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特許7560045海苔乾燥機と、海苔乾燥機の空気整流システム
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  • 特許-海苔乾燥機と、海苔乾燥機の空気整流システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】海苔乾燥機と、海苔乾燥機の空気整流システム
(51)【国際特許分類】
   A23L 17/60 20160101AFI20240925BHJP
   F26B 9/06 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
A23L17/60 103Z
F26B9/06 K
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020102945
(22)【出願日】2020-06-15
(65)【公開番号】P2021193941
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2023-05-31
(73)【特許権者】
【識別番号】391008294
【氏名又は名称】フルタ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100165489
【弁理士】
【氏名又は名称】榊原 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100083068
【弁理士】
【氏名又は名称】竹中 一宣
(72)【発明者】
【氏名】古田 成広
(72)【発明者】
【氏名】鰐部 幸政
【審査官】黒川 美陶
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-060570(JP,A)
【文献】特開2001-238645(JP,A)
【文献】特開2001-321132(JP,A)
【文献】特開平6-70725(JP,A)
【文献】特開平10-117744(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 17/60
F26B 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
海苔乾燥機に備える複数の送風機のうち隣接する全ての前記送風機の間に設ける仕切りと、
前記送風機への吸込み空気、又はこの送風機からの吹出し空気と、
を含み、
前記仕切りによって、前記吸込み空気、又は前記吹出し空気の流れを整流可能、及び/又は、前記吸込み空気の流れ、又は前記吹出し空気の流れ、を干渉防止可能、とする構成とした海苔乾燥機。
【請求項2】
前記仕切りは、
シートであり、このシートを展張・吊下げ支持する構成とした請求項1に記載の海苔乾燥機。
【請求項3】
前記仕切りは、
板であり、この板の設置において、傾斜角度調整可能、立上り高さ調整可能、又は着脱可能とする構成とした請求項1に記載の海苔乾燥機。
【請求項4】
前記仕切りは、
板であり、平板、環状板、或いは滑面を備えた板とする構成とした請求項1に記載の海苔乾燥機。
【請求項5】
前記仕切りは、
前記海苔乾燥機に備えた熱風生成室のラス網を利用して設置する構成とした請求項1に記載の海苔乾燥機。
【請求項6】
前記熱風生成室、及び/又は、前記仕切りに、
熱風整流用の整流手段を備える構成とした請求項5に記載の海苔乾燥機。
【請求項7】
海苔乾燥機の熱風生成室への吸込み空気の流れ、又はこの熱風生成室からの吹出し空気の流れをコントロールする仕切りを設け、この仕切りを、前記海苔乾燥機に備えた複数の送風機のうち隣接する全ての前記送風機の間に着脱可能とするシステムと、
前記送風機の回転、及び/又は、風量を調整可能とするシステムと、
前記仕切りが、前記送風機への吸込み空気、又は前記送風機からの吐出空気を整流するシステムと、
を備える海苔乾燥機の空気整流システム。
【請求項8】
海苔乾燥機の空気整流システムは、
前記各システムを、選択的に組合せ可能とする請求項7に記載の海苔乾燥機の空気整流システム。
【請求項9】
海苔乾燥機の空気整流システムは、
前記各システムを、選択的に組合せ可能とし、
省エネルギー運転可能、高品質の生海苔を生成可能とする請求項7に記載の海苔乾燥機の空気整流システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海苔乾燥機(生海苔乾燥建屋)と、海苔乾燥機の空気整流システムに関する。
【背景技術】
【0002】
生海苔乾燥建屋の海苔乾燥機は、外気吸込み口より、外気を、個別に、若しくは必要量吸込むか、多くは海苔乾燥機の働きを終えた内気(空気)を、再利用する等の手段で、建屋の熱風生成室に取り込み、この外内気(空気)を、配備された釜、及び/又は、熱交換パイプ(熱交換機)で熱風に変換し、この熱風で海苔箕に抄製された生海苔乾燥用として、海苔乾燥機に供給する。そして、働きを終えた空気は、送風機を利用して、熱風生成室に送り、熱風に変換し、再度、海苔乾燥機(海苔乾燥室)に送り再利用される。また、その一部は、建屋に配備した屋上扇と排出口を介し、建屋外に排出し、建屋の湿度調整を図る。
【0003】
この際に、海苔乾燥機からの熱風等を、送風機で、熱風生成室に効率的に送り、生海苔乾燥を最適化する。この際に、必要とされるのは、一基、又は数基の送風機で、熱風生成室に、前記空気を、効率的に循環することである。これにより、生海苔の効率的な乾燥、省エネルギーによる乾燥、又は送風機の効率的な稼動が要望される。
【0004】
この要望達成に関する先行文献を調査した。その結果、例えば、海苔乾燥建屋における間仕切り装置であって、外気の気象条件変化に対し、安定した海苔乾燥条件(最適な海苔乾燥空気)が得られる発明がある。特開平02-60570号公報(文献(1)とする)である。
【0005】
しかし、文献(1)では、海苔乾燥機に備えた送風機(二基、又は複数基、或いは全基)に仕切りを付設し、海苔乾燥機と送風機の間の空気制御を図ることで、例えば、効率的な乾燥と、送風機の効率的な稼動で、例えば、送風機の台数軽減化・小型化・モータの小型化の何れか一つを達成することを意図しないと考えられる。
【0006】
また、海苔乾燥機内の低湿管理と、低湿回復をはかることを意図し、ヒートポンプ式除湿機(7)の上方に装備した空気ガイド部材(15)を設置する考案がある。実開平3-24893号公報(文献(2)とする)である。しかし、この考案は、海苔乾燥機内の恒湿維持である。したがって、文献(2)は、前記文献(1)と同じである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開平02-60570号公報
【文献】実開平3-24893号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述した如く、文献(1)・(2)においては、例えば、間仕切り装置、又は空気ガイド部材(15)を設置することが開示されている。
【0009】
しかしながら、本発明が意図する、海苔乾燥機に備えた送風機に仕切りを付設し、海苔乾燥機と送風機の間の空気の整流、及び/又は、吸込み空気の流れ、又は吹出し空気の流れの干渉防止、を図ることで、例えば、効率的な乾燥、例えば、送風機の台数軽減化・小型化・モータの小型化とか、省エネルギーによる乾燥の、何れか一つを達成することを意図しない。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、海苔乾燥機に備えた送風機に仕切りを付設し、送風機に吸込みの空気(熱風空気、温風空気、又は常温空気等の空気)、又は送風機より吹出しの空気(熱風空気、温風空気、又は常温空気等の空気)の整流、及び/又は、吸込み空気の流れ、又は吹出し空気の流れの干渉防止を図ることで、例えば、効率的な乾燥、省エネルギーによる乾燥、又は送風機の効率的な稼動の、何れか一つを達成するために、請求項1-9を提案する。
【発明の効果】
【0011】
請求項1では、
海苔乾燥機に備える複数の送風機のうち隣接する全ての送風機の間に設ける仕切りと、
送風機への吸込み空気、又は送風機からの吹出し空気と、
を含み、
仕切りによって、吸込み空気、又は吹出し空気の流れを整流可能、及び/又は、吸込み空気の流れ、又は吹出し空気の流れ、を干渉防止可能、とする構成とした海苔乾燥機とする。
【0012】
これにより、海苔乾燥機に備えた送風機に仕切りを付設し、送風機に吸込む空気、又は送風機より吹出す空気の整流を図り、かつ、吸込み空気の流れ、又は吹出し空気の流れの干渉防止可能(送風機からの空気の流れによる、吸込み流れ・吹出し流れに対する干渉防止を図り)、もって、効率的な乾燥、送風機の台数軽減化・小型化・モータの小型化と、又は海苔乾燥機の送風機の送風方向・送風量確保等の何れか一つを達成できる。
【0013】
また、請求項2では、
仕切りは、
シートであり、シートを展張・吊下げ支持する構成とした海苔乾燥機とする。
【0014】
これにより、請求項1の意図達成と、最適な仕切りを提供できる。
【0015】
請求項3では、
板であり、板の設置において、傾斜角度調整可能、立上り高さ調整可能、又は着脱可能とする構成とした海苔乾燥機とする。
【0016】
これにより、請求項1の意図達成と、そのための仕切りの一例を提供できる。
【0017】
請求項4では、
仕切りは、
板であり、平板、環状板、或いは滑面を備えた板とする構成とした海苔乾燥機とする。
【0018】
これにより、請求項1の意図達成と、そのための仕切りの他の一例を提供できる。
【0019】
請求項5では、
仕切りは、
海苔乾燥機に備えた熱風生成室のラス網を利用して設置する構成とした海苔乾燥機とする。
【0020】
これにより、請求項1の意図達成と、そのための別の仕切りを提供できる。
【0021】
請求項6では、
熱風生成室、及び/又は、仕切りに、
熱風整流用の整流手段を備える構成とした海苔乾燥機とする。
【0022】
これにより、請求項1の意図達成と、そのための熱風整流用の整流手段を提供できる。
【0023】
請求項7では、
海苔乾燥機の熱風生成室への吸込み空気の流れ、又は熱風生成室からの吹出し空気の流れをコントロールする仕切りを設け、仕切りを、海苔乾燥機に備えた複数の送風機のうち隣接する全ての送風機の間に着脱可能とするシステムと、
送風機の回転、及び/又は、風量を調整可能とするシステムと、
仕切りが、送風機への吸込み空気、又は前送風機からの吐出空気を整流するシステムと、
を備える海苔乾燥機の空気整流システムとする。
【0024】
これにより、請求項1の意図達成と、そのための組み合わせできる、各システムを提供できる。
【0025】
請求項8では、
海苔乾燥機の空気整流システムは、
各システムを、選択的に組合せ可能とする。
【0026】
これにより、請求項1の意図達成と、そのための各システムの選択的に組合せである。
【0027】
請求項9では、
海苔乾燥機の空気整流システムは、
各システムを、選択的に組合せ可能とし、
省エネルギー運転可能、高品質の生海苔を生成可能とする。
【0028】
これにより、請求項1の意図達成と、そのための各システムを、選択的に組合せ可能とし、かつ省エネルギー運転可能、高品質の生海苔を生成海苔乾燥機と、熱風制生成を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の生海苔乾燥建屋の一実施例を示した模式図
図2図1の要部を示し、仕切りを設けた一例であって、空気の流れを説明する拡大模式図、図において、B1、B2は、本発明の整流・干渉なしの空気の流れを示した模式図
図3】仕切りの各例(イ~ホ)を示している拡大図
図4】本発明の仕切り、送風機、及び空気整流を用いた各システムを、選択的に組合せ可能とする空気整流システムのフローチャート
図5】従来の空気の流れを説明する拡大模式図、図において、B1-1、B2-1は、従来発生し易い乱流、又は干渉の流れを示した模式図
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の一例である生海苔乾燥建屋Aに関して説明する。生海苔乾燥建屋Aは、一例であって、説明と図面の構成には、何ら限定されない。従って、以下の説明と図面に基づく構成と符合するものは、勿論であり、概念が類似、又は符合するものは、本発明の範疇である。
【0031】
図1に示すように、一般的な生海苔乾燥建屋Aには、一方側に生海苔乾燥機1、他方側に、例えば、釜2、又は図示しないが熱交換機、バーナ等を備え、かつラス形態の天井30を備えた熱風生成室3が、配備されている。この例では、生海苔乾燥機1、熱風生成室3が併設されているが、一例である。
【0032】
そして、熱風生成室3の天井30はラス網で形成されていることから天井開口30aを備える。勿論、天井30が板材の例では、開口30bを形成する。この天井開口30a、及び/又は、開口30bの下側には、一基、又は複数基の送風機5……………5nが配備されており、例えば、矢印の如く、生海苔乾燥機1から排出される働きを終えた熱風、温風、又は風等(空気とする)は、送風機5の吸込み(吸込み力)で、天井開口30a、及び/又は、開口30bから、熱風生成室3に吸込まれる構造である。尚、天井30は、原則として、熱風生成室3の天井全体に展張されている。尚、吸込み方式で説明するが、図示しない、例えば、逆バージョンで吹出し方式も可能である。吹出し方式は、説明は割愛する。図示の如く、天井30の下側に仕切り6を設けるが、天井30の上側に仕切り6を設けることも有り得る。
【0033】
そして、図2の如く、熱風生成室3には、生海苔乾燥機1の天井開口(図示しない)から排気される働きを終えた、例えば、整流・干渉なしの空気B1、B2の流れを誘導する仕切り6を設ける。仕切り6は、一例として、板材であり、図3の(イ)~(ホ)の形状であって、例えば、熱風生成室3の天井30から、生海苔乾燥建屋Aの室内で、生海苔乾燥機1の天井開口(図示しない)の方向に向かって立設されている。そして、望ましくは、生海苔乾燥建屋Aの長手方向A1を横断するように、隣接する送風機5間を区画するように付設する。この一例では、天井30の吸込み開口30b(又は図示しないが、天井30の吹出し開口)の近接位置で、例えば、垂下、又は立設するが限定されない。仕切り6の形態は、(イ) 平板 (ロ) 曲面板 (ハ) 昇降式 (ニ) シート (ホ) 筐形、の他に、図示しないが、管状等の各例が挙げられる。尚、シートは、図示しないが、例えば、自由に取付けできる支持材7、杆等を利用する。
【0034】
尚、仕切り6を付設した例を示した図2において、隣接する送風機5、5nからの整流・干渉なしの空気B1とB2は、図4に示す従来例の如く、衝突、又は乱流することなく(吸込み空気の流れ、又は吹出し空気の流れの干渉防止を達成し)、整流状態で吸い込まれる。そして、その後、順序良く、釜2、及び熱風生成室3に導かれる。従って、吸込み空気量の適正化が図れる。また、生海苔の乾燥効率の向上と、その品質確保に有益に寄与できる。また、吸込み空気量の適正化を介して、送風機5の回転スピードの適正化、及び/又は、送風機5及び付帯設備(羽根、モータ)等の小型化、又は経費の節減等に寄与できる。図において、8は、整流手段であり、必要により、送風機5の空気のスムーズな流れを助けるように取付けられる。さらに、例えば、図2の如く、隣接する吸込み空気と吹出し空気の干渉を無くし、併せて、整流手段8とともに、直線的な流れを確保する。
【0035】
尚、図示しないが、送風機5の上方、及び/又は、天井開口30aの近傍に、整流手段8を備えて、天井開口30aへの空気量、及び/又は、吸込み空気量等を適正に送り、前述の効果を達成することが最適である。本発明は、送風機5の小型化と、基数の減少化、故障の軽減とか、設備、及び電力使用量の低コスト化等に有効である。
【0036】
以上で説明した実施例の一例は、好ましい各例を示したものであり、同様な効果と特徴を有する他の構造、手段は、本発明の範疇である。
【符号の説明】
【0037】
1 生海苔乾燥機
2 釜
3 熱風生成室
30 天井
30a 天井開口
30b 開口
5……5n 送風機
6 仕切り
7 支持材
8 整流手段
A 生海苔乾燥建屋
A1 長手方向
B1 整流・干渉なしの空気
B2 整流・干渉なしの空気
B1-1 乱流・干渉の空気
B2-1 乱流・干渉の空気
図1
図2
図3
図4
図5