、Y方向、及びZ方向が定義されている。以下では、形式上、Z方向を上下方向とし、正側を上側とし、負側を下側とする。
【0011】
ヘッドアップディスプレイ1は、車両VCのインストルメントパネル9内に搭載される。ヘッドアップディスプレイ1は、
図1AのY方向が車幅方向に略対応する向きで搭載されてよい。
【0012】
ヘッドアップディスプレイ1は、ケース2(筐体の一例)と、TFT(Thin Film Transistor)パネルユニット3と、反射鏡ユニット4と、凹面鏡5と、バックライトユニット6と、放熱部材7とを含む。
【0013】
ケース2は、ヘッドアップディスプレイ1の筐体を形成する。ケース2は、ヘッドアップディスプレイ1の筐体の中間部を形成する中ケースである。なお、ケース2は、
図1Aでは図示が省略されたアッパーケースとロアケース2C(
図1B参照)との間に設けられる。
【0014】
ケース2は、例えば樹脂により形成される。なお、ケース2は、2つ以上の部材により形成されてよい。
【0015】
TFTパネルユニット3は、ケース2に固定される。TFTパネルユニット3は、バックライトユニット6からの光をバックライトとして利用して、表示画像に応じた表示光を出射する表示器である。本実施例のTFTパネルユニット3は、ドットマトリクス型のTFT(Thin Film Transistor)パネル3A(
図1C参照)を備える。なお、表示画像は、任意であり、例えばナビゲーション情報や各種の車両情報等を表す画像であってよい。
【0016】
反射鏡ユニット4は、ケース2に固定される。反射鏡ユニット4は、平面鏡41を備え、TFTパネルユニット3から出射される表示光を凹面鏡5に向けて反射する。
【0017】
凹面鏡5は、ケース2に固定される。凹面鏡5は、ウインドシールドWSにおける表示光が当たる領域の上下位置が調整可能となるように、ケース2に対して回転可能に支持される。凹面鏡5は、反射鏡ユニット4で反射された表示光を反射して、アッパーケース(図示せず)に設けられた出射口から出射させ、車両VCのウインドシールドWSに向かわせる。
【0018】
バックライトユニット6は、TFTパネルユニット3の背後(Y方向の負側)に設けられる。バックライトユニット6は、例えば、LED60A(Light Emitting Diode)が実装された基板60を含む。なお、基板60は、
図1Dに示すように、放熱部材7上に載置されてよい。バックライトユニット6は、TFTパネルユニット3と協動して、表示光を生成する。
【0019】
放熱部材7は、アルミ等のような伝熱性の高い材料により形成される。放熱部材7は、ケース2の外側にフィン71が露出する態様で、ケース2に取り付けられる。放熱部材7は、バックライトユニット6から発生する熱を放熱する機能を有する。放熱部材7は、ケース2外を流れる空気に熱を放出する。
【0020】
このようなヘッドアップディスプレイ1では、
図2に示すように、ウインドシールドWSに表示光が照射されると、車両VCを運転する運転者にとっては、ウインドシールドWSよりも前方に、当該照射によって得られた表示像(虚像表示)VIが見える。これにより、運転者は、前方風景と重畳させて表示像VIを視認でき、視線移動の少ない態様で車両情報等を把握でき、利便性及び安全性が向上する。
【0021】
[TFTパネルユニット3と放熱部材7の構成]
次に、TFTパネルユニット3、バックライトユニット6、及び放熱部材7について更に説明する。
【0022】
図3は、TFTパネルユニット3と放熱部材7との結合態様を説明する斜視図である。
図4は、バックライトユニット6及び放熱部材7の分解斜視図である。
図3では、TFTパネルユニット3は、ライトボックス30のみが図示されている。また、
図3では、互いに直交する3方向であるA方向、B方向、及びC方向が定義され、各方向においてA1側、A2側等が定義されている。A方向は、基板60に垂直な方向に対応し、B方向は、TFTパネルの横方向(長手方向)に対応し、C方向は、TFTパネルの縦方向(短手方向)に対応する。
【0023】
TFTパネルユニット3は、ライトボックス30を備える。ライトボックス30は、後述するように、TFTパネルユニット3の各種構成要素を保持する保持部材として機能する。TFTパネルユニット3は、ライトボックス30がケース2に結合されることで、ケース2に固定される。
【0024】
ライトボックス30は、本体部301と、締結部302(第1締結部の一例)と、取付脚部303(第2取付脚部の一例)と、取付部304(
図3では、一部が可視でなく、
図1C参照)とを含む。
【0025】
本体部301は、筒状の形態であり、TFTパネルユニット3の各種構成要素(ライトボックス30やTFTパネル3A以外の構成要素)が収容される内部空間を形成する。以下、本体部301の内側とは、内部空間側を指し、本体部301の外側とは、内部空間側とは逆側を指す。なお、本体部301の内部空間は、A方向に視て、TFTパネル3Aの外形に対応する矩形の外形を有する。
【0026】
締結部302は、複数設けられる(本実施例では、4つ)。締結部302のそれぞれは、本体部301の外側に配置される。すなわち、締結部302のそれぞれは、本体部301の外側表面から外側(A方向に交差する方向)に延在する。4つの締結部302は、A方向に視て、本体部301の4隅(TFTパネル3Aの外形に対応する矩形の各角)に配置される。
【0027】
締結部302のそれぞれは、A方向に貫通する締結孔302Bを有する。また、4つの締結部302のうちの、対角関係にある2つの締結部302は、
図3に示すように、A方向に突出する位置決め突起302Aを有する。
【0028】
取付脚部303は、本体部301の外側に配置される。取付脚部303は、放熱部材7から離れる方向(すなわちA方向A1側)へと延在する。取付脚部303は、本体部301の一側面(TFTパネル3Aの外形に対応する矩形の一辺に係る側面)から形成され、A方向A1側に向かうにつれてB方向B1側に向かう態様で延在する。
【0029】
取付脚部303は、A方向A1側の端部に締結部3031を有する。締結部3031は、
図3に示すように、位置決め孔3031Aと、締結孔3031Bとを有してよい。
【0030】
取付部304は、本体部301の外側に配置される。取付部304は、本体部301の外側表面から外側(A方向に交差する方向)に延在する。取付部304は、本体部301の4つの側面(TFTパネル3Aの外形に対応する矩形の各辺に係る側面)のうちの、取付脚部303が形成される側面に対して、対向する側面側に設けられる。例えば、取付部304は、
図1Cに示すように、当該側面に係るC方向両側に配置されてよい。取付部304のそれぞれは、
図1Cに示すように、位置決め孔3041Aと、締結孔3041Bとを有してよい。
【0031】
バックライトユニット6は、複数のLED60A(
図1D参照)が実装された基板60を含んでなる。基板60は、放熱部材7のA方向A1側の表面にA方向A2側の表面が面接触する態様で、放熱部材7に設けられる。基板60は、
図4に示すように、位置決め孔61と、締結孔62と、挿通孔64とを有する。本実施例では、一例として、位置決め孔61は、B方向の両側に設けられ、締結孔62は、B方向の中央かつC方向C1側に設けられる。
【0032】
基板60は、締結孔62を通る締結具90(
図4参照)により放熱部材7に固定される。締結具90は、例えばビスの形態である。
【0033】
また、基板60には、Z型端子92(
図4に示す例では、2つ)が設けられる。Z型端子92は、基板60の接地用の導体(図示せず)に電気的に接続される。なお、接地用の導体は、銅のベタパターン等により実現されてもよい。この場合、接地用の導体は、基板60の内層に形成されてもよい。Z型端子92は、後述するTFTパネルユニット3の表示器シールド39(
図7参照)に電気的に接続される。これにより、表示器シールド39が接地され、表示器シールド39によるシールド機能(例えば静電気等からTFTパネル3Aを保護する機能)が実現される。
【0034】
また、基板60には、コネクタ94が実装される。コネクタ94は、基板60上の実装部品と外部機器(図示せず)との間を電気的に接続するためのインタフェースである。
【0035】
放熱部材7は、後述する取付脚部72がライトボックス30の締結部302に固定されることで、ライトボックス30に結合される。ライトボックス30は、上述したようにケース2に固定される。従って、放熱部材7は、ライトボックス30を介してケース2に固定される。
【0036】
放熱部材7は、
図4に示すように、基部70と、フィン71と、取付脚部72(第1取付脚部の一例)とを含む。なお、基部70、フィン71、及び取付脚部72は、一体に形成されてよい。
【0037】
基部70は、A方向に垂直な平面内に延在し、A方向A1側に平面状の基板載置領域70Aを形成する。基部70は、基板載置領域70Aに基板60が載置される。
【0038】
本実施例では、放熱部材7は、基部70の基板載置領域70A内で、基板60に面沿いに当接する。すなわち、放熱部材7は、サーマルシートのような他の部材を介さずに、直接的に基板60に面接触する。これにより、サーマルシートのような他の部材を介在させる場合に比べて、部品点数及びコストの低減を図ることができる。
【0039】
基部70は、好ましくは、基板載置領域70A内の表面が切削により後加工される。これにより、面精度が向上し、基部70と基板60との間の熱抵抗を効果的に低減できる。すなわち、基部70の基板載置領域70Aに微細な凹凸(比較的大きい表面粗さ)がある場合、基部70と基板60との間の面接触が損なわれ、基部70と基板60との間で所期の面接触が実現されないおそれがある。これに対して、基板載置領域70A内の表面の平滑性を切削により高めることで、かかる不都合を低減できる。
【0040】
基部70は、後述するコンデンサーレンズ38との位置決め用の位置決め穴70Bを有する。位置決め穴70Bのそれぞれは、基板60の挿通孔64に対応した位置(実施例では、2箇所)に設けられる。
【0041】
基部70は、基板60の位置決め孔61に対応した位置(本実施例では、2箇所)に、位置決め用の突起部702を有する。突起部702のそれぞれは、基板載置領域70Aの表面よりもA方向A1側に突出する。この場合、基板60は、位置決め孔61のそれぞれに突起部702のそれぞれが挿通されることで、放熱部材7に対して位置決めされる。
【0042】
基部70は、好ましくは、突起部702まわりに、A方向A2側に凹む周溝703を有する。周溝703は、座ぐりの形態であり、突起部702のそれぞれに対して設けられる。なお、突起部702は、基部70の基板載置領域70Aの切削の際に加工されてよい。
【0043】
ここで、突起部702は、上述したように位置決め機能を有するので、基板載置領域70A内に配置される。このため、突起部702の形成の際にその根本(基板載置領域70Aを形成する表面と連続する側)には僅かな角Rが不可避的に形成される。この場合、当該角Rの表面に基板60の位置決め孔61まわりが乗り上げると、基板60の浮き(基板載置領域70Aを形成する表面からの離間)が生じるおそれがある。
【0044】
この点、本実施例では、周溝703は、かかる基板60の浮きを防止するために設けられる。すなわち、周溝703を設けることで、突起部702の根本の角Rは周溝703の底部側に形成されることになり、基板60と角Rとの接触(及びそれに伴う基板60の浮き)が防止される。この結果、基板60の浮きによる不都合(基部70と基板60との間の面接触が損なわれ、基部70と基板60との間で所期の面接触が実現されないという不都合)を低減できる。
【0045】
フィン71は、基部70におけるA方向A2側の表面に立設される。
【0046】
取付脚部72は、A方向に視て基板載置領域70Aの外側に、複数設けられる。複数の取付脚部72は、ライトボックス30の締結部302にそれぞれ固定される。本実施例では、一例として、取付脚部72は、4つの締結部302に対応して、4つ設けられる。取付脚部72は、A方向に視て、基部70の4隅(TFTパネル3Aの外形に対応する矩形の各角)に配置される。
【0047】
取付脚部72のそれぞれは、基部70からA方向に延在する。この際、取付脚部72のそれぞれは、A方向に直交する方向に視て、ライトボックス30に重なるように延在する。本実施例では、複数の取付脚部72は、ライトボックス30の本体部301の外側の表面に隣接する。具体的には、ライトボックス30の本体部301は、A方向に視て、4隅(TFTパネル3Aの外形に対応する矩形の各角)に、内側に凹む凹部301Aを有し、凹部301Aのそれぞれに、取付脚部72のそれぞれが部分的に(すなわち外側の部分を除いて)収まる。凹部301AのそれぞれのA方向の延在範囲は、取付脚部72のそれぞれのA方向の延在範囲と略一致する。なお、取付脚部72のそれぞれは、A方向に交差する方向で、凹部301Aのそれぞれに当接又はわずかに離間する態様で、ライトボックス30の本体部301の外側の表面に隣接してもよい。このように取付脚部72を配置することで、取付脚部72がライトボックス30を補強する役割をも果たし、ライトボックス30の剛性を実質的に高めることができる。
【0048】
取付脚部72のそれぞれは、A方向A1側に形成される端面に、締結穴72Bを有する。また、対角関係にある2つの取付脚部72のそれぞれは、A方向A1側に形成される端面に、締結部302の位置決め突起302Aのそれぞれが嵌る位置決め穴72Aを有する。締結穴72Bのそれぞれには、ライトボックス30の締結部302の締結孔302Bのそれぞれを通る締結具(例えばビス、図示せず)が締結される。
【0049】
取付脚部72のそれぞれは、A方向A1側に形成される端面が同一平面(以下、「第1平面」とも称する)内に延在する。本実施例では、一例として、第1平面は、基板60の表面に平行である(すなわち、B方向とC方向とを含む平面内に延在する)。
【0050】
このようにして、バックライトユニット6が固定された放熱部材7とライトボックス30とは、位置決め穴72A及び位置決め突起302Aにより位置決めされつつ、締結部302の締結孔302Bを通って締結穴72Bに螺着される締結具(例えばビス、図示せず)により締結されることで、互いに対して固定される。以下、このようにして組み付けにより一体化されたバックライトユニット6、放熱部材7及びライトボックス30(及びそれに伴いTFTパネルユニット3)を、単に「組立体67」とも称する。
【0051】
次に、
図3及び
図4に加えて、
図5及び
図6を参照して、ケース2への組立体67の固定方法(締結方法)を説明する。
【0052】
図5は、ケース2及び組立体67を示す斜視図である。
図6は、ケース2から、組立体67を切り離した分解斜視図である。
【0053】
ケース2は、
図6に示すように、基本面201により囲繞される組立体67の取り付け領域に、開口形成部20を有する。なお、基本面201は、ヘッドアップディスプレイ1の内部空間おいて、反射鏡ユニット4等が設けられる空間と、組立体67が設けられる空間とを、A方向で、仕切る態様で延在する。
【0054】
開口形成部20は、周辺の基本面201からA方向A2側に突出する筒状の形態である。開口形成部20は、A方向A2側の端部に開口部20Aを形成する。組立体67は、開口部20AにTFTパネル3Aが対向する態様で、ケース2に固定される。この際、TFTパネル3Aは、その画像形成範囲が開口部20Aを介してケース2のA方向A1側から可視となる。
【0055】
ここで、TFTパネル3Aの表面の向きは、表示像VIの形成等の観点から決まり、ケース2の搭載向きは、車体における搭載性等の観点から決まる。従って、TFTパネル3Aの表面と、ケース2の基本面201とは、比較的大きい角度(例えば
図6の高さH1とH2の差参照)をなす場合がある。開口形成部20は、このような角度の差を吸収する機能を有する。
【0056】
ケース2は、基本面201における開口形成部20まわりに、締結部22(第2締結部の一例)と、締結部23(第3締結部の一例)とを有する。締結部22及び締結部23には、組立体67のライトボックス30が締結される。
【0057】
締結部22は、取付脚部303のA方向A1側の端面に締結され、締結部23は、取付部304のA方向A1側の端面に締結される。
【0058】
より具体的には、締結部22には、ライトボックス30の締結部3031(
図3も参照)が締結される。締結部22は、
図6に示すように、位置決めピン22Aと、ボス部22Bとを含む。締結部22は、位置決めピン22Aが締結部3031の位置決め孔3031Aを通ることで、締結部3031に対して位置決めされる。締結部22及び締結部3031は、位置決めされた状態で、締結部3031の締結孔3031Bを通ってボス部22Bに螺着する締結具(例えばビス、図示せず)により締結される。なお、この場合、締結具は、放熱部材7側(A方向A2側)から螺着される。
【0059】
締結部23は、2つの取付部304に対応して、2つ設けられる。締結部23のそれぞれには、ライトボックス30の取付部304(
図1C参照)が締結される。締結部23のそれぞれは、
図6に示すように、位置決めピン23Aと、ボス部23Bとを含む。締結部23のそれぞれは、位置決めピン23Aが、対応する取付部304の位置決め孔3041A(
図1C参照)を通ることで、当該対応する取付部304に対して位置決めされる。各組の締結部23及び取付部304は、位置決めされた状態で、取付部304の締結孔3041B(
図1C参照)を通ってボス部23Bに螺着する締結具(例えばビス、図示せず)により締結される。なお、この場合、締結具は、放熱部材7側(A方向A2側)から螺着される。
【0060】
このようにしてケース2に組立体67のライトボックス30が強固に固定される。
【0061】
ところで、上述のように、放熱部材7は比較的質量が大きいため、振動等により、放熱部材7とライトボックス30との間の締結部には比較的大きい荷重が作用する場合がある。かかる荷重の作用点に対して、モーメントアーム長が比較的長くなると、ライトボックス30とケース2との間の締結部(ケース2側の締結部22、23)に比較的高い応力が発生しやすい構造となる。
【0062】
この点、本実施例によれば、放熱部材7がライトボックス30(保持部材の一例)を介してケース2に固定される構成において、ケース2側の締結部22、23に生じうる応力を低減できる。具体的には、本実施例では、放熱部材7とライトボックス30との間の締結部の位置は、4つの取付脚部72の端面(A方向A1側に形成される端面)の位置で規定され、比較的長い取付脚部72に起因して、ケース2に比較的近い位置となる。より具体的には、本実施例によれば、取付脚部72のそれぞれの長さH7(A方向の長さ、
図4参照)が実質的に0である場合に比べて、放熱部材7とライトボックス30との間の締結部の位置を、A方向A1側(ケース2に近い側)にすることができる。これにより、本実施例によれば、取付脚部72のそれぞれの長さが実質的に0である場合に比べて、放熱部材7とライトボックス30との間の締結部に作用する力に起因して、ライトボックス30とケース2との間の締結部(ケース2側の締結部22、23)に作用するモーメントを、低減できる。これは、本実施例によれば、取付脚部72の長さH7に応じた分だけ、モーメントアーム長が低減されるためである。
【0063】
ここで、取付脚部72のそれぞれの長さH7は、長いほど、ライトボックス30とケース2との間の締結部(ケース2側の締結部22、23)に作用するモーメントを低減する観点からは、有利となる。
【0064】
この点、本実施例では、取付脚部72のそれぞれは、A方向A1側に形成される端面が、後述するTFTパネルユニット3のコンデンサーレンズ38よりもA方向A1側に位置する。これにより、ライトボックス30とケース2との間の締結部(ケース2側の締結部22、23)に作用するモーメントを効果的に低減できる。
【0065】
また、取付脚部72のそれぞれの長さH7(A方向の長さ、
図4参照)が実質的に0である場合、その分だけ、締結部302のそれぞれがA方向A2側に配置される必要が生じる。このような配置では、締結部302のそれぞれのA方向A1側の凹部(ポケット部)の深さがその分だけ深くなり、成形性(離型性等)が悪化する。また、金型強度の観点からも不利である。これに対して、本実施例によれば、上述のように、取付脚部72のそれぞれの長さH7(A方向の長さ、
図4参照)が比較的長いので、このような不都合を低減できる。
【0066】
ところで、本実施例では、取付脚部303のA方向A1側の端面と、取付部304のA方向A1側の端面とは、同一平面(以下、「第2平面」とも称する)内に延在する。本実施例では、一例として、第2平面は、基板60の表面(すなわち、B方向とC方向とを含む平面)に対して非平行であり、従って、第2平面は、上述した第1平面(取付脚部72のそれぞれの端面を含む平面)に対して傾斜する(0より大きい角度をなす)。これにより、TFTパネルユニット3のTFTパネル3Aと基板60(及びそれに伴いLED60Aの配列面)との必要な平行度を確保しつつ、組立体67をケース2に対して適切な向きで取り付けることが容易となる。
【0067】
特に、本実施例では、上述した第1平面と第2平面とは、締結部22が締結部23よりも第1平面からのA方向の離間距離が長くなる態様で、互いに対して傾斜する。そして、このような離間距離の差は、ケース2側の締結部22及び締結部23によってではなく、ライトボックス30側の取付脚部303及び取付部304によって吸収される。すなわち、取付脚部303は、取付部304よりもA方向A1側に延在することで、上述した離間距離の差を吸収する。これにより、上述した離間距離の差をケース2側の締結部22及び締結部23の高さ(基本面201からの高さ)の差で吸収する場合に比べて、ケース2の成形が容易となり、製造性が向上する。例えば、取付脚部303の長さ(A方向の延在範囲)を短くする代わりにボス部22B(及び位置決めピン22A)の高さ(A方向の延在範囲)を高くする構成では、ボス部22Bの必要な強度を確保するための構造が複雑化し、成形性が損なわれやすくなる。これは、基本面201に当該差を吸収するための凸部を形成する構成も同様である。これに対して、本実施例では、上述したように、ライトボックス30の取付脚部303の長さを比較的長くすることで、上述した離間距離の差を吸収できるので、ケース2の構造の複雑化を抑制できる。
【0068】
次に、
図7以降を参照して、TFTパネルユニット3について更に説明し、TFTパネルユニット3と放熱部材7との組み付け方法についても説明する。
【0069】
図7は、TFTパネルユニット3の内部構成を示す斜視図である。
図7では、TFTパネルユニット3の内部構成を示すため、ライトボックス30が除かれた状態のTFTパネルユニット3が示される。
【0070】
TFTパネルユニット3は、上述したTFTパネル3A及びライトボックス30(
図7には図示せず)に加えて、
図7に示すように、拡散板32と、レンチキュラレンズ34、36と、コンデンサーレンズ38とを含む。
【0071】
拡散板32は、TFTパネル3Aの背後側(A方向A2側)に設けられる。拡散板32は、バックライトユニット6のLED60A(
図1D参照)からの光であってコンデンサーレンズ38、レンチキュラレンズ34、36を通って入射する光を、A方向A1側へと、拡散して出射する機能を有する。拡散板32から出射される光は、TFTパネル3Aに入射される。
【0072】
レンチキュラレンズ34、36は、バックライトユニット6からの光であってコンデンサーレンズ38を通って入射する光を、拡散板32の前面(A方向A1側)へと、拡散及び集光して出射する機能を有する。
【0073】
コンデンサーレンズ38は、透光性の樹脂材料から形成され、基板60のA方向A1側を覆うように配置されている。コンデンサーレンズ38は、略放物断線を回転して得られる円錐凸形状の外周面を有するコリメータ部を含む。コンデンサーレンズ38は、基板60に実装されたLED60Aに対向して位置し、LED60Aから放射された光をA方向A1側へと透過させる。なお、コンデンサーレンズ38の外形は、TFTパネルユニット3(及びTFTパネル3A)の外形と略同様の矩形(B方向を長辺方向とする矩形)である。
【0074】
図8は、ライトボックス30のA方向A1側の構成要素の組み付け手順の説明図である。
【0075】
図8に示すように、まず、ライトボックス30を、A方向A1側が上側になる向きで配置し(S81)、ライトボックス30の拡散板載置面3032上に周縁が載置される態様で、拡散板32がライトボックス30に載置される(S82)。なお、この際、拡散板32は、ライトボックス30の拡散板載置面3032に設けられる爪部30321に係合される。拡散板載置面3032は、好ましくは、拡散板32の外形に応じた外周縁部の段差を有する。これにより、拡散板32を適切に位置決めして載置できる。
【0076】
次いで、TFTパネル3Aが拡散板32の上側に載置される(S83)。この際、TFTパネル3Aは、ライトボックス30の拡散板載置面3032まわりの位置決め部30323により適切に位置決めされる。その後、TFTパネル3AのA方向A1側の表面に緩衝材300Aが貼り付けられ(S84)、表示器シールド39が設けられる(S85)。なお、緩衝材300Aは、表示器シールド39からTFTパネル3AのA方向A1側の表面を保護する機能を有する。表示器シールド39は、A方向A2側の端部が上述した基板60上のZ型端子92に当接する2本の脚部39Aを有する。
【0077】
図9は、ライトボックス30のA方向A2側の構成要素の組み付け手順の説明図である。なお、ライトボックス30のA方向A2側の構成要素の組み付けは、ライトボックス30のA方向A1側の構成要素の組み付け(
図8)よりも前に実行されてよい。
【0078】
図9に示すように、まず、ライトボックス30を、A方向A2側が上側になる向きで配置し(S90)、次いで、レンチキュラレンズ34を組み付け(S91)、レンチキュラレンズ36を組み付け(S92)、そして、コンデンサーレンズ38を組み付ける(S93)。
【0079】
図10A及び
図10Bは、レンチキュラレンズ34の組み付け(S91)の説明図であり、
図10Aは、A方向A1側から視たレンチキュラレンズ34の斜視図であり、
図10Bは、A方向A2側から視たレンチキュラレンズ34の斜視図である。
【0080】
レンチキュラレンズ34は、ライトボックス30に設けられる各位置決め溝3041と各突起部3042(
図9のS90の絵参照)とを利用して、ライトボックス30に組み付けられる。なお、位置決め溝3041は、B方向両側にそれぞれ設けられ、A方向に深く凹む形態である。位置決め溝3041のそれぞれは、C方向の幅がA方向に沿って変化することで(
図12を参照して後述)、A方向の位置決め機能を実現する。突起部3042は、ライトボックス30における拡散板載置面3032の裏面(A方向A2側の表面)に立設される。
【0081】
具体的には、レンチキュラレンズ34は、
図10Aに示すように、A方向A1側に、ライトボックス30の突起部3042のそれぞれに当接する平面部34Aを有する。また、レンチキュラレンズ34は、B方向両側に、位置決め溝3041に嵌入する耳部34Bを有する。組み付け時、耳部34Bのそれぞれが位置決め溝3041のそれぞれに嵌入して位置決めされつつ、平面部34Aのそれぞれが突起部3042のそれぞれにA方向で当接することで、レンチキュラレンズ34は、TFTパネル3Aと平行となる所期の向きで適切に組み付けることができる。
【0082】
また、レンチキュラレンズ34は、レンチキュラレンズ36の組み付けに関連して、
図10Bに示すように、A方向A2側に、レンチキュラレンズ36と当接する突起部344を有する。突起部344は、レンチキュラレンズ36の4隅に設けられる。
【0083】
図11及び
図12は、レンチキュラレンズ36の組み付け(S92)の説明図である。
図11は、A方向A1側から視たレンチキュラレンズ36の斜視図であり、
図12は、位置決め溝3041でのレンチキュラレンズ34、36の耳部34B、36Bの状態を示す断面図であり、
図9のS92の絵のラインP-Pに沿った断面に対応する。
【0084】
レンチキュラレンズ36は、ライトボックス30に設けられる各固定用フック3051(
図9のS91の絵参照)と、ライトボックス30の各位置決め溝3041(
図9のS90の絵参照)と、レンチキュラレンズ34の各突起部344(
図9のS91の絵参照)とを利用して、ライトボックス30に組み付けられる。なお、固定用フック3051は、C方向の一方側に2つ、他方側に1つ、合計3つ設けられる。固定用フック3051は、レンチキュラレンズ36の被係合部36Cに係合することで、レンチキュラレンズ36のA方向A2側への変位を規制する。
【0085】
具体的には、レンチキュラレンズ36は、
図11に示すように、A方向A1側に、レンチキュラレンズ34の突起部344のそれぞれに当接する平面部36Aを有する。また、レンチキュラレンズ36は、B方向両側に、位置決め溝3041に嵌入する耳部36Bを有する。また、レンチキュラレンズ36は、C方向の一方側に2つ、他方側に1つ、合計3つ被係合部36Cを有する。被係合部36Cそれぞれは、レンチキュラレンズ36の外周縁を外側に突出させる形態であり、上述した固定用フック3051に係合される。組み付け時、耳部36Bのそれぞれが位置決め溝3041のそれぞれに嵌入して位置決めされつつ、平面部36Aのそれぞれが突起部3042のそれぞれにA方向で当接することで、レンチキュラレンズ34は、TFTパネル3Aと平行となる所期の向きで適切に組み付けることができる。また、被係合部36Cのそれぞれが固定用フック3051のそれぞれに係合されることで、レンチキュラレンズ36のA方向A2側への変位が規制される。
【0086】
ここで、レンチキュラレンズ36のB方向一方側の耳部36Bは、レンチキュラレンズ34のB方向一方側の耳部34Bよりも、C方向の幅が大きい。これに対応して、
図12に示すように、B方向一方側において、位置決め溝3041は、C方向の幅がA方向の位置に応じて異なり、耳部34Bを保持する位置よりも耳部36Bを保持する位置の方がC方向の幅が広く、かつ、A方向A2側から耳部34Bを保持する位置に向かうにつれてC方向の幅が狭くなる。なお、これは、B方向他方側における位置決め溝3041も同様である。これにより、位置決め溝3041によって、レンチキュラレンズ34とレンチキュラレンズ36とを、A方向の適切な位置関係で保持(位置決め)できる。
【0087】
図13A及び
図13Bは、コンデンサーレンズ38の組み付け(S93)の説明図であり、
図13Aは、A方向A1側から視たコンデンサーレンズ38の斜視図であり、
図13Bは、A方向A2側から視たコンデンサーレンズ38の斜視図である。
【0088】
コンデンサーレンズ38は、ライトボックス30に設けられる各位置決め用当接部3052(
図9のS92の絵参照)を利用して、ライトボックス30に組み付けられる。なお、位置決め用当接部3052は、C方向両側に1つずつ、対角関係に設けられる。位置決め用当接部3052のそれぞれは、C方向の内側に、当接用の傾斜面を有する。当該傾斜面の傾斜方向は、A方向A2側に向かうほどC方向外側に広がる方向である。
【0089】
具体的には、コンデンサーレンズ38は、
図13A及び
図13Bに示すように、C方向両側に1つずつ、位置決め用当接部3052のそれぞれに当接する被当接部382を有する。被当接部382のそれぞれは、当接用の傾斜面を有する。各組の被当接部382の傾斜面と位置決め用当接部3052の傾斜面とが当接することで、位置決めが実現される。
【0090】
また、コンデンサーレンズ38は、基板60及び放熱部材7との組み付けに関連して、
図13Bに示すように、A方向A2側に、基板60に当接する突起38Aと、基板60の挿通孔64(
図4参照)を通って放熱部材7の基部70の位置決め穴70B(
図4参照)に嵌入する位置決め突起38Bとを有する。突起38Aは、4隅にそれぞれ設けられ、位置決め突起38Bは、B方向両側に1つずつ設けられる。
【0091】
以上、各実施例について詳述したが、特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。また、前述した実施例の構成要素を全部又は複数を組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0092】
1 ヘッドアップディスプレイ
2 ケース
3 TFTパネルユニット
3A TFTパネル
4 反射鏡ユニット
41 平面鏡
5 凹面鏡
6 バックライトユニット
60 基板
60A LED
61 位置決め孔
62 締結孔
64 挿通孔
67 組立体
7 放熱部材
70 基部
70A 基板載置領域
70B 位置決め穴
71 フィン
72 取付脚部
72A 位置決め穴
72B 締結穴
20 開口形成部
20A 開口部
22 締結部
22A 位置決めピン
22B ボス部
23 締結部
23A 位置決めピン
23B ボス部
30 ライトボックス
32 拡散板
34 レンチキュラレンズ
34A 平面部
34B 耳部
36 レンチキュラレンズ
36A 平面部
36B 耳部
36C 被係合部
38 コンデンサーレンズ
38A 突起
38B 位置決め突起
39 表示器シールド
39A 脚部
90 締結具
92 Z型端子
94 コネクタ
201 基本面
300A 緩衝材
301 本体部
301A 凹部
302 締結部
302A 位置決め突起
302B 締結孔
303 取付脚部
304 取付部
344 突起部
382 被当接部
702 突起部
703 周溝
3031 締結部
3031A 位置決め孔
3031B 締結孔
3032 拡散板載置面
3041 位置決め溝
3041A 位置決め孔
3041B 締結孔
3042 突起部
3051 固定用フック
3052 位置決め用当接部
30321 爪部
30323 位置決め部