(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】人物評価支援システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/105 20230101AFI20240925BHJP
【FI】
G06Q10/105
(21)【出願番号】P 2023508266
(86)(22)【出願日】2021-03-24
(86)【国際出願番号】 JP2021012281
(87)【国際公開番号】W WO2022201367
(87)【国際公開日】2022-09-29
【審査請求日】2024-02-26
(73)【特許権者】
【識別番号】513072994
【氏名又は名称】Institution for a Global Society株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】福原 正大
(72)【発明者】
【氏名】ルーディエ ファビアン ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】松岡 祥行
(72)【発明者】
【氏名】中原 成美
(72)【発明者】
【氏名】加納 裕
【審査官】板垣 有紀
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/043889(WO,A1)
【文献】特開2014-067153(JP,A)
【文献】特開2005-242601(JP,A)
【文献】特許第6589257(JP,B2)
【文献】特開2006-119692(JP,A)
【文献】特開2016-004555(JP,A)
【文献】国際公開第2015/118753(WO,A1)
【文献】韓国登録特許第10-2169334(KR,B1)
【文献】米国特許出願公開第2016/027543(US,A1)
【文献】株式会社トクチョー,採用担当者必見! 調査会社が教える人材選びに有効なSNS調査,[online],日本,株式会社トクチョー,2018年02月09日,[検索日 2021.06.21], インターネット: <URL: https://web.archive.org/web/20201126020737/https://chosa-labo.com/sns-resarch/>,第1章~第2章, 第4章4-1節
【文献】Wu Youyou,Computer-based personality judgments are more accurate,Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America,米国,National Academy of Sciences,2015年01月27日,vol. 112 / no. 4,1036-1040ページ,https://www.panas.org/content/112/4/1036
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 ー 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ユーザが使用する第1端末と、当該第1ユーザ以外の第2ユーザが使用する第2端末との間で通信を実行する通信部と、
前記第1端末及び前記第2端末からそれぞれ送信された前記第1ユーザ及び前記第2ユーザの情報を記憶可能な記憶部と、
前記第1ユーザ及び前記第2ユーザの情報が前記記憶部に記憶されている場合において、所定の評価依頼条件が成立したときに、前記第1ユーザに対する評価の依頼を前記通信部を介して前記第2端末に送信するとともに、前記第2ユーザによる前記第1ユーザの評価である第1ユーザ評価を前記第2端末から前記通信部を介して受信した際、当該第1ユーザ評価を前記記憶部に記憶させる制御部と、
前記第1ユーザ評価及び前記第2ユーザの前記情報に応じて、前記第1ユーザの人物評価を決定する人物評価決定部と、
を備え、
前記人物評価決定部によって、第1ネットワーク上の仮想の第1集団に所属する複数の第1集団ユーザの人物評価と、第2ネットワーク上の前記第1集団と異なる仮想の第2集団に所属する複数の第2集団ユーザの人物評価とが決定されており、
前記人物評価決定部は、前記第2ユーザが前記第1集団及び前記第2集団の一方に所属している場合には、前記複数の第1集団ユーザの人物評価の平均値である第1集団評価と、前記複数の第2集団ユーザの人物評価の平均値である第2集団評価と、前記第1集団及び前記第2集団の双方を知悉するユーザによる前記第1集団及び前記第2集団の相対的な評価とに応じて、前記第1ユーザ評価を補正し、当該補正した前記第1ユーザ評価に応じ
て、前記第1ユーザの人物評価を決定することを特徴とする人物評価支援システム
。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザの人物評価を支援する人物評価支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、人物評価支援システムとして特許文献1に記載されたものが知られている。この人物評価支援システムは、第1ユーザによって使用される第1端末と、第2ユーザによって使用される第2端末と、これらの第1端末及び第2端末との間で通信を行う人物評価支援サーバとを備えている。
【0003】
この人物評価支援システムでは、第1ユーザによる第1端末の操作及び第2ユーザによる第2端末の操作によって、第1ユーザ及び第2ユーザの情報が人物評価支援サーバに記憶される。そして、人物評価支援サーバは、第1ユーザに対する評価を第2ユーザにリクエストするリクエスト信号を第1端末から受信した場合、このリクエスト信号を第2端末に送信する。その後、人物評価支援サーバは、第2ユーザによる第1ユーザの評価を第2端末から受信した際、第2ユーザによる第1ユーザの評価を記憶する。そして、複数の第2ユーザからの第1ユーザの評価と、複数の第2ユーザの情報に基づいて、第1ユーザの人物評価が決定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の人物評価支援システムによれば、複数の第2ユーザによって第1ユーザの評価が実施される関係上、第1ユーザの評価は、第1ユーザ及び第2ユーザの関係性、第1ユーザ及び第2ユーザの環境などの影響を受けることになる。これに対して、人物評価支援システムにおいて、ユーザの人物評価に影響を与える要因をさらに加味し、ユーザの人物評価の精度をさらに向上させることが望まれている。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、ユーザの人物評価の精度を向上させることができる人物評価支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、第1ユーザが使用する第1端末と、第1ユーザ以外の第2ユーザが使用する第2端末との間で通信を実行する通信部と、第1端末及び第2端末からそれぞれ送信された第1ユーザ及び第2ユーザの情報を記憶可能な記憶部と、第1ユーザ及び第2ユーザの情報が記憶部に記憶されている場合において、所定の評価依頼条件が成立したときに、第1ユーザに対する評価の依頼を通信部を介して第2端末に送信するとともに、第2ユーザによる第1ユーザの評価である第1ユーザ評価を第2端末から通信部を介して受信した際、第1ユーザ評価を記憶部に記憶させる制御部と、第1ユーザ評価及び第2ユーザの情報に応じて、第1ユーザの人物評価を決定する人物評価決定部と、を備え、人物評価決定部によって、第1ネットワーク上の仮想の第1集団に所属する複数の第1集団ユーザの人物評価と、第2ネットワーク上の第1集団と異なる仮想の第2集団に所属する複数の第2集団ユーザの人物評価とが決定されており、人物評価決定部は、第2ユーザが第1集団及び第2集団の一方に所属している場合には、複数の第1集団ユーザの人物評価の平均値である第1集団評価と、複数の第2集団ユーザの人物評価の平均値である第2集団評価と、第1集団及び第2集団の双方を知悉するユーザによる第1集団及び第2集団の相対的な評価とに応じて、第1ユーザ評価を補正し、補正した第1ユーザ評価に応じて、第1ユーザの人物評価を決定することを特徴とする。
【0008】
この人物評価支援システムによれば、第2ユーザが第1集団及び第2集団の一方に所属している場合には、複数の第1集団ユーザの人物評価の平均値である第1集団評価と、複数の第2集団ユーザの人物評価の平均値である第2集団評価と、第1集団及び第2集団の双方を知悉するユーザによる第1集団及び第2集団の相対的な評価とに応じて、第1ユーザ評価が補正される。そして、補正された第1ユーザ評価に応じて、第1ユーザの人物評価が決定されるので、第2ユーザが所属している集団の相対的な評価を反映させながら、第1ユーザの人物評価を決定することができ、第1ユーザの人物評価の精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態に係る人物評価支援システムの概略的な構成を示す図である。
【
図2】人物評価支援サーバの機能的な構成を示すブロック図である。
【
図3】ユーザ端末の機能的な構成を示すブロック図である。
【
図5】ソーシャルスコア情報の内容を示す図である。
【
図6】被評価者のソーシャルスコアを決定する処理を示すシーケンス図である。
【
図7】スコア更新処理を示すフローチャートである。
【
図8】職場環境下でのスコア更新処理を示すフローチャートである。
【
図9】評価者毎のスコア補正処理を示すフローチャートである。
【
図10】2つのコミュニティの評価を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係る人物評価支援システムについて説明する。
図1に示すように、本実施形態の人物評価支援システム1は、人物評価支援サーバ100及びn(nは複数)個のユーザ端末200を備えている。なお、
図1では、3個のユーザ端末200が例として表示されている。
【0017】
人物評価支援サーバ100は、ネットワーク2を介して、n個のユーザ端末200に接続されている。このネットワーク2は、インターネットなどの広域ネットワークで構成され、クラウドコンピューティングネットワーク(以下「クラウドネットワーク」という)3と接続されている。
【0018】
このクラウドネットワーク3は、その構成が公知であるので詳細な説明はここでは省略するが、複数のノード(図示せず)を互いに通信可能にネットワーク接続した分散型のネットワークで構成されている。このクラウドネットワーク3内には、多数のユーザが所属する複数の各種コミュニティが形成されている(後述する
図10参照)。
【0019】
また、n個のユーザ端末200はそれぞれ、互いに異なるn人のユーザUi(i=1~n)によって使用される。このユーザ端末200については後述する。
【0020】
次に、人物評価支援サーバ100について説明する。
図2に示すように、人物評価支援サーバ100は、制御部110、記憶部120及び通信部130を備えている。制御部110は、CPU、メモリ及びI/Oインターフェースなどによって構成されている。
【0021】
この人物評価支援サーバ100では、人物評価支援サーバプログラムがインストールされた状態で記憶部120に記憶されている。この人物評価支援サーバプログラムが起動されることにより、制御部110は、後述する各種処理を実行するとともに、関連付部111及び人物評価決定部112として機能するように構成されている。
【0022】
記憶部120は、例えばROM,RAM、HDD等の記憶装置により構成されている。記憶部120は、制御部110の演算結果、又は制御部110が通信部130を介して受信したデータを記憶するように構成されている。
【0023】
記憶部120には、「人物評価支援サーバプログラム」、「ユーザ属性情報」、「評価情報(
図4参照)」、「評価者情報」、「所属先属性情報」及び「ソーシャルスコア情報(
図5参照)」が記憶される。この場合、「ユーザ属性情報」及び「ソーシャルスコア情報」は、ユーザU自身又はユーザUが閲覧を許諾した企業などの第三者の端末に提供可能に構成されている。
【0024】
「ユーザ属性情報」は、ユーザ端末200のユーザU毎のユーザUの属性を示す情報であり、例えば、ユーザID、所属先情報、評価実施期間情報及び知人IDなどを含む情報として構成される。さらに、ユーザUがクラウドネットワーク3内の前述した各種のコミュニティに所属している場合には、そのコミュニティを識別するための情報が「ユーザ属性情報」に含まれる。この知人IDは、ユーザUと知人との関係を表すものであり、知人としては、ユーザUの家族、友人、同級生、先輩、後輩、職場の同僚、職場の上司、職場の部下、恋人、婚約者及び伴侶などが含まれる。なお、本実施形態では、ユーザ属性情報が第1ユーザ及び第2ユーザの情報に相当する。
【0025】
「ユーザID」は、それぞれのユーザUを識別するために、それぞれのユーザに一意に割り振られた数字または文字列で構成される。また、所属先情報は、ユーザUの所属先を示す情報である。例えば、ユーザUが学生の場合には、ユーザUが通う学校、学部、学科又は研究室を識別するための情報であり、ユーザUが社会人の場合には、ユーザUが勤務する企業又は団体等の所属先を識別するための情報である。
【0026】
「評価実施期間情報」は、それぞれのユーザUに対する評価を実施するための期間を示す情報であり、例えば、ユーザUが就職を希望する就職先により指定される期間である。制御部110は、例えば、不図示のデータベースに記憶されたユーザUのユーザIDと関連付けられた組織のIDと、不図示のデータベースに記憶された組織のIDと関連付けられた評価期間とから、ユーザUに対する評価を実施するための期間を認識し、評価実施期間情報として記憶する。なお、この場合、制御部110などが情報を「認識する」ことの意味は、特許第6589257号公報に記載したものと同じであるので、その説明は省略する。
【0027】
「評価情報」は、あるユーザが他のユーザを評価したときの、コンピテンシーごとの情報であり、例えば、
図4に示すように、評価者ID、被評価者ID、質問ID、コンピテンシー、スコア、回答時間、操作回数及び回答日時の情報を含むものである。例えば後述する処理において、評価者により被評価者の複数のコンピテンシーについて評価がなされたときに、
図4に示されるように、質問ごとに評価情報のフィールドが生成される。
【0028】
評価者IDは、評価をするユーザのユーザIDである。評価者IDには、ユーザIDと同じ形式のデータが格納されるが、
図4などにおいては、説明の便宜のため、評価者IDをp
1のように、pと下付数字で表す。また、評価者IDがp
iであるユーザを、適宜「評価者p
i」と表す。
【0029】
被評価者IDは、評価されるユーザのユーザIDである。被評価者IDには、ユーザIDと同じ形式のデータが格納されるが、
図4などにおいては、説明の便宜のため、被評価者IDをr
1のように、rと下付数字で表す。また、被評価者IDがr
j(jは整数)であるユーザを、適宜「被評価者r
j」と表す。
【0030】
質問IDは、評価対象のコンピテンシーにかかる質問のIDである。
図4などにおいては、説明の便宜のため、質問IDをq
1のように、qと下付数字で表す。また、質問IDがq
k(kは整数)である質問を、適宜「質問q
k」と表す。
【0031】
コンピテンシーは、評価対象のコンピテンシーを表すものであり、この「コンピテンシー」という用語の意味は、特許第6589257号公報に記載したものと同じであるので、その説明は省略する。また、例えば、課題設定、解決意向、耐性、決断力、共感・傾聴力、創造性、論理的思考、語学スキル及びプログラミングスキルなどがコンピテンシーに相当し、これらのコンピテンシーの意味も、特許第6589257号公報に記載したものと同じであるので、その説明を省略する。
【0032】
スコアは、評価者による被評価者の評価対象のコンピテンシーのスコアである。例えば、スコアは、0~100の整数で表される。また、評価者piによって回答された(評価者piのユーザ端末200から受信した)被評価者rjに対する質問IDがqkへのスコアを、適宜「入力スコアsijk」と表す。
【0033】
なお、本実施形態では、被評価者rjが第1ユーザに相当し、被評価者rjが使用するユーザ端末200が第1端末に相当し、評価者piが第2ユーザに相当するととも、評価者piが使用するユーザ端末200が第1端末に相当にする。さらに、入力スコアsijkが第1ユーザ評価に相当する。
【0034】
回答時間は、評価者が被評価者の評価対象のコンピテンシーのスコアの入力を促されてから、評価者が実際にスコアを入力するまでの時間を表している。
【0035】
操作回数は、評価者が被評価者の評価対象のコンピテンシーのスコアの入力を促されてから、評価者が実際にスコアを入力するまでの操作の回数である。
【0036】
回答日時は、評価者が被評価者の評価対象のコンピテンシーのスコアを入力した日時である。なお、日時とは、日付と時刻とを含む情報である。
【0037】
「評価者情報」は、評価者の評価能力を示す情報であり、例えば、ユーザID、バリュエーションスコア、シビアネス、スコア平均及び評価経験の情報を含んでいる。これらの情報の意味は、特許第6589257号公報に記載したものと同じであるので、その説明を省略する。また、「評価者情報」が、ユーザが項目応答理論に基づくテストを受けたときの結果を含むように構成してもよい。その場合には、ユーザ端末200と人物評価支援サーバ100との間での通信により、項目応答理論に基づくテストがユーザ端末200で実施されるように構成すればよい。なお、本実施形態では、評価者情報が第2ユーザの情報に相当する。
【0038】
次に、「ソーシャルスコア情報」について説明する。この「ソーシャルスコア情報」は、入力スコアs
ijkに基づいて決定される被評価者r
jのソーシャルスコアを示すものであり、
図5に示すように、被評価者のユーザID、及び被評価者の各種のコンピテンシーのスコアの情報を含むように構成されている。
【0039】
通信部130は、ネットワーク2に接続され、外部の機器(例えばユーザ端末200)と通信する通信装置によって構成されている。
【0040】
次に、ユーザ端末200について説明する。
図3に示すように、ユーザ端末200は、端末制御部210、端末記憶部220、端末出力部230、端末入力部240、端末通信部250及び端末時計部260を備えている。端末制御部210は、CPU、メモリ及びI/Oインターフェースなどによって構成されている。
【0041】
このユーザ端末200では、人物評価支援端末プログラムがインストールされた状態で端末記憶部220に記憶されている。この人物評価支援端末プログラムが起動されることにより、端末制御部210は、後述する各種の演算処理を実行するように構成されている。
【0042】
端末制御部210は、端末入力部240におけるユーザUのタッチ操作の態様を認識するように構成されている。タッチ操作には、タップ(シングルタップ、ダブルタップおよびロングタップ)、フリック(上フリック、下フリック、左フリックおよび右フリック)、スワイプ、ピンチ(ピンチインおよびピンチアウト)またはマルチタッチなどが含まれる。
【0043】
端末記憶部220は、例えばROM,RAM及びHDDなどの記憶装置によって構成されている。この端末記憶部220には、端末制御部210による演算処理結果、及び端末制御部210が端末通信部250を介して受信したデータなどが記憶されるとともに、人物評価支援端末プログラム及びユーザ端末200のユーザUを識別するためのユーザIDが記憶されている。
【0044】
端末出力部230は液晶パネルのような表示装置となっており、端末入力部240はタッチパッドのような位置入力装置となっている。より具体的には、タッチパネルによって、端末出力部230及び端末入力部240が構成されている。
【0045】
端末通信部250は、無線通信を介して、人物評価支援サーバ100などの外部機器と相互通信するよう構成されているとともに、図示しないGPS受信機を備えている。端末時計部260は、NTPサーバと通信することにより、日時を認識するように構成されている。
【0046】
以上により、端末制御部210は、GPS受信機によって検出したユーザ端末200の位置情報と、端末時計部260によって認識した日時とを互いに関連付けて取得し、それらの位置情報及び日時を人物評価支援サーバ100に送信可能に構成されている。
【0047】
人物評価支援サーバ100の関連付部111は、1個のユーザ端末200(以下、「招待端末」と呼ぶ。)から、招待端末のユーザ(以下、「招待者」と呼ぶ。)のユーザIDと、別のユーザ端末200(以下、「被招待端末」と呼ぶ。)へのアクセス情報(例えばメールアドレス)等とを受信したとき、アクセス情報と、招待者のユーザIDとを関連付けて記憶部120に記憶する。
【0048】
また、関連付部111は、アクセス情報に基づいて、被招待端末にユーザ登録を促すメッセージを送信する。被招待端末の端末制御部は、被招待端末の端末出力部にユーザ登録を促すメッセージを含む画面を出力し、被招待端末のユーザ(以下、「被招待者」と呼ぶ。)に対し、ユーザ登録に必要な情報の入力を促す。
【0049】
被招待端末の端末制御部は、被招待端末の端末入力部を介して入力された情報を人物評価支援サーバ100に送信する。ユーザ登録に必要な情報とは、被招待者の所属先、年齢、性別などの情報である。
【0050】
関連付部111は、被招待端末から受信した情報に基づいて、被招待者を識別するためのユーザIDを決定する。被招待者のユーザIDは、例えば、被招待者のメールアドレスと同一の文字列であってもよい。
【0051】
関連付部111は、ユーザ登録に必要な情報と被招待者のユーザIDとを含むフィールドをユーザ属性情報に追加する。関連付部111は、被招待者の友人IDとして、招待者のユーザIDを追加する。また、招待者のユーザ属性情報の友人IDに、被招待者のユーザIDを追加する。
【0052】
また、各ユーザ(以下、「検索ユーザ」という。)は、自己のユーザ端末(以下、「検索端末」という。)を介してユーザ検索を行うことにより、検索端末を介して自己のユーザIDと別のユーザ(以下、「被検索ユーザ」という。)を友人として追加することを希望する情報とを人物評価支援サーバ100に送信することができる。
【0053】
この場合、関連付部111は、被検索ユーザのユーザ端末(以下、「被検索端末」という。)に対し、友人希望をするユーザがいる旨を知らせるメッセージと検索ユーザのIDとを送信する。
【0054】
被検索端末は、端末出力部に、検索ユーザが友人となることを希望をしている旨のメッセージを含む画面を出力し、友人希望を受諾するかどうかの入力を促す。被検索端末は、入力された情報を人物評価支援サーバ100に送信する。
【0055】
関連付部111は、被検索端末から友人希望を受諾する旨の情報を受信すると、検索ユーザのユーザ属性情報の友人IDに被検索ユーザのユーザIDを追加するとともに、被検索ユーザのユーザ属性情報の友人IDに検索ユーザのユーザIDを追加する。
【0056】
また、各ユーザ端末は、上記友人の検索と同様にして、ユーザの操作に応じて、家族等の検索を行うこともできる。この場合、関連付部111は、検索ユーザ及び被検索ユーザの双方のユーザ属性の家族ID等の欄に、被検索ユーザのユーザID又は検索ユーザのユーザIDを追加する。
【0057】
また、各ユーザ端末は、ユーザの操作に応じて、自己のユーザIDと、各友人のユーザIDと、友人が家族等である旨の情報を人物評価支援サーバ100に送信することもできる。関連付部111は、受信した各ユーザIDのユーザ情報の家族ID等の欄を更新する。以上の処理により、各ユーザが互いに関連付けられる。
【0058】
また、各ユーザが互いに関連付けられた以降、各ユーザのユーザ端末200の位置情報及び日時の情報が、ユーザ端末200から人物評価支援サーバ100に所定周期で送信される。それにより、人物評価支援サーバ100では、各ユーザのユーザ端末200の位置の時系列が逐次記憶される。
【0059】
次に、
図6~
図9を参照しながら、被評価者のソーシャルスコアを決定する処理の概要を説明する。この処理は、例えば、被評価者r
jが使用するユーザ端末200から人物評価支援サーバ100を介して評価者p
iが使用するユーザ端末200に評価を依頼するリクエストが送信された後、評価者p
iのユーザ端末200からそのリクエストに応じて評価をすることを受諾した旨のレスポンスが人物評価支援サーバ100に送信された場合に実行される。
【0060】
このリクエストには被評価者r
jのユーザIDが含まれ、レスポンスには、評価者p
iのユーザID及び被評価者r
jのユーザIDが含まれる。なお、
図6においては便宜上、1つのユーザ端末200のみが表示されているが、実際には、複数のユーザ端末200と人物評価支援サーバ100との間において、以下に述べるように被評価者のソーシャルスコアを決定する処理が実行される。
【0061】
図6に示すように、人物評価支援サーバ100では、まず、質問情報送付処理が実行される(
図6/STEP1)。この処理は、質問情報を含む質問情報信号を評価者p
iのユーザ端末に送信するものであり、具体的には、サーバ制御部110によって実行される。この質問情報は、被評価者r
jのIDと、1つ以上の質問q
kのそれぞれについての質問ID、質問の内容、一部または全部のスコアに対応する定性的な文章をふくむものであり、それらの具体的な内容は特許第6589257号公報のものと同じであるので、その詳細な説明は省略する。
【0062】
以上のように、人物評価支援サーバ100で質問情報送付処理が実行された場合、質問情報信号が人物評価支援サーバ100から評価者p
iのユーザ端末200に送信される。この質問情報信号が評価者p
iのユーザ端末200で受信されると、ユーザ端末200の端末制御部210において、各種情報認識処理が実行される(
図6/STEP2)。
【0063】
この各種情報認識処理の場合、具体的な内容は特許第6589257号公報のものと同様に実行されるので、その詳細な説明は省略するが、以下のように各種情報が認識される。すなわち、被評価者rjのコンピテンシーに関する質問qkがユーザ端末200に表示され、評価者piによる被評価者rjに対する質問qkへの入力スコアsijkがユーザ端末200に入力される。
【0064】
そして、ユーザID「pi」、質問情報に含まれる被評価者のユーザID「rj」、それぞれの質問の質問ID「qk」、当該質問IDに関連付けられた操作の内容mijk、回答時間nijk及び入力スコアsijk、スコアの入力日時tijkなどが各種情報として認識される。以上のように、各種情報認識処理がユーザ端末200で実行された場合、上記の各種情報を含む各種情報信号がユーザ端末200から人物評価支援サーバ100に送信される。
【0065】
この場合、各種情報には、評価者pi及び被評価者rjがネットワーク上の仮想空間に一緒に参加している場合には、その仮想空間の情報が含まれる。例えば、評価者pi及び被評価者rjがオンラインミーティングに参加していた場合には、そのオンラインミーティングの情報が各種情報に含まれる。また、評価者piがクラウドネットワーク3上のコミュニティに所属している場合には、そのコミュニティの情報が各種情報に含まれる。
【0066】
この各種情報信号が人物評価支援サーバ100で受信された場合、人物評価支援サーバ100の人物評価決定部112において、スコア更新処理が実行される(
図6/STEP3)。
【0067】
このスコア更新処理は、被評価者r
jのソーシャルスコアを決定して更新するものであり、具体的には、
図7に示すように実行される。同図に示すように、まず、被評価者r
jが社会人であるか否かが判定される(
図7/STEP21)。
【0068】
この判定が肯定(
図7/STEP21…YES)で、被評価者r
jが社会人である場合には、職場環境下でのスコア更新処理が実行される(
図7/STEP22)。この職場環境下でのスコア更新処理は、評価者p
iが被評価者r
jの職場環境下における人物(すなわち同僚及び上司など)である場合の、被評価者r
jのソーシャルスコアを決定して更新するものであり、その詳細については後述する。
【0069】
一方、この判定が否定(
図7/STEP21…NO)であるとき、又は職場環境下でのスコア更新処理を実行したときには、それに続けて、学校環境下でのスコア更新処理が実行される(
図7/STEP23)。この学校環境下でのスコア更新処理は、評価者p
iが被評価者r
jの学校環境下における人物(すなわち同級生及び教師など)である場合の、被評価者r
jのソーシャルスコアを決定して更新するものである。
【0070】
次いで、プライベート環境下でのスコア更新処理が実行され(
図7/STEP24)、その後、本処理が終了する。このプライベート環境下でのスコア更新処理は、評価者p
iが被評価者r
jのプライベート環境下における人物(すなわち友人及び家族など)である場合の、被評価者r
jのソーシャルスコアを決定して更新するものである。
【0071】
なお、評価者piが社会人である場合、上記STEP23及びSTEP24の一方の処理を省略してもよい。この場合、本実施形態では、職場、学校及びプライベートが複数の人的集合に相当する。また、複数の人的集合は、これらに限らず、NPO法人、ボランティア団体及び町内会などの任意の非営利団体を複数の人的集合としてもよい。
【0072】
この場合、
図7におけるSTEP22~24の各種のスコア更新処理の内容は、評価者p
iが異なる点を除けば同じであるので、以下、
図8を参照しながら、職場環境下でのスコア更新処理を例にとってその内容を説明する。
【0073】
図8に示す職場環境下でのスコア更新処理の場合、STEP41~47の処理は、被評価者r
j毎に実行されるとともに、被評価者r
jを評価した評価者p
iそれぞれに対して、STEP41~47の処理がループして実行される。なお、以下の説明においては、STEP41~47の処理の対象となった被評価者r
jを、「処理対象の被評価者r
j」と呼び、STEP41~47の処理の対象となった評価者p
iを、「処理対象の評価者p
i」と呼ぶ。
【0074】
また、このスコア更新処理では、処理対象の評価者piによる被評価者rjに対する質問qkへの入力スコアsijkそれぞれに対して、STEP41~42の処理がループして実行される。以下においては、STEP41~42の処理の対象となった被評価者rjのコンピテンシー、入力スコアsijkを、「処理対象のコンピテンシー」「処理対象の入力スコアsijk」と呼ぶ。
【0075】
図8に示すように、まず、被評価者r
jの各種情報認識処理が実行される(
図8/STEP41)。この処理は、評価者p
iによる被評価者r
jに対する各種情報を認識するものである。具体的には、各種情報として、評価者のIDが処理対象の評価者p
iのユーザIDであり、かつ被評価者のIDが処理対象の被評価者r
jのユーザIDである情報のうち、処理対象のコンピテンシー、処理対象の入力スコアs
ijk、処理対象のコンピテンシーの回答時間、処理対象のコンピテンシーの操作回数、処理対象のコンピテンシーの回答日時が認識される。
【0076】
次いで、被評価者r
jのスコア毎のスコア補正処理が実行される(
図8/STEP42)。この補正処理は、具体的には、特許第6589257号公報の
図7の処理と同様に実行される。すなわち、評価者p
iの回答時間、操作回数及び評価者p
iのコンピテンシーなどに応じて、処理対象の入力スコアs
ijkに対する補正係数C
ijkが算出され、これを乗算することにより、処理対象の入力スコアs
ijkが補正される。
【0077】
次いで、未処理の入力スコアs
ijkが存在するか否かが判定される(
図8/STEP43)。この判定が肯定(
図8/STEP43…YES)で、未処理の入力スコアs
ijkが存在する場合には、未処理の入力スコアs
ijkを新たな処理対象の入力スコアs
ijkとして、上述したSTEP41以降の処理が実行される。
【0078】
一方、この判定が否定(
図8/STEP43…NO)で、未処理の入力スコアs
ijkが存在しない場合には、評価者p
i毎のスコア補正処理を実行する。この処理は、被評価者r
jに対する評価者p
i毎に実行されるものであり、具体的には、
図9に示すように実行される。
【0079】
同図に示すように、まず、入力スコアs
ijkが認識される(
図9/STEP61)。この入力スコアs
ijkは、前述した
図8のSTEP42で補正された値である。
【0080】
次いで、値ゼロの入力スコアs
ijkが除外される(
図9/STEP62)。
【0081】
次に、第1補正値CR1
ijが算出される(
図9/STEP63)。この第1補正値CR1
ijは、評価者p
iのバリュエーションスコアに応じて所定手法(例えばマップ検索)により算出される。この場合、第1補正値CR1
ijは、評価者p
iのバリュエーションスコアが高いほど、より大きい値になるように算出される。
【0082】
以上のように第1補正値CR1
ijが算出された後、第2補正値CR2
ijが算出される(
図9/STEP64)。この第2補正値CR2
ijは、具体的には、評価者p
iのシビアネスに基づき、所定の算出式[特許第6589257号公報の数式(2)]によって算出される。
【0083】
次いで、第3補正値CR3
ijが算出される(
図9/STEP65)。この第3補正値CR3
ijは、評価者p
iの評価経験に応じて所定手法(例えばマップ検索)により算出される。この場合、第3補正値CR3
ijは、評価者p
iの評価経験が豊富であるほど、より大きい値になるように算出される。
【0084】
次に、第4補正値CR4
ijが算出される(
図9/STEP65)。この第4補正値CR4
ijは、人物評価支援サーバ100に記憶されている、被評価者r
j及び評価者p
iのユーザ端末200の位置の時系列の相関性と、被評価者r
j及び評価者p
iの社会的な関係性とに応じて所定手法により算出される。
【0085】
例えば、第4補正値CR4ijは、両者の社会的な関係性に応じて決定される基準値CR4_aに、時系列の相関性に応じて決定される値αを乗算することによって決定される(CR4ij=CR4_a・α)。この場合、基準値CR4_aは、例えば、被評価者rj及び評価者piが同じ部署の同僚であるときには、両者の関係が同僚であっても同じ部署でないときよりも大きい値になるように算出される。これは、評価者piが被評価者rjと同じ部署に所属していることで、その職務能力を適切に評価できると推定されることによる。
【0086】
さらに、値αは、両者のユーザ端末200が同じ場所にある時間が所定値よりも長いときには、両者のユーザ端末200が同じ場所にある時間が所定値以下であるときよりも、より大きい値になるように算出される。これは、評価者piが被評価者rjと一緒に過ごす時間が長いことで、その被評価者rjに対する評価の信頼性が高いと推定されることによる。
【0087】
次に、第5補正値CR5
ijが算出される(
図9/STEP66)。この第5補正値CR5
ijは、被評価者r
j及び評価者p
iが同じWEB会議に参加していない場合には、所定値CR5ref(正の一定値)に設定される。また、被評価者r
j及び評価者p
iが同じWEB会議に参加していた場合において、そのWEB会議の内容が入力スコアs
ijkの評価項目の属性に関連する内容であるときには、所定値CR5refよりも大きい値に設定される。
【0088】
さらに、被評価者rj及び評価者piが同じWEB会議に参加していた場合において、そのWEB会議の内容が入力スコアsijkの評価項目の属性に対して無関係な内容であるときには、第5補正値CR5ijは、所定値CR5refに設定される。以上のように第5補正値CR5ijが算出される理由は、評価者piが被評価者rjと同じWEB会議に参加していた場合において、そのWEB会議の内容が入力スコアsijkの評価項目の属性に関連しているときには、評価者piによって付けられた、被評価者rjに対する入力スコアsijkの精度が高いと推定されることによる。この場合、WEB会議の内容が仮想空間の属性の情報に相当する。
【0089】
次に、第6補正値CR6
ijが算出される(
図9/STEP67)。この第6補正値CR6
ijは、評価者p
iが前述したクラウドネットワーク3上の各種コミュニティのいずれにも所属していない場合には、所定値CR6ref(正の一定値)に設定される。
【0090】
一方、評価者piが前述したクラウドネットワーク3上の各種コミュニティのいずれかに所属している場合において、各種コミュニティの所属メンバーのソーシャルスコアが人物評価支援サーバ100に記憶されている場合には、以下に述べるように算出される。
【0091】
例えば、
図10に示す2つのコミュニティA,Bがクラウドネットワーク3上に構成されていた場合を例にとって説明する。この場合、コミュニティA,Bの一方が仮想の第1集団に相当し、コミュニティA,Bの他方が仮想の第2集団に相当し、クラウドネットワーク3が第1ネットワーク及び第2ネットワークに相当する。同図に示すように、コミュニティAには、5人のメンバーA1~A5が所属しており、コミュニティBには、4人のメンバーB1~B4が所属しているとともに、評価者p
iがコミュニティAのメンバーのいずれかであると想定する。
【0092】
この場合、コミュニティAのメンバーA1~A5のソーシャルスコア(
図10では「スコア」と表記)は、60,45,50,65,40であるので、その平均値(
図10では「平均スコア」と表記)は、(60+45+50+65+40)/5=52となる。また、コミュニティBのメンバーB1~B4のソーシャルスコアは、66,50,60,40であるので、その平均スコアは、(66+50+60+40)/4=54となる。
【0093】
ここで、2つのコミュニティA,Bを含む全コミュニティに対して平均スコアの比が1:1となる仮想の基準コミュニティが存在すると仮定し、2つのコミュニティA,Bの双方を知悉している人物によって、コミュニティAとコミュニティBの価値の比が1.2:1であると評価されているとする。
【0094】
その場合、コミュニティBとコミュニティAとの相対的な価値の比は、1:(52/54)×1.2=1:a(a≒1.1555)となり、第6補正値CR6ijは、値CR6ref×aとして算出される。すなわち、第6補正値CR6ijは、評価者piが所属するコミュニティの相対的な評価(価値)に応じて決定されることになる。なお、上述した2つのコミュニティA,Bの双方を知悉している人物は、双方のコミュニティに所属しているメンバー、又は、双方のコミュニティを管理している人物であればよい。
【0095】
次いで、入力スコア補正処理が実行される(
図9/STEP69)。この入力スコア補正処理では、以上の第1~第6補正値CR1
ij~CR6
ijを加算項として用いて、各入力スコアs
ijkが補正される。なお、入力スコア補正処理において、第1~第6補正値CR1
ij~CR6
ijを乗算係数として算出し、これらを各入力スコアs
ijkに乗算することによって、各入力スコアs
ijkを補正するように構成してもよい。また、
図9の処理において、STEP66~68の少なくとも1つを省略し、残りの1つ以上の処理を実行するように構成してもよい。
【0096】
なお、
図7/STEP23の学校環境下でのスコア更新処理においては、前述した第4補正値CR4
ijは、被評価者r
j及び評価者p
iの社会的な関係性に応じて決定される基準値CR4_bに、時系列の相関性に応じて決定される値βを乗算することによって決定される(CR4
ij=CR4_b・β)。この場合、基準値CR4_bは、例えば、被評価者r
j及び評価者p
iが同じ学校の同じクラスメートであるときには、両者が同じ学校であっても同じクラスメートでないときよりも大きい値になるように算出される。これは、評価者p
iが被評価者r
jとクラスメートであることで、その被評価者r
jに対する評価の信頼性が高いと推定されることによる。
【0097】
さらに、値βは、両者のユーザ端末200が同じ場所にある時間が所定値よりも長いときには、両者のユーザ端末200が同じ場所にある時間が所定値以下であるときよりも、より大きい値になるように算出される。これは上述した理由による。
【0098】
また、
図7/STEP24のプライベート環境下でのスコア更新処理においては、前述した第4補正値CR4
ijは、被評価者r
j及び評価者p
iの社会的な関係性に応じて決定される基準値CR4_cに、時系列の相関性に応じて決定される値γを乗算することによって決定される(CR4
ij=CR4_c・γ)。この場合、基準値CR4_cは、例えば、被評価者r
j及び評価者p
iが家族であるときには、両者が家族でないときよりも小さい値になるように算出される。これは、評価者p
iが被評価者r
jと家族であることで、その被評価者r
jに対する評価が家族でない場合よりも甘いと推定されることによる。
【0099】
さらに、値γは、両者のユーザ端末200が同じ場所にある時間が所定値よりも長いときには、両者のユーザ端末200が同じ場所にある時間が所定値以下であるときよりも、より大きい値になるように算出される。これは前述した理由による。
【0100】
また、
図7/STEP23の学校環境下でのスコア更新処理においては、クラウドネットワーク3上のコミュニティは、学生が所属する大学の各種コミュニティとして構成される。
【0101】
図8に戻り、評価者p
i毎のスコア補正処理が以上のように実行された後、処理対象の被評価者r
jに対して未処理の評価者p
iが存在するか否かが判定される(
図8/STEP45)。この判定が肯定(
図8/STEP45…YES)で、未処理の評価者p
iが存在する場合には、未処理の評価者p
iを新たな処理対象の評価者p
iとして、上述したSTEP41以降の処理が実行される。
【0102】
一方、この判定が否定(
図8/STEP45…NO)で、未処理の評価者p
iが存在しない場合には、前述したSTEP69で補正された入力スコアs
ijkが記憶部120に記憶される(
図8/STEP46)。
【0103】
次いで、ソーシャルスコア更新処理が実行される(
図8/STEP47)。このソーシャルスコア更新処理では、上記STEP46で記憶部120に記憶された、u(uは整数)人の評価者p
i(i=1~u)による被評価者r
jに対する質問q
kへの入力スコアs
1jk~s
ujkに基づいて、下式(1)により、処理対象の被評価者r
jのコンピテンシーのソーシャルスコアfs
jkが決定(算出)され、ソーシャルスコア情報が更新される。その際、ゼロに補正された入力スコアs
ijkを破棄してソーシャルスコアfs
jkが決定される。
【0104】
【0105】
以上のようにソーシャルスコア更新処理が実行された後、本処理が終了する。なお、本実施形態では、ソーシャルスコアfsjkが第1ユーザの人物評価に相当する。
【0106】
以上のように、本実施形態の人物評価支援システム1によれば、被評価者が社会人である場合には、職場環境下のスコア更新処理、学校環境下のスコア更新処理及びプライベート環境下のスコア更新処理が実行され、被評価者が学生である場合には、学校環境下のスコア更新処理及びプライベート環境下のスコア更新処理が実行される。このように、被評価者のソーシャルスコアを、被評価者が所属する人的集合毎に区別してきめ細かく決定することができ、被評価者の人的集合毎の人物評価の精度を向上させることができる。
【0107】
また、
図9の評価者毎のスコア補正処理において、人物評価支援サーバ100に記憶されている、被評価者及び評価者のユーザ端末200の位置の時系列の相関性と、被評価者及び評価者の社会的な関係性とに応じて、第4補正値CR4
ijが算出され、この第4補正値CR4
ijによって、入力スコアs
ijkが補正される。そして、そのように補正された入力スコアs
ijkを用いて、被評価者のソーシャルスコアfs
jkが決定されるので、被評価者及び評価者における時間的な位置関係性及び社会的な関係性の双方を反映させながら、被評価者のソーシャルスコアfs
jkを決定することができる。
【0108】
さらに、
図9の評価者毎のスコア補正処理において、被評価者及び評価者が同じWEB会議に参加していた場合において、そのWEB会議の内容が入力スコアs
ijkに関連する内容であるときには、第5補正値CR5
ijが、そのWEB会議の内容が入力スコアs
ijkに関連していないときよりも大きい値に設定され、この第5補正値CR5
ijによって、入力スコアs
ijkが補正される。そして、そのように補正された入力スコアs
ijkを用いて、被評価者のソーシャルスコアfs
jkが決定されるので、被評価者及び評価者が参加するWEB会議の内容に対する関連性の有無を反映させながら、被評価者のソーシャルスコアfs
jkを決定することができる。
【0109】
これに加えて、
図9の評価者毎のスコア補正処理において、評価者p
iが前述したクラウドネットワーク3上の各種コミュニティのいずれかに所属している場合において、各種コミュニティの所属メンバーのソーシャルスコアが人物評価支援サーバ100に記憶されている場合には、第6補正値CR6
ijは、前述したように決定される。すなわち、評価者が所属するコミュニティの全メンバーのソーシャルスコアの平均値と、他のコミュニティの全メンバーのソーシャルスコアの平均値と、2つのコミュニティを知悉している人物による2つのコミュニティの相対的な評価とに応じて、第6補正値CR6
ijが決定される。そして、この第6補正値CR6
ijによって、入力スコアs
ijkが補正され、そのように補正された入力スコアs
ijkを用いて、被評価者のソーシャルスコアfs
jkが決定されるので、評価者が所属しているコミュニティの相対的な評価を反映させながら、被評価者の被評価者のソーシャルスコアfs
jkを決定することができる。
【0110】
以上のように、被評価者のソーシャルスコアfsjkが決定されることによって、被評価者の人物評価の精度を向上させることができる。
【0111】
なお、実施形態は、WEB会議の内容を仮想空間の属性の情報とした例であるが、これに代えて、第1ユーザ及び第2ユーザが一緒に参加するSNSの属性の情報を仮想空間の属性の情報としてもよい。
【0112】
また、実施形態は、1つのクラウドネットワーク3内のコミュニティA,Bを仮想の第1集団及び第2集団とした例であるが、仮想の第1集団及び第2集団は、互いに異なるネットワーク上に構成されていてもよい。また、仮想の第1集団及び第2集団は、クラウドネットワーク3内のコミュニティに限らず、ネットワーク上の仮想の集団であって、その所属メンバー全員のソーシャルスコアが分かっているものであればよい。例えば、2つのSNSのグループを仮想の第1集団及び第2集団としてもよい。
【0113】
さらに、
図7のスコア更新処理において、STEP21を省略し、特許第6589257号公報のように、STEP22~24を1つの処理として実行してもよい。すなわち、被評価者r
jの職場環境下、学校環境下及びプライベート環境下における評価者p
iを区別することなく、これらの評価者p
iの入力スコアs
ijkをまとめて処理することにより、被評価者r
jのソーシャルスコアを決定するように構成してもよい。
【0114】
また、実施形態は、多数のユーザが所属する複数の各種コミュニティがクラウドネットワーク3内に形成されている例であるが、これに代えて、これらの複数の各種コミュニティがブロックチェーンネットワーク内などに形成されているように構成してもよい。
【符号の説明】
【0115】
1 人物評価支援システム
100 人物評価支援サーバ
110 制御部
112 人物評価決定部
120 記憶部
130 通信部
200 ユーザ端末(第1端末、第2端末)
rj 被評価者(第1ユーザ)
pi 評価者(第2ユーザ)
sijk 入力スコア(第1ユーザ評価)
fsjk ソーシャルスコア(第1ユーザの人物評価)