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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】圧力センサ素子及び圧力センサ
(51)【国際特許分類】
   G01L 9/00 20060101AFI20240925BHJP
   H01L 29/84 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
G01L9/00 305A
H01L29/84 Z
H01L29/84 B
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2023545148
(86)(22)【出願日】2022-07-20
(86)【国際出願番号】 JP2022028239
(87)【国際公開番号】W WO2023032501
(87)【国際公開日】2023-03-09
【審査請求日】2024-01-18
(31)【優先権主張番号】P 2021141346
(32)【優先日】2021-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【弁理士】
【氏名又は名称】徳山 英浩
(72)【発明者】
【氏名】太田 麻里
(72)【発明者】
【氏名】吉田 康一
(72)【発明者】
【氏名】濱▲崎▼ 良平
【審査官】井亀 諭
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2020/0317508(US,A1)
【文献】特開2006-343115(JP,A)
【文献】特開2004-354105(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 7/00-23/32
G01L 27/00-27/02
H01L 29/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイアフラム部を有するメンブレンと、
前記メンブレンと厚み方向に対向する基板と、
前記メンブレン及び前記基板の間に位置し、前記メンブレン及び前記基板に接合された環状のガード部と、
前記メンブレン、前記基板、及び前記ガード部によって形成された密閉空間に配置され、前記メンブレンと接合し且つ前記基板及び前記ガード部から離れたベース部と、を備え、
前記ベース部の面のうち前記メンブレンを向く面の一部は、静電容量を形成するための圧力基準室を介して前記メンブレンの前記ダイアフラム部と対向し、
前記ベース部は、前記ベース部の面のうち前記メンブレンを向く面の一部以外の部分において前記メンブレンと接合し、
前記厚み方向が深さ方向となる1つまたは複数のトレンチが少なくとも前記ガード部に形成され、
前記トレンチの少なくとも1つは、前記メンブレンを前記厚み方向に貫通して少なくとも前記ガード部の内部まで達する圧力センサ素子。
【請求項2】
前記ガード部の前記メンブレン側及び前記ガード部の前記基板側の少なくとも一方に厚み方向の隙間部が形成され、
前記ガード部の前記メンブレン側に形成された前記隙間部は、前記厚み方向から見て前記密閉空間から外側へ向けて形成されており、
前記ガード部の前記基板側に形成された前記隙間部は、前記厚み方向から見て前記トレンチから内側へ向けて形成されている請求項1に記載の圧力センサ素子。
【請求項3】
前記ガード部の外側面に、前記トレンチの少なくとも1つと連通する溝部が形成されている請求項1または2に記載の圧力センサ素子。
【請求項4】
複数の前記トレンチが少なくとも前記ガード部に形成され、
複数の前記トレンチのうち前記厚み方向から見て隣り合う2つのトレンチが互いに前記厚み方向にずれて形成されていることによって、前記ガード部及び前記メンブレンの少なくとも一部は、前記ガード部の前記基板との接合部から前記メンブレンの前記ベース部との接合部まで、前記厚み方向に蛇行するように延びている請求項1または2に記載の圧力センサ素子。
【請求項5】
前記基板は、前記ベース部と対向する面に、前記ベース部へ向けて突出した凸部を備える請求項1または2に記載の圧力センサ素子。
【請求項6】
前記ベース部の面のうち前記圧力基準室に面する面に前記圧力基準室と連通するベーストレンチが形成されている請求項1または2に記載の圧力センサ素子。
【請求項7】
前記圧力基準室は、前記密閉空間と連通する請求項1または2に記載の圧力センサ素子。
【請求項8】
前記ベース部は、第1電極と、前記第1電極と離れた第2電極とを備え、
前記第1電極は、前記圧力基準室に面し、
前記第2電極は、絶縁部材を介して前記メンブレンと接合されている請求項1または2に記載の圧力センサ素子。
【請求項9】
前記ガード部は、前記基板と電気的に接続されている請求項1または2に記載の圧力センサ素子。
【請求項10】
請求項1または2に記載の圧力センサ素子と、
前記圧力センサ素子が実装された実装面を有する実装板と、
前記実装板の実装面に設けられ、前記圧力センサ素子を覆い、前記ダイアフラム部を露出させる露出穴が形成された樹脂パッケージと、を備える圧力センサ。
【請求項11】
前記圧力センサ素子は、前記ベース部を外部と電気的に接続させるためのパッドを更に備え、
前記厚み方向から見て、前記パッドは、前記トレンチに対して前記ベース部の反対側に位置している請求項10に記載の圧力センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部からの圧力を感知する圧力センサ素子、及び当該圧力センサ素子を備える圧力センサに関する。
【背景技術】
【0002】
圧力センサ素子のうち、微小な圧力を感知するものは、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems、微小電気機械システム)で構成されることがある。
【0003】
MEMSで構成された圧力センサ素子は、外部からの圧力を検知するための検知部と、検知部の周囲に設けられた周囲部とを備えている。この場合、圧力センサ素子の外部から周囲部へ作用した衝撃が検知部へ及ぶことによって、検知部が破損するおそれがある。
【0004】
特許文献1に開示された圧力センサは、検知部と周囲部との間の大部分が溝によって隔てられており、検知部と周囲部の一部のみがアームによって連結されている。これにより、周囲部へ付加された衝撃が検知部へ及ぶことが低減されている。
【0005】
また、特許文献1に開示された圧力センサは、検知部の上方に蓋部を備えている。これにより、水等の異物が検知部へ付着することが抑制されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許出願公開第2017/0253477号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示された圧力センサでは、検知部と周囲部がアームによって連結されているため、周囲部等の圧力センサ内で生じた応力がアームを介して検知部へ作用するおそれがある。これにより、検知部の検知精度が低下するおそれがある。
【0008】
また、特許文献1に開示された圧力センサでは、検知部を外部と連通させるための通気口が蓋部に形成されている。そのため、水等の異物が通気口を介して圧力センサの内部に進入して、検知部に付着するおそれがある。これにより、検知部の検知精度が低下するおそれがある。
【0009】
従って、本発明の目的は、前記課題を解決することにあって、応力及び異物による検知精度への影響を低くすることができる圧力センサ素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために、本発明は以下のように構成する。
本発明の一態様に係る圧力センサ素子は、
ダイアフラム部を有するメンブレンと、
前記メンブレンと厚み方向に対向する基板と、
前記メンブレン及び前記基板の間に位置し、前記メンブレン及び前記基板に接合された環状のガード部と、
前記メンブレン、前記基板、及び前記ガード部によって形成された密閉空間に配置され、前記メンブレンと接合し且つ前記基板及び前記ガード部から離れたベース部と、を備え、
前記ベース部の面のうち前記メンブレンを向く面の一部は、静電容量を形成するための圧力基準室を介して前記メンブレンの前記ダイアフラム部と対向し、
前記ベース部は、前記ベース部の面のうち前記メンブレンを向く面の一部以外の部分において前記メンブレンと接合し、
前記厚み方向が深さ方向となる1つまたは複数のトレンチが少なくとも前記ガード部に形成され、
前記トレンチの少なくとも1つは、前記メンブレンを前記厚み方向に貫通して少なくとも前記ガード部の内部まで達する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、応力及び異物による検知精度への影響を低くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1実施形態に係る圧力センサの縦断面図。
図2】圧力センサ素子の縦断面図。
図3図2の圧力センサ素子からメンブレン及び第1絶縁層を除いたものの平面図。
図4図1の圧力センサ素子の等価回路を示す図。
図5】本発明の第1実施形態に係る圧力センサの変形例の縦断面図。
図6図3に示す圧力センサ素子の変形例を示す平面図。
図7図2に示す圧力センサ素子の変形例を示す縦断面図。
図8】本発明の第2実施形態に係る圧力センサが備える圧力センサ素子からメンブレン及び第1絶縁層を除いたものの平面図。
図9】本発明の第3実施形態に係る圧力センサが備える圧力センサ素子の縦断面図。
図10】本発明の第4実施形態に係る圧力センサが備える圧力センサ素子の縦断面図。
図11】本発明の第5実施形態に係る圧力センサが備える圧力センサ素子の縦断面図。
図12】本発明の第6実施形態に係る圧力センサが備える圧力センサ素子の縦断面図。
図13】本発明の第7実施形態に係る圧力センサが備える圧力センサ素子の縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一態様に係る圧力センサ素子は、
ダイアフラム部を有するメンブレンと、
前記メンブレンと厚み方向に対向する基板と、
前記メンブレン及び前記基板の間に位置し、前記メンブレン及び前記基板に接合された環状のガード部と、
前記メンブレン、前記基板、及び前記ガード部によって形成された密閉空間に配置され、前記メンブレンと接合し且つ前記基板及び前記ガード部から離れたベース部と、を備え、
前記ベース部の面のうち前記メンブレンを向く面の一部は、静電容量を形成するための圧力基準室を介して前記メンブレンの前記ダイアフラム部と対向し、
前記ベース部は、前記ベース部の面のうち前記メンブレンを向く面の一部以外の部分において前記メンブレンと接合し、
前記厚み方向が深さ方向となる1つまたは複数のトレンチが少なくとも前記ガード部に形成され、
前記トレンチの少なくとも1つは、前記メンブレンを前記厚み方向に貫通して少なくとも前記ガード部の内部まで達する。
【0014】
この構成によれば、複数のトレンチの少なくとも1つのトレンチは、メンブレンを貫通して少なくともガード部の内部まで達するように形成されている。そのため、厚み方向から見て当該トレンチより外側で生じた応力が、メンブレン及びガード部を介してベース部へ作用することを抑制することができる。これにより、応力による圧力センサ素子の検知精度への影響を低くすることができる。
【0015】
この構成によれば、ベース部は、密閉空間に配置されており、外部に露出していない。そのため、ベース部への水等の異物の付着を防止することができる。これにより、異物による圧力センサ素子の検知精度への影響を低くすることができる。
【0016】
この構成によれば、ベース部は、基板及びガード部の双方から離れている。そのため、基板及びガード部からベース部へ応力が直接伝わることを防止することができる。これにより、応力による圧力センサ素子の検知精度への影響を低くすることができる。
【0017】
前記圧力センサ素子において、
前記ガード部の前記メンブレン側及び前記ガード部の前記基板側の少なくとも一方に厚み方向の隙間部が形成されていてもよく、
前記ガード部の前記メンブレン側に形成された前記隙間部は、前記厚み方向から見て前記密閉空間から外側へ向けて形成されていてもよく、
前記ガード部の前記基板側に形成された前記隙間部は、前記厚み方向から見て前記トレンチから内側へ向けて形成されていてもよい。
【0018】
メンブレン側が凸となるように基板が曲がったときに生じる曲げ応力は、ガード部を介してメンブレンへ伝わり、メンブレンからベース部へ伝わる。この構成によれば、ガード部のうち厚み方向から見てトレンチより内側の部分に伝わった曲げ応力のベース部への伝達を、隙間部によって抑制することができる。なお、ガード部のうち厚み方向から見てトレンチより外側にあるガード部に伝わった曲げ応力のベース部への伝達は、トレンチによって抑制可能である。
【0019】
前記圧力センサ素子において、
前記ガード部の外側面に、前記トレンチの少なくとも1つと連通する溝部が形成されていてもよい。
【0020】
この構成によれば、基板が曲がった場合に基板に生じる曲げ応力のベース部への伝達を、溝部によって抑制することができる。
【0021】
前記圧力センサ素子において、
複数の前記トレンチが少なくとも前記ガード部に形成されていてもよく、
複数の前記トレンチのうち前記厚み方向から見て隣り合う2つのトレンチが互いに前記厚み方向にずれて形成されていることによって、前記ガード部及び前記メンブレンの少なくとも一部は、前記ガード部の前記基板との接合部から前記メンブレンの前記ベース部との接合部まで、前記厚み方向に蛇行するように延びていてもよい。
【0022】
基板が曲がった場合に基板に生じる曲げ応力は、ガード部及びメンブレンを介してベース部へ伝わる。この構成によれば、ガード部及びメンブレンの少なくとも一部は、ガード部の基板との接合部からメンブレンのベース部との接合部まで、厚み方向に蛇行するように延びている。これにより、基板からベース部までの曲げ応力の伝達経路が長くなる。その結果、曲げ応力のベース部への伝達を抑制することができる。
【0023】
前記圧力センサ素子において、
前記基板は、前記ベース部と対向する面に、前記ベース部へ向けて突出した凸部を備えていてもよい。
【0024】
メンブレンが撓むときにベース部がメンブレンと共に過剰に撓むと、ベース部とダイアフラム部との間の距離に誤差が生じて検出精度が低下するおそれがある。また、メンブレンが撓むときにベース部がメンブレンと共に過剰に撓むと、ベース部とメンブレンとの接合部に応力が集中して、ベース部及びメンブレンが破損するおそれがある。この構成によれば、凸部が設けられていることによって、ベース部と基板との間の間隔が小さくなる。これにより、ベース部の過剰な撓みを凸部によって抑制することができる。
【0025】
前記圧力センサ素子において、
前記ベース部の面のうち前記圧力基準室に面する面に前記圧力基準室と連通するベーストレンチが形成されていてもよい。
【0026】
この構成によれば、圧力基準室がベーストレンチと連通している。これにより、圧力基準室を含む空間の体積が大きくなる。その結果、多数の圧力センサ素子が製造される場合に、製造された多数の圧力センサ素子間における圧力基準室の内圧のばらつきを小さくすることができる。
【0027】
この構成によれば、ベース部におけるメンブレンとの接合部から、ベース部におけるダイアフラム部と対向する部分までの応力の伝達経路が、ベーストレンチによって迂回する。これにより、ベース部におけるダイアフラム部と対向する部分への応力の伝達を抑制することができる。
【0028】
前記圧力センサ素子において、
前記圧力基準室は、前記密閉空間と連通してもよい。
【0029】
この構成によれば、圧力基準室がメンブレン、基板、及びガード部によって形成された密閉空間と連通している。これにより、圧力基準室を含む空間の体積が大きくなる。その結果、多数の圧力センサ素子が製造される場合に、製造された多数の圧力センサ素子間における圧力基準室の内圧のばらつきを小さくすることができる。
【0030】
前記圧力センサ素子において、
前記ベース部は、第1電極と、前記第1電極と離れた第2電極とを備えていてもよく、
前記第1電極は、前記圧力基準室に面していてもよく、
前記第2電極は、絶縁部材を介して前記メンブレンと接合されていてもよい。
【0031】
仮に、第1電極及び第2電極が一体である場合、第1電極とダイアフラム部との間の静電容量の変化分に相当する第1電流に加えて、第2電極とメンブレンとの間の静電容量の変化分に相当する第2電流が、第1電極及び第2電極よりなる電極から出力される。第2電流は、ダイアフラム部の変位に基づくものではないため、第2電流の分だけ、検知精度が低下するおそれがある。例えば、第2電極とメンブレンとの間の静電容量の温度特性に起因する圧力低下分が、出力電流に含まれてしまい、前記の検知精度の低下を招くおそれがある。この構成によれば、第1電極が第2電極と離れて設けられているため、前述したような第2電流による検知精度の低下を防止することができる。
【0032】
前記圧力センサ素子において、
前記ガード部は、前記基板と電気的に接続されていてもよい。
【0033】
この構成によれば、ガード部が基板に形成されたグランド電極と電気的に接続された場合に、ガード部を外部からの電磁波に対するシールドとして機能させることができる。これにより、外部からの電磁波に起因するベース部の電気的な出力の精度低下を抑制することができる。
【0034】
本発明の一態様に係る圧力センサは、
前記圧力センサ素子と、
前記圧力センサ素子が実装された実装面を有する実装板と、
前記実装板の実装面に設けられ、前記圧力センサ素子を覆い、前記ダイアフラム部を露出させる露出穴が形成された樹脂パッケージと、を備える。
【0035】
この構成によれば、樹脂パッケージによって圧力センサ素子を実装板に強固に固定することができる。
【0036】
前記圧力センサにおいて、
前記圧力センサ素子は、前記ベース部を外部と電気的に接続させるためのパッドを更に備えていてもよく、
前記厚み方向から見て、前記パッドは、前記トレンチに対して前記ベース部の反対側に位置していてもよい。
【0037】
この構成によれば、パッドは、ベース部から離れた位置に設けられている。また、パッドとベース部との間にトレンチが形成されている。そのため、圧力センサの製造工程においてパッドを覆うために実装板の実装面へ流入される樹脂パッケージがベース部へ到達することを抑制することができる。これにより、ベース部の一部が誤って樹脂パッケージに覆われることを抑制することができる。その結果、圧力センサの検知精度の低下を抑制することができる。
【0038】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る圧力センサの縦断面図である。圧力センサ10は、圧力を検出可能であり、例えば自動車等の移動体や、スマートフォン、スマートウォッチ等の民生用機器等に搭載される。
【0039】
図1に示すように、圧力センサ10は、基板20と、圧力センサ素子30と、特定用途向け集積回路(ASIC(Application Specific Integrated Circuit))40と、樹脂パッケージ50とを備える。以下、特定用途向け集積回路40はASIC40と記される。
【0040】
基板20は、板状の部材である。基板20は、実装板の一例である。基板20は、ガラスエポキシ基板やセラミック基板等のリジッド基板であるが、これに限らない。例えば、基板20は、リードフレームであってもよい。
【0041】
基板20は、厚み方向100に薄い直方体形状である。厚み方向100は、基板20の上面20Aと直交する方向である。基板20は、厚み方向100から見て四角形である。基板20の形状は直方体形状(厚み方向100から見て四角形である形状)に限らない。例えば、基板20は、厚み方向100から見て四角形以外の多角形であってもよい。
【0042】
圧力センサ素子30は、圧力を検出するためのものである。圧力センサ素子30は、静電容量型の素子であり、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)素子である。
【0043】
圧力センサ素子30は、ダイアタッチフィルムやダイアタッチ材等によって、基板20の上面20Aに接着されている。上面20Aは、実装面の一例である。これにより、圧力センサ素子30は、基板20の上面20Aに実装されている。第1実施形態では、圧力センサ素子30が基板20に実装されることによって、圧力センサ素子30の厚み方向は、基板20の厚み方向100と同一となっている。なお、圧力センサ素子30の基板20への実装手段は、前述した接着に限らず、公知の種々の手段を用いることができる。
【0044】
圧力センサ素子30は、直方体形状である。圧力センサ素子30の形状は直方体形状(厚み方向100から見て四角形である形状)に限らない。例えば、圧力センサ素子30は、厚み方向100から見て四角形以外の多角形であってもよいし、円柱形状であってもよい。
【0045】
圧力センサ素子30の構成は、後に詳細に説明される。
【0046】
ASIC40は、基板20の上面20Aに実装されている。ASIC40は、集積回路を覆うパッケージを備える。第1実施形態において、当該パッケージはシリコンで構成されているが、シリコン以外で構成されていてもよい。
【0047】
ASIC40は、ダイアタッチフィルムやダイアタッチ材等によって、基板20の上面20Aに接着されている。これにより、ASIC40は、基板20の上面20Aに実装されている。なお、ASIC40の基板20への実装手段は、前述した接着に限らず、公知の種々の手段を用いることができる。
【0048】
ASIC40は、直方体形状である。なお、ASIC40の形状は直方体形状(厚み方向100から見て四角形である形状)に限らない。例えば、ASIC40は、厚み方向100から見て四角形以外の多角形であってもよい。
【0049】
圧力センサ素子30とASIC40とは、ボンディングワイヤ60及び基板20を介して電気的に接続されている。以下に詳述する。圧力センサ素子30にはパッド70が形成されており、基板20の上面20Aにはパッド21が形成されている。パッド70,21は、ボンディングワイヤ60によって電気的に接続されている。基板20の上面20Aには配線パターン(不図示)が形成されている。当該配線パターンは、パッド21から延びている。ASIC40は、当該配線パターンを介してパッド21と電気的に接続されている。
【0050】
なお、図1では、説明の便宜上、パッド70、パッド21、及びボンディングワイヤ60は、それぞれ1つずつ描かれているが、それぞれの個数は1つに限らない。例えば、第1実施形態では、圧力センサ素子30には3つのパッド70(パッド71,72,73、図3参照)が形成されており、パッド21及びボンディングワイヤ60は各パッド71,72,73に対応して設けられている。
【0051】
また、圧力センサ素子30とASIC40とを電気的に接続する構成は、前述した構成に限らない。例えば、圧力センサ素子30とASIC40とは、ボンディングワイヤによって基板20を介することなく電気的に接続されていてもよい。
【0052】
ASIC40は、圧力センサ素子30から出力された信号を処理し、処理後の信号を基板20に出力する信号処理回路を備える。例えば、ASIC40は、コンバータ、フィルタ、温度センサ、プロセッサ、及びメモリ等を備える。コンバータは、圧力センサ素子30から出力された電圧信号をデジタル信号に変換する。フィルタは、コンバータからのデジタル信号をフィルタリングする。温度センサは、温度を検出する。プロセッサは、各温度センサの検出温度に基づいてフィルタリングされたデジタル信号を補正する。メモリは、検出温度を用いてデジタル信号を補正するときに使用する補正係数などを記憶する。
【0053】
樹脂パッケージ50は、エポキシ樹脂等の樹脂で構成されている。樹脂パッケージ50は、基板20の上面20Aに設けられている。樹脂パッケージ50は、基板20の上面20Aと、圧力センサ素子30と、ASIC40と、ボンディングワイヤ60とを覆っている。
【0054】
樹脂パッケージ50は、露出穴51を有する。露出穴51は、圧力センサ素子30の一部(詳細には、圧力センサ素子30の上面のうち、後述するメンブレン32のダイアフラム部32Aが設けられた領域を含む部分(図2参照))を圧力センサ10の外部に露出させる。
【0055】
以下、圧力センサ素子30の詳細な構成が説明される。
【0056】
図2は、圧力センサ素子の縦断面図である。図3は、図2の圧力センサ素子からメンブレン及び第1絶縁層を除いたものの平面図である。
【0057】
図2及び図3に示すように、圧力センサ素子30は、基板31と、メンブレン32と、ガード部33と、ベース部34とを備える。なお、圧力センサ素子30は、防水及び絶縁性確保のためのパッシベーション膜(不図示)を備えていてもよい。パッシベーション膜は、例えば、二酸化シリコン(SiO)、窒化シリコン(Si)等で構成されており、メンブレン32及びガード部33を外側から覆う。
【0058】
基板31とメンブレン32とは、厚み方向100に間隔を空けて対向している。基板31及びメンブレン32は、導電体で構成されている。第1実施形態において、基板31及びメンブレン32は、シリコンで構成されている。メンブレン32は、基板31より薄く、外部から圧力が作用することによって撓むことが可能である。
【0059】
ガード部33は、基板31とメンブレン32との間に位置する。厚み方向100から見て、ガード部33は環状である。ガード部33は、基板31及びメンブレン32の各々と接合されている。これにより、基板31とメンブレン32とガード部33とによって、密閉空間35が形成されている。
【0060】
ガード部33は、3つの絶縁層(第1絶縁層331、第2絶縁層332、及び第3絶縁層333)と3つの導電層(第1導電層334、第2導電層335、及び第3導電層336)とを備える。
【0061】
3つの絶縁層(第1絶縁層331、第2絶縁層332、及び第3絶縁層333)は、電気的に絶縁された絶縁体で構成されている。第1実施形態において、3つの絶縁層(第1絶縁層331、第2絶縁層332、及び第3絶縁層333)は、二酸化シリコン(SiO)で構成されている。
【0062】
3つの導電層(第1導電層334、第2導電層335、及び第3導電層336)は、導電体で構成されている。第1実施形態において、第1導電層334及び第3導電層336は、ポリシリコン(Poly-Si)で構成されており、第2導電層335は、シリコンで構成されている。
【0063】
第1絶縁層331は、メンブレン32に接合されている。第1導電層334は、第1絶縁層331におけるメンブレン32とは反対側の面に接合されている。第2絶縁層332は、第1導電層334における第1絶縁層331とは反対側の面に接合されている。第2導電層335は、第2絶縁層332における第1導電層334とは反対側の面に接合されている。第3絶縁層333は、第2導電層335における第2絶縁層332とは反対側の面に接合されている。第3導電層336は、第3絶縁層333における第2導電層335とは反対側の面に接合されている。
【0064】
第3導電層336における第3絶縁層333とは反対側の面は、基板31に接合されている。つまり、第3導電層336は、基板31と電気的に接続されている。
【0065】
第2絶縁層332には、導電体で構成された導電部332Aが形成されている。第1導電層334及び第2導電層335は、導電部332Aを介して電気的に接続されている。
【0066】
第3絶縁層333には、導電体で構成された導電部333Aが形成されている。第2導電層335及び第3導電層336は、導電部333Aを介して電気的に接続されている。
【0067】
以上より、ガード部33が備える3つの導電層(第1導電層334、第2導電層335、及び第3導電層336)は、基板31と電気的に接続されている。
【0068】
第1実施形態において、第2導電層335は、他の導電層(第1導電層334及び第3導電層336)並びに絶縁層(第1絶縁層331、第2絶縁層332、及び第3絶縁層333)より厚い。また、第1実施形態において、第2導電層335以外の2つの導電層及び3つの導電層の厚みは、同一または略同一である。なお、各導電層及び各絶縁層の厚みの大小関係は、前述したような関係に限らない。
【0069】
なお、ガード部33の層構成は、前述した層構成に限らない。例えば、ガード部33は、第2絶縁層332を備えていなくてもよい。この場合、第1導電層334と第2導電層335とが接合される。
【0070】
ベース部34は、密閉空間35に配置されている。第1実施形態において、ベース部34は、概ね直方体形状であるが、円柱形状等の他の形状であってもよい。ベース部34は、メンブレン32と接合している一方、基板31及びガード部33から離れている。密閉空間35は、ベース部34が配置されることによって、トレンチ35Aと、隙間35Bとで構成される。トレンチ35Aは、密閉空間35のうち、ベース部34とガード部33との間の空間であり、厚み方向100から見て概ね環状である(図3参照)。隙間35Bは、密閉空間35のうち、ベース部34と基板31との間の空間である。
【0071】
ベース部34は、3つの絶縁層(第1絶縁層341、第2絶縁層342、及び第3絶縁層343)と2つの導電層(第1導電層344及び第2導電層345)とを備える。
【0072】
ベース部34の第1絶縁層341、第2絶縁層342、第3絶縁層343、第1導電層344、及び第2導電層345は、それぞれガード部33の第1絶縁層331、第2絶縁層332、第3絶縁層333、第1導電層334、及び第2導電層335と対応している。ベース部34及びガード部33の対応する2つの層は、同じ種類の材料で構成されており、同じ厚みである。例えば、第1絶縁層341は、対応する第1絶縁層331と同じ厚みであり、同じ種類の材料(二酸化シリコン)で構成されている。他の層についても同様である。
【0073】
圧力センサ素子30の製造工程において、ベース部34及びガード部33の対応する2つの層は、1つの層として積層された後、エッチング等の公知の手段によって2つの層に分けられる。例えば、メンブレン32に積層された1つの絶縁層は、エッチング等の公知の手段によって、2つの絶縁層(第1絶縁層331及び第1絶縁層341)に分けられる。エッチング等の公知の手段によって取り除かれた部分は、前述した密閉空間35及び後述するトレンチ371等となる。
【0074】
第1絶縁層341は、メンブレン32に接合されている。第1導電層344は、第1絶縁層341におけるメンブレン32とは反対側の面に接合されている。第2絶縁層342は、第1導電層344における第1絶縁層341とは反対側の面に接合されている。第2導電層345は、第2絶縁層342における第1導電層344とは反対側の面に接合されている。第3絶縁層343は、第2導電層345における第2絶縁層342とは反対側の面に接合されている。
【0075】
第3絶縁層343における第2導電層345とは反対側の面は、基板31と間隔を空けて対向している。この第3絶縁層343と基板31との間の空間が、前述した密閉空間35の隙間35Bである。
【0076】
第2絶縁層342には、導電体で構成された導電部342Aが形成されている。第1導電層344の後述する第1電極344A及び第2導電層345は、導電部342Aを介して電気的に接続されている。
【0077】
なお、第1実施形態において、ベース部34の層構成は、ガード部33の層構成に合わせられる。例えば、ガード部33が第2絶縁層332を備えていない場合、ベース部34は第2絶縁層342を備えていない。
【0078】
第1導電層344は、第1電極344Aと、第1電極344Aから離れた第2電極344Bとを備える。第1電極344Aと第2電極344Bとは、環状の隙間344Cによって隔てられている。
【0079】
第2電極344Bは、ガード部33の第1導電層334と電気的接続されている(図3参照)。なお、第2電極344Bは、第1導電層334と電気的接続されていなくてもよい。
【0080】
第1絶縁層341は、厚み方向100から見て環状である。第1絶縁層341は、第1電極344Aとは接合されていない。これにより、第1電極344Aとメンブレン32との間に、空間が形成される。この空間が、圧力基準室36である。つまり、ベース部34の面のうちメンブレン32を向く面の一部である第1電極344Aの面344Aaは、圧力基準室36に面しており、圧力基準室36を介してメンブレン32と対向している。メンブレン32のうち、面344Aaと対向する部分は、ダイアフラム部32Aである。ダイアフラム部32Aは、メンブレン32のうち、仮想的に記された破線で挟まれた部分である。
【0081】
一方、第1絶縁層341は、第2電極344Bと接合されている。つまり、第2電極344Bは、第1絶縁層341を介してメンブレン32と接合されている。第1絶縁層341は、絶縁部材の一例である。つまり、ベース部34は、ベース部34の面のうちメンブレン32を向く面の一部(第1電極344A)以外の部分(第2電極344B)においてメンブレン32と接合している。
【0082】
第1電極344Aとダイアフラム部32Aとが圧力基準室36を介して対向していることによって、静電容量が形成され得る。形成される静電容量は、第1電極344Aとダイアフラム部32Aとの間隔によって変動する。
【0083】
ダイアフラム部32Aにおける圧力基準室36と反対側は、樹脂パッケージ50の露出穴51に面している。これにより、圧力センサ10の外部から露出穴51を介してダイアフラム部32Aに圧力が作用する。この圧力が大きい程、ダイアフラム部32Aの圧力基準室36側への撓み量が大きくなり、ダイアフラム部32Aと第1電極344Aとの間隔が小さくなる。これにより、形成される静電容量は大きくなる。静電容量の大きさに基づいて、ダイアフラム部32Aに作用した圧力が検出可能である。
【0084】
図4は、図1の圧力センサ素子の等価回路を示す図である。図4には、パッド70として、3つのパッド71,72,73が示されている。パッド71はメンブレン32に形成されている。図3に示すように、パッド72はベース部34の第1電極344Aに形成されており、パッド73はガード部33の第1導電層334に形成されている。なお、図3には、メンブレン32が描かれていないため、図3においてパッド71は破線で示されている。
【0085】
各パッド71,72,73は、前述したようにASIC40と電気的に接続されている。パッド71は、メンブレン32を外部(第1実施形態ではASIC40)と電気的に接続させるためのものである。パッド72は、ベース部34の第1電極344Aを外部(第1実施形態ではASIC40)と電気的に接続させるためのものである。パッド73は、ガード部33の第1導電層334を外部(第1実施形態ではASIC40)と電気的に接続させるためのものである。
【0086】
図3には明確に示されていないが、各パッド71,72,73は、例えば各パッド71,72,73を覆う層がエッチング等によって除去されることにより、圧力センサ素子30の外部に露出している。
【0087】
ASIC40は、パッド71,72間の電圧または電流に基づいてダイアフラム部32A及び第1電極344Aに形成される静電容量C1を算出し、静電容量C1に基づいてダイアフラム部32Aに作用した圧力を算出する。なお、ASIC40は、パッド72,73間の電圧または電流に基づいてベース部34の第2導電層345及び基板31に形成される静電容量C2を算出可能であり、パッド71,73間の電圧または電流に基づいてメンブレン32及びガード部33の第1導電層334に形成される静電容量C3を算出可能である。
【0088】
圧力センサ素子30には、トレンチが形成されている。第1実施形態において、圧力センサ素子30には、メンブレン32及びガード部33に亘って形成された1つのトレンチ371が形成されている。図3に示すように、厚み方向100から見て、トレンチ371は環状に形成されている。
【0089】
図2に示すように、トレンチ371は、メンブレン32の面32Bに形成されている。トレンチ371の深さ方向は、厚み方向100である。トレンチ371は、メンブレン32及びガード部33を厚み方向100に貫通している。
【0090】
なお、トレンチ371は、必ずしもガード部33を貫通している必要はなく、ガード部33の内部まで達していればよい。つまり、トレンチ371は、メンブレン32を厚み方向100に貫通して少なくともガード部33の内部まで達しいればよい。例えば、トレンチ371は、メンブレン32、第1絶縁層331、第1導電層334、及び第2絶縁層332を貫通して、第2導電層335の上部まで延びていてもよい。この場合、トレンチ371は、第2導電層335の下部、第3絶縁層333、及び第3導電層336を貫通していない。
【0091】
なお、圧力センサ素子30には、複数のトレンチが形成されていてもよい。この場合、複数のトレンチの各々が、少なくともガード部33に形成されていればよい。この場合、各トレンチは、ガード部33を貫通していてもよいし、貫通していなくてもよい。また、複数のトレンチのうちの少なくとも一つが、メンブレン32を厚み方向100に貫通して少なくともガード部33の内部まで達しいればよい。つまり、複数のトレンチのうちの少なくとも一つが、トレンチ371と同様に構成されていればよい。
【0092】
例えば、トレンチ371に対して密閉空間35の反対側に、トレンチ371とは別のトレンチが形成されていてもよい。当該別のトレンチは、トレンチ371と異なる構成であってもよい。例えば、当該別のトレンチは、ガード部33に形成されている一方でメンブレン32には形成されていなくてもよい。もちろん、当該別のトレンチは、トレンチ371と同構成であってもよい。
【0093】
トレンチ371及び後述する他のトレンチは、圧力センサ素子を構成する1つまたは複数の層の各一部がエッチング等の公知の手段によって除かれることによって形成される。
【0094】
ガード部33には、隙間部337,338が形成されている。なお、第1実施形態では、ガード部33に隙間部337,338が形成されているが、隙間部337,338の有無は任意である。
【0095】
図2に示すように、隙間部337は、ガード部33の厚み方向100のメンブレン32側に形成されている。隙間部337は、ガード部33とメンブレン32との間に形成された厚み方向100の隙間である。隙間部337は、第1絶縁層331の一部、第1導電層334の一部、及び第2絶縁層332の一部がエッチング等の公知の手段によって除かれることによって形成される。この場合、隙間部337は、第2導電層335とメンブレン32との間に形成される。
【0096】
なお、隙間部337の厚み方向100の間隔は、図2に示される間隔に限らない。例えば、隙間部337は、第1絶縁層331の一部及び第1導電層334の一部が除かれることによって形成されてもよい。この場合、隙間部337は、第2絶縁層332とメンブレン32との間に形成され、図2に示すものより短い間隔となる。
【0097】
図3に示すように、隙間部337は、厚み方向100から見て、密閉空間35のトレンチ35Aから外側へ向けて、言い換えると密閉空間35のトレンチ35Aからトレンチ371へ向けて形成されている。
【0098】
隙間部338は、ガード部33の厚み方向100の基板31側に形成されている。隙間部338は、ガード部33と基板31との間に形成された厚み方向100の隙間である。隙間部338は、第3絶縁層333の一部及び第3導電層336の一部がエッチング等の公知の手段によって除かれることによって形成される。この場合、隙間部338は、第2導電層335と基板31との間に形成される。
【0099】
なお、隙間部338の厚み方向100の間隔は、図2に示される間隔に限らない。例えば、隙間部338は、第3導電層336の一部が除かれることによって形成されてもよい。この場合、隙間部338は、第3絶縁層333と基板31との間に形成され、図2に示すものより短い間隔となる。
【0100】
隙間部338は、厚み方向100から見て、トレンチ371から内側へ向けて、言い換えるとトレンチ371から密閉空間35のトレンチ35Aへ向けて形成されている。
【0101】
なお、ガード部33には、隙間部337,338の一方のみが形成されていてもよい。
【0102】
第1実施形態によれば、複数のトレンチの少なくとも1つのトレンチ371は、メンブレン32を貫通して少なくともガード部33の内部まで達するように形成されている。そのため、厚み方向100から見てトレンチ371より外側で生じた応力が、メンブレン32及びガード部33を介してベース部34へ作用することを抑制することができる。これにより、応力による圧力センサ素子30の検知精度への影響を低くすることができる。
【0103】
第1実施形態によれば、ベース部34は、密閉空間35に配置されており、外部に露出していない。そのため、ベース部34への水等の異物の付着を防止することができる。これにより、異物による圧力センサ素子30の検知精度への影響を低くすることができる。
【0104】
第1実施形態によれば、ベース部34は、基板31及びガード部33の双方から離れている。そのため、基板31及びガード部33からベース部34へ応力が直接伝わることを防止することができる。これにより、応力による圧力センサ素子30の検知精度への影響を低くすることができる。
【0105】
メンブレン32側が凸となるように基板31が曲がったときに生じる曲げ応力は、ガード部33を介してメンブレン32へ伝わり、メンブレン32からベース部34へ伝わる。第1実施形態によれば、ガード部33のうち厚み方向100から見てトレンチ371より内側の部分に伝わった曲げ応力のベース部34への伝達を、隙間部337,338によって抑制することができる。なお、ガード部33のうち厚み方向100から見てトレンチ371より外側にあるガード部33に伝わった曲げ応力のベース部34への伝達は、トレンチ371によって抑制可能である。
【0106】
仮に、第1電極344A及び第2電極344Bが一体である場合、第1電極344Aとダイアフラム部32Aとの間の静電容量の変化分に相当する第1電流に加えて、第2電極344Bとメンブレン32との間の静電容量の変化分に相当する第2電流が、第1電極344A及び第2電極344Bよりなる電極から出力される。第2電流は、ダイアフラム部32Aの変位に基づくものではないため、第2電流の分だけ、検知精度が低下するおそれがある。例えば、第2電極344Bとメンブレン32との間の静電容量の温度特性に起因する圧力低下分が、出力電流に含まれてしまい、前記の検知精度の低下を招くおそれがある。第1実施形態によれば、第1電極344Aが第2電極344Bと離れて設けられているため、前述したような第2電流による検知精度の低下を防止することができる。
【0107】
第1実施形態によれば、ガード部33は、基板31と電気的に接続されている。そのため、ガード部33が基板31に形成されたグランド電極と電気的に接続された場合に、ガード部33を外部からの電磁波に対するシールドとして機能させることができる。これにより、外部からの電磁波に起因するベース部34の電気的な出力の精度低下を抑制することができる。
【0108】
第1実施形態によれば、樹脂パッケージ50によって圧力センサ素子30を基板20に強固に固定することができる。
【0109】
第1実施形態では、圧力センサ素子30とASIC40とは、図1に示すように、基板20の上面20Aに横並びに配置されているが、これに限らない。図5は、本発明の第1実施形態に係る圧力センサの変形例の縦断面図である。例えば、図5に示すように、圧力センサ素子30がASIC40の上面40Aに実装されてもよい。
【0110】
第1実施形態では、図3に示すように、厚み方向100から見て、トレンチ371は環状に形成されている。しかし、厚み方向100から見たトレンチ371の形状は環状に限らない。図6は、図3に示す圧力センサ素子の変形例を示す平面図である。例えば、図6に示すように、トレンチ371は、途中で途切れていてもよい。また、図3では、厚み方向100から見て、トレンチ371は4つの辺を有する四角形状であって、ベース部34を囲むように形成されている。しかし、トレンチ371は、図6に示すように、ベース部34を囲んでいなくてもよい。
【0111】
第1実施形態では、図2及び図3に示すように、第1導電層344は、第1電極344Aと、第1電極344Aから離れた第2電極344Bとを備えている。しかし、図2及び図3に示すような隙間344Cが形成されていないことによって、第1導電層344は、1つの電極のみで構成されていてもよい(図7参照)。図7は、図2に示す圧力センサ素子の変形例を示す縦断面図である。
【0112】
<第2実施形態>
図8は、本発明の第2実施形態に係る圧力センサが備える圧力センサ素子からメンブレン及び第1絶縁層を除いたものの平面図である。第2実施形態に係る圧力センサが第1実施形態に係る圧力センサ10と異なることは、厚み方向100から見てパッド72がトレンチ371に対してベース部34の反対側に位置していることである。以下、第1実施形態との相違点が説明される。第1実施形態に係る圧力センサ10との共通点については、同一の符号が付された上で、その説明は原則省略され、必要に応じて説明される。
【0113】
図8に示すように、第2実施形態に係る圧力センサが備える圧力センサ素子30Aは、第1実施形態に係る圧力センサ10が備える圧力センサ素子30より厚み方向100から見て大きい。圧力センサ素子30Aは、厚み方向100から見てトレンチ371の一辺から外側へ広がった拡張領域を有する。図8では、拡張領域は、第1領域30Aaと、第2領域30Abと、トレンチ30Acとよりなる。第1領域30Aaは、ガード部33の第1導電層334と繋がっている。第2領域30Abは、ベース部34の第1電極344Aと繋がっている。トレンチ30Acは、第1領域30Aaと第2領域30Abとを隔てている。2本の対向したトレンチ30Acが隙間344Cから拡張領域へ延びている。2本の対向したトレンチ30Acは、拡張領域において繋がっている。これにより、トレンチ30Acに囲まれた第2領域30Abが拡張領域に形成され、第2領域30Abと第1電極344Aとを繋ぐ経路が形成される。
【0114】
パッド73が第1領域30Aaに形成されている。パッド72が第2領域30Abに形成されている。パッド72は、厚み方向100から見てトレンチ371に対してベース部34の反対側に位置しており、且つベース部34と電気的に接続されている。なお、第2実施形態では、パッド71も、パッド72,73と同様に、厚み方向100から見てトレンチ371に対してベース部34の反対側に位置している。
【0115】
第2実施形態によれば、パッド72は、ベース部34から離れた位置に設けられている。また、パッド72とベース部34との間にトレンチ371が形成されている。そのため、圧力センサ10の製造工程においてパッド72を覆うために基板20の上面20Aへ流入される樹脂パッケージ50がベース部34へ到達することを抑制することができる。これにより、ベース部34の一部が誤って樹脂パッケージ50に覆われることを抑制することができる。その結果、圧力センサ10の検知精度の低下を抑制することができる。
【0116】
<第3実施形態>
図9は、本発明の第3実施形態に係る圧力センサが備える圧力センサ素子の縦断面図である。第3実施形態に係る圧力センサが第1実施形態に係る圧力センサ10と異なることは、溝部373が形成された圧力センサ素子30Bを備えることである。以下、第1実施形態との相違点が説明される。第1実施形態に係る圧力センサ10との共通点については、同一の符号が付された上で、その説明は原則省略され、必要に応じて説明される。
【0117】
図9に示すように、圧力センサ素子30Bには、トレンチ371に加えて、トレンチ372が形成されている。
【0118】
トレンチ372は、ガード部33の第2導電層335、第3絶縁層333、及び第3導電層336に亘って形成されている。なお、トレンチ372が形成される層は、前記の層に限らず、少なくともガード部33に形成されていればよい。
【0119】
厚み方向100から見て、トレンチ372は、トレンチ371の外側に位置しており、環状に形成されている。なお、厚み方向100から見て、トレンチ372は、トレンチ371の内側に位置していてもよい。また、トレンチ372の形状は、環状に限らない。
【0120】
ガード部33の外側面33Aに、溝部373が形成されている。溝部373は、トレンチ372と連通している。
【0121】
溝部373は、第3絶縁層333の一部及び第3導電層336の一部がエッチング等の公知の手段によって除かれることによって形成される。この場合、溝部373は、第2導電層335と基板31との間に形成される。
【0122】
溝部373の位置及び大きさは、図9に示される位置及び大きさに限らない。例えば、溝部373は、第2絶縁層332の一部が除かれることによって形成されてもよい。この場合、溝部373は、第1導電層334と第2導電層335との間に形成され、図9に示すものより小さい間隔となる。
【0123】
溝部373は、複数のトレンチと連通していてもよい。例えば、溝部373は、トレンチ372に加えて、トレンチ371とも連通していてもよい。つまり、溝部373は、圧力センサ素子30Bに形成されたトレンチの少なくとも1つと連通可能である。
【0124】
ガード部33の外側面33Aに、複数の溝部373が形成されていてもよい。例えば、図9に示す溝部373に加えて、第2絶縁層332の一部が除かれることによって別の溝部が形成されていてもよい。この場合、例えば、溝部373及び当該別の溝部の双方がトレンチ371,372の一方と連通していてもよい。また、例えば、溝部373がトレンチ371,372と一方と連通し、当該別の溝部がトレンチ371,372の他方と連通していてもよい。
【0125】
第3実施形態によれば、基板31が曲がった場合に基板31に生じる曲げ応力のベース部34への伝達を、溝部373によって抑制することができる。
【0126】
<第4実施形態>
図10は、本発明の第4実施形態に係る圧力センサが備える圧力センサ素子の縦断面図である。第4実施形態に係る圧力センサが第1実施形態に係る圧力センサ10と異なることは、第4実施形態に係る圧力センサが圧力センサ素子30Cを備えており、圧力センサ素子30Cでは、ガード部33の基板31との接合部からメンブレン32のベース部34との接合部まで、ガード部33及びメンブレン32が厚み方向100に蛇行するように延びていることである。以下、第1実施形態との相違点が説明される。第1実施形態に係る圧力センサ10との共通点については、同一の符号が付された上で、その説明は原則省略され、必要に応じて説明される。
【0127】
図10に示すように、圧力センサ素子30Cには、トレンチ374,375が形成されている。
【0128】
トレンチ374は、メンブレン32を厚み方向100に貫通して、ガード部33の第2導電層335の途中まで厚み方向100に延びている。厚み方向100から見て、トレンチ374は環状に形成されている。
【0129】
トレンチ375は、ガード部33の第2導電層335、第3絶縁層333、及び第3導電層336に亘って形成されている。厚み方向100から見て、トレンチ375は、トレンチ374の外側に位置しており、環状に形成されている。
【0130】
トレンチ374の基板31側の端部374Aは、トレンチ375のメンブレン32側の端部375Aより基板31側に位置する。つまり、複数のトレンチ374,375,35Aのうち厚み方向100から見て隣り合う2つのトレンチ374,375が互いに厚み方向100にずれて形成されている。
【0131】
また、トレンチ374の基板31側の端部374Aは、密閉空間35のトレンチ35Aのメンブレン32側の端部35Aaより基板31側に位置する。つまり、複数のトレンチ374,375,35Aのうち厚み方向100から見て隣り合う2つのトレンチ374,35Aが互いに厚み方向100にずれて形成されている。
【0132】
これにより、図10に一点鎖線で示すように、ガード部33及びメンブレン32は、ガード部33の基板31との接合部33Bからメンブレン32のベース部34との接合部32Cまで、前記厚み方向に蛇行するように延びている。図10では、厚み方向100から見て、トレンチ375より内側に第3導電層336が形成されていない。これにより、トレンチ375と密閉空間35とは連通し、ガード部33及びメンブレン32の蛇行部分は、接合部33Bを除いて基板31から離れている。なお、当該蛇行部分の接合部33B以外を基板31から離すための構造は、第3導電層336の非形成に限らない。例えば、厚み方向100から見て、トレンチ375より内側に第3絶縁層333が形成されていないことによって、当該蛇行部分の接合部33B以外が基板31から離れていてもよい。
【0133】
なお、トレンチ374,375が形成される層は、図10に示す層に限らない。また、図10に示す圧力センサ素子30Cには、トレンチ35Aに加えて、2つのトレンチ374,375が形成されているが、トレンチ35Aに加えて形成されるトレンチの数は1つまたは3つ以上であってもよい。但し、複数のトレンチが形成されることによって、ガード部33及びメンブレン32が前述した蛇行を形成すること、及び複数のトレンチの少なくとも1つがメンブレン32を厚み方向100に貫通して少なくともガード部33の内部まで達することを条件とする。
【0134】
なお、トレンチ374,375の形状は、環状に限らない。この場合、厚み方向100から見て、ガード部33及びメンブレン32の一部(トレンチ374,375に面している部分)のみが前述した蛇行を形成する。つまり、ガード部33及びメンブレン32の少なくとも一部が前述した蛇行を形成していればよい。
【0135】
基板31が曲がった場合に基板31に生じる曲げ応力は、ガード部33及びメンブレン32を介してベース部34へ伝わる。第4実施形態によれば、ガード部33及びメンブレン32の少なくとも一部は、ガード部33の基板31との接合部33Bからメンブレン32のベース部34との接合部32Cまで、厚み方向100に蛇行するように延びている。これにより、基板31からベース部34までの曲げ応力の伝達経路が長くなる。その結果、曲げ応力のベース部34への伝達を抑制することができる。
【0136】
<第5実施形態>
図11は、本発明の第5実施形態に係る圧力センサが備える圧力センサ素子の縦断面図である。第5実施形態に係る圧力センサが第1実施形態に係る圧力センサ10と異なることは、第5実施形態に係る圧力センサが圧力センサ素子30Dを備えており、圧力センサ素子30Dでは、基板31が凸部311を備えていることである。以下、第1実施形態との相違点が説明される。第1実施形態に係る圧力センサ10との共通点については、同一の符号が付された上で、その説明は原則省略され、必要に応じて説明される。
【0137】
図11に示すように、圧力センサ素子30Dにおいて、基板31は、ベース部34と対向する上面31Aに、凸部311を備える。凸部311は、ベース部34と対向しており、ベース部34へ向けて突出している。これにより、密閉空間35の隙間35Bのうち、凸部311が設けられた部分において、基板31とベース部34との間隔が小さくなっている。
【0138】
なお、凸部311がベース部34と対向しており且つベース部34へ向けて突出していることを条件として、凸部311の個数、大きさ、及び配置位置は、図11に示す個数、大きさ、及び配置位置に限らない。
【0139】
メンブレン32が撓むときにベース部34がメンブレン32と共に過剰に撓むと、ベース部34とダイアフラム部32Aとの間の距離に誤差が生じて検出精度が低下するおそれがある。また、メンブレン32が撓むときにベース部34がメンブレン32と共に過剰に撓むと、ベース部34とメンブレン32との接合部に応力が集中して、ベース部34及びメンブレン32が破損するおそれがある。第5実施形態によれば、凸部311が設けられていることによって、ベース部34と基板31との間の間隔が小さくなる。これにより、ベース部34の過剰な撓みを凸部311によって抑制することができる。
【0140】
<第6実施形態>
図12は、本発明の第6実施形態に係る圧力センサが備える圧力センサ素子の縦断面図である。第6実施形態に係る圧力センサが第1実施形態に係る圧力センサ10と異なることは、第6実施形態に係る圧力センサが圧力センサ素子30Eを備えており、圧力センサ素子30Eでは、ベース部34にベーストレンチ346が形成されていることである。以下、第1実施形態との相違点が説明される。第1実施形態に係る圧力センサ10との共通点については、同一の符号が付された上で、その説明は原則省略され、必要に応じて説明される。
【0141】
図12に示すように、圧力センサ素子30Eのベース部34には、ベーストレンチ346が形成されている。
【0142】
ベーストレンチ346は、ベース部34における圧力基準室36に面する面に形成されている。ベーストレンチ346は、圧力基準室36と連通している。ベーストレンチ346は、第1導電層344及び第2絶縁層342を貫通して、第2導電層345の内部まで達する。ベーストレンチ346は、厚み方向100から見て環状である。
【0143】
圧力センサ素子30Eでは、第1電極344A及び第2電極344Bは、ベーストレンチ346によって隔てられている。
【0144】
なお、ベーストレンチ346は、厚み方向100から見て環状以外の形状であってもよい。また、ベーストレンチ346の深さは、図12に示す深さに限らない。例えば、ベーストレンチ346は、第1導電層344及び第2絶縁層342に加えて第2導電層345を貫通していてもよい。また、図12では、ベーストレンチ346は、第1電極344A及び第2電極344Bを隔てる位置に形成されていたが、当該位置以外に形成されていてもよい。この場合、第1電極344A及び第2電極344Bは、ベーストレンチ346によって互いに隔てられるのではなく、例えば、第1実施形態と同様に隙間344Cによって互いに隔てられてもよい。
【0145】
第6実施形態によれば、圧力基準室36がベーストレンチ346と連通している。これにより、圧力基準室36を含む空間の体積が大きくなる。その結果、多数の圧力センサ素子30Eが製造される場合に、製造された多数の圧力センサ素子30E間における圧力基準室36の内圧のばらつきを小さくすることができる。
【0146】
第6実施形態によれば、ベース部34におけるメンブレン32との接合部から、ベース部34におけるダイアフラム部32Aと対向する部分までの応力の伝達経路が、ベーストレンチ346によって迂回する。これにより、ベース部34におけるダイアフラム部32Aと対向する部分への応力の伝達を抑制することができる。
【0147】
<第7実施形態>
図13は、本発明の第7実施形態に係る圧力センサが備える圧力センサ素子の縦断面図である。第7実施形態に係る圧力センサが第1実施形態に係る圧力センサ10と異なることは、第7実施形態に係る圧力センサが圧力センサ素子30Fを備えており、圧力センサ素子30Fでは、圧力基準室36が密閉空間35と連通していることである。以下、第1実施形態との相違点が説明される。第1実施形態に係る圧力センサ10との共通点については、同一の符号が付された上で、その説明は原則省略され、必要に応じて説明される。
【0148】
図13に示すように、圧力センサ素子30Fでは、第1絶縁層341の一部及び第2電極344Bの一部に連通部347が形成されている。これにより、圧力基準室36が、連通部347を介して密閉空間35のトレンチ35Aと連通している。連通部347は、第1絶縁層341の一部及び第2電極344Bの一部がエッチング等の公知の手段によって除かれることによって形成される。
【0149】
なお、連通部347は、図13に示す構成に限らない。例えば、連通部347は、第1絶縁層341のみの一部に形成されていてもよい。また、例えば、連通部347は、ベース部34を厚み方向100に貫通することによって、圧力基準室36と密閉空間35の隙間35Bとを連通させてもよい。
【0150】
第7実施形態によれば、圧力基準室36がメンブレン32、基板31、及びガード部33によって形成された密閉空間35と連通している。これにより、圧力基準室36を含む空間の体積が大きくなる。その結果、多数の圧力センサ素子30Fが製造される場合に、製造された多数の圧力センサ素子30F間における圧力基準室36の内圧のばらつきを小さくすることができる。
【0151】
なお、前記様々な実施形態のうちの任意の実施形態を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。
【0152】
本発明は、適宜図面を参照しながら好ましい実施の形態に関連して充分に記載されているが、この技術に熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した請求の範囲による本発明の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。
【符号の説明】
【0153】
10 圧力センサ
20 基板(実装板)
20A 上面(実装面)
30 圧力センサ素子
31 基板
311 凸部
32 メンブレン
32A ダイアフラム部
33 ガード部
33A 外側面
337 隙間部
338 隙間部
34 ベース部
341 第1絶縁層(絶縁部材)
344A 第1電極
344B 第2電極
346 ベーストレンチ
35 密閉空間
36 圧力基準室
371 トレンチ
373 溝部
50 樹脂パッケージ
51 露出穴
72 パッド
100 厚み方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13