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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】降車支援装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20240925BHJP
【FI】
G08G1/16 C
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023136158
(22)【出願日】2023-08-24
(62)【分割の表示】P 2020154367の分割
【原出願日】2020-09-15
(65)【公開番号】P2023153353
(43)【公開日】2023-10-17
【審査請求日】2023-08-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000213
【氏名又は名称】弁理士法人プロスペック特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹内 宏次
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 紀之
(72)【発明者】
【氏名】泉川 巌
(72)【発明者】
【氏名】福田 純也
【審査官】佐々木 佳祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-93567(JP,A)
【文献】特開2017-177883(JP,A)
【文献】特開2016-219040(JP,A)
【文献】特開2014-203264(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に接近する移動体であって前記車両の右側ドア又は左側ドアに接触する可能性のある移動体の存在を前記車両の乗員に知らせるための警報を行う制御手段を備えた降車支援装置において、
前記制御手段は、
所定の第1警報条件が成立した場合、前記右側ドア又は前記左側ドアに接触する可能性のある前記移動体の存在を前記乗員に気づかせる可能性のレベルである警報レベルが所定レベルである第1形態での警報を行い、
前記第1警報条件とは異なる所定の第2警報条件が成立した場合、前記警報レベルが前記所定レベルよりも低い第2形態での警報を行い、
前記車両に近接して該車両の前後方向に該車両の右側で延びる右側警報エリア内を前記移動体が移動しているときに前記右側ドアが開かれ又は開かれようとした場合、前記第1警報条件が成立したと判断し、
前記右側ドアが該右側ドア用に設定された所定度合以上に開けられた状態にあるときに前記移動体が前記右側警報エリアに進入した場合、前記第2警報条件が成立したと判断し、
前記車両に近接して該車両の前後方向に該車両の左側で延びる左側警報エリア内を前記移動体が移動しているときに前記左側ドアが開かれ又は開かれようとした場合、前記第1警報条件が成立したと判断し、
前記左側ドアが該左側ドア用に設定された所定度合以上に開けられた状態にあるときに前記移動体が前記左側警報エリアに進入した場合、前記第2警報条件が成立したと判断する、
ように構成されている、
降車支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載の降車支援装置において、
前記車両の右側ドア又は左側ドアに接触する可能性のある移動体の存在を前記車両の乗員に知らせるための警報を行う複数の警報手段を備え、
前記第1形態での警報は、前記複数の警報手段の全てを用いた警報であり、
前記第2形態での警報は、前記複数の警報手段の一部のみを用いた警報である、
降車支援装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の降車支援装置において、
前記右側ドア用に設定された前記所定度合は、ゼロよりも大きい度合に設定されており、
前記左側ドア用に設定された前記所定度合は、ゼロよりも大きい度合に設定されている、
降車支援装置。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の降車支援装置において、
前記右側ドア用に設定された前記所定度合は、ゼロに設定されており、
前記左側ドア用に設定された前記所定度合は、ゼロに設定されている、
降車支援装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の降車支援装置において、
前記右側警報エリアは、前記車両に近接して該車両の後方に該車両の右側で延びる右側後方警報エリアを含んでおり、
前記左側警報エリアは、前記車両に近接して該車両の後方に該車両の左側で延びる左側後方警報エリアを含んでいる、
降車支援装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5の何れか一項に記載の降車支援装置において、
前記右側警報エリアは、前記車両に近接して該車両の前方に該車両の右側で延びる右側前方警報エリアを含んでおり、
前記左側警報エリアは、前記車両に近接して該車両の前方に該車両の左側で延びる左側前方警報エリアを含んでいる、
降車支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、降車支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に接近する自動二輪車等の移動体がその車両の横を通過するときに車両の開けられたドアに接触する可能性があることを車両の乗員に知らせるための警報を行う降車支援装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この従来の降車支援装置は、ドアが既に開かれているときにそのドアの近くまで移動体が接近した場合も、警報を行うようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-8576号公報
【発明の概要】
【0004】
ところが、例えば、移動体が自動二輪車である場合においてその自動二輪車がドアの近くまで接近する前にそのドアが既に開けられた状態にある場合、自動二輪車の運転者は、そのドアの近くまで接近する前にそのドアを認識できる可能性が高い。仮に、運転者がそのドアを認識していれば、自動二輪車がそのドアの近くまで接近しても、運転者は、そのドアとの接触を回避するように自動二輪車を操舵する可能性が高い。従って、ドアが既に開かれた状態にあるときにそのドアの近くまで自動二輪車が接近した場合、警報を行う必要性が小さく、仮に警報を行うと、その警報は、無用なものであるし、又、車両の乗員にとって煩わしいものとなる。
【0005】
本発明は、上述した課題に対処するためになされたものである。即ち、本発明の目的の1つは、車両のドアに移動体が接触する可能性が高いときに限定して警報を行う降車支援装置を提供することにある。
【0006】
本発明に係る降車支援装置は、車両に接近する移動体であって前記車両の右側ドア又は左側ドアに接触する可能性のある移動体の存在を前記車両の乗員に知らせるための警報を行う制御手段を備えている。
【0007】
前記制御手段は、所定の第1警報条件が成立した場合、前記右側ドア又は前記左側ドアに接触する可能性のある前記移動体の存在を前記乗員に気づかせる可能性のレベルである警報レベルが所定レベルである第1形態での警報を行い、前記第1警報条件とは異なる所定の第2警報条件が成立した場合、前記警報レベルが前記所定レベルよりも低い第2形態での警報を行うように構成されている。
【0008】
又、前記制御手段は、前記車両に近接して該車両の前後方向に該車両の右側で延びる右側警報エリア内を前記移動体が移動しているときに前記右側ドアが開かれ又は開かれようとした場合、前記第1警報条件が成立したと判断し、前記右側ドアが該右側ドア用に設定された所定度合以上に開けられた状態にあるときに前記移動体が前記右側警報エリアに進入した場合、前記第2警報条件が成立したと判断するように構成されている。
【0009】
更に、前記制御手段は、前記車両に近接して該車両の前後方向に該車両の左側で延びる左側警報エリア内を前記移動体が移動しているときに前記左側ドアが開かれ又は開かれようとした場合、前記第1警報条件が成立したと判断し、前記左側ドアが該左側ドア用に設定された所定度合以上に開けられた状態にあるときに前記移動体が前記左側警報エリアに進入した場合、前記第2警報条件が成立したと判断するように構成されている。
【0010】
本発明に係る降車支援装置は、移動体が右側警報エリア又は左側警報エリアに進入する前に右側ドア又は左側ドアが開けられ、その後、移動体が右側警報エリア又は左側警報エリアに進入した場合、警報レベルの低い第2形態での警報を行う。即ち、移動体が右側警報エリア又は左側警報エリアに進入する前から右側ドア又は左側ドアが開けられた状態にあり、移動体がドアとの接触を避けることが容易である場合、警報レベルの低い警報が行われる。一方、移動体が右側警報エリア又は左側警報エリアに進入した後に右側ドア又は左側ドアが開かれ、移動体がドアとの接触を避けることが困難である場合、警報レベルの高い第1形態での警報が行われる。
【0011】
このように、移動体がドアとの接触を避けることが容易である場合よりも、移動体がドアとの接触を避けることが困難である場合のほうが、警報レベルの高い警報が行われる。このため、移動体がドアとの接触を避けることが困難である場合に、ドアに接触する可能性のある移動体の存在を車両の乗員に気づかせることができる可能性を高めることができる。これにより、無駄となる警報が行われることを避けることができる。従って、車両のドアに移動体が接触する可能性が高いときに限定して警報を行うことができる。
【0012】
本発明に係る降車支援装置は、前記車両の右側ドア又は左側ドアに接触する可能性のある移動体の存在を前記車両の乗員に知らせるための警報を行う複数の警報手段を備えていてもよい。この場合、前記第1形態での警報は、前記複数の警報手段の全てを用いた警報であり、前記第2形態での警報は、前記複数の警報手段の一部のみを用いた警報であってもよい。これによれば、警報を行う手段の数を変更することにより、警報レベルの異なる警報を行うことができる。
【0013】
又、前記右側ドア用に設定された前記所定度合は、例えば、ゼロよりも大きい度合に設定されており、前記左側ドア用に設定された前記所定度合は、例えば、ゼロよりも大きい度合に設定されている。これによれば、移動体が右側警報エリア又は左側警報エリア内を右側ドア又は左側ドアに向かって移動しているときに小さくしか開けられていなかった右側ドア又は左側ドアが開かれた場合、警報が行われる。従って、小さくしか開けられていなかった右側ドア又は左側ドアが開けられ、移動体がドアとの接触を避けることが困難である場合にも、警報を行うことができる。
【0014】
或いは、前記右側ドア用に設定された前記所定度合は、例えば、ゼロに設定されており、前記左側ドア用に設定された前記所定度合は、例えば、ゼロに設定されている。これによれば、移動体が右側警報エリア又は左側警報エリア内を右側ドア又は左側ドアに向かって移動しているときに閉じられていた右側ドア又は左側ドアが開けられた場合に限定して警報を行うことができる。
【0015】
又、前記右側警報エリアは、例えば、前記車両に近接して該車両の後方に該車両の右側で延びる右側後方警報エリアを含んでおり、前記左側警報エリアは、例えば、前記車両に近接して該車両の後方に該車両の左側で延びる左側後方警報エリアを含んでいる。これによれば、車両に後方から接近して来る移動体に対して警報を行うことができる。
【0016】
又、前記右側警報エリアは、例えば、前記車両に近接して該車両の前方に該車両の右側で延びる右側前方警報エリアを含んでおり、前記左側警報エリアは、例えば、前記車両に近接して該車両の前方に該車両の左側で延びる左側前方警報エリアを含んでいる。これによれば、車両に前方から接近して来る移動体に対して警報を行うことができる。
【0017】
本発明の構成要素は、図面を参照しつつ後述する本発明の実施形態に限定されるものではない。本発明の他の目的、他の特徴及び付随する利点は、本発明の実施形態についての説明から容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本発明の実施形態に係る降車支援装置及びその降車支援装置が適用される車両を示した図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係る降車支援装置が適用される車両を示した図である。
図3図3は、本発明の実施形態に係る降車支援装置における警報エリアを示した図である。
図4図4は、警報が行われる場面の例を示した図である。
図5図5は、警報が行われない場面の例を示した図である。
図6図6は、本発明の第1実施形態に係る降車支援装置が実行するルーチンを示したフローチャートである。
図7図7は、本発明の第2実施形態に係る降車支援装置が実行するルーチンを示したフローチャートである。
図8図8は、第6変形例に係る監視エリアを示した図である。
図9図9は、車両の前方から移動体が接近する場面の例を示した図である。
図10図10は、本発明の実施形態の第7変形例に係る降車支援装置における警報エリアを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る降車支援装置について説明する。図1に、本発明の実施形態に係る降車支援装置10が示されている。降車支援装置10は、自車両100に搭載される。
【0020】
図2に示したように、本例において、自車両100は、4つのドア100Dを備えている。これらドア100Dは、自車両100の右側前方に設けられたドア(以下「右側前方ドア100RF」)、自車両100の右側後方に設けられたドア(以下「右側後方ドア100RR」)、自車両100の左前方に設けられたドア(以下「左側前方ドア100LF」)、及び、自車両100の左後方に設けられたドア(以下「左側後方ドア100LR」)である。
【0021】
本例において、各ドア100Dは、スイング式(即ち、枢動式)のドアである。従って、各ドア100Dは、それらの前方部分において鉛直に延びる枢動軸線周りでスイング可能(即ち、枢動可能)に自車両100の車体100Bに取り付けられている。自車両100の乗員は、閉じられた状態にある右側前方ドア100RF及び右側後方ドア100RRをそれぞれの枢動軸線周りで外方(即ち、車体100Bから離れる方向)へ反時計回りに枢動させることにより開けることができ、逆に、開けられた状態にある右側前方ドア100RF及び右側後方ドア100RRをそれぞれの枢動軸線周りで内方(即ち、車体100Bに近づく方向)へ時計回りに枢動させることにより閉じることができる。同様に、自車両100の乗員は、閉じられた状態にある左側前方ドア100LF及び左側後方ドア100LRをそれぞれの枢動軸線周りで外方(即ち、車体100Bから離れる方向)へ時計回りに枢動させることにより開けることができ、逆に、開けられた状態にある左側前方ドア100LF及び左側後方ドア100LRをそれぞれの枢動軸線周りで内方(即ち、車体100Bに近づく方向)へ反時計回りに枢動させることにより閉じることができる。
【0022】
尚、ドア100Dの1つ又はそれ以上がスライド式(即ち、摺動式)のドアであってもよい。例えば、右側後方ドア100RRがスライド式のドアである場合、右側後方ドア100RRは、自車両100の前後方向Dxにスライド可能(即ち、摺動可能)に車体100Bに取り付けられている。自車両100の乗員は、閉じられた状態にある右側後方ドア100RRを後方にスライドさせることにより開けることができ、逆に、開けられた状態にある右側後方ドア100RRを前方にスライドさせることにより閉じることができる。又、左側後方ドア100LRがスライド式のドアである場合も、左側後方ドア100LRは、自車両100の前後方向Dxにスライド可能(即ち、摺動可能)に車体100Bに取り付けられている。自車両100の乗員は、閉じられた状態にある左側後方ドア100LRを後方にスライドさせることにより開けることができ、逆に、開けられた状態にある左側後方ドア100LRを前方にスライドさせることにより閉じることができる。
【0023】
以下、右側前方ドア100RF及び右側後方ドア100RRをそれぞれ「右側ドア100R」と称呼し、左側前方ドア100LF及び左側後方ドア100LRをそれぞれ「左側ドア100L」と称呼する。
【0024】
<ECU>
降車支援装置10は、ECU90を備えている。ECUは、エレクトロニックコントロールユニットの略称である。ECU90は、マイクロコンピュータを主要部として備える。マイクロコンピュータは、CPU、ROM、RAM、不揮発性メモリ及びインターフェース等を含む。CPUは、ROMに格納されたインストラクション又はプログラム又はルーチンを実行することにより、各種機能を実現するようになっている。
【0025】
<警報音装置等>
自車両100には、警報音装置21、音声装置22、画像表示装置23及びドアロック装置24が搭載されている。
【0026】
<警報音装置>
警報音装置21は、例えば、各種の警報音を発生することができるブザーである。警報音装置21は、ECU90に電気的に接続されている。ECU90は、警報音装置21からの警報音の発生を制御することができる。
【0027】
<音声装置>
音声装置22は、例えば、人の声によるアナウンスを発することができるスピーカーである。音声装置22は、ECU90に電気的に接続されている。ECU90は、音声装置22からのアナウンスの発生を制御することができる。
【0028】
<画像表示装置>
画像表示装置23は、例えば、各種の画像を表示することができるディスプレイである。画像表示装置23は、ECU90に電気的に接続されている。ECU90は、画像表示装置23における画像の表示を制御することができる。
【0029】
<ドアロック装置>
ドアロック装置24は、各ドア100Dをロックしたり、各ドア100Dのロックを解除したりする装置である。ドアロック装置24は、ECU90に電気的に接続されている。ECU90は、ドアロック装置24の作動を制御することができる。
【0030】
<車両周辺情報取得装置等>
更に、自車両100には、車両周辺情報取得装置31、ドア情報取得装置32、ドアロック操作装置33、ドアロック情報取得装置34及び着座センサ35が搭載されている。
【0031】
<車両周辺情報取得装置>
車両周辺情報取得装置31は、例えば、カメラ、レーダ、レーザーレーダ、超音波センサである。車両周辺情報取得装置31は、ECU90に電気的に接続されている。車両周辺情報取得装置31は、自車両100の後方及び前方の所定範囲の状況に関する情報を取得することができるように自車両100に搭載されている。車両周辺情報取得装置31は、自車両100の後方及び前方の所定範囲の状況に関する情報を取得し、その取得した情報をECU90に送信する。ECU90は、その情報に基づいて自車両100の後方及び前方の状況に関する情報、特に、後方及び前方から自車両100に接近する移動体200に関する情報を周辺情報Isurとして取得する。
【0032】
本例において、移動体200は、他の車両、自動二輪車、自転車及び歩行者である。以下の説明において、他の車両、自動二輪車及び自転車の運転者を「移動体200の運転者」と称呼する。
【0033】
例えば、車両周辺情報取得装置31がカメラである場合、車両周辺情報取得装置31は、自車両100の後方及び前方の所定範囲を撮像することができるように自車両100に搭載される。車両周辺情報取得装置31は、自車両100の後方及び前方の所定範囲を撮像することにより自車両100の後方及び前方の所定範囲の画像を取得し、その画像に関する情報をECU90に送信する。ECU90は、その画像に関する情報に基づいて自車両100の後方及び前方の状況に関する情報、特に、後方及び前方から自車両100に接近する移動体200に関する情報を周辺情報Isurとして取得する。
【0034】
又、車両周辺情報取得装置31がレーダである場合、車両周辺情報取得装置31は、自車両100の後方及び前方の所定範囲に向けて電波を発信することができるように自車両100に搭載されている。自車両100の後方及び前方の所定範囲に物体が存在する場合、車両周辺情報取得装置31から発信された電波は、その物体で反射する。反射した電波は、車両周辺情報取得装置31に到来する。車両周辺情報取得装置31は、到来した電波を受信する。車両周辺情報取得装置31は、発信した電波に関する情報及び受信した電波に関する情報に基づいて自車両100の後方及び前方の所定範囲に存在する物体の位置、移動方向及び移動速度等に関する情報、特に、後方及び前方から自車両100に接近する移動体200に関する情報を周辺情報Isurとして取得する。
【0035】
<ドア情報取得装置>
ドア情報取得装置32は、例えば、各ドア100Dが閉じられているか否かを検知するドアセンサ、又は、そのドア100Dがスイング式のドアである場合においてそのドア100Dが閉じられた位置から枢動された角度(枢動角度θswing)を検知するドア角度センサ、又は、そのドア100Dがスライド式のドアである場合においてそのドア100Dが閉じられた位置から摺動された距離(摺動距離Lslide)を検知するドア距離センサである。
【0036】
ドア情報取得装置32は、ECU90に電気的に接続されている。ドア情報取得装置32は、各ドア100Dが閉じられているか否か、又は、各ドア100Dの枢動角度θswing、又は、各ドア100Dの摺動距離Lslideを検知し、その検知結果に関する情報をECU90に送信する。ECU90は、その情報に基づいて各ドア100Dが閉じられているのか或いは開けられているのか、又は、各ドア100Dの枢動角度θswing、又は、各ドア100Dの摺動距離Lslideをドア情報Idoorとして取得することができる。
【0037】
<ドアロック操作装置>
ドアロック操作装置33は、例えば、自車両100の乗員により操作されるドアロックスイッチである。又、ドアロック情報取得装置34は、例えば、ドアロック操作装置33に加えられた操作を検出するドアロックセンサである。
【0038】
ドアロック操作装置33は、ドアロック情報取得装置34に電気的に接続されている。又、ドアロック情報取得装置34は、ECU90に電気的に接続されている。ドアロック情報取得装置34は、ドアロック操作装置33に加えられた操作を検出し、その検出した操作に関する情報をECU90に送信する。ECU90は、その情報に応じてドアロック装置24を作動させることによりドア100Dをロックしたりそのロックを解除したりする。従って、自車両100の乗員は、ドアロック操作装置33を操作することにより、ドアロック装置24によって各ドア100Dをロックしたりそのロックを解除したりすることができる。
【0039】
<着座センサ>
着座センサ35は、ECU90に電気的に接続されている。着座センサ35は、自車両100の座席に乗員が座っている場合、その乗員が座っている座席の位置を検出し、その検出した位置に関する情報をECU90に送信する。ECU90は、その情報に基づいて乗員が座っている座席を特定することができる。従って、ECU90は、ドア100Dが開けられたときに何れの座席に乗員が座っているか否かに基づいて乗員が自車両100から降りるためにドア100Dを開けたのか人が自車両100に乗るためにドア100Dを開けたのかを判別することができ、又、ドア100Dのロックを解除したときに何れの座席に乗員が座っているか否かに基づいて乗員が自車両100から降りるためにドアロックを解除したのか人が自車両100に乗るためにドアロックを解除したのかを判別することができる。
【0040】
<第1実施形態に係る降車支援装置の作動の概要>
次に、第1実施形態に係る降車支援装置10の作動の概要について説明する。
【0041】
<警報エリア>
図3に示したように、警報エリアAが予め設定されている。警報エリアAは、自車両100の右側のエリア(右側警報エリアA_R又は右側後方警報エリアA_RR)と、自車両100の左側のエリア(左側警報エリアA_L又は左側後方警報エリアA_LR)と、を含んでいる。
【0042】
<右側後方警報エリア>
自車両100の右側後方警報エリアA_RRは、右側壁面ラインL_R1、右側ラインL_R2、右側前方ドアラインL_R3及び右側後方ラインL_R4によって画定されるエリアである。
【0043】
右側壁面ラインL_R1は、自車両100の右側壁面100W_Rに沿って自車両100の前後方向Dxに延びるラインである。右側ラインL_R2は、右側壁面ラインL_R1から右側に所定距離(所定右側幅Ly_R)を開けて右側壁面ラインL_R1と平行に自車両100の前後方向Dxに延びるラインである。右側前方ドアラインL_R3は、右側前方ドア100RFの前端部分を通って自車両100の横方向Dyに延びるラインである。右側後方ラインL_R4は、右側前方ドアラインL_R3から後方に所定距離(所定右側後方長Lx_RR)を開けて右側前方ドアラインL_R3と平行に自車両100の横方向Dyに延びるラインである。
【0044】
本例において、所定右側幅Ly_Rは、右側ドア100Rの少なくとも1つがスイング式のドアである場合、枢動角度θswingが最大角度θswing_maxに達しているときの右側ドア100Rに移動体200が接触しない長さに設定されている。しかしながら、所定右側幅Ly_Rは、その長さよりも長い長さに設定されてもよいし、その長さよりも短い長さに設定されてもよい。
【0045】
又、所定右側幅Ly_Rは、右側ドア100Rの両方がスライド式のドアである場合、開けられた右側ドア100Rから降りた直後の乗員に移動体200が接触しない長さに設定されている。しかしながら、所定右側幅Ly_Rは、その長さよりも長い長さに設定されてもよいし、その長さよりも短い長さに設定されてもよい。
【0046】
又、本例において、所定右側後方長Lx_RRは、開いた状態にある右側ドア100Rに向かって右側後方警報エリアA_RR内を移動している移動体200がその右側ドア100Rを避けるために右側後方警報エリアA_RRの外に出るのに最低限必要な長さに設定されている。従って、本例において、所定右側後方長Lx_RRは、移動体200の移動速度V2が高いほど長い長さに設定される。尚、所定右側後方長Lx_RRは、その最低限必要な長さよりも長い長さに設定されてもよいし、場合によっては、その最低限必要な長さよりも短い長さに設定されてもよい。又、これらの場合も、所定右側後方長Lx_RRは、移動体200の移動速度V2に応じて設定される。しかしながら、所定右側後方長Lx_RRは、一定の距離に設定されてもよい。
【0047】
尚、本例においては、右側前方ドア100RFと右側後方ドア100RRとに共通して1つの右側後方警報エリアA_RRが設定されているが、これら右側前方ドア100RF及び右側後方ドア100RRにそれぞれ固有の右側後方警報エリアA_RRが設定されてもよい。
【0048】
<左側後方警報エリア>
自車両100の左側後方警報エリアA_LRは、左側壁面ラインL_L1、左側ラインL_L2、左側前方ドアラインL_L3及び左側後方ラインL_L4によって画定されるエリアである。
【0049】
左側壁面ラインL_L1は、自車両100の左側壁面100W_Lに沿って自車両100の前後方向Dxに延びるラインである。左側ラインL_L2は、左側壁面ラインL_L1から左側に所定距離(所定左側幅Ly_L)を開けて左側壁面ラインL_L1と平行に自車両100の前後方向Dxに延びるラインである。左側前方ドアラインL_L3は、左側前方ドア100LFの前端部分を通って自車両100の横方向Dyに延びるラインである。左側後方ラインL_L4は、左側前方ドア100LFから後方に所定距離(所定左側後方長Lx_LR)を開けて左側前方ドア100LFと平行に自車両100の横方向Dyに延びるラインである。
【0050】
本例において、所定左側幅Ly_Lは、左側ドア100Lの少なくとも1つがスイング式のドアである場合、枢動角度θswingが最大角度θswing_maxに達しているときの左側ドア100Lに移動体200が接触しない長さに設定されている。しかしながら、所定左側幅Ly_Lは、その長さよりも長い長さに設定されてもよいし、その長さよりも短い長さに設定されてもよい。
【0051】
又、所定左側幅Ly_Lは、左側ドア100Lの両方がスライド式のドアである場合、開けられた左側ドア100Lから降りた直後の乗員に移動体200が接触しない長さに設定されている。しかしながら、所定左側幅Ly_Lは、その長さよりも長い長さに設定されてもよいし、その長さよりも短い長さに設定されてもよい。
【0052】
又、本例において、所定左側後方長Lx_LRは、開いた状態にある左側ドア100Lに向かって左側後方警報エリアA_LR内を移動している移動体200がその左側ドア100Lを避けるために左側後方警報エリアA_LRの外に出るのに最低限必要な長さに設定されている。従って、本例において、所定左側後方長Lx_LRは、移動体200の移動速度V2が高いほど長い長さに設定される。尚、所定左側後方長Lx_LRは、その最低限必要な長さよりも長い距離に設定されてもよいし、場合によっては、その最低限必要な長さよりも短い長さに設定されてもよい。又、これらの場合も、所定左側後方長Lx_LRは、移動体200の移動速度V2に応じて設定される。しかしながら、所定左側後方長Lx_LRは、一定の距離に設定されてもよい。
【0053】
本例において、所定右側幅Ly_Rと所定左側幅Ly_Lとは、互いに等しい長さであり、所定右側後方長Lx_RRと所定左側後方長Lx_LRとは、互いに等しい長さである。
【0054】
尚、本例においては、左側前方ドア100LFと左側後方ドア100LRとに共通して1つの左側後方警報エリアA_LRが設定されているが、これら左側前方ドア100LF及び左側後方ドア100LRにそれぞれ固有の左側後方警報エリアA_LRが設定されてもよい。
【0055】
<警報>
降車支援装置10は、周辺情報Isurに基づいて警報エリアA内をドア100Dに向かって移動体200が移動しているか否かを監視するとともに、ドア情報Idoorに基づいてドア100Dの開閉状態を監視する。
【0056】
<警報を行う場合>
例えば、図4の(A)に示したように、移動体200が自車両100の後方から自車両100に近づいて来る場面において、降車支援装置10は、その移動体200を周辺情報Isurに基づいて検知する。尚、図中、符号LM_R及び符号LM_Lは、それぞれ、自車両100が停止している車線を規定する区画線である。
【0057】
そして、図4の(B)に示したように、移動体200が右側後方警報エリアA_RRに進入したとき、降車支援装置10は、移動体200が右側後方警報エリアA_RRに進入したことを周辺情報Isurに基づいて検知する。図4に示した例においては、移動体200が右側後方警報エリアA_RRに進入した時点では、自車両100の右側前方ドア100RFも右側後方ドア100RRも閉められている。この場合、降車支援装置10は、警報条件Calertが成立したとは判断せず、従って、警報を行わない。
【0058】
その後、図4の(C)に示したように、移動体200が右側後方警報エリアA_RR内を右側前方ドア100RFに向かって移動しているときに右側前方ドア100RFが開けられると、降車支援装置10は、警報条件Calertが成立したと判断して自車両100の乗員に対する警報を行う。
【0059】
本例において、警報は、警報音装置21からの警報音の発生による警報、音声装置22からの警報音声の発生による警報、及び、画像表示装置23における警報画像の表示による警報であるが、これらの1つ又は2つの警報であってもよい。警報音声は、ドア100Dに向かって後方から移動体200が接近していることを知らせる音声(アナウンス)である。又、警報画像は、ドア100Dに向かって後方から移動体200が接近していることを知らせる文字及び図形等の画像である。
【0060】
これにより、右側前方ドア100RFを開けて自車両100から降りようとした乗員は、右側前方ドア100RFに向かって移動体200が接近してきていることを知ることができる。
【0061】
同様に、降車支援装置10は、移動体200が右側後方警報エリアA_RR内を右側ドア100Rに向かって移動しているときに右側後方ドア100RRが開けられると、警報条件Calertが成立したと判断して自車両100の乗員に対する警報を行う。
【0062】
又、降車支援装置10は、移動体200が左側後方警報エリアA_LR内を左側ドア100Lに向かって移動しているときに左側前方ドア100LF又は左側後方ドア100LRが開けられると、警報条件Calertが成立したと判断して自車両100の乗員に対する警報を行う。
【0063】
尚、降車支援装置10は、警報の開始後、警報の対象となっているドア100Dが閉められ或いは警報の対象となっている移動体200が警報エリアAの外に出たとの警報終了条件Cterが成立した場合、警報を終了する。
【0064】
<警報を行わない場合>
一方、以下に説明する場面においては、降車支援装置10は、警報を行わない。
【0065】
例えば、図5の(A)に示したように、移動体200が自車両100の後方から自車両100に近づいて来る場面において、降車支援装置10は、その移動体200を周辺情報Isurに基づいて検知する。
【0066】
そして、図5の(B)に示したように、移動体200が右側後方警報エリアA_RRに進入する前に右側前方ドア100RFが開かれ、その後、図5の(C)に示したように、移動体200が右側後方警報エリアA_RRに進入した場合、降車支援装置10は、移動体200が右側後方警報エリアA_RRに進入したことを検知するが、警報は行わない。言い方を変えれば、降車支援装置10は、右側前方ドア100RFが既に開けられた状態にあるときに移動体200が右側後方警報エリアA_RRに進入した場合、警報条件Calertが成立したとは判断せず、従って、警報を行わない。
【0067】
<効果>
以上説明したように、降車支援装置10は、移動体200が右側後方警報エリアA_RRに進入する前に右側ドア100Rが開けられ、その後、移動体200が右側後方警報エリアA_RRに進入した場合、警報を行わない。同様に、降車支援装置10は、移動体200が左側後方警報エリアA_LRに進入する前に左側ドア100Lが開けられ、その後、移動体200が左側後方警報エリアA_LRに進入した場合、警報を行わない。即ち、移動体200が警報エリアAに進入する前からドア100Dが開けられた状態にあり、移動体200の運転者又は歩行者がそのドア100Dとの接触を避ける行動をとることが容易である場合、警報が行われない。
【0068】
一方、移動体200が警報エリアAに進入した後にドア100Dが開かれ、移動体200の運転者又は歩行者がそのドア100Dとの接触を避ける行動をとることが困難である場合、警報が行われる。
【0069】
このように、移動体200の運転者又は歩行者がそのドア100Dとの接触を避ける行動をとることが容易であり、警報が行われなくても、移動体200がドア100Dに接触してする可能性が低い場合には、警報が行われない。このため、無駄となる警報が行われることを避けることができる。一方、移動体200の運転者又は歩行者がそのドア100Dとの接触を避ける行動をとることが困難であり、移動体200がドア100Dに接触する可能性が高い場合には、警報が行われるので、ドア100Dに接触する可能性のある移動体200の存在を自車両100の乗員に気づかせることができる可能性を高めることができる。これにより、乗員は、ドア100Dを開ける行動の停止或いはドア100Dを閉める行動の開始を促される。このため、移動体200とドア100Dとの接触を防止することができる。
【0070】
<第1実施形態に係る降車支援装置の具体的な作動>
次に、降車支援装置10の具体的な作動について説明する。降車支援装置10のECU90のCPUは、図6に示したルーチンを所定時間の経過毎に実行するようになっている。従って、所定のタイミングになると、CPUは、図6のステップ600から処理を開始し、その処理をステップ610に進め、ドア100Dが開けられたか否かを判定する。
【0071】
CPUは、ステップ610にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ620に進め、開かれたドア100Dに対応する警報エリアA内を移動体200がそのドア100Dに向かって移動しているか否かを判定する。開かれたドア100Dに対応する警報エリアAとは、右側ドア100Rが開かれた場合、右側後方警報エリアA_RRであり、左側ドア100Lが開かれた場合、左側後方警報エリアA_LRである。
【0072】
CPUは、ステップ620にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ630に進め、警報を実施する。その後、CPUは、処理をステップ695に進め、本ルーチンを一旦終了する。
【0073】
一方、CPUは、ステップ620にて「No」と判定した場合、処理をステップ695に直接進め、本ルーチンを一旦終了する。
【0074】
又、CPUは、ステップ610にて「No」と判定した場合、処理をステップ640に進め、警報の実施中か否かを判定する。
【0075】
CPUは、ステップ640にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ650に進め、警報の対象となっているドア100Dが閉められ或いは警報の対象となっている移動体200が警報エリアAの外に出たとの警報終了条件Cterが成立したか否かを判定する。
【0076】
CPUは、ステップ650にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ660に進め、実施している警報を終了する。その後、CPUは、処理をステップ695に進め、本ルーチンを一旦終了する。
【0077】
一方、CPUは、ステップ640又はステップ650にて「No」と判定した場合、処理をステップ695に直接進め、本ルーチンを一旦終了する。
【0078】
以上が第1実施形態に係る降車支援装置10の具体的な作動である。
【0079】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態に係る降車支援装置10について説明する。
【0080】
第1実施形態に係る降車支援装置10は、移動体200が警報エリアAに進入したときに対応するドア100Dが既に開けられた状態にある場合、警報条件Calertが成立したとは判断せず、従って、警報を行わない。対応するドア100Dとは、移動体200が右側後方警報エリアA_RRに進入した場合、右側ドア100Rであり、移動体200が左側後方警報エリアA_LRに進入した場合、左側ドア100Lである。
【0081】
しかしながら、移動体200が自動二輪車等である場合の移動体200の運転者又は歩行者が開けられているドア100Dに気づかずにそのままそのドア100Dに向かって移動し、そのドア100Dに接触してしまう可能性がないとは言えない。そこで、本発明の第2実施形態に係る降車支援装置10は、以下のように警報を行う。
【0082】
<第2実施形態に係る降車支援装置の作動の概要>
第2実施形態に係る降車支援装置10も、周辺情報Isurに基づいて警報エリアA内をドア100Dに向かって移動体200が移動しているか否かを監視するとともに、ドア情報Idoorに基づいてドア100Dの開閉状態を監視する。
【0083】
<第1形態での警報を行う場合>
降車支援装置10は、移動体200が自車両100の後方から自車両100に近づいて来る場面において、その移動体200を周辺情報Isurに基づいて検知する。
【0084】
そして、降車支援装置10は、移動体200が右側後方警報エリアA_RRに進入したことを周辺情報Isurに基づいて検知する。このとき、両方の右側ドア100Rが閉められている場合、降車支援装置10は、警報条件Calertが成立したとは判断せず、従って、警報を行わない。
【0085】
その後、移動体200が右側後方警報エリアA_RR内を右側ドア100Rに向かって移動しているときに右側ドア100Rが開けられると、降車支援装置10は、第1警報条件Calert_1が成立したと判断して自車両100の乗員に対する第1形態での警報を行う。
【0086】
第1形態での警報は、ドア100Dに接触する可能性のある移動体200の存在を自車両100の乗員に気づかせる可能性のレベル(警報レベルLalert)が所定レベルLalert_thである形態での警報である。又、後述する第2形態での警報は、警報レベルLalertが所定レベルLalert_thよりも低い形態での警報である。
【0087】
警報レベルLalertは、例えば、
(1)警報音装置21による警報の実施の有無
(2)警報音装置21による警報を実施する場合における警報音の音量、
(3)警報音装置21による警報を実施する場合における警報音の発生時間、
(4)警報音装置21による警報を実施する場合における警報音の発生周期、
(5)音声装置22による警報の実施の有無、
(6)音声装置22による警報を実施する場合における警報音声の音量、
(7)画像表示装置23による警報の実施の有無、
といった要素の組み合わせにより変わる。
【0088】
警報音の発生時間は、発生させ始めた警報音を発生し続ける時間であり、警報音の発生周期は、一旦発生させ始めた警報音を一旦停止したときから次に警報音を発生させ始めるまでの時間である。
【0089】
例えば、一般的に言えば、警報レベルLalertは、警報音装置21による警報及び音声装置22による警報の両方を実施する場合よりも、警報音装置21による警報及び音声装置22による警報の何れか一方のみを実施する場合のほうが低い。又、警報レベルLalertは、音量が大きい場合よりも、音量が小さい場合のほうが低い。
【0090】
本例において、第1形態での警報は、所定音量での警報音装置21による警報、所定音量での音声装置22による警報、及び、画像表示装置23による警報であり、第2形態での警報は、所定音量での警報音装置21による警報である。
【0091】
一方、降車支援装置10は、移動体200が左側後方警報エリアA_LRに進入したことを周辺情報Isurに基づいて検知する。このとき、左側前方ドア100LFも左側後方ドア100LRも閉められている場合、降車支援装置10は、警報を行わない。
【0092】
その後、移動体200が左側後方警報エリアA_LR内を左側ドア100Lに向かって移動しているときに左側ドア100Lが開けられると、降車支援装置10は、第1警報条件Calert_1が成立したと判断し、自車両100の乗員に対する第1形態での警報を行う。
【0093】
<第2形態での警報を行う場合>
一方、移動体200が右側後方警報エリアA_RRに進入したときに右側ドア100Rが既に開けられた状態にある場合、降車支援装置10は、第2警報条件Calert_2が成立したと判断して自車両100の乗員に対する第2形態での警報を行う。
【0094】
又、移動体200が左側後方警報エリアA_LRに進入したときに左側ドア100Lが既に開けられた状態にある場合、降車支援装置10は、第2警報条件Calert_2が成立したと判断して自車両100の乗員に対する第2形態での警報を行う。
【0095】
このように、第2実施形態に係る降車支援装置10は、警報音装置21、音声装置22及び画像表示装置23といった複数の警報手段を備えている場合において、第1警報条件Calert_1が成立した場合、複数の警報手段の全てを用いた第1形態での警報を行い、第2警報条件Calert_2が成立した場合、複数の警報手段の一部のみを用いた第2形態での警報を行う。
【0096】
<効果>
以上説明したように、第2実施形態に係る降車支援装置10は、移動体200が右側後方警報エリアA_RRに進入する前に右側ドア100Rが開けられ、その後、移動体200が右側後方警報エリアA_RRに進入した場合、警報レベルLalertの低い第2形態での警報を行う。即ち、移動体200が警報エリアAに進入する前からドア100Dが開けられた状態にあり、移動体200の運転者又は歩行者がそのドア100Dとの接触を避ける行動をとることが容易である場合、警報レベルLalertの低い警報が行われる。
【0097】
一方、移動体200が警報エリアAに進入した後にドア100Dが開かれ、移動体200の運転者又は歩行者がそのドア100Dとの接触を避ける行動をとることが困難である場合、警報レベルLalertの高い第1形態での警報が行われる。
【0098】
このように、移動体200の運転者又は歩行者がそのドア100Dとの接触を避ける行動をとることが容易である場合よりも、移動体200の運転者又は歩行者がそのドア100Dとの接触を避ける行動をとることが困難である場合のほうが、警報レベルLalertの高い警報が行われる。このため、移動体200の運転者又は歩行者がそのドア100Dとの接触を避ける行動をとることが困難である場合に、ドア100Dに接触する可能性のある移動体200の存在を自車両100の乗員に気づかせることができる可能性を高めることができる。これにより、無駄となる警報が行われることを避けることができる。そして、その結果、乗員は、ドア100Dを開ける行動の停止或いはドア100Dを閉める行動の開始を促される。このため、移動体200とドア100Dとの接触を防止することができる。
【0099】
<警報の終了>
尚、降車支援装置10は、警報の開始後、警報の対象となっているドア100Dが閉められ或いは警報の対象となっている移動体200が警報エリアAの外に出たとの警報終了条件Cterが成立した場合、警報を終了する。
【0100】
<第2実施形態に係る降車支援装置の具体的な作動>
第2実施形態に係る降車支援装置10のECU90のCPUは、図7に示したルーチンを所定時間の経過毎に実行するようになっている。従って、所定のタイミングになると、CPUは、図7のステップ700から処理を開始し、その処理をステップ710に進め、移動体200が警報エリアAに進入したか否かを判定する。
【0101】
CPUは、ステップ710にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ720に進め、移動体200が進入した警報エリアAに対応するドア100Dが開けられているか否かを判定する。
【0102】
CPUは、ステップ720にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ730に進め、第2形態での警報を実施する。その後、CPUは、処理をステップ795に進め、本ルーチンを一旦終了する。
【0103】
一方、CPUは、ステップ720にて「No」と判定した場合、処理をステップ795に直接進め、本ルーチンを一旦終了する。
【0104】
又、CPUは、ステップ710にて「No」と判定した場合、処理をステップ740に進め、ドア100Dが開けられたか否かを判定する。
【0105】
CPUは、ステップ740にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ750に進め、開けられたドア100Dに対応する警報エリアA内をそのドア100Dに向かって移動体200が移動しているか否かを判定する。
【0106】
CPUは、ステップ750にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ760に進め、第1形態での警報を実施する。その後、CPUは、処理をステップ795に進め、本ルーチンを一旦終了する。
【0107】
一方、CPUは、ステップ750にて「No」と判定した場合、処理をステップ795に直接進め、本ルーチンを一旦終了する。
【0108】
又、CPUは、ステップ740にて「No」と判定した場合、処理をステップ770に進め、警報の実施中か否かを判定する。
【0109】
CPUは、ステップ770にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ780に進め、警報の対象となっているドア100Dが閉められ或いは警報の対象となっている移動体200が警報エリアAの外に出たとの警報終了条件Cterが成立したか否かを判定する。
【0110】
CPUは、ステップ780にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ790に進め、実施している警報を終了する。その後、CPUは、処理をステップ795に進め、本ルーチンを一旦終了する。
【0111】
一方、CPUは、ステップ770又はステップ780にて「No」と判定した場合、処理をステップ795に直接進め、本ルーチンを一旦終了する。
【0112】
以上が第2実施形態に係る降車支援装置10の具体的な作動である。
【0113】
尚、本発明は、上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。
【0114】
<第1変形例>
例えば、自車両100の乗員が一旦小さく開けておいたドア100Dを大きく開けることもある。一方、移動体200の運転者や歩行者は、大きく開けられたドア100Dには気づきやすいが、小さくしか開けられていないドア100Dには気づきづらい。従って、移動体200が警報エリアAに進入したときにその警報エリアAに対応するドア100Dが小さくしか開いていないと、移動体200の運転者や歩行者は、そのドア100Dが開いていることに気づかず、その結果、そのドア100Dとの接触を避ける行動を起こさず、そのままそのドア100Dに接近してくる可能性がある。このとき、自車両100の乗員がそのドア100Dに移動体200が接近してくることに気づいておらず、そのドア100Dを更に開けてしまうと、移動体200がそのドア100Dを避けきれずに接触してしまう可能性がある。
【0115】
そこで、本発明の実施形態の第1変形例として、降車支援装置10は、ドア100Dが所定度合Dthよりも小さくしか開けられていない場合、そのドア100Dが閉じられていると見なすように構成されてもよい。
【0116】
本例において、所定度合Dthは、ドア100Dがスイング式のドアである場合、所定の枢動角度θswing_thであり、ドア100Dがスライド式のドアである場合、所定の摺動距離Lslide_thである。これら所定の枢動角度θswing_th及び所定の摺動距離Lslide_thは、移動体200の運転者及び歩行者がドア100Dが開いていることを認識できる最低限の枢動角度θswing_min及び摺動距離Lslide_minに設定される。しかしながら、所定の枢動角度θswing_thは、その最低限の枢動角度θswing_minよりも大きい角度に設定されてもよいし、小さい角度に設定されてよく、又、所定の摺動距離Lslide_thは、その最低限の摺動距離Lslide_minよりも長い距離に設定されてもよいし、短い距離に設定されてもよい。
【0117】
例えば、第1実施形態に係る降車支援装置10が第1変形例に従って構成された場合、降車支援装置10は、移動体200が右側後方警報エリアA_RRに進入したときに右側ドア100Rが両方とも閉められている場合、警報条件Calertが成立したとは判断せず、従って、警報を行わず、又、移動体200が右側後方警報エリアA_RRに進入したときに何れかの右側ドア100Rが開けられているとしてもその右側ドア100Rが所定度合Dthよりも小さくしか開けられていない場合、その右側ドア100Rは閉められているとみなし、警報条件Calertが成立したとは判断せず、従って、警報を行わない。
【0118】
そして、降車支援装置10は、その後、移動体200が右側後方警報エリアA_RR内を右側ドア100Rに向かって移動しているときに閉められていた右側ドア100Rが開けられた場合、警報条件Calertが成立したと判断して警報を行い、又、移動体200が右側後方警報エリアA_RR内を右側ドア100Rに向かって移動しているときに所定度合Dthよりも小さくしか開けられていなかった右側ドア100Rが更に開けられ始めた場合、閉められていた右側ドア100Rが開けられたとみなし、警報条件Calertが成立したと判断して警報を行う。
【0119】
又、降車支援装置10は、右側ドア100Rが所定度合Dth以上に開けられているときに移動体200が右側後方警報エリアA_RRに進入した場合、警報条件Calertが成立したとは判断せず、従って、警報を行わない。
【0120】
左側後方警報エリアA_LRに進入した移動体200に関する警報の実施の有無についても、同様である。
【0121】
これによれば、移動体200が警報エリアA内をドア100Dに向かって移動しているときに小さくしか開かれていなかったドア100Dが開けられ始めた場合、警報が行われる。このため、ドア100Dに接触する可能性のある移動体200の存在を自車両100の乗員に気づかせることができる。
【0122】
或いは、第2実施形態に係る降車支援装置10が第1変形例に従って構成された場合、降車支援装置10は、移動体200が右側後方警報エリアA_RRに進入したときに右側ドア100Rが両方とも閉められている場合、第1警報条件Calert_1が成立したとも第2警報条件Calert_2が成立したとも判断せず、従って、警報を行わず、移動体200が右側後方警報エリアA_RRに進入したときに何れかの右側ドア100Rが開けられているとしてもその右側ドア100Rが所定度合Dthよりも小さくしか開けられていない場合、その右側ドア100Rは閉められているとみなし、第1警報条件Calert_1が成立したとも第2警報条件Calert_2が成立したとも判断せず、従って、警報を行わない。
【0123】
そして、降車支援装置10は、その後、移動体200が右側後方警報エリアA_RR内を右側ドア100Rに向かって移動しているときに閉じられていた右側ドア100Rが開けられた場合、第1警報条件Calert_1が成立したと判断して第1形態での警報を行い、又、移動体200が右側後方警報エリアA_RR内を右側ドア100Rに向かって移動しているときに所定度合Dthよりも小さくしか開けられていなかった右側ドア100Rが更に開けられ始めた場合、閉められていた右側ドア100Rが開けられたとみなし、第1警報条件Calert_1が成立したと判断して第1形態での警報を行う。
【0124】
又、降車支援装置10は、右側ドア100Rが所定度合Dth以上に開けられているときに移動体200が右側後方警報エリアA_RRに進入した場合、第2警報条件Calert_2が成立したと判断して第2形態での警報を行う。
【0125】
左側後方警報エリアA_LRに進入した移動体200に関する警報の実施の有無についても、同様である。
【0126】
これによれば、移動体200が警報エリアA内をドア100Dに向かって移動しているときに小さくしか開かれていなかったドア100Dが開けられ始めた場合、第1形態での警報が行われる。このため、ドア100Dに接触する可能性のある移動体200の存在を自車両100の乗員に気づかせることができる。
【0127】
<第2変形例>
又、移動体200が警報エリアAに進入するよりも先にドア100Dが開けられていたために警報を行わなかった場合でも、その移動体200が警報エリアA内をドア100Dに向かって移動し続け、そのドア100Dに非常に接近したときには、移動体200がそのドア100Dに接触する可能性があると判断することができるので、警報を行ってドア100Dに接触する可能性のある移動体200の存在を知らせることが望ましいこともある。
【0128】
そこで、本発明の実施形態の第2変形例として、降車支援装置10は、移動体200が警報エリアAに進入したときにその警報エリアAに対応するドア100Dが開けられていたために警報条件Calertが成立していないと判断した後、その移動体200が警報エリアA内をそのドア100Dに向かって移動し続け、移動体200とそのドア100Dとの間の距離(対象相対距離Drel)が所定距離Drel_thまで短くなった場合、警報条件Calertが成立したと判断して警報を行うように構成されてもよい。
【0129】
本例において、所定距離Drel_thは、移動体200の移動速度V2にかかわらず一定の距離であってもよいし、移動体200の移動速度V2が大きいほど長い距離に設定されてもよい。
【0130】
例えば、第1実施形態に係る降車支援装置10が第2変形例に従って構成された場合、降車支援装置10は、移動体200が右側後方警報エリアA_RRに進入したときに右側ドア100Rが開けられていた場合、警報条件Calertが成立したとは判断せず。従って、警報を行わないが、その後、その移動体200が右側後方警報エリアA_RR内を右側ドア100Rに向かって移動し続け、右側ドア100Rが開けられたままの状態で移動体200と右側ドア100Rとの間の距離(対象相対距離Drel)が所定距離Drel_thまで短くなった場合、警報条件Calertが成立したと判断して警報を行う。
【0131】
左側後方警報エリアA_LRに進入した移動体200に関する警報の実施の有無についても、同様である。
【0132】
又、第2実施形態に係る降車支援装置10が第2変形例に従って構成された場合、降車支援装置10は、移動体200が右側後方警報エリアA_RRに進入したときに右側ドア100Rが所定度合Dth以上に開けられていた場合、第2警報条件Calert_2が成立していると判断して第2形態での警報を行い、その後、その移動体200が右側後方警報エリアA_RR内を右側ドア100Rに向かって移動し続け、右側ドア100Rが所定度合Dth以上に開けられたままの状態で移動体200と右側ドア100Rとの間の距離(対象相対距離Drel)が所定距離Drel_thまで短くなったときに右側ドア100Rが所定度合Dth以上に開けられている場合、第1警報条件Calert_1が成立したと判断して第1形態での警報を行う。
【0133】
左側後方警報エリアA_LRに進入した移動体200に関する警報の実施の有無についても、同様である。
【0134】
<第3変形例>
又、移動体200がドア100Dに接触する可能性は、警報エリアA内をドア100Dに向かって移動する移動体200とそのドア100Dとの間の距離(対象相対距離Drel)が長いときよりも短いときのほうが高い。従って、閉じられた状態にある或いは所定度合Dthよりも小さい度合にしか開けられていない状態にあるドア100Dに向かって移動体200が警報エリアA内を移動しているときにそのドア100Dが開けられ始めた場合において、そのときの対象相対距離Drelが長いときよりも短いときのほうが、ドア100Dに接触する可能性のある移動体200の存在をより確実に自車両100の乗員に気づかせることが望まれる。
【0135】
そこで、本発明の実施形態の第3変形例として、降車支援装置10は、閉められた状態にある或いは所定度合Dthよりも小さい度合にしか開けられていない状態にあるドア100Dに向かって移動体200が警報エリアA内を移動しているときにそのドア100Dが開けられ始めた場合において、そのときの対象相対距離Drelが所定距離Drel_th以上である場合、第2警報条件Calert_2が成立したと判断して第2形態での警報を行い、一方、そのときの対象相対距離Drelが所定距離Drel_thよりも短い場合、第1警報条件Calert_1が成立したと判断して第1形態での警報を行うように構成されてもよい。
【0136】
更に、第3変形例として、降車支援装置10は、閉められた状態にある或いは所定度合Dthよりも小さい度合にしか開けられていない状態にあるドア100Dに向かって移動体200が警報エリアA内を移動しているときにそのドア100Dが開けられ始めた場合において、そのときの対象相対距離Drelが所定距離Drel_th以上であったことから、第2警報条件Calert_2が成立したと判断して第2形態での警報を開始した後、警報終了条件Cterが成立しないまま対象相対距離Drelが所定距離Drel_thよりも短くなった場合、第1警報条件Calert_1が成立したと判断して第1形態での警報を行うように構成されてもよい。
【0137】
例えば、第1実施形態に係る降車支援装置10が第3変形例に従って構成された場合、降車支援装置10は、移動体200が右側後方警報エリアA_RR内を右側ドア100Rに向かって移動しているときに右側ドア100Rが開けられた場合において、そのときの対象相対距離Drelが所定距離Drel_th以上である場合、第2警報条件Calert_2が成立したと判断して第2形態での警報を行い、一方、そのときの対象相対距離Drelが所定距離Drel_thよりも短い場合、第1警報条件Calert_1が成立したと判断して第1形態での警報を行う。
【0138】
又、降車支援装置10は、移動体200が右側後方警報エリアA_RR内を右側ドア100Rに向かって移動しているときに右側ドア100Rが開けられた場合において、そのときの対象相対距離Drelが所定距離Drel_th以上であったことから、第2警報条件Calert_2が成立したと判断して第2形態での警報を開始した後、右側ドア100Rが開けられたままの状態(即ち、警報終了条件Cterが成立しないまま)で対象相対距離Drelが所定距離Drel_thよりも短くなった場合、第1警報条件Calert_1が成立したと判断して第1形態での警報を行う。
【0139】
左側後方警報エリアA_LRに進入した移動体200に関する警報の実施の有無についても、同様である。
【0140】
又、第2実施形態に係る降車支援装置10が第3変形例に従って構成された場合、降車支援装置10は、閉められた状態にある或いは所定度合Dthよりも小さくしか開けられていない状態にある右側ドア100Rに向かって移動体200が右側後方警報エリアA_RR内を移動しているときにその右側ドア100Rが開けられ始めた場合において、そのときの対象相対距離Drelが所定距離Drel_th以上である場合、第2警報条件Calert_2が成立したと判断して第2形態での警報を行い、一方、そのときの対象相対距離Drelが所定距離Drel_thよりも短い場合、第1警報条件Calert_1が成立したと判断して第1形態での警報を行う。
【0141】
又、降車支援装置10は、閉められた状態にある或いは所定度合Dthよりも小さくしか開けられていない状態にある右側ドア100Rに向かって移動体200が右側後方警報エリアA_RR内を移動しているときにその右側ドア100Rが開けられ始めた場合において、そのときの対象相対距離Drelが所定距離Drel_th以上であったことから、第2警報条件Calert_2が成立したと判断して第2形態での警報を開始した後、その右側ドア100Rが所定度合Dth以上に開けられたままの状態(即ち、警報終了条件Cterが成立しないまま)で対象相対距離Drelが所定距離Drel_thよりも短くなった場合、第1警報条件Calert_1が成立したと判断して第1形態での警報を行う。
【0142】
左側後方警報エリアA_LRに進入した移動体200に関する警報の実施の有無についても、同様である。
【0143】
<第4変形例>
又、乗員がドアロック操作装置33を操作してドア100Dのロックを解除した場合、その乗員がドア100Dを開けようとしているものと推定することができる。そして、乗員がロックを解除したドア100Dを開けてしまうとそのドア100Dに移動体200が接触する可能性がある場合、そのドア100Dに接触する可能性のある移動体200の存在を乗員に気づかせることが望まれる。
【0144】
そこで、本発明の実施形態の第4変形例として、降車支援装置10は、移動体200が警報エリアAに進入する前にドア100Dのロックを解除する操作がドアロック操作装置33に対して行われた場合、そのドア100Dが開かれたとはみなさないが、移動体200が警報エリアA内をドア100Dに向かって移動しているときにドア100Dのロックを解除する操作がドアロック操作装置33に対して行われた場合、そのドア100Dが開けられたとみなすように構成されてもよい。
【0145】
例えば、第1実施形態に係る降車支援装置10が第4変形例に従って構成された場合、降車支援装置10は、移動体200が右側後方警報エリアA_RR内を右側ドア100Rに向かって移動しているときに右側ドア100Rのロックを解除する操作がドアロック操作装置33に対して行われた場合、警報条件Calertが成立したと判断して警報を行う。
【0146】
左側後方警報エリアA_LRに進入した移動体200に関する警報の実施の有無についても、同様である。
【0147】
又、第2実施形態に係る降車支援装置10が第4変形例に従って構成された場合、降車支援装置10は、移動体200が右側後方警報エリアA_RR内を右側ドア100Rに向かって移動しているときに右側ドア100Rのロックを解除する操作がドアロック操作装置33に対して行われた場合、第1警報条件Calert_1が成立したと判断して第1形態での警報を行う。
【0148】
左側後方警報エリアA_LRに進入した移動体200に関する警報の実施の有無についても、同様である。
【0149】
<第5変形例>
或いは、本発明の実施形態の第5変形例として、降車支援装置10は、移動体200が警報エリアA内をドア100Dに向かって移動しているときにドア100Dのロックを解除する操作がドアロック操作装置33に対して行われた場合、そのドア100Dが開けられたとみなさずに、第2警報条件Calert_2が成立したと判断するように構成されてもよい。
【0150】
例えば、第1実施形態又は第2実施形態に係る降車支援装置10が第5変形例に従って構成された場合、降車支援装置10は、移動体200が右側後方警報エリアA_RR内を右側ドア100Rに向かって移動しているときに右側ドア100Rのロックを解除する操作がドアロック操作装置33に対して行われた場合、第2警報条件Calert_2が成立したと判断して第2形態での警報を行い、その後、その右側ドア100Rが開けられた場合、第1警報条件Calert_1が成立したと判断して第1形態での警報を行う。
【0151】
左側後方警報エリアA_LRに進入した移動体200に関する警報の実施の有無についても、同様である。
【0152】
<第6変形例>
又、本発明の実施形態の第6変形例として、警報エリアAに代えて、図8に示したように監視エリアAmを設定しておき、降車支援装置10は、移動体200が監視エリアAm内をドア100Dに向かって移動しているときにその移動体200に関する予測到達時間TTCが所定時間TTCth以下になった場合(即ち、予測到達時間TTCが所定時間TTCthまで短くなった場合)、移動体200が警報エリアAに進入したと判断するように構成されてもよい。
【0153】
予測到達時間TTCは、移動体200がドア100Dに到達するのに要すると予測される時間であり、本例において、降車支援装置10は、下式1に従って予測到達時間TTCを取得する。
【0154】
TTC=Drel/V200 …(1)
【0155】
上式(1)において、「Drel」は、移動体200と各ドア100Dとの間の距離であり、「V200」は、移動体200の移動速度である。
【0156】
又、所定時間TTCthは、開いた状態にあるドア100Dに向かって監視エリアAm内を移動している移動体200がそのドア100Dを避けるために監視エリアAmの外に出るのに最低限必要な時間に設定されている。尚、所定時間TTCthは、その最低限必要な時間よりも長い時間に設定されてもよいし、場合によっては、その最低限必要な時間よりも短い時間に設定されてもよい。
【0157】
又、監視エリアAmは、右側後方監視エリアAm_RRと左側後方監視エリアAm_LRとを含んでいる。右側後方監視エリアAm_RRは、右側壁面ラインL_R1と右側ラインL_R2と右側前方ドアラインL_R3とにより囲まれたエリアであり、左側後方監視エリアAm_LRは、左側壁面ラインL_L1と左側ラインL_L2と左側前方ドアラインL_L3とにより囲まれたエリアである。
【0158】
例えば、第1実施形態に係る降車支援装置10が第6変形例に従って構成された場合、降車支援装置10は、移動体200が右側後方監視エリアAm_RR内を右側ドア100Rに向かって移動しているときにその移動体200に関する予測到達時間TTCが所定時間TTCthまで短くなった場合、その移動体200が右側後方警報エリアA_RRに進入したと判断する。
【0159】
左側後方監視エリアAm_LR内を移動する移動体200についても、同様である。
【0160】
<第7変形例>
又、図9に示したように、自転車及び歩行者等の移動体200は、自車両100に前方から接近してくることもある。
【0161】
そこで、本発明の実施形態の第7変形例として、図10に示したように、警報エリアAを設定しておき、降車支援装置10は、この警報エリアAに後方からだけでなく前方から進入する移動体200を監視し、警報を行うように構成されてもよい。
【0162】
図10に示した警報エリアAは、自車両100の右側のエリア(右側警報エリアA_R)と、自車両100の左側のエリア(左側警報エリアA_L)と、を含んでいる。右側警報エリアA_Rは、右側前方警報エリアA_RFと右側後方警報エリアA_RRとを含んでおり、左側警報エリアA_Lは、左側前方警報エリアA_LFと左側後方警報エリアA_LRとを含んでいる。
【0163】
<右側警報エリア>
右側後方警報エリアA_RRは、先に説明した右側後方警報エリアA_RRである。一方、右側前方警報エリアA_RFは、右側壁面ラインL_R1、右側ラインL_R2、右側後方ドアラインL_R5及び右側前方ラインL_R6によって画定されるエリアである。
【0164】
右側壁面ラインL_R1及び右側ラインL_R2は、それぞれ、先に説明した右側壁面ラインL_R1及び右側ラインL_R2である。右側後方ドアラインL_R5は、右側後方ドア100RRの後端部分を通って自車両100の横方向Dyに延びるラインである。右側前方ラインL_R6は、右側後方ドアラインL_R5から前方に所定距離(所定右側前方長Lx_RF)を開けて右側後方ドアラインL_R5と平行に自車両100の横方向Dyに延びるラインである。
【0165】
本例において、所定右側前方長Lx_RFは、開いた状態にある右側ドア100Rに向かって右側前方警報エリアA_RF内を移動している移動体200がその右側ドア100Rを避けるために右側前方警報エリアA_RFの外に出るのに最低限必要な長さに設定されている。従って、本例において、所定右側前方長Lx_RFは、移動体200の移動速度V2が高いほど長い長さに設定される。尚、所定右側前方長Lx_RFは、その最低限必要な長さよりも長い距離に設定されてもよいし、場合によっては、その最低限必要な長さよりも短い長さに設定されてもよい。又、これらの場合も、所定右側前方長Lx_RFは、移動体200の移動速度V2に応じて設定される。しかしながら、所定右側前方長Lx_RFは、一定の距離に設定されてもよい。
【0166】
<左側警報エリア>
左側警報エリアA_Lの左側後方警報エリアA_LRは、先に説明した左側後方警報エリアA_LRである。一方、左側警報エリアA_Lの左側前方警報エリアA_LFは、左側壁面ラインL_L1、左側ラインL_L2、左側後方ドアラインL_L5及び左側前方ラインL_L6によって画定されるエリアである。
【0167】
左側壁面ラインL_L1及び左側ラインL_L2は、それぞれ、先に説明した左側壁面ラインL_L1及び左側ラインL_L2である。左側後方ドアラインL_L5は、左側後方ドア100LRの後端部分を通って自車両100の横方向Dyに延びるラインである。左側前方ラインL_L6は、左側後方ドアラインL_L5から前方に所定距離(所定左側前方長Lx_LF)を開けて左側前方ドアラインL_L3と平行に自車両100の横方向Dyに延びるラインである。
【0168】
本例において、所定左側前方長Lx_LFは、開いた状態にある左側ドア100Lに向かって左側前方警報エリアA_LF内をその左側ドア100Lを避けるために左側前方警報エリアA_LFの外に出るのに最低限必要な長さに設定されている。従って、本例において、所定左側前方長Lx_LFは、移動体200の移動速度V2が高いほど長い長さに設定される。尚、所定左側前方長Lx_LFは、その最低限必要な長さよりも長い長さに設定されてもよいし、場合によっては、その最低限必要な長さよりも短い長さに設定されてもよい。又、これらの場合も、所定左側前方長Lx_LFは、移動体200の移動速度V2に応じて設定される。しかしながら、所定左側前方長Lx_LFは、一定の距離に設定されてもよい。
【0169】
又、所定右側前方長Lx_RFと所定左側前方長Lx_LFとは、互いに等しい長さであってもよいし、互いに異なる長さであってもよい。
【0170】
例えば、第1実施形態に係る降車支援装置10が第7変形例に従って構成された場合、降車支援装置10は、移動体200が右側後方警報エリアA_RRに進入したときに両方の右側ドア100Rが閉められた状態にある場合、警報条件Calertが成立したとは判断せず、従って、警報を行わず、又、移動体200が右側前方警報エリアA_RFに進入したときに両方の右側ドア100Rが閉められた状態にある場合も、警報条件Calertが成立したとは判断せず、従って、警報を行わない。
【0171】
そして、降車支援装置10は、その後、移動体200が右側後方警報エリアA_RR内を右側ドア100Rに向かって移動しているときに閉められていた右側ドア100Rが開けられた場合、警報条件Calertが成立したと判断して警報を行い、又、移動体200が右側前方警報エリアA_RF内を右側ドア100Rに向かって移動しているときに閉められていた右側ドア100Rが開けられた場合、警報条件Calertが成立したと判断して警報を行う。
【0172】
左側後方警報エリアA_LRに進入した移動体200に関する警報の実施の有無についても、同様である。
【0173】
又、第2実施形態に係る降車支援装置10が第7変形例に従って構成された場合、降車支援装置10は、移動体200が右側後方警報エリアA_RRに進入したときに両方の右側ドア100Rが閉められた状態にある場合、警報条件Calertが成立したとは判断せず、従って、警報を行わず、又、移動体200が右側前方警報エリアA_RFに進入したときに両方の右側ドア100Rが閉められた状態にある場合も、警報条件Calertが成立したとは判断せず、従って、警報を行わない。
【0174】
そして、降車支援装置10は、その後、移動体200が右側後方警報エリアA_RR内を右側ドア100Rに向かって移動しているときに閉められていた右側ドア100Rが開けられた場合、第1警報条件Calert_1が成立したと判断して第1形態での警報を行い、又、移動体200が右側前方警報エリアA_RF内を右側ドア100Rに向かって移動しているときに閉められていた右側ドア100Rが開けられた場合、第1警報条件Calert_1が成立したと判断して第1形態での警報を行う。
【0175】
一方、降車支援装置10は、移動体200が右側後方警報エリアA_RRに進入したときに右側ドア100Rが開けられた状態にある場合、第2警報条件Calert_2が成立したと判断して第2形態での警報を行い、又、移動体200が右側前方警報エリアA_RFに進入したときに右側ドア100Rが開けられた状態にある場合も、第2警報条件Calert_2が成立したと判断して第2形態での警報を行う。
【0176】
左側前方警報エリアA_LFに進入した移動体200に関する警報の実施の有無についても、同様である。
【0177】
<第8変形例>
又、人が自車両100に乗り込むためにドア100Dを開けた場合、移動体200の運転者及び歩行者が自車両100に乗り込もうとする人を認識し、その人及びそのドア100Dとの接触を避けるように行動を起こす可能性が高い。このため、人が自車両100に乗り込むためにドア100Dを開けた場合、警報を行う必要性は小さい。
【0178】
そこで、本発明の実施形態の第8変形例として、降車支援装置10は、移動体200が警報エリアA内をドア100Dに向かって移動しているときに乗員が自車両100から降りるためにそのドア100Dを開けた場合、警報を行い、移動体200が警報エリアA内をドア100Dに向かって移動しているときに人が自車両100に乗り込むためにドア100Dを開けた場合、警報を行わないように構成されてもよい。
【0179】
例えば、第1実施形態に係る降車支援装置10が第8変形例に従って構成された場合、降車支援装置10は、移動体200が右側後方警報エリアA_RR内を右側ドア100Rに向かって移動しているときに乗員が自車両100から降りるために右側ドア100Rを開けた場合、警報条件Calertが成立したと判断して警報を行い、移動体200が右側後方警報エリアA_RR内を右側ドア100Rに向かって移動しているときに人が自車両100に乗り込むために右側ドア100Rを開けた場合、警報条件Calertが成立したとは判断せず、従って、警報を行わない。
【0180】
左側後方警報エリアA_LRに進入した移動体200に関する警報の実施の有無についても、同様である。
【0181】
又、第2実施形態に係る降車支援装置10が第8変形例に従って構成された場合、降車支援装置10は、移動体200が右側後方警報エリアA_RR内を右側ドア100Rに向かって移動しているときに乗員が自車両100から降りるために右側ドア100Rを開けた場合、第1警報条件Calert_1が成立したと判断して第1形態での警報を行い、移動体200が右側後方警報エリアA_RR内を右側ドア100Rに向かって移動しているときに人が自車両100に乗り込むために右側ドア100Rを開けた場合、第1警報条件Calert_1が成立したとも第2警報条件Calert_2が成立したとも判断せず、従って、警報を行わない。
【0182】
左側後方警報エリアA_LRに進入した移動体200に関する警報の実施の有無についても、同様である。
【0183】
<第9変形例>
又、自車両100の乗員が警報により移動体200がドア100Dに接近して来ていることに気づいたとしても、そのドア100Dを開けることを止めるのが遅かったりそのドア100Dを閉じるのが遅かったりすれば、結局、移動体200がそのドア100Dに接触してしまう可能性がある。
【0184】
そこで、本発明の実施形態の第9変形例として、降車支援装置10は、警報を行う場合、その警報に合わせてその警報の対象となっているドア100Dがそれ以上、開かないようにそのドア100Dをロックするように構成されてもよい。
【符号の説明】
【0185】
10…降車支援装置、21…警報音装置、22…音声装置、23…画像表示装置、90…ECU、100…自車両、100L…左側ドア、100LF…左側前方ドア、100LR…左側後方ドア、100R…右側ドア、100RF…右側前方ドア、100RR…右側後方ドア、200…移動体、A…警報エリア、A_L…左側警報エリア、A_LR…左側後方警報エリア、A_R…右側警報エリア、A_RR…右側後方警報エリア
図1
図2
図3
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図5
図6
図7
図8
図9
図10