(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】LC共振器およびLCフィルタ
(51)【国際特許分類】
H03H 5/02 20060101AFI20240925BHJP
H03H 7/01 20060101ALI20240925BHJP
H03H 7/09 20060101ALI20240925BHJP
H01G 4/40 20060101ALI20240925BHJP
H01F 27/00 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
H03H5/02
H03H7/01 A
H03H7/09 Z
H01G4/40 321A
H01F27/00 S
H03H7/01 Z
(21)【出願番号】P 2022514344
(86)(22)【出願日】2021-03-05
(86)【国際出願番号】 JP2021008660
(87)【国際公開番号】W WO2021205793
(87)【国際公開日】2021-10-14
【審査請求日】2022-06-13
(31)【優先権主張番号】P 2020070825
(32)【優先日】2020-04-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小川 圭介
【審査官】柳下 勝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-128232(JP,A)
【文献】国際公開第2007/119356(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/059963(WO,A1)
【文献】特開2006-262349(JP,A)
【文献】特開2013-070288(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03H 5/02
H03H 7/01
H03H 7/09
H01G 4/40
H01F 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1平面電極と、
特定方向において前記第1平面電極の少なくとも一部と対向する第2平面電極と、
第1線路電極と、
前記第1線路電極から前記特定方向に延在し、前記第1平面電極および前記第2平面電極にそれぞれ接続された第1ビア導体および第2ビア導体と、
前記特定方向において前記第2平面電極の少なくとも一部と対向し、接地点に接続された第3平面電極とを備え、
前記第2平面電極は、前記特定方向において前記第1平面電極と前記第3平面電極との間に配置され、
前記第3平面電極は、前記特定方向において前記第2平面電極と前記接地点との間に配置され
、
前記第2平面電極と前記第3平面電極との間には、電極が配置されておらず、
前記第1平面電極および前記第2平面電極は、第1キャパシタを形成し、
前記第1ビア導体、前記第1線路電極、前記第2ビア導体は、インダクタを形成し、
前記第2平面電極および前記第3平面電極は、第2キャパシタを形成し、
前記第1キャパシタ、前記インダクタ、および前記第2キャパシタは、単一の共振器を形成し、
前記特定方向から前記第3平面電極を平面視した場合、前記第3平面電極は、前記接地点と重なる、LC共振器。
【請求項2】
第1端子および第2端子と、
第1LC共振器および第2LC共振器とを備え、
前記第1LC共振器および前記第2LC共振器の各々は、請求項1に記載のLC共振器であり、
前記第1LC共振器の第
1平面電極は、前記第1端子に電気的に接続され、
前記第2LC共振器の第
1平面電極は、前記第2端子に電気的に接続されている、LCフィルタ。
【請求項3】
第1端子および第2端子と、
第1LC共振器および第2LC共振器とを備え、
前記第1LC共振器および前記第2LC共振器の各々は、請求項1に記載のLC共振器であり、
前記第1LC共振器の第1平面電極は、前記第1端子に電気的に接続され、
前記第2LC共振器の第1平面電極は、前記第2端子に電気的に接続され、
前記第1LC共振器および前記第2LC共振器の各々の第3平面電極は、接地されている、LCフィルタ。
【請求項4】
前記第1LC共振器および前記第2LC共振器の一方からの信号を受けて当該信号を他方に伝達するLC並列共振器をさらに備える、請求項2または3に記載のLCフィルタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LC共振器およびLCフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、LC共振器およびLCフィルタが知られている。たとえば、国際公開第2007/119356号(特許文献1)には、積層帯域通過フィルタが開示されている。当該積層帯域通過フィルタは、複数のLC並列共振器を含む。複数のLC並列共振器の各々においては、線路電極から2つのビア電極がキャパシタ電極および接地接続電極までそれぞれ延在している。線路電極および2つのビア電極によってループ状のインダクタが形成されるとともに、キャパシタ電極および接地接続電極によってキャパシタが形成される。複数のLC並列共振器の配列方向から見たとき、複数のLC並列共振器の各々のループ面の少なくとも一部が互いに重なるようにLC並列共振器が配置されることにより、隣接するLC並列共振器間の結合度(誘導結合)を高めることができる。その結果、積層帯域通過フィルタの広帯域化を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
LCフィルタの特性(たとえば通過特性、反射特性、または減衰特性)は、インピーダンスが極値となるLC共振器の共振周波数の調整によって実現される場合が多い。LCフィルタの特性を改善するためには、当該LCフィルタに含まれるLC共振器の数を増やす必要がある。しかし、LC共振器の数を増やすと、フィルタが大型化し、その結果、挿入損失が増加し得る。
【0005】
本発明は上記のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、LCフィルタの特性を改善しながら、LCフィルタの大型化を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態に係るLC共振器は、第1平面電極と、第2平面電極と、第1線路電極と、第1ビア導体と、第2ビア導体と、第3平面電極とを備える。第2平面電極は、特定方向において第1平面電極の少なくとも一部と対向する。第1ビア導体および第2ビア導体は、第1線路電極から特定方向に延在し、第1平面電極および第2平面電極にそれぞれ接続されている。第3平面電極は、特定方向において第2平面電極の少なくとも一部と対向する。第2平面電極は、特定方向において第1平面電極と第3平面電極との間に配置されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一実施形態に係るLC共振器によれば、第3平面電極が特定方向において第2平面電極の少なくとも一部と対向しているとともに、第2平面電極が特定方向において第1平面電極と第3平面電極との間に配置されていることにより、LCフィルタの特性を改善しながら、LCフィルタの大型化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1に係るLC共振器の等価回路図である。
【
図3】
図2の積層体の内部に形成された電極構造の外観斜視図である。
【
図4】
図3の電極構造をY軸方向から平面視した図である。
【
図5】
図3の電極構造をX軸方向から平面視した図である。
【
図6】実施の形態1の比較例1に係るLC並列共振器の等価回路図である。
【
図7】実施の形態1の比較例2に係るLC共振器の等価回路図である。
【
図8】
図1のLC共振器、
図6のLC並列共振器、および
図7のLC共振器の各々の通過特性を併せて示す図である。
【
図9】実施の形態1の変形例に係るLC共振器の等価回路図である。
【
図10】実施の形態2に係るLCフィルタの一例であるバンドパスフィルタの等価回路図である。
【
図12】
図11の積層体の内部に形成された電極構造の外観斜視図である。
【
図13】
図12の電極構造をY軸方向から平面視した図である。
【
図14】
図12の電極構造をX軸方向から平面視した図である。
【
図15】実施の形態2の比較例に係るバンドパスフィルタの等価回路図である。
【
図16】
図15のバンドパスフィルタの電極構造の外観斜視図である。
【
図17】
図16の電極構造をY軸方向から平面視した図である。
【
図18】
図16の電極構造をX軸方向から平面視した図である。
【
図19】
図10のバンドパスフィルタの通過特性(直線)および
図15のバンドパスフィルタの通過特性(点線)を併せて示す図である。
【
図20】実施の形態2の変形例に係るバンドパスフィルタの等価回路図である。
【
図21】実施の形態3に係るLCフィルタの一例であるバンドパスフィルタの等価回路図である。
【
図23】
図22の積層体の内部に形成された電極構造の外観斜視図である。
【
図24】
図23の電極構造をY軸方向から平面視した図である。
【
図25】
図23の電極構造をX軸方向から平面視した図である。
【
図26】
図21のバンドパスフィルタの通過特性を示す図である。
【
図27】実施の形態3の変形例に係るバンドパスフィルタの等価回路図である。
【
図28】実施の形態4に係るバンドパスフィルタの等価回路図である。
【
図29】
図28のバンドパスフィルタの通過特性を示す図である。
【
図30】実施の形態4の変形例に係るバンドパスフィルタの等価回路図である。
【
図31】実施の形態5に係るLCフィルタの一例であるバンドパスフィルタの等価回路図である。
【
図32】
図31のバンドパスフィルタの通過特性を示す図である。
【
図33】実施の形態5の変形例に係るバンドパスフィルタの等価回路図である。
【
図34】
図33のバンドパスフィルタの通過特性を示す図である。
【
図35】実施の形態6に係るバンドパスフィルタの等価回路図である。
【
図36】
図35のバンドパスフィルタの通過特性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中において同一の構成には同一の参照符号を付している。
【0010】
[実施の形態1]
図1は、実施の形態1に係るLC共振器1Aの等価回路図である。
図1に示されるように、LC共振器1Aは、入出力端子P11,P12の接続ノードと接地点GNDとの間に接続されている。LC共振器1Aは、インダクタ10Aと、キャパシタ11Aと、キャパシタ12Aとを備える。インダクタ10Aおよびキャパシタ11Aは、キャパシタ12Aの一方の電極と、入出力端子P11およびP12の接続ノードとの間において並列に接続され、LC並列共振回路を形成している。キャパシタ12Aの他方の電極は、接地されている。インダクタ10Aおよびキャパシタ12Aは、接地点GNDと、入出力端子P11およびP12の接続ノードとの間において直列に接続され、LC直列共振回路を形成している。
【0011】
図2は、
図1のLC共振器1Aの外観斜視図である。
図2において、X軸、Y軸、およびZ軸は互いに直交している。
図3~
図5,
図11~
図14,
図16~
図18,
図22~
図25においても同様である。
図2に示されるように、LC共振器1Aは、複数の誘電体層がZ軸方向に積層された積層体180として形成されている。積層体
180の底面には、接地端子G1が形成されている。
【0012】
図3は、
図2の積層体180の内部に形成された電極構造の外観斜視図である。
図4は、
図3の電極構造をY軸方向から平面視した図である。
図5は、
図3の電極構造をX軸方向から平面視した図である。
図3~
図5に示されるように、LC共振器1Aは、線路電極101(第1線路電極)と、平面電極102(第1平面電極)と、平面電極103(第2平面電極)と、ビア導体111(第1ビア導体)と、ビア導体112(第2ビア導体)と、接地電極104(第3平面電極)と、ビア導体131,132,133,134とを備える。
【0013】
平面電極103は、Z軸方向(特定方向)において平面電極102の少なくとも一部と対向している。平面電極102,103は、キャパシタ11Aを形成している。
【0014】
線路電極101は、X軸方向に延在している。ビア導体111,112は、線路電極101の両端部からそれぞれZ軸方向に延在し、平面電極102,103にそれぞれ接続されている。ビア導体111、線路電極101、およびビア導体112は、インダクタ10Aを形成している。
【0015】
平面電極103は、Z軸方向において平面電極102と接地電極104との間に配置されている。接地電極104は、Z軸方向において平面電極103の少なくとも一部と対向している。平面電極103および接地電極104は、キャパシタ12Aを形成している。
【0016】
接地電極104は、ビア導体131~134の各々によって接地端子G1に接続されて、接地されている。なお、
図1の入出力端子P11,P12は、たとえば平面電極102またはビア導体111に接続される。
【0017】
LC共振器1Aにおいては、インダクタ10Aを形成するビア導体111,112の各々のZ軸方向の長さが異なり、ビア導体112の方がビア導体111よりも長い。そのため、線路電極101の中央部分からビア導体112の間に電流集中が偏る。その結果、線路電極101の縁部に電流集中が生じることによる損失の悪化を改善することができる。
【0018】
図6は、実施の形態1の比較例1に係るLC並列共振器9Aの等価回路図である。LC並列共振器9Aの構成は、
図1のLC共振器1Aからキャパシタ12Aが除かれた構成である。これら以外は同様であるため説明を繰り返さない。
図6に示されるように、インダクタ10Aおよびキャパシタ11Aは、接地されている。
【0019】
図7は、実施の形態1の比較例2に係るLC共振器9Bの等価回路図である。LC共振器9Bの構成は、
図6のLC並列共振器9Aにキャパシタ13Aが追加された構成である。これ以外は同様であるため説明を繰り返さない。
図7に示されるように、インダクタ10Aおよびキャパシタ13Aは、接地点GNDと、入出力端子P11およびP12の接続ノードとの間において直列に接続されている。キャパシタ11Aおよびキャパシタ13Aは、接地点GNDと、入出力端子P11およびP12の接続ノードとの間において並列に接続されている。LC共振器9Bは、インダクタ10Aおよびキャパシタ11Aによって形成されるLC並列共振器、およびインダクタ10Aおよびキャパシタ13Aによって形成されるLC直列共振器を含む。
【0020】
図8は、
図1のLC共振器1A、
図6のLC並列共振器9A、および
図7のLC共振器9Bの各々の通過特性を併せて示す図である。
図8において、曲線C1,C9A,C9Bは、LC共振器1Aの通過特性、LC並列共振器9Aの通過特性、およびLC共振器9Bの通過特性をそれぞれ表す。なお、
図8に示される各通過特性は、キャパシタ11A~13Aの各々の容量が同じである場合の通過特性である。
【0021】
図8に示されるように、LC並列共振器9Aの通過特性においては、周波数f90において減衰量が極小となる。LC共振器9Bの通過特性においては、周波数f91において減衰量が極大となり、周波数f92(>f91)において減衰量が極小となる。LC共振器1Aの通過特性においては、周波数f11において減衰量が極大となり、周波数f12(>f11)において減衰量が極小となる。
【0022】
LC共振器1Aの通過特性とLC並列共振器9Aの通過特性を比較すると、LC並列共振器9AにはLC直列共振器が含まれないため、LC並列共振器9Aの通過特性には減衰量が極大となる減衰極が生じていない。LC共振器1Aを用いてLCフィルタを形成することにより、通過帯域外の信号を通過させないという性能の指標である減衰特性を、LC並列共振器9Aを用いてLCフィルタを形成する場合よりも改善することができる。また、減衰極を生じさせるための別個のLC共振器が不要となるため、LCフィルタのサイズを小さくすることができる。
【0023】
LC共振器1Aの通過特性とLC共振器9Bの通過特性を比較すると、減衰量が極大となる周波数および極小となる周波数は、いずれもLC共振器1Aの方が低い。減衰量が極大となる周波数および極小となる周波数は、LC直列共振器の共振周波数およびLC並列共振器の共振周波数にそれぞれ依存している。LC共振器を形成するインダクタのインダクタンスおよびキャパシタの容量が小さい程、LC共振器の共振周波数は高い。LC共振器1Aに含まれるインダクタのインダクタンスおよびキャパシタの容量をLC共振器9Bに含まれるインダクタのインダクタンスおよびキャパシタのキャパシタンスよりもそれぞれ小さくすることにより、LC共振器1Aの通過特性をLC共振器9Bの通過特性に近づけることができる。すなわち、所望の通過特性を有するLCフィルタを実現する場合、LC共振器1Aを用いる方がLC共振器9Bを用いる場合よりもLCフィルタのサイズを小さくすることができる。
【0024】
LC共振器1Aにおいては、キャパシタ12Aが接地されている構成について説明した。キャパシタ12Aは接地されていなくてもよい。
図9は、実施の形態1の変形例に係るLC共振器1Bの等価回路図である。
図9においては、
図1において接地されていたキャパシタ12Aの第3平面電極が入出力端子P10に接続されている。これ以外は同様であるため説明を繰り返さない。
【0025】
以上、実施の形態1および変形例に係るLC共振器によれば、LCフィルタの特性を改善しながら、LCフィルタの大型化を抑制することができる。
【0026】
実施の形態2~6においては、実施の形態1に係るLC共振器を含むLCフィルタについて説明する。実施の形態2においては2つのLC共振器を含む2段のLCフィルタについて説明し、実施の形態3,4,5においては4つのLC共振器を含む4段のLCフィルタについて説明し、実施の形態6においては5つのLC共振器を含む5段のLCフィルタについて説明する。
【0027】
[実施の形態2]
図10は、実施の形態2に係るLCフィルタの一例であるバンドパスフィルタ200の等価回路図である。
図10に示されるように、バンドパスフィルタ200は、入出力端子P21(第1端子)と、入出力端子P22(第2端子)と、LC共振器1(第1LC共振器)と、LC共振器2(第2LC共振器)と、キャパシタC12と、インダクタLGとを備える。バンドパスフィルタ200は、2段のバンドパスフィルタである。
【0028】
インダクタLGの一方端は、接地点GNDに接続されている。LC共振器1は、入出力端子P21とインダクタLGの他方端との間に接続されている。LC共振器2は、入出力端子P22とインダクタLGの他方端との間に接続されている。LC共振器1と2との間には、磁気結合M12が生じる。キャパシタC12は、LC共振器1と2との間に接続されている。キャパシタC12は、LC共振器1と2との間に生じる容量結合を表す。
【0029】
LC共振器1は、インダクタ10と、キャパシタ11,12とを含む。LC共振器2は、インダクタ20と、キャパシタ21,22とを含む。LC共振器1,2の各々は、
図1に示されるLC共振器1Aと同じ構成を有する。すなわち、インダクタ10,キャパシタ11,12は、インダクタ10A,キャパシタ11A,12Aにそれぞれ対応する。インダクタ20,キャパシタ21,22は、インダクタ10A,キャパシタ11A,12Aにそれぞれ対応する。
【0030】
図11は、
図10のバンドパスフィルタ200の外観斜視図である。
図11に示されるように、バンドパスフィルタ200は、複数の誘電体層がZ軸方向に積層された積層体280として形成されている。積層体280の底面には、入出力端子P21,P22,接地端子G2が形成されている。入出力端子P21,P22、および接地端子G2は、たとえば積層体280の底面に平面電極が規則的に配置されたLGA(Land Grid Array)端子である。積層体280の底面は、不図示の回路基板に接続される。
【0031】
図12は、
図11の積層体280の内部に形成された電極構造の外観斜視図である。
図13は、
図12の電極構造をY軸方向から平面視した図である。
図14は、
図12の電極構造をX軸方向から平面視した図である。
図12~
図14に示されるように、バンドパスフィルタ200は、線路電極211(第1線路電極)と、平面電極212(第1平面電極)と、平面電極213(第2平面電極)と、ビア導体231(第1ビア導体)と、ビア導体232(第2ビア導体)とを備える。バンドパスフィルタ200は、線路電極221(第1線路電極)と、平面電極222(第1平面電極)と、平面電極223(第2平面電極)と、ビア導体241(第1ビア導体)と、ビア導体242(第2ビア導体)とをさらに備える。バンドパスフィルタ200は、接地電極204(第3平面電極)と、ビア導体251,252,261,262,263,271,272とをさらに備える。
【0032】
平面電極213は、Z軸方向において平面電極212の少なくとも一部と対向している。平面電極212,213は、キャパシタ11を形成している。平面電極212は、ビア導体251,252によって入出力端子P21に接続されている。
【0033】
線路電極211は、X軸方向に延在している。ビア導体231,232は、線路電極211の両端部からそれぞれZ軸方向に延在し、平面電極212,213にそれぞれ接続されている。ビア導体231、線路電極211、およびビア導体232は、インダクタ10を形成している。
【0034】
平面電極213は、Z軸方向において平面電極212と接地電極204との間に配置されている。接地電極204は、Z軸方向において平面電極213の少なくとも一部と対向している。平面電極213および接地電極204は、キャパシタ12を形成している。
【0035】
平面電極223は、Z軸方向において平面電極222の少なくとも一部と対向している。平面電極222,223は、キャパシタ21を形成している。平面電極222は、ビア導体271,272によって入出力端子P22に接続されている。
【0036】
線路電極221は、X軸方向に延在している。ビア導体241,242は、線路電極221の両端部からそれぞれZ軸方向に延在し、平面電極222,223にそれぞれ接続されている。ビア導体241、線路電極221、およびビア導体242は、インダクタ20を形成している。
【0037】
平面電極223は、Z軸方向において平面電極222と接地電極204との間に配置されている。接地電極204は、Z軸方向において平面電極223の少なくとも一部と対向している。平面電極223および接地電極204は、キャパシタ22を形成している。
【0038】
接地電極204は、ビア導体261~263の各々によって接地端子G2に接続されて、接地されている。ビア導体261~263は、インダクタLGを形成している。
【0039】
図15は、実施の形態2の比較例に係るバンドパスフィルタ900の等価回路図である。バンドパスフィルタ900の構成は、
図10のLC共振器1,2がLC並列共振器91,92にそれぞれ置き換えられた構成である。LC並列共振器91の構成は、LC共振器1からキャパシタ12が除かれた構成である。LC並列共振器92の構成は、LC共振器2からキャパシタ22が除かれた構成である。これら以外は同様であるため説明を繰り返さない。
図15に示されるように、インダクタ10およびキャパシタ11は、接地されている。インダクタ20およびキャパシタ21は、接地されている。
【0040】
バンドパスフィルタ900は、バンドパスフィルタ200と同様に複数の誘電体層がZ軸方向に積層された積層体として形成されている。バンドパスフィルタ900の外観斜視図は、
図11に示されるバンドパスフィルタ200の外観斜視図と同様であるため、説明を繰り返さない。
図16~18を用いて、当該積層体の内部に形成された電極構造について説明する。
【0041】
図16は、
図15のバンドパスフィルタ900の電極構造の外観斜視図である。
図17は、
図16の電極構造をY軸方向から平面視した図である。
図18は、
図16の電極構造をX軸方向から平面視した図である。
図16~
図18に示されるように、バンドパスフィルタ900は、線路電極911と、平面電極912と、ビア導体931,932とを備える。バンドパスフィルタ900は、線路電極921と、平面電極922と、ビア導体941,942とをさらに備える。バンドパスフィルタ900は、接地電極904と、平面電極903と、ビア導体950,961,962,963,970とをさらに備える。
【0042】
線路電極911は、X軸方向に延在している。ビア導体931,932は、線路電極911の両端部からそれぞれZ軸方向に延在し、平面電極912および接地電極904にそれぞれ接続されている。ビア導体931、線路電極911、およびビア導体932は、インダクタ10を形成している。
【0043】
接地電極904は、Z軸方向において平面電極912の少なくとも一部と対向している。平面電極912および接地電極904は、キャパシタ11を形成している。平面電極912は、ビア導体950によって入出力端子P21に接続されている。
【0044】
線路電極921は、X軸方向に延在している。ビア導体941,942は、線路電極921の両端部からそれぞれZ軸方向に延在し、平面電極922および接地電極904にそれぞれ接続されている。ビア導体941、線路電極921、およびビア導体942は、インダクタ20を形成している。
【0045】
接地電極904は、Z軸方向において平面電極922の少なくとも一部と対向している。平面電極922および接地電極904は、キャパシタ21を形成している。平面電極922は、ビア導体970によって入出力端子P22に接続されている。
【0046】
平面電極903は、Z軸方向において平面電極912の少なくとも一部と対向しているとともに、平面電極922の少なくとも一部と対向している。平面電極912,903,922は、キャパシタC12を形成している。接地電極904は、ビア導体961~963によって接地端子G2に接続されて、接地されている。ビア導体961~963は、インダクタLGを形成している。
【0047】
図19は、
図10のバンドパスフィルタ200の通過特性(直線)および
図15のバンドパスフィルタ900の通過特性(点線)を併せて示す図である。
図19に示されるように、バンドパスフィルタ900の通過特性において、通過帯域より低域側の周波数帯に減衰極が生じていない。一方、バンドパスフィルタ200の通過特性においては、通過帯域より低い周波数f2において減衰極が生じている。バンドパスフィルタ200においては、当該減衰極により、通過帯域の低域側の境界付近の急峻性がバンドパスフィルタ900よりも改善されている。すなわち、バンドパスフィルタ200においては、通過可能な信号の周波数を所望の周波数帯に限定するというバンドパスフィルタの機能がバンドパスフィルタ900よりも改善されている。
【0048】
バンドパスフィルタ200においては、LC共振器が入出力端子に直接接続される場合について説明した。LC共振器は、入出力端子に電気的に接続されていればよく、直接接続されていなくてもよい。LC共振器が入出力端子に電気的に接続される場合には、LC共振器が入出力端子と容量結合する場合が含まれる。
【0049】
図20は、実施の形態2の変形例に係るバンドパスフィルタ200Aの等価回路図である。バンドパスフィルタ200Aの構成は、
図10のバンドパスフィルタ200にキャパシタCio1,Cio2が追加された構成である。これら以外は同様であるため、説明を繰り返さない。
【0050】
図20に示されるように、キャパシタCio1は、入出力端子P21と、インダクタ10およびキャパシタ11の接続ノードとの間に接続されている。すなわち、キャパシタ11に含まれる第1平面電極は、入出力端子P21に電気的に接続されている。キャパシタCio1は、入出力端子P21とLC共振器1との間に生じる容量結合を表す。
【0051】
キャパシタCio2は、入出力端子P22と、インダクタ20およびキャパシタ21の接続ノードとの間に接続されている。すなわち、キャパシタ21に含まれる第1平面電極は、入出力端子P22に電気的に接続されている。キャパシタCio2は、入出力端子P22とLC共振器2との間に生じる容量結合を表す。
【0052】
以上、実施の形態2および変形例に係るLCフィルタによれば、LCフィルタの特性を改善しながら、LCフィルタの大型化を抑制することができる。
【0053】
[実施の形態3]
図21は、実施の形態3に係るLCフィルタの一例であるバンドパスフィルタ300の等価回路図である。
図21に示されるように、バンドパスフィルタ300は、入出力端子P31(第1端子)と、入出力端子P32(第2端子)と、LC共振器1(第1LC共振器)と、LC共振器2,3と、LC共振器4(第2LC共振器)と、キャパシタC12,C23,C34とを備える。バンドパスフィルタ300は、4段のバンドパスフィルタである。
【0054】
LC共振器1のキャパシタ12は、入出力端子P31に接続されている。キャパシタC12は、LC共振器1と2との間に接続されている。キャパシタC12は、LC共振器1と2との間に生じる容量結合を表す。キャパシタC23は、LC共振器2と3との間に接続されている。キャパシタC23は、LC共振器2と3との間に生じる容量結合を表す。キャパシタC34は、LC共振器3と4との間に接続されている。キャパシタC34は、LC共振器3と4との間に生じる容量結合を表す。LC共振器4のキャパシタ42は、入出力端子P32に接続されている。
【0055】
LC共振器1と2との間には、磁気結合M12が生じる。LC共振器2と3との間には磁気結合M23が生じる。LC共振器3と4との間には、磁気結合M34が生じる。
【0056】
LC共振器1,2は、それぞれ
図9のLC共振器1Bおよび
図1のLC共振器1Aと同じ構成を有する。キャパシタ12およびインダクタ10は、入出力端子P31とP32との間においてこの順に直列に接続されている。キャパシタ12は、インダクタ10およびキャパシタ11によって形成されるLC並列共振器と入出力端子P31との容量結合を表す。
【0057】
LC共振器3は、インダクタ30と、キャパシタ31,32とを含む。LC共振器4は、インダクタ40と、キャパシタ41,42とを含む。LC共振器3,4の各々は、
図1のLC共振器1Aおよび
図9のLC共振器1Bと同じ構成を有する。すなわち、インダクタ30,キャパシタ31,32は、インダクタ10A,キャパシタ11A,12Aにそれぞれ対応する。インダクタ40,キャパシタ41,42は、インダクタ10A,キャパシタ11A,12Aにそれぞれ対応する。キャパシ
タ42およびインダクタ40は、入出力端子P32とP31との間においてこの順に直列に接続されている。キャパシタ42は、インダクタ40およびキャパシタ41によって形成されるLC並列共振器と入出力端子P32との容量結合を表す。
【0058】
図22は、
図21のバンドパスフィルタ300の外観斜視図である。
図22に示されるように、バンドパスフィルタ300は、複数の誘電体層がZ軸方向に積層された積層体380として形成されている。積層体380の底面には、入出力端子P31,P32,接地端子G3が形成されている。入出力端子P31,P32、および接地端子G3は、たとえば積層体380の底面に平面電極が規則的に配置されたLGA(Land Grid Array)端子である。積層体380の底面は、不図示の回路基板に接続される。
【0059】
図23は、
図22の積層体380の内部に形成された電極構造の外観斜視図である。
図24は、
図23の電極構造をY軸方向から平面視した図である。
図25は、
図23の電極構造をX軸方向から平面視した図である。
図23~
図25に示されるように、バンドパスフィルタ300は、線路電極311(第1線路電極)と、平面電極312(第1平面電極)と、平面電極313(第2平面電極)と、平面電極314(第3平面電極)と、ビア導体334(第1ビア導体)と、ビア導体335(第2ビア導体)とを備える。バンドパスフィルタ300は、線路電極321(第1線路電極)と、平面電極322(第1平面電極)と、平面電極323(第2平面電極)と、ビア導体336(第1ビア導体)と、ビア導体337(第2ビア導体)とをさらに備える。バンドパスフィルタ300は、線路電極331(第1線路電極)と、平面電極332(第1平面電極)と、平面電極333(第2平面電極)と、ビア導体351(第1ビア導体)と、ビア導体352(第2ビア導体)とをさらに備える。バンドパスフィルタ300は、線路電極341(第1線路電極)と、平面電極342(第1平面電極)と、平面電極343(第2平面電極)と、平面電極344(第3平面電極)と、ビア導体361(第1ビア導体)と、ビア導体362(第2ビア導体)とをさらに備える。バンドパスフィルタ300は、接地電極304(第3平面電極)と、平面電極301,302と、ビア導体371,372,373,374,381,382とを備える。
【0060】
平面電極313は、Z軸方向において平面電極312の少なくとも一部と対向している。平面電極312,313は、キャパシタ11を形成している。
【0061】
線路電極311は、X軸方向に延在している。ビア導体334,335は、線路電極311の両端部からそれぞれZ軸方向に延在し、平面電極312,313にそれぞれ接続されている。ビア導体334、線路電極311、およびビア導体335は、インダクタ10を形成している。
【0062】
平面電極313は、Z軸方向において平面電極312と314との間に配置されている。平面電極314は、Z軸方向において平面電極313の少なくとも一部と対向している。平面電極313,314は、キャパシタ12を形成している。平面電極314は、ビア導体371によって入出力端子P31に接続されている。
【0063】
平面電極323は、Z軸方向において平面電極322の少なくとも一部と対向している。平面電極322,323は、キャパシタ21を形成している。
【0064】
線路電極321は、X軸方向に延在している。ビア導体336,337は、線路電極321の両端部からそれぞれZ軸方向に延在し、平面電極322,323にそれぞれ接続されている。ビア導体336、線路電極321、およびビア導体337は、インダクタ20を形成している。
【0065】
平面電極323は、Z軸方向において平面電極322と接地電極304との間に配置されている。接地電極304は、Z軸方向において平面電極323の少なくとも一部と対向している。平面電極323および接地電極304は、キャパシタ22を形成している。
【0066】
平面電極301は、ビア導体381によって平面電極312に接続されている。平面電極301は、Z軸方向において平面電極322と対向している。平面電極301,322は、キャパシタC12を形成している。
【0067】
平面電極333は、Z軸方向において平面電極332の少なくとも一部と対向している。平面電極332,333は、キャパシタ31を形成している。
【0068】
線路電極331は、X軸方向に延在している。ビア導体351,352は、線路電極331の両端部からそれぞれZ軸方向に延在し、平面電極332,333にそれぞれ接続されている。ビア導体351、線路電極331、およびビア導体352は、インダクタ30を形成している。
【0069】
平面電極333は、Z軸方向において平面電極332と接地電極304との間に配置されている。接地電極304は、Z軸方向において平面電極333の少なくとも一部と対向している。平面電極333および接地電極304は、キャパシタ32を形成している。
【0070】
接地電極304は、ビア導体372,373の各々によって接地端子G3に接続されて接地されている。ビア導体372,373は、インダクタLGを形成している。
【0071】
平面電極343は、Z軸方向において平面電極342の少なくとも一部と対向している。平面電極342,343は、キャパシタ41を形成している。
【0072】
線路電極341は、X軸方向に延在している。ビア導体361,362は、線路電極341の両端部からそれぞれZ軸方向に延在し、平面電極342,343にそれぞれ接続されている。ビア導体361、線路電極341、およびビア導体362は、インダクタ40を形成している。
【0073】
平面電極343は、Z軸方向において平面電極342と344との間に配置されている。平面電極344は、Z軸方向において平面電極343の少なくとも一部と対向している。平面電極343,344は、キャパシタ42を形成している。平面電極344は、ビア導体374によって入出力端子P32に接続されている。
【0074】
平面電極302は、ビア導体382によって平面電極342に接続されている。平面電極302は、Z軸方向において平面電極332と対向している。平面電極302,332は、キャパシタC34を形成している。
【0075】
図26は、
図21のバンドパスフィルタ300の通過特性を示す図である。
図26に示されるように、通過帯域よりも低い周波数f31,f32(>f31),f33(>f32)において減衰極が生じ、通過帯域よりも高い周波数f34,f35(>f34)において減衰極が生じている。
【0076】
バンドパスフィルタに含まれる構成の間に生じる容量結合は、
図21のキャパシタ12,C12,C23,C34,42の各々によって示される容量結合のように、等価回路において隣接する構成の間に生じる容量結合に限定されない。複数の誘電体層の積層体として形成されたバンドパスフィルタにおいては、等価回路において隣接しない構成の間にも容量結合が形成され得る。
図27は、実施の形態3の変形例に係るバンドパスフィルタ300Aの等価回路図である。バンドパスフィルタ300Aの構成は、
図21のバンドパスフィルタ300にキャパシタC30,C14が追加された構成である。これら以外は同様であるため、説明を繰り返さない。
【0077】
図27に示されるように、キャパシタC30は、入出力端子P31とP32との間に接続されている。キャパシタC30は、入出力端子P31とP32との間に生じる容量結合を表す。キャパシタC14は、LC共振器1と4との間に接続されている。キャパシタC14は、LC共振器1と4との間に生じる容量結合を表す。
【0078】
以上、実施の形態3および変形例に係るLCフィルタによれば、LCフィルタの特性を改善しながら、LCフィルタの大型化を抑制することができる。
【0079】
[実施の形態4]
実施の形態3においては、入出力端子に電気的に接続されているLC共振器が接地されていない構成について説明した。実施の形態4においては、入出力端子に電気的に接続されているLC共振器も、他のLC共振器と同様に接地されている構成について説明する。
【0080】
図28は、実施の形態4に係るバンドパスフィルタ400の等価回路図である。バンドパスフィルタ400の構成は、
図21のバンドパスフィルタ300のLC共振器1,4が接地されているとともに、キャパシタCio1,C14,Cio2が追加された構成である。これら以外は同様であるため、説明を繰り返さない。
【0081】
図28に示されるように、キャパシタ12,42は、接地されている。キャパシタCio1は、入出力端子P31とLC共振器1との間に接続されている。キャパシタCio1は、入出力端子P31とLC共振器1との間に生じる容量結合を表す。キャパシタCio2は、入出力端子P32とLC共振器4との間に接続されている。キャパシタCio2は、入出力端子P32とLC共振器4との間に生じる容量結合を表す。キャパシタC14は、LC共振器1と4との間に接続されている。キャパシタC14は、LC共振器1と4との間に生じる容量結合を表す。
【0082】
図29は、
図28のバンドパスフィルタ400の通過特性を示す図である。
図29に示されるように、通過帯域よりも低い周波数f41,f42(>f41)において減衰極が生じ、通過帯域よりも高い周波数f43において減衰極が生じている。
【0083】
複数の誘電体層の積層体として形成されたバンドパスフィルタにおいては、様々な構成の間で容量結合が生じ得る。バンドパスフィルタにおいて生じる容量結合は、
図28に示される容量結合に限定されない。
図30は、実施の形態4の変形例に係るバンドパスフィルタ400Aの等価回路図である。バンドパスフィルタ400Aの構成は、
図28のバンドパスフィルタ400にキャパシタCio3,C13,C25,Cio4が追加された構成である。これら以外は同様であるため、説明を繰り返さない。
【0084】
図30に示されるように、キャパシタCio3は、入出力端子P31とLC共振器2との間に接続されている。キャパシタCio3は、入出力端子P31とLC共振器2との間に生じる容量結合を表す。キャパシタC13は、LC共振器1と3との間に接続されている。キャパシタC13は、LC共振器1と3との間に生じる容量結合を表す。キャパシタC25は、LC共振器2と
4との間に接続されている。キャパシタC25は、LC共振器2と
4との間に生じる容量結合を表す。キャパシタCio4は、入出力端子P32とLC共振器3との間に生じる容量結合を表す。
【0085】
以上、実施の形態4および変形例に係るLCフィルタによれば、LCフィルタの特性を改善しながら、LCフィルタの大型化を抑制することができる。
【0086】
[実施の形態5]
実施の形態4においては、LCフィルタに含まれる複数のLC共振器の各々が実施の形態1に係るLC共振器と同じ構成を有する場合について説明した。実施の形態5においては、LCフィルタに実施の形態1に係るLC共振器および実施の形態1の比較例1に係るLC並列共振器が含まれる場合について説明する。
【0087】
図31は、実施の形態5に係るLCフィルタの一例であるバンドパスフィルタ500の等価回路図である。バンドパスフィルタ500の構成は、
図28のバンドパスフィルタ400のLC共振器2,3がLC並列共振器92,93にそれぞれ置き換えられた構成である。LC並列共振器92の構成は、LC共振器2からキャパシタ22が除かれた構成である。LC並列共振器93の構成は、LC共振器3からキャパシタ32が除かれた構成である。これら以外は同様であるため、説明を繰り返さない。
【0088】
図32は、
図31のバンドパスフィルタ500の通過特性を示す図である。
図32に示されるように、通過帯域よりも低い周波数f51,f52(>f51),f53(>f52)において減衰極が生じ、通過帯域よりも高い周波数f54において減衰極が生じている。
【0089】
実施の形態5に係るバンドパスフィルタにおいては、入出力端子に電気的に接続されているLC共振器が実施の形態1に係るLC共振器と同じ構成を有する場合について説明した。実施の形態に係るバンドパスフィルタには実施の形態1に係るLC共振器が含まれていればよく、当該LC共振器は入出力端子に接続されていなくてもよい。
【0090】
図33は、実施の形態5の変形例に係るバンドパスフィルタ500Aの等価回路図である。バンドパスフィルタ500Aの構成は、
図28のバンドパスフィルタ400のLC共振器1,4がLC並列共振器91,94にそれぞれ置き換えられた構成である。LC並列共振器91の構成は、LC共振器1からキャパシタ12が除かれた構成である。LC並列共振器94の構成は、LC共振器4からキャパシタ42が除かれた構成である。これら以外は同様であるため、説明を繰り返さない。
【0091】
図34は、
図33のバンドパスフィルタ500Aの通過特性を示す図である。
図33に示されるように、通過帯域よりも低い周波数f55,f56(>f55)において減衰極が生じ、通過帯域よりも高い周波数f57,f58(>f57)において減衰極が生じている。
【0092】
バンドパスフィルタに含まれる複数のLC共振器の各々が実施の形態1に係るLC共振器と同じ構成を有する必要はない。当該複数のLC共振器の一部を、実施の形態1に係るLC共振器よりもキャパシタが一つ少ないLC並列共振器とすることにより、バンドパスフィルタの製造コストおよびサイズを低減することができる。実施の形態5および変形例に係るバンドパスフィルタによれば、所望の特性、製造コスト、およびサイズに合わせてバンドパスフィルタの構成を決定することができるため、バンドパスフィルタの設計の自由度を向上させることができる。
【0093】
なお、複数の誘電体層の積層体として形成されたバンドパスフィルタにおいて生じる容量結合が
図31および
図33に示される容量結合に限定されないことは、実施の形態4と同様である。
【0094】
以上、実施の形態5および変形例に係るLCフィルタによれば、LCフィルタの特性を改善しながら、LCフィルタの大型化を抑制することができるとともに、LCフィルタの設計の自由度を向上させることができる。
【0095】
[実施の形態6]
図35は、実施の形態6に係るバンドパスフィルタ600の等価回路図である。
図35に示されるように、バンドパスフィルタ600は、入出力端子P61(第1端子)と、入出力端子P62(第2端子)と、LC共振器1(第1LC共振器)と、LC並列共振器92,93,94と、LC共振器5(第2LC共振器)と、キャパシタCio1,C12,C23,C34,C45,Cio2,C15とを備える。バンドパスフィルタ600は、5段のバンドパスフィルタである。
【0096】
キャパシタCio1は、入出力端子P61とLC共振器1との間に接続されている。キャパシタCio1は、入出力端子P61とLC共振器1との間に生じる容量結合を表す。
【0097】
キャパシタC12は、LC共振器1とLC並列共振器92との間に接続されている。キャパシタC12は、LC共振器1とLC並列共振器92との間に生じる容量結合を表す。
【0098】
キャパシタC23は、LC並列共振器92と93との間に接続されている。キャパシタC23は、LC並列共振器92と93との間に生じる容量結合を表す。
【0099】
キャパシタC34は、LC並列共振器93と94との間に接続されている。キャパシタC34は、LC並列共振器93と94との間に生じる容量結合を表す。
【0100】
キャパシタC45は、LC並列共振器94とLC共振器5との間に接続されている。キャパシタC45は、LC並列共振器94とLC共振器5との間に生じる容量結合を表す。
【0101】
キャパシタCio2は、LC共振器5と入出力端子P62との間に接続されている。キャパシタCio2は、LC共振器5と入出力端子P62との間に生じる容量結合を表す。
【0102】
キャパシタC15は、LC共振器1と5との間に接続されている。キャパシタC15は、LC共振器1と5との間に生じる容量結合を表している。
【0103】
LC共振器1と92との間には、磁気結合M12が生じる。LC共振器92と93との間には磁気結合M23が生じる。LC共振器93と94との間には、磁気結合M34が生じる。LC共振器94と5との間には、磁気結合M45が生じる。
【0104】
LC共振器1は、実施の形態4,5のLC共振器1と同様である。LC共振器5は、インダクタ50と、キャパシタ51,52とを含む。LC共振器5は、
図1のLC共振器1Aと同じ構成を有する。すなわち、インダクタ50,キャパシタ51,52は、インダクタ10A,キャパシタ11A,12Aにそれぞれ対応する。
【0105】
LC並列共振器92は、インダクタ20と、キャパシタ21とを含む。LC並列共振器93は、インダクタ30と、キャパシタ31とを含む。LC並列共振器94は、インダクタ40と、キャパシタ41とを含む。LC並列共振器92~94の各々は、
図6のLC並列共振器9Aと同じ構成を有する。すなわち、インダクタ20,キャパシタ21は、インダクタ10A,キャパシタ11Aにそれぞれ対応する。インダクタ30,キャパシタ31は、インダクタ10A,キャパシタ11Aにそれぞれ対応する。インダクタ40,キャパシタ41は、インダクタ10A,キャパシタ11Aにそれぞれ対応する。
【0106】
図36は、
図35のバンドパスフィルタ600の通過特性を示す図である。
図36に示されるように、通過帯域よりも低い周波数f61,f62(>f61),f63(>f62)において減衰極が生じ、通過帯域よりも高い周波数f64,f65(>f64),f66(>f65)において減衰極が生じている。
【0107】
なお、複数の誘電体層の積層体として形成されたバンドパスフィルタにおいて生じる容量結合が
図35に示される容量結合に限定されないことは、実施の形態4,5と同様である。
【0108】
以上、実施の形態6に係るLCフィルタによれば、LCフィルタの特性を改善しながら、LCフィルタの大型化を抑制することができるとともに、LCフィルタの設計の自由度を向上させることができる。
【0109】
今回開示された各実施の形態は、矛盾しない範囲で適宜組み合わされて実施されることも予定されている。今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0110】
1~5,1A,1B,9B LC共振器、9A,91~94 LC並列共振器、10,10A,20,30,40,50,LG インダクタ、11,11A,12,12A,13A,21,22,31,32,41,42,51,52,C12~C15,C23,C25,C30,C34,C45,Cio1,Cio2,Cio3,Cio4 キャパシタ、101,211,221,311,321,331,341,911,921 線路電極、102,103,212,213,222,223,301,302,312~314,322,323,332,333,342~344,903,912,922 平面電極、104,204,304,904 接地電極、111,112,131,132,133,134,231,232,241,242,251,252,261~263,271,272,334~336,351,352,361,362,371~374,381,382,931,932,941,942,950,961~963,970 ビア導体、180,280,380 積層体、200,200A,300,300A,400,400A,500,500A,600,900 バンドパスフィルタ、G1~G3 接地端子、GND 接地点、M12,M23,M34,M45 磁気結合、P10~P12,P21,P22,P31,P32,P61,P62 入出力端子。