(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】巡回ルート決定システム、巡回ルート決定方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/04 20230101AFI20240925BHJP
【FI】
G06Q10/04 300
(21)【出願番号】P 2023522138
(86)(22)【出願日】2021-05-20
(86)【国際出願番号】 JP2021019241
(87)【国際公開番号】W WO2022244209
(87)【国際公開日】2022-11-24
【審査請求日】2023-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】辻 聡
(72)【発明者】
【氏名】安倍 次朗
【審査官】橘 均憲
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-021491(JP,A)
【文献】特開2019-009919(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1837557(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の設備に関する情報と、測定装置を用いて前記複数の設備の三次元データを各々取得する際の測定位置に関する情報と、
前記複数の設備の種別に関する情報と、前記複数の設備のサイズに関する情報と、が各々対応付けて格納されている測定位置情報格納部と、
所定の施設内に設けられた測定対象設備
の種別を示す識別子を前記測定位置情報格納部に供給し、前記測定対象設備の種別に応じた測定位置に関する情報及び前記測定対象設備のサイズに関する情報を前記測定位置情報格納部から取得し、当該取得した測定位置に関する情報及び前記測定対象設備のサイズに関する情報と、前記測定対象設備の設置位置に関する情報と、前記測定対象設備の測定に使用する測定装置に関する情報と、に基づいて、前記測定装置を用いて前記測定対象設備の三次元データを取得する際の測定位置を決定する測定位置決定部と、
前記測定位置決定部で決定された前記測定対象設備の測定位置に関する情報
と前記施設内に設けられた前記測定対象設備のサイズに関する情報とを用いて、前記施設内において前記測定装置が自律移動して前記測定対象設備を巡回する際の巡回ルートを決定する巡回ルート決定部と、を備える、
巡回ルート決定システム。
【請求項2】
前記設備の測定に使用する測定装置に関する情報は、前記測定装置の測定範囲に関する情報を含み、
前記測定位置決定部は更に、前記各々の測定位置における前記測定装置の測定方向を決定する、
請求項
1に記載の巡回ルート決定システム。
【請求項3】
前記設備の測定に使用する測定装置に関する情報は、前記測定装置の分解能に関する情報を含み、
前記測定位置決定部は、取得する測定データの解像度と前記測定装置の分解能とに基づいて、前記測定装置と前記測定対象設備との距離である測定距離を決定し、当該決定された測定距離を更に用いて前記測定対象設備の測定位置を決定する、
請求項1または2に記載の巡回ルート決定システム。
【請求項4】
前記測定位置決定部は、前記測定位置情報格納部から取得した前記設備のサイズに関する情報を前記施設内に実際に設置されている測定対象設備のサイズを用いて補正し、当該補正後のサイズを用いて前記測定対象設備の測定位置を補正する、請求項
1または2に記載の巡回ルート決定システム。
【請求項5】
前記設備の測定に使用する測定装置に関する情報は、前記測定装置のサイズに関する情報を含み、
前記巡回ルート決定部は更に、前記施設内に設けられた測定対象設備のサイズに関する情報と前記測定装置のサイズに関する情報とを用いて、前記測定装置が前記測定対象設備と衝突しないように前記巡回ルートを決定する、
請求項1または2に記載の巡回ルート決定システム。
【請求項6】
前記測定位置情報格納部には、前記設備に関する情報として前記設備の三次元データが格納されるとともに、前記設備の三次元データと前記設備の三次元データを新たに測定する際の測定位置に関する情報と、が各々対応付けて格納されており、
前記測定位置決定部は、
前記施設内に設けられた測定対象設備に関する情報として、前記施設内に設けられた前記測定対象設備の三次元データを取得し、
前記測定位置情報格納部に格納されている前記設備の三次元データと、取得した前記測定対象設備の三次元データと、を照合し、
前記測定位置情報格納部に格納されている測定位置に関する情報のうち、照合結果が一致した設備の測定位置情報を用いて前記測定対象設備の測定位置を決定する、
請求項1または2に記載の巡回ルート決定システム。
【請求項7】
コンピュータが、
所定の施設内に設けられた測定対象設備
の種別および設置位置に関する情報と、前記測定対象設備の測定に使用する測定装置に関する情報と、を取得し、
複数の設備に関する情報と、測定装置を用いて前記複数の設備の三次元データを各々取得する際の測定位置に関する情報と、
前記複数の設備の種別に関する情報と、前記複数の設備のサイズに関する情報と、が各々対応付けて格納されている測定位置情報格納部
に、前記所定の施設内に設けられた測定対象設備の種別を示す識別子を供給し、前記測定位置情報格納部から前記測定対象設備
の種別に応じた測定位置に関する情報
及び前記測定対象設備のサイズに関する情報を取得し、当該取得した測定位置に関する情報
及び前記測定対象設備のサイズに関する情報と、前記測定対象設備の設置位置に関する情報と、前記測定対象設備の測定に使用する測定装置に関する情報と、に基づいて、前記測定装置を用いて前記測定対象設備の三次元データを取得する際の測定位置を決定し、
前記決定された測定対象設備の測定位置に関する情報
と前記施設内に設けられた前記測定対象設備のサイズに関する情報とを用いて、前記施設内において前記測定装置が自律移動して前記測定対象設備を巡回する際の巡回ルートを決定する、
巡回ルート決定方法。
【請求項8】
所定の施設内に設けられた測定対象設備
の種別および設置位置に関する情報と、前記測定対象設備の測定に使用する測定装置に関する情報と、を取得する処理と、
複数の設備に関する情報と、測定装置を用いて前記複数の設備の三次元データを各々取得する際の測定位置に関する情報と、
前記複数の設備の種別に関する情報と、前記複数の設備のサイズに関する情報と、が各々対応付けて格納されている測定位置情報格納部
に、前記所定の施設内に設けられた測定対象設備の種別を示す識別子を供給し、前記測定位置情報格納部から前記測定対象設備
の種別に応じた測定位置に関する情報
及び前記測定対象設備のサイズに関する情報を取得し、当該取得した測定位置に関する情報
及び前記測定対象設備のサイズに関する情報と、前記測定対象設備の設置位置に関する情報と、前記測定対象設備の測定に使用する測定装置に関する情報と、に基づいて、前記測定装置を用いて前記測定対象設備の三次元データを取得する際の測定位置を決定する処理と、
前記決定された測定対象設備の測定位置に関する情報
と前記施設内に設けられた前記測定対象設備のサイズに関する情報とを用いて、前記施設内において前記測定装置が自律移動して前記測定対象設備を巡回する際の巡回ルートを決定する処理と、を備える巡回ルート決定処理をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巡回ルート決定システム、巡回ルート決定方法、及び非一時的なコンピュータ可読媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LIDAR(Light Detection And Ranging)等の三次元距離センサを用いて、測定対象の三次元データを取得する技術が開発されている。また、このような三次元距離センサを自律移動手段に搭載して巡回させ、社会インフラ施設の三次元データを取得し、取得した三次元データを用いて施設内の設備を自動で点検する技術が開発されている。
【0003】
特許文献1には、社会インフラ施設に生じた異常箇所を効率的かつ正確に検出することが可能な巡視点検支援システムに関する技術が開示されている。特許文献2には、作業員が最新の配電系統地図に基づいて、迅速かつ効率的に停電復旧処置・巡視点検することができる配電系統地図データ配信システムに関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-9919号公報
【文献】特開2004-229456号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
背景技術で説明したように、LIDAR等の三次元距離センサを自律移動手段に搭載して巡回させ、社会インフラ施設の三次元データを取得し、取得した三次元データを用いて施設内の設備を自動で点検する技術が開発されている。
【0006】
しかしながら、社会インフラ施設(例えば、発電所や変電所など)は多数存在するため、このような施設ごとに測定装置(三次元距離センサを搭載した自律移動手段)の巡回ルートを人手で設定した場合は、巡回ルートを設定する作業が煩雑になるという問題がある。
【0007】
本開示の目的は、測定装置が巡回して所定の施設を点検する際の巡回ルートを自動で決定することが可能な巡回ルート決定システム、巡回ルート決定方法、及び非一時的なコンピュータ可読媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様にかかる巡回ルート決定システムは、複数の設備に関する情報と、測定装置を用いて前記複数の設備の三次元データを各々取得する際の測定位置に関する情報と、が各々対応付けて格納されている測定位置情報格納部と、所定の施設内に設けられた測定対象設備に関する情報と、前記測定対象設備の測定に使用する測定装置に関する情報と、前記測定位置情報格納部に格納されている前記設備毎に設定された測定位置に関する情報と、に基づいて、前記測定装置を用いて前記測定対象設備の三次元データを取得する際の測定位置を決定する測定位置決定部と、前記測定位置決定部で決定された前記測定対象設備の測定位置に関する情報を用いて、前記施設内において前記測定装置が自律移動して前記測定対象設備を巡回する際の巡回ルートを決定する巡回ルート決定部と、を備える。
【0009】
本開示の一態様にかかる巡回ルート決定方法は、所定の施設内に設けられた測定対象設備に関する情報と、前記測定対象設備の測定に使用する測定装置に関する情報と、を取得し、複数の設備に関する情報と、測定装置を用いて前記複数の設備の三次元データを各々取得する際の測定位置に関する情報と、が各々対応付けて格納されている測定位置情報格納部から前記測定対象設備に対応する設備の測定位置に関する情報を取得し、当該取得した測定位置に関する情報と、前記測定対象設備の測定に使用する測定装置に関する情報と、に基づいて、前記測定装置を用いて前記測定対象設備の三次元データを取得する際の測定位置を決定し、前記決定された測定対象設備の測定位置に関する情報を用いて、前記施設内において前記測定装置が自律移動して前記測定対象設備を巡回する際の巡回ルートを決定する。
【0010】
本開示の一態様にかかる非一時的なコンピュータ可読媒体は、所定の施設内に設けられた測定対象設備に関する情報と、前記測定対象設備の測定に使用する測定装置に関する情報と、を取得する処理と、複数の設備に関する情報と、測定装置を用いて前記複数の設備の三次元データを各々取得する際の測定位置に関する情報と、が各々対応付けて格納されている測定位置情報格納部から前記測定対象設備に対応する設備の測定位置に関する情報を取得し、当該取得した測定位置に関する情報と、前記測定対象設備の測定に使用する測定装置に関する情報と、に基づいて、前記測定装置を用いて前記測定対象設備の三次元データを取得する際の測定位置を決定する処理と、前記決定された測定対象設備の測定位置に関する情報を用いて、前記施設内において前記測定装置が自律移動して前記測定対象設備を巡回する際の巡回ルートを決定する処理と、を備える巡回ルート決定処理をコンピュータに実行させるためのプログラムが格納された非一時的なコンピュータ可読媒体である。
【発明の効果】
【0011】
本開示により、測定装置が巡回して所定の施設を点検する際の巡回ルートを自動で決定することが可能な巡回ルート決定システム、巡回ルート決定方法、及び非一時的なコンピュータ可読媒体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施の形態にかかる巡回ルート決定システムの構成例を示すブロック図である。
【
図2】測定位置情報格納部に格納されている測定位置に関する情報の一例を示す図である。
【
図3】施設内に設けられた測定対象設備の一例を示す図である。
【
図4】実施の形態にかかる巡回ルート決定システムの測定位置決定処理を説明するための図である。
【
図5】実施の形態にかかる巡回ルート決定システムの測定位置決定処理の他の例を説明するための図である。
【
図6】実施の形態にかかる巡回ルート決定システムの測定位置決定処理の他の例を説明するための図である。
【
図7】実施の形態にかかる巡回ルート決定システムの巡回ルート決定処理を説明するための図である。
【
図8】実施の形態にかかる巡回ルート決定システムの巡回ルート決定処理の他の例を説明するための図である。
【
図9】実施の形態にかかる巡回ルート決定方法を説明するためのフローチャートである。
【
図10】実施の形態にかかる巡回ルート決定システムを含むハードウェア構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、実施の形態にかかる巡回ルート決定システムの構成例を示すブロック図である。
図1に示すように、本実施の形態にかかる巡回ルート決定システム1は、測定位置情報格納部11と、測定位置決定部12と、巡回ルート決定部13と、を備える。本実施の形態にかかる巡回ルート決定システム1は、測定装置を巡回させて社会インフラ施設等の所定の施設の三次元データを取得し、取得した三次元データを用いて施設内の設備を自動で点検するシステムにおいて、測定装置の巡回ルートを決定するために用いられるシステムである。
【0014】
本実施の形態において測定装置は、LIDAR等の三次元距離センサを自律移動手段に搭載した装置である。一例を挙げると、LIDARを搭載した自律移動可能な車両、LIDARを搭載した自律移動可能なドローン、LIDARを搭載した自律移動可能なロボットなどである。なお、本実施の形態において測定装置はこれらに限定されることはなく、三次元距離センサを自律移動手段に搭載した装置であればどのような装置であってもよい。
【0015】
測定位置情報格納部11は、複数の設備に関する情報と、測定装置を用いて複数の設備の三次元データを各々取得する際の測定位置に関する情報と、を各々対応付けて格納している。具体的には、測定位置情報格納部11には、設備の種別ごとに設備のデフォルトの測定位置(三次元座標)に関する情報が格納されている。測定位置情報格納部11は、測定位置決定部12から設備(測定対象設備)の種別を示す識別子が入力されると、入力された設備に対応する測定位置に関する情報を測定位置決定部12に出力する。なお、本実施の形態において、測定装置は測定対象設備の三次元データを取得する際に、測定位置において停止して測定するものとする。
【0016】
測定位置情報格納部11には更に、設備の種別に関する情報と設備のサイズに関する情報とが各々対応づけて格納されていてもよい。この場合、測定位置情報格納部11は、測定位置決定部12から設備(測定対象設備)の種別を示す識別子が入力されると、入力された設備に対応する測定位置に関する情報とともに、入力された設備のサイズに関する情報を測定位置決定部12に出力する。なお、測定位置情報格納部11に格納されている設備のサイズに関する情報は、設備の実物のサイズであってもよく、また設備の一辺を1に正規化した値であってもよい。また、設備の種別には設備の型式が含まれていてもよく、測定位置情報格納部11には設備の型式と設備のサイズとが対応付けて格納されていてもよい。つまり、設備の種別が同一であっても型式が異なる場合は設備のサイズが異なる場合がある。よって、設備の型式を含めて管理することで、設備の測定位置を詳細に決定することができる。
【0017】
図2は、測定位置情報格納部11に格納されている測定位置に関する情報の一例を示す図である。
図2に示すように、測定位置情報格納部11には、複数の設備に関する情報と、測定装置を用いて複数の設備の三次元データを各々取得する際の測定位置に関する情報と、が各々対応付けて格納されている。具体的には、設備Aに関する情報(設備Aの識別子)と、設備A(21a)の三次元データを取得する際の測定位置31aに関する情報と、が各々対応付けて格納されている。例えば、測定位置31aに関する情報は、設備A(21a)の所定の基準点を原点とした三次元座標で表現することができる。
【0018】
同様に、測定位置情報格納部11には、設備Bに関する情報(設備Bの識別子)と、設備B(22a)の三次元データを取得する際の測定位置32a、33aに関する情報と、が各々対応付けて格納されている。同様に、測定位置情報格納部11には、設備Cに関する情報(設備Cの識別子)と、設備C(23a)の三次元データを取得する際の測定位置34a、35aに関する情報と、が各々対応付けて格納されている。同様に、測定位置情報格納部11には、設備Dに関する情報(設備Dの識別子)と、設備D(24a)の三次元データを取得する際の測定位置36a、37aに関する情報と、が各々対応付けて格納されている。
【0019】
ここで、設備の三次元データを取得する際の測定位置とは、その設備の三次元データを取得するのに好適な測定位置である。好適な測定位置とは、例えば、故障しやすい部品が設けられている箇所の三次元データを取得するのに適している位置、部品が多く設けられている箇所の三次元データを取得するのに適している位置、設備全体の三次元データを効率的に取得できる位置などである。
【0020】
図2に示すように、各々の設備の三次元データを取得する際の測定位置は、1箇所であってもよく(設備A参照)、また複数箇所であってもよい(設備B~D参照)。また、測定位置情報格納部11には設備のサイズに関する情報が含まれていてもよい。つまり、
図2に示す各々の設備21a~24aのサイズに関する情報(奥行き×幅×高さ)が含まれていてもよい。
【0021】
次に、測定位置決定部12(
図1参照)について説明する。測定位置決定部12は、所定の施設内に設けられた測定対象設備に関する情報と、測定対象設備の測定に使用する測定装置に関する情報と、測定位置情報格納部11に格納されている設備毎に設定された測定位置に関する情報と、に基づいて、測定装置を用いて測定対象設備の三次元データを取得する際の測定位置を決定する。
【0022】
施設内に設けられた測定対象設備に関する情報には、測定対象設備の種別および設置位置に関する情報が含まれていてもよい。この場合、測定位置決定部12は、測定対象設備の種別に応じた測定位置に関する情報を測定位置情報格納部11から取得し、取得した測定位置に関する情報と測定対象設備の設置位置に関する情報とを用いて、測定対象設備の測定位置を決定する。以下、測定位置決定部12における測定位置決定処理について具体的に説明する。
【0023】
図3は、施設内に設けられた測定対象設備の一例を示す図である。
図4は、本実施の形態にかかる巡回ルート決定システムの測定位置決定処理を説明するための図である。
図3に示すように、所定の施設20内には、測定対象設備A~D(21b~24b)が設けられている。例えば、所定の施設20は発電所や変電所などの社会インフラ施設である。所定の施設20が変電所である場合、測定対象設備21b~24bは、変圧器、碍子、鉄構、リード線などである。また、施設20内には測定装置25が設けられている。測定装置25は、
図3に示す位置に待機している。なお、本実施の形態にかかる発明の適用範囲は、発電所や変電所などの社会インフラ施設に限定されることはなく、他のあらゆる施設における巡回ルートの決定に適用することができる。
【0024】
測定位置決定部12は、施設20内に設けられた測定対象設備21b~24bに関する情報を取得する。具体的には、測定位置決定部12は、施設20内に設けられた測定対象設備21b~24bの種別に関する情報、施設20内における測定対象設備21b~24bの設置位置に関する情報を取得する。例えば、測定位置決定部12は、施設20内の任意の基準点を原点としたときの、測定対象設備21b~24bの三次元座標値を設置位置に関する情報としてもよい。このとき、各々の測定対象設備21b~24bを含む立体(例えば、直方体)の頂点の三次元座標値を設置位置に関する情報としてもよい。また、測定位置決定部12は、施設20内に設けられた測定対象設備21b~24bの三次元CADデータ(設計図)を取得することで、施設20内における測定対象設備21b~24bの設置位置に関する情報を取得してもよい。
【0025】
また、測定位置決定部12は、測定対象設備21b~24bの測定に使用する測定装置25に関する情報を取得する。測定装置25に関する情報は、測定装置25の性能に関する情報であり、例えば、測定装置25の測定範囲に関する情報、測定装置25の分解能に関する情報、測定装置25のサイズに関する情報、測定装置25の測定時間に関する情報などである。測定装置25の測定範囲に関する情報は、LIDARの水平方向における測定範囲および垂直方向における測定範囲に関する情報である。測定装置25の分解能に関する情報は、LIDARの水平方向における分解能(解像度)および垂直方向における分解能(解像度)に関する情報である。測定装置25の測定時間に関する情報は、LIDARを用いて所定の測定範囲で所定の分解能の三次元データを取得するために必要な時間に関する情報である。
【0026】
そして、測定位置決定部12は、取得した測定対象設備21b~24bに関する情報を用いて、測定位置情報格納部11(
図2参照)から測定対象設備21b~24bに対応する設備の測定位置31a~37aに関する情報を取得する。具体的には、測定位置決定部12は、取得した測定対象設備21b~24bに関する情報(例えば、測定対象設備21b~24bの種別を示す識別子)を測定位置情報格納部11に供給する。測定位置情報格納部11は、測定位置決定部12から供給された測定対象設備21b~24bに対応する設備21a~24aの測定位置31a~37aに関する情報を測定位置決定部12に供給する。その後、測定位置決定部12は、測定位置情報格納部11から供給された測定位置に関する情報と、測定装置25に関する情報と、に基づいて、測定装置25を用いて測定対象設備21b~24bの三次元データを取得する際の測定位置31b~37b(
図4参照)を決定する。
【0027】
測定位置決定部12は、このような処理を実施することで、
図4に示すような各々の測定対象設備21b~24bの測定位置31b~37bを決定することができる。例えば、施設20内の任意の基準点を原点とした場合、測定位置決定部12は、各々の測定位置31b~37bを三次元座標を用いて表現することができる。
【0028】
なお、
図2に示した測定位置情報格納部11に格納されている設備21a~24aの測定位置31a~37aと、
図4に示した測定位置決定部12で決定された測定対象設備21b~24bの測定位置31b~37bは各々対応している。
図2では設備および測定位置の符号に「a」を付し、
図4では測定対象設備および測定位置の符号に「b」を付し、これらを区別している。
【0029】
また、測定位置決定部12は、各々の測定位置31b~37bにおける測定装置25の測定方向(水平方向および垂直方向における測定中心の方向)を決定してもよい。つまり、測定位置決定部12は、測定装置25の測定範囲に関する情報を用いて、各々の測定位置31b~37bにおける測定装置25の測定方向(制御パラメータ)を決定してもよい。
【0030】
例えば、測定装置25の水平方向における測定範囲が360度(全範囲)の場合は、測定装置25の水平方向の測定方向を決定しなくても測定できるが、測定装置25の水平方向の測定範囲が所定の範囲内の場合は、測定装置25の水平方向の測定方向を決定する必要がある。例えば、測定装置25の水平方向における測定範囲が-180度~+180度の場合は、測定装置25の測定方向(つまり測定中心である0度の方向)が、測定対象設備と略垂直となるように水平方向の測定方向を決定してもよい。垂直方向の測定方向についても同様に決定することができる。
【0031】
また、測定位置決定部12は、取得する測定データの解像度と測定装置25の分解能とに基づいて、測定装置25と測定対象設備21b~24bとの距離である測定距離を決定し、当該決定された測定距離を更に用いて測定対象設備21b~24bの測定位置31b~37bを決定してもよい。つまり、測定装置25の測定距離が短くなるほど測定データの解像度が高くなり、測定装置25の測定距離が長くなるほど測定データの解像度は低くなる。測定位置決定部12は、取得する測定データの解像度と測定装置25の分解能とに基づいて、測定装置25の最適な測定位置を決定する。この場合、測定位置決定部12には、取得する測定データの解像度に関する情報(つまり、要求される解像度に関する情報)が予め供給される。
【0032】
また、測定位置決定部12は、測定位置情報格納部11から取得した設備のサイズに関する情報を更に用いて測定対象設備21b~24bの測定位置31b~37bを決定してもよい。このように、設備(測定対象設備21b~24b)のサイズに関する情報を用いることで、より正確に測定位置を決定することができる。
【0033】
また、測定位置決定部12は、測定位置情報格納部11から取得した設備21a~24aのサイズに関する情報を、施設20内に実際に設置されている測定対象設備21b~24bのサイズを用いて補正し、当該補正後のサイズを用いて測定対象設備21b~24bの測定位置を補正してもよい。すなわち、
図5に示すように、測定位置情報格納部11から設備21aのサイズS1と測定位置31aに関する情報(左図参照)を取得した場合であっても、サイズS1が実際の測定対象設備21b(右図参照)のサイズS2と異なる場合がある。このような場合は、測定位置情報格納部11から取得した設備21aのサイズS1を、施設20内に実際に設置されている測定対象設備21bのサイズS2を用いて補正する。そして、当該補正後のサイズを用いて、測定位置情報格納部11から取得した設備21aの測定位置31a(測定距離d1)を測定位置31b(測定距離d2)に補正してもよい。
【0034】
また、例えば、
図6に示すように測定対象設備22bと測定対象設備23bとが隣接する場合は、測定対象設備22bの測定位置32bと測定対象設備23bの測定位置34bとが重なる。このような場合、測定位置決定部12は、測定対象設備22bと測定対象設備23bとで共通の測定位置41を設定してもよい。例えば、測定装置25の水平方向における測定範囲が360度(全範囲)である場合は、測定位置41において全範囲の測定を実施することで、測定対象設備22bと測定対象設備23bの三次元データを取得することができる。測定位置決定部12は、各々の測定対象設備の測定位置が一致しない場合であっても、これらの測定位置が隣接する場合(所定の範囲内にある場合)は、各々の測定対象設備に対して共通の測定位置を設定してもよい。
【0035】
なお、本明細書では説明を簡略化するために、
図2に示した測定位置情報格納部11に格納されている設備21a~24aの平面視の形状と、
図4に示した施設20内に配置されている測定対象設備21b~24bの平面視の形状を同一とした。しかしながら、本実施の形態において測定位置決定部12は、測定位置情報格納部11に格納されている設備21a~24a毎のデフォルトの測定位置(三次元座標)31a~37aを、
図4に示した施設20内に配置されている測定対象設備21b~24bに適用する際に、施設20の座標系に変換する必要がある。
【0036】
例えば、
図2に示した測定位置情報格納部11に格納されている設備21a~24aを、
図4に示した施設20内に配置されている測定対象設備21b~24bの配置と対応するように回転させることで、設備21a~24aの測定位置31a~37aを施設20の座標系に変換してもよい。また、
図2に示した測定位置情報格納部11に格納されている設備21a~24aの形状を、
図4に示した施設20内に配置されている測定対象設備21b~24bの形状にフィッティングさせることで、設備21a~24aの測定位置31a~37aを施設20の座標系に変換してもよい。このように座標系を変換することで、施設20内の測定対象設備21b~24bの測定位置31b~37bを適切に決定することができる。
【0037】
次に、巡回ルート決定部13(
図1参照)について説明する。巡回ルート決定部13は、測定位置決定部12で決定された測定対象設備21b~24bの測定位置31b~37bに関する情報を用いて、施設20内において測定装置25が自律移動して測定対象設備21b~24bを巡回する際の巡回ルートを決定する。
【0038】
具体的には、巡回ルート決定部13は、測定位置決定部12で決定された測定対象設備21b~24bの測定位置31b~37bを各々結ぶことで、施設20内における測定装置25の巡回ルートを決定する。
図7は、本実施の形態にかかる巡回ルート決定システムの巡回ルート決定処理を説明するための図である。
図7に示すように、巡回ルート決定部13は、測定対象設備21b~24bの測定位置31b~37bを各々結ぶことで、施設20内における測定装置25の巡回ルートP1~P7を決定する。
図7に示す例では、測定対象設備24bの測定位置36b(P1)、37b(P2)、測定対象設備22bの測定位置32b(P3)、33b(P4)、測定対象設備21bの測定位置31b(P5)、測定対象設備23bの測定位置34b(P6)、35b(P7)の順に巡回するように巡回ルートP1~P7を決定している。
【0039】
巡回ルート決定部13は、施設20内に設けられた測定対象設備21b~24bのサイズに関する情報と測定装置25のサイズに関する情報とを更に用いて、測定装置25が測定対象設備21b~24bと衝突しないように巡回ルートP1~P7を決定してもよい。
【0040】
例えば、巡回ルート決定部13は、測定位置決定部12で決定された測定対象設備21b~24bの測定位置31b~37bを各々、最短ルートとなるように結ぶことで、施設20内における測定装置25の巡回ルートを決定しもよい。
【0041】
また、測定対象設備によっては測定装置25が接近できる距離が定められている場合がある。例えば、測定対象設備21b~24bが高電圧を扱う設備である場合は、測定対象設備21b~24bと測定装置25との距離を所定の距離、離す必要がある。例えば、巡回ルート決定部13は、各々の測定対象設備21b~24bの接近可能な距離に関する情報を予め取得し、当該取得した接近可能な距離に関する情報を更に用いて、測定装置25の巡回ルートを決定してもよい。
【0042】
また、測定位置決定部12が各々の測定対象設備21b~24bの接近可能な距離に関する情報を予め取得し、測定対象設備21b~24bの接近可能な距離に応じて測定対象設備21b~24bのサイズを補正(例えば、測定対象設備21b~24bのサイズを大きく補正)してもよい。このように、測定対象設備21b~24bのサイズを補正することで、巡回ルート決定部13において測定装置25の巡回ルートを決定する際に、測定対象設備21b~24bと測定装置25との距離を所定の距離、離すことができる。
【0043】
図8は、本実施の形態にかかる巡回ルート決定システムの巡回ルート決定処理の他の例を説明するための図である。
図8に示すように、例えば、施設20内に障害物28が存在する場合は、
図7に示した測定位置37bと測定位置32bとを結ぶことができない。このような場合、巡回ルート決定部13は、施設20内の障害物28に関する情報を予め取得し、当該取得した障害物28に関する情報を更に用いて、施設20内における測定装置25の巡回ルートを決定してもよい。
【0044】
図8に示す例では、測定位置37bと測定位置32bとの間に障害物28があるので、測定位置37bと測定位置32bとを結ぶことができない。この場合、巡回ルート決定部13は、測定位置37bと測定位置33bとを結ぶように巡回ルートを決定する。具体的には、巡回ルート決定部13は、測定対象設備24bの測定位置36b(P11)、37b(P12)、測定対象設備22bの測定位置33b(P13)、測定対象設備21bの測定位置31b(P14)、測定対象設備22bの測定位置32b(P15)、測定対象設備23bの測定位置34b(P16)、35b(P17)の順に巡回するように巡回ルートP11~P17を決定している。
【0045】
ここで、障害物とは、施設20内の地形に由来する障害物(地面の凹凸、樹木、池など)、天候に起因して生じた障害物(積雪、水溜など)、施設20内に存在する物体(車両、資材など)等である。
【0046】
巡回ルート決定部13において巡回ルートが決定されると、巡回ルート決定システム1は決定された巡回ルートに関する情報を出力する。例えば、巡回ルートに関する情報は、表示部50(
図10参照)に表示してもよい。例えば、表示部50には、測定対象設備21b~24bを含む施設20内の平面図、測定位置31b~37b、及び巡回ルートP1~P7を表示する。このように、表示部50に巡回ルートを表示することで、ユーザは視覚的に測定装置25の巡回ルートを確認することができる。
【0047】
また、巡回ルート決定部13において巡回ルートを決定することができない場合、巡回ルート決定システム1はアラートを出力してもよい。例えば、巡回ルート決定システム1は、アラートを表示部50(
図10参照)に表示するようにしてもよい。このようにアラートを表示部に表示することで、ユーザに測定位置や巡回ルートの修正を要求することができる。なお、巡回ルート決定部13において巡回ルートを決定することができない場合とは、例えば、測定装置25の測定位置が他の測定対象設備と重なる場合、測定装置25の測定範囲が測定位置決定部12で決定された測定範囲に設定できない場合などである。
【0048】
以上で説明したように、本実施の形態にかかる発明では、複数の設備21a~24aに関する情報と、測定装置25を用いて複数の設備21a~24aの三次元データを各々取得する際の測定位置31a~37aに関する情報と、を各々対応付けて測定位置情報格納部11に格納している(
図2参照)。測定位置決定部12は、所定の施設20内に設けられた測定対象設備21b~24bに関する情報と、測定対象設備21b~24bの測定に使用する測定装置25に関する情報と、測定位置情報格納部11に格納されている設備21a~24a毎に設定された測定位置31a~37aに関する情報と、に基づいて、測定装置25を用いて測定対象設備21b~24bの三次元データを取得する際の測定位置31b~37bを決定している(
図4参照)。巡回ルート決定部13は、測定位置決定部12で決定された測定対象設備21b~24bの測定位置31b~37bに関する情報を用いて、施設20内において測定装置25が自律移動して測定対象設備21b~24bを巡回する際の巡回ルートP1~P7を決定している(
図7参照)。
【0049】
このように本実施の形態にかかる発明では、測定装置の巡回ルートを人手で設定する必要がないので、巡回ルートを設定する作業が煩雑になることを抑制できる。つまり、本実施の形態にかかる発明により、測定装置が巡回して所定の施設を点検する際の巡回ルートを自動で決定することができる。
【0050】
なお、本実施の形態にかかる発明において、測定位置情報格納部11は、設備21a~24aに関する情報として設備21a~24aの三次元データ(例えば、点群データやCADデータ)を格納していてもよい。つまり、測定位置情報格納部11は、設備21a~24aの三次元データ(例えば、点群データやCADデータ)と、設備21a~24aの三次元データを新たに測定する際の測定位置31a~37aに関する情報と、を各々対応付けて格納してもよい。
【0051】
この場合、測定位置決定部12は、施設20内に設けられた測定対象設備21b~24bに関する情報として、施設20内に設けられた測定対象設備21b~24bの三次元データ(例えば、点群データやCADデータ)を取得する。そして、測定位置決定部12は、測定位置情報格納部11に格納されている設備21a~24aの三次元データと、取得した測定対象設備21b~24bの三次元データと、を照合する。その後、測定位置決定部12は、測定位置情報格納部11に格納されている測定位置に関する情報のうち、照合結果が一致した設備の測定位置情報を用いて測定対象設備21b~24bの測定位置31b~37bを決定してもよい。
【0052】
例えば、測定位置情報格納部11には設備21a~24aの三次元データの特徴点が格納されていてもよい。この場合、測定位置決定部12は、施設20内に設けられた測定対象設備21b~24bの三次元データから特徴点を抽出し、測定位置情報格納部11に格納されている設備21a~24aの三次元データの特徴点と比較する。そして、最も形状が似ている設備を抽出し、当該抽出された設備の測定位置を測定対象設備の測定位置としてもよい。
【0053】
また、本実施の形態において測定位置決定部12は、測定対象設備21b~24bの各々の測定位置31b~37bにおける測定装置25の測定条件を決定してもよい。この場合は、測定装置25が各々の測定位置31b~37bに到達すると、測定装置25の測定条件が、各々の測定位置31b~37bにおける測定条件に自動的に設定されるようにしてもよい。
【0054】
次に、本実施の形態にかかる巡回ルート決定方法について説明する。
図9は、本実施の形態にかかる巡回ルート決定方法を説明するためのフローチャートである。
図9に示す測定位置情報格納部11は、
図1、
図2に示した測定位置情報格納部11に対応している。測定位置情報格納部11には予め、複数の設備21a~24aに関する情報と、測定装置25を用いて複数の設備の三次元データを各々取得する際の測定位置31a~37aに関する情報と、が各々対応付けて格納されているものとする。
【0055】
巡回ルートを決定する際、まず、測定位置決定部12は、施設20内に設けられた測定対象設備21b~24bに関する情報と、測定対象設備21b~24bの測定に使用する測定装置25に関する情報と、を取得する(ステップS1、
図3参照)。
【0056】
次に、測定位置決定部12は、測定位置情報格納部11から測定対象設備21b~24bに対応する設備21a~24aの測定位置31a~37aに関する情報を取得する。そして、取得した測定位置31a~37aに関する情報と、測定対象設備21b~24bの測定に使用する測定装置25に関する情報と、に基づいて、測定装置25を用いて測定対象設備21b~24bの三次元データを取得する際の測定位置31b~37bを決定する(ステップS2、
図4参照)。
【0057】
その後、巡回ルート決定部13は、ステップS2で決定された測定対象設備21b~24bの測定位置31b~37bに関する情報を用いて、施設20内において測定装置25が自律移動して測定対象設備21b~24bを巡回する際の巡回ルートを決定する(ステップS3、
図7参照)。
【0058】
なお、巡回ルート決定方法の詳細については、上述した巡回ルート決定システムの動作と同様であるので重複した説明は省略する。
【0059】
本実施の形態は、各構成要素の処理を、CPU(Central Processing Unit)にコンピュータプログラムを実行させることにより実現することも可能である。
【0060】
つまり、所定の施設内に設けられた測定対象設備に関する情報と、前記測定対象設備の測定に使用する測定装置に関する情報と、を取得する処理と、
複数の設備に関する情報と、測定装置を用いて前記複数の設備の三次元データを各々取得する際の測定位置に関する情報と、が各々対応付けて格納されている測定位置情報格納部から前記測定対象設備に対応する設備の測定位置に関する情報を取得し、当該取得した測定位置に関する情報と、前記測定対象設備の測定に使用する測定装置に関する情報と、に基づいて、前記測定装置を用いて前記測定対象設備の三次元データを取得する際の測定位置を決定する処理と、
前記決定された測定対象設備の測定位置に関する情報を用いて、前記施設内において前記測定装置が自律移動して前記測定対象設備を巡回する際の巡回ルートを決定する処理と、を備える巡回ルート決定処理のプログラムを、コンピュータに実行させることで、実現してもよい。
【0061】
図10は、本実施の形態にかかる巡回ルート決定システムを含むハードウェア構成例を説明するためのブロック図である。
図10に示すように、本実施の形態にかかる巡回ルート決定システム1は、CPU(101)とメモリ102とを備える演算処理装置100と、測定位置情報格納部11と、を用いて構成することができる。測定位置情報格納部11は、例えばHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等のストレージデバイスを用いて構成することができる。測定位置情報格納部11には、複数の設備に関する情報と、測定装置を用いて複数の設備の三次元データを各々取得する際の測定位置に関する情報と、が各々対応付けて格納されている。
【0062】
また、上述の巡回ルート決定処理のプログラムをCPU(101)で実行させることで巡回ルート決定システム1(測定位置決定部12および巡回ルート決定部13)を構成することができる。演算処理装置100には、表示部50および入力部60が接続されている。
【0063】
表示部50は、液晶ディスプレイや有機EL(electro-luminescence)ディスプレイ等を用いて構成されている。表示部50には、巡回ルート決定システム1で決定された巡回ルートに関する情報が表示される。例えば、表示部50には、測定対象設備21b~24bを含む施設20内の平面図、測定位置31b~37b、及び巡回ルートP1~P7が表示される(
図7参照)。
【0064】
また、巡回ルート決定システム1は、巡回ルートを決定することができない場合、表示部50にアラートを表示してもよい。このようにアラートを表示部50に表示することで、ユーザに測定位置や巡回ルートの修正を要求することができる。例えば、ユーザは入力部60(キーボードやマウス等)を操作することで、測定位置や巡回ルートを修正してもよい。
【0065】
また、演算処理装置100(巡回ルート決定システム1)は、巡回ルート決定処理で決定された巡回ルートに関する情報を測定装置25に送信可能に構成されていてもよい。測定装置25は、演算処理装置100から巡回ルートに関する情報が供給されると、供給された巡回ルートに関する情報(巡回ルート、測定条件、測定スケジュール等)に基づいて測定を開始する。
【0066】
巡回ルート決定システム1(演算処理装置100と測定位置情報格納部11)は、各々の施設20に設けられていてもよい。また、演算処理装置100(測定位置決定部12および巡回ルート決定部13)を各々の施設20に設け、測定位置情報格納部11をクラウドサーバで構成してもよい。この場合は、各々の施設20に設けられた複数の演算処理装置100で、測定位置情報格納部11を共有することができる。
【0067】
また、巡回ルート決定システム1(演算処理装置100と測定位置情報格納部11)は、アプリケーションサーバとして構成されていてもよい。巡回ルート決定システム1をアプリケーションサーバとして構成した場合は、複数のユーザ(施設)が巡回ルート決定システム1にアクセスして巡回ルート決定処理を実施することができる。
【0068】
また、上記の実施の形態において、プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実態のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(具体的にはフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(具体的には光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(具体的には、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM))、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory)を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0069】
なお、本開示は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。また、本開示は、それぞれの実施形態を適宜組み合わせて実施されてもよい。
【0070】
上記の実施の形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
【0071】
(付記1)
複数の設備に関する情報と、測定装置を用いて前記複数の設備の三次元データを各々取得する際の測定位置に関する情報と、が各々対応付けて格納されている測定位置情報格納部と、
所定の施設内に設けられた測定対象設備に関する情報と、前記測定対象設備の測定に使用する測定装置に関する情報と、前記測定位置情報格納部に格納されている前記設備毎に設定された測定位置に関する情報と、に基づいて、前記測定装置を用いて前記測定対象設備の三次元データを取得する際の測定位置を決定する測定位置決定部と、
前記測定位置決定部で決定された前記測定対象設備の測定位置に関する情報を用いて、前記施設内において前記測定装置が自律移動して前記測定対象設備を巡回する際の巡回ルートを決定する巡回ルート決定部と、を備える、
巡回ルート決定システム。
【0072】
(付記2)
前記施設内に設けられた前記測定対象設備に関する情報は、前記測定対象設備の種別および設置位置に関する情報を含み、
前記測定位置決定部は、前記測定対象設備の種別に応じた測定位置に関する情報を前記測定位置情報格納部から取得し、当該取得した測定位置に関する情報と前記測定対象設備の設置位置に関する情報とを用いて、前記測定対象設備の測定位置を決定する、
付記1に記載の巡回ルート決定システム。
【0073】
(付記3)
前記設備の測定に使用する測定装置に関する情報は、前記測定装置の測定範囲に関する情報を含み、
前記測定位置決定部は更に、前記各々の測定位置における前記測定装置の測定方向を決定する、
付記1または2に記載の巡回ルート決定システム。
【0074】
(付記4)
前記設備の測定に使用する測定装置に関する情報は、前記測定装置の分解能に関する情報を含み、
前記測定位置決定部は、取得する測定データの解像度と前記測定装置の分解能とに基づいて、前記測定装置と前記測定対象設備との距離である測定距離を決定し、当該決定された測定距離を更に用いて前記測定対象設備の測定位置を決定する、
付記1~3のいずれか一項に記載の巡回ルート決定システム。
【0075】
(付記5)
前記測定位置情報格納部には更に、前記設備の種別に関する情報と前記設備のサイズに関する情報とが各々対応づけて格納されており、
前記測定位置決定部は、前記測定位置情報格納部から取得した前記設備のサイズに関する情報を更に用いて前記測定対象設備の測定位置を決定する、
付記1~4のいずれか一項に記載の巡回ルート決定システム。
【0076】
(付記6)
前記測定位置決定部は、前記測定位置情報格納部から取得した前記設備のサイズに関する情報を前記施設内に実際に設置されている測定対象設備のサイズを用いて補正し、当該補正後のサイズを用いて前記測定対象設備の測定位置を補正する、付記5に記載の巡回ルート決定システム。
【0077】
(付記7)
前記巡回ルート決定部は、前記測定位置決定部で決定された前記測定対象設備の測定位置を各々結ぶことで前記施設内における前記測定装置の巡回ルートを決定する、付記1~6のいずれか一項に記載の巡回ルート決定システム。
【0078】
(付記8)
前記設備の測定に使用する測定装置に関する情報は、前記測定装置のサイズに関する情報を含み、
前記巡回ルート決定部は更に、前記施設内に設けられた測定対象設備のサイズに関する情報と前記測定装置のサイズに関する情報とを用いて、前記測定装置が前記測定対象設備と衝突しないように前記巡回ルートを決定する、
付記1~7のいずれか一項に記載の巡回ルート決定システム。
【0079】
(付記9)
前記巡回ルート決定部は、前記各々の測定対象設備の接近可能な距離に関する情報を取得し、当該取得した前記各々の測定対象設備の接近可能な距離に関する情報を更に用いて、前記測定装置の巡回ルートを決定する、付記1~8のいずれか一項に記載の巡回ルート決定システム。
【0080】
(付記10)
前記測定位置決定部は、前記各々の測定対象設備の接近可能な距離に関する情報を取得し、当該取得した測定対象設備の接近可能な距離に応じて前記測定対象設備のサイズを補正し、
前記巡回ルート決定部は、前記補正後の測定対象設備のサイズを用いて前記測定装置の巡回ルートを決定する、
付記1~8のいずれか一項に記載の巡回ルート決定システム。
【0081】
(付記11)
前記巡回ルート決定部は、前記施設内に存在する障害物に関する情報を取得し、当該取得した障害物に関する情報を更に用いて、前記施設内における前記測定装置の巡回ルートを決定する、付記1~10のいずれか一項に記載の巡回ルート決定システム。
【0082】
(付記12)
前記測定位置情報格納部には、前記設備に関する情報として前記設備の三次元データが格納されるとともに、前記設備の三次元データと前記設備の三次元データを新たに測定する際の測定位置に関する情報と、が各々対応付けて格納されており、
前記測定位置決定部は、
前記施設内に設けられた測定対象設備に関する情報として、前記施設内に設けられた前記測定対象設備の三次元データを取得し、
前記測定位置情報格納部に格納されている前記設備の三次元データと、取得した前記測定対象設備の三次元データと、を照合し、
前記測定位置情報格納部に格納されている測定位置に関する情報のうち、照合結果が一致した設備の測定位置情報を用いて前記測定対象設備の測定位置を決定する、
付記1~11のいずれか一項に記載の巡回ルート決定システム。
【0083】
(付記13)
所定の施設内に設けられた測定対象設備に関する情報と、前記測定対象設備の測定に使用する測定装置に関する情報と、を取得し、
複数の設備に関する情報と、測定装置を用いて前記複数の設備の三次元データを各々取得する際の測定位置に関する情報と、が各々対応付けて格納されている測定位置情報格納部から前記測定対象設備に対応する設備の測定位置に関する情報を取得し、当該取得した測定位置に関する情報と、前記測定対象設備の測定に使用する測定装置に関する情報と、に基づいて、前記測定装置を用いて前記測定対象設備の三次元データを取得する際の測定位置を決定し、
前記決定された測定対象設備の測定位置に関する情報を用いて、前記施設内において前記測定装置が自律移動して前記測定対象設備を巡回する際の巡回ルートを決定する、
巡回ルート決定方法。
【0084】
(付記14)
所定の施設内に設けられた測定対象設備に関する情報と、前記測定対象設備の測定に使用する測定装置に関する情報と、を取得する処理と、
複数の設備に関する情報と、測定装置を用いて前記複数の設備の三次元データを各々取得する際の測定位置に関する情報と、が各々対応付けて格納されている測定位置情報格納部から前記測定対象設備に対応する設備の測定位置に関する情報を取得し、当該取得した測定位置に関する情報と、前記測定対象設備の測定に使用する測定装置に関する情報と、に基づいて、前記測定装置を用いて前記測定対象設備の三次元データを取得する際の測定位置を決定する処理と、
前記決定された測定対象設備の測定位置に関する情報を用いて、前記施設内において前記測定装置が自律移動して前記測定対象設備を巡回する際の巡回ルートを決定する処理と、を備える巡回ルート決定処理をコンピュータに実行させるためのプログラムが格納された非一時的なコンピュータ可読媒体。
【符号の説明】
【0085】
1 巡回ルート決定システム
11 測定位置情報格納部
12 測定位置決定部
13 巡回ルート決定部
21a~24a 設備
21b~24b 測定対象設備
25 測定装置
31a~37a 測定位置
31b~37b 測定位置
P1~P7、P11~P17 巡回ルート
50 表示部
60 入力部
100 演算処理装置
101 CPU
102 メモリ