IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 和気産業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-棚板取付け装置 図1
  • 特許-棚板取付け装置 図2
  • 特許-棚板取付け装置 図3
  • 特許-棚板取付け装置 図4
  • 特許-棚板取付け装置 図5
  • 特許-棚板取付け装置 図6
  • 特許-棚板取付け装置 図7
  • 特許-棚板取付け装置 図8
  • 特許-棚板取付け装置 図9
  • 特許-棚板取付け装置 図10
  • 特許-棚板取付け装置 図11
  • 特許-棚板取付け装置 図12
  • 特許-棚板取付け装置 図13
  • 特許-棚板取付け装置 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】棚板取付け装置
(51)【国際特許分類】
   A47B 57/40 20060101AFI20240925BHJP
【FI】
A47B57/40 D
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021156999
(22)【出願日】2021-09-27
(65)【公開番号】P2023047852
(43)【公開日】2023-04-06
【審査請求日】2023-05-30
(73)【特許権者】
【識別番号】595171381
【氏名又は名称】和気産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085110
【弁理士】
【氏名又は名称】千明 武
(72)【発明者】
【氏名】河西 清一
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】実開昭52-023613(JP,U)
【文献】実開昭60-145836(JP,U)
【文献】米国特許第05655740(US,A)
【文献】米国特許第05472103(US,A)
【文献】特開昭51-104957(JP,A)
【文献】特開2003-174938(JP,A)
【文献】実公昭51-040920(JP,Y2)
【文献】実公昭38-028205(JP,Y2)
【文献】英国特許出願公開第02131285(GB,A)
【文献】西独国特許出願公開第01429475(DE,A1)
【文献】米国特許第05348385(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 57/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に取付けスペースを備えた取付部材と、該取付部材の表面に縦方向に配置した少なくとも一組の支持枠と、該支持枠の前方に突出して装着するブラケットフレームと、一組のブラケットフレームに掛け渡し可能な棚板とを備えた棚板取付け装置において、前記支持枠を小径の鋼線に沿って略山形に折り曲げた複数の掛止部を形成し、該掛止部の支持枠における逆V字形状に折り曲げられた個所で、その開口側の両端部を取付部材の表面と平行する平面で区画し、該平面を取付部材の平坦な表面に密接可能に装着し、掛止部の内側周面と取付部材の表面との間に略三角形の係合スペースを複数形成するとともに、前記掛止部より大径の鋼線を略U字形若しくはコ字形のブラケットフレームを形成し、該ブラケットフレームの端部にフック部を設け、該フック部を前記係合スペースに挿入し、その係合位置を保持可能にしたことを特徴とする棚板取付け装置。
【請求項2】
前記支持枠の上下端部と中間部の周面の掛止部の間に、鋼線を圧潰した平坦部を形成し、該平坦部は圧潰部を軸方向と直交方向に膨出成形し、その正面形状を略縦長の小判状に形成し、該平坦部を取付部材の表面に取付け可能にした請求項1記載の棚板取付け装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取付け部材に固定する支持枠と、棚板を掛け渡すブラケットフレームとを線材を折り曲げて小形かつ簡潔に構成し、これらを容易かつ安価に製作できるとともに、棚板の取付け位置の変更を簡便に行なえ、しかもこの種装置の複雑で堅牢な印象を払拭し、簡潔で柔和な美感と室内装飾の美観の向上を図れる棚板取付け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の支柱の間に複数の棚板を上下位置に取付ける棚板取付け装置のなかに、4本の支柱を前後左右に配置し、各支柱の対向周面に複数の係合孔を形成し、前後の支柱間の係合孔にブラケットを掛け止め、該ブラケットの下部に形成した棚板支持片間に、棚板を取付けるようにした物品保管棚がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかし、前記物品保管棚は、略U字形断面の支柱の周面に複数の係合孔の形成を要するとともに、ブラケットを側片と棚板支持片とで略L字形断面に形成し、それらに上部係止片や切欠溝、水平突片、水平移動規制片の形成を要し、また棚板を逆U字形断面に形成し、その両端部側面に係合溝を形成し、それらの製作が複雑で手間が掛るとともに、その組み立てが複雑で煩雑になり、また全体的に複雑で堅牢な印象を与える上に、棚板の取付け位置の変更に非常に手間が掛る等の問題があった。
【0004】
このような問題を解決するものとして、左右一対の支柱の前部に棚板を片持ち状に配置し、該棚板の直上に一対のブラケット部材を配置し、該ブラケット部材の基部のフックを支柱の前部に形成した複数の係合溝に掛け止め、該ブラケット部材の先端部にU字形状の落下防止片を掛け止め、落下防止片の内側に配置した商品の落下を防止するようにした物品棚がある(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
しかし、前記物品棚は、支柱に複数の係合溝の形成を要して製作が複雑かつ高価になるとともに、ブラケット部材と落下防止片の製作を要し、また棚板を片持ち状に支持しているため、棚板の支持強度に不安があり、また棚板の取付け位置の変更に非常に手間が掛る等の問題があった。
【0006】
これらの問題を解決するものとして、左右一対の角管状の主支柱を床面に立設し、該主支柱の前面に複数の係合孔を形成し、その上端部に内管を抜き差し可能に装着し、天井と床面の距離に応じて内管を引き出し、その伸縮状態を当接具によって天井部に固定するとともに、主支柱の前部にワイヤを網状に折り曲げ形成した梯子部を配置し、その横桟を前記係合孔に差し込んで支持し、この梯子部の間に棚板の両端部を掛け止め、必要に応じて主支柱を側方に増設し、それらに棚板を架設して拡幅するようにした収納棚がある(例えば、特許文献3参照)。
【0007】
しかし、前記収納棚の主支柱は、角管状で前面に複数の係合孔を形成しているため、高価になり、またこの主支柱に内管を抜き差し可能に装着し、該内管に当接具を連結しているため、部品点数が多く取付け操作が煩雑になり、また棚板の取付け位置の変更に概して手間が掛るとともに、梯子部に複数の横桟を架設しているため、高価で大形かつ重量化し、全体的に複雑で堅牢な印象を惹起させ、室内装飾の美観を損ねる問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2006-204318号公報
【文献】特許第5926572号公報
【文献】意匠登録第1667270号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明はこのような問題を解決し、取付け部材に固定する支持枠と、棚板を掛け渡すブラケットフレームとを線材を折り曲げて小形かつ簡潔に構成し、これらを容易かつ安価に製作できるとともに、棚板の取付け位置の変更を簡便に行なえ、しかもこの種装置の複雑で堅牢な印象を払拭し、簡潔で柔和な美感と室内装飾の美観の向上を図れる棚板取付け装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明は、表面に取付けスペースを備えた取付部材と、該取付部材の表面に縦方向に配置した少なくとも一組の支持枠と、該支持枠の前方に突出して装着するブラケットフレームと、一組のブラケットフレームに掛け渡し可能な棚板とを備えた棚板取付け装置において、前記支持枠を小径の鋼線に沿って略山形に折り曲げた複数の掛止部を形成し、該掛止部の支持枠における逆V字形状に折り曲げられた個所で、その開口側の両端部を取付部材の表面と平行する平面で区画し、該平面を取付部材の平坦な表面に密接可能に装着し、掛止部の内側周面と取付部材の表面との間に略三角形の係合スペースを複数形成するとともに、前記掛止部より大径の鋼線を略U字形若しくはコ字形のブラケットフレームを形成し、該ブラケットフレームの端部にフック部を設け、該フック部を前記係合スペースに挿入し、フック部の着脱を簡便に行えるとともに、その係合位置を強固に保持可能にしている。
【0011】
請求項2の発明は、支持枠の上下端部と中間部の周面の掛止部の間に、鋼線を圧潰した平坦部を形成し、該平坦部は圧潰部を軸方向と直交方向に膨出成形し、その正面形状を略縦長の小判状に形成し、該平坦部を介し支持枠を取付部材の表面に密接かつ安定して取付けられるようにしている。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の発明は、表面に取付けスペースを備えた取付部材と、該取付部材の表面に縦方向に配置した少なくとも一組の支持枠と、該支持枠の前方に突出して装着するブラケットフレームと、一組のブラケットフレームに掛け渡し可能な棚板とを備えた棚板取付け装置において、前記支持枠を小径の鋼線に沿って略山形に折り曲げた複数の掛止部を形成し、該掛止部の支持枠における逆V字形状に折り曲げられた個所で、その開口側の両端部を取付部材の表面と平行する平面で区画し、該平面を取付部材の平坦な表面に密接可能に装着し、掛止部の内側周面と取付部材の表面との間に略三角形の係合スペースを複数形成するとともに、前記掛止部より大径の鋼線を略U字形若しくはコ字形のブラケットフレームを形成し、該ブラケットフレームの端部にフック部を設け、該フック部を前記係合スペースに挿入し、フック部の着脱を簡便に行えるとともに、その係合位置を強固にすることができる。
【0018】
請求項2の発明は、前記支持枠の上下端部と中間部の周面の掛止部の間に、鋼線を圧潰した平坦部を形成し、該平坦部は圧潰部を軸方向と直交方向に膨出成形し、その正面形状を略縦長の小判状に形成し、該平坦部を取付部材の表面に取付け可能にしたから、平坦部を介し支持枠を取付部材の表面に密着かつ安定して取付けることができる
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明を適用した棚板取付け装置の設置状態を示す斜視図である。
図2】本発明に適用した支持枠とブラケットフレームの取付け状況の側面を拡大して示す断面図である。
図3】本発明に適用したブラケットフレームを拡大して示す斜視図である。
図4図3の正面図で若干拡大して示している。
図5図4の平面図である。
【0025】
図6】本発明を適用した支持枠の折り曲げ成形状況を示す断面図で、プレス機の上型と下型を示している。
図7】本発明を適用した支持枠の背面図である。
図8】本発明を適用した棚板の取付け状態を示す第2の実施形態を示す正面図で、一対の支持枠に対し各ブラケットフレームを外側から内側へ挿入して掛け止めている
図9】本発明を適用した棚板の取付け状態を示す第3の実施形態の正面図で、支持枠を幅広に離間して配置し、それらに長尺の棚板を掛け渡している。
【0026】
図10】本発明を適用した棚板の取付け状態を示す第4の実施形態を示す正面図で、取付部材に複数の支持枠を配置し、その相対する一組の支持枠の間に一の棚板を掛け渡し、相対する他の一組の支持枠の間に二つの棚板を上下二段に掛け渡している。
図11】本発明に適用したブラケットフレームの第2実施形態を示す斜視図で、両端のフック部を異方向に形成している。
図12図11のブラケットフレームを使用した棚板の取付け状態を示す正面図で、相対するフック部を同方向に配置している。
【0027】
図13図11のブラケットフレームの応用形態を示す斜視図で、上下桟部の長さを幅広に形成し、その下部桟に二枚の棚板を掛け渡している。
図14】本発明に適用したブラケットフレームの第3の実施形態を示す斜視図で、略V字形状に折り曲げ形成し、両端部のフック部を同方向に折り曲げ、その水平の下部桟上に二枚の棚板を掛け渡している。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を図示の実施形態について説明すると、図1乃至図7において1は表面に平坦な取付スペースを有する取付板または取付壁等の取付部材で、その前面に一対の支持枠2,2を縦方向に離間して取付けている。
実施形態の支持枠2は、小径の鋼線または鉄線を常温で略山形若しくは三角形に複数折り曲げ形成し、その上下端部と中間部の周面に平坦部3を圧潰して形成している。
前記平坦部3の中間部にビス孔4が形成され、該ビス孔4にタッピングスクリュ5を挿入し、これを取付部材1にねじ込んで、支持枠2を固定している。
【0029】
前記平坦部3は図6,7のように、鋼線または鉄線の周面を若干押し潰して平坦に成形され、その平坦な圧潰面に前記ビス孔4が形成され、該ビス孔4に挿入したタッピングスクリュ5の頭部座面を着座可能にしている。
前記平坦部3は、圧潰部を軸方向と直交方向に膨出形成され、その正面形状を略縦長の小判状に形成している。
【0030】
前記支持枠2は実施形態の場合、直径4mmの鉄線または鋼線を所定長さに切断し、これを図6のプレス機(図示略)の可動側の上型6と、固定側の下型7のと間に挿入して加圧成形している。
前記上型6の成形面に複数の成形溝8が等間隔に形成され、下型7の成形面に複数の成形凸部9が成形溝8と同間隔に形成され、それらが型合わせ時に噛合可能に配置されている。
【0031】
前記成形溝8は断面略逆V字形状に形成され、成形凸部9は成形溝8に係合可能な断面略逆V字形状若しくは山形に突出形成されている。
図中、10は上型6の成形面の上下端部と中間部に設けた凸状の圧潰成形部で、その成形面を平坦面に形成して前記平坦部3を圧潰成形可能にしている。
図中、11は下型7の載置台である。
【0032】
前記プレス機で加圧成形された支持枠2は図2,6,7のようで、略山形若しくは逆V字形状に折り曲げた複数の掛止部12が全域に亘って等間隔に形成され、それらの底面は直線状若しくは水平面状に形成されて、取付部材1の平坦な表面に密接可能にされている
前記掛止部12の内側周面と取付部材1の表面との間に、略二等辺三角形の係合スペースSが形成され、該係合スペースSにブラケットフレーム13の後述するフック部を側方から挿入している。
【0033】
この場合、実施形態の掛止部12は、図6,7のように略山形若しくは逆V字形状に折り曲げられているが、例えばU字形状若しくはコ字形状、または半円形に形成することも可能である。
その場合、取付部材1の表面と掛止部12の内側スペースとの間に、ブラケットフレーム13の端部、つまり後述するフック部を側方から係合可能に挿入でき、かつその係合時に取付部材1の表面と掛止部12の内周面に係合して、その係合位置を保持可能であれば良い。
【0034】
前記ブラケットフレーム13は、支持枠2よりも若干大径、実施形態では直径5mmの鋼線または鉄線を略U字形若しくはコ字形状に折り曲げて形成され、後述する棚板と棚板上の載荷物を支持可能な強度に構成されている。
前記ブラケットフレーム13はプレス機若しくは折り曲げ機(図示略)によって折り曲げ成形され、その形状を縦長の垂直部13aと、その上下端部を直角に折り曲げ後、互いに平行に形成した上下桟部13b,13bと、上下桟部13b,13bの後端部を直角かつ水平方向へ折り曲げた短小のフック部13c,13cとで、略U字形若しくはコ字形状に折り曲げ形成し、前記フック部13c,13cを前記係合スペースSに、側方から挿入して掛け止め可能にしている。
【0035】
その際、フック部13c,13cは、係合スペースS内の逆V字形状部に係合して圧接され、その係合位置を保持可能にされている。
前記ブラケットフレーム13の一対の下部桟13b,13b上に棚板14が掛け渡され、実施形態の棚板14は肉厚の木板で構成され、その両端部の中間位置に下部桟13b,13bの下方からタッピングスクリュ18をねじ込んで固定されている。
【0036】
図中、16は前記下部桟13b,13bの中間部の下面に小判状に膨出形成された平坦部で、前記支持枠2の平坦部3と同様に下部桟13b,13bの下部周面を圧潰して形成され、その中間部にビス孔17を形成し、該ビス孔17に下方からタッピングスクリュ18を挿入し、これを棚板14にねじ込んで該棚板14を固定している。19は棚板14上に載置した本、ラジオ、花器等の載荷物である。
【0037】
なお、この実施形態では支持枠2とブラケットフレーム13を小径の鋼線または鉄線によって製作しているが、この他に例えば真鍮若しくはアルミニウム等の非鉄金属線材を用いることも可能であり、その場合は支持枠2とブラケットフレーム13の装飾性の向上を図れる。
【0038】
このように構成した棚板取付け装置は、取付部材1と支持枠2、ブラケットフレーム13と棚板14、等の製作または準備を要する。
このうち、取付部材1は木製の板材を適宜な大きさに切断して用意し、または適宜な広さの既設の壁面を充当する。
【0039】
次に、支持枠2を製作する場合は、例えば直径4mmの鋼線または鉄線を所定長さに切断し、これをプレス機の金型6,7によって、例えば略逆V字形状若しくは山形の掛止部12を複数等間隔に成形する。
その際、同時に支持枠2の上下端部と中間部に平坦部3を若干扁平に圧潰成形する。平坦部3は成形後、中間部にビス孔4を打ち抜き形成する。
この場合、支持枠2の一側は下型7によって直線状若しくは水平面状に成形され、取付部材1の平坦面に密接可能に形成される。この状況は図6,7のようである。
【0040】
このように支持枠2は、鋼線または鉄線をプレス成形して製作できるから、従来の高価な角管材を使用し、その周面に複数の係合孔を形成するものに比べ、安価な素材で容易かつ速やかに製作でき、しかもコンパクトで軽量に構成できる。
【0041】
また、ブラケットフレーム13を製作する場合は、支持枠2よりも若干大径、実施形態では直径5mmの鋼線または鉄線を所定長さに切断し、これをプレス機または折り曲げ機によって、例えばコ字形若しくは略逆U字形に成形し、その上下桟部13b,13bの後端部を水平方向へ直角に折り曲げてフック部13c,13cを形成する。
その際、下部桟13bの中間部の下部周面に平坦部16を若干扁平に圧潰成形し、この成形後、平坦部16の中間部にビス孔17を打ち抜き形成する。
【0042】
このようにブラケットフレーム13は、概ね所定長さの鋼線または鉄線をプレス機または折り曲げ機によって成形して製作できるから、従来のこの種装置における板金製のブラケット部材や梯子部に比べ、構成が簡単で容易かつ速やかに製作でき、しかも安価な素材によってコンパクトで軽量に構成できる。
次に、棚板14は実施形態の場合、肉厚の木板を横長矩形に切断して形成され、底面にタッピングスクリュ18をねじ込み可能にしている。
【0043】
こうして各部材を製作または準備後、これらを組み立てる場合は、前方が開放したスペースに取付部材1を位置付け、安定かつ不動に立設する。取付部材1が壁面の場合は 前面が開放した取付スペースを有する壁面を選択する。
そして、取付部材1の表面の適宜位置に一対の支持枠2を縦方向に所定間隔に平行に位置付け、その上下端部と中間部の各平坦部3の各ビス孔4にタッピングスクリュ5を挿入し、これを取付部材1にねじ込んで一対の支持枠2を固定する。
【0044】
その際、支持枠2の一側、つまり背面側周面は直線状に形成されているから、この直線状部を利用して取付部材1の表面に密着して取付けられる。
こうして取付けた一対の支持枠2,2は、直線状で小形かつ軽量であり、従来の角管支柱に比べ占有面積が小さく、しかも取付けに他部材や種々の工具を要さず、2~3個のビスとドライバーで足りるから、取付けに手間が掛らず取付部材1に容易かつ迅速に取付けられる。
【0045】
前記一対の支持枠2,2の取付け状況は図1,2のようで、その一側と取付部材1の表面との間に略三角形の係合スペースSが全域に亘って形成され、該係合スペースSの基部側に一組のV字形状部が形成される。
次に、一対の支持枠2を取付部材1に縦方向に取付け後、一対のブラケットフレーム13を用意し、これらを支持枠2,2の側方から垂直部13aの間隔を保って、両端のフック部13c,13cを係合スペースSに挿入して掛け止める。
【0046】
その際、支持枠2に対するブラケットフレーム13の取付け位置を選択し、その選択位置にフック部13c,13cを側方から挿入して掛け止める。
すなわち、取付部材1の表面と掛止部12の内側周面との間の係合スペースSに、上下のフック部13c,13cを差し込み、それらの内周面に係合して掛け止める。
この状況は図1のようで、この実施形態では上下のフック部13c,13cを支持枠2の同方向に挿入し、その端部を支持枠2の内側に突出させる。
【0047】
そして、一方のブラケットフレーム13を取付け後、他方のブラケットフレーム13のフック部13c,13cを同様に係合スペースSに係合して掛け止める。
この場合、左右のブラケットフレーム13のフック部13c,13cは支持枠2の内側または外側に突出する。この状況は図1のようである。
こうして掛け止めた上下一対のフック部13c,13cは、その背部周面が図2のように取付部材1の表面に係合し、その係合力と摩擦力によって係合位置を保持し、係合スペースSからの離脱を防止するとともに、ブラケットフレーム13,13の突出姿勢を保持する。
【0048】
この後、ブラケットフレーム13,13の下部桟13b,13bに棚板14を掛け渡し、下部桟13b,13bの中間部の平坦部16,16のビス孔17,17に下方からタッピングスクリュ18,18を挿入し、これを棚板14にねじ込んで下部桟13b,13b上に棚板14を固定する。
【0049】
こうして棚板14を固定後、棚板14上に載荷物19を載置する。
このようにすると、棚板14と載荷物19の重量によって、フック部13c,13cが下方へ押し下げられ、係合スペースS内のV字形状部に押し込まれて係合力を増強し、棚板14を安定して支持する。
したがって、前記係合力の増強によって、係合スペースSからのフック部13c,13cの抜け止めが強化され、棚板14を安定して支持する。
【0050】
このように本発明の棚板取付け装置は、簡単な構成によって支持枠2やブラケットフレーム13を容易かつ安価に製作でき、しかも支持枠2やブラケットフレーム13は小形軽量であるから、取付け部材1の支持強度を軽減できるとともに、取付け後の猥雑感が払拭され簡潔な美感を奏する。
【0051】
なお、棚板14の取付け後、その使用環境が変化して取付け位置を変更する場合は、棚板14から載荷物19を取り除き、一方のブラケットフレーム13,13のフック部13c,13cを各係合スペースSから引き抜き、次いで他方のブラケットフレーム13,13のフック部13c,13cを各係合スペースSから引き抜き、棚板14のビス止め状態を保持しながら、各フック部13c,13cを支持枠2,2の所望の取付け位置の各係合スペースSに挿入して掛け止める。
このように棚板14の取付け位置の変更は、係合スペースSが略三角形に形成され、フック部13cを容易に係脱できるから、棚板14の取付け装置の変更を簡便に行なえる。
【0052】
図8乃至図14は本発明の他の実施形態またはその応用形態を示し、前述の構成と対応する部分に同一の符合を用いている。
このうち、図8は本発明の第2の実施形態を示し、この実施形態は一対の支持枠2,2に対し、一対のブラケットフレーム13,13を外側から内側へ挿入して掛け止め、上下のフック部13c,13cを支持枠2の内側に突出し、フック部13cの支持枠2の外側への突出を回避して、フック部13cの外側への突出による擦過の発生を未然に防止するようにしている。
【0053】
図9は本発明の第3の実施形態を示し、この実施形態は取付部材1の横幅を前述の実施形態の取付部材1よりも約1.5倍に幅広に形成し、その表面に支持枠2,2を広い間隔で縦方向に配置し、その下部に長尺の棚板14を掛け渡している。
この棚板14は前述の実施形態の棚板14の長さの約1.5倍に形成し、その載置面を広く確保して、種々の載荷物19や大きな載荷物19を収容可能にしている。
この実施形態における支持枠2,2とブラケットフレーム13,13の形状寸法は、前述の実施形態と同様で、その共用化を図っている。
【0054】
そして、このように長尺の棚板14を掛け渡すことによって、棚板14の重量が増加し、また載荷物19の載置個数を増加できるから、その分、フック部13c,13cの係合力が増強され、棚板14を強固かつ安定して支持し得るとともに、フック部13c,13cの係合スペースSからの離脱防止が強化される。
【0055】
図10は本発明の第4の実施形態を示し、この実施形態は取付部材1の横幅を前述の実施形態と同様に幅広に形成し、その片側に図8の実施形態と同様な支持枠2,2とブラケットフレーム13,13を取付け、ブラケットフレーム13,13の下部に棚板14を掛け渡して、載荷物19を収容し、他側のスペースに支持枠2と同様な支持枠20を等間隔に配置している。
そして、中間位置の支持枠2を利用し、その上部に小形のブラケットフレーム21を取付け、支持枠20の上下位置に例えば大小のブラケットフレーム21,22を取付けている。
【0056】
次に、相対する上側のブラケットフレーム21,21の下部に棚板14を掛け渡し、また相対する下側のブラケットフレーム22,22の下部に棚板14を掛け渡し、これらの棚板14,14上に載荷物19を収容可能にしている。
【0057】
すなわち、この第4の実施形態は幅広な取付部材1の片側に、図8の実施形態と同様な支持枠2,2とブラケットフレーム13,13を同様に取付け、該ブラケットフレーム13,13の下部に棚板14を掛け渡す。
そして、中間位置の支持枠2を共用し、その他側に支持枠2と同様な支持枠20を等間隔に配置し、その相対する支持枠2,20の上下位置に、例えば大小のブラケットフレーム21,22を取付け、それらのブラケットフレーム21,22の下部に棚板14,14を掛け渡して、支持枠2,20を上下二段に使用し、そのそれぞれに棚板14,14を掛け渡して、棚板14の多様な利用を図るようにしている。
【0058】
図11はブラケットフレーム13の第2の実施形態を示し、ブラケットフレーム13の両端部のフック部13c,13dを互いに異方向に折り曲げ形成し、この一のブラケットフレーム13を、左右の支持枠2,2のブラケットフレームとして兼用させ、部品点数を低減し構成の合理化を図っている。
【0059】
このブラケットフレーム13,13による棚板14の取付けは図12のようで、支持枠2,2に対するフック部13c,13dの係脱操作を一様な操作によって簡便に行え、前記ブラケットフレーム13を共用している。
【0060】
図13図11のブラケットフレーム13の応用形態を示し、その上下桟部13b,13bの長さを長尺に形成し、その下部桟13bの下部周面に二つの平坦部16,16を形成し、二つの棚板14,14を掛け渡し可能にしている。
【0061】
図14はブラケットフレーム13の第3の実施形態を示し、この実施形態はブラケットフレーム13を略V字形状に折り曲げ形成し、その屈曲部に短小な係止部13eを形成して、棚板14の側端面を係合可能にし、U字形状若しくはコ字形状のブラケットフレーム13における垂直部13aと下部桟13bを統合して、斜状かつ直線状の上側桟部13bに形成し、垂直部13aと下部桟13bによるそれぞれの揺動を抑制し、ブラケットフレーム13を小形化し、その支持強度を増強するとともに、水平な下側桟部13bの下部周面に二つの平坦部16を形成して、二つの棚板14を掛け渡している。
図中、13dはフック部13cと反対方向に折曲したフック部で、このフック部13c,13dによって図11のようなブラケットフレーム13に構成することも可能である。
【0062】
このように本発明の棚板取付け装置は、取付け部材に固定する支持枠と、棚板を掛け渡すブラケットフレームとを線材を折り曲げて小形かつ簡潔に構成し、これらを容易かつ安価に製作できるとともに、棚板の取付け位置の変更を簡便に行なえ、しかもこの種装置の複雑で堅牢な印象を払拭し、簡潔で柔和な美感と室内装飾の美観の向上を図れるようにしたものである。
【符号の説明】
【0063】
1 取付部材
2 支持枠
3,16 平坦部
4,17 ビス孔
5,18 タッピングスクリュ
12 掛止部
【0064】
13 ブラケットフレーム
13c,13d フック部
14 棚板
4,17 ビス孔
S 係合スペース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14