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  • 特許-ゼリー及びその製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】ゼリー及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 21/10 20160101AFI20240925BHJP
   A23F 5/24 20060101ALN20240925BHJP
【FI】
A23L21/10
A23F5/24
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020118560
(22)【出願日】2020-07-09
(65)【公開番号】P2022022870
(43)【公開日】2022-02-07
【審査請求日】2023-05-20
(73)【特許権者】
【識別番号】503136749
【氏名又は名称】株式会社サザコーヒー
(74)【代理人】
【識別番号】100165135
【弁理士】
【氏名又は名称】百武 幸子
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 太郎
【審査官】吉岡 沙織
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-213327(JP,A)
【文献】特開平06-327421(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
A23F
A23G
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に開口部を有する容器に入ったゼリーであって、凝固剤を含ませたミルクと、前記凝固剤を含まないコーヒーと、を材料とし、
前記凝固剤の含有割合が前記ミルクの2~10重量%であり、
前記ミルクは、前記コーヒーの5~6倍の容量であり、
前記容器の上面に前記ミルク及び又は前記コーヒーを用いた模様が施されたことを特徴とするゼリー。
【請求項2】
前記ミルクは、牛乳、生クリーム、ココナッツミルク、豆乳、穀物ミルク、又はナッツミルクのうちの少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項に記載のゼリー。
【請求項3】
前記凝固剤は、ゼラチン、寒天、アガー、又はペクチンのうちの少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のゼリー。
【請求項4】
請求項1~のいずれかに記載のゼリーの製造方法であって、
前記コーヒーを、前記容器に注入する注入工程と、
前記ミルクに凝固剤を入れ、攪拌して泡を含んだ状態にする泡立て工程と、
前記容器の前記コーヒーの上に、前記ミルクを注ぎながら混合させ、前記ミルクと前記コーヒーを用いて上面に模様を施す装飾工程と、
前記容器を冷却する冷却工程と、
を有することを特徴とするゼリーの製造方法。
【請求項5】
請求項1~のいずれかに記載のゼリーの製造方法であって、
前記コーヒーを、前記容器に注入する注入工程と、
前記ミルクに凝固剤を入れ、攪拌して泡を含んだ状態にする泡立て工程と、
前記容器の前記コーヒーの上に、前記ミルクを注ぎながら混合させる充填工程と、
前記ミルク及び又は前記コーヒーを用いて上面に模様を施す装飾工程と、
前記容器を冷却する冷却工程と、
を有することを特徴とするゼリーの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゼリー及びその製造方法に関する。特に、上面に模様(ラテアート)が施されたゼリーとその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エスプレッソなどの飲料にきめ細かく泡立てて温めたミルクを注いで、その下方のエスプレッソを使用してイラストを描く、いわゆるラテアートが施されたカプチーノやカフェラテ等が流行している。特にSNS(Social Networking Service)の普及により、趣向を凝らしたラテアートの写真がSNSに掲載されることも多い。その外観のインパクトや美しさなどから、喫茶店等でラテアートが施されたカプチーノ等が提供されてもすぐに飲まず、写真を撮ってから飲む人も増えている。
【0003】
ラテアートは、泡立てて温めたミルクをコーヒーの上面に流し、注ぎ込む際にその流れで模様を描く、フリーポア(free pour)と呼ばれる手法と、泡立てて温めたミルクをコーヒー上面に注いだ後、ピックピンや、スプーン、竹串などの道具を用いて模様を描くエッチング(etching)と呼ばれる手法がある。これらの手法で、趣向を凝らしたラテアートを描こうとすると、熟練したスキルが必要である。そのため、容易にラテアートを描く方法や、ラテアートを得るための物が開発されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、クリーム状物の上にプリンターで模様を印刷する飲料物の調理方法が開示されている。その調理方法によると、相当の時間、飲料物に印刷した模様を維持することができるとされている。また、特許文献2には、ラテアートを容易に楽しめるよう、水溶性食品浮揚物の表面に絵柄や文様、文字、ロゴマークなどを描いたラテアート用フロートが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-27023号公報
【文献】特開2016-67328号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のプリンターによる調理方法や特許文献2に記載のラテアート用フロートを使用すれば、熟練したスキルがなくても、容易にラテアートを楽しむことができる。しかし、プリンターやフロートを事前に準備するのは、費用や手間がかかり、容易でない場合も考えられる。また、飲料の上のラテアートは、熟練したスキルで描いたものであっても、プリンターやフロートを使用したものであっても、不安定な状態の上に描かれているため、その模様は時間が経つにつれ崩れ、長時間、模様を維持することが難しい。一般にラテアートの模様が維持される時間は、長くて10~20分程である。また、ラテアートが施されたコーヒーを持ち帰りたい場合などに、持ち運ぶ途中でラテアートの模様が崩れてしまう恐れがある。そのため、ラテアートの模様が長時間維持され、持ち運ぶ際にもラテアートの模様が綺麗に保たれる新規な食品が望まれる。特に、特殊な機械等を使用せずに、熟練したスキルで描かれたラテアートの模様を長時間保つことができる新規な食品が望まれる。
【0007】
本発明は上記課題に鑑み、ラテアートの模様が長時間維持され、持ち運ぶ際にもその模様が綺麗に保たれるゼリー及びゼリーの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、上面に開口部を有する容器に入ったゼリーであって、凝固剤を含ませたミルクと、前記凝固剤を含まないコーヒーと、を材料とし、前記凝固剤の含有割合が前記ミルクの2~10重量%であり、前記ミルクは、前記コーヒーの5~6倍の容量であり、前記容器の上面に前記ミルク及び又は前記コーヒーを用いた模様が施されたことを特徴とするゼリーである。
請求項2に記載の発明は、前記ミルクが、牛乳、生クリーム、ココナッツミルク、豆乳、穀物ミルク、又はナッツミルクのうちの少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項に記載のゼリーである。
請求項3に記載の発明は、前記凝固剤が、ゼラチン、寒天、アガー、又はペクチンのうちの少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のゼリーである。
請求項4に記載の発明は、請求項1~のいずれかに記載のゼリーの製造方法であって、前記コーヒーを、前記容器に注入する注入工程と、前記ミルクに凝固剤を入れ、攪拌して泡を含んだ状態にする泡立て工程と、前記容器の前記コーヒーの上に、前記ミルクを注ぎながら混合させ、前記ミルクと前記コーヒーを用いて上面に模様を施す装飾工程と、前記容器を冷却する冷却工程と、を有することを特徴とするゼリーの製造方法である。
請求項5に記載の発明は、請求項1~のいずれかに記載のゼリーの製造方法であって、前記コーヒーを、前記容器に注入する注入工程と、前記ミルクに凝固剤を入れ、攪拌して泡を含んだ状態にする泡立て工程と、前記容器の前記コーヒーの上に、前記ミルクを注ぎながら混合させる充填工程と、前記ミルク及び又は前記コーヒーを用いて上面に模様を施す装飾工程と、前記容器を冷却する冷却工程と、を有することを特徴とするゼリーの製造方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明のゼリーによると。ラテアートの模様が長時間維持され、持ち運ぶ際にもその模様が保たれる。また、本発明のゼリーの製造方法によると、ラテアートの模様を綺麗に施すことができ、その模様を長時間維持できるゼリーを効率よく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係るフリーポアの手法を使用したラテアートのゼリーの模式図である。
図2】本発明の一実施形態に係るエッチングの手法を使用したラテアートのゼリーの模式図である。
図3図1、2に示すゼリーの原料である飲料を示す模式図である。
図4】本発明の一実施形態に係るフリーポアの手法を使用したゼリーの製造方法の流れを示す説明図である。
図5】本発明の一実施形態に係るエッチングの手法を使用したゼリーの製造方法の流れを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態(以下実施例と略称する)を、図面に基づいて説明する。以下の図面において、共通する部分には同一の符号を付しており、同一符号の部分に対して重複した説明を省略する。
【0012】
[ゼリー1の構成]
本発明の一実施例に係るゼリー1の構成について、図1~3を参照して説明する。図1図2は、それぞれフリーポアの手法を使用したラテアートのゼリー1と、エッチングの手法を使用したラテアートのゼリー1の模式図であり、図3は、図1、2のゼリー1の原料である飲料12を示す模式図である。本発明のゼリー1は、上面に開口部を有する容器2に入ったゼリー1であって、凝固剤を含ませたミルク11と、飲料12を材料とし、容器2の上面にミルク11及び又は飲料12を用いた模様が施されたゼリーである。本実施例では、模様として、ラテアート10が施されたゼリー1を説明する。なお、本実施例で使用する「ラテアート」という用語は、飲料(エスプレッソ等)12に泡立てて温めたミルク11を注いで、その下方の飲料12を使用して模様が描かれた従来のラテアート(図1参照)に加え、飲料(エスプレッソ等)に、泡立てたミルク11を加え、チョコレートシロップ等で模様を描くアート(図2参照)も含まれる。また、本発明のラテアートは、機械等で描いたラテアートも含むが、本実施例では、機械等を使用せずに、手作業によるラテアートについて説明する。
【0013】
本発明の飲料12は特に限定されないが、コーヒー、紅茶、抹茶、ココア、又はホットチョコレートのうちの少なくとも一つを含む飲料であることが好ましい。上記1種類を使用してもよいし、2種類以上を混合した飲料を使用してもよい。また、上記の飲料に砂糖やシナモン等を加えて甘みや風味を加えてもよい。従来、ラテアートが施された飲料として、主にエスプレッソが使用されている。エスプレッソは、通常のコーヒーと比べて濃厚な味わいで量が少ないため、ミルクを足してカフェラテやカプチーノが作られることも多い。また、その上面にラテアートが施されていることが多い。近年では、エスプレッソだけでなく、その他のコーヒーや紅茶、抹茶、ココア、ホットチョコレートにもラテアートが施されているが、本実施例では、飲料12にエスプレッソを使用した例を説明する。
【0014】
また、本発明のミルク11は特に限定されないが、牛乳、生クリーム、ココナッツミルク、豆乳、穀物ミルク、又はナッツミルクのうちの少なくとも一つを含むミルクであることが好ましい。ミルクは上記1種類を使用してもよいし、2種類以上を混合したミルクを使用してもよいが、綺麗なラテアートを描くために、泡立てることができるミルクを使用することが好ましい。また、上記のミルクに砂糖やシナモン等を加えて甘みや風味を加えたミルクを使用してもよく、市販のアイスクリームを使用してもよい。本実施例では、ミルク11に従来のラテアートで使用されている牛乳を使用した例を説明する。牛乳の中でも乳脂肪分が高い方が泡立ちやすいため、低脂肪牛乳ではない牛乳を使用する。
【0015】
ミルク11に含ませる凝固剤についても特に限定されないが、ゼラチン、寒天、アガー、又はペクチンのうちの少なくとも一つを含む凝固剤であることが好ましい。凝固剤は上記1種類を使用してもよいし、2種類以上を混合した凝固剤を使用してもよいが、ミルクに溶けやすい粉末状の凝固剤を使用することが好ましい。本実施例では、凝固剤に粉末状のゼラチンを使用した例を説明する。
【0016】
ゼリー1を入れる容器は、上面に開口部を有する容器であれば、いかなる形態でもよい。例えば、コーヒーカップや、ティーカップ、グラスなど様々な形態の容器が考えられるが、ゼリー1の上面のラテアート10を綺麗に保つことができるよう、上面を水平に保つことができる容器であることが好ましい。本実施例では、容器に図1~3に示すようなコーヒーカップ2を使用した例を説明する。
【0017】
前述のように、ラテアート10は液体上の不安定な状態で施されているため、模様が維持される時間は、長くて10~20分程である。そのラテアート10をゼリー1として固めるためには、牛乳に含ませるゼラチンの含有割合と、エスプレッソの割合が重要である。一般に、粉末状のゼラチン5gを、250g~300gの液体に溶かしてゼリーが作られることが知られている。より柔らかいゼリーの場合は、ゼラチン5gを400~500g程の液体に溶かして作ることも可能である。
【0018】
本実施例では、例えば、50~200g程度の牛乳にゼラチン5g程(牛乳の2~10重量%)を含ませて、カプチーノのゼリー1を作る。カプチーノの場合、エスプレッソ約30mLに対して、通常、その5~6倍の150~180mL程度の牛乳を使用すると、ラテアート10が描きやすいことが知られている。例えば、カップ2に、エスプレッソ12を注ぎ(図3参照)、ゼラチンを加えた牛乳(温めて泡立てた牛乳)11をカップ2の上面まで注いで、ラテアート10を施したカプチーノを作るイメージである。それにより、図1、2に示すようなラテアート10が施されたカプチーノのゼリー1が作られる。凝固剤の量とミルク11の量、飲料12の量の割合は、本実施例の量に限定されず、凝固剤の種類やミルク11の種類、飲料12の種類によって適宜変更可能である。
【0019】
[ゼリー1の製造方法]
次にゼリー1の製造方法について、図4、5を参照して説明する。前述のように、ラテアートには、泡立てて温めたミルクをコーヒーの上面に流し、注ぎ込む際にその流れで模様を描く、フリーポア(free pour)と呼ばれる手法と、泡立てて温めたミルクをコーヒー上面に注いだ後、ピックピンや、スプーン、竹串などの道具を用いて模様を描くエッチング(etching)と呼ばれる手法がある。図4は、フリーポアを使用したゼリー1の製造方法の流れを示す説明図であり、図5は、エッチングを使用したゼリー1の製造方法の流れを示す説明図である。まず、図4を参照してゼリー1の製造方法を説明する。
【0020】
(フリーポアを使用したゼリー1の製造方法)
[ステップS11:準備工程]
最初にゼリー1の材料と、上面に開口部を有する容器を準備する。ゼリー1の基本的な材料は、ミルク11と、ミルク11に入れる凝固剤と飲料12である。本実施例では、前述のように、ミルク11には牛乳を使用し、凝固剤には粉末のゼラチンを使用し、飲料12にはエスプレッソを使用するため、それらの材料を所定量、準備する。また、容器には図1に示すようなコーヒーカップ2を準備する。さらに、ラテアート10を施す際に便利なミルクピッチャーを準備することが好ましい。ラテアート10にココアパウダーやシナモン、チョコレートシロップ、食紅等の副材料を使用する場合には、それらを準備する。
【0021】
[ステップS12:飲料12の注入工程]
まず、エスプレッソ12をコーヒーカップに注入する(図3参照)。本実施例では、エスプレッソマシンで抽出されたばかりのエスプレッソ12をコーヒーカップ2に注入する。一般に、エスプレッソマシンで抽出されるエスプレッソ12は、90度~97度程度の高温であることが知られている。水を温めると膨張して密度が小さくなり上昇するため、このような高温のエスプレッソ12を使用することで、後の工程で注入される牛乳11とよく混合させることができる。なお、容器に注入する飲料12の温度は本実施例に限定されず、後の工程で注入されるミルク11とよく混合させることができれば、いかなる温度でもよい。
【0022】
[ステップS13:ミルク11の泡立て工程]
次に、牛乳11に所定量のゼラチンを入れ、攪拌して泡を含んだ状態にする。ゼラチンは、直接牛乳11に入れてもよいし、水でふやかしたゼラチンを温めて溶かしてから牛乳11に入れてもよい。本実施例では、ゼラチンを直接牛乳11に入れて、エスプレッソマシンのスチーム機能を使用して、牛乳11を攪拌して泡を含んだ状態にする。具体的には、エスプレッソマシンのスチームノズルをゼラチンと牛乳11の入ったミルクピッチャーに入れ、熱い蒸気を牛乳11に送り込み、温めながら撹拌して泡を含んだ状態にする。この方法では、ゼラチンと牛乳11を温めながら撹拌するため、ゼラチンが牛乳11に溶けやすく、よく混合させることができる。なお、本実施例では、温める牛乳11の温度は60~65℃程度である。
【0023】
温めながら撹拌された牛乳11は、空気を取り込んだ細かい泡部分(フォームドミルク)が増えて、全体の容量が増し、ミルクピッチャーの牛乳11の液面が上昇する。このとき、ミルクピッチャーの牛乳11は泡部分(フォームドミルク)と温められた液体部分(スチームミルク)が混ざった状態である。ミルクピッチャーの牛乳11の泡部分(フォームドミルク)が所定の量になるまで、温めながら撹拌する。本実施例では、液体のスチームミルクと泡状のフォームドミルクが約1:1の割合になるまで牛乳11を温めながら撹拌する。それにより、きめ細かな泡の牛乳11になり、エスプレッソ12と全体的によく混ざってまろやかな口当たりに仕上げることができる。液体のスチームミルクと泡状のフォームドミルクの割合は、これに限らず、ミルク11の種類によって適宜変更できる。
【0024】
また、ゼラチンを含んだ牛乳11を攪拌して泡を含んだ状態にする方法は、エスプレッソマシンを使用する方法に限らず、いかなる方法を用いてもよい。例えば、牛乳11を泡立てることができる泡立て器、ミキサーなどを使用して泡立ててもよい。
【0025】
[ステップS14:装飾工程]
次に、コーヒーカップ2のエスプレッソ12に、液体のスチームミルクと泡状のフォームドミルクが混ざった牛乳11を注ぎ、エスプレッソ12と混合させながら、フォームドミルクを表面に浮かべることで模様を施す(図1参照)。この模様は、ミルクピッチャーから牛乳11を注ぐ動きが生み出す対流によりできるラテアート10である。このラテアート10は、コーヒーカップ2に対するミルクピッチャーを傾ける角度や位置、フォームドミルクの浮かばせ方を調節することで様々な模様が描かれる。例えば、ハート、リーフ、チューリップや図1に示すような模様を描くことができる。
【0026】
この工程で、エスプレッソ12と、ゼラチンが含まれる牛乳11を混合させることで、ゼラチンがエスプレッソ12の中にも混合される。特に、前述の高温のエスプレッソ12を使用することで、エスプレッソ12がゼラチンを含む牛乳11とよく混合される。それにより、エスプレッソ12にゼラチンを加えなくても、エスプレッソ12と牛乳11が混合したカプチーノのゼリー1を作ることができる。通常のコーヒーゼリー等では、飲料(コーヒー)の方にゼラチンを入れて作るため、本発明の製造方法は、この点で大きく異なり、今までにない新規な製造方法である。
【0027】
なお、フリーポアで描かれたラテアート10に、更にココアパウダーやシナモン、チョコレートシロップ、食紅等を加えて装飾を施してもよい。それにより、好みの味や香り、色、風味を追加することができる。
【0028】
[ステップS15:冷却工程]
最後に、ラテアート10が施されたカプチーノが入ったコーヒーカップ2を冷蔵庫に入れて冷却する。ゼラチンの量にもよるが、通常の冷蔵庫(約2℃~6℃)で、約2~3時間冷却すると、図1に示すようなラテアート10が施されたカプチーノのゼリー1が完成する。ラテアート10の部分にもゼラチンが含まれているため、冷却することで固定される。それにより、ラテアート10の模様が長時間維持される。
【0029】
以上の製造工程により、ラテアート10が施されたカプチーノのゼリー1を効率よく製造することができる。特にエスプレッソマシンを使用することにより、蒸気で効率よく牛乳を温め、ゼラチンを溶かし、撹拌させることができる。
【0030】
(エッチングを使用したゼリー1の製造方法)
次に、図5を参照して、ラテアート10にエッチングを使用したゼリー1の製造方法を説明する。ステップS21の準備工程は、前述のステップS11の準備工程と同様であるが、更に、エッチングに必要な道具(ピックピンや、スプーン、竹串など)を追加で準備する。それに加え、ステンシル(型紙や抜き型)等を準備してもよい。ステップS22の飲料の注入工程とステップS23のミルクの泡立て工程は、前述のステップS12、S13と同様であるため説明を省略し、ステップS24の充填工程から説明する。
【0031】
[ステップS24:充填工程]
コーヒーカップ2のエスプレッソ12に、液体のスチームミルクと泡状のフォームドミルクが混ざった牛乳11を注ぎ、エスプレッソ12と混合させながら、フォームドミルクを表面に浮かべる。フォームドミルクは、図2に示すように、コーヒーカップ2を覆うように全体に浮かべてもよいし、一部に浮かべてもよい。また、フリーポアである程度大まかな形(丸やハート等)を作ってもよい。前述のステップS14と同様に、この充填工程で、エスプレッソ12と、ゼラチンが含まれる牛乳11を混合させることで、ゼラチンがエスプレッソ12の中にも混合される。
【0032】
[ステップS25:装飾工程]
次に、フォームドミルク及び又はエスプレッソを用いて上面に模様を施す。本実施例では、コーヒーカップ2を覆ったフォームドミルクの上に、フォームドミルク周りのエスプレッソ12(又はエスプレッソとミルクが混ざった部分)をインク替わりにして、ピックピンや竹串などで目や口を描く。エスプレッソ12を使用せずに、チョコレートシロップや食紅等を使用して模様を描いてもよい。
【0033】
さらに、フォームドミルクの上方に、ステンシル(型紙・抜き型)を置き、その上からココアパウダー等を振りかけ、ステンシルを外すことで、簡単に模様や文字を付けてもよい。本実施例では、図2に示すように星型のステンシルを使用して、ココアパウダー13を振りかけて模様を付けている。このように、エッチングの手法やステンシルを使用することにより、バリエーション豊かな模様のラテアートを施すことができる。
【0034】
[ステップS26:冷却工程]
最後の冷却工程は、前述のステップS15と同様であるため、説明を省略する。このようにして、図2に示すようなラテアート10が施されたカプチーノのゼリー1が完成する。図1のゼリー1と同様に、ラテアート10の部分にもゼラチンが含まれているため、ラテアート10の模様が長時間維持される。
【0035】
以上説明した様に、本発明のゼリーは、ラテアートの模様が長時間維持され、持ち運ぶ際にもその模様が保たれる画期的なゼリーである。また、本発明のゼリーの製造方法により、ラテアートの模様を綺麗に施すことができ、その模様を長時間維持できるゼリーを効率よく製造することができる。さらに、本発明のゼリーは、熟練したスキルで描かれた芸術的なラテアートの模様を長時間保つことができるため、贈答品としても最適である。
【0036】
なお、上述した実施例のゼリーとその製造方法は一例であり、発明の範囲を限定するものではない。その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0037】
1 ゼリー
2 容器(コーヒーカップ)
10 ラテアート
11 ミルク(牛乳)
12 飲料(エスプレッソ)
13 ココアパウダー
図1
図2
図3
図4
図5