(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】臨床試験管理支援システム
(51)【国際特許分類】
G16H 80/00 20180101AFI20240925BHJP
【FI】
G16H80/00
(21)【出願番号】P 2020154552
(22)【出願日】2020-09-15
【審査請求日】2023-09-05
(73)【特許権者】
【識別番号】524306279
【氏名又は名称】3Hメディソリューション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108947
【氏名又は名称】涌井 謙一
(74)【代理人】
【識別番号】100117086
【氏名又は名称】山本 典弘
(74)【代理人】
【識別番号】100124383
【氏名又は名称】鈴木 一永
(74)【代理人】
【識別番号】100173392
【氏名又は名称】工藤 貴宏
(74)【代理人】
【識別番号】100189290
【氏名又は名称】三井 直人
(72)【発明者】
【氏名】可知 健太
【審査官】原 秀人
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-185067(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0039327(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0206519(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0251855(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
G06Q 50/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
希少疾患又は臨床試験についての相談を希望する患者についての情報であるユーザ情報、前記臨床試験を実施する機関についての情報である臨床試験実施機関情報及び前記患者からの前記臨床試験についての相談を受ける医療者の情報である医療者情報を受け付ける情報受付部と、
受け付けた前記臨床試験実施機関情報及び前記医療者情報に基づいて、前記臨床試験の一覧情報を作成する臨床試験一覧情報作成部と、
作成された臨床試験一覧情報を患者が使用する端末の表示画面に表示させるとともに、前記臨床試験一覧情報の中から所定の臨床試験実施機関が実施する臨床試験への応募を受け付ける画面表示制御を実行し、当該応募に係る前記ユーザ情報を被験候補者情報として医療者が使用する端末に送出する臨床試験応募受付部と、
前記応募の受付が完了した前記臨床試験に係る前記臨床試験実施機関情報及び前記医療者情報を前記ユーザ情報に関連付けて前記患者が使用する端末の表示画面に表示させるとともに、当該臨床試験への参加の申し込みを受け付ける画面表示制御を実行する臨床試験参加受付部と、
前記参加の申し込みの受付が完了した前記臨床試験についてのアンケート情報を前記患者が使用する端末の表示画面に表示させるとともに、当該アンケート情報に対する回答情報を受け付ける画面表示制御を実行し、当該回答情報を前記被験候補者情報に関連付けて前記医療者が使用する端末に送出するアンケート回答情報受付部と、
前記臨床試験への応募の受付完了後、前記患者が使用する端末及び前記医療者が使用する端末との間で、前記希少疾患及び前記臨床試験についての相談に関するメッセージを送受信する画面表示制御を実行する被験候補者-医療者間通信部と、
前記臨床試験への参加の申し込みの受付完了後、受け付けた前記アンケート情報に対する回答情報及び/又は前記メッセージの履歴に基づいて、前記患者について前記臨床試験の被験者としての適否を選別する被験者選別部と、
を備える臨床試験管理支援システム。
【請求項2】
前記被験者選別部によって前記患者が前記臨床試験の被験者として選別された場合、前記被験者選別部は当該患者に係る前記ユーザ情報を被験者情報として前記医療者が使用する端末に送出し、
前記患者が使用する端末及び前記医療者が使用する端末との間で、前記希少疾患及び前記臨床試験についての相談に関するメッセージを送受信する画面表示制御を実行する被験者-医療者間通信部をさらに備える
請求項1記載の臨床試験管理支援システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載した臨床試験管理支援システムとしてコンピュータを機能させるためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、疾病の診断と臨床試験をサポートするシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
疾病の診断システムについては、従来種々提案されている。
【0003】
特許文献1には、患者数が少ない希少疾患・疾病について、患者の症状や治療方法に関して一般医が専門医に相談するための疾病の診断・治療・予防システムが提案されている。
【0004】
特許文献2には、患者が新しい治験薬による治療を受ける際、実行される臨床試験の効果的な運営方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2012-177975号公報
【文献】特許第6347008号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
遺伝子治療や幹細胞移植などの高度な医療技術の進歩に伴い、これまで原因がはっきりしなかった疾病について患者の正確な診断と効果的な治療が提供される機会が増えている。しかしながら罹患数が少ない希少疾患の場合には、一般医では正確な診断を行うことが難しく、そのため効果的な治療が行えないことがあった。そのため特許文献1に記載されているように、一般医が限られた専門医を検索し、患者情報を専門医に提供することで、より早い患者の診断と治療を行うサービスが提供されるようになってきている。また、希少疾患の場合には患者数が少ないために、治療薬の選択肢が限られており、未承認の治験薬による治療を試みることが多く行われており、そのために特許文献2に記載されているような臨床試験薬の運用を効率的に行うシステムが開発されてきた。しかしながら一般医がこのような治験情報に接する機会は少なく、そのためこのような専門医と治験コーディネーターとの連携的な運用の遅れから、希少疾患に罹患した患者の治療が遅れてしまうという問題があった。そのため、希少疾患を担当する一般医と専門医の連携を強化し、患者の疾患情報を共有することにより、より早い診断、治療に結び付けるだけでなく、専門医が有する治験に関する情報を一般医と共有するシステムが望まれている。
【0007】
そこで、この発明は希少疾患についてより早期の治験情報を患者に提供し、患者のQOL(Quality of Life )を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[1]
希少疾患又は臨床試験についての相談を希望する患者についての情報であるユーザ情報、前記臨床試験を実施する機関についての情報である臨床試験実施機関情報及び前記患者からの前記臨床試験についての相談を受ける医療者の情報である医療者情報を受け付ける情報受付部と、
受け付けた前記臨床試験実施機関情報及び前記医療者情報に基づいて、前記臨床試験の一覧情報を作成する臨床試験一覧情報作成部と、
作成された臨床試験一覧情報を患者が使用する端末の表示画面に表示させるとともに、前記臨床試験一覧情報の中から所定の臨床試験実施機関が実施する臨床試験への応募を受け付ける画面表示制御を実行し、当該応募に係る前記ユーザ情報を被験候補者情報として医療者が使用する端末に送出する臨床試験応募受付部と、
前記応募の受付が完了した前記臨床試験に係る前記臨床試験実施機関情報及び前記医療者情報を前記ユーザ情報に関連付けて前記患者が使用する端末の表示画面に表示させるとともに、当該臨床試験への参加の申し込みを受け付ける画面表示制御を実行する臨床試験参加受付部と、
前記参加の申し込みの受付が完了した前記臨床試験についてのアンケート情報を前記患者が使用する端末の表示画面に表示させるとともに、当該アンケート情報に対する回答情報を受け付ける画面表示制御を実行し、当該回答情報を前記被験候補者情報に関連付けて前記医療者が使用する端末に送出するアンケート回答情報受付部と、
前記臨床試験への応募の受付完了後、前記患者が使用する端末及び前記医療者が使用する端末との間で、前記希少疾患及び前記臨床試験についての相談に関するメッセージを送受信する画面表示制御を実行する被験候補者-医療者間通信部と、
前記臨床試験への参加の申し込みの受付完了後、受け付けた前記アンケート情報に対する回答情報及び/又は前記メッセージの履歴に基づいて、前記患者について前記臨床試験の被験者としての適否を選別する被験者選別部と、
を備える臨床試験管理支援システム。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、希少疾患についてより早期の治験情報を患者に提供し、患者のQOL(Quality of Life )を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態の臨床試験管理支援システムを含むシステム全体の構成の一例を表す図である。
【
図2】本実施形態の臨床試験管理支援システムの構成の一例を表す図である。
【
図3】(a)本実施形態の臨床試験管理支援システムが備える記憶部に記憶されている情報の一例を表す図である。(b)本実施形態の臨床試験管理支援システムが備える臨床試験管理部の構成の一例を表す図である。
【
図4】本実施形態の臨床試験管理支援システムに接続されているユーザ端末に表示される臨床試験に関する情報についてのダッシュボードの一例を表す図である。
【
図5】ユーザ端末に表示される臨床試験一覧情報の一例を表す図である。
【
図6】(a)、(b)ともに、
図5に示す臨床試験一覧情報のうち任意に選択された臨床試験についての情報がユーザ端末に表示される状態の一例を表す図である。
【
図7】(a)~(c)ともに、
図6に示す臨床試験に応募する際のユーザ端末の画面遷移の一例を表す図である。
【
図8】ユーザ端末に表示される応募済みの臨床試験の一覧情報の一例を表す図である。
【
図9】(a)、(b)ともに、
図8に示す臨床試験一覧情報のうち任意に選択された臨床試験についての情報がユーザ端末に表示される状態の一例を表す図である。
【
図10】(a)、(b)ともに、ユーザ端末に表示される臨床試験における投薬情報、服薬情報の一例を表す図である。
【
図11】(a)、(b)ともに、
図9(a)に示す臨床試験に参加を申し込む際に、ユーザ端末に表示されるアンケート情報の一例を表す図である。
【
図12】臨床試験に応募した後に、ユーザ端末に表示される医療者とのメッセージ送受信の履歴の一例を表す図である。
【
図13】臨床試験への参加が認められた後に、ユーザ端末に表示される医療者とのメッセージ送受信の履歴の一例を表す図である。
【
図14】(a)~(c)ともに、ユーザ端末に表示される来院予約についての情報の一例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態の一例を説明する。本実施形態の臨床試験管理支援システム1は、一又は複数のコンピュータで構成され、臨床試験の実施管理を行うサービス提供者が提供するシステムである。
【0012】
本実施形態の臨床試験管理支援システム1は、
図1に示すように、インターネット通信網、無線通信規格で定められている無線通信網を含む通信ネットワーク4を介してユーザ端末2と通信可能に接続され、患者からの希少疾患又は臨床試験についての相談を受け付けてその対応を行うシステムとなっている。また、本実施形態の臨床試験管理支援システム1は、通信ネットワーク4を介して医療機関システム3と通信可能に接続されている。
【0013】
本実施形態には、この実施形態で説明する臨床試験管理支援システム1としてコンピュータを機能させるためのコンピュータプログラムを含む。
【0014】
ユーザ端末2は、疾病、特に希少疾患に罹患している患者がユーザとして臨床試験管理支援システム1にアクセスする際に使用する端末であって、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末、等、Web閲覧機能を有し、本実施形態に係る臨床試験管理支援アプリケーションプログラムがインストールされた端末である。図示していないが、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末といったユーザ端末2は、CPU等により構成され各種データの処理、演算を行う演算処理部と、メインメモリ等の各種データを記憶する主記憶部と、液晶ディスプレイ等の情報出力部と、タッチパネル等の情報入力部と、各種情報の送受信を行う通信部と、を備えている。なお、本実施形態では、臨床試験管理支援システム1を利用する各場面において、「患者」を「被験候補者」又は「被験者」ということがある。また、本実施形態では「希少疾患」を人口比1%未満の疾患をいう。
【0015】
医療機関システム3は、一又は複数のコンピュータで構成され、医療機関における臨床試験を含む医療業務を管理するシステムである。
図1に示す医療機関システム3は医療機関に配備され、医療者が使用するパーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末、等の医療機関端末3aを備えている。図示していないが、医療機関端末3aは、CPU等により構成され各種データの処理、演算を行う演算処理部と、メインメモリ等の各種データを記憶する主記憶部と、液晶ディスプレイ等の情報出力部と、タッチパネル等の情報入力部と、各種情報の送受信を行う通信部と、を備えている。
【0016】
本実施形態では、医療者には以下の者、機関が含まれるものとする。
・患者の診断、治療(臨床試験の実施も含む)を担当する医療機関内の医師、看護師、薬剤師、等の医療従事者
・医療従事者の指揮・監督下におかれる医療事務者
・SMO (Site Management Organization):治験施設支援機関
・CRC (Clinical Research Coordinator):臨床研究コーディネーター
このため、医療機関端末3aには、これらの者、機関が使用する端末や電子カルテの入出力が可能な端末が含まれる。
【0017】
臨床試験管理支援システム1は
図2に示すように、情報送受信部5、制御部6、記憶部7及び臨床試験管理部8を備えている。臨床試験管理支援システム1は、上述したように、一又は複数のコンピュータで構成されるので、上記各処理部を単一のサーバで構成する態様や、上記各処理部に対応したサーバで構成する態様とすることができる。
【0018】
情報送受信部5はユーザ端末2又は医療機関システム3との間で情報の送受信を行う。
【0019】
制御部6は、CPU等により構成され各種データの処理、演算を行う演算処理部と、メインメモリ等の各種データを記憶する主記憶部と、を備え、臨床試験管理支援システム1が備える上記各処理部による情報処理を制御する。
【0020】
記憶部7は内部ストレージ等の補助記憶装置である。本実施形態では
図3(a)に示すように臨床試験実施機関情報9、医療者情報10、ユーザ情報11及びメッセージ送受信履歴情報12が記憶部7に記憶されている。
【0021】
臨床試験実施機関情報9は希少疾患についての臨床試験を実施する機関についての情報である。この情報は臨床試験実施機関ごとに名称(窓口)、種別(相談のみ受け付けるもの又は相談の受付及び臨床試験への参加が可能なもの)掲載日、概要、募集期間、実施地域、参加条件(アンケートへの回答を必須とする条件を含む)、治験内容(投薬、服薬情報を含む)、等の情報で構成される。
【0022】
医療者情報10は患者からの希少疾患又は臨床試験についての相談を受ける医療者の情報である。この情報は臨床試験実施機関ごとに上述した医療者の氏名、名称、所属医療機関、等の情報で構成される。
【0023】
ユーザ情報11は希少疾患又は臨床試験についての相談を希望する患者についての情報である。この情報は患者ごとに患者についてのユーザアカウント(患者プロフィール、臨床試験への参加のためのアンケートへの回答情報を含む)、応募済みの臨床試験に関する情報、参加済みの臨床試験に関する情報、臨床試験についてのステータス情報、来院予約情報、医療者との間の未読メッセージの有無、等の情報で構成される。
【0024】
メッセージ送受信履歴情報12は、被験候補者又は被験者と医療者との間で行われる希少疾患及び臨床試験についての相談に関するメッセージの履歴情報である。
【0025】
臨床試験管理部8は
図3(b)に示すように、臨床試験実施機関情報受付部13、医療者情報受付部14、ユーザ情報受付部15、ダッシュボード作成部16、臨床試験一覧情報作成部17、臨床試験応募受付部18、臨床試験参加受付部19、アンケート回答情報受付部20、被験候補者-医療者間通信部21、被験者選別部22、被験者-医療者間通信部23及び来院予約一覧情報作成部24を備えている。
【0026】
臨床試験実施機関情報受付部13は、臨床試験管理支援システム1にアクセスしてきた医療機関端末3aによって入力された上述した臨床試験実施機関情報9を受け付け、記憶部7へ記憶する。
【0027】
医療者情報受付部14は、臨床試験管理支援システム1にアクセスしてきた医療機関端末3aによって入力された上述した医療者情報10を受け付け、記憶部7へ記憶する。
【0028】
ユーザ情報受付部15は、臨床試験管理支援システム1にアクセスしてきたユーザ端末2又は医療機関端末3aによって入力された上述したユーザ情報11を受け付け、記憶部7へ記憶する。
【0029】
ダッシュボード作成部16は、記憶部7に記憶されている臨床試験実施機関情報9、医療者情報10、ユーザ情報11及びメッセージ送受信履歴情報12に患者がユーザ端末2を使用してアクセス可能なダッシュボードを作成する。本実施形態では、臨床試験管理支援システム1にアクセスし、ホーム画面で所定のログイン操作が行われたユーザ端末2に対して、
図4に示すようなUIを表示させる。これによりユーザが各種情報にアクセスすることができる。
【0030】
臨床試験一覧情報作成部17は、臨床試験実施機関情報受付部13が受け付けた臨床試験実施機関情報9及び医療者情報受付部14が受け付けた医療者情報10に基づいて、臨床試験情報及びその一覧情報を作成する。
【0031】
臨床試験応募受付部18は、作成された臨床試験一覧情報をユーザ端末2の表示画面に表示させるとともに、臨床試験一覧情報の中から所定の臨床試験実施機関が実施する臨床試験への応募を受け付ける画面表示制御を実行し、当該応募に係るユーザ情報11を被験候補者情報として医療機関端末3aに送出する。
【0032】
本実施形態では、
図4に示すユーザ端末2の表示画面に表示されているダッシュボードにおいて、患者が「臨床試験相談窓口」を選択すると、臨床試験応募受付部18は、
図5に示すような臨床試験一覧情報をユーザ端末2に表示させる。
【0033】
また、
図5に示す臨床試験一覧情報の中から患者が任意の臨床試験を選択すると、臨床試験応募受付部18は
図6に示すような臨床試験実施機関情報9及び医療者情報10を含む臨床試験情報及び当該臨床試験への応募を受け付ける応募ボタン「この窓口に応募する」をユーザ端末2に表示させる。
【0034】
また、
図6(a)に示すユーザ端末2の表示画面に表示されている応募ボタン「この窓口に応募する」を患者が選択すると、臨床試験応募受付部18は、
図7(a)、(b)に示すような臨床試験応募受付画面へと画面表示を遷移させる。
図7(c)に示す臨床試験への応募の受付が完了後、臨床試験応募受付部18は当該応募に係るユーザ情報11を被験候補者情報として医療機関端末3aに送出する。
【0035】
臨床試験参加受付部19は、応募の受付が完了した臨床試験に係る臨床試験実施機関情報9及び医療者情報10を含む臨床試験情報をユーザ情報11に関連付けてユーザ端末2の表示画面に表示させるとともに、当該臨床試験への参加の申し込みを受け付ける画面表示制御を実行する。
【0036】
本実施形態では、
図4に示すユーザ端末2の表示画面に表示されているダッシュボードにおいて、患者が「あなたの相談窓口」を選択すると、臨床試験参加受付部19は
図8に示すような応募済みの臨床試験一覧情報をユーザ端末2に表示させる。応募済みの臨床試験一覧情報の各臨床試験情報は、応募の受付が完了した臨床試験に係る臨床試験実施機関情報9及び医療者情報10がユーザ情報11に関連付けられた構成となっており、ユーザ端末2の表示画面において臨床試験の名称(窓口)、種別、(相談のみ受け付けるもの又は相談の受付及び臨床試験への参加が可能なもの)、概要、当該臨床試験についてのステータス情報、来院予約情報、医療者との間の未読メッセージの有無の把握が可能となっている。
【0037】
また、
図8に示す応募済みの臨床試験一覧情報の中から患者が任意の臨床試験を選択すると、臨床試験参加受付部19は
図9に示すような臨床試験実施機関情報9及び医療者情報10を含む臨床試験情報並びに当該臨床試験への参加の申し込みを受け付ける参加申し込みボタン「臨床試験への参加を希望する」をユーザ端末2に表示させる。
【0038】
なお、本実施形態では
図8に示す応募済みの臨床試験一覧情報の中から患者が任意の臨床試験を選択すると、臨床試験参加受付部19は
図10(a)に示すような臨床試験実施機関情報9及び医療者情報10を含む臨床試験情報並びに投薬及び服薬情報「おくすりに関する注意事項」をユーザ端末2に表示させる。投薬及び服薬情報「おくすりに関する注意事項」を患者が選択すると、臨床試験参加受付部19は
図10(b)に示すような臨床試験における投薬及び服薬情報へとユーザ端末2の画面表示を遷移させる。
【0039】
アンケート回答情報受付部20は、参加の申し込みの受付が完了した臨床試験についてのアンケート情報をユーザ端末2の表示画面に表示させるとともに、当該アンケート情報に対する回答情報を受け付ける画面表示制御を実行し、当該回答情報を被験候補者情報に関連付けて医療機関端末3aに送出する。
【0040】
本実施形態では、
図9(a)に示すユーザ端末2の表示画面に表示されている参加申し込みボタン「臨床試験への参加を希望する」を患者が選択すると、アンケート回答情報受付部20は、
図11(a)に示すような臨床試験への参加のためのアンケート情報への回答情報を入力する画面へと画面表示を遷移させる。
図11(b)に示すアンケート情報への回答情報の入力が完了後、アンケート回答情報受付部20は当該回答情報を被験候補者情報(ユーザ情報11)に関連付けて医療機関端末3aに送出する。
【0041】
被験候補者-医療者間通信部21は、臨床試験への応募の受付完了後、ユーザ端末2及び医療機関端末3aとの間で、希少疾患又は臨床試験についての相談に関するメッセージを送受信する画面表示制御を実行する。
【0042】
本実施形態では、
図8に示す応募済みの臨床試験一覧情報の中から患者が任意の臨床試験を選択すると、臨床試験参加受付部19は
図9(a)に示すように、被験候補者情報を取得した医療機関端末3aとユーザ端末2との間でメッセージの送受信が可能なタブ「相談チャットルーム」をユーザ端末2に表示させる。このタブ「相談チャットルーム」を患者が選択すると、被験候補者-医療者間通信部21は
図12に示すようなリアルタイムの双方向型対話画面へと画面表示を遷移させる。
【0043】
この画面において、被験候補者である患者は医療者に希少疾患又は臨床試験について様々な相談をすることができる。必要に応じて医療機関端末3a側で臨床試験を実施する医療機関への来院予約を入力することができる。この画面で行われた両者の会話の履歴はメッセージ送受信履歴情報12として被験候補者情報に関連付けられて記憶部7に記憶される。
【0044】
被験者選別部22は臨床試験への参加の申し込みの受付完了後、受け付けたアンケート情報に対する回答情報及び/又は記憶部7に記憶されているメッセージ送受信履歴情報12に基づいて、ユーザについて前記臨床試験の被験者としての適否を選別する。
【0045】
本実施形態では、アンケート回答情報受付部20が受け付けたアンケート情報に対する回答情報及び被験候補者-医療者間通信部21によって実行される希少疾患又は臨床試験についての相談に関するメッセージ送受信履歴情報12を、予め準備されている所定の選別基準に当てはめて臨床試験への参加の申し込みを行った患者について当該臨床試験の被験者としての適否を選別する。
【0046】
被験者選別部22は前記臨床試験への参加の申し込みを行った患者について当該臨床試験の被験者として適正であると選別した場合、当該患者に係るユーザ情報11を被験者情報として医療者端末3aに送出する。
【0047】
被験者-医療者間通信部23は、臨床試験の被験者として適正であると選別された前記患者が使用するユーザ端末2及び医療者端末3aとの間で、希少疾患又は臨床試験についての相談に関するメッセージを送受信する画面表示制御を実行する。
【0048】
本実施形態では、
図8に示す応募済みの臨床試験一覧情報の中から患者が任意の臨床試験を選択すると、臨床試験参加受付部19は
図9(a)に示すように、被験者情報を取得した医療機関端末3aとユーザ端末2との間でメッセージの送受信が可能なタブ「臨床試験チャットルーム」をユーザ端末2に表示させる。このタブ「臨床試験チャットルーム」を患者が選択すると、被験者-医療者間通信部23は
図13に示すようなリアルタイムの双方向型対話画面へと画面表示を遷移させる。
【0049】
この画面において、被験者である患者は医療者に希少疾患又は臨床試験について様々な相談をすることができる。必要に応じて医療機関端末3a側で臨床試験を実施する医療機関への来院予約を入力することができる。この画面で行われた両者の会話の履歴はメッセージ送受信履歴情報12として被験者情報に関連付けられて記憶部7に記憶される。
【0050】
来院予約一覧情報作成部24は、ユーザ情報11に含まれている臨床試験についての来院予約情報に基づいて、来院予約の一覧情報を作成する。本実施形態では、
図4に示すユーザ端末2の表示画面に表示されているダッシュボードにおいて、患者が「来院予約」を選択すると、来院予約一覧情報作成部24は、
図14に示すような臨床試験についての来院予約一覧情報をユーザ端末2に表示させる。
【0051】
あるいは、
図10(a)に示す臨床試験参加受付部19が表示させる臨床試験実施機関情報9及び医療者情報10を含む臨床試験情報並びに来院予約の確認を選択可能な「次回来院予定日」又は「予約一覧」において、患者が「次回来院予定日」又は「予約一覧」を選択すると、来院予約一覧情報作成部24は、
図14に示すような臨床試験についての来院予約一覧情報をユーザ端末2に表示させる。
【0052】
このように、本実施形態の臨床試験管理支援システム1によれば、臨床試験を受ける前の相談段階における患者(被験候補者)と医療者との間のリアルタイムの患者のステータスと、これに連続する臨床試験の実施段階における患者(被験者)と医療者との間でリアルタイムの患者のステータスを単一のシステムで総合的に管理することができる。そのため、希少疾患について相談だけで終了してしまい、その後の進捗を医療者が共有することができなかったという事例を減少させ、患者の疾患情報や臨床試験に関する情報を医療者間で共有する事例を増加させることができる。
【符号の説明】
【0053】
1 臨床試験管理支援システム
2 ユーザ端末
3 医療機関システム
4 通信ネットワーク
5 情報送受信部
6 制御部
7 記憶部
8 臨床試験管理部
9 臨床試験実施機関情報
10 医療者情報
11 ユーザ情報
12 メッセージ送受信履歴情報
13 臨床試験実施機関情報受付部
14 医療者情報受付部
15 ユーザ情報受付部
16 ダッシュボード作成部
17 臨床試験実施機関一覧情報作成部
18 臨床試験応募受付部
19 臨床試験参加受付部
20 アンケート回答情報受付部
21 被験候補者-医療者間通信部
22 被験者選別部
23 被験者-医療者間通信部
24 来院予約一覧情報作成部