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特許7559788注意喚起装置、注意喚起方法、および、コンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】注意喚起装置、注意喚起方法、および、コンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   E01F 9/608 20160101AFI20240925BHJP
   E01F 9/615 20160101ALI20240925BHJP
【FI】
E01F9/608
E01F9/615
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022033186
(22)【出願日】2022-03-04
(65)【公開番号】P2023128669
(43)【公開日】2023-09-14
【審査請求日】2023-06-02
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100160691
【弁理士】
【氏名又は名称】田邊 淳也
(72)【発明者】
【氏名】木村 好克
【審査官】石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】実開平05-089513(JP,U)
【文献】特開2004-192097(JP,A)
【文献】特開2009-167703(JP,A)
【文献】特開2017-155577(JP,A)
【文献】特開2006-233503(JP,A)
【文献】特開2021-064178(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01F 9/00-11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路の車道部と前記車道部に隣接する歩道部との境界に設置される注意喚起装置であって、
前記歩道部上の歩行者を検出する検出部と、
前記検出部が歩行者を検出すると、前記歩道部に向けて可視光を照射し、前記車道部に向けて可視光と近赤外線の少なくとも一方を照射する照射部と、
前記検出部による前記歩道部上の歩行者の検出結果を用いて、前記照射部を制御する制御部と、を備え、
前記検出部は、前記歩道部上の歩行者を撮像する画像センサを有しており、
前記制御部は、前記画像センサが撮像する画像に含まれる前記歩道部上の歩行者の位置と移動方向とに関する情報を用いて、前記照射部が照射する可視光の光軸を移動させることで、前記歩道部上を移動する歩行者の足下に向けて可視光を照射するように、前記照射部を制御する
注意喚起装置。
【請求項2】
請求項1に記載の注意喚起装置であって、
前記検出部は、前記歩道部上の歩行者の移動方向を検出し、
前記照射部は、前記検出部によって、歩行者が前記車道部に向かって移動していることが検出されると、前記歩道部に向けて可視光を照射し、前記車道部に向けて可視光と近赤外線の少なくとも一方を照射する、
注意喚起装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の注意喚起装置は、さらに、
前記道路に固定された柱部材に前記注意喚起装置を接続するための接続部を備える、
注意喚起装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の注意喚起装置であって、
前記検出部は、さらに、前記車道部上の車両を検出し、
前記照射部は、前記検出部が歩行者を検出し、かつ、車両を検出すると、前記車道部に向けて可視光と近赤外線の少なくとも一方を照射する、
注意喚起装置。
【請求項5】
注意喚起装置による注意喚起方法であって、
歩道部上の歩行者を検出する検出工程と、
前記検出工程で歩行者を検出すると、照射部を用いて、前記歩道部上の歩行者の足下に向けて可視光を照射し、前記歩道部に隣接する車道部に向けて可視光と近赤外線の少なくとも一方を照射する照射工程と、
前記検出工程における前記歩道部上の歩行者の検出結果を用いて、前記照射部を制御する制御工程と、を備え、
前記検出工程では、画像センサを用いて、前記歩道部上の歩行者を撮像し、
前記制御工程では、前記画像センサが撮像する画像に含まれる前記歩道部上の歩行者の位置と移動方向とに関する情報を用いて、前記照射部が照射する可視光の光軸を移動させることで、前記歩道部上を移動する歩行者の足下に向けて可視光を照射する、
注意喚起方法。
【請求項6】
注意喚起装置による道路の歩行者に対する注意喚起をコンピュータに実行させるコンピュータプログラムであって、
画像センサを用いて、前記道路のうちの歩道部上の歩行者を撮像し、検出する検出機能と、
前記検出機能によって歩行者を検出すると、照射部を用いて、前記歩道部上の歩行者の足下に向けて可視光を照射し、前記道路のうちの前記歩道部に隣接する車道部に向けて可視光と近赤外線の少なくとも一方を照射する照射機能と、
前記検出機能による前記歩道部上の歩行者の検出結果を用いて、前記照射部を制御する制御機能であって、前記画像センサが撮像する画像に含まれる前記歩道部上の歩行者の位置と移動方向とに関する情報を用いて、前記照射部が照射する可視光の光軸を移動させることで、前記歩道部上を移動する歩行者の足下に向けて可視光を照射する制御機能と、を前記コンピュータに実行させる、
コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注意喚起装置、注意喚起方法、および、コンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両の運転者に歩行者の存在を知らせる注意喚起装置が知られている(例えば、特許文献1,2)。注意喚起装置は、歩行者を検出すると、車両に光を照射することで、車両の運転者に検出した歩行者の存在を知らせる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-096200号公報
【文献】特開2021-064178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、注意喚起装置によって検出された歩行者は、注意喚起装置が自分自身を検出しているかどうかがわからないため、注意喚起装置が車両に向けて発光したかどうかもわからない。このため、道路上の歩行者は、車両の運転者が歩行者自身を認識しているかどうかがわからないため、不安であり、例えば、道路を横断するとき、車両の動きに注意しながら歩行しなければならなくなる。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、注意喚起装置において、歩行者が安心して道路上を歩行することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
【0007】
(1)本発明の一形態によれば、道路の車道部と歩道部との境界に設置される注意喚起装置が提供される。この注意喚起装置では、前記歩道部上の歩行者を検出する検出部と、前記検出部が歩行者を検出すると、前記歩道部に向けて可視光を照射し、前記車道部に向けて可視光と近赤外線の少なくとも一方を照射する照射部と、を備える。
【0008】
この構成によれば、照射部は、検出部が歩道部上の歩行者を検出すると、歩道部に向けて可視光を照射する。これにより、歩行者は、歩道部に照射されている可視光を見ることで、歩行者自身が注意喚起装置に検出されていることを認識することができる。また、照射部は、車道部に向けて可視光と近赤外線の少なくとも一方を照射する。これにより、車道部上の車両を運転する運転者は、注意喚起装置が歩行者を検出していることを認識することができるため、歩道部上の歩行者に注意を払うことができる。したがって、車両の運転者に注意喚起されていることを歩行者が認識することができるため、歩行者は、安心して道路上を歩行することができる。
【0009】
(2)上記形態の注意喚起装置において、前記照射部は、前記歩道部上の歩行者の足下に向けて可視光を照射してもよい。この構成によれば、照射部は、歩道部上の歩行者の足下に向けて可視光を照射する。これにより、夜間のような暗い環境下でも歩行者は歩行しやすくなるため、歩行者は、さらに安心して道路上を歩行することができる。
【0010】
(3)上記形態の注意喚起装置において、前記検出部は、前記歩道部上の歩行者の移動方向を検出し、前記照射部は、前記検出部によって、歩行者が前記車道部に向かって移動していることが検出されると、前記歩道部に向けて可視光を照射し、前記車道部に向けて可視光と近赤外線の少なくとも一方を照射してもよい。この構成によれば、検出部は、歩道部上の歩行者の移動方向を検出する。検出部の検出結果によって、歩行者が車道部を横断することが予想される場合、照射部は、歩道部に向けて可視光を照射することで、歩行者に対して車道部の横断を一旦躊躇させることができる。さらに、照射部は、検出部によって歩行者が車道部を横断することが予想される場合、車道部に向けて可視光と近赤外線の少なくとも一方を照射する。これにより、車両の運転者は、歩行者が車道部を横断することが予想されていることを知ることができるため、歩行者の飛び出しに注意しながら車両の運転を慎重に行うことができる。したがって、車道部での歩行者と車両との接触を抑制することができる。
【0011】
(4)上記形態の注意喚起装置は、さらに、前記道路に固定された柱部材に前記注意喚起装置を接続するための接続部を備えてもよい。この構成によれば、注意喚起装置は、例えば、ガードレールの支柱や標識の支柱などのような、道路に固定された既存の柱部材に接続されることで設置することができる。これにより、注意喚起装置を道路の車道部と歩道部との境界に簡単かつ確実に設置できるとともに、柱部材に接続されることで、注意喚起装置を歩行者や車両の運転者から視覚的に認識させやすくすることができる。
【0012】
(5)上記形態の注意喚起装置において、前記検出部は、さらに、前記車道部上の車両を検出し、前記照射部は、前記検出部が歩行者を検出し、かつ、車両を検出すると、前記車道部に向けて可視光と近赤外線の少なくとも一方を照射してもよい。この構成によれば、照射部は、検出部による歩行者の検出と車両の検出を受けて、車道部に向けて可視光と近赤外線の少なくとも一方を照射する。これにより、車道部への無用な照射を減らすことができる。
【0013】
(6)本発明の別の形態によれば、注意喚起装置による注意喚起方法が提供される。この注意喚起方法は、歩道部上の歩行者を検出する検出工程と、前記検出工程で歩行者を検出すると、前記歩道部に向けて可視光を照射し、車道部に向けて可視光と近赤外線の少なくとも一方を照射する照射工程と、を備える。この構成によれば、検出工程で歩道部上の歩行者を検出すると、照射工程で歩道部に向けて可視光を照射するため、歩行者は、歩道部に照射されている可視光を見ることで、歩行者自身が注意喚起装置に検出されていることを認識することができる。また、照射工程では、車道部に向けて可視光と近赤外線の少なくとも一方を照射するため、車道部上の車両を運転する運転者は、注意喚起装置が歩行者を検出していることを認識することができる。これにより、車両の運転者に注意喚起されていることを歩行者が認識することができるため、歩行者は、安心して道路上を歩行することができる。
【0014】
(7)本発明のさらに別の形態によれば、注意喚起装置による道路の歩行者に対する注意喚起をコンピュータに実行させるコンピュータプログラムが提供される。このコンピュータプログラムは、前記道路のうちの歩道部上の歩行者を検出する検出機能と、前記検出機能によって歩行者を検出すると、前記歩道部に向けて可視光を照射し、前記道路のうちの車道部に向けて可視光と近赤外線の少なくとも一方を照射する照射機能と、を前記コンピュータに実行させる。この構成によれば、検出機能によって歩道部上の歩行者を検出すると、照射機能によって歩道部に向けて可視光を照射するため、歩行者は、歩道部に照射されている可視光を見ることで、歩行者自身が注意喚起装置に検出されていることを認識することができる。また、照射機能によって車道部に向けて可視光と近赤外線の少なくとも一方を照射するため、車道部上の車両を運転する運転者は、注意喚起装置が歩行者を検出していることを認識することができる。これにより、車両の運転者に注意喚起されてい
ることを歩行者が認識することができるため、歩行者は、安心して道路上を歩行することができる。
【0015】
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、注意喚起装置の製造方法、注意喚起装置の設置方法、注意喚起装置の制御方法、注意喚起装置による道路の歩行者に対する注意喚起をコンピュータに実行させるコンピュータプログラムを配布するためのサーバ装置、そのコンピュータプログラムを記憶した一時的でない記憶媒体等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1実施形態の注意喚起装置の使用例を説明する模式図である。
図2】第1実施形態の注意喚起装置の第1の模式図である。
図3】第1実施形態の注意喚起装置の第2の模式図である。
図4】注意喚起方法を説明するフローチャートである。
図5】第2実施形態の注意喚起装置の模式図である。
図6】第2実施形態の注意喚起装置の使用例を説明する模式図である。
図7】第3実施形態の注意喚起装置の使用例を説明する模式図である。
図8】第4実施形態の注意喚起装置の模式図である。
図9】第4実施形態の注意喚起装置の使用例を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態の注意喚起装置1の使用例を説明する模式図である。図2は、第1実施形態の注意喚起装置1の第1の模式図である。図3は、第1実施形態の注意喚起装置1の第2の模式図である。本実施形態の注意喚起装置1は、道路90の歩道部91と車道部92との境界であって、歩道部91と横断歩道93との接続部分に設置される(図1参照)。注意喚起装置1は、歩道部91を歩行する歩行者5を検出すると、検出した歩行者5に向けて可視光L22を照射する。注意喚起装置1は、支持部材10と、接続部20と、反射部30と、を備える。なお、図1には、歩道部91を歩行する歩行者5の移動方向を白抜き矢印F5で示し、車道部92を走行する車両6の走行方向を白抜き矢印F6で示す。
【0018】
支持部材10は、注意喚起装置1の正面模式図である図2に示すように、長尺状の部材である。支持部材10は、接続部20と反射部30とが歩行者5や車両6の運転者から視覚的に認識しやすい位置となるように、接続部20と反射部30とを支持する。支持部材10は、注意喚起装置1が道路90に設置されるとき、一方の端部11が、道路90に固定される。他方の端部12は、接続部20が接続可能なように形成されている。
【0019】
接続部20は、略円柱形状の部位であって、支持部材10の他方の端部12に接続可能なように形成されている。接続部20は、歩行者検出部21と、第1可視光照射部22と、を備える。
【0020】
歩行者検出部21は、接続部20の外周部分に設けられている。本実施形態では、歩行者検出部21は、歩道部91上を撮像する画像センサを備えている。歩行者検出部21は、画像センサが撮像した画像から歩道部91上の歩行者5の位置と移動方向を検出する。なお、歩行者検出部21は、画像センサに限定されず、音波センサや、赤外線センサ、レーザセンサであってもよい。
【0021】
第1可視光照射部22は、接続部20の外周部分において、歩行者検出部21に対して道路90とは反対側に設けられている。第1可視光照射部22は、例えば、自発光式の光
源であるLED(light emitting diode)であって、3in1タイプの白色LEDである。本実施形態では、第1可視光照射部22は、歩行者5の移動に合わせて光軸を移動させて、歩行者5の足下に向けて可視光L22を照射する。
【0022】
反射部30は、接続部20を介して支持部材10に接続されている。反射部30は、反射板31と、車両検出部32と、第2可視光照射部33と、赤外線照射部34と、制御部35と、を備える。反射部30は、略円板形状の円板部30aと、円板部30aを支持する直方体形状の支持部30bと、から形成されている。反射板31と、車両検出部32と、第2可視光照射部33と、赤外線照射部34とは、円板部30aに設けられている。制御部35は、支持部30bに内蔵されている。
【0023】
反射板31は、円板部30aが有する円形状の外壁において、略中央に配置されている(図2参照)。反射板31は、車両6のヘッドライトが照射されると、ヘッドライトの光を車両6に向かって反射する再帰反射性能を有するプリズムレンズである。なお、反射板31は、プリズムレンズに限定されず、鏡やメッキ膜など光を反射しやすい部材であればよく、形状も円形状以外の形状であってもよい。
【0024】
車両検出部32は、円板部30aが有する円形状の外壁において、反射板31の道路90側に配置されている。車両検出部32は、自身が発信する音波を用いて、車道部92上の車両6を検出する音波センサである。このとき、車両検出部32は、車両の種類や大きさ、車両との間の距離、車両の移動方向および移動速度などを検出する。なお、車両検出部32は、音波センサに限定されず、赤外線センサや、レーザセンサであってもよい。
【0025】
第2可視光照射部33は、円板部30aが有する円形状の外壁において、反射板31の周囲に複数配置されている。第2可視光照射部33は、例えば、3in1タイプのLEDであって、複数の発光色の光を照射可能である。第2可視光照射部33は、車両6を運転する運転者の視界に入るように、可視光L33を照射する。
【0026】
赤外線照射部34は、円板部30aが有する円形状の外壁において、反射板31の周囲に1つ配置されている。赤外線照射部34は、車道部92上を走行する車両6に向けて近赤外線L34を照射する。車両6には、赤外線照射部34が照射する近赤外線L34を車両6が受信可能な受信部6aが搭載されている(図1参照)。
【0027】
制御部35は、ROM、RAM、および、CPUを含んで構成されるコンピュータである。制御部35では、ROMに格納されているコンピュータプログラムをRAMに展開して実行することにより、注意喚起装置1全体の作動を制御する。制御部35は、歩行者検出部21、第1可視光照射部22、車両検出部32、第2可視光照射部33、および、赤外線照射部34のそれぞれと電気的に接続されている。制御部35は、歩行者検出部21と車両検出部32のそれぞれの検出結果に応じて、第1可視光照射部22と、第2可視光照射部33と、赤外線照射部34の作動を制御する。
【0028】
反射部30が有する支持部30bには、図示しない太陽電池が設けられている。この太陽電池は、注意喚起装置1の作動に必要な電力を各部に供給する。
【0029】
本実施形態では、接続部20と、反射部30の支持部30bとは、注意喚起装置1の側面模式図である図3に示す中心軸CA1を中心として、相対回転が可能に接続されている。これにより、注意喚起装置1は、接続部20の歩行者検出部21の検出範囲と、反射部30の車両検出部32の検出範囲との関係を任意に変更可能である。
【0030】
図4は、本実施形態の注意喚起方法を説明するフローチャートである。本実施形態の注
意喚起方法は、注意喚起装置1を道路90上に設置したのち、図示しない起動スイッチを押すことなどによって注意喚起装置1を起動することで実施される。
【0031】
最初に、注意喚起装置1は、歩行者検出部21を用いて、歩道部91上を歩行する歩行者5を検出する(ステップS11)。ステップS11では、歩行者検出部21は、画像センサを用いて、歩道部91のうち検出可能な範囲内を歩行する歩行者5を検出する。本実施形態では、歩行者検出部21は、歩行者5を連続的に検出することで、歩行者5の位置の他に、移動方向、および、移動速度を検出する。歩行者検出部21が検出した結果は、制御部35に出力される。
【0032】
ステップS11の次に、注意喚起装置1は、第1可視光照射部22を用いて、歩行者5の足下に可視光L22を照射する(ステップS12)。ステップS11において、制御部35に歩行者検出部21が検出した結果が入力されている。制御部35は、入力された検出結果に含まれる歩行者5の位置と移動方向を用いて、歩行者5の足下から歩行者5の前方にかけて第1可視光照射部22の光軸を移動させて、可視光L22を照射する。これにより、歩行者5は、注意喚起装置1によって検出されたことを認識することができるとともに、足元が明るく照らされるため、安心して歩行することができる。
【0033】
ステップS12の次に、注意喚起装置1は、車両検出部32を用いて、車道部92上の車両6を検出する(ステップS13)。ステップS13では、車両検出部32は、車道部92上を走行する車両6のうち、横断歩道93に向かって走行している車両6を検出する。車両検出部32が検出した結果は、制御部35に出力される。
【0034】
ステップS13の次に、注意喚起装置1は、第2可視光照射部33を用いて、車道部92上の車両6に可視光L33を照射する(ステップS14)。ステップS14では、制御部35は、歩行者検出部21が検出した歩行者5の移動方向から、歩行者5が横断歩道93に向かっているか否かを判断することができる。制御部35は、歩行者5が横断歩道93に向かっていると判断すると、第2可視光照射部33を用いて、車道部92上を走行する車両6に可視光L33を照射する。これにより、車両6の運転者は、歩道部91上の歩行者5が横断歩道93に向かっていることを認識し、例えば、横断歩道93の手前で減速するなどの慎重に運転を行うようになる。
【0035】
ステップS14の次に、注意喚起装置1は、赤外線照射部34を用いて、車道部92上の車両6に近赤外線L34を照射する(ステップS15)。ステップS15では、注意喚起装置1は、ステップS14での第2可視光照射部33による車両6への可視光L33の照射に加えて、近赤外線L34を車両6に向けて照射する。赤外線照射部34が照射する近赤外線L34は、車両6に搭載されている受信部6aによって受信される。車両6では、受信部6aが注意喚起装置1からの近赤外線L34を受信すると、車両6のメータパネルやフロントガラスなどに、歩行者5が横断歩道93を渡ろうとしていることを運転者に知らせる警告が表示される。これにより、車両6の運転者は、歩道部91上の歩行者5が横断歩道93に向かっていることをさらに認識しやすくなる。
【0036】
以上説明した、本実施形態の注意喚起装置1によれば、第1可視光照射部22は、歩行者検出部21が歩道部91上の歩行者5を検出すると、歩道部91に向けて可視光L22を照射する。これにより、歩行者5は、歩道部91に照射されている可視光L22を見ることで、歩行者自身が注意喚起装置1に検出されていることを認識することができる。また、第2可視光照射部33は、車道部92に向けて可視光L22と近赤外線L34を照射する。これにより、車道部92上の車両6を運転する運転者は、注意喚起装置1が歩行者5を検出していることを認識することができるため、歩道部91上の歩行者5に注意を払うことができる。したがって、車両6の運転者に注意喚起されていることを歩行者5が認
識することができるため、歩行者5は、安心して道路上を歩行することができる。
【0037】
また、本実施形態の注意喚起装置1によれば、第1可視光照射部22は、歩道部91上の歩行者5の足下に向けて可視光L22を照射する。これにより、夜間のような暗い環境下でも歩行者5は歩行しやすくなるため、歩行者5は、さらに安心して道路90上を歩行することができる。
【0038】
また、本実施形態の注意喚起装置1によれば、歩行者検出部21は、歩道部91上の歩行者5の移動方向を検出する。歩行者検出部21の検出結果によって、歩行者5が横断歩道93を使って車道部92を横断することを予想される場合、第1可視光照射部22は、歩道部91に向けて可視光L22を照射することで、歩行者5に対して車道部92の横断を一旦躊躇させることができる。さらに、第2可視光照射部33は、歩行者検出部21によって歩行者5が車道部92を横断することが予想される場合、車道部92に向けて可視光L33と近赤外線L34を照射する。これにより、車両6の運転者は、歩行者5が車道部92を横断することが予想されていることを知ることができるため、歩行者5の飛び出しに注意しながら車両6の運転を慎重に行うことができる。したがって、車道部92での歩行者5と車両6との接触を抑制することができる。
【0039】
また、本実施形態の注意喚起装置1によれば、第2可視光照射部33は、歩行者検出部21による歩行者5の検出と車両検出部32による車両6の検出を受けて、車道部92に向けて可視光L33と近赤外線L34との両方を照射する。これにより、車道部92への無用な照射を減らすことができる。
【0040】
また、本実施形態の注意喚起装置1によれば、注意喚起装置1は、道路90の歩道部91と車道部92との境界に、長尺状の部材である支持部材10を用いて設置される。これにより、注意喚起装置1は、例えば、車道部92の横断歩道93付近に埋め込むことで設置される注意喚起装置に比べ、安価に設置することができる。
【0041】
また、本実施形態の注意喚起装置1による注意喚起方法によればステップS11で歩道部91上の歩行者5を検出すると、ステップS12で歩道部91に向けて可視光L22が照射される。これにより、歩行者5は、歩行者自身が注意喚起装置1に検出されていることを認識することができる。また、ステップS14およびステップS15では、車道部92に向けて可視光L33と近赤外線L34の両方が照射されるため、車道部92上の車両6を運転する運転者は、注意喚起装置1が歩行者5を検出していることを認識することができる。これにより、車両6の運転者に注意喚起されていることを歩行者5が認識することができるため、歩行者5は、安心して道路90上を歩行することができる。
【0042】
<第2実施形態>
図5は、第2実施形態の注意喚起装置2の模式図である。第2実施形態の注意喚起装置2は、第1実施形態の注意喚起装置1(図2)と比較すると、既存の構造物に接続して用いることができる点が異なる。
【0043】
本実施形態の注意喚起装置2は、接続部20と、反射部30と、を備える。注意喚起装置2は、ガードレール40に取り付ける可能である。具体的には、図5に示すように、注意喚起装置2は、ガードレール40のうち、ビーム41を支持する支柱42の先端43に取り付けることが可能である。
【0044】
図6は、本実施形態の注意喚起装置2の使用例を説明する模式図である。注意喚起装置2は、図6に示すように、車道部92に沿って敷設されているガードレール40のうち、隣接するガードレール40との間に形成される隙間44の近くの支柱42に接続される。
【0045】
図6に示すガードレール40の配置において、歩行者5がガードレール40の隙間44から車道部92上に飛び出そうとすると、注意喚起装置2が、歩行者検出部21によって歩行者5を検出する。これにより、注意喚起装置2は、第1可視光照射部22によって歩行者5の足下に向けて可視光L22を照射するため、歩行者5は、車道部92への飛び出しをいったん躊躇する。さらに、注意喚起装置2は、歩行者検出部21によって歩行者5を検出し、かつ、車両検出部32によって車道部92上を走行する車両6を検出すると、第2可視光照射部33によって、車両6の運転者の視界に入るように、可視光L33を照射し、車両6の運転者に注意を促す。また、注意喚起装置2は、赤外線照射部34によって近赤外線L34を車両6に向けて照射し、車両6の運転者に注意を促す。
【0046】
以上説明した、本実施形態の注意喚起装置2によれば、ガードレール40に設置されている。これにより、横断歩道がないような場所で歩行者5が車道部92を横断しようとするときに、歩行者5に可視光L22を照射することで、歩行者5に車道部92の横断をいったん躊躇させることができる。また、注意喚起装置2は、車道部92上を走行する車両6の運転者に対して、歩行者5が車道部92を横断しようとしていることを可視光L33や近赤外線L34によって知らせる。これにより、車両6の運転者は、ガードレール40の隙間44付近では、歩行者5が飛び出すかもしれないと考え、慎重に運転しようとする。したがって、車両6の運転者に注意喚起されていることを歩行者5が認識することができるため、歩行者5は、安心して道路90上を歩行することができる。
【0047】
また、本実施形態の注意喚起装置2は、既存のガードレール40の支柱42に接続されることで設置することができる。これにより、注意喚起装置2を道路90の歩道部91と車道部92との境界に簡単かつ確実に設置できるとともに、ガードレール40の支柱42の先端43に接続されることで、注意喚起装置2を歩行者5や車両6の運転者から視覚的に認識させやすくすることができる。
【0048】
<第3実施形態>
図7は、第3実施形態の注意喚起装置3の使用例を説明する模式図である。第3実施形態の注意喚起装置3は、第1実施形態の注意喚起装置1(図1)と比較すると、注意喚起装置3が設置される場所が異なる。
【0049】
本実施形態の注意喚起装置3は、図7に示すように、高速道路94の下に位置する歩道部91と車道部92との境界に設置される。本実施形態での歩道部91は、高速道路94の下に位置するため、太陽光が入りにくく、日中でも暗い。このため、車道部92上を走行する車両6の運転者からは、歩道部91を歩行する歩行者5は認識されにくい。このような状況において、注意喚起装置3は、歩道部91を歩行する歩行者5を検出すると、第1可視光照射部22を用いて、歩行者5の足下に可視光L22を照射する。これにより、歩行者5の足下は明るくなり、安心して歩行することができる。また、注意喚起装置3は、歩行者検出部21によって高架下の歩行者5を検出し、かつ、車両検出部32によって車道部92上を走行する車両6を検出すると、第2可視光照射部33によって、車両6の運転者の視界に入るように可視光L33を照射し、車両6の運転者に注意を促す。また、注意喚起装置2は、赤外線照射部34によって近赤外線L34を車両6に向けて照射し、車両6の運転者に注意を促す。
【0050】
以上説明した、本実施形態の注意喚起装置3によれば、高速道路94の下に設置されている歩道部91と車道部92との境界に設置される注意喚起装置3は、歩行者5を検出すると、第1可視光照射部22を用いて、歩行者5の足下に可視光L22を照射する。これにより、歩道部91が日常的に暗くても、歩行者5は、安心して歩行することができる。また、注意喚起装置3は、車道部92上を走行する車両6の運転者に対して、歩道部91
の歩行者5が車道部92を横断しようとしていることを可視光L33や近赤外線L34によって知らせる。これにより、車両6の運転者は、慎重に運転しようとする。したがって、歩行者5と車両6の運転者との両方に注意喚起することで歩行者5と車両6との接触を抑制することができるため、歩行者5は、安心して道路90上を歩行することができる。
【0051】
<第4実施形態>
図8は、第4実施形態の注意喚起装置4の模式図である。第4実施形態の注意喚起装置4は、第1実施形態の注意喚起装置1(図2)と比較すると、既存の構造物に接続して用いることができる点が異なる。
【0052】
本実施形態の注意喚起装置4は、接続部20と、反射部30と、を備える。注意喚起装置4では、接続部20と反射部30の支持部30b(図3参照)とのそれぞれに、タクシー乗り場を示す標識60の支柱61を挿通可能な貫通孔が形成されている。これにより、注意喚起装置4は、図8に示すように、タクシー乗り場を示す標識60の支柱61に取り付け可能である。
【0053】
図9は、本実施形態の注意喚起装置4の使用例を説明する模式図である。注意喚起装置4が標識60に取り付けられていることで、タクシーを利用するために、タクシー乗り場に向かう歩行者5を歩行者検出部21によって検出し、歩行者5の足下に可視光L22を照射する。また、注意喚起装置4は、歩行者5が標識60の近くで立ち止まっていること(図9の人5a)を歩行者検出部21によって検出すると、第2可視光照射部33と赤外線照射部34とによって車道部92を走行するタクシー7に可視光L33と近赤外線L34を照射する。タクシー7の運転者は、第2可視光照射部33によって照射された可視光L33によって、タクシー乗り場でタクシーを利用したい人5aが待っていることを認識する。さらに、タクシー7の運転者は、赤外線照射部34が照射する近赤外線L34を受信部7aが受信することで車内に表示される画像、音などによって、タクシー乗り場でタクシー7を利用したい人5aが待っていることを認識する。
【0054】
以上説明した、本実施形態の注意喚起装置4によれば、タクシー乗り場を示す標識60に注意喚起装置4が取り付けられている。注意喚起装置4は、タクシー乗り場に向かう歩行者5を歩行者検出部21によって検出し、歩行者5の足下に可視光L22を照射する。また、注意喚起装置4は、可視光L33と近赤外線L34を用いて、タクシー7の運転者に、歩道部91を歩行する歩行者5の存在を知らせる。これにより、タクシー7の運転者に注意喚起されていることを歩行者5が認識することができるため、歩行者5は、安心して道路90上を歩行することができる。
【0055】
また、本実施形態の注意喚起装置4は、既存のタクシー乗り場の標識60の支柱61に取り付けることで設置することができる。これにより、注意喚起装置4を道路90の歩道部91と車道部92との境界に簡単かつ確実に設置できるとともに、標識60の支柱61に接続されることで、注意喚起装置4を歩行者5やタクシー7の運転者から視覚的に認識させやすくすることができる。
【0056】
また、本実施形態の注意喚起装置4によれば、注意喚起装置4は、タクシー乗り場でタクシー7を待っている人5aを検出すると、可視光L33と近赤外線L34を用いて、タクシー7の運転者に、タクシー乗り場でタクシー7を利用したい人5aが待っていることを知らせることができる。これにより、タクシー7の運転者は、例えば、夜間のような暗い環境下でも、タクシー乗り場で待っているタクシー7を利用したい人5aを確実に拾うことができる。
【0057】
<本実施形態の変形例>
本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0058】
[変形例1]
上述の実施形態では、注意喚起装置1~4は、車両等に可視光L33と近赤外線L34の両方を照射するとした。しかしながら、可視光または近赤外線のいずれか一方であってもよく、これらの照射によって、車両等の運転者が、歩道部91上の歩行者5の存在を認識できればよい。また、注意喚起装置が車両等の運転者に注意を喚起する手段は、可視光や近赤外線に限定されない。例えば、音を発することで、車両等の運転者が、歩道部91上の歩行者5の存在を認識できてもよいし、外部のサーバを介した通信によって、認識できてもよい。
【0059】
[変形例2]
上述の実施形態では、第1可視光照射部22は、歩行者5の移動に合わせて光軸を移動させて、歩行者5の足下に向けて可視光L22を照射するとした。しかしながら、第1可視光照射部22が照射する方向は、これに限定されない。歩行者5が第1可視光照射部22によって照射された可視光L22を認識できればよい。
【0060】
[変形例3]
上述の実施形態では、歩行者検出部21は、歩道部91での歩行者5の位置と移動方向を検出するとした。歩行者検出部21が検出する歩行者5に関する情報は、これに限定されず、歩行者5の大きさや移動速度などであってもよい。
【0061】
[変形例4]
上述の実施形態では、歩行者検出部21は、歩道部91上の歩行者5を検出するとした。歩行者検出部21は、歩行者5だけでなく、自転車などの歩道部91上を移動するものを検出してもよく、注意喚起装置は、自転車を検出する場合、自転車の進行方向を明るく照らすように、可視光を照射してもよい。
【0062】
[変形例5]
上述の実施形態では、注意喚起装置1~4は、車両等を検出することで、車両等に可視光L33と近赤外線L34を照射するとした。注意喚起装置は、車両等を検出することなく、歩道部91上に歩行者5を検出すると、車道部に向けて可視光L33を照射してもよい。
【0063】
[変形例6]
第4実施形態では、注意喚起装置4は、タクシー乗り場を示す標識60の支柱61に取り付けられるとした。注意喚起装置が取り付けられるものはこれに限定されない。バス停の支柱や、道路標識、電柱など、主に、車道部と歩道部との境界に設置されている構造物に取り付けて使用することができる。
【0064】
以上、実施形態、変形例に基づき本態様について説明してきたが、上記した態様の実施の形態は、本態様の理解を容易にするためのものであり、本態様を限定するものではない。本態様は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本態様にはその等価物が含まれる。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することができる。
【符号の説明】
【0065】
1,2,3,4…注意喚起装置
5…歩行者
6…車両
7…タクシー
20…接続部
21…歩行者検出部
22…第1可視光照射部
33…第2可視光照射部
34…赤外線照射部
90…道路
91…歩道部
92…車道部
L22,L33…可視光
L34…近赤外線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9