(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】媒体給送装置及び画像読取装置
(51)【国際特許分類】
B65H 7/14 20060101AFI20240925BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
B65H7/14
H04N1/00 567J
(21)【出願番号】P 2023165940
(22)【出願日】2023-09-27
(62)【分割の表示】P 2022074283の分割
【原出願日】2017-09-29
【審査請求日】2023-10-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095452
【氏名又は名称】石井 博樹
(72)【発明者】
【氏名】潮田 尚之
(72)【発明者】
【氏名】西田 和俊
(72)【発明者】
【氏名】中村 清隆
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-273691(JP,A)
【文献】特開2017-061375(JP,A)
【文献】特開2017-171420(JP,A)
【文献】特開平07-291474(JP,A)
【文献】米国特許第05697609(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 1/00- 3/68
B65H 7/00- 7/20
B65H 43/00-43/08
H04N 1/00
H04N 1/04
G06T 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を読み取る読取部と、
前記媒体を載置する媒体載置部と、
前記媒体において前記媒体載置部に対向する面に接触して回転することにより、前記媒体載置部に載置された前記媒体を給送する給送ローラーと、
媒体給送方向において前記給送ローラーの上流側であって前記媒体載置部による前記媒体の載置領域内に位置し、前記給送ローラーによって給送される前記媒体の前記媒体給送方向と交差する幅方向への移動を検出可能な媒体移動検出部
と、
前記媒体移動検出部による検出情報を受け、前記媒体の前記幅方向への移動に係わる物理量が所定の閾値を超えた場合にジョブを停止する制御部と、を備えた画像読取装置であって、
前記給送ローラーは、前記幅方向に間隔を空けて一対で設けられ、
前記媒体移動検出部は、前記
媒体給送方向において一対の前記給送ローラー間に対応する位置に設けられる、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像読取装置であって、
前記給送ローラーの前記媒体給送方向の上流には、前記媒体載置部に載置される前記媒体の有無を検出する第1検出部を有し、
前記媒体移動検出部は、
前記第1検出部の前記媒体給送方向の上流に配置される、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像読取装置であって、
前記媒体移動検出部
と前記第1検出部とは、前記媒体給送方向において重なる位置に設けられる、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項4】
請求項1に記載の画像読取装置であって、
前記給送ローラーとの間で前記媒体をニップして分離する分離ローラーを有し、
前記分離ローラーは、前記幅方向に間隔を空けて一対で設けられ、
前記媒体移動検出部は、前記媒体給送方向において一対の前記分離ローラー間に対応する位置に設けられる、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項5】
請求項1に記載の画像読取装置であって、
前記媒体給送方向において前記給送ローラーの下流側に位置し、前記給送ローラーによって給送された前記媒体を前記読取部に向けて搬送する搬送ローラー対を備え、
前記搬送ローラー対は、前記幅方向に間隔を空けて一対で設けられ、
前記媒体移動検出部は、前記媒体給送方向において一対の前記搬送ローラー対間に対応する位置に設けられる、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項6】
媒体を読み取る読取部と、
媒体を載置する媒体載置部と、
前記媒体において前記媒体載置部に対向する面に接触して回転することにより、前記媒体載置部に載置された前記媒体を給送する給送ローラーと、
媒体給送方向において前記給送ローラーの上流側であって前記媒体載置部による前記媒体の載置領域内に位置し、前記給送ローラーによって給送される前記媒体の前記媒体給送方向と交差する幅方向への移動を検出可能な媒体移動検出部と、
前記媒体移動検出部による検出情報を受け、前記媒体の前記幅方向への移動に係わる物理量が所定の閾値を超えた場合にジョブを停止する制御部と、を備えた画像読取装置であって、
前記媒体移動検出部は、前記幅方向に間隔を空けて一対で設けられ、
前記給送ローラーは、前記幅方向に間隔を空けて一対で設けられ、
一対の前記媒体移動検出部は、前記媒体給送方向において一対の前記給送ローラーの両側に対応する位置に設けられる、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項7】
請求項6に記載の画像読取装置であって、
前記給送ローラーの前記媒体給送方向の上流には、前記媒体載置部に載置される前記媒体の有無を検出する第1検出部を有し、
一対の前記媒体移動検出部は、前記第1検出部の前記媒体給送方向の上流に配置される、ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項8】
請求項7に記載の画像読取装置であって、
一対の前記媒体移動検出部は、前記媒体給送方向において前記第1検出部の両側に対応する位置に設けられる、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項9】
請求項6に記載の画像読取装置であって、
前記給送ローラーとの間で前記媒体をニップして分離する分離ローラーを有し、
前記分離ローラーは、前記幅方向に間隔を空けて一対で設けられ、
一対の前記媒体移動検出部は、前記媒体給送方向において一対の前記分離ローラーの両側に対応する位置に設けられる、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項10】
請求項6に記載の画像読取装置であって、
前記媒体給送方向において前記給送ローラーの下流側に位置し、前記給送ローラーによって給送された前記媒体を前記読取部に向けて搬送する搬送ローラー対を備え、
前記搬送ローラー対は、前記幅方向に間隔を空けて一対で設けられ、
各前記媒体移動検出部は、前記媒体給送方向において各前記搬送ローラー対に重なる位置に設けられる、
ことを特徴とする画像読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿を給送する媒体給送装置、及び媒体給送装置によって給送される原稿を読み取る画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像読取装置の一例であるスキャナーには、媒体としての原稿を自動で送る媒体給送装置(ADF(Auto Document Feeder)とも呼ばれる)が設けられ、複数枚の原稿の自動送りと読み込みとを行える様に構成される場合がある。
そして、前記媒体給送装置としては、複数枚の原稿を載置面に載置する原稿トレイと、前記原稿トレイにセットされた原稿に接触して回転することにより前記原稿を送り出す給送ローラーと、を備えるものがある。
【0003】
このような媒体給送装置において、前記給送ローラーによる給送時に発生する媒体のジャム(詰まり)を検出するジャム検出部が設けられる場合がある(例えば、特許文献1)。
特許文献1に記載の媒体給送装置に設けられるジャム検出部は、前記給送ローラーによって給送される媒体の搬送量を測定する搬送量測定部と、前記搬送量測定部の下流側に設けられる媒体検出部と、を備え、前記搬送量測定部による測定量が所定の値を越えても前記媒体検出部によって媒体が検出されない場合に、ジャムを検出するように構成されている。前記搬送量測定部は、前記給送ローラー、或いは前記給送ローラーと同じ方向に回転する他のローラーの回転量を測定する構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記媒体給送装置の前記原稿トレイに、複数枚の原稿がステイプラーによって綴じられた原稿束が誤って載置される場合がある。
例えば、原稿束の一つの隅部のみが綴じられている場合、原稿束の1枚目の給送が行われると綴じ部が引っ張られ、1枚目の原稿のみならず、2枚目以降の原稿にもダメージが加わる虞がある。したがって、ステイプル処理がされた原稿の給送は早期に検出する必要がある。
【0006】
しかし、特許文献1に記載のジャム検出部によって、ステイプル処理がされた原稿束で発生するジャムを検出する場合、少なくとも媒体検出部(給送ローラーよりも下流側に設けられる)に原稿が到達するまで前記給送ローラーを駆動する必要があり、この間に原稿に加わるダメージが大きくなる虞がある。
【0007】
本発明はこの様な状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、媒体給送装置、或いは前記媒体給送装置を備える画像読取装置において、原稿の搬送不良を早期に検出することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する為の、本発明の第1の態様に係る媒体給送装置は、媒体を載置する媒体載置部と、前記媒体において前記媒体載置部に対向する面に接触して回転することにより、前記媒体載置部に載置された前記媒体を給送する給送ローラーと、媒体給送方向において前記給送ローラーの上流側であって前記媒体載置部による前記媒体の載置領域内に位置し、前記給送ローラーによって給送される前記媒体の、少なくとも前記媒体給送方向と交差する幅方向への移動を検出可能な媒体移動検出部と、前記媒体移動検出部による検出情報を受け、前記媒体の前記幅方向への移動に係わる物理量が所定の閾値を超えた場合にジョブを停止する制御部と、を備える、ことを特徴とする。
【0009】
本明細書において、前記媒体給送装置における「ジョブ」とは、当該媒体給送装置において前記媒体を送る動作に係わる仕事を言い、前記ジョブの停止によって前記媒体は停止する。
本態様によれば、媒体給送方向において前記給送ローラーの上流側に位置する前記媒体移動検出部による検出情報に基づき、前記制御部が、前記幅方向への移動に係わる物理量が所定の閾値を超えた場合に、ジョブを停止するので、前記媒体の搬送不良に繋がる前記媒体の前記幅方向への移動を早期に検知して、前記媒体へのダメージを抑制することができる。尚、「移動に係わる物理量」としては、例えば、移動距離、移動速度、加速度等が挙げられる。
【0010】
本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記媒体移動検出部は、前記幅方向に間隔を空けて一対で設けられ、一対の前記媒体移動検出部を第1媒体移動検出部と第2媒体移動検出部として、前記制御部は、前記第1媒体移動検出部によって検出される前記媒体の前記幅方向への移動に係わる物理量と、前記第2媒体移動検出部によって検出される前記媒体の前記幅方向への移動に係わる物理量と、の差が所定の差を越えた場合、ジョブを停止する、ことを特徴とする。
【0011】
本態様によれば、前記媒体移動検出部は、前記幅方向に間隔を空けて一対で設けられ、その上で前記制御部は、前記第1媒体移動検出部によって検出される前記媒体の前記幅方向への移動に係わる物理量と、前記第2媒体移動検出部によって検出される前記媒体の前記幅方向への移動に係わる物理量と、の差が所定の差を越えた場合に、ジョブを停止するので、前記媒体の搬送不良、特に、前記媒体の回転を検出することができ、前記媒体へのダメージをより確実に抑制することができる。
【0012】
本発明の第3の態様に係る媒体給送装置は、媒体を載置する媒体載置部と、前記媒体において前記媒体載置部に対向する面に接触して回転することにより、前記媒体載置部に載置された前記媒体を給送する給送ローラーと、媒体給送方向において前記給送ローラーの上流側であって前記媒体載置部による前記媒体の載置領域内に位置し、前記給送ローラーによって給送される前記媒体の、前記媒体給送方向への移動を検出可能な媒体移動検出部と、前記媒体移動検出部による検出情報を受け、前記媒体移動検出部における前記媒体の前記媒体給送方向への移動区間、停止区間、移動区間をこれらの順で検出した際の前記停止区間が所定の第1閾値より短い場合に、ジョブを停止する制御部と、を備える、ことを特徴とする。
【0013】
前記媒体移動検出部における前記媒体の前記媒体給送方向への「停止区間」は、用紙の移動が検出されない区間であり、前記媒体移動検出部が移動しない停止状態の用紙を検出する場合の他、用紙が無いために用紙の移動が検出されない場合も含むものとする。
本態様によれば、媒体給送方向において前記給送ローラーの上流側に位置する前記媒体移動検出部による検出情報に基づき、前記制御部が、前記媒体移動検出部における前記媒体の前記媒体給送方向への移動区間、停止区間、移動区間をこれらの順で検出した際の前記停止区間が所定の閾値より短い場合、即ち、正常な給送では検出することのない給送状態(例えば、ステイプル処理された媒体束の綴じ部により、給送された先行媒体に連れられて後続媒体が意図せず送られてしまう様な状態)を早期に検知してジョブを停止するので、搬送不良が生じた際の前記媒体へのダメージを抑制することができる。
尚、本明細書において、移動区間、停止区間の「区間」とは、時間、或いは距離(長さ)によって区切られた間隔を言う。
【0014】
本発明の第4の態様は、第3の態様において、前記制御部は、前記第1閾値より短い第2閾値を参照可能であり、前記停止区間が前記第2閾値以下である場合に、ジョブを継続する、ことを特徴とする。
【0015】
給送される媒体に、パンチ等で形成された穴がある場合、当該穴に対応する部分では、給送されている媒体(先行媒体と言う)の上にある次の媒体(後続媒体と言う)が前記媒体移動検出部によって検出されるため、見かけ上、前記媒体移動検出部は媒体の停止を検出する。そして、前記穴に対応する部分を通過すると、前記媒体移動検出部は再び前記先行媒体の移動を検出する。
通常、パンチ等で形成された穴は小さいため、前記穴に対応する部分において前記媒体移動検出部が前記媒体の停止状態を検出するのは非常に短い前記区間であり、前述したステイプル処理された媒体束の給送(搬送不良)を検出するための前記第1閾値よりも短い。したがって、制御部が、前記第1閾値のみを基準としてしまうと、前記穴がある媒体の正常な給送までもが搬送不良とされ、ジョブが停止されてしまう。
【0016】
本態様によれば、前記制御部は、前記第1閾値より短い第2閾値を参照可能であり、前記停止区間が前記第2閾値以下である場合に、ジョブを継続するので、パンチ穴等の小さい穴がある媒体の給送を給送異常と判断する誤検出を抑制できる。
【0017】
本発明の第5の態様は、第3の態様または第4の態様において、前記媒体移動検出部は、前記媒体の、前記媒体給送方向への移動と、前記媒体給送方向と交差する幅方向への移動と、の双方を検出可能に構成されており、前記制御部は、前記媒体移動検出部による検出情報を受け、前記媒体の前記幅方向への移動に係わる物理量が所定の第3閾値を超えた場合にジョブを停止することを特徴とする。
【0018】
本態様によれば、前記制御部は、前記媒体移動検出部による検出情報を受け、前記媒体の前記幅方向への移動に係わる物理量が所定の第3閾値を超えた場合にジョブを停止するので、第2の態様の作用効果に加え、前記媒体の搬送不良に繋がる前記媒体の前記幅方向への移動を早期に検知して、前記媒体へのダメージをより確実に抑制することができる。
【0019】
本発明の第6の態様は、第1の態様から第5の態様のいずれか一つにおいて、前記給送ローラーは、前記媒体の媒体給送方向と交差する幅方向の中央領域に設けられ、前記媒体移動検出部は、前記幅方向の中央領域に一つ設けられる、ことを特徴とする。
【0020】
本態様によれば、前記給送ローラーが、前記媒体の媒体給送方向と交差する幅方向の中央領域に設けられる、所謂、センター給紙方式の媒体給送装置において、前記媒体移動検出部を、前記幅方向の中央領域に一つ設けることにより、第1の態様から第4の態様のいずれか一つの構成を実現できる。
【0021】
本発明の第7の態様は、第3の態様から第5の態様のいずれか一つにおいて、前記媒体移動検出部は、前記幅方向に間隔を空けて一対で設けられ、一対の前記媒体移動検出部を第1媒体移動検出部と第2媒体移動検出部として、前記制御部は、前記第1媒体移動検出部によって検出される前記停止区間と、前記第2媒体移動検出部によって検出される前記停止区間と、の差が所定の差を越えた場合、ジョブを停止する、ことを特徴とする。
【0022】
本態様によれば、前記給送ローラーが、前記媒体の媒体給送方向と交差する幅方向の中央領域に設けられる、所謂、センター給紙方式の媒体給送装置において、前記媒体移動検出部は、前記給送ローラーの両側に位置するように間隔を空けて一対で設けられ、その上で前記制御部は、前記第1媒体移動検出部によって検出される前記停止区間と、前記第2媒体移動検出部によって検出される前記停止区間と、の差が所定の差を越えた場合に、ジョブを停止するので、搬送不良をより確実に検知することができる。
【0023】
本発明の第8の態様に係る媒体給送装置は、媒体を載置する媒体載置部と、前記媒体において前記媒体載置部に対向する面に接触して回転することにより、前記媒体載置部に載置された前記媒体を給送する給送ローラーと、媒体給送方向において前記給送ローラーの上流側であって前記媒体載置部による前記媒体の載置領域内に位置し、前記媒体給送方向と交差する幅方向に間隔を空けて一対で設けられ、前記給送ローラーによって給送される前記媒体の、前記媒体給送方向への移動を検出可能な媒体移動検出部としての第1媒体移動検出部及び第2媒体移動検出部と、前記第1媒体移動検出部によって検出される前記媒体の前記媒体給送方向への移動に係わる物理量と、前記第2媒体移動検出部によって検出される前記媒体の前記媒体給送方向への移動に係わる物理量と、の差が所定の差を越えた場合、ジョブを停止する制御部と、を備える、ことを特徴とする。
【0024】
本態様によれば、前記媒体の、前記媒体給送方向への移動を検出可能な媒体移動検出部としての第1媒体移動検出部及び第2媒体移動検出部が、前記幅方向に間隔を空けて一対で設けられ、その上で前記制御部が、前記第1媒体移動検出部によって検出される前記媒体の前記媒体給送方向への移動に係わる物理量と、前記第2媒体移動検出部によって検出される前記媒体の前記媒体給送方向への移動に係わる物理量と、の差が所定の差を越えた場合、ジョブを停止するので、前記媒体の搬送不良、特に、前記媒体の回転を検出することができ、前記媒体へのダメージをより確実に抑制することができる。
【0025】
本発明の第8の態様に係る画像読取装置は、媒体を読み取る読取部と、前記媒体を前記読取部に向けて給送する、第1の態様から第7の態様のいずれか一つの媒体給送装置と、を備える、ことを特徴とする。
【0026】
本態様によれば、媒体を読み取る読取部と、前記媒体を前記読取部に向けて給送する前記媒体給送装置と、を備える画像読取装置において、第1の態様から第7の態様と同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図2】本発明に係るスキャナーを
図1とは別角度から見た斜視図。
【
図3】本発明に係るスキャナーにおける用紙搬送経路を示す側断面図。
【
図4】上部ユニットを下部ユニットから外した状態を示す斜視図。
【
図7】ステイプル処理が施された用紙が留め部を下流側にして媒体載置部に載置された状態を示す概略平面図。
【
図8】ステイプル処理が施された用紙が給送される様子を示す概略平面図。
【
図9】ステイプル処理が施された用紙の給送について説明する図。
【
図10】ステイプル処理が施された用紙が留め部を上流側にして媒体載置部に載置された状態を示す概略平面図。
【
図11】ステイプル処理が施された用紙が留め部を上流側にして媒体載置部に載置された状態を示す概略側面図。
【
図12】ステイプル処理が施された用紙が給送される様子を示す概略側面図。
【
図13】ステイプル処理が施された用紙が給送される様子を示す概略側面図。
【
図14】ステイプル処理が施された用紙が給送される様子を示す概略側面図。
【
図15】ステイプル処理が施された用紙の給送について説明する図。
【
図18】パンチ穴を有する用紙が媒体載置部に載置された状態を示す概略側面図。
【
図19】パンチ穴を有する用紙の給送について説明する図。
【
図20】第2実施形態の媒体給送装置における用紙給送について説明する図。
【
図21】第2実施形態の媒体給送装置における用紙給送の他の例について説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
[第1実施形態]
まず、本発明の一実施形態に係る画像読取装置の概略について説明する。
本実施形態では画像読取装置の一例として、「媒体」としての用紙の表面及び裏面の少なくとも一面を読み取り可能なドキュメントスキャナー(以下、単にスキャナー1と称する)を例に挙げる。
【0029】
図1は、本発明に係るスキャナーを示す外観斜視図である。
図2は、本発明に係るスキャナーを
図1とは別角度から見た斜視図である。
図3は、本発明に係るスキャナーにおける用紙搬送経路を示す側断面図である。
図4は、上部ユニットを下部ユニットから外した状態を示す斜視図である。
図5は、用紙の正常な給送について説明する図である。
図6は、用紙の正常な給送状態を示す概略平面図である。
図7は、ステイプル処理が施された用紙が留め部を下流側にして媒体載置部に載置された状態を示す概略平面図である。
図8は、ステイプル処理が施された用紙が給送される様子を示す概略平面図である。
図9は、ステイプル処理が施された用紙の給送について説明する図である。
【0030】
図10は、ステイプル処理が施された用紙が留め部を上流側にして媒体載置部に載置された状態を示す概略平面図である。
図11は、ステイプル処理が施された用紙が留め部を上流側にして媒体載置部に載置された状態を示す概略側面図である。
図12は、ステイプル処理が施された用紙が給送される様子を示す概略側面図である。
図13は、ステイプル処理が施された用紙が給送される様子を示す概略側面図である。
図14は、ステイプル処理が施された用紙が給送される様子を示す概略側面図である。
図15は、ステイプル処理が施された用紙の給送について説明する図である。
図16は、
図13の概略平面図である。
図17は、
図14の概略平面図である。
図18は、パンチ穴を有する用紙が媒体載置部に載置された状態を示す概略側面図である。
図19は、パンチ穴を有する用紙の給送について説明する図である。
【0031】
各図において示すX-Y-Z座標系はX方向が装置幅方向であり用紙幅方向、Y方向が用紙搬送方向である。Z方向はY方向と交差する方向であって、概ね搬送される用紙の面と直交する方向を示している。また、+Y方向側を装置前面側とし、-Y方向側を装置背面側とする。また、装置前面側から見て左側を+X方向、右側を-X方向とする。また、+Z方向を装置上方(上部、上面等を含む)とし、-Z方向側を装置下方(下部、下面等を含む)とする。また、用紙Pが給送されていく方向(+Y方向側)を「下流」といい、これと反対の方向(-Y方向側)を「上流」という。
【0032】
■■■スキャナーの概要■■■
以下、主として
図1及び
図2を参照して、本発明に係るスキャナー1について説明する。
図1及び
図2に示すスキャナー1は、用紙P(媒体)の画像を読み取る読取部20(
図3)を内部に備える装置本体2を備えている。
装置本体2は、下部ユニット3及び上部ユニット4を備えて構成されている。上部ユニット4は下部ユニット3に対して用紙搬送方向下流側を回動支点として開閉可能に取り付けられており、上部ユニット4を装置前面側に回動して開き、用紙Pの用紙搬送経路を露呈させて用紙Pの紙詰まりの処理を容易に行うことができる様に構成されている。
【0033】
装置本体2には、読取部20に向けて用紙Pを給送する媒体給送装置10が設けられている。
装置本体2の装置背面側(-Y軸方向側)には、用紙Pを載置する媒体載置部11が設けられている。媒体載置部11は、媒体給送装置10を構成する構成部であり、装置本体2に対して着脱可能に設けられている。符号11aは、用紙Pの載置面11aである。尚、媒体給送装置10の詳細な構成については、後で説明する。
【0034】
また、媒体載置部11には、用紙Pの給送方向(Y軸方向)と交差する幅方向(X軸方向)の側縁をガイドするガイド面13を備える左右一対のエッジガイド12、12が設けられている。
エッジガイド12、12は、用紙Pのサイズに応じてX軸方向にスライド移動可能に設けられている。本実施形態において、エッジガイド12、12は、公知のラックピニオン機構により一方のエッジガイド12(例えば+X側)のX移動に追従して、他方のエッジガイド12(-X側)が相対する方向に移動するように構成されている。
すなわち、媒体載置部11において、用紙Pは幅方向の中央に揃えられ、後述する給送ローラー14は前記幅方向の中央領域に設けられ、所謂、センター給紙方式で給紙されるように構成されている。
図1は、エッジガイド12、12が最も外側の位置にある状態であり、
図2は、エッジガイド12、12が最も内側にある状態を示している。
【0035】
媒体載置部11は、第1補助ペーパーサポート8及び第2補助ペーパーサポート9を備えている。第1補助ペーパーサポート8及び第2補助ペーパーサポート9は、
図2に示す様に媒体載置部11の内部に収納可能であり、且つ、
図1に示す様に媒体載置部11から引き出し可能に構成され、載置面11aの長さを調整可能になっている。
【0036】
装置本体2は、上部ユニット4の装置前面側に、各種読み取り設定や読み取り実行の操作や、読み取り設定内容等を表示する操作パネル7を備えている。
上部ユニット4の上部には装置本体2内部に連なる給送口6が設けられており、媒体載置部11に載置される用紙Pは、給送口6から装置本体2内部に設けられる読取部20に向けて送られる。
また、下部ユニット3の装置前面側には、後述する排紙トレイ5が設けられている。
【0037】
■■■スキャナーにおける用紙搬送経路について■■■
次に、主として
図3を参照して、スキャナー1における用紙搬送経路について説明する。尚、
図3における点線は用紙Pの搬送経路を示している。
スキャナー1において、原稿である用紙Pは、媒体給送装置10によって読取部20に向けて送られる。
【0038】
本実施形態において、
図3に示す媒体給送装置10は、前述した媒体載置部11と、媒体載置部11に載置された用紙Pを読取部20に向けて送る給送ローラー14と、媒体給送方向(+Y方向)において給送ローラー14の上流側であって媒体載置部11による用紙の載置領域内に位置する媒体移動検出部21(
図1も参照)と、媒体給送装置10の動作を制御する制御部19と、を備えている。また、給送ローラー14の下流側には、搬送ローラー対16が設けられている。
本発明は、媒体移動検出部21による検出情報に基づいて行う制御部19による媒体給送装置10の動作の制御に特徴を有している。
媒体移動検出部21及び媒体移動検出部21による検出情報に基づく制御部19の制御については、用紙搬送経路についての説明後に詳述する。
【0039】
媒体給送装置10において、媒体載置部11の下流側に設けられる給送ローラー14と対向する位置には、給送ローラー14との間で用紙Pをニップして分離する分離ローラー15が設けられている。
給送ローラー14及び分離ローラー15は、
図4に示すように、媒体搬送方向(+Y方向)と交差する媒体幅方向(X軸方向)において中央領域に設けられている。
【0040】
図3に戻り、媒体載置部11に載置された用紙Pは、下部ユニット3に対して回転可能に設けられた給送ローラー14によりピックアップされて下流側(+Y方向側)に給送される。具体的には、用紙Pの媒体載置部11に対向する面に、給送ローラー14が接触しつつ回転することにより、用紙Pを下流側に向けて給送する。したがって、スキャナー1において複数枚の用紙Pを媒体載置部11にセットした場合には、載置面11a側の用紙Pから順に下流側に向けて給送される。
【0041】
給送ローラー14の下流側には、前述した搬送ローラー対16と、用紙Pを読み取る読取部20と、排出ローラー対17とが設けられている。
搬送ローラー対16は、読取部20の上流側に設けられ、給送ローラー14によって給送された用紙Pを読取部20に向けて搬送する。搬送ローラー対16は、搬送駆動ローラー16aと搬送従動ローラー16bを備えて構成されている。
搬送ローラー対16も、給送ローラー14と同様に、前記媒体幅方向において中央領域に設けられている(
図4)。
【0042】
読取部20は、上部ユニット4側に設けられた上部読取センサー20aと、下部ユニット3側に設けられた下部読取センサー20bとを備えている。本実施形態において、上部読取センサー20a及び下部読取センサー20bは一例として密着型イメージセンサーモジュール(CISM)として構成されている。
【0043】
用紙Pは、読取部20において用紙Pの表面及び裏面の少なくとも一方の面の画像を読み取られた後、読取部20の下流側に位置する排出ローラー対17にニップされて、下部ユニット3の装置前面側に設けられた排出口18から排出される。排出ローラー対17は、排出駆動ローラー17aと排出従動ローラー17bを備えて構成されている。
【0044】
尚、本実施形態において給送ローラー14、搬送駆動ローラー16a、及び排出駆動ローラー17aは、下部ユニット3内に設けられた少なくとも1つの駆動源(不図示)により回転駆動される。また、前記駆動源(不図示)は制御部19により制御され、以って、給送ローラー14、搬送駆動ローラー16a、及び排出駆動ローラー17aの駆動が制御されている。すなわち、制御部19は用紙Pの送り動作を制御する。
【0045】
下部ユニット3には、排出口18から装置前面側に向けて引き出し可能に構成された排紙トレイ5が設けられている。排紙トレイ5は、下部ユニット3の底部に収納された状態(
図1)と、図示を省略する装置前面側に引き出した状態とを取り得る。排紙トレイ5を引き出した状態において、排出口18から排出された用紙Pを排紙トレイ5上に積載することができる。
【0046】
尚、
図3に示すように、媒体給送方向において媒体移動検出部21の下流側、且つ、給送ローラー14の上流側であって媒体載置部11による用紙の載置領域内には、媒体載置部11に載置される用紙Pの有無を検出する第1検出部22が設けられている。また、給送ローラー14の下流側と、搬送ローラー対16の下流側と、排出ローラー対17の下流側には、順に、第2検出部23、第3検出部24、及び第4検出部25が設けられている。第2検出部23と第3検出部24によって、媒体給送方向における用紙Pの位置を検出することができる。
第1検出部22、第2検出部23、第3検出部24、及び第4検出部25は、前記幅方向の中央領域に設けられている。
【0047】
第1検出部22、第2検出部23、第3検出部24、及び第4検出部25としては、光を発する発光部(図示省略)と、前記発光部から発せられた光の反射光を受光する受光部(図示省略)を備える光センサーを用いることができる。また、前記光センサーの他、超音波を発する発信部と、搬送される用紙を挟んで前記発信部と対向して設けられる受信部とを備える超音波式センサーを用いることも可能である。また、搬送される用紙の接触によって動かされる機械式レバーの変位を、光学式或いは電気接触式で検出するレバー式センサーを用いることもできる。
【0048】
■■■給送ローラーの動作について■■■
媒体載置部11に原稿(用紙P)がセットされて読み取られる場合、制御部19は、
図3に示す第1検出部22、第2検出部23、及び第3検出部24による用紙の検出情報に基づいて、給送ローラー14の駆動を制御する。
図5を参照して、媒体載置部11に2枚以上の原稿(用紙P)がセットされて読み取られる場合の給送ローラー14の基本的な動作について説明する。
尚、
図5において、第1検出部22、第2検出部23、及び第3検出部24におけるONとは用紙の検出状態を示し、OFFとは非検出状態を示す。給送ローラー14において、ONとは駆動状態を示し、OFFとは停止状態を示す。
【0049】
媒体載置部11に原稿束がセットされると、第1検出部22が用紙を検出してON状態になる(第1検出部:ON=原稿束載置)。第1検出部22がON状態のときに、原稿読み取りがスタートされると、給送ローラー14の駆動が開始されて下から1枚目の用紙P1が送られる[給送ローラー:給送開始(P1)]。
【0050】
給送ローラー14が、1枚目の用紙P1を給送すると、給送ローラー14のすぐ下流側にある第2検出部23が用紙P1の先端を検出する[第2検出部:ON=先端検出(P1)]。給送ローラー14によって更に用紙P1が送られて、搬送ローラー対16のすぐ下流側にある第3検出部24が用紙P1の先端を検出すると[第3検出部:ON=先端検出(P1)]、給送ローラー14の駆動が停止され[給送ローラー:給送停止(P1)]、搬送ローラー対16によって用紙P1が送られる。
尚、給送ローラー14の駆動が停止後、用紙P1の後端側はまだ給送ローラー14と分離ローラー15によってニップされている。給送ローラー14と分離ローラー15によるニップが用紙P1の搬送負荷になることを抑制するため、駆動が停止された給送ローラー14と分離ローラー15は、用紙P1の搬送方向に空転するように構成されている。
また、第3検出部24がOFFになった場合、1枚目の用紙P1の後端が搬送ローラー対16を通過したことを意味する[第3検出部:OFF=後端検出(P1)]。このとき、1枚目の用紙は排出ローラー対17によって送られている。
【0051】
給送ローラー14は、用紙P1の後端が給送ローラー14を通過するまで停止され、用紙P1の後端の通過後に再び駆動されて、2枚目の用紙P2の給送が開始される。つまり、第2検出部23が用紙P1の後端を検出する[第2検出部:OFF=後端検出(P1)]と、給送ローラー14による2枚目の用紙P2の給送が開始される[給送ローラー:給送開始(P2)]。
そして、用紙P2の先端が第2検出部23によって検出される[第2検出部:ON=先端検出(P2)]。給送ローラー14によって更に用紙P2が送られて、搬送ローラー対16のすぐ下流側にある第3検出部24が用紙P2の先端を検出すると[第3検出部:ON=先端検出(P2)]、給送ローラー14の駆動が停止され[給送ローラー:給送停止(P2)]、搬送ローラー対16によって用紙P2が送られる。
【0052】
ここで、第2検出部23が2枚目の用紙の後端を検出する[第2検出部:OFF=後端検出(P2)]前に、第1検出部22が用紙を検出しなくなる(第1検出部:OFF)場合、最終原稿(本説明においては2枚目)は給送済である。
したがって、第1検出部22のOFF後に第2検出部23が2枚目の用紙の後端を検出した場合[第2検出部:OFF=後端検出(P2)]には、給送ローラー14は再駆動されない。
搬送ローラー対16によって用紙P2が送られると、第3検出部24がOFFになり、用紙P2の後端が検出される[第3検出部:OFF=後端検出(P2)]。用紙P2は排出ローラー対17によって送られて、用紙P2の読み取りが完了する。
【0053】
■■■媒体移動検出部について■■■
続いて、
図3及び
図4を参照して媒体移動検出部21について説明する。
本実施形態において、媒体移動検出部21は、
図3及び
図4に示すように、媒体給送方向において給送ローラー14の上流側に離れた位置であって、媒体載置部11による用紙の載置領域内に設けられている。
給送ローラー14は、前記幅方向の中央領域に設けられているとともに、媒体移動検出部21は、前記幅方向の中央領域に一つ設けられている。
【0054】
本実施形態において、媒体給送装置10の媒体載置部11には、サイズの異なる複数種類の用紙を載置可能である。媒体移動検出部21は、媒体給送装置10において給送可能な最小サイズの用紙(一例として名刺等のカードサイズ)の載置領域内に設けられている。
【0055】
媒体移動検出部21は、給送ローラー14によって給送される用紙Pの、前記媒体給送方向(Y軸方向)と、前記媒体給送方向と交差する幅方向(X軸方向)と、の双方への移動を検出可能に構成されている。
このような構成の媒体移動検出部21としては、例えば、コンピューター用マウスに用いられる二次元(平面)移動の検出が可能なセンサーと同じ或いは類似する原理に基づくセンサーであって、例えば、光学式(赤色LED)、レーザー式、ボール式、青色LED式、赤外線式(IR)等の各種方式の公知のセンサーを用いることができる。本実施形態では、一例として光学式(赤色LED)のセンサーが用いられている。
【0056】
ところで、媒体給送装置10の媒体載置部11に、ステイプラーによって綴じられた原稿束を、ユーザーが誤って載置する場合がある。原稿束の一つの隅部のみが綴じられている場合、原稿束の1枚目の給送が行われると綴じ部が引っ張られ、これにより1枚目の原稿や、2枚目以降の原稿にもダメージが加わる虞がある。
本実施形態においては、このような用紙の搬送不良を、媒体移動検出部21によって早期に検出することができる。以下、媒体移動検出部21の検出情報に基づく、制御部19による用紙Pの給送の制御について説明する。
【0057】
■■■制御部による制御について■■■
媒体給送装置10において、制御部19は、媒体移動検出部21の検出情報に基づいて用紙Pの給送を制御する「制御1」と、「制御2」と、を実行可能である。
すなわち、制御部19は、媒体移動検出部21による検出情報を受け、用紙Pの前記幅方向(X軸方向)への移動に係わる物理量が所定の閾値としての第3閾値T3を超えた場合にジョブを停止する(制御1)。
また、制御部19は、媒体移動検出部21による検出情報を受け、媒体移動検出部21における用紙Pの前記媒体給送方向(Y軸方向)への移動区間、停止区間、移動区間をこれらの順で検出した際の前記停止区間が、所定の第1閾値R1より短い場合に、ジョブを停止する(制御2)。
以下、「制御1」及び「制御2」について順に具体的に説明する。
【0058】
◆◆◆制御1について◆◆◆
「制御1」は、媒体移動検出部21によって検出される、用紙Pの前記幅方向(X軸方向)への移動に基づいて用紙の搬送不良を検出し、スキャナー1における用紙の搬送を停止する制御である。
【0059】
まず、用紙が正常に給送される場合の媒体移動検出部21による検出について、
図5及び
図6を参照して説明する。
図6において、媒体載置部11にセットされた給送前の用紙Pを実線で示し、給送ローラー14によって所定の給送量y1給送後の用紙Pを点線で示している。給送前の用紙P(実線)において、媒体移動検出部21に検出されている位置を位置Aとすると、給送量y1だけ給送後に、位置Aは+Y方向に真っすぐ位置A1まで移動し、X軸方向には移動しない。つまり、用紙Pは幅方向(X軸方向)には移動しない。位置Aから位置A1までの距離が給送量y1である。
【0060】
ここで、媒体移動検出部21によって検出される移動距離と時間から、用紙の移動に係わる物理量として用紙Pの速度を得るものとする。用紙PのY軸方向への移動速度をVy、用紙PのX軸方向への移動速度をVxとして、複数枚(2枚)の用紙が給送ローラー14によって給送されて下流側に送られる場合の、移動速度をVy、移動速度をVxの変化を
図5に示す。
図5において、1枚目の用紙をP1、2枚目の用紙をP2とする。
【0061】
前述したように、給送時に用紙は幅方向(X軸方向)には移動しないので、移動速度Vxはゼロ(0)である。一方、Y軸方向への移動は、給送ローラー14による給送開始されると[給送ローラー:給送開始(P1)]、下から1枚目の用紙が移動し始めて、移動速度Vyとして所定の速度が検出される。尚、
図5において、「移動区間(P1)」は、媒体移動検出部21によって用紙P1の移動が検出される区間である。
【0062】
1枚目の用紙P1の後端が媒体移動検出部21よりも下流側にくるまで送られると、媒体移動検出部21は2枚目の用紙(給送されていないので停止している)を検出するので、移動速度Vyはゼロ(0)になる。媒体移動検出部21によって検出される移動速度Vyがゼロの区間を「停止区間」と言う。
【0063】
1枚目の用紙の後端が第2検出部によって検出されると[第2検出部:OFF=後端検出(P1)]、給送ローラー14による2枚目の用紙P2の給送が開始される[給送ローラー:給送開始(P2)]。すると、媒体移動検出部21が再び所定の移動速度Vyを検出する。2枚目の用紙(最終原稿)の後端が媒体移動検出部21よりも下流側にくるまで送られると、媒体移動検出部21は用紙の移動を非検出の状態となる。媒体移動検出部21が2枚目の用紙P2の移動を検出している区間を「移動区間(P2)」と言う。
【0064】
次に、例えば
図7のように、ステイプラーによって留められた原稿束が、留め部Hが下流側に向けられた状態で媒体載置部11に載置された場合について考える。
図7において、下から1枚目の用紙を用紙P1(点線で示す)、その上の用紙(2枚目の用紙)を用紙P2(実線で示す)とする。本実施形態では、2枚の用紙がステイプル処理されている場合について説明するが、3枚以上の用紙がステイプラーによって留められている場合も同様である。
【0065】
図7の状態で原稿束がセットされて、給送ローラー14による給送が開始されると、
図8に示すように、用紙P1は、留め部H側(+X方向側)が移動せずに残り、留め部H側から離れた反対側(-X方向側)は給送ローラー14によって給送されるため、
図8を平面視した場合に、留め部H付近を中心として時計回りに回転する様に移動する。
すなわち、用紙P1は、給送前に媒体移動検出部21によって検出されていた位置Aが、位置A2に移動するように動く。このときの位置A2は、位置Aに対してY軸方向だけでなく、X軸方向にも移動した位置である。尚、位置A2は、位置Aから+Y方向に距離y2、-X方向に距離x2だけ移動している。
【0066】
用紙P1が
図7の状態から
図8の状態まで移動したときに、媒体移動検出部21における用紙検出情報から得られる用紙P1の移動速度を
図9に示す。
図5に示す正常な給送状態では、用紙PのX軸方向への移動速度Vxはゼロであるのに対し、
図9においては、用紙P1が
図8に示すように回転しながら移動している状態であるため、Y軸方向への移動速度Vyの増加に対応して、X軸方向への移動速度Vxも増加する。
【0067】
そこで、制御部19は、媒体移動検出部21による検出情報に基づいて得られる、用紙P1の前記幅方向(X軸方向)への移動に係わる物理量としての移動速度Vxが、所定の閾値としての第3閾値T3(
図9)を超えた場合にジョブを停止する。すなわち、
図9において、符号Fで示すタイミングにおいて、用紙搬送に係わるローラー(給送ローラー14、搬送ローラー対16及び排出ローラー対17)の駆動を停止する。このことによって、用紙P1の搬送不良に繋がる前記幅方向への移動を早期に検知して、用紙P1へのダメージを抑制することができる。
【0068】
尚、移動速度Vxが第3閾値T3を超えたタイミングが
図9に示すように、給送ローラー14の駆動中である場合には、少なくとも給送ローラー14の駆動を停止することにより、用紙P1の搬送を停止することができる。移動速度Vxが第3閾値T3を超えたタイミングが、
図9における給送ローラー14による給送停止(P1)後であり、用紙P1が搬送ローラー対16によって搬送されている状態である場合には、搬送ローラー対16の駆動を停止することにより、用紙P1の搬送を停止することができる。
【0069】
本実施形態において、「第3閾値T3」は、用紙が斜行であるか否かを判断する為の、前記用紙の前記幅方向への移動速度であり、具体的な値は、装置構成や装置寸法等に応じて当業者が適宜設定し得るものである。
また、「第3閾値T3」を設定する「用紙の移動に係わる物理量」としては、用紙の前記幅方向への移動速度Vxの他、例えば、前記幅方向への移動距離や加速度を用いることができる。
【0070】
◆◆◆制御2について◆◆◆
「制御2」は、媒体移動検出部21によって検出される、用紙Pの前記媒体給送方向(Y軸方向)への移動に基づいて用紙の搬送不良を検出し、スキャナー1における用紙の搬送を停止する制御である。
【0071】
例えば
図10及び
図11のように、ステイプラーによって留められた原稿束が、留め部Hが上流側(後端側)に位置する状態で媒体載置部11に載置された場合について考える。下から1枚目の用紙を用紙P1(点線で示す)、その上の用紙(2枚目の用紙)を用紙P2(実線で示す)とする。
【0072】
図10及び
図11に示すように、原稿束の留め部Hが上流側(後端側)に位置するように媒体載置部11に載置された場合、下から1枚目の用紙Pは、
図15に示すように、正常な状態で給送される。つまり、給送ローラー14による用紙P1の給送が開始され[給送ローラー:給送開始(P1)]、第2検出部23によって用紙P1の先端が検出された[第2検出部:先端検出(P1)]後に、第3検出部24によって用紙P1の先端が検出されたら[第3検出部:先端検出(P1)]、給送ローラー14による用紙P1の給送を停止する[給送ローラー:給送停止(P1)]。
【0073】
用紙P1の移動が媒体移動検出部21によって検出されている区間を、媒体移動検出部21における用紙P1の前記媒体給送方向(Y軸方向)への「移動区間(P1)」という。
図16における「移動区間(P1)」は、正常な用紙の給送状態について示す
図5における「移動区間(P1)」と概ね同じである。
尚、前記区間は、時間的区間(媒体移動検出部21が用紙の移動を検出している時間)であってもよく、用紙が送られる距離的区間(媒体移動検出部21が用紙の移動を検出している間に当該用紙が進む距離)であってもよい。本実施形態においては、前記区間として距離的区間を用いる。
【0074】
引き続き用紙P1が搬送されていくと、2枚目の用紙P2(3枚以上の原稿束がステイプル処理されている場合には2枚目以降の用紙全て)は、
図12に示すように、反転されつつ用紙P1に連れられて移動する場合がある。
【0075】
図12の状態から用紙P1が更に送られると、
図13及び
図16に示すように、用紙P2は完全に反転される。このとき、留め部Hは用紙の幅方向の片側に寄っているため、用紙P2は
図16に示すように斜めになりつつ、用紙P1に連れられて送られる。そして、
図13及び
図16に示すように、用紙P1の後端が媒体移動検出部21を通過後、
図14及び
図17に示すように、用紙P2の先端が媒体移動検出部21に差し掛かる前までの間、媒体移動検出部21は用紙の移動を検出しない状態となる。媒体移動検出部21が用紙の移動を検出しない区間(
図15において符号Rで示す区間)を「停止区間」という。
尚、用紙の「停止」とは、媒体移動検出部21の検出領域に差し掛かった用紙が停止している場合の他、用紙が無いために用紙の移動が検出されない場合も含むものとする。
【0076】
続いて、用紙P2の先端が媒体移動検出部21に差し掛かると、媒体移動検出部21によって用紙P2の移動が検出される。用紙P2の移動が媒体移動検出部21によって検出されている区間を、媒体移動検出部21における用紙P2の前記媒体給送方向(Y軸方向)への「移動区間(P2)」という。
【0077】
ここで、先に説明した用紙が正常に給送される場合(
図5)においても、「移動区間(P1)」、「停止区間」、「移動区間(P2)」は、媒体移動検出部21によって検出される。
図5において、「停止区間」から「移動区間(P2)」へ移行するタイミングは、用紙P1の後端が第2検出部23に検出されて、給送ローラー14の用紙P2に対する給送が開始されるタイミングである。尚、この用紙の正常給送時の「停止区間」の間における用紙P1の媒体給送方向(+Y方向)における移動距離を、距離R1(
図5)とする。
【0078】
しかし、後端の留め部Hで留められた原稿束が給送される場合(
図15)、用紙P2が用紙P1に連れられて搬送されるため、
図14及び
図17に示すように、用紙P1の後端が第2検出部23に検出されるよりも早く、用紙P2が媒体移動検出部21によって検出される場合がある。つまり、給送ローラー14の用紙P2に対する給送が開始されるタイミング[
図5において給送開始(P2)]よりも前に、用紙P2の移動が始まる。このため、
図15において、媒体移動検出部21によって検出される「停止区間」の間における用紙P1の媒体給送方向(+Y方向)における移動距離Rは、正常給送時(
図5)における距離R1よりも短くなる場合がある。
【0079】
以上のような事象から、制御部19は、媒体移動検出部21による検出情報を受け、媒体移動検出部21における用紙Pの前記媒体給送方向(Y軸方向)への「移動区間(P1)」、「停止区間」、「移動区間(P2)」をこれらの順で検出した際の前記「停止区間」における距離Rが、所定の第1閾値R1(
図5に示す正常給送時の「停止区間」における距離R1)より短い場合に、ジョブを停止する制御を実行する。
すなわち、
図15において、「停止区間」から「移動区間(P2)」に移行するタイミングにおいて、用紙搬送に係わるローラー(給送ローラー14、搬送ローラー対16及び排出ローラー対17)の駆動を停止する。
【0080】
このことによって、「停止区間」の距離Rが第1閾値R1より短い場合、即ち、正常な給送(
図5)では検出することのない給送状態(
図15のように、ステイプル処理された原稿束の綴じ部Hにより、先に給送された用紙P1に連れられて後続の用紙P2が意図せず送られてしまう様な状態)を早期に検知してジョブを停止するので、搬送不良が生じた際の用紙P1、及び用紙P1に綴じられている用紙P2以降の用紙へのダメージを抑制することができる。
【0081】
また、用紙には、例えば、ファイリングするためのパンチ穴が空けられている場合がある。
図18のように、複数のパンチ穴Nが前記幅方向に沿って設けられている用紙P1(
図18において点線で示す)の場合、用紙P1が正常に給送されると、複数のパンチ穴Nのうち、媒体給送方向において媒体移動検出部21と重なる位置にあるパンチ穴N1が媒体移動検出部21を通過する際に、パンチ穴N1を通して2枚目の用紙P2(給送されていないので停止している)が媒体移動検出部21に検出される。つまり、パンチ穴N1が媒体移動検出部21を通過する間は、媒体移動検出部21において「停止区間」として検出される。
【0082】
このため、用紙P1の正常給送時(
図5)における「移動区間(P1)」の間に、パンチ穴N1が媒体移動検出部21を通過する間に対応する短い「停止区間」が検出される。短い「停止区間」の距離は、パンチ穴N(N1)のY軸方向における径R2(
図18)に対応する距離R2(
図19)である。
すなわち、
図19に示すように、媒体移動検出部21が、用紙P1のパンチ穴N1より下流側を検出している区間である「移動区間(P1前半)」と、媒体移動検出部21が、用紙P1のパンチ穴N1より上流側を検出している区間である「移動区間(P1後半)」との間に、距離R2の「停止区間」が検出される。
【0083】
給送される用紙P1に、パンチ穴N1がある場合、パンチ穴N1に対応する部分では、用紙P1の上にある次の用紙P2がパンチ穴N1を介して媒体移動検出部21によって検出されるため、見かけ上、媒体移動検出部21は「停止区間」を検出することになる。
しかし、通常、ファイリング用の穴であるパンチ穴N1は小さいため、パンチ穴N1に対応する部分において媒体移動検出部21が検出する「停止区間」は非常に短い区間(距離R2)であり、前述したステイプル処理された媒体束の給送(搬送不良)を検出するための第1閾値R1よりも短い。したがって、制御部19が、第1閾値R1のみを基準としてしまうと、パンチ穴N(N1)がある用紙P1の正常な給送までもが、搬送不良を引き起こす虞のある異常給送状態とされ、ジョブが停止されてしまう。
【0084】
このような、パンチ穴Nのような小さい穴がある用紙の正常な給送を異常給送と判断する虞を抑制または回避するため、制御部19は、第1閾値R1より短い第2閾値R2を参照可能であり、「移動区間」の間(
図19における「移動区間(P1前半)」と「移動区間(P1後半)」との間)に挟まれる前記「停止区間」が第2閾値R2以下である場合には、ジョブを継続する。
このことにより、小さい穴がある用紙の正常な給送を異常給送と判断する誤検出を抑制できる。
【0085】
尚、パンチ穴Nの他、皺や折り目によって用紙P1が浮いて媒体移動検出部21によって検出されない状態になった場合や、用紙P1が部分的に媒体移動検出部21によって検出されない材質で形成されている場合にも、短い「停止区間」ができる場合がある。
このような場合も、異常給送と判断されることを回避して、正常な給送とすることができる。
【0086】
本実施形態の媒体給送装置10においては、媒体移動検出部21は、媒体給送方向(Y軸方向)と幅方向(X軸方向)の双方への移動を検出可能に構成されており、制御部19が、上記において説明した「制御1」と「制御2」を実行可能であるが、例えば、用紙Pの前記幅方向への移動のみを検出する媒体移動検出部を備え、制御部19が「制御1」を実行する構成とすることもできる。また、用紙Pの前記給送方向への移動のみを検出する媒体移動検出部を備え、制御部19が「制御2」を実行する構成とすることもできる。
【0087】
[第2実施形態]
第2実施形態について、
図20及び
図21を参照して、媒体給送装置の他の例について説明する。
図20は、第2実施形態の媒体給送装置における用紙給送について説明する図である。
図21は、第2実施形態の媒体給送装置における用紙給送の他の例について説明する図である。
本実施形態において、第1実施形態と同一の構成については同一の符号を付し、その構成の説明は省略する。また、
図20及び
図21以外に、第1実施形態の説明において用いた図を適宜参照する。
【0088】
本実施形態に係る媒体給送装置30は、
図20及び
図21に示すように、給送ローラー14の両側に位置するように間隔を空けて一対で設けられる媒体移動検出部として、第1媒体移動検出部31aと、第2媒体移動検出部31bと、を備えている。+X方向側を第1媒体移動検出部31a、-X方向側を第2媒体移動検出部31bとする。
【0089】
ここで、例えば、ステイプラーによって留められた原稿束が、留め部Hが下流側(先端側)に向けられた状態で媒体載置部11に載置された場合、
図20に示すように、用紙P1(
図20において点線で示す)は、留め部H側(+X方向側)がほとんど移動せず、留め部H側から離れた反対側(-X方向側)が給送されて、
図20を平面視した場合に、留め部H付近を中心として時計回りに回転する様に移動する。
すなわち、用紙P1の給送前における、第1媒体移動検出部31aによる検出位置Bと第2媒体移動検出部31bによる検出位置Cは、用紙P1の給送後、それぞれ検出位置B1と検出位置C1に移動する。
したがって、第1実施形態の制御1についての説明において述べたように、第1媒体移動検出部31a及び第2媒体移動検出部31bにおいて、用紙の正常給送時には検出されない用紙P1のX軸方向への移動が検出される。
【0090】
そして、用紙P1の回転中心となる留め部Hから遠い第2媒体移動検出部31bにおいて検出される用紙P1の移動量d2は、留め部Hに近い第1媒体移動検出部31aにおいて検出される用紙P1の移動量d1よりも大きくなる。
【0091】
制御部19は、第1媒体移動検出部31aによって検出される用紙の移動に係わる物理量と、第2媒体移動検出部31bによって検出される用紙の移動に係わる物理量と、の差が所定の差を越えた場合、ジョブを停止する制御を行う。用紙の移動に係わる物理量は、例えば、移動速度、移動距離、移動時の加速度等が挙げられる。
このことによって、用紙の搬送不良、特に、用紙の回転を検出することができ、用紙へのダメージをより確実に抑制することができる。
【0092】
尚、比較する前記物理量は、用紙の幅方向における移動に係わる物理量、用紙の前記給送方向における移動に係わる物理量、用紙の前記幅方向と前記給送方向の双方における移動に係わる物理量のいずれでもよい。用紙が回転した場合、前記給送方向における移動に係わる物理量の差が顕著になるので、少なくとも前記給送方向における移動に係わる物理量の差を用いることが望ましい。また、検出可能な用紙の回転は、ステイプル処理された原稿束において発生する場合に限られない。
また、第1媒体移動検出部31a及び第2媒体移動検出部31bにおいて検出される用紙の移動に係わる物理量を比較せず、第1媒体移動検出部31a及び第2媒体移動検出部31bにおいて用紙の前記幅方向への移動が検出された場合に、ジョブを停止することも可能である。
【0093】
また、ステイプラーによって留められた原稿束が、留め部Hが上流側(後端側)に向けられた状態で媒体載置部11に載置された場合、
図21に示すように、先に搬送された用紙P1(点線で示す)に連れられて、後続の用紙P2(実線で示す)の先端が斜めになって送られる場合がある。
用紙P1に連れられて用紙P2が送られると、第1実施形態の制御2について
図15を参照して説明したように、第1媒体移動検出部31aと第2媒体移動検出部31bのそれぞれにおいて、「移動区間(P1)」と「停止区間」と「移動区間(P2)」が検出されることとなる。
【0094】
しかし、用紙P2の先端が傾いていると、第1媒体移動検出部31aによって用紙P2の先端が検出されるタイミングと、第2媒体移動検出部31bによって検出される用紙P2の先端が検出されるタイミングとがずれるため、第1媒体移動検出部31aにおいて検出される「停止区間」と、第2媒体移動検出部31bにおいて検出される「停止区間」と、にも差が生じる。
尚、第1媒体移動検出部31aによって検出される「停止区間」は、用紙P1(概ね正常な給送状態である)の後端が第1媒体移動検出部31a及び第2媒体移動検出部31bによる検出領域を抜けたタイミングを表す図である
図21において、用紙P2の先端から第1媒体移動検出部31aまでの距離e1に対応し、第2媒体移動検出部31bによって検出される「停止区間」は、
図21において、用紙P2の先端から第2媒体移動検出部31bまでの距離e2に対応する。
【0095】
以上のような事象から、制御部19は、第1媒体移動検出部31aによって検出される「停止区間」と、第2媒体移動検出部31bによって検出される「停止区間」と、の差が所定の差を越えた場合、ジョブを停止する制御を実行する。以って、用紙の搬送不良をより確実に検知することができる。
尚、「停止区間」の差とは、距離或いは時間で表される「停止区間」の長さの違いの他、「停止区間」の長さは同じであっても「停止区間」の開始或いは終了タイミングに差がある場合も含むものとする。
【0096】
また、第1媒体移動検出部31a及び第2媒体移動検出部31bのうち、検出される用紙の移動に係わる物理量が大きい方の検出情報を用い、第1実施形態において説明した制御1を実行することも可能である。
【0097】
以上、第1実施形態と第2実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものであることは言うまでもない。
【0098】
例えば、第1実施形態及び第2実施形態は、センター給紙方式のスキャナー1について説明したが、例えば一方のエッジガイド12が媒体載置部11に固定されており、他方のエッジガイド12が媒体載置部11に対して移動するように構成された片寄せ給紙方式のスキャナーに本発明の構成を採用することもできる。
【0099】
また、媒体給送装置10(第1実施形態)、及び媒体給送装置30(第2実施形態)は、スキャナー(画像読取装置)の他、例えば、プリンターに代表される記録装置に設けることも可能である。
【符号の説明】
【0100】
1…スキャナー(画像読取装置)、2…装置本体、3…下部ユニット、
4…上部ユニット、5…排紙トレイ、6…給送口、7…操作パネル、
8…第1補助ペーパーサポート、9…第2補助ペーパーサポート、
10…媒体給送装置、11…媒体載置部、12…エッジガイド、
13…ガイド面、14…給送ローラー、15…分離ローラー、
16…搬送ローラー対、17…排出ローラー対、18…排出口、
19…制御部、20…読取部、20a…上部読取センサー、
20b…下部読取センサー、21…媒体移動検出部、22…第1検出部、
23…第2検出部、24…第3検出部、25…第4検出部、
30…媒体給送装置、31a…第1媒体移動検出部、31b…第2媒体移動検出部、
P、P1、P2…用紙(媒体)、N…パンチ穴