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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20240925BHJP
【FI】
A63F7/02 320
A63F7/02 304D
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2024000564
(22)【出願日】2024-01-05
(62)【分割の表示】P 2022006354の分割
【原出願日】2022-01-19
(65)【公開番号】P2024027168
(43)【公開日】2024-02-29
【審査請求日】2024-01-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000135210
【氏名又は名称】株式会社ニューギン
(74)【代理人】
【識別番号】100137589
【弁理士】
【氏名又は名称】右田 俊介
(74)【代理人】
【識別番号】100217984
【弁理士】
【氏名又は名称】川條 英明
(72)【発明者】
【氏名】切替 秀幸
【審査官】廣瀬 貴理
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-130507(JP,A)
【文献】特開2018-42814(JP,A)
【文献】特許第7421818(JP,B2)
【文献】特許第7422417(JP,B2)
【文献】特開2020-151205(JP,A)
【文献】特開2018-122041(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示手段と、
前記表示手段を制御する表示制御手段と、
前記表示手段に係る表示領域を覆蓋可能な可動体と、
前記可動体の移動を制御する可動制御手段と、
音声を出音する出音手段と、
音量調整操作によって前記出音手段から出音される音声の音量を調整可能な音量調整手段と、
を備え、
前記表示制御手段は、現在の音量を特定可能な音量特定画像を前記表示手段に表示させることが可能であり、
前記可動制御手段は、前記表示領域を覆蓋しない位置または前記表示領域の一部を覆蓋する位置である原位置から、前記可動体によって覆蓋される前記表示領域の範囲が前記原位置よりも広くなる覆蓋位置を経由して、前記原位置へ前記可動体を移動させる移動制御を実行可能であり、
遷移条件が充足されたことを契機に、前記音量調整操作による音量調整が不可能な調整不可期間から前記音量調整操作による音量調整が可能な調整可能期間に遷移し、
図柄変動の実行中の前記可動体に対する前記移動制御が実行されている期間において、前記遷移条件が充足され得、
前記遷移条件が充足され得る前記移動制御が実行されている期間の開始前から前記調整不可期間が開始され得、
前記移動制御が実行されている期間に前記遷移条件が充足されるときにおいて、当該移動制御が開始されてから当該遷移条件が充足されるまでの第一期間の長さと、当該遷移条件が充足されてから当該移動制御が終了するまでの第二期間の長さと、が異なり得る、
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
表示手段と、
前記表示手段を制御する表示制御手段と、
前記表示手段に係る表示領域を覆蓋可能な可動体と、
前記可動体の移動を制御する可動制御手段と、
音声を出音する出音手段と、
音量調整操作によって前記出音手段から出音される音声の音量を調整可能な音量調整手段と、
を備え、
前記表示制御手段は、現在の音量を特定可能な音量特定画像を前記表示手段に表示させることが可能であり、
前記可動制御手段は、前記表示領域を覆蓋しない位置または前記表示領域の一部を覆蓋する位置である原位置から、前記可動体によって覆蓋される前記表示領域の範囲が前記原位置よりも広くなる覆蓋位置を経由して、前記原位置へ前記可動体を移動させる移動制御を実行可能であり、
遷移条件が充足されたことを契機に、前記音量調整操作による音量調整が不可能な調整不可期間から前記音量調整操作による音量調整が可能な調整可能期間に遷移し、
図柄変動の実行中の前記可動体に対する前記移動制御が実行されている期間において、前記遷移条件が充足され得、
前記遷移条件が充足され得る前記移動制御が実行されている期間の開始前から前記調整不可期間が開始され得、
前記出音手段は、前記音量調整操作がなされた際に確認音を出音可能に構成され、
前記移動制御が実行されている期間のうちの前記調整可能期間において、前記音量調整操作がなされたときの少なくとも一部では、前記確認音の出音が制限される、
ことを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機やスロットマシン等の遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機等に代表される遊技機には、遊技者が操作可能な操作部を操作することにより音量や輝度を調整可能なものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-182174号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような遊技機では、遊技者に合わせた音量や輝度を調整することが可能になるが、誤操作等により意図せぬ音量や輝度に調整されてしまう可能性があり、未だ改善の余地がある。
【0005】
よって、本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、音量や輝度の調整ミスの発生を抑止することができる遊技機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、表示手段と、前記表示手段を制御する表示制御手段と、前記表示手段に係る表示領域を覆蓋可能な可動体と、前記可動体の移動を制御する可動制御手段と、音声を出音する出音手段と、音量調整操作によって前記出音手段から出音される音声の音量を調整可能な音量調整手段と、を備え、前記表示制御手段は、現在の音量を特定可能な音量特定画像を前記表示手段に表示させることが可能であり、前記可動制御手段は、前記表示領域を覆蓋しない位置または前記表示領域の一部を覆蓋する位置である原位置から、前記可動体によって覆蓋される前記表示領域の範囲が前記原位置よりも広くなる覆蓋位置を経由して、前記原位置へ前記可動体を移動させる移動制御を実行可能であり、遷移条件が充足されたことを契機に、前記音量調整操作による音量調整が不可能な調整不可期間から前記音量調整操作による音量調整が可能な調整可能期間に遷移し、図柄変動の実行中の前記可動体に対する前記移動制御が実行されている期間において、前記遷移条件が充足され得、前記遷移条件が充足され得る前記移動制御が実行されている期間の開始前から前記調整不可期間が開始され得、前記移動制御が実行されている期間に前記遷移条件が充足されるときにおいて、当該移動制御が開始されてから当該遷移条件が充足されるまでの第一期間の長さと、当該遷移条件が充足されてから当該移動制御が終了するまでの第二期間の長さと、が異なり得る、ことを特徴とする遊技機が提供される。
また、本発明によれば、表示手段と、前記表示手段を制御する表示制御手段と、前記表示手段に係る表示領域を覆蓋可能な可動体と、前記可動体の移動を制御する可動制御手段と、音声を出音する出音手段と、音量調整操作によって前記出音手段から出音される音声の音量を調整可能な音量調整手段と、を備え、前記表示制御手段は、現在の音量を特定可能な音量特定画像を前記表示手段に表示させることが可能であり、前記可動制御手段は、前記表示領域を覆蓋しない位置または前記表示領域の一部を覆蓋する位置である原位置から、前記可動体によって覆蓋される前記表示領域の範囲が前記原位置よりも広くなる覆蓋位置を経由して、前記原位置へ前記可動体を移動させる移動制御を実行可能であり、遷移条件が充足されたことを契機に、前記音量調整操作による音量調整が不可能な調整不可期間から前記音量調整操作による音量調整が可能な調整可能期間に遷移し、図柄変動の実行中の前記可動体に対する前記移動制御が実行されている期間において、前記遷移条件が充足され得、前記遷移条件が充足され得る前記移動制御が実行されている期間の開始前から前記調整不可期間が開始され得、前記出音手段は、前記音量調整操作がなされた際に確認音を出音可能に構成され、前記移動制御が実行されている期間のうちの前記調整可能期間において、前記音量調整操作がなされたときの少なくとも一部では、前記確認音の出音が制限される、ことを特徴とする遊技機が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、音量や輝度の調整ミスの発生を抑止することができる遊技機が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、遊技機の正面図である。
図2図2は、図1に示す領域IIに配設される図柄表示装置を示す図である。
図3図3は、図1に示す領域IIIに配設される操作ボタン群およびその周辺を示す鳥瞰図である。
図4図4は、遊技機内に設置される遊技盤を示す図である。
図5図5は、遊技機の背面図である。
図6図6(a)~図6(c)は、演出遮蔽体の可動位置を示す図である。
図7図7は、遊技機が備える制御構成を示すブロック図である。
図8図8は、遊技機が備える機能構成を示すブロック図である。
図9図9(a)は、特図当否判定用の抽選テーブルを模式的に示す図であり、図9(b)は、特図1に係る特図当否判定において大当りが導出された場合に用いられる停止図柄抽選用の抽選テーブルを模式的に示す図であり、図9(c)は、特図2に係る特図当否判定において大当りが導出された場合に用いられる停止図柄抽選用の抽選テーブルを模式的に示す図であり、図9(d)は、特図2に係る特図当否判定において小当りが導出された場合に用いられる停止図柄抽選用の抽選テーブルを模式的に示す図である。
図10図10(a)は、特図変動パターン導出状態PA時の特図1に係る図柄変動で用いられる特図変動パターン抽選テーブルを模式的に示す図であり、図10(b)は、特図変動パターン導出状態PA時の特図1に係る図柄変動において特図変動パターンHNPが決定された場合に用いられる特図変動パターン抽選テーブルを模式的に示す図である。
図11図11(a)は、特図変動パターン導出状態PB時の特図2に係る図柄変動で用いられる特図変動パターン抽選テーブルを模式的に示す図であり、図11(b)は、特図変動パターン導出状態PB時の特図2に係る図柄変動において特図変動パターンHNPが決定された場合に用いられる特図変動パターン抽選テーブルを模式的に示す図である。
図12図12(a)は、特図変動パターン導出状態PC時の特図2に係る図柄変動で用いられる特図変動パターン抽選テーブルを模式的に示す図であり、図12(b)は、特図変動パターン導出状態PC時の特図2に係る図柄変動において特図変動パターンHNPが決定された場合に用いられる特図変動パターン抽選テーブルを模式的に示す図である。
図13図13(a)は、特図変動パターン導出状態の遷移を示す状態遷移図であり、図13(b)は、特図変動パターン導出状態ごとの平均変動時間の関係を示す図である。
図14図14は、遊技可能状態移行時音量調整処理のフローである。
図15図15は、遊技可能状態中音量調整処理のフローである。
図16図16は、音量調整コマンド生成処理のフローである。
図17図17は、その他音量調整処理フローである。
図18図18は、遊技可能状態移行時輝度調整処理のフローである。
図19図19は、遊技可能状態中輝度調整処理のフローである。
図20図20は、輝度調整コマンド生成処理のフローである。
図21図21は、覆蓋演出が実行される図柄変動における調整不可期間の設定状況を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、適宜に説明を省略する。また、以下の説明では、「前」「後」「左」「右」「上」「下」とは、特に断りのない限り、図1に示すように遊技機10を正面側(遊技者側)から見た状態で指称するものとする。
なお、以降の説明における「有利(有利度)」とは、遊技者に対して有利であることを指し、さらに、特に断りがない限り、いわゆるプレミア画像等の演出面を除き、賞球(遊技媒体)の獲得量(遊技球の払い出しに限らず、メダルの払い出しを含む)に関して有利であることを指す。
【0010】
<本発明の特徴について>
本実施形態における遊技機10の詳細を説明する前に、本実施形態に記載されている発明(本発明)の特徴を説明する。
なお、当該特徴を説明するにあたり、括弧内の構成は、直前の構成に対応する本実施形態の構成を例示したものであり、当該説明以降の遊技機10の説明においても同様の用途で括弧内に構成を記載する場合がある。
【0011】
本発明は、
表示手段(メイン表示部81)と、
上記表示手段を制御する表示制御手段(第1副制御基板200、第2副制御基板300)と、
上記表示手段に係る表示領域を覆蓋可能な可動体(演出遮蔽体83)と、
上記可動体の移動を制御する可動制御手段(可動役物制御手段245)と、
発光手段(演出ランプ35)と、
輝度調整操作(左カーソルボタン38cや右カーソルボタン38dに対する操作)によって上記表示手段および上記発光手段の輝度を調整可能な輝度調整手段(輝度調整手段255)と、
を備え、
上記表示制御手段は、現在の輝度を特定可能な輝度特定画像を上記表示手段に表示させることが可能であり、
上記可動制御手段は、上記表示領域を覆蓋しない位置または上記表示領域の一部を覆蓋する位置である原位置(図6(a)に示す位置)から、上記可動体によって覆蓋される上記表示領域の範囲が上記原位置よりも広くなる覆蓋位置(図6(c)に示す位置)を経由して、上記原位置へ上記可動体を移動させる移動制御(覆蓋演出)を実行可能であり、
遷移条件が充足されたことを契機に、上記輝度調整操作による輝度調整が可能な調整可能期間、および上記輝度調整操作による輝度調整が不可能な調整不可期間のうちの一方から、他方の期間に遷移し、
図柄変動の実行中の上記可動体に対して上記移動制御が実行されている期間において、上記遷移条件が充足され得る、
ことを特徴とする遊技機である。
【0012】
本発明によれば、輝度調整ミスを誘発し得る上記移動制御の実行中に上記調整不可期間を設けてこれらのミスの発生を抑えつつも、上記遷移条件が上記移動制御の実行中に充足されるようにすることで、上記調整可能期間を長めに設けて輝度調整に慣れた遊技者による輝度調整操作の自由度を高めることができる。
【0013】
なお、図柄変動の実行中における前記遷移条件と前記移動制御との関係性について、上述の通り、図柄変動の実行中に、前記移動制御の実行期間が存在し、かつ当該実行期間において遷移条件が充足される状況が現象面で発生すればよい。すなわち、これらの構成を発生させる要因は、互いに関連性がなく独立したものであってもよい。
さらに、上記遷移条件は、調整不可期間から調整可能期間または調整可能期間から調整不可期間への遷移タイミングを定義するためのものであって、当該条件の具体的な内容は問わない。
【0014】
また、上記表示手段の表示領域のうちの上記移動制御に係る上記可動体によって覆蓋され得る表示領域に、上記輝度特定画像が表示される必要は必ずしもない。ただし、後述する本実施形態のように、当該覆蓋され得る表示領域に上記輝度特定画像が表示されることが好ましい。
【0015】
また、後述する本実施形態では、パチンコ機に本発明を適用した例を示すが、本発明は、所定数のメダルを使用することで複数のリールを回転させる図柄変動を実行し、当該図柄変動の結果(当該複数のリールの停止態様)に基づいてメダルを払い出すスロットマシンに適用することも可能である。
【0016】
上記の特徴を有する遊技機10について、以下の実施形態に基づいて具体的に説明する。
【0017】
<遊技機10の構造について>
まず、図1図5を用いて、遊技機10の構造について説明する。
図1は、遊技機10の正面図であり、図2は、図1に示す領域IIに配設される図柄表示装置90を示す図であり、図3は、図1に示す領域IIIに配設される操作ボタン群およびその周辺を示す鳥瞰図であり、図4は、遊技機10内に設置される遊技盤50を示す図であり、図5は、遊技機10の背面図である。
なお、図1から図5に図示される各構成は、本実施形態の遊技機10を説明する上で必要なものを挙げたに過ぎず、ここに図示しない構成および機能を遊技機10に追加してもよい。また、遊技機10はここに図示する構成の全部を必ずしも備えなくてもよく、本発明の効果を阻害しない範囲で一部の構成または機能が省かれてもよい。
【0018】
本実施形態の遊技機10は、いわゆるパチンコ機であり、多数の遊技釘(図示省略)が立設された遊技盤50の前面領域(以下、「遊技領域50a」と称する)に遊技球を発射し、遊技球が入賞口(例えば、大入賞口55等)に入球すると賞球が得られる遊技を行うものである。なお、以下の説明では、入賞口に遊技球が入球することを、単に「(入賞口に)入賞する」と表現する場合がある。
【0019】
遊技機10は、前後に開口する矩形枠状の外枠15と、外枠15の開口前面側に遊技盤50を着脱可能に保持する中枠17と、遊技盤50の前面側を覆うよう構成された前枠20と、を備える。
【0020】
中枠17は、ヒンジ機構21と同一側にあるヒンジ機構(図示省略)により左端側を中心に回動自在に支持され、外枠15の前側に開閉可能となっている。なお、中枠17は、シリンダ錠23により、施錠および解錠(シリンダ錠23に扉キーを差し込み、扉キーを前枠20の解錠方向とは逆の方向(本実施形態では、右)に回す)が可能となっている。
【0021】
前枠20は、ヒンジ機構21により左端側を中心に回動自在に支持され、中枠17に対して開閉可能となっている。なお、前枠20は、シリンダ錠23により施錠および解錠(シリンダ錠23に扉キーを差し込み、扉キーを中枠17の解錠方向とは逆の方向(本実施形態では、左)に回す)が可能となっている。
また、前枠20は、遊技領域50aを覆うように配置された透明部材25を備え、透明部材25によって遊技領域50aおよび遊技盤50を透視保護している。
また、前枠20は、遊技球を貯留する上球受け皿27および下球受け皿29を備え、上球受け皿27と下球受け皿29は上下に離間して前枠20と一体的に設けられている。
また、前枠20は、下球受け皿29の右側方に操作ハンドル31を備え、操作ハンドル31の回動操作によって、上球受け皿27に貯留された遊技球が遊技領域50aに向けて発射されるようになっている。
【0022】
なお、図1図5において図示は省略するが、中枠17には、中枠17が外枠15に対して開放状態であるか閉鎖状態であるかを検知する中枠開扉センサ76と、中枠17に対して前枠20が開放状態であるか閉鎖状態であるかを検知する前枠開扉センサ77と、を有している。本実施形態において、これらの開扉センサは、いずれも、開放状態でONとなり、閉鎖状態でOFFとなる。ただし、これらの開扉センサは、開放状態でOFFとなり、閉鎖状態でONとなるように構成されてもよい。
これにより、遊技機10が、中枠17の外枠15に対する開閉状態、および前枠20の中枠17に対する開閉状態の双方を検知することができる。
【0023】
また、図3に示すように、上球受け皿27の上面には、遊技者に操作される操作ボタン群が配置されている。この操作ボタン群には、後述する主制御基板100に電気的に接続されているメイン操作部39として、玉貸ボタン39a、およびプリペイドカードの返却操作を受け付ける返却ボタン39bが設けられ、後述する第1副制御基板200に電気的に接続されている操作部として、遊技中に発生する演出を切り替えるまたは遊技機10に関わる種々の情報を得るために行う遊技者の操作を受け付けることができる演出ボタン37、およびそれぞれ上、下、左、右への操作を指示するためのカーソルボタン38(上カーソルボタン38a、下カーソルボタン38b、左カーソルボタン38c、右カーソルボタン38d、中カーソルボタン38e)等が含まれる。なお、各操作部には、操作を検知するためのセンサが設けられており、接続対象の制御基板は、当該センサの検知状態の変化によって各操作部の操作を検知している。これらの操作部は、遊技盤50の前面側に設けられており、特に、上カーソルボタン38aおよび下カーソルボタン38bは、後述するスピーカ33から出力される音声の音量を調整するために、左カーソルボタン38cおよび右カーソルボタン38dは、後述する演出ランプ35および演出表示装置80の輝度を調整するために操作される。
また、上球受け皿27の側方には、図示しないモータ等のアクチュエータにより動作する可動装飾体22が設けられている。
【0024】
下球受け皿29の下部には、下球受け皿29に貯留された遊技球を下方へ排出する球抜き機構36が設けられている。この球抜き機構36を操作することにより、下球受け皿29の底面に形成された底面口(図示省略)が開口して、当該底面口から遊技球が自然落下して排出される。
なお、図示は省略するが、上球受け皿27には、球抜き機構36と同様に、操作することで貯留している球を下球受け皿29へ移動させる機構が設けられ、この機構と球抜き機構36の双方を操作することで、貯留している球を排出することが可能となる。
【0025】
図1に示すように、前枠20の上枠部32の左側と右側にそれぞれ一対のスピーカ33(33a、33b)が配設されている。また、前枠20の上枠部32と左右側枠部34a、34bは光透過性のカバーにより形成されており、その内部にはそれぞれ演出ランプ35(35a、35b、35c)が配設されている。スピーカ33や演出ランプ35は、遊技中に発生する演出やエラー報知等と連動して音声の出音または点灯若しくは消灯することができる。
【0026】
演出表示装置80は、遊技盤50の略中央に配設されているメイン表示部81と、メイン表示部81の周囲に配設されているサブ表示部82で構成されている。サブ表示部82は、さらに、メイン表示部81の上方に配設されている上サブ表示部82aと、メイン表示部81の左側に配設されている左サブ表示部82bと、メイン表示部81の右側に配設されている右サブ表示部82cと、を含んでいる。
ここで、メイン表示部81は、固定式の液晶表示装置であり、上サブ表示部82a、左サブ表示部82b、右サブ表示部82cは、図示しないモータ等のアクチュエータにより動作する可動式の液晶表示装置である。
【0027】
メイン表示部81は、後述する第1特別図柄表示装置91または第2特別図柄表示装置92における変動表示に連動して行われる図柄列の変動表示を表示することができ、さらに他の各種の演出も表示することができる。
メイン表示部81に表示される図柄列(装飾図柄)の変動表示において、表示される装飾図柄は、3つの図柄列をなす。本実施形態における各図柄列の変動表示の方向は下方向であるが、当該方向は特に制限されない。例えば、上方向、左右方向、奥行き方向、またはこれらの組合せ(斜め方向)のいずれであってもよい。
ここで、奥行き方向とは、実際にはメイン表示部81の表示画面上の平面的な変動表示であるにも関わらず、メイン表示部81の奧方から手前方向またはその逆方向に図柄列が変動表示しているかのように認識させる手法(例えば、遠近法)を用いた表示態様において、遊技者が認識する仮想的な方向をいう。
また、本実施形態における装飾図柄には、数字の「1」を模した「1図柄」、数字の「2」を模した「2図柄」、数字の「3」を模した「3図柄」、数字の「4」を模した「4図柄」、数字の「5」を模した「5図柄」、数字の「6」を模した「6図柄」、数字の「7」を模した「7図柄」、数字の「8」を模した「8図柄」、および数字の「9」を模した「9図柄」があり、これらの図柄は、各図柄列に設けられている。以降の説明では、「1図柄」、「3図柄」、「5図柄」、「7図柄」、および「9図柄」を総称して「奇数図柄」と称し、「2図柄」、「4図柄」、「6図柄」、「8図柄」を総称して「偶数図柄」と称する場合がある。
【0028】
サブ表示部82のそれぞれは、主として演出に関連する演出画像を表示するために設けられるだけでなく、移動可能に構成されている。
なお、それぞれの初期位置は、上サブ表示部82aはメイン表示部81を基準として上側であり、左サブ表示部82bはメイン表示部81を基準として左側であり、右サブ表示部82cはメイン表示部81を基準として右側であり、サブ表示部82のそれぞれは、これらの初期位置からサブ表示部82の表示領域の全域がメイン表示部81の表示領域に重なる位置まで移動可能に構成されている。
【0029】
また、本実施形態における演出表示装置80(メイン表示部81、上サブ表示部82a、左サブ表示部82b、右サブ表示部82c)には、いずれも液晶表示装置が採用されているが、本発明の実施はこれに限るものではない。例えば、ドラム式やドットマトリックス式等、多様な方式の表示装置を演出表示装置80として採用することができる。
【0030】
メイン表示部81とサブ表示部82の間には、演出遮蔽体83が配設されている。さらに、演出遮蔽体83は、左上演出遮蔽体83a、右上演出遮蔽体83b、左下演出遮蔽体83c、および右下演出遮蔽体83dで構成されており、これらは、互いに連動してメイン表示部81に係る表示領域を覆蓋する方向に移動可能に構成されている。なお、演出遮蔽体83は、後述する覆蓋演出の実行に用いられるものであり、演出遮蔽体83の動作、および覆蓋演出の詳細については、後述する。
【0031】
メイン表示部81の右下側には、複数の発光ダイオード(light emitting diode、以下、「LED」と略称する)が配設されており、これらのLEDによって図柄表示装置90の表示領域が構成されており、図柄表示装置90には、特別図柄および普通図柄が表示される。
また、図柄表示装置90は、メイン表示部81よりも遊技者が視認しにくい位置に配設され、図柄表示装置90の表示領域は、メイン表示部81の表示領域よりも小さい面積になっている。
なお、本実施形態における図柄表示装置90に係るLEDの配置や数は図2に示すとおりであるが、これは一例であって、図柄表示装置90に係るLEDの配置や数はこの例に制限されるものではない。
【0032】
特別図柄は、特別電動役物(例えば、特別電動役物65)を作動させるか否かを決定する図柄変動の結果として停止表示される図柄である。本実施形態における特別図柄には、第1特別図柄表示装置91に表示される第1特別図柄と第2特別図柄表示装置92に表示される第2特別図柄とが含まれる。
なお、特別図柄は「特図」、第1特別図柄は「特図1」、第2特別図柄は「特図2」と略称される場合がある。
【0033】
普通図柄は、普通電動役物(例えば、普通電動役物61)を作動させるか否かを決定する図柄変動の結果として停止表示される図柄である。本実施形態における普通図柄は、普通図柄表示装置93に表示される。
なお、普通図柄は、「普図」と略称される場合があり、普通電動役物は「電チュー」と称される場合がある。
【0034】
また、図柄表示装置90には、上述の表示装置以外に、第1特別図柄保留ランプ94、第2特別図柄保留ランプ95、普通図柄保留ランプ96が設けられている。
第1特別図柄保留ランプ94は、保留されている特図1の図柄変動の数を特定可能とし、第2特別図柄保留ランプ95は、保留されている特図2の図柄変動の数を特定可能とし、普通図柄保留ランプ96は、保留されている普図の図柄変動の数を特定可能とし、いずれも2つのLEDの点灯態様(本実施形態では、右常時点灯のみ=1、左右常時点灯=2、右側点滅+左側常時点灯=3、左右点滅=4)によって対応する図柄変動の数を特定可能とするものである。
【0035】
以下の説明では、第1特別図柄表示装置91または第2特別図柄表示装置92で特図を変動表示させた後に特図を停止表示させる図柄変動を「特図の図柄変動」と称し、以下の説明では、普通図柄表示装置93を変動表示させた後に普図を停止表示させる図柄変動を「普図の図柄変動」と称する場合がある。
また、以下の説明では、上述のメイン表示部81に表示される図柄列(装飾図柄)の変動表示は、「特図の図柄変動」や「普図の図柄変動」と区別して「装飾図柄の図柄変動」と称する場合がある。
なお、以下の説明では、単に「図柄変動」と称した場合には、特に断りがない限り特図の図柄変動を意味する。
【0036】
遊技盤50の前面には、図4に示すように、多数の遊技釘(図示省略)や風車52、装飾部材といった障害物が配置されていることにより、打ち出された遊技球が転動するように遊技領域50aが画成されている。
また、遊技領域50aの左側および上側には、操作ハンドル31の回転操作により発射された遊技球を遊技領域50aの上部に案内するために設けられた湾曲形状の外レール51および内レール53が配置されている。なお、外レール51は、遊技領域50a中央を基準として内レール53より外側に位置している。ここで、風車52とは、遊技球の落下の方向に変化を与えるための機構であって、くぎ状のものをいう。
【0037】
遊技機10は操作ハンドル31の回転操作量(例えば回転角度)の大小によって遊技球の打ち出しの強弱をつけることが可能になっており、より弱く打ち出された遊技球が転動する第1流路X(いわゆる左打ち)、より強く打ち出された遊技球が転動する第2流路Y(いわゆる右打ち)、のいずれか一方を遊技球が転動するように各種障害物が遊技領域50aに配置されている。
【0038】
図4には、主要な入賞口として、大入賞口55、第1始動口57、第2始動口59、ゲート63、一般入賞口67を図示しているが、図示されている入賞口は一例であり、その数や配置は適宜変更しても構わない。
【0039】
大入賞口55は遊技領域50aの右下部に配置されている。大入賞口55には大入賞口センサ72が付設されており、大入賞口センサ72の検知結果によって大入賞口55への入賞が判定されて、大入賞口55に対応づけられた数(本実施形態では、15)の賞球が付与される。
なお、本実施形態において、第1流路Xから転動する場合と比較して、第2流路Yから転動する場合に多くの遊技球が大入賞口55に向けて転動するように各障害物が配置されている。
【0040】
大入賞口55の上方には特別電動役物65が配設されている。特別電動役物65は、大入賞口55への入賞が容易である開放状態または入球が困難である閉鎖状態に可換に遷移する部材であり、特別電動役物ソレノイド66により開放状態または閉鎖状態のいずれかに遷移する。
より具体的には、特別電動役物65は、後述する特図当否判定によって大当りが導出されたことに起因して開始される大当り遊技の一部、または特図当否判定によって小当りが導出されたことに起因して開始される小当り遊技の一部において開放状態になり、これに伴って大入賞口55への入賞が許容される。このように、特別電動役物65が開放状態である場合には、大入賞口55への入賞が容易となるため、賞球を獲得できる機会が大幅に増大する大当り遊技や小当り遊技は、有利な遊技状態であると言える。また、詳細は後述するが、本実施形態における小当り遊技は、大当り遊技を生起し得る。
大当り遊技では、特別電動役物65の開放状態と閉鎖状態が交互に設定され、1回の開放状態(「ラウンド遊技」と称する場合があり、1回の大当りで発生するラウンド遊技の総回数を「ラウンド数」と称する場合がある)は、あらかじめ定められた数(本実施形態では、10)の遊技球が大入賞口55に入賞したことに基づいて終了し、特別電動役物65が閉鎖状態となる。さらに、大当り遊技における1回の開放状態は、あらかじめ定められた数の遊技球が大入賞口55に入賞するのに十分な時間(本実施形態では、30s(秒))が経過したことに基づいても終了する。
一方、小当り遊技では、特別電動役物65の開放状態が1.8秒経過、または10球の遊技球が大入賞口55へ入賞したことを契機に終了する。そのため、小当り遊技では、大当り遊技と比較して大入賞口55への遊技球の入賞が発生し難い。
【0041】
第1始動口57は、遊技領域50aの中央下部に配置されている。第1始動口57には第1始動口センサ70が付設されており、第1始動口センサ70の検知結果によって第1始動口57への入賞が判定されて、第1始動口57に対応づけられた数(本実施形態では、4)の賞球が付与される。第1始動口57への入賞が判定された場合の少なくとも一部において、特図1の図柄変動が行われることとなる。
なお、本実施形態に係る遊技領域50aは、第2流路Yから転動した場合に比べて、第1流路Xから転動した場合に多くの遊技球が第1始動口57に向けて転動するように、遊技釘等の障害物が配置されているものとする。
【0042】
第2始動口59は、遊技領域50aの右下部に配置されている。第2始動口59には第2始動口センサ71が付設されており、第2始動口センサ71の検知結果によって第2始動口59への入賞が判定されて、第2始動口59に対応づけられた数(本実施形態では、1)の賞球が付与される。
第2始動口59への入賞が判定された場合の少なくとも一部において、特図2の図柄変動が行われることとなる。
なお、本実施形態に係る遊技領域50aは、第1流路Xから転動した場合に比べて、第2流路Yから転動した場合に多くの遊技球が第2始動口59に向けて転動するように、遊技釘等の障害物が配置されているものとする。
【0043】
第2始動口59に繋がる流路には普通電動役物61が配設されている。普通電動役物61は、第2始動口59に遊技球への入球が容易である開放状態または入球が困難である閉鎖状態に可換に遷移する部材であり、普通電動役物ソレノイド62により開放状態または閉鎖状態のいずれかに遷移する。
より具体的には、普通電動役物61は、後述する普図当否判定の結果が普図当りとなった場合(以下、単に「普図当り」と表現する場合がある)に開放状態になり、これに伴って第2始動口59への入賞が許容される。このように、普通電動役物61が開放状態である場合には、第2始動口59への入賞が可能となるため、賞球により遊技球の減少を抑えつつ、特図2の図柄変動が実行される機会を大幅に増大し得る。
【0044】
ゲート63は、遊技領域50aの右中央部に配置されている。ゲート63には、ゲートセンサ74が付設されており、ゲートセンサ74の検知結果によってゲート63への入賞が判定される。ゲート63への入賞が判定された場合の少なくとも一部において、普図の図柄変動が行われることとなる。
また、本実施形態において、ゲート63は、後述する大当り遊技待機状態で大当り遊技を開始させる契機となり得る。具体的には、大当り遊技状態においてゲート63への遊技球の入賞(通過)が検知された場合に、待機されていた大当り遊技が開始される。なお、ゲート63とは別に、大当り遊技の開始契機となる遊技球の通過領域を設けてもよいが、当該通過領域は、ゲート63と同様に、第2流路Y上に設けることが好ましい。
【0045】
一般入賞口67は、遊技領域50aの左下部に配置されている。一般入賞口67には、一般入賞口センサ73が付設されており、一般入賞口センサ73の検知結果によって一般入賞口67への入賞が判定されて、一般入賞口67に対応づけられた数(本実施形態では、4)の賞球が付与される。
なお、本実施形態において、第2流路Yから転動する場合と比較して、第1流路Xから転動する場合に多くの遊技球が一般入賞口67に向けて転動するように各障害物が配置されているが、第2流路Yから転動する場合に多くの遊技球が一般入賞口67に向けて転動するように各障害物が配置されるようにしてもよい。また、一般入賞口67を複数個設けるようにしてもよい。
【0046】
アウト口69は、遊技領域50aの最下部に配置されている。遊技領域50aに打ち込まれ、上述の各入賞口に入球しなかった遊技球はアウト口69に落入し、アウト球として処理される。
なお、本実施形態では、上記入賞口およびアウト口69に入球した遊技球であるアウト球を検出するためのアウト球センサ75(図示省略)を備えている。
【0047】
遊技盤50の背面には、図5に示すように、主制御基板100が格納された主制御基板ケース109、第1副制御基板200が格納された第1副制御基板ケース209、第2副制御基板300が格納された第2副制御基板ケース309、電源制御基板500が格納された電源制御基板ケース509、および払出制御基板400が格納された払出制御基板ケース409が装着され、第1副制御基板ケース209および第2副制御基板ケース309の背面に加え、主制御基板ケース109の背面の一部を覆う開閉カバー45が着脱自在に装着されている。
なお、主制御基板100には、RAMクリアスイッチ43が設けられている。
また、各基板を覆う基板ケースおよびカバーは、透明性を有する部材によって構成されており、各ケースおよびカバーを通して対応する基板が視認可能となっている。
【0048】
また、図5に示すように、第1副制御基板200上には、音量調整のために操作される音量調整部85、および輝度調整のために操作される輝度調整部86が設けられている。そして、第1副制御基板ケース209は、音量調整部85および輝度調整部86を外部に露出するように第1副制御基板200を格納し、開閉カバー45は、音量調整部85および輝度調整部86を避けるように取り付けられている。そのため、図5に示す状態、すなわち、第1副制御基板ケース209に第1副制御基板200が格納され、かつ開閉カバー45が取り付けられている状態で、音量調整部85および輝度調整部86の操作が可能となっている。
音量調整部85および輝度調整部86は、いわゆるロータリースイッチであり、本実施形態では、音量調整部85を、音量大、音量中、音量小の3段階のうちのいずれかの段階に調整することが可能であり、輝度調整部86を、輝度高、輝度中、輝度低の3段階のうちのいずれかの段階に調整することが可能である。なお、音量調整部85および輝度調整部86は、ロータリースイッチに限らず、スライド式のスイッチを採用してもよい。また、音量調整部85および輝度調整部86は、第1副制御基板200と電気的に接続されてさえいれば、第1副制御基板200とは異なる基板に設けられたスイッチであってもよい。さらに、遊技盤50の背面側に設けられてさえいれば、その設置位置についても問わない。
【0049】
電源制御基板500は、遊技島の電源設備から供給される一次電源を基に、上述の制御基板等の電子部品や電気部品に供給する通常電源を生成する通常電源回路501、バックアップ電源を生成するバックアップ電源回路502、および電断(通常電源による供給電圧が所定の電圧低下となること)を検出する電断検出回路503で構成されている。
また、電源制御基板500には、電源スイッチ40が接続されており、遊技島の電源設備から1次電源が供給されていることを前提として、電源スイッチ40がONになると、電源制御基板500の通常電源回路501で通常電源が生成され、上述の制御基板(主制御基板100、第1副制御基板200、第2副制御基板300、および払出制御基板400)を含む電子部品や電気部品に電源が供給される。
また、電源制御基板500は、電断検出回路503によって電断が検出された場合には、電断信号(NMI信号)を主制御基板100、第1副制御基板200、払出制御基板400のそれぞれに送信する。
また、バックアップ電源回路502は、遊技島の電源設備から遊技機10に電源が供給されているときに充電される仕組みとなっている。
なお、バックアップ電源回路502を払出制御基板400上に設けるようにしてもよく、電断検出回路503を電源制御基板500に設けず、主制御基板100、第1副制御基板200、および払出制御基板400のそれぞれに設けるようにしてもよい。
【0050】
このように、遊技島に設置された状態では、中枠17を開放状態としなければ、遊技盤50の背面側に設けられた各操作部(電源スイッチ40、RAMクリアスイッチ43、音量調整部85、輝度調整部86)の操作が困難となる。
【0051】
また、遊技盤50の背面には、開閉カバー45の上部に、遊技島の球供給設備から供給される遊技球が貯留される遊技球タンク46が配置されている。遊技球タンク46は、さらに、タンクレール47および払出ユニット48を介して、上球受け皿27に繋がる払出通路49と接続されており、払出ユニット48によって払い出された球は、払出通路49を通って上球受け皿27に払い出される。
【0052】
ここまで、本実施形態における遊技機10の構造について説明してきたが、これらは一具体例であって、別の構成によって本発明を実施することもできる。
<演出遮蔽体83の動作について>
次に、図6(a)~図6(c)を用いて、演出遮蔽体83の動作を説明する。図6(a)~図6(c)は、演出遮蔽体83の可動位置を示す図である。
上述の通り、演出遮蔽体83は、左上演出遮蔽体83a、右上演出遮蔽体83b、左下演出遮蔽体83c、および右下演出遮蔽体83dで構成されている。そして、これらの遮蔽体は、図6(a)に示す位置から、図6(b)に示す位置を経由して、図6(c)に示す位置まで移動可能に構成されている。
【0053】
図6(a)には、演出遮蔽体83が初期位置にある状態が示されており、当該状態では、メイン表示部81の表示領域の略全体が視認可能となっている。
図6(b)には、演出遮蔽体83によってメイン表示部81の一部(全体の30%程度)が遮蔽されている状態が示されている。
図6(c)には、演出遮蔽体83によってメイン表示部81の全体が遮蔽されている状態が示されている。
このように、左上演出遮蔽体83a、右上演出遮蔽体83b、左下演出遮蔽体83c、および右下演出遮蔽体83dは、メイン表示部81の平面方向で互いに連動して動作する。
【0054】
また、図6(c)に示す通り、左上演出遮蔽体83aは、前面側(メイン表示部81側を背面側と定義した場合の前面側)の表面に「天」という文字を模した凸部を有し、右上演出遮蔽体83bは、前面側の表面に「下」という文字を模した凸部を有し、左下演出遮蔽体83cは、前面側の表面に「無」という文字を模した凸部を有し、右下演出遮蔽体83dは、前面側の表面に「双」という文字を模した凸部を有し、各演出遮蔽体は、背面(メイン表示部81側)からの光を透過させないように構成されている。
<遊技機10の制御構成について>
次に、図7を用いて、本実施形態に係る遊技機10が備える制御構成を説明する。図7は、遊技機10が備える制御構成を示すブロック図である。なお、図7に示す制御構成は、本実施形態の遊技機10を説明する上で必要となるものであり、遊技機10は、図7で図示しない制御構成を備えていてもよい。
【0055】
主制御基板100は、遊技に関する各種の演算処理を行うCPU101と、制御プログラムや各種抽選テーブル等のデータを記憶したROM102と、一時記憶領域となるワークエリアやバッファメモリとして機能するRAM103と、周辺基板や各デバイスとの間の信号を入出力するI/Oポート104と、CPU101によるプログラム処理とは別系統で動作して乱数(ハード乱数)を生成する乱数回路105と、を備えており、これらが内部バスを介して相互に接続されている。
【0056】
CPU101は、ROM102に格納された各種の制御プログラムを読み出して演算処理を行うことで、遊技の主制御に係る各種処理を実行する。
RAM103は、後述するバックアップ電源回路において生成されるバックアップ電源によってバックアップがなされる。具体的には、RAM103に格納される情報のうち、電断が生じた後の復電時(電源投入時)にそのデータを用いて電断直前の状態で遊技機10が復帰できるような各種情報がバックアップされるように構成されている。例えば、電断が生じた際に保持されていたスタックポインタや各レジスタ等のデータに加え、そのときの遊技機10の状態(遊技停止状態または遊技可能状態)、現在の普図抽選状態などといった遊技に係る情報がバックアップ対象とされる。なお、これらの情報は、RAMクリア処理によってクリア(初期化)される。そのため、RAMクリアされた後は、後述する特図変動パターン導出状態PA(後述する普図低確)が新たに設定されることとなる。さらに、RAMクリア処理が実行された場合には、装飾図柄に係る図柄列は、初期図柄組合せが停止表示された状態となり、電源投入時にRAMクリア処理が実行されなかった場合かつ直前の電断時に図柄変動の実行中でない場合にも初期図柄組合せが停止表示された状態となる。また、この初期図柄組合せは、電源投入時にのみ停止表示されるものであり、図柄変動の実行により停止表示されることがない。
【0057】
本実施形態では、少なくとも、そのような遊技に係る情報が格納される領域(RAM103の遊技に係る領域と表記される場合がある)に加えて、RAM103の遊技に係る領域に関するチェックサムの補数およびバックアップフラグが格納される領域(RAM103の遊技に係るバックアップ情報領域と表記される場合がある)がバックアップされる。そして、遊技機10は、復電時に、そのバックアップされた、RAM103の遊技に係る領域と、RAM103の遊技に係るバックアップ情報領域とに格納される各種情報を用いて復帰する。
なお、本実施形態におけるバックアップの具体的手法については何ら制限されない。例えば、RAM103のうちバックアップ対象とされる領域は、電断状態においても不揮発的にデータを保持可能な構成で実現されてもよい。他の例としては、RAM103の中でも、電断状態においても不揮発的にデータを保持可能に構成される第一メモリと、遊技機10が動作時に参照される第二メモリとで異なるハードウェアが設けられていてもよく、その場合には、遊技機10は、電断時に第二メモリから第一メモリにバックアップ対象となる情報を退避し、その退避された情報を復電時に第一メモリから第二メモリへリカバリすればよい。
【0058】
また、主制御基板100は、第1始動口センサ70、第2始動口センサ71、大入賞口センサ72、一般入賞口センサ73、ゲートセンサ74、アウト球センサ75、中枠開扉センサ76、前枠開扉センサ77等と電気的に接続されており、I/Oポート104を介して、これらのセンサからの検出信号をCPU101に入力可能に構成されている。
【0059】
また、主制御基板100は、第1特別図柄表示装置91、第2特別図柄表示装置92、普通図柄表示装置93、第1特別図柄保留ランプ94、第2特別図柄保留ランプ95、普通図柄保留ランプ96、普通電動役物ソレノイド62および特別電動役物ソレノイド66に電気的に接続されており、I/Oポート104を介してこれらを制御可能に構成されている。
同様に、主制御基板100は、メイン操作部39やRAMクリアスイッチ43に電気的に接続されており、メイン操作部39の操作を検知可能に構成されている。
【0060】
主制御基板100と第1副制御基板200との間は、8本のパラレル信号線および1本のストローブ線で接続されており、主制御基板100から第1副制御基板200へと向かう単一方向のみで通信可能に接続され、主制御基板100から第1副制御基板200へ各種の演出制御コマンドが送信される。
なお、第1副制御基板200から主制御基板100へデータを送信することはできず、また、第1副制御基板200は、主制御基板100に対してデータの送信を要求することはできないように構成されている。
また、本実施形態では、主制御基板100から第1副制御基板200へのデータ送信にパラレル伝送方式を採用しているが、シリアル伝送方式を採用してもよい。
【0061】
第1副制御基板200は、主制御基板100からの演出制御コマンドに基づき遊技演出に関する各種の演算処理を行うCPU201、演出制御プログラムや各種抽選テーブル等のデータを記憶したROM202、一時記憶領域となるワークエリアやバッファメモリとして機能するRAM203と、周辺基板や各デバイスとの間の信号を入出力するI/Oポート204と、を備え、これらが内部バスを介して相互に接続され、CPU201がROM202に記憶された制御プログラムに従って遊技演出に係る主要な制御を実行するように構成されている。
なお、上述の通り、第1副制御基板200には、音量調整部85および輝度調整部86が設けられている。さらに、第1副制御基板200は、演出ボタン37、カーソルボタン38に電気的に接続されている。そのため、第1副制御基板200は、これらの操作部に対する操作を検知可能に構成されている。
【0062】
また、第1副制御基板200は、主制御基板100からの演出制御コマンドに基づく演出制御処理にて、第2副制御基板300へ表示させる画像を指示する画像制御コマンド、画像演出に係る輝度の調整を指示する輝度調整コマンド、音声制御基板310へ出力させる音声を指示する音声制御コマンド、音量の調整を指示する音量調整コマンド、演出ランプ35等の各種ランプの点灯を制御するためのランプ制御データ、および演出遮蔽体83等の可動体の可動を制御するための可動制御データ等を生成する。
ここで、第1副制御基板200は、第2副制御基板300および音声制御基板310と双方向通信が可能に接続されており、各制御コマンド(画像制御コマンド、輝度調整コマンド、音声制御コマンド、音量調整コマンド)が第1副制御基板200から第2副制御基板300または音声制御基板310へ送信される一方、その応答として、当該制御コマンドを正常に受信できた旨を示す応答コマンド(ACKコマンド)が各制御基板(第2副制御基板300、音声制御基板310)から第1副制御基板200へ送信される。
【0063】
また、第1副制御基板200は、演出ランプ35と電気接続されており、I/Oポート204を介して、ランプ制御データを送信する。そして、演出ランプ35は、第1副制御基板200から送信されるランプ制御データによって点灯が制御されるように構成されている。
ランプ制御データは、輝度調整部86、左カーソルボタン38c、右カーソルボタン38dの操作による調整結果に基づいて決定された輝度にしたがって生成される。そのため、本実施形態では、当該調整結果に基づいて決定された輝度で、演出ランプ35を点灯させることができる。なお、本実施形態における輝度は、輝度1~輝度10の10段階の範囲で設定可能であり、この順にしたがって演出ランプ35やメイン表示部81の輝度が高くなる。また、第1副制御基板200は、輝度が調整されるごとに、当該調整後の輝度を特定するデータ(以下、「輝度特定データ」と称する)を含む輝度調整コマンドを、第2副制御基板300に向けて送信する。
【0064】
また、第1副制御基板200は、可動装飾体22、サブ表示部82、および演出遮蔽体83と電気接続されており、I/Oポート204を介して、可動制御データを送信する。
そして、可動装飾体22、サブ表示部82、演出遮蔽体83は、第1副制御基板200から送信される可動制御データによって可動が制御されるように構成されている。
【0065】
第2副制御基板300は、いずれも図示を省略するが、第1副制御基板200からの画像制御コマンドに基づき画像演出に関する各種の演算処理を行うCPUと、画像制御プログラムや各種データ等を記憶したROMと、一時記憶領域となるワークエリアやバッファメモリとして機能するRAM、周辺基板や各デバイスとの間の信号を入出力するI/Oポートとを備えており、当該CPUが当該ROMに記憶された制御プログラムに従って画像演出に係る主要な制御を実行するように構成されている。
その他、第2副制御基板300には、後述する演出内容決定手段225によって決定された演出の内容に沿った画像データを生成するVDPを搭載している。VDPは、いわゆる画像プロセッサであり、第2副制御基板300が有するCPUからの指示に応じて画像ROMに記憶された画像データを読み込み、これを画像処理して生成した画像データをメイン表示部81やサブ表示部82へ送信する。また、このVDPには、画像ROMから読み出された画像データの展開・加工に使用される高速のVRAMが接続されている。
なお、第2副制御基板300は、上述の輝度調整コマンドに含まれる輝度特定データにしたがって輝度を設定し、設定した輝度に基づいて画像データを生成する画像処理を実行する。そのため、本実施形態では、輝度調整部86、左カーソルボタン38c、右カーソルボタン38dの操作による調整結果に基づいて決定された輝度で、メイン表示部81やサブ表示部82に画像を表示させることができる。
【0066】
音声制御基板310は、第1副制御基板200からの音声制御コマンドに基づき音声演出に関する各種の演算処理を行うCPU311と、音声制御プログラムや音声データ等を記憶したROM312と、一時記憶領域となるワークエリアやバッファメモリとして機能するRAM313と、周辺基板や各デバイスとの間の信号を入出力するI/Oポート314とを備えており、CPU311がROM312に記憶された制御プログラムに従って音声演出に係る主要な制御を実行するように構成されている。したがって、音声制御基板310は、第1副制御基板200から受信した音声制御コマンドに応じて、ROM312に記憶された音声データを読み込み、読み込んだ音声データを合成し、合成後の最終的な音声データを、増幅器を介してスピーカ33に送信し、スピーカ33に音声を出音させることができる。
【0067】
より具体的には、RAM313には、音声再生チャネルCH0~音声再生チャネルCH31(音声再生チャネルを、単に「CH0~CH31」と表現する場合がある)の計32個の音声再生チャネルに対応する記憶領域、および合成後の音声データ(後述する単位音声データ)を記憶する記憶領域が設けられている。各音声再生チャネルに対応する記憶領域は、ROM312から読み出したデータ(以下、「音声データ」と称する)、当該音声再生チャネルの音量を特定するデータ(以下、「音量特定データ」と称する)、当該音声再生チャネルの再生回数(ループ再生を含む)を特定するデータ、および当該音声再生チャネルの再生状態(再生中、一時停止、再生停止)を特定するデータ(以下、「再生状態特定データ」)を記憶する記憶領域で構成される。なお、本実施形態における音量は、音量0~音量10の11段階の範囲で設定可能であり、この順にしたがってスピーカ33から出力される音量が大きくなる。なお、RAM313に記憶されている各音声再生チャネルに対応する各データは、第1副制御基板200が必要に応じて読み取り可能に構成されている。
【0068】
上述の音声制御コマンドは、音声再生チャネルごとの音声制御データで構成され、各音声制御データは、当該音声再生チャネルに対応する各種データの有無を特定するデータ、再生させる音声データを指示する(特定する)データ(以下、「音声指示データ」と称する)、当該音声データの音量を指示するデータ(以下、「音量指示データ」と称する)、当該音声データの再生回数を指示するデータ、再生状態を指示するデータで構成されている。そして、CPU311は、音声制御コマンドを受信した場合に、音声再生チャネルごとに、音声制御データの有無を確認するとともに、音声制御データがある場合には、当該音声制御データにしたがって、当該音声制御データに対応する音声再生チャネルの各種データを更新する。
なお、音声データは、1フレーム(24ミリ秒)ごとに区切られた単位音声データが連続的に配置されたデータであり、CPU311は、1フレームごとに、各音声再生チャネルの再生状態特定データを参照するとともに、再生状態特定データによって再生中と特定される音声再生チャネルの現在の再生位置にある単位音声データを、当該音声再生チャネルに対応する音量特定データにしたがって合成し、合成後の単位音声データを、対応する記憶領域に記憶させる。
また、CPU311は、受信した音声制御コマンドに、再生停止を指示する再生状態指示データを含む音声制御データが含まれていた場合には、当該音声制御データに対応する音声再生チャネルの各種データを削除するとともに、当該音声再生チャネルの再生状態特定データに再生停止を示すデータを設定し、当該音声再生チャネルに係る音声の再生を停止させる。
【0069】
また、上述の通り、第1副制御基板200は、音声制御コマンドの他に、音量調整コマンドを生成可能、かつ音量調整コマンドを音声制御基板310に送信可能に構成されている。この音量調整コマンドは、音声再生チャネルごとに、当該音声再生チャネルに対応する音量指示データの有無を特定するデータ、および音量指示データで構成されている。そして、CPU311は、音量調整コマンドを受信した場合に、音声再生チャネルごとに、音量指示データの有無を確認するとともに、音量指示データがある場合には、当該音量指示データにしたがって、当該音声再生チャネルの音量特定データを更新する。
【0070】
このように、本実施形態において、第1副制御基板200は、音声制御基板310を介して、スピーカ33に出力させる音声を制御し、かつ出力させる音声(音声再生チャネル)ごとの音量を制御することができる。
なお、スピーカ33に出力させる音声や音量の制御方法は、本実施形態の方法に限らず、いかなる方法を採用してもよい。また、音声制御基板310を第2副制御基板300と双方向通信可能に接続し、音声制御基板310が、第2副制御基板300を介して第1副制御基板200からの音声制御コマンドや音量調整コマンドに相当するコマンドを受信可能に構成してもよい。また、音声制御基板310が有する機能を、第1副制御基板200また第2副制御基板300に設けるようにしてもよい。
【0071】
払出制御基板400は、CPU、ROMおよびRAM(いずれも図示省略)を主体として構成されている。
また、払出制御基板400は、主制御基板100と双方向通信可能に接続されており、主制御基板100からの払出制御コマンドに基づいて払出ユニット48を駆動させて遊技球を払い出すための制御を実行するとともに、操作ハンドル31の操作量に基づき球送り機構と発射機構とを同期的に駆動させて遊技球の発射を制御する。
【0072】
電源制御基板500は、遊技島の電源設備から供給される一次電源を基に、上述の制御基板等の電子部品や電気部品に供給する通常電源を生成する通常電源回路、バックアップ電源を生成するバックアップ電源回路、および電断(通常電源による供給電圧が所定の電圧低下となること)を検出する電断検出回路(いずれも図示省略)で構成されている。
また、電源制御基板500には、電源スイッチ40が接続されており、遊技島の電源設備から1次電源が供給されていることを前提として、電源スイッチ40がONになると、電源制御基板500の通常電源回路で通常電源が生成され、上述の制御基板(主制御基板100、第1副制御基板200、第2副制御基板300、および払出制御基板400)を含む電子部品や電気部品に電源が供給される。
また、電源制御基板500は、電断検出回路によって電断が検出された場合には、電断信号(NMI信号)を主制御基板100、第1副制御基板200、払出制御基板400のそれぞれに送信する。
また、バックアップ電源回路は、遊技島の電源設備から遊技機10に電源が供給されているときに充電される仕組みとなっている。
なお、バックアップ電源回路を払出制御基板400上に設けるようにしてもよく、電断検出回路を電源制御基板500に設けず、主制御基板100、第1副制御基板200、および払出制御基板400のそれぞれに設けるようにしてもよい。
【0073】
<遊技機10の機能構成について>
次に、図8を用いて、本実施形態に係る遊技機10が備える機能構成を説明する。図8は、遊技機10が備える機能構成を示すブロック図である。なお、図8に示す機能構成は、本実施形態の遊技機10を説明する上で必要となるものであり、遊技機10は、図8で図示しない機能構成を備えていてもよい。また、機能構成を説明する際に、必要に応じて図9図13を参照することとする。
【0074】
主制御基板100は、図8に示すように、入球判定手段110、メイン乱数発生手段115、メイン保留制御手段120、事前判定手段125、特図抽選手段130、普図抽選手段135、大当り遊技制御手段140、図柄表示制御手段145、電動役物制御手段150、遊技状態制御手段155、メイン情報記憶手段160、メインエラー制御手段165、メインコマンド管理手段170、復電処理実行手段175、および電断処理実行手段180を備えており、これらの手段は、図7を用いて説明した主制御基板100上の各制御構成によって実現されるものを機能的に表したものである。
【0075】
まず、メイン情報記憶手段160は、主制御基板100が備える手段によって読み出されたデータや、当該手段における演算によって導出されたデータ等を各々に対応する格納領域に一時的に記憶する手段である。特に、メイン情報記憶手段160の送信コマンド格納領域に記憶されたデータ(演出制御コマンド)は、記憶された後にコマンド送信手段によって後述する第1副制御基板200のサブコマンド管理手段270に向けて送信される。
【0076】
入球判定手段110は、各入賞口に設けられたセンサの検知結果に基づいて各入賞口への入賞を判定する。
また、入球判定手段110は、大入賞口センサ72等の入賞口に設けられたセンサによって遊技球の入賞を判定した場合には、当該入賞に係るセンサの種類を特定可能な情報を含む演出制御コマンド(入賞コマンド)を生成し、当該コマンドをメイン情報記憶手段160の送信コマンド格納領域に記憶させる。
【0077】
メイン乱数発生手段115は、乱数回路105によって更新範囲が異なる複数種類の乱数を生成可能であり、入賞口への入賞が判定されたタイミングで乱数回路105から当該入賞口に対応する一または複数の乱数を取得(ラッチ)する。
より具体的には、メイン乱数発生手段115は、第1始動口57または第2始動口59への入賞が判定された場合には、後述する、特図当否判定用の乱数、特図停止図柄抽選用の乱数、および特図変動パターン抽選用の乱数を取得する。ゲート63への入賞が判定された場合には、後述する普図当否判定用の乱数、普図停止図柄抽選用の乱数、および普図変動パターン抽選用の乱数をメイン情報記憶手段160の対応する格納領域に格納する。
なお、乱数回路105は、自身が更新している複数種類の乱数が正常に更新されているか否かを監視し、乱数が正常に更新されない更新異常が発生した場合には、乱数回路105が有する特定の記憶領域に当該異常が発生したことを示す情報が書き込まれる。そのため、CPU101は、乱数回路105の更新異常が発生したことを把握可能となっている。
【0078】
メイン保留制御手段120は、特図の図柄変動の保留、および普図の図柄変動の保留に関する制御を行う。特図1に関しては、第1始動口57への入賞を契機として取得された、特図当否判定用の乱数、特図停止図柄抽選用の乱数、および特図変動パターン抽選用の乱数を、特図1の作動保留情報として保留する(記憶させる)。
より具体的には、メイン保留制御手段120は、特図1の作動保留情報が保留されるごとに1加算され、特図1の作動保留情報が使用される(特図抽選手段130の抽選で用いられる)ごとに1減算される保留カウンタ(以下、「特図1保留カウンタ」と称する)を備え、特図1保留カウンタの値が上限値(本実施形態では、4)となるまで、当該作動保留情報をメイン情報記憶手段160の現在の特図1保留カウンタに対応する格納領域に記憶させ、作動保留情報が使用されるごとに、使用された作動保留情報をクリアし、残りの作動保留情報を、特図1保留カウンタの小さいものから順に、現在の格納領域から現在の特図1保留カウンタよりも1少ない特図1保留カウンタに対応する格納領域に移動(シフト)させる制御を行う。
また、メイン保留制御手段120は、特図2および普図に関しても、特図1とは別に上述の制御と同様の制御を行い、特図2の保留カウンタを特図2保留カウンタと称し、本実施形態における特図2保留カウンタの値の上限値は4である。
また、以降の説明では、「作動保留情報の保留」を、「図柄変動の保留」、または単に「保留」と表現する場合がある。
また、メイン保留制御手段120は、特図1または特図2の作動保留情報(保留カウンタ)を更新(加算または減算)した際に、特図1保留カウンタおよび特図2保留カウンタを含む演出制御コマンド(保留コマンド)を生成し、当該コマンドをメイン情報記憶手段160の送信コマンド格納領域に記憶させる。
なお、本実施形態では、特図1に対応する作動保留情報および特図2に対応する作動保留情報の双方が保留されている場合には、特図2に対応する作動保留情報が優先的に使用される優先変動が行われる。ただし、この優先変動に代えて、当該場合において特図1に対応する作動保留情報と特図2に対応する作動保留情報を同時に使用する同時変動を採用してもよい。
【0079】
事前判定手段125は、所定の事前判定のタイミングにおいて特図の作動保留情報が保留された場合の少なくとも一部で、当該作動保留情報を対象とした先読み演出のための事前判定を実行する。
より具体的には、事前判定手段125は、今回保留した作動保留情報の各乱数を読み出し、後述する、特図当否判定、特図停止図柄抽選、および特図変動パターン抽選のそれぞれに対する事前判定を実行する。各事前判定では、各事前判定に対応する抽選に用いられる抽選テーブルと同一または同等の抽選テーブル(図示省略)が用いられる。そのため、これらの事前判定の結果は、後に実行される抽選の結果と同一の結果となる。
また、事前判定手段125は、導出された事前判定の結果を含む演出制御コマンド(事前判定コマンド)を生成し、当該コマンドをメイン情報記憶手段160の送信コマンド格納領域に記憶させる。
事前判定コマンドは、所定の事前判定のタイミングの少なくとも一部で送信される(生成され、メイン情報記憶手段160の送信コマンド格納領域に記憶される)ものであるため、上述の保留コマンドに続いて送信されることとなる。ここで、所定の事前判定のタイミングとは、大当り遊技中ではないタイミングを指し、例えば、特図の作動保留情報が保留されたタイミングがある。なお、本実施形態では、後述する普図高確中に特図1の作動保留情報が保留された場合には、事前判定が規制されるため、当該事前判定に対応する事前判定コマンドの送信も規制される。一方、後述する普図低確中に特図2の作動保留情報が保留された場合については、事前判定を規制してもよいし、事前判定を規制しなくてもよい。
【0080】
特図抽選手段130は、特図当否判定手段131、特図停止図柄抽選手段132、および特図変動パターン導出手段133を備え、特図当否判定手段131、特図停止図柄抽選手段132、特図変動パターン導出手段133の順に各手段による処理を実行する。特図抽選手段130は、特図の変動開始条件が充足された際に、メイン情報記憶手段160に保留されている作動保留情報のうちの最先の作動保留情報を読み出す。
なお、「特図の変動開始条件が充足される」とは、その一例として、大当り遊技中ではないこと、特図1および特図2のいずれも図柄変動の実行中でないこと(特図1または特図2に係る図柄変動の停止表示中も含む)、特図1および特図2のうちの少なくともいずれか一方に作動保留情報が存在することのすべての条件が充足されたことである。
【0081】
ここで、図9図13は、主制御基板100で用いられる抽選テーブルを模式的に示す図であり、以下の説明において必要に応じて参照する。
なお、これらの抽選テーブル以外も含め、抽選テーブルを用いた抽選では、読み出した乱数に対して抽選テーブルに記憶された抽選値をあらかじめ定められた順序に従って順次加算(対象となる抽選値が一つである場合には、加算回数は一回)され、キャリー(桁あふれ)が発生した抽選値に対応する結果が当該抽選の結果として導出される。同様に、抽選テーブルに関する説明では、説明の便宜上、抽選テーブルに名前を付しているが、名前に対応する抽選テーブルに含まれる抽選値等のデータが各ROMに識別可能に記憶されていればよく、これらの名前は、当該データが記憶される領域を特定するものではない。図示される抽選テーブルには、説明の便宜上記載された項目や、抽選値として「-」や「0」が記載されている場合があれば、これらは必ずしも各ROMに記憶されたデータを示すものではない。そして、抽選値として「-」や「0」が記載された結果に当選することはない。さらに、抽選に使用される乱数範囲(当該範囲で取得され得る乱数の数)と同一の抽選値が抽選テーブルに記載されている場合には、当該結果が100%導出されるため、必ずしも抽選を行う必要はない。また、一回の抽選に用いられる抽選値の合計値が、抽選に使用される乱数範囲と一致した場合には、最後の抽選値の加算で必ずキャリーが発生するため、当該加算を行わなくてよく、その場合には、当該加算に用いられる抽選値自体も不要となる。
【0082】
特図当否判定手段131は、図柄変動ごとに、特図当否判定用の乱数を読み出し、読み出した乱数と特図当否判定用の抽選テーブルを用いて大当り、小当り、ハズレのいずれに当選するかを抽選によって判定する特図当否判定を実行する。
図9(a)は、特図当否判定用の抽選テーブルを模式的に示す図であり、当該抽選テーブルは、特図1と特図2とで異なり、これらの判定で用いられる乱数の範囲は、0~65535である。そのため、特図1における特図当否判定では、205/65536(約1/320)の確率で大当りが導出され、それ以外でハズレとなり、小当りが導出されることがない。一方、特図2における特図当否判定では、205/65536(約1/320)の確率で大当りが導出され、1820/65536(約1/36.0)の確率で小当りが導出され、それ以外でハズレとなる。
なお、本実施形態では、後述する通り、小当りを経由して大当り遊技が生起され得るため、特図当否判定において大当りが導出される確率を上記した一の確率としている。
【0083】
特図停止図柄抽選手段132は、特図当否判定の結果が大当りや小当りとなった場合に、特図停止図柄抽選用の乱数(本実施形態では、0~999の範囲)と特図停止図柄抽選用の抽選テーブルを用いて特図の停止図柄を抽選によって決定する。
具体的には、特図1に係る特図当否判定において大当りが導出された場合に用いられる停止図柄抽選用の抽選テーブルを模式的に示す図である図9(b)に示す通り、特図1に係る特図当否判定において大当りが導出された場合には、500/1000(1/2)の確率で図柄Aが、450/1000(約1/2.22)の確率で図柄Bが、50/1000(1/20)の確率で図柄Cが、停止図柄として決定される。
ここで、図柄A、図柄B、および図柄Cのいずれが決定された場合にも、これらの停止図柄に対応する大当り遊技の終了後に後述する普図高確となるが、普図高確が継続する図柄変動の回数は、図柄Aが決定された場合の大当り遊技の終了後であれば10回、図柄Bまたは図柄Cが決定された場合の大当り遊技の終了後であれば80回となる。
さらに、図柄Aおよび図柄Bに対応する大当り遊技のラウンド数は4である一方、図柄Cに対応する大当り遊技のラウンド数は10である。そのため、図柄Cは、ラウンド数の観点で図柄Bよりも有利な図柄であり、図柄Bは普図高確に係る規定回数の観点で図柄Aよりも有利であると言える。
【0084】
図2に係る特図当否判定において大当りが導出された場合に用いられる停止図柄抽選用の抽選テーブルを模式的に示す図である図9(c)に示す通り、特図2に係る特図当否判定において大当りが導出された場合には、900/1000(約1/1.11)の確率で図柄aが、100/1000(1/10)の確率で図柄bが、停止図柄として決定される。
ここで、図柄aは、対応する大当り遊技のラウンド数が4であり、かつ当該大当り遊技の終了後に普図高確となる停止図柄であり、当該普図高確に係る規定回数は80回である。一方、図柄bは、対応する大当り遊技のラウンド数が10であり、かつ当該大当り遊技の終了後に普図高確となる停止図柄であり、当該普図高確に係る規定回数は80回である。そのため、図柄bは、ラウンド数の観点で図柄aよりも有利であると言える。
【0085】
図2に係る特図当否判定において小当りが導出された場合に用いられる停止図柄抽選用の抽選テーブルを模式的に示す図である図9(d)に示す通り、特図2に係る特図当否判定において小当りが導出された場合には、900/1000(約1/1.11)の確率で図柄cが、100/1000(1/10)の確率で図柄dが、停止図柄として決定される。
ここで、図柄cに係る小当り遊技において大当り遊技が生起された場合には、当該大当り遊技におけるラウンド数が4となり、かつ当該大当り遊技の終了後に規定回数が80回の普図高確となる。一方、図柄dに係る小当り遊技において大当り遊技が生起された場合には、当該大当り遊技におけるラウンド数が10となり、かつ当該大当り遊技の終了後に規定回数が80回の普図高確となる。そのため、図柄dは、大当り遊技が生起された場合のラウンド数の観点で図柄cよりも有利であると言える。
また、小当り遊技において大当り遊技が生起された場合の当該大当り遊技におけるラウンド数とは、当該小当り遊技を1回のラウンドとして計算した数である。また、以降の説明では、図柄cに係る小当り遊技で生起された大当り遊技を「図柄cに係る大当り遊技」と表現するとともに、図柄dに係る小当り遊技で生起された大当り遊技を「図柄dに係る大当り遊技」と表現する場合がある。
【0086】
また、特図停止図柄抽選手段132は、特図1に係る特図当否判定の結果がハズレとなった場合には、図柄Dを停止図柄として決定し、特図2に係る特図当否判定の結果がハズレとなった場合には、図柄eを停止図柄として決定する。
【0087】
このように、上述の本実施形態では、特図2に係る図柄変動において生起された大当り遊技は、特図1に係る図柄変動において生起された大当り遊技よりも有利度が高くなる傾向にある。そのため、後述する特図変動パターン導出状態PAから別の特図変動パターン導出状態への遷移によって遊技興趣をより高めることができる。
【0088】
特図変動パターン導出手段133は、特図変動パターンを決定する際に参照する特図変動パターン抽選テーブルを複数種類備え、現在の特図変動パターン導出状態と今回の特図当否判定の結果とに基づいて、今回の特図変動パターンを決定するための一つの特図変動パターン抽選テーブルを選択し、選択した特図変動パターン抽選テーブルと特図変動パターン抽選用の乱数とを用いて一つの特図変動パターンを決定し、決定した特図変動パターンに基づいて変動時間を決定する。ここで、変動時間とは、特図(特図1または特図2)に係る図柄変動が開始されてから当該図柄変動が終了するまでの時間を指す。
遷移条件等の詳細は後述するが、本実施形態における特図変動パターン導出状態には、特図変動パターン導出状態PA、特図変動パターン導出状態PB、および特図変動パターン導出状態PCが存在する。そして、上述の特図変動パターンの決定方法は、特図変動パターン導出状態PAでは、特図1の図柄変動で採用され、特図変動パターン導出状態PBおよび特図変動パターン導出状態PCでは、特図2の図柄変動で採用される。なお、各特図変動パターン導出状態における他方の特図に係る図柄変動では、特図当否判定の結果に応じてあらかじめ定められた一の特図変動パターンが決定される。
【0089】
図10(a)は、特図変動パターン導出状態PA時の特図1に係る図柄変動で用いられる特図変動パターン抽選テーブルを模式的に示す図であり、当該抽選で用いられる乱数の範囲は、0~999である。
図10(a)に示す通り、特図変動パターン導出状態PA時の特図1に係る図柄変動では、特図変動パターンHNP~特図変動パターンASP-Cが決定され得る。
具体的には、特図変動パターン導出状態PA時の特図1に係る図柄変動において特図当否判定の結果がハズレとなった場合には、900/1000(約1/1.11)の確率で特図変動パターンHNP、52/1000(約1/19.2)の確率で特図変動パターンHRP、13/1000(約1/76.9)の確率でHSP1-A、11/1000(約1/90.9)の確率でHSP1-B、9/1000(約1/111)の確率でHSP2-A、7/1000(約1/143)の確率でHSP2-B、5/1000(1/200)の確率でHSP3-A、3/1000(約1/333)の確率でHSP3-Bが決定され、当該場合には、特図変動パターンASP1-A~特図変動パターンASP-Cが決定されることはない。なお、詳細は図10(b)を用いて後述するが、特図変動パターンHNPが決定された場合には、今回の図柄変動開始時における特図1保留カウンタの値を用いて特図変動パターンがさらに特定される。
一方、特図変動パターン導出状態PA時の特図1に係る図柄変動において特図当否判定の結果が大当りとなった場合には、90/1000(約1/11.1)の確率で特図変動パターンASP1-A、110/1000(約1/約9.09)の確率で特図変動パターンASP1-B、135/1000(約1/7.41)の確率で特図変動パターンASP2-A、165/1000(約1/約6.06)の確率で特図変動パターンASP2-B、180/1000(約1/5.56)の確率で特図変動パターンASP3-A、220/1000(約1/4.56)の確率で特図変動パターンASP3-B、100/1000(1/10)の確率で特図変動パターンASP-Cが決定され、当該場合には、特図変動パターンHNP~特図変動パターンHSP3-Bが決定されることはない。
このように、本実施形態では、特図変動パターン導出状態PA時の特図1に係る図柄変動において特図当否判定の結果がハズレとなった場合には、100/1000(1/10)の割合で、特図変動パターンHRP~特図変動パターンHSP3-Bのいずれかが決定され、900/1000(約1/1.11)の割合で、特図変動パターンHNPが決定される。さらに、特図変動パターン導出状態PA時の特図1に係る図柄変動において特図当否判定の結果が大当りとなった場合には、1000/1000(1/1)の割合で、特図変動パターンASP1-A~特図変動パターンASP-Cのいずれかが決定される。
ここで、本実施形態の特図変動パターンに係る説明において、2つの特図変動パターンを、「~」を挟んで記載した場合、特図変動パターン導出状態ごとの特図変動パターン抽選テーブルに係る図面に記載した順序に従って、手前に記載された特図変動パターンと、後に記載された特図変動パターンとの間に存在する特図変動パターンの記載を省略したものとする。また、本実施形態の特図変動パターンに係る説明において、対応する変動時間の記載があるか否かに関わらず、特図変動パターンの名称が異なる場合は、異なる特図変動パターンが異なる(変動時間が異なる)ことを指す。
【0090】
図10(b)は、特図変動パターン導出状態PA時の特図1に係る図柄変動において特図変動パターンHNPが決定された場合に用いられる特図変動パターン抽選テーブルを模式的に示す図であり、当該抽選で用いられる乱数(図10(a)で示した特図変動パターン抽選テーブルに係る抽選で用いられる乱数とは異なる)の範囲は0~999である。
図10(b)に示す通り、特図変動パターン導出状態PA時の特図1に係る図柄変動において決定され得る特図変動パターンHNPには、変動時間が3200ms(ミリ秒)の特図変動パターンHNP-A、変動時間が5600msの特図変動パターンHNP-B、変動時間が8000msの特図変動パターンHNP-C、および変動時間が11200msの特図変動パターンHNP-Dがあり、この順に変動時間が長くなっている。
具体的には、今回の図柄変動開始時における特図1保留カウンタ=3である場合には、1000/1000(1/1)の確率で特図変動パターンHNP-Aが決定される。同様に、今回の図柄変動開始時における特図1保留カウンタ=2である場合には、150/1000(約1/6.67)の確率で特図変動パターンHNP-Aが、850/1000(約1/1.18)の確率で特図変動パターンHNP-Bが決定され、今回の図柄変動開始時における特図1保留カウンタ=1である場合には、50/1000(1/20)の確率で特図変動パターンHNP-Aが、150/1000(約1/6.67)の確率で特図変動パターンHNP-Bが、800/1000(1/1.25)の確率で特図変動パターンHNP-Cが決定され、今回の図柄変動開始時における特図1保留カウンタ=0である場合には、50/1000(1/20)の確率で特図変動パターンHNP-Bが、100/1000(1/10)の確率で特図変動パターンHNP-Cが、850/1000(約1/1.18)の確率で特図変動パターンHNP-Dが決定される。なお、以降の説明では、参照対象となる特図保留カウンタの値が3である場合には、「保3」、当該特図保留カウンタの値が2である場合には、「保2」、当該特図保留カウンタの値が1である場合には、「保1」、当該特図保留カウンタの値が0である場合には、「保0」、と称する場合がある。
このように、特図変動パターン導出状態PAにおいて特図変動パターンHNPが決定された場合には、今回の図柄変動開始時における特図1保留カウンタの値によって決定され易い特図変動パターン(変動時間)が異なる。より具体的には、今回の図柄変動開始時における特図1保留カウンタの値が小さくなるほど長い図柄変動が決定され易くなる(今回の図柄変動開始時における特図1保留カウンタの値が大きくなるほど短い変動時間が決定され易くなる)。
また、このような特図変動パターンHNP(以下、「基本特図変動パターン」と称する場合がある)は、特図変動パターン導出状態PBおよび特図変動パターン導出状態PCにおいても存在し、これらの特図変動パターン導出状態では、参照される保留カウンタが特図変動パターン導出状態PAとは異なり、いずれも特図2保留カウンタの値が参照される。
【0091】
図11(a)は、特図変動パターン導出状態PB時の特図2に係る図柄変動で用いられる特図変動パターン抽選テーブルを模式的に示す図であり、当該抽選で用いられる乱数の範囲は0~999である。
図11(a)に示す通り、特図変動パターン導出状態PB時の特図2に係る図柄変動では、特図変動パターンHNP~特図変動パターンASP-Fが決定され得る。
具体的には、特図変動パターン導出状態PB時の特図2に係る図柄変動において特図当否判定の結果がハズレとなった場合には、960/1000(約1/1.04)の確率で特図変動パターンHNP、20/1000(1/50)の確率で特図変動パターンHSP-D、15/1000(約1/66.7)の確率でHSP-E、5/1000(1/200)の確率でHSP-Fが決定され、当該場合には、特図変動パターンASP-D~特図変動パターンASP-Fが決定されることはない。なお、詳細は図11(b)を用いて後述するが、特図変動パターンHNPが決定された場合には、今回の図柄変動開始時における特図2保留カウンタの値を用いて特図変動パターンがさらに特定される。そして、この特図2保留カウンタを用いた特図変動パターンの決定方法は、後述する特図変動パターン導出状態PBにおいても同様である。
一方、特図変動パターン導出状態PB時の特図2に係る図柄変動において特図当否判定の結果が大当りまたは小当りとなった場合には、500/1000(1/2)の確率で特図変動パターンASP-D、350/1000(約1/2.86)の確率でASP-E、150/1000(約1/6.67)の確率でASP-Fが決定され、当該場合には、特図変動パターンHNP~特図変動パターンHSP-Fが決定されることはない。
このように、本実施形態では、特図変動パターン導出状態PB時の特図2に係る図柄変動において特図当否判定の結果がハズレとなった場合には、40/1000(1/25)の割合で、特図変動パターンHSP-D~特図変動パターンHSP-Fのいずれかが決定され、960/1000(約1/1.04)の割合で、特図変動パターンHNPが決定される。さらに、特図変動パターン導出状態PB時に特図当否判定の結果が大当りまたは小当りとなった場合には、1000/1000(1/1)の割合で、特図変動パターンASP-D~特図変動パターンASP-Fのいずれかが決定される。
【0092】
図11(b)は、特図変動パターン導出状態PB時の特図2に係る図柄変動において特図変動パターンHNPが決定された場合に用いられる特図変動パターン抽選テーブルを模式的に示す図であり、当該抽選で用いられる乱数(図11(a)で示した特図変動パターン抽選テーブルに係る抽選で用いられる乱数とは異なる)の範囲は0~999である。
図11(b)に示す通り、特図変動パターン導出状態PBの特図2に係る図柄変動において決定され得る特図変動パターンHNPには、変動時間が3000msの特図変動パターンHNP-E、および変動時間が15000msの特図変動パターンHNP-Fがある。
具体的には、今回の図柄変動開始時における特図2保留カウンタ=3である場合、今回の図柄変動開始時における特図2保留カウンタ=2である場合、および今回の図柄変動開始時における特図2保留カウンタ=1である場合、1000/1000(1/1)の確率で特図変動パターンHNP-Eが決定され、これらの場合には、特図変動パターンHNP-Fが決定されることはない。一方、今回の図柄変動開始時における特図2保留カウンタ=0である場合、1000/1000(1/1)の確率で特図変動パターンHNP-Fが決定され、これらの場合には、特図変動パターンHNP-Eが決定されることはない。
なお、特図変動パターンHNP-Eおよび特図変動パターンHNP-Fは、上述の特図変動パターン導出状態PAの特図1に係る図柄変動において特図変動パターンHNPが決定された場合に決定され得る特図変動パターン、後述の特図変動パターン導出状態PCに係る図柄変動において特図変動パターンHNPが決定された場合に決定され得る特図変動パターンのいずれとも異なる。
【0093】
図12(a)は、特図変動パターン導出状態PC時の特図2に係る図柄変動で用いられる特図変動パターン抽選テーブルを模式的に示す図であり、当該抽選で用いられる乱数の範囲は0~999である。
図12(a)に示す通り、特図変動パターン導出状態PC時の特図2に係る図柄変動で用いられる特図変動パターン抽選テーブルは、当該特図変動パターン導出状態において大当り遊技を挟まずに実行された図柄変動の回数によって異なる場合があり、特図変動パターン導出状態PC時の特図2に係る図柄変動では、特図変動パターンHNP~特図変動パターンASP-Iが決定され得る。
具体的には、特図変動パターン導出状態PC時の特図2に係る図柄変動において特図当否判定の結果がハズレとなった場合には、950/1000(約1/1.05)の確率で特図変動パターンHNP、25/1000(1/40)の確率で特図変動パターンHSP-G、15/1000(約1/66.7)の確率で特図変動パターンHSP-H、10/1000(1/100)の確率でHSP-Iが決定され、当該場合には、特図変動パターンASP-G~特図変動パターンASP-Iが決定されることはない。
一方、特図変動パターン導出状態PC時の特図2に係る図柄変動において特図当否判定の結果が大当りまたは小当りとなった場合には、当該特図変動パターン導出状態PCにおける回転数に関わらず、500/1000(1/2)の確率で特図変動パターンASP-G、350/1000(約1/2.86)の確率でASP-H、150/1000(約1/6.67)の確率でASP-Iが決定され、当該場合には、特図変動パターンHNP~特図変動パターンHSP-Iが決定されることはない。
【0094】
図12(b)は、特図変動パターン導出状態PC時の特図2に係る図柄変動において特図変動パターンHNPが決定された場合に用いられる特図変動パターン抽選テーブルを模式的に示す図であり、当該抽選で用いられる乱数(図12(a)で示した特図変動パターン抽選テーブルに係る抽選で用いられる乱数とは異なる)の範囲は0~999である。
図12(b)に示す通り、特図変動パターン導出状態PC時の特図2に係る図柄変動において決定され得る特図変動パターンHNPには、変動時間が2000msの特図変動パターンHNP-G、および変動時間が10000msの特図変動パターンHNP-Hがある。
具体的には、今回の図柄変動開始時における特図2保留カウンタ=3である場合、今回の図柄変動開始時における特図2保留カウンタ=2である場合、および今回の図柄変動開始時における特図2保留カウンタ=1である場合、1000/1000(1/1)の確率で特図変動パターンHNP-Gが決定され、これらの場合には、特図変動パターンHNP-Hが決定されることはない。一方、今回の図柄変動開始時における特図2保留カウンタ=0である場合、1000/1000(1/1)の確率で特図変動パターンHNP-Hが決定され、これらの場合には、特図変動パターンHNP-Gが決定されることはない。
なお、特図変動パターンHNP-Gおよび特図変動パターンHNP-Hは、上述の特図変動パターン導出状態PAの特図1に係る図柄変動において特図変動パターンHNPが決定された場合に決定され得る特図変動パターン、および上述の特図変動パターン導出状態PBの特図2に係る図柄変動において特図変動パターンHNPが決定された場合に決定され得る特図変動パターンのいずれとも異なる。
【0095】
また、特図変動パターン導出手段133は、図柄変動の開始時に、特図当否判定の結果、決定された特図の停止図柄、および決定された特図変動パターンを含む演出制御コマンド(変動開始コマンド)を生成し、当該コマンドをメイン情報記憶手段160の送信コマンド格納領域に記憶させる。
【0096】
普図抽選手段135は、特図抽選手段130と同様に、普図の図柄変動中でない場合に、メイン情報記憶手段160に保留されている作動保留情報のうちの最先の作動保留情報を読み出し、読み出した乱数を用いて、普図の当否を判定する普図当否判定を実行するとともに、当該普図当否判定の結果および現在の特図変動パターン導出状態等の情報に基づいて、普図に係る各種パラメータ(普図変動時間、普図停止表示時間等)を決定する。
普図当否判定では、普図抽選状態が高確率の状態(「普図高確」と略称する場合がある)と、普図抽選状態が低確率の状態(「普図低確」と略称する場合がある)とがあり、抽選テーブルの図示は省略するが、本実施形態では、普図高確では、65535/65536の確率で普図当りとなり、残りの1/65536の確率でハズレとなる一方、普図低確では、1/65536の確率で普図当りとなり、残りの65535/65536の確率でハズレとなる。なお、普図低確では、普図当りとならない(65536/65536でハズレとなる)ようにしてもよい。
【0097】
大当り遊技制御手段140は、大当り遊技の開始時には、当該大当り遊技に係る情報(ラウンド数や、その後の特図変動パターン導出状態)を含む演出制御コマンド(大当り開始コマンド)を生成し、メイン情報記憶手段160の送信コマンド格納領域に記憶させ、大当り遊技の終了時には、当該大当り遊技の終了デモに係るデモ時間を含む演出制御コマンド(大当り終了コマンド)を生成し、メイン情報記憶手段160の送信コマンド格納領域に記憶させる。これは、小当り遊技によって生起される大当り遊技においても同様である。
【0098】
また、大当り遊技制御手段140は、特図当否判定の結果が小当りである場合には、小当り遊技を開始し、当該小当り遊技において遊技球が大入賞口55内に設けられたV入賞領域(図示省略)を通過した場合には、当該小当り遊技の終了後に、当該小当りに対応する大当り遊技を開始可能とする。したがって、本実施形態において、小当り遊技は、大当り遊技を生起するものとして機能する。なお、小当り遊技においてV入賞領域を遊技球が通過しなかった場合には、当該小当り遊技の終了後に大当り遊技が開始されない。
【0099】
図柄表示制御手段145は、決定された特図1の特図変動パターンに対応する変動時間に従って、特図1を第1特別図柄表示装置91に変動表示させるとともに、当該変動時間の経過後に特図停止図柄抽選によって決定された停止図柄で特図1を停止表示させる。同様に、決定された特図2の特図変動パターンに対応する変動時間に従って、特図2を第2特別図柄表示装置92に変動表示させるとともに、当該変動時間の経過後に特図停止図柄抽選によって決定された停止図柄で特図2を停止表示させる。ここで、特図に係る図柄変動の停止表示時間とは、特図が停止表示されてから次の特図の図柄変動が開始可能になるまでの時間(特図当否判定の結果がハズレの場合)、または特図の図柄変動が終了してから大当り遊技または小当り遊技が開始されるまでの時間(普図当否判定の結果が普図当りの場合)を指し、本実施形態における特図に係る図柄変動の停止表示時間は、特図の種類や特図当否判定の結果に関わらず、一律に300msである。
また、図柄表示制御手段145は、特図1および特図2の表示に係る時間(変動時間、停止表示時間)を管理するための特図遊技タイマを有し、特図を停止表示させる際に(特図遊技タイマの値が「0」となるタイミングで)、装飾図柄の確定停止表示を要求するための演出制御コマンド(変動停止コマンド)を生成し、当該コマンドをメイン情報記憶手段160の送信コマンド格納領域に格納する。
ここで、装飾図柄の確定停止表示とは、図柄変動における装飾図柄の最終的な停止表示を指し、図柄変動の実行途中において発生し得る装飾図柄の仮停止表示とは異なる。そして、装飾図柄の仮停止表示では、例えば、停止表示されている装飾図柄が上下に小刻みに揺れる動作(いわゆる、揺れ変動)を伴う一方、装飾図柄の確定停止表示では、停止表示されている装飾図柄が揺れ変動を伴わない等、同一の装飾図柄が停止表示された場合であっても、確定停止表示された装飾図柄の停止表示態様と、仮停止表示された装飾図柄の停止表示態様と、が異なる。そのため、遊技者は、装飾図柄の停止表示が、確定停止表示であるか仮停止表示であるかを認識することができる。
【0100】
さらに、図柄表示制御手段145は、決定された普図の普図変動パターンに対応する変動時間に従って、普図を普通図柄表示装置93に変動表示させるとともに、当該変動時間の経過後に、決定された停止図柄で普図を停止表示させる。
なお、図柄表示制御手段145は、普図に係る時間(普図変動時間、普図停止表示時間等)を管理するための普図遊技タイマを有する。
【0101】
電動役物制御手段150は、上述の大当り遊技や小当り遊技において、特別電動役物ソレノイド66に制御信号を出力し、特別電動役物65を特図の停止図柄に対応する開放パターンに従って開放させる。
【0102】
遊技状態制御手段155は、普図抽選状態を制御する。具体的には、遊技状態制御手段155は、大当り遊技の開始時に当該大当り遊技に係る特図の停止図柄に関わらず普図低確とし、大当り遊技の終了等の規定条件が充足された場合には、規定回数の図柄変動が行われるまで普図高確とし、規定回数の図柄変動が行われた後は普図低確とする。特に、本実施形態では、小当り遊技中は、当該小当り遊技が生起された図柄変動における普図抽選状態が維持される。
【0103】
このような普図抽選状態は、上述の特図変動パターン導出状態とリンクして変化し、特図変動パターン導出状態の遷移は遊技状態制御手段155によって管理される。以下、特図変動パターン導出状態の遷移について、図13(a)および図13(b)を参照しながら説明する。なお、図13(a)は、特図変動パターン導出状態の遷移を示す状態遷移図であり、図13(b)は、特図変動パターン導出状態ごとの平均変動時間の関係を示す図である。
図13(a)に示す通り、特図変動パターン導出状態には、普図低確に対応する特図変動パターン導出状態として、特図変動パターン導出状態PAがあり、普図高確に対応する特図変動パターン導出状態として、特図変動パターン導出状態PBおよび特図変動パターン導出状態PCがあり、大当り遊技中を除いて、これらの特図変動パターン導出状態のいずれかが設定される。そして、特図変動パターン導出状態PA~特図変動パターン導出状態PC間の遷移条件には、遷移条件(i)~遷移条件(v)がある。
【0104】
具体的には、遷移条件(i)は、図柄Aに係る大当り遊技の終了、遷移条件(ii)は、図柄Bまたは図柄Cに係る大当り遊技の終了、遷移条件(iii)は、図柄a、図柄b、図柄c、図柄dに係る大当り遊技の終了、遷移条件(iv)は、普図高確において大当り遊技を挟まずに実行された特図2に係る図柄変動の回数が10回(特図変動パターン導出状態PBに係る規定回数)となる図柄変動の終了、遷移条件(v)は、普図高確において大当り遊技を挟まずに実行された特図2に係る図柄変動の回数が80回(特図変動パターン導出状態PCに係る規定回数)となる図柄変動の終了である。
なお、特図変動パターン導出状態PCにおいて大当り遊技が生起された場合には、当該大当り遊技の終了後に再度特図変動パターン導出状態PCに遷移し、特図変動パターン導出状態PCに係る規定回数までに実行可能な特図2に係る図柄変動の回数がリセットされる。また、図示は省略するが、特図変動パターン導出状態PCにおいて生起された小当り遊技において大当り遊技が生起されなかった場合、および遷移条件(iii)に係る小当り遊技において大当り遊技が生起されなかった場合には、当該小当り遊技の終了を契機に、現在の特図変動パターン導出状態が終了して特図変動パターン導出状態PAに遷移する。
【0105】
図13(b)に示す通り、特図変動パターン導出状態PA、特図変動パターン導出状態PB、および特図変動パターン導出状態PCのそれぞれの平均変動時間は、特図変動パターン導出状態PA、特図変動パターン導出状態PB、特図変動パターン導出状態PCの順に短くなる。これは、各特図変動パターン導出状態で最も決定され易い基本特図変動パターンに係る変動時間の長短に起因する。ここで、平均変動時間とは、或る特図変動パターン導出状態において選択され得る特図変動パターンに係る変動時間のそれぞれに対して出現率(当該特図当否判定の結果が導出される確率に対して当該特図変動パターンの当選確率を掛け算することで導出される、任意の図柄変動において発生し得る確率)を掛け算することで導出される変動時間の総和を指す。ただし、本実施形態では、当該或る特図変動パターン導出状態において選択され得る特図変動パターンが一つである場合には、当該特図変動パターンに係る変動時間を平均変動時間として扱う。
【0106】
また、遊技状態制御手段155は、普図抽選状態や特図変動パターン導出状態の遷移が発生した場合に、遷移後の状態を含む演出制御コマンド(遊技状態指定コマンド)を生成し、当該コマンドをメイン情報記憶手段160の送信コマンド格納領域に記憶させる。
さらに、遊技状態制御手段155は、各特図変動パターン導出状態において、他の特図変動パターン導出状態への遷移に係る図柄変動の実行回数をカウントし、図柄変動が開始されるごとに、カウントしている図柄変動の回数を含む演出制御コマンドを生成し、当該コマンドをメイン情報記憶手段160の送信コマンド領域に記憶させる。なお、当該演出制御コマンドに含まれる情報は、上述の変動開始コマンドに含まれるようにしてもよい。
【0107】
メイン情報記憶手段160は、上述の通り、各手段によって読み出されたデータや、各手段による演算等によって導出されたデータ等を各々に対応する格納領域に一時的に記憶する手段である。
【0108】
メインエラー制御手段165は、I/Oポート104の入力情報を監視し、遊技機10がエラー状態であるか否かを判定する。エラー状態であると判定された場合には、当該エラー状態を特定可能な情報を含む演出制御コマンド(エラーコマンド)をメイン情報記憶手段160の送信コマンド格納領域に格納する。
【0109】
メインコマンド管理手段170は、メイン情報記憶手段160の送信コマンド格納領域に演出制御コマンドが記憶されている場合に、当該演出制御コマンドを第1副制御基板200に向けて送信する。
なお、各演出制御コマンドは、原則として、メイン情報記憶手段160の送信コマンド格納領域に記憶された順番に従って送信される。
【0110】
復電処理実行手段175は、復帰状態設定手段176および遊技可能状態移行手段179を備える。
【0111】
復帰状態設定手段176は、復電時にRAM103に異常があるか否か、当該復電の直前の電断時の状態、復電時のRAMクリアスイッチ43の状態、および復電時の中枠開扉センサ76の状態に基づいて、復帰状態を設定する復帰状態設定処理を実行する。当該処理によって設定される復帰状態には、遊技停止状態および遊技可能状態(RAMクリア処理の実行を伴う場合と、RAMクリア処理の実行を伴わない場合とがある)がある。
具体的には、復電時にRAM103に異常がある場合には、復電時のRAMクリアスイッチ43の状態および中枠開扉センサ76の状態に関わらず、遊技停止状態が設定される。また、復電時にRAM103に異常がなく、復電時のRAMクリアスイッチ43がON(押下された状態)であれば、復電時の中枠開扉センサ76がONであることを条件にRAMクリア処理が実行されて遊技可能状態が設定され(復電時の中枠開扉センサ76がOFFである場合には、RAMクリア処理が実行されずに遊技可能状態が設定される)、復電時にRAM103に異常がなく、復電時のRAMクリアスイッチ43がOFF(押下されていない状態)であれば、RAMクリア処理が実行されずに遊技可能状態が設定される。
ここで、遊技停止状態とは、各入賞口に設けられたセンサの検知結果に応じた処理を実行しない(当該センサの検知結果自体を見なくてもよい)ことで、遊技の進行が不可能となる復帰状態である。
一方、遊技可能状態とは、各入賞口に設けられたセンサの検知結果に応じた処理を実行することで、遊技の進行が可能となる復帰状態である。特に、復電時にRAMクリア処理が実行されない場合には、直前の電断時における遊技可能状態に復帰する。例えば、直前の電断時が大当り遊技や小当り遊技の実行中であれば、実行中であった大当り遊技や小当り遊技に復帰し、直前の電断時が図柄変動の実行中であれば、実行中であった図柄変動に復帰する。
【0112】
また、RAM103に異常があるか否かとは、復帰状態設定処理の先頭で行われるRAM異常チェック(具体的には、対象となる領域に係るバックアップ情報領域にバックアップフラグが記憶されているか否か(バックアップフラグがONであるか否か)を判定し、当該バックアップフラグが記憶されている場合(当該バックアップフラグがONである場合)には、対象となる領域と当該領域に係るバックアップ情報領域に記憶されている補数のチェックサムを導出し、当該演算結果が0である場合には、対象となる領域が正常であると判断し、それ以外は、対象となる領域が異常であると判断する処理)をRAM103の遊技に係る領域に対して実行して判断される。
【0113】
遊技可能状態移行手段179は、遊技可能状態が設定された場合に、遊技可能状態へ移行させる遊技可能状態移行処理を実行する。
具体的に説明すると、遊技可能状態移行処理では、セキュリティ信号の出力がONになっている場合には、セキュリティ信号の出力をOFFにする処理、およびデバイスの初期設定が実行される。
また、デバイスの初期設定では、払出制御基板400に遊技球の発射を許可するための発射許可コマンドの送信や、各入賞口への入球が有効となる状態の設定や、乱数回路105を起動させるためのデータの設定等の処理が実行される。
【0114】
電断処理実行手段180は、電源制御基板500からの電断信号を受信したことに基づいて電断処理を実行する。
具体的には、RAM103のうちの遊技に係る領域に対しては、当該領域のチェックサムを導出し、当該チェックサムの補数をRAM103の遊技に係るバックアップ情報領域に記憶させる処理、および当該領域に対する電断処理が実行されたことを示すバックアップフラグをONにする(RAM103の遊技に係るバックアップ情報領域にバックアップフラグを記憶させる)処理を実行する。
【0115】
第1副制御基板200は、図8に示すように、サブ乱数発生手段210、通常演出制御手段220、サブエラー制御手段230、ランプ制御手段240、可動役物制御手段245、音量調整手段250、輝度調整手段255、サブ情報記憶手段260、およびサブコマンド管理手段270を備えており、これらの手段は、図7を用いて説明した第1副制御基板200上の各制御構成によって実現されるものを機能的に表したものである。
ここで、サブ情報記憶手段260は、第1副制御基板200が備える手段によって読み出されたデータや、当該手段における演算によって導出されたデータ等を各々に対応する格納領域に一時的に記憶する手段である。また、メインコマンド管理手段170から送信された演出制御コマンドは、サブコマンド管理手段270によってサブ情報記憶手段260の受信コマンド格納領域に記憶される。なお、以降の説明では、メインコマンド管理手段170から送信された演出制御コマンドが、サブコマンド管理手段270によってサブ情報記憶手段260の受信コマンド格納領域に記憶されることを、単に、演出制御コマンドの受信と表現する場合がある。
【0116】
サブ乱数発生手段210は、CPU201によってプログラム処理で更新される乱数(ソフトウェア乱数)を生成可能であり、通常演出制御手段220による各抽選(詳細は後述)が実行されるタイミングで乱数を取得する。
【0117】
通常演出制御手段220は、演出モード制御手段221、演出ルート決定手段222、サブ保留制御手段223、先読み演出制御手段224、演出内容決定手段225、装飾図柄制御手段226、および大当り演出制御手段227を備える。
【0118】
演出モード制御手段221は、遊技状態指定コマンドを受信した場合に、主制御基板100側で管理された特図変動パターン導出状態との整合性を取るかたちで、演出モードの遷移を制御する。
本実施形態における演出モードは、通常モード、チャレンジモード、RUSHモードに大別され、特図変動パターン導出状態PAには通常モード、特図変動パターン導出状態PBにはチャレンジモード、特図変動パターン導出状態PCにはRUSHモードが対応する。
【0119】
演出ルート決定手段222は、事前判定コマンドを受信した場合に、当該コマンドに含まれる事前判定の結果(本実施形態では、特図変動パターン)に基づいて、今回保留された図柄変動に対応する演出ルートを決定(設定)する。なお、演出ルート決定手段222は、当該図柄変動に対応する特図変動パターンが上述の特図変動パターンHNPであった場合には、事前判定コマンドが送信された場合に演出ルートは決定せず、図柄変動の開始時に、変動開始コマンドに含まれる特図変動パターン(例えば、特図変動パターン導出状態PAであれば、特図変動パターンHNP-A~特図変動パターンHNP-D)に基づいて演出ルートを決定する。
ここで、演出ルートとは、図柄変動の開始から終了までの演出であって当該図柄変動における特図当否判定の結果を報知する演出の過程を規定するものであり、当該図柄変動で実行される演出の内容は、後述する演出内容決定手段225によって当該図柄変動に対応する演出ルートに従って決定されることとなる。
【0120】
本実施形態における演出ルートは、今回の図柄変動における特図当否判定の結果がハズレであること(今回の図柄変動における特図当否判定の結果が大当りおよび小当りのいずれでもないこと)を報知するハズレ演出ルートと、今回の図柄変動における特図当否判定の結果が大当りまたは小当りであることを報知する大当り演出ルートに大別される。さらに、ハズレ演出ルートには、発展演出が実行されない非発展ハズレ演出ルートと、発展演出が実行される発展ハズレ演出ルートがある。なお、後述する通り、大当り演出ルートが決定された場合には、特段の説明がない限り、発展演出が実行される。
ここで、発展演出とは、装飾図柄がリーチ状態(一つの図柄列を除いて装飾図柄が停止表示され、残りの図柄列が変動表示されている状態)となった以降に実行される演出であって、その終盤に今回の図柄変動における特図当否判定の結果が大当りまたは小当りであるか否かを報知する演出を指す。したがって、発展ハズレ演出ルートに対応する発展演出では、当該発展演出に対応する一連の演出が実行され、その終盤に今回の図柄変動における特図当否判定の結果が大当りおよび小当りのいずれでもないことが報知される。一方、大当り演出ルートに対応する発展演出では、当該発展演出に対応する一連の演出が実行され、その終盤に今回の図柄変動における特図当否判定の結果が大当りまたは小当りであることが報知される。
【0121】
特に、本実施形態では、発展演出が実行される図柄変動において、装飾図柄がリーチ状態となった後に演出遮蔽体83を用いた覆蓋演出が実行され、その後に発展演出が実行される。
ここで、覆蓋演出とは、演出遮蔽体83が、図6(a)で示した初期位置から、図6(b)で示した位置を経由して図6(c)で示した位置まで移動し、当該位置で一定時間(本実施形態では5秒であるが、当該時間の長さは問わない)保持され、その後に図6(b)で示した位置を経由して図6(a)で示した初期値に戻るものである。ただし、覆蓋演出は、このような動作に限らず、例えば、図6(b)で示した位置から図6(c)で示した位置まで移動し、当該位置で一定時間保持され、その後に図6(b)で示した位置に戻るものであってもよいし、図6(a)で示した位置から図6(b)で示した位置まで移動し、当該位置で一定時間保持され、その後に図6(a)で示した位置に戻るものであってもよい。
【0122】
また、後述する通り、本実施形態では、一の演出モードにおいて、決定された特図変動パターンのそれぞれに対し、互いに異なる一の演出ルートが対応する。そのため、以降の説明では、特図変動パターンに対する演出ルートを、単に、特図変動パターンで表現する場合がある。ただし、一の特図変動パターンに対して複数の演出ルートを対応させてもよく、この場合には、決定された特図変動パターンに対応する複数の演出ルートから一の演出ルートを決定するようにすればよい。
【0123】
サブ保留制御手段223は、保留コマンドを受信した場合(以下、単に、保留入賞の発生と表現する場合がある)に、当該コマンドに含まれる特図1保留カウンタと特図2保留カウンタの情報に基づいて、メイン表示部81の保留表示領域(図示省略)に、特図1保留カウンタに対応する数の保留画像と、特図2保留カウンタに対応する数の保留画像とを表示させるための演出データを設定する。なお、保留画像とは、大当り遊技が生起される期待度等の有利度を示唆する種々の態様に変化する保留先読み演出の対象となる画像である。
【0124】
先読み演出制御手段224は、事前判定コマンドを受信した場合に、当該コマンドに含まれる事前判定の結果に基づいていわゆる先読み演出の内容を決定する。
【0125】
演出内容決定手段225は、変動開始コマンドを受信した場合に、演出ルート決定手段222によって既に決定された演出ルートに従って今回の図柄変動において実行する演出の内容を決定する。
より具体的には、演出内容決定手段225は、図柄変動における演出実行タイミングごとの演出の内容(演出パターン)を、演出ルート決定手段222によって決定された演出ルートに対応する演出パターン抽選テーブルを用いた抽選等によって決定する。このようにすることで、決定された演出ルートに係る(に従って実行される)演出の内容を変えることができるとともに、一つの図柄変動における演出に繋がりを持たせることができる。また、同一の演出ルートが決定された場合であっても、実行される演出を多彩にすることもできる。なお、演出の内容を決定するタイミングとしては、例えば、図柄変動の開始時が挙げられる。
【0126】
装飾図柄制御手段226は、変動開始コマンドを受信した場合に、決定された特図の停止図柄に基づいて、最終的な(確定停止表示される)装飾図柄の組合せ(左図柄・中図柄・右図柄)を決定する。
具体的には、特図1に係る図柄変動では、図柄Aおよび図柄Bに対して7図柄を除く装飾図柄に係る図柄揃いのいずれかが決定され、図柄Cに対して7図柄に係る図柄揃いが決定される。そのため、本実施形態では、7図柄を除く装飾図柄に係る図柄揃いが停止表示されたとしても、当該停止表示された図柄揃いから、その後の演出モード、すなわち、当該図柄揃いに係る大当り遊技の終了を契機に設定される演出モードを正確に判断することができないようになっている。一方、7図柄に係る図柄揃いが停止表示された場合には、その後にRUSHモードが設定されることを遊技者が判断可能となる。
また、特図2に係る図柄変動では、図柄aおよび図柄cに対して7図柄を除く装飾図柄に係る図柄揃いのいずれかが決定され、図柄bおよび図柄dに対して7図柄を含む装飾図柄に係る図柄揃いのいずれかが決定される。そのため、本実施形態では、7図柄を除く装飾図柄に係る図柄揃いが停止表示された場合には、当該図柄揃いに係る大当り遊技のラウンド数を正確に判断することができないようになっている。一方、7図柄に係る図柄揃いが停止表示された場合には、当該図柄揃いに係る大当り遊技のラウンド数が10であることを遊技者が判断可能となる。
【0127】
大当り演出制御手段227は、大当り開始コマンドを受信した場合に、当該コマンドに含まれる情報等に基づいて、大当り遊技中の演出の内容を決定する。なお、大当り遊技中の演出には、ラウンド遊技中であることを報知するラウンド演出や、大当り遊技の終了を報知する終了デモ演出が存在する。
また、本実施形態において、大当り演出制御手段227は、大当り遊技終了後の演出モードを告知する(大当り遊技終了後の演出モードを特定可能な)演出モード告知演出の内容を決定可能に構成されており、開始条件を含む当該演出の詳細は後述する。
【0128】
通常演出制御手段220は、第1副制御基板200が備える上述の手段によって決定された演出の内容に従って、各演出の実行タイミングで当該演出に対応する各デバイスの演出データを読み出す。なお、読み出した演出データに画像に係る演出データがある場合には、当該演出データに基づいて画像制御コマンドを生成し、当該コマンドをサブ情報記憶手段260の送信コマンド格納領域に格納する。さらに、読み出した演出データに音響に係る演出データがある場合には、当該演出データに基づいて音響に関する音声制御コマンドを生成し、当該コマンドをサブ情報記憶手段260の送信コマンド格納領域に格納する。
また、通常演出制御手段220は、RAMクリア処理の実行を伴って復電時の復帰状態が遊技可能状態となった場合には、RAMクリア処理の実行を伴って遊技可能状態となったことを報知させるための演出データを読み出し、RAMクリア処理の実行を伴わずに復電時の復帰状態が遊技可能状態となった場合には、RAMクリア処理の実行を伴わずに遊技可能状態となったことを報知させるための演出データを読み出す。さらに、通常演出制御手段220は、復電時の復帰状態が遊技停止状態となった場合には、遊技停止状態となったことに加え、RAMクリア処理の実行が必要となったことを報知させるための演出データを読み出す。なお、これらの報知の詳細は省略するが、実行が開始されてから一定時間(例えば、30s)継続して実行されることが好ましく、当該報知を実行する演出デバイスは問わない。
【0129】
サブエラー制御手段230は、エラーコマンドが送信された場合に、エラー報知パターンを決定し、当該エラー報知パターンに従ってエラー報知を実行するための演出データを読み出す。
なお、エラー報知は、図柄変動において実行される変動演出よりも優先して実行される。ここで、エラー報知が優先して実行されるとは、エラー報知の実行に係るデバイスと変動演出の実行に係るデバイスが同一のデバイスである場合に、当該デバイスにおいてエラー報知のみが実行される(エラー報知の実行によって変動演出の実行が規制される)場合に限らず、当該デバイスにおいてエラー報知が変動演出よりも認識され易い態様で実行されることを含む。特に、本実施形態において、エラー報知の音声(以下、「エラー音」と称する)に係る音声制御コマンドは、音声再生チャネルCH31に対応する音声制御データで構成される。一方、変動演出の音声(以下、「変動音」と称する)に係る音声制御コマンドは、音声再生チャネルCH0~音声再生チャネルCH30のいずれかに対応する音声制御データで構成される。
また、サブエラー制御手段230は、独自に(メインエラー制御手段165と独立して)遊技機10がエラー状態であるか否かを判定し、エラー状態であると判定した場合にエラー報知を実行する演出データを読み出すようにしてもよい。
【0130】
ランプ制御手段240は、演出ランプ35等の各種ランプの点灯を制御するためのランプ制御データを保持しており、例えば、通常演出制御手段220によって読み出された演出データにランプに対応する演出データがある場合には、ランプ制御手段240は、当該演出データに基づいてランプ制御データを読み出し、読み出したランプ制御データを実行対象のランプへ送信する。
【0131】
可動役物制御手段245は、通常演出制御手段220によって読み出された演出データに可動役物に対応する演出データがある場合には、当該演出データに基づいてROM202から演出遮蔽体83等の可動を制御するための可動制御データを読み出し、読み出した可動制御データを対象の可動体へ送信し、可動装飾体22、サブ表示部82、および演出遮蔽体83の可動を制御する。
【0132】
音量調整手段250は、音量を調整する音量調整処理、および上述の音量調整コマンドを生成する音量調整コマンド生成処理を実行する。
なお、これらの処理の詳細は後述するが、音量調整コマンド生成処理が実行される際、すなわち、音量が調整された場合には、調整後の音量を特定可能な音量特定画像がメイン表示部81に係る表示領域に表示される。
【0133】
輝度調整手段255は、輝度を調整する輝度調整処理、および上述の輝度調整コマンドを生成する輝度調整コマンド生成処理を実行する。
なお、これらの処理の詳細は後述するが、輝度調整コマンド生成処理が実行される際、すなわち、輝度が調整された場合には、調整後の輝度を特定可能な輝度特定画像がメイン表示部81に係る表示領域に表示される。
【0134】
サブ情報記憶手段260は、上述の通り、第1副制御基板200が備える手段によって読み出されたデータや、当該手段における演算によって導出されたデータ等を各々に対応する格納領域に一時的に記憶する手段である。
【0135】
サブコマンド管理手段270は、主制御基板100から送信された演出制御コマンドを受信し、受信した演出コマンドをサブ情報記憶手段260の受信コマンド格納領域に記憶させる、また、サブコマンド管理手段270は、サブ情報記憶手段260の送信コマンド格納領域に画像制御コマンドが記憶されている場合には、当該画像制御コマンドを第2副制御基板300に向けて送信する。さらに、サブコマンド管理手段270は、当該格納領域に音声制御コマンドまたは音量調整コマンドが記憶されている場合には、これらのコマンドを音声制御基板310に向けて送信される。なお、これらのコマンドは、原則として、サブ情報記憶手段260の送信コマンド格納領域に記憶された順番に従って送信される。
【0136】
以上説明した通り、本実施形態に係る遊技機10は、音量調整部85の操作だけでなく、上カーソルボタン38aや下カーソルボタン38bの操作により音量を調整可能とすることで、遊技者の嗜好に合わせた音量を出音可能とするとともに、メイン表示部81に係る表示領域に現在の音量(調整後の音量)を特定可能な音量特定画像を表示するように構成している。しかし、メイン表示部81に係る表示領域は、演出遮蔽体83による覆蓋演出によって覆蓋されるように構成されている。
そのため、覆蓋演出が音量調整操作のミスを誘発し、図柄変動の実行中に意図せぬ音量が設定されてしまう虞がある。これは、上述した輝度調整に関しても同様である。
これに対し、本実施形態では、上カーソルボタン38aや下カーソルボタン38bの操作による音量調整を規制する調整不可期間を用いて覆蓋演出の実行による音量調整ミスや輝度調整ミスを抑止している。以下、当該機能の詳細を説明する。
【0137】
<音量調整処理について>
まず、上記機能を説明するのに先立ち、図14図17を用いて、音量調整手段250によって実行される音量調整処理の詳細を説明する。
図14は、遊技可能状態移行時(遊技可能状態移行コマンド受信時)に実行される音量調整処理である遊技可能状態移行時音量調整処理のフローである。
図15は、遊技可能状態移行中に実行される音量調整処理である遊技可能状態中音量調整処理のフローであり、当該処理は遊技可能状態中の第1副制御基板200における割込み周期ごとに実行される処理である。
図16は、音量調整コマンドを生成する音量調整コマンド生成処理のフローであり、当該処理は、各音量調整処理によって音量が更新されるごと、すなわち、当該音量調整処理によって、RAM203の各音声再生チャネルに対応する記憶領域に音量が設定される(RAM203の各音声再生チャネルに対応する記憶領域の音量が更新される)ごとに実行される。
図17は、音量調整コマンドを生成するその他音量調整処理フローであり、当該処理は、遊技可能状態中音量調整処理と同様に、第1副制御基板200の割込み周期ごとに実行される処理である。
【0138】
図14に示す通り、遊技可能状態移行時音量調整処理における最初のステップS201では、音量調整部85の段階が音量大であるか否かを判定し、当該条件が充足された場合にはステップS203に進み、当該条件が充足されなかった場合にはステップS205に進む。
ここで、当該音量調整部85の段階とは、今回の遊技可能状態移行時音量調整処理の実行契機となった電源投入時における音量調整部85の段階を指す。
【0139】
ステップS203では、音声再生チャネルCH0~音声再生チャネルCH30の音量に音量10を設定する。
ステップS205では、音量調整部85の段階が音量中であるか否かを判定し、当該条件が充足された場合にはステップS207に進み、当該条件が充足されなかった場合にはステップS209に進む。
ステップS207では、音声再生チャネルCH0~音声再生チャネルCH30の音量に音量5を設定し、その後に遊技可能状態移行時音量調整処理を終了する。
ステップS209では、音声再生チャネルCH0~音声再生チャネルCH30の音量に音量1を設定する。
ステップS211では、音声再生チャネルCH31の音量に音量10を設定し、その後に遊技可能状態移行時音量調整処理を終了する。
【0140】
このように、本実施形態では、遊技可能状態の移行時には、当該遊技可能状態の移行に係る電源投入時の音量調整部85の段階に基づいて、音声再生チャネルCH0~音声再生チャネルCH30の音量が設定される。一方、音声再生チャネルCH31の音量には、当該音量調整部85の段階に関わらず、音量10が設定される。
【0141】
次に、図15に示す通り、遊技可能状態中音量調整処理における最初のステップS301では、調整可能期間であるか否かを判定し、当該条件が充足された場合にはステップS303に進み、当該条件が充足されなかった場合(調整不可期間である場合)には遊技可能状態中音量調整処理を終了する。
ステップS303では、下カーソルボタン38bが操作されたか否かを判定し、当該条件が充足された場合にはステップS305に進み、当該条件が充足されなかった場合にはステップS309に進む。
【0142】
ステップS305では、音声再生チャネルCH0~音声再生チャネルCH30の音量に音量1が設定されているか否かを判定し、当該条件が充足されなかった場合にはステップS307に進み、当該条件が充足された場合には遊技可能状態中音量調整処理を終了する。
すなわち、遊技可能状態中音量調整処理では、音声再生チャネルCH0~音声再生チャネルCH30の音量が音量1である場合には後述するステップS307における音量の減算処理が実行されない。そのため、遊技可能状態中音量調整処理において音量0に設定されないように構成されている。
【0143】
ステップS307では、音声再生チャネルCH0~音声再生チャネルCH30の音量を1減算し、その後に遊技可能状態中音量調整処理を終了する。
ステップS309では、上カーソルボタン38aが操作されたか否かを判定し、当該条件が充足された場合にはステップS311に進み、当該条件が充足されなかった場合には遊技可能状態中音量調整処理を終了する。
ステップS311では、音声再生チャネルCH0~音声再生チャネルCH30の音量に音量10が設定されているか否かを判定し、当該条件充足されなかった場合にはステップS313に進み、当該条件が充足された場合には遊技可能状態中音量調整処理を終了する。
ステップS313では、音声再生チャネルCH0~音声再生チャネルCH30の音量を1加算し、その後に遊技可能状態中音量調整処理を終了する。
【0144】
このように、本実施形態では、遊技可能状態中の調整可能期間において、下カーソルボタン38bまたは上カーソルボタン38aを操作することで、音声再生チャネルCH0~音声再生チャネルCH30の音量を調整することができる。一方、これらの操作により、音声再生チャネルCH31の音量は調整されない。
そのため、音声再生チャネルCH0~音声再生チャネルCH30のいずれかに対応する変動音に係る音量は、下カーソルボタン38bまたは上カーソルボタン38aの操作によって調整可能となっている。一方、音声再生チャネルCH31に対応するエラー音に係る音量は、下カーソルボタン38bまたは上カーソルボタン38aの操作によって調整不可能となっている。
【0145】
次に、図16に示す通り、音量調整コマンド生成処理における最初のステップS401では、音量の更新があったか否かを判定し、当該条件が充足された場合にはステップS403に進み、当該条件が充足されなかった場合には音量調整コマンド生成処理を終了する。
ステップS403では、今回の音量調整コマンド生成処理の実行契機となった音量調整処理によって音量が更新された音声再生チャネル(音声再生チャネルCH0~音声再生チャネルCH30)の音量を指示する音量指示データを含む音量調整コマンドを生成し、当該コマンドをサブ情報記憶手段260の送信コマンド格納領域に記憶させる。
【0146】
ステップS405では、更新後の音量を特定可能とする音量特定画像に係る演出データを設定する。これにより、音量特定画像が表示される。
ここで、音量特定画像とは、図示は省略するが、数字やメモリによって更新後の音量を特定可能とする画像であり、当該画像はメイン表示部81に係る表示領域に表示される。そのため、覆蓋演出によって音量特定画像の視認困難となる。
また、本実施形態において、音量特定画像は、当該画像が表示されてから規定時間(本実施形態では、5秒)が経過するまで表示が継続された後に非表示となるものである。ただし、音量特定画像の表示中に新たに音量の更新が行われた場合には、当該タイミングから規定時間が経過するまで音量特定画像の表示が継続する。
【0147】
ステップS407では、覆蓋演出の実行中であるか否かを判定し、当該条件が充足された場合には音量調整コマンド生成処理を終了し、当該条件が充足されなかった場合にはステップS409に進む。
【0148】
ステップS409では、確認音に係る演出データを設定し、その後に音量調整コマンド生成処理を終了する。これにより、調整後の音量で確認音が出音される。
ここで、確認音とは、例えば、上カーソルボタン38aや下カーソルボタン38bの操作によって音量の更新がなされたことを特定可能とする音声であり、当該音声はスピーカ33から出音される。なお、確認音は、これらのカーソルボタンの操作によって音量の更新がなされた場合に出音される一方、遊技可能状態移行時音量調整処理によって音量の更新がなされた場合に出音されないようにしてもよい。また、音量が加算された場合に出音される確認音と音量が減算された場合に出音される確認音とを異ならせるようにしてもよい。
【0149】
このように、本実施形態では、音量(音声再生チャネルCH0~音声再生チャネルCH30に係る音量)が更新された場合に、音量特定画像を表示するとともに、確認音を出音可能に構成されている。
【0150】
特に、本実施形態では、覆蓋演出の実行中に音量が更新された場合にであっても、確認音の出音を規制している。
これによれば、覆蓋演出の実行中の音量調整操作を行わせ難くし、後述する音量調整ミスの発生を抑える効果を高めることができる。
なお、当該効果を奏するにあたっては、覆蓋演出の実行中に音量が更新された場合の全部で確認音を規制する必要はなく、当該場合の一部で確認音が規制されるように構成されていればよい。さらに、必ずしも確認音を規制せずに、確認音を出音しつつ当該確認音の音量を下げるようにしてもよい。すなわち、当該効果を奏するにあたっては、確認音の出音を制限すればよい。
【0151】
よって、遊技機10において、出音手段(スピーカ33)は、音量調整操作(上カーソルボタン38aや下カーソルボタン38bに対する操作)がなされた際に確認音を出音可能に構成され、移動制御(覆蓋演出)が実行されている期間のうちの調整可能期間において、音量調整操作がなされたときの少なくとも一部では、確認音の出音が制限される、と換言できる。
【0152】
次に、図17に示す通り、その他音量調整処理における最初のステップS501では、今回の割込み周期において音声制御コマンドが生成されたか否かを判定し、当該条件が充足された場合にはステップS503に進み、当該条件が充足されなかった場合にはステップS507に進む。
ステップS503では、生成された音声制御コマンドに音声再生チャネルCH31に対応する音声制御データがあるか否かを判定し、当該条件が充足された場合にはステップS505に進み、当該条件が充足されなかった場合にはステップS507に進む。
ステップS505では、音声再生チャネルCH0~音声再生チャネルCH30の音量を音量0とする音量調整コマンドを生成し、当該コマンドをサブ情報記憶手段260の送信コマンド格納領域に記憶させ、その後、その他音量調整処理を終了する。
ステップS507では、音声再生チャネルCH31に対応する音声の再生が終了したか否か(音声再生チャネルCH31に係る再生状態特定データが新たに停止を示したか否か)を判定し、当該条件が充足された場合にはステップS509に進み、当該条件が充足されなかった場合にはその他音量調整処理を終了する。
ステップS509では、音声再生チャネルCH0~音声再生チャネルCH30の音量を現在の音量に復帰させる音量調整コマンドを生成し、当該コマンドをサブ情報記憶手段260の送信コマンド格納領域に記憶させ、その後、その他音量調整処理を終了する。なお、現在の音量とは、RAM203の各音声再生チャネルに対応する記憶領域に設定された音量を指す。
【0153】
このように、本実施形態では、音声再生チャネルCH31に対応する音声制御データを含む音声制御コマンドが生成された場合、すなわち、エラー音が出音される際には、音声再生チャネルCH0~音声再生チャネルCH30の音量を音量0とする音量調整コマンドが生成され、これらの音声再生チャネルによって出力される音声の音量は強制的に音量0となる。
そして、音声再生チャネルCH31に対応する音声の再生が終了する、すなわち、エラー音の出音が終了すると、音声再生チャネルCH0~音声再生チャネルCH30の音量を現在の音量に復帰させる音声調整コマンドが生成され、これらの音声再生チャネルによって出力される音声の音量が復帰される。
【0154】
<輝度調整処理について>
続いて、図18図20を用いて、輝度調整手段255によって実行される輝度調整処理の詳細を説明する。
図18は、遊技可能状態移行時(遊技可能状態移行コマンド受信時)に実行される輝度調整処理である遊技可能状態移行時輝度調整処理のフローである。
図19は、遊技可能状態移行中に実行される輝度調整処理である遊技可能状態中輝度調整処理のフローであり、当該処理は遊技可能状態中の第1副制御基板200における割込み周期ごとに実行される処理である。
図20は、輝度調整コマンドを生成する輝度調整コマンド生成処理のフローであり、当該処理は、各輝度調整処理によって輝度が更新されるごと、すなわち、当該輝度調整処理によって輝度が設定されるごとに実行される。
【0155】
図18に示す通り、遊技可能状態移行時輝度調整処理における最初のステップS601では、輝度調整部86の段階が輝度高であるか否かを判定し、当該条件が充足された場合にはステップS603に進み、当該条件が充足されなかった場合にはステップS605に進む。
ここで、当該輝度調整部86の段階とは、今回の遊技可能状態移行時輝度調整処理の実行契機となった電源投入時における輝度調整部86の段階を指す。
【0156】
ステップS603では、輝度に輝度10を設定し、その後に遊技可能状態移行時輝度調整処理する。
ステップS605では、輝度調整部86の段階が輝度中であるか否かを判定し、当該条件が充足された場合にはステップS607に進み、当該条件が充足されなかった場合にはステップS609に進む。
ステップS607では、輝度に輝度5を設定し、その後に遊技可能状態移行時輝度調整処理を終了する。
ステップS609では、輝度に輝度1を設定し、その後に遊技可能状態移行時輝度調整処理を終了する。
【0157】
このように、本実施形態では、遊技可能状態の移行時には、当該遊技可能状態の移行に係る電源投入時の輝度調整部86の段階に基づいて、輝度が設定される。
【0158】
次に、図19に示す通り、遊技可能状態中輝度調整処理における最初のステップS701では、調整可能期間であるか否かを判定し、当該条件が充足された場合にはステップS703に進み、当該条件が充足されなかった場合(調整不可期間である場合)には遊技可能状態中輝度調整処理を終了する。
ステップS703では、左カーソルボタン38cが操作されたか否かを判定し、当該条件が充足された場合にはステップS705に進み、当該条件が充足されなかった場合にはステップS709に進む。
【0159】
ステップS705では、輝度に輝度1が設定されているか否かを判定し、当該条件が充足されなかった場合にはステップS707に進み、当該条件が充足された場合には遊技可能状態中輝度調整処理を終了する。
すなわち、遊技可能状態中輝度調整処理では、輝度が輝度1である場合には後述するステップS707における輝度の減算処理が実行されない。そのため、本実施形態では、輝度が輝度0に設定されないように構成されている。
【0160】
ステップS707では、輝度を1減算し、その後に遊技可能状態中輝度調整処理を終了する。
ステップS709では、右カーソルボタン38dが操作されたか否かを判定し、当該条件が充足された場合にはステップS711に進み、当該条件が充足されなかった場合には遊技可能状態中輝度調整処理を終了する。
ステップS711では、輝度に輝度10が設定されているか否かを判定し、当該条件充足されなかった場合にはステップS713に進み、当該条件が充足された場合には遊技可能状態中輝度調整処理を終了する。
ステップS713では、輝度を1加算し、その後に遊技可能状態中輝度調整処理を終了する。
【0161】
このように、本実施形態では、遊技可能状態中の調整可能期間において、左カーソルボタン38cまたは右カーソルボタン38dを操作することで、輝度を調整することができる。
【0162】
次に、図20に示す通り、輝度調整コマンド生成処理における最初のステップS801では、輝度の更新があったか否かを判定し、当該条件が充足された場合にはステップS803に進み、当該条件が充足されなかった場合には輝度調整コマンド生成処理を終了する。
ステップS803では、今回の輝度調整コマンド生成処理の実行契機となった輝度調整処理によって更新された輝度を指示する輝度指示データを含む輝度調整コマンドを生成し、当該コマンドをサブ情報記憶手段260の送信コマンド格納領域に記憶させる。
【0163】
ステップS805では、更新後の輝度を特定可能とする輝度特定画像に係る演出データを設定する。これにより、輝度特定画像が表示される。
ここで、輝度特定画像とは、図示は省略するが、数字やメモリによって更新後の輝度を特定可能とする画像であり、当該画像はメイン表示部81に係る表示領域に表示される。そのため、本実施形態では、覆蓋演出によって輝度特定画像の視認困難となる。
また、本実施形態において、輝度特定画像は、音量特定画像と同様に、輝度特定画像が表示されてから規定時間(本実施形態では、5秒)が経過するまで表示が継続された後に非表示となるものである。そして、輝度特定画像の表示中に新たに輝度の更新が行われた場合には、当該タイミングから規定時間が継続するまで輝度特定画像が継続する。
【0164】
ステップS807では、覆蓋演出の実行中であるか否かを判定し、当該条件が充足された場合には輝度調整コマンド生成処理を終了し、当該条件が充足されなかった場合にはステップS809に進む。
【0165】
ステップS809では、確認音に係る演出データを設定し、その後に輝度調整コマンド生成処理を終了する。これにより、現在の音量(音声再生チャネルCH0~音声再生チャネルCH30に設定された音量)で確認音が出音される。
ここで、輝度調整コマンド生成処理によって出音され得る確認音とは、例えば、左カーソルボタン38cや右カーソルボタン38dの操作によって輝度の更新がなされたことを特定可能とする音声であり、当該音声はスピーカ33から出音される。なお、当該確認音は、音量調整コマンド生成処理によって出音され得る確認音と同様に、これらのカーソルボタンの操作によって輝度の更新がなされた場合に出音される一方、遊技可能状態移行時輝度調整処理によって輝度の更新がなされた場合に出音されないようにしてもよい。
また、輝度が加算された場合に出音される確認音と輝度が減算された場合に出音される確認音とを異ならせるようにしてもよい。
さらに、輝度調整コマンド生成処理によって出音され得る確認音と音量調整コマンド生成処理によって出音され得る確認音は、同一の音声であってもよいし、互いに異なる音声としてもよい。
【0166】
このように、本実施形態では、輝度が更新された場合に、輝度特定画像を表示するとともに、確認音を出音可能に構成されている。
【0167】
特に、本実施形態では、覆蓋演出の実行中に輝度が更新された場合には、確認音の出音を規制している。
これによれば、覆蓋演出の実行中の輝度調整操作を行わせ難くし、後述する輝度調整ミスの発生を抑える効果を高めることができる。
なお、当該効果を奏するにあたっては、覆蓋演出の実行中に輝度が更新された場合の全部で確認音を規制する必要はなく、当該場合の一部で確認音が規制されるように構成されていればよい。さらに、必ずしも確認音を規制せずに、確認音を出音しつつ当該確認音の音量を下げるようにしてもよい。すなわち、当該効果を奏するにあたっては、確認音の出音を制限すればよい。
【0168】
よって、遊技機10において、出音手段(スピーカ33)は、輝度調整操作(左カーソルボタン38cや右カーソルボタン38dに対する操作)がなされた際に確認音を出音可能に構成され、移動制御(覆蓋演出)が実行されている期間のうちの調整可能期間において、輝度調整操作がなされたときの少なくとも一部では、確認音の出音が制限される、と換言できる。
【0169】
<調整不可期間について>
続いて、図21を用いて、本実施形態における調整不可期間の設定に関し、その詳細を説明する。なお、調整不可期間とは、上述した通り、カーソルボタン38の操作により音量調整や輝度調整がなされない期間である。
図21は、覆蓋演出が実行される図柄変動における調整不可期間の設定状況を示すタイミングチャートである。
【0170】
図21に示す通り、本実施形態では、発展演出の手前で実行される覆蓋演出の実行期間の一部が調整不可期間となるように、調整不可期間が設けられる。
具体的には、装飾図柄がリーチ状態となったタイミングt1から、覆蓋演出が開始されるタイミングt2を跨いで、当該覆蓋演出の実行中であるタイミングt3(タイミングt1からの経過時間によって定まるタイミング)まで調整不可期間が設けられ、その後に調整可能期間に遷移するように構成されている。
【0171】
すなわち、本実施形態では、覆蓋演出の実行中に調整不可期間から調整可能期間への遷移条件が充足される。
これによれば、音量調整ミスや輝度調整ミスを誘発し得る覆蓋演出の実行中に調整不可期間を設けてこれらのミスの発生を抑えつつも、調整不可期間から調整可能期間への遷移条件が覆蓋演出の実行中に充足されるようにすることで、調整可能期間を長めに設けて音量調整や輝度調整に慣れた遊技者による調整操作の自由度を高めることができる。
なお、当該効果を奏するにあたっては、本実施形態とは異なり、調整可能期間から調整不可期間への遷移条件が覆蓋演出の実行中に充足されるようにしてもよい。
また、調整不可期間から調整可能期間への遷移条件は、例えば、変動開始からの経過時間や覆蓋演出の開始タイミングからの経過時間によって定まるもの等、覆蓋演出の実行中に充足される条件であればその内容は問わない。
さらに、覆蓋演出が実行される場合の全部で遷移条件が充足される必要はなく、覆蓋演出が実行される場合の一部で遷移条件が充足されてもよい。
【0172】
よって、遊技機10において、表示制御手段(第1副制御基板200、第2副制御基板300)は、現在の音量を特定可能な音量特定画像を表示手段に表示させることが可能であり、可動制御手段(可動役物制御手段245)は、表示領域(メイン表示部81に係る表示領域)を覆蓋しない位置または表示領域の一部を覆蓋する位置である原位置(図6(a)に示す初期位置)から、可動体によって覆蓋される表示領域の範囲が原位置よりも広くなる覆蓋位置(図6(c)に示す位置)を経由して、原位置へ可動体(演出遮蔽体83)を移動させる移動制御(覆蓋演出)を実行可能であり、遷移条件が充足されたことを契機に、音量調整操作(上カーソルボタン38aや下カーソルボタン38bに対する操作)による音量調整が可能な調整可能期間、および音量調整操作による音量調整が不可能な調整不可期間のうちの一方から、他方の期間に遷移し、図柄変動の実行中の可動体に対する移動制御が実行されている期間において、遷移条件が充足され得る、と換言できる。
特に、上記表示手段の表示領域のうちの上記移動制御に係る上記可動体によって覆蓋され得る表示領域に、上記音量特定画像が表示される必要は必ずしもない。ただし、後述する本実施形態のように、当該覆蓋され得る表示領域に上記音量特定画像が表示されることが好ましい。
【0173】
さらに、表示制御手段(第1副制御基板200、第2副制御基板300)は、現在の輝度を特定可能な輝度特定画像を表示手段に表示させることが可能であり、可動制御手段(可動役物制御手段245)は、表示領域(メイン表示部81に係る表示領域)を覆蓋しない位置または表示領域の一部を覆蓋する位置である原位置(図6(a)に示す初期位置)から、可動体(演出遮蔽体83)によって覆蓋される表示領域の範囲が原位置よりも広くなる覆蓋位置(図6(c)に示す位置)を経由して、原位置へ可動体を移動させる移動制御(覆蓋演出)を実行可能であり、遷移条件が充足されたことを契機に、輝度調整操作(左カーソルボタン38cや右カーソルボタン38dに対する操作)による輝度調整が可能な調整可能期間、および輝度調整操作による輝度調整が不可能な調整不可期間のうちの一方から、他方の期間に遷移し、図柄変動の実行中の可動体に対して移動制御が実行されている期間において、遷移条件が充足され得る、と換言できる。
特に、上記表示手段の表示領域のうちの上記移動制御に係る上記可動体によって覆蓋され得る表示領域に、上記輝度特定画像が表示される必要は必ずしもない。ただし、本実施形態のように、当該覆蓋され得る表示領域に上記輝度特定画像が表示されることが好ましい。
【0174】
特に、本実施形態では、調整不可期間から調整可能期間への遷移条件が覆蓋演出の実行中に充足される。
これによれば、操作ミスが発生し易い覆蓋演出の前半部分に調整不可期間を設けることができるため、音量調整ミスや輝度調整ミスを抑える効果を高めることができる。
なお、当該効果を奏するにあたり、調整不可期間の開始タイミングは、覆蓋演出の開始タイミングであることが好ましく、当該開始タイミングは遷移条件が充足される図柄変動の開始前であってもよい。
【0175】
よって、遊技機10において、遷移条件が充足されたことを契機に、調整不可期間から調整可能期間に遷移させる、と換言できる。
【0176】
また、本実施形態では、図21に示す通り、タイミングt2からタイミングt3までの期間である期間Taの長さと、タイミングt3からタイミングt4までの期間である期間Tbの長さとが、異なるように構成されている。
これによれば、遷移条件が充足されるタイミングが、覆蓋演出における演出遮蔽体83の動作タイミング(図6(a)から図6(c)への移動、または図6(c)から図6(a)までの移動)と近くなるため、遷移条件が充足されるタイミングを図り難くし、音量調整ミスや輝度調整ミスを抑える効果を高めることができる。
【0177】
よって、遊技機10において、移動制御(覆蓋演出)が実行されている期間に遷移条件が充足されるときにおいて、当該移動制御が開始されてから当該遷移条件が充足されるまでの第一期間(期間Ta)の長さと、当該遷移条件が充足されてから当該移動制御が終了するまでの第二期間(期間Tb)の長さと、が異なる、と換言できる。
【0178】
特に、本実施形態では、調整不可期間から調整可能期間への遷移条件が覆蓋演出の実行中に充足されることに加えて、期間Tbの長さが、期間Taの長さよりも長くなるように構成されている。
これによれば、音量調整や輝度調整に慣れた遊技者による調整操作の自由度を高めることができる。
【0179】
よって、遊技機10において、遷移条件が充足されたことを契機に、調整不可期間から調整可能期間に遷移させる、第二期間(期間Tb)の長さが、第一期間(期間Ta)の長さよりも長い、と換言できる。
【0180】
また、本実施形態では、音量特定画像が表示されてから当該画像が非表示となるまでの規定時間が、期間Tbよりも長くなるように構成されている。これは、輝度特定画像が表示されてから当該非表示となるまでの規定時間についても同様である。
これによれば、覆蓋演出の実行中に調整不可期間から調整可能期間へ遷移し、当該調整可能期間で意図せずに音量調整操作や輝度調整操作がなされた場合であっても、当該操作がなされたことを認識させ易くし、その後の調整操作を行わせ易くすることができる。
【0181】
<他の変形例について>
以上の説明に記載されていない変形例について、以下に列挙する。
まず、上述した本実施形態では、発展演出が実行される図柄変動において調整不可期間が設定されるパターンを記載したが、本発明に係る調整不可期間が設定される条件は本実施形態の条件に限らない。
【0182】
まず、各特図変動パターン導出状態では、図10図12で示した特図変動パターン抽選テーブルを用いて特図変動パターンが決定される場合があれば、他の特図変動パターン抽選テーブルを用いて特図変動パターンが決定される場合があってもよいし、特図変動パターン抽選テーブルを用いることなく(抽選を行うことなく)特図変動パターンが決定される場合があってもよい。ただし、各特図変動パターン導出状態では、当該特図変動パターン導出状態が継続する期間の半分以上の期間において、図10図12で示した特図変動パターン抽選テーブルを用いた特図変動パターンの決定がなされることが好ましい。
【0183】
また、本実施形態における確率、割合、頻度の高低や、回数の多少は、各関係性が担保されていれば、値の小さい方が0であってもよいし、値の大きい方が最大値であってもよい。特に、上述した各割合の高低については、現象面が担保されていれば、各割合の高低を実現するための制御は問わない。
また、本実施形態において図示した抽選テーブルにおける各抽選値は一例であって、抽選テーブル同士の大小関係が維持されていれば、各抽選値は当該範囲において任意の値を採用してもよい。
【0184】
また、上述の説明では、復電時のRAMクリアスイッチ43の状態を参照して復電時の復帰状態を決定しているが、復電時からのRAMクリアスイッチ43のON状態の時間が規定時間(例えば、3s)を超えるか否かを参照するようにしてもよい。このようにすれば、誤ったRAMクリア処理の発生をより抑えることができる。
【0185】
また、上述の説明では、復電時の復帰状態を決定するにあたり、中枠開扉センサ76の状態(中枠17の開閉状態)を参照していたが、当該状態を参照せずに復帰状態を設定するようにしてもよい。この場合には、一律に、中枠開扉センサ76がON(中枠17が開放状態)の場合に従って復電時の復帰状態を設定すればよい。
【0186】
以上で説明した本発明は、上述の説明に限定されるものではなく、本発明の目的が達成される限りにおける種々の変形、改良等の態様も含む。
【0187】
<付記>
本実施形態は、次のような技術思想を包含する。
(1)
表示手段と、
前記表示手段を制御する表示制御手段と、
前記表示手段に係る表示領域を覆蓋可能な可動体と、
前記可動体の移動を制御する可動制御手段と、
発光手段と、
輝度調整操作によって前記表示手段および前記発光手段の輝度を調整可能な輝度調整手段と、
を備え、
前記表示制御手段は、現在の輝度を特定可能な輝度特定画像を前記表示手段に表示させることが可能であり、
前記可動制御手段は、前記表示領域を覆蓋しない位置または前記表示領域の一部を覆蓋する位置である原位置から、前記可動体によって覆蓋される前記表示領域の範囲が前記原位置よりも広くなる覆蓋位置を経由して、前記原位置へ前記可動体を移動させる移動制御を実行可能であり、
遷移条件が充足されたことを契機に、前記輝度調整操作による輝度調整が可能な調整可能期間、および前記輝度調整操作による輝度調整が不可能な調整不可期間のうちの一方から、他方の期間に遷移し、
図柄変動の実行中の前記可動体に対して前記移動制御が実行されている期間において、前記遷移条件が充足され得る、
ことを特徴とする遊技機。
(2)
上記(1)に記載の遊技機であって、
前記遷移条件が充足されたことを契機に、前記調整不可期間から前記調整可能期間に遷移させる、
ことを特徴とする遊技機。
(3)
上記(1)又は(2)に記載の遊技機であって、
前記移動制御が実行されている期間に前記遷移条件が充足されるときにおいて、当該移動制御が開始されてから当該遷移条件が充足されるまでの第一期間の長さと、当該遷移条件が充足されてから当該移動制御が終了するまでの第二期間の長さと、が異なる、
ことを特徴とする遊技機。
(4)
上記(3)に記載の遊技機であって、
前記遷移条件が充足されたことを契機に、前記調整不可期間から前記調整可能期間に遷移させる、
前記第二期間の長さが、前記第一期間の長さよりも長い、
ことを特徴とする遊技機。
(5)
上記(1)乃至(4)のいずれか一つに記載の遊技機であって、
音声を出音する出音手段を備え、
前記出音手段は、前記輝度調整操作がなされた際に確認音を出音可能に構成され、
前記移動制御が実行されている期間のうちの前記調整可能期間において、前記輝度調整操作がなされたときの少なくとも一部では、前記確認音の出音が制限される、
ことを特徴とする遊技機。
【符号の説明】
【0188】
10 遊技機
15 外枠
17 中枠
20 前枠
21 ヒンジ機構
22 可動装飾体
23 シリンダ錠
25 透明部材
27 上球受け皿
29 下球受け皿
31 操作ハンドル
32 上枠部
33(33a、33b) スピーカ
34a、34b 左右側枠部
35(35a、35b、35c) 演出ランプ
36 球抜き機構
37 演出ボタン
38 カーソルボタン
38a 上カーソルボタン
38b 下カーソルボタン
38c 左カーソルボタン
38d 右カーソルボタン
38e 中カーソルボタン
39 メイン操作部
39a 玉貸ボタン
39b 返却ボタン
40 電源スイッチ
43 RAMクリアスイッチ
45 開閉カバー
46 遊技球タンク
47 タンクレール
48 払出ユニット
49 払出通路
50 遊技盤
50a 遊技領域
51 外レール
52 風車
53 内レール
54 保護部材
55 大入賞口
57 第1始動口
59 第2始動口
61 普通電動役物
62 普通電動役物ソレノイド
63 ゲート
65 特別電動役物
66 特別電動役物ソレノイド
67 一般入賞口
69 アウト口
70 第1始動口センサ
71 第2始動口センサ
72 大入賞口センサ
73 一般入賞口センサ
74 ゲートセンサ
75 アウト球センサ
76 中枠開扉センサ
77 前枠開扉センサ
80 演出表示装置
81 メイン表示部
82 サブ表示部
82a 上サブ表示部
82b 左サブ表示部
82c 右サブ表示部
83 演出遮蔽体
83a 左上演出遮蔽体
83b 右上演出遮蔽体
83c 左下演出遮蔽体
83d 右下演出遮蔽体
85 音量調整部
86 輝度調整部
90 図柄表示装置
91 第1特別図柄表示装置
92 第2特別図柄表示装置
93 普通図柄表示装置
94 第1特別図柄保留ランプ
95 第2特別図柄保留ランプ
96 普通図柄保留ランプ
100 主制御基板
101 CPU
102 ROM
103 RAM
104 I/Oポート
105 乱数回路
109 主制御基板ケース
110 入球判定手段
115 メイン乱数発生手段
120 メイン保留制御手段
125 事前判定手段
130 特図抽選手段
131 特図当否判定手段
132 特図停止図柄抽選手段
133 特図変動パターン導出手段
135 普図抽選手段
140 大当り遊技制御手段
145 図柄表示制御手段
150 電動役物制御手段
155 遊技状態制御手段
160 メイン情報記憶手段
165 メインエラー制御手段
170 メインコマンド管理手段
175 復電処理実行手段
176 復帰状態設定手段
179 遊技可能状態移行手段
180 電断処理実行手段
200 第1副制御基板
201 CPU
202 ROM
203 RAM
204 I/Oポート
209 第1副制御基板ケース
210 サブ乱数発生手段
220 通常演出制御手段
221 演出モード制御手段
222 演出ルート決定手段
223 サブ保留制御手段
224 先読み演出制御手段
225 演出内容決定手段
226 装飾図柄制御手段
227 大当り演出制御手段
230 サブエラー制御手段
240 ランプ制御手段
245 可動役物制御手段
250 音量調整手段
255 輝度調整手段
260 サブ情報記憶手段
270 サブコマンド管理手段
300 第2副制御基板
301 CPU
302 ROM
303 RAM
304 I/Oポート
309 第2副制御基板ケース
310 音声制御基板
311 CPU
312 ROM
313 RAM
314 I/Oポート
400 払出制御基板
409 払出制御基板ケース
500 電源制御基板
501 通常電源回路
502 バックアップ電源回路
503 電断検出回路
509 電源制御基板ケース
X 第1流路
Y 第2流路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21