(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】ポジションセンサ
(51)【国際特許分類】
G01D 5/16 20060101AFI20240925BHJP
【FI】
G01D5/16 E
(21)【出願番号】P 2023077685
(22)【出願日】2023-05-10
(62)【分割の表示】P 2020022299の分割
【原出願日】2020-02-13
【審査請求日】2023-06-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001472
【氏名又は名称】弁理士法人かいせい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】近江 徹哉
【審査官】平野 真樹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/230244(WO,A1)
【文献】特開2006-98059(JP,A)
【文献】特開2011-143852(JP,A)
【文献】特開2006-347314(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/00-5/252,5/39-5/62
G01B 7/00-7/34
B60K 20/00-20/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイアス磁界を発生させるバイアス磁石(101)と、前記バイアス磁界が印加される磁電変換素子(102)と、を有し、磁性体で構成されると共に移動方向に沿って一方向に並んだ複数の範囲に対応する複数の領域部(201~203)を有する検出ターゲット(200)の移動に伴って前記磁電変換素子が前記検出ターゲットから受ける磁界の変化に基づいて、前記検出ターゲットの位置に対応した波形のメイン信号と、前記検出ターゲットの位置に対応すると共に前記メイン信号とは異なる波形のサブ信号と、をそれぞれ生成する検出部(101、102、103)と、
前記メイン信号に対応したメイン閾値と、前記サブ信号に対応したサブ閾値と、を有し、前記メイン信号と前記メイン閾値とを比較すると共に前記サブ信号と前記サブ閾値とを比較し、前記メイン信号と前記メイン閾値との大小関係及び前記サブ信号と前記サブ閾値との大小関係の組み合わせに基づいて、前記複数の領域部のいずれかの範囲における位置として前記検出ターゲットの位置を特定する信号処理部(104、105、106、107)と、
を含み、
前記複数の領域部は、前記検出ターゲットのうち前記検出部が対向する検出面(205)に平行な面で前記検出ターゲットの移動方向に階段状に接続され、
前記メイン閾値は、前記磁電変換素子が前記検出ターゲットから前記磁界の影響を受けない状態で前記メイン信号が収束するメイン収束値とは異なる値に設定されており、
前記サブ閾値は、前記磁電変換素子が前記検出ターゲットから前記磁界の影響を受けない状態で前記サブ信号が収束するサブ収束値とは異なる値に設定されている、ポジションセンサ。
【請求項2】
前記メイン信号及び前記サブ信号は、前記検出ターゲットの位置に応じて信号値が一致する2つの交点(S1、S2)を持ち、
前記2つの交点のうちの前記信号値が小さい交点を下側交点(S1)と定義し、前記2つの交点のうちの前記信号値が大きい交点を上側交点(S2)と定義すると、
前記メイン閾値は、前記下側交点よりも大きく、かつ、前記上側交点よりも小さい値に設定されており、
前記サブ閾値は、前記下側交点よりも大きく、かつ、前記上側交点よりも小さい値に設定されている、請求項1に記載のポジションセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポジションセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電源投入時に比較器の閾値を第1閾値と第2閾値とのいずれか一方に設定するように構成されたヒステリシス付きコンパレータが、例えば特許文献1で提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、閾値を用いた判定を利用して、検出ターゲットの位置を特定するポジションセンサが知られている。ポジションセンサは、検出ターゲットの移動方向において、検出ターゲットが複数の範囲に分割されていると共に、複数の範囲のいずれかの範囲の位置として検出ターゲットの位置を特定する。
【0005】
具体的に、検出ターゲットは、磁性体で構成されると共に、複数の範囲に対応する複数の領域部を有する。また、複数の領域部は、検出ターゲットのうち検出部が対向する検出面の面内で検出ターゲットの移動方向に階段状に接続されている。また、ポジションセンサは、磁界の変化を検出する磁電変換素子と、磁電変換素子にバイアス磁界を印加するバイアス磁石と、を備える。
【0006】
上記の構成において、検出ターゲットが移動方向に移動すると、各領域部と検出部との相対的な距離が変化する。これにより、検出部が各領域部から受ける磁界が変化する。検出部は、磁界の変化を検出信号として検出する。そして、検出信号と閾値との比較によって各領域部に対応したHi/Loが判定されることで、検出ターゲットのポジション判定が行われる。ポジション判定により、検出部がどの領域部に位置するのかが特定される。
【0007】
しかしながら、検出ターゲットが何らかの理由によって欠落する可能性がある。この場合、検出部が検出ターゲットから磁界の影響を受けなくなるので、検出信号が閾値付近の値に収束してしまう。その結果、Hi/Loを判定することができず、検出ターゲットのポジション判定を一意的に行うことができなくなってしまう。
【0008】
本発明は上記点に鑑み、検出ターゲットが欠落した場合でもポジション判定を行うことができるポジションセンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、ポジションセンサは、検出部(101、102、103)と信号処理部(104、105、106、107)とを含む。
【0010】
検出部は、バイアス磁界を発生させるバイアス磁石(101)と、バイアス磁界が印加される磁電変換素子(102)と、を有する。検出部は、磁性体で構成されると共に移動方向に沿って一方向に並んだ複数の範囲に対応する複数の領域部(201~203)を有する検出ターゲット(200)の移動に伴って磁電変換素子が検出ターゲットから受ける磁界の変化に基づいて、検出ターゲットの位置に対応した波形のメイン信号と、検出ターゲットの位置に対応すると共にメイン信号とは異なる波形のサブ信号と、をそれぞれ生成する。
【0011】
信号処理部は、メイン信号に対応したメイン閾値と、サブ信号に対応したサブ閾値と、を有する。信号処理部は、メイン信号とメイン閾値とを比較すると共にサブ信号とサブ閾値とを比較する。信号処理部は、メイン信号とメイン閾値との大小関係及びサブ信号とサブ閾値との大小関係の組み合わせに基づいて、複数の領域部のいずれかの範囲における位置として検出ターゲットの位置を特定する。
【0012】
複数の領域部は、検出ターゲットのうち検出部が対向する検出面(205)に平行な面で検出ターゲットの移動方向に階段状に接続される。
【0013】
メイン閾値は、磁電変換素子が検出ターゲットから磁界の影響を受けない状態でメイン信号が収束するメイン収束値とは異なる値に設定されている。サブ閾値は、磁電変換素子が検出ターゲットから磁界の影響を受けない状態でサブ信号が収束するサブ収束値とは異なる値に設定されている。
【0014】
これによると、磁電変換素子が検出ターゲットから磁界の影響を受けない状態になると、メイン信号はメイン信号が収束するメイン収束値とは異なる値に設定されたメイン閾値との比較によってHi/Loが判定される。また、サブ信号はサブ信号が収束するサブ収束値とは異なる値に設定されたサブ閾値との比較によってHi/Loが判定される。このため、磁電変換素子が検出ターゲットから磁界の影響を受けない状態になったとしてもメイン信号とサブ信号のHi/Loの組み合わせが一意的に決まる。したがって、検出ターゲットが欠落した場合でもポジション判定を行うことができる。
【0015】
なお、この欄及び特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】一実施形態に係るポジションセンサの構成図である。
【
図2】ポジションセンサと検出ターゲットとの位置関係及びポジション判定を示した図である。の外観図である。
【
図3】比較例として、ポジションセンサと検出ターゲットとの位置関係及びポジション判定を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、一実施形態について図を参照して説明する。本実施形態に係るポジションセンサは、検出ターゲットの位置がどの範囲(状態)にあるのかを検出し、その範囲に対応した信号を出力するセンサである。
【0018】
ポジションセンサは、検出ターゲットとして、車両のシフトポジションの動作に連動する可動部品の位置を検出する。具体的には、ポジションセンサは、シャフトの位置に応じた信号を検出することで、シャフトの状態を取得する。
【0019】
シャフトの状態とは、ユーザによってシフトポジションが操作されたときのシャフトの位置を意味する。例えば、シャフトは、シフトポジションのパーキングに連動して移動する。シフトポジションがパーキングに位置するように操作された場合、シャフトが軸方向に移動する。これにより、シャフトは、パーキングの状態を反映する。ポジションセンサはシャフトのうちパーキングに対応した位置を検出する。
【0020】
一方、シフトポジションがパーキング以外のポジションに位置するように操作された場合、シャフトはパーキング以外の状態を反映する。この場合、ポジションセンサは、シャフトのうちパーキングに対応した位置以外の位置を検出する。もちろん、シャフトはパーキング以外のポジションに連動して移動するものでも良い。
【0021】
シャフトは、例えば全体が磁性体材料によって形成されている。なお、シャフトは、ポジションセンサに対向する面が磁性体材料で形成され、他の部分が別の金属材料によって形成されていても良い。
【0022】
図1及び
図2に示されるように、ポジションセンサ100は、バイアス磁石101、磁電変換素子102、信号増幅部103、比較部104、フィルタ部105、状態判定部106、及び出力部107を備える。
【0023】
ポジションセンサ100は、磁電変換素子102を用いた磁気検出方式を採用する。磁電変換素子102は1つのチップとして構成される。信号増幅部103、比較部104、フィルタ部105、状態判定部106、及び出力部107は1つの半導体チップとして構成される。これらのチップは、リードフレーム108に実装され、リード部分が露出するようにモールド樹脂によってモールドされることで、モールドIC部109として構成される。モールドIC部109及びバイアス磁石101は、図示しないケースに収容される。
【0024】
バイアス磁石101は、バイアス磁界を発生させる部品である。また、バイアス磁石101は、中空部110を有する扁平筒状である。扁平筒状とは、外周形状が矩形状に形成されると共に、中央部には同じく矩形状の貫通孔が形成された形状を指す。扁平筒状は、扁平角筒状とも言える。バイアス磁石101の中空部110にはモールドIC部109の一部が差し込まれる。これにより、磁電変換素子102がバイアス磁石101の中空部110に収容される。
【0025】
磁電変換素子102は、バイアス磁石101からバイアス磁界が印加されると共に、検出ターゲット200の移動に伴って検出ターゲット200から受ける磁界の変化に基づいて抵抗値が変化する素子である。磁電変換素子102は、例えば5つの磁気抵抗素子対で構成される。磁気抵抗素子対は、2つの磁気抵抗部が直列接続されたハーフブリッジ回路として構成されている。したがって、磁電変換素子102は5つの中点信号を出力する。
【0026】
磁電変換素子は、例えばAMR素子(Anisotropic Magneto Resistance;AMR)である。磁電変換素子102は、GMR素子(Giant Magneto Resistance;GMR)やTMR素子(Tunneling Magneto Resistance;TMR)でも良い。
【0027】
ここで、検出ターゲット200は、移動方向に沿って一方向に並んだ複数の範囲に対応する3つの領域部201~203を有する。各領域部201~203は、四角形状の板部材204によって構成されている。また、各領域部201~203は、検出ターゲット200のうちポジションセンサ100が対向する検出面205に平行な面で検出ターゲット200の移動方向に階段状に接続されて構成されている。バイアス磁石101は、検出面205に対して検出ギャップを持って配置される。
【0028】
「階段状に接続される」とは、各領域部201~203における一方と他方とが検出面205の面内において移動方向に対して垂直方向にずれて接続されることである。これにより、各領域部201~203において移動方向に沿った両端部すなわち2本の長辺部は、階段状の形状を構成している。
【0029】
図2に示されるように、検出ターゲット200において、移動方向における一方の端部を第1端部206とし、他方の端部を第2端部207とする。領域部201と領域部202との接続部分において第1端部206側の端部を第1エッジ208とする。領域部202と領域部203との接続部分において第2端部207側の端部を第2エッジ209とする。
【0030】
検出ターゲット200は、磁性体によって構成された板部材がプレス加工等によって形成される。各領域部201~203は、移動方向の長さが同一でも良いし、異なっていても良い。また、各領域部201~203は、検出面205の面内での移動方向に垂直な方向の長さが同一でも良いし、異なっていても良い。なお、検出ターゲット200は、シャフト等の部品に固定される。また、検出ターゲット200は、両端の領域部201、203がシャフトに固定されても良い。
【0031】
信号増幅部103は、磁電変換素子102から入力する5つの中点信号に基づいてメイン信号及びサブ信号を生成する。このため、信号増幅部103は、複数の差動増幅器を有する。磁電変換素子102から入力される5つの中点信号をA、B、C、L、Rとすると、各差動増幅器は、例えば2B-A-Cをメイン信号として生成すると共に、例えばL-Rをサブ信号として生成する。メイン信号は、検出ターゲット200の位置に対応した波形の信号である。サブ信号は、検出ターゲット200の位置に対応すると共にメイン信号とは異なる波形の信号である。メイン信号及びサブ信号は、検出ターゲット200の位置に応じて信号値が一致する2つの交点S1、S2を持つ。2つの交点S1、S2のうちの信号値が小さい交点は下側交点S1であり、2つの交点S1、S2のうちの信号値が大きい交点は上側交点S2である。
【0032】
比較部104は、メイン信号を2値化すると共に、サブ信号と2値化閾値とを比較してサブ信号を2値化する。このため、比較部104は、メイン信号に対応したメインコンパレータ111及びメイン閾値と、サブ信号に対応したサブコンパレータ112及びサブ閾値と、を有する。メイン閾値及びサブ閾値はメモリに記憶されている。
【0033】
ここで、
図2に示されるように、サブ閾値は、磁電変換素子102が検出ターゲット200から磁界の影響を受けない状態でメイン信号が収束する値に設定される。
つまり、サブ閾値は、磁電変換素子102が検出ターゲット200から磁界の影響を受けない状態でサブ信号が収束するサブ収束値とは異なる値に設定されている。これに対し、メイン閾値は、磁電変換素子102が検出ターゲット200から磁界の影響を受けない状態でサブ信号が収束する値と、サブ閾値と、の間に設定される。
つまり、メイン閾値は、磁電変換素子102が検出ターゲット200から磁界の影響を受けない状態でメイン信号が収束するメイン収束値とは異なる値に設定されている。したがって、メイン閾値とサブ閾値とは異なる値である。
【0034】
メインコンパレータ111は、メイン信号とメイン閾値とを比較し、検出ターゲット200の位置に応じたHi/Loの信号を取得する。サブコンパレータ112は、サブ信号とサブ閾値とを比較し、検出ターゲット200の位置に応じたHi/Loの信号を取得する。
【0035】
フィルタ部105は、メインフィルタ113及びメインフィルタ114を有する。メインフィルタ113は、メインコンパレータ111からHi/Loの信号を入力してノイズ成分を除去する。メインフィルタ114は、サブコンパレータ112からHi/Loの信号を入力してノイズ成分を除去する。
【0036】
状態判定部106は、メイン信号及びサブ信号に基づいて検出ターゲットのポジション判定を行う。具体的には、状態判定部106は、メイン信号とメイン閾値との大小関係及びサブ信号とサブ閾値との大小関係の組み合わせに基づいて、複数の領域部201~203のいずれかの範囲における位置として検出ターゲット200の位置を特定する。状態判定部106は、ポジション判定の結果を出力部107に出力する。
【0037】
出力部107は、状態判定部106のポジション判定に対応した出力信号を生成し、外部装置に出力信号を出力する。出力部107は、例えば出力信号としてPWM信号を生成及び出力する。
【0038】
次に、検出ターゲット200のポジション判定について説明する。
図2に示されるように、モールドIC部109に対して検出ターゲット200が移動方向に沿って移動すると、メイン信号及びサブ信号は各領域部201~203に対応した波形となる。
【0039】
そして、検出ターゲット200が正常に移動する場合、以下のようにポジション判定される。まず、検出ターゲット200の第1端部206から第1エッジ208までは、メイン信号とメイン閾値との比較結果がLoとなり、サブ信号とサブ閾値との比較結果がLoとなる。この場合のポジション判定は「P」となる。
【0040】
検出ターゲット200の第1エッジ208から第2エッジ209までは、メイン信号とメイン閾値との比較結果が位置によって変化するが、サブ信号とサブ閾値との比較結果はHiとなる。つまり、この区間では、メイン信号とメイン閾値との比較結果は一意的に定まらない。この場合のポジション判定は「中間」となる。
【0041】
検出ターゲット200の第2エッジ209から第2端部207までは、メイン信号とメイン閾値との比較結果がHiとなり、サブ信号とサブ閾値との比較結果はLoとなる。この場合のポジション判定は「NotP」となる。
【0042】
続いて、検出ターゲット200に異常が発生した場合、磁電変換素子102は検出ターゲット200から磁界の変化を受けなくなる。これは、検出ターゲット200の検出面205とバイアス磁石101とが対向配置されない状態である。これにより、メイン信号及びサブ信号は一定値に収束する。
【0043】
この場合、メイン信号はメイン信号が収束する値とは異なる値に設定されたメイン閾値との比較によってHi/Loが判定される。また、サブ信号はサブ信号が収束する値とは異なる値に設定されたサブ閾値との比較によってHi/Loが判定される。
【0044】
すなわち、メイン信号とメイン閾値との比較結果がHiとなり、サブ信号とサブ閾値との比較結果はLoとなる。この場合のポジション判定は「NotP」となる。すなわち、検出ターゲット200に異常が発生したとしても、「NotP」という一意的なポジション判定が確定する。
【0045】
上記のポジション判定に対する比較例として、メイン閾値とサブ閾値とが同じ値の場合について説明する。メイン閾値及びサブ閾値は、磁電変換素子102が検出ターゲット200から磁界の影響を受けない状態でメイン信号が収束する値に設定される。
【0046】
図3に示されるように、第1端部206から第2端部207までの各領域部201~203についてのポジション判定は
図2の場合と同じである。しかし、検出ターゲット200に異常が発生した場合、メイン信号はメイン閾値に収束する。このため、メイン信号とメイン閾値との比較結果は一意的に定まらないので、HiまたはLoのいずれか一方となる。サブ信号とサブ閾値との比較結果はLoとなる。
【0047】
したがって、検出ターゲット200に異常が発生した場合、比較結果はHi/LoとLoとの組み合わせになる。Hi及びLoの場合のポジション判定は「P」となるが、Lo及びLoの場合のポジション判定は「NotP」となり、一意的なポジション判定が得られない。ポジション判定が「P」となった場合には領域部201の位置であると誤判定される可能性があり、ポジション判定が「中間」となった場合には領域部202の位置であると誤判定される可能性がある。
【0048】
以上説明したように、磁電変換素子102が検出ターゲット200から磁界の影響を受けない状態になったとしても、メイン閾値とサブ閾値とが異なる値に設定されているので、メイン信号とサブ信号のHi/Loの組み合わせが一意的に決まる。したがって、検出ターゲット200が欠落した場合でもその状態についてポジション判定を行うことができる。
【0049】
なお、本実施形態の記載と特許請求の範囲の記載との対応関係については、バイアス磁石101、磁電変換素子102、及び信号増幅部103が特許請求の範囲の「検出部」に対応する。また、比較部104、フィルタ部105、状態判定部106、及び出力部107が特許請求の範囲の「信号処理部」に対応する。
【0050】
変形例として、検出ターゲット200は
図2及び
図3に示されたものに限られず、各領域部201~203が直方体状のブロック材によって構成されたものや、板部材の一部が打ち抜かれた空間部として構成されたものでも良い。あるいは、各領域部201~203は、回転軸の側面に固定された回転板に設けられたものや、扇形状の回転板の一部が打ち抜かれたものでも良い。
【0051】
変形例として、メイン信号及びサブ信号は5つの素子から生成される場合に限られず、3つの素子から生成されても良いし、4つの素子から生成されても良い。信号増幅部103は、メイン信号及びサブ信号を生成できる構成であれば良い。
【0052】
(他の実施形態)
上記各実施形態で示されたポジションセンサ100の構成は一例であり、上記で示した構成に限定されることなく、本発明を実現できる他の構成とすることもできる。例えば、ポジションセンサ100の用途は車両用に限られず、可動部品の位置を検出するものとして産業用ロボットや製造設備等にも広く利用できる。
【符号の説明】
【0053】
101 バイアス磁石
102 磁電変換素子
103 信号増幅部
104 比較部
105 フィルタ部
106 状態判定部
107 出力部
200 検出ターゲット
201~203 領域部
205 検出面