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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】加速抑制装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 28/10 20060101AFI20240925BHJP
【FI】
B60K28/10 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022004284
(22)【出願日】2022-01-14
(65)【公開番号】P2023103648
(43)【公開日】2023-07-27
【審査請求日】2023-11-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000213
【氏名又は名称】弁理士法人プロスペック特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】猪飼 正樹
(72)【発明者】
【氏名】大石 将士
(72)【発明者】
【氏名】上撫 琢也
【審査官】諸星 圭祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-104982(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0068158(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102013216630(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 25/00-28/16
B60W 50/10-50/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の位置に関する情報、自車両の操作子の操作に関する情報を取得して出力する車載センサと、
前記車載センサから取得した情報に基づいて、自車両に搭載された駆動装置及び制動装置のうちの少なくとも1つの装置を制御して、自車両の加速を抑制する加速抑制制御を実行可能な制御装置と、
を備えた加速抑制装置であって、
前記制御装置は、
駐車場を含む所定の領域内に自車両が位置している状況において、前記駐車場に自車両が駐車される際の走行態様として予め規定された所定の態様に、自車両の走行態様が合致している場合であって、前記情報に基づいて取得した、自車両が進行している現在の方角及び自車両の現在の速度のいずれか一方又は両方が、所定の分布図であって、前記所定の領域内において自車両が駐車される際に進行する方角及び当該領域内における自車両の速度のいずれか一方又は両方の分布図の所定の範囲に含まれる場合に前記加速抑制制御を実行可能である、
ように構成された加速抑制装置。
【請求項2】
請求項1に記載の加速抑制装置において、
前記制御装置は、前記所定の領域内において自車両が進行した方角及び当該領域内を走行した自車両の速度のいずれか一方又は両方の履歴に基づいて、前記分布図を生成する、
ように構成された加速抑制装置。
【請求項3】
自車両の位置に関する情報、自車両の操作子の操作に関する情報を取得する情報取得ステップと、
前記情報取得ステップにて取得した情報に基づいて、自車両に搭載された駆動装置及び制動装置のうちの少なくとも1つの装置を制御して、自車両の加速を抑制可能とする加速抑制許可ステップと、
を含む加速抑制方法であって、
駐車場を含む所定の領域内に自車両が位置している状況において、前記駐車場に自車両が駐車される際の走行態様として予め規定された所定の態様に、自車両の走行態様が合致している場合であって、前記情報に基づいて取得した、自車両が進行している現在の方角及び自車両の現在の速度のいずれか一方又は両方が、所定の分布図であって、前記所定の領域内において自車両が駐車される際に進行する方角及び当該領域内における自車両の速度のいずれか一方又は両方の分布図の所定の範囲に含まれる場合に前記加速抑制許可ステップを実行する、加速抑制方法。
【請求項4】
自車両が備えるコンピュータに、
自車両の位置に関する情報、及び自車両の操作子の操作に関する情報を取得する情報取得ステップと、
前記情報取得ステップにて取得した情報に基づいて、自車両に搭載された駆動装置及び制動装置のうちの少なくとも1つの装置を制御して、自車両の加速を抑制可能とする加速抑制許可ステップと、
を実行させる加速抑制プログラムであって、
駐車場を含む所定の領域内に自車両が位置している状況において、前記駐車場に自車両が駐車される際の走行態様として予め規定された所定の態様に、自車両の走行態様が合致している場合であって、前記情報に基づいて取得した、自車両が進行している現在の方角及び自車両の現在の速度のいずれか一方又は両方が、所定の分布図であって、前記所定の領域内において自車両が駐車される際に進行する方角及び当該領域内における自車両の速度のいずれか一方又は両方の分布図の所定の範囲に含まれる場合に前記加速抑制許可ステップを実行する、加速抑制プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の状況において車両の加速を抑制する加速抑制装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、運転者がアクセルペダルを誤って深く踏み込んでしまった場合に自車両が急加速することを抑制する加速抑制制御を実行可能な加速抑制装置(以下、「従来装置」と称呼する。)が提案されている(例えば、下記特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2021-49981号公報
【発明の概要】
【0004】
従来装置は、アクセルペダルの踏み込み深さ及びその変化に基づいて、加速抑制制御を実行している。そのため、運転者が意図的に自車両を加速させようとしている場面においても、加速抑制制御が実行され、運転者が煩わしく感じる虞がある。例えば、従来装置を用いた場合、交差点での発進時などに、不要な加速抑制制御が頻繁に実行されて、運転者が、そのような制御を煩わしく感じる可能性がある。
【0005】
本発明の目的の一つは、実用性を向上させた加速抑制装置を提供することにある。
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の加速抑制装置(1)は、
自車両の位置に関する情報、及び自車両の操作子の操作に関する情報を取得して出力する車載センサ(20)と、
前記車載センサから取得した情報に基づいて、自車両に搭載された駆動装置(30)及び制動装置(40)のうちの少なくとも1つの装置を制御して、自車両の加速を抑制する加速抑制制御を実行可能な制御装置(10)と、
を備える。
前記制御装置は、
駐車場(P0)を含む所定の領域(PR)内に自車両が位置している状況において、前記駐車場に自車両が駐車される際の走行態様として予め規定された所定の態様に、自車両の走行態様(α,vs)が合致している場合であって、前記情報に基づいて取得した、自車両が進行している現在の方角(α)及び自車両の現在の速度(vs)のいずれか一方又は両方が、所定の分布図(PM)であって、前記所定の領域内において自車両が駐車される際に進行する方角及び当該領域内における自車両の速度のいずれか一方又は両方の分布図の所定の範囲に含まれる場合に前記加速抑制制御を実行可能である、
ように構成される。
【0007】
本発明に係る加速抑制装置が適用された車両(自車両)が所定の領域内を走行している際の走行態様が、駐車時の走行態様として予め規定された態様(駐車時の典型的な走行態様)に合致している場合、加速抑制制御の実行が許可された状態になる。すなわち、例えば、運転者が誤ってアクセルペダルを深く踏み込んでしまったとしても、自車両は、ほとんど加速されない。逆に、自車両の走行態様が、予め規定された態様とは異なる場合には、加速抑制制御の実行が許可されない。すなわち、運転者がアクセルペダルを深く踏み込めば、その踏み込み深さに応じて、自車両が加速する。例えば、運転者が駐車操作中であると推定される場合に、制御装置は加速抑制制御を実行可能であり、駐車操作中ではない(例えば付近の道路を通過中、出庫後に道路走行に移行後)と推定される場合に、制御装置は加速抑制制御を実行不能とすることができる。つまり、本発明に係る駐車支援装置によれば、状況に応じて、加速抑制制御を実行可能な状態と実行不能な状態とが切り替えられる。したがって、自車両の状況に関わらず単にアクセルペダルの踏み込み深さに基づいて加速抑制制御を実行する従来装置に比べて、本発明に係る加速抑制装置の実用性が高い。
【0009】
本態様によれば、制御装置は、自車両の進行している方角及び速度のうちのいずれか一方又は両方の分布図に基づいて、比較的簡単に加速抑制制御の実行可否を決定できる。
【0010】
本発明の他の態様に係る加速抑制装置において、
前記制御装置は、前記所定の領域内において自車両が進行した方角及び当該領域内を走行した自車両の速度のいずれか一方又は両方の履歴に基づいて、前記分布図を生成する。
【0011】
本態様によれば、例えば、駐車領域の特徴(具体的には、駐車場と道路との位置関係)、運転者の駐車時の運転操作の特徴などを分布図に反映させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る駐車支援装置のブロック図である。
図2図2は、駐車領域を示す平面図である。
図3A図3Aは、自車両が駐車場に至った例を示す平面図である。
図3B図3Bは、図3Aに示した例において取得された走行データの分布図、及び駐車ログの分布図である。
図4A図4Aは、自車両が駐車場に至った他の例を示す平面図である。
図4B図4Bは、図4Aに示した例において取得された走行データの分布図、及び駐車ログの分布図である。
図5A図5Aは、自車両が駐車場を通過した例を示す平面図である。
図5B図5Bは、図5Aに示した例において取得された走行データの分布図、及び通過ログの分布図である。
図6A図6Aは、自車両が駐車場を通過した他の例を示す平面図である。
図6B図6Bは、図6Aに示した例において取得された走行データの分布図、及び通過ログの分布図である。
図7A図7Aは、駐車ログのヒストグラムである。
図7B図7Bは、通過ログのヒストグラムである。
図8図8は、駐車操作判定マップ(ヒストグラム)である。
図9図9は、駐車操作判定マップ(極座標形式)である。
図10図10は、動作モード切替プログラムのフローチャートである。
図11図11は、本発明の変形例に係る駐車操作判定マップである。
図12A図12Aは、自車両が駐車場に駐車されるまでの過程で北北西へ前進した際の速度の分布を表すヒストグラムである。
図12B図12Bは、自車両が駐車場を通過する過程で北北西へ前進した場合の速度分布図である。
図13A図13Aは、図12Aの累積度数分布図である。
図13B図13Bは、図12Bの累積度数分布図である。
図14図14は、自車両が北北西へ前進した場合の運転操作が駐車操作であるか否かを判定するためのヒストグラムである。
図15図15は、図14のヒストグラムを用いて、図9の駐車操作判定マップを修正して得られた駐車操作判定マップである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(構成の概略)
図1に示したように、本発明の一実施形態に係る駐車支援装置1(加速抑制装置)は、車両Vに搭載される。駐車支援装置1は、詳しくは後述するように、所定の条件が成立した場合に、車両Vの加速を抑制する。以下、この制御を「加速抑制制御」と称呼する。また、以下の説明において、車両Vを「自車両」と称呼する場合がある。
【0014】
(具体的構成)
図1に示したように、駐車支援装置1は、駐車支援ECU10、車載センサ20,駆動装置30、制動装置40、及びシフト切替装置50を備えている。
【0015】
駐車支援ECU10は、CPU10a、ROM10b(書き換え可能な不揮発性メモリ)、RAM10c、タイマー10dなどを含むマイクロコンピュータを備える。なお、本明細書において、「ECU」は電子制御装置(Electronic Control Unit)を意味し、CPU、RAM、ROMなどを含むマイクロコンピュータを含む。CPUはROMに格納されたインストラクションを実行することにより各種機能を実現する。
【0016】
駐車支援ECU10は、CAN(Controller Area Network)を介して、他のECU(後述するエンジンECU31、ブレーキECU41、SBW・ECU51など)と相互に情報を送信可能及び受信可能に接続されている。
【0017】
車載センサ20は、ナビゲーションシステム21を含む。ナビゲーションシステム21は、複数の人工衛星からGPS信号を受信し、前記受信した複数のGPS信号に基づいて、車両Vの現在地PV(緯度及び経度)、進行方向などを検出する。
【0018】
また、車載センサ20は、車両Vの走行状態(速度、加速度、操作子の操作態様など)に関する情報を取得するセンサを含む。
【0019】
具体的には、車載センサ20は、速度センサ22、アクセルペダルセンサ23、ブレーキペダルセンサ24及びシフトレバーセンサ25を含む。
【0020】
速度センサ22は、自車両の車輪が所定角度回転する毎に一つのパルス信号(車輪パルス信号)を発生させる車輪速センサを含む。速度センサ22は、車輪速センサから送信されてくる車輪パルス信号の単位時間におけるパルス数を計測し、その計測したパルス数に基づいて各車輪の回転速度(車輪速度)を計算し、各車輪の車輪速度に基づいて自車両の速度vs(実車速)を計算する。速度センサ22は、速度vsを表すデータを駐車支援ECU10へ送信する。
【0021】
アクセルペダルセンサ23は、車両Vのアクセルペダル(不図示)の踏み込み深さADを検出する。アクセルペダルセンサ23は、アクセルペダルの踏み込み深さADを表すデータを駐車支援ECU10へ送信する。
【0022】
ブレーキペダルセンサ24は、車両Vのブレーキペダル(不図示)の踏み込み深さBDを検出する。ブレーキペダルセンサ24は、ブレーキペダルの踏み込み深さBDを表すデータを駐車支援ECU10へ送信する。
【0023】
シフトレバーセンサ25は、車両Vのシフトレバー(不図示)のポジション(シフトレバーポジションSP)を検出する。シフトレバーセンサ25は、シフトレバーポジションSPを表すデータを駐車支援ECU10へ送信する。
【0024】
さらに、車載センサ20は、車両Vが備える各種スイッチ(例えば、方向指示器操作レバーの操作状態を検知するためのスイッチ)を含む。
【0025】
駆動装置30は、駆動力を発生させ、当該駆動力を車輪(左前輪、右前輪、左後輪及び右後輪)のうちの駆動輪に付与する。駆動装置30は、エンジンECU31、エンジンアクチュエータ32、内燃機関33、変速機34、駆動力を車輪に伝達する図示しない駆動力伝達機構などを含む。エンジンECU31は、エンジンアクチュエータ32に接続されている。エンジンアクチュエータ32は、内燃機関33のスロットル弁の開度を変更するスロットル弁アクチュエータを含む。エンジンECU31は、駐車支援ECU10からアクセルペダルの踏み込み深さADを取得する。エンジンECU31は、駐車支援ECU10から取得した踏み込み深さADに応じて、エンジンアクチュエータ32を駆動する。このようにして、内燃機関33が発生するトルクが制御される。内燃機関33が発生するトルクは、変速機34及び駆動力伝達機構(例えば、ドライブシャフト)を介して駆動輪に伝達されるようになっている。
【0026】
なお、駐車支援装置1が適用される車両Vが、ハイブリッド車両(HEV)である場合、エンジンECU31は、車両駆動源としての「内燃機関及び電動機」の何れか一方又は両方によって発生する車両の駆動力を制御することができる。また、駐車支援装置1が適用される車両Vが電気車両(BEV)である場合、エンジンECU31に代えて、車両駆動源としての「電動機」によって発生する車両の駆動力を制御する電動機ECUを用いればよい。
【0027】
制動装置40は、車輪に対して制動力を付与する。制動装置40は、ブレーキECU41、油圧回路42及びブレーキキャリパ43を含む。油圧回路42は、図示しないリザーバ、オイルポンプ、種々の弁装置、油圧センサなどを含む。ブレーキキャリパ43は、シリンダ及びピストンを備えた油圧式アクチュエータである。シリンダにオイルが供給されるとピストンがシリンダから押し出される。ピストンの先端に、ブレーキパッドが設けられており、このブレーキパッドがブレーキディスクへ押し当てられる。ブレーキECU41は、駐車支援ECU10からブレーキペダルの踏み込み深さBDを取得する。ブレーキECU41は、駐車支援ECU10から取得した踏み込み深さBDに応じて、油圧回路42に油圧制御指令を送信する。油圧回路42は、ブレーキECU41から取得した油圧制御指令に応じてブレーキキャリパ43のシリンダ内の油圧を調整する。このようにして、ブレーキキャリパ43による車輪(ブレーキディスク)の制動力が制御される。
【0028】
シフト切替装置50は、変速機34のシフトポジションを切替える。シフト切替装置50は、SBW(Shift-by-Wire)・ECU51、SBWアクチュエータ52、シフト切替機構53などを含む。SBW・ECU51は、SBWアクチュエータ52に接続されている。SBW・ECU51は、駐車支援ECU10からシフトレバーポジションSPを取得する。なお、駐車支援ECU10は、シフトレバーセンサ25から取得したシフトレバーポジションSPを適宜修正して、SBW・ECU51へ送信可能である。SBW・ECU51は、駐車支援ECU10から取得したシフトレバーポジションSPに応じて、SBWアクチュエータ52にシフト切り替え指令を送信する。SBWアクチュエータ52は、SBW・ECU51から取得したシフト切り替え指令に応じてシフト切替機構53を制御する。このようにして、変速機34のシフトポジションが切り替えられる。
【0029】
(作動)
つぎに、駐車支援装置1の駐車支援ECU10が実行する駐車支援制御(加速抑制制御)について説明する。駐車支援ECU10は、所定の駐車領域PR内において、アクセルペダルセンサ23から取得した踏み込み深さADを適宜修正して、エンジンECU31へ送信可能である。例えば、アクセルペダルセンサから取得した踏み込み深さADの単位時間当たりの増大幅が所定の閾値を超えた場合、駐車支援ECU10は、アクセルペダルセンサ23から取得した踏み込み深さADよりも小さい値をエンジンECU31へ送信可能である。また、駐車支援ECU10は、ブレーキペダルセンサ24から取得した踏み込み深さBDを適宜修正して、ブレーキECU41へ送信可能である。例えば、自車両の加速度(又は加速度の変化)が所定の閾値を超えた場合、駐車支援ECU10は、ブレーキペダルセンサ24から取得した踏み込み深さBDより大きい値をブレーキECU41へ送信可能である。以下、この制御を「加速抑制制御」と称呼する。これにより、自車両の急加速が抑制される。
【0030】
ここで、自車両の駐車場P0を含む所定の領域及びその周辺における自車両の状況として、以下の第1状況乃至第3状況が想定される。第1状況は、駐車領域PRの外側を自車両が走行している状況である。例えば、自車両が駐車領域PRへ向かって比較的高速で走行している状況が第1状況に該当する。第2状況は、駐車領域PRの内側にて、運転者が駐車のための操作を実行している状況である。例えば、運転者が、自車両を駐車場P0に駐車するために、自車両を比較的低速で前進又は後進(切り返し)させている状況が第2状況に該当する。第3状況は、駐車場P0に駐車されている状況である。速度vsが「0」であり、且つシフトレバーポジションSPが「P」である状況が、第3状況に該当する。
【0031】
駐車支援ECU10は、詳しくは後述するように、自車両の状況を推定する。そして、駐車支援ECU10は、その推定結果に基づいて、自らの動作モードを切り替える(以下、「動作モード切り替え制御」と称呼する。)。すなわち、駐車支援装置1(駐車支援ECU10)の動作モードは、原則として、加速抑制制御を実行不能な「加速抑制禁止モード」(以下、単に「禁止モード」と称呼する。)であるが、所定の条件が成立した場合に、加速抑制制御を実行可能な「加速抑制許可モード」(以下、単に「許可モード」と称呼する。)になる。
【0032】
<事前準備>
駐車支援ECU10は、動作モード切り替え制御を実行するための事前準備として、以下に述べるように、駐車領域PRを特定するデータを取得し、さらに、自車両の状況を推定するために用いる駐車操作判定マップPMを生成する。
【0033】
(駐車領域の設定)
運転者は、自車両を駐車し、図示しない操作スイッチを押すことにより、駐車領域PRを登録できる。すなわち、駐車支援ECU10は、自車両が駐車され(速度vsが「0」であり、且つシフトレバーポジションが「P」である)、さらに前記操作スイッチが押されたことを検知すると、ナビゲーションシステム21から自車両の現在地(緯度及び経度)を取得し、図2に示したように、当該位置を中心とする半径rの円形の領域を駐車領域PRとしてROM10bに記憶させる。なお、現在地の近傍の領域が駐車領域PRとして既に登録されている場合には、駐車支援ECU10は、登録された駐車領域PRが存在することを表す所定の画像を表示装置に表示させるとともに、所定の音声を音響装置に再生させる。運転者は、図示しない操作子を操作して、駐車領域PRを更新するか否かを選択できる。
【0034】
(走行データの取得)
駐車支援ECU10は、車載センサ20から取得した情報に基づいて、自車両が駐車領域PR内に進入したことを検知すると、所定の時間が経過するごとに、同車載センサ20から取得した情報に基づいて、自車両の進行している方角α及び速度vsを検知する。そして、駐車支援ECU10は、各時点tにおいて、検知した方角α及び速度vsを、走行データD[t](=(α,vs))として、RAM10cに記憶させる。駐車領域PR内にて自車両が駐車された場合(第3状況に遷移した場合)、駐車支援ECU10は、RAM10cに記憶されている各走行データD[t]を、駐車ログD1として、ROM10bに記憶させる。一方、自車両が、駐車領域PRに進入した後、駐車されることなく、駐車領域PRから退出した場合(第3状況に遷移しなかった場合)、駐車支援ECU10は、RAM10cに記憶されている各走行データD[t]を、通過ログD2として、ROM10bに記憶させる。上記のようにして、駐車ログD1及び通過ログD2を構成する走行データD[t]がROM10bに蓄積されていく。なお、走行データD[t]は、自車両の方角及び速度からなり、自車両の位置(緯度及び経度)を含んでいない。また、自車両が前進している場合にのみ、駐車支援ECU10は、走行データD[t]を取得する。すなわち、例えば、運転者が自車両を後ろ向き駐車させるために自車両を後進させている状況では、駐車支援ECU10は、走行データD[t]を取得しない。また、運転者が自車両を前向き駐車させる際に、駐車場に対する自車両の姿勢を整えるために自車両を一旦後進させている状況では、駐車支援ECU10は、走行データD[t]を取得しない。
【0035】
ここで、図3A乃至図6Bを参照して、走行データD[t]の具体例(第1乃至第4の例)を説明する。これらの例において、道路R1が南北に延設されており、その道路R1の西側に駐車場P0(車庫)が存在していて、この駐車場P0を中心として駐車領域PRが設定されている。そして、駐車場P0の付近から道路R2が南東へ延設されている。すなわち、道路R2の一端が、駐車場P0の付近にて、道路R1に接続されている。
【0036】
(第1の例)
自車両が駐車領域PRの南方から北上し、駐車領域PRに進入して、駐車場P0に後ろ向き駐車されるまでの過程(第1状況から第3状況へ遷移した場合)において取得された走行データD[t1],D[t2],D[t3]について説明する。
【0037】
図3Aに示したように、駐車領域PRに進入した直後の時点t1において、自車両は比較的高速で北方へ前進している。当該走行データD[t1]は、図3Bに示した分布図DMにおける点T1に相当する。なお、この分布図DMの縦軸が南北方向に相当し、横軸が東西方向に相当する。また、分布図DMの原点からの距離が速度vsに相当する。
【0038】
時点t2において、自車両は比較的低速で北北東へ前進している。走行データD[t2]は、分布図DMにおける点T2に相当する。
【0039】
時点t3において、自車両は極めて低速で北北東へ進行している。つまり、自車両が前進から後進へ切り替えるために停止する直前である。走行データD[t3]は、分布図DMにおける点T3に相当する。
【0040】
その後、自車両は後進して駐車場P0に至る。そのため、当該期間において、駐車支援ECU10は、走行データD[t]を取得しない。すなわち、分布図DMに新たなプロットが追加されない。
【0041】
上記のようにして取得された走行データD[t]が駐車ログD1としてROM10bに記憶(追加)される。言い換えれば、分布図DMにプロットされたそれぞれの点(同図の例における点T1乃至点T3)が、駐車ログD1を表す分布図DM1に追加される。なお、駐車ログD1は、分布図DM1にプロットされたすべての点を包絡する最小の領域に相当する。
【0042】
(第2の例)
自車両が道路R2に沿って駐車場P0へ向かって進行し、駐車領域PRに進入してから、駐車場P0に前向き駐車されるまでの過程(第1状況から第3状況へ遷移した場合)において取得された走行データD[t1],D[t2],D[t3]について説明する。
【0043】
図4Aに示したように、駐車領域PRに進入した直後の時点t1において、自車両は比較的高速で北西へ前進している。当該走行データD[t1]は、図4Bに示した分布図DMにおける点T1に相当する。
【0044】
時点t2において、自車両は駐車場P0の前方(東側)に位置しており、低速で西北西へ前進している。走行データD[t2]は、分布図DMにおける点T2に相当する。
【0045】
時点t3において、自車両は極めて低速で西方へ前進している。走行データD[t3]は、分布図DMにおける点T3に相当する。
【0046】
上記のようにして取得された走行データD[t]が駐車ログD1としてROM10bに記憶(追加)される。言い換えれば、分布図DMにプロットされたそれぞれの点(同図の例における点T1,T2,T3)が、分布図DM1に追加される。
【0047】
(第3の例)
自車両が駐車領域PRの北方から南下し、駐車領域PRに進入して、駐車場P0に駐車することなく、駐車領域PRから南方へ退出するまでの過程(第1状況から第2状況へ遷移しなかった場合)において取得された走行データD[t1],D[t2],D[t3]について説明する。
【0048】
図5Aに示したように、自車両が駐車領域PRに進入した直後の時点t1から、自車両が駐車領域PRから退出する直前の時点T3まで、自車両は略等速で前進している。走行データD[t1],D[t2],D[t3]は、図5Bに示した分布図DMにおける点T1,T2,T3に相当する。同図に示したように、これらの点は密集している。
【0049】
上記のようにして取得された走行データD[t]が通過ログD2としてROM10bに記憶(追加)される。言い換えれば、分布図DMにプロットされたそれぞれの点(同図の例における点T1乃至点T3)が、通過ログD2を表す分布図DM2に追加される。なお、通過ログD2は、分布図DM2にプロットされたすべての点を包絡する最小の領域に相当する。
【0050】
(第4の例)
また、自車両が駐車領域PRの北方から南下し、駐車領域PRに進入して、駐車場P0に駐車することなく、道路R1から道路R2に進入し、駐車領域PRから南東へ退出するまでの過程(第1状況から第2状況に遷移しなかった場合)において取得された走行データD[t1],D[t2],D[t3]について説明する。
【0051】
図6Aに示したように、駐車領域PRに進入した直後の時点t1において、自車両は比較的高速で南方へ前進している。当該走行データD[t1]は、図6Bに示した分布図DMにおける点T1に相当する。
【0052】
時点t2において、自車両は駐車場P0の前方(東側)に位置しており、やや低速で南東へ前進している。走行データD[t2]は、分布図DMにおける点T2に相当する。
【0053】
時点t3において、自車両は駐車領域PRの端部に位置しており、比較的高速で南東へ前進している。走行データD[t3]は、分布図DMにおける点T2に相当する。
【0054】
上記のようにして取得された走行データD[t]が通過ログD2としてROM10bに記憶(追加)される。言い換えれば、分布図DMにプロットされたそれぞれの点(同図の例における点T1乃至点T3)が、分布図DM2に追加される。
【0055】
上記のようにして駐車ログD1及び通過ログD2を更新していった。その結果、この例では、図3B及び図4Bに示したように、分布図DM1において、駐車ログD1は、円形の領域から、西側の一部の領域(南西から北西に亘る扇形の領域)を除いて得られる形状を呈した。また、図5B及び図6Bに示したように、分布図DM2において、通過ログD2は、北か北西に亘る扇形及び南東から南に亘る扇形を呈した。
【0056】
(ヒストグラムの生成)
駐車支援ECU10は、自車両が駐車場P0に駐車された回数(以下、「駐車回数N」と称呼する。)をカウントしている。駐車回数Nが閾値Nth(例えば「50」)を超えると、駐車支援ECU10は、図7Aに示したように、駐車ログD1に基づいて、自車両が駐車領域PRに進入してから駐車されるまで(運転者による駐車操作が完了するまで)の各時点tにおいて自車両が前進した方角のヒストグラムH1を生成する。すなわち、ヒストグラムH1の横軸は方角に相当し、ヒストグラムH1の縦軸は、自車両が各方角へ進行した回数(度数)に相当する。なお、ヒストグラムH1の生成において、走行データD[t]を構成するデータのうちの方角αのみが用いられ、速度vsは用いられない。すなわち、各方角αの度数は、分布図DM1において中心から放射状に延びる直線上に位置するプロット(点)の数に相当する。
【0057】
さらに、駐車支援ECU10は、図7Bに示したように、通過ログD2に基づいて、自車両が駐車領域PRに進入してから、駐車されることなく退出するまでの各時点tにおいて自車両が進行した方角のヒストグラムH2を生成する。すなわち、ヒストグラムH2の横軸は方角に相当し、ヒストグラムH2の縦軸は、自車両が各方角へ進行した回数(度数)に相当する。なお、ヒストグラムH2の生成において、走行データD[t]を構成するデータのうちの方角αのみが用いられ、速度vsは用いられない。すなわち、各方角αの度数は、分布図DM2において中心から放射状に延びる直線上に位置するプロットの数に相当する。
【0058】
(駐車操作判定マップの生成)
駐車支援ECU10は、ヒストグラムH2を構成する各方角αの度数に重み付けを実行(所定値を乗算)する。つぎに、駐車支援ECU10は、ヒストグラムH1を構成する各方角αの度数から、上記の重み付けを実行した後のヒストグラムH2を構成する各方角αの度数を減算する。このようにして、例えば、図8に示したヒストグラムH3が得られる。なお、上記の演算の結果、度数が負値になった場合には、その度数を「0」としている。このヒストグラムH3のうち、度数が「1」以上である方角αの範囲Aは、図9に示した極座標形式の分布図DM3における範囲A(α1≦α≦α2)に相当する。なお、同図における円弧部分の半径(速度vs)は、駐車ログD1を構成する走行データD[t]のうちの最大速度vsmaxに相当する。このようにして得られた分布図DM3が、次に説明する動作モード切り替え制御において、駐車操作判定マップPMとして用いられる。なお、図9に示した駐車操作判定マップPMは、一例であり、駐車領域PRとその周辺の道路との位置関係、道路の構成(直線路、曲線路、分岐路など)、及び運転者の運転操作の特徴などに応じて、範囲Aの形状及び大きさが決まる。
【0059】
<動作モード切り替え制御>
駐車支援ECU10は、車載センサ20から取得した情報に基づいて、自車両の現在地を逐次検知している。自車両が駐車領域PRの外側に位置している場合、運転者が駐車支援ECU10は、動作モードを「禁止モード」に設定する。
【0060】
自車両が駐車領域PRの内側(境界を含む)に位置している場合、駐車支援ECU10は、車載センサ20から取得した情報に基づいて、自車両が前進しているか、又は後進しているかを判定する。自車両が後進している場合、駐車支援ECU10は、動作モードを「許可モード」に設定する。すなわち、運転者が誤ってアクセルペダルを過剰に踏み込んだとしても、自車両はほとんど加速しない。
【0061】
自車両が前進している場合、駐車支援ECU10は、以下に述べるようにして、運転者が駐車操作中(入出庫操作中)であるか否かを推定して、その結果に応じて、動作モードを切り替える。具体的には、駐車支援ECU10は、車載センサ20から取得した情報に基づいて、自車両が前進している方角を検知する。そして、検知した方角が、駐車操作判定マップPMの範囲Aに含まれる場合、駐車支援ECU10は、「運転者が駐車操作中である」と推定して、動作モードを「許可モード」に設定する。一方、検知した方角が、駐車操作判定マップPMの範囲Aに含まれない場合(範囲Aの外側に含まれる場合)であって、且つ自車両が前進し始めてから前方へ進んだ距離Δdが所定の閾値Δdthを超えた場合、運転者が意図的に自車両を加速させていると推定しても差し支えない。この状況として、例えば、自車両を出庫させている状況、駐車操作を途中で終了して駐車領域PRから退出しようとしている状況などが想定される。そこで、この場合、駐車支援ECU10は、「運転者が駐車操作中ではない」と推定して、動作モードを「禁止モード」に設定する。すなわち、運転者がアクセルペダルを深く踏み込めば、自車両は大きく加速する。なお、検知した方角が、範囲Aの外側に含まれる場合であっても、距離Δdが閾値Δdth以下である場合、駐車支援ECU10は、動作モードを「許可モード」に設定する。
【0062】
つぎに、図10を参照して、駐車支援ECU10のCPU10a(以下、単に「CPU」と称呼する。)の動作(上記の動作モード切替制御を実現する動作モード切替プログラムを具体的に説明する。CPUは、自車両のエンジンが始動されると、所定の時間間隔を置いて、動作モード切替プログラムを繰り返し実行する。なお、自車両のエンジンが始動された直後に、動作モードが「禁止モード」に初期化される。
【0063】
CPUは、ステップ100から動作モード切替処理を開始すると、ステップ101に進む。
【0064】
CPUは、ステップ101に進むと、駐車回数Nが閾値Nthを超えているか否かを判定する。上記のように、駐車回数Nが閾値Nth以下である場合には、未だ、駐車操作判定マップPMが生成されておらず、駐車操作中であるか否かを推定することができない。そこで、駐車回数Nが閾値Nth以下である場合(101:No)、CPUは、後述するステップ108に進む。一方、駐車回数Nが閾値Nthを超えている場合(101:Yes)、CPUは、ステップ102に進む。
【0065】
CPUは、ステップ102に進むと、自車両が駐車領域PRの内側に位置しているか否かを判定する。自車両が駐車領域PR内に位置している場合(102:Yes)、CPUは、ステップ103に進む。一方、自車両が駐車領域PRの外側に位置している場合(102:No)、CPUは、ステップ108に進む。
【0066】
CPUは、ステップ103に進むと、自車両が前進しているか否かを判定する。自車両が前進している場合(103:Yes)、CPUは、ステップ104に進む。一方、自車両が前進していない場合(停止している場合及び後進している場合(103:No))、CPUは、後述するステップ106に進む。
【0067】
CPUは、ステップ104に進むと、自車両が前進している方角αを取得(検知)する。つぎに、CPUは、ステップ105に進む。
【0068】
CPUは、ステップ105に進むと、駐車操作中であるか否かを推定する。すなわち、CPUは、検知した方角αが、駐車操作判定マップPMの範囲Aに含まれるか否かを判定する。方角αが範囲Aに含まれる場合(105:Yes)、CPUは、「駐車操作中である」と推定して、ステップ106に進む。一方、方角αが範囲Aに含まれない場合(105:No)、CPUは、「駐車操作中ではない」と推定して、ステップ107に進む。
【0069】
CPUは、ステップ106に進むと、動作モードを「許可モード」に設定して、ステップ109に進み、動作モード切替処理を終了する。
【0070】
CPUは、ステップ107に進むと、走行距離Δdが閾値Δdthを超えているか否かを判定する。走行距離Δdが閾値Δdthを超えている場合(107:Yes)、CPUは、ステップ108に進む。一方、走行距離Δdが閾値Δdth以下である場合(107:No)、CPUは、ステップ106に進む。
【0071】
CPUは、ステップ108に進むと、動作モードを「禁止モード」に設定して、ステップ109に進む。
【0072】
なお、検知した方角αが範囲Aに含まれるとしても、その速度vsが最大速度vsmaxを超えている場合には、CPUは、動作モードを「禁止モード」に設定してもよい。
【0073】
(効果)
上記の駐車操作判定マップPMの範囲Aは、駐車操作中に自車両が前進する可能性が統計的に高い方角の範囲を表している。したがって、自車両が駐車領域PR内を前進している際の方角αが、駐車操作判定マップPMの範囲Aに含まれる場合、制御装置は、「現在、運転者が駐車操作中である」と推定して、加速抑制制御の実行を許可する。逆に、自車両が駐車領域PR内を前進している際の方角αが範囲Aに含まれない場合、制御装置は、原則として、「現在、運転者が駐車操作中ではない」と推定して、加速抑制制御の実行を禁止する。このように、駐車支援装置1によれば、状況に応じて、加速抑制制御を実行可能な状態と実行不能な状態とが切り替えられる。したがって、自車両の状況に関わらず単にアクセルペダルの踏み込み深さに基づいて加速抑制制御を実行する従来装置に比べて、駐車支援装置1の実用性が高い。
【0074】
本発明は上記実施形態に限定されることはなく、以下に述べるように、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。
【0075】
<変形例1>
動作モードが「許可モード」である状態において、範囲Aを図11に示したように拡張してもよい。すなわち、自車両が極めて低速で走行している場合には、その方角に関わらず、動作モードを「許可モード」から「禁止モード」に切り替えないように構成してもよい。
【0076】
<変形例2>
上記の駐車ログD1及び通過ログD2のうち重なる部分が存在する場合がある。例えば、図7A図7Bに示したように、駐車ログD1の北から北北西に亘る領域(αa,αb,αc)の度数が「1」以上であり、且つ通過ログD2の同領域(αa,αb,αc)の度数が「1」以上である。この場合、駐車支援ECU10は、駐車ログD1のうち、方角αが方角αa,αb,αcに一致する走行データDの速度vsのヒストグラムH1a(図12A),H1b,H1cをそれぞれ生成する。また、駐車支援ECU10は、通過ログD2のうち、方角αが方角αa,αb,αcに一致する走行データDの速度vsのヒストグラムH2a(図12B),H2b,H2cをそれぞれ生成する。
【0077】
つぎに、駐車支援ECU10は、図13Aに示したように、ヒストグラムH1aの速度vsの高い方から各度数を累積した累積度数分布図H1Aを作成する。また、駐車支援ECU10は、図13Bに示したように、ヒストグラムH2aの速度vsの低い方から各度数を累積した累積度数分布図H2Aを作成する。そして、駐車支援ECU10は、累積度数分布図H2Aの各階級の累積度数に重み付け処理(例えば、各階級の累積度数を10倍する処理)を実行する。そして、駐車支援ECU10は、累積度数分布図H1Aの各階級の累積度数から、重み付け処理後の累積度数分布図H2Aの各階級の累積度数を減算する。これにより、図14に示した累積度数分布図H3aが得られる。この累積度数分布図H3aによれば、時速6km/h以下である場合に駐車操作中であると推定できる。
【0078】
駐車支援ECU10は、ヒストグラムH1b,H2b及びヒストグラムH1c,H2cに基づいて、累積度数分布図H3aと同様の累積度数分布図H3b及び累積度数分布図H3c(図示省略)を演算する。この例では、累積度数分布図H3b,H3cから、時速6km/h以下である場合に駐車操作中であると推定できることが分かった。
【0079】
上記のように、自車両が方角αa,αb,αcへそれぞれ前進する場合において、その速度vsが比較的低い範囲では駐車操作中(第2状況)である可能性が高いと推定される。そこで、図9の駐車操作判定マップPMが図15に示したように修正されるとよい。
【符号の説明】
【0080】
1…駐車支援装置(加速抑制装置)、10…駐車支援ECU、20…車載センサ、30…駆動装置、40…制動装置、50…シフト切替装置、A…範囲、D…走行データ、D1…駐車ログ、D2…通過ログ 、H1…ヒストグラム、H1A…累積度数分布図、H2…ヒストグラム、H2A…累積度数分布図、PM…駐車操作判定マップ、PR…駐車領域、α…方角
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図13A
図13B
図14
図15