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特許7559863標識選択支援システム、標識選択支援装置、標識選択支援方法、及び標識選択支援用プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】標識選択支援システム、標識選択支援装置、標識選択支援方法、及び標識選択支援用プログラム
(51)【国際特許分類】
   G16B 25/10 20190101AFI20240925BHJP
   G01N 21/64 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
G16B25/10
G01N21/64 F
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2023073927
(22)【出願日】2023-04-28
(62)【分割の表示】P 2019557052の分割
【原出願日】2018-10-12
(65)【公開番号】P2023109772
(43)【公開日】2023-08-08
【審査請求日】2023-05-24
(31)【優先権主張番号】P 2017228662
(32)【優先日】2017-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112874
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 薫
(72)【発明者】
【氏名】中川 和博
(72)【発明者】
【氏名】猪山 輝昭
(72)【発明者】
【氏名】岸本 拓哉
【審査官】藤原 拓也
(56)【参考文献】
【文献】特許第7276141(JP,B2)
【文献】特表2016-517000(JP,A)
【文献】国際公開第2017/011549(WO,A1)
【文献】特開2003-083894(JP,A)
【文献】特表2014-506122(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16B 5/00-99/00
G01N 21/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
標識選択支援システムが、
分析対象となる複数の標的分子に関する情報を用いて、前記複数の標的分子の生体内における発現情報を取得する発現情報取得工程と、
前記発現情報に基づき前記複数の標的分子それぞれに対する標識の割り当てに関する支援情報を生成する支援情報生成工程と
を実行することを含み、
前記発現情報は生体内における発現量に関する情報であり、前記支援情報生成工程において、前記標的分子の発現量に関する情報に基づき、前記標的分子に対して割り当てる標識の蛍光強度が選択される、又は、
前記発現情報は生体内における発現分布に関する情報であり、前記支援情報生成工程において、前記標的分子の発現分布に関する情報に基づき、前記標的分子に対して割り当てる標識の蛍光波長が選択され、
前記支援情報生成工程において、空間的に近接する複数の標的分子に対して、蛍光波長スペクトルの遠い標識がそれぞれ割り当てられる、標識選択支援方法。
【請求項2】
前記支援情報生成工程において、前記発現情報から、前記標的分子の夫々について、標的分子の量に関するデータをセルに有するデータテーブルが生成される、請求項1に記載の標識選択支援方法。
【請求項3】
前記生成されたデータテーブルを参照して、前記標的分子夫々に対して割り当てる標識に関する支援情報が生成される、請求項に記載の標識選択支援方法。
【請求項4】
前記生成されたデータテーブル間の相関関係に基づき、前記支援情報が生成される、請求項又はに記載の標識選択支援方法。
【請求項5】
前記標識が色素である、請求項1~のいずれか一項に記載の標識選択支援方法。
【請求項6】
前記標識が蛍光色素であり、
前記生成されたデータテーブル間の相関関係に基づき、データテーブル間により強い相関関係がある2つの標的分子の夫々により遠い波長を有する蛍光色素が割り当てられるように、前記標的分子の夫々に標識を割り当てられる、
請求項又はに記載の標識選択支援方法。
【請求項7】
前記標的分子が生体分子である、請求項1~のいずれか一項に記載の標識選択支援方法。
【請求項8】
標的分子の量に関するデータをセルに有するデータテーブルが、各標的分子について生成される、請求項に記載の標識選択支援方法。
【請求項9】
前記発現情報に加えて、標的分子の分析前の処理条件に関するデータも取得される、請求項1~のいずれか一項に記載の標識選択支援方法。
【請求項10】
標的分子の分析前の処理条件を項目として含む処理条件データテーブルが、各標的分子について生成される、請求項又はに記載の標識選択支援方法。
【請求項11】
各標的分子について生成された前記処理条件データテーブルを参照して、より多くの標的分子について分析が可能となる処理条件が選択される、請求項10に記載の標識選択支援方法。
【請求項12】
前記方法は、標的分子の名称をキーとしてデータベースを検索することによって、当該データベースから、当該標的分子の名称に関連付けられたデータを取得することを含む、請求項に記載の方法。
【請求項13】
前記方法は、前記取得したデータから、前記複数の標的分子の夫々についてデータテーブルを生成することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記データテーブルは、標的分子の分析が行われた細胞種及び標的分子の細胞内での発現領域を項目とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記データテーブルは、当該データテーブルの各セル内に、各細胞種内の種々の発現領域における発現量を有する、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
前記方法は、前記生成された標的分子夫々のデータテーブル間の相関係数を求め、そして、当該相関係数に基づき、前記標的分子それぞれについて標識の割当に関する支援情報を生成することを含む、請求項1315のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記相関係数は相互相関係数である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
正の相関を有する標的分子間では、相関係数の高い順に蛍光波長の遠い色素が割り当てられる、請求項16又は17に記載の方法。
【請求項19】
前記方法は、相関係数が最も高い2つの標的分子の組み合わせを選択し、選択された前記2つの標的分子に、蛍光波長の最も遠い2つの色素を割り当てられるべきであるとの支援情報を生成することを含む、請求項16又は17に記載の方法。
【請求項20】
前記方法は、相関係数が最も高い2つの標的分子の組み合わせを選択し、選択された前記2つの標的分子に、波長範囲の最も遠い2つの色素群から、前記2つの分子に対してそれぞれ色素が選択されるべきであるとの支援情報を生成し、又は、波長範囲の最も遠い2つの色素群のそれぞれに属する色素から1つずつ色素を選択して得られる色素の組合せを支援情報として生成する、請求項16又は17に記載の方法。
【請求項21】
分析対象となる複数の標的分子に関する情報を取得する情報取得部と、
前記複数の標的分子に関する情報を用いて、標的分子の生体内における発現情報を取得し、前記発現情報に基づき前記複数の標的分子それぞれに対する標識の割り当てに関する支援情報を生成する情報処理部と、
を有し、
前記発現情報は生体内における発現量に関する情報であり、前記支援情報を生成する際において、前記標的分子の発現量に関する情報に基づき、前記標的分子に対して割り当てる標識の蛍光強度が選択される、又は、
前記発現情報は生体内における発現分布に関する情報であり、前記支援情報を生成する際において、前記標的分子の発現分布に関する情報に基づき、前記標的分子に対して割り当てる標識の蛍光波長が選択され、
前記支援情報を生成する際において、空間的に近接する複数の標的分子に対して、蛍光波長スペクトルの遠い標識がそれぞれ割り当てられる、
標識選択支援システム。
【請求項22】
分析対象となる複数の標的分子に関する情報を用いて、前記標的分子の生体内における発現情報を格納するデータベースから前記複数の標的分子の生体内における発現情報を取得する発現情報取得工程と、
前記発現情報に基づき前記複数の標的分子それぞれに対する標識の割り当てに関する支援情報を生成する支援情報生成工程と
をコンピュータに実行させるため標識選択支援用プログラムであって、
前記発現情報は生体内における発現量に関する情報であり、前記支援情報生成工程において、前記標的分子の発現量に関する情報に基づき、前記標的分子に対して割り当てる標識の蛍光強度が選択される、又は、
前記発現情報は生体内における発現分布に関する情報であり、前記支援情報生成工程において、前記標的分子の発現分布に関する情報に基づき、前記標的分子に対して割り当てる標識の蛍光波長が選択され、
前記支援情報生成工程において、空間的に近接する複数の標的分子に対して、蛍光波長スペクトルの遠い標識がそれぞれ割り当てられる、
識選択支援用プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、標識選択支援システム、標識選択支援装置、標識選択支援方法、及び標識選択支援用プログラムに関する。より詳細には、複数の標的分子の分析に適した標識の割り当てに関する支援情報を提供するために用いられる標識選択支援システム、標識選択支援装置、標識選択支援方法、及び標識選択支援用プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
標的分子を分析するために、標識を用いた種々の分析が行われている。例えば、フローサイトメータ又は顕微鏡にて複数の蛍光色素が標識された抗体を用いて抗原タンパク質などの標的分子を検出及び/又は解析することが行われている。また、抗原抗体反応以外にも、蛍光標識された核酸プローブを用いた核酸ハイブリダイゼーションによる標的分子の検出及び解析や、蛍光標識された基質を用いた酵素分子の検出及び解析が広く行われている。これらの検出及び/又は解析において、種々の蛍光色素が用いられている。蛍光色素は夫々固有の特性、例えば固有の蛍光スペクトル及び蛍光強度などを有する。
【0003】
例えば、下記特許文献1は、微小粒子から発せられる蛍光の種類などを分析する技術に関する発明を記載する(段落0001)。下記特許文献1には、「流路を通流する微小粒子から発せられた蛍光を、複数の波長領域で同時に検出して得た検出データを、複数の微小粒子分積算又は平均して得た蛍光スペクトルを表示するデータ表示方法。」(請求項1)が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-206551号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
標的分子に対して例えば上記で述べた検出及び/又は解析を行うために、標的分子を検出及び/又は解析するための蛍光色素を選択する必要がある。また、用いられる蛍光色素の蛍光強度を調節する必要も生じうる。蛍光色素の選択は一般的には標的分子の検出及び/又は解析を行うユーザ自身によって行われるが、当該ユーザが経験豊富であっても手間のかかる作業である。また、選択された蛍光色素が標的分子の検出及び/又は解析に適さないこともある。
【0006】
そこで、本技術は、標的分子の検出及び/又は解析に用いられる標識の選択を支援する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、特定の構成を有するシステムによって上記課題を解決できることを見出した。
【0008】
すなわち、本技術は、
ネットワークを介して、分析対象となる複数の標的分子に関する情報を取得する情報取得部と、
前記複数の標的分子に関する情報を用いて、標的分子の生体内における発現情報を格納するデータベースから前記複数の標的分子の生体内における発現情報を取得し、前記発現情報に基づき前記複数の標的分子それぞれに対する標識の割り当てに関する支援情報を生成する情報処理部と、
前記生成された支援情報を前記ネットワークを介して送信する送信部と、
を有する標識選択支援システムを提供する。
本技術の一つの実施態様に従い、前記発現情報は生体内における発現分布又は発現量に関する情報でありうる。
本技術の一つの実施態様に従い、前記発現情報は生体内における発現量に関する情報であり、前記情報処理部は前記標的分子の発現量に関する情報に基づき、前記標的分子に対して割り当てる標識の蛍光強度を選択しうる。
本技術の一つの実施態様に従い、前記発現情報は生体内における発現分布に関する情報であり、前記情報処理部は前記標的分子の発現分布に関する情報に基づき、前記標的分子に対して割り当てる標識の蛍光波長を選択しうる。
本技術の一つの実施態様に従い、前記情報処理部は空間的に近接する複数の標的分子に対して、蛍光波長スペクトルの遠い蛍光色素をそれぞれ割り当てうる。
本技術の一つの実施態様に従い、前記情報処理部は、標的分子と標識の組合せの適性について学習した学習済みモデルを利用して前記支援情報を生成しうる。
本技術の一つの実施態様に従い、前記情報処理部が、前記発現情報から、前記標的分子の夫々についてデータテーブルを生成するデータテーブル生成部を含みうる。
本技術の一つの実施態様に従い、前記情報処理部が、前記生成されたデータテーブルを参照して、前記標的分子夫々に対して割り当てる標識に関する支援情報を生成する支援情報生成部を含みうる。
本技術の一つの実施態様に従い、前記支援情報生成部が、前記生成されたデータテーブル間の相関関係に基づき、前記支援情報を生成しうる。
本技術の一つの実施態様に従い、前記標識が色素でありうる。
本技術の一つの実施態様に従い、前記標識が蛍光色素であり、前記支援情報生成部が、前記生成されたデータテーブル間の相関関係に基づき、データテーブル間により強い相関関係がある2つの標的分子の夫々により遠い波長を有する蛍光色素が割り当てられるように、前記標的分子の夫々に標識を割り当てうる。
本技術の一つの実施態様に従い、前記データテーブル生成部が、標的分子に関する情報及び当該標的分子の分析に関する情報に基づき生成された分類器によってデータテーブルの生成ルールを決定するデータテーブル生成ルール決定部をさらに含みうる。
本技術の一つの実施態様に従い、前記支援情報生成部が、標的分子に関する情報及び当該標的分子の分析に関する情報に基づき生成された分類器によって支援情報の生成ルールを決定する支援情報生成ルール決定部をさらに含みうる。
本技術の一つの実施態様に従い、前記標的分子が生体分子でありうる。
本技術の一つの実施態様に従い、前記データテーブル生成部が、標的分子の量に関するデータをセルに有するデータテーブルを各標的分子について生成しうる。
本技術の一つの実施態様において、前記情報処理部が、前記発現情報に加えて、生体分子の分析前の処理条件に関するデータをさらに取得しうる。
本技術の一つの実施態様に従い、前記データテーブル生成部が、生体分子の分析前の処理条件を項目として含む処理条件データテーブルを各生体分子について生成しうる。
本技術の一つの実施態様に従い、前記情報処理部が、各生体分子について生成された前記処理条件データテーブルを参照して、より多くの生体分子について分析が可能となる処理条件を選択する処理条件選択部をさらに備えていてよい。
本技術の一つの実施態様に従い、前記情報処理部がさらに、前記標的分子を分析するための装置に関する装置情報を取得し、前記装置情報に基づき、データベースから当該装置において使用可能な標識データを取得し、そして、前記標識データに含まれる標識のうちから、標的分子に割り当てられる標識を選択しうる。
【0009】
また、本技術は、分析対象となる複数の標的分子に関する情報を用いて、標的分子の生体内における発現情報を格納するデータベースから前記複数の標的分子の生体内における発現情報を取得し、前記発現情報に基づき前記複数の標的分子それぞれに対する標識の割り当てに関する支援情報を生成する情報処理部を備えている標識選択支援装置も提供する。
【0010】
また、本技術は、
分析対象となる複数の標的分子に関する情報を用いて、前記標的分子の生体内における発現情報を格納するデータベースから前記複数の標的分子の生体内における発現情報を取得する発現情報取得工程と、
前記発現情報に基づき前記複数の標的分子それぞれに対する標識の割り当てに関する支援情報を生成する支援情報生成工程と
を含む標識選択支援方法も提供する。
【0011】
また、本技術は、
分析対象となる複数の標的分子に関する情報を用いて、前記標的分子の生体内における発現情報を格納するデータベースから前記複数の標的分子の生体内における発現情報を取得する発現情報取得工程と、
前記発現情報に基づき前記複数の標的分子それぞれに対する標識の割り当てに関する支援情報を生成する支援情報生成工程と
をコンピュータに実行させるための標識選択支援用プログラムも提供する。
【発明の効果】
【0012】
本技術によって、標的分子の検出及び/又は解析に用いられる標識の選択に資する情報を提供することができる。本技術によって、経験が比較的少ないユーザであっても、より簡便に標識の選択をすることができる。なお、本技術により奏される効果は、ここに記載された効果に必ずしも限定されるものではなく、本明細書中に記載されたいずれかの効果であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本技術に従う標識選択支援システムを使用している状況の一例を示す模式図である。
図2】本技術に従う標識選択支援システムの一例のブロック図である。
図3】3つの蛍光色素の波長及び蛍光強度の例を示す図である。
図4】種々の細胞種内の種々の領域における発現量を示すデータテーブルである。
図5】種々の細胞種内の種々の領域における発現量を示すデータテーブルである。
図6】発現量の3次元マトリックス図である。
図7】種々の細胞種内の種々の領域における発現量を示すデータテーブルである。
図8】分子間の相関係数を示す図である。
図9】本技術に従う標識選択支援システムの一例のブロック図である。
図10】前処理条件に関するデータテーブルである。
図11】色素の割り当ての仕方を示す図である。
図12】本技術に従う標識選択支援システムの一例のブロック図である。
図13】本技術に従う標識選択支援装置の一例のブロック図である。
図14】本技術に従う標識選択支援方法のフローの一例を示す図である。
図15】技術に従う標識選択支援システムを実現する情報処理装置の概略的なハードウェア構成の一例を示す図である。
図16】蛍光免疫染色されたヒト乳腺癌細胞を顕微鏡により撮影することで得られた写真である。
図17】蛍光免疫染色されたJurkat細胞を顕微鏡により撮影することで得られた写真である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本技術を実施するための好適な形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本技術の代表的な実施形態を示したものであり、本技術の範囲はここに記載されたものに限定されるものでない。なお、説明は以下の順序で行う。
1.本技術の主な課題及び基本概念
2.第1の実施形態(標識選択支援システム)
(1)第1の実施形態の説明
(2)第1の実施形態の第1の例(標識選択支援システム)
(3)第1の実施形態の第2の例(標識選択支援システム)
(4)第1の実施形態の第3の例(標識選択支援システム)
3.第2の実施形態(標識選択支援装置)
(1)第2の実施形態の説明
(2)第2の実施形態の例(標識選択支援装置)
4.第3の実施形態(標識選択支援方法)
(1)第3の実施形態の説明
(2)第3の実施形態の第1の例(標識選択支援方法)
5.第4の実施形態(標識選択支援用プログラム)
(1)第4の実施形態の説明
(2)第4の実施形態の例(標識選択支援用プログラム)
6.ハードウェア構成例
【0015】
1.本技術の主な課題及び基本概念
【0016】
まず、図3を参照して、蛍光色素を用いた分析における課題の一例を説明する。
【0017】
図3に、3つの蛍光色素の波長及び蛍光強度の例を示す。図3に示されるグラフのいずれにおいても、縦軸は蛍光強度であり且つ横軸は波長である。図3Aに示されるように、当該3つの蛍光色素の波長が離れている場合、これら蛍光色素を用いた分析において、色分離は容易である。また、図3Aに示されるように、各蛍光色素の蛍光強度がそろっている場合も、色分離は容易である。
【0018】
図3B及び3Cに、3つの蛍光色素の波長及び蛍光強度の他の例を示す。図3Bに示されるとおり、当該3つの蛍光色素のスペクトルが大きく重なる場合、これら蛍光色素を用いた分析において、色分離は困難となることがある。また、図3Cに示されるとおり、当該3つの蛍光色素の波長が離れていても、或る蛍光色素の蛍光強度が他と比較して非常に大きい場合には、これら蛍光色素を用いた分析において、測定される波長の重なりが大きくなり、その結果、色分離が困難となりうる。
【0019】
以上で図3を参照して説明したとおり、分析において複数の蛍光色素を用いる場合、用いられる蛍光色素は、各蛍光色素の特性を考慮して注意深く選択される必要がある。蛍光色素の選択は、経験豊富なユーザであっても困難を伴うことがあり、経験が浅いユーザにとってはさらに困難を伴うことがある。このような困難性は、特には多数の蛍光色素を一つの分析において用いる場合においてより顕著となる。
【0020】
また、現在は種々の蛍光色素が市販入手可能であるので、一つの蛍光色素を選択する場合においても、分析により適した蛍光色素を選択することが求められている。
【0021】
また、蛍光色素を用いた分析においては、用いられる蛍光色素についての検討だけでなく、分析に用いられる機器自体の性能や当該機器の蛍光検出部の設定についても考慮する必要がしばしばある。
【0022】
以上のとおり、蛍光色素の選択はしばしば困難を伴うものである。そこで、より簡便に蛍光色素を選択することを可能とする技術が求められている。
【0023】
なお、色素の波長スペクトル情報から選択可能な色素の組み合わせを提案するソフトウェアは存在するが、やはりユーザの経験によって調整を行う必要があり、より良い提案を行うことができる技術が求められている。
【0024】
本技術において、複数の標的分子に関する情報を用いて、標的分子の生体内における発現情報を格納するデータベースから前記複数の標的分子の生体内における発現情報が取得され、前記発現情報に基づき前記複数の標的分子それぞれに対する標識の割り当てに関する支援情報が生成される。その結果、複数の標的分子の分析に適した標識をユーザに提案することができる。例えば、標的分子が存在する位置、例えば発現領域など、標的分子の量、例えば発現量など、標的分子の分析条件、例えば賦活化条件など(特に抗原抗体反応における抗原賦活化条件)、及び/又は分析装置に関する情報、例えば使用可能な蛍光色素の波長範囲などのデータが、データベースより取得されうる。このようなデータから作成されたデータテーブルを参照することで、当該標的分子の分析に適した標識に関する支援情報をユーザに提案することができる。
【0025】
本技術において、例えば、発現情報を格納するデータベースとして、例えば、既存のタンパク質発現データベース、遺伝子発現データベース、論文データベース、及び/又はマイクロアレイ実験データベースなどが用いられうる。すなわち、本技術において、既存のデータに基づき、分析に用いられるべき標識の割り当てに関する提案が行われうる。従って、本技術によって、経験が比較的浅いユーザであっても、ユーザ自身が既存のデータを検討することなく、より簡便に標識を選択することができる。また、本技術において既存のデータを踏まえた標識の割り当てに関する提案が行われるので、トライアンドエラーの回数を減らすことができる。
【0026】
2.第1の実施形態(標識選択支援システム)
【0027】
(1)第1の実施形態の説明
【0028】
本技術は、ネットワークを介して、分析対象となる複数の標的分子に関する情報を取得する情報取得部と、前記複数の標的分子に関する情報を用いて、標的分子の生体内における発現情報を格納するデータベースから前記複数の標的分子の生体内における発現情報を取得し、前記発現情報に基づき前記複数の標的分子それぞれに対する標識の割り当てに関する支援情報を生成する情報処理部と、前記生成された支援情報を前記ネットワークを介して送信する送信部と、を有する標識選択支援システムを提供する。
本技術に従う標識選択支援システムは、前記情報取得部、前記情報処理部、及び前記送信部が1つの装置に組み込まれたシステムであってよく、又は、これら構成要素が、本技術の効果のいずれかを奏するように複数の装置に分散されているシステムであってもよい。
【0029】
本技術の一つの実施態様に従い、前記情報処理部は、前記発現情報から、前記標的分子の夫々についてデータテーブルを生成するデータテーブル生成部を含みうる。本技術において、当該データテーブルに基づき、支援情報が生成されうる。
本技術の一つの実施態様に従い、前記情報処理部は、前記生成されたデータテーブルを参照して、前記標的分子夫々に対して割り当てる標識に関する支援情報を生成する支援情報生成部を含みうる。
前記支援情報生成部が、上記のとおりに生成されたデータテーブルを参照して、標的分子夫々に対する標識の割り当てに関する支援情報を生成する。標的分子の分析を行うユーザは、当該支援情報を参照することで、各標的分子の分析に適した標識を簡便に選択することができる。
【0030】
本技術において、標的分子は、標識によって分析可能とされるべき分子であり、当業者により適宜選択されてよい。例えば、標的分子は、フローサイトメトリー、顕微鏡観察、ウェスタンブロット、各種アレイ、及びELISAなどの分析において、標識によって分析可能とされるべき分子でありうる。すなわち、本技術は、これら分析において用いられる標識の選択を支援するために用いられうる。
本技術において、標的分子は特には生体内に存在しうる分子であり、例えば生体分子、薬剤分子、及び有害分子を挙げることができ、より特には生体分子でありうる。生体分子として、例えば核酸、タンパク質、糖類、脂質、及びビタミン類などを挙げることができる。核酸の例として、DNA及びRNAが挙げられる。タンパク質の例として、抗原タンパク質、例えば細胞表面マーカー、抗体、酵素タンパク質、構造タンパク質、及び接着タンパク質が挙げられる。
【0031】
本技術において、分析対象となる標的分子の数は複数であってよく、例えば2以上であり、より好ましくは3以上、5以上、10以上、15以上、又は20以上でありうる。標的分子の数がより多いほど、標識の選択はユーザにとってより困難になる傾向にあるので、標識の選択をより簡便にできるという効果がより顕著に現れる。
【0032】
本技術において、標的分子に関する情報は、標的分子を同定するための情報でありうる。当該情報として、例えば標的分子の名称若しくは略称又は標的分子を示すための番号若しくはコードなどを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0033】
本技術において、標識とは、標的分子を分析するために用いられる物質でありうる。本技術において、当技術分野で既知の標識が用いられてよい。当該標識は、例えば色素、特には蛍光色素である。本技術において、色素は例えば、標的分子に対して直接的に結合する化合物であってよく又は抗体(例えばIgGなど)に結合した状態で用いられる化合物であってもよい。例えば、色素として、可視光領域に蛍光波長を有する種々の蛍光色素が用いられうる。標識の例として、例えばAlexaFluor(登録商標)シリーズの蛍光色素、DyLight(登録商標)シリーズの蛍光色素、及びBD Horizon Brilliant(商標)シリーズの蛍光色素を挙げることができるが、これらに限定されない。本技術において、色素は、標的分子の一部として発現されるもの、例えば蛍光融合タンパク質に含まれる蛍光タンパク質などであってもよい。蛍光タンパク質の例として、例えばGFP、BFP、CFP、EGFP、EYFP、及びPA-GFPなどを挙げることができる。
本技術において、標識は、蛍光色素が結合された抗体も包含する。蛍光色素が結合された抗体を用いた標的分子の分析方法は、蛍光免疫染色とも呼ばれる。蛍光免疫染色には、例えば免疫細胞化学(ICC)及び免疫組織化学(IHC)が包含されうる。ICCでは、組織から分離された細胞又は培養された細胞の染色が行われうる。IHCでは、組織の薄切片内の標的分子が染色されうる。本技術において、好ましくは蛍光免疫染色において用いられる標識、すなわち蛍光色素が結合された抗体、を選択するための支援情報が生成されうる。
前記蛍光免疫染色には、直接蛍光免疫染色法及び間接蛍光免疫染色法が包含される。前者では、蛍光色素が結合した抗体が、標的分子に直接的に結合する。そして、当該蛍光色素を検出することで、標的分子の分析が行われうる。後者では、蛍光色素が結合した抗体(二次抗体ともいう)が、標的分子に特異的に結合した抗体(一次抗体ともいう)に結合する。すなわち、蛍光色素が結合した二次抗体が、標的分子に、一次抗体を介して結合する。
【0034】
本技術において、標識の割り当てに関する支援情報として、例えば以下を挙げることができる:
標的分子に割り当てられるべき標識の名称(例えば化合物名)、略称(例えば化合物名の略称)、商品番号、若しくは商品名;
標識が有するべき波長の範囲;
標識が有するべき波長範囲に蛍光波長を有する一つ又は複数の色素のリスト;
標識が有するべき蛍光強度の範囲;
標識が有するべき化学構造;及び
標的分子に割り当てられるべきでない標識又は波長範囲。
【0035】
本技術において、前記データベースは、例えばインターネット上で公開されているデータベースであってよく、又は、インターネット上で公開されていないデータベース、例えばユーザが独自に有するデータベースなどであってもよい。本技術において、1つ又は複数のデータベースが用いられてもよい。本技術において用いられるデータベースの例として、タンパク質発現データベース、遺伝子発現データベース、論文データベース、マイクロアレイ実験データベース、及び標識に関するデータベースを挙げることができるが、これらに限定されない。データベースは、標的分子の種類に基づき当業者により適宜選択されてよく、又は、標的分子の種類に基づき本技術の標識選択支援システムによって自動的に選択されてもよい。前記情報処理部が、前記情報取得部が取得した標的分子に関する情報から標的分子の種類を同定し、当該種類に基づき、前記情報処理部は当該種類の分子に関するデータベースを選択しうる。これにより、例えば、標的分子がRNAである場合に、自動的にRNAに関するデータベースが選択される。本技術の好ましい実施態様にいて、データベースとして、タンパク質発現データベースが用いられうる。
本技術において用いられるデータベースの例として以下を挙げることができる。いずれも、インターネット上で公開されているデータベースである。以下のうち、タンパク質発現のデータベースであるGeneCards及び/又はProteomicsDBを用いることがより好ましい。
GeneCards(商標)(http://www.genecards.org/)
ProteomicsDB(https://www.proteomicsdb.org/proteomicsdb/#overview)
Gene Expression Omnibus (https://www.ncbi.nlm.nih.gov/geo/)
Gene eXpression Database (http://www.informatics.jax.org/expression.shtml)
Expression Atlas (https://www.ebi.ac.uk/gxa/home)
All Of gene Expression (http://aoe.dbcls.jp/)
Reference Expression dataset (http://refex.dbcls.jp/)
【0036】
本技術において、前記情報処理部により取得される発現情報は、標的分子の発現に関する情報でありうる。発現情報として、例えば、標的分子の分析結果に関するデータを挙げることができる。前記分析結果に関するデータとしては、例えば標的分子の量に関するデータ(例えば発現量若しくは存在量又は発現の程度など)、標的分子が存在する位置若しくは領域又は時期若しくは時間に関するデータ、及び標的分子を有する生物種又は細胞種に関するデータを挙げることができるがこれらに限定されない。標的分子が存在する位置若しくは領域又は時期若しくは時間に関するデータには、例えば前記標的分子の量に関するデータが得られるところの位置若しくは領域又は時期若しくは時間に関するデータが包含される。当該データは、例えば或る位置若しくは領域又は時期若しくは時間における標的分子の量に関するデータとして取得されてもよい。前記位置若しくは領域には、例えば臓器若しくは器官、臓器若しくは器官内の位置若しくは領域、及び細胞小器官が包含されうる。
本技術において、前記情報処理部は、前記発現情報に加えて、分析条件に関するデータ及び/又は分析装置に関するデータも取得しうる。
前記分析条件に関するデータとしては、前記分析結果を得る為の分析の条件、例えば分析前の処理条件、分析条件、及び分析後の処理条件などを挙げることができる。分析条件に関するデータには、例えば前記標的分子の量に関するデータが得られた場合の分析条件に関するデータが包含される。当該データは、例えば或る分析条件にて分析を行った場合に得られた標的分子の量に関するデータとして取得されてもよい。
前記分析装置に関するデータとして、例えば装置名、装置の種類、装置の操作条件、装置において使用可能な標識の範囲、例えば装置により分析可能な波長範囲など、及び装置において使用可能な試薬の範囲を挙げることができる。
例えば、標的分子が生体分子である場合、前記情報処理部により取得される情報としてとして、例えば以下を挙げることができる:
生体分子の存在量若しくは発現量、発現分布、存在若しくは発現の位置若しくは領域、及び発現の程度;
生体分子を有する生物の種、齢、及び性別;
生体分子を有する生物の疾病の有無、疾病の種類、及び既往歴;
生体分子を発現する臓器又は細胞の種類、源、及び入手方法若しくは培養方法;
データの取得時期(例えば分析データがデータベースに掲載された時期);及び
データの被引用回数(例えば分析データを記載する論文の被引用回数)。
これらの情報のうち1種又は2種以上が、前記情報処理部により取得されてよい。
【0037】
本技術の一つの実施態様に従い、前記情報処理部により取得される発現情報は、標的分子の量に関する情報を少なくとも含み、より特には標的分子の存在量又は発現量及び/又は標的分子の発現の程度を少なくとも含む。
好ましくは、前記情報処理部により取得される発現情報は、生体内における発現分布又は発現量に関する情報でありうる。
例えば、前記情報処理部により取得される発現情報は生体内における発現量に関する情報であり、前記情報処理部は前記標的分子の発現量に関する情報に基づき、前記標的分子に対して割り当てる標識の蛍光強度を選択しうる。
例えば、前記情報処理部により取得される発現情報は生体内における発現分布に関する情報であり、前記情報処理部は前記標的分子の発現分布に関する情報に基づき、前記標的分子に対して割り当てる標識の蛍光波長を選択しうる。
本技術の他の実施態様に従い、前記情報処理部により取得される発現情報は、標的分子の量に関する情報、及び、標的分子が存在する位置若しくは領域に関する情報を少なくとも含んでもよい。
本技術のさらに他の実施態様に従い、前記情報処理部により取得される発現情報は、標的分子の量に関する情報、標的分子が存在する位置若しくは領域に関する情報、及び標的分子を有する生物種及び/又は細胞種に関する情報を少なくとも含んでもよい。
本技術においてこのような発現情報を用いることで、標識のより適切な割り当てに資する支援情報が生成される。
【0038】
適切に割り当てられた標識を用いることで、標的分子の分析が容易になる。
例えば、複数の標的分子の細胞内分布が異なっていれば、たとえ用いられる蛍光色素の波長が近くても、色の識別が容易である。このことを、図16を参照して説明する。
図16は、5つの色素を用いて蛍光免疫染色されたヒト乳腺癌細胞(MCF7)を共焦点レーザ走査型顕微鏡(Olympus FV1000、×60)により撮影することで得られた写真である。当該蛍光免疫染色では、細胞表面に存在する標的分子E-cadherinに対して蛍光色素BV480、細胞質に存在するβ-tubulinに対してAlexa488、核小体に存在するKi-67に対してAlexa555、ゴルジ体に存在するGM130に対してAlexa647、及びリソソーム顆粒膜に存在するLamp1に対してBV421が用いられた。
図16に示されるとおり、標的分子の細胞内分布が異なっていれば色の識別が容易である。
また、複数の標的分子の細胞内分布が同じでも細胞分布が異なっていれば色の識別が容易である。このことを、図17を参照して説明する。
図17は、4つの色素を用いて蛍光免疫染色されたJurkat細胞を顕微鏡により撮影することで得られた写真である。当該蛍光免疫染色では、標的分子CD3に対して蛍光色素BV480(シアン)、CD45に対してFITC(緑)、CD3に対してAlexa647(赤)、及びCD45に対してPE-Cy5(黄)が用いられた。また、図17の写真のうち右下の写真は明視野での撮影により得られたものである。標的分子はいずれも細胞表面に発現している。
図17に示されるとおり、標的分子のいずれもが細胞表面に発現していても、標的分子を発現する細胞が異なれば、色の識別が容易である。
【0039】
本技術の一つの実施態様に従い、前記データテーブルは、各標的分子について前記情報処理部により取得されたデータから生成されうる。前記データテーブルの生成のために、例えば2種類、3種類、4種類、5種類、又はそれより多くの種類のデータが用いられうる。本技術の一つの実施態様に従い、3種類のデータから、2次元のデータテーブルが生成されうる。また、他の実施態様に従い、4種類のデータから、2次元のデータテーブルが串刺しにされたデータテーブルが生成され、又は、3次元のデータテーブルが生成されてもよい。又は、4種類のデータのうち3種類のデータを用いて2次元のデータテーブルを生成し、当該データテーブルの各セルのデータに対し、残りの1種類のデータに基づくデータ処理が行われうる。当該データ処理は、例えば所定の係数を乗ずるなどの処理でありうる。
【0040】
本技術の好ましい実施態様に従い、前記データテーブルは、標的分子の量に関するデータ(例えば発現量、存在量、又は発現の程度など)をデータテーブルの各セルに有しうる。例えば、前記データテーブルは、標的分子が存在する領域及び標的分子を有する細胞種をデータテーブルの2つの項目(例えば行項目及び列項目)とする表内の各セルに発現量を有しうる。すなわち、各セルの発現量は、上記細胞種内の上記領域における標的分子の発現量を意味する。なお、データテーブルの行項目及び列項目は入れ替えられてもよい。
行項目及び列項目として他のデータが用いられてもよく、例えば前処理条件、特には分析前の処理の種類並びに分析前の処理におけるpH、温度、試薬、及び処理時間などを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0041】
好ましくは、前記情報処理部は空間的に近接する複数の標的分子に対して、蛍光波長スペクトルの遠い蛍光色素をそれぞれ割り当てうる。当該割り当ての結果が、支援情報でありうる。例えば、細胞内においてより近い場所に存在する2つ又はそれ以上の標的分子に対しては、より遠い蛍光波長スペクトルを有する蛍光色素が夫々割り当てられてうる。これにより、分析により適した蛍光色素の組合せがユーザに提案されうる。
前記情報処理部は、標的分子と標識の組合せの適性について学習した学習済みモデルを利用して前記支援情報を生成してもよい。当該学習済みモデルとして、当業者に既知の手法により生成されたものが用いられてよい。当該学習済みモデルは、例えば、以下「(4)第1の実施形態の第3の例(標識選択支援システム)」で述べるルール群であってよく、又は、「(4)第1の実施形態の第3の例(標識選択支援システム)」で述べる機械学習により生成されてもよい。
本技術の一つの実施態様に従い、前記標識の割り当てに関する支援情報は、前記支援情報生成部が、前記データテーブルを参照して生成しうる。本技術の一つの実施態様に従い、当該支援情報は、標的分子の夫々について生成されたデータテーブル間の相関関係に基づき生成されうる。例えば、前記支援情報生成部は、標的分子のうちの2つについてデータテーブル間の相関係数を取得することを、分析対象となる標的分子の組合せ(好ましくは全ての組合せ)について行い、そして、取得された相関係数に基づき、標識の割り当てに関する支援情報を生成する。
【0042】
本技術の一つの実施態様に従い、前記支援情報生成部は、所定のルールに従い、標識の割り当てに関する支援情報を生成しうる。例えば、前記支援情報生成部は、所定のルールに従い、各標的分子に割り当てられるべき1つ又は複数の標識を選択し、そして、当該選択された標識を各標的分子に割り当てたほうがよいとの支援情報を生成しうる。当該ルールは、支援情報生成部に予め格納されていてよく、又は、ユーザにより適宜追加されてもよい。以下で、当該ルールに関して、例を示しつつ説明する。
【0043】
(1-1)ルールに関する第1の例
割り当てのルールに関する第1の例は、以下のルール1である。
ルール1:データテーブル間により強い相関関係がある2つの標的分子の夫々により遠い波長を有する蛍光色素が割り当てられるように、標的分子の夫々に対する蛍光色素を選択する。
【0044】
このルールは、特にはデータテーブル間に正の相関関係を有する2つの標的分子について適用されうる。負の相関関係を有する2つの標的分子については、例えば、支援情報生成部は、既に割り当てられた標識以外の標識を任意的に割り当ててよく、又は、ユーザが、適宜選択してもよい。当該ルールに従い蛍光色素を標的分子に割り当てることで、スペクトルの重なりが減少されて、より適切な標識を標的分子に割り当てることができる。
好ましい実施態様において、当該ルールは、データテーブルの要素が標的分子の量に関するデータであり、且つ、データテーブルの項目の一つが、標的分子が存在する位置若しくは領域及び/又は時期若しくは時間である場合に適用されうる。この実施態様において、標的分子の量及び標的分子が存在する空間及び/又は時間が考慮されるので、より適切な標識が標的分子に割り当てられる。例えば標識が色素である場合、また、この実施態様において、色分離をより容易に行うことを可能とする蛍光色素が標的分子に割り当てられる。この実施態様は、例えば蛍光顕微鏡による標的分子の観察又は各種アレイによる標的分子の分析に適している。
他の好ましい実施態様において、当該ルールは、データテーブルの要素が標的分子の量に関するデータであり、且つ、データテーブルの項目の一つが、標的分子が存在する生物種及び/又は細胞種である場合に適用されうる。この実施態様において、標的分子の量及び標的分子が存在する生物及び/又は細胞が考慮されるので、より適切な標識が標的分子に割り当てられる。例えば、標識が蛍光色素である場合、この実施態様において、標的分子の量及び標的分子が存在する生物種及び/又は細胞種が考慮されるので、より適切な標識が標的分子に割り当てられる。また、この実施態様において、色分離をより容易に行うことを可能とする蛍光色素が標的分子に割り当てられる。この実施態様は、例えばフローサイトメトリーによる標的分子の分析に適している。
【0045】
(1-2)ルールに関する第2の例
割り当てのルールに関する第2の例は、以下のルール2~4のセットである。
ルール2:データテーブル間に正の相関関係を有する2つの標的分子について、より強い相関関係を有する標的分子の夫々に、より遠い波長を有する蛍光色素が割り当てられるように、標的分子の夫々に対する蛍光色素を選択する。
ルール3:データテーブル間に負の相関関係を有する2つの標的分子については、既に割り当てられた蛍光色素以外の蛍光色素を割り当ててよい。ただし、ルール3により割り当てられる蛍光色素は、既に割り当てられた蛍光色素の波長と所定波長以上離れているものとする。
ルール4:ルール2がルール3に対して優先する。
【0046】
ルール2により、上記ルール1に関して述べたとおりの標識選択が行われうる。
ルール3により割り当てられる蛍光色素は、既に割り当てられた蛍光色素の波長と所定波長以上離れているので、スペクトルの重なりが減少されて、色分離がより容易に行われうる。
ルール4により、ルール2がルール3に優先するので、より強い正の相関関係を有する2つの標的分子に対して優先的に蛍光色素が割り当てられる。その結果、より適切な割り当てが可能となる。
本技術の一つの実施態様に従い、正の相関関係を有する標的分子に対する標識の割り当てが、負の相関関係を有する標的分子に対する標識の割り当てに優先して行われうる。すなわち、支援情報生成部は、正の相関関係を有する2つの標的分子に対して優先的に標識を割り当てうる。これにより、より適切な標識を選択することが可能となる。
【0047】
(1-3)ルールに関する第3の例
割り当てのルールに関する第3の例は、以下のルール5~7のセットである。
ルール5:データテーブル間に正の相関関係を有する標的分子の数で、所定の波長領域を分け、分けられた波長範囲のそれぞれから1つずつ選択された蛍光色素を、当該標的分子のそれぞれに割り当てる。
ルール6:データテーブル間に負の相関関係を有する2つの標的分子については、既に割り当てられた蛍光色素以外の蛍光色素を割り当ててよい。ただし、ルール6により割り当てられる蛍光色素は、既に割り当てられた蛍光色素の波長と所定波長以上離れているものとする。
ルール7:ルール5がルール6に対して優先する。
【0048】
ルール5に従い、例えば可視光の波長領域範囲(例えば380nm~750nm)を正の相関関係を有する標的分子の数で等分し、分けられた波長範囲のそれぞれに属する蛍光色素が、当該標的分子に割り当てられる。従って、スペクトルの重なりが減少されて、色分離がより容易に行われうる。
ルール6により、上記でルール3に関して述べたとおりの標識選択が行われうる。ルール7により、正の相関関係を有する2つの標的分子に対して優先的に蛍光色素が割り当てられるので、より適切な割り当てが可能となる。
ルール5において、或る波長範囲に複数の蛍光色素が属する場合に、当該複数の蛍光色素のうちからどの蛍光色素を選択するかは、例えば以下のルールのいずれかに従い決定されうる。
ルール5-1:(標的分子の量)×(蛍光色素の蛍光強度)の値が最大となるように、蛍光色素が選択される。
ルール5-2:(標的分子の量)×(蛍光色素の蛍光強度)の値が所定の数値範囲内に入るように、蛍光色素が選択される。
ルール5-3:(標的分子の量)×(蛍光色素の蛍光強度)の値が所定の数値範囲内に入り、且つ、当該値が当該範囲内で最大若しくは最小となるように又は当該範囲の中央に最も近くなるように、蛍光色素が選択される。
以上のルール5-1~5-3によって、適切な標識の絞込みができる。ルール5-1~5-3によって、例えば標識候補が複数存在する場合に、より少数の標識、例えば1つの標識だけを選択することができる。
例えば、ルール5-1~5-3は、分析対象となる標的分子が1つだけである場合に適用することができる。また、ルール5-1~5-3は、上記ルール3において、既に割り当てられた蛍光色素以外の蛍光色素を割り当てる場合、又は、下記ルール8において、或る波長範囲から1つの蛍光色素を選択する場合に適用されてもよい。
標的分子の量(例えば発現量)に関するデータ及び蛍光色素の蛍光強度に関するデータは、いずれもデータベースより取得可能である。また、(標的分子の発現量)×(蛍光色素の蛍光強度)の値自体を、データベースより取得してもよい。これらのデータは、情報処理部により取得されうる。
【0049】
(1-4)ルールに関する第4の例
割り当てのルールに関する第4の例は、以下のルール8~11のセットである。
ルール8:データテーブル間に正の相関関係を有する標的分子の数で、所定の波長領域を分け、分けられた波長範囲のそれぞれから1つずつ選択された蛍光色素を、当該標的分子のそれぞれに割り当てる。
ルール9:ルール8において、より強い正の相関関係を有する2つの標的分子について、より離れた波長範囲から蛍光色素が選択されるものとする。
ルール10:データテーブル間に負の相関関係を有する2つの標的分子については、既に割り当てられた蛍光色素以外の蛍光色素を割り当ててよい。ただし、ルール2により割り当てられる蛍光色素は、既に割り当てられた蛍光色素の波長と所定波長以上離れているものとする。
ルール11:ルール8がルール10に対して優先する。
【0050】
ルール8及び9に従い蛍光色素の選択が行われることで、スペクトルの重なりがさらに減少されて、色分離がより容易に行われうる。
【0051】
(1-5)ルールに関する第5の例
割り当てのルールに関する第5の例は、以下のルール12である。
ルール12:データテーブル間に正の相関関係を有する標的分子の数で、所定の波長領域を分け、分けられた波長範囲のそれぞれに属する複数の蛍光色素を、標的分子に対する標識候補として提示する。
【0052】
ルール12に従い、複数の蛍光色素が標識候補としてユーザに提示されるので、ユーザに対して提示される標識の選択肢の数を増やしつつ、且つ、選択される色素のスペクトルの重なりを減少することが可能となる。負の相関関係を有する2つの標的分子については、例えば、支援情報生成部が、既に割り当てられた標識以外の標識を任意的に割り当ててよく、又は、ユーザが適宜選択してもよい。当該ルールに従い標識を標的分子に割り当てることで、スペクトルの重なりが減少されて、より適切な標識を標的分子に割り当てることができる。
【0053】
支援情報を生成するためのルールは、以上で述べたルールの組合せであってもよい。また、ユーザによりルールは適宜追加されてよく、又は、本技術に従う標識選択支援システムが機械学習によって新たにルールを生成してもよい。
【0054】
支援情報を生成するためのルールとして、データテーブルを参照する必要のないルールを用いることもできる。そのようなルールとして、例えば以下の第6及び第7の例を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0055】
(1-6)ルールに関する第6の例
割り当てのルールに関する第6の例は、以下のルール13である。
ルール13:或る標的分子に対しては、所定の蛍光色素を標識候補として提示しない。
例えば蛍光色素が標的分子の物性に悪影響を及ぼすなどの理由により、標的分子の標識に用いられるべきでない蛍光色素もある。このような場合には、ルール13が用いられうる。
【0056】
(1-7)ルールに関する第7の例
割り当てのルールに関する第7の例は、以下のルール14である。
ルール14:或る標的分子に対しては、所定の蛍光色素を必ず選択する。
ユーザが或る標的分子に対して使用することを既に決定している蛍光色素がある場合には、ルール14が用いられうる。ルール14が適用される場合には、当該既に決定された蛍光色素の蛍光波長から所定範囲内の波長を有する蛍光色素は、標識候補から除外されうる。
【0057】
本技術において、前記支援情報生成部は、例えば以上で述べたルール若しくはルールのセットのいずれかに従い又は当該ルール若しくは当該ルールのセットを含むルール群に従い、標識の割り当てに関する支援情報を生成する。そして、当該生成された支援情報は、送信部によって、ネットワークを介して、例えば標的分子の分析を行うユーザの端末に送信される。ユーザは、当該支援情報を参照して、当該分析に用いられる標識を選択する。
【0058】
(2)第1の実施形態の第1の例(標識選択支援システム)
【0059】
以下で、本技術に従う標識選択支援システムの例及び当該システムを用いた標識選択を、図1及び2を参照しながら説明する。
図1は、本技術に従う標識選択支援システムを使用している状況の一例を示す模式図である。図1において、標識選択支援システム100は、ネットワーク101を介して、ユーザ端末102及びデータベース103に接続されている。
図2は、標識選択支援システム100のブロック図である。標識選択支援システム100は、情報取得部201、情報処理部202、及び送信部206を備えている。情報処理部202は、発現情報取得部203、データテーブル生成部204、及び支援情報生成部205を含む。なお、図2において、ネットワーク101は省略されている。
【0060】
標識選択支援システム100の送信部206は、ネットワーク101を介して、端末102に、分析対象となる標的分子の名称の入力をユーザに促す画面を表示させるためのデータを送信する。当該データは、例えば情報処理部202内に格納されていてよい。端末102は、当該データを受信することに応じて、当該画面を端末102の表示部、例えばディスプレイなどに表示させる。当該画面には、例えば標的分子の名称の入力欄及び入力された当該名称を標識選択支援システム100に送信するための送信ボタンが設けられていてよい。当該画面において、ユーザが標的分子の名称を入力しそして送信ボタンをクリックすることに応じて、端末102は、当該標的分子の名称を、ネットワーク101を介して、標識選択支援システム100に送信する。
また、当該画面には、標的分子を分析するために用いられる装置の名称を入力する欄が設けられていてもよい。標的分子の名称に加えて、装置の名称を入力したうえで、送信ボタンをクリックすることに応じて、端末102は、標的分子の名称及び装置の名称に関する情報を標識選択支援システム100に送信する。
【0061】
標識選択支援システム100の情報取得部201は、当該標的分子の名称を、ネットワーク101を介して取得する。
また、情報取得部201は、当該標的分子の名称に加えて当該装置の名称を、ネットワーク101を介して取得してもよい。
【0062】
標識選択支援システム100の発現情報取得部203は、当該標的分子の名称をキーとして、データベース103を検索する。当該検索によって、発現情報取得部203は、データベース103から、当該標的分子の名称に関連付けられたデータを取得する。当該データは、例えば当該標的分子が生体内で発現している領域及び発現量を含む。
検索されるデータベースは、例えば情報処理部202が、当該標的分子の名称に応じて選択しうる。又は、検索されるデータベースは、標的分子の分析を行うユーザにより予め選択されてもよい。
また、情報処理部202は、当該装置の名称をキーとして、データベース103を検索しうる。当該検索によって、情報処理部202は、データベース103から、当該装置において使用可能な標識のデータを取得しうる。
【0063】
標識選択支援システム100のデータテーブル生成部204は、前記取得したデータから、前記標的分子の夫々についてデータテーブルを生成する。当該データテーブルは例えば、標的分子の分析が行われた細胞種及び標的分子の細胞内での発現領域を項目とし、且つ、各セルには、各細胞種内の種々の発現領域における発現量を有するデータテーブルである。当該データテーブルの例を図4及び5に示す。
【0064】
図4及び5は、各細胞種内の種々の発現領域における発現量を有するデータテーブルを生成するために用いられるデータ(各図中のA及びB)及び当該データにより生成された当該データテーブル(各図中のC)を示す。なお、本技術において発現量の単位は当業者により適宜選択されてよい。図4及び5においてはppmである。
当該データテーブルは、例えば以下のように生成される。
例えば或るデータベースより、分子1(Molecule 1)の細胞A~細胞F(Cell A~Cell F)における発現量のデータが、発現情報取得部203により取得される。図4上部のAの表が、各細胞種における発現量を示す。例えば、図4Aに示されるとおり、細胞Aにおける分子1の発現量データとして1×102という値が取得される。また、当該データベース又は当該データベースとは異なるデータベースより、細胞Aの種々の細胞領域における発現の程度を5段階で示すデータが取得される。図4中段のBの表が、各細胞領域における発現の程度を示す。例えば細胞Aの形質膜(Plasma membrane)における分子1の発現の程度は5である。なお、図4では、細胞B~Fに関する発現の程度は省略されている。上記のとおり取得された発現量のデータに発現の程度のデータを乗ずることで、図4下部のCに記載のデータテーブルが生成される。
図5には、分子2について同様に取得された発現量データ及び種々の細胞領域における発現の程度を示すデータ、並びに、同様に生成されたデータテーブルが示されている。
【0065】
標識選択支援システム100の支援情報生成部205は、前記生成されたデータテーブルを参照して、標識の割り当てに関する支援情報を生成する。
割り当てられる標識は、例えば、情報処理部202によって取得された、前記装置において使用可能な標識のうちから選択されうる。装置情報が使用可能でない場合は、例えば予め情報処理部に格納されている色素リストのうちから、割り当てられる標識が選択されうる。当該色素リストは、例えば可視光領域に蛍光波長を有する市販入手可能な蛍光色素のリストでありうる。
【0066】
支援情報の生成の例を、図4~8を参照して説明する。
【0067】
図4及び5は上記で説明したとおりである。
図6に記載の分子1及び2に関するグラフはそれぞれ、図4及び5に記載のデータテーブルを3次元マトリックス状に表したものである。図6のうち、分子3及び4に関するグラフは、分子1及び2に関するグラフと同様に、分子3及び4についてデータテーブルを生成し、そして当該データテーブルを3次元マトリックス状に表したものである。分子3及び4のデータテーブルは、後述する図7に示されている。分子3及び4のデータテーブルも、分子1及び2と同様に生成されたものである。
【0068】
支援情報生成部205は、例えば、分子1~4のデータテーブル間の相関係数を求め、そして、当該相関係数に基づき分子1~4に標識の割当に関する支援情報を生成する。相関係数は例えば相互相関係数であり、相互相関係数の算出に用いられる式は例えば以下のとおりである。
【0069】
【数1】
【0070】
上記式において、M及びNはそれぞれデータテーブルの行及び列の数であり、T(i,j)は一方のデータテーブル中の位置(i,j)におけるデータ、及びI(i, j)は他方のデータテーブル中の位置(i,j)におけるデータを表す。
【0071】
上記式に従い算出された各分子間の相互相関係数を図8に示す。図8に示される相関係数に基づき、例えば以下のルール1及び2に従い標識の割当に関する支援情報が生成される。
ルール1:正の相関の分子間では、相関係数の高い順に蛍光波長の遠い色素を割り当てる。
ルール2:負の相関の分子間では、蛍光波長の近い色素を利用できる。
【0072】
分子1~4のうち、分子1及び2の間には正の相関があり、相関係数が最も高い分子の組み合わせは、分子1及び2の組合せである。
分子1及び3、分子1及び4、分子2及び3、分子2及び4、並びに分子3及び4の間には負の相関がある。
【0073】
ルール1に従い、分子1及び2には蛍光波長の遠い色素が割り当てられる。ルール2に従い、分子1及び3、分子1及び4、分子2及び3、分子2及び4、並びに分子3及び4の間では、近い蛍光波長を有する色素が利用できる。なお、選択可能な色素の数が少ない場合には、ルール2により選択される色素は、既に選択した色素と同じ波長を有する色素であってもよいとしてもよい。
支援情報生成部205は、ルール1及び2に従い、例えば以下に述べる実施態様のとおりに、色素割り当ての支援情報を生成する。
【0074】
一つの実施態様において、支援情報生成部205は、上記ルール1に従い、相関係数が最も高い分子の組み合わせとして、分子1及び2を選ぶ。そして、支援情報生成部205は、色素データベース(図示せず)を参照し、分子1及び2に、所定の色素群のうちから、蛍光波長の最も遠い2つの色素を割り当てる。そして、支援情報生成部205は、分子1及び2に、当該2つの色素が割り当てられるべきであるとの支援情報を生成する。
次に、支援情報生成部205は、分子1及び2に対して割り当てられた色素以外の色素のうちから、分子3及び4に対する色素が割り当てられるべきであるとの支援情報を生成する。
【0075】
他の実施態様において、支援情報生成部205は、上記ルール1に従い、相関係数が最も高い分子の組み合わせとして、分子1及び2を選ぶ。
ここで、支援情報生成部205が参照する色素データベースに含まれる色素は、予め、所定の波長範囲内の波長を有する色素の群に分類されている。例えば、可視光領域の波長が例えば2~20、3~15、又は4~10などの複数の範囲に分けられており、複数の色素が、その色素の蛍光波長によって当該複数の範囲に分類されている。波長範囲の区分けのより具体的な例は、例えば380~430nm(紫)、430~490nm(青)、490~550nm(緑)、550~590nm(黄)、590~640nm(橙)、及び640~770nm(赤)でありうる。このように区分けされた波長範囲のそれぞれに、蛍光波長によって複数の色素が予め分類され、複数の色素群を形成していてよい。
支援情報生成部205は、波長範囲の最も遠い2つの色素群(例えば紫の群及び赤の群)から、分子1及び2に対してそれぞれ色素が選択されるべきであるとの支援情報を生成する。又は、支援情報生成部205は、波長範囲の最も遠い2つの色素群のそれぞれに属する色素から1つずつ色素を選択して得られる色素の組合せを支援情報として生成してもよい。
次に、支援情報生成部205は、分子1及び2に対して選択されるべきであると提示された上記2つの色素群以外の色素群に属する色素のうちから、分子3及び4に対する色素が割り当てられるべきであるとの支援情報を生成する。
【0076】
以上のとおり、支援情報生成部205は、標識の割当に関する支援情報を生成する。
【0077】
標識選択支援システム100の送信部206は、前記生成された支援情報を前記ネットワークを介して端末102に送信する。端末102は、当該支援情報を例えばディスプレイ上に表示する。その結果、ユーザは当該支援情報を参照して、前記標的分子の分析に適した標識を選択することができる。
【0078】
(3)第1の実施形態の第2の例(標識選択支援システム)
【0079】
本技術の一つの実施態様において、前記情報処理部は、発現情報に加えて、生体分子の分析前の処理条件に関するデータをさらに取得しうる。この場合、前記データテーブル生成部が、生体分子の分析前の処理条件を項目として含む処理条件データテーブルを各生体分子について生成しうる。前記情報処理部は、各生体分子について生成された前記処理条件データテーブルを参照して、より多くの生体分子について分析が可能となる処理条件を選択する処理条件選択部を含みうる。
処理条件選択部を含むことで、複数の分子についてより適切な処理条件がユーザに提示することが可能となる。その結果、ユーザはより簡便に処理条件を選択することができる。
【0080】
以下で、前記情報処理部が前記処理条件選択部をさらに含む場合の例を、図1及び9を参照しながら説明する。
図1は、上記「(2)第1の実施形態の第1の例(標識選択支援システム)」において説明したものと同じである。
図9は、上記「(2)第1の実施形態の第1の例(標識選択支援システム)」において説明した図2の標識選択支援システム100に処理条件選択部307が追加されたものである。
【0081】
標識選択支援システム100は、ネットワーク101を介して、端末102に、分析対象となる標的分子の名称の入力をユーザに促す画面を表示させる。当該画面には、例えば標的分子の名称の入力欄及び入力された当該名称を標識選択支援システム100に送信するための送信ボタンが設けられていてよい。当該画面において、ユーザが標的分子の名称を入力しそして送信ボタンをクリックすることに応じて、端末102は、当該標的分子の名称を、ネットワーク101を介して、標識選択支援システム100に送信する。
上記画面を端末102に表示させるためのデータは、例えば標識選択支援システム100の送信部306により行われうる。当該データは、例えば情報処理部302内に格納されていてよい。
【0082】
標識選択支援システム100の情報取得部301は、当該標的分子の名称を、ネットワーク101を介して取得する。
【0083】
標識選択支援システム100の発現情報取得部303は、当該標的分子の名称をキーとして、データベース103を検索する。当該検索によって、発現情報取得部303は、当該標的分子の名称に関連付けられたデータを取得する。当該データは、例えば当該標的分子が生体内で発現している領域及び発現量、並びに、当該標的分子の分析の前に行われた処理の条件を含む。
【0084】
標識選択支援システム100のデータテーブル生成部304は、前記取得したデータから、前記標的分子の夫々についてデータテーブルを生成する。生成されるデータテーブルは、発現量及び発現領域に関するデータテーブル及び前処理条件に関するデータテーブルである。
【0085】
発現量及び発現領域に関するデータテーブルは、上記「(2)第1の実施形態の第1の例(標識選択支援システム)」において説明したとおり図4、5、及び7に記載されたとおりのものである。
【0086】
前処理条件に関するデータテーブルは、生体分子の分析前の処理条件を項目として含みうる。また、前処理条件に関するデータテーブルは、各セルに、当該処理の結果に関するデータを含みうる。
前処理条件に関するデータテーブルの例を図10に示す。図10に示されるとおり、前処理条件に関するデータテーブルは、分子1~4のそれぞれについて、例えば以下のとおりに作成される。
例えば或るデータベースより、分子1の分析の前処理の条件としてpH及び温度、並びに、当該前処理による賦活化(特には抗原の賦活化)の程度が、発現情報取得部303により取得される。賦活化の程度は、0~5の6段階で表されており、0は賦活化されなかったことを意味し、1が賦活化の程度が最も弱く、1から5の順に賦活化の程度がより強くなり、5が賦活化の程度が最も強いことを意味する。当該取得されたデータから、図10に示されるとおりのデータテーブルが生成される。同様に、分子2~4についても、図10に示されるとおりのデータテーブルが生成される。当該データテーブルは、pH及び温度を項目とし且つ賦活化の程度を各セルに有するデータテーブルである。
【0087】
処理条件選択部307は、分子1~4のそれぞれについて生成された処理条件データテーブルを参照して、分子1~4のうち、より多くの分子の分析が可能となる処理条件を選択する。
例えば、図10において、生成された分子1~4についてのデータテーブルのうち、全ての分子の賦活化の程度が1以上である場合(すなわち賦活化された場合)の処理条件が温度60℃且つpH5~10の場合、温度70℃且つpH4~6の場合、及び、温度80℃且つpH4の場合である。よって、これらの処理条件によって、分子1~4の全てが賦活化される。
【0088】
一つの実施態様において、処理条件選択部307は、分子1~4の全てが賦活化される上記条件のいずれかによって分子1~4の分析の前処理が行われるべきであるとの支援情報を生成する。
【0089】
他の実施態様において、処理条件選択部307は、発現量及び発現領域に関する前記データテーブルを参照し、より適切な前処理条件を選択しうる。例えば、図7に示されるとおり、分子1~4のうち、最大発現量が最も小さい分子は、分子1である(5×102)。そこで、分子1~4の全てが賦活化される前処理条件のうち、分子1の賦活化の程度が最も大きくなる前処理条件が選択されうる。図10では、温度70℃且つpH6の場合において、分子1の賦活化の程度が3であり、他の分子についてはそれ以下である。そこで、処理条件選択部307は、温度70℃且つpH6という条件にて分子1~4の分析の前処理が行われるべきであるとの支援情報を生成する。
この実施態様において、発現量が少ない分子がより強く賦活化される処理条件が選択されるので、処理後の分析において、分子1~4についての蛍光分析において検出される蛍光強度のばらつきが抑制されるという効果が奏される。例えば、複数の蛍光色素を用いるフローサイトメトリーでは、当該複数の蛍光色素から発せられる蛍光の強度は所定範囲内にある必要がある。そのため、この実施態様は、特にフローサイトメトリーに用いられる蛍光色素の選択に適している。
【0090】
支援情報生成部305は、上記「(2)第1の実施形態の第1の例(標識選択支援システム)」において説明したとおり、標識の割り当てに関する支援情報を生成する。
【0091】
他の実施態様において、支援情報生成部305は、以下に述べるとおり、処理条件選択部307において選択された処理条件を参照して、割り当てられるべき標識に関する支援情報を生成してもよい。
すなわち、上記で述べたとおり、処理条件選択部307によって、分子1の賦活化の程度が最も大きくなる前処理条件として、温度70℃且つpH6という条件が選択される。この場合、分子1~4の賦活化の程度は、図10に示されるとおり、それぞれ3、3、3、及び1である。また、分子1~4の発現量の最大値は、図7に示されるとおり、それぞれ5×102、3×103、5×103、及び1×104である。そこで、例えば、支援情報生成部305は、(発現量)×(賦活化の程度)×(色素の蛍光強度)の値の分子間での差がより小さくなるように標的分子に色素を割り当てる。これにより、分子1~4の一括分析に適した色素が選択される。当該割当の例を、図11を参照して説明する。
【0092】
図11の右側の表は、色素及び色素の蛍光強度の値を示す。当該表において、色素は、上から、蛍光強度の大きい順に並べられている。図11の左側に、分子1~4の最大発現量及び賦活化の程度が記載されている。(発現量)×(賦活化の程度)×(色素の蛍光強度)の値の分子間での差をより小さくするために、例えば分子1にはPEが割り当てられ、分子2にはBV711が割り当てられ、分子3にはBV480が割り当てられ、且つ、分子4にはBV605が割り当てられる。分子間での上記値の差をより小さくするためにどの色素が割り当てられるべきかは、当技術分野の公知の技法により決定されてよい。
以上のとおり、支援情報生成部305は、(発現量)×(賦活化の程度)×(色素の蛍光強度)の値の分子間での差をより小さくするために、分子1にはPEが割り当てられ、分子2にはBV711が割り当てられ、分子3にはBV480が割り当てられ、且つ、分子4にはBV605が割り当てられるべきであるとの支援情報を生成する。
【0093】
標識選択支援システム100の送信部306は、前記前処理条件に関する支援情報及び前記生成された支援情報を前記ネットワークを介して端末102に送信する。端末102により、これらの情報が表示される。その結果、ユーザはこれらの情報を参照して、分子1~4の分析に適した前処理条件及び標識を選択することができる。
【0094】
(4)第1の実施形態の第3の例(標識選択支援システム)
【0095】
本技術の一つの実施態様において、前記データテーブル生成部は、標的分子に関する情報及び当該標的分子の分析に関する情報に基づき生成された分類器によって、データテーブルの生成ルールを決定するデータテーブル生成ルール決定部をさらに含みうる。
また、本技術の一つの実施態様において、前記支援情報生成部は、標的分子に関する情報及び当該標的分子の分析に関する情報に基づき生成された分類器によって、支援情報の生成ルールを決定する支援情報生成ルール決定部をさらに含みうる。
【0096】
本技術に従い上記のとおりデータテーブル生成ルール及び/又は支援情報生成ルールが決定されることで、標的分子の分析にとってより適切な支援情報を生成することが可能となる。また、前記データベースに例えば新たな実験データが追加されること又は新たにデータベース自体が追加されることなどに応じて、学習データは増えてよい。すなわち、機械学習に用いられる情報は随時更新されうる。その結果、最新の情報が反映された分類器によりデータテーブル生成ルール及び/又は支援情報生成ルールが決定されるので、さらにより適切な支援情報が生成されうる。
【0097】
前記分類器は、予め設定されたデータテーブル生成ルール及び/又は支援情報生成ルールを有してよく、及び/又は、データベース中の情報を学習データとして用いた機械学習によってこれら生成ルールを更新して得られたデータテーブル生成ルール及び/又は支援情報生成ルールを有していてもよい。さらに、当該分類器は、データベース中の情報を学習データとして用いた機械学習により新たに得られたデータテーブル生成ルール及び/又は支援情報生成ルールを有していてもよい。
【0098】
本技術において、データテーブル生成ルールとして例えば、データが取得されるデータベースの選択、取得されるデータの種類の選択、生成されるデータテーブルの項目の選択、生成されるデータテーブルの次元の数の選択、及び生成されるデータテーブル中のセル内のデータの種類の選択に関するルールを挙げることができるが、これらに限定されない。
本技術において、支援情報生成ルールとして、例えば上記「(1)第1の実施形態の説明」、「(2)第1の実施形態の第1の例(標識選択支援システム)」、及び「(3)第1の実施形態の第2の例(標識選択支援システム)」で述べたルールを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0099】
本技術の一つの実施態様に従い、前記機械学習に用いられる学習データには、本技術に従い生成された支援情報によってユーザが標的分子の分析を行った結果得られた分析結果を含みうる。すなわち、ユーザからのフィードバック情報が、学習データの一部として用いられる。その結果、より適切な支援情報を生成することが可能となる。
また、本技術の一つの実施態様に従い、前記機械学習に用いられる学習データには、本技術に従い生成された支援情報に対するユーザの評価が含まれてもよい。当該ユーザの評価は、例えば、当該支援情報に基づいて分析を行ったか若しくは行わなかったか、当該支援情報が参考になったか若しくはならなかったか、又は、当該支援情報に基づいて分析を行った結果所望の結果が得られたか若しくは得られなかったかなどでありうる。このようなユーザの評価が分類器に反映されることで、より適切な支援情報を生成することが可能となる。
【0100】
以下で、前記データテーブル生成部が、データテーブル生成ルール決定部及び支援情報生成ルール決定部をさらに含む場合の例を、図1及び12を参照しながら説明する。
図1は、上記「(2)第1の実施形態の第1の例(標識選択支援システム)」において説明したものと同じである。
図12は、上記「(2)第1の実施形態の第1の例(標識選択支援システム)」において説明した図2の標識選択支援システム100に、データテーブル生成ルール決定部407及び支援情報生成ルール決定部408が追加されたものである。図12は、データテーブル生成ルール決定部407及び支援情報生成ルール決定部408はそれぞれデータテーブル生成部404及び支援情報生成部405に備えられている態様を示すが、データテーブル生成ルール決定部407及び支援情報生成ルール決定部408は、データテーブル生成部404及び支援情報生成部405から独立して備えられていてもよい。
【0101】
標識選択支援システム100の送信部406は、上記「(2)第1の実施形態の第1の例(標識選択支援システム)」において説明した送信部206と同じように、ネットワーク101を介して、端末102に、分析対象となる標的分子の名称の入力をユーザに促す画面を表示させるためのデータを送信する。また、標識選択支援システム100の情報取得部401は、情報取得部201と同じように、当該標的分子の名称を、ネットワーク101を介して取得する。また、標識選択支援システム100の発現情報取得部403は、発現情報取得部203と同じように、データベース103を検索し、そして、当該検索によって、発現情報取得部403は、当該標的分子の名称に関連付けられたデータを取得する。
【0102】
標識選択支援システム100のデータテーブル生成部404は、前記取得したデータから、前記標的分子の夫々についてデータテーブルを生成する。当該データテーブルは、データテーブル生成ルール決定部407により決定されたデータテーブル生成ルールに従い生成されうる。データテーブル生成ルールは、標的分子に関する情報及び当該標的分子の分析に関する情報に基づき生成された分類器によって決定されうる。
当該分類器は、予め設定されたデータテーブル生成ルール、及び/又は、データベース中の情報を学習データとして用いた機械学習によって当該データテーブル生成ルールを更新して得られたデータテーブル生成ルールを有していてよい。さらに、当該分類器は、データベース中の情報を学習データとして用いた機械学習により新たに得られたデータテーブル生成ルールを有していてもよい。
当該データテーブル生成ルールは、例えばデータテーブルのセル中のデータの種類の選択及び/又はデータテーブルの項目の選択に関するルールでありうる。データテーブルのセル中のデータの種類は、例えば上記で述べた発現量、発現の程度、及び賦活化の程度などを挙げることができる。データテーブルの項目は、例えば発現の位置若しくは領域、細胞種若しくは生物種、分析条件、分析に用いた装置若しくは試薬、分析の前に行われた処理条件、又は分析後に行われた処理条件などを挙げることができる。
当該機械学習は、当技術分野で既知の手法により行われてよい。機械学習の手法として、例えばロジスティック回帰分析、サポートベクターマシン、及びニューラルネットなどを挙げることができる。
【0103】
本技術において、当該機械学習に用いられるデータは、データテーブル生成ルール決定部407によりデータベース103から取得されてよく、又は、発現情報取得部403によりデータベース103から取得されてもよい。データベース103から取得されるデータは、標的分子に関する情報及び当該標的分子の分析に関する情報を含みうる。
標的分子に関する情報は、上記「(1)第1の実施形態の説明」において述べたとおりである。
当該標的分子の分析に関する情報は、例えば上記「(1)第1の実施形態の説明」において述べた「標的分子の分析結果、分析条件、及び分析装置に関するデータ」から選ばれる。
【0104】
データテーブル生成部404は、データテーブル生成ルール決定部407により決定されたデータテーブル生成ルールに従い、データテーブルを生成する。生成されるデータテーブルの例は、上記「(1)第1の実施形態の説明」、「(2)第1の実施形態の第1の例(標識選択支援システム)」、及び「(3)第1の実施形態の第2の例(標識選択支援システム)」において説明したとおりである。
【0105】
標識選択支援システム100の支援情報生成部405は、前記生成されたデータテーブルを参照して、標識の割り当てに関する支援情報を生成する。当該支援情報は、支援情報生成ルール決定部408により決定された支援情報生成ルールに従い生成されうる。支援情報生成ルールは、標的分子に関する情報及び当該標的分子の分析に関する情報に基づき生成された分類器によって決定されうる。
当該分類器は、予め設定された支援情報生成ルール、及び/又は、データベース中の情報を学習データとして用いた機械学習によって当該支援情報生成ルールを更新して得られた支援情報生成ルールを有していてよい。さらに、当該分類器は、データベース中の情報を学習データとして用いた機械学習により新たに得られた支援情報生成ルールを有していてもよい。
当該支援情報生成ルールとして、例えばデータテーブルの参照の仕方に関するルール、どの標的分子から標識の割り当てを行うかに関するルール、割り当てられる標識の選択に関するルール、前処理条件の参照の仕方に関するルール、相関係数の算出の仕方に関するルール、及び重み付けの仕方に関するルールを挙げることができるが、これらに限定されない。
当該機械学習は、当技術分野で既知の手法により行うことができる。機械学習の手法として、例えばロジスティック回帰分析、サポートベクターマシン、及びニューラルネットなどを挙げることができる。
【0106】
本技術において、当該機械学習に用いられるデータは、支援情報生成ルール決定部408によりデータベース103から取得されてよく、又は、発現情報取得部403によりデータベース103から取得されてもよい。データベース103から取得されるデータは、標的分子に関する情報及び当該標的分子の分析に関する情報を含みうる。
標的分子に関する情報は、上記「(1)第1の実施形態の説明」において述べたとおりである。
当該標的分子の分析に関する情報は、例えば上記「(1)第1の実施形態の説明」において述べた「標的分子の分析結果、分析条件、及び分析装置に関するデータ」でありうる。
【0107】
支援情報生成部405は、支援情報生成ルール決定部408により決定された支援情報生成ルールに従い、支援情報を生成する。生成される支援情報の例は、上記「(1)第1の実施形態の説明」、「(2)第1の実施形態の第1の例(標識選択支援システム)」、及び「(3)第1の実施形態の第2の例(標識選択支援システム)」において説明したとおりである。
【0108】
標識選択支援システム100の送信部406は、前記生成された支援情報を前記ネットワークを介して端末102に送信する。端末102は、例えばディスプレイ上に当該支援情報を表示する。その結果、ユーザは当該支援情報を参照して、前記標的分子の分析に適した標識を選択することができる。
【0109】
3.第2の実施形態(標識選択支援装置)
【0110】
(1)第2の実施形態の説明
【0111】
本技術は、分析対象となる複数の標的分子に関する情報を用いて、標的分子の生体内における発現情報を格納するデータベースから前記複数の標的分子の生体内における発現情報を取得し、前記発現情報に基づき前記複数の標的分子それぞれに対する標識の割り当てに関する支援情報を生成する情報処理部を備えている標識選択支援装置を提供する。
【0112】
本技術において、上記のとおり標的分子夫々に対する標識の割り当てに関する支援情報が生成される。当該支援情報を参照することで、ユーザは、各標的分子の分析に適した標識を簡便に選択することができる。
【0113】
上記「2.第1の実施形態(標識選択支援システム)」において情報処理部に関して述べた事項の全てが、本技術の標識選択支援装置に当てはまる。例えば、上記「2.第1の実施形態(標識選択支援システム)」において情報取得部、発現情報取得部、データテーブル生成部、支援情報生成部、及び処理条件選択部に関して述べた事項の全てが、本技術の標識選択支援装置にも当てはまる。例えば、本技術の標識選択支援装置は、発現情報取得部、データテーブル生成部、及び支援情報生成部を備えていてよい。本技術の標識選択支援装置はさらに、情報取得部、処理条件選択部、及び/又は送信部を備えていてもよい。また、データテーブル生成部及び支援情報生成部はそれぞれ、上記で説明したとおりのデータテーブル生成ルール決定部及び支援情報生成ルール決定部を含みうる。
【0114】
(2)第2の実施形態の例(標識選択支援装置)
【0115】
本技術に従う標識選択支援装置の例を図13に示す。図13は、標識選択支援装置500のブロック図である。標識選択支援装置500は、情報取得部501、発現情報取得部503、データテーブル生成部504、支援情報生成部505、及び送信部506を備えている。情報取得部501、発現情報取得部503、データテーブル生成部504、支援情報生成部505、及び送信部506はそれぞれ、上記2.の「(2)第1の実施形態の第1の例(標識選択支援システム)」において説明した情報取得部201、発現情報取得部203、データテーブル生成部204、支援情報生成部205、及び送信部206と同じであるので、これらについての説明は省略する。
【0116】
4.第3の実施形態(標識選択支援方法)
【0117】
(1)第3の実施形態の説明
【0118】
本技術は、分析対象となる複数の標的分子に関する情報を用いて、前記標的分子の生体内における発現情報を格納するデータベースから前記複数の標的分子の生体内における発現情報を取得する発現情報取得工程と、前記発現情報に基づき前記複数の標的分子それぞれに対する標識の割り当てに関する支援情報を生成する支援情報生成工程とを含む標識選択支援方法を提供する。
【0119】
本技術において、上記方法により、標的分子の分析に適した標識を簡便に選択することを可能とする支援情報が生成される。
【0120】
(2)第3の実施形態の第1の例(標識選択支援方法)
【0121】
以下で、本技術に従う標識選択支援方法の例を、図1及び14を参照しながら説明する。
図1は、上記「2.第1の実施形態(標識選択支援システム)」において説明したとおりである。
図14は、本技術に従う標識選択支援方法のフローの一例を示す図である。
【0122】
ステップS101において、標識選択支援システム100は、本技術に従う標識選択支援の処理を開始する。
【0123】
ステップS102において、標識選択支援システム100は、ネットワーク101を介して、端末102に、分析対象となる標的分子の名称の入力をユーザに促す画面を同端末に表示させるためのデータを送信する。端末102は、当該データを受信することに応じて、当該画面を端末102の表示部、例えばディスプレイなどに表示させる。当該画面において、ユーザが標的分子の名称を入力しそして送信ボタンをクリックすることに応じて、端末102は、当該標的分子の名称を、ネットワーク101を介して、標識選択支援システム100に送信する。
当該画面には、標的分子を分析するために用いられる装置の名称を入力する欄が設けられていてもよい。標的分子の名称に加えて、装置の名称を入力したうえで、送信ボタンをクリックすることに応じて、端末102は、標的分子の名称及び装置の名称に関する情報を標識選択支援システム100に送信する。
【0124】
ステップS103において、標識選択支援システム100は、当該標的分子の名称を、ネットワーク101を介して取得する。標識選択支援システム100は、当該標的分子の名称に加えて、前記装置の名称を取得してもよい。
【0125】
ステップS104において、標識選択支援システム100は、当該標的分子の名称をキーとして、データベース103を検索して、当該標的分子の名称に関連付けられたデータを取得する。
【0126】
ステップS105において、標識選択支援システム100は、前記取得したデータから、前記標的分子の夫々についてデータテーブルを生成する。データテーブルの生成は、例えば上記「2.第1の実施形態(標識選択支援システム)」において説明されたいずれかの手法により行われうる。また、ステップS105において、データテーブルの生成の前に、上記2.の「(4)第1の実施形態の第3の例(標識選択支援システム)」において説明したとおり、データテーブルの生成ルールを決定することが行われうる。
【0127】
ステップS106において、標識選択支援システム100は、ステップS103において、標的分子の名称に加えて装置の名称が取得されたかを判断する。標識選択支援システム100は、装置の名称が取得されていないことに応じて、処理をステップS107に進める。標識選択支援システム100は、装置の名称が取得されていることに応じて、処理をステップS108に進める。
【0128】
ステップS107において、標識選択支援システム100は、ステップS105において生成されたデータテーブルを参照して、標識の割り当てに関する支援情報を生成する。支援情報の生成は、例えば上記「2.第1の実施形態(標識選択支援システム)」において説明されたいずれかの手法により行われうる。また、ステップS107において、支援情報の生成の前に、上記2.の「(4)第1の実施形態の第3の例(標識選択支援システム)」において説明したとおり、支援情報の生成ルールを決定することが行われうる。
【0129】
ステップS108において、標識選択支援システム100は、装置において使用可能な標識のデータを取得する。
【0130】
ステップS109において、標識選択支援システム100は、ステップS108において取得された標識データのうちから標識を選択するという条件下で、標識の割り当てに関する支援情報を生成する。支援情報の生成は、例えば上記「2.第1の実施形態(標識選択支援システム)」において説明されたいずれかの手法により行われうる。また、ステップS109において、支援情報の生成の前に、上記2.の「(4)第1の実施形態の第3の例(標識選択支援システム)」において説明したとおり、支援情報の生成ルールを決定することが行われうる。
【0131】
ステップS110において、標識選択支援システム100は、ステップS107において生成された支援情報又はステップS109において生成された支援情報を、ネットワーク101を介して端末102に送信する。
【0132】
ステップS111において、標識選択支援システム100は、本技術に従う標識選択支援の処理を終了する。
【0133】
5.第4の実施形態(標識選択支援用プログラム)
【0134】
本技術は、分析対象となる複数の標的分子に関する情報を用いて、前記標的分子の生体内における発現情報を格納するデータベースから前記複数の標的分子の生体内における発現情報を取得する発現情報取得工程と、前記発現情報に基づき前記複数の標的分子それぞれに対する標識の割り当てに関する支援情報を生成する支援情報生成工程とをコンピュータに実行させるための標識選択支援用プログラムを提供する。
すなわち、本技術に従う標識選択支援用プログラムは、本技術に従う標識選択支援方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。当該プログラムにより実行される各工程は、上記「4.第3の実施形態(標識選択支援方法)」において述べたとおりであるので、これらについての説明は省略する。
【0135】
6.ハードウェア構成例
【0136】
以下で、図15を参照しながら、本技術に従う標識選択支援システム又は標識選択支援装置を実現する情報処理装置のハードウェア構成の一例を説明する。図15は、本技術に従う標識選択支援システムを実現する情報処理装置の概略的なハードウェア構成の一例を示す図である。
【0137】
図15に示される情報処理装置1001は、CPU(中央演算処理装置)1002及びRAM1003を備えている。CPU1002及びRAM1003は、バス1005を介して相互に接続されており、また、情報処理装置1001の他の構成要素ともバス1005を介して接続されている。
CPU1002は、情報処理装置1001の制御及び演算を行う。CPU1002として、任意のプロセッサを用いることができ、その例としてXeon(登録商標)シリーズ、Core(商標)シリーズ、又はAtom(商標)シリーズのプロセッサを挙げることができる。図2を参照して説明した標識選択支援システム100の各構成要素は例えばCPU1002により実現されうる。
RAM1003は、例えばキャッシュ・メモリ及びメイン・メモリを含み、CPU1002により使用されるプログラムなどを一時記憶しうる。
【0138】
情報処理装置1001は、ディスク1004、通信装置1006、出力装置1007、入力装置1008、及びドライブ1009を備えていてもよい。これらの構成要素はいずれもバス1005に接続されうる。
ディスク1004には、オペレーティング・システム(例えば、WINDOWS(登録商標)、UNIX(登録商標)、又はLINUX(登録商標)など)、本技術に従う標識選択支援用プログラム及び他の種々のプログラム、並びに各種データが格納されうる。
通信装置1006は、情報処理装置1001をネットワーク1010に有線又は無線で接続する。通信装置1006は、ネットワーク1010を介して、データベース及び端末との通信を可能とする装置である。通信装置1006の種類は当業者により適宜選択されてよい。
出力装置1007は、情報処理装置1001による処理結果を出力しうる。出力装置1007として、ディスプレイなどの表示装置、スピーカなどの音声出力装置、又はプリンタを挙げることができるが、これらに限定されない。
入力装置1008は、ユーザ(例えば標識選択支援システムの管理者など)が情報処理装置1001を操作するための装置である。入力装置1008として、例えばマウス及びキーボードを挙げることができるが、これらに限定されない。
ドライブ1009は、記録媒体に記録されている情報を読み出して、RAM1003に出力すること及び/又は記録媒体に各種データを書き込むことができる。記録媒体は、例えば、DVDメディア、フラッシュメモリ、又はSDメモリカードであるが、これらに限定されない。
【0139】
なお、本技術は、以下のような構成をとることもできる。
〔1〕ネットワークを介して、分析対象となる複数の標的分子に関する情報を取得する情報取得部と、
前記複数の標的分子に関する情報を用いて、標的分子の生体内における発現情報を格納するデータベースから前記複数の標的分子の生体内における発現情報を取得し、前記発現情報に基づき前記複数の標的分子それぞれに対する標識の割り当てに関する支援情報を生成する情報処理部と、
前記生成された支援情報を前記ネットワークを介して送信する送信部と、
を有する標識選択支援システム。
〔2〕前記発現情報は生体内における発現分布及び/又は発現量に関する情報である、〔1〕の標識選択支援システム。
〔3〕前記発現情報は生体内における発現量に関する情報であり、前記情報処理部は前記標的分子の発現量に関する情報に基づき、前記標的分子に対して割り当てる標識の蛍光強度を選択する、〔1〕の標識選択支援システム。
〔4〕前記発現情報は生体内における発現分布に関する情報であり、前記情報処理部は前記標的分子の発現分布に関する情報に基づき、前記標的分子に対して割り当てる標識の蛍光波長を選択する、〔1〕の標識選択支援システム。
〔5〕前記情報処理部は空間的に近接する複数の標的分子に対して、蛍光波長スペクトルの遠い蛍光色素をそれぞれ割り当てる、〔1〕~〔4〕のいずれか一つである標識選択支援システム。
〔6〕前記情報処理部は、標的分子と標識の組合せの適性について学習した学習済みモデルを利用して前記支援情報を生成する、〔1〕~〔5〕のいずれか一つである標識選択支援システム。
〔7〕前記情報処理部が、前記発現情報から、前記標的分子の夫々についてデータテーブルを生成するデータテーブル生成部を含む、〔1〕~〔6〕のいずれか一つの標識選択支援システム。
〔8〕前記情報処理部が、前記生成されたデータテーブルを参照して、前記標的分子夫々に対して割り当てる標識に関する支援情報を生成する支援情報生成部を含む、〔7〕の標識選択支援システム。
〔9〕前記支援情報生成部が、前記生成されたデータテーブル間の相関関係に基づき、前記支援情報を生成する、〔8〕の標識選択支援システム。
〔10〕前記標識が色素である、〔1〕~〔9〕のいずれか一つの標識選択支援システム。
〔11〕前記標識が蛍光色素であり、
前記支援情報生成部が、前記生成されたデータテーブル間の相関関係に基づき、データテーブル間により強い相関関係がある2つの標的分子の夫々により遠い波長を有する蛍光色素が割り当てられるように、前記標的分子の夫々に標識を割り当てる、
〔8〕~〔10〕のいずれか一つの標識選択支援システム。
〔12〕前記データテーブル生成部が、標的分子に関する情報及び当該標的分子の分析に関する情報に基づき生成された分類器によってデータテーブルの生成ルールを決定するデータテーブル生成ルール決定部をさらに含む、〔7〕~〔11〕のいずれか一つの標識選択支援システム。
〔13〕前記支援情報生成部が、標的分子に関する情報及び当該標的分子の分析に関する情報に基づき生成された分類器によって支援情報の生成ルールを決定する支援情報生成ルール決定部をさらに含む、〔8〕~〔12〕のいずれか一つの標識選択支援システム。
〔14〕前記標的分子が生体分子である、〔1〕~〔13〕のいずれか一つの標識選択支援システム。
〔15〕前記データテーブル生成部が、標的分子の量に関するデータをセルに有するデータテーブルを各標的分子について生成する、〔7〕~〔14〕のいずれか一つの標識選択支援システム。
〔16〕前記情報処理部が、前記発現情報に加えて、生体分子の分析前の処理条件に関するデータも取得する、〔1〕~〔15〕のいずれか一つの標識選択支援システム。
〔17〕前記データテーブル生成部が、生体分子の分析前の処理条件を項目として含む処理条件データテーブルを各生体分子について生成する、〔7〕~〔16〕のいずれか一つの標識選択支援システム。
〔18〕前記情報処理部が、各生体分子について生成された前記処理条件データテーブルを参照して、より多くの生体分子について分析が可能となる処理条件を選択する処理条件選択部をさらに備えている、〔17〕の標識選択支援システム。
〔19〕前記情報処理部がさらに、
前記標的分子を分析するための装置に関する装置情報を取得し、
当該装置情報に基づき、データベースから当該装置において使用可能な標識データを取得し、そして
前記標識データに含まれる標識のうちから、標的分子に割り当てられる標識を選択する、
〔1〕~〔18〕のいずれか一つの標識選択支援システム。
〔20〕分析対象となる複数の標的分子に関する情報を用いて、標的分子の生体内における発現情報を格納するデータベースから前記複数の標的分子の生体内における発現情報を取得し、前記発現情報に基づき前記複数の標的分子それぞれに対する標識の割り当てに関する支援情報を生成する情報処理部を備えている標識選択支援装置。
〔21〕分析対象となる複数の標的分子に関する情報を用いて、前記標的分子の生体内における発現情報を格納するデータベースから前記複数の標的分子の生体内における発現情報を取得する発現情報取得工程と、
前記発現情報に基づき前記複数の標的分子それぞれに対する標識の割り当てに関する支援情報を生成する支援情報生成工程と
を含む標識選択支援方法。
〔22〕分析対象となる複数の標的分子に関する情報を用いて、前記標的分子の生体内における発現情報を格納するデータベースから前記複数の標的分子の生体内における発現情報を取得する発現情報取得工程と、
前記発現情報に基づき前記複数の標的分子それぞれに対する標識の割り当てに関する支援情報を生成する支援情報生成工程と
をコンピュータに実行させるための標識選択支援用プログラム。
【符号の説明】
【0140】
100 標識選択支援システム
101 ネットワーク
102 端末
201 情報取得部
202 情報処理部
203 発現情報取得部
204 データテーブル生成部
205 支援情報生成部
206 送信部
図1
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