(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】制御装置、制御システム、制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04W 52/04 20090101AFI20240925BHJP
H04W 16/08 20090101ALI20240925BHJP
H04W 36/22 20090101ALI20240925BHJP
【FI】
H04W52/04
H04W16/08
H04W36/22
(21)【出願番号】P 2023509918
(86)(22)【出願日】2021-03-29
(86)【国際出願番号】 JP2021013272
(87)【国際公開番号】W WO2022208604
(87)【国際公開日】2022-10-06
【審査請求日】2023-07-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】永井 直哉
【審査官】岡本 正紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-063337(JP,A)
【文献】特開2018-042176(JP,A)
【文献】特開2000-116030(JP,A)
【文献】特開2019-128624(JP,A)
【文献】特開2014-022855(JP,A)
【文献】特開2012-235334(JP,A)
【文献】国際公開第2016/038770(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/021093(WO,A1)
【文献】特開2016-134693(JP,A)
【文献】特開2013-048475(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線中継局に含まれるアンテナから電波を受信している端末の数を取得する端末数取得手段と、
前記端末の数が混雑条件を満たすか否かを判定する混雑判定手段と、
前記混雑条件を満たすと判定された場合に、前記アンテナから放射される電波の強度を弱めるよう前記アンテナを制御するアンテナ制御手段と、
を備え
、
前記混雑条件は、前記アンテナから電波を受信可能なエリアに含まれる生活エリアの広さ、又は、当該生活エリアの属性に応じて設定された閾値であって、前記端末の数に関連する閾値を含む、制御装置。
【請求項2】
前記電波の強度を弱めたことを含む情報を、前記アンテナから電波を受信している端末に通知する通知手段、
をさらに備えた請求項
1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記通知手段は、前記アンテナから電波を受信している端末に対して、前記アンテナとは異なる他のアンテナから電波を受信している他の端末の数に基づく情報をさらに通知する、
請求項
2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記アンテナ制御手段は、前記電波の強度を弱めるよう前記アンテナのビームチルト角を制御する、
請求項1から
3の何れか1項に記載の制御装置。
【請求項5】
無線中継局に含まれるアンテナから電波を受信している端末の数を取得する端末数取得手段と、
前記端末の数が混雑条件を満たすか否かを判定する混雑判定手段と、
前記混雑条件を満たすと判定された場合に、前記アンテナから放射される電波の強度を弱めるよう前記アンテナを制御するアンテナ制御手段と、
前記アンテナと、
を備え
、
前記混雑条件は、前記アンテナから電波を受信可能なエリアに含まれる生活エリアの広さ、又は、当該生活エリアの属性に応じて設定された閾値であって、前記端末の数に関連する閾値を含む、制御システム。
【請求項6】
無線中継局に含まれるアンテナから電波を受信している端末の数を取得すること、
前記端末の数が混雑条件を満たすか否かを判定すること、及び、
前記混雑条件を満たすと判定された場合に、前記アンテナから放射される電波の強度を弱めるよう前記アンテナを制御すること、
を含
み、
前記混雑条件は、前記アンテナから電波を受信可能なエリアに含まれる生活エリアの広さ、又は、当該生活エリアの属性に応じて設定された閾値であって、前記端末の数に関連する閾値を含む、制御方法。
【請求項7】
コンピュータを制御装置として機能させるためのプログラムであって、前記コンピュータを、
無線中継局に含まれるアンテナから電波を受信している端末の数を取得する端末数取得手段と、
前記端末の数が混雑条件を満たすか否かを判定する混雑判定手段と、
前記混雑条件を満たすと判定された場合に、前記アンテナから放射される電波の強度を弱めるよう前記アンテナを制御するアンテナ制御手段と、
として機能させ
、
前記混雑条件は、前記アンテナから電波を受信可能なエリアに含まれる生活エリアの広さ、又は、当該生活エリアの属性に応じて設定された閾値であって、前記端末の数に関連する閾値を含む、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信を制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信を制御する技術が知られている。例えば、特許文献1には、車両に設置された無線アクセスポイントに接続される乗客端末のユニークな接続数を特定し、特定した乗客端末のユニークな接続数に基づいて車両の混雑率を推定し、推定した混雑率をユーザ端末に提供する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された技術においては、混雑率をユーザ端末に提示するだけでは、必ずしも乗客が混雑を解消するように行動するとは限らず、混雑を充分に低減できない場合がある。現代社会においては、例えば感染予防等の観点により、人々の混雑をより充分に低減する実効性のある技術が求められている。
【0005】
本発明の一態様は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的の一例は、人々の混雑をより充分に低減する技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る制御装置は、無線中継局に含まれるアンテナから電波を受信している端末の数を取得する端末数取得手段と、前記端末の数が混雑条件を満たすか否かを判定する混雑判定手段と、前記混雑条件を満たすと判定された場合に、前記アンテナから放射される電波の強度を弱めるよう前記アンテナを制御するアンテナ制御手段と、を備える。
【0007】
本発明の一側面に係る制御システムは、無線中継局に含まれるアンテナから電波を受信している端末の数を取得する端末数取得手段と、前記端末の数が混雑条件を満たすか否かを判定する混雑判定手段と、前記混雑条件を満たすと判定された場合に、前記アンテナから放射される電波の強度を弱めるよう前記アンテナを制御するアンテナ制御手段と、前記アンテナと、を備える。
【0008】
本発明の一側面に係る制御方法は、無線中継局に含まれるアンテナから電波を受信している端末の数を取得すること、前記端末の数が混雑条件を満たすか否かを判定すること、及び、前記混雑条件を満たすと判定された場合に、前記アンテナから放射される電波の強度を弱めるよう前記アンテナを制御すること、を含む。
【0009】
本発明の一側面に係るプログラムは、コンピュータを制御装置として機能させるためのプログラムであって、前記コンピュータを、無線中継局に含まれるアンテナから電波を受信している端末の数を取得する端末数取得手段と、前記端末の数が混雑条件を満たすか否かを判定する混雑判定手段と、前記混雑条件を満たすと判定された場合に、前記アンテナから放射される電波の強度を弱めるよう前記アンテナを制御するアンテナ制御手段と、
として機能させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様によれば、人々の混雑をより充分に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の例示的実施形態1に係る制御システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明の例示的実施形態1に係る制御装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】本発明の例示的実施形態1に係る制御方法の流れを示すフロー図である。
【
図4】本発明の例示的実施形態2に係る制御システムの構成を示すブロック図である。
【
図5】本発明の例示的実施形態2に係る制御方法の流れを示すフロー図である。
【
図6】本発明の例示的実施形態2における端末の表示画面の具体例を示す図である。
【
図7】各例示的実施形態に係る制御装置として動作するコンピュータのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
〔例示的実施形態1〕
本発明の第1の例示的実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。本例示的実施形態は、後述する例示的実施形態の基本となる形態である。
【0013】
<制御システム1の構成>
本例示的実施形態に係る制御システム1の構成について、
図1を参照して説明する。
図1は、制御システム1の構成を示すブロック図である。
図1に示すように、制御システム1は、端末数取得部101と、混雑判定部102と、アンテナ制御部103と、アンテナ20とを含む。端末数取得部101と、混雑判定部102と、アンテナ制御部103とは、例えば、
図2に示すように、制御装置10に含まれる。
図2は、制御装置10の構成を示すブロック図である。制御装置10とアンテナ20とは、無線中継局に含まれる。無線中継局は、一例として、無線アクセスネットワーク(Radio Access Network:RAN)とコアネットワークとを接続する基地局である。また、無線中継局は、一例として、無線LAN(Local Area Network)のアクセスポイントである。制御装置10は、端末との間でアンテナ20を介して無線通信を行い、当該無線通信と他の無線通信又は有線通信とを中継する。
【0014】
なお、端末数取得部101、混雑判定部102、及びアンテナ制御部103は、1つの装置に限らず、複数の装置に分散して含まれていてもよい。その場合、複数の装置は互いに通信可能に接続され、各機能ブロックは、装置間で通信することにより他の装置に配置された機能ブロックとの間で情報を送受信する。
【0015】
(アンテナ20)
アンテナ20は、無線中継局に含まれる。アンテナ20は、制御装置10が端末との間で無線通信を行うための無線信号(電波)を送受信する。
【0016】
(端末数取得部101)
端末数取得部101は、アンテナ20から電波を受信している端末の数を取得する。以降、「アンテナ20から電波を受信」することを、単に「アンテナ20に接続」するとも記載する。また、「アンテナ20に接続している端末の数」を、「アンテナ20の接続端末数」とも記載する。
【0017】
(混雑判定部102)
混雑判定部102は、アンテナ20の接続端末数が混雑条件を満たすか否かを判定する。
【0018】
(混雑条件)
混雑条件とは、アンテナ20から電波を受信可能なエリアにおいて人々の混雑が発生しているかどうかを、接続端末数を参照して判定するための条件である。例えば、混雑条件は、アンテナ20の接続端末数に関連する閾値を含む。一例として、接続端末数が閾値を超えると、混雑条件を満たしたと判断される。ただし、混雑条件は、これに限られない。
【0019】
(アンテナ制御部103)
アンテナ制御部103は、アンテナ20の接続端末数が混雑条件を満たすと判定された場合に、アンテナ20から放射される電波の強度を弱めるようアンテナ20を制御する。以降、「アンテナ20から放射される電波の強度」を、単に「アンテナ20の電波強度」とも記載する。
【0020】
<制御方法S1の流れ>
以上のように構成された制御システム1が実行する制御方法S1の流れについて、
図3を参照して説明する。
図3は、制御方法S1の流れを示すフロー図である。例えば、制御システム1は、制御方法S1を所定間隔で繰り返す。
図3に示すように、制御方法S1は、ステップS101~S103を含む。
【0021】
(ステップS101)
ステップS101において、端末数取得部101は、アンテナ20の接続端末数を取得する。例えば、端末数取得部101は、アンテナ20に接続している端末からアンテナ20を介して通信データを受信し、当該通信データに含まれる端末の識別情報を参照して接続端末数を取得してもよい。
【0022】
(ステップS102)
ステップS102において、混雑判定部102は、アンテナ20の接続端末数が混雑条件を満たすか否かを判定する。例えば、混雑判定部102は、接続端末数が閾値を超えた場合に、混雑条件を満たすと判定する。当該ステップでNoと判断した場合、制御方法S1は終了する。
【0023】
(ステップS103)
ステップS102でYesと判断した場合、ステップS103において、アンテナ制御部103は、アンテナ20の接続端末数が混雑条件を満たすと判定された場合に、アンテナ20の電波強度を弱めるようアンテナ20を制御する。例えば、アンテナ制御部103は、アンテナ20において設定可能なパラメータのうち電波強度に影響するパラメータを変更する制御信号をアンテナ20に送信する。
【0024】
<本例示的実施形態の効果>
以上のように、本例示的実施形態は、アンテナ20の接続端末数を取得し、取得した接続端末数が混雑条件を満たすか否かを判定し、混雑条件を満たすと判定した場合に、電波強度を弱めるようアンテナ20を制御する。これにより、端末を利用しているユーザが、電波強度が弱くなったエリアから外に移動することが期待される。その結果、人々の混雑をより充分に低減することができる。
【0025】
〔例示的実施形態2〕
本発明の第2の例示的実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、例示的実施形態1にて説明した構成要素と同じ機能を有する構成要素については、同じ符号を付し、その説明を適宜省略する。
【0026】
本例示的実施形態2は、無線アクセスネットワークとコアネットワークとを接続する基地局に設置されるアンテナ及びRANコントローラ(ネットワーク制御装置)に適用することができる。
【0027】
ここで、このようなネットワーク制御装置に関連する技術は、ユーザへ快適なネットワークを提供することを目的として発達してきた。そのような目的に対するソリューションの一例としては、モニタリングした無線状況に応じてカバレッジとキャパシティを最適化するSON(Self-Organizing Network)のCCO(Capacity and Coverage Optimization)機能がある。当該ソリューション自体は、Society 5.0の世界を実現するにあたり重要な役割を担っている。このようなソリューションを始めとして、無線アクセスネットワークの通信速度、キャパシティ等の面での強化(例えば、5G)等により、1つのアンテナの接続端末数が増えても、より快適にネットワークが利用できるようになった。その結果、人々がより快適なネットワーク環境を求めて移動することが減り、混雑が発生する可能性がある。したがって、感染防止の観点から混雑を低減するための技術が求められている。
【0028】
本例示的実施形態2をネットワーク制御装置に適用することにより、感染防止の観点から混雑をより充分に低減することが可能である。
【0029】
<制御システム1Aの構成>
本例示的実施形態に係る制御システム1Aの構成について、
図4を参照して説明する。
図4は、制御システム1Aの構成を示すブロック図である。
図4に示すように、制御システム1Aは、制御装置10Aと、アンテナ20-1、20-2、…と、エリアメールサーバ30とを含む。
【0030】
(アンテナ20)
アンテナ20-1、20-2は、無線アクセスネットワークとコアネットワークとを接続する基地局に設置される。例えば、アンテナ20-1から放射される電波は、エリア80-1に位置する端末91-1、91-2によって受信される。また、例えば、アンテナ20-2から放射される電波は、エリア80-2に位置する端末92-1、92-2によって受信される。以降、アンテナ20-1、20-2を特に区別して説明する必要がない場合には、それぞれを単に「アンテナ20」とも記載する。
【0031】
本例示的実施形態では、アンテナ20は、ビームフォーミング技術を搭載したアンテナである。アンテナ20は、電波を特定の方向に放射する。例えば、アンテナ20は、ビームチルト角を変更可能に構成され、ビームチルト角を変更することにより電波強度を可変にすることができる。
【0032】
(エリア80)
エリア80-1は、アンテナ20-1から電波を受信可能なエリアである。エリア80-2は、アンテナ20-2から電波を受信可能なエリアである。以降、エリア80-1、80-2を特に区別して説明する必要がない場合には、それぞれを単に「エリア80」とも記載する。エリア80の大きさは、アンテナ20の特性、設置場所、周囲の環境等に応じる。
【0033】
(端末90)
端末91-1、91-2、…は、エリア80-1内に位置する端末である。端末92-1、92-2、…は、エリア80-2内に位置する端末である。以降、端末91-1、91-2、92-1、92-2、…を特に区別して説明する必要がない場合には、それぞれを単に「端末90」とも記載する。端末90は、無線アクセスネットワークに接続して無線通信を行う。例えば、端末90は、ユーザが携帯することにより移動する移動端末であるが、これに限られない。
【0034】
端末90は、端末アンテナ(図示せず)を含む。端末90は、アンテナ20から放射される電波を端末アンテナにより受信して復調する。また、端末90は、復調して得られた通信データに応答する通信データを生成して変調し、端末アンテナからアンテナ20に向けて送信する。応答する通信データには、端末90の識別情報が含まれる。このようにして、端末90は、アンテナ20を介して制御装置10との間で無線通信を行う。
【0035】
(エリアメールサーバ30)
エリアメールサーバ30は、アンテナ20に接続している端末90にメールを送信するサーバである。エリアメールサーバ30は、制御装置10から、エリア80を特定する情報と、送信すべき情報とを受信する。また、エリアメールサーバ30は、特定されたエリア80においてアンテナ20に接続している端末90に対して、送信すべき情報を含むエリアメールを一斉に送信する。
【0036】
(制御装置10A)
制御装置10Aは、制御部150と、記憶部160と、通信部170とを含む。制御部150は、端末数取得部101Aと、混雑判定部102Aと、アンテナ制御部103Aと、通知部104Aとを含む。
【0037】
(通信部170)
通信部170は、制御部150が生成した通信データを変調し、変調した電波を放射するようアンテナ20を制御する。また、通信部170は、アンテナ20が受信した電波を復調して通信データを取得する。換言すると、制御部150は、通信部170を介して端末90と無線通信する。また、通信部170は、制御部150が生成したアンテナ20を制御するための制御信号をアンテナ20に送信する。換言すると、制御部150は、通信部170を介してアンテナ20を制御する。また、通信部170は、エリアメールサーバ30にネットワークを介して接続する。換言すると、制御部150は、通信部170を介してエリアメールサーバ30との通信を行う。
【0038】
(記憶部160)
記憶部160は、エリア80毎の混雑限界値と、エリアマップとを記憶している。
【0039】
(混雑限界値)
混雑限界値は、エリア80において人々の混雑を低減するために設定された最大接続端末数である。換言すると、「アンテナ20の接続端末数が混雑限界値を超えること」は、請求の範囲に記載した「混雑条件」の一例である。
【0040】
ここで、混雑限界値は、請求の範囲に記載した「端末の数に関連する閾値」の一例である。混雑限界値は、エリア80の広さに応じて設定される。一例として、混雑限界値は、エリア80が広いほど大きい値が設定される。例えば、混雑限界値は、エリア80に含まれる生活エリアが広いほど大きい値が設定されていてもよい。生活エリアとは、人々が通常の生活において進入することが少ないエリア(例えば、森林、海等)をエリア80から除いたエリアである。エリア80に含まれる生活エリアの広さとしては、例えば、事前に算出された値が用いられる。
【0041】
また、混雑限界値は、エリア80の属性に応じて設定されてもよい。例えば、エリア80の属性は、エリア80に含まれる生活エリアの属性であってもよい。生活エリアの属性の具体例としては、例えば、「駅構内」、「住宅街」等が挙げられるが、これに限られない。ここで、エリア80の属性に応じて、人々の混雑を低減すべき程度が異なる場合がある。例えば、「駅構内」であれば、人と人との距離が1メートル程度までの状態は許容される可能性があるが、「住宅街」であれば、人と人との距離が1メートル程度となる状態は回避すべきである可能性がある。そこで、例えば、混雑限界値は、人々が集まりやすい属性であるほど大きい値が設定されてもよい。また、例えば、混雑限界値は、人々が集まりやすい属性であるほど小さい値が設定されてもよい。
【0042】
(エリアマップ)
エリアマップは、各エリア80の位置を示す情報を含む。例えば、各エリア80の位置は、グローバル座標系で表される。エリアマップは、あるエリア80に対してその周辺に存在するエリア80を特定することが可能な情報である。周辺に存在するエリア80を、以降、「周辺エリア80」とも記載する。
【0043】
(端末数取得部101A)
端末数取得部101Aは、アンテナ20毎に、当該アンテナ20の接続端末数を取得する。
【0044】
(混雑判定部102A)
混雑判定部102Aは、アンテナ20毎に、当該アンテナ20の接続端末数が、対応するエリア80に設定された混雑限界値を超えたか否かを判定する。また、混雑判定部102Aは、接続端末数が混雑限界値を超えたアンテナ20を特定する。
【0045】
(アンテナ制御部103A)
アンテナ制御部103Aは、接続端末数が混雑限界値を超えたアンテナ20のビームチルト角を、電波強度を弱めるよう制御する。
【0046】
(通知部104A)
通知部104Aは、電波強度を弱めたアンテナ20から電波を受信している端末90(すなわち、当該アンテナ20に対応するエリア80内の端末90)に対して、エリアメールを送信する。エリアメールは、(i)混雑が検出されたことを示す情報、(ii)電波強度を弱めたことを示す情報、(iii)移動を促す情報、及び(iv)周辺エリア80の混雑状況を示す情報の一部又は全部を含む。なお、周辺エリア80の混雑状況は、請求の範囲に記載した「他のアンテナから電波を受信している他の端末の数に基づく情報」の一例である。
【0047】
(混雑状況)
混雑状況とは、アンテナ20の接続端末数に基づく混雑の状況である。混雑状況は、例えば、混雑限界値に対する接続端末数の割合によって表される。当該割合を、混雑度とも記載する。なお、混雑状況は、混雑度に替えて、又は加えて、その他の指標を含んで表されていてもよい。
【0048】
<制御方法S1Aの流れ>
以上のように構成された制御システム1Aが実行する制御方法S1Aの流れについて、
図5を参照して説明する。
図5は、制御方法S1Aの流れを示すフロー図である。例えば、制御システム1Aは、制御方法S1Aを所定間隔で繰り返す。
図5に示すように、制御方法S1Aは、ステップS201~S206を含む。
【0049】
(ステップS201)
ステップS201において、端末数取得部101Aは、アンテナ20毎に、当該アンテナ20の接続端末数を取得する。
【0050】
(ステップS202)
ステップS202において、混雑判定部102Aは、アンテナ20毎に接続端末数が混雑限界値を超えたか否かを判定し、混雑限界値を超えたアンテナ20を特定する。
【0051】
(ステップS203)
ステップS203において、アンテナ制御部103Aは、接続端末数が混雑限界値を超えたアンテナ20のビームチルト角を、電波強度を弱めるよう制御する。具体的には、アンテナ制御部103Aは、通常よりも電波強度を弱めるビームチルト角の設定値を事前に記憶しておき、ビームチルト角を当該設定値に変更するよう制御する制御信号を、アンテナ20に対して送信する。これにより、アンテナ20のビームチルト角が変更され、電波強度が弱くなる。
【0052】
(ステップS204)
ステップS204において、混雑判定部102Aは、周辺エリアの混雑状況を取得する。具体的には、混雑判定部102Aは、記憶部160に記憶したエリアマップを参照して、当該アンテナ20に対応するエリア80の周辺エリア80を特定する。また、混雑判定部102Aは、周辺エリア80に定められた混雑限界値と、当該周辺エリア80の接続端末数とを参照して、周辺エリア80の混雑度を算出する。
【0053】
(ステップS205)
ステップS205において、通知部104Aは、電波強度を弱めたアンテナ20に接続している端末90(すなわち、対応するエリア80内の端末90)に対して、エリアメールを送信する。具体的には、通知部104Aは、当該エリア80を特定する情報と、エリアメールに含める情報とをエリアメールサーバ30に送信することにより、エリアメールを送信する。エリアメールを受信した端末90における表示画面の具体例については後述する。
【0054】
(ステップS206)
ステップS206において、アンテナ制御部103Aは、ステップS202で特定したアンテナ20のうち、未だ電波強度を弱めていない他のアンテナ20があるか否かを判断する。ステップS206でYesと判断した場合、制御装置10Aは、当該他のアンテナ20について、ステップS203からの処理を繰り返す。ステップS206でNoと判断した場合、制御方法S1Aは終了する。
【0055】
なお、アンテナ制御部103Aは、既に電波強度を弱めるよう制御したアンテナ20の接続端末数が混雑限界値以下であると判定した場合、電波強度を通常の強度に戻すよう当該アンテナ20を制御する。
【0056】
<端末90の表示画面の具体例>
ステップS205の処理に応答して端末90で表示される表示画面の具体例を、
図6を参照して説明する。
図6は、端末90の表示画面の具体例を示す図である。
図6に示すように、端末90における表示画面910は、エリアメール領域901を含む。エリアメール領域901は、エリアメールの受信に応じて表示されてもよいし、エリアメールの表示を指示するユーザの操作に応じて表示されてもよい。
【0057】
エリアメール領域901は、情報902~905を含む。情報902は、「当エリアで混雑が検出されました。」というテキスト情報であり、混雑が検出されたことを示す情報の一例である。情報903は、「当エリアの電波強度を弱めています」というテキスト情報であり、電波強度を弱めたことを示す情報の一例である。情報904は、「周辺エリアへの移動をお勧めします」というテキスト情報であり、移動を促す情報の一例である。情報905は、該当エリア80(この例では、現在エリアA)と周辺エリア80(この例では、周辺エリアB、C)との位置関係を示すマップ上に、各エリア80の混雑度を重畳した画像である。情報905は、周辺エリア80の混雑状況を示す情報の一例である。
【0058】
この例では、現在エリアAは、接続端末数が混雑限界値を超えており、混雑度は120%である。周辺エリアB、Cは、それぞれ混雑度が70%、40%である。なお、情報902~904は、必ずしもテキストで表現される情報に限られない。また、情報905は、必ずしも画像で表現される情報に限られない。また、エリアメール領域901は、情報902~905の全てを含むことに限らず、一部を含んでいてもよい。また、エリアメール領域901は、情報902~905とは異なる他の情報を含んでいてもよい。
【0059】
ユーザは、このようなエリアメール領域901を視認することにより、端末90の現在の無線通信状況を改善したいと考える可能性が高い。その結果、混雑度がより低い周辺のエリアB、Cの何れかに移動するユーザの動機付けが向上する。
【0060】
<本例示的実施形態の効果>
以上のように、本例示的実施形態は、複数のアンテナ20のうち、接続端末数が混雑限界値を超えるアンテナ20を特定し、特定したアンテナ20に対し、電波強度を弱めるよう制御する。また、本例示的実施形態は、当該アンテナ20に接続している端末90に対し、電波強度を弱めたことを示す情報、及び周辺エリア80の混雑状況を示す情報を含むエリアメールを送信する。これにより、エリアメールを視認したユーザは、端末90の現在の無線通信状況を改善したいと考える可能性が高い。その結果、該当するエリア80に含まれる端末90のユーザの周辺エリア80に移動する動機付けが向上する。その結果、エリア80における人々の混雑をより充分に低減することができる。
【0061】
〔変形例〕
上述した例示的実施形態2において、アンテナ制御部103Aは、混雑限界値を超えたか否かに応じてアンテナ20の電波強度を弱めるか否かを決定するという2段階の制御を行う例について説明した。ただし、これに限らず、アンテナ制御部103Aは、3段階以上の制御、又は連続的な制御を行ってもよい。例えば、アンテナ制御部103Aは、2つの混雑限界値V1、V2(V2>V1)を用いて3段階の制御を行ってもよい。具体例として、例えば、接続端末数が混雑限界値V1以下の場合の電波強度をP1とする。この場合、アンテナ制御部103Aは、アンテナ20の接続端末数が混雑限界値V1を超えてV2以下の場合には、電波強度をP2(P2<P1)にするようビームチルト角を制御する。また、アンテナ制御部103Aは、アンテナ20の接続端末数が第2の混雑限界値V2を超えた場合には電波強度をP3(P3<P2)にするようビームチルト角を制御する。また、アンテナ制御部103Aは、接続端末数が多くなるほど電波強度を弱くするようアンテナ20を制御してもよい。例えば、アンテナ20の接続端末数が混雑限界値V1を超えてV2以下である場合、電波強度と接続端末数との関係を線形に定めてもよい。
【0062】
また、上述した例示的実施形態2において、アンテナ制御部103Aは、接続端末数が混雑限界値を超えることに限らず、その他の混雑条件が満たされた場合にアンテナ20の電波強度を弱くするよう制御してもよい。例えば、その他の混雑条件の具体例としては、混雑度(最大接続数に対する接続端末数の割合)が閾値を超えることが挙げられるが、これに限られない。また、混雑条件は、可変であってもよい。例えば、混雑条件は、時間帯、曜日、季節、又はこれらの組み合わせ等に応じた閾値を含んでいてもよい。
【0063】
また、上述した例示的実施形態2において、アンテナ制御部103Aは、ビームチルト角に替えて、または加えて、その他のパラメータを制御することによりアンテナ20の電波強度を弱くする制御を行ってもよい。
【0064】
また、上述した例示的実施形態2におけるアンテナ20は、無線アクセスネットワークの基地局に含まれるアンテナに限らず、その他の無線中継局に含まれるアンテナ、例えば無線LANのアクセスポイントにおけるアンテナにも適用可能である。
【0065】
〔ソフトウェアによる実現例〕
制御装置10、10Aの一部又は全部の機能は、集積回路(ICチップ)等のハードウェアによって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0066】
後者の場合、制御装置10、10Aは、例えば、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータによって実現される。このようなコンピュータの一例(以下、コンピュータCと記載する)を
図7に示す。コンピュータCは、少なくとも1つのプロセッサC1と、少なくとも1つのメモリC2と、を備えている。メモリC2には、コンピュータCを制御装置10、10Aとして動作させるためのプログラムPが記録されている。コンピュータCにおいて、プロセッサC1は、プログラムPをメモリC2から読み取って実行することにより、制御装置10、10Aの各機能が実現される。
【0067】
プロセッサC1としては、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphic Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、MPU(Micro Processing Unit)、FPU(Floating point number Processing Unit)、PPU(Physics Processing Unit)、マイクロコントローラ、又は、これらの組み合わせなどを用いることができる。メモリC2としては、例えば、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又は、これらの組み合わせなどを用いることができる。
【0068】
なお、コンピュータCは、プログラムPを実行時に展開したり、各種データを一時的に記憶したりするためのRAM(Random Access Memory)を更に備えていてもよい。また、コンピュータCは、他の装置との間でデータを送受信するための通信インタフェースを更に備えていてもよい。また、コンピュータCは、キーボードやマウス、ディスプレイやプリンタなどの入出力機器を接続するための入出力インタフェースを更に備えていてもよい。
【0069】
また、プログラムPは、コンピュータCが読み取り可能な、一時的でない有形の記録媒体Mに記録することができる。このような記録媒体Mとしては、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、又はプログラマブルな論理回路などを用いることができる。コンピュータCは、このような記録媒体Mを介してプログラムPを取得することができる。また、プログラムPは、伝送媒体を介して伝送することができる。このような伝送媒体としては、例えば、通信ネットワーク、又は放送波などを用いることができる。コンピュータCは、このような伝送媒体を介してプログラムPを取得することもできる。
【0070】
〔付記事項1〕
本発明は、上述した実施形態に限定されるものでなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。例えば、上述した実施形態に開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても、本発明の技術的範囲に含まれる。
【0071】
〔付記事項2〕
上述した実施形態の一部又は全部は、以下のようにも記載され得る。ただし、本発明は、以下の記載する態様に限定されるものではない。
【0072】
(付記1)
無線中継局に含まれるアンテナから電波を受信している端末の数を取得する端末数取得手段と、
前記端末の数が混雑条件を満たすか否かを判定する混雑判定手段と、
前記混雑条件を満たすと判定された場合に、前記アンテナから放射される電波の強度を弱めるよう前記アンテナを制御するアンテナ制御手段と、
を備えた制御装置。
【0073】
上記の構成によれば、端末を利用しているユーザが、電波強度が弱くなったエリアから外に移動することが期待される。その結果、人々の混雑をより充分に低減することができる。
【0074】
(付記2)
前記混雑条件は、前記アンテナから電波を受信可能なエリアの広さに応じて設定された閾値であって、前記端末の数に関連する閾値を含む、
付記1に記載の制御装置。
【0075】
上記の構成によれば、混雑を低減すべき状況であるかどうかをエリアの広さに応じて判断することができる。
【0076】
(付記3)
前記混雑条件は、前記アンテナから電波を受信可能なエリアの属性に応じて設定された閾値であって、前記端末の数に関連する閾値を含む、
付記1又は2に記載の制御装置。
【0077】
上記の構成によれば、混雑を低減すべき状況であるかどうかをエリアの属性に応じて判断することができる。
【0078】
(付記4)
前記電波の強度を弱めたことを含む情報を、前記アンテナから電波を受信している端末に通知する通知手段、
をさらに備えた付記1から3の何れか1項に記載の制御装置。
【0079】
上記の構成によれば、端末を利用しているユーザは、電波の強度が弱くなったことを容易に認識できるので、電波強度が弱くなったエリアから外に移動することの動機付けが向上する。
【0080】
(付記5)
前記通知手段は、前記アンテナから電波を受信している端末に対して、前記アンテナとは異なる他のアンテナから電波を受信している他の端末の数に基づく情報をさらに通知する、
付記4に記載の制御装置。
【0081】
上記の構成によれば、端末を利用しているユーザは、他のアンテナから電波を受信している他の端末の数を認識することができ、当該他のアンテナから電波を受信できるエリアに移動することに対するユーザの動機付けが向上する。
【0082】
(付記6)
前記アンテナ制御手段は、前記電波の強度を弱めるよう前記アンテナのビームチルト角を制御する、
付記1から5の何れか1項に記載の制御装置。
【0083】
上記の構成によれば、アンテナから放射される電波の強度を弱めるよう制御することができる。
【0084】
(付記7)
無線中継局に含まれるアンテナから電波を受信している端末の数を取得する端末数取得手段と、
前記端末の数が混雑条件を満たすか否かを判定する混雑判定手段と、
前記混雑条件を満たすと判定された場合に、前記アンテナから放射される電波の強度を弱めるよう前記アンテナを制御するアンテナ制御手段と、
前記アンテナと、
を備えた制御システム。
【0085】
上記の構成によれば、付記1と同様の効果を奏する。
【0086】
(付記8)
無線中継局に含まれるアンテナから電波を受信している端末の数を取得すること、
前記端末の数が混雑条件を満たすか否かを判定すること、及び、
前記混雑条件を満たすと判定された場合に、前記アンテナから放射される電波の強度を弱めるよう前記アンテナを制御すること、
を含む制御方法。
【0087】
上記の構成によれば、付記1と同様の効果を奏する。
【0088】
(付記9)
コンピュータを制御装置として機能させるためのプログラムであって、前記コンピュータを、
無線中継局に含まれるアンテナから電波を受信している端末の数を取得する端末数取得手段と、
前記端末の数が混雑条件を満たすか否かを判定する混雑判定手段と、
前記混雑条件を満たすと判定された場合に、前記アンテナから放射される電波の強度を弱めるよう前記アンテナを制御するアンテナ制御手段と、
として機能させるプログラム。
【0089】
上記の構成によれば、付記1と同様の効果を奏する。
【0090】
〔付記事項3〕
上述した実施形態の一部又は全部は、更に、以下のように表現することもできる。
【0091】
少なくとも1つのプロセッサを備え、前記プロセッサは、無線中継局に含まれるアンテナから電波を受信している端末の数を取得する端末数取得処理と、前記端末の数が混雑条件を満たすか否かを判定する混雑判定処理と、前記混雑条件を満たすと判定された場合に、前記アンテナから放射される電波の強度を弱めるよう前記アンテナを制御するアンテナ制御処理と、を実行する制御装置。
【0092】
なお、この制御装置は、更にメモリを備えていてもよく、このメモリには、前記端末数取得処理と、前記混雑判定処理と、前記アンテナ制御処理とを前記プロセッサに実行させるためのプログラムが記憶されていてもよい。また、このプログラムは、コンピュータ読み取り可能な一時的でない有形の記録媒体に記録されていてもよい。
【符号の説明】
【0093】
1、1A 制御システム
10、10A 制御装置
20 アンテナ
30 エリアメールサーバ
90 端末
101、101A 端末数取得部
102、102A 混雑判定部
103、103A アンテナ制御部
104A 通知部
150 制御部
160 記憶部
170 通信部
C1 プロセッサ
C2 メモリ