(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】車両用表示装置及び車両用表示方法
(51)【国際特許分類】
B60R 11/02 20060101AFI20240925BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20240925BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20240925BHJP
G09G 5/37 20060101ALI20240925BHJP
G09G 5/373 20060101ALI20240925BHJP
G06F 3/0481 20220101ALI20240925BHJP
【FI】
B60R11/02 C
B60R16/02 630L
G09G5/00 510A
G09G5/00 530H
G09G5/00 550C
G09G5/37 300
G09G5/373 100
G09G5/373 200
G09G5/37 600
G06F3/0481
(21)【出願番号】P 2023531148
(86)(22)【出願日】2021-06-28
(86)【国際出願番号】 JP2021024353
(87)【国際公開番号】W WO2023275931
(87)【国際公開日】2023-01-05
【審査請求日】2023-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】弁理士法人とこしえ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長澤 那津子
(72)【発明者】
【氏名】笹沼 慶与
【審査官】菅 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-182150(JP,A)
【文献】特開2008-195393(JP,A)
【文献】特開2017-185847(JP,A)
【文献】特開2005-022590(JP,A)
【文献】特開2020-160180(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 11/02
B60R 16/02
G09G 5/00
G09G 5/37
G09G 5/373
G06F 3/0481
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の走行制御に用いられる第1情報を表示する第1領域と、前記第1領域より前記車両の運転席から遠い位置に設けられて前記第1情報以外の第2情報を表示する第2領域とを有し、前記運転席の前方に設置されている表示部と、
ユーザーの操作により、前記表示部に表示された情報の表示部分を拡大する、又は前記表示部に新たな情報を追加することのうち少なくとも一つを行う制御部と、
前記第1領域に表示された前記第1情報の前記表示部分を拡大する場合、又は前記第1領域に新たな前記第1情報を追加する場合に、拡大された前記第1情報の前記表示部分の大きさ、又は追加される新たな前記第1情報の前記表示部分の大きさが、前記第1領域よりも大きいか否かを判定する判定部と、を備える車両用表示装置において、
前記制御部は、前記判定部が、拡大された前記第1情報の前記表示部分の大きさ、又は追加される新たな前記第1情報の前記表示部分の大きさが前記第1領域よりも大きいと判定した場合に、前記第2領域を縮小するとともに前記第1領域を拡大し、拡大した前記第1領域に、前記表示部分が拡大された又は新たな前記第1情報を表示し、
前記判定部は、
前記第1領域を縮小し又は前記第2領域を拡大する前記ユーザーの操作が入力された場合に、前記第2情報の前記表示部分の外縁が、前記車両の運転者から見てステアリングホイール又は前記運転者の手と重なるか否かを判定し、
前記制御部は、前記判定部
にて、前記外縁が、前記ステアリングホイール又は前記運転者の手と重なると判定した場合には、前記運転者に、前記第1領域を縮小し又は前記第2領域を拡大する承諾を求める、車両用表示装置。
【請求項2】
前記判定部は、前記第2領域に表示された前記第2情報の前記表示部分を拡大する場合、又は前記第2領域に新たな前記第2情報を追加する場合に、拡大された前記第2情報の前記表示部分の大きさ、又は追加された新たな前記第2情報の前記表示部分の大きさが、前記第2領域よりも大きいか否かを判定し、
前記制御部は、前記判定部が、拡大された前記第2情報の前記表示部分の大きさ、又は追加された新たな前記第2情報の前記表示部分の大きさが前記第2領域よりも大きいと判定した場合に、前記第2領域の大きさを維持し、前記第2領域の大きさに合わせるように前記第2情報の前記表示部分の大きさを調整する、請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項3】
前記表示部は、前記ユーザーの指触により前記車両用表示装置を操作するタッチ操作部を備え、
前記タッチ操作部は、前記第2情報の表示を変更する入力を受け付け、前記第1情報の表示を変更する入力は受け付けない、請求項1
又は2に記載の車両用表示装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第1領域を縮小する操作が前記ユーザーから入力された場合に、前
記運転者の
前記承諾が得られたときは、その操作にしたがって前記第1領域を縮小し又は前記第2領域を拡大する、請求項1
~3のいずれか一項に記載の車両用表示装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記表示部に表示されるポップアップウィンドウにより前記運転者に承諾を求める、請求項
1~4
のいずれか一項に記載の車両用表示装置。
【請求項6】
前記ポップアップウィンドウは、前記表示部の運転席側に表示される、請求項5に記載の車両用表示装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記第1領域の表示を制御する第1制御部と、前記第2領域の表示を制御する第2制御部とを備え、
前記ポップアップウィンドウの表示は、前記第1制御部にて行われる、請求項5又は6に記載の車両用表示装置。
【請求項8】
ステアリングホイールに備えられ、前記表示部に操作を入力する入力部を備え、
前記入力部から、前記表示部の表示を変更する操作が入力された場合は、前記制御部は、前記表示部の表示を変更するための承諾を求めない、請求項1~7のいずれか一項に記載の車両用表示装置。
【請求項9】
前記表示部は、第1表示部と、前記第1表示部と異なり、車幅方向において前記第1表示部より前記運転席から離れて設置された第2表示部とを備え、
前記第2表示部には、前記第2情報が表示される、請求項1~8のいずれか一項に記載の車両用表示装置。
【請求項10】
前記表示部の車幅方向の長さは、前記車両の全幅の30~50%である、請求項1~9のいずれか一項に記載の車両用表示装置。
【請求項11】
車両の走行制御に用いられる第1情報を表示する第1領域と、前記第1領域より前記車両の運転席から遠い位置に設けられて前記第1情報以外の第2情報を表示する第2領域とを有し、前記運転席の前方に設置されている表示部と、プロセッサとを用いて表示を行う、車両用表示方法において、
ユーザーの操作により、前記表示部に表示された情報の表示部分を拡大する、又は前記表示部に新たな情報を追加することのうち少なくとも一つを行う際に、前記プロセッサは、
前記第1領域に表示された前記第1情報の前記表示部分を拡大する場合、又は前記第1領域に新たな前記第1情報を追加する場合に、拡大された前記表示部分の大きさ、又は追加された新たな前記第1情報の前記表示部分の大きさが、前記第1領域よりも大きいか否かを判定し、
拡大された前記表示部分の大きさ、又は追加された新たな前記第1情報の前記表示部分の大きさが前記第1領域よりも大きいと判定した場合は、前記第2領域を縮小するとともに前記第1領域を拡大し、拡大した前記第1領域に、前記表示部分が拡大された又は新たな前記第1情報を表示し、
前記第1領域を縮小し又は前記第2領域を拡大する前記ユーザーの操作が入力された場合に、前記第2情報の前記表示部分の外縁が、前記車両の運転者から見てステアリングホイール又は前記運転者の手と重なるか否かを判定し、
前記外縁が、前記ステアリングホイール又は前記運転者の手と重なると判定した場合には、前記運転者に、前記第1領域を縮小し又は前記第2領域を拡大する承諾を求める、車両用表示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両において情報を表示する車両用表示装置及び車両用表示方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
アプリケーションプログラムのアイコンが表示されたメニュー画面のような、プログラムの機能に関する情報が表示された特定画面を、運転席側の第1表示部、又は助手席側の第2表示部に表示させる場合に、特定画面が、第1表示部にも第2表示部にも表示されていない状態で、当該アプリケーションプログラムに関連する情報が入力されたときは、予め定められた表示部に特定画面を表示させる方法が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
たとえば、アプリケーションプログラムが電話による通話機能を有し、着信を知らせる特定画面を表示させるとすると、上記従来技術では、着信を知らせる特定画面が、車両の走行中に運転席側の第1表示部に表示される場合がある。このように、車両の走行中に運転席側の表示部の表示を切り替えると、運転者が車両の走行を制御するために必要な情報が、十分な大きさで表示されなくなるおそれがある。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、表示を変更しても、走行制御に必要な情報が十分な大きさで運転者に表示される車両用表示装置及び車両用表示方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、車両の走行制御に用いられる第1情報を表示する第1領域に表示された第1情報の表示部分を拡大する場合、又は第1領域に新たな第1情報を追加する場合に、拡大された表示部分の大きさ、又は追加された新たな第1情報の表示部分の大きさが、第1領域よりも大きいか否かを判定し、拡大された表示部分の大きさ、又は追加された新たな第1情報の表示部分の大きさが第1領域よりも大きいと判定した場合は、第1情報以外の第2情報を表示する第2領域を縮小するとともに第1領域を拡大し、拡大した第1領域に、表示部分が拡大された又は新たな第1情報を表示する。さらに、第1領域を縮小し又は第2領域を拡大する操作が入力された場合に、第2情報の表示部分の外縁が、車両の運転者から見てステアリングホイール又は運転者の手と重なるか否かを判定し、第2情報の表示部分の外縁が、ステアリングホイール又は運転者の手と重なると判定した場合には、運転者に、第1領域を縮小し又は第2領域を拡大する承諾を求めることによって上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、表示部の表示が変更されたとしても、走行制御に必要な情報を十分な大きさで運転者に表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明に係る車両用表示装置の実施形態の一つを示すブロック図である。
【
図2B】
図1の第1表示部及び第2表示部の一例を示す正面図である。
【
図3A】
図1の入力部の一例を示す正面図である(その1)。
【
図3B】
図1の入力部の一例を示す正面図である(その2)。
【
図4】
図1の表示部、タッチ操作部、入力部、制御部、第1制御部、及び第2制御部の関係を示すブロック図である。
【
図5A】
図1の表示部11にて第1領域を拡大する場合の一例を示す正面図である(その1)。
【
図5B】
図1の表示部11にて第1領域を拡大する場合の一例を示す正面図である(その2)。
【
図6】
図1の制御部による表示変更の一例を示す遷移図である。
【
図7A】
図6にて、表示形態が第2モードから第3モードに変更される場合に表示されるポップアップウィンドウの一例を示す正面図である。
【
図7B】
図6にて、表示形態が第3モードから第2モードに変更される場合に表示されるポップアップウィンドウの一例を示す正面図である。
【
図8A】
図1の車両用表示装置における情報処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図8B】
図1の車両用表示装置における情報処理の手順の別の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る車両用表示装置及び車両用表示方法の実施形態を図面に基づいて説明する。以下に説明する車両は、車両の左側に運転席とステアリングホイールが設置されているものとし、車両の右側に運転席とステアリングホイールが設置されている車両については、以下の説明の右と左を対称にして読み替えるものとする。
【0010】
[車両用表示装置]
図1は、本発明に係る車両用表示装置1を示すブロック図である。これまでは、車速、エンジン回転数、水温、自律走行制御の状態など車両の走行状態を示す情報はインストルメントパネルの運転席の正面に組み込まれた計器類に表示され、ナビゲーション装置の地図情報、エアコンの温度設定、音楽プレーヤーなど車両の走行状態に関係しない情報は、たとえば、インストルメントパネルの運転者と助手席の間に設置されたディスプレイに表示されていた。本発明に係る車両用表示装置1では、インストルメントパネルの運転席の正面に表示されていた情報と、それ以外に表示されていた情報とを同じ表示装置で表示する場合に、運転者が車両の走行を制御するために必要な情報を表示する領域を確保することで、運転者に十分な大きさで必要な情報を表示することができる。
【0011】
図1に示すように、車両用表示装置1は、表示部11、タッチ操作部12、入力部13、及び制御装置14を備える。車両用表示装置1を構成する機器は、たとえばCAN(Controller Area Network)に代表される、有線又は無線LANなどの公知の手段により、互いにデータの授受が可能な状態で接続されている。なお、制御装置14は、表示部11、タッチ操作部12、及び入力部13と共に設けられている必要はなく、車両から離れた遠隔地のサーバーに設けてもよい。
【0012】
表示部11は、ユーザーに情報を提供するための表示装置であり、たとえば液晶ディスプレイ、ヘッドアップディスプレイ(HUD)などのプロジェクターなどである。ユーザーには、運転者のほかに、助手席及び後部座席の乗員、並びに、車両から離れた位置に存在し、アバター(分身)を用いて仮想的に乗車している乗員が含まれる。本実施形態では、表示部11は、車両の運転席の前方に設置され、その車幅方向の長さは、たとえば、一般的な車両の全幅に対して30~50%である。一般的な車両の全幅が1.5m程度であれば、表示部11の長さは45~75cmであり、これは、ディスプレイのサイズに換算すると、20~35型(インチ)程度になる。これにより、ユーザーの操作性と、表示部11の大きさとをバランスさせることができる。また、表示部11は、ハードウェアデバイスとして単一の表示部であってもよいが、たとえば
図1に示すように、ハードウェアデバイスとして、第1表示部11aと、第1表示部11aとは異なり、車幅方向において第1表示部11aより助手席側に設置された第2表示部11bとの二つの表示部を備えていてもよい。また、表示部11は、ハードウェアデバイスとして3つ以上の表示部から構成されていてもよいし、情報を表示する画面に加えて、スピーカーを備えていてもよい。
【0013】
図2Aは、表示部11の一例を示す平面図である。
図2Aにおいて、表示部11は、車両のインストルメントパネルIP内に設置されており、車両の走行制御に用いられる情報(以下、「第1情報」ともいう)を表示する第1領域A1と、第1情報以外の、車両の走行制御に用いられない情報(以下、「第2情報」ともいう)を表示する第2領域A2とを有する。第1領域A1と第2領域A2とは、表示部11の中央付近に破線にて示してた境界Bにより区切られており、第1領域A1と第2領域A2の大きさは、ユーザーの操作、及び制御装置14からの指示により変更することができる。車両の走行制御に用いられる情報は、主に運転者が利用する情報であるため、第1領域A1は、表示部11において運転席側に設けられる。つまり、第1領域A1は、第2領域A2よりも運転席に近い位置に設けられ、第2領域A2は、第1領域A1より車両の運転席から遠い位置に設けられる。
【0014】
図2Aの第1領域A1では、車両の走行制御に用いられる情報が、ハッチングが付されたD11で示す部分に表示されている。車両の走行制御に用いられる情報とは、たとえば、車両の速度制御、操舵制御、及び安定性制御などの制御に用いられる情報であり、車両の走行状態を示す情報として、車両の各種センサーから取得された情報が含まれる。車両の安定性制御とは、たとえば、車両のロール角度及びヨー角度を制御して車両の横滑りを抑制するような制御のことである。第1領域A1に表示される情報としては、車両の走行速度と加速度、エンジンの回転数、冷却水及びエンジンオイルの温度、パーキングブレーキの作動状態、変速ギアの位置、方向指示器の作動状態、前照灯の灯火状態、ワイパーの作動状態、車両の角速度などが挙げられる。また、車両の走行状態を示す情報として、センサーから取得された情報以外に、車両の自律走行支援の状態を示す情報が含まれる。たとえば、自律速度制御又は自律操舵制御のいずれか一方の支援のみを行っていることを示す情報、速度制御と操舵制御とを自律制御していることを示す情報、車線変更支援を実行していることを示す情報、自律走行支援で先行車両に追従していることを示す情報などが挙げられる。
【0015】
一方、
図2Aの第2領域A2では、車両の走行制御に用いられない情報が、ハッチングが付されたD21、D22、及びD23で示す部分に表示されている。車両の走行制御に用いられない情報とは、たとえば、車両の速度制御、操舵制御、及び安定性制御などの制御に用いられない情報であり、車両の走行状態を示さない情報である。たとえば、ナビゲーション装置の地図情報、ラジオ、音楽プレーヤー、DVDプレーヤーなどの車内のAV機器の操作情報、ゲームなどのアプリケーションの情報、表示部11の背景となる画像情報などが挙げられる。特に、本実施形態の表示部11では、第1表示部11aと異なり、車幅方向において第1表示部11aより運転席から離れて設置された第2表示部11bに第2情報が表示される。
図2Aの第2領域A2では、D21、D22、及びD23の3つの部分に分けて情報が表示されているが、第2領域A2における情報表示の形態は特に限定されず、情報ごとに複数の部分に分けて表示してもよいし、一つの部分としてまとめて表示してもよい。また、第2領域A2に何も情報が表示されていない部分が存在してもよい。
【0016】
図2Aに示す領域Xは、運転者から見てステアリングホイールが存在する領域と、運転者から見てステアリングホイールを操作する運転者の手が通過する領域とを合わせた領域である。以下、領域Xをステアリングホイール操作領域ともいう。本実施形態の表示部11は、第1領域A1のうちステアリングホイール操作領域Xに含まれる部分、つまり、運転者から見てステアリングホイール又は運転者の手と重なる部分には、情報を表示しない。これは、ステアリングホイールや手の陰に表示された情報は運転者から視認できないため、車両の走行制御に用いられる情報がステアリングホイール操作領域Xと重なる部分に表示されると、運転者が車両の走行状態を把握できず、運転に集中できなくなるからである。
図2Aの場合では、第1領域A1にて車両の走行制御に用いられる情報がD11の部分に表示されているが、D11の外縁は、運転者から見て領域Xに含まれないようになっている。これに対して、第2領域A2に表示される情報は、
図2Aの表示部分D21のように、運転者から見てステアリングホイール操作領域Xに含まれていてもよい。これは、車両の走行制御に用いられない情報を運転者が視認できないとしても、運転操作に支障がないからである。
【0017】
図2Bは、表示部11の別の例を示す平面図である。
図2Bの表示部は、第1表示部11a及び第2表示部11bからなり、どちらも車両のインストルメントパネルIP内に設置されている。第1表示部11aと第2表示部11bは異なる表示部であり、第2表示部11bは、車幅方向において第1表示部11aより助手席側に設置されている。
図2Bでは、第1表示部11aが第1領域A1に、第2表示部11bが第2領域A2に、それぞれ設定されている。そのため、第1表示部11aには車両の走行制御に用いられる情報が表示され、第2表示部11bには車両の走行制御に用いられない情報が表示されることになる。また、第1表示部11aと第2表示部11bとを一つの表示領域として、表示される情報を制御することができ、二つの表示部11a、11bをまたいで第1領域A1又は第2領域A2を設定してもよい。
【0018】
図2Bの第1領域A1では、
図2Aの第1領域A1と異なり、車両の走行制御に用いられる情報が、ハッチングが付されたD12、D13、及びD14の3つの部分に分けて表示されている。表示部分D12には、たとえば車速が表示され、
図2Bでは車両が40km/hで走行しているので、「40」と表示される。表示部分D13には、たとえばエンジンの回転数がrpmの単位で表示される。表示部分D14には、たとえば、パーキングブレーキの作動状態、ギアの位置、方向指示器の作動状態、前照灯の灯火状態、ワイパーの作動状態、自律走行支援の状態などを示すアイコンが表示される。
【0019】
図2Bの第1領域A1にてステアリングホイール操作領域Xに含まれている部分には、
図2Aの場合と同様に、表示部分D12、D13、及びD14の外縁が含まれていない。また、
図2Bの第1領域A1では、D12、D13、及びD14の3つの部分に分けて情報が表示されているが、第1領域A1における情報表示の形態は特に限定されず、情報ごとに複数の部分に分けて表示してもよいし、
図2Aの第1領域A1のように、一つの部分としてまとめて表示してもよい。また、第2領域A2に何も情報が表示されていない部分が存在してもよい。
【0020】
一方、
図2Bの第2領域A2では、
図2Aの第2領域A2と異なり、車両の走行制御に用いられない情報が、ハッチングが付されたD24、D25、D26、及びD27の4つの部分に分けて表示されている。また、運転者が視認できなくとも運転操作に支障がないため、
図2Aの表示部分D21と同様に、
図2Bの表示部分D24は、その外縁が運転者から見てステアリングホイール操作領域Xに含まれる位置に表示される。なお、第1領域A1が第1表示部11aに対応し、第2領域A2が第2表示部11bに対応している必要はなく、第1表示部11aの一部が第1領域A1設定され、第1表示部11aのうち第1領域A1に含まれない部分と第2表示部11bが第2領域A2に設定されてもよい。
【0021】
図1に戻り、タッチ操作部12は、ユーザーの指触又はスタイラスペンによって入力された指示を受け付けて、受け付けた指示に従って車両用表示装置1を操作するための装置であり、タッチパネルとして表示部11と共に設けられていてもよい。タッチ操作部12に対する入力は、たとえば、タッチ操作部12に接触したユーザーの指やスタイラスペンの動きから検出する。たとえば、ユーザーが、情報の表示部分の外縁に一本の指でタッチし、指をタッチ操作部12に接触させたまま、タッチしている外縁を移動させた場合には、外縁が移動された方向に表示部分を拡大する入力を検出する。また、ユーザーが、表示部分に2本の指でタッチし、2本の指をそのまま平行移動させた場合は、指の移動方向に沿って表示部分を平行移動する入力を検出する。さらに、ユーザーが、表示部分に3本の指でタッチし、3本の指をそのまま平行移動させた場合は、指の移動方向に向かって表示部分を平行移動させ、表示部分を画面外に移動する入力を検出する。なお、ユーザーの指やスタイラスペンの動きはこれらに限定されず、他のあらゆる動きに対応した入力が予め設定されている。
【0022】
本実施形態のタッチ操作部12は、第2領域A2の表示を変更する入力は受け付けるが、第1領域A1の表示を変更する入力は受け付けない。これは、運転者が、ステアリングホイール操作領域Xと重なる部分に指触して表示部11を操作できると、ステアリングホイールの操作に集中できなくなるおそれがあるからある。また、運転者以外のユーザーが第1領域A1の表示の変更を指示できると、走行制御に用いられる情報の表示が運転者の意図に反して変更される恐れがあり、運転者が運転に集中できなくなるからである。
【0023】
入力部13は、表示部11への操作を入力するための装置で、たとえば、ステアリングホイールにおいて、運転者がステアリングホイールを握ったまま指で操作できるような位置に設けられ、その数も特に限定されない。
図3A及び
図3Bは、ステアリングホイールに備えられた入力部の一例を示す正面図であり、ステアリングホイールを回転していない状態(つまり舵角が0°の状態)で、
図3Aに示す入力部13aがステアリングホイールの左側に備えられ、
図3Bに示す入力部13bがステアリングホイールの右側に備えられる。入力部13a及び13bは、運転者のステアリングホイールの操作に支障をきたさない範囲内で適宜の位置に備えられる。入力部13a及び13bには、表示部11の表示を変更する指示を入力するスイッチSW1~SW15が設けられている。運転者は、入力部13bのスイッチSW1を押すことで、表示部11にメニュー画面を表示されることができる。メニュー画面における操作(上下左右の入力)及び決定の入力は、スイッチSW2で行い、前の画面に戻る場合は、スイッチSW3を押す。また、スイッチSW4は音声認識を用いた音声による入力機能を起動するスイッチである。このように、入力部13からの入力は、音声でもおこなうことができる。
【0024】
車両の速度制御、操舵制御、及び安定性制御などの走行制御に用いられる情報の表示は、入力部13aのスイッチSW5を押すことで切替えることができる。また、自律走行支援の機能は、入力部13aのスイッチSW6を押すことで起動され、スイッチSW7により設定された車速や車間距離の調整などを行う。具体的には、スイッチSW8を押すことでで、定速走行制御時の設定車速を変更することができ、スイッチSW9を押すことで、追従走行時の車間距離を変更することができる。また、スイッチSW10を押すことで、車線変更支援の機能を起動することができる。さらに、入力部13aのスイッチSW11及びSW12は、音楽プレーヤーを起動している場合に、再生している曲を変更するためのスイッチであり、入力部13bのスイッチスイッチSW13及びSW14は、再生している音楽の音量を変更するためのスイッチである。なお、スイッチSW15は、電話による通話機能を起動するためのスイッチであり、各国の法規に基づく所定条件が満たされた場合にのみ入力ができるようになる。
【0025】
本実施形態では、入力部13に操作を入力できるのは運転者のみであるため、入力部13から入力された操作は、運転者による承諾が得られているものと判断する。たとえば、撮像装置にて取得された車両の周囲の画像を表示部11の全体に表示する操作は、車両の走行制御に用いられる情報の表示が限定的になるため、入力部13から入力された場合以外は受け付けないとすることもできる。
【0026】
図1に戻り、制御装置14は、車両において、ユーザーの操作などに応じて、ユーザーに必要な情報を提供するための装置である。ユーザーの操作は、タッチ操作部12及び入力部13から入力される。制御装置14は、プロセッサ15を用いて、入力された操作に従い必要なデータを処理し、ユーザーに必要な情報を提供するという機能を実現する。プロセッサ15は、プログラムが格納されたROM(Read Only Memory)152と、ROM152に格納されたプログラムを実行することで、制御装置14として機能するための動作回路であるCPU(Central Processing Unit)151と、アクセス可能な記憶装置として機能するRAM(Random Access Memory)153とを備える。
【0027】
[処理部]
本実施形態の制御装置14で用いるプログラムは、ユーザーに必要な情報を提供するという機能を制御装置14にて実現するための機能ブロックである処理部2を含む。処理部2は、タッチ操作部12及び入力部13から入力された操作について、運転者が車両の走行を制御するために必要な情報を表示する領域が確保されるように、必要に応じて表示の変更に対する判定を行い、運転者に承諾を求める機能を有する。処理部2は、
図1に示すように、制御部21と判定部22とを備え、制御部21は、第1制御部21aと第2制御部21bとを備える。
図1には、各部を便宜的に抽出して示す。
【0028】
本実施形態の車両用表示装置1における表示部11、タッチ操作部12、入力部13、制御部21、第1制御部21a、及び第2制御部21bの関係の一例を、
図4に示すブロック図を用いて説明する。
図4では、表示部11は制御部21により制御され、表示部11の表示を変更する操作は、タッチ操作部12及び入力部13から制御部21に入力される。また、制御部21には第1制御部21aが接続し、第1制御部21aには第2制御部21bが接続しており、3つの制御部が直列に接続されている。そのため、第2制御部21bの出力は、第1制御部21aを介して制御部21に入力される。なお、制御部21に第2制御部21bが接続し、第2制御部21bには第1制御部21aが接続していてもよい。
【0029】
図4の表示部11は液晶ディスプレイであり、その表示面上にタッチ操作部12が設けられている。制御部21は、SF1~SF5の5つの仮想的な表示面を用いて表示部11の表示を制御する。具体的には、制御部21は、表示面SF1~SF5の各表示面に表示される画像を生成し、生成された各表示面の画像をラスター化して重ね合わせ、重ね合わせた一つの画像を表示部11に表示する。表示面を重ね合わせる際の順序は決まっており、表示面SF1が最上位の面であり、表示面SF5が最下位の面であり、表示面SF5→表示面SF4→表示面SF3→表示面SF2→表示面SF1の順序で画像を重ね合わせる。つまり、表示面SF5の表示として生成された画像に、表示面SF4の表示として生成された画像を重ね、その上に表示面SF3の表示として生成された画像を重ね、さらにその上に表示面SF2の表示として生成された画像を重ね、最後に、表示面SF1の表示として生成された画像を重ねる。そのため、表示面SF1に表示されるものとして生成された画像は、常にユーザーに見える状態で表示されるが、その他の表示面SF2~SF5については、上位の表示面に表示されるものとして生成された画像により、その一部又は全部がユーザーには見えない状態となる。また、上位の表示面に何も表示されない場合は、その下位の表示面に表示されるものとして生成された画像は、その全体が見える状態でユーザーに表示される。たとえば、表示面SF1に何も表示されない場合には、表示面SF2に表示されるものとして生成された画像は、その画像全体が表示部11に表示される。このように、制御部21は、各表示面SF1~SF5に表示される画像を変更することで、表示面SF1~SF5を重ね合わせた後の画像を制御し、ユーザーの操作に応じた画像を表示部11に出力することができる。
【0030】
各表示面SF1~SF5に表示される情報は予め定められており、たとえば、表示面SF1には、たとえば車速や所定の警告灯など、常に運転者に見える状態で表示されることが法規で定められた情報などが表示される。表示面SF2には、エンジンの回転数やギアの位置、自律走行支援の状態など、走行制御に用いられ、運転者の車両の操縦に直接的に関係する情報が表示される。また、後述するポップアップウィンドウも表示面SF2に表示される情報である。表示面SF3には、ナビゲーション装置に関する情報や音楽プレーヤーの操作情報などが表示され、表示面SF4にはゲームなどのアプリケーションの情報が表示され、表示面SF5には、背景の画像データが表示される。このように、上位の表示面から下位の表示面に進むにしたがい、表示される情報の走行制御における重要度が低下する。制御部21は、上述したように、表示面SF1~SF5に表示される画像を変更して重ね合わせた後の画像を制御することで、表示部11の表示を変更し、ユーザーに提供する情報を制御することができる。
【0031】
各表示面SF1~SF5において表示される情報の内容は、たとえば、
図4に示す第1制御部21a及び第2制御部21bにより制御される。表示面SF1~SF2及び表示面SF3の一部に表示される情報は、第1制御部21aの出力により制御され、表示面SF3の残りの一部及び表示面SF4~SF5に表示される情報は、第2制御部21bの出力により制御される。制御部と表示面との対応関係は、
図4に破線にて示した。
図4では、制御部21、第1制御部21a、及び第2制御部21bが直列で接続しているが、これは、第1制御部21aにて表示が制御される情報の方が、第2制御部21bにて表示が制御される情報よりも重要度が高いためである。つまり、第1制御部21aをマスターとし、第2制御部21bをスレーブとすることで、重要度の高い情報の表示に関する制御を優先させることができる。
【0032】
ここで、
図1に示す制御装置14は上記の機能ブロックを全て備えるが、単一の制御装置14が全ての機能ブロックを備える必要はなく、上記の機能ブロックのうち一部のものを、車両用表示装置1に含まれる他の機器、又は図示しない別の情報処理装置に設けてもよい。また、各機能ブロックの処理の全てを単一の装置で実行する必要はなく、データが授受できる状態で接続された複数の装置をまたいで、各機能ブロックの機能を実現してもよい。たとえば、
図1の車両用表示装置1において、制御部21にて実行される処理のうち、一部の処理をタッチ操作部12にて実行し、残りの処理を制御装置14にて実行するようにしてもよい。この場合には、タッチ操作部12のCPU、ROM、及びRAMを用いて、制御部21の機能を実現するための処理の一部が行われることになる。
【0033】
以下、
図1に示す処理部2の各機能ブロックが果たす機能について説明する。
【0034】
制御部21は、表示部11の表示を制御する機能を有し、特に、表示部11の第1領域A1及び前記第2領域に表示する情報と、第1領域A1及び第2領域A2の大きさとを制御する。判定部22は、制御部21にて表示部11の表示を変更するために必要な判定を実行する機能を有する。以下では、制御部21の機能を発揮するために行う処理と、当該処理において判定部22の果たす役割について、制御部21の処理ごとに説明する。
【0035】
制御部21は、ユーザーの操作に応じて、表示部11に表示された情報の表示を変更する機能を有する。制御部21は、情報が表示された表示部分に対して、移動、回転、拡大又は縮小のうち少なくとも一つを実行する表示変更を実行する。特に本実施形態では、制御部21は、ユーザーの操作により、表示部11に表示された情報の表示部分を拡大する、又は表示部11に新たな情報を追加することのうち少なくとも一つを行う機能を有する。移動は特に限定されず、制御部21は、複数の表示部分を並進移動させてもよい。また、複数の表示部分を同時に、移動したり、回転したり、拡大又は縮小したりしてもよい。さらに、拡大及び縮小の割合は、連続的又は離散的のいずれであってもよい。
【0036】
表示変更の入力は、たとえば、タッチ操作部12に接触したユーザーの指の動きから検出される。たとえば、ユーザーが、
図2Aの表示部分D21の左側の外縁に指でタッチし、指をタッチ操作部12に接触させたまま、タッチしている外縁を左側に移動させた場合には、ユーザーは、表示部分D21を左側に拡大する入力をしたと判定し、当該表示変更の入力を検出する。また、ユーザーが、
図2Aの表示部分D23に2本の指でタッチし、2本の指をそのまま下側に平行移動させた場合は、ユーザーは、表示部分D23を下に移動させる入力をしたと判定し、当該表示変更の入力を検出する。これとは別の例として、たとえば、運転者が、
図3Aの入力部13aのスイッチSW5を押した場合は、制御部21は、
図2Aの表示部分D11、及び
図2Bの表示部分D12~D14について表示変更を実行する入力として受け付ける。
【0037】
第1領域A1における第1情報の表示形態は特に限定されないが、第1情報は走行制御に用いられる比較的重要な情報であるため、第1情報の表示形態は予め設定されていることが好ましい。運転者は、予め設定された複数の表示形態から、入力部13を用いて任意の表示形態を選択する。そして、
図5Aに示す第1情報の表示部分D11aを、
図5Bに示す表示部分D12~D14に変更する操作のような、第1領域A1に表示された第1情報の表示部分を拡大する操作、又は第1領域A1に新たな第1情報を追加する操作が入力部13を介して入力された場合に、判定部22は、拡大された第1情報の表示部分の大きさ、又は追加される新たな第1情報の表示部分の大きさが、第1領域A1よりも大きいか否かを判定する。以下、
図5Aと5Bを用いて、当該判定を説明する。
【0038】
運転者が、入力部13から、
図5Aの表示部分D11aを、
図5Bの表示部分D12~D14に変更する操作を入力すると、判定部22は、追加される新たな第1情報の表示部分D12~D14の大きさと、
図5Aの第1領域A1の大きさとを比較する。
図5Aの第1領域A1は、追加される新たな第1情報の表示部分D12~D14よりも小さく、表示部分D12~D14をそのまま第1領域A1には表示できない。そのため、判定部22は、追加される新たな第1情報の表示部分D12~D14の大きさが、現在の第1領域A1よりも大きいと判定する。
【0039】
また別の例として、運転者が、入力部13から、
図5Aの表示部分D11aを、
図2Aの表示部分D11に変更する操作を入力すると、判定部22は、拡大された第1情報の表示部分D11の大きさと、
図5Aの第1領域A1の大きさとを比較する。
図5Aの第1領域A1は、拡大された第1情報の表示部分D11よりも小さく、表示部分D11をそのまま第1領域A1には表示できない。そのため、判定部22は、拡大された第1情報の表示部分D11の大きさが、現在の第1領域A1よりも大きいと判定する。
【0040】
そして、判定部22が、拡大された第1情報の表示部分の大きさ、又は追加される新たな第1情報の表示部分の大きさが第1領域A1よりも大きいと判定した場合に、制御部21は、第2領域A2を縮小するとともに第1領域A1を拡大し、拡大した第1領域A1に、表示部分が拡大された又は新たな第1情報を表示する。たとえば、
図5Aの表示部分D11aを、
図5Bの表示部分D12~D14に変更する場合には、第1領域A1と第2領域A2との境界である
図5Aの境界Baを、
図5Bの境界Bbの位置まで移動させる。これに伴い、第2領域A2において、第2情報の表示部分D21aを、D21bに縮小させる。また、運転者が、入力部13から、
図5Aの表示部分D11aを、
図2Aの表示部分D11に変更する操作を入力した場合は、
図5Aの境界Baを、
図2Aの境界Bの位置まで移動させる。これに伴い、第2領域A2において、第2情報の表示部分D21aを、D21に縮小させる。
【0041】
一方、たとえば、タッチ操作部12を介して第2領域A2の表示を大きくする変更する操作が入力された場合など、第2領域A2に表示された第2情報の表示部分を拡大する場合、又は第2領域A2に新たな第2情報を追加する場合に、判定部22は、拡大された第2情報の表示部分の大きさ、又は追加された新たな第2情報の表示部分の大きさが、第2領域A2よりも大きいか否かを判定する。たとえば、ユーザーが、
図2Aに示す表示部分D21の左側の外縁を、1本の指でタッチしたまま
図2Aの左側に向かって移動させ、
図2AのD21を
図5AのD21aまで拡大したとすると、判定部22は、
図2Aの第2領域A2と、
図5Aの表示部分D21a、D22、及びD23との大きさを比較する。
図2Aの第2領域A2は、拡大された表示部分D21a、並びに表示部分D22及びD23よりも小さく、表示部分D21a、D22、及びD23をそのまま第2領域A2には表示できない。そのため、判定部22は、表示部分D21a、D22、及びD23の大きさが、現在の第2領域A2よりも大きいと判定する。
【0042】
また別の例として、
図5Bの表示部分D21bの左側に、新たな第2情報の表示部分を追加する操作をタッチ操作部12さら入力したとすると、判定部22は、
図5Bの第2領域A2と、
図5Aの表示部分D21b、D22、及びD23、並びにD21bの左側に追加される表示部分との大きさを比較する。
図5Bの第2領域A2には、表示部分D21bの左側に新たな情報を表示する領域が存在しないため、新たな第2情報をそのまま第2領域A2には表示できない。そのため、判定部22は、
図5Bの表示部分D21b、D22、及びD23、並びにD21bの左側に追加される表示部分の大きさが、現在の第2領域A2よりも大きいと判定する。
【0043】
そして、判定部22が、拡大された第2情報の表示部分の大きさ、又は追加された新たな第2情報の表示部分の大きさが第2領域A2よりも大きいと判定した場合に、制御部21は、第2領域A2の大きさを維持し、第2領域A2の大きさに合わせるように第2情報の表示部分の大きさを調整する。たとえば、
図2Aの表示部分D21を
図5Aの表示部分D21aまで拡大しようとした場合には、第2領域A2の大きさを
図2Aの状態で維持し、表示部分D21を拡大しない。また、
図5Bの表示部分D21bの左側に、新たな第2情報の表示部分を追加しようとした場合には、第2領域A2の大きさを
図5Bの状態で維持し、新たな第2情報の表示部分は追加されない。
【0044】
ただし、制御部21は、第1領域A1を縮小する操作がユーザーから入力された場合には、その操作にしたがって第1領域A1を縮小し又は第2領域A2を拡大してもよい。その際には、車両の運転者の承諾を得てから、第1領域A1を縮小する。たとえば、
図2Aの表示部分D21を
図5Aの表示部分D21aまで拡大しようとした場合に、車両の運転者が第2領域A2の大きさ大きくし、第1領域A1の大きさが
図5Aの状態まで小さくなることを承諾した場合には、
図2Aの表示部分D21を
図5AのD21aまで拡大する。また、
図5Bの表示部分D21bの左側に、新たな第2情報の表示部分を追加しようとした場合に、運転者が、
図5Bの第1領域A1の大きさが小さくなることを承諾した場合には、表示部分D21bの左側に新たな第2情報の表示部分が追加され、第1領域A1が縮小して第2領域A2が拡大する。
【0045】
制御部21は、車両の運転者の承諾を得てから、第1領域A1を縮小するときに、運転者に対して表示変更を実行する承諾を求める場合に、表示部11にポップアップウィンドウを表示させ、当該ポップアップウィンドウにより、第1領域A1を縮小する承諾を求めてもよい。本実施形態のポップアップウィンドウとは、表示部11に表示される、運転者に対する承諾を求めるための情報が表示される表示部分であり、他の情報の表示部分の上に重なるように表示されるものをいう。たとえば、ポップアップウィンドウ内に、承諾するか拒否するかを入力するボタンが設けられており、ユーザーは、どちらのボタンを指で押すことで、タッチ操作部12を介して、承諾の要求に対する回答を入力することができる。制御部21は、運転者がタッチ操作部12から承諾要求に対する回答が入力できるように、ポップアップウィンドウを車幅方向において運転席側に表示することができる。この場合に、ポップアップウィンドウを運転席側に表示するために、ポップアップウィンドウの表示を、運転席に近い第1領域A1の表示を制御する第1制御部21aにより制御してもよい。
【0046】
表示変更に対する承諾の要求に対して、承諾するか拒否するかの回答をする場合は、入力部13のような運転者のみが操作できる機器から入力されてもよい。たとえば、ポップアップウィンドウにて求められた承諾に対する回答は、
図3Bの入力部13bのスイッチSW2又はSW3から入力してもよい。つまり、運転者は、表示変更の実行を承諾する場合はスイッチSW2を押し、表示変更の実行を拒否する場合はスイッチSW3を押す。これに代えて、またこれに加えて、タッチ操作部12のような運転者以外のユーザーも操作できる機器から入力されてもよい。つまり、表示変更の実行を承諾するか拒否するかを判断するのは運転者であるが、制御部21に対して運転者の判断を入力するのは、運転者に限られず、表示部11の表示変更に対する運転者の回答を確認した運転者以外のユーザーでもよい。制御部21は、これらの運転者のみが操作できる機器、又は運転者以外のユーザーが操作できる機器から、表示変更を実行する承諾を取得する。
【0047】
また、制御部21は、ユーザーにより、表示部11の表示を変更する指示が入力された場合に、表示部11の表示の変更に伴う影響をユーザーに通知してもよい。たとえば、タッチ操作部12からのユーザーの入力にしたがい、
図2Aに示す表示部分D21を、
図2Aの左側に向かって拡大する場合には、制御部21は、第1領域A1が小さくなることを運転者に通知する。当該通知は、たとえば、表示部11に第1領域A1が小さくなることをポップアップウィンドウにて表示してもよいし、表示部11に備えられたスピーカーから音声としてユーザーに通知してもよい。別の例としては、ユーザーが、
図2Bに示す表示部分D24の左側の外縁にタッチし、タッチした外縁をそのまま右側移動することで、表示部分D24を縮小する場合には、制御部21は、当該縮小の表示変更に伴い、表示部分D24に表示された情報の一部を非表示にすることを運転者に通知する。当該通知は、たとえば、表示部11の第2領域A2に表示してもよいし、表示部11に備えられたスピーカーから音声としてユーザーに通知してもよい。
【0048】
判定部22は、表示部11に表示された情報の表示部分に対して表示変更を実行した場合に、表示部分の外縁が、運転者から見てステアリングホイール又は運転者の手と重なるか否かを判定する。具体的には、情報の表示部分の位置と、予め設定された、運転者の視点の位置(たとえば眼の位置)との間に、ステアリングホイール操作領域Xが存在するか否かを判定する。たとえば、ユーザーが、
図2Aに示す表示部分D21を3本の指でタッチしたまま平行移動することで消去し、表示部分D22を2本の指でタッチして平行移動し、表示部分D21の位置まで移動する場合には、判定部22は、表示部分D22の外縁と、予め設定された運転者の視点との間に、ステアリングホイール操作領域Xが存在するか否かを判定する。この場合、移動された表示部分D22の外縁と運転者の視点との間には領域Xが存在するため、判定部22は、表示部分の外縁が、運転者から見てステアリングホイールと重なると判定する。そして、判定部22にて、表示部分の外縁が、運転者から見て、ステアリングホイール又は手と重なると判定された場合には、制御部21は、運転者に、表示変更を実行するための承諾を求める。
【0049】
[表示部の表示変更の例]
以下、
図6に示す例を用いて、本実施形態の制御部21による表示変更について説明する。
図6は、制御部21により実行される表示変更の一例を示す説明図である。
図6には、表示部11の複数の表示形態が示されており、表示部11の表示は、タッチ操作部12及び入力部13から入力されたユーザーの操作により、制御部21にて表示変更を実行することで、ある表示形態から異なる表示形態に遷移する。
図6に示す例では、表示部11の表示形態として第1モード、第2モード、及び第3モードの3つのモードがあり、ユーザーの操作に応じて、第1モードから第2モードに遷移し、第2モードから第3モードに遷移する。また同様に、ユーザーの操作に応じて、第3モードから第2モードに遷移し、第2モードから第1モードに遷移する。まず、第1モードから第2モードに遷移し、第2モードから第3モードに遷移する場合について説明する。
【0050】
第1モードでは、境界Bで区切られる第1領域A1と第2領域A2との大きさとがほぼ同じであり、具体的な表示形態として、表示形態1、表示形態2、及び表示形態3が存在する。表示形態1、表示形態2、及び表示形態3は、第1領域A1における情報の表示が異なるが、第2領域A2の表示は同じである。表示形態1では、第1領域A1に情報の表示部分が3つ存在し、左側の表示部分には走行速度が表示されている。真ん中の表示部分には警告灯などが表示され、右側の表示部分には、たとえばエンジンの回転数が表示される。表示形態2では、真ん中に走行速度が表示され、その両脇に警告灯やギア位置の状態などが表示される。表示形態3では、左側の走行速度が表示され、その右側に自律走行支援の状態を表示するアイコンなどが表示される。運転者は、入力部13から表示を変更する操作を入力することで、第1領域A1の表示を表示形態1、表示形態2、又は表示形態3のいずれかに切り替えることができる。
【0051】
表示部11の表示が第1モードである場合に、たとえば、タッチ操作部12から第2領域A2の表示部分A2aを左側に拡大する操作が入力されたとする。この場合に、制御部21は、運転者に対して表示変更を実行する承諾を求めず、ユーザーの操作に応じてモードに第2モードに遷移させる。これは、第1領域A1の右側の部分が第2領域A2に置き換わるものの、第1領域A1の情報の表示が変化しないため、運転者の意図に反する表示変更にはならないからである。
【0052】
図6に示す例では、表示形態ごとに、第1モードから第2モードに遷移する場合の表示形態が予め設定されている。
図6に示すとおり、表示形態1から表示形態4に遷移し、表示形態2から表示形態5に遷移し、表示形態3から表示形態6に遷移する。第2モードでは、境界Bで区切られる第1領域A1と第2領域A2との大きさが第1モードから変化し、第2領域A2の方が第1領域A1よりも大きくなっている。第2モードにおける、第2領域A2の大きさは、第1領域A1のおおよそ2倍である。具体的な表示形態として、第2モードには、表示形態4、表示形態5、及び表示形態6が存在する。表示形態4、表示形態5、及び表示形態6は、第1領域A1における情報の表示が異なるが、第2領域A2の表示は同じである。表示形態4では、第1領域A1に情報の表示部分が2つになり、表示形態1の第1領域A1の右側の表示部分が第2領域A2に置き換わっている。表示形態5も同様に、表示形態2の右側の表示部分が第2領域A2に置き換わっている。表示形態6では、第1領域A1にて何も表示されていなかった部分が、第2領域A2に置き換わっている。運転者は、入力部13から表示を変更する操作を入力することで、第1領域A1の表示を表示形態4、表示形態5、又は表示形態6のいずれかに切り替えることができる。
【0053】
表示部11の表示が第2モードである場合に、たとえば、タッチ操作部12から第2領域A2の表示部分A2bを左側に拡大する操作が入力されたとする。この場合に、判定部22は、第2領域A2に表示された情報の表示部分D2bが拡大されたときに、第1領域A1の少なくとも一部が第2領域A2に置き換わるか否かを判定する。
図6の例では、表示部分D2bを左側に拡大すると、第1領域A1の一部が第2領域A2で置き換わることになる。さらに、第1モードから第2モードに遷移した場合とことなり、第1領域A1の情報の表示が変化する。そのたえ、制御部21は、運転者に対して、表示部11にて表示変更を実行する承諾を求める。当該承諾を求める際に、制御部21は、表示部11の第1領域A1にポップアップウィンドウを表示する。
【0054】
図7Aは、第2モードから第3モードに遷移する場合に表示されるポップアップウィンドウの例を示す正面図である。表示部11の表示が表示形態4である場合は、たとえば、第1領域A1の右側にポップアップウィンドウPW1が表示される。表示部11の表示が表示形態5である場合は、たとえば、第1領域A1の中央下にポップアップウィンドウPW2が表示される。表示部11の表示が表示形態6である場合は、たとえば、第1領域A1の中央上にポップアップウィンドウPW3が表示される。いずれのポップアップウィンドウも、走行速度の表示部分に重複して表示されることはない。これらのポップアップウィンドウにより、運転者から表示変更の承諾が得られた場合は、制御部21の機能により、表示部11の表示が第2モードから第3モードに遷移する。これに対して、運転者から表示変更の承諾が得られなかった場合は、表示部11の表示は第2モードのままとなる。
【0055】
図6に示す例では、第2モードから第3モードに遷移する場合の表示形態が予め設定されている。
図6に示すとおり、第3モードの表示形態は表示形態7のみであり、表示形態4、表示形態5及び表示形態6のいずれからも表示形態7に遷移する。第3モードでは、境界Bで区切られる第1領域A1と第2領域A2との大きさが第2モードから変化し、第2領域A2の大きさが、予め設定された範囲内で最も大きくなっている。表示形態7では、第1領域A1には車両の走行速度のみが表示され、第2領域A2には、D2cで示す表示部分に、車両の走行制御に用いられない情報が表示される。
【0056】
次に、第3モードから第2モードに遷移し、第2モードから第1モードに遷移する場合のする場合について説明する。
【0057】
表示部11の表示が第3モードである場合に、たとえば、タッチ操作部12から第2領域A2の表示部分A2cを縮小する操作が入力されたとする。この場合に、制御部21は、第1領域A1に表示された情報の表示部分が変更されるため、運転者の意図に反しない表示変更とするために、運転者に対して、表示部11にて表示変更を実行する承諾を求める。当該承諾を求める際に、制御部21は、
図7Bに示したようなポップアップウィンドウPW4を表示部11の第2領域A2に表示する。運転者から表示変更の承諾が得られた場合は、制御部21の機能により、表示部11の表示が第3モードから第2モードに遷移する。具体的には、第3モードに遷移する前に表示していた表示形態4、表示形態5、及び表示形態6のうちいずれかの表示形態に遷移する。これに対して、運転者から表示変更の承諾が得られなかった場合は、表示部11の表示は第3モードのままとなる。
【0058】
図6に戻り、表示部11の表示が第2モードである場合に、たとえば、タッチ操作部12から第2領域A2の表示部分A2bを縮小する操作が入力されたとする。この場合には、制御部は、運転者の承諾を要求せずに、ユーザーの操作に応じて表示形態のモードを第1モードに遷移させる。第1領域A1の情報の表示が変化しないため、運転者の意図に反する表示変更にはならないからである。具体的には、第2モードに遷移する前に表示していた表示形態1、表示形態2、及び表示形態3のうちいずれかの表示形態に遷移する。
【0059】
[車両用表示装置における処理]
図8A及び8Bを参照して、制御装置14が情報を処理する際の手順を説明する。
図8Aは、第1領域A1に表示された第1情報の表示部分を拡大する場合、又は第1領域A1に新たな第1情報を追加する場合における本実施形態の車両用表示装置1における情報の処理を示すフローチャートの一例である。以下に説明する処理は、制御装置14のプロセッサ15において所定の時間間隔で実行される。
【0060】
まず、ステップS11にて、判定部22の機能により、第1領域A1に表示された第1情報の表示部分を拡大する指示、又は第1領域A1に新たな第1情報を追加する指示が、ユーザーによりタッチ操作部12から入力されたか否かを判定する。当該指示がタッチ操作部12から入力されたと判定された場合は、制御部21は、入力された指示を受け付けず、ルーチンの実行が停止され、制御装置14における情報の処理が終了する。これに対して、入力された指示が、タッチ操作部12から入力されたものではないと判定された場合は、ステップS12に進む。
【0061】
ステップS12にて、判定部22の機能により、拡大された第1情報の表示部分の大きさ、又は追加される新たな第1情報の表示部分の大きさが、第1領域A1よりも大きいか否かを判定する。拡大された第1情報の表示部分の大きさも、追加される新たな第1情報の表示部分の大きさも、第1領域A1の大きさと同じかそれよりも小さい場合には、後述するステップS15に進む。これに対して、拡大された第1情報の表示部分の大きさ、又は追加される新たな第1情報の表示部分の大きさのうち少なくとも一方が、第1領域A1の大きさよりも大きい場合には、ステップS13に進む。
【0062】
ステップS13にて、制御部21の機能により、ユーザーによって入力された、拡大又は追加の指示が実行された場合に、表示の変更に伴うユーザーへの影響を、運転者を含むユーザーに通知する。当該通知は、たとえば、表示部11にユーザーへの影響を表示することで行う。続くステップS14にて、制御部21の機能により、第2領域A2を縮小して第1領域A1を拡大する。続くステップS15にて、制御部21の機能により、表示部11の第1領域A1に、表示部分が拡大された第1情報、又は新たな第1情報のうち少なくとも一方を表示する。その後、ルーチンの実行が停止され、制御装置14における情報の処理が終了する。
【0063】
次に、
図8Bは、第2領域A2に表示された第2情報の表示部分を拡大する場合、又は第2領域A2に新たな第2情報を追加する場合における本実施形態の車両用表示装置1における情報の処理を示すフローチャートの一例である。以下に説明する処理は、制御装置14のプロセッサ15において所定の時間間隔で実行される。
【0064】
まず、ステップS21にて、判定部22の機能により、拡大された第2情報の表示部分の大きさ、又は追加される新たな第2情報の表示部分の大きさが、第2領域A2よりも大きいか否かを判定する。拡大された第2情報の表示部分の大きさ、及び追加される新たな第2情報の表示部分の大きさが、第2領域A2よりも小さいと判定された場合は、後述するステップS30に進む。これに対して、拡大された第2情報の表示部分の大きさ、又は追加される新たな第2情報の表示部分の大きさのうち少なくとも一方が、第2領域A2よりも大きいと判定された場合は、ステップS22に進む。
【0065】
ステップS22にて、判定部22の機能により、ユーザーから入力された指示が、ステアリングホイールなどに設けられた入力部13から入力されたものであるか否かを判定する。ユーザーの入力指示が、入力部13から入力されたものであると判定された場合は、制御部21による承諾の要求は行われず、後述するステップS30に進む。これに対して、ユーザーの入力指示が、入力部13から入力されたものではないと判定された場合は、ステップS23に進む。
【0066】
ステップS23にて、ステップS13と同様に、制御部21の機能により、ユーザーによって入力された、拡大又は追加の指示が実行された場合に、表示の変更に伴うユーザーへの影響を、運転者を含むユーザーに通知する。続くステップS24にて、第1制御部21aの機能により、表示部11の運転席側にポップアップウィンドウを表示し、運転者に、第1領域A1を縮小して第2領域A2を拡大する承諾を求める。続くステップS25にて、当該承諾が得られたか否かを判定する。当該承諾が得られなかったと判定された場合は、後述するステップS31に進む。これに対して、当該承諾が得られたと判定された場合は、ステップS26に進む。
【0067】
ステップS26にて、判定部22の機能により、ユーザーによって入力された指示が実行された場合に、変更された表示部分の外縁が、運転者から見てステアリングホイール又は運転者の手と重なるか否かを判定する。具体的には、表示部11における情報の表示部分の位置と、予め設定された、運転者の視点の位置(たとえば眼の位置)との間に、ステアリングホイール操作領域Xが存在するか否かを判定する。変更された表示部分の外縁がステアリングホイール操作領域Xと重ならず、運転者から見てステアリングホイール又は運転者の手と重ならないと判定された場合は、後述するステップS29に進む。これに対して、変更された表示部分の外縁が、ステアリングホイール操作領域Xと重なると判定された場合は、ステップS27に進む。
【0068】
ステップS27にて、第1制御部21aの機能により、表示部11の運転席側にポップアップウィンドウを表示し、運転者から見てステアリングホイール又は運転者の手と重なる位置に表示部分の外縁が移動される承諾を求める。続くステップS28にて、当該承諾が得られたか否かを判定する。当該承諾が得られなかったと判定された場合は、後述するステップS31に進む。これに対して、当該承諾が得られたと判定された場合は、ステップS29に進む。
【0069】
ステップS29に進んだ場合は、制御部21の機能により、第1領域A1を縮小して第2領域A2を拡大する。そして、続くステップS30にて、、制御部21の機能により、表示部11の第2領域A2に、表示部分が拡大された第2情報、又は新たな第2情報のうち少なくとも一方を表示する。その後、ルーチンの実行が停止され、制御装置14における情報の処理が終了する。これに対して、ステップS31に進んだ場合は、第2領域A2の大きさを維持し、第2領域A2の大きさに合わせるように第2情報の表示部分の大きさを調整する。そして、第2領域A2の大きさに合わせて表示部分が拡大された第2情報、又は第2領域A2の大きさに表示部分の大きさを合わせた、新たな第2情報を表示する。その後、ルーチンの実行が停止され、制御装置14における情報の処理が終了する。
【0070】
[本発明の実施態様]
以上のとおり、本実施形態の車両用表示装置によれば、車両の走行制御に用いられる第1情報を表示する第1領域A1と、前記第1領域A1より前記車両の運転席から遠い位置に設けられて前記第1情報以外の第2情報を表示する第2領域A2とを有し、前記運転席の前方に設置されている表示部11と、ユーザーの操作により、前記表示部11に表示された情報の表示部分を拡大する、又は前記表示部11に新たな情報を追加することのうち少なくとも一つを行う制御部21と、前記第1領域A1に表示された前記第1情報の前記表示部分を拡大する場合、又は前記第1領域A1に新たな前記第1情報を追加する場合に、拡大された前記第1情報の前記表示部分の大きさ、又は追加される新たな前記第1情報の前記表示部分の大きさが、前記第1領域A1よりも大きいか否かを判定する判定部22と、を備え、前記制御部21は、前記判定部22が、拡大された前記第1情報の前記表示部分の大きさ、又は追加される新たな前記第1情報の前記表示部分の大きさが前記第1領域A1よりも大きいと判定した場合に、前記第2領域A2を縮小するとともに前記第1領域A1を拡大し、拡大した前記第1領域A1に、前記表示部分が拡大された又は新たな前記第1情報を表示する、車両用表示装置が提供される。これにより、表示部の表示が変更されたとしても、走行制御に必要な情報を十分な大きさで運転者に表示することができる。
【0071】
また、本実施形態の車両用表示装置によれば、前記判定部22は、前記第2領域A2に表示された前記第2情報の前記表示部分を拡大する場合、又は前記第2領域A2に新たな前記第2情報を追加する場合に、拡大された前記第2情報の前記表示部分の大きさ、又は追加された新たな前記第2情報の前記表示部分の大きさが、前記第2領域A2よりも大きいか否かを判定し、前記制御部21は、前記判定部22が、拡大された前記第2情報の前記表示部分の大きさ、又は追加された新たな前記第2情報の前記表示部分の大きさが前記第2領域A2よりも大きいと判定した場合に、前記第2領域A2の大きさを維持し、前記第2領域A2の大きさに合わせるように前記第2情報の前記表示部分の大きさを調整する。これにより、第1情報を十分な大きさで運転者に表示し、且つ、運転者の意図に反して第1領域A1の表示が変更されるのを抑制することができる。
【0072】
また、本実施形態の車両用表示装置によれば、前記表示部11は、前記ユーザーの指触により前記車両用表示装置1を操作するタッチ操作部12を備え、前記タッチ操作部12は、前記第2情報の表示を変更する入力を受け付け、前記第1情報の表示を変更する入力は受け付けない。これにより、運転者が、ステアリングホイール操作領域Xと重なる部分に指触して表示部11を操作し、ステアリングホイールの操作に集中できなくなることを抑制する。また、運転者以外のユーザーが第1領域A1の表示の変更を指示できなくすることで、走行制御に用いられる情報の表示が運転者の意図に反して変更されることを抑制し、運転者が運転に集中できるようになる。
【0073】
また、本実施形態の車両用表示装置によれば、前記制御部21は、前記ユーザーの操作が入力されると、その操作にしたがって前記第1領域A1を縮小し又は前記第2領域A2を拡大する。これにより、ユーザーの求めに応じて、第1領域A1の大きさを変化させることができる。
【0074】
また、本実施形態の車両用表示装置によれば、前記制御部21は、前記車両の運転者の承諾を得てから、前記第1領域A1を縮小する。これにより、ディスプレイに表示される映像などの運転に関する情報の表示が、運転者の意図に反して変更されるのを抑制することができる。
【0075】
また、本実施形態の車両用表示装置によれば、前記判定部22は、前記第1領域A1を縮小し又は前記第2領域A2を拡大する場合に、前記第2情報の前記表示部分の外縁が、前記車両の運転者から見てステアリングホイール又は前記運転者の手と重なるか否かを判定し、前記制御部21は、前記判定部22にて、前記外縁が、前記ステアリングホイール又は前記運転者の手と重なると判定した場合には、前記運転者に、前記第1領域A1を縮小し又は前記第2領域A2を拡大する承諾を求める。これにより、運転者が、ステアリングホイール操作領域Xと重なる部分に指触して表示部11を操作し、ステアリングホイールの操作に集中できなくなることを抑制する。また、運転者以外のユーザーが第1領域A1の表示の変更を指示できなくすることで、走行制御に用いられる情報の表示が運転者の意図に反して変更されることを抑制し、運転者が運転に集中できるようになる。
【0076】
また、本実施形態の車両用表示装置によれば、前記制御部21は、前記表示部11に表示されるポップアップウィンドウにより前記運転者に承諾を求める。これにより、運転者に対して確実に承諾を求めることができる。
【0077】
また、本実施形態の車両用表示装置によれば、前記ポップアップウィンドウは、前記表示部11の運転席側に表示される。これにより、運転者がタッチ操作部12から承諾要求に対する回答が入力できる。
【0078】
また、本実施形態の車両用表示装置によれば、前記制御部21は、前記第1領域A1の表示を制御する第1制御部21aと、前記第2領域A2の表示を制御する第2制御部21bとを備え、前記ポップアップウィンドウの表示は、前記第1制御部21aにて行われる。これにより、ポップアップウィンドウを運転席に近い第1領域A1に表示することができる。
【0079】
また、本実施形態の車両用表示装置によれば、ステアリングホイールに備えられ、前記表示部11に操作を入力する入力部13を備え、前記入力部13から、前記表示部11の表示を変更する操作が入力された場合は、前記制御部21は、前記表示部11の表示を変更するための承諾を求めない。これにより、入力部13への入力は運転者のみが実行できるので、運転者が入力した操作について、運転者に承諾を求めるという無駄な処理を省略できる。
【0080】
また、本実施形態の車両用表示装置によれば、前記表示部11は、第1表示部11aと、前記第1表示部11aと異なり、車幅方向において前記第1表示部11aより前記運転席から離れて設置された第2表示部11bとを備え、前記第2表示部11bには、前記第2情報が表示される。これにより、第1情報と第2情報の表示を確実に区別できる。
【0081】
また、本実施形態の車両用表示装置によれば、前記表示部11の車幅方向の長さは、前記車両の全幅の30~50%である。これにより、ユーザーによるタッチ操作部12の操作性を損なわずに、表示部11の大きさを大きくすることができる。
【0082】
また、本実施形態の車両用表示方法によれば、車両の走行制御に用いられる第1情報を表示する第1領域A1と、前記第1領域A1より前記車両の運転席から遠い位置に設けられて前記第1情報以外の第2情報を表示する第2領域A2とを有し、前記運転席の前方に設置されている表示部11と、プロセッサ15とを用いて表示を行う、車両用表示方法において、ユーザーの操作により、前記表示部11に表示された情報の表示部分を拡大する、又は前記表示部11に新たな情報を追加することのうち少なくとも一つを行う際に、前記プロセッサ15は、前記第1領域A1に表示された前記第1情報の前記表示部分を拡大する場合、又は前記第1領域A1に新たな前記第1情報を追加する場合に、拡大された前記表示部分の大きさ、又は追加された新たな前記第1情報の前記表示部分の大きさが、前記第1領域A1よりも大きいか否かを判定し、拡大された前記表示部分の大きさ、又は追加された新たな前記第1情報の前記表示部分の大きさが前記第1領域A1よりも大きいと判定した場合は、前記第2領域A2を縮小するとともに前記第1領域A1を拡大し、拡大した前記第1領域A1に、前記表示部分が拡大された又は新たな前記第1情報を表示する、車両用表示方法が提供される。これにより、表示部の表示が変更されたとしても、走行制御に必要な情報を十分な大きさで運転者に表示することができる。
【符号の説明】
【0083】
1…車両用表示装置
11…表示部
11a…第1表示部
11b…第2表示部
12…タッチ操作部
13、13a、13b…入力部
14…制御装置
15…プロセッサ
151…CPU
152…ROM
153…RAM
2…処理部
21…制御部
21a…第1制御部
21b…第2制御部
22…判定部
A1…第1領域
A2…第2領域
B、Ba、Bb…境界
D11、D11a、D12、D13、D14…表示部分(第1情報)
D21、D21a、D21b、D22、D23、D24、D25、D26、D27…表示部分(第2情報)
D2a、D2b、D2c…表示部分(第2情報)
IP…インストルメントパネル
PW1~PW4…ポップアップウィンドウ
SF1~SF5…表示面
SW1~SW15…スイッチ
X…ステアリングホイール操作領域