IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 住友ゴム工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-重荷重用空気入りタイヤ 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】重荷重用空気入りタイヤ
(51)【国際特許分類】
   B60C 1/00 20060101AFI20240925BHJP
   B60C 11/03 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
B60C1/00 A
B60C11/03 Z
B60C11/03 100B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023010969
(22)【出願日】2023-01-27
(62)【分割の表示】P 2018200013の分割
【原出願日】2018-10-24
(65)【公開番号】P2023052697
(43)【公開日】2023-04-11
【審査請求日】2023-01-27
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】姫田 眞吾
【審査官】山本 晋也
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-095014(JP,A)
【文献】特開2003-252009(JP,A)
【文献】特開2015-027845(JP,A)
【文献】特開2005-232407(JP,A)
【文献】特開2015-206029(JP,A)
【文献】特開2016-089015(JP,A)
【文献】特開2017-105884(JP,A)
【文献】特開2010-275359(JP,A)
【文献】特開2000-219778(JP,A)
【文献】特開2016-199723(JP,A)
【文献】特開平06-192480(JP,A)
【文献】国際公開第2018/190429(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 1/00- 19/12
C08L 1/00-101/14
C08K 3/00- 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレッド部が、イソプレン系ゴム、ブタジエン系ゴム、スチレンブタジエン系ゴム、並びに、平均粒子径20nm以下及び/又は臭化セチルトリメチルアンモニウム吸着比表面積130m/g以上のカーボンブラックを含むゴム組成物で構成され、かつランド比が81%以上である重荷重用空気入りタイヤであって、
前記ゴム組成物は、
ゴム成分100質量%中の前記イソプレン系ゴムの含有量が5質量%以上30質量%以下、前記ブタジエン系ゴムの含有量が10質量%以上、前記スチレンブタジエン系ゴムの含有量が5質量%以上であり、
ゴム成分100質量部に対する前記カーボンブラックの含有量が5質量部以上30質量部以下である重荷重用空気入りタイヤ。
【請求項2】
トレッド部が、イソプレン系ゴム、ブタジエン系ゴム、スチレンブタジエン系ゴム、並びに、平均粒子径20nm以下及び/又は臭化セチルトリメチルアンモニウム吸着比表面積130m /g以上のカーボンブラックを含むゴム組成物で構成され、かつランド比が81%以上である重荷重用空気入りタイヤであって、
前記ゴム組成物は、
ゴム成分100質量%中の前記イソプレン系ゴムの含有量が5質量%以上30質量%以下、前記ブタジエン系ゴムの含有量が10質量%以上60質量%以下、前記スチレンブタジエン系ゴムの含有量が5質量%以上60質量%以下であり、
ゴム成分100質量部に対する前記カーボンブラックの含有量が5質量部以上30質量部以下である重荷重用空気入りタイヤ。
【請求項3】
前記ゴム組成物は、ゴム成分100質量%中の総スチレン量が6.0~11.0質量%である請求項1又は2記載の重荷重用空気入りタイヤ。
【請求項4】
前記ゴム組成物は、更に平均粒子径20nm超25nm以下及び/又は臭化セチルトリメチルアンモニウム吸着比表面積100m/g以上130m/g未満のカーボンブラックを含む請求項1~3のいずれかに記載の重荷重用空気入りタイヤ。
【請求項5】
前記ゴム組成物は、耐摩耗性能指数が140以上である請求項1~4のいずれかに記載の重荷重用空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重荷重用空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、トラックやバスなどの大型車両等に用いられる重荷重用タイヤのトレッド部には、タイヤ周方向に連続して延びる複数本の主溝と、これらの主溝で区分された陸部とが設けられている。このような重荷重用タイヤにおいて、環境面等の観点から、タイヤのトータルライフ、耐摩耗性能(高シビアリティ)が必要とされ、例えば、トレッドパターン、配合面からの改良が進められている。
【0003】
例えば、特許文献1には、トレッド部にタイヤ周方向にジグザグ状に連続して延びる周方向溝と、該周方向溝間に複数のセンターブロックを区分するように配されたセンター傾斜溝とを有する重荷重用タイヤにおいて、センターブロックに所定形状を付与し、優れた耐摩耗性能等が得られる重荷重用タイヤが開示されている。このように、環境面等の観点から、耐摩耗性能に優れた重荷重用タイヤの提供が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-088343号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記課題を解決し、耐摩耗性能に優れた重荷重用空気入りタイヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、トレッド部が、イソプレン系ゴム、ブタジエン系ゴム、スチレンブタジエン系ゴム、並びに、平均粒子径20nm以下及び/又は臭化セチルトリメチルアンモニウム吸着比表面積130m/g以上のカーボンブラックを含むゴム組成物で構成され、かつランド比が81%以上である重荷重用空気入りタイヤに関する。
【0007】
前記ゴム組成物は、更に平均粒子径20nm超25nm以下及び/又は臭化セチルトリメチルアンモニウム吸着比表面積100m/g以上130m/g未満のカーボンブラックを含むことが好ましい。
【0008】
前記ゴム組成物は、ゴム成分100質量%中の総スチレン量が2.0~11.0質量%であることが好ましい。
【0009】
前記ゴム組成物は、耐摩耗性能指数が140以上であることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、トレッド部が、イソプレン系ゴム、ブタジエン系ゴム、スチレンブタジエン系ゴム、並びに、平均粒子径20nm以下及び/又は臭化セチルトリメチルアンモニウム吸着比表面積130m/g以上のカーボンブラックを含むゴム組成物で構成され、かつランド比が81%以上である重荷重用空気入りタイヤであるので、耐摩耗性能が顕著に改善される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態を示すタイヤ1のトレッド部2の展開図の一例。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、トレッド部が、イソプレン系ゴム、ブタジエン系ゴム、スチレンブタジエン系ゴム、並びに、平均粒子径20nm以下及び/又は臭化セチルトリメチルアンモニウム吸着比表面積130m/g以上のカーボンブラックを含むゴム組成物で構成され、かつランド比が81%以上である重荷重用空気入りタイヤである。
【0013】
このようにトレッド部を高ランド比形状にすると共に、特定配合のゴム組成物で構成することにより、実車での耐摩耗性能が顕著に改善される。
【0014】
このように(実車での)耐摩耗性能が改善される理由は明らかではないが、以下の作用効果により発揮されると推察される。
先ず、従来のイソプレン系ゴム/ブタジエン系ゴム配合にスチレンブタジエン系ゴムをブレンドすることで、カーボンブラックとの補強性が向上し、耐摩耗性能が向上する。また、補強用充填剤として、所定のカーボンブラックを配合することで、ポリマーとの補強性が確保され、耐摩耗性能が向上する。つまり、イソプレン系ゴム/ブタジエン系ゴムのポリマーにスチレンブタジエン系ゴムを少量分散させることで、イソプレン系ゴム/ブタジエン系ゴム/スチレンブタジエン系ゴムの3相の状態となり、その各相の境界近傍に所定のカーボンブラックが分散されることで、各相間の結びつきが強固になり、結果、衝撃の吸収が可能なゴム組成物となり、耐摩耗性能が顕著に向上したものと推察される。更に、ランド比も所定以上の大きさに高めることで、トレッドとしての剛性を高め、エネルギーが分散することで、耐摩耗性能が向上する。以上の作用効果により、耐摩耗性能が顕著に(相乗的に)改善されたタイヤの提供が可能になると推察される。
【0015】
以下、本発明の実施の一形態を図面に基づき説明する。
図1には、本発明の一実施形態を示すタイヤ1のトレッド部2の展開図である。本実施形態のタイヤ1は、重荷重用の空気入りタイヤである。
【0016】
トレッド部2は、例えば、タイヤ周方向に連続して延びる複数本の主溝3が設けられている。主溝3は、本実施形態では、タイヤ赤道Cの両側に配される一対のクラウン主溝4、4、及び、クラウン主溝4とトレッド端Teとの間に配される一対のショルダー主溝5、5を含んでいる。
【0017】
前記「トレッド端」Teは、正規リムにリム組みされかつ正規内圧が充填された無負荷である正規状態のタイヤ1に、正規荷重を負荷してキャンバー角0度で平面に接地させたときの最もタイヤ軸方向外側の接地位置として定められる。正規状態において、両トレッド端Te、Te間のタイヤ軸方向の距離がトレッド幅TWとして定められる。特に断りがない場合、タイヤの各部の寸法等は、正規状態で測定された値である。
【0018】
「正規リム」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えばJATMAであれば“標準リム”、TRAであれば“Design Rim”、ETRTOであれば“Measuring Rim”である。
【0019】
「正規内圧」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば“最高空気圧”、TRAであれば表“TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES”に記載の最大値、ETRTOであれば“INFLATION PRESSURE”である。
【0020】
「正規荷重」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている荷重であり、JATMAであれば“最大負荷能力”、TRAであれば表“TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES”に記載の最大値、ETRTOであれば“LOAD CAPACITY”である。
【0021】
クラウン主溝4、ショルダー主溝5は、タイヤ周方向に連続して直線状に延びている。このような主溝3は、ウェット路面の走行時、溝内の水を効果的に進行方向の後方に排出するため、優れたウェット性能を発揮する。
【0022】
トレッド部2は、クラウン主溝4とショルダー主溝5とで区分される1対のミドル陸部7、7、クラウン主溝4、4間で区分される1本のクラウン陸部8、ショルダー主溝5とトレッド端Teとの間で区分される一対のショルダー陸部9、9が設けられる。
【0023】
ミドル陸部7には、クラウン主溝4とショルダー主溝5とを継ぐミドル横溝30が設けられている。このようなミドル横溝30は、ミドル陸部7の踏面7eの水膜をスムーズにクラウン主溝4及びショルダー主溝5に排出する。
【0024】
ミドル横溝30は、この実施形態では、クラウン主溝4からタイヤ軸方向外側に延びる第1部30a、ショルダー主溝5からタイヤ軸方向内側に延びる第2部30b、第1部30aと第2部30bとを継ぐ第3部30cを含んでいる。第3部30cは、第1部30a、第2部30bのタイヤ軸方向に対する角度よりも大きい角度で傾斜している。このような第3部30cは、その溝縁30eが、タイヤ軸方向成分及びタイヤ周方向成分を有するので、ウェット性能を向上する。また、第1部30a及び第2部30bは、ミドル陸部7のタイヤ周方向の剛性を高く維持する。
【0025】
クラウン陸部8には、タイヤ赤道Cの両側のクラウン主溝4、4間を継ぐクラウン横溝31が設けられている。クラウン横溝31は、本実施形態では、ミドル横溝30とは逆向きに傾斜し、設けられている。なお、本明細書では、「溝」は、溝幅が2mm以上の溝状体として定義される。
【0026】
タイヤ1のトレッド部2は、耐摩耗性能の観点から、ランド比が81%以上、好ましくは82%以上、より好ましくは84%以上である。上限は、ウェットグリップ性能の観点から、好ましくは95%以下、より好ましくは90%以下である。
なお、「ランド比」とは、正規状態において、トレッド部2のトレッド幅TWに設けられた全ての溝を埋めたと仮定した状態でのトレッド面の全表面積Saと、接地する接地面の全面積Scとの比(Sc/Sa)である。
【0027】
トレッド部2(ミドル陸部7、クラウン陸部8、ショルダー陸部9、ミドル横溝30、クラウン横溝31等)を構成するゴム組成物は、イソプレン系ゴム、ブタジエン系ゴム、スチレンブタジエン系ゴムを含有するゴム成分と、平均粒子径20nm以下及び/又は臭化セチルトリメチルアンモニウム吸着比表面積130m/g以上のカーボンブラックとを含む。
【0028】
イソプレン系ゴムは、イソプレン系単位(イソプレン単位及びイソプレン誘導体単位(エポキシ化イソプレン単位等))を主たる単位とする重合体であれば特に限定されず、例えば、イソプレンゴム(IR)、エポキシ化イソプレンゴム、水素添加イソプレンゴム、グラフト化イソプレンゴム、天然ゴム(NR)、脱タンパク質天然ゴム(DPNR)、高純度天然ゴム(UPNR)、エポキシ化天然ゴム(ENR)、水素添加天然ゴム(HNR)、グラフト化天然ゴム等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、イソプレン系ゴムは、ゴム100質量%中のイソプレン系単位の含有率が、例えば、95質量%以上であり、98質量%以上でも、100質量%でもよい。
【0029】
前記ゴム組成物において、ゴム成分100質量%中のイソプレン系ゴムの含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上である。また、上限は、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは35質量%以下である。上記範囲内であると、良好な耐摩耗性能が得られる傾向がある。
【0030】
スチレンブタジエン系ゴム(SBR)は、スチレン系単位(スチレン単位及びスチレン誘導体単位)及びブタジエン系単位(ブタジエン単位及びブタジエン誘導体単位)を有するゴムであれば特に限定されず、例えば、乳化重合スチレンブタジエンゴム(E-SBR)、溶液重合スチレンブタジエンゴム(S-SBR)等が挙げられる。なお、スチレンブタジエン系ゴムは、ゴム100質量%中のスチレン系単位及びブタジエン系単位の合計含有率が、例えば、95質量%以上であり、98質量%以上でも、100質量%でもよい。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0031】
スチレンブタジエン系ゴムは、非変性SBR、変性SBRのいずれであってもよい。変性SBRとしては、シリカ等の充填剤と相互作用する官能基を有するSBRであればよく、例えば、SBRの少なくとも一方の末端を、上記官能基を有する化合物(変性剤)で変性された末端変性SBR(末端に上記官能基を有する末端変性SBR)や、主鎖に上記官能基を有する主鎖変性SBRや、主鎖及び末端に上記官能基を有する主鎖末端変性SBR(例えば、主鎖に上記官能基を有し、少なくとも一方の末端を上記変性剤で変性された主鎖末端変性SBR)や、分子中に2個以上のエポキシ基を有する多官能化合物により変性(カップリング)され、水酸基やエポキシ基が導入された末端変性SBR等が挙げられる。
【0032】
上記官能基としては、例えば、アミノ基、アミド基、シリル基、アルコキシシリル基、イソシアネート基、イミノ基、イミダゾール基、ウレア基、エーテル基、カルボニル基、オキシカルボニル基、メルカプト基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホニル基、スルフィニル基、チオカルボニル基、アンモニウム基、イミド基、ヒドラゾ基、アゾ基、ジアゾ基、カルボキシル基、ニトリル基、ピリジル基、アルコキシ基、水酸基、オキシ基、エポキシ基等が挙げられる。なお、これらの官能基は、置換基を有していてもよい。なかでも、アミノ基(好ましくはアミノ基が有する水素原子が炭素数1~6のアルキル基に置換されたアミノ基)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1~6のアルコキシ基)、アルコキシシリル基(好ましくは炭素数1~6のアルコキシシリル基)、アミド基が好ましい。
【0033】
変性SBRに使用される変性剤としては、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル等の多価アルコールのポリグリシジルエーテル;ジグリシジル化ビスフェノールA等の2個以上のフェノール基を有する芳香族化合物のポリグリシジルエーテル;1,4-ジグリシジルベンゼン、1,3,5-トリグリシジルベンゼン、ポリエポキシ化液状ポリブタジエン等のポリエポキシ化合物;4,4’-ジグリシジル-ジフェニルメチルアミン、4,4’-ジグリシジル-ジベンジルメチルアミン等のエポキシ基含有3級アミン;ジグリシジルアニリン、N,N’-ジグリシジル-4-グリシジルオキシアニリン、ジグリシジルオルソトルイジン、テトラグリシジルメタキシレンジアミン、テトラグリシジルアミノジフェニルメタン、テトラグリシジル-p-フェニレンジアミン、ジグリシジルアミノメチルシクロヘキサン、テトラグリシジル-1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン等のジグリシジルアミノ化合物;
【0034】
ビス-(1-メチルプロピル)カルバミン酸クロリド、4-モルホリンカルボニルクロリド、1-ピロリジンカルボニルクロリド、N,N-ジメチルカルバミド酸クロリド、N,N-ジエチルカルバミド酸クロリド等のアミノ基含有酸クロリド;1,3-ビス-(グリシジルオキシプロピル)-テトラメチルジシロキサン、(3-グリシジルオキシプロピル)-ペンタメチルジシロキサン等のエポキシ基含有シラン化合物;
【0035】
(トリメチルシリル)[3-(トリメトキシシリル)プロピル]スルフィド、(トリメチルシリル)[3-(トリエトキシシリル)プロピル]スルフィド、(トリメチルシリル)[3-(トリプロポキシシリル)プロピル]スルフィド、(トリメチルシリル)[3-(トリブトキシシリル)プロピル]スルフィド、(トリメチルシリル)[3-(メチルジメトキシシリル)プロピル]スルフィド、(トリメチルシリル)[3-(メチルジエトキシシリル)プロピル]スルフィド、(トリメチルシリル)[3-(メチルジプロポキシシリル)プロピル]スルフィド、(トリメチルシリル)[3-(メチルジブトキシシリル)プロピル]スルフィド等のスルフィド基含有シラン化合物;
【0036】
エチレンイミン、プロピレンイミン等のN-置換アジリジン化合物;メチルトリエトキシシラン、N,N-ビス(トリメチルシリル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N,N-ビス(トリメチルシリル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N,N-ビス(トリメチルシリル)アミノエチルトリメトキシシラン、N,N-ビス(トリメチルシリル)アミノエチルトリエトキシシラン等のアルコキシシラン;4-N,N-ジメチルアミノベンゾフェノン、4-N,N-ジ-t-ブチルアミノベンゾフェノン、4-N,N-ジフェニルアミノベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジフェニルアミノ)ベンゾフェノン、N,N,N’,N’-ビス-(テトラエチルアミノ)ベンゾフェノン等のアミノ基及び/又は置換アミノ基を有する(チオ)ベンゾフェノン化合物;4-N,N-ジメチルアミノベンズアルデヒド、4-N,N-ジフェニルアミノベンズアルデヒド、4-N,N-ジビニルアミノベンズアルデヒド等のアミノ基及び/又は置換アミノ基を有するベンズアルデヒド化合物;N-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-2-ピロリドン、N-フェニル-2-ピロリドン、N-t-ブチル-2-ピロリドン、N-メチル-5-メチル-2-ピロリドン等のN-置換ピロリドンN-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-2-ピペリドン、N-フェニル-2-ピペリドン等のN-置換ピペリドン;N-メチル-ε-カプロラクタム、N-フェニル-ε-カプロラクタム、N-メチル-ω-ラウリロラクタム、N-ビニル-ω-ラウリロラクタム、N-メチル-β-プロピオラクタム、N-フェニル-β-プロピオラクタム等のN-置換ラクタム類;の他、
【0037】
N,N-ビス-(2,3-エポキシプロポキシ)-アニリン、4,4-メチレン-ビス-(N,N-グリシジルアニリン)、トリス-(2,3-エポキシプロピル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリオン類、N,N-ジエチルアセトアミド、N-メチルマレイミド、N,N-ジエチル尿素、1,3-ジメチルエチレン尿素、1,3-ジビニルエチレン尿素、1,3-ジエチル-2-イミダゾリジノン、1-メチル-3-エチル-2-イミダゾリジノン、4-N,N-ジメチルアミノアセトフェン、4-N,N-ジエチルアミノアセトフェノン、1,3-ビス(ジフェニルアミノ)-2-プロパノン、1,7-ビス(メチルエチルアミノ)-4-ヘプタノン等を挙げることができる。
なお、上記化合物(変性剤)による変性は公知の方法で実施可能である。
【0038】
スチレンブタジエン系ゴムとしては、例えば、住友化学(株)、JSR(株)、旭化成(株)、日本ゼオン(株)等により製造・販売されているSBRを使用できる。
【0039】
スチレンブタジエン系ゴムのスチレン含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上、特に好ましくは20質量%以上である。また、該スチレン含有量は、好ましくは60質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下、特に好ましくは25質量%以下である。上記範囲内にすることで、良好な耐摩耗性能と耐発熱性能が得られる傾向がある。なお、スチレンブタジエン系ゴムのスチレン含有量は、H-NMR測定により算出される。
【0040】
前記ゴム組成物において、ゴム成分100質量%中のスチレンブタジエン系ゴムの含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは15質量%以上、更に好ましくは20質量%以上、特に好ましくは25質量%以上である。下限以上にすることで、良好な耐摩耗性能が得られる傾向がある。また、上限は、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは45質量%以下、特に好ましくは35質量%以下である。スチレンブタジエン系ゴムを多量に使用することで、発熱性能が悪化することが懸念されるが、上限以下にすることで、発熱性能の悪化を抑制できる傾向がある。
【0041】
ブタジエン系ゴム(BR)は、ブタジエン系単位(ブタジエン単位及びブタジエン誘導体単位)を主たる単位とする重合体であれば特に限定されず、例えば、高シス含量のBR、低シス含量のBR、シンジオタクチックポリブタジエン結晶を含有するBR等を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なお、ブタジエン系ゴムは、ゴム100質量%中のブタジエン系単位の含有率が、例えば、95質量%以上であり、98質量%以上でも、100質量%でもよい。ブタジエン系単位及びスチレン系単位を含むゴムは、前記スチレンブタジエン系ゴムに該当し、ブタジエン系ゴムには該当しない。
【0042】
BRのシス含量は、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、更に好ましくは98質量%以上であり、上限は特に限定されない。上記範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
なお、BRのシス含量は、赤外吸収スペクトル分析法によって測定できる。
【0043】
ブタジエン系ゴムは、非変性BR、変性BRのいずれでもよく、変性BRとしては、前述の官能基が導入された変性BRが挙げられる。
【0044】
ブタジエン系ゴムとしては、例えば、宇部興産(株)、JSR(株)、旭化成(株)、日本ゼオン(株)等の製品を使用できる。
【0045】
ゴム成分100質量%中のブタジエン系ゴムの含有量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは30質量%以上である。また、上限は、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは45質量%以下である。上記範囲内であると、良好な耐摩耗性能が得られ、また加工性も確保しやすい傾向がある。
【0046】
前記ゴム組成物は、イソプレン系ゴム、ブタジエン系ゴム、スチレンブタジエン系ゴム以外の他のゴム成分を配合してもよい。配合可能な他のゴム成分としては、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)等のジエン系ゴムが挙げられる。ゴム成分は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0047】
前記ゴム組成物において、ゴム成分100質量%中の総スチレン量(ゴム成分全量中に含まれるスチレン部の合計含有量)は、2.0質量%以上が好ましく、4.0質量%以上がより好ましく、6.0質量%以上が更に好ましい。上限は、好ましくは11.0質量%以下、より好ましくは10.0質量%以下、更に好ましくは9.0質量%以下である。上記範囲内であると、良好な耐摩耗性能と耐発熱性が得られる傾向がある。
ここで、ゴム成分100質量%中の総スチレン量(質量%)は、Σ(各スチレン含有ゴムの含有量(質量%)×各スチレン含有ゴムのスチレン含有量(質量%)/100)である。例えば、ゴム成分が、NR30質量%、SBR(スチレン含有量23.5質量%)30質量%、BR40質量%からなる場合、ゴム成分100質量%中の総スチレン量は、7.05質量%(=30×23.5/100)である。
【0048】
前記ゴム組成物は、平均粒子径20nm以下及び/又は臭化セチルトリメチルアンモニウム吸着比表面積(CTAB)130m/g以上のカーボンブラック(カーボンブラック(A)とも称する)を含む。
【0049】
カーボンブラック(A)の平均粒子径は、耐摩耗性能の観点から、好ましくは20nm以下、より好ましくは17nm以下、更に好ましくは15nm以下である。下限は特に限定されないが、分散性等の観点から、好ましくは5nm以上、より好ましくは10nm以上である。
なお、カーボンブラックの平均粒子径は数平均粒子径であり、透過型電子顕微鏡により測定される。
【0050】
カーボンブラック(A)のCTABは、耐摩耗性能の観点から、好ましくは130m/g以上、より好ましくは140m/g以上、更に好ましくは145m/g以上、特に好ましくは150m/g以上である。上限は特に限定されないが、分散性等の観点から、好ましくは250m/g以下、より好ましくは200m/g以下、更に好ましくは180m/g以下である。
なお、本明細書において、カーボンブラックのCTABは、JIS K6217-3:2001に準拠して測定される値である。
【0051】
カーボンブラック(A)の窒素吸着比表面積(NSA)は、耐摩耗性能の観点から、好ましくは125m/g以上、より好ましくは145m/g以上、更に好ましくは150m/g以上、特に好ましくは155m/g以上である。上限は特に限定されないが、分散性等の観点から、好ましくは250m/g以下、より好ましくは200m/g以下、更に好ましくは180m/g以下である。
なお、カーボンブラックのNSAは、JIS K 6217-2:2001によって求められる。
【0052】
カーボンブラック(A)のヨウ素吸着量(IA)(mg/g)は、耐摩耗性能の観点から、好ましくは120mg/g以上、より好ましくは125mg/g以上、更に好ましくは130mg/g以上、特に好ましくは140mg/g以上である。上限は特に限定されないが、分散性等の観点から、好ましくは200mg/g以下、より好ましくは180mg/g以下、更に好ましくは160mg/g以下である。
【0053】
カーボンブラック(A)のヨウ素吸着量(IA)(mg/g)に対する臭化セチルトリメチルアンモニウム吸着比表面積(CTAB)の比(CTAB/IA)は、耐摩耗性能の観点から、好ましくは0.85~1.35m/mg、より好ましくは0.92~1.30m/mg、更に好ましくは1.00~1.25m/mgである。
なお、本明細書において、カーボンブラックのヨウ素吸着量(IA)は、JIS K6217-1:2001に準拠して測定される値である。
【0054】
CTAB/IAで表される表面活性指標は、カーボンブラックの結晶化度(グラファイト化率)の指標と考えることができる。すなわち、CTAB/IAが高いほど結晶化が進んでいないことを示し、カーボンブラックとゴム成分との相互作用が大きくなる傾向にある。また、CTAB/IAは、カーボンブラック表面に存在する酸性官能基の量を評価するパラメーターとしても位置づけられる。カーボンブラック表面の酸性官能基は、ゴム成分との相互作用に寄与するが、CTAB/IAが高いほどカーボンブラックの表面に酸性官能基が多く存在していることを示す。従って、CTAB/IAが上記範囲内であると、ゴム成分に対してより顕著な補強効果を奏することができ、優れた耐摩耗性能が得られる。
【0055】
カーボンブラック(A)のジブチルフタレート吸油量(DBP)は、耐摩耗性能の観点から、好ましくは120cm/100g以上、より好ましくは125cm/100g以上、更に好ましくは135cm/100g以上である。上限は特に限定されないが、分散性等の観点から、好ましくは180cm/100g以下、より好ましくは170cm/100g以下、更に好ましくは160cm/100g以下である。
なお、カーボンブラックのDBPは、JIS K 6217-4:2001に準拠して測定される。
【0056】
カーボンブラック(A)としては、SAFなどが挙げられる。これらのカーボンブラックは、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、カーボンブラック(A)は、特開200-319539号公報、特表平8-507555号公報等に記載の製法で製造することも可能である。
【0057】
カーボンブラック(A)の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、更に好ましくは15質量部以上である。下限以上であると、良好な耐摩耗性能が得られる傾向がある。また、該含有量は、分散性等の観点から、好ましくは70質量部以下、より好ましくは60質量部以下、更に好ましくは50質量部以下、特に好ましくは30質量部以下である。
【0058】
前記ゴム組成物は、前記カーボンブラック(A)以外のカーボンブラック(他のカーボンブラックとも称する)を更に配合することが好ましい。この場合、耐摩耗性能を相乗的に改善できる。
【0059】
他のカーボンブラックとしては、例えば、平均粒子径20nm超25nm以下及び/又は臭化セチルトリメチルアンモニウム吸着比表面積(CTAB)100m/g以上130m/g未満のカーボンブラック(カーボンブラック(B)とも称する)を好適に使用できる。
【0060】
カーボンブラック(B)の平均粒子径は、20nm超25nm以下(20nmより大きく25nm以下)であるが、下限は、分散性等の観点から、好ましくは21nm以上である。上限は、耐摩耗性能の観点から、好ましくは24nm以下、より好ましくは23nm以下である。
【0061】
カーボンブラック(B)のCTABは、耐摩耗性能の観点から、好ましくは105m/g以上、より好ましくは110m/g以上である。上限は特に限定されないが、分散性等の観点から、好ましくは125m/g以下、より好ましくは120m/g以下である。
【0062】
なお、カーボンブラック(B)等の他のカーボンブラックの平均粒子径、CTABは、前記と同様の方法で測定できる。
【0063】
カーボンブラック(B)の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは10質量部以上、より好ましくは20質量部以上、更に好ましくは30質量部以上である。下限以上であると、良好な耐摩耗性能が得られる傾向がある。また、該含有量は、分散性等の観点から、好ましくは100質量部以下、より好ましくは70質量部以下、更に好ましくは60質量部以下である。
【0064】
他のカーボンブラックとしては、特に限定されないが、N220、N234、N219、N339、N330、N326、N351、N550、N762等が挙げられる。例えば、旭カーボン(株)、キャボットジャパン(株)、東海カーボン(株)、三菱化学(株)、ライオン(株)、新日化カーボン(株)、コロンビアカーボン社等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。耐摩耗性、コストの観点から、N220が特に好ましい。
【0065】
カーボンブラックの含有量(カーボンブラック(A)及び他のカーボンブラックの合計含有量)は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは20質量部以上、より好ましくは40質量部以上、更に好ましくは45質量部以上、特に好ましくは50質量部以上である。下限以上であると、良好な耐摩耗性能が得られる傾向がある。また、該含有量は、分散性等の観点から、好ましくは150質量部以下、より好ましくは100質量部以下、更に好ましくは80質量部以下、特に好ましくは70質量部以下である。
【0066】
カーボンブラック100質量%中のカーボンブラック(A)の含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは25質量%以上である。該含有量の上限は、好ましくは80質量%以下、より好ましくは60質量%以下、更に好ましくは50質量%以下である。上記範囲内であると、良好な耐摩耗性能が得られる傾向がある。
【0067】
前記ゴム組成物には、シリカを配合しても良い。
前記ゴム組成物にシリカを配合する場合、その含有量は、ゴム成分100質量部に対して、グリップ性能の観点から、好ましくは3.0質量部以上、より好ましくは5.0質量部以上である。該含有量は、好ましくは30質量部以下、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは15質量部以下である。
【0068】
シリカの窒素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは80m/g以上、より好ましくは115m/g以上、更に好ましくは150m/g以上である。下限以上にすることで、良好なグリップ性能が得られる傾向がある。また、好ましくは400m/g以下、より好ましくは270m/g以下、更に好ましくは250m/g以下である。上限以下にすることで、良好なシリカ分散性が得られる傾向がある。
なお、シリカのNSAは、ASTM D3037-93に準じてBET法で測定される値である。
【0069】
シリカとしては特に限定されず、例えば、乾式法シリカ(無水シリカ)、湿式法シリカ(含水シリカ)などを用いることができるが、シラノール基が多いという理由から、湿式法シリカ(含水シリカ)が好ましい。市販品としては、デグッサ社、東ソー・シリカ(株)、ソルベイジャパン(株)、(株)トクヤマ等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0070】
前記ゴム組成物には、カーボンブラック、シリカ以外に他の充填剤を配合してもよい。他の充填剤としては、炭酸カルシウム、タルク、アルミナ、クレー、水酸化アルミニウム、マイカ等が挙げられる。
【0071】
前記ゴム組成物がシリカを含有する場合、シリカとともにシランカップリング剤を含むことが好ましい。
シランカップリング剤としては、ゴム工業において、従来からシリカと併用される任意のシランカップリング剤を使用することができ特に限定されず、例えば、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4-トリエトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4-トリメトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4-トリエトキシシリルブチル)ジスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4-トリメトキシシリルブチル)ジスルフィド、3-トリメトキシシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2-トリエトキシシリルエチル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、などのスルフィド系、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、2-メルカプトエチルトリエトキシシラン、Momentive社製のNXT、NXT-Zなどのメルカプト系、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシランなどのビニル系、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ系、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、などのグリシドキシ系、3-ニトロプロピルトリメトキシシラン、3-ニトロプロピルトリエトキシシランなどのニトロ系、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルトリエトキシシランなどのクロロ系などが挙げられる。市販品としては、デグッサ社、Momentive社、信越シリコーン(株)、東京化成工業(株)、アヅマックス(株)、東レ・ダウコーニング(株)等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、スルフィド系、メルカプト系が好ましい。
【0072】
前記ゴム組成物がシランカップリング剤を含有する場合、その含有量は、シリカ100質量部に対して、好ましくは2質量部以上、より好ましくは5質量部以上である。下限以上にすることで、シランカップリング剤を配合したことによる効果が得られる傾向がある。また、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下である。上限以下にすることで、配合量に見合った効果が得られ、良好な混練時の加工性が得られる傾向がある。
【0073】
前記ゴム組成物には、オイル、液状ジエン系重合体の等の軟化剤(常温(25℃)で液体状態の軟化剤)を配合してもよい。
【0074】
オイルとしては、例えば、パラフィン系、アロマ系、ナフテン系プロセスオイルなどのプロセスオイルが挙げられる。
【0075】
液状ジエン系重合体は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が、1.0×10~2.0×10であることが好ましく、3.0×10~1.5×10であることがより好ましい。下限以上にすることで、良好な耐摩耗性、破壊特性が得られ、十分な耐久性を確保できる傾向がある。一方、上限以下にすることで、良好な重合溶液の粘度となり、優れた生産性が得られる傾向がある。
なお、本発明において、液状ジエン系重合体のMwは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算値である。
【0076】
液状ジエン系重合体としては、液状スチレンブタジエン共重合体(液状SBR)、液状ブタジエン重合体(液状BR)、液状イソプレン重合体(液状IR)、液状スチレンイソプレン共重合体(液状SIR)、液状スチレンブタジエンスチレンブロック共重合体(液状SBSブロックポリマー)、液状スチレンイソプレンスチレンブロック共重合体(液状SISブロックポリマー)、液状ファルネセン重合体、液状ファルネセンブタジエン共重合体等が挙げられる。これらは、末端や主鎖が極性基で変性されていても構わない。なかでも、液状IR、液状SBRが好ましい。
【0077】
前記ゴム組成物において、軟化剤の含有量(軟化剤総量)は、ゴム成分100質量部に対して、耐摩耗性能の観点から、1.0~50質量部が好ましく、2.0~30質量部がより好ましく、2.0~20質量部が更に好ましく、2.0~10質量部が特に好ましい。
い。なお、本明細書において、軟化剤の含有量には、油展ゴムに含まれるオイル量も含まれる。
【0078】
前記ゴム組成物には、常温(25℃)で固体状態のレジン(樹脂)を配合してもよい。レジンの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、3~50質量部が好ましく、7~40質量部がより好ましい。
【0079】
レジンとしては、例えば、芳香族ビニル重合体、クマロンインデン樹脂、インデン樹脂、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、アクリル系樹脂などが挙げられる。市販品としては、丸善石油化学(株)、住友ベークライト(株)、ヤスハラケミカル(株)、東ソー(株)、Rutgers Chemicals社、BASF社、アリゾナケミカル社、日塗化学(株)、(株)日本触媒、JXエネルギー(株)、荒川化学工業(株)、田岡化学工業(株)、東亞合成(株)等の製品を使用できる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、芳香族ビニル重合体、クマロンインデン樹脂、テルペン系樹脂、ロジン系樹脂が好ましい。
【0080】
上記芳香族ビニル重合体としては、α-メチルスチレン及び/又はスチレンを重合して得られる樹脂が挙げられ、例えば、スチレンの単独重合体、α-メチルスチレンの単独重合体、α-メチルスチレンとスチレンとの共重合体などが例示される。なかでも、α-メチルスチレンとスチレンとの共重合体が好ましい。
【0081】
上記クマロンインデン樹脂とは、樹脂の骨格(主鎖)を構成する主なモノマー成分として、クマロン及びインデンを含む樹脂であり、クマロン、インデン以外に骨格に含まれるモノマー成分としては、スチレン、α-メチルスチレン、メチルインデン、ビニルトルエンなどが挙げられる。
【0082】
上記インデン樹脂とは、樹脂の骨格(主鎖)を構成する主なモノマー成分として、インデンを含む樹脂である。
【0083】
上記ロジン系樹脂(ロジン類)変性の有無によって分類可能であり、無変性ロジン(未変性ロジン)、ロジン変性体(ロジン誘導体)に分類できる。無変性ロジンとしては、トールロジン(別名トール油ロジン)、ガムロジン、ウッドロジン、不均斉化ロジン、重合ロジン、水素化ロジン、その他の化学的に修飾されたロジンなどが挙げられる。ロジン変性体は無変性ロジンの変性体であって、ロジンエステル類、不飽和カルボン酸変性ロジン類、不飽和カルボン酸変性ロジンエステル類、ロジンのアミド化合物、ロジンのアミン塩などが挙げられる。
【0084】
ロジン系樹脂は、カルボキシル基の含有量が過度に高くなく、適度な酸価を有していることが好ましい。具体的には、ロジン系樹脂の酸価は、通常、0mgKOH/gを超え、例えば、200mgKOH/g以下、好ましくは100mgKOH/g以下、より好ましくは30mgKOH/g以下、さらに好ましくは10mgKOH/g以下である。
なお、酸価は、後述する実施例に準拠して測定できる。なお、酸価が過度に高い場合などには、公知のエステル化処理によって、ロジン類のカルボキシル基を低減し、酸価を上記範囲に調整することも可能である。
【0085】
上記テルペン系樹脂としては、テルペン化合物を重合して得られるポリテルペン樹脂や、テルペン化合物と芳香族化合物とを重合して得られる芳香族変性テルペン樹脂などを使用できる。また、これらの水素添加物を使用することもできる。
【0086】
上記ポリテルペン樹脂は、テルペン化合物を重合して得られる樹脂である。該テルペン化合物は、(Cの組成で表される炭化水素及びその含酸素誘導体で、モノテルペン(C1016)、セスキテルペン(C1524)、ジテルペン(C2032)などに分類されるテルペンを基本骨格とする化合物であり、例えば、α-ピネン、β-ピネン、ジペンテン、リモネン、ミルセン、アロオシメン、オシメン、α-フェランドレン、α-テルピネン、γ-テルピネン、テルピノレン、1,8-シネオール、1,4-シネオール、α-テルピネオール、β-テルピネオール、γ-テルピネオールなどが挙げられる。
【0087】
上記ポリテルペン樹脂としては、上述したテルペン化合物を原料とするピネン樹脂、リモネン樹脂、ジペンテン樹脂、ピネン/リモネン樹脂などが挙げられる。なかでも、重合反応が容易である点、天然松脂が原料のため、安価であるという点から、ピネン樹脂が好ましい。ピネン樹脂は、通常、異性体の関係にあるα-ピネン及びβ-ピネンの両方を含んでいるが、含有する成分の違いにより、β-ピネンを主成分とするβ-ピネン樹脂と、α-ピネンを主成分とするα-ピネン樹脂とに分類される。
【0088】
上記芳香族変性テルペン樹脂としては、上記テルペン化合物及びフェノール系化合物を原料とするテルペンフェノール樹脂や、上記テルペン化合物及びスチレン系化合物を原料とするテルペンスチレン樹脂などが挙げられる。また、上記テルペン化合物、フェノール系化合物及びスチレン系化合物を原料とするテルペンフェノールスチレン樹脂を使用することもできる。なお、フェノール系化合物としては、例えば、フェノール、ビスフェノールA、クレゾール、キシレノールなどが挙げられる。また、スチレン系化合物としては、スチレン、α-メチルスチレンなどが挙げられる。
【0089】
前記ゴム組成物は、硫黄(硫黄加硫剤)を含むことが好ましい。
硫黄としては、ゴム工業において一般的に用いられる粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄、可溶性硫黄などが挙げられる。市販品としては、鶴見化学工業(株)、軽井沢硫黄(株)、四国化成工業(株)、フレクシス社、日本乾溜工業(株)、細井化学工業(株)等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0090】
ゴム成分100質量部に対する前記硫黄(硫黄加硫剤)の含有量は、好ましくは0.3質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、更に好ましくは1.0質量部以上である。下限以上にすることで、良好な耐摩耗性能が得られる傾向がある。上限は特に限定されないが、好ましくは5.0質量部以下、より好ましくは3.0質量部以下、更に好ましくは2.5質量部以下、特に好ましくは2.0質量部以下である。
【0091】
前記ゴム組成物は、加硫促進剤を含むことが好ましい。
加硫促進剤としては、例えば、2-メルカプトベンゾチアゾール、ジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィド(DM(2,2’-ジベンゾチアゾリルジスルフィド))、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド等のチアゾール系加硫促進剤;テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラベンジルチウラムジスルフィド(TBzTD)、テトラキス(2-エチルヘキシル)チウラムジスルフィド(TOT-N)等のチウラム系加硫促進剤;N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N-t-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N-オキシエチレン-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N-オキシエチレン-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N’-ジイソプロピル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド等のスルフェンアミド系加硫促進剤;ジフェニルグアニジン、ジオルトトリルグアニジン、オルトトリルビグアニジン等のグアニジン系加硫促進剤を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、スルフェンアミド系、グアニジン系加硫促進剤が好ましい。
【0092】
加硫促進剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、加硫特性等の観点から、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1.0質量部以上である。また、上記含有量は、好ましくは8.0質量部以下、より好ましくは5.0質量部以下、更に好ましくは3.0質量部以下である。
【0093】
前記ゴム組成物は、ワックスを含んでもよい。ワックスとしては、特に限定されず、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の石油系ワックス;植物系ワックス、動物系ワックス等の天然系ワックス;エチレン、プロピレン等の重合物等の合成ワックス等が挙げられる。市販品として、大内新興化学工業(株)、日本精蝋(株)、精工化学(株)等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、石油系ワックスが好ましく、パラフィンワックスがより好ましい。
【0094】
ワックスの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上であり、また、好ましくは10質量部以下、より好ましくは6質量部以下である。
【0095】
前記ゴム組成物は、老化防止剤を含んでもよい。
老化防止剤としては特に限定されず、例えば、フェニル-α-ナフチルアミン等のナフチルアミン系老化防止剤;オクチル化ジフェニルアミン、4,4’-ビス(α,α’-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン等のジフェニルアミン系老化防止剤;N-イソプロピル-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ジ-2-ナフチル-p-フェニレンジアミン等のp-フェニレンジアミン系老化防止剤;2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリンの重合物等のキノリン系老化防止剤;2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、スチレン化フェノール等のモノフェノール系老化防止剤;テトラキス-[メチレン-3-(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等のビス、トリス、ポリフェノール系老化防止剤などが挙げられる。市販品としては、精工化学(株)、住友化学(株)、大内新興化学工業(株)、フレクシス社等の製品を使用できる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、p-フェニレンジアミン系老化防止剤(より好ましくは、N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン)が好ましい。
【0096】
老化防止剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.3質量部以上、より好ましくは1質量部以上である。また、好ましくは7質量部以下、より好ましくは6質量部以下、更に好ましくは5質量部以下である。
【0097】
前記ゴム組成物は、脂肪酸、特にステアリン酸を含んでもよい。
ステアリン酸としては、従来公知のものを使用でき、例えば、日油(株)、NOF社、花王(株)、富士フイルム和光純薬(株)、千葉脂肪酸(株)等の製品を使用できる。
【0098】
脂肪酸の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上、更に好ましくは2.5質量部以上である。また、上記含有量は、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下である。
【0099】
前記ゴム組成物は、酸化亜鉛を含んでもよい。
酸化亜鉛としては、従来公知のものを使用でき、例えば、三井金属鉱業(株)、東邦亜鉛(株)、ハクスイテック(株)、正同化学工業(株)、堺化学工業(株)等の製品を使用できる。
【0100】
酸化亜鉛の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上である。また、上記含有量は、好ましくは5質量部以下、より好ましくは4質量部以下である。
【0101】
前記ゴム組成物には、前記成分の他、タイヤ工業において一般的に用いられている添加剤を配合でき、界面活性剤等を例示できる。
【0102】
前記ゴム組成物の製造方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、前記各成分をオープンロール、バンバリーミキサー、ニーダーなどのゴム混練装置を用いて混練し、その後加硫する方法などにより製造できる。
【0103】
混練条件としては、架橋剤(加硫剤)及び加硫促進剤以外の添加剤を混練するベース練り工程では、混練温度は、通常100~180℃、好ましくは120~170℃である。加硫剤、加硫促進剤を混練する仕上げ練り工程では、混練温度は、通常120℃以下、好ましくは85~110℃である。また、加硫剤、加硫促進剤を混練した組成物は、通常、プレス加硫などの加硫処理が施される。加硫温度としては、通常140~190℃、好ましくは150~185℃である。
【0104】
前記ゴム組成物(加硫後のゴム組成物)は、耐摩耗性能指数が140以上であることが好ましい。耐摩耗性能指数は、大きいほど好ましく、150以上がより好ましく、160以上が更に好ましい。
なお、耐摩耗性能指数は、後述の実施例に記載の方法で得られる値である。
【0105】
本発明の重荷重用空気入りタイヤは、上記ゴム組成物を用いて通常の方法で製造される。すなわち、上記成分を配合したゴム組成物を、未加硫の段階でトレッド(単層トレッド、多層トレッドのキャップトレッド等の路面に接触する部材)等の形状にあわせて押出し加工し、他のタイヤ部材とともに、タイヤ成型機上にて通常の方法で成形することにより、未加硫タイヤを形成する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することによりタイヤを得る。前記タイヤは、トラック、バスなどに使用可能である。
【実施例
【0106】
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
【0107】
(製造例1)
特表平8-507555号公報の実施例3の製法により、微粒子カーボンブラック1を製造した。
【0108】
(製造例2)
空気導入ダクトと燃焼バーナーを備える内径800mm、長さ1600mmの燃焼帯域、該燃焼帯域から連接され、周辺から原料ノズルを貫通接続した内径145mm、長さ1000mmの狭径部からなる原料導入帯域、クエンチ装置を備えた内径400mm、長さ3000mmの後部反応帯域を順次接合したカーボンブラック反応炉を用い、燃料にC重油、及び原料炭化水素にクレオソート油を使用し、各条件を設定して微粒子カーボンブラック2を製造した。
【0109】
以下、実施例及び比較例で使用した各種薬品について、まとめて説明する。
NR:TSR20
SBR:住友化学工業(株)製のSBR1502(スチレン含有量:23.5質量%)
BR:宇部興産(株)製のBR150B(シス含量:95質量%)
微粒子カーボンブラック1:製造例1(平均粒子径16nm、CTAB170m/g、NSA174m/g、IA163mg/g、CTAB/IA1.04、DBP154cm/100g)
微粒子カーボンブラック2:製造例2(平均粒子径16nm、CTAB158m/g、NSA170m/g、IA145mg/g、CTAB/IA1.09、DBP138cm/100g)
微粒子カーボンブラック3:N134(平均粒子径18nm、CTAB130m/g、NSA148m/g、IA144mg/g、CTAB/IA0.90、DBP123cm/100g)
カーボンブラック4:N220(平均粒子径22nm、CTAB115m/g、NSA115m/g、IA118mg/g、CTAB/IA0.97、DBP113cm/100g)
ワックス:日本精蝋(株)製のオゾエース0355
老化防止剤:大内新興化学工業(株)製のノクラック6C(N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン)
ステアリン酸:日油(株)製のステアリン酸
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の酸化亜鉛2種
オイル:ジャパンエナジー社製のTDAEオイル
硫黄:鶴見化学工業(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤:大内新興化学工業(株)製のノクセラーNS(N-tert-ブチル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド)
【0110】
(実施例及び比較例)
表1に示す配合処方に従い、(株)神戸製鋼所製の1.7Lバンバリーミキサーを用いて、硫黄及び加硫促進剤以外の薬品を150℃の条件下で5分間混練りし、混練り物を得た。次に、得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤を添加し、オープンロールを用いて、80℃の条件下で5分間練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。
得られた未加硫ゴム組成物を150℃で35分間プレス加硫し、加硫ゴムシートを得た。
【0111】
表1に記載のランド比に従い、得られた未加硫ゴム組成物をトレッドの形状に成形し、他のタイヤ部材とともに貼り合わせて未加硫タイヤを作製し、150℃で20分間プレス加硫し、図1の基本パターンを有する試験用タイヤ(サイズ:225/70R19.5(重荷重用))を得た。
【0112】
得られた試験用タイヤ、加硫ゴムシートを下記により評価した。結果を表1に示す。
【0113】
<耐摩耗性能(加硫後のゴム組成物)>
LAT試験機(Laboratery Abration an Skid Tester、(株)平泉洋行社製のゴム摩耗試験機「LAT100」)を用い、荷重40N、速度20km/h、スリップアングル6°の条件にて、各加硫ゴムシート(加硫後のゴム組成物)の容積損失量を測定した。比較例1の配合ゴムの容積損失量を100とし、下記計算式により、各配合の耐摩耗性能指数を算出した。数値が大きいほど耐摩耗性能に優れることを示す。
(耐摩耗性能指数)=(比較例1の配合の容積損失量)/(各配合の容積損失量)×100
【0114】
<発熱性>
(株)上島製作所製スペクトロメーターを用いて、動的歪振幅1%、周波数10Hz、温度50℃で各加硫ゴムシート(加硫後のゴム組成物)のtanδを測定した。tanδの逆数の値について比較例2を100として指数表示した(発熱指数)。数値が大きいほど、発熱が小さく、低発熱性に優れることを示している。
【0115】
<耐摩耗性能(実車)>
各試験用タイヤをリム組みして装着した2D車を用いて、アスファルト路面の一般道を合計10000km走行した後、前輪2輪のタイヤの各4本ずつある各主溝における溝深さを測定し、平均化した。比較例1を100とする指数で表示し、数値が大きいほど、実車での耐摩耗性能が良好である。
【0116】
【表1】
【0117】
表1より、トレッド部をイソプレン系ゴム、ブタジエン系ゴム、スチレンブタジエン系ゴム、並びに、所定の平均粒子径及び/又は臭化セチルトリメチルアンモニウム吸着比表面積を有するカーボンブラックを含むゴム組成物で構成すると共に、トレッド部のランド比を所定以上に調整した実施例は、非常に、実車での耐摩耗性能に優れていた。また、発熱の抑制も可能であった。一方、ランド比が小さい比較例2、SBRが配合されていない比較例3は、これらの性能が劣っていた。
【符号の説明】
【0118】
1 タイヤ(重荷重用の空気入りタイヤ)
2 トレッド部
3 主溝
4 クラウン主溝
5 ショルダー主溝
7 ミドル陸部
7e ミドル陸部の踏面
8 クラウン陸部
9 ショルダー陸部
30 ミドル横溝
30a ミドル横溝の第1部
30b ミドル横溝の第2部
30c ミドル横溝の第3部
30e ミドル横溝の溝縁
31 クラウン横溝
Te トレッド端
TW トレッド幅
図1