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特許7560060融着接続システム、サーバ、融着接続機、情報端末、及びプロジェクト管理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】融着接続システム、サーバ、融着接続機、情報端末、及びプロジェクト管理方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/255 20060101AFI20240925BHJP
   G16Y 10/75 20200101ALI20240925BHJP
   G16Y 20/10 20200101ALI20240925BHJP
   G16Y 40/60 20200101ALI20240925BHJP
【FI】
G02B6/255
G16Y10/75
G16Y20/10
G16Y40/60
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021524891
(86)(22)【出願日】2020-06-04
(86)【国際出願番号】 JP2020022047
(87)【国際公開番号】W WO2020246530
(87)【国際公開日】2020-12-10
【審査請求日】2023-04-21
(31)【優先権主張番号】P 2019105327
(32)【優先日】2019-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000110309
【氏名又は名称】住友電工オプティフロンティア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100136722
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼木 邦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100174399
【弁理士】
【氏名又は名称】寺澤 正太郎
(72)【発明者】
【氏名】大西 隆治
(72)【発明者】
【氏名】大木 一芳
(72)【発明者】
【氏名】遊佐 英明
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 貴弘
【審査官】林 祥恵
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第02887566(EP,A1)
【文献】国際公開第2018/074422(WO,A1)
【文献】特開平10-285283(JP,A)
【文献】国際公開第2019/058958(WO,A1)
【文献】特開2003-287643(JP,A)
【文献】国際公開第2017/199942(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0238298(US,A1)
【文献】国際公開第2019/142652(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/138093(WO,A1)
【文献】特開2015-002499(JP,A)
【文献】特開2006-058474(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/255
G16Y 10/75
G16Y 20/10
G16Y 40/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバの融着接続を行う融着接続機と、
前記融着接続機と通信可能な情報端末または前記融着接続機から、通信網を介して前記融着接続に関連する融着接続データを受信するサーバと、
を備え、
前記融着接続データには、前記融着接続が関連付けられたプロジェクトを特定するための第1の特定情報が含まれ、
前記サーバは、予め登録された登録プロジェクトに関する第2の特定情報を保持しており、前記第1の特定情報と前記第2の特定情報とを比較し、合致した場合に前記第2の特定情報が示す前記登録プロジェクトに前記融着接続データを関連付け
前記第2の特定情報は、前記登録プロジェクトに属する位置情報、前記登録プロジェクトに属する作業者の識別情報、および前記登録プロジェクトに属する融着接続機の識別情報のうち少なくとも一つである、融着接続システム。
【請求項2】
前記第2の特定情報が前記登録プロジェクトに属する位置情報である場合、前記第1の特定情報は前記融着接続機又は前記情報端末の位置情報である、請求項1に記載の融着接続システム。
【請求項3】
前記第2の特定情報が前記登録プロジェクトに属する作業者の識別情報である場合、前記第1の特定情報は前記融着接続機を扱う作業者の識別情報である、請求項1に記載の融着接続システム。
【請求項4】
前記第2の特定情報が前記登録プロジェクトに属する融着接続機の識別情報である場合、前記第1の特定情報は前記融着接続機の識別情報である、請求項1に記載の融着接続システム。
【請求項5】
前記サーバは、前記融着接続データをプロジェクト毎に集計した集計データを前記情報端末とは別の情報端末に送信し、
前記別の情報端末は、前記集計データを表示する表示部を有する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の融着接続システム。
【請求項6】
光ファイバの融着接続を行う融着接続機と通信可能な情報端末または前記融着接続機から、前記融着接続に関連する融着接続データであって前記融着接続が関連付けられたプロジェクトを特定するための第1の特定情報を含む前記融着接続データを通信網を介して受信する通信部と、
予め登録された登録プロジェクトに関する第2の特定情報を保持する記憶部と、
前記第1の特定情報と前記第2の特定情報とを比較し、合致した場合に、前記第2の特定情報が示す前記登録プロジェクトに前記融着接続データを関連付ける照合部と、
を備え、
前記第2の特定情報は、前記登録プロジェクトに属する位置情報、前記登録プロジェクトに属する作業者の識別情報、および前記登録プロジェクトに属する融着接続機の識別情報のうち少なくとも一つである、サーバ。
【請求項7】
前記第2の特定情報が前記登録プロジェクトに属する位置情報である場合、前記第1の特定情報は前記融着接続機又は前記情報端末の位置情報である、請求項6に記載のサーバ。
【請求項8】
前記第2の特定情報が前記登録プロジェクトに属する作業者の識別情報である場合、前記第1の特定情報は前記融着接続機を扱う作業者の識別情報である、請求項6に記載のサーバ。
【請求項9】
前記第2の特定情報が前記登録プロジェクトに属する融着接続機の識別情報である場合、前記第1の特定情報は前記融着接続機の識別情報である、請求項6に記載のサーバ。
【請求項10】
光ファイバの融着接続を行う融着接続機であって、
前記融着接続に関連する融着接続データを生成するデータ生成部と、
通信網を介してサーバに前記融着接続データを送信する通信部と、
を備え、
前記融着接続データは、前記融着接続が関連付けられたプロジェクトを特定するための第1の特定情報を含み、
前記サーバは、予め登録された登録プロジェクトに関する第2の特定情報と前記第1の特定情報とを比較して合致した場合に、前記第2の特定情報が示す前記登録プロジェクトに前記融着接続データを関連付け、
前記第2の特定情報は、前記登録プロジェクトに属する位置情報、前記登録プロジェクトに属する作業者の識別情報、および前記登録プロジェクトに属する融着接続機の識別情報のうち少なくとも一つである、融着接続機。
【請求項11】
前記第2の特定情報が前記登録プロジェクトに属する位置情報である場合、前記第1の特定情報は前記融着接続機の位置情報である、請求項10に記載の融着接続機。
【請求項12】
光ファイバの融着接続を行う融着接続機と通信可能な情報端末であって、
前記融着接続に関連する融着接続データを、通信網を介してサーバに送信する通信部を備え、
前記融着接続データは、前記融着接続が関連付けられたプロジェクトを特定するための第1の特定情報を含み、
前記サーバは、予め登録された登録プロジェクトに関する第2の特定情報と前記第1の特定情報とを比較して合致した場合に、前記第2の特定情報が示す前記登録プロジェクトに前記融着接続データを関連付け、
前記第2の特定情報は、前記登録プロジェクトに属する位置情報、前記登録プロジェクトに属する作業者の識別情報、および前記登録プロジェクトに属する融着接続機の識別情報のうち少なくとも一つである、情報端末。
【請求項13】
光ファイバの融着接続を行う融着接続機の前記融着接続に関連する融着接続データを集計した集計データをサーバから受信する通信部と、
前記集計データを表示する表示部と、
を備え、
前記集計データは、前記融着接続が関連付けられたプロジェクトを特定するために前記融着接続データに含められた第1の特定情報と、予め登録された登録プロジェクトに関する第2の特定情報との比較により、前記融着接続データがプロジェクト毎に集計されたものであり、
前記第2の特定情報は、前記登録プロジェクトに属する位置情報、前記登録プロジェクトに属する作業者の識別情報、および前記登録プロジェクトに属する融着接続機の識別情報のうち少なくとも一つである、情報端末。
【請求項14】
光ファイバの融着接続を行う融着接続機と通信可能な情報端末または前記融着接続機から、前記融着接続に関連する融着接続データであって前記融着接続が関連付けられたプロジェクトを特定するための第1の特定情報を含む前記融着接続データを通信網を介して受信する工程と、
予め登録された登録プロジェクトに関する第2の特定情報と前記第1の特定情報とを比較し、合致した場合に、前記第2の特定情報が示す前記登録プロジェクトに前記融着接続データを関連付ける工程と、
を含み、
前記第2の特定情報は、前記登録プロジェクトに属する位置情報、前記登録プロジェクトに属する作業者の識別情報、および前記登録プロジェクトに属する融着接続機の識別情報のうち少なくとも一つである、プロジェクト管理方法。
【請求項15】
前記第2の特定情報が前記登録プロジェクトに属する位置情報である場合、前記第1の特定情報は前記融着接続機又は前記情報端末の位置情報である、請求項14に記載のプロジェクト管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、融着接続システム、サーバ、融着接続機、情報端末、及びプロジェクト管理方法に関する。
本出願は、2019年6月5日出願の日本出願第2019-105327号に基づく優先権を主張し、前記日本出願に記載された全ての記載内容を援用する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、融着接続装置に関する技術が記載されている。この融着接続装置は、光ファイバ同士を融着接続するための融着接続機と、この融着接続機に接続されたデータ管理端末機とを備える。融着接続機は、制御処理部およびメモリ部を有する。制御処理部は、予め定められた自己診断プログラムに従って、融着接続機の光ファイバ接続機能を複数の項目にわたって自己診断し、その自己診断結果の詳細なデータをメモリ部に記憶させる。制御処理部は、メモリ部に記憶された自己診断結果の詳細なデータをデータ管理端末機に出力する。
【0003】
特許文献2には、光ファイバ融着接続装置に関する技術が記載されている。この融着接続装置は、CPU及びメモリを備え、メモリに保存されたプログラム及び融着パラメータを用いて光ファイバ相互の融着接続を行う。更に、この融着接続装置は、USB又はイーサネット(登録商標)の通信インターフェースを備え、この通信インターフェースを介して接続された情報端末機器からの情報をメモリに取り込む。
【0004】
特許文献3には、融着条件提供システムに関する技術が記載されている。この融着条件提供システムは、光ファイバ同士を融着接続する融着接続機に融着条件を提供するものであって、複数の融着条件を記憶する記憶装置と、ユーザ使用の融着接続機に必要な融着条件を要求する要求情報を送信するユーザ側通信部と、データ管理装置とを備える。データ管理装置は、ネットワークを介してユーザ側通信部から受け付けた要求情報に応じて、記憶装置内の複数の融着条件のうち少なくとも1つの融着条件をネットワークを介してユーザ側通信部に送信する。ユーザ側通信部に送信された少なくとも1つの融着条件のうちユーザ要求の融着条件は、ユーザ側通信部からユーザ使用の融着接続機に提供される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2003-287643号公報
【文献】特開2004-246073号公報
【文献】国際公開第2017/199942号
【発明の概要】
【0006】
本開示の融着接続システムは、光ファイバの融着接続を行う融着接続機と、サーバとを備える。サーバは、融着接続機と通信可能な情報端末または融着接続機から、前記融着接続に関連する融着接続データを通信網を介して受信する。融着接続データには、前記融着接続が関連付けられたプロジェクトを特定するための第1の特定情報が含まれる。サーバは、予め登録された登録プロジェクトに関する第2の特定情報を保持する。サーバは、第1の特定情報と第2の特定情報とを比較して合致した場合に、第2の特定情報が示す登録プロジェクトに前記融着接続データを関連付ける。
【0007】
本開示のサーバは、通信部と、記憶部と、照合部とを備える。通信部は、光ファイバの融着接続を行う融着接続機と通信可能な情報端末または融着接続機から、融着接続データを通信網を介して受信する。融着接続データは、前記融着接続に関連する融着接続データであって、前記融着接続が関連付けられたプロジェクトを特定するための第1の特定情報を含む。記憶部は、予め登録された登録プロジェクトに関する第2の特定情報を保持する。照合部は、第1の特定情報と第2の特定情報とを比較し、合致した場合に、第2の特定情報が示す登録プロジェクトに前記融着接続データを関連付ける。
【0008】
本開示の融着接続機は、光ファイバの融着接続を行う融着接続機であって、データ生成部と通信部とを備える。データ生成部は、前記融着接続に関連する融着接続データを生成する。融着接続データは、前記融着接続が関連付けられたプロジェクトを特定するための第1の特定情報を含む。通信部は、通信網を介してサーバに前記融着接続データを送信する。サーバは、予め登録された登録プロジェクトに関する第2の特定情報と第1の特定情報とを比較して合致した場合に、第2の特定情報が示す登録プロジェクトに前記融着接続データを関連付ける。
【0009】
本開示の情報端末は、光ファイバの融着接続を行う融着接続機と通信可能な情報端末である。この情報端末は、前記融着接続に関連する融着接続データを、通信網を介してサーバに送信する。融着接続データは、前記融着接続が関連付けられたプロジェクトを特定するための第1の特定情報を含む。サーバは、予め登録された登録プロジェクトに関する第2の特定情報と第1の特定情報とを比較して合致した場合に、第2の特定情報が示す登録プロジェクトに前記融着接続データを関連付ける。
【0010】
本開示の別の情報端末は、通信部と表示部とを備える。通信部は、光ファイバの融着接続を行う融着接続機の前記融着接続に関連する融着接続データを集計した集計データをサーバから受信する。表示部は、集計データを表示する。集計データは、前記融着接続が関連付けられたプロジェクトを特定するために前記融着接続データに含められた第1の特定情報と、予め登録された登録プロジェクトに関する第2の特定情報との比較により、前記融着接続データがプロジェクト毎に集計されたものである。
【0011】
本開示のプロジェクト管理方法は、第1工程と第2工程とを含む。第1工程では、光ファイバの融着接続を行う融着接続機と通信可能な情報端末または融着接続機から、融着接続データを通信網を介して受信する。融着接続データは、前記融着接続に関連する融着接続データであって、前記融着接続が関連付けられたプロジェクトを特定するための第1の特定情報を含む。第2工程では、予め登録された登録プロジェクトに関する第2の特定情報と第1の特定情報とを比較し、合致した場合に、第2の特定情報が示す登録プロジェクトに前記融着接続データを関連付ける。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本開示の一実施形態に係る融着接続システムの構成を概略的に示す図である。
図2図2は、風防カバーが閉じている状態の融着接続機の外観を示す。
図3図3は、風防カバーが開けられて内部構造が見える状態の融着接続機の外観を示す。
図4図4は、融着接続機の機能的な構成を示すブロック図である。
図5図5は、融着接続機のハードウェア構成を示すブロック図である。
図6図6は、情報端末の機能的な構成を示すブロック図である。
図7図7は、別の情報端末の機能的な構成を示すブロック図である。
図8図8は、各情報端末に共通のハードウェア構成を示すブロック図である。
図9図9は、サーバの機能的な構成を示すブロック図である。
図10図10は、サーバのハードウェア構成を示すブロック図である。
図11図11は、プロジェクトの進捗状況を概念的に示すグラフである。
図12図12は、プロジェクト管理方法を示すフローチャートである。
図13図13は、本開示の別の実施形態に係る融着接続システムの構成を概略的に示す図である。
図14図14は、融着接続機の機能的な構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[本開示が解決しようとする課題]
光ファイバの融着接続工事において、作業の進捗や接続品質等を管理者が把握することは極めて重要である。作業の遅れや低品質に伴う作業のやり直し等が生じると、工期が延び、コスト増に繋がるからである。そこで、従来より、作業の進捗や接続品質等に関する報告を管理者が作業者から受け、その内容を集計することで作業の進捗や接続品質等を把握している。しかしながら、このような作業は手間を要し、また進捗等を把握するタイミングに遅れが生じるという問題がある。
【0014】
そこで、本開示は、作業の進捗や接続品質等を管理者が把握する際の手間を軽減し、且つ把握するタイミングをより早くすることができる融着接続システム、サーバ、融着接続機、情報端末、及びプロジェクト管理方法を提供することを目的とする。
【0015】
[本開示の効果]
本開示によれば、作業の進捗や接続品質等を管理者が把握する際の手間を軽減し、且つ把握するタイミングをより早くすることができる融着接続システム、サーバ、融着接続機、情報端末、及びプロジェクト管理方法を提供することが可能となる。
【0016】
[本開示の実施形態の説明]
最初に、本開示の実施形態を列記して説明する。一実施形態に係る融着接続システムは、光ファイバの融着接続を行う融着接続機と、サーバとを備える。サーバは、融着接続機と通信可能な情報端末または融着接続機から、前記融着接続に関連する融着接続データを通信網を介して受信する。融着接続データには、前記融着接続が関連付けられたプロジェクトを特定するための第1の特定情報が含まれる。サーバは、予め登録された登録プロジェクトに関する第2の特定情報を保持する。サーバは、第1の特定情報と第2の特定情報とを比較して合致した場合に、第2の特定情報が示す登録プロジェクトに前記融着接続データを関連付ける。
【0017】
一実施形態に係るサーバは、通信部と、記憶部と、照合部とを備える。通信部は、光ファイバの融着接続を行う融着接続機と通信可能な情報端末または融着接続機から、融着接続データを通信網を介して受信する。融着接続データは、前記融着接続に関連する融着接続データであって、前記融着接続が関連付けられたプロジェクトを特定するための第1の特定情報を含む。記憶部は、予め登録された登録プロジェクトに関する第2の特定情報を保持する。照合部は、第1の特定情報と第2の特定情報とを比較し、合致した場合に、第2の特定情報が示す登録プロジェクトに前記融着接続データを関連付ける。
【0018】
一実施形態に係る融着接続機は、光ファイバの融着接続を行う融着接続機であって、データ生成部と通信部とを備える。データ生成部は、前記融着接続に関連する融着接続データを生成する。融着接続データは、前記融着接続が関連付けられたプロジェクトを特定するための第1の特定情報を含む。通信部は、通信網を介してサーバに前記融着接続データを送信する。サーバは、予め登録された登録プロジェクトに関する第2の特定情報と第1の特定情報とを比較して合致した場合に、第2の特定情報が示す登録プロジェクトに前記融着接続データを関連付ける。
【0019】
一実施形態に係る情報端末は、光ファイバの融着接続を行う融着接続機と通信可能な情報端末である。この情報端末は、前記融着接続に関連する融着接続データを、通信網を介してサーバに送信する。融着接続データは、前記融着接続が関連付けられたプロジェクトを特定するための第1の特定情報を含む。サーバは、予め登録された登録プロジェクトに関する第2の特定情報と第1の特定情報とを比較して合致した場合に、第2の特定情報が示す登録プロジェクトに前記融着接続データを関連付ける。
【0020】
一実施形態に係るプロジェクト管理方法は、第1工程と第2工程とを含む。第1工程では、光ファイバの融着接続を行う融着接続機と通信可能な情報端末または融着接続機から、融着接続データを通信網を介して受信する。融着接続データは、前記融着接続に関連する融着接続データであって、前記融着接続が関連付けられたプロジェクトを特定するための第1の特定情報を含む。第2工程では、予め登録された登録プロジェクトに関する第2の特定情報と第1の特定情報とを比較し、合致した場合に、第2の特定情報が示す登録プロジェクトに前記融着接続データを関連付ける。
【0021】
これらの融着接続システム、サーバ、融着接続機、情報端末、及びプロジェクト管理方法では、サーバが(又は第1工程において)通信網を介して融着接続データを受ける。融着接続データは、1回の融着作業毎に融着接続機において生成され、例えば、作業日時、接続損失の推定値、及び光ファイバ種類等を含む。更に、融着接続データは、融着接続が属するプロジェクトを特定するための第1の特定情報を含む。予め登録された登録プロジェクトに関する第2の特定情報と、この第1の特定情報とをサーバが(又は第2工程において)比較(照合)することにより、その融着接続データが何れの登録プロジェクトのものかをサーバが(又は第2工程において)容易に判断することができる。そして、特定した登録プロジェクトにその融着接続データを関連付けることで、そのプロジェクトの進捗や接続品質等を自動的に集計することができる。故に、作業の進捗や接続品質等を管理者が把握する際の手間を軽減し、且つ把握するタイミングをより早くすることができる。
【0022】
上記の融着接続システム、サーバ、融着接続機、情報端末、及びプロジェクト管理方法において、第1の特定情報は融着接続機又は情報端末の位置情報であり、第2の特定情報は前記登録プロジェクトに属する位置情報であってもよい。位置情報は、例えば全地球測位システム(Global Positioning System:GPS)等を用いて自動的に取得することが可能である。従って、第1の特定情報を融着接続データに容易に含めることができる。また、登録プロジェクトに属する位置情報、即ち融着作業が行われる場所、は予め定まっているので、例えば融着接続機又は情報端末が入れ替わった場合においても第1の特定情報を融着接続データに容易に含めることができる。
【0023】
上記の融着接続システム、サーバ、融着接続機、情報端末、及びプロジェクト管理方法において、第1の特定情報は前記融着接続機を扱う作業者の識別情報であり、第2の特定情報は前記登録プロジェクトに属する作業者の識別情報であってもよい。或いは、第1の特定情報は前記融着接続機の識別情報であり、第2の特定情報は前記登録プロジェクトに属する融着接続機の識別情報であってもよい。例えばこれらの構成によれば、第1の特定情報を融着接続データに容易に含めることができる。
【0024】
上記の融着接続システム、融着接続機、及び情報端末において、サーバは、融着接続データを集計した集計データを前記情報端末とは別の情報端末に送信し、前記別の情報端末は、集計データを表示する表示部を有してもよい。この場合、管理者が作業の進捗や接続品質等を容易に把握することができる。
【0025】
一実施形態に係る別の情報端末は、通信部と表示部とを備える。通信部は、光ファイバの融着接続を行う融着接続機の前記融着接続に関連する融着接続データを集計した集計データをサーバから受信する。表示部は、集計データを表示する。集計データは、前記融着接続が関連付けられたプロジェクトを特定するために前記融着接続データに含められた第1の特定情報と、予め登録された登録プロジェクトに関する第2の特定情報との比較により、前記融着接続データがプロジェクト毎に集計されたものである。この情報端末によれば、管理者が作業の進捗や接続品質等を容易に把握することができる。
【0026】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の融着接続システム、サーバ、融着接続機、情報端末、及びプロジェクト管理方法の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。以下の説明では、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0027】
(第1実施形態)
図1は、本発明の一実施形態に係る融着接続システム1Aの構成を概略的に示す図である。この融着接続システム1Aは、融着接続機10Aと、情報端末20,30と、サーバ40とを備える。融着接続機10Aは、光ファイバの融着接続を行う装置である。情報端末20は、融着接続機10Aを使用する作業者が所持するものである。情報端末20は、例えばスマートフォンなどの携帯型無線通信端末である。融着接続機10Aは、例えば無線接続により情報端末20と通信可能に構成されている。情報端末30は、融着接続機10Aを使用するプロジェクトの管理者が扱うものである。情報端末30は、例えばスマートフォンなどの携帯型無線通信端末、または通信可能なパソコン等の固定通信端末である。プロジェクトは、例えば工事プロジェクトである。
【0028】
サーバ40は、複数のプロジェクトを統括する管理サーバであって、情報通信網50を介して情報端末20,30と通信可能なコンピュータである。情報通信網50は、例えばインターネットである。サーバ40は地球上の或る地域に所在し、融着接続機10A及び情報端末20,30は、サーバ40の所在地域とは異なる別の地域に所在する。
【0029】
図2及び図3は、融着接続機10Aの外観を示す斜視図である。図2は風防カバーが閉じている状態の外観を示し、図3は風防カバーが開けられて融着接続機10Aの内部構造が見える状態の外観を示す。融着接続機10Aは、光ファイバ同士を融着接続するための装置であり、図2及び図3に示すように、箱状の筐体2を備えている。この筐体2の上部には、光ファイバ同士を融着するための融着部3と、融着部3で融着された光ファイバの融着接続部に被せられたファイバ補強スリーブを加熱収縮させる加熱器4とが設けられている。融着接続機10Aは、筐体2の内部に配置された図示しないカメラによって撮像された光ファイバ同士の融着接続状況を表示するモニタ5を備えている。さらに、融着接続機10Aは、融着部3への風の進入を防止するための風防カバー6を備えている。
【0030】
融着部3は、一対の光ファイバホルダ3aを載置可能なホルダ載置部と、一対のファイバ位置決め部3bと、一対の放電電極3cとを有している。融着対象の光ファイバそれぞれは光ファイバホルダ3aに保持固定され、当該光ファイバホルダはそれぞれホルダ載置部に載置固定される。ファイバ位置決め部3bは、光ファイバホルダ3a同士の間に配置され、光ファイバホルダ3aのそれぞれに保持された光ファイバの先端部を位置決めする。放電電極3cは、ファイバ位置決め部3b同士の間に配置され、アーク放電によって光ファイバの先端同士を融着するための電極である。
【0031】
風防カバー6は、融着部3を開閉自在に覆うように筐体2に連結されている。風防カバー6の側面6aのそれぞれには、融着部3へ(すなわち光ファイバホルダ3aのそれぞれへ)光ファイバを導入するための導入口6bが形成されている。
【0032】
図4は、融着接続機10Aの機能的な構成を示すブロック図である。図5は、融着接続機10Aのハードウェア構成を示すブロック図である。図4に示すように、融着接続機10Aは、機能的には、通信部11及び融着接続データ生成部12を備える。融着接続機10Aは、図5に示すように、その制御部として、CPU10a、RAM10b、ROM10c、入力装置10d、無線通信モジュール10e、補助記憶装置10f、及び出力装置10g等のハードウェアを備えるコンピュータを含むものとして構成される。これらの構成要素がプログラム等により動作することにより、融着接続機10Aの各機能が実現される。また、融着接続機10Aは、制御部以外としては、各種の融着接続機構10hを含む。
【0033】
通信部11は、情報端末20との間で通信を行う部分である。通信部11は、例えば、IEEE802.11(登録商標:Wi-Fi)若しくはIEEE802.15.1(登録商標:Bluetooth)に準拠した無線通信を情報端末20との間で行う。
【0034】
融着接続データ生成部12は、第1の融着接続データD1を生成する。第1の融着接続データD1は、1回の融着作業毎に自動的に生成される。第1の融着接続データD1は、例えば、作業日時、接続損失の推定値、光ファイバ種類、作業者の識別番号(ID)、融着接続機10AのID、融着接続時の放電パワー、放電電流、融着接続機10Aの周囲の大気圧、融着接続機10Aの周囲の気温、融着接続機10Aの周囲の湿度等を含む。1つの第1の融着接続データD1が生成されることは、融着作業が1回行われたことを意味する。融着接続データ生成部12は、生成した第1の融着接続データD1を、情報端末20からの送信要求Ea(図1を参照)に応じて、通信部11を介して情報端末20へ送信する。なお、融着接続データD1の送信は、第1の融着接続データD1が生成される毎に行ってもよく、第1の融着接続データD1の特定個数毎にまとめて、あるいは予め決めた時間間隔毎にまとめて送信してもよい。
【0035】
図6及び図7は、それぞれ情報端末20,30の機能的な構成を示すブロック図である。図8は、各情報端末20,30に共通のハードウェア構成を示すブロック図である。図6の(a)に示すように、情報端末20は、通信部21及びGPS位置取得部22を備える。図7に示すように、情報端末30は、通信部31及び表示部32を備える。図8に示すように、情報端末20,30は、CPU20a、RAM20b、ROM20c、入力装置20d、通信モジュール20e、補助記憶装置20f、及び出力装置20g等のハードウェアを備えるコンピュータを含むものとして構成される。情報端末20は、これらの構成要素がプログラム等により動作することによって、図6に示す各機能を実現する。情報端末30は、これらの構成要素がプログラム等により動作することによって、図7に示す各機能を実現する。
【0036】
情報端末20において、通信部21は、例えば、端末に内蔵される無線LANモジュールなどの通信モジュール20eから構成される。通信部21は、融着接続機10Aとの間で無線通信により各種信号の送受信を行う。通信部21は、融着接続機10Aの無線規格に対応する、例えばIEEE802.11若しくはIEEE802.15.1に準拠した通信を行う。融着接続機10Aとの間で無線通信を行うことができれば、他の帯域や通信規格が用いられてもよい。加えて、通信部21は、インターネット等の情報通信網50を介して、サーバ40との間で各種信号の送受信を行う。そのために、通信部21は上述した無線LANモジュールを兼用してもよく、或いは別の通信モジュールを備えてもよい。
【0037】
GPS位置取得部22は、GPS機能を用いて、そのGPS位置取得部22を備える情報端末20が所在する位置情報D2を取得する。この位置情報D2は、例えば緯度及び経度によって表される。GPS位置取得部22は、情報端末20が通信部21を介して取得した第1の融着接続データD1に、位置情報D2を含めて第2の融着接続データD3を生成する。通信部21は、位置情報D2を含む第2の融着接続データD3を、通信部21を介してサーバ40へ送信する(図1を参照)。位置情報D2は、本実施形態における第1の特定情報の例である。なお、第2の融着接続データD3の送信は、第2の融着接続データD3が生成される毎に行ってもよく、第2の融着接続データD3の特定個数毎にまとめて、あるいは予め決めた時間間隔毎にまとめて送信してもよい。
【0038】
情報端末30において、通信部31は、LANモジュールなどの通信モジュール20eから構成される。通信部31は、インターネット等の情報通信網50を介して、サーバ40との間で各種信号の送受信を行う。表示部32は、サーバ40から受信した融着接続データの集計情報を表示する。集計情報の詳細は後述する。
【0039】
図9は、サーバ40の機能的な構成を示すブロック図である。図10は、サーバ40のハードウェア構成を示すブロック図である。図9に示すように、サーバ40は、機能的には、記憶部41、照合部42、データ集計部43、及び通信部44を備える。サーバ40は、図10に示すように、その制御部として、CPU40a、RAM40b、ROM40c、通信モジュール40d、及び補助記憶装置40e等のハードウェアを備えるコンピュータを含むものとして構成される。これらの構成要素がプログラム等により動作することにより、サーバ40の各機能が実現される。
【0040】
記憶部41は、プロジェクトの管理者によって予め登録される複数の登録プロジェクトの位置情報D4を保持する部分である。位置情報D4は、例えば緯度及び経度で表され、或る程度の拡がりを有する領域(エリア)であってもよい。位置情報D4は、本実施形態における第2の特定情報の例である。記憶部41は、位置情報D4以外にも、例えば、予定の期日及び時刻といった作業期間情報、線路長、融着接続点の情報、融着接続点の数、接続損失などの要求特性、及び使用予定の融着接続機の識別番号(ID)といった登録プロジェクト関連情報を予め保持する。
【0041】
照合部42は、情報端末20から得られる第2の融着接続データD3に含まれる位置情報D2と、記憶部41に記憶されている複数の位置情報D4とを比較(照合)する部分である。照合部42は、これらを照合し、複数の位置情報D4のうち一つの位置情報D4と位置情報D2とが互いに一致するか、若しくはこれらが条件に合致した場合に、その第2の融着接続データD3がその位置情報D4に対応する登録プロジェクトに関連するものであると判断し、その第2の融着接続データD3に含まれる第1の融着接続データD1とその登録プロジェクトとの関連付けを行う。なお、条件に合致するとは、例えば位置情報D2と位置情報D4との相違が所定の範囲内である場合、又は、位置情報D4がエリアで特定される場合に位置情報D2がそのエリア内に位置する場合等をいう。
【0042】
データ集計部43は、第2の融着接続データD3に含まれる第1の融着接続データD1を、登録プロジェクト毎に集計または計上する部分である。データ集計部43は、照合部42による比較結果に基づいて特定されたプロジェクトに第1の融着接続データD1を割り当て、そのプロジェクトの進捗状況及び接続品質を集計する。進捗状況とは、具体的には、施工予定の融着接続箇所の総数に対する、施工済みの融着接続箇所の数の割合をいう。また、接続品質とは、具体的には、施工済みの融着接続箇所の接続損失推定値の統計をいう。データ集計部43は、集計結果に基づいて、例えばプロジェクト毎のデータテーブルを作成する。
【0043】
図11は、プロジェクトの進捗状況を概念的に示すグラフである。同図において、横軸は時間、縦軸は融着接続済みの施工箇所の数を示す。図中のグラフG1は、予め定められた進捗予定を示す。概ね、想定される進捗度合いは時間に比例する。図中のグラフG2は、データ集計部43によって集計された実際の進捗状況を示す。実際の進捗状況が進捗予定と比較して遅い場合、そのプロジェクトの管理者においては、作業員を増員するなどして作業を加速する必要が生じる。
【0044】
再び図9を参照する。通信部44は、インターネット等の情報通信網50を介して情報端末20,30との間で通信を行う部分である。通信部44は、情報通信網50を介して、情報端末20から第2の融着接続データD3を受信する。また、図1に示すように、通信部44は、情報通信網50を介して、データ集計部43が作成した集計データである集計情報Taを情報端末30へ送信する。集計情報Taは、例えばデータテーブルである。前述したように、この集計情報Taは、情報端末30の表示部32によって管理者に呈示される。
【0045】
図12は、本実施形態によるプロジェクト管理方法を示すフローチャートである。このプロジェクト管理方法は、例えば本実施形態の融着接続システム1Aを用いて実施可能である。まず、第1工程ST1として、光ファイバの融着接続を行う融着接続機10Aと通信可能な情報端末20から、その融着接続に関連する第2の融着接続データD3を、情報通信網50を介して受信する。このとき、第2の融着接続データD3は、位置情報D2を含む。位置情報D2は、その融着接続が関連付けられたプロジェクトを特定するための情報である。
【0046】
次に、第2工程ST2として、予め登録された登録プロジェクトに関する複数の位置情報D4と位置情報D2とを比較する。複数の位置情報D4のうち一つの位置情報D4と位置情報D2とが合致した場合、その位置情報D4が示す登録プロジェクトに、その第2の融着接続データD3に含まれる第1の融着接続データD1を関連付ける。
【0047】
続いて、第3工程ST3として、その第2の融着接続データD3に含まれる第1の融着接続データD1を登録プロジェクト毎に集計または計上して、集計情報Taを作成する。そして、作成した集計情報Taを、情報通信網50を介して情報端末30へ送信する。この集計情報Taを、情報端末30の表示部32を通じて管理者に呈示する。
【0048】
以上の構成を備える本実施形態の融着接続システム1A、サーバ40、融着接続機10A、情報端末20、及びプロジェクト管理方法によって得られる作用効果について説明する。本実施形態では、サーバ40が、又は第1工程ST1において、情報通信網50を介して第2の融着接続データD3を受ける。第2の融着接続データD3は、対象の融着接続が関連付けられたプロジェクトを特定するための位置情報D2を含む。予め登録された登録プロジェクトに関する位置情報D4と、この位置情報D2とをサーバ40が比較して照合することにより、その第2の融着接続データD3が何れの登録プロジェクトのものかをサーバ40が容易に判断することができる。そして、特定したプロジェクトにその第2の融着接続データD3を関連付けることで、そのプロジェクトの進捗や接続品質等を自動的に集計することができる。故に、作業の進捗や接続品質等を管理者が把握する際の手間を軽減し、且つ把握するタイミングをより早く、例えば即時にすることができる。
【0049】
本実施形態では、情報端末20の位置情報D2と、登録プロジェクトの位置情報D4とを用いてプロジェクトを特定している。位置情報D2は、例えばGPS等を用いて自動的に取得することが可能である。従って、位置情報D2を第2の融着接続データD3に容易に含めることができる。また、特定のプロジェクトに属する位置情報、即ち融着作業が行われる場所は予め定まっているので、例えば融着接続機10A又は情報端末20が別の融着接続機10A又は情報端末20に入れ替わった場合においても、別の情報端末20の位置情報D2を第2の融着接続データD3に容易に含めることができる。
【0050】
本実施形態のように、サーバ40は、第1の融着接続データD1を集計した集計データすなわち集計情報Taを情報端末30に送信し、情報端末30は、集計情報Taを表示する表示部32を有してもよい。この場合、サーバ40により集計された作業の進捗や接続品質等を、管理者が容易且つ即時に把握することができる。
【0051】
(第2実施形態)
図13は、本発明の別の実施形態に係る融着接続システム1Bの構成を概略的に示す図である。この融着接続システム1Bと上記実施形態との相違点は、融着接続機の構成と、情報端末20の有無である。すなわち、本変形例の融着接続システム1Bは、融着接続機10Bと、情報端末30と、サーバ40とを備えるが、情報端末20を備えていない。そして、融着接続機10Bが情報通信網50を介してサーバ40と通信可能となっている。なお、下記の説明を除く他の構成は、上記実施形態と同様である。
【0052】
図14は、融着接続機10Bの機能的な構成を示すブロック図である。なお、融着接続機10Bのハードウェア構成は上記実施形態と同様である。図14に示すように、融着接続機10Bは、機能的には、融着接続データ生成部12、通信部13、及びGPS位置取得部14を有する。融着接続データ生成部12の機能は上記実施形態と同様である。
【0053】
通信部13は、インターネット等の情報通信網50を介して、サーバ40との間で各種信号の送受信を行う。そのために、通信部13は無線LANモジュールを有してもよく、或いは別の通信モジュールを有してもよい。GPS位置取得部14は、上記実施形態のGPS位置取得部22と同様の機能を有する。すなわち、GPS位置取得部14は、GPS機能を用いて、そのGPS位置取得部14を備える融着接続機10Bが所在する位置情報D5を取得する。この位置情報D5は、例えば緯度及び経度によって表される。GPS位置取得部14は、融着接続データ生成部12において生成された第1の融着接続データD1に、位置情報D5を含める。位置情報D5を含む第3の融着接続データD6は、通信部13を介してサーバ40へ送信される。位置情報D5は、本実施形態における第1の特定情報の例である。
【0054】
本実施形態のサーバ40において、通信部44は、情報通信網50を介して融着接続機10Bとの間で通信を行う。通信部44は、情報通信網50を介して、融着接続機10Bから第3の融着接続データD6を受信する。また、本実施形態の照合部42は、融着接続機10Bから得られる第3の融着接続データD6に含まれる位置情報D5と、記憶部41に記憶されている複数の位置情報D4とを比較して照合する。照合部42は、これらを照合し、複数の位置情報D4のうち一つの位置情報D4と位置情報D5とが互いに一致するか、若しくは条件に合致した場合に、その第3の融着接続データD6がその位置情報D4に対応する登録プロジェクトに関連するものであると判断し、第3の融着接続データD6に含まれる第1の融着接続データD1とその登録プロジェクトとの関連付けを行う。
【0055】
本実施形態のように、融着接続機10Bが位置情報D5を生成し、位置情報D5を含む第3の融着接続データD6を融着接続機10Bからサーバ40に送信してもよい。このような構成であっても、上記実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0056】
本発明による融着接続システムは、上述した実施形態に限られるものではなく、他に様々な変形が可能である。例えば、上記各実施形態では、プロジェクトを特定するための特定情報として位置情報を用いたが、特定情報はこれに限られず、他に様々な情報を利用することができる。例えば、融着接続を行う作業者の識別情報(ID)を特定情報として利用してもよい。その場合、第1実施形態では、情報端末20からサーバ40に送信する第2の融着接続データD3に、その情報端末20と通信可能な融着接続機10Aを扱う作業者のIDに関するデータを第1の特定情報として含める。そして、サーバ40には、そのプロジェクトに属する作業者のIDを第2の特定情報として予め登録しておく。サーバ40は、第2の融着接続データD3に含まれる作業者IDと、予め登録された複数の登録プロジェクトの作業者IDとを比較して照合し、合致したプロジェクトにその第2の融着接続データD3に含まれる第1の融着接続データD1を関連付け、集計を行う。また、第2実施形態では、融着接続機10Bからサーバ40に送信する第3の融着接続データD6に、その融着接続機10Bを扱う作業者のIDに関するデータを第1の特定情報として含める。そして、サーバ40には、そのプロジェクトに属する作業者のIDを第2の特定情報として予め登録しておく。サーバ40は、第3の融着接続データD6に含まれる作業者IDと、予め登録された複数の登録プロジェクトの作業者IDとを比較して照合し、合致したプロジェクトにその第3の融着接続データD6に含まれる第1の融着接続データD1を関連付け、集計を行う。
【0057】
或いは、融着接続に使用する融着接続機のIDを特定情報として利用してもよい。その場合、第1実施形態では、情報端末20からサーバ40に送信する第2の融着接続データD3に、その情報端末20と通信可能な融着接続機10AのIDに関するデータを第1の特定情報として含める。そして、サーバ40には、そのプロジェクトに属する融着接続機10AのIDを第2の特定情報として予め登録しておく。サーバ40は、第2の融着接続データD3に含まれる融着接続機10AのIDと、予め登録された複数の登録プロジェクトの融着接続機IDとを比較して照合し、合致したプロジェクトにその第2の融着接続データD3に含まれる第1の融着接続データD1を関連付け、集計を行う。また、第2実施形態では、融着接続機10Bからサーバ40に送信する第3の融着接続データD6に、その融着接続機10BのIDに関するデータを第1の特定情報として含める。そして、サーバ40には、そのプロジェクトに属する融着接続機10BのIDを第2の特定情報として予め登録しておく。サーバ40は、第3の融着接続データD6に含まれる融着接続機10BのIDと、予め登録された複数の登録プロジェクトの融着接続機IDとを比較して照合し、合致したプロジェクトにその第3の融着接続データD6に含まれる第1の融着接続データD1を関連付け、集計を行う。
【0058】
例えばこれらの変形例の構成によれば、プロジェクトを特定するための特定情報を、第2の融着接続データD3及び第3の融着接続データD6に容易に含めることができる。
【符号の説明】
【0059】
1A,1B…融着接続システム
2…筐体
3…融着部
3a…光ファイバホルダ
3b…ファイバ位置決め部
3c…放電電極
4…加熱器
5…モニタ
6…風防カバー
6a…側面
6b…導入口
10A,10B…融着接続機
11…通信部
12…融着接続データ生成部
13…通信部
14…GPS位置取得部
20,30…情報端末
21,31…通信部
22…GPS位置取得部
32…表示部
40…サーバ
41…記憶部
42…照合部
43…データ集計部
44…通信部
50…情報通信網
D1…第1の融着接続データ
D3…第2の融着接続データ
D6…第3の融着接続データ
D2,D4,D5…位置情報
Ea…送信要求
Ta…集計情報
ST1…第1工程
ST2…第2工程
ST3…第3工程
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14