(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】物品仕分け設備
(51)【国際特許分類】
B65G 1/137 20060101AFI20240925BHJP
B65G 1/00 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
B65G1/137 A
B65G1/00 501C
(21)【出願番号】P 2022013485
(22)【出願日】2022-01-31
【審査請求日】2024-02-27
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】三品 康久
(72)【発明者】
【氏名】小川 忠亮
(72)【発明者】
【氏名】藤田 幸二
(72)【発明者】
【氏名】浮須 賢一
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 伸彦
(72)【発明者】
【氏名】宮本 雅哉
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-100482(JP,A)
【文献】特表2019-531887(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/137
B65G 1/00
B07C 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の搬送車のそれぞれが物品を搬送することにより前記物品の仕分けを行う物品仕分け設備であって、
前記搬送車が走行する第1走行経路が複数設定された第1フロアと、
前記第1フロアとは上下方向の異なる高さに設置され、前記搬送車が走行する第2走行経路が複数設定された第2フロアと、
前記第1走行経路の終端部と前記第2走行経路の始端部とを接続するように設けられ、それぞれが前記搬送車を昇降させる複数の第1昇降機構と、
前記第2走行経路の終端部と前記第1走行経路の始端部とを接続するように設けられ、それぞれが前記搬送車を昇降させる複数の第2昇降機構と、
複数の前記第1走行経路のそれぞれに沿って複数並ぶように配置され、それぞれが前記搬送車から前記物品を受け入れるように構成された複数の受入部と、
それぞれの前記第1走行経路に沿って配置された複数の前記受入部の群を受入部群として、前記第1走行経路の前記受入部群よりも始端側の区間又は前記第2走行経路において、前記搬送車に前記物品を供給する供給部と、を備え、
複数の前記第2走行経路のそれぞれは、少なくとも一部の区間において前記第1走行経路又は前記受入部と上下方向視で重複するように配置されている、物品仕分け設備。
【請求項2】
複数の前記第1走行経路のそれぞれの終端部に対応して、M(Mは自然数)個の前記第1昇降機構が設けられ、
複数の前記第1走行経路のそれぞれの始端部に対応して、N(Nは自然数)個の前記第2昇降機構が設けられている、請求項1に記載の物品仕分け設備。
【請求項3】
前記第2フロアには、前記第1走行経路の数以上の数の前記第2走行経路が設定されている、請求項1又は2に記載の物品仕分け設備。
【請求項4】
前記第1走行経路における、前記受入部群が配置された区間を仕分け区間として、
複数の前記第1走行経路のそれぞれの前記仕分け区間が、互いに平行に配置されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の物品仕分け設備。
【請求項5】
複数の前記第1走行経路における、それぞれの前記仕分け区間の延在方向を第1方向とし、上下方向視で前記第1方向に直交する方向を第2方向として、
複数の前記仕分け区間が前記第2方向に並ぶように配置されていると共に、複数の前記供給部が前記第2方向に並ぶように配置されている、請求項4に記載の物品仕分け設備。
【請求項6】
複数の前記搬送車を制御する制御装置と、複数の前記供給部と、を備え、
複数の前記供給部のそれぞれは、
複数の前記搬送車が並ぶことができるバッファエリアと、
前記バッファエリアにある前記搬送車に前記物品を供給する供給作業を行う供給装置、又は、前記供給作業を行う作業者が配置される作業エリアと、を備え、
前記制御装置は、複数の前記供給部のそれぞれの前記バッファエリアに並んでいる前記搬送車の数が、複数の前記供給部同士で互いに同等に近づくように、複数の前記搬送車の走行を制御する、請求項1から5のいずれか一項に記載の物品仕分け設備。
【請求項7】
前記第1走行経路の途中の位置と前記第2走行経路の途中の位置とを接続するように設けられ、前記搬送車を昇降させる第3昇降機構を更に備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の物品仕分け設備。
【請求項8】
前記搬送車は、蓄電装置を備えると共に、当該蓄電装置からの電力によって走行するように構成され、
前記搬送車の前記蓄電装置を充電するための充電部が、前記第2フロアに設置されている、請求項1から7のいずれか一項に記載の物品仕分け設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の搬送車のそれぞれが物品を搬送することにより前記物品の仕分けを行う物品仕分け設備に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような物品仕分け設備の一例が、特開2016-113291号公報(特許文献1)に開示されている。以下、背景技術の説明において括弧内に示す符号は特許文献1のものである。
【0003】
特許文献1の物品仕分け設備(仕分け装置10)は、複数の搬送車(無人搬送車12)が走行する第1フロア(上位のエリアA)と、コンテナを搬送する複数の搬送コンベヤ18が設けられた第2フロア(下位のエリアB)とを備えている。第1フロアは、第2フロアよりも上側に設けられている。第1フロアには、搬送車に物品を引き渡す供給部(物品供給部6)と、物品が投入される複数の受入部(開口8a)とが設けられている。供給部から物品を受け取った搬送車は、複数の受入部のうちの1つの受入部に当該物品を搬送して投入する。第2フロアには、複数の受入部に対応するそれぞれの位置にコンテナ(20)が配置されている。従って、受入部に投入された物品はコンテナ(20)に受け取られ、当該コンテナ(20)は、複数の搬送コンベヤ18により搬送されて、梱包作業者に引き渡される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の物品仕分け設備では、第1フロアに、搬送車が走行するための複数の通路が形成されている。それら複数の通路には、互いに交差する方向に延在する通路が含まれており、複数箇所において互いに交差するように形成されている。そのため、搬送車は、供給部と受入部との間を走行する際に、複数の交差点を通過する必要がある。このような構成では、物品の搬送効率を高めるために搬送車の数を増やすと、交差点において搬送車同士が衝突することを回避するために搬送車が交差点の手前で一時停止する回数が増加する等の事象が生じ易く、物品の搬送効率を効果的に高めることが難しいという課題があった。また、物品の搬送効率を高めるために、例えば、1つの通路における車線の数や、通路自体の数を増やすことも考えられる。しかしそのような構成とすると、通路の面積が大きくなるために、設備全体の上下方向視での設置面積が大型化し易いという課題もあった。
【0006】
そこで、大型化を抑制しつつ、搬送車による物品の搬送効率を高めることが可能な物品仕分け設備の実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る物品仕分け設備は、複数の搬送車のそれぞれが物品を搬送することにより前記物品の仕分けを行う物品仕分け設備であって、
前記搬送車が走行する第1走行経路が複数設定された第1フロアと、
前記第1フロアとは上下方向の異なる高さに設置され、前記搬送車が走行する第2走行経路が複数設定された第2フロアと、
前記第1走行経路の終端部と前記第2走行経路の始端部とを接続するように設けられ、それぞれが前記搬送車を昇降させる複数の第1昇降機構と、
前記第2走行経路の終端部と前記第1走行経路の始端部とを接続するように設けられ、それぞれが前記搬送車を昇降させる複数の第2昇降機構と、
複数の前記第1走行経路のそれぞれに沿って複数並ぶように配置され、それぞれが前記搬送車から前記物品を受け入れるように構成された複数の受入部と、
それぞれの前記第1走行経路に沿って配置された複数の前記受入部の群を受入部群として、前記第1走行経路の前記受入部群よりも始端側の区間又は前記第2走行経路において、前記搬送車に前記物品を供給する供給部と、を備え、
複数の前記第2走行経路のそれぞれは、少なくとも一部の区間において前記第1走行経路又は前記受入部と上下方向視で重複するように配置されている。
【0008】
ここで、供給部から物品を供給された搬送車は、第1走行経路を走行して、当該物品を複数の受入部のうちの任意の受入部に搬送する。また、任意の受入部に物品を引き渡した搬送車は、その後、第2走行経路を走行して、供給部に帰還する。本構成によれば、このような、仕分け搬送用の経路となる第1走行経路と、搬送車の帰還用の経路となる第2走行経路とを上下に異なる高さのフロアに分けて配置することができる。更に、第1走行経路と第2走行経路との端部同士が、昇降機構により接続されている。これにより、搬送車の走行経路が多数設定されている場合であっても、これらの走行経路が交差する箇所を少なく抑えることができる。従って、搬送車による物品の搬送効率を高め易い。
また、本構成によれば、複数の第2走行経路のそれぞれは、少なくとも一部の区間において、第1走行経路又は受入部と上下方向視で重複するように配置されている。そのため、複数の第1走行経路、複数の受入部、及び複数の第2走行経路を備える構成であっても、上下方向視における、物品仕分け設備の設置面積を小さく抑えることができる。
このように、本構成によれば、大型化を抑制しつつ、搬送車による物品の搬送効率を高めることができる。
【0009】
物品仕分け設備のさらなる特徴と利点は、図面を参照して説明する例示的且つ非限定的な実施形態についての以下の記載から明確となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図4】搬送車、第1走行経路、受入部、搬送装置の正面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
物品仕分け設備は、物品の仕分け及び搬送を行う設備である。以下、図面を参照して、物品仕分け設備の実施形態について例示的に説明する。
【0012】
〔物品仕分け設備の概要〕
図1に示すように、物品仕分け設備1は、複数の搬送車3のそれぞれが物品Wを搬送することにより物品Wの仕分けを行うように構成されている。本実施形態では、物品仕分け設備1は、複数の搬送車3と、第1フロア11と、第2フロア21と、搬送車を昇降させる複数の昇降機構2と、搬送車3から物品Wを受け入れる複数の受入部8と、搬送車3に物品Wを供給する供給部9と、制御装置Hと、を備えている。また、本例では、物品仕分け設備1は、搬送装置85を更に備えている。本実施形態では、複数の搬送車3のそれぞれは、第1フロア11と第2フロア21とを走行して、物品Wを搬送する。第1フロア11と第2フロア21とは、複数の昇降機構2により接続されている。これにより、複数の搬送車3は、第1フロア11と第2フロア21との双方を往来することができる。本例では、搬送車3は、第1フロア11において、供給部9から物品Wを受け取って、複数の受入部8のうちの任意の受入部8に搬送する。物品Wを搬送した後の搬送車3は、第1フロア11から第2フロア21に移動する。そして、当該搬送車3は、第2フロア21を走行後、第1フロア11に移動して供給部9に帰還する(
図1の矢印参照)。供給部9に帰還した搬送車3には、新たに別の物品Wが供給される。このように、本例の物品仕分け設備1では、複数の搬送車3のそれぞれが、繰り返し物品Wを受入部8に搬送するように構成されている。
【0013】
本実施形態では、複数の第1走行経路4における、それぞれの仕分け区間4bの延在方向を第1方向Xとし、上下方向視で第1方向に直交する方向を第2方向Yとして説明する。第1走行経路4及び仕分け区間4bについては、後に具体的に説明する。本例では、第1方向Xの一方側を第1方向第1側X1とし、第1方向Xの他方側を第1方向第2側X2として説明する。同様に、第2方向Yの一方側を第2方向第1側Y1とし、第2方向Yの他方側を第2方向第2側Y2として説明する。以下では、搬送車3、第1フロア11、第2フロア21、昇降機構2、及び制御装置Hにおける具体的な構成について説明する。
【0014】
〔搬送車〕
本実施形態では、
図4に示すように、搬送車3は、物品Wを載置して搬送するように構成されている。また、
図6に示すように、搬送車3は、蓄電装置35を備えると共に、当該蓄電装置35からの電力供給によって走行するように構成されている。本例では、搬送車3は、走行面4aを転動する複数の車輪33と、蓄電装置35を格納した本体部32と、物品Wを載置する載置部31とを備えている。複数の車輪33は、本体部32に取り付けられている。そして、載置部31は、載置面31a上の物品Wを搬送する水平姿勢(
図4の2点鎖線参照)と、載置面31a上の物品Wを受入部8に移載する傾斜姿勢(
図4の実線参照)とに姿勢変更自在に構成されている。また、本例では、複数の搬送車3のそれぞれに、位置情報検出部37が設けられている(
図6参照)。そして、後述する第1走行経路4及び第2走行経路5には、規定の間隔で不図示の位置情報保持体が設けられている。搬送車3が第1走行経路4及び第2走行経路5を移動すると、搬送車3の位置情報検出部37は、これらの位置情報保持体を検出するように構成されている。位置情報保持体として、バーコード(1次元コード)、2次元コード、ICタグを例示することができる。位置情報検出部37により検出された検出情報は、搬送車3から制御装置Hに送信される。複数の搬送車3のそれぞれは、検出情報を送信することで、自己が存在している位置を制御装置Hに知らせることができる。すなわち、本例では、検出情報は、搬送車3の位置情報を含んでいる。
【0015】
〔第1フロア〕
図1及び
図2に示すように、第1フロア11は、搬送車3が走行する第1走行経路4が複数設定されている。第1フロア11は、複数の搬送車3のそれぞれにより物品Wが搬送されると共に、搬送された物品Wが仕分けられる領域である。本実施形態では、第1フロア11は、平面状に広がるように形成されている。そして、第1フロア11には、複数の受入部8と、複数の供給部9と、搬送装置85とが設置されている。図示の例では、第1フロア11は、物品仕分け設備1における床面とされている。
【0016】
図2及び
図5に示すように、複数の受入部8は、複数の第1走行経路4のそれぞれに沿って複数並ぶように配置され、それぞれが搬送車3から物品Wを受け入れるように構成されている。本実施形態では、複数の受入部8は、第1方向Xに沿うように並んで配置されている。また、複数の受入部8は、後述する、第1走行経路4の仕分け区間4bに沿うように配置されている。複数の受入部8のそれぞれは、搬送車3から受け取った物品Wを、搬送装置85に引き渡すように構成されている。以下では、
図2に示すように、それぞれの第1走行経路4に沿って配置された複数の受入部8の群を受入部群80とする。本実施形態では、1つの受入部群80は、仕分け区間4bに沿って配置された複数の受入部8を含んで構成されている。本例では、複数の受入部群80のそれぞれが、第1方向Xに沿うと共に、第2方向Yに並ぶように配置されている。図示の例では、1つの仕分け区間4bに対して、一対の受入部群80が配置されている。すなわち、第1走行経路4の第2方向Yの両側に、受入部群80(複数の受入部8)が配置されている。そして、一対の受入部群80と、これに隣り合う一対の受入部群80との間には、作業者Pが進入できるスペース12が形成されている。
【0017】
本実施形態では、
図5に示すように、複数の第1走行経路4のそれぞれは、第1方向Xに沿うように配置された仕分け区間4bを含んで構成されている。また、本実施形態では、
図5に示すように、仕分け区間4bは、第1走行経路4における、受入部8群が配置された区間とされている。そして、複数の第1走行経路4のそれぞれの仕分け区間4bが、互いに平行に配置されている。また、
図2に示すように、複数の仕分け区間4bは、第2方向Yに並ぶように配置されている。すなわち、複数の仕分け区間4bのそれぞれは、第1方向Xに沿うと共に、第2方向Yに互いに分かれて配置されている。本例では、複数の仕分け区間4bのそれぞれは、搬送車3の走行方向(ここでは第1方向第2側X2)の端部、すなわち第1走行経路4の終端部42において、後述する第1昇降機構6に接続されている。
【0018】
また、本例では、
図5に示すように、複数の第1走行経路4のそれぞれは、第2方向Yに沿うように配置された第1合流区間4cを含んで構成されている。第1合流区間4cは、仕分け区間4bに対して第1方向第1側X1に配置されている。供給部9から物品Wを供給された搬送車3は、この第1合流区間4cを通過して、仕分け区間4bに移動する。ここで、本例では、第1合流区間4cは、複数の車線で構成されており、複数の仕分け区間4bが第1方向第1側X1の端部において互いに接続されることで形成されている。このため、それぞれの第1走行経路4が有する第1合流区間4cは、他の異なる第1走行経路4と共有されている。そして、複数の第1合流区間4cの一部の領域が、後述する供給部9のバッファエリア91となっている。
【0019】
本例では、
図2及び
図5に示すように、搬送装置85は、第1フロア11に複数設けられている。そして、複数の搬送装置85のそれぞれは、第1方向Xに沿うと共に、上下方向視で受入部群80に隣接するように配置されている。これらの搬送装置85は、隣接する受入部群80に属する複数の受入部8から物品Wを受け取って、出荷場所に搬送する。図示の例では、複数の受入部8のそれぞれに対応する複数の容器Kが、搬送装置85の上に並んで配置されている。そして、搬送された物品Wは、受入部8から搬送装置85上の対応する容器Kに収容される。1つの受入部群80に対応する全ての容器Kに物品Wが収容されると、当該受入部群80に対応する搬送装置85が作動して、これらの物品Wを容器Kと共に図外の出荷場所に搬出する。なお、図示の例では、搬送装置85は、ベルトコンベヤである。
【0020】
図4の一例では、第1走行経路4の仕分け区間4bに対して第2方向Yの両側に、一対の受入部8が配置されている。そして、それぞれの受入部8の第2方向Yの外側に、搬送装置85がそれぞれ配置されている。受入部8は、第2方向Yに物品Wを搬送するベルトコンベヤを備えて構成されている。第1走行経路4は、搬送車3を下方から支持すると共に搬送車3の車輪33が転動可能な走行面4aを備えており、この走行面4aは、第1フロア11の床面よりも上側の位置に配置されている。物品Wを載置した搬送車3は、搬送先の受入部8に隣接する走行面4aの位置に停車すると、載置部31を水平姿勢から傾斜姿勢に姿勢変更させる。すると、載置面31a上の物品Wが、受入部8の搬送面上に移載される。物品Wは、受入部8により第2方向Yに搬送されて、搬送装置85上の容器K内に収容される。このように、複数の搬送車3が任意の受入部8に物品Wを搬送することで、複数の容器Kに物品Wが仕分けられる。
【0021】
図1、
図2、
図5、及び
図10に示すように、供給部9は、第1走行経路4の受入部群80よりも始端側の区間又は第2走行経路5において、搬送車3に物品Wを供給するように構成されている。本実施形態では、供給部9は、第1走行経路4の受入部群80よりも始端側(第1方向第1側X1)に配置されている。言い換えると、供給部9は、第1走行経路4の仕分け区間4bよりも始端側(第1方向第1側X1)に配置されている。本例では、供給部9は、第1走行経路4の第1合流区間4cの一部と重複するように配置されている。また、本実施形態では、
図2に示すように、複数の供給部9が第2方向Yに並ぶように配置されている。本例では、複数の仕分け区間4bのそれぞれに対応するように、複数の供給部9が配置されている。なお、供給部9の数は、仕分け区間4bの数より少なくても良いし、仕分け区間4bの数以上であっても良い。また、第1フロア11に、単一の供給部9が配置されていても良い。
【0022】
本実施形態では、
図2及び
図5に示すように、複数の供給部9のそれぞれは、複数の搬送車3が並ぶことができるバッファエリア91と、バッファエリア91にある搬送車3に物品Wを供給する供給作業を行う供給装置92、又は、供給作業を行う作業者Pが配置される作業エリア93と、を備えている。本例では、複数の供給部9のそれぞれは、供給作業を行う作業者Pが配置される作業エリア93を備えている。一方、後に参照する
図11の例では、作業エリア93には供給装置92が配置されている。作業者Pは、作業エリア93において、バッファエリア91に配置された空の搬送車3(すなわち、物品Wを載置していない搬送車3)に物品Wを載置する。ここで、本例では、バッファエリア91は、第1走行経路4の第1合流区間4cの一部の領域に配置されている。また、バッファエリア91の始端は、後述する第2昇降機構7に接続されている。図示の例では、バッファエリア91は、第1合流区間4cの第1方向第1側X1の端部の領域とされている。また、バッファエリア91は、第2方向Yに沿うように配置されている。そして、バッファエリア91には、第2昇降機構7から受け取った空の搬送車3が配置される。
【0023】
また、図示の例では、供給部9は、コンベヤ94を更に備えている。コンベヤ94は、図外の自動倉庫から物品Wを作業エリア93に搬送する。作業者Pは、コンベヤ94で搬送されてきた物品Wを、バッファエリア91に配置された空の搬送車3に載せ替える作業を行う。
【0024】
〔第2フロア〕
図1及び
図3に示すように、第2フロア21は、第1フロア11とは上下方向の異なる高さに設置され、搬送車3が走行する第2走行経路5が複数設定されている。第2フロア21は、第1フロア11の受入部8に物品Wを引き渡した空の搬送車が走行する領域である。第1フロア11と第2フロア21とは、互いに異なる高さに設けられていればよく、床面等によって必ずしも物理的に区画されている必要はない。本実施形態では、第2フロア21は、第1フロア11よりも上側に配置されている。そして、第2フロア21には、搬送車3を下方から支持すると共に、搬送車3の車輪33が転動可能な走行面を有する複数の第2走行経路5が配置されている。本例では、第2フロア21は、第1走行経路4を走行する搬送車3よりも上側に配置されている。そして、第2フロア21は、第1走行経路4上の搬送車3に載置された物品Wと干渉しないような上下方向の位置に設置されている。
図3の一例では、第2フロア21は、第2走行経路5の搬送面及び後述する充電部28を含む平面状に形成されている。
【0025】
図1に示すように、複数の第2走行経路5のそれぞれは、少なくとも一部の区間において第1走行経路4又は受入部8と上下方向視で重複するように配置されている。本実施形態では、複数の第2走行経路5のそれぞれは、第1走行経路4と上下方向視で重複するように配置されている。本例では、複数の第2走行経路5は、複数の第1走行経路4に対応するように配置されている。より具体的には、複数の第2走行経路5のそれぞれは、直進区間5aと、第2合流区間5bとを備えている。そして、複数の直進区間5aは、第1方向Xに沿うと共に、第2方向Yに互いに分かれて配置されている。複数の直進区間5aのそれぞれは、複数の第1走行経路4が備えるそれぞれの仕分け区間4bと対応するように配置されている。具体的には、複数の直進区間5aのそれぞれは、対応する仕分け区間4bと上下方向視で重複するように配置されている。また、複数の第2合流区間5bも、第1走行経路4の第1合流区間4cと上下方向視で重複するように配置されている。図示の例では、1つの仕分け区間4bに対応するように、1つの直進区間5aが配置されている。そして、1つの直進区間5aは、対応する1つの仕分け区間4bと、上下方向視で重複するように配置されている。
【0026】
また、図示の例では、複数の第2合流区間5bのそれぞれは、直進区間5aに対して第1方向第1側X1に配置されている。ここで、第2合流区間5bは、複数の車線で構成されており、複数の直進区間5aが第1方向第1側X1の端部において合流することで形成されている。このため、それぞれの第2走行経路5が有する第2合流区間5bは、他の異なる第2走行経路5と共有されている。なお、図示の例では、直進区間5a及び第2合流区間5bと複数の受入部8とが、上下方向視で完全に重複しないように配置されているのではなく、直進区間5aと第2合流区間5bとの少なくとも一方が、受入部8と上下方向視で重複する領域も存在する。なお、本例では、複数の直進区間5aのそれぞれは、搬送車3の走行開始部分、すなわち、第2走行経路5の始端部51において、後述する第1昇降機構6に接続されている。
【0027】
本実施形態では、
図2及び
図3に示すように、第2フロア21には、第1走行経路4の数以上の数の第2走行経路5が設定されている。本例では、1つの仕分け区間4bに対応して、少なくとも1つの直進区間5aが対応するように配置されている。図示例では、上述のように、1つの仕分け区間4bに対応して、1つの直進区間5aが対応するように配置されている(
図1参照)。これにより、第2フロア21には、第2走行経路5の直進区間5aが、第1走行経路4の仕分け区間4bと同数、配置されている。
【0028】
本実施形態では、
図3に示すように、搬送車3の蓄電装置35を充電するための充電部28が、第2フロア21に設置されている。これにより、受入部8が配置されていない第2フロア21の領域を効率的に利用できる。本例では、充電部28は、第2合流区間5bに隣接するように配置されている。充電部28は、複数の搬送車3が並んで停車できるように平面状に構成されている。搬送車3は、自己の蓄電装置35における蓄電量が、規定の蓄電量未満(例えば、満充電状態における蓄電量を基準として50%未満等)であることを認識すると、直進区間5aを走行後、充電部28に移動して停車する。充電部28では、搬送車3の蓄電装置35に対して急速充電が可能であり、充電が完了した搬送車3は、第2合流区間5bから第1フロア11の供給部9に帰還する。なお、制御装置Hが、各搬送車3の蓄電装置35の蓄電量を把握しており、規定の蓄電量未満の搬送車3を、充電部28に移動するように制御しても良い。また、充電部28の構成としては、非接触式の給電装置を備えていても良いし、接触式の給電装置を備えていても良い。
【0029】
〔昇降機構〕
図1、
図2、及び
図3に示すように、本実施形態では、複数の昇降機構2は、複数の第1昇降機構6と、複数の第2昇降機構7と、複数の第3昇降機構20とを備えている。第1昇降機構6、第2昇降機構7、及び第3昇降機構20のそれぞれは、第1フロア11の第1走行経路4と、第2フロア21の第2走行経路5とを接続している。以下では、第1昇降機構6、第2昇降機構7、及び第3昇降機構20の構成についてそれぞれ説明する。
【0030】
図1、
図2、及び
図3に示すように、複数の第1昇降機構6は、第1走行経路4の終端部42と第2走行経路5の始端部51とを接続するように設けられ、それぞれが搬送車3を昇降させるように構成されている。本実施形態では、複数の第1昇降機構6のそれぞれは、第1走行経路4の仕分け区間4bの終端と第2走行経路5の直進区間5aの始端とを接続している。これにより、受入部8に物品Wを引き渡した後の空の搬送車3は、第1昇降機構6を介して、第1フロア11の仕分け区間4bから、第2フロア21の直進区間5aに移動することができる。図示の例では、第1昇降機構6は、上下方向に移動する昇降台を備えており、搬送車3は、当該昇降台に乗ることで、第1フロア11から第2フロア21に移動することができる。以下で説明する第2昇降機構7及び第3昇降機構20も、第1昇降機構6と同等の構造を有している。
【0031】
本実施形態では、
図2及び
図3に示すように、複数の第1走行経路4のそれぞれの終端部42に対応して、M(Mは自然数)個の第1昇降機構6が設けられている。Mは、後述するNと同じ数であっても異なる数であってもよいが、本例では、Mは、Nと同じ数とされている。本例では、1つの第1走行経路4の終端部42に対応して、少なくとも1つの第1昇降機構6が設けられている。また、1つの仕分け区間4bに対応して、少なくとも1つの第1昇降機構6が設けられている。図示の例では、M=2であり、1つの仕分け区間4bに対応して、複数個(ここでは2個)の第1昇降機構6が設けられている。すなわち、第1昇降機構6の数は、仕分け区間4bの数よりも多くなるように設けられている。これにより、第1走行経路4を走行する搬送車3の数が多い場合でも、第1昇降機構6の手前で渋滞が生じる可能性を低くすることができる。なお、第1昇降機構6の数は、仕分け区間4bの数と同数であっても良いし、仕分け区間4bの数よりも少なくても良い。
【0032】
更に、図示の例では、上下方向視で重複する、1組の仕分け区間4b及び直進区間5aにつき、同数(ここでは2個)の第1昇降機構6が設けられている。このため、第1昇降機構6の数は、上下方向視で重複する仕分け区間4b及び直進区間5aの組数の整数倍となっている。しかし、そのような構成に限定されることなく、1組の仕分け区間4b及び直進区間5aに設けられる第1昇降機構6の数は、適宜異ならせても良い。例えば、隣り合う2組の仕分け区間4b及び直進区間5aのそれぞれに設けられる第1昇降機構6の数は、互いに異なっていてもよい。
【0033】
図2及び
図3に示すように、複数の第2昇降機構7は、第2走行経路5の終端部52と第1走行経路4の始端部41とを接続するように設けられ、それぞれが搬送車3を昇降させるように構成されている。本実施形態では、複数の第2昇降機構7のそれぞれは、第2走行経路5の第2合流区間5bの終端と第1走行経路4の第1合流区間4cの始端とを接続している。これにより、第2走行経路5を走行する空の搬送車3は、第2昇降機構7を介して、第2フロア21の第2走行経路5から第1フロア11の第1走行経路4に移動することができる。本例では、複数の第2昇降機構7のそれぞれは、第2合流区間5bの終端とバッファエリア91の始端とを接続している。このため、搬送車3は、第2昇降機構7を介して、第2合流区間5bからバッファエリア91に乗り移る。
【0034】
本実施形態では、
図2及び
図3に示すように、複数の第1走行経路4のそれぞれの始端部41に対応して、N(Nは自然数)個の第2昇降機構7が設けられている。本例では、複数のバッファエリア91に対応して、複数個の第2昇降機構7が設けられている。図示の例では、N=2であり、1つのバッファエリア91(第1走行経路4の始端部41の領域)に対応して、複数個(ここでは2個)の第2昇降機構7が設けられている。すなわち、第2昇降機構7の数は、バッファエリア91の数よりも多くなるように設けられている。また、本例では、第2走行経路5の直進区間5aにも対応して、複数個の第2昇降機構7が設けられている。図示の例では、1つの直進区間5aに対応するように、複数個(ここでは2個)設けられている。すなわち、第2昇降機構7の数は、直進区間5aの数よりも多くなるように設けられている。このように、図示の例では、第2昇降機構7は、直進区間5a及びバッファエリア91の数よりも多くなるように設置されている。なお、第2昇降機構7の数は、バッファエリア91及び直進区間5aの数と同じであってもよいし、バッファエリア91及び直進区間5aの数よりも少なくてもよい。
【0035】
更に、図示の例では、複数のバッファエリア91には、それぞれ同数(ここでは2個)の第2昇降機構7が接続されている。すなわち、第2昇降機構7の数は、バッファエリア91の数の整数倍となっている。しかし、複数のバッファエリア91のそれぞれに接続される第2昇降機構7の数は、互いに異なっていてもよい。
【0036】
また、本例では、第1昇降機構6の数と第2昇降機構7の数とは、互いに同数となるように設定されている。すなわち、第1フロア11と第2フロア21とは、それぞれ同じ数の第1昇降機構6及び第2昇降機構7により接続されている。そのため、第1フロア11と第2フロア21とにおける搬送車3の往来を比較的スムーズに行うことができる。
【0037】
本実施形態では、
図2、
図3、及び
図5に示すように、第3昇降機構20は、第1走行経路4の途中の位置と第2走行経路5の途中の位置とを接続するように設けられ、搬送車3を昇降させるように構成されている。本例では、第3昇降機構20は、第1走行経路4における仕分け区間4bの途中の位置と、第2走行経路5における直進区間5aの途中の位置とを接続するように設けられている。また、第3昇降機構20は、複数の仕分け区間4b及び直進区間5aのそれぞれに対応するように、複数個設けられている。図示の例では、第3昇降機構20は、上下方向視で重複する1組の仕分け区間4b及び直進区間5aに対して1個ずつ設けられている。また、第3昇降機構20は、1組の仕分け区間4b及び直進区間5aに隣接するように設けられている。なお、設置される第3昇降機構20の数は、受入部群80を構成する複数の受入部8の数、搬送する物品Wの種類、搬送車3の台数等に応じて適宜変更できると好適である。
【0038】
〔制御装置〕
本実施形態では、
図6に示すように、制御装置Hは、複数の搬送車3を制御するように構成されている。本例では、制御装置Hは、複数の搬送車3に加えて、第1昇降機構6、第2昇降機構7、第3昇降機構20、搬送装置85を制御するように構成されている。図示の例では、制御装置Hは、更に、供給部9のコンベヤ94を制御する。制御装置Hは、各搬送車3、第1昇降機構6、第2昇降機構7、第3昇降機構20、搬送装置85、及びコンベヤ94のそれぞれが有する各制御部と通信可能に構成されており、これらの各制御部の動作状況を取得可能であると共に、これらの各制御部に対して指令を出力可能に構成されている。制御装置H及びこれらの各制御部は、例えば、マイクロコンピュータ等のプロセッサ、メモリ等の周辺回路等を備えている。そして、これらのハードウェアとコンピュータ等のプロセッサ上で実行されるプログラムとの協働により、各機能が実現される。以下では、
図7の状態遷移図と、
図8及び
図9のフローチャートを使用して、制御装置Hによる搬送車3に対する制御を中心に説明する。
【0039】
制御装置Hは、供給部9に搬入される物品Wに対し、搬送先の受入部8を指定する(ステップ♯01)。図示の例では、搬送車3の載置部31に載置された物品Wに対して、搬送先の受入部8を指定する。そして、制御装置Hは、指定した受入部8に当該物品Wを搬送するように搬送車3を制御する。受入部8に物品Wを搬送するための搬送車3の制御には、当該受入部8に対応する位置まで搬送車3を走行させる制御と、当該位置において物品Wを搬送車3から受入部8に移載する制御とが含まれる。搬送車3は、指定の受入部8に物品Wを搬送すると(ステップ♯02)、信号を制御装置Hに送信する。制御装置Hは、当該信号を受信すると、この搬送車3を第2走行経路5に移動させるための第1昇降機構6又は第3昇降機構20を指定する(ステップ♯10)。そして、制御装置Hは、第1昇降機構6及び第3昇降機構20のうちの指定した昇降機構2に移動するように搬送車3を制御する。搬送車3は、第1昇降機構6及び第3昇降機構20のうちの指定された昇降機構2に移動すると(ステップ♯03)、制御装置Hに信号を送信する。また、搬送車3は、昇降機構2を介して第2走行経路5に到着すると(ステップ♯04)、制御装置Hに信号を送信する。制御装置Hは、当該信号を受信すると、複数の供給部9のうちの1つの供給部9を指定する(ステップ♯20)。制御装置Hは、指定した供給部9のバッファエリア91に接続されている第2昇降機構7に移動するように搬送車3を制御する。搬送車3は、第2昇降機構7を介して指定された供給部9に移動すると(ステップ♯05)、信号を制御装置Hに送信する。
【0040】
なお、制御装置Hは、供給部9に搬入される物品Wに対し、搬送先の受入部8を指定する(ステップ♯01)と同時に、当該物品Wを搬送した後の搬送車3を移動させる第1昇降機構6又は第3昇降機構20を指定しても良い(ステップ♯10)。すなわち、物品Wを搬送した後の搬送車3を第1フロア11から第2フロア21に移動させるための第1昇降機構6又は第3昇降機構20の指定は、当該物品Wの受入部8への搬送完了前に行われてもよい。
【0041】
図8は、制御装置Hが、第1昇降機構6又は第3昇降機構20を指定するステップ(
図7のステップ♯10)を示すフローチャートである。
図8に示すように、制御装置Hは、まず、搬送先に指定した受入部8が、第3昇降機構20よりも始端側(第1走行経路4の始端側)に配置されたものであるか否かを判定する(ステップ♯11)。そして、搬送先に指定した受入部8が第3昇降機構20よりも始端側にあると判定した場合(ステップ♯11:Yes)、制御装置Hは、第3昇降機構20を搬送車3の移動先に指定する(ステップ♯12)。更に、制御装置Hは、この受入部8に物品Wを搬送した後の搬送車3に対して、第3昇降機構20に移動するように指令を送信する(ステップ♯14)。一方、搬送先に指定した受入部8が第3昇降機構20よりも始端側にはないと判定した場合(ステップ♯11:Nо)、制御装置Hは、第1昇降機構6を搬送車3の移動先に指定する(ステップ♯13)。そして、制御装置Hは、受入部8に物品Wを搬送した後の搬送車3に対して、第1昇降機構6に移動するように指令を送信する(ステップ♯14)。
【0042】
本実施形態では、制御装置Hは、複数の供給部9のそれぞれのバッファエリア91に並んでいる搬送車3の数が、複数の供給部9同士で互いに同等に近づくように、複数の搬送車3の走行を制御する。本例では、制御装置Hは、複数の供給部9のうちの、バッファエリア91に配置されている搬送車3の数が最も少ない供給部9に移動するように、第2走行経路5を走行する搬送車3を制御する。本例では、制御装置Hは、仕分け区間4bから直進区間5aに移動した搬送車に対して、複数のバッファエリア91のうちの最も搬送車3の台数が少ないバッファエリア91に移動するように指令する。当該指令を受信した搬送車3は、対応する第2昇降機構7を介して移動先に指定されたバッファエリア91に移動する。
【0043】
図9は、制御装置Hが、複数の供給部9のうちの1つの供給部9を指定するステップ(
図7のステップ♯20)を示すフローチャートである。
図9に示すように、制御装置Hは、まず、複数の供給部9の各バッファエリア91に存在する搬送車3の台数情報を取得する(ステップ♯21)。本例では、制御装置Hは、複数の搬送車3のそれぞれから送信される上述の検出情報(位置情報)を取得することにより、各バッファエリア91に存在する搬送車3の台数を知ることができる。次に、制御装置Hは、搬送車3の数が最も少ないバッファエリア91の属する供給部9を、搬送車3の移動先に指定する(ステップ♯22)。そして第2走行経路5を走行する搬送車3に対して、指定した供給部9のバッファエリア91に移動するように指令を送信する(ステップ♯23)。なお、制御装置Hによる、搬送車3に対する指令は、当該搬送車3が直進区間5aの走行中に行われても良いし、第2合流区間5bに進入するタイミングで行われても良い。また、制御装置Hは、指令対象である搬送車3が走行する直進区間5aから近い位置にある複数のバッファエリア91から、搬送車3の数が最も少ないバッファエリア91を移動先に指定しても良い。例えば、指令の対象である搬送車3が走行する直進区間5aから最も近いバッファエリア91と、当該バッファエリア91の両隣にあるバッファエリア91とのうちから、最も搬送車3の台数が少ないバッファエリア91を選択する構成としても良い。
【0044】
〔その他の実施形態〕
次に、物品仕分け設備のその他の実施形態について説明する。
【0045】
(1)上記の実施形態では、供給部9は、第1走行経路4の受入部群80よりも始端側の区間において、搬送車3に物品Wを供給する構成を例として説明した。しかしそのような構成に限定されることなく、供給部9は、第2走行経路5において、搬送車3に物品Wを供給する構成としても良い。このような構成の一例を
図10に示している。
図10の例では、複数の供給部9が、複数の直進区間5aに対応して配置されている。そして、直進区間5aにおいて、空の搬送車3に物品Wを供給できるように構成されている。この場合、バッファエリア91を直進区間5aの一部の領域に配置しても良い。また、搬送車3が直進区間5aとバッファエリア91との間で乗り入れが可能なように、バッファエリア91を直進区間5aとは別に設けても良い。
【0046】
(2)上記の実施形態では、第2フロア21は、第1フロア11よりも上側に設置されている構成を例として説明した。しかしそのような構成に限定されることなく、第2フロア21は、第1フロア11よりも下側に設置されていても良い。この場合においても、複数の第2走行経路5(直進区間5a、第2合流区間5b)のそれぞれは、少なくとも一部の区間において、第1走行経路4(仕分け区間4b、第1合流区間4c)又は受入部8と上下方向視で重複するように配置されていると好適である。
【0047】
(3)上記の実施形態では、第1フロア11と第2フロア21とは、それぞれ同じ数の第1昇降機構6及び第2昇降機構7により接続されている構成を例として説明した。しかしそのような構成に限定されることなく、第1フロア11と第2フロア21とを接続する第1昇降機構6と第2昇降機構7との数は互いに異なっていても良い。
【0048】
(4)上記の実施形態では、第2走行経路5の直進区間5aは、第1走行経路4の仕分け区間4bと同数になるように配置されている構成を例として説明した。しかしそのような構成に限定されることなく、第2走行経路5の直進区間5aは、第1走行経路4の仕分け区間4bの数よりも多く配置されていても良い。すなわち、上記の実施形態では、第2フロア21に、第1走行経路4の数と同数の第2走行経路5が設定されていたが、第2フロア21に、第1走行経路4の数より多い数の第2走行経路5が設定されていても良い。このような構成の一例を
図10に示している。
図10に示す例では1つの仕分け区間4bに対応して複数(ここでは2つ)の直進区間5aが配置されている。すなわち、
図10に示す例では、共通の第1昇降機構6に接続される第1走行経路4と第2走行経路5とについて、第2走行経路5の数を第1走行経路4の数よりも多くしている。受入部8に物品Wを搬送した後の搬送車3は、複数の直進区間5aのいずれかを走行して、第2合流区間5bに進入する。また、第3昇降機構20により仕分け区間4bから直進区間5aに移動した搬送車3も、複数の直進区間5aのいずれかを走行可能に構成されている。また、このような構成において、複数の第2走行経路5のそれぞれは、少なくとも一部で第1走行経路4及び受入部8と上下方向視で重複するように配置されている。
【0049】
(5)上記の実施形態では、複数の仕分け区間4bが、互いに平行に配置されている構成を例として説明した。しかしそのような構成に限定されることなく、複数の仕分け区間4bが、互いに平行に配置されていなくても良い。
【0050】
(6)上記の実施形態では、複数の仕分け区間4bが、第2方向Yに並ぶように配置されている構成を例として説明した。しかしそのような構成に限定されることなく、複数の仕分け区間4bが、第2方向Yに並んでいなくても良い。
【0051】
(7)上記の実施形態では、複数の供給部9のそれぞれは、バッファエリア91にある搬送車3に供給作業を行う作業者Pが配置される作業エリア93を備える構成を例として説明した。しかしそのような構成に限定されることなく、作業エリア93に、バッファエリア91にある搬送車3に物品を供給する供給作業を行う供給装置92が配置される構成としても良い。このような構成の一例を
図11に示している。
図11の例では、バッファエリア91に隣接して供給装置92が設けられている。この供給装置92は、コンベヤ94上の物品Wを、バッファエリア91の搬送車3に移載する機能を有する。図示の例では、供給装置92は、ロボットアームを備えるピッキングロボットである。
【0052】
(8)上記の実施形態では、物品仕分け設備は、第1走行経路4の途中の位置と第2走行経路5の途中の位置とを接続する第3昇降機構20を備える構成を例として説明した。しかしそのような構成に限定されることなく、物品仕分け設備は、第3昇降機構20を備えていなくても良い。
【0053】
(9)上記の実施形態では、搬送車3の蓄電装置を充電するための充電部28が、第2フロア21に設置されている構成を例として説明した。しかしそのような構成に限定されることなく、充電部28は、第1フロア11に設置されていても良い。
【0054】
(10)上述した各実施形態(上記の実施形態及びその他の実施形態を含む;以下同様)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で例示であって、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【0055】
〔上記実施形態の概要〕
以下、上記において説明した昇降装置の概要について説明する。
【0056】
本開示に係る物品仕分け設備は、複数の搬送車のそれぞれが物品を搬送することにより前記物品の仕分けを行う物品仕分け設備であって、
前記搬送車が走行する第1走行経路が複数設定された第1フロアと、
前記第1フロアとは上下方向の異なる高さに設置され、前記搬送車が走行する第2走行経路が複数設定された第2フロアと、
前記第1走行経路の終端部と前記第2走行経路の始端部とを接続するように設けられ、それぞれが前記搬送車を昇降させる複数の第1昇降機構と、
前記第2走行経路の終端部と前記第1走行経路の始端部とを接続するように設けられ、それぞれが前記搬送車を昇降させる複数の第2昇降機構と、
複数の前記第1走行経路のそれぞれに沿って複数並ぶように配置され、それぞれが前記搬送車から前記物品を受け入れるように構成された複数の受入部と、
それぞれの前記第1走行経路に沿って配置された複数の前記受入部の群を受入部群として、前記第1走行経路の前記受入部群よりも始端側の区間又は前記第2走行経路において、前記搬送車に前記物品を供給する供給部と、を備え、
複数の前記第2走行経路のそれぞれは、少なくとも一部の区間において前記第1走行経路又は前記受入部と上下方向視で重複するように配置されている。
【0057】
ここで、供給部から物品を供給された搬送車は、第1走行経路を走行して、当該物品を複数の受入部のうちの任意の受入部に搬送する。また、任意の受入部に物品を引き渡した搬送車は、その後、第2走行経路を走行して、供給部に帰還する。本構成によれば、このような、仕分け搬送用の経路となる第1走行経路と、搬送車の帰還用の経路となる第2走行経路とを上下に異なる高さのフロアに分けて配置することができる。更に、第1走行経路と第2走行経路との端部同士が、昇降機構により接続されている。これにより、搬送車の走行経路が多数設定されている場合であっても、これらの走行経路が交差する箇所を少なく抑えることができる。従って、搬送車による物品の搬送効率を高め易い。
また、本構成によれば、複数の第2走行経路のそれぞれは、少なくとも一部の区間において、第1走行経路又は受入部と上下方向視で重複するように配置されている。そのため、複数の第1走行経路、複数の受入部、及び複数の第2走行経路を備える構成であっても、上下方向視における、物品仕分け設備の設置面積を小さく抑えることができる。
このように、本構成によれば、大型化を抑制しつつ、搬送車による物品の搬送効率を高めることができる。
【0058】
ここで、複数の前記第1走行経路のそれぞれの終端部に対応して、M(Mは自然数)個の前記第1昇降機構が設けられ、
複数の前記第1走行経路のそれぞれの始端部に対応して、N(Nは自然数)個の前記第2昇降機構が設けられていると好適である。
【0059】
本構成によれば、複数の第1走行経路のそれぞれの終端部に少なくとも1つの第1昇降機構が設けられ、複数の第1走行経路のそれぞれの始端部に少なくとも1つの第2昇降機構が設けられる。従って、第1走行経路及び第2走行経路を走行する搬送車の台数が多い場合であっても、第1昇降機構及び第2昇降機構の手前において、搬送車の渋滞が生じ難いようにすることができる。また、第1昇降機構の数と第2昇降機構の数とが同数であれば、第1昇降機構と第2昇降機構とのいずれか一方において搬送車の渋滞が生じることも回避しやすい。
【0060】
また、前記第2フロアには、前記第1走行経路の数以上の数の前記第2走行経路が設定されていると好適である。
【0061】
本構成によれば、受入部に物品を搬送した後の搬送車を、早く供給部に帰還させ易い。そのため、供給部において物品を供給できるにも関わらず搬送車が1台も戻ってきていないという事態が生じる可能性を低減することができる。よって、搬送車による物品の搬送効率を高め易い。
【0062】
また、前記第1走行経路における、前記受入部群が配置された区間を仕分け区間として、
複数の前記第1走行経路のそれぞれの前記仕分け区間が、互いに平行に配置されていると好適である。
【0063】
本構成によれば、複数の第1走行経路のそれぞれの仕分け区間、及び、当該仕分け区間に沿って配置された受入部群の上下方向視での設置面積を小さく抑え易い。
【0064】
また、複数の前記第1走行経路における、それぞれの前記仕分け区間の延在方向を第1方向とし、上下方向視で前記第1方向に直交する方向を第2方向として、
複数の前記仕分け区間が前記第2方向に並ぶように配置されていると共に、複数の前記供給部が前記第2方向に並ぶように配置されていると好適である。
【0065】
本構成によれば、複数の供給部を複数の仕分け区間と並列に配置し易い。そのため、複数の供給部と複数の仕分け区間とを比較的近い位置に配置し易い。また、供給部が複数配置されているため、供給部による搬送車に対する物品の供給効率を高めることができる。従って、物品仕分け設備の全体として、搬送車による物品の搬送効率をより高め易い。
【0066】
また、複数の前記搬送車を制御する制御装置と、複数の前記供給部と、を備え、
複数の前記供給部のそれぞれは、
複数の前記搬送車が並ぶことができるバッファエリアと、
前記バッファエリアにある前記搬送車に前記物品を供給する供給作業を行う供給装置、又は、前記供給作業を行う作業者が配置される作業エリアと、を備え、
前記制御装置は、複数の前記供給部のそれぞれの前記バッファエリアに並んでいる前記搬送車の数が、複数の前記供給部同士で互いに同等に近づくように、複数の前記搬送車の走行を制御すると好適である。
【0067】
本構成によれば、複数のバッファエリアのそれぞれに、複数の搬送車を待機させることができる。これにより、複数の供給部における搬送車の台数の偏りを少なくし易い。よって、供給部において物品の供給を受ける搬送車が存在しない事態が生じる可能性を低減することができる。
【0068】
また、前記第1走行経路の途中の位置と前記第2走行経路の途中の位置とを接続するように設けられ、前記搬送車を昇降させる第3昇降機構を更に備えると好適である。
【0069】
本構成によれば、第3昇降機構よりも第1走行経路の始端側にある受入部に物品を引き渡した搬送車は、第3昇降機構を使用することにより、第1昇降機構を使用する場合に比べて、早く第2走行経路に移動することができる。よって、物品を引き渡した後の搬送車を供給部に早く帰還させることができる。
【0070】
また、前記搬送車は、蓄電装置を備えると共に、当該蓄電装置からの電力によって走行するように構成され、
前記搬送車の前記蓄電装置を充電するための充電部が、前記第2フロアに設置されていると好適である。
【0071】
本構成によれば、受入部が配置されていない第2フロアに充電部を設置することで、第2フロアの領域を効率的に利用することができる。
【0072】
本開示に係る物品仕分け設備は、上述した各効果のうち、少なくとも1つを奏することができればよい。
【符号の説明】
【0073】
1 :物品仕分け設備
2 :昇降機構
3 :搬送車
4 :第1走行経路
4b :仕分け区間
5 :第2走行経路
6 :第1昇降機構
7 :第2昇降機構
8 :受入部
9 :供給部
11 :第1フロア
20 :第3昇降機構
21 :第2フロア
28 :充電部
35 :蓄電装置
41 :第1走行経路の始端部
42 :第1走行経路の終端部
51 :第2走行経路の始端部
52 :第2走行経路の終端部
80 :受入部群
91 :バッファエリア
92 :供給装置
93 :作業エリア
H :制御装置
P :作業者
W :物品
X :第1方向
Y :第2方向