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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】寝具乾燥装置
(51)【国際特許分類】
   D06F 58/10 20060101AFI20240925BHJP
   D06F 58/00 20200101ALI20240925BHJP
   D06F 58/36 20200101ALI20240925BHJP
【FI】
D06F58/10 Z
D06F58/00 Z
D06F58/36
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020212846
(22)【出願日】2020-12-22
(65)【公開番号】P2022099087
(43)【公開日】2022-07-04
【審査請求日】2023-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】512128645
【氏名又は名称】青島海爾洗衣机有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER WASHING MACHINE CO.,LTD.
(73)【特許権者】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野呂 勝
【審査官】田村 惠里加
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-144450(JP,A)
【文献】特開2010-220932(JP,A)
【文献】特開2014-140526(JP,A)
【文献】中国実用新案第209428801(CN,U)
【文献】特開2010-259916(JP,A)
【文献】特開2009-077851(JP,A)
【文献】米国特許第10465333(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 58/00,58/10,58/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥室と、前記乾燥室に送風する送風部と、前記送風部が発生する風を加熱して温風にする加熱部と、前記乾燥室にオゾンを供給する第1供給部と、を有する装置本体と、
前記送風部が発生する風の通り道となる中空部分が設けられて寝具が山折り状態で載せられるセット部と、前記セット部に載せられる寝具と前記セット部との間に配置されるガイドパイプとを有し、前記乾燥室に対して引き出し可能に収納される台車と、
前記ガイドパイプの内部に連通した流出口からオゾンを流出させることにより、前記セット部に載せられる寝具と前記セット部との間にオゾンを供給する第2供給部と、
前記送風部、前記加熱部、前記第1供給部及び前記第2供給部を制御する制御部と、を含み、
前記制御部は、前記送風部及び前記加熱部を作動させて温風を前記乾燥室内の寝具に浴びせる乾燥処理と、前記乾燥処理後に少なくとも前記第1供給部及び前記第2供給部を作動させてオゾンを前記乾燥室内の寝具に浴びせるオゾン処理とを有する乾燥運転を実行する、寝具乾燥装置。
【請求項2】
前記第1供給部は、オゾンを発生させる第1オゾン発生部を有し、
前記第2供給部は、オゾンを発生させる第2オゾン発生部を有し、
前記制御部は、前記オゾン処理において、前記送風部、前記第1オゾン発生部及び前記第2オゾン発生部を作動させる、請求項に記載の寝具乾燥装置。
【請求項3】
乾燥室と、前記乾燥室に送風する送風部と、前記送風部が発生する風を加熱して温風にする加熱部と、前記乾燥室にオゾンを供給する第1供給部と、を有する装置本体と、
前記送風部が発生する風の通り道となる中空部分が設けられて寝具が山折り状態で載せられるセット部を有し、前記乾燥室に対して引き出し可能に収納される台車と、
前記セット部に載せられる寝具と前記セット部との間にオゾンを供給する第2供給部と、
前記送風部、前記加熱部、前記第1供給部及び前記第2供給部を制御する制御部と、を含み、
前記制御部は、前記送風部及び前記加熱部を作動させて温風を前記乾燥室内の寝具に浴びせる乾燥処理と、前記乾燥処理後に少なくとも前記第1供給部及び前記第2供給部を作動させてオゾンを前記乾燥室内の寝具に浴びせるオゾン処理とを有する乾燥運転を実行し、
前記第1供給部及び前記第2供給部は、オゾンを発生させるオゾン発生部と、前記オゾン発生部が発生させるオゾンを流す流路とを共有し、
前記第1供給部は、前記流路から分岐して前記乾燥室につながった第1分岐路を有し、
前記第2供給部は、前記流路から分岐して前記セット部と前記セット部上の寝具との間につながる第2分岐路を有し、
前記流路における分岐位置には、前記制御部の制御によって前記流路におけるオゾンの流れを前記第1分岐路及び前記第2分岐路のいずれかに切り替える切替部が設けられ、
前記制御部は、前記オゾン処理の一環として、前記送風部及び前記オゾン発生部を作動させて前記第1分岐路から前記乾燥室内に供給する第1オゾン処理と、前記オゾン発生部を作動させて前記第2分岐路から前記セット部上の寝具と前記セット部との間にオゾンを供給する第2オゾン処理とを実行する寝具乾燥装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記乾燥処理と前記オゾン処理との間において、少なくとも前記加熱部を停止させた状態で前記送風部を作動させて前記乾燥室を冷却する冷却処理を実行する、請求項1~3のいずれか一項に記載の寝具乾燥装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記オゾン処理後に、少なくとも前記第1供給部及び前記第2供給部を停止させた状態で前記送風部を作動させて前記乾燥室を排気する排気処理を実行する、請求項1~4のいずれか一項に記載の寝具乾燥装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、布団などの寝具を乾燥させる寝具乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載の寝具類乾燥機は、内部に乾燥室が形成された筐体と、乾燥室に対して引き出し可能に収納されて寝具が載置される載置部材とを含む。筐体の上部には、ヒータとファンとが設けられる。載置部材は、複数の透孔を有する逆U字状である。寝具類乾燥機の乾燥運転がスタートすると、ヒータ及びファンが作動する。これにより、外気が、ヒータの後方の外気吸入口から取り入れられた後に、加熱されて温風となり、乾燥室に流入する。温風は、乾燥室内で載置部材に載置された寝具と載置部材の透孔とを順に通過して載置部材の内部空間に流入した後に、乾燥室の側壁下部の吸引口から排気ダクトに至り、機外に排出される。温風が寝具を通過することによって、寝具の乾燥が促進される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-157795号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の寝具類乾燥機において、乾燥後の寝具にオゾンを浴びせて寝具をオゾンによって除菌及び消臭する構成が考えられる。この構成において、寝具の除菌及び消臭の効果、つまり寝具の浄化効果の向上が望まれる。
【0005】
この発明は、かかる背景のもとにおいてなされたものであり、オゾンによる寝具の浄化効果の向上を図れる寝具乾燥装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、乾燥室と、前記乾燥室に送風する送風部と、前記送風部が発生する風を加熱して温風にする加熱部と、前記乾燥室にオゾンを供給する第1供給部と、を有する装置本体と、前記送風部が発生する風の通り道となる中空部分が設けられて寝具が山折り状態で載せられるセット部を有し、前記乾燥室に対して引き出し可能に収納される台車と、前記セット部に載せられる寝具と前記セット部との間にオゾンを供給する第2供給部と、前記送風部、前記加熱部、前記第1供給部及び前記第2供給部を制御する制御部と、を含む寝具乾燥装置であって、前記制御部が、前記送風部及び前記加熱部を作動させて温風を前記乾燥室内の寝具に浴びせる乾燥処理と、前記乾燥処理後に少なくとも前記第1供給部及び前記第2供給部を作動させてオゾンを前記乾燥室内の寝具に浴びせるオゾン処理とを有する乾燥運転を実行する、寝具乾燥装置である。
【0007】
また、本発明は、前記制御部が、前記乾燥処理と前記オゾン処理との間において、少なくとも前記加熱部を停止させた状態で前記送風部を作動させて前記乾燥室を冷却する冷却処理を実行することを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、前記制御部が、前記オゾン処理後に、少なくとも前記第1供給部及び前記第2供給部を停止させた状態で前記送風部を作動させて前記乾燥室を排気する排気処理を実行することを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、前記第1供給部が、オゾンを発生させる第1オゾン発生部を有し、前記第2供給部が、オゾンを発生させる第2オゾン発生部を有し、前記制御部が、前記オゾン処理において、前記送風部、前記第1オゾン発生部及び前記第2オゾン発生部を作動させることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、前記第1供給部及び前記第2供給部が、オゾンを発生させるオゾン発生部と、前記オゾン発生部が発生させるオゾンを流す流路とを共有し、前記第1供給部が、前記流路から分岐して前記乾燥室につながった第1分岐路を有し、前記第2供給部が、前記流路から分岐して前記セット部と前記セット部上の寝具との間につながる第2分岐路を有し、前記流路における分岐位置には、前記制御部の制御によって前記流路におけるオゾンの流れを前記第1分岐路及び前記第2分岐路のいずれかに切り替える切替部が設けられ、前記制御部が、前記オゾン処理の一環として、前記送風部及び前記オゾン発生部を作動させて前記第1分岐路から前記乾燥室内に供給する第1オゾン処理と、少なくとも前記オゾン発生部を作動させて前記第2分岐路から前記セット部上の寝具と前記セット部との間にオゾンを供給する第2オゾン処理とを実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、寝具乾燥装置では、山折り状態の寝具がセット部に載せられた台車が装置本体の乾燥室に収納された状態で乾燥運転が始まると、まず、乾燥処理として送風部及び加熱部が作動する。これにより、温風が、乾燥室とセット部の中空部分とを流れ、その際に寝具を通過するので、寝具を乾燥させることができる。乾燥運転後のオゾン処理では、第1供給部及び第2供給部が作動する。これにより、第1供給部から乾燥室に供給されたオゾンが、セット部に載せられた山折り状態の寝具においてセット部側とは反対側の外側部分に浴びせられる。さらに、第2供給部から寝具とセット部との間に供給されたオゾンが、セット部に載せられた山折り状態の寝具においてセット部側の内側部分に浴びせられる。このように、オゾン処理では、山折り状態の寝具における外側部分及び内側部分の両方にオゾンを浴びせることができるので、寝具の全域をオゾンによって効果的に浄化できる。そのため、寝具乾燥装置では、オゾンによる寝具の浄化効果の向上を図れる。
【0012】
また、本発明によれば、乾燥処理とオゾン処理との間に実行される冷却処理では、加熱部が停止した状態で送風部が作動して乾燥室に冷風が供給されることによって、乾燥室が冷却される。これにより、冷却処理後のオゾン処理では、オゾンが、乾燥処理で発生した熱によって消滅することを防止できるので、寝具を多くのオゾンによって効果的に浄化できる。そのため、寝具乾燥装置では、オゾンによる寝具の浄化効果の一層の向上を図れる。
【0013】
また、本発明によれば、オゾン処理の後に実行される排気処理では、第1供給部及び第2供給部が停止した状態で送風部が作動して乾燥室が排気されることにより、乾燥室内のオゾンの濃度を低下させることができる。そのため、排気処理後において、使用者は、乾燥室内のオゾンを気にすることなく、台車を乾燥室から引き出すことができる。
【0014】
また、本発明によれば、第1供給部及び第2供給部が個別にオゾン発生部を有して、オゾン処理では、これらのオゾン発生部が作動してもよい。
【0015】
また、本発明によれば、第1供給部及び第2供給部が、オゾン発生部と、このオゾン発生部が発生したオゾンが流れる流路とを共有する一方で、第1供給部が、流路から分岐した第1分岐路を有して、第2供給部が、流路から分岐した第2分岐路を有してもよい。流路における分岐位置に設けられた切替部により、流路を流れるオゾンを第1分岐路に流して乾燥室に供給したり、第2分岐路に流してセット部とセット部上の寝具との間に供給したりすることができる。この場合のオゾン処理では、オゾン発生部が発生したオゾンを第1分岐路から乾燥室内に供給してセット部上の寝具の外側部分に浴びせる第1オゾン処理と、オゾン発生部が発生したオゾンを第2分岐路から寝具とセット部との間に供給して寝具の内側部分に浴びせる第2オゾン処理とが実行される。そのため、1つのオゾン発生部によって、山折り状態の寝具における外側部分及び内側部分の両方にオゾンを浴びせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】この発明の一実施形態に係る寝具乾燥装置の模式的な縦断面右側面図である。
図2】寝具乾燥装置の模式的な縦断面背面図である。
図3】寝具乾燥装置に含まれる台車の斜視図である。
図4】ベース部の一部が取り外された状態にある台車の斜視図である。
図5】寝具がセットされた状態にある台車の斜視図である。
図6】台車が引き出された状態にある寝具乾燥装置の斜視図である。
図7】台車の収納が完了した状態にある寝具乾燥装置の斜視図である。
図8】寝具乾燥装置の電気的構成を示すブロック図である。
図9】変形例に係る寝具乾燥装置の模式的な縦断面右側面図である。
図10】変形例に係る寝具乾燥装置の模式的な縦断面背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下には、図面を参照して、この発明の実施形態について具体的に説明する。図1は、この発明の一実施形態に係る寝具乾燥装置1の模式的な縦断面右側面図である。図1において紙面に直交する方向を寝具乾燥装置1の左右方向Xといい、図1における左右方向を寝具乾燥装置1の前後方向Yといい、図1における上下方向を寝具乾燥装置1の上下方向Zという。左右方向Xのうち、図1の紙面の奥側を左側X1といい、図1の紙面の手前側を右側X2という。前後方向Yのうち、左側を前側Y1といい、右側を後側Y2という。上下方向Zのうち、上側を上側Z1といい、下側を下側Z2という。左右方向X及び前後方向Yは、横方向の一例である。横方向は、水平方向又は水平方向に対して若干傾斜する略水平方向である。上下方向Zは、縦方向である。縦方向は、垂直方向又は垂直方向に対して若干傾斜する略垂直方向である。
【0018】
本実施形態の寝具乾燥装置1は、業務用であり、コインランドリなどに設置される。寝具乾燥装置1は、その筐体をなす装置本体2と、装置本体2内に配置されて布団やマットレスなどの寝具Pが載せられる台車3とを含む。装置本体2は、左右方向Xに扁平で縦長のボックス状である。装置本体2は、左右一対の側壁4と、底壁5と、天壁6と、後壁7と、前壁8と、扉9とを有する。左右一対の側壁4は、それぞれが縦に延びる板であって、平行に配置される。底壁5は、水平に延びる板であって、一対の側壁4の下端間に架設される。天壁6は、水平に延びる中空体であって、一対の側壁4の上端間に架設される。後壁7は、縦に延びる中空体であって、一対の側壁4の後端間に架設され、底壁5及び天壁6の後端間にも架設される。前壁8は、左右方向Xに長手で縦に延びる中空体であって、一対の側壁4の上端部の前端間に架設され、天壁6の前端に接続される。
【0019】
装置本体2の正面部である前面部には、一対の側壁4の前端と底壁5の前端と前壁8によって縁取られた縦長の出入口2Aが形成される。扉9は、出入口2Aとほぼ同じ大きさを有する縦長の板であり、ヒンジ10(図7参照)を介して、一方の側壁4、例えば右側X2の側壁4に連結される。扉9は、出入口2Aを閉じた閉位置(図1参照)と、出入口2Aを開いた開位置(図6参照)との間で、ヒンジ10を中心として回動可能である。閉位置にある扉9の前面部には、扉9の開閉のために使用者によって把持される取っ手11が設けられる。装置本体2の内部には、一対の側壁4と、底壁5と、天壁6と、後壁7と、前壁8と、閉位置の扉9とによって囲まれた乾燥室2Bが設けられる。乾燥室2Bは、装置本体2の体積の大部分を占めるボックス状の空間である。扉9が開位置にある状態では、乾燥室2Bが出入口2Aから前側Y1へ露出される。乾燥室2Bが機外から視認できるように、扉9の少なくとも一部がガラスなどによって透明又は半透明に構成されてもよい。
【0020】
天壁6の後面部には、機外つまり装置本体2の外に臨む吸気口6Aが設けられ、天壁6の下面部には、乾燥室2Bに臨む入口6Bが設けられる。また、後壁7の前面部の下部には、乾燥室2Bに臨む出口7Aが設けられ、天壁6の上面部には、機外に臨む排気口6Cが設けられる。そして、装置本体2には、天壁6内において吸気口6Aから前側Y1へ延びた後に下側Z2へ折れ曲がって入口6Bにつながった吸気路12と、後壁7内において出口7Aから上側Z1へ延びた後に天壁6内において前側Y1や上側Z1へ延びて排気口6Cにつながった排気路13とが設けられる。なお、図1では、排気路13の途中が吸気路12によって遮断されたように見えるが、実際には、排気路13は、途中で遮断されることなく、出口7Aから排気口6Cまで延びる。
【0021】
装置本体2は、排気路13に配置されたファンなどの電動の送風部14と、吸気路12に配置されたバーナなどの電動の加熱部15とを有する。送風部14が作動すると、乾燥室2B、吸気路12及び排気路13が負圧状態になる。これにより、外気が、黒抜きの矢印で示すように、吸気口6Aから吸気路12に取り込まれて風となり、入口6Bから乾燥室2Bに流入し、その後、出口7Aから排気路13に流出して排気口6Cから機外に排出される。つまり、送風部14は、乾燥室2Bに送風する。送風部14が作動した状態で加熱部15が作動すると、吸気口6Aから吸気路12に取り込まれた外気が加熱部15によって加熱されて温風になり、乾燥室2Bに供給された後に、排気路13を流れて排気口6Cから機外に排出される。このように、加熱部15は、送風部14が発生する風を加熱して温風にする。
【0022】
例えば、天壁6内には、排気路13に臨む循環入口6Dと、吸気路12に臨む循環出口6Eと、循環入口6Dと循環出口6Eとをつなぐ循環路6Fとが設けられる。循環入口6Dは、排気路13において送風部14よりも排気口6Cに近い下流側に位置する。循環出口6Eは、吸気路12において加熱部15よりも吸気口6Aから遠い下流側に位置する。循環出口6Eは、吸気路12を介して乾燥室2Bに連通するが、乾燥室2Bに直接連通するように、乾燥室2Bに臨んで配置されてもよい。
【0023】
天壁6には、循環入口6Dを開閉する蓋状の開閉部16が、回動軸17を介して取り付けられる。開閉部16は、循環入口6Dを開いた開位置(破線で示した開閉部16を参照)と、循環入口6Dを閉じた閉位置(実線で示した開閉部16を参照)との間で、回動軸17を中心として回動可能である。
【0024】
開位置にある開閉部16は、排気路13において循環入口6Dよりも排気口6Cに近い下流側に位置して、排気路13を遮断する。この状態で送風部14が作動すると、吸気路12を通って乾燥室2Bに流入した風は、黒塗りの破線矢印で示すように、排気路13において循環入口6Dから循環路6Fに流入した後に循環出口6Eから吸気路12及び乾燥室2Bに戻ることによって循環する。開閉部16が閉位置に配置されて循環入口6Dを閉じると、排気路13における風の流れを妨げない。この状態で送風部14が作動すると、吸気路12を通って乾燥室2Bに流入した風は、循環入口6Dから循環路6F経由で乾燥室2Bに戻ることなく、ワンパスで排気路13を流れ切って排気口6Cから機外に排出される。なお、ワンパスで流れる風が循環出口6Eから循環路6Fに流入しないように、開閉部16と連動して循環出口6Eを開閉する別の開閉部や、逆止弁を設けてもよい。
【0025】
装置本体2は、乾燥室2Bにオゾンを供給する第1供給部18と、台車3上の寝具Pにオゾンを供給する第2供給部19とを有する。第1供給部18は、例えば天壁6の下面部に設けられて乾燥室2Bに露出される第1オゾン発生部18Aを有する。第1オゾン発生部18Aとして、オゾンを発生させる公知の電動のオゾン発生器を採用できる。
【0026】
寝具乾燥装置1の模式的な縦断面背面図である図2も参照して、第2供給部19に関連して、後壁7の後面部の上部には、機外に臨む吸気口7Bが左右一対設けられ、後壁7の前面部の下部には、乾燥室2Bに臨む供給口7Cが左右一対設けられる。第2供給部19は、後壁7内においていずれかの吸気口7Bから下側Z2へ延びて供給口7Cにつながった左右一対の供給路19Aと、各供給路19Aにおいて吸気口7Bよりも上側Z1に配置されたファンなどの電動の送風部19Bと、各供給路19Aにおいて吸気口7Bよりも下側Z2に配置された第2オゾン発生部19Cとを有する。第2オゾン発生部19Cとして、オゾンを発生させる公知の電動のオゾン発生器を採用できる。
【0027】
台車3は、乾燥室2Bに収納される。台車3は、ベース部21と、ベース部21上に設けられて寝具Pが載せられるセット部22とを有する。ベース部21は、上下方向Zに扁平なボックス状であり、前後方向Yにおいて乾燥室2Bとほぼ同じ寸法を有する。ベース部21は、左右一対の側壁23と、一対の側壁23の前端間に架設された前壁24と、一対の側壁23の後端間に架設された後壁25とを有する。ベース部21は、一対の側壁23の下端間に架設されて前壁24及び後壁25の下端間にも架設された下壁26と、一対の側壁23の上端間に架設されて前壁24及び後壁25の上端間にも架設された上壁27とを有する。
【0028】
側壁23、前壁24及び後壁25のそれぞれは、縦に延びる矩形の板であり、下壁26及び上壁27のそれぞれは、水平に延びる矩形の板である。ベース部21は、一対の側壁23と、前壁24と、後壁25と、下壁26と、上壁27とによって囲まれた内部空間21Aを有する。後壁25には、内部空間21Aにつながった取出口25Aが設けられる。下壁39の下面部の四隅には、車輪28が設けられる。上壁27には、内部空間21Aにつながった取込口27A(図1参照)が設けられる。
【0029】
セット部22は、ベース部21の上壁27から上側Z1へ突出した山型の全体形状を有する。セット部22は、前後方向Yにおいて、ベース部21より若干小さいものの、乾燥室2Bとほぼ同じ寸法を有する。セット部22は、寝具Pが実際に載せられる本体部29と、前後方向Yにおける本体部29の両側に配置された前後一対の端壁部30とを有する。本体部29は、正面視において上下が逆になった逆U字状又は逆V字状の断面を有する。前側Y1の端壁部30の前面部の上部には、取っ手33が設けられる(図3参照)。
【0030】
セット部22は、本体部29の外面部に設けられた多数の通気穴22A(図1参照)を有する。通気穴22Aは、本体部29の全域に分布する。各端壁部30は、上側Z1へ突出した山型をなす板であり、前後一対の端壁部30は、本体部29の前端縁及び後端縁をそれぞれ縁取るように本体部29に固定される。セット部22は、ベース部21の上壁27と、本体部29と、前後一対の端壁部30とによって囲まれた山型の内部空間22Bを有する。各通気穴22Aと、上壁27の取込口27Aとは、内部空間22Bに連通した状態にある。
【0031】
通気穴22Aが設けられた本体部29の外面部は、セット部22の表面部22Cである。表面部22Cは、上側Z1へ膨出する半円弧状の頂上領域22CAと、頂上領域22CAの左下端から上壁27まで左下側へ延びる左領域22CBと、頂上領域22CAの右下端から上壁27まで右下側へ延びる右領域22CCとを有する。左領域22CB及び右領域22CCのそれぞれは、本実施形態では平坦な傾斜面であるが、少なくとも一部が湾曲面であってもよい。通気穴22Aは、左領域22CB及び右領域22CCのそれぞれの全域に分布する。
【0032】
図3に示すように、台車3には、押付部材41と、ガイドパイプ42とが設けられる。押付部材41は、台車3のベース部21の上壁27におけるセット部22の左右両側に1つずつ設けられる。各押付部材41は、例えばM字状に折り曲げられたパイプによって構成され、具体的には、前後一対の縦部41Aと、これらの縦部41Aの上端間に架設された架設部41Bとを有する。各縦部41Aの下端部は、ベース部21の内部空間21Aに配置され、ベース部21によって支持される。前後方向Yにおける架設部41Bの途中部は、下側Z2へ窪むようにU字状に湾曲する。
【0033】
各押付部材41は、各縦部41Aの下端部を中心として左右方向Xに回動可能である。ベース部21の上壁27には、各押付部材41における前後の縦部41Aが1つずつ挿通される挿通穴27Bが合計で4つ形成される。各挿通穴27Bは、左右方向Xに長手であるので、押付部材41の回動に応じた縦部41Aの左右方向Xの移動を許容する。各押付部材41は、ベース部21内に設けられたばねなどの付勢部材(図示せず)によってセット部22に接近するように常に付勢されてもよい。
【0034】
図4に示すように、ガイドパイプ42は、セット部22の左右両側に1つずつ設けられる。各ガイドパイプ42は、パイプによって構成される。具体的には、各ガイドパイプ42は、前後方向Yへ水平に延びる第1パイプ42Aと、第1パイプ42Aから分岐してセット部22へ向けて左右方向Xへ水平に延びた後に上側Z1へ湾曲した複数の第2パイプ42Bと、各第2パイプ42Bの上端部から上側Z1へ直線状に延びる第3パイプ42Cとを有する。
【0035】
第1パイプ42Aは、ベース部21の内部空間21Aに配置される。第1パイプ42Aの前端部は、前ブラケット43を介して下壁26の前端部に固定される。前ブラケット43は、平面視においてセット部22側へ向いたU字状であって、第1パイプ42Aの前端部は、前ブラケット43によって支持される。第1パイプ42Aの後端部は、後ブラケット44を介して下壁26の後端部に固定される。後ブラケット44は、平面視においてセット部22側へ向いたU字状であって、第1パイプ42Aの後端部は、後ブラケット44によって支持される。
【0036】
第2パイプ42Bは、本実施形態では5つ設けられ、第1パイプ42Aにおける前ブラケット43と後ブラケット44との間の領域において前後方向Yに等間隔で並んで配置される。各第2パイプ42Bの大部分は、ベース部21の内部空間21Aに配置されるが、各第2パイプ42Bの上端部は、ベース部21の上壁27を貫通して上壁27上に配置される(図3参照)。なお、上壁27における各第2パイプ42Bの上端部の周囲は、シールされるとよい。
【0037】
第3パイプ42Cは、第2パイプ42Bと同数設けられ、第3パイプ42Cの上端部に1つずつ連結される。本実施形態では、5つの第3パイプ42Cが、前後方向Yに等間隔で並んで櫛歯状に配置される。セット部22の左側X1に配置されたガイドパイプ42(図4では図示せず)では、各第3パイプ42Cが、セット部22の表面部22Cの左領域22CBにおいて通気穴22Aを避けた部分に沿って右上側へ傾斜して配置される。セット部22の右側X2に配置されたガイドパイプ42では、各第3パイプ42Cが、セット部22の表面部22Cの右領域22CCにおいて通気穴22Aを避けた部分に沿って左上側へ傾斜して配置される。
【0038】
右領域22CCにおいて、前端の第3パイプ42Cは、右領域22CCの前端部に配置され、後端の第3パイプ42Cは、右領域22CCの後端部に配置され、各第3パイプ42Cの上端は、上下方向Zにおける右領域22CCの中央部に配置され、各第3パイプ42Cの下端は、右領域22CCの下端部に配置される。前端の第3パイプ42Cは、右領域22CCの前端から少し後側Y2へ離れて配置されてもよく、後端の第3パイプ42Cは、右領域22CCの後端から少し前側Y1へ離れて配置されてもよい。第3パイプ42Cは、右領域22CCに固定されてもよいし、右領域22CCから浮いた状態、つまり離れた状態で配置されてもよい。
【0039】
左領域22CBにおける第3パイプ42Cのレイアウトも同様である。つまり、左領域22CBの第3パイプ42Cと、右領域22CCの第3パイプ42Cとは、左右対称に配置される。このように、複数の第3パイプ42Cは、左領域22CB及び右領域22CCのそれぞれの下半分において均等に分散して配置される。
【0040】
各第3パイプ42Cには、第3パイプ42Cの内部に連通した複数の流出口42Dが設けられる。これらの流出口42Dは、第3パイプ42Cの外周面において上下方向Zの全域に分布して配置される。各流出口42Dは、水平の延びるスリットであってもよい。
【0041】
図5に示すように、各ガイドパイプ42の第1パイプ42Aの後端部の後端面には、第1パイプ42Aの内部に連通した流入口42Eが設けられる。流入口42Eは、ベース部21の後壁25の後面部から露出される。左右のガイドパイプ42の流入口42Eは、後壁25の取出口25Aに対して左右方向Xの両側に配置される。
【0042】
このような台車3は、図6に示すように、扉9が開位置にある状態において、装置本体2の乾燥室2Bから前側Y1へ引き出し可能である。使用者は、台車3の引き出しや収納の際には、取っ手33を把持する。
【0043】
台車3を装置本体2の乾燥室2Bから引き出した使用者は、左右の押付部材41を掴んで互いに離れるように、つまり開脚するように回動させてから、寝具Pを山折り状態でセット部22に載せる。使用者が左右の押付部材41から手を離すと、これらの押付部材41は、前述した付勢部材の付勢力によって互いに接近するように回動して、図6に示すように、各押付部材41における少なくとも架設部41Bが、この寝具Pをセット部22に左右方向Xの外側からセット部22の表面部22C側へ押し付ける。これにより、反発力が強い寝具Pであっても、山折り状態でセット部22にセットすることができる。なお、台車3は、一対の押付部材41をまとめて回動させるために使用者によって操作されるレバーなどの操作部(図示せず)を有してもよい。
【0044】
セット部22の表面部22Cにおける左領域22CB及び右領域22CCのそれぞれにおいて、山折り状態で表面部22Cに載せられた寝具Pと表面部22Cとの間に各ガイドパイプ42の第3パイプ42Cが配置される(図5参照)。これにより、各第3パイプ42Cの周囲、特に、前後方向Yにおける各第3パイプ42Cの両側における寝具Pと表面部22Cとの間には、隙間が形成される。隙間は、表面部22Cにおける最寄りの通気穴22Aに連通するので、この通気穴22Aは、寝具Pによって完全には塞がれない。
【0045】
そして、使用者が台車3を装置本体2の出入口2Aから乾燥室2Bに押し込んで収納する。収納状態の台車3は、装置本体2の底壁5上に配置される。底壁5の上面部には、台車3における左右の車輪28をそれぞれ受け入れる左右一対のガイドレール31が設けられる(図2参照)。各車輪28がガイドレール31に受け入れられることによって、台車3は、乾燥室2B内で左右方向Xにおいて位置決めされる。
【0046】
図7に示すように、使用者が扉9を閉位置まで閉じると、ベース部21が装置本体2の後壁7と扉9との間で挟まれるので、乾燥室2B内の台車3が前後方向Yにおいて位置決めされる(図1参照)。寝具Pがセット部22に載せられた台車3では、寝具Pが本体部29の通気穴22Aに対向した状態にあり、ベース部21の後壁25の取出口25Aが装置本体2の後壁7の出口7Aにつながった状態にある(図1参照)。また、台車3が乾燥室2Bに収納されると、台車3における左右一対のガイドパイプ42の流入口42Eが、左右一対の供給口7Cに1つずつ接続される(図2参照)。
【0047】
図8は、寝具乾燥装置1の電気的構成を示すブロック図である。寝具乾燥装置1は、マイコンなどによって構成された制御部45と、前述した開閉部16を回動させる電動のアクチュエータ46とをさらに含む。アクチュエータ46は、ソレノイドやモータなどで構成される。制御部45には、送風部14、加熱部15、アクチュエータ46、第1供給部18及び第2供給部19のそれぞれが電気的に接続され、制御部45は、これらの電気部品を制御して、寝具Pの乾燥運転を実行する。乾燥運転は、乾燥室2B内の寝具Pを乾燥させる乾燥処理と、乾燥処理後に乾燥室2Bを冷却する冷却処理と、冷却処理後に寝具Pをオゾンで浄化するオゾン処理と、オゾン処理後に乾燥室2B内のオゾンを消滅させる消オゾン処理と、消オゾン処理後に乾燥室2B内を排気する排気処理とを有する。
【0048】
乾燥処理として、制御部45は、開閉部16を閉位置に配置して第1供給部18及び第2供給部19を停止させた状態で、送風部14及び加熱部15を作動させる。すると、吸気口6Aから吸気路12に取り込まれて加熱部15によって加熱された外気である温風が、入口6Bから乾燥室2Bに流入して、乾燥室2B内で山折りになった寝具Pに浴びせられる(図1参照)。
【0049】
寝具Pに浴びせられた温風は、寝具Pを通過して本体部29の通気穴22Aに到達し、通気穴22Aからセット部22の内部空間22Bに流入する。そして、寝具Pを通過して内部空間22B内に流入した温風は、ベース部21の内部空間21Aに流れ落ち、取出口25A及び出口7Aを通って排気路13に流出して排気口6Cから機外に排出される。このように、セット部22の内部空間22Bは、送風部14が発生する風の通り道となる中空部分である。そして、温風は、セット部22の表面部22Cの通気穴22Aを介して乾燥室2Bとセット部22の内部空間22Bとを流れ、その際に寝具Pを通過する。そして、所定時間にわたって温風が寝具Pに浴びせられることによって寝具Pが乾燥すると、制御部45は、乾燥処理を終了する。
【0050】
次に、制御部45は、冷却処理として、少なくとも加熱部15を停止させた状態で送風部14を作動させる。これにより、吸気口6Aから吸気路12に取り込まれた外気が、冷風として乾燥室2Bに流入して乾燥室2B内の寝具Pを通過した後に、排気路13に流出して排気口6Cから機外に排出される。冷却処理中では、第1供給部18及び第2供給部19は停止された状態にある。所定時間にわたって冷風が乾燥室2B内に供給されることによって乾燥室2B及び寝具Pが冷却されると、冷却処理が終了する。冷却処理後のオゾン処理では、オゾンが、乾燥処理で発生した熱によって消滅することを防止できるので、寝具Pを多くのオゾンによって効果的に浄化できる。そのため、寝具乾燥装置1では、オゾンによる寝具Pの浄化効果の向上を図れる。
【0051】
次に、制御部45は、オゾン処理として、開閉部16を開位置(図1における破線の開閉部16を参照)に配置して加熱部15及び第2供給部19を停止させた状態で、送風部14及び第1供給部18の第1オゾン発生部18Aを作動させる。これにより、吸気口6Aから吸気路12に取り込まれた外気が、冷風のまま乾燥室2Bに流入して乾燥室2B内の寝具Pを通過した後に、排気路13の循環入口6Dから乾燥室2Bに戻ることによって循環する。そして、第1オゾン発生部18Aが発生したオゾンが、循環する冷風に乗って乾燥室2B内の寝具Pに浴びせられる。具体的には、第1供給部18から乾燥室2Bに供給されたオゾンが、オゾン風となり、セット部22に載せられた山折り状態の寝具Pにおいてセット部22側とは反対側の外側部分P1に浴びせられる(図2参照)。
【0052】
制御部45は、第1オゾン発生部18Aを所定時間作動させた後に、送風部14及び第1オゾン発生部18Aを停止させてから、引き続き加熱部15を停止させた状態で、第2供給部19の送風部19B及び第2オゾン発生部19Cを作動させる。すると、外気が、図1及び図2の白抜きの矢印で示すように、吸気口7Bから供給路19Aに取り込まれた後に、第2オゾン発生部19Cが発生したオゾンを乗せてオゾン風となり、供給口7Cから、対応する流入口42Eを通ってガイドパイプ42の第1パイプ42A内に供給される。
【0053】
第1パイプ42A内に供給されたオゾン風は、各第2パイプ42B内を通って各第3パイプ42C内を上昇し、いずれかの流出口42Dから流出して、セット部22上の寝具Pに浴びせられる。具体的には、図2を参照して、左側X1のガイドパイプ42における各第3パイプ42Cの流出口42Dから流出したオゾン風は、セット部22の表面部22Cに載せられた寝具Pにおいて表面部22C側の内側部分P2と、表面部22Cの左領域22CBとの間に供給され、内側部分P2において左側X1へ垂れ下がった左部分に浴びせられる。右側X2のガイドパイプ42における各第3パイプ42Cの流出口42Dから流出したオゾン風は、寝具Pの内側部分P2と表面部22Cの右領域22CCとの間に供給され、内側部分P2において右側X2へ垂れ下がった右部分に浴びせられる。
【0054】
開閉部16が引き続き開位置にあるのでオゾン風が循環するが、送風部14が停止した状態にあるので、オゾン風の勢いは比較的弱い。そのため、オゾンが寝具Pに浴びせられることなく表面部22Cの通気穴22Aに逃げることを防止できる。制御部45は、第2オゾン発生部19Cを所定時間作動させた後に、送風部19B及び第2オゾン発生部19Cを停止させてオゾン処理を終了する。なお、本実施形態では、第1オゾン発生部18A及び第2オゾン発生部19Cがこの順に作動するが、逆の順に作動してもよいし、同時に作動してもよい。
【0055】
以上のように、制御部45は、オゾン処理において、送風部14、第1供給部18及び第2供給部19を作動させる。これにより、山折り状態の寝具Pにおける外側部分P1及び内側部分P2の両方にオゾンを浴びせることができるので、寝具Pの両面つまり全域をオゾンによって効果的に浄化できる。そのため、寝具乾燥装置1では、オゾンによる寝具Pの浄化効果の向上を図れる。なお、オゾン処理において、オゾンを乾燥室2B内の寝具Pに浴びせることができるのであれば、制御部45は、送風部14を作動させなくてもよく、この場合には、少なくとも第1供給部18及び第2供給部19を作動させればよい。
【0056】
次に、消オゾン処理として、制御部45は、引き続き開閉部16を開位置に配置して、第1供給部18及び第2供給部19を停止させた状態で、送風部14及び加熱部15を作動させる。これにより、吸気口6Aから吸気路12に取り込まれた外気が、温風となって、乾燥室2Bに流入して乾燥室2B内の寝具Pを通過した後に、排気路13の循環入口6Dから乾燥室2Bに戻ることによって循環する。これにより、寝具乾燥装置1内のオゾンが、温風の熱で分解されることによって消滅する。所定時間が経過すると、制御部45は、少なくとも加熱部15を停止させることによって消オゾン処理を終了する。
【0057】
次に、排気処理として、制御部45は、開閉部16を閉位置(図1における実線の開閉部16を参照)に配置して、少なくとも第1供給部18及び第2供給部19を停止させた状態で、送風部14を作動させる。これにより、吸気口6Aから吸気路12に取り込まれた外気が、乾燥室2Bに流入して乾燥室2B内の寝具Pを通過した後に、排気路13に流出して排気口6Cから機外に排出される。これにより、乾燥室2Bが排気される。所定時間が経過すると、制御部45は、送風部14を停止させることによって排気処理を終了し、乾燥運転全体を終了する。排気処理により、乾燥室2B内のオゾンの濃度を低下させることができる。そのため、排気処理後において、使用者は、乾燥室2B内のオゾンを気にすることなく、台車3を乾燥室2Bから引き出すことができる。
【0058】
この発明は、以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、請求項に記載の範囲内において種々の変更が可能である。
【0059】
図9は、変形例に係る寝具乾燥装置1の模式的な縦断面右側面図である。図10は、変形例に係る寝具乾燥装置1の模式的な縦断面背面図である。図9及び図10では、前述した構成と同じ構成については、同じ符号を付すことによって詳細な説明を省略する。前述した実施形態では、寝具Pの外側部分P1にオゾンを浴びせるための第1オゾン発生部18Aと、寝具Pの内側部分P2にオゾンを浴びせるための第2オゾン発生部19Cとが別々に存在する。つまり、第1供給部18及び第2供給部19は、本実施形態では個別にオゾン発生部を有するが、変形例のように、オゾン発生部52を共有してもよい。この場合、1つのオゾン発生部52によって、山折り状態の寝具Pにおける外側部分P1及び内側部分P2の両方にオゾンを浴びせることができる。
【0060】
変形例では、第1供給部18及び第2供給部19は、オゾン発生部52が発生させたオゾンを流す流路53も共有する。流路53は、前述した供給路19Aにおいて吸気口7Bにつながった上流部分である。送風部19B及びオゾン発生部52は、流路53に配置される。第1供給部18及び第2供給部19は、送風部19Bも共有する。第1供給部18は、流路53から分岐した第1分岐路54を有し、第2供給部19は、流路53から分岐した第2分岐路55を有する(図10参照)。第1分岐路54の一例は、装置本体2の後壁7に形成された開口であって、乾燥室2Bにつながった状態にある。第2分岐路55の一例は、供給路19Aにおいて第1分岐路54よりも供給口7C側の下流部分と、供給口7Cと、ガイドパイプ42とによって構成される。そのため、台車3が乾燥室2Bに収納された状態では、第2分岐路55は、ガイドパイプ42の第3パイプ42Cの流出口42Dにおいてセット部22とセット部22上の寝具Pとの間につながる。
【0061】
流路53において第1分岐路54と第2分岐路55とに分岐した分岐位置には、切替部56が設けられる(図10参照)。切替部56の一例は、回動軸57を介して後壁7に取り付けられた蓋部56Aと、回動軸57を中心として蓋部56Aを回動させる電動のアクチュエータ(図示せず)とを有する。蓋部56Aは、第1分岐路54を開いた開位置(破線で示した蓋部56Aを参照)と、第1分岐路54を閉じた閉位置(実線で示した蓋部56Aを参照)との間で回動可能である。制御部45は、このアクチュエータを制御することによって、蓋部56Aを回動させる。なお、切替部56は、電磁弁などの電動のバルブによって構成されてもよい。
【0062】
開位置にある蓋部56Aは、流路53と第2分岐路55との間を遮断する。この状態で送風部19B及びオゾン発生部52が作動すると、吸気口7Bから流路53に流入した外気と、オゾン発生部52が発生したオゾンとによって生成されたオゾン風が、図10における白抜きの破線矢印で示すように、第1分岐路54から乾燥室2Bに流入し、乾燥室2B内の寝具Pの外側部分P1に浴びせられる。一方、蓋部56Aが閉位置にある場合には、流路53と第2分岐路55とがつながる。この状態で送風部19B及びオゾン発生部52が作動すると、オゾン風は、図10における白抜きの実線矢印で示すように、第2分岐路55を流れ切った後にガイドパイプ42の第3パイプ42Cの流出口42Dから流出し、セット部22上の寝具Pの内側部分P2に浴びせられる。
【0063】
このように、蓋部56Aを有する切替部56は、制御部45の制御によって、流路53におけるオゾンの流れを第1分岐路54及び第2分岐路55のいずれかに切り替える。制御部45は、変形例に係るオゾン処理の一環として、第1オゾン処理と、第1オゾン処理の後の第2オゾン処理とを実行する。
【0064】
第1オゾン処理では、制御部45は、蓋部56Aを開位置にした状態で、送風部14、送風部19B及びオゾン発生部52を作動させて、オゾン風を第1分岐路54から乾燥室2B内に供給する。このとき、開閉部16が開位置(図9において破線で示した開閉部16を参照)にあるので、乾燥室2B内に供給されて寝具Pを通過したオゾン風は、循環入口6Dから乾燥室2Bに戻ることによって循環する。
【0065】
第2オゾン処理では、制御部45は、蓋部56Aを閉位置にした状態で、送風部14を停止させてから、送風部19B及びオゾン発生部52を作動させて、オゾン風を第2分岐路55からセット部22上の寝具Pとセット部22との間に供給する。このとき、開閉部16が引き続き開位置にあるので、乾燥室2B内に供給されて寝具Pを通過したオゾン風は、循環入口6Dから乾燥室2Bに戻ることによって循環する。第2オゾン処理では、送風部14が停止した状態にあってオゾン風の勢いが比較的弱いので、オゾン風が寝具Pを通らずに表面部22Cの通気穴22Aに逃げることを防止できる。第1オゾン処理及び第2オゾン処理は、この順に実行されてもよいし、逆の順に実行されてもよいし、同時に実行されてもよい。
【0066】
ガイドパイプ42は、寝具Pを局部的にセット部22の表面部22Cから浮かせて隙間を形成する役割も有する。寝具Pの通気性が悪くても、この隙間により、温風やオゾン風を円滑に流すことができる。一方で、押付部材41は、この隙間を狭めない程度に、寝具P全体をセット部22に押え付ける役割を有するが、押付部材41は、必須ではなく、省略されてもよい。
【0067】
オゾン処理では、開閉部16が開位置に配置された状態で送風部14が作動することによってオゾン風が循環されるが、オゾンが機外に漏れずに乾燥室2B内の寝具Pに十分に浸透するのであればオゾン風を循環させなくてもよいので、送風部14を停止してもよい。また、乾燥運転は、少なくとも乾燥処理及びオゾン処理によって構成されればよい。さらに、寝具乾燥装置1では、浄化つまり除菌及び消臭のみを寝具Pに施す浄化運転が実行可能であってもよい。その場合の浄化運転では、オゾン処理と、乾燥室2B内の寝具Pの湿気を取るレベルの弱めの乾燥処理と、消オゾン処理と、排気処理とが、この順番で実行される。
【0068】
また、本実施形態では、吸気路12から取り込まれた外気が乾燥室2Bで寝具Pを通過して台車3のセット部22の内部空間22Bに流入して排気路13から機外に排出される(図1参照)。これに代え、吸気路12と排気路13とで機能が逆になって、外気が排気路13から取り込まれて内部空間22Bに到達した後に寝具Pを通過して乾燥室2Bに流出し、吸気路12から機外に排出されてもよい。また、温風は、寝具乾燥装置1内で循環してもよい。また、台車3は、セット部22を、本実施形態のように1つだけ備えてもおいし、複数備えてもよい。複数のセット部22は、例えば左右方向Xに並んで配置される。
【符号の説明】
【0069】
1 寝具乾燥装置
2 装置本体
2B 乾燥室
3 台車
14 送風部
15 加熱部
18 第1供給部
18A 第1オゾン発生部
19 第2供給部
19C 第2オゾン発生部
22 セット部
22B 内部空間
45 制御部
52 オゾン発生部
53 流路
54 第1分岐路
55 第2分岐路
56 切替部
P 寝具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10