(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】テクスチャ表面を備えたヘッドアップディスプレイ
(51)【国際特許分類】
B60K 35/23 20240101AFI20240925BHJP
【FI】
B60K35/23
(21)【出願番号】P 2023536148
(86)(22)【出願日】2021-12-21
(86)【国際出願番号】 JP2021047275
(87)【国際公開番号】W WO2022153801
(87)【国際公開日】2022-07-21
【審査請求日】2023-06-14
(32)【優先日】2021-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】マーティーネズ ジュアン
(72)【発明者】
【氏名】ウェアマン レーベン
(72)【発明者】
【氏名】トリグリア ニコラス
【審査官】鶴江 陽介
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-300655(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0171010(US,A1)
【文献】特開2018-072507(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0196203(US,A1)
【文献】国際公開第2018/070132(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 35/00-35/23
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用ヘッドアップディスプレイ(HUD)アセンブリであって、
上面(68)と下面(67)とを有する第1の透明基板(64)と、前記第1の透明基板の上面に結合される第1の偏光フィルム(66)と、を備える第1の反射偏光子サブアセンブリ(60)、
上面(77)と下面(78)とを有する第2の透明基板(74)と、前記第2の透明基板の下面に結合される第2の偏光フィルム(76)と、を備える第2の反射偏光子サブアセンブリ(62)、及び、
前記第1の透明基板の下面と前記第2の透明基板の上面との間に配置される薄膜トランジスタ(TFT)パネル(34)を含み、
前記第1の透明基板の下面と前記第2の透明基板の上面との少なくとも1つが凹凸加工され
、凹凸加工された面が前記TFTパネルに接触している、HUDアセンブリ。
【請求項2】
前記TFTパネルは、前記第1の透明基板の下面に接触し、前記第1の透明基板の下面が凹凸加工されている、請求項1に記載のHUDアセンブリ。
【請求項3】
前記TFTパネルは、前記第2の透明基板の上面に接触し、前記第
2の透明基板の上面が凹凸加工されている、請求項1又は2に記載のHUDアセンブリ。
【請求項4】
前記第1の透明基板の下面と前記第2の透明基板の上面との少なくとも1つがつや消し加工されている、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のHUDアセンブリ。
【請求項5】
前記第1の透明基板の下面と前記第2の透明基板の上面との少なくとも1つには、複数の表面特徴(80)が設けられている、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のHUDアセンブリ。
【請求項6】
前記表面特徴は、隆起、突起、又は食刻である、請求項5に記載のHUDアセンブリ。
【請求項7】
薄膜フィルムトランジスタ(TFT)パネル(34)、及び
対向する関係で前記TFTパネルに接触する表面(67、77)を有する反射偏光子サブアセンブリ(60、62)を含み、
前記反射偏光子サブアセンブリの表面が凹凸加工されて
おり、
前記TFTパネルに接触する表面は第1の表面(67)であり、
前記反射偏光子サブアセンブリは、前記第1の表面と反対側の第2の表面(68)とを有する第1の透明基板(64)、及び、前記第2の表面に結合される第1の偏光フィルム(66)を含む、ヘッドアップディスプレイ(HUD)アセンブリ。
【請求項8】
前記第2の表面は凹凸加工されておらず、滑らかである、請求項
7に記載のHUDアセンブリ。
【請求項9】
前記反射偏光子サブアセンブリは第1の反射偏光子サブアセンブリ(60)であり、
前記HUDアセンブリは、前記TFTパネルに接触する第1の表面(77)と反対側の第2の表面(78)とを有する第2の透明基板(74)を備える第2の反射偏光子サブアセンブリを含み、
前記第2の反射偏光子
サブアセンブリの第1の表面は凹凸加工されている、請求項
7又は
8に記載のHUDアセンブリ。
【請求項10】
前記第2の反射偏光子サブアセンブリは、前記第2の透明基板の第2の表面に結合される第2の偏光フィルム(76)を含む、請求項
9に記載のHUDアセンブリ。
【請求項11】
前記反射偏光子サブアセンブリの表面には、複数の表面特徴(80)が設けられている、請求項
7乃至10のいずれか1項に記載のHUDアセンブリ。
【請求項12】
前記表面特徴は、隆起、突起、又は食刻である、請求項
11に記載のHUDアセンブリ。
【請求項13】
前記反射偏光子サブアセンブリの表面はつや消し加工されている、請求項
7乃至12のいずれか1項に記載のHUDアセンブリ。
【請求項14】
ヘッドアップディスプレイ用の薄膜トランジスタ(TFT)サブアセンブリであって、
上面(35)と下面(37)とを有するTFTパネル(34)と、
下面(67)と上面(68)とを有する第1の透明基板(64)と、前記第1の透明基板の上面に積層される第1の偏光フィルム(66)と、を備える第1の反射偏光子サブアセンブリ(60)と、を備え、
前記第1の透明基板の下面は凹凸加工され、前記TFTパネルの上面に取り付けられる、TFTサブアセンブリ。
【請求項15】
前記第1の透明基板の下面は、前記TFTパネルの上面と直接接触している、請求項
14に記載のTFTサブアセンブリ。
【請求項16】
下面(78)と上面(77)とを有する第2の透明基板(74)と、前記第2の透明基板の下面に積層される第2の偏光フィルム(76)と、を備える第2の反射偏光子サブアセンブリ(62)をさらに備え、
前記第2の透明基板の上面は凹凸加工され、前記TFTパネルの下面に取り付けられる、請求項
15に記載のTFTサブアセンブリ。
【請求項17】
前記第2の透明基板の上面は、前記TFTパネルの下面と直接接触している、請求項
16に記載のTFTサブアセンブリ。
【請求項18】
前記第1の透明基板と前記第2の透明基板は、ポリメチルメタクリレート(PMMA)である、請求項
17に記載のTFTサブアセンブリ。
【請求項19】
前記第1の透明基板の下面は、つや消し加工されている、請求項
14乃至18のいずれか1項に記載のTFTサブアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、テクスチャ表面が設けられたコンポーネントを内部に有するヘッドアップディスプレイ(HUD)に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な自動車がヘッドアップディスプレイ(HUD)システムを備えている。HUDシステムでは、光源が光を投射し、それが車両のフロントガラスで反射される。光の焦点は車両の外にあるため、車両の運転者は、外の環境を見ながら焦点を変えることなく、フロントガラス上の光を見ることができる。
【発明の概要】
【0003】
一実施形態において、車両用ヘッドアップディスプレイ(HUD)アセンブリは、第1の反射偏光子サブアセンブリと、第2の反射偏光子サブアセンブリを含む。第1の反射偏光子サブアセンブリは、上面及び下面を有する第1の透明基板と、第1の透明基板の上面に接合された第1の偏光フィルムを含む。第2の反射偏光子サブアセンブリは、上面及び下面を有する第2の透明基板と、第2の透明基板の上面に接合された第2の偏光フィルムを含む。薄膜トランジスタ(TFT)パネルは、第1の透明基板の下面と第2の透明基板の上面との間に配置される。第1の透明基板の下面及び第2の透明基板の上面のうちの少なくとも1つは凹凸加工されている。
【0004】
一実施形態では、ヘッドアップディスプレイ(HUD)アセンブリは、薄膜トランジスタ(TFT)パネルと、対向する関係でTFTパネルに接触する表面を有する反射偏光子サブアセンブリを含む。TFTパネルに接触する反射偏光子サブアセンブリの表面は凹凸加工されている。
【0005】
一実施形態では、ヘッドアップディスプレイ(HUD)用の薄膜トランジスタ(TFT)サブアセンブリは、上面及び下面を有するTFTパネル、並びに、第1の反射偏光子サブアセンブリを含む。第1の反射偏光子サブアセンブリは、下面及び上面を有する第1の透明基板と、第1の透明基板の上面に積層された第1の偏光フィルムを有する。第1の透明基板の下面は凹凸加工され、TFTパネルの上面に取り付けられる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本開示の上記及び他の目的、特徴、並びに利点は、添付の図面を参照してなされる以下の詳細な説明からより明らかになるであろう。
【0007】
【
図1】一実施形態によるHUDシステムの概略側面図を示す。
【
図2】一実施形態による、HUDアセンブリの分解組立斜視図を示す。
【
図3】一実施形態による、HUDアセンブリの断面図を示す。
【
図4】
図3の一部の拡大図であり、一実施形態による、反射偏光子サブアセンブリの断面を示す。
【
図5】
図4の一部の拡大図であり、一実施形態による、反射偏光子サブアセンブリの材料の層のうちの1つのテクスチャ表面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
ここでは、本開示の実施形態が説明される。しかしながら、開示される実施形態は単なる例に過ぎず、他の実施形態は様々な代替の形態をとることができることを理解されたい。図は必ずしも縮尺どおりではない。一部の特徴は、特定のコンポーネントの詳細を示すために誇張又は最小化され得る。従って、本明細書に開示される特定の構造的及び機能的詳細は、限定的であると解釈されるべきではなく、単に、当業者に実施形態を様々に使用することを教示するための代表的な基礎として解釈されるべきである。当業者が理解するように、図のいずれか1つを参照して図示及び説明された様々な特徴は、1つ以上の他の図に図示された特徴と組み合わせて、明示的に図示又は説明されていない実施形態を生成することができる。図示された特徴の組み合わせは、典型的な用途の代表的な実施形態を提供する。しかしながら、本開示の教示と一致する特徴の様々な組み合わせ及び変更は、特定の用途又は実施のために望ましい可能性がある。
【0009】
ヘッズアップディスプレイ(HUD)は、ヘッドアップディスプレイとも呼ばれ、ユーザーが通常の環境から目を離すことを必要とせずに、データを表示するタイプの透明ディスプレイである。車両アプリケーションでは、運転者が運転中に周囲の環境をはっきりと見ることができるように、透明で視覚的に遮らない態様で、データが、(例えば)フロントガラスに表示され得る。フロントガラス上の表示に利用できるデータには、車速、ターンバイターン方式のナビゲーション指示、周囲の物体に関する警告などが含まれる。
【0010】
図1は、一実施形態による一般的なHUDシステム10を示す。HUDシステム10は自動車、トラック、スポーツユーティリティビークル、バンなどの乗用車に設けられる。他の実施形態では、HUDシステム10は、航空、軍事、及び他の用途で実装することができる。HUDシステム10は、車両のダッシュボードの下に様々なコンポーネントを含む。例えば、HUDシステム10は、プロジェクタユニット12を含むことができる。簡単にするために、
図1では、プロジェクタユニット12が、例えばプロジェクタユニット12の後部に配置された発光ダイオード(LED)光源であり得る、光源14を有するように示されている。光源14から送出された光は、概して16で示される。一実施形態では、光源14からの光は、薄膜トランジスタ(TFT)又は反射偏光子サブアセンブリなどのスクリーン又はビジュアルディスプレイに送られる。TFTは画像を作成することができ、LEDは画像を照らすことができる。換言すれば、LEDはTFTのバックライトとすることができる。その後、光はミラー18で反射され得る。ミラー18で反射された光は、概して20で示され、ダッシュボードの開口部又は透明領域を通過し、運転者26に向けて車両フロントガラス22で反射される。フロントガラス上に示される光は、例えば、運転者の視点から運転者26の前方の道路と重なり得るフロントガラスの領域24上に示すことができる。
【0011】
図1は、HUDシステム10の簡略図であることを理解されたい。以下に説明するように、TFT(又は、一般に、ミラー18)は、様々な構造のサブアセンブリとすることができ、本明細書では、様々な実施形態において反射偏光子サブアセンブリとして説明される。また、
図1には示していないが、HUDシステム10は、コリメータ、レンズ、追加のミラー、及び他の構造など、フロントガラスへの光の効果的な送達を支援する多くの他の構成要素を含むことができる。HUDシステム10はTFTを含むことができるが、液晶ディスプレイ(LCD)、シリコン上の液晶(LCoS)、デジタルマイクロミラー(DMD)、有機発光ダイオード(OLED)、又は光源からの光がフロントガラスに投影される際に、その光によって照らされる、多種多様な半導体材料(例えば、シリコン、ガラス、セレン化カドミウム、金属酸化物など)を使用して作られたその他のデバイスなどの、他のスクリーン又はビジュアルディスプレイが使用されても良い。
【0012】
太陽光によるTFT表面の損傷を防ぐために、反射偏光子が使用され得る。HUDシステムの場合、この反射偏光子は、透明な基板とTFTが接触するように、順々に、TFT表面に取り付けられる透明な基板に積層される薄膜であり得る。透明な基板がTFTに接触すると、2つの部品が、表面張力を形成するように、非所望にかつ偶発的に互いに結合し、光学的な欠陥が生じる可能性がある。
【0013】
本明細書に記載の様々な実施形態によれば、透明基板の片面を凹凸加工することができる。透明な基板の凹凸加工は、透明な基板がTFTと結合することを抑制し、偶発的な光学的欠陥を防ぐことができる。本明細書で説明するように、表面の凹凸加工は、表示される画像を歪ませることなく、表面を十分に粗くする表面粗さ、つや消しなどによって達成することができる。
【0014】
図2は、一実施形態によるHUDアセンブリ30の分解組立斜視図を示す。
図3は、同様のHUDアセンブリ30の断面図を示す。
図2と
図3に示される図の間の唯一の相違点は、全体的な形状と特定の構造の包含にあるため、両方の図で同様の参照番号が使用されている。
図2-3を参照すると、HUDアセンブリ30は、外側ハウジング又はアセンブリケースとも呼ばれるケース32を含む。TFTパネル34は、例えば、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)であってもよく、これは、支持基板(例えば、ガラスなど)上に、半導体活性層と誘電体層と金属コンタクトとの薄膜を堆積させることによって製造され得る。ケース32は、TFTスクリーン又はTFTパネル34を支持することができる。TFTパネル34はまた、TFTパネル34の照明が開口部38を通して視認できるように、TFTパネル34と位置合わせされる中央開口部38を有するカバー36にも組み付けられる。HUDアセンブリ30の向き及び位置決めは、TFTパネル34が車両のダッシュボードの開口部と直接位置合わせされるようになされることができる。
【0015】
HUDアセンブリ30はまた、上述のもののような光源40を含むことができる。図示の実施形態では、光源40は、LED基板、例えば、LED43が配置されたプリント回路基板(PCB)41である。レンズボード上に配置された複数の個々のレンズを含む第1の光学レンズ42も設けられ、各レンズは、例えば、LEDのそれぞれの1つと位置合わせされる。第1の光学レンズ42から離間して、第2の光学レンズ44も設けられている。レンズスペーサ46が設けられており、レンズ42、44の両方に取り付けられ、レンズ間の空間的関係を維持するように構成され得る。
【0016】
HUDアセンブリ30には、アセンブリの後部にヒートシンク50を設けることもでき、これは
図2の実施形態に示されている。ヒートシンク50は、例えばケース32に直接取り付けることができる。複数の留め具(ネジ、ボルトなど)52は、ヒートシンク50に形成された開口部を通って延び、光源40の基板の対応する穴に接続して、2つを接続することができる。ヒートシンク50には、熱を拡散させるためのフィン54を設けることができる。同様に、ケース32には、熱の拡散のためのフィン56を設けることができる。
【0017】
HUDアセンブリ30は、少なくとも1つの反射偏光子サブアセンブリも含む。
図2及び
図3の図示された実施形態では、2つの反射偏光子サブアセンブリ、すなわち、第1の反射偏光子サブアセンブリ60及び第2の反射偏光子サブアセンブリ62がある。しかし、本明細書で提供される教示は、単一の反射偏光子サブアセンブリのみが、例えば、TFTパネル34の片側のみに提供されるHUDシステムに適用できることを理解されたい。
【0018】
図示の実施形態では、TFTパネル34が第1の偏光子サブアセンブリ60と第2の偏光子サブアセンブリ62との間にあり、それらに直接接触することで、TFTサンドイッチが作成される。第1の偏光子サブアセンブリ60は、太陽光がTFTパネル34に当たらないように構成され、第2の偏光子サブアセンブリ62は、TFTパネル34が過熱するのを防ぐために、光源40からの光の一部を反射してTFTパネル34から離れるように構成される。
【0019】
一実施形態では、第2の偏光子サブアセンブリ62は、ケース32に直接接触しない。代わりに、一片の発泡体63又は他の絶縁材料が、第2の偏光子サブアセンブリ62とケースとの間に設けられ得る。発泡体63は、例えば、第2の偏光子サブアセンブリの一方の側において外縁周りの様々な離間した位置に配置することができる。
【0020】
図4は、TFTサンドイッチ、すなわち第1の偏光子サブアセンブリ60と第2の偏光子サブアセンブリ62との間のTFTパネル34の拡大図を示す。これは、TFTサブアセンブリと呼ばれることもあり得る。
図5は、TFTパネル34に面し、直接接触する偏光子サブアセンブリの側面の拡大図である。
図5は、第2の偏光子サブアセンブリの上面の拡大図であるが、本明細書に記載の表面の特徴は、第1のサブアセンブリ60の下面にも存在し得る。換言すると、本明細書に記載の表面の特徴は、偏光子サブアセンブリ60、62の両方に、TFTパネル34と接触するそれぞれの表面上にあり得る。
【0021】
各反射偏光子サブアセンブリは、透明な基板に接続された偏光フィルムを含む。特に、第1の偏光子サブアセンブリ60は、第1の透明基板64及び第1の偏光フィルム66を含み、第2の偏光子サブアセンブリ62は、第2の透明基板74及び第2の偏光フィルム76を含む。第1の透明基板64及び第2の透明基板74は、アクリル、アクリルガラス、又はプレキシガラスとも呼ばれる、ポリメチルメタクリレート(PMMA)であっても良い。第1の偏光フィルム66及び第2の偏光フィルム76は、フィルム反射偏光子(FRP)又はそれぞれの透明基板に積層される他の類似の偏光フィルムであっても良い。各偏光フィルム66、76は、それ自体が多層のフィルムを含むことができるが、図示の実施形態では単一の層のみが示されている。偏光フィルム66、76は、拒絶された偏光の一部を再利用して光出力を増加させるように構成された、ポリマーと多層フィルム技術の組み合わせを含むことができる。特に、偏光フィルム66、76は、光偏光の一方の面で反射し、他方を透過又は反射しても良い。
【0022】
第1の透明基板64は、下面67及び反対側の上面68を有する。下面67は、TFTパネル34に組み付けられると、TFTパネル34の上面35に直接接触する。他の実施形態では、下面67と上面35との間に空隙がある。第1の透明基板64の上面68は、そこに積層され得る第1の偏光フィルム66によって覆われる。
【0023】
第2の透明基板74は、上面77及び反対側の下面78を有する。上面77は、TFTパネル34に組み付けられると、TFTパネル37の下面37に直接接触する。他の実施形態では、上面77と下面37との間に空隙がある。第2の透明基板74の下面78は、そこに積層される第2の偏光フィルム76によって覆われる。
【0024】
上で説明したように、HUDシステム10の出力における光学的欠陥は望ましくなく、それは、第1の透明基板64の下面67とTFTパネル34の上面35との間の偶発的な結合、及び/又は第2の透明基板74の上面77とTFTパネル34の下面37との間の偶発的な結合から生じる可能性がある。従って、本明細書に開示されるように、下面67及び/又は上面77は、これらの偶発的な結合を防止するために凹凸加工又は粗面化され得る。これは、
図4に示される粗面化された表面の特徴によって表されている。
【0025】
図5は、第2の透明基板74の上面77の拡大図であり、そこに形成された表面特徴80の一例を示している。説明される表面特徴80は、第1の透明基板64の下面67にも与えられることを理解されたい。
【0026】
表面特徴80は、上面77を粗くするように構成された起伏、隆起、突起、こぶ、食刻、引っかき傷などであってもよい。表面特徴80は、例えば、上面がつや消し表面になるように、上面77をつや消しした結果であっても良い。ガラスエッチングクリーム又は他の同様の研磨材料を使用して、上面77を粗くし、表面特徴80を作成することができる。さらに他の実施形態では、表面特徴80は、テープ研磨、砥粒研磨、化学機械研磨(CMP)等の研磨により形成される。他の実施形態では、透明基板64、74を成形するために使用される成形型(例えば、ガラス)の表面上に凹凸がエッチングされ、その結果、射出成形部品に凹凸を適用するのと同様に、成形の間に、凹凸が透明基板64、74に適用される。それゆえ、上面77は、食刻表面、つや消し表面、凹凸加工表面、でこぼこした表面などと呼ぶことができる。
【0027】
本明細書に記載の凹凸加工された表面は、TFTパネル34と透明基板64、74のいずれか又は両方との間の結合又は接着を防止する。TFTパネル34と接触する透明基板64、74の表面を凹凸化又は粗面化することにより、HUDシステムによって出力される表示画像の明瞭さ、強度、均一性、及び鮮明さが目立った影響を受けずに、偶発的な結合に起因する画像の歪みが除去される。
【0028】
本明細書では、様々な構成要素の「上面」及び「下面」に言及しているが、これらは単に図に示されている向きに言及しているだけであることを理解されたい。これらの用語は、生産された製品の実際の向きついて限定するものではなく、単に図に示されている向きを指すものである。例えば、透明基板64の下面67が凹凸加工され、透明基板74の上面77が凹凸加工されると説明したが、代わりに、各透明基板が対向する第1及び第2の表面を有し、それらの表面の1つが凹凸加工されると述べることができる。対向する2つの表面のうちの他方は、凹凸加工されなくても良く、例えば、滑らかで、透明で、隆起、食刻、又は他の意図的に製造された表面特徴がなくても良い。
【0029】
例示的な実施形態が上述されたが、これらの実施形態が、特許請求の範囲に含まれるすべての可能な形態を記載することは意図されていない。本明細書で使用されている文言は、限定ではなく説明の文言であり、本開示の主旨及び範囲から逸脱することなく、様々な変更を加えることができることが理解されよう。前述のように、様々な実施形態の特徴を組み合わせて、明示的に説明又は図示されていない可能性のある本発明のさらなる実施形態を形成することができる。様々な実施形態は、1つ以上の所望の特性に関して他の実施形態又は従来技術の実施よりも有利な点を提供するか又は好ましいものとして説明され得るが、この分野の当業者は、1つ以上の特徴又は特性を妥協して、特定の用途や実施に依存する、全体として所望のシステム属性を達成することができることを認識するだろう。これらの属性には、限定されないが、コスト、強度、耐久性、ライフサイクルコスト、市場性、外観、パッケージング、サイズ、保守性、重量、製造可能性、組み立て容易性などが含まれる。このように、任意の実施形態が、1つ以上の特性に関して他の実施形態又は従来技術の実施よりも望ましくないと説明される程度まで、これらの実施形態は、本開示の範囲外ではなく、特定の用途に望ましい可能性がある。