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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】電池監視装置及び電池ECU
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/396 20190101AFI20240925BHJP
   G01R 31/3835 20190101ALI20240925BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20240925BHJP
   H01M 10/42 20060101ALI20240925BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240925BHJP
   B60L 3/00 20190101ALI20240925BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20240925BHJP
   B60L 58/12 20190101ALI20240925BHJP
【FI】
G01R31/396
G01R31/3835
H01M10/48 P
H01M10/42 P
H02J7/00 P
H02J7/00 X
B60L3/00 S
B60L50/60
B60L58/12
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2023129797
(22)【出願日】2023-08-09
(62)【分割の表示】P 2022026958の分割
【原出願日】2019-10-23
(65)【公開番号】P2023157929
(43)【公開日】2023-10-26
【審査請求日】2023-08-10
(31)【優先権主張番号】P 2019045836
(32)【優先日】2019-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100139480
【弁理士】
【氏名又は名称】日野 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100125575
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100175134
【弁理士】
【氏名又は名称】北 裕介
(74)【代理人】
【識別番号】100207859
【弁理士】
【氏名又は名称】塩谷 尚人
(72)【発明者】
【氏名】沼田 達宏
【審査官】高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-079069(JP,A)
【文献】特開2015-070777(JP,A)
【文献】国際公開第2019/017595(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/396
G01R 31/3835
H01M 10/48
H01M 10/42
H02J 7/00
B60L 3/00
B60L 50/60
B60L 58/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されている複数の単位電池(63)を監視する装置であって、
電池ECU(10)と、前記単位電池の電圧情報を検出する電圧モニタ(20)と、無線装置とを有し、
前記無線装置は、前記電池ECUに設けられている親機(16)と、前記電圧モニタに設けられている子機(26)とを有し、前記電池ECUによる指令を前記親機が前記子機に無線送信すると、前記電圧情報を前記子機が前記親機に無線送信する、電池監視装置(53,54)において、
前記子機と前記親機は、前記車両の走行用の動力装置の起動スイッチである動力スイッチがONの時には、所定の第1通信周期(T1)で無線通信を行い、前記動力スイッチがOFFの時には、前記第1通信周期よりも長い第2通信周期(T2)で無線通信を行う、電池監視装置。
【請求項2】
車両に搭載されている複数の単位電池(63)を監視する装置であって、
電池ECU(10)と、前記単位電池の電圧情報を検出する電圧モニタ(20)と、無線装置とを有し、
前記無線装置は、前記電池ECUに設けられている親機(16)と、前記電圧モニタに設けられている子機(26)とを有し、前記電池ECUによる指令を前記親機が前記子機に無線送信すると、前記電圧情報を前記子機が前記親機に無線送信する、電池監視装置(53,54)において、
前記子機と前記親機は、前記車両の走行用の動力装置の起動スイッチである動力スイッチがONの時には、所定の通信間隔で無線通信を行い、前記動力スイッチがOFFの時には、前記動力スイッチがONの時よりも長い通信間隔で無線通信を行う、電池監視装置。
【請求項3】
前記子機は、前記動力スイッチがOFFの時、前記親機に前記電圧情報を送信する、請求項1又は2に記載の電池監視装置。
【請求項4】
前記動力スイッチが切り替わってから所定時間が経過した後に、通信間隔又は通信周期を変更する、請求項1~3のうちいずれか1項に記載の電池監視装置。
【請求項5】
前記親機と前記子機とは、所定のタイマを有し、前記タイマに基づいて、前記親機及び前記子機の一方の送信タイミングと他方の受信タイミングとを揃えるものであり、
前記所定時間は、前記タイマにより計測する、請求項4に記載の電池監視装置。
【請求項6】
前記親機と前記子機とは、所定のタイマを有し、前記タイマに基づいて、前記親機及び前記子機の一方の送信タイミングと他方の受信タイミングとを揃えるものであり、
前記動力スイッチがOFFの時、前記親機と前記子機との間で前記タイマに関する情報を送受信することにより、前記タイマを同期させる、
請求項1~5のうちいずれか1項に記載の電池監視装置。
【請求項7】
前記電池ECUは、前記親機と、各種指令を行うMCUと、接続情報及び電圧モニタ情報を記憶する記憶部と、を有し、
前記動力スイッチがOFFになると、前記MCUはOFFになるが、前記親機及び前記記憶部は起動し続ける、請求項1~6のうちいずれか1項に記載の電池監視装置。
【請求項8】
前記電圧モニタは、前記子機と、前記単位電池の電圧情報を検出する監視ICと、接続情報や電圧モニタ情報を記憶する記憶部と、を有し、
前記動力スイッチがOFFになると、前記監視ICはOFFになるが、前記子機及び前記記憶部は起動し続ける、請求項1~7のうちいずれか1項に記載の電池監視装置。
【請求項9】
前記親機及び前記子機は、それぞれ、送受信のタイミングを揃えるためのタイマを有し、
前記動力スイッチがOFFの時にも、前記親機のタイマと前記子機のタイマとを同期させ続ける、請求項1~8のうちいずれか1項に記載の電池監視装置。
【請求項10】
前記動力スイッチがOFFからONになった際には、前記動力スイッチがOFFの時にも同期させ続けた前記親機のタイマと前記子機のタイマとを用いて無線通信を再開する、請求項9に記載の電池監視装置。
【請求項11】
前記電池ECUは、前記親機と、各種指令を行うMCUと、接続情報及び電圧モニタ情報を記憶する記憶部と、を有し、
前記電圧モニタは、前記子機と、前記単位電池の電圧情報を検出する監視ICと、接続情報や電圧モニタ情報を記憶する記憶部と、を有し、
前記親機と前記子機は、
前記MCU及び前記監視ICが起動しているときには、第1通信周期で無線通信を行う一方、
前記MCU及び前記監視ICが停止しているときには、前記第1通信周期よりも長い第2通信周期ごとに無線通信を行う、請求項1~10のうちいずれか1項に記載の電池監視装置。
【請求項12】
前記動力スイッチがOFFの場合、前記子機は、単位電池の電圧情報を親機に送信しない、請求項1~11のうちいずれか1項に記載の電池監視装置。
【請求項13】
前記動力スイッチがOFFの場合、前記親機は、前記子機に信号を送信する、請求項1~12のうちいずれか1項に記載の電池監視装置。
【請求項14】
前記動力スイッチがOFFの場合、前記子機は、前記親機に返信しない、請求項1~13のうちいずれか1項に記載の電池監視装置。
【請求項15】
前記動力スイッチがOFFの場合、前記子機は、前記親機に信号を送信する、請求項1~11のうちいずれか1項に記載の電池監視装置。
【請求項16】
前記動力スイッチがOFFの場合、前記親機が前記子機に信号を送信した際に複数の前記子機は前記親機に一斉に返信する、請求項1~11のうちいずれか1項に記載の電池監視装置。
【請求項17】
前記無線装置は、前記動力スイッチがOFFの時には、前記動力スイッチがONの時よりも電力消費の少ない通信モードで無線通信を行う、請求項1~16のうちいずれか1項に記載の電池監視装置。
【請求項18】
車両に搭載されている複数の単位電池(63)を監視する電池監視装置の電池ECUであって、前記単位電池の電圧情報を検出する電圧モニタから無線通信によって、前記電圧情報を取得する電池ECUにおいて、
前記電圧モニタに設けられている子機(26)との間で、前記電池ECUからの指令を前記子機に無線送信すると、前記子機から前記電圧情報を無線受信する親機を備え、
前記親機は、前記車両の走行用の動力装置の起動スイッチである動力スイッチがONの時には、所定の第1通信周期(T1)で無線通信を行い、前記動力スイッチがOFFの時には、前記第1通信周期よりも長い第2通信周期(T2)で無線通信を行う、電池ECU。
【請求項19】
車両に搭載されている複数の単位電池(63)を監視する電池監視装置の電池ECUであって、前記単位電池の電圧情報を検出する電圧モニタから無線通信によって、前記電圧情報を取得する電池ECUにおいて、
前記電圧モニタに設けられている子機(26)との間で、前記電池ECUからの指令を前記子機に無線送信すると、前記子機から前記電圧情報を無線受信する親機を備え、
前記親機は、前記車両の走行用の動力装置の起動スイッチである動力スイッチがONの時には、所定の通信間隔で無線通信を行い、前記動力スイッチがOFFの時には、前記動力スイッチがONの時よりも長い通信間隔で無線通信を行う、電池ECU。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
車両に搭載されている組電池が有する複数の各単位電池を監視する電池監視装置及び電池ECUに関する。
【背景技術】
【0002】
電池監視装置の中には、電池ECUと複数の電圧モニタとを有すると共に、それらの間で無線通信を行うものがある。電圧モニタは、複数の単位電池をグループ分けした電池ブロック毎に設置されている。電池ECUは電圧モニタに指令を無線送信する。各電圧モニタは、各単位電池の電圧情報を検出して電池ECUに無線送信する。なお、このように無線通信を行う電池監視装置を示す文献としては、例えば、次に示す特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許6093448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通常、電池監視装置は、車両を発進させるまでに、組電池が正常であることを確認する必要がある。そのため、車両を発進させるまでに、電池ECUと電圧モニタとの通信接続を成立させて、各単位電池の電圧を検出する必要がある。その点、従来の無線タイプの電池監視装置は、車両の動力スイッチがONになった場合、そこから電池ECU及び各電圧モニタを起動し、無線通信の接続処理を開始する。しかし、無線通信の接続処理は、有線通信の接続処理に比べて時間がかかる場合が多い。そのため、運転手が車両の動力スイッチをONにしてから、車両が動き出せる状態になるまでの時間が延びてしまう。その結果、運転手の快適性を低下させてしまう。
【0005】
そこで、動力スイッチのON/OFFに関わらず、無線通信を継続することが考えられるが、消費電力が多くなる懸念がある。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、電池監視装置及び電池ECUにおいて、消費電力を抑えることを、主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための第1の手段は、車両に搭載されている複数の単位電池を監視する装置であって、電池ECUと、前記単位電池の電圧情報を検出する電圧モニタと、無線装置とを有し、前記無線装置は、前記電池ECUに設けられている親機と、前記電圧モニタに設けられている子機とを有し、前記電池ECUによる指令を前記親機が前記子機に無線送信すると、前記電圧情報を前記子機が前記親機に無線送信する、電池監視装置において、前記子機と前記親機は、前記車両の走行用の動力装置の起動スイッチである動力スイッチがONの時には、所定の第1通信周期で無線通信を行い、前記動力スイッチがOFFの時には、前記第1通信周期よりも長い第2通信周期で無線通信を行う。
【0008】
これにより、消費電力を抑えることができる。
【0009】
上記課題を解決するための第2の手段は、車両に搭載されている複数の単位電池を監視する装置であって、電池ECUと、前記単位電池の電圧情報を検出する電圧モニタと、無線装置とを有し、前記無線装置は、前記電池ECUに設けられている親機と、前記電圧モニタに設けられている子機とを有し、前記電池ECUによる指令を前記親機が前記子機に無線送信すると、前記電圧情報を前記子機が前記親機に無線送信する、電池監視装置において、前記子機と前記親機は、前記車両の走行用の動力装置の起動スイッチである動力スイッチがONの時には、所定の通信間隔で無線通信を行い、前記動力スイッチがOFFの時には、前記動力スイッチがONの時よりも長い通信間隔で無線通信を行う。
【0010】
これにより、消費電力を抑えることができる。
【0011】
上記課題を解決するための第3の手段は、車両に搭載されている複数の単位電池を監視する電池監視装置の電池ECUであって、前記単位電池の電圧情報を検出する電圧モニタから無線通信によって、前記電圧情報を取得する電池ECUにおいて、前記電圧モニタに設けられている子機との間で、前記電池ECUからの指令を前記子機に無線送信すると、前記子機から前記電圧情報を無線受信する親機を備え、前記親機は、前記車両の走行用の動力装置の起動スイッチである動力スイッチがONの時には、所定の第1通信周期で無線通信を行い、前記動力スイッチがOFFの時には、前記第1通信周期よりも長い第2通信周期で無線通信を行う。
【0012】
これにより、消費電力を抑えることができる。
【0013】
上記課題を解決するための第4の手段は、車両に搭載されている複数の単位電池を監視する電池監視装置の電池ECUであって、前記単位電池の電圧情報を検出する電圧モニタから無線通信によって、前記電圧情報を取得する電池ECUにおいて、前記電圧モニタに設けられている子機(26)との間で、前記電池ECUからの指令を前記子機に無線送信すると、前記子機から前記電圧情報を無線受信する親機を備え、前記親機は、前記車両の走行用の動力装置の起動スイッチである動力スイッチがONの時には、所定の通信間隔で無線通信を行い、前記動力スイッチがOFFの時には、前記動力スイッチがONの時よりも長い通信間隔で無線通信を行う。
【0014】
これにより、消費電力を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1実施形態の電池監視装置を示す回路図
図2】初回稼働時を示すフローチャート
図3】2回目以降稼働時を示すフローチャート
図4】通信途中に通信接続が途絶えた際を示すフローチャート
図5】第2実施形態における2回目以降稼働時を示すフローチャート
図6】第3実施形態の電池監視装置を示す回路図
図7】初回稼働時を示すフローチャート
図8】2回目以降稼働時を示すフローチャート
図9】第1通信モード及び第2通信モードを示す概略図
図10】第4実施形態における2回目以降稼働時を示すフローチャート
図11】第5実施形態における初回稼働時を示すフローチャート
図12】2回目以降稼働時を示すフローチャート
図13】第6実施形態における第1及び第2通信モードを示す概略図
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。ただし、本発明は実施形態の態様に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して実施できる。
【0017】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態の電池監視装置51及びその周辺を示す回路図である。車両は、動力スイッチ70と組電池60と補機バッテリ67と電池監視装置51とを有し、さらに電源線31,38と検出線39とが設けられている。組電池60は、複数の単位電池63を有する。複数の単位電池63は、複数の電池ブロック62にグループ分けされている。電池監視装置51は、電池ECU10と、複数の電圧モニタ20とを有する。
【0018】
電池ECU10は、電源11とMCU13と親機16と記憶部17とを有し、さらに電源ポート10aと電気配線αと通信配線βとが設けられている。MCU13は、電源スイッチ13aを備える。親機16は、電源スイッチ16aとアンテナ16bとを備える。
【0019】
各電圧モニタ20は、電源21と監視IC23と子機26と記憶部27とを有し、さらに電源ポート20aと複数の検出ポート20dと電気配線αと通信配線βと検出配線δとが設けられている。監視IC23は電源スイッチ23aを有する。子機26は電源スイッチ26a及びアンテナ26bを有する。
【0020】
次に、以上に示した各部材等について説明する。動力スイッチ70は、車両の走行用の動力装置の起動スイッチである。車両の動力装置は、エンジンであってもよいし、モータであってもよいし、その両方からなるもの(ハイブリッド)であってもよい。
【0021】
複数の電池ブロック62は、直列に接続されている。各電池ブロック62は、直列に接続された複数の単位電池63からなる。各単位電池63は、一個のセル電池であってもよいし、複数のセル電池の直列接続体であってもよい。セル電池は、本実施形態ではリチウム電池であるが、それ以外の電池であってもよい。
【0022】
電池ECU10の電源ポート10aには、電源線31により補機バッテリ67が接続されている。電源11は、電気配線αにより電源ポート10aとMCU13と親機16と記憶部17とに接続されている。電源11は、補機バッテリ67から供給される電力を、MCU13と親機16と記憶部17とに供給する。
【0023】
電源スイッチ13aは、電気配線αからMCU13に供給される電力のON、OFFの切替を行う。電源スイッチ16aは、電気配線αから親機16に供給される電力のON、OFFの切替を行う。動力スイッチ70がONになると、MCU13及び親機16の電源スイッチ13a,16aはONになる。それにより、電池ECU10が起動する。他方、動力スイッチ70がOFFになると、その後、MCU13及び親機16の電源スイッチ13a,16aはOFFになる。それにより、電池ECU10が、スリープモードになる。スリープモードは、MCU13及び親機16は起動を停止するが、記憶部17は起動を停止しない状態である。
【0024】
MCU13は、監視IC23に対する指令等を行う。指令には、単位電池63の電圧情報を取得する指令や、単位電池63を放電させる指令等が含まれる。親機16は、通信制御部とRF部とを有する。MCU13と親機16とは、通信配線βにより通信可能に接続されている。MCU13は、監視IC23に対する指令等を通信配線βにより親機16に送信する。他方、親機16は、子機26から無線受信した電圧情報等を通信配線βによりMCU13に送信する。記憶部17は、メモリを有する。
【0025】
電圧モニタ20の電源ポート20aには、電源線38により組電池60が接続されている。電源21は、電気配線αにより電源ポート20aと監視IC23と子機26と記憶部27とに接続されている。電源21は、単位電池63から供給される電力を、監視IC23と子機26と記憶部27とに供給する。
【0026】
電源スイッチ23aは、電気配線αから監視IC23に供給される電力のON、OFFの切替を行う。電源スイッチ26aは、電気配線αから子機26に供給される電力のON、OFFの切替を行う。動力スイッチ70がONになると、監視IC23及び子機26の電源スイッチ23a,26aはONになる。それにより、電圧モニタ20が起動する。他方、動力スイッチ70がOFFになると、その後、監視IC23及び子機26の電源スイッチ23a,26aはOFFになる。それにより、電圧モニタ20がスリープモードになる。スリープモードは、監視IC23及び子機26は起動を停止するが、記憶部27は起動を停止しない状態である。
【0027】
監視IC23は、検出配線δにより各検出ポート20dに接続されている。複数の検出ポート20dは、検出線39により、電池ブロック62の両端及びその電池ブロック62を構成する複数の単位電池63の各端子間に接続されている。監視IC23は、各単位電池63の端子間の電圧情報を検出可能になっている。電圧情報は、実際の電圧値であってもよいし、例えば、所定部分に流れる電流値等の電圧値に変換可能な情報であってもよい。監視IC23は、必要に応じて各単位電池63を放電可能になっている。そのため、各単位電池63の充電状態を均一化するバランシング処理を行うことができる。
【0028】
子機26は、通信制御部とRF部とを有する。監視IC23と子機26とは、通信配線βにより通信可能に接続されている。子機26は、親機16から無線受信した指令等を通信配線βにより監視IC23に送信する。他方、監視IC23は、電圧情報等を通信配線βにより子機26に送信する。記憶部27は、メモリを有する。親機16と子機26とは、無線装置を構成する。
【0029】
次に、電池監視装置51の制御について、初回稼働時と2回目以降稼働時とに分けて以下に説明する。初回稼働時は、電池監視装置51を車両に取り付けた後、初めて動力スイッチ70をONにして電池監視装置51を稼働させるときである。2回目以降稼働時は、電池監視装置51を車両に取り付けた後、2回目以降に動力スイッチ70をONにして電池監視装置51を稼働させるときである。
【0030】
図2は、電池監視装置51の初回稼働時における制御を示すフローチャートである。まずは、動力スイッチ70がONになった際について説明する。動力スイッチ70がONになると、電池ECU10が起動する(S101)と共に、各電圧モニタ20も起動する(S102)。その後、親機16と子機26とが接続シーケンスを行い(S103)、通信接続を成立させる。次に、親機16と子機26とが、通信接続が成立したか否かを判定する(S104)。通信接続が成立していないと判定した場合(S104:NO)、再びS104の接続シーケンスをやり直す。他方、通信接続が成立したと判定した場合(S104:YES)、親機16及び子機26との間で無線通信を行う(S105)。
【0031】
詳しくは、S101の電池ECU10の起動では、電源スイッチ13a,16aがONになることにより、MCU13及び親機16が起動する。また、S102の電圧モニタ20の起動では、電源スイッチ23a,26aがONになることにより、監視IC23及び子機26が起動する。
【0032】
S103の接続シーケンスでは、親機16と各子機26とが無線信号により情報をやりとりする。それにより、親機16及び子機26が、接続情報及び電圧モニタ情報等の情報を確立する。接続情報は、親機16及び各子機26の識別番号や、無線通信に使用する周波数チャンネルや、通信するデータのデータ構造等に関する情報である。
【0033】
他方、電圧モニタ情報は、次に示す数情報、位置情報及び周期情報に基づく情報である。詳しくは、電圧モニタ情報は、数情報自体、位置情報自体及び周期情報自体を含むものであってもよいし、それらに基づく演算値等の情報を含むものであってもよい。
【0034】
数情報は、電圧モニタ20の数を示す情報である。親機16が数情報を取得するのは、例えば、電圧モニタ20の数により、親機16が何台の子機26に順に通信するかが変わってくることがあるからである。各子機26が数情報を取得するのは、例えば、電圧モニタ20の数により、自身が親機16にどれだけの間隔で通信するかが、変わってくることがあるからである。数情報は、例えば、各子機26が、自身の識別番号を親機16に無線信号により送信し、親機16が、受信した識別番号の数から子機26の数をカウントすることにより、取得することができる。また、その数情報を、親機16が各子機26に無線送信することにより、子機26も数情報を取得することができる。
【0035】
位置情報は、各電圧モニタ20がいずれの電池ブロック62に対して設置されているかを示す情報である。親機16が位置情報を取得するのは、例えば、電圧モニタ20の位置により、受信した電圧情報をどこの電池ブロック62の電圧情報として処理するかが変わってくることがあるからである。子機26が位置情報を取得するのは、例えば、自身が属する電圧モニタ20の位置により、親機16のどのアドレスに対して電圧情報を送信するかが変わってくることがあるからである。
【0036】
位置情報は、次のようにして取得することができる。例えば、電圧モニタ20が、自身に対応する電池ブロック62の電位とグランド電位との電位差を検出し、それを親機16に無線送信することにより、親機16が各子機26の属する電圧モニタ20の位置情報(順序)を取得することができる。その位置情報を親機16が各子機26に無線送信することにより、子機26も位置情報を取得することができる。また例えば、作業者等が、電圧モニタ20の組付時にその電圧モニタ20に位置情報を記憶させ、接続シーケンス時に、子機26がその位置情報を親機16に無線送信することにより、子機26及び親機16が位置情報を取得することができる。また例えば、電圧モニタ20を、低電位の電池ブロック62に対応するものから順に起動させ、起動した電圧モニタ20の子機26から順に自身の識別番号を親機16に無線信号により送信することにより、親機16が各子機26の属する電圧モニタ20の位置情報(順序)を取得することができる。また、その位置情報を親機16が各子機26に無線送信することにより、子機26も位置情報を取得することができる。
【0037】
周期情報は、電圧モニタ20による単位電池63の電圧の取得周期を示す情報である。親機16及び子機26が周期情報を取得するのは、例えば、電圧の取得周期により、親機16及び子機26が互いにどれだけの周期で通信するかが変わってくることがあるからである。周期情報は、例えば、監視IC23によって取得周期が固有である場合は、子機26が自身の属する電圧モニタ20の監視IC23のIDを取得して、それを親機16に無線信号により送信することにより、親機16が各電圧モニタ20の周期情報を取得できる。また、その周期情報を親機16が各子機26に無線送信することにより、子機26も他の子機26の周期情報を取得することができる。
【0038】
S103の接続シーケンスでは、親機16及び子機26は、取得した接続情報及び電圧モニタ情報に基づいて通信接続を成立させる。通信接続が成立すると、S105の通信では、MCU13による指令を親機16が各子機26に無線送信すると共に、電圧情報等を子機26が親機16に無線送信するようになる。
【0039】
次に、動力スイッチ70がOFFになった際について説明する。動力スイッチ70がOFFになる(S151)と、親機16は子機26との無線通信を停止する(S152)。その後、親機16は、接続情報及び電圧モニタ情報を記憶部17に保存する(S153)。その後、電池ECU10はスリープモードになる(S154)。
【0040】
他方、子機26は、親機16との無線通信を停止した(S152)後に、通信停止シーケンスを行い(S155)、親機16との通信が停止したか否かの判定を行う(S156)。通信が停止したと判定できない場合(S156:NO)、S155の通信停止シーケンスを繰り返す。他方、通信が停止したと判定した場合(S156:YES)、子機26は、接続情報や電圧モニタ情報等の情報を記憶部27に保存する(S157)。その後、電圧モニタ20はスリープモードになる(S158)。
【0041】
詳しくは、S152の通信停止では、親機16が、MCU13による指令の子機26への無線送信を停止する。S154のスリープでは、MCU13及び親機16の電源スイッチ13a,16aをOFFにする。S155の通信停止シーケンスでは、子機26が親機16からの無線信号を所定時間以上受信しない場合には、通信が停止したと判定する。S158のスリープでは、監視IC23及び子機26の電源スイッチ23a,26aをOFFにする。
【0042】
図3は、電池監視装置51の2回目以降稼働時における制御を示すフローチャートである。車両の動力スイッチ70がONになると、電池ECU10が起動する(S201)と共に、各電圧モニタ20が起動する(S203)。親機16は、電池ECU10の記憶部17に記憶されている情報を読み込んで参照し(S202)、子機26は、電圧モニタ20の記憶部27に記憶されている情報を読み込んで参照する(S204)。それにより、親機16及び子機26は、初回稼働時に行ったような接続シーケンスを行うことなく通信接続を成立させて無線通信を開始する(S205)。そして、無線通信を継続する(S206)。
【0043】
動力スイッチ70をOFFにする際(S251~S258)については、初回稼働時(S151~S158)と同様である。そのため、親機16及び子機26は、車両の動力スイッチ70がOFFになったら、各記憶部17,27に保存されている接続情報及び電圧モニタ情報を最新のものに更新することになる。
【0044】
図4は、動力スイッチ70がONである最中に、すなわち通信途中に、通信接続が切断された際の制御を示すフローチャートである。無線通信を行っている際(S301)に通信途絶(S302)が発生した場合、親機16は途絶判定(S303)を行う。途絶したと判定されない場合(S303:NO)は、途絶判定(S303)を繰り返す。他方、S303で途絶したと判定された場合(S303:YES)、親機16は記憶部17の情報を読み込み参照する(S304)。
【0045】
また、無線通信を行っている際(S301)に通信途絶(S302)が発生した場合、子機26は途絶判定(S305)を行う。途絶したと判定されない場合(S305:NO)は、途絶判定(S305)を繰り返す。他方、S305で途絶したと判定された場合(S305:YES)、子機26は記憶部27の情報を読み込み参照する(S306)。
【0046】
このように、親機16及び子機26の両方が、それぞれ記憶部17,27の情報を読み込み参照することにより、初回稼働時に行ったような接続シーケンスを行うことなく、親機16及び子機26は、再度の通信接続を成立させて無線通信を再開する(S307)。
【0047】
詳しくは、S303の途絶判定では、親機16は、子機26から所定時間以上、無線信号を受信しない時は、無線通信が途絶したと判定する。また、S305の途絶判定では、子機26は、親機16から所定時間以上、無線信号を受信しない時は、無線通信が途絶したと判定する。
【0048】
本実施形態によれば、次の効果が得られる。2回目以降稼働時には、親機16及び子機26は、各記憶部17,27に保存されている情報を用いて通信接続を行うため、接続情報や電圧モニタ情報を取得する時間を削除することができる。そのため、2回目以降稼働時における通信接続をスムーズに成立させることができる。
【0049】
また、通信途中に通信接続が切断された場合にも、親機16及び子機26は、各記憶部17,27に保存されている情報を用いて通信接続を行うため、スムーズに再度の通信接続を成立させることができる。
【0050】
また、各記憶部17,27が記憶する電圧モニタ情報は、数情報、位置情報及び周期情報の3つに基づくため、これら3つすべての取得を省略することができ、この点でも、よりスムーズに通信接続を成立させることができる。また、親機16及び子機26のいずれもが、接続情報及び電圧モニタ情報を保存し、再接続時に使用することによっても、よりスムーズに再度の通信接続を成立させることができる。
【0051】
また、動力スイッチ70をOFFにした際には、電池ECU10及び電圧モニタ20がスリープモードになることにより、電力を節約することができる。他方、各記憶部17,27は、スリープモードでも起動し続けるので、不揮発性メモリを有する必要がなく、揮発性メモリを有していれば足りる。また、各記憶部17,27は、スリープモードでも起動し続けるので、2回目以降稼働時に各記憶部17,27を起動させる必要がなく、スムーズに再度の通信接続を成立させることができる。また、動力スイッチ70がOFFになるごとに、各記憶部17,27の情報を最新のものに更新するため、実際には接続情報や電圧モニタ情報が更新されているのに、各記憶部17,27の情報が更新されていないといった情報化けを抑えることができる。
【0052】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態の電池監視装置52について説明する。なお、以下の実施形態では、それ以前の実施形態のものと同一の又は対応する部材等は、同一の符号を付する。ただし、電池監視装置自体については、実施形態毎に異なる符号を付する。本実施形態については、第1実施形態をベースにそれと異なる点を中心に説明する。
【0053】
図5は、2回目以降稼働時における電池監視装置52の制御を示すフローチャートである。親機16及び子機26は、スリープする(S254,S258)直前に、接続情報及び電圧モニタ情報を記憶部17,27に保存しない点で、すなわち、記憶部17,27の接続情報及び電圧モニタ情報を更新しない点で、第1実施形態と異なる。
【0054】
本実施形態によれば、情報化けするリスクはあるが、2回目以降稼働時の終了時に、記憶部17,27に記憶している情報を更新する手間を省くことができる。
【0055】
[第3実施形態]
図6は、第3実施形態の電池監視装置53を示す回路図である。本実施形態については、第1実施形態をベースにそれと異なる点を中心に説明する。親機16が電源スイッチ16aを備えておらず、常に親機16に電力が供給されるようになっている。そのため、電池ECU10は、動力スイッチ70がOFFになっても、MCU13の電源スイッチ13aがOFFになるのみで、親機16及び記憶部17は起動し続ける。
【0056】
また、子機26が電源スイッチ26aを備えておらず、子機26に常に電力が供給されるようになっている。そのため、電圧モニタ20は、動力スイッチ70がOFFになっても、監視IC23の電源スイッチ23aがOFFになるのみで、子機26及び記憶部27は起動し続ける。
【0057】
図7は、初回稼働時における電池監視装置53の制御を示すフローチャートである。電池ECU10は、親機16が記憶部17に情報を保存した(S153)のちに、スリープモードにならずに、MCU13の起動のみを停止する(S154c)。また、電圧モニタ20は、子機26が記憶部27に情報を保存した(S157)のちに、スリープモードにならずに、監視IC23の起動のみを停止する(S158c)。親機16と子機26とは、情報を保存したのちは、所定周期ごとに通信を行うことにより、通信接続を維持する。
【0058】
図8は、2回目以降稼働時における電池監視装置53の制御を示すフローチャートである。動力スイッチ70がONになると、電池ECU10が起動する(S201)と共に、各電圧モニタ20が起動する(S203)。そして、親機16と子機26とは、維持している通信接続により、初回稼働時に行ったような接続シーケンスを行うことなく無線通信を開始する(S205)。そして、無線通信を維持する(S206)。
【0059】
動力スイッチ70をOFFにする際(S251~S253,S254c,S255~S257,S258c)については、初回稼働時(S151~S153,S154c,S155~S157,S158c)と同様である。
【0060】
本実施形態によれば、維持している通信接続により無線通信を行うため、よりスムーズに無線通信を再開できる。
【0061】
また、本実施形態では、以上のとおり、図7に示す初回稼働時において、S152,S156で通信を停止した後や、図8に示す2回目以降稼働時において、S252,S256で通信を停止した後においても、通信接続を維持して所定周期ごとに通信を行う。よって、表現を代えれば、図9に示すように、無線装置は、動力スイッチ70がONの時には、親機16と各子機26との間で所定の第1通信モードM1で無線通信を行い、動力スイッチ70がOFFの時には、その第1通信モードM1よりも電力消費の少ない第2通信モードM2で無線通信を行っている。そのため、動力スイッチ70がOFFの時には、第2通信モードM2により、電力消費を抑えつつ通信接続を維持することができる。
【0062】
より具体的には、第1通信モードM1では、各子機26が親機16と所定の第1通信周期T1で無線通信を行い、第2通信モードM2では、各子機26が親機16と、第1通信周期T1よりも長い第2通信周期T2で無線通信を行っている。そのため、第2通信モードM2では、通信周期を長くすることにより、電力消費の抑制と通信接続の維持との両立を効率的に図ることができる。
【0063】
また、本実施形態では、動力スイッチ70がOFFの時にも、第2通信モードM2により無線通信を維持するため、親機16のタイマと子機26のタイマとを、動力スイッチ70がOFFの時にも同期させ続けることになる。そのタイマは、親機16や各子機26が、無線通信において、自身の送信タイミングと相手方の受信タイミングとを揃えると共に、相手方の送信タイミングと自身の受信タイミングとを揃えるためのものである。そのため、動力スイッチ70がOFFからONになった際には、改めて親機16と各子機26との間でタイマの同期を行うことなく、既に同期しているタイマを用いてスムーズに第1通信モードM1による無線通信を再開することができる。
【0064】
[第4実施形態]
次に第4実施形態の電池監視装置54について説明する。第4実施形態については、第3実施形態をベースにそれと異なる点を中心に説明する。
【0065】
図10は、2回目以降稼働時における電池監視装置54の制御を示すフローチャートである。親機16は、子機26との通信を停止した(S252)のちに、接続情報及び電圧モニタ情報を記憶部17に保存しない点で、すなわち、記憶部17の接続情報及び電圧モニタ情報を更新しない点で、第3実施形態と異なる。また、子機26は、親機16との通信を停止した(S256)のちに、接続情報及び電圧モニタ情報を記憶部27に保存しない点で、すなわち、記憶部27に保存されている情報を更新しない点で、第3実施形態と異なる。
【0066】
本実施形態によれば、情報化けするリスクはあるが、2回目以降稼働時の終了時に、記憶部17,27に保存している情報を更新する手間を省くことができる。
【0067】
[第5実施形態]
次に第5実施形態の電池監視装置55について説明する。本実施形態については、第3実施形態をベースにそれと異なる点を中心に説明する。
【0068】
図11は、初回稼働時における電池監視装置53の制御を示すフローチャートである。動力スイッチ70がONになると、電池ECU10が起動する(S101)と共に、各電圧モニタ20も起動する(S102)。その後、親機16と子機26とが接続シーケンスを行い(S103)、通信接続を成立させる。このとき、親機16及び子機26はタイマを同期させる。次に、親機16と子機26とが、通信接続が成立したか否かを判定する(S104)。通信接続が成立していないと判定した場合(S104:NO)、再びS104の接続シーケンスをやり直す。他方、通信接続が成立したと判定した場合(S104:YES)、親機16及び子機26との間で、第1通信モードM1による無線通信を行う(S105)。
【0069】
その後、動力スイッチ70がOFFになる(S151)と、それからの経過時間を、親機16が自身のタイマにより計測する。その経過時間が所定時間になった時点で、すなわち、動力スイッチ70がOFFになってから所定時間が経過した後に、現在の第1通信モードM1による無線通信により、親機16が各子機26に対して、第2通信モードM2への切替を指示する第2切替信号を送信する(S151e)と共に、自身の状態を第1通信モードM1用の状態から第2通信モードM2用の状態に切り替える(S152e)。その後、電池ECU10は、接続情報及び電圧モニタ情報を記憶部17に保存する(S153)。
【0070】
他方、子機26は、第2切替信号を受信したか否かの判定を行う(S155e)。第2切替信号を受信したと判定できない場合(S155e:NO)、S155eの判定を繰り返す。他方、S155eで第2切替信号を受信したと判定した場合(S155e:YES)、子機26は、自身の状態を第1通信モードM1用の状態から第2通信モードM2用の状態に切り替える(S156e)。それにより、親機16と各子機26との通信モードが、第1通信モードM1から第2通信モードM2に切り替わる。その後、電圧モニタ20は、接続情報や電圧モニタ情報等の情報を記憶部27に保存する(S157)と共に、監視IC23の起動を停止する(S158c)。
【0071】
以降は、親機16と子機26とは、第2通信モードM2による無線通信により、通信接続を維持する。その第2通信モードM2では、親機16と子機26との間でタイマに関する情報を送受信することにより、親機16と子機26とのタイマを同期させ続ける。また、所定時には、子機26は親機16に単位電池63の電圧情報を送信する。
【0072】
図12は、2回目以降稼働時における電池監視装置53の制御を示すフローチャートである。動力スイッチ70がONになると、電池ECU10が起動する(S201)と共に、各電圧モニタ20が起動する(S203)。親機16は、電池ECU10の記憶部17に記憶されている情報を読み込み(S202)、子機26は、電圧モニタ20の記憶部27に記憶されている情報を読み込む(S204)。そして、親機16と子機26とは、読み込んだ情報と、第2通信モードM2により維持している通信接続とを用いることにより、初回稼働時に行ったような接続シーケンスやタイマの同期を行うことなく、第2通信モードM2から第1通信モードM1に切り替わる(S205)。
【0073】
具体的には、S205では、親機16は、現在の第2通信モードM2による無線通信により各子機26に対して、第1通信モードM1への切替を指示する第1切替信号を送信する。そして、自身の状態を第2通信モードM2用の状態から第1通信モードM1用の状態に切り替える。このとき、親機16は、記憶部17から読み込んだ情報を参照する。他方、子機26は、第1切替信号を受信すると、自身の状態を第2通信モードM2用の状態から第1通信モードM1用の状態に切り替える。このとき、子機26は、記憶部27から読み込んだ情報を参照する。以上により、親機16と各子機26との通信モードが、第2通信モードM2から第1通信モードM1に切り替わる(S205)。そして、親機16と子機26とは、その第1通信モードM1により無線通信を行う(S206)。
【0074】
その後の動力スイッチ70がOFFになった際(S251,S251e,S252e,S253,S255e,256e,S257,S258c)については、初回稼働時の場合(S151,S151e,S152e,S153,S155e,156e,S157,S158c)と同様である。
【0075】
本実施形態では、次の効果が得られる。第2通信モードM2から第1通信モードM1への切替を行う時には、親機16及び子機26は、それぞれ記憶部17,27に記憶されている電圧モニタ情報を用いて当該切替を成立させる。そのため、当該切替に電圧モニタ情報を要する場合にも、スムーズに当該切替を成立させることができる。
【0076】
また、第2通信モードM2では、子機26は時折、親機16に単位電池63の電圧情報を送信する。そのため、動力スイッチ70がOFFの時に電圧情報に変化があった場合には、動力スイッチ70がONになった際に、電池ECU10は最新の電圧情報を有する状態で動作を開始できる。
【0077】
また、動力スイッチ70がOFFになってから所定時間が経過した後に、第1通信モードM1から第2通信モードM2に切り替わる。そのため、当該切替を、簡単にタイミング良く行うことができる。また、その所定時間はタイマにより計測する。そのため、タイマを利用して、第1通信モードM1から第2通信モードM2への切替を、簡単にタイミング良く行うことができる。
【0078】
また、第1通信モードM1による通信により第2切替信号を送信することにより、第2通信モードM2に切り替え、第2通信モードM2による通信により第1切替信号を送信することにより、第1通信モードM1に切り替える。そのため、現在の通信モードM1,M2による通信を利用して、他方への通信モードM2,M1に簡単に切り替えることができる。
【0079】
[第6実施形態]
次に第6実施形態の電池監視装置56について説明する。本実施形態については、第5実施形態をベースにそれと異なる点を中心に説明する。第1通信モードM1については、第5実施形態の場合と同様である。よって、第1通信モードM1では、親機16が各子機26に対して個別に信号を送信する個別通信を行う。
【0080】
図13は、本実施形態の第2通信モードM2を示す概略図である。第2通信モードM2では、親機16が1のブロードキャスト信号を複数の子機26に対して送信するブロードキャスト通信を行う。ブロードキャスト信号は、所定のハンドリング信号と上記の第1切替信号とを含む。ハンドリング信号は、動力スイッチ70がOFFの間、所定周期で送信される信号であり、親機16と子機26とのタイマを同期させるための情報等を含む。第1切替信号は、上記のとおり、動力スイッチ70がOFFからONに切り替えられた際に送信される。親機16は、ブロードキャスト信号を、通信モードの切替時等に即時送信してもよいし、予め子機26との間でスケジュールを取り決めて送信してもよい。
【0081】
各子機26は、ハンドリング信号を受信した後に、順に時間差をおいて親機16に信号を返信することにより、タイマの同期の確認等を行う。さらに、所定のタイミングでは、子機26はハンドリング信号を受信した後に、親機16に単位電池63の電圧情報を返信する。なお、各ブロードキャスト信号は、消費電力や即時状態移行の観点からは、短い出力時間であることが好ましいが、全ての子機26がブロードキャスト信号を確実に受信できるように、一定時間又は一定周期で暫く出力し続けてもよい。
【0082】
本実施形態によれば、第2通信モードM2では、親機16が1のブロードキャスト信号を複数の子機26に対して送信するブロードキャスト通信を行う。そのため、電力消費の抑制と通信接続の維持との両立を、効率的に図ることができる。また、複数の子機26は、ブロードキャスト信号におけるハンドリング信号を受信した後に、順に時間差をおいて親機16に信号を返信する。そのため、同時に返信する場合に比べて、信号の錯綜を防止できる。そして、このように信号の錯綜を防止することにより、子機26の返信の電力を低減できる。
【0083】
[他の実施形態]
以上の実施形態は、次のように変更して実施することもできる。例えば、記憶部17,27に記憶する電圧モニタ情報を、上記の数情報、位置情報及び周期情報のうちのいずれか1つ又は2つのみに基づくものにしてもよい。具体的には、電圧モニタ情報を、少なくとも数情報に基づくものにしてよい。また、電圧モニタ情報を、少なくとも位置情報に基づくものにしてもよい。また、電圧モニタ情報を、少なくとも周期情報に基づくものにしてもよい。また、電圧モニタ情報を、少なくとも数情報及び位置情報に基づくものにしてもよい。また、電圧モニタ情報を、少なくとも数情報及び周期情報に基づくものにしてよい。また、電圧モニタ情報を、少なくとも位置情報及び周期情報に基づくものにしてもよい。
【0084】
記憶部17,27を、電池ECU10及び複数の電圧モニタ20のうちの少なくとも1つにのみに設け、他のものには設けないようにしてもよい。具体的には、例えば、電池ECU10にのみ記憶部17を設け、電圧モニタ20には記憶部27を設けないようにしてもよい。そして、各子機26は親機16から接続情報及び電圧モニタ情報を無線受信するようにしてもよい。また例えば、電池ECU10にのみ記憶部17を設けた場合において、各子機26は親機16から接続情報及び電圧モニタ情報を無線受信しないようにしてもよい。この場合でも、親機16で行う子機26との接続処理については、省略することができる。
【0085】
また例えば、1の電圧モニタ20のみに記憶部27を設け、電池ECU10及び他の電圧モニタ20には記憶部17,27を設けないようにしてもよい。そして、親機16及び他の子機26は、その1の電圧モニタ20の子機26から、接続情報及び電圧モニタ情報を受信するようにしてもよい。
【0086】
また例えば、動力スイッチ70が起動すると、電池ECU10及び電圧モニタ20が起動するのに代えて、それ以前に電池ECU10及び電圧モニタ20が信号等を受信することにより起動を開始するようにしてもよい。また例えば、記憶部17,27に不揮発性メモリを搭載し、動力スイッチ70をOFFにした際には、記憶部17,27が起動を停止するようにしてもよい。
【0087】
また例えば、第3~第6実施形態において、記憶部17,27をなくしてもよい。この場合でも、2回目以降稼働時には、維持している通信接続により無線通信を行うことにより、スムーズに無線通信を再開できる。すなわち、第2通信モードM2で維持している通信接続により、第1通信モードM1での無線通信をスムーズに再開できる。
【0088】
また例えば、第5,第6実施形態において、動力スイッチ70をOFFにする際に、すなわち、図11のS153の後に、電池ECU10はMCU13の起動を停止させるようにしてもよい。また例えば、第5,第6実施形態において、第2通信モードM2では、子機26は、単位電池63の電圧情報を親機16に送信しないようにしてもよい。また例えば、第5,第6実施形態において、第2通信モードM2では、親機16が子機26に一方的に信号を送信するのみで、子機26は親機16に一切返信をしないようにしてもよい。また例えば、第6実施形態において、各子機26は親機16に一斉に返信するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0089】
10…電池ECU、16…親機、17…記憶部、20…電圧モニタ、26…子機、27…記憶部、51~54…電池監視装置、60…組電池、62…電池ブロック、63…単位電池。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13