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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】サッシ移送装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/91 20060101AFI20240925BHJP
【FI】
B65G47/91 Z
B65G47/91 D
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022072041
(22)【出願日】2022-04-26
(65)【公開番号】P2023161616
(43)【公開日】2023-11-08
【審査請求日】2023-02-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【弁理士】
【氏名又は名称】西木 信夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 朋浩
(72)【発明者】
【氏名】井上 龍二
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-267470(JP,A)
【文献】特開平05-319770(JP,A)
【文献】特開2003-212340(JP,A)
【文献】特開2000-007147(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/91
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1支持部材によって支持された吸着部材をサッシのガラス面吸着する第1工程
記第1支持部材と回動自在に連結された第2支持部材をワイヤで吊り上げ、上記第2支持部材に対して上記第1支持部材を回動させるアクチュエータによって、上記サッシの上記ガラス面が水平となるように回動する第2工程と、
上記ガラス面が水平な上記サッシを枠の上方へ移動する第3工程と、
上記サッシが上記枠の上方に位置する状態において、上記ワイヤによって上記第2支持部材を下降するとともに、上記第1支持部材が有する把持部材を作業者が操作して上記枠の取付位置に上記サッシを位置合わせする第4工程と、
上記ワイヤによって、位置合わせされた上記サッシを下降して上記枠に嵌める第5工程と、を備えるサッシ付き枠の製造方法
【請求項2】
上記第1工程において、サッシ搬送台車に上記ガラス面が傾斜した状態で立て掛けられた複数の上記サッシのうちの1つの上記サッシの上記ガラス面に上記吸着部材を吸着し、
上記枠は、複数が枠運搬台に載置されて運搬される請求項1に記載のサッシ付き枠の製造方法。
【請求項3】
上記ワイヤは、ウインチにより繰り出し或いは巻き取り可能であり、上記ウインチを操作する操作部を作業者が操作することによって、上記サッシを吊り上げ或いは下降する請求項1または2に記載のサッシ付き枠の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サッシを移送して軸組に対して位置決めするためにサッシを支持するサッシ移送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅の施工現場における省力化のために、例えば外壁については、工場において軸組に外壁パネルやサッシを組み付けて施工現場に出荷することがある。例えば、特許文献1において開示する移送装置は、軸組に対してサッシを適切な位置まで移動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-298507号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一戸の住宅における外壁は一様ではなく、サッシのサイズや設置位置も様々である。したがって、軸組に対してサッシを位置決めするときには、特定の住宅の設計に応じて、外壁それぞれの軸組に対して設計された位置にサッシを位置決めすることとなる。例えば特許文献1に記載の移送装置は、同様の外壁を繰り返し製造するには適しているが、様々な外壁、すなわちサッシの位置が様々に異なる外壁を製造するときには、サッシの位置の微調整などが難しい。
【0005】
本発明は、前述された事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、軸組に対するサッシの位置を作業者が容易に調整しつつサッシを容易に移送できる手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1) 本発明に係るサッシ移送装置は、サッシのガラス面を吸着する吸着部材と、上記吸着部材を支持する第1支持部材と、上記第1支持部材と回動自在に連結された第2支持部材と、支持材から上記第2支持部材を吊り下げる吊下部材と、上記第1支持部材を上記第2支持部材に対して回動させるアクチュエータと、上記アクチュエータを駆動する操作部と、を備える。
【0007】
支持材から吊り下げたサッシを任意の姿勢にできる。
【0008】
(2) 好ましくは、上記吊下部材は、ワイヤである。
【0009】
上記構成により、支持材から吊り下げられたサッシを、ユーザが水平方向に容易に移動できる。
【0010】
(3) 好ましくは、上記アクチュエータは、本体に対してロッドが伸縮する油圧シリンダである。
【0011】
(4) 好ましくは、 上記第1支持部材は、列をなす複数の上記吸着部材を支持する棒材と、一対の上記棒材を上下方向と交差する左右方向に離間させて支持する連結材と、上記棒材または上記連結材に固定された把持部材と、を有しており、複数の上記吸着部材は、左右方向と交差する方向に列をなしており、上記第2支持部材は、上記連結材と回動自在に連結されている。
【0012】
上記構成により、把持部材が持たれることにより、第1支持部材が容易にハンドリングされる。また、左右方向に吸着部材が離間して配置されているので、サッシをバランスよく吊り下げることができる。
【0013】
(5) 好ましくは、上記棒材は、上記連結材における左右方向の位置が変更可能に上記連結材に対してスライドする。
【0014】
上記構成により、吸着部材の左右方向の間隔をサッシの幅に対応して移動できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、軸組に対してサッシの位置を容易に調整しつつサッシを容易に移送できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明の一実施形態に係るサッシ移送装置10についてサッシ運搬台車13及び枠運搬台14とともに示す概略図であって、サッシ運搬台車13に載置されたサッシ11にサッシ移送装置10を取り付けた状態を示す図である。
図2図2は、図1に示すサッシ移送装置10の正面図である。
図3図3は、図1に示すサッシ移送装置10の右側面図である。
図4図4は、図1に示すサッシ移送装置10の拡大側面図である。
図5図5は、油圧シリンダ29を省略したサッシ移送装置10を示す拡大正面図である。
図6図6は、サッシ11をサッシ運搬台車13から枠運搬台14に向かって移動するときの倒伏状態のサッシ移送装置10を示す概略図である。
図7図7は、サッシ移送装置10に吊り下げられたサッシ11を枠運搬台14に載置された枠12に嵌めた状態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更できることは言うまでもない。また、以下の説明においては、サッシ移送装置10が支持材16から垂下する状態(図1の状態)を基準として、上下方向1は、ワイヤ18が延びる方向である。左右方向2は、左連結材47A及び第2連結材47Bが延びる方向であって、上下方向1と直交する方向である。前後方向3は、上下方向1及び左右方向2に直交する方向である。
【0018】
本実施形態に係るサッシ移送装置10は、工場においてサッシ11を枠12に組み付けるための装置である。具体的にはサッシ移送装置10は、図1に示されるように、工場にサッシ運搬台車13で搬入されたサッシ11を吊り下げて、別途枠運搬台14において搬送される枠12に組み付ける装置である。サッシ移送装置10は、人による作業が介在することを前提とした装置である。
【0019】
サッシ移送装置10は、地面に設置された柱15に支持される支持材16の先端からワイヤ(吊下部材の一例)18によって吊り下げられている。
【0020】
柱15は、サッシ運搬台車13に載置されたサッシ11の高さよりも高い。支持材16は、柱15の上端から左右方向2に延びている。支持材16は、柱15に駆動部(図示省略)を介して回動自在に連結される第1アーム19と、第1アーム19の先端において駆動部(図示省略)を介して回動自在に連結される第2アーム20とを有している。支持材16は、第1アーム19及び第2アーム20が回動することによって、柱15に対して上下方向1に沿った軸線を中心に、左右方向2及び前後方向3に拡がる平面上において移動可能である。支持材16は、後述する操作部30によって駆動部が駆動されることで伸縮可能である。
【0021】
サッシ運搬台車13及び枠運搬台14は、サッシ11を枠12に搬送可能なように、支持材16の可動範囲内に配置される。
【0022】
サッシ運搬台車13は、載置された複数のサッシ11を搬送する台車である。サッシ運搬台車13には、複数のサッシ11が緩衝材(図示省略)を挟んで立て掛けられた状態で載置されている。
【0023】
サッシ11は、特定の住宅の施工に必要な各種サイズのサッシ11が、施工する順番に対応させてサッシ運搬台車13上に並べられている。
【0024】
枠運搬台14は、複数の枠12を1つづつ搬送する台である。枠運搬台14は、伸ばした状態の支持材16の下方において枠12を搬送および停止可能である。
【0025】
枠運搬台14上を搬送される各枠12は所定のサイズであり、特定の住宅に対応したサイズ及び種類の外壁パネル(図示省略)に取り付けられる。枠12は、住宅設計に対応させて様々な種類及びサイズのものが施工の順番に対応させて搬送される。より具体的には、各枠12は、住宅の設置する箇所に応じて外壁パネルの特定の位置に配置される他、アルミ製や樹脂製などのものも採用される。
【0026】
サッシ移送装置10は、可撓性を有するワイヤ18によって吊り下げられている。図2及び図3に示されるように、サッシ移送装置10は、ワイヤ18と、本体部材(第2支持部材の一例)25と、回動部材(第1支持部材の一例)26と、吸着部材27と、ガイド部材28と、油圧シリンダ(アクチュエータの一例)29と、操作部30とを備えている。
【0027】
ワイヤ18は、一端側が本体部材25に連結されており、サッシ移送装置10の左右方向2における中央に位置する。図1に示されるように、ワイヤ18は、他端側が支持材16の先端に設けられた滑車33に掛け回されて支持材16に沿うようにワイヤ支持部32に摺動自在に支持された状態で柱15まで延び、柱15に固定されたウインチ34に巻き取り又は繰り出し可能に連結されている。ウインチ34は、ウインチ駆動部(図示省略)を有している。ウインチ駆動部は、操作部30に接続されている。ユーザは、操作部30によってワイヤ18を巻き取り又は繰り出し操作可能である。
【0028】
本体部材25は、ワイヤ18に吊り下げられた状態で支持材16の先端の下方に位置する。図4及び図5に示されるように、本体部材25は、左板部37Aと、右板部37Bと、上軸38と、下軸39とを有している。
【0029】
左板部37Aは、ワイヤ18の左方に配置されている。左板部37Aは、平板であり、左右方向2から視て略C字状に形成されている。
【0030】
右板部37Bは、ワイヤ18の右方に配置されている。右板部37Bは、左板部37Aと同様に平板であり、左右方向2から視て略C字状に形成されている。左板部37A及び右板部37Bはそれぞれ、互いに平行に配置されている。
【0031】
上軸38は、左右方向2に延びる円柱形状である。上軸38は、本体部材25の上側において左板部37Aと右板部37Bとを連結する。上軸38には、左右方向2における中央において円環形状の受け部40が配置されている。受け部40は、上軸38に軸受41を介して回転自在に支持されている。受け部40には、ワイヤ18が掛けられている。
【0032】
下軸39は、左右方向2に延びる円柱形状である。下軸39は、本体部材25の下側に配置されている。下軸39の左端側及び右端側は、本体部材25の左板部37A及び右板部37Bに軸受42,43を介して回転自在に連結されている。
【0033】
図2及び図3に示されるように、回動部材26は、本体部材25に対して回動自在に支持される。回動部材26は、ワイヤ18よりも下方に位置している。回動部材26は、左連結アーム45Aと、右連結アーム45Bと、補助アーム46と、第1連結材(連結材の一例)47Aと、第2連結材(連結材の一例)47Bと、左棒材(棒材の一例)48Aと、右棒材(棒材の一例)48Bと、左把持部材(把持部材の一例)49A、右把持部材(把持部材の一例)49Bとを有している。
【0034】
左連結アーム45Aは、第1連結材47A及び第2連結材47Bを本体部材25に対して回動自在に支持する部材である。左連結アーム45Aは、ワイヤ18よりも左方に位置する。左連結アーム45Aは平板である。左連結アーム45Aは、中央部分において下軸39に固定されている。
【0035】
右連結アーム45Bは、左連結アーム45Aとともに、第1連結材47A及び第2連結材47Bを本体部材25に対して回動自在に支持する部材である。右連結アーム45Bは、ワイヤ18よりも右方に位置する。右連結アーム45Bは平板である。右連結アーム45Bは、中央部分において下軸39に固定されている。左連結アーム45A及び右連結アーム45Bは、左板部37Aと右板部37Bとの間において互いに対向して配置されている。
【0036】
補助アーム46は、油圧シリンダ29の駆動力を左連結アーム45A、右連結アームB、第1連結材47A、及び第2連結材47Bに伝達する部材である。補助アーム46は、サッシ移送装置10の左右方向2における中央に位置する。補助アーム46は、平板であり、左右方向2から視て略Lの字状である。補助アーム46は、左右方向2において左連結アーム45Aと右連結アーム45Bの間に配置されている。補助アーム46は、中央部分において下軸39に固定されている。補助アーム46の一端側は、左右方向2において、左連結アーム45Aの一端側と右連結アーム45Bの一端側の間に位置している。補助アーム46の他端側は、後述する油圧シリンダ29のロッド71の先端に固定されている。
【0037】
第1連結材47Aは、左棒材48A及び右棒材48Bを本体部材25に支持する。第1連結材47Aは、左連結アーム45A及び右連結アーム45Bを介して本体部材25に連結されている。第1連結材47Aは、左右方向2に延びる棒状部材である。第1連結材47Aは、左右方向2における中央位置において、補助アーム46の一端側、左連結アーム45Aの一端側及び右連結アーム45Bの一端側に固定されている。
【0038】
第2連結材47Bは、第1連結材47Aとともに左棒材48A及び右棒材48Bを本体部材25に支持する。第2連結材47Bは、左連結アーム45A及び右連結アーム45Bを介して本体部材25に連結されている。第2連結材47Bは、左右方向2に延びる棒状部材である。第2連結材47Aは、第1連結材47Aに対して左右方向2に直交する第1方向P1に離間して配置される。第2連結材47Bは、左右方向2における中央位置において、左連結アーム45Aの他端側及び右連結アーム45Bの他端側に固定されている。
【0039】
第1連結材47A及び第2連結材47Bは、左右方向2に沿った寸法が同じあり、左右方向2の両端の位置が同じとなるよう平行に配置されている。
【0040】
左棒材48Aは、サッシ移送装置10の左側において複数配置される吸着部材27を支持する。左棒材48Aは、第1方向P1に延びる。左棒材48Aは、第1連結材47A及び第2連結材47Bの左側に延びる部分に支持されている。左棒材48Aは、第1連結材47A及び第2連結材47Bに対して左右方向2にスライド自在に連結されている。
【0041】
右棒材48Bは、サッシ移送装置10の右側において複数配置される吸着部材27を支持する。右棒材48Bは、第1連結材47A及び第2連結材47Bの右側に延びる部分に支持されている。右棒材48Bは、第1連結材47A及び第2連結材47Bに対して左右方向2にスライド自在に連結されている。左棒材48A及び右棒材48Bは、本体部材25の左右方向2の両側に配置されている。左棒材48A及び右棒材48Bは、所定の間隔を隔てて平行に配置されている。
【0042】
図2及び図3に示されるように、吸着部材27は、ガラス面51に吸着する。吸着部材27は、吸盤である。吸着部材27は、右棒材48Bに配置される右吸着部材27Aと、左棒材48Aに配置される左吸着部材27Bとを有している。右吸着部材27A及び左吸着部材27Bはそれぞれ、左右方向2に直交する方向に列をなして配置されている。各吸着部材27は、棒材48から、左右方向2及び棒材48が延びる方向に対して直交する方向に延びる吸盤ロッド52の先端に固定されている。各吸盤ロッド52の長さは同じである。吸着部材27は、ガラス面51との間に形成される空間の空気を排出又は供給可能な吸排気機構(図示省略)を有しており、当該吸排気機構が操作部30の操作によって駆動される。
【0043】
図2に示されるように、左把持部材49Aは、支持材16に吊り下げられた状態のサッシ移送装置10をユーザが移動させるときに把持する部分である。左把持部材49は、左棒材48Aよりも左右方向2の左方に位置する。
【0044】
左把持部材49Aは、左第1延部53と、左第2延部55とを有している。
【0045】
左第1延部53は、U字形状に延びる棒状の部材である。左第1延部53は、端部が左棒材48Aに連結されている。
【0046】
左第2延部55は、棒状の部材である。左第2延部55は、左第1延部53に架け渡されている。左第2延部55は、左棒材48Aの左方において第1方向P1に沿って配置されている。
【0047】
右把持部材49Bは、右第1延部57と、右第2延部59とを有している。
【0048】
右第1延部57は、U字形状に延びる棒状の部材である。右第1延部57は、端部が右棒材48Aに連結されている。
【0049】
右第2延部59は、棒状の部材である。右第2延部59は、右第1延部57に架け渡されている。右第2延部59は、右棒材48Bの右方において第1方向P1に沿って配置されている。
【0050】
ガイド部材28は、左棒材48A、右棒材48B、左把持部材49A、及び右把持部材49Bを回動部材26に対して左右方向2に位置決めする部材である。ガイド部材28は、左右方向2に延びる平板である。ガイド部材28は、中央部分において、左連結アーム45A及び右連結アーム45Bによって支持されている。ガイド部材28は、左棒材48A及び右棒材48Bをスライド自在に支持する。ガイド部材28には、左右方向2に所定間隔を隔てて複数の孔65が形成されている。
【0051】
左棒材48A及び右棒材48Bには、ガイド部材28の孔65に嵌合可能な軸部66が設けられている。軸部66は、左棒材48A及び右棒材48Bから出退自在に付勢部材(図示省略)によって付勢されている。
【0052】
図2及び図3に示されるように、油圧シリンダ29は、回動部材26を本体部材25に対して回動させる。油圧シリンダ29は、ワイヤ18に沿うように配置されている。油圧シリンダ29は、左板部37Aと右板部37Bとの間に配置されている。油圧シリンダ29は、シリンダ(本体の一例)70と、ロッド71とを有している。
【0053】
シリンダ70は、左板部37Aと右板部37Bとに回動自在に固定されている。シリンダ70は操作部30に接続されている。
【0054】
ロッド71は、シリンダに対して伸縮する。シリンダ70にはロッド71を伸縮する中途位置で保持可能なブレーキ機構(図示省略)が設けられている。ロッド71は、補助アーム46の他端に回動自在に連結されている。
【0055】
操作部30は、右把持部材49Bに取り付けられている。操作部30は、油圧シリンダ29を駆動し、シリンダ70に対してロッド71を伸縮駆動する。また、操作部30は、ウインチ34を駆動してワイヤ18を繰り出し或いは巻き取りする。操作部30は、駆動部を駆動して支持材16を伸縮する。
【0056】
[サッシ移送装置10の動作]
以下、図1図5、及び図6を参照しつつ、サッシ11を枠12に嵌める際のサッシ移送装置10の動作について説明する。
【0057】
まず、作業者は、吸着部材27を支持する回動部材26が上下方向1に沿う状態でない場合には、操作部30によって油圧シリンダ29を操作し、回動部材26が上下方向1に沿う起立状態になるように移動させる。次に、作業者は、サッシ運搬台車13に傾斜した状態で立て掛けられたサッシ11に対して吸着部材27が適切な高さに位置するように、操作部30によってウインチ34を操作する。これにより、上下方向1に並ぶ複数の吸着部材27が上下方向1に対して傾斜した状態で立て掛けられたサッシ11のガラス面51に対向する。
【0058】
作業者は、左把持部材49A及び右把持部材49Bを把持した状態でハンドリングし、サッシ移送装置10をガラス面51に向かって移動させる。このとき、ガラス面51には最も下に位置する吸着部材27から当接する。作業者は、全ての吸着部材27をガラス面51に当接させてサッシ移送部材10をサッシ11に対して位置決めする。
【0059】
作業者は、操作部30によって吸排気機構を駆動し、吸着部材27をガラス面51に吸着させる(図1参照)。作業者は、操作部30によってウインチ34を操作しワイヤ18を巻き取る。これにより、サッシ11は、傾斜した状態のままでサッシ移送装置10によって吊り下げられる。
【0060】
図6に示されるように、作業者は、操作部30によって第1アーム19及び第2アーム20の駆動部を駆動し、サッシ移送装置10によって吊り下げたサッシ11を傾斜させた状態のままサッシ運搬台車13の位置から離間させる。作業者は、操作部30によって油圧シリンダ29を駆動し、吊り下げたサッシ11がサッシ運搬台車13に載置されたサッシ11などに当接しないようにブレーキ機構を活用しながら、回動部材26を上下方向1に垂直な平面に沿う倒伏状態に回動させる。作業者は、必要に応じて、操作部30によってウインチ34を操作し吊り下げたサッシ11の高さを枠12よりも高い位置に調整する。なお、吊り下げたサッシ11の移動、回動、及び高さ調整の順番は上記に限定されるものではなく、吊り下げたサッシ11がサッシ運搬台車13に載置されたサッシ11などに当接しないように行われればよい。
【0061】
作業者は、サッシ移送装置10が枠運搬台14の上方に位置した状態において、操作部30によってウインチ34を操作しワイヤ18を繰り出す。このとき各枠12のサイズや外壁パネルへの取り付け位置等が異なるため、作業者は、把持部材49を把持しながらワイヤ18に吊り下げられたサッシ11を上下方向1に交差する方向に移動させて、サッシ11を外壁パネルに配置された各枠12に合うように案内する。これにより、図7に示されるように、吊り下げられたサッシ11は、搬送される種々の枠12に嵌められる。サッシ11は、枠12に嵌められた状態で枠運搬台14によって搬送される。
【0062】
[実施形態の作用効果]
本実施形態によれば、支持材16から吊り下げたサッシ11を本体部材25に対して回動部材26を回動させて任意の姿勢にできる。
【0063】
また、可撓性を有するワイヤ18によって支持材16から吊り下げられたサッシ11を、ユーザが上下方向1に交差する方向に容易に移動できる。
【0064】
また、左把持部材49A及び右把持部材49Bがユーザによって把持されることにより、回動部材26が容易にハンドリングされる。また、吸着部材27が左右方向2に離間して配置されているので、サッシ11を支持材16にバランスよく吊り下げることができる。
【0065】
また、吸着部材27の左右方向2の間隔をサッシ11の幅に対応させて配置するために、吸着部材27を左連結材47A、右連結材47Bに対して移動できる。
【0066】
[変形例]
上述の実施形態においては、ワイヤ18がウインチ34に巻き取り又は繰り出し可能に連結されている場合を例にあげて説明したが、この構成に限らない。ワイヤ18は、例えば、支持材16の先端に連結されているものであってもよい。
【0067】
上述の実施形態においては、左把持部材49Aが左棒材48Aに、右把持部材49Aが右棒材48B対して連結されている場合について説明したが、この構成に限らない。左把持部材49A及び右把持部材49Bは、例えば、左連結材47A、右連結部材47Bに連結されているものであってもよい。左把持部材49A及び右把持部材49Bは、左連結材47A、右連結材47Bと一体に構成されるものであってもよい
【0068】
なお、サッシ運搬台車13には、複数のサッシ11を起立した状態で支持する緩衝材がサッシ同士の間に配置されていることを説明したが、この構成に限らない。サッシ運搬台車13には、載置された複数のサッシ11が互いに接触しないようにそれぞれのサッシ11を離間した状態で支持する支持台(図示省略)が設けられていてもよい。
【0069】
また、枠運搬台14は、複数の枠12を1つづつ搬送する台である場合を例にあげて説明したが、この構成に限らない。枠運搬台14は、例えば、積層状態で載置された複数の枠12を搬送可能な台車であってもよい。
【0070】
また、操作部30は、右把持部材49Bに取り付けられている場合を例にあげて説明したが、この構成に限らない。操作部30は、サッシ移送装置10であって、干渉しない位置に配置されていてもよい。また、サッシ移送装置10に取り付けられておらず、サッシ移送装置10から離れた位置から、ワイヤ18、油圧シリンダ29、及び、支持材16の駆動部が操作されるものであってもよい。
【符号の説明】
【0071】
10・・・サッシ移送装置
11・・・サッシ
16・・・支持材
18・・・ワイヤ(吊下部材)
25・・・本体部材(第2支持部材)
26・・・回動部材(第1支持部材)
27・・・吸着部材
29・・・油圧シリンダ(アクチュエータ)
30・・・操作部
47A・・・第1連結材(連結材)
47B・・・第2連結材(連結材)
48A・・・左棒材(棒材)
48B・・・右棒材(棒材)
49A・・・左把持部材(把持部材)
49B・・・右把持部材(把持部材)
51・・・ガラス面
70・・・シリンダ(本体)
71・・・ロッド
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7