(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】伝送線路及び電子機器
(51)【国際特許分類】
H01P 3/08 20060101AFI20240925BHJP
【FI】
H01P3/08 201
(21)【出願番号】P 2022565428
(86)(22)【出願日】2021-11-26
(86)【国際出願番号】 JP2021043306
(87)【国際公開番号】W WO2022114092
(87)【国際公開日】2022-06-02
【審査請求日】2023-05-17
(31)【優先権主張番号】P 2020198385
(32)【優先日】2020-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池本 伸郎
(72)【発明者】
【氏名】奥田 哲聡
(72)【発明者】
【氏名】西尾 恒亮
(72)【発明者】
【氏名】岡本 真典
(72)【発明者】
【氏名】川辺 健太朗
【審査官】岸田 伸太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-124712(JP,A)
【文献】特開平10-041710(JP,A)
【文献】特開昭62-269401(JP,A)
【文献】国際公開第2008/026690(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/074101(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01P 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に複数の絶縁体層が積層された構造を有する積層体と、
前記積層体に設けられており、かつ、前記上下方向に直交する前後方向に延びている信号導体層と、
前記積層体に設けられており、かつ、前記上下方向に見て、前記信号導体層と重なるように、前記信号導体層の上に設けられている第1グランド導体層と、
前記第1グランド導体層に導通し、前記上下方向に延びている層間接続導体と、
を備えており、
前記積層体には中空部が設けられており、
前記中空部は、前記上下方向に見て、前記第1グランド導体層と重なっており、
前記前後方向に直交する
方向を第1直交方向、及び、前記前後方向及び前記第1直交方向に直交する方向を第2直交方向と定義し、
前記第1直交方向に見て、前記中空部は、前記信号導体層の前記第2直交方向に位置する第1部分を含んでおり、
前記第1部分の前記第2直交方向の幅は、第1部分幅極大値、第1部分幅極小値、及び、前記第1部分幅極大値より小さくかつ前記第1部分幅極小値より大きい第1部分幅中間値を取り、
前記第1部分において、前記第1部分の前記第2直交方向の幅が前記第1部分幅極大値を取る部分を第1部分幅極大部と定義し、
前記第1部分において、前記第1部分の前記第2直交方向の幅が前記第1部分幅極小値を取る部分を第1部分幅極小部と定義し、
前記第1部分において、前記第1部分の前記第2直交方向の幅が前記第1部分幅中間値を取る部分を第1部分幅中間部と定義し、
前記第1部分幅中間部は、前記前後方向において、前記第1部分幅極大部と前記第1部分幅極小部との間に位置
し、
前記中空部は前記前後方向に連続し、
前記第1部分幅極小部及び前記第1部分幅極大部は前記前後方向に繰り返し配置され、
互いに隣接する前記第1部分幅極小部と前記第1部分幅極大部との間に前記第1部分幅中間部がそれぞれ位置する、
伝送線路。
【請求項2】
上下方向に複数の絶縁体層が積層された構造を有する積層体と、
前記積層体に設けられており、かつ、前記上下方向に直交する前後方向に延びている信号導体層と、
前記積層体に設けられており、かつ、前記上下方向に見て、前記信号導体層と重なるように、前記信号導体層の上に設けられている第1グランド導体層と、
前記第1グランド導体層に導通し、前記上下方向に延びている層間接続導体と、
を備えており、
前記積層体には中空部が設けられており、
前記中空部は、前記上下方向に見て、前記第1グランド導体層と重なっており、
前記前後方向に直交する
方向を第1直交方向、及び、前記前後方向及び前記第1直交方向に直交する方向を第2直交方向と定義し、
前記第1直交方向に見て、前記中空部は、前記信号導体層の前記第2直交方向に位置する第1部分を含んでおり、
前記第1部分の前記第2直交方向の幅は、第1部分幅極大値、第1部分幅極小値、及び、前記第1部分幅極大値より小さくかつ前記第1部分幅極小値より大きい第1部分幅中間値を取り、
前記第1部分において、前記第1部分の前記第2直交方向の幅が前記第1部分幅極大値を取る部分を第1部分幅極大部と定義し、
前記第1部分において、前記第1部分の前記第2直交方向の幅が前記第1部分幅極小値を取る部分を第1部分幅極小部と定義し、
前記第1部分において、前記第1部分の前記第2直交方向の幅が前記第1部分幅中間値を取る部分を第1部分幅中間部と定義し、
前記第1部分幅中間部は、前記前後方向において、前記第1部分幅極大部と前記第1部分幅極小部との間に位置
し、
前記信号導体層は前記中空部に接しない、
伝送線路。
【請求項3】
上下方向に複数の絶縁体層が積層された構造を有する積層体と、
前記積層体に設けられており、かつ、前記上下方向に直交する前後方向に延びている信号導体層と、
前記積層体に設けられており、かつ、前記上下方向に見て、前記信号導体層と重なるように、前記信号導体層の上に設けられている第1グランド導体層と、
前記第1グランド導体層に導通し、前記上下方向に延びている層間接続導体と、
を備えており、
前記積層体には中空部が設けられており、
前記中空部は、前記上下方向に見て、前記第1グランド導体層と重なっており、
前記前後方向に直交する方向を第1直交方向、及び、前記前後方向及び前記第1直交方向に直交する方向を第2直交方向と定義し、
前記第1直交方向に見て、前記中空部は、前記信号導体層の前記第2直交方向に位置する第1部分を含んでおり、
前記第1部分の前記第2直交方向の幅は、第1部分幅極大値、第1部分幅極小値、及び、前記第1部分幅極大値より小さくかつ前記第1部分幅極小値より大きい第1部分幅中間値を取り、
前記第1部分において、前記第1部分の前記第2直交方向の幅が前記第1部分幅極大値を取る部分を第1部分幅極大部と定義し、
前記第1部分において、前記第1部分の前記第2直交方向の幅が前記第1部分幅極小値を取る部分を第1部分幅極小部と定義し、
前記第1部分において、前記第1部分の前記第2直交方向の幅が前記第1部分幅中間値を取る部分を第1部分幅中間部と定義し、
前記第1部分幅中間部は、前記前後方向において、前記第1部分幅極大部と前記第1部分幅極小部との間に位置し、
前記信号導体層は、前記信号導体層の
前記前後方向及び前記第2直交方向において、前記中空部に接する部分と接しない部分とを交互に有し、前記上下方向又は前記第2直交方向の少なくとも一方で前記第1部分幅中間部を有する、
伝送線路。
【請求項4】
前記第1直交方向は、前記上下方向である、
請求項1
ないし請求項3のいずれかに記載の伝送線路。
【請求項5】
前記第1直交方向は、
前記信号導体層の左右方向である、
請求項1
ないし請求項3のいずれかに記載の伝送線路。
【請求項6】
前記第2直交方向に見て、前記中空部は、前記信号導体層の前記第1直交方向に位置する第2部分を含んでおり、
前記第2部分の前記第1直交方向の幅は、第2部分幅極大値、第2部分幅極小値、及び、前記第2部分幅極大値より小さくかつ前記第2部分幅極小値より大きい第2部分幅中間値を取り、
前記第2部分において、前記第2部分の前記第1直交方向の幅が前記第2部分幅極大値を取る部分を第2部分幅極大部と定義し、
前記第2部分において、前記第2部分の前記第1直交方向の幅が前記第2部分幅極小値を取る部分を第2部分幅極小部と定義し、
前記第2部分において、前記第2部分の前記第1直交方向の幅が前記第2部分幅中間値を取る部分を第2部分幅中間部と定義し、
前記第2部分幅中間部は、前記前後方向において、前記第2部分幅極大部と前記第2部分幅極小部との間に位置する、
請求項1ないし請求項
5のいずれかに記載の伝送線路。
【請求項7】
前記第2直交方向の反対方向を第3直交方向と定義し、
前記第1直交方向に見て、前記中空部は、前記信号導体層の前記第3直交方向に位置する第3部分を含んでおり、
前記第3部分の前記第3直交方向の幅は、第3部分幅極大値、第3部分幅極小値、及び、前記第3部分幅極大値より小さくかつ前記第3部分幅極小値より大きい第3部分幅中間値を取り、
前記第3部分において、前記第3部分の前記第3直交方向の幅が前記第3部分幅極大値を取る部分を第3部分幅極大部と定義し、
前記第3部分において、前記第3部分の前記第3直交方向の幅が前記第3部分幅極小値を取る部分を第3部分幅極小部と定義し、
前記第3部分において、前記第3部分の前記第3直交方向の幅が前記第3部分幅中間値を取る部分を第3部分幅中間部と定義し、
前記第3部分幅中間部は、前記前後方向において、前記第3部分幅極大部と前記第3部分幅極小部との間に位置する、
請求項1ないし請求項
6のいずれかに記載の伝送線路。
【請求項8】
前記第1部分は、前記第1部分の前記第2直交方向の幅が、前記前後方向において所定距離で周期的に変化する第1周期構造を有しており、
前記第3部分は、前記第3部分の前記第3直交方向の幅が、前記前後方向において前記所定距離で周期的に変化する第3周期構造を有しており、
前記第1周期構造の位相と前記第3周期構造の位相とが一致している、
請求項
7に記載の伝送線路。
【請求項9】
前記第1部分は、前記第1部分の前記第2直交方向の幅が、前記前後方向において所定距離で周期的に変化する第1周期構造を有しており、
前記第3部分は、前記第3部分の前記第3直交方向の幅が、前記前後方向において前記所定距離で周期的に変化する第3周期構造を有しており、
前記第1周期構造の位相と前記第3周期構造の位相とが半周期ずれている、
請求項
7に記載の伝送線路。
【請求項10】
複数の前記中空部が、前記積層体に設けられている、
請求項
7に記載の伝送線路。
【請求項11】
複数の
前記中空部は、前記第1部分を含みかつ前記第3部分を含まない複数の第1中空部、及び、前記第1部分を含まずかつ前記第3部分を含む複数の第2中空部を含んでおり、
前記複数の第1中空部と前記複数の第2中空部は、前記前後方向において交互に並んでいる、
請求項10に記載の伝送線路。
【請求項12】
前記複数の絶縁体層は、接着層として機能する前記絶縁体層を含んでおり、
前記接着層は、前記接着層の上に位置する前記絶縁体層と前記接着層の下に位置する前記
絶縁体層とを接合する、
請求項1ないし請求項
11のいずれかに記載の伝送線路。
【請求項13】
前記複数の絶縁体層は、互いに溶着されている2つの前記絶縁体層を含んでいる、
請求項1ないし請求項
11のいずれかに記載の伝送線路。
【請求項14】
前記複数の絶縁体層は、多孔質材料により作製されている前記絶縁体層を含んでいる、
請求項1ないし請求項
13のいずれかに記載の伝送線路。
【請求項15】
前記層間接続導体の前記前後方向における位置は、前記第1部分幅極小部の前記前後方向における位置と一致している、
請求項1ないし請求項
14のいずれかに記載の伝送線路。
【請求項16】
前記第1グランド導体層の前記中空部と
前記上下方向に重なる部分は、下方向に突出している、
請求項
4に記載の伝送線路。
【請求項17】
前記前後方向に直交する断面において、前記信号導体層の外縁の全体が、前記中空部に面している、
請求項1ないし請求項
16のいずれかに記載の伝送線路。
【請求項18】
前記中空部は、前記信号導体層より上かつ前記第1グランド導体層より下に位置する前記絶縁体層に設けられている、
請求項1ないし請求項
17のいずれかに記載の伝送線路。
【請求項19】
請求項1ないし請求項
18のいずれかに記載の伝送線路を、
備えている、
電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波信号が伝送される伝送線路及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の伝送線路に関する発明としては、例えば、特許文献1に記載の電子機器が知られている。この電子機器は、信号伝送線路を備えている。信号伝送線路は、積層体及び信号導体を備えている。積層体は、複数の樹脂層が積層された構造を有している。信号導体は、積層体内に設けられている。複数の中空部が積層体に設けられている。複数の中空部は、信号導体が延びる方向に並んでいる。
【0003】
特許文献1に記載の伝送線路によれば、伝送線路の伝送損失の低減が図られる。より詳細には、中空部は、信号導体の近傍に設けられている。低い誘電率を有する空気が中空部内に存在する。そのため、信号導体の周囲の誘電率が低くなる。その結果、伝送線路では、信号導体を伝送される高周波信号に誘電損が発生することが抑制されるので、伝送線路の伝送損失が低くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-141406号公報(特に、
図16)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載の電子機器では、信号導体に発生している特性インピーダンスが急激に変化しやすい。積層方向に見て信号導体と中空部とが重なっている区間を重複区間と呼ぶ。積層方向に見て信号導体と中空部とが重なっていない区間を非重複区間と呼ぶ。重複区間における信号導体の周囲の誘電率は、非重複区間における信号導体の周囲の誘電率より小さくなる。そのため、重複区間において信号導体に発生する容量値は、非重複区間において信号導体に発生する容量値より小さくなる。その結果、重複区間において信号導体に発生している特性インピーダンスは、非重複区間において信号導体に発生している特性インピーダンスより大きくなる。ここで、中空部は、積層方向に見て、長方形状を有している。そのため、重複区間と非重複区間との境界において、信号導体の周囲の誘電率が急激に変化する。その結果、重複区間と非重複区間との境界において、信号導体に発生している特性インピーダンスが急激に変化する。
【0006】
そこで、本発明の目的は、伝送線路の位置による特性インピーダンスの急激な変化を抑制できる伝送線路及び電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一形態に係る伝送線路は、
上下方向に複数の絶縁体層が積層された構造を有する積層体と、
前記積層体に設けられており、かつ、前記上下方向に直交する前後方向に延びている信号導体層と、
前記積層体に設けられており、かつ、前記上下方向に見て、前記信号導体層と重なるように、前記信号導体層の上に設けられている第1グランド導体層と、
前記第1グランド導体層に導通し、前記上下方向に延びている層間接続導体と、
を備えており、
前記積層体には中空部が設けられており、
前記中空部は、前記上下方向に見て、前記第1グランド導体層と重なっており、
前記前後方向に直交する方向を第1直交方向、及び、前記前後方向及び前記第1直交方向に直交する方向を第2直交方向と定義し、
前記第1直交方向に見て、前記中空部は、前記信号導体層の前記第2直交方向に位置する第1部分を含んでおり、
前記第1部分の前記第2直交方向の幅は、第1部分幅極大値、第1部分幅極小値、及び、前記第1部分幅極大値より小さくかつ前記第1部分幅極小値より大きい第1部分幅中間値を取り、
前記第1部分において、前記第1部分の前記第2直交方向の幅が前記第1部分幅極大値を取る部分を第1部分幅極大部と定義し、
前記第1部分において、前記第1部分の前記第2直交方向の幅が前記第1部分幅極小値を取る部分を第1部分幅極小部と定義し、
前記第1部分において、前記第1部分の前記第2直交方向の幅が前記第1部分幅中間値を取る部分を第1部分幅中間部と定義し、
前記第1部分幅中間部は、前記前後方向において、前記第1部分幅極大部と前記第1部分幅極小部との間に位置し、
前記中空部は前記前後方向に連続し、
前記第1部分幅極小部及び前記第1部分幅極大部は前記前後方向に繰り返し配置され、
互いに隣接する前記第1部分幅極小部と前記第1部分幅極大部との間に前記第1部分幅中間部がそれぞれ位置する。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る伝送線路及び電子機器によれば、信号導体層、グランド導体層、及び信号導体層とグランド導体層との間の絶縁体とで生じる伝送線路の特性インピーダンスが信号伝搬方向位置で急激に変化することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】
図2は、
図1のA-Aにおける伝送線路10の断面図である。
【
図3】
図3は、伝送線路10を上下方向に透視した図である。
【
図4】
図4は、伝送線路10を備える電子機器1の左面図である。
【
図5】
図5は、伝送線路10aを上下方向に透視した図である。
【
図6】
図6は、伝送線路10bを上下方向に透視した図である。
【
図7】
図7は、伝送線路10cを上下方向に透視した図である。
【
図8】
図8は、伝送線路10dを上下方向に透視した図である。
【
図9】
図9は、伝送線路10eを上下方向に透視した図である。
【
図10】
図10は、伝送線路10fの左右方向に垂直な断面図である。
【
図11】
図11は、伝送線路10fを上下方向に透視した図である。
【
図12】
図12は、伝送線路10fの前後方向に垂直な断面図である。
【
図13】
図13は、伝送線路10gの左右方向に垂直な断面図である。
【
図14】
図14は、伝送線路10hの左右方向に垂直な断面図である。
【
図15】
図15は、伝送線路10iの左右方向に垂直な断面図である。
【
図16】
図16は、伝送線路10jの左右方向に垂直な断面図である。
【
図17】
図17は、伝送線路10kの左右方向に垂直な断面図である。
【
図18】
図18は、伝送線路10lの左右方向に垂直な断面図である。
【
図19】
図19は、伝送線路10mを上下方向に透視した図である。
【
図20】
図20は、伝送線路10mの左右方向に垂直な断面図である。
【
図21】
図21は、伝送線路10nの前後方向に垂直な断面図である。
【
図22】
図22は、伝送線路10oの前後方向に垂直な断面図である。
【
図23】
図23は、伝送線路10pの前後方向に垂直な断面図である。
【
図24】
図24は、伝送線路10 qの前後方向に垂直な断面図である。
【
図25】
図25は、伝送線路10rの前後方向に垂直な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施形態)[伝送線路の構造]
以下に、本発明の実施形態に係る伝送線路10の構造について図面を参照しながら説明する。
図1は、伝送線路10の分解斜視図である。なお、
図1では、複数の層間接続導体v1,v2の内の代表的な層間接続導体v1,v2にのみ参照符号を付した。
図2は、
図1のA-Aにおける伝送線路10の断面図である。
図3は、伝送線路10を上下方向に透視した図である。
【0012】
本明細書において、方向を以下のように定義する。伝送線路10の積層体12の積層方向を上下方向と定義する。また、伝送線路10の信号導体層22が延びている方向を前後方向と定義する。また、信号導体層22の線幅方向を左右方向と定義する。上下方向、前後方向及び左右方向は、互いに直交している。
【0013】
以下では、Xは、伝送線路10の部品又は部材である。本明細書において、特に断りのない場合には、Xの各部について以下のように定義する。Xの前部とは、Xの前半分を意味する。Xの後部とは、Xの後半分を意味する。Xの左部とは、Xの左半分を意味する。
【0014】
Xの右部とは、Xの右半分を意味する。Xの上部とは、Xの上半分を意味する。Xの下部とは、Xの下半分を意味する。Xの前端とは、Xの前方向の端を意味する。Xの後端とは、Xの後方向の端を意味する。Xの左端とは、Xの左方向の端を意味する。Xの右端とは、Xの右方向の端を意味する。Xの上端とは、Xの上方向の端を意味する。Xの下端とは、Xの下方向の端を意味する。Xの前端部とは、Xの前端及びその近傍を意味する。Xの後端部とは、Xの後端及びその近傍を意味する。Xの左端部とは、Xの左端及びその近傍を意味する。Xの右端部とは、Xの右端及びその近傍を意味する。Xの上端部とは、Xの上端及びその近傍を意味する。Xの下端部とは、Xの下端及びその近傍を意味する。
【0015】
まず、
図1を参照しながら、伝送線路10の構造について説明する。伝送線路10は、高周波信号を伝送する。伝送線路10は、スマートフォン等の電子機器において、2つの回路を電気的に接続するために用いられる。伝送線路10は、
図1に示すように、積層体12、保護層20a,20b、信号導体層22、第1グランド導体層24、第2グランド導体層26、第3グランド導体層27、信号端子28a,28b、グランド端子29a,29b,30a,30b、複数の層間接続導体v1,v2及び層間接続導体v3~v8を備えている。
【0016】
積層体12は、板形状を有している。従って、積層体12は、上主面及び下主面を有している。積層体12の上主面及び下主面は、前後方向に延びる長辺を有する長方形状を有している。従って、積層体12の前後方向の長さは、積層体12の左右方向の長さより長い。
【0017】
積層体12は、
図1に示すように、絶縁体層16a~16c,18a,18bを含んでいる。積層体12は、絶縁体層16a,18a,16b,18b,16cが上下方向における上から下へとこの順に積層された構造を有している。絶縁体層16a~16c,18a,18bは、上下方向に見て、積層体12と同じ長方形状を有している。絶縁体層16a~16cは、可撓性を有する誘電体シートである。絶縁体層16a~16cの材料は、例えば、熱可塑性樹脂である。熱可塑性樹脂は、例えば、液晶ポリマー、PTFE(ポリテトラフロオロエチレン)等の熱可塑性樹脂である。絶縁体層16a~16cの材料は、ポリイミドであってもよい。絶縁体層18aは、樹脂層の上主面及び樹脂層の下主面に接着層が設けられた構造を有している。絶縁体層18a,18bの樹脂層の材料は、例えば、エポキシ樹脂やフッ素系樹脂、アクリル樹脂等である。このように、絶縁体層18a,18bの樹脂層の材料は、絶縁体層16a~16cの樹脂層の材料と異なっている。接着層は、樹脂層の上主面及び下主面に塗布される。ただし、絶縁体層18aは、接着層を含んでいなくてもよい。絶縁体層18aは、絶縁体層18aの上に存在する絶縁体層16aと絶縁体層18aの下に存在する絶縁体層16bとを接合する接着層として機能してもよい。絶縁体層18bは、絶縁体層18bの上に存在する絶縁体層16bと絶縁体層18bの下に存在する絶縁体層16cとを接合する接着層として機能してもよい。この場合、絶縁体層18a,18bは、接着性を有するシートである。
【0018】
信号導体層22は、
図1に示すように、積層体12に設けられている。本実施形態では、信号導体層22は、絶縁体層16bの上主面に設けられている。これにより、信号導体層22は、積層体12内に設けられている。信号導体層22は、線形状を有している。信号導体層22は、前後方向に延びている。信号導体層22は、絶縁体層16bの上主面の左右方向の中央に位置している。
【0019】
第1グランド導体層24は、
図1に示すように、積層体12に設けられている。第1グランド導体層24は、上下方向に見て、信号導体層22と重なるように、信号導体層22の上に設けられている。本明細書において、「第1グランド導体層24は、信号導体層22の上に設けられている。」とは、以下の状態を指す。第1グランド導体層24の少なくとも一部分は、信号導体層22が上方向に平行移動するときに通過する領域内に配置されている。よって、第1グランド導体層24は、信号導体層22が上方向に平行移動するときに通過する領域内に収まっていてもよいし、信号導体層22が上方向に平行移動するときに通過する領域から突出していてもよい。ここで、本実施形態では、第1グランド導体層24は、絶縁体層16aの下主面に設けられている。また、第1グランド導体層24は、絶縁体層16aの下主面の略全面を覆っている。そのため、第1グランド導体層24は、信号導体層22が上方向に平行移動するときに通過する領域から突出している。
【0020】
第2グランド導体層26は、
図1に示すように、積層体12に設けられている。第2グランド導体層26は、上下方向に見て、信号導体層22と重なるように、信号導体層22の下に設けられている。本実施形態では、第2グランド導体層26は、絶縁体層16cの上主面に設けられている。また、第2グランド導体層26は、絶縁体層16cの上主面の略全面を覆っている。以上のような信号導体層22、第1グランド導体層24及び第2グランド導体層26は、ストリップライン構造を有している。
【0021】
第3グランド導体層27は、絶縁体層16bの上主面に設けられている。第3グランド導体層27は、上下方向に見て、信号導体層22の周囲を囲んでいる。第3グランド導体層27は、信号導体層22の左及び右に設けられている。
【0022】
複数の層間接続導体v1,v2は、第1グランド導体層24と第2グランド導体層26と第3グランド導体層27とを電気的に接続している。より詳細には、複数の層間接続導体v1,v2は、絶縁体層16a~16c,18a,18bを上下方向に貫通している。複数の層間接続導体v1,v2の上端部は、第1グランド導体層24に接続されている。複数の層間接続導体v1,v2の下端部は、第2グランド導体層26に接続されている。複数の層間接続導体v1,v2の中間部は、第3グランド導体層27に接続されている。複数の層間接続導体v1は、信号導体層22の左に設けられている。複数の層間接続導体v1は、前後方向において等間隔に一列に並んでいる。複数の層間接続導体v2は、信号導体層22の右に設けられている。複数の層間接続導体v2は、前後方向において等間隔に一列に並んでいる。
【0023】
信号端子28aは、積層体12の上主面に設けられている。より詳細には、信号端子28aは、絶縁体層16aの上主面の前端部に設けられている。信号端子28aは、上下方向に見て、信号導体層22の前端部と重なっている。信号端子28aは、上下方向に見て、長方形状を有している。
【0024】
層間接続導体v3は、信号端子28aと信号導体層22とを電気的に接続している。具体的には、層間接続導体v3は、絶縁体層16a,18aを上下方向に貫通している。層間接続導体v3の上端は、信号端子28aに接続されている。層間接続導体v3の下端は、信号導体層22の前端部に接続されている。これにより、信号端子28aは、信号導体層22と電気的に接続されている。また、層間接続導体v3が第1グランド導体層24と絶縁されるように、層間接続導体v3の周囲には第1グランド導体層24が設けられていない。高周波信号は、信号端子28aを介して、信号導体層22に入出力する。
【0025】
なお、信号端子28b及び層間接続導体v4は、信号端子28a及び層間接続導体v3と前後対称な構造を有する。従って、信号端子28b及び層間接続導体v4の説明を省略する。
【0026】
グランド端子29aは、積層体12の上主面に設けられている。より詳細には、グランド端子29aは、絶縁体層16aの上主面の前端部に設けられている。グランド端子29aは、信号端子28aの左に設けられている。グランド端子29aは、上下方向に見て、第1グランド導体層24と重なっている。グランド端子29aは、上下方向に見て、長方形状を有している。
【0027】
層間接続導体v5は、グランド端子29aと第1グランド導体層24、第2グランド導体層26及び第3グランド導体層27とを電気的に接続している。具体的には、層間接続導体v5は、絶縁体層16a、18a、16b、18b、16cを上下方向に貫通している。層間接続導体v5の上端は、グランド端子29aに接続されている。層間接続導体v5の下端は、第2グランド導体層26に接続されている。これにより、グランド端子29aは、第1グランド導体層24、第2グランド導体層26、第3グランド導体層27と電気的に接続されている。第1グランド導体層24は、グランド端子29aを介して、グランド電位に接続される。なお、グランド端子30a及び層間接続導体v6は、グランド端子29a及び層間接続導体v5の構造と左右対称な構造を有する。従って、グランド端子30a及び層間接続導体v6の説明を省略する。
【0028】
また、グランド端子29b,30b及び層間接続導体v7,v8は、グランド端子29a,30a及び層間接続導体v5,v6の構造と前後対称な構造を有する。従って、グランド端子29b,30b及び層間接続導体v7,v8の説明を省略する。
【0029】
以上のような信号導体層22、第1グランド導体層24、第2グランド導体層26、第3グランド導体層27、信号端子28a,28b及びグランド端子29a,29b,30a,30bは、例えば、絶縁体層16a~16cの上主面又は下主面に設けられた金属箔にエッチングが施されることにより形成されている。金属箔は、例えば、銅箔である。また、層間接続導体v1~v8は、例えば、スルーホール導体である。スルーホール導体は、絶縁体層16a~16c,18a,18bに貫通孔を形成し、貫通孔にメッキを施すことにより作製される。なお、層間接続導体v1~v8は、ビアホール導体であってもよい。ビアホール導体は、絶縁体層16a~16c,18a,18bに貫通孔を形成し、貫通孔に導電性ペーストを充填し、導電性ペーストを焼結させることにより作製される。
【0030】
保護層20a,20bは、可撓性を有する絶縁体層である。ただし、保護層20a,20bは、積層体12の一部ではない。保護層20a,20bは、上下方向に見て、積層体12と同じ長方形状を有している。
【0031】
保護層20aは、絶縁体層16aの上主面の略全面を覆っている。これにより、保護層20aは、第1グランド導体層24を保護している。ただし、保護層20aには、開口h1~h6が設けられている。開口h1は、上下方向に見て、信号端子28aと重なっている。これにより、信号端子28aは、開口h1を介して伝送線路10から外部に露出している。開口h2は、開口h1の左に設けられている。開口h2は、上下方向に見て、グランド端子29aと重なっている。これにより、グランド端子29aは、開口h2を介して伝送線路10から外部に露出している。開口h3は、開口h1の右に設けられている。開口h3は、上下方向に見て、グランド端子30aと重なっている。これにより、グランド端子30aは、開口h3を介して伝送線路10から外部に露出している。なお、開口h4~h6の構造はそれぞれ、開口h1~h3の構造と前後対称である。従って、開口h4~h6の説明を省略する。
【0032】
次に、
図1ないし
図3を参照しながら中空部H1,H2について説明する。積層体12には、中空部H1が設けられている。より詳細には、中空部H1は、信号導体層22より上かつ第1グランド導体層24より下に位置する絶縁体層に設けられている。本実施形態では、絶縁体層18aには、
図2に示すように、絶縁体層18aを上下方向に貫通する中空部H1が設けられている。中空部H1は、
図1に示すように、上下方向に見て、前後方向に延びている。ただし、中空部H1の左側の内壁E11及び中空部H1の右側の内壁E13は、
図3に示すように、上下方向に見て、ジグザグ形状を有している。中空部H1は、絶縁体層18aの左右方向の中央に設けられている。これにより、中空部H1の少なくとも一部は、上下方向に見て、信号導体層22と重なっている。また、中空部H1は、上下方向に見て、第1グランド導体層24と重なっている。従って、信号導体層22と第1グランド導体層24とは、
図2に示すように、中空部H1を介して、互いに向かい合っている。
【0033】
ここで、中空部H1の構造についてより詳細に説明する。中空部H1は、
図3に示すように、第1部分B11及び第3部分B13を含んでいる。第1部分B11は、上下方向(第1直交方向)に見て、中空部H1において信号導体層22の左(第2直交方向)に位置する部分である。前記の通り、中空部H1の左側の内壁E11及び中空部H1の右側の内壁E13は、
図3に示すように、ジグザグ形状を有している。従って、第1部分B11は、第1部分B11の左右方向(第2直交方向)の幅が、前後方向において所定距離で周期的に変化する第1周期構造を有している。以下に、第1部分B11の左右方向(第2直交方向)の幅について詳細に説明する。
【0034】
内壁E11は、複数の直線が組み合わされたジグザグ形状を有している。そこで、内壁E11の複数の直線の内の一つの直線に着目する。第1部分B11の左右方向(第2直交方向)の幅は、第1部分幅極大値A11、第1部分幅極小値A12及び第1部分幅中間値A13を取る。第1部分幅中間値A13は、第1部分幅極大値A11より小さくかつ第1部分幅極小値A12より大きい。ここで、第1部分幅極大部P11、第1部分幅極小部P12及び第1部分幅中間部P13を以下の様に定義する。
【0035】
第1部分幅極大部P11:第1部分B11において、第1部分B11の左右方向(第2直交方向)の幅が第1部分幅極大値A11を取る部分 第1部分幅極小部P12:第1部分B11において、第1部分B11の左右方向(第2直交方向)の幅が第1部分幅極小値A12を取る部分 第1部分幅中間部P13:第1部分B11において、第1部分B11の左右方向(第2直交方向)の幅が第1部分幅中間値A13を取る部分
このとき、第1部分幅中間部P13は、前後方向において、第1部分幅極大部P11と第1部分幅極小部P12との間に位置する。本実施形態では、第1部分B11の左右方向(第2直交方向)の幅は、第1部分幅極小部P12と第1部分幅極大部P11との間において、連続的に増加している。従って、第1部分幅中間部P13は、
図3のグラフに示すように、第1部分幅極小部P12と第1部分幅極大部P11との間の区間である。
【0036】
なお、内壁E11は、複数の直線が組み合わされたジグザグ形状を有している。そのため、内壁E11のその他の複数の直線においても、第1部分幅極大部P11、第1部分幅極小部P12及び第1部分幅中間部P13を定義できる。
【0037】
次に、第3部分B13の構造についてより詳細に説明する。第3部分B13は、第1部分B11と左右対称な構造を有している。より詳細には、第3部分B13は、上下方向(第1直交方向)に見て、中空部H1において信号導体層22の
右に位置する部分である。前記の通り、中空部H1の左側の内壁E11及び中空部H1の右側の内壁E13は、
図3に示すように、ジグザグ形状を有している。従って、第3部分B13は、第3部分B13の左右方
向の幅が、前後方向において所定距離で周期的に変化する第3周期構造を有している。第3部分B13の第3周期構造の周期は、第1部分B11の第1周期構造の周期と等しい。以下に、第3部分B13の左右方向(第3直交方向)の幅について詳細に説明する。
【0038】
内壁E13は、複数の直線が組み合わされたジグザグ形状を有している。そこで、内壁E13の複数の直線の内の一つの直線に着目する。第3部分B13の左右方向(第3直交方向)の幅は、第3部分幅極大値A31、第3部分幅極小値A32及び第3部分幅中間値A33を取る。第3部分幅中間値A33は、第3部分幅極大値A31より小さくかつ第3部分幅極小値A32より大きい。ここで、第3部分幅極大部P31、第3部分幅極小部P32及び第3部分幅中間部P33を以下の様に定義する。
【0039】
第3部分幅極大部P31:第3部分B13において、第3部分B13の左右方向(第3直交方向)の幅が第3部分幅極大値A31を取る部分 第3部分幅極小部P32:第3部分B13において、第3部分B13の左右方向(第3直交方向)の幅が第3部分幅極小値A32を取る部分 第3部分幅中間部P33:第3部分B13において、第3部分B13の左右方向(第3直交方向)の幅が第3部分幅中間値A33を取る部分
このとき、第3部分幅中間部P33は、前後方向において、第3部分幅極大部P31と第3部分幅極小部P32との間に位置する。本実施形態では、第3部分B13の左右方向(第3直交方向)の幅は、第3部分幅極小部P32と第3部分幅極大部P31との間において、連続的に増加している。従って、第3部分幅中間部P33は、第3部分幅極小部P32と第3部分幅極大部P31との間の区間である。
【0040】
なお、内壁E13は、複数の直線が組み合わされたジグザグ形状を有している。そのため、内壁E13のその他の複数の直線においても、第3部分幅極大部P31、第3部分幅極小部P32及び第3部分幅中間部P33を定義できる。
【0041】
以上のような第1部分B11の第1周期構造の位相と第3部分B13の第3周期構造の位相とが一致している。従って、複数の第1部分幅極大部P11の前後方向における位置のそれぞれは、複数の第3部分幅極大部P31の前後方向における位置と一致している。
【0042】
複数の第1部分幅極小部P12の前後方向における位置のそれぞれは、複数の第3部分幅極小部P32の前後方向における位置と一致している。これにより、信号導体層22に発生している特性インピーダンスは、以下に説明するように変化する。
【0043】
信号導体層22に発生している特性インピーダンスは、第1部分B11の左右方向の幅及び第3部分B13の左右方向の幅に依存している。従って、信号導体層22に発生している特性インピーダンスは、内壁E11,E13のジグザグ形状に倣って変化する。すなわち、
図3のグラフに示すように、信号導体層22に発生している特性インピーダンスは、ジグザグ形状を有するように変化する。
【0044】
信号導体層22に発生している特性インピーダンスは、中空部H1に沿っている区間において、特性インピーダンス極大値I11、特性インピーダンス極小値I12及び特性インピーダンス中間値I13を取る。特性インピーダンス中間値I13は、特性インピーダンス極大値I11より小さくかつ特性インピーダンス極小値I12より大きい。ここで、特性インピーダンス極大部p11、特性インピーダンス極小部p12及び特性インピーダンス中間部p13を以下の様に定義する。
【0045】
特性インピーダンス極大部p11:信号導体層22において、信号導体層22に発生している特性インピーダンスが特性インピーダンス極大値I11を取る部分
特性インピーダンス極小部p12:信号導体層22において、信号導体層22に発生している特性インピーダンスが特性インピーダンス極小値I12を取る部分
特性インピーダンス中間部p13:信号導体層22において、信号導体層22に発生している特性インピーダンスが特性インピーダンス中間値I13を取る部分
このとき、特性インピーダンス中間部p13は、前後方向において、特性インピーダンス極大部p11と特性インピーダンス極小部p12との間に位置する。また、信号導体層22に発生する特性インピーダンスは、特性インピーダンス極小部p12と特性インピーダンス極大部p11との間において、連続的に増加している。従って、特性インピーダンス中間部p13は、
図3のグラフに示すように、特性インピーダンス極小部p12と特性インピーダンス極大部p11との間の区間である。
【0046】
複数の特性インピーダンス極大部p11の前後方向の位置のそれぞれは、複数の第1部分幅極大部P11の前後方向における位置、及び、複数の第3部分幅極大部P31の前後方向における位置と一致している。複数の特性インピーダンス極小部p12の前後方向の位置のそれぞれは、複数の第1部分幅極小部P12の前後方向における位置、及び、複数の第3部分幅極小部P32の前後方向における位置と一致している。特性インピーダンス中間部p13の前後方向の位置のそれぞれは、複数の第1部分幅中間部P13の前後方向における位置、及び、複数の第3部分幅中間部P33の前後方向における位置と一致している。
【0047】
中空部H2は、中空部H1と上下対称な構造を有している。従って、中空部H2の構造の説明を省略する。なお、中空部H1,H2は、絶縁体層18a,18bにエッチングを施すことにより形成される。また、中空部H1,H2は、絶縁体層18a,18bにレーザービームを照射して形成されてもよいし、絶縁体層18a,18bを金型やリューターにより加工して形成されてもよい。
【0048】
複数の層間接続導体v1,v2と中空部H1,H2との位置関係について説明する。複数の層間接続導体v1の前後方向における位置は、
図3に示すように、複数の第1部分幅極小部P12の前後方向における位置と一致している。また、複数の層間接続導体v2の前後方向における位置は、
図3に示すように、複数の第3部分幅極小部P32の前後方向における位置と一致している。
【0049】
[電子機器の構造]
次に、伝送線路10を備える電子機器1の構造について図面を参照しながら説明する。
【0050】
図4は、伝送線路10を備える電子機器1の左面図である。電子機器1は、例えば、携帯無線通信端末である。電子機器1は、例えば、スマートフォンである。
【0051】
伝送線路10は、
図4に示すように、折り曲げられる。「伝送線路10が折り曲げられる」とは、伝送線路10に外力が加えられることにより伝送線路10が変形して曲がっていることを意味する。以下では、伝送線路10が折り曲げられる区間を曲げ区間A2と呼ぶ。伝送線路10が折り曲げられない区間を非曲げ区間A1,A3と呼ぶ。そして、電子機器1におけるx軸、y軸及びz軸を以下の様に定義する。x軸は、非曲げ区間A1での前後方向である。y軸は、非曲げ区間A1での左右方向である。z軸は、非曲げ区間A1での上下方向である。非曲げ区間A1、曲げ区間A2及び非曲げ区間A3は、x軸の正方向に向かってこの順に並んでいる。
【0052】
図4に示すように、曲げ区間A2はz軸方向に折り曲げられる。従って、上下方向及び前後方向は、
図4に示すように、伝送線路10の位置によって異なる。積層体12が折り曲げられていない非曲げ区間A1及び非曲げ区間A3(例えば、(1)の位置)では、上下方向及び前後方向のそれぞれは、z軸方向及びx軸方向と一致する。一方、積層体12が折り曲げられている曲げ区間A2(例えば、(2)の位置)では、上下方向及び前後方向のそれぞれは、z軸方向及びx軸方向と一致しない。
【0053】
電子機器1は、
図4に示すように、伝送線路10、コネクタ32a,32b,102a,102b、回路基板100,110を備えている。
【0054】
回路基板100,110は、板形状を有している。回路基板100は、主面S5,S6を有している。主面S5は、主面S6よりz軸の負方向側に位置する。回路基板110は、主面S11,S12を有している。主面S11は、主面S12よりz軸の負方向側に位置する。回路基板100,110は、図示しない配線導体層やグランド導体層、電極等を含んでいる。
【0055】
コネクタ32a,32bのそれぞれは、非曲げ区間A1及び非曲げ区間A3のz軸の正方向側の主面(上主面)に実装されている。より詳細には、コネクタ32aは、開口h1~h3から露出している信号端子28a及びグランド端子29a,30aに実装される。
【0056】
コネクタ32bは、開口h4~h6から露出している信号端子28b及びグランド端子29b,30bに実装される。
【0057】
コネクタ102a,102bのそれぞれは、回路基板100の主面S5及び回路基板110の主面S11に実装されている。コネクタ102a,102bのそれぞれは、コネクタ32a,32bに接続されている。これにより、伝送線路10は、回路基板100と回路基板110とを電気的に接続している。
【0058】
[効果]
伝送線路10によれば、信号導体層22に発生している特性インピーダンスが急激に変化することを抑制できる。より詳細には、第1部分幅極大部P11は、第1部分B11において、第1部分B11の左右方向(第2直交方向)の幅が第1部分幅極大値A11を取る部分である。従って、信号導体層22に発生している特性インピーダンスは、第1部分幅極大部P11において極大値を取りうる。第1部分幅極小部P12は、第1部分B11において、第1部分B11の左右方向(第2直交方向)の幅が第1部分幅極小値A12を取る部分である。従って、信号導体層22に発生している特性インピーダンスは、第1部分幅極小部P12において極小値を取りうる。第1部分幅中間部P13は、第1部分B11において、第1部分B11の左右方向(第2直交方向)の幅が第1部分幅中間値A13を取る部分である。従って、信号導体層22に発生している特性インピーダンスは、第1部分幅中間部P13において中間値を取りうる。そして、第1部分幅中間部P13は、前後方向において、第1部分幅極大部P11と第1部分幅極小部P12との間に位置する。これにより、第1部分幅極大部P11と第1部分幅極小部P12との間において、信号導体層22の周囲に存在する空気の量が、極大値、中間値及び極小値と変化するようになる。信号導体層22と第1グランド導体層24との間に形成される容量、及び/又は、信号導体層22と第2グランド導体層26との間に形成される容量の大きさが、極大値、中間値及び極小値と変化するようになる。そして、信号導体層22に発生している特性インピーダンスは、極大値、中間値及び極小値と変化するようになる。すなわち、信号導体層22に発生している特性インピーダンスが、極大値から中間値を経ることなく極小値へと変化することがなくなる。よって、信号導体層22に発生している特性インピーダンスの変化が穏やかになる。以上より、伝送線路10によれば、信号導体層22に発生している特性インピーダンスが急激に変化することを抑制できる。
【0059】
伝送線路10によれば、中空部H1の変形を抑制できる。第1部分幅中間部P13は、前後方向において、第1部分幅極大部P11と第1部分幅極小部P12との間に位置する。そのため、中空部H1は、中空部H1の左右方向の幅が大きい部分と中空部H1の左右方向の幅が小さい部分とこれらを接続する部分とを有する。中空部H1の左右方向の幅が小さい部分では、中空部H1が変形しにくい。これにより、中空部H1の左右方向の幅が大きい部分が変形することが、中空部H1の左右方向の幅が小さい部分により妨げられるようになる。すなわち、中空部H1の全体の変形が抑制される。
【0060】
伝送線路10によれば、伝送線路10の伝送損失の低減を図ることができる。より詳細には、絶縁体層18aには、絶縁体層18aを上下方向に貫通する中空部H1が設けられている。低い誘電率及び低い誘電正接を有する空気が中空部H1内に存在する。そのため、信号導体層22の周囲の誘電率及び誘電正接が低くなる。その結果、伝送線路10では、信号導体層22を伝送される高周波信号に誘電損が発生することが抑制されるので、伝送線路10の伝送損失が低くなる。中空部H2も、中空部H1と同じ理由により、伝送線路10の伝送損失の低減に寄与する。
【0061】
伝送線路10によれば、第1グランド導体層24に開口が設けられていない。これにより、伝送線路10に金属体が近づけられたときに、信号導体層22と金属体との間に容量が形成されにくい。その結果、信号導体層22に発生している特性インピーダンスが変動しにくい。
【0062】
伝送線路10によれば、第1グランド導体層24に開口が設けられていない。これにより、信号導体層22から伝送線路10の外部に電磁波が放射されることが抑制される。その結果、電磁波の放射による損失が、信号導体層22を伝送される高周波信号に発生しにくい。
【0063】
伝送線路10によれば、層間接続導体v1の形成が容易である。より詳細には、第1部分幅極小部P12では、第1部分B11の左右方向における幅が小さい。そのため、層間接続導体v1を形成するためのスペースの確保が容易である。そこで、層間接続導体v1の前後方向における位置は、第1部分幅極小部P12の前後方向における位置と一致している。これにより、伝送線路10では、層間接続導体v1の形成が容易である。同じ理由により、層間接続導体v2の形成が容易である。
【0064】
(第1変形例)
以下に、第1変形例に係る伝送線路10aについて図面を参照しながら説明する。
図5は、伝送線路10aを上下方向に透視した図である
。
【0065】
伝送線路10aは、中空部H1,H2の形状において伝送線路10と相違する。より詳細には、第1部分B11の第1周期構造の位相と第3部分B13の第3周期構造の位相とが半周期ずれている。従って、複数の第1部分幅極大部P11の前後方向における位置のそれぞれは、複数の第3部分幅極小部P32の前後方向における位置と一致している。複数の第1部分幅極小部P12の前後方向における位置のそれぞれは、複数の第3部分幅極大部P31の前後方向における位置と一致している。中空部H2は、中空部H1と上下対称な構造を有するので説明を省略する。また、伝送線路10aのその他の構造は、伝送線路10と同じであるので説明を省略する。
【0066】
伝送線路10aにおける信号導体層22に発生している特性インピーダンスの変化の周期が、伝送線路10における信号導体層22に発生している特性インピーダンスの変化の周期の半分となる。具体的には、伝送線路10では、ジグザグ形状の内壁E11の2本の直線の前後方向の長さL1が、信号導体層22に発生している特性インピーダンスの変化の周期である。一方、ジグザグ形状の内壁E11の1本の直線の前後方向の長さL2が、信号導体層22に発生している特性インピーダンスの変化の周期である。これにより、伝送線路10aにおいて反射により生じる定在波の周波数は、伝送線路10において反射により生じる定在波の周波数の2倍になる。そのため、定在波の周波数は、信号導体層22を伝送される高周波信号の周波数から離れる。その結果、伝送線路10aにおいて、反射により生じる高周波信号の伝送ロスが低減される。
【0067】
また、伝送線路10aでは、伝送線路10と比べ、第1部分B11の左右方向の幅と第3部分の左右方向の幅との合計の変化が小さい。そのため、信号導体層22に発生している特性インピーダンスの変化が小さくなるので、信号導体層22における高周波信号の反射が低減される。
【0068】
伝送線路10aによれば、伝送線路10の効果に加えて、中空部H1,H2の変形を抑制できる。より詳細には、伝送線路10の構造において、中空部H1,H2の左右方向の幅の変化の周期は、長さL1である。伝送線路10aの構造において、中空部H1,H2の左右方向の幅の変化の周期は、長さL2である。長さL2は、長さL1の半分である。
【0069】
このように、中空部H1,H2の左右方向の幅の変化の周期が短くなると、中空部H1,H2の左右方向の幅の大きな部分の長さが短くなる。中空部H1,H2の左右方向の幅の大きな部分が短くなると、中空部H1,H2が変形しにくくなる。
【0070】
(第2変形例)
以下に、第2変形例に係る伝送線路10bについて図面を参照しながら説明する。
図6は、伝送線路10bを上下方向に透視した図である。
【0071】
伝送線路10bは、中空部H1,H2の形状において伝送線路10と相違する。より詳細には、伝送線路10bでは、複数の中空部H1が積層体12に設けられている。複数の中空部H1は、上下方向に見て、前後方向に延びる長軸を有する楕円形状を有している。
【0072】
従って、複数の中空部H1の左右方向の幅は、連続的に変化している。また、複数の中空部H1は、上下方向に見て、前後方向に等間隔に並んでいる。
【0073】
伝送線路10bの第1部分B11では、第1部分B11の前端又は第1部分B11の後端が、第1部分幅極小部P12である。第1部分B11の前端と第1部分B11の後端との中点が、第1部分幅極大部P11である。また、伝送線路10bの第3部分B13では、第3部分B13の前端又は第3部分B13の後端が、第3部分幅極小部P32である。
【0074】
第3部分B13の前端と第3部分B13の後端との中点が、第3部分幅極大部P31である。なお、中空部H2は、中空部H1と上下対称な構造を有しているので説明を省略する。また、伝送線路10bのその他の構造は、伝送線路10と同じであるので説明を省略する。伝送線路10bは、伝送線路10と同様の効果を奏することができる。
【0075】
伝送線路10bでは、複数の中空部H1の間に絶縁体層18aの一部が存在する。同様に、複数の中空部H2の間に絶縁体層18bの一部が存在する。絶縁体層18a,18bの一部は、支柱として機能する。そのため、複数の中空部H1,H2が変形することが抑制される。
【0076】
(第3変形例)
以下に、第3変形例に係る伝送線路10cについて図面を参照しながら説明する。
図7は、伝送線路10cを上下方向に透視した図である。
【0077】
伝送線路10cは、中空部H1,H2の形状において伝送線路10bと相違する。より詳細には、中空部H1の左右方向の幅は、不連続に変化している。より詳細には、中空部H1の前端部の左右方向の幅、及び、中空部H1の後端部の左右方向の幅は、中空部H1の中間部の左右方向の幅より小さい。
【0078】
伝送線路10cの第1部分B11では、第1部分B11の前端又は第1部分B11の後端が、第1部分幅極小部P12である。第1部分B11の中間部が、第1部分幅極大部P11である。第3部分B13では、第3部分B13の前端又は第3部分B13の後端が、第3部分幅極小部P32である。第3部分B13の中間部が、第3部分幅極大部P31である。なお、中空部H2は、中空部H1と上下対称な構造を有するので説明を省略する。また、伝送線路10cのその他の構造は、伝送線路10bと同じであるので説明を省略する。伝送線路10cは、伝送線路10bと同様の効果を奏することができる。
【0079】
(第4変形例)
以下に、第4変形例に係る伝送線路10dについて図面を参照しながら説明する。
図8は、伝送線路10dを上下方向に透視した図である。
【0080】
伝送線路10dは、中空部H1,H2の形状において伝送線路10bと相違する。より詳細には、複数の中空部H1は、複数の第1中空部H4及び複数の第2中空部H5を含んでいる。複数の第1中空部H4及び複数の第2中空部H5は、上下方向に見て、長方形と2つの半円とが組み合わされた形状を有している。具体的には、複数の第1中空部H4及び複数の第2中空部H5は、長方形の前端に前方向に突出する半円が連結され、かつ、長方形の後端に後方向に突出する半円が連結された形状を有している。
【0081】
複数の第1中空部H4は、信号導体層22の左に設けられている。従って、複数の第1中空部H4は、第1部分B11を含みかつ第3部分B13を含まない。複数の第1中空部H4は、前後方向に等間隔に並んでいる。
【0082】
複数の第2中空部H5は、信号導体層22の右に設けられている。従って、複数の第2中空部H5は、第3部分B13を含みかつ第1部分B11を含まない。複数の第2中空部H5は、前後方向に等間隔に並んでいる。ただし、複数の第1中空部H4と複数の第2中空部H5は、前後方向において交互に並んでいる。中空部H2は、中空部H1と上下対称な構造を有するので説明を省略する。また、伝送線路10dのその他の構造は、伝送線路10aと同じであるので説明を省略する。伝送線路10dは、伝送線路10aと同様の効果を奏することができる。
【0083】
伝送線路10dによれば、伝送線路10aと同じ理由により、反射により生じる高周波信号のロスが低減される。更に、伝送線路10dによれば、伝送線路10aと同じ理由により、中空部H1,H2の変形を抑制できる。
【0084】
(第5変形例)
以下に、第5変形例に係る伝送線路10eについて図面を参照しながら説明する。
図9は、伝送線路10eを上下方向に透視した図である。
【0085】
伝送線路10eは、第1中空部H4の形状及び第2中空部H5の形状において伝送線路10dと相違する。より詳細には、第1中空部H4及び第2中空部H5は、二等辺三角形状を有している。第1中空部H4の底辺は、信号導体層22と平行である。また、第1中空部H4の頂点は、第1中空部H4の底辺の左に位置している。第2中空部H5の底辺は、信号導体層22と平行である。また、第2中空部H5の頂点は、第2中空部H5の底辺の右に位置している。中空部H2は、中空部H1と上下対称な構造を有するので説明を省略する。また、伝送線路10eのその他の構造は、伝送線路10dと同じであるので説明を省略する。伝送線路10eは、伝送線路10dと同様の効果を奏することができる。
【0086】
伝送線路10eでは、第1中空部H4の左右方向の幅、及び、第2中空部H5の左右方向の幅は、連続的に変化している。これにより、信号導体層22に発生している特性インピーダンスも、連続的に変化するようになる。
【0087】
(第6変形例)
以下に、第6変形例に係る伝送線路10fについて図面を参照しながら説明する。
図10は、伝送線路10fの左右方向に垂直な断面図である。
図11は、伝送線路10fを上下方向に透視した図である。
図12は、伝送線路10fの前後方向に垂直な断面図である。
【0088】
伝送線路10eでは、第1直交方向が上下方向であるのに対して、伝送線路10fでは、第1直交方向が左右方向である。また、伝送線路10eでは、第2直交方向が左右方向であるのに対して、伝送線路10fでは、第2直交方向が上下方向である。また、伝送線路10fにおける中空部H1,H2、第1中空部H4、第2中空部H5、第1部分B11及び第3部分B13は、伝送線路10eにおける中空部H101,H102、第1中空部H104、第2中空部H105、第1部分B111及び第3部分B113に対応する。
【0089】
伝送線路10eでは、上下方向(第1直交方向)に見て、中空部H1は、信号導体層22の左(第2直交方向)に位置する第1中空部H4(第1部分B11)を含んでいる。中空部H1は、信号導体層22の右(第3直交方向)に位置する第2中空部H5(第3部分B13)を含んでいる。
【0090】
一方、伝送線路10fでは、左右方向(第1直交方向)に見て、中空部H101は、信号導体層22の上(第2直交方向)に位置する第1中空部H104(第1部分B111)を含んでいる。中空部H101は、信号導体層22の下(第3直交方向)に位置する第2中空部H105(第3部分B113)を含んでいる。
【0091】
第1中空部H104及び第2中空部H105は、四角錘形状の右半分である。第1中空部H104の頂点は、第1中空部H104の底面の上に位置している。第2中空部H105の頂点は、第2中空部H105の底面の下に位置している。従って、第1中空部H104及び第2中空部H105は、
図10に示すように、左右方向に見て、三角形状を有している。第1中空部H104及び第2中空部H105は、
図11に示すように、上下方向に見て、長方形状を有している。第1中空部H104及び第2中空部H105は、
図12に示すように、前後方向に見て、三角形状を有している。また、中空部H102は、中空部H101と左右対称な構造を有している。伝送線路10fは、伝送線路10eと同様の効果を奏することができる。
【0092】
伝送線路10fによれば、第1中空部H104及び第2中空部H105が変形することが抑制される。より詳細には、第1中空部H104の頂点は、第1中空部H104の底面の上に位置している。そのため、第1グランド導体層24の近傍において絶縁体層18aに対して第1中空部H104が占める割合が低い。そのため、第1グランド導体層24が変形しにくい。同様に、第2中空部H105の頂点は、第2中空部H105の底面の下に位置している。そのため、第2グランド導体層26の近傍において絶縁体層18bに対して第2中空部H105が占める割合が低い。そのため、第2グランド導体層26が変形しにくい。その結果、第1中空部H104及び第2中空部H105が変形することが抑制される。
【0093】
(第7変形例)
以下に、第7変形例に係る伝送線路10gについて図面を参照しながら説明する。
図13は、伝送線路10gの左右方向に垂直な断面図である。
【0094】
伝送線路10fでは、複数の第1中空部H104の頂点それぞれは、複数の第2中空部H105の頂点の上に位置している。従って、第1中空部H104の周期構造の位相と第2中空部H105の周期構造の位相とが一致している。一方、伝送線路10gでは、複数の第1中空部H104の頂点それぞれは、複数の第2中空部H105の頂点の上に位置していない。複数の第1中空部H104及び複数の第2中空部H105は、前後方向において交互に並んでいる。これにより、第1中空部H104の周期構造の位相と第2中空部H105の周期構造の位相とが半周期ずれている。伝送線路10gのその他の構造は、伝送線路10fと同じであるので説明を省略する。伝送線路10gは、伝送線路10fと同様の効果を奏することができる。
【0095】
伝送線路10gによれば、伝送線路10fと同じ理由により、反射により生じる高周波信号のロスが低減される。更に、伝送線路10gによれば、伝送線路10fと同じ理由により、中空部H101,H102の変形を抑制できる。
【0096】
(第8変形例)
以下に、第8変形例に係る伝送線路10hについて図面を参照しながら説明する。
図14は、伝送線路10hの左右方向に垂直な断面図である。
【0097】
伝送線路10gでは、複数の第1中空部H104の頂点は、複数の第1中空部H104の底面の上に位置している。また、複数の第2中空部H105の頂点は、複数の第2中空部H105の底面の下に位置している。一方、伝送線路10hでは、複数の第1中空部H104の頂点は、複数の第1中空部H104の底面の下に位置している。また、複数の第2中空部H105の頂点は、複数の第2中空部H105の底面の上に位置している。伝送線路10hのその他の構造は、伝送線路10gと同じであるので説明を省略する。伝送線路10hは、伝送線路10gと同様の効果を奏することができる。
【0098】
伝送線路10hでは、第1中空部H104の頂点は、第1中空部H104の底面の下に位置している。そのため、信号導体層22の近傍において絶縁体層18aに対して第1中空部H104が占める割合が低い。同様に、第2中空部H105の頂点は、第2中空部H105の底面の上に位置している。そのため、信号導体層22の近傍において絶縁体層18bに対して第2中空部H105が占める割合が低い。従って、信号導体層22の周囲に絶縁体層18a,18bが多く存在する。これにより、信号導体層22に発生している特性インピーダンスの変動が抑制される。更に、信号導体層22が第1中空部H104に露出する面積が小さくなるので、信号導体層22の酸化等の劣化が抑制される。
【0099】
(第9変形例)
以下に、第9変形例に係る伝送線路10iについて図面を参照しながら説明する。
図15は、伝送線路10iの左右方向に垂直な断面図である。
【0100】
伝送線路10iは、第1中空部H104及び第2中空部H105が四角錘台形状の右半分である点において、伝送線路10fと相違する。これにより、第1中空部H104は、第1グランド導体層24に接していない。第2中空部H105は、第2グランド導体層26に接していない。
【0101】
伝送線路10iは、伝送線路10fと同様の効果を奏することができる。伝送線路10iによれば、伝送線路10fと同じ理由により、反射により生じる高周波信号のロスが低減される。更に、伝送線路10iによれば、伝送線路10fと同じ理由により、中空部H101,H102の変形を抑制できる。
【0102】
(第10変形例)
以下に、第10変形例に係る伝送線路10jについて図面を参照しながら説明する。
図16は、伝送線路10jの左右方向に垂直な断面図である。
【0103】
伝送線路10jは、第1中空部H104及び第2中空部H105の上下方向が逆になっている点において、伝送線路10iと相違する。これにより、第1中空部H104は、信号導体層22に接していない。第2中空部H105は、絶縁体層16bに接していない。
【0104】
伝送線路10jは、伝送線路10iと同様の効果を奏することができる。伝送線路10jでは、伝送線路10iと同じ理由により、信号導体層22に発生している特性インピーダンスの変動が抑制される。更に、信号導体層22が第1中空部H104に露出しないので、信号導体層22の酸化等の劣化が抑制される。
【0105】
(第11変形例)
以下に、第11変形例に係る伝送線路10kについて図面を参照しながら説明する。
図17は、伝送線路10kの左右方向に垂直な断面図である。
【0106】
伝送線路10kは、第1中空部H104及び第2中空部H105の形状において伝送線路10fと相違する。より詳細には、伝送線路10i,10jでは、第1中空部H104及び第2中空部H105は、四角錘台形状の右半分である。伝送線路10fの第1中空部H104及び第2中空部H105の側面は、平面である。一方、伝送線路10kの第1中空部H104及び第2中空部H105の側面は、階段形状である。伝送線路10kのその他の構造は、伝送線路10fと同じであるので説明を省略する。伝送線路10kは、伝送線路10fと同様の効果を奏することができる。
【0107】
以上のような第1中空部H104及び第2中空部H105は、複数層の絶縁体層に異なる大きさの孔を形成し、複数の絶縁体層を重ねることにより、形成される。
【0108】
(第12変形例)
以下に、第12変形例に係る伝送線路10lについて図面を参照しながら説明する。
図18は、伝送線路10lの左右方向に垂直な断面図である。
【0109】
伝送線路10lは、第1中空部H104が第1グランド導体層24に接していない点、及び、第2中空部H105の第2グランド導体層26に接していない点において、伝送線路10kと相違する。伝送線路10lのその他の構造は、伝送線路10kと同じであるので説明を省略する。伝送線路10lは、伝送線路10kと同様の効果を奏することができる。
【0110】
(第13変形例)
以下に、第13変形例に係る伝送線路10mについて図面を参照しながら説明する。
図19は、伝送線路10mを上下方向に透視した図である。
図20は、伝送線路10mの左右方向に垂直な断面図である。
【0111】
伝送線路10mは、絶縁体層18a,18bのそれぞれに多数の中空部H1,H2が設けられている点において、伝送線路10と相違する。より詳細には、複数の絶縁体層18aは、多孔質材料により作製されている。多数の中空部H1は、円錐台形状を有している。多数の中空部H1の半径は、下から上へと行くにしたがって小さくなっている。複数の中空部H1は、前後方向に並んでいる。ただし、複数の中空部H1は、3列に並んでいる。以下では、真ん中の列を第1列L11と呼ぶ。左側の列を第2列L12と呼ぶ。右側の列を第3列L13と呼ぶ。
【0112】
第1列L11の複数の中空部H1は、上下方向に見て、信号導体層22と重なっている。そのため、第1列L11の中空部H1は、第1部分B11及び第3部分B13を含んでいる。第1部分B11は、上下方向(第1直交方向)に見て、中空部H1において信号導体層22の左(第2直交方向)に位置する部分である。第3部分B13は、上下方向(第1直交方向)に見て、中空部H1において信号導体層22の右(第3直交方向)に位置する部分である。
【0113】
第2列L12の複数の中空部H1は、上下方向に見て、信号導体層22の左に位置している。そのため、第2列L12の複数の中空部H1は、第1部分B11を含みかつ第3部分B13を含まない。すなわち、第2列L12の複数の中空部H1は、複数の第1中空部H4である。
【0114】
第3列L13の複数の中空部H1は、上下方向に見て、信号導体層22の右に位置している。そのため、第3列L13の複数の中空部H1は、第3部分B13を含みかつ第1部分B11を含まない。すなわち、第3列L13の複数の中空部H1は、複数の第2中空部H5である。
【0115】
ここで、第1列L11の中空部H1に着目して説明する。第1列L11の中空部H1は、第1部分B11及び第3部分B13を含んでいる。第1列L11の第1部分B11は、上下方向(第1直交方向)に見て、中空部H1において信号導体層22の左(第2直交方向)に位置する部分である。第1部分B11は、上下方向に見て、半円形状を有している。
【0116】
第1部分B11の左右方向(第2直交方向)の幅は、第1部分幅極大値A11、第1部分幅極小値A12及び第1部分幅中間値A13を取る。第1部分幅中間値A13は、第1部分幅極大値A11より小さくかつ第1部分幅極小値A12より大きい。ここで、第1部分幅極大部P11、第1部分幅極小部P12及び第1部分幅中間部P13を以下の様に定義する。
【0117】
第1部分幅極大部P11:第1部分B11において、第1部分B11の左右方向(第2直交方向)の幅が第1部分幅極大値A11を取る部分
第1部分幅極小部P12:第1部分B11において、第1部分B11の左右方向(第2直交方向)の幅が第1部分幅極小値A12を取る部分
第1部分幅中間部P13:第1部分B11において、第1部分B11の左右方向(第2直交方向)の幅が第1部分幅中間値A13を取る部分
このとき、第1部分幅中間部P13は、前後方向において、第1部分幅極大部P11と第1部分幅極小部P12との間に位置する。本実施形態では、そのため、第1部分B11の左右方向(第2直交方向)の幅は、第1部分幅極小部P12と第1部分幅極大部P11との間において、連続的に増加している。従って、第1部分幅中間部P13は、第1部分幅極小部P12と第1部分幅極大部P11との間の区間である。なお、第3部分B13は、第1部分B11と左右対称な構造を有するので説明を省略する。
【0118】
また、中空部H1は、
図20に示すように、左右方向(第2直交方向)に見て、信号導体層22の上(第1直交方向)に位置する第2部分B12を含んでいる。第2部分B12の上下方向(第1直交方向)の幅は、第2部分幅極大値A21、第2部分幅極小値A22及び第2部分幅中間値A23を取る。第2部分幅中間値A23は、第2部分幅極大値A21より小さくかつ第2部分幅極小値A22より大きい。ここで、第2部分幅極大部P21、第2部分幅極小部P22及び第2部分幅中間部P23を以下の様に定義する。
【0119】
第2部分幅極大部P21:第2部分B12において、第2部分B12の上下方向(第1直交方向)の幅が第2部分幅極大値A21を取る部分
第2部分幅極小部P22:第2部分B12において、第2部分B12の上下方向(第1直交方向)の幅が第2部分幅極小値A22を取る部分
第2部分幅中間部P23:第2部分B12において、第2部分B12の上下方向(第1直交方向)の幅が第2部分幅中間値A23を取る部分
このとき、第2部分幅中間部P23は、前後方向において、第2部分幅極大部P21と第2部分幅極小部P22との間に位置する。なお、中空部H2は、中空部H1と上下対称な構造を有するので説明を省略する。また、伝送線路10mのその他の構造は、伝送線路10と同じであるので説明を省略する。
【0120】
伝送線路10mによれば、伝送線路10の効果に加えて、複数の中空部H1,H2が小さいので、絶縁体層18a,18bから樹脂を除去する量が少なくて済む。その結果、絶縁体層18a,18bの加工時間が短くなる。
【0121】
(第14変形例)
以下に、第14変形例に係る伝送線路10nについて図面を参照しながら説明する。
図21は、伝送線路10nの前後方向に垂直な断面図である。
【0122】
伝送線路10nは、第1グランド導体層24及び第2グランド導体層26が設けられている位置において、伝送線路10と相違する。第1グランド導体層24は、絶縁体層16aの上主面に設けられている。第2グランド導体層26は、絶縁体層16cの下主面に設けられている。なお、伝送線路10a~10mにおいても、第1グランド導体層24が、絶縁体層16aの上主面に設けられ、第2グランド導体層26が、絶縁体層16cの下主面に設けられてもよい。伝送線路10nは、伝送線路10bと同様の効果を奏することができる。
【0123】
(第15変形例)
以下に、第15変形例に係る伝送線路10oについて図面を参照しながら説明する。
図22は、伝送線路10oの前後方向に垂直な断面図である。
【0124】
伝送線路10oは、絶縁体層18a,18bの材料において、伝送線路10nと相違する。より詳細には、絶縁体層18a,18bの材料は、絶縁体層16a~16cの材料と同じである。これにより、絶縁体層16a~16c,18a,18bは、熱圧着により溶着されている。なお。伝送線路10,10a~10mにおいても、絶縁体層18a,18bの材料は、絶縁体層16a~16cの材料と同じであってもよい。伝送線路10oは、伝送線路10nと同様の効果を奏することができる。
【0125】
(第16変形例)
以下に、第16変形例に係る伝送線路10pについて図面を参照しながら説明する。
図23は、伝送線路10pの前後方向に垂直な断面図である。
【0126】
伝送線路10pは、絶縁体層16a,16cを備えていない点において伝送線路10oと相違する。絶縁体層18a,18bの材料が絶縁体層16a~16cの材料と同じである場合、絶縁体層16a,16cが不要である。伝送線路10pは、伝送線路10oと同様の効果を奏することができる。
【0127】
(第17変形例)
以下に、第17変形例に係る伝送線路10qについて図面を参照しながら説明する。
図24は、伝送線路10qの前後方向に垂直な断面図である。
【0128】
伝送線路10qは、上下方向に見て、中空部H1,H2と重なる領域に絶縁体層16bが存在しない点において、伝送線路10と相違する。すなわち、中空部H1と中空部H2とが繋がっている。そして、前後方向に直交する断面において、信号導体層22の外縁の全体が、中空部H1,H2に面している。伝送線路10qのその他の構造は、伝送線路10と同じであるので説明を省略する。伝送線路10qは、伝送線路10と同じ作用効果を奏することができる。
【0129】
また、伝送線路10qでは、信号導体層22が空気に接する面積が大きくなる。伝送線路10qにおいて発生する誘電損が低減される。
【0130】
(第18変形例)
以下に、第18変形例に係る伝送線路10rについて図面を参照しながら説明する。
図25は、伝送線路10rの前後方向に垂直な断面図である。
図25は、中空部H1,H2が存在する区間における断面図である。
【0131】
伝送線路10rは、以下の点において伝送線路10qと相違する。
・保護層20a、絶縁体層16a及び第1グランド導体層24の中空部H1と上下方向に重なる部分が、下方向に突出している。
・保護層20b、絶縁体層16c及び第2グランド導体層26の中空部H2と上下方向に重なる部分が、上方向に突出している。
【0132】
伝送線路10rが以上の構造を有することにより、第1グランド導体層24には、信号導体層22に沿う窪みが形成される。同様に、第2グランド導体層26には、信号導体層22に沿う窪みが形成される。伝送線路10rのその他の構造は、伝送線路10qと同じであるので説明を省略する。伝送線路10rは、伝送線路10qと同じ作用効果を奏することができる。
【0133】
伝送線路10rによれば、信号導体層22が位置する部分の伝送線路10rの上下方向の厚みが薄いので、中空部H1,H2が存在しない区間において絶縁体層16a~16c,18a,18bが密着する。また、接着層が圧着時に中空部H1,H2に押し出されることにより、絶縁体層16a~16c,18a,18bに接着剤が付着する面積が増大する。これにより、絶縁体層16a~16c,18a,18bが密着する。更に、第1グランド導体層24及び第2グランド導体層26に窪みが設けられることにより、第1グランド導体層24の断面2次モーメント及び第2グランド導体層26の断面2次モーメントが大きくなる。よって、第1グランド導体層24及び第2グランド導体層26が上下方向に曲がりにくくなる。その結果、非曲げ区間A1,A3に不要な変形が発生することが抑制される。
【0134】
(その他の実施形態)
本発明に係る伝送線路は、伝送線路10,10a~10rに限らず、その要旨の範囲内において変更可能である。なお、伝送線路10,10a~10rの構成を任意に組み合わせてもよい。
【0135】
なお、伝送線路10,10a~10rは、複数本の信号導体層を備えていてもよい。この場合、複数本の信号導体層は、例えば、差動伝送線路を形成していてもよい。また、複数本の信号導体層は、同じ絶縁体層上に設けられていなくてもよい。
【0136】
なお、伝送線路10,10a~10rにおいて、信号端子28a,28b及びグランド端子29a,29b,30a,30bは、積層体12の下主面に設けられてもよい。
【0137】
なお、伝送線路10,10a~10rは、ストリップライン線路に加えて、他の回路を更に備えていてもよい。
【0138】
なお、伝送線路10,10a~10rには、コネクタ32a,32b以外に電子部品が実装されてもよい。
【0139】
なお、伝送線路10,10a~10rは、上下方向に見て、直線形状を有している。しかしながら、伝送線路10,10a~10rは、曲がっていてもよい。ここでの「伝送線路10,10a~10rが曲がっている」とは、伝送線路10,10a~10rに外力を加えない状態で曲がった形状を有していることを意味する。なお、この場合、前後方向は、信号導体層22の位置によって異なる。
【0140】
なお、伝送線路10,10a~10rにおいて、中空部H1,H101及び中空部H2,H102は、非曲げ区間A1,A3に設けられ、曲げ区間A2に設けられなくてもよい。
【0141】
なお、第2グランド導体層26は、必須の構成ではない。この場合、信号導体層22及び第1グランド導体層24は、マイクロストリップライン構造を構成する。
【0142】
なお、絶縁体層16bの上主面に更に絶縁体層が積層されていてもよい。この場合、信号導体層22は、絶縁体層と絶縁体層16bとに挟まるので、中空部H1に露出しなくなる。
【0143】
なお、伝送線路10,10a~10e,10n~10qにおいて、伝送線路10rのように第1グランド導体層24の一部分を下方向に突出させると共に、第2グランド導体層26の一部分を上方向に突出させてもよい。
【0144】
なお、伝送線路10,10a~10pにおいて、前後方向に直交する断面において、信号導体層22の外縁の全体が、中空部H1,H2に面していてもよい。
【符号の説明】
【0145】
1:電子機器
10,10a~10r:伝送線路
12:積層体
16a~16c,18a,18b:絶縁体層
20a,20b:保護層
22:信号導体層
24:第1グランド導体層
26:第2グランド導体層
27:第3グランド導体層
32a,32b,102a,102b:コネクタ
100,110:回路基板
A11:第1部分幅極大値
A12:第1部分幅極小値
A13:第1部分幅中間値
A2:曲げ区間
A21:第2部分幅極大値
A22:第2部分幅極小値
A23:第2部分幅中間値
A1,A3:非曲げ区間
A31:第3部分幅極大値
A32:第3部分幅極小値
A33:第3部分幅中間値
B11,B111:第1部分
B12:第2部分
B13,B113:第3部分
E11,E13:内壁
H1,H101:中空部
H2,H102:中空部
H4,H104:第1中空部
H5,H105:第2中空部
I11:特性インピーダンス極大値
I12:特性インピーダンス極小値
I13:特性インピーダンス中間値
L11:第1列
L12:第2列
L13:第3列
P11:第1部分幅極大部
P12:第1部分幅極小部
P13:第1部分幅中間部
P21:第2部分幅極大部
P22:第2部分幅極小部
P23:第2部分幅中間部
P31:第3部分幅極大部
P32:第3部分幅極小部
P33:第3部分幅中間部
h1~h6:開口
p11:特性インピーダンス極大部
p12:特性インピーダンス極小部
p13:特性インピーダンス中間部
v1~v8:層間接続導体