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特許7559827情報処理装置、情報処理方法、及び、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 1/00 20060101AFI20240925BHJP
【FI】
G06T1/00 310Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022553391
(86)(22)【出願日】2020-10-02
(86)【国際出願番号】 JP2020037523
(87)【国際公開番号】W WO2022070401
(87)【国際公開日】2022-04-07
【審査請求日】2023-03-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107331
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 聡延
(74)【代理人】
【識別番号】100104765
【弁理士】
【氏名又は名称】江上 達夫
(74)【代理人】
【識別番号】100131015
【弁理士】
【氏名又は名称】三輪 浩誉
(72)【発明者】
【氏名】森下 雄介
【審査官】花田 尚樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-322381(JP,A)
【文献】特開2002-056439(JP,A)
【文献】特開2019-133353(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 1/00 - 1/40
3/00 - 5/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明光を照射した状態で証明書を撮影し、撮影画像を生成する撮影手段と、
前記撮影画像から前記証明書の券面の位置を特定する券面位置特定手段と、
前記券面の領域うち輝度値が閾値以上である領域を反射領域として抽出する反射領域抽出手段と、
前記反射領域内の各画素の輝度値の平均及び前記反射領域の面積の少なくとも一方に基づいて、前記証明書の真贋を判定する判定手段と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記判定手段は、前記反射領域の形状又はテクスチャーに基づいて、前記証明書の真贋を判定する請求項に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記判定手段は、前記反射領域が、前記撮影画像における所定範囲内にあるか否かに基づいて、前記証明書の真贋を判定する請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記判定手段は、前記証明書の表面における光学的パターンに基づいて、前記証明書の真贋を判定する請求項1乃至のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記判定手段は、前記証明書の表面における前記光学的パターンの有無に基づいて、前記証明書の真贋を判定する請求項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記判定手段は、前記光学的パターンが所定のパターンと一致するか否かに基づいて、前記証明書の真贋を判定する請求項又はに記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記情報処理装置は、加速度センサを備え、
前記撮影手段は、前記証明書の撮影時における前記加速度センサの出力値を出力し、
前記判定手段は、前記撮影画像に基づいて、前記証明書に対する前記撮影手段の撮影方向の傾きである第1の傾きを計算し、前記加速度センサの出力値を用いて、前記証明書に対する前記撮影手段の撮影方向の傾きである第2の傾きを計算し、前記第1の傾きと前記第2の傾きとを比較して、前記証明書の真贋を判定する請求項1乃至6のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
コンピュータにより実行される情報処理方法であって、
照明光を照射した状態で証明書を撮影し、撮影画像を生成し、
前記撮影画像から前記証明書の券面の位置を特定し、
前記券面の領域うち輝度値が閾値以上である領域を反射領域として抽出し、
前記反射領域内の各画素の輝度値の平均及び前記反射領域の面積の少なくとも一方に基づいて、前記証明書の真贋を判定する情報処理方法。
【請求項9】
照明光を照射した状態で証明書を撮影し、撮影画像を生成し、
前記撮影画像から前記証明書の券面の位置を特定し、
前記券面の領域うち輝度値が閾値以上である領域を反射領域として抽出し、
前記反射領域内の各画素の輝度値の平均及び前記反射領域の面積の少なくとも一方に基づいて、前記証明書の真贋を判定する処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、証明書を電子化する際の真贋判定に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、運転免許証やパスポートなどの顔写真を含む公的証明書が紙媒体からデジタルデータへと徐々に置き換わりつつある。公的証明書のデジタル化に伴い、デジタル化する公的証明書が本物であること、即ち、偽造されたものでないことを確認する必要がある。特許文献1は、運転免許証の画像データからOCR処理により文字・記号等を認識し、認識した文字・記号等が所定のルールに適合するか否かにより証明書の真贋判定を行う手法を記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-120570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の手法では、証明書の画像データから抽出された文字・記号等に基づいて証明書の真贋判定を行うため、例えば、証明書のカラーコピーや、証明書の撮影画像を別の端末装置に表示したものを用いた場合でも、抽出された文字・記号等が適合すれば本物と判定されてしまう。
【0005】
本発明の1つの目的は、証明書に含まれる情報が一致する場合でも、証明書の真贋を判定することが可能な情報処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの観点は、情報処理装置であって、
照明光を照射した状態で証明書を撮影し、撮影画像を生成する撮影手段と、
前記撮影画像から前記証明書の券面の位置を特定する券面位置特定手段と、
前記券面の領域うち輝度値が閾値以上である領域を反射領域として抽出する反射領域抽出手段と、
前記反射領域内の各画素の輝度値の平均及び前記反射領域の面積の少なくとも一方に基づいて、前記証明書の真贋を判定する判定手段と、を備える。
【0007】
本発明の他の観点は、コンピュータにより実行される情報処理方法であって、
照明光を照射した状態で証明書を撮影し、撮影画像を生成し、
前記撮影画像から前記証明書の券面の位置を特定し、
前記券面の領域うち輝度値が閾値以上である領域を反射領域として抽出し、
前記反射領域内の各画素の輝度値の平均及び前記反射領域の面積の少なくとも一方に基づいて、前記証明書の真贋を判定する。
【0008】
本発明の他の観点は、プログラムであって、
照明光を照射した状態で証明書を撮影し、撮影画像を生成し、
前記撮影画像から前記証明書の券面の位置を特定し、
前記券面の領域うち輝度値が閾値以上である領域を反射領域として抽出し、
前記反射領域内の各画素の輝度値の平均及び前記反射領域の面積の少なくとも一方に基づいて、前記証明書の真贋を判定する処理をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、証明書に含まれる情報が一致する場合でも、証明書の真贋を判定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】端末装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図2】第1実施形態に係る端末装置の機能構成を示すブロック図である。
図3】撮影画像の例を示す。
図4】撮影画像の例を示す。
図5】第1実施形態による証明書電子化処理のフローチャートである。
図6】第2実施形態に係る端末装置の機能構成を示すブロック図である。
図7】ホログラムパターンの例を模式的に示す。
図8】第2実施形態による証明書電子化処理のフローチャートである。
図9】第3実施形態に係る端末装置の構成を示す。
図10】証明書画像を撮影する様子を示す。
図11】顔画像を撮影する様子を示す。
図12】証明書画像を表示する際の認証方法の例を示す。
図13】表示情報を選択する例を示す。
図14】登録された証明書画像の全体を表示した例を示す。
図15】第4実施形態に係る情報処理装置の機能構成を示すブロック図である。
図16】第4実施形態による情報処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。
<基本原理>
以下の実施形態では、運転免許証やパスポートなどの紙媒体の公的証明書をユーザが自分のスマートフォンやタブレット端末など(以下、「端末装置」と呼ぶ。)で撮影し、端末装置にインストールされた公的証明書アプリケーションなどに登録する状況を想定する。
【0012】
悪意あるユーザは、他人の公的証明書のカラーコピーを入手し、自身の端末装置で撮影して登録を試みることが考えられる。また、別の方法として、悪意あるユーザは、他人の公的証明書の画像データを入手し、それをタブレット端末などに電子的に表示し、その表示画像を自身の端末装置で撮影して登録を試みることが考えられる。これらの場合、入手したカラーコピーや画像データに含まれる情報は、本物の証明書と同一であるので、証明書の画像データから得られる情報に基づいて真贋を判定することはできない。
【0013】
そこで、以下の実施形態では、端末装置で撮影した画像における証明書の映り方に基づいて、撮影された証明書が本物であるか偽物であるかを判定する。即ち、登録に用いる端末装置で本物の証明書を撮影した場合と、カラーコピーや別の端末上の表示画像を撮影した場合とで、撮影画像における証明書の映り方に違いが表れることに注目して、証明書の真贋を判定する。
【0014】
<第1実施形態>
次に、第1実施形態に係る端末装置について説明する。
【0015】
[ハードウェア構成]
図1は、端末装置のハードウェア構成を示すブロック図である。端末装置100は、ユーザの端末装置により構成され、プロセッサ12と、メモリ13と、カメラ14と、ライト15と、記録媒体16と、データベース(DB)17と、表示部18と、入力部19とを備える。
【0016】
プロセッサ12は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)などのコンピュータであり、予め用意されたプログラムを実行することにより、端末装置100の全体を制御する。特に、プロセッサ12は、後述する証明書電子化処理を行う。
【0017】
メモリ13は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などにより構成される。メモリ13は、プロセッサ12により実行される各種のプログラムを記憶する。また、メモリ13は、プロセッサ12による各種の処理の実行中に作業メモリとしても使用される。
【0018】
カメラ14は、端末装置に設けられたカメラであり、電子化の対象となる証明書の撮影画像を生成する。ライト15は、端末装置に設けられているフラッシュライトなどであり、撮影時に証明書を照明するために使用される。
【0019】
記録媒体16は、ディスク状記録媒体、半導体メモリなどの不揮発性で非一時的な記録媒体であり、端末装置100に対して着脱可能に構成される。記録媒体16は、プロセッサ12が実行する各種のプログラムを記録している。
【0020】
DB17は、カメラ14が生成した証明書の撮影画像を記憶する。また、DB17には、端末装置100により本物と判定された証明書のデジタルデータが記憶される。表示部18は、端末装置に設けられた液晶パネルなどであり、カメラ14が撮影した証明書の撮影画像や、証明書を端末装置に登録するための操作画面などを表示する。入力部19は、端末装置に設けられたボタンや、表示部18と一体化されたタッチパネルなどである。入力部19に対しては、証明書電子化処理の実行時にユーザにより必要な指示、入力が行われる。
【0021】
[機能構成]
図2は、第1実施形態に係る端末装置100の機能構成を示すブロック図である。端末装置100は、機能的には、画像撮影部21と、券面位置特定部22と、反射領域抽出部23と、判定部24と、登録部25とを備える。
【0022】
画像撮影部21は、ユーザの指示に基づいてカメラ14やライト15を制御して、証明書を撮影する。なお、第1実施形態では、画像撮影部21は、ライト15を駆動し、証明書に照明光を当てた状態で撮影を行うものとする。図3(A)は、撮影画像の例を示す。撮影画像90は、その一部に証明書の券面91を含んでいる。詳細は後述するが、図3(A)に示す撮影画像90は、照明光を照射した状態で撮影した画像であり、照明光の反射光92が写っている。画像撮影部21は、撮影画像90を券面位置特定部22へ出力する。
【0023】
券面位置特定部22は、証明書の撮影画像90から、証明書の券面の位置を特定する。券面とは、証明書の表面又は裏面である。券面位置特定部22は、撮影画像90に対して画像認識処理を行い、図3(B)に示すように撮影画像から証明書の券面91の位置を抽出する。具体的には、券面位置特定部22は、テンプレートマッチングや、局所特徴量(Scale-Invariant Feature Transformアルゴリズムなど)を用いて証明書の券面91の位置を特定する。例えば、前処理として、予め証明書のテンプレートを用意し、そのテンプレートから局所特徴量を抽出する。次に、抽出された局所特徴量のうち、氏名、住所、顔写真など、券面の中で情報が固定的でない領域を除外しておく。即ち、証明書のうち、万人に共通する領域の局所特徴量をテンプレートの局所特徴量として用意しておく。実際の処理時には、券面位置特定部22は、撮影画像から局所特徴量を抽出し、テンプレートの局所特徴量と照合し、撮影画像における券面91の位置を特定する。この際、テンプレートの局所特徴量からは氏名、顔写真などの局所特徴量が除外されているので、券面位置特定部22は、券面91の位置を精度よく特定することができる。券面位置特定部22は、特定された券面91の位置を反射領域抽出部23へ出力する。
【0024】
反射領域抽出部23は、券面91の範囲内に存在する反射光92を抽出する。具体的に、反射領域抽出部23は、図3(C)に示すように、券面91の領域の画像を所定の閾値で2値化し、輝度値が閾値以上である領域を反射光92と判定する。そして、反射領域抽出部23は、反射光92の領域、即ち、輝度が閾値以上である領域を、図3(D)に示すように円や楕円などで近似し、反射領域93として抽出する。反射領域抽出部23は、輪郭抽出、外接矩形抽出などの画像処理の手法を用いて、反射光92の輪郭を抽出することができる。反射領域抽出部23は、抽出した反射領域93を判定部24へ出力する。なお、反射領域抽出部23は、券面91の領域内で反射領域93を抽出するので、撮影画像における券面91の領域外、例えば、撮影時に証明書を置いた机などによる反射光を除外することができる。
【0025】
判定部24は、撮影画像に含まれる反射光92の映り方に基づいて、撮影した証明書の真贋を判定し、判定結果を登録部25へ出力する。具体的に、判定部24は、以下のいずれかの方法で証明書の真贋を判定する。
【0026】
(方法1-1)反射光の強さを用いる方法
判定部24は、反射領域93内の各画素の輝度値の平均を、所定の閾値と比較することにより証明書の真贋を判定する。図4は、照明光下で撮影した証明書の撮影画像と反射光との関係を示す。図4(A)は、本物の運転免許証の撮影画像であり、図4(B)は運転免許証の画像をタブレットなどに表示したものを撮影した画像であり、図4(C)は運転免許証のカラーコピーの撮影画像である。本物の運転免許証は表面にある程度の光沢があるため、図4(A)に示すように、撮影画像に照明光の反射光92が映り込む。タブレットなどの表示面は滑らかで反射性が高いため、運転免許証の撮影画像をタブレットなどに表示した場合、図4(B)に示すように、反射光92は本物の証明書の場合よりも明るく、大きく映り込む。一方、使用する用紙にもよるが、一般的な用紙の表面はざらざらで反射は少ないので、図4(C)に示すように、カラーコピーの撮影画像には反射光は表れないか、表れたとしてもかなり小さいものとなる。
【0027】
判定部24は、反射領域93内の平均輝度値Iを算出し、所定の閾値ThI1及びThI2と比較する。事前の実験などにより、本物の証明書の平均輝度値Iが、ThI1<I<ThI2となるように閾値ThI1、ThI2が予め決定される。判定部24は、撮影画像から算出した平均輝度値IがThI1<I<ThI2である場合、撮影された証明書は本物であると判定する。判定部24は、平均輝度値IがI≦ThI1である場合、反射光が暗すぎるため、撮影された証明書はカラーコピーなどの偽物であると判定する。また、判定部24は、平均輝度値IがI≧ThI2である場合、反射光が明るすぎるため、撮影された証明書はタブレットなどに表示した画像などの偽物であると判定する。こうして、判定部24は、反射光の強さを用いて証明書の真贋を判定することができる。なお、上記の例では、判定部24は反射領域93内の画素の平均輝度値Iを用いているが、その代わりに、最大値、最小値、中央値などの他の統計値を用いてもよい。なお、他の統計値を使用する場合には、それに応じて閾値ThI1、ThI2を調整すればよい。
【0028】
(方法1-2)反射領域の面積を用いる方法
判定部24は、反射領域93の面積を用いて証明書の真贋判定を行うことができる。図4を参照して説明したように、本物の証明書の反射領域93と比較して、タブレットなどに表示した証明書画像の反射領域93は大きく、証明書のカラーコピーの反射領域93は小さい。よって、事前の実験などにより、本物の証明書の反射領域93の面積Sが、ThA1<S<ThA2となるように閾値ThA1とThA2を決定しておく。実際の判定時には、判定部24は、撮影画像から算出した反射領域93の面積SがThA1<S<ThA2である場合、撮影された証明書は本物であると判定する。判定部24は、反射領域93の面積SがS≦ThA1である場合、撮影された証明書はカラーコピーなどの偽物であると判定する。また、判定部24は、反射領域93の面積SがS≧ThA2である場合、撮影された証明書はタブレットなどに表示した画像などの偽物であると判定する。こうして、判定部24は、反射領域93の面積を用いて、証明書の真贋を判定することができる。
【0029】
(方法1-3)反射光の形状、テクスチャーなどを用いる方法
証明書が本物である場合と、タブレットなどに表示した画像である場合とでは、抽出される反射光の形状やテクスチャーが異なる。図4(A)に示すように、撮影した証明書が本物の証明書である場合、反射光92は外周にギザギザや輝度のばらつきなどが表れる傾向がある。これに対し、撮影した証明書がタブレットに表示した画像である場合、図4(B)に示すように、反射光92の外周にはギザギザや輝度のばらつきが少なく、円や楕円に近い外形となる。よって、判定部24は、反射光92の形状やテクスチャーに基づいて、撮影した証明書の真贋を判定することができる。
【0030】
(方法1-4)反射光の位置を用いる方法
撮影画像における券面91の外形は、証明書に対するカメラ14の撮影方向の傾きに依存して変化する。証明書の券面91に正対する方向からカメラ14で撮影した場合、券面91の外形は矩形(長方形)となる。一方、証明書の券面91に対して3次元的に斜めの方向からカメラ14で撮影した場合、撮影画像における券面91の外形は台形やひし形などの歪んだ形状となる。よって、撮影画像における券面91の外形に基づいて、証明書に対するカメラ14の撮影方向の3次元的な傾きを計算することができる。また、スマートフォンなどの端末装置において、カメラ14とライト15はそれぞれ固定位置に設けられているので、カメラ14による撮影方向と、ライト15による照明光の方向との3次元的な位置関係はスマートフォンごとに既知である。よって、例えばスマートフォンの型式などに対応付けて、カメラ14による撮影方向と、ライト15による照明光の方向との3次元的な位置関係を予め記憶しておく。
【0031】
判定部24は、証明書に対するカメラ14の撮影方向と、カメラ14による撮影方向とライト15による照明光の方向との位置関係とに基づいて、カメラ14で本物の証明書を撮影した場合に反射光92が証明書の券面91内のどの位置に表れるかを予測し、反射光92が表れると予測される範囲(以下、「予測範囲」と呼ぶ。)を計算することができる。そして、判定部24は、実際の撮影画像における反射光92の位置が上記の予測範囲に属する場合には、撮影された証明書は本物であると判定し、予測範囲に属しない場合には、撮影された証明書は偽物であると判定する。これにより、判定部24は、実際に本物の証明書を撮影した場合に起こりえないような位置に反射光92がある場合、証明書が偽物であると判定することができる。
【0032】
(方法1-5)上記の方法の組み合わせ
判定部24は、上記の方法1-1~1-4のうちの2つ以上の組み合わせを用いて、証明書の真贋を判定してもよい。この場合、判定部24は、上記の方法1-1~1-4のうちの2つ以上の方法で証明書の真贋を判定し、それらの判定結果を統合して最終的な判定結果とすればよい。例えば、判定部24は、全ての方法による判定結果が一致した場合、それを最終的な判定結果としてもよい。また、判定部24は、複数の方法による判定結果の多数決により最終的な判定結果を決定してもよい。
【0033】
(方法1-6)複数の撮影画像を使用する方法
画像撮影部21により証明書を異なる方向から撮影して複数の撮影画像を生成すれば、判定部24は複数の撮影画像を用いて証明書の真贋を判定することができる。この場合、判定部24は、各撮影画像について上記の方法1-1~1-4のいずれかの方法で証明書の真贋を判定し、その判定結果を統合して最終的な判定結果とすればよい。例えば、判定部24は、2枚の撮影画像の判定結果がともに本物であることを示す場合に、その証明書を本物と判定してもよい。また、判定部24は、複数の撮影画像の判定結果の多数決により、最終的な判定結果を決定してもよい。なお、画像撮影部21は、証明書に対するカメラ14の方向を変化させながら証明書の動画を撮影し、その動画を構成する複数のフレーム画像を抽出して撮影画像として使用してもよい。
【0034】
また、複数の撮影画像を使用する場合には、1枚を照明光ありで撮影し、もう1枚を照明光無しで、または1枚目よりも小さい輝度値を持った照明光を当てて撮影してもよい。この場合、判定部24は、照明光ありの場合と照明光無し、または1枚目よりも小さい輝度値を持った照明光の場合で、反射光の強さが変化しているか否かを判定する。照明光ありの場合と照明光無し、または1枚目よりも小さい輝度値を持った照明光の場合で反射光の強さに大きな差が無い場合や、照明光無しで撮影したのに反射光が写っている場合には、判定部24は、実際に撮影されていない可能性があるとして、その証明書を偽物と判定することができる。
【0035】
さらに、複数の撮影画像を撮影する場合には、判定部24は、各撮影時の間に証明書がカメラ14の撮像範囲内にあるかどうかを判定してもよい。各撮影時の間に証明書の一部または全体が撮像範囲内に存在しない場合、判定部24は、複数の証明書画像を用意して差し替えている可能性があるとして、その証明書を偽物と判定することができる。
【0036】
図2に戻り、登録部25は、判定部24により本物であると判定された証明書の撮影画像をDB17に登録する。これにより、本物と判定された証明書のデジタルデータが端末装置100に登録される。なお、登録部25は、本物と判定された証明書の撮影画像そのものをDB17に登録する代わりに、撮影画像からユーザに関連する情報を抽出し、抽出した情報をDB17に登録してもよい。例えば、証明書が運転免許証である場合、登録部25は、撮影画像から、氏名、住所、有効期限、運転免許番号、顔画像など、そのユーザに固有の情報を抽出し、DB17に登録してもよい。この場合、登録された証明書の情報を表示部18に表示する際には、端末装置100は、DB17から上記の登録情報を読み出し、運転免許証のテンプレートにおける対応箇所に挿入して疑似的な運転免許証の画像を生成して表示すればよい。
【0037】
[証明書電子化処理]
図5は、第1実施形態の端末装置100による証明書電子化処理のフローチャートである。この処理は、図1に示すプロセッサ12が、予め用意されたプログラムを実行し、図2に示す各要素として動作することにより実現される。
【0038】
まず、画像撮影部21は、ユーザの撮影指示に基づき、カメラ14及びライト15を制御して証明書を撮影し、撮影画像を生成する(ステップS21)。次に、券面位置特定部22は、証明書の撮影画像に対して画像認識処理を行い、証明書の券面91の位置を特定する(ステップS22)。次に、反射領域抽出部23は、証明書の券面91の領域内で、撮影画像の輝度値に基づいて反射領域を抽出する(ステップS23)。
【0039】
次に、判定部24は、反射領域に基づいて、上記の方法1-1~1-6のいずれかの方法により、撮影された証明書の真贋を判定する(ステップS24)。そして、登録部25は、判定部24により本物と判定された証明書の撮影画像をDB17に登録する(ステップS25)。そして、証明書電子化処理は終了する。
【0040】
[変形例]
次に、第1実施形態の変形例について説明する。以下の変形例は、適宜組み合わせて適用することができる。
(変形例1-1)
上記の実施形態では、登録部25は、本物と判定された証明書の画像をデジタル証明書としてDB17に登録する。この際、登録部25は、撮影画像に対して画像処理を行い、証明書の画像を正面から撮影したような画像に補正してからDB17に登録してもよい。方法1-4で説明したように、判定部24は、撮影画像における券面91の外形に基づいて、証明書に対するカメラ14の撮影方向の3次元的な傾きを計算することができる。通常、ユーザが端末装置100で証明書を撮影する場合、証明書に対してカメラ14を完全に正対させて撮影することは難しく、撮影画像は斜め方向からの撮影画像になることが多い。そこで、登録部25は、DB17に登録する際には、券面91の外形が矩形になるように撮影画像を補正し、DB17に撮影画像する。これにより、その後にデジタル証明書として使用する際には、歪のない矩形の証明書の画像を表示することができる。
【0041】
(変形例1-2)
ユーザが端末装置100のカメラ14で証明書の画像を撮影する場合、ユーザが操作しやすいように、ガイド情報を提示してもよい。証明書に対するカメラ14の角度によっては、反射光が撮影画像に写らない場合があるため、撮影時には証明書に対して適切な角度に端末装置100を傾ける必要がある。そこで、端末装置100は、前述のように、撮影画像における券面91の外形に基づいて、証明書に対するカメラ14の撮影方向の3次元的な傾きを計算し、カメラ14の角度を適切な角度に誘導するように案内情報を出力する。例えば、端末装置100は、表示部18にカメラ14を傾けるべき方向を示す矢印などを表示してもよい。また、端末装置100は、「もう少し右へ傾けて下さい。」などのメッセージを表示部18に表示したり、音声で出力したりしてもよい。
【0042】
(変形例1-3)
端末装置100としてスマートフォンなどを使用する場合、加速度センサの情報を利用してもよい。加速度センサの出力を使用することにより、ユーザが本当に撮影を行っているか否かを判定することができる。例えば、証明書を水平な机などの上に置いて上方から撮影することを前提とする。前述のように、端末装置100は、撮影画像における券面91の外形に基づいて、証明書に対するカメラ14の撮影方向の3次元的な傾きを計算することができる。一方、端末装置の加速度センサの出力から端末装置の傾きを検出することができる。よって、端末装置100は、撮影画像から計算した端末装置の傾きと、加速度センサの出力から計算した端末装置の傾きとを比較し、それらが所定の範囲内にない場合には、実際に撮影が行われていない可能性があると判断し、その証明書を偽物と判定したり、電子化処理自体を中止したりすることができる。
【0043】
また、証明書を水平な位置に置くことを前提とする代わりに、証明書を異なる2つの方向から撮影してもよい。この場合、端末装置100は、第1の撮影画像と第2の撮影画像のそれぞれから証明書に対する端末装置の傾きを算出し、その差を計算する。また、端末装置100は、第1の撮影画像と第2の撮影画像の撮影時の加速度センサの出力から、端末装置の傾きをそれぞれを計算し、その差を計算する。そして、端末装置100は、撮影画像から計算した端末装置の傾きの差と、加速度センサの出力から計算した端末装置の傾きの差を比較し、それらが所定の範囲内にない場合には、実際に撮影が行われていない可能性があると判断し、その証明書を偽物と判定したり、電子化処理自体を中止したりすることができる。
【0044】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態に係る端末装置について説明する。第2実施形態では、証明書に設けられたホログラムパターンの映り方に基づいて、証明書の真贋を判定する。なお、以下の説明では、ホログラムパターンの例について説明するが、ホログラム以外の技術を使用した光学的パターンについても第2実施形態を同様に適用することができる。
【0045】
[ハードウェア構成]
第2実施形態に係る端末装置のハードウェア構成は、図1に示す第1実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0046】
[機能構成]
図6は、第2実施形態に係る端末装置200の機能構成を示すブロック図である。端末装置200は、画像撮影部31と、券面位置特定部32と、ホログラムパターン抽出部33と、判定部34と、登録部35とを備える。ここで、画像撮影部31、券面位置特定部32及び登録部35は、基本的に第1実施形態の画像撮影部21、券面位置特定部22及び登録部25とそれぞれ同様であるので、説明を省略する。
【0047】
ホログラムパターン抽出部33は、証明書の撮影画像90において、券面91の範囲内に存在するホログラムパターンを抽出する。図7は、ホログラムパターンの例を模式的に示す。パスポートなどの証明書には、ホログラムパターンが形成されている。通常、ホログラムパターンは、ユーザが見る角度によって位置、パターン(形状)、色などが異なるように形成されている。図7の例では、ユーザがある角度から見ると、顔画像95aに示すように、1つのホログラムパターン96aと、2つのホログラムパターン96bが見える。また、ユーザが別の角度から見ると、顔画像95bに示すように、1つのホログラムパターン96aと、2つのホログラムパターン96cが見える。ホログラムパターン抽出部33は、画像撮影部31が生成した証明書の撮影画像90から、その撮影画像90に写っているホログラムパターンを抽出し、判定部34へ出力する。
【0048】
判定部34は、証明書の券面上におけるホログラムパターンの映り方に基づいて、撮影した証明書の真贋を判定し、判定結果を登録部35へ出力する。具体的に、判定部34は、以下の方法で証明書の真贋を判定する。
【0049】
(方法2-1)ホログラムパターンの有無を用いる方法
判定部34は、ホログラムパターンの有無に基づいて、証明書の真贋を判定することができる。本物の証明書にはホログラムパターンが存在するので、判定部34は、撮影画像の券面91にホログラムパターンが存在しない場合、その証明書を偽物と判定することができる。
【0050】
(方法2-2)ホログラムパターンの種類を用いる方法
証明書によっては、使用するホログラムパターンが予め決められている場合がある。この場合、判定部34は、撮影画像から抽出されたホログラムパターンが予め決められたホログラムパターンと一致するか否かにより、証明書の真贋を判定することができる。例えば、ある証明書においては、図7に例示する3つのホログラムパターン96a~96cを使用すると決まっているとする。この場合、判定部34は、撮影画像90にホログラムパターン96a~96c以外のホログラムパターンが含まれている場合、その証明書を偽物と判定することができる。
【0051】
また、証明書において使用しなければならない複数のホログラムパターンが予め決められている場合もありうる。例えば、ある証明書においては、図7に例示する3つのホログラムパターン96a~96cの全てを少なくとも1つずつ使用しなければならないと決められているとする。この場合、判定部34は、撮影画像から抽出された複数のホログラムパターンが、3つのホログラムパターン96a~96cの全てを含んでいる場合にその証明書を本物と判定し、1つでも欠けている場合には、その証明書を偽物と判定する。
【0052】
さらに、証明書において使用するホログラムパターンの種類及び位置が予め決められている場合もありうる。例えば、ある証明書においては、図7に例示するホログラムパターン96aを顔画像における顔の左側に設け、ホログラムパターン96bを顔の右側に設けることがルールとして決められているとする。この場合、判定部34は、撮影画像から抽出されたホログラムパターンが上記のルールに合致している場合にその証明書を本物と判定し、上記のルールに合致していない場合にその証明書を偽物と判定する。
【0053】
なお、判定部34は、例えば上記の局所特徴量(SIFTなど)を用いて、特徴量同士の一致度を求めることにより、ホログラムの種類が一致するか否かを判定することができる。また、上記のようにホログラムパターンの種類、使用すべきホログラムパターンの数、ホログラムパターンを設ける位置などがルールとして予め決められている場合には、それらのルールを示す情報を図1に示すDB17にホログラムパターン情報として記憶しておけばよい。
【0054】
(方法2-3)ホログラムパターンの位置を用いる方法
第1実施形態における方法1-4(反射光の位置を用いる方法)と同様に、判定部34は、ホログラムパターンが券面91の所定範囲内にあるか否かに基づいて、証明書の真贋を判定してもよい。具体的には、判定部24は、証明書に対するカメラ14の撮影方向に基づいて、カメラ14で本物の証明書を撮影している場合に、ホログラムパターン96が証明書の券面91内のどの位置に表れるかを予測し、ホログラムパターン96が表れると予測される予測範囲を計算することができる。そして、判定部24は、実際の撮影画像におけるホログラムパターン96の位置が上記の予測範囲に属する場合には、撮影された証明書は本物であると判定し、予測範囲に属しない場合には、撮影された証明書は偽物であると判定する。
【0055】
(方法2-4)上記の方法の組み合わせ
判定部34は、上記の方法2-1~2-3のうちの2つ以上の組み合わせを用いて、証明書の真贋を判定してもよい。この場合、判定部34は、上記の方法2-1~2-3のうちの2つ以上の方法で証明書の真贋を判定し、それらの判定結果を統合して最終的な判定結果とすればよい。この場合、判定部34は、全ての方法による判定結果が一致した場合、それを最終的な判定結果としてもよい。また、判定部34は、複数の方法による判定結果の多数決により最終的な判定結果を決定してもよい。
【0056】
(方法2-5)複数の撮影画像を使用する方法
画像撮影部21により証明書を異なる方向から撮影して複数の撮影画像を生成すれば、判定部34は複数の撮影画像を用いて証明書の真贋を判定することができる。この場合、判定部34は、各撮影画像について上記の方法2-1~2-3のいずれかの方法で証明書の真贋を判定し、その判定結果を統合して最終的な判定結果とすればよい。例えば、判定部34は、2枚の撮影画像の判定結果がともに本物であることを示す場合に、その証明書を本物と判定してもよい。また、判定部34は、複数の撮影画像の判定結果の多数決により、最終的な判定結果を決定してもよい。
【0057】
なお、画像撮影部31は、証明書に対するカメラ14の方向を変化させながら証明書の動画を撮影し、その動画を構成する複数のフレーム画像を抽出して撮影画像として使用してもよい。ホログラムパターンを用いる場合、前述のように証明書を見る角度に応じてホログラムパターンの種類、位置、色などが変化するという特性があるので、異なる角度から撮影した複数の撮影画像を用いて判定を行う手法は特に有効である。
【0058】
[証明書電子化処理]
図8は、第2実施形態の端末装置200による証明書電子化処理のフローチャートである。この処理は、図1に示すプロセッサ12が、予め用意されたプログラムを実行し、図2に示す各要素として動作することにより実現される。
【0059】
まず、画像撮影部31は、ユーザの撮影指示に基づき、カメラ14を制御して証明書を撮影し、撮影画像を生成する(ステップS31)。次に、券面位置特定部32は、証明書の撮影画像に対して画像認識処理を行い、証明書の券面91の位置を特定する(ステップS32)。次に、ホログラムパターン抽出部33は、証明書の券面91の領域内で、局所特徴量などを用いてホログラムパターンを抽出する(ステップS33)。
【0060】
次に、判定部34は、抽出されたホログラムパターンに基づいて、上記の方法2-1~2-5のいずれかの方法により、撮影された証明書の真贋を判定する(ステップS34)。そして、登録部35は、判定部34により本物と判定された証明書の撮影画像をDB17に登録する(ステップS35)。そして、証明書電子化処理は終了する。
【0061】
[変形例]
次に、第2実施形態の変形例について説明する。以下の変形例は、適宜組み合わせて適用することができる。
(変形例2-1)
第1実施形態の変形例1-1と同様に、登録部35は、本物と判定された証明書の画像をデジタル証明書としてDB17に登録する際、撮影画像に対して画像処理を行い、証明書の画像を正面から撮影したような画像に補正してからDB17に登録してもよい。第2実施形態において、ホログラムパターンを抽出する場合などには、意図的にカメラ14を傾けて撮影することがあり、その場合の撮影画像は斜め方向からの撮影画像になる。そこで、登録部35は、DB17に登録する際には、券面91の外形が矩形になるように撮影画像を補正し、DB17に撮影画像する。これにより、その後にデジタル証明書として使用する際には、歪のない矩形の証明書の画像を表示することができる。
【0062】
(変形例2-2)
第1実施形態の変形例1-2と同様に、ユーザが端末装置200のカメラ14で証明書の画像を撮影する場合、ユーザが操作しやすいように、ガイド情報を提示してもよい。証明書に対するカメラ14の角度によっては、ホログラムパターンが撮影画像に写らない場合があるため、撮影時には証明書に対して適切な角度に端末装置200を傾ける必要がある。そこで、端末装置200は、前述のように、撮影画像における券面91の外形に基づいて、証明書に対するカメラ14の撮影方向の3次元的な傾きを計算し、カメラ14の角度を適切な角度に誘導するように案内情報を出力する。例えば、端末装置200は、表示部18にカメラ14を傾けるべき方向を示す矢印などを表示してもよい。また、端末装置200は、「もう少し右へ傾けて下さい。」などのメッセージを表示部18に表示したり、音声で出力したりしてもよい。この方法によれば、例えば、証明書に対して特定の角度から見た場合に視認できるようにホログラムパターンが設けられているような場合に、その特定の角度からの撮影を促すようにユーザを誘導することができる。
【0063】
(変形例2-3)
第1実施形態の変形例1-3の手法を第2実施形態に適用してもよい。即ち、端末装置200としてスマートフォンなどを使用する場合、加速度センサの情報を利用する。加速度センサの出力を使用することにより、ユーザが本当に撮影を行っているか否かを判定することができる。
【0064】
(変形例2-4)
第1実施形態の反射光を用いる方法と、第2実施形態のホログラムパターンを用いる方法を組み合わせて実施してもよい。この場合、端末装置は、ライト15を用いて照明光を照射した状態で証明書を撮影し、撮影画像に含まれる反射光とホログラムパターンを用いて証明書の真贋を判定すればよい。
【0065】
<第3実施形態>
次に、第3実施形態について説明する。第3実施形態は、本発明に係る端末装置を運転免許証の登録に適用したものである。なお、本実施形態では、証明書の登録の際に、登録作業を行う者(以下、「作業者」と呼ぶ。)の顔認証を併用する。図9は、第3実施形態に係る端末装置60の構成を示す。なお、端末装置60は、基本的には図1に示す第1実施形態と同様のハードウェア構成を備える。
【0066】
[構成]
端末装置60は、証明書撮影部61と、顔画像撮影部62と、登録部63と、記憶部64と、表示制御部65と、表示部66とを備える。証明書撮影部61は、カメラなどにより証明書である運転免許証を撮影する。証明書撮影部61は、撮影により生成した証明書画像を登録部63へ出力する。顔画像撮影部62は、カメラなどにより、証明書の登録作業を行う作業者の顔画像を撮影し、登録部63へ出力する。
【0067】
登録部63は、証明書撮影部61が生成した証明書画像を用いて、第1又は第2実施形態の方法で証明書の真贋を判定する。さらに、登録部63は、証明書画像から顔画像を取得し、顔画像撮影部62が生成した顔画像と照合して、作業者が証明書の所有者であるか否かを判定する。そして、登録部63は、証明書画像に基づいて証明書に改ざんが無いと判定し、かつ、顔画像に基づいて作業者が証明書の所有者と同一人物であると判定した場合に、証明書画像を記憶部64に登録する。
【0068】
証明書画像が記憶部64に登録された後、表示制御部65は、ユーザの操作に応じて、記憶部64に登録された証明書画像を表示部66に表示する。なお、表示部66はタッチパネルなどにより構成され、入力部としても機能する。
【0069】
[登録方法]
次に、証明書画像を登録する方法について具体的に説明する。まず、作業者は、証明書画像を撮影する。図10は、証明書画像を撮影する様子を示す。図示のように、作業者が端末装置60のカメラを操作することにより、証明書撮影部61は運転免許証である証明書を撮影する。この場合の1つの例では、作業者が登録用アプリを起動し、撮影ボタンをタップすると、端末装置60のカメラが証明書を撮影する。他の例では、作業者が登録用アプリを起動すると、登録用アプリが適当なタイミングで「3、2、1」とカウントダウンを表示し、カメラにより自動的に証明書を撮影してもよい。さらに他の例では、作業者が登録用アプリを起動すると、登録用アプリが自動的に端末装置60のカメラを起動し、スマートフォンで使用されるQRコード(登録商標)リーダのように、カメラの撮像画像中に証明書が映り込んだことを検知して自動的に証明書を撮影してもよい。
【0070】
次に、作業者は、顔画像を撮影する。図11は、顔画像を撮影する様子を示す。図11(A)に示すように、顔画像の撮影時には、端末装置60は、表示部66にカーソル72を表示する。カーソル72は、カメラにより撮像されている作業者の顔の向きに応じて移動する。具体的には、カーソル72は、端点71を起点とし、カメラに写っている作業者の顔の向きに応じて、矢印73に示すようにその方向が変化する。また、表示部66には、目標点74aが表示される。
【0071】
作業者は、カーソル72の先端(端点71と反対側の端点)が目標点74aと一致するように、顔の向きを変化させる。カーソル72の先端が目標点74aと一致すると、図11(B)に示すように、目標点74aの周りに円形のゲージ75が表示される。ゲージ75は、カーソル72の先端が目標点74aと一致した状態(以下、「カーソル一致状態」と呼ぶ。)の継続時間を示す。作業者は、図11(B)に示すようにカーソル一致状態で、顔の向きを維持する。作業者がカーソル一致状態を維持すると、ゲージ75のポインタ76が目標点74aの周りを移動する。カーソル一致状態が所定時間(例えば数秒)に達したときに、ポインタ76は目標点74aの周りを一周して0時の位置に戻る。カーソル一致状態が所定時間に達すると、端末装置60は、その目標点74aを消し、図11(C)に示すように次の目標点74bを表示する。
【0072】
次の目標点74bが表示されると、作業者は、同じ要領でカーソル72の先端が目標点74bと一致するように顔の向きを調整し、カーソル一致状態を所定時間維持する。端末装置60は、この処理を所定回数行う。なお、このような処理を行う理由は、作業者が実際に端末装置で自分の顔画像を撮影していることを確認するためである。即ち、作業者が他人の顔画像などを端末装置60に表示して証明書を登録しようとした場合には、カーソル72の先端を目標点74に一致させることができないので、登録作業が中止される。
【0073】
顔画像撮影部62は、カーソル72の先端を目標点74に合わせる処理を作業者が所定回数行う間に、作業者の顔画像を撮影する。例えば、顔画像撮影部62は、カーソル72の先端が目標点74と一致した状態で作業者が顔の向きを維持している間に、作業者の顔画像を撮影する。
【0074】
こうして、証明書画像と顔画像が得られると、登録部63は、証明書画像を用いて証明書に改ざんが無いと判定し、かつ、顔画像を用いて作業者が証明書の所有者と同一人物であると判定した場合に、証明書画像を記憶部64に登録する。
【0075】
[表示方法]
次に、登録された証明書画像の表示方法について説明する。図12は、証明書画像を表示する際の認証方法の例を示す。端末装置60を証明書の表示モードに設定すると、図12(A)に示す表示認証画面が表示される。ユーザは、ボタン81、81bにより、表示認証の方法を選択する。ユーザがパスコードのボタン81aを選択した場合、端末装置60は図12(B)に示すパスコード入力画面を表示する。ユーザは予め登録したパスコードを入力することにより、表示認証を行う。一方、ユーザが顔認証のボタン81bを選択した場合、端末装置60は図12(C)に示す顔認証画面を表示する。ユーザはカメラで自分の顔を表示することにより、表示認証を行う。
【0076】
いずれかの方法で表示認証に成功すると、端末装置60には図13(A)に示す表示情報選択画面が表示される。表示情報選択画面は、表示情報として全ての情報を指定するボタン82aと、年齢を指定するボタン82bと、氏名及び住所を指定するボタン82cと、デジタルコードを指定するボタン82dとを含む。
【0077】
表示情報選択画面においてユーザがボタン82bを選択すると、図13(B)に示すように、ユーザの顔画像と年齢とが表示される。表示情報選択画面においてユーザがボタン82cを選択すると、図13(C)に示すように、ユーザの顔画像と、ユーザの住所及び氏名が表示される。表示情報選択画面においてユーザがボタン82dを選択すると、図13(D)に示すように、ユーザの顔画像とデジタルコードが表示される。なお、デジタルコードは、証明書に含まれる氏名、住所、運転免許番号、その他の個人情報をコード化したものである。表示したデジタルコードを対応するコードリーダで読み取ることにより、個人情報を取得することができる。
【0078】
一方、表示情報選択画面においてユーザがボタン82aを選択すると、図14(A)に示すように、証明書画像全体が表示される。ここで、表示された証明書画像における顔画像は多少の動きをもって表示される。例えば、顔画像は、顔の方向が左右や上下に多少変化する動画的な画像として表示される。これにより、証明書の画像を単に撮影して端末装置60に表示したのでは無いことが証明できる。即ち、この顔画像の動きは、証明書画像をこの端末装置60の登録アプリケーションを用いて正式に登録したことの証明となる。
【0079】
また、証明書画像全体が表示された状態で、図14(B)に示すようにユーザが端末装置60の画面の一部にタッチすると、符号83で示すように、証明書の領域が所定の色で色付けされる。また、端末装置60の表示画面上でユーザが指でタッチした箇所には所定の形状のポインタ84が表示される。ユーザが表示画面上で指の位置を移動させると、ポインタ84は指の動きに追従して移動する。このように、ユーザがタッチしたときに色付けをしたり、タッチ位置にポインタ84を表示したりするのも、証明書の撮影画像を単に表示しているのではなく、登録アプリケーションを用いて正式に登録した証明書画像を表示していることを示すための手法である。
【0080】
<第4実施形態>
図15は、第4実施形態に係る情報処理装置40の機能構成を示すブロック図である。情報処理装置40は、撮影手段41と、判定手段42とを備える。撮影手段41は、証明書を撮影し、撮影画像を生成する。判定手段42は、撮影画像における証明書の表面の映り方に基づいて、証明書の真贋を判定する。
【0081】
図16は、第4実施形態による情報処理のフローチャートである。撮影手段41は、証明書を撮影し、撮影画像を生成する(ステップS41)。判定手段42は、撮影画像における証明書の表面の映り方に基づいて、証明書の真贋を判定する(ステップS42)。そして、処理は終了する。
【0082】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0083】
(付記1)
証明書を撮影し、撮影画像を生成する撮影手段と、
前記撮影画像における前記証明書の表面の映り方に基づいて、前記証明書の真贋を判定する判定手段と、
を備える情報処理装置。
【0084】
(付記2)
前記撮影手段は、照明光を照射した状態で前記証明書を撮影し、
前記判定手段は、前記証明書の表面における前記照明光の反射領域に基づいて、前記証明書の真贋を判定する付記1に記載の情報処理装置。
【0085】
(付記3)
前記判定手段は、前記反射領域における輝度及び面積の少なくとも一方に基づいて、前記証明書の真贋を判定する付記2に記載の情報処理装置。
【0086】
(付記4)
前記判定手段は、前記反射領域の形状又はテクスチャーに基づいて、前記証明書の真贋を判定する付記2又は3に記載の情報処理装置。
【0087】
(付記5)
前記判定手段は、前記反射領域が、前記撮影画像における所定範囲内にあるか否かに基づいて、前記証明書の真贋を判定する付記2乃至4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【0088】
(付記6)
前記判定手段は、前記証明書の表面における光学的パターンに基づいて、前記証明書の真贋を判定する付記1乃至5のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【0089】
(付記7)
前記判定手段は、前記証明書の表面における前記光学的パターンの有無に基づいて、前記証明書の真贋を判定する付記6に記載の情報処理装置。
【0090】
(付記8)
前記判定手段は、前記光学的パターンが所定のパターンと一致するか否かに基づいて、前記証明書の真贋を判定する付記6又は7に記載の情報処理装置。
【0091】
(付記9)
前記判定手段は、前記光学的パターンが、前記撮影画像における所定範囲内にあるか否かに基づいて、前記証明書の真贋を判定する付記6乃至8のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【0092】
(付記10)
前記判定手段は、同一の証明書から生成された複数の撮影画像についての判定結果を統合して、前記証明書の真贋を判定する付記1乃至9のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【0093】
(付記11)
前記撮影手段は、照明光を照射した状態の撮影画像と、前記照明光を照射しない状態の撮影画像とを生成し、
前記判定手段は、前記照明光を照射した状態の撮影画像と、前記照明光を照射しない状態の撮影画像に基づいて、前記証明書の真贋を判定する付記1乃至9のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【0094】
(付記12)
加速度センサを備え、
前記撮影手段は、前記証明書の撮影時における前記加速度センサの出力値を出力し、
前記判定手段は、前記撮影時における前記加速度センサの出力値を用いて、前記証明書の真贋を判定する付記1乃至11のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【0095】
(付記13)
前記撮影手段は、前記証明書を水平に配置した状態の撮影画像を生成し、
前記判定手段は、前記撮影画像に基づいて算出した前記証明書と前記撮影手段との傾きと、前記加速度センサの出力値を用いて算出した前記証明書と前記撮影手段との傾きとを比較して、前記証明書の真贋を判定する付記12に記載の情報処理装置。
【0096】
(付記14)
前記撮影手段は、前記証明書を異なる角度から撮影して複数の撮影画像及び複数の加速度センサの出力値を出力、
前記判定手段は、前記複数の撮影画像に基づいて算出した前記証明書と前記撮影手段との傾きの差と、前記複数の出力値を用いて算出した前記証明書と前記撮影手段との傾きの差とを比較して、前記証明書の真贋を判定する付記12に記載の情報処理装置。
【0097】
(付記15)
前記判定手段が本物と判定した証明書の撮影画像を記憶部に登録する登録手段を備える付記1乃至14のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【0098】
(付記16)
前記登録手段は、判定手段が本物と判定した証明書の撮影画像を、当該証明書を正面から撮影した画像に補正して前記記憶部に登録する付記15に記載の情報処理装置。
【0099】
(付記17)
前記判定手段が本物と判定した撮影画像に含まれる情報及び画像を記憶部に登録する登録手段を備える付記1乃至14のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【0100】
(付記18)
前記撮影手段は、前記証明書に対して所定の傾きで画像を撮影するように使用者に案内情報を提示する案内手段を備える付記1乃至16のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【0101】
(付記19)
証明書を撮影し、撮影画像を生成し、
前記撮影画像における前記証明書の表面の映り方に基づいて、前記証明書の真贋を判定する情報処理方法。
【0102】
(付記20)
証明書を撮影し、撮影画像を生成し、
前記撮影画像における前記証明書の表面の映り方に基づいて、前記証明書の真贋を判定する処理をコンピュータに実行させるプログラムを記録した記録媒体。
【0103】
以上、実施形態及び実施例を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態及び実施例に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0104】
12 プロセッサ
21、31 画像撮影部
22、32 券面位置特定部
23 反射領域抽出部
24、34 判定部
25、35 登録部
33 ホログラムパターン抽出部
40 情報処理装置
60、100、200 端末装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16