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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】サーバ及び方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 21/258 20110101AFI20240925BHJP
   H04N 21/254 20110101ALI20240925BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20240925BHJP
【FI】
H04N21/258
H04N21/254
G06Q50/10
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2024068636
(22)【出願日】2024-04-19
【審査請求日】2024-06-10
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517287224
【氏名又は名称】17LIVE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100199277
【弁理士】
【氏名又は名称】西守 有人
(72)【発明者】
【氏名】葉容均
【審査官】鈴木 隆夫
(56)【参考文献】
【文献】特許第7272570(JP,B1)
【文献】特許第7385970(JP,B1)
【文献】特開2021-018501(JP,A)
【文献】特開2021-051578(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 21/00-21/858
G06Q 50/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ライブ配信プラットフォームを提供するサーバであって、
異なる複数のランクのうちの一部のランクに属する配信者について、当該配信者に対する応援の度合いを示す応援パラメータの値と、当該配信者が属するランクに属する他の配信者の応援パラメータの値と、の比較結果に基づいて、当該配信者の属するランクを変更するか否かを決定する第1決定手段と、
前記複数のランクのうちの残りのランクに属する配信者について、当該配信者の応援パラメータの値を、他の配信者の応援パラメータの値とは無関係に評価した結果に基づいて、当該配信者の属するランクを変更するか否かを決定する第2決定手段と、
配信者に、当該配信者の属するランクと当該配信者の配信時間とに基づく量の報酬を付与するための処理を行う付与手段と、を備えるサーバ。
【請求項2】
前記付与手段は、配信者に、当該配信者の属するランクが高いほど高くなるレートにしたがい、当該配信者の配信時間が長いほど多くなる報酬を付与するための処理を行う請求項1に記載のサーバ。
【請求項3】
前記残りのランクは前記一部のランクよりも高い請求項2に記載のサーバ。
【請求項4】
前記第2決定手段は、前記複数のランクのうちの残りのランクに属する配信者について、当該配信者が所定の第2期間内に獲得した応援パラメータの値と、当該配信者の属するランクに固有の定数であるしきい値と、の比較結果に基づいて、当該配信者の属するランクを変更するか否かを決定する請求項1に記載のサーバ。
【請求項5】
前記第1決定手段は、前記複数のランクのうちの一部のランクに属する配信者について、当該配信者が所定の第1期間内に獲得した応援パラメータの値と、当該配信者が属するランクに属する他の配信者が前記第1期間内に獲得した応援パラメータの値と、の比較結果に基づいて、当該配信者の属するランクを変更するか否かを決定し、
前記第2期間の長さと前記第1期間の長さとは異なる請求項4に記載のサーバ。
【請求項6】
配信者がライブ配信を提供していないときに当該配信者に対して行われた応援活動に基づき、当該配信者の応援パラメータの値を更新するパラメータ更新手段をさらに備える請求項1に記載のサーバ。
【請求項7】
配信者がライブ配信を提供していないときに当該配信者に対して行われた応援活動に基づき、当該配信者の応援パラメータの値を更新するパラメータ更新手段をさらに備え、
前記第2決定手段は、前記複数のランクのうちの残りのランクに属する配信者から前記第2期間の指定を伴う休止要求を受け付けた場合、当該配信者について前記第2期間における比較結果に基づくランクの変更を行わず、
前記パラメータ更新手段は、前記複数のランクのうちの残りのランクに属する配信者から前記第2期間の指定を伴う前記休止要求を受け付けた場合でも、前記第2期間において、当該配信者に対して行われた応援活動に基づく応援パラメータの更新を継続する請求項4に記載のサーバ。
【請求項8】
ライブ配信プラットフォームを提供するサーバで実行される方法であって、
異なる複数のランクのうちの一部のランクに属する配信者について、当該配信者に対する応援の度合いを示す応援パラメータの値と、当該配信者が属するランクに属する他の配信者の応援パラメータの値と、の比較結果に基づいて、当該配信者の属するランクを変更するか否かを決定することと、
前記複数のランクのうちの残りのランクに属する配信者について、当該配信者の応援パラメータの値を、他の配信者の応援パラメータの値とは無関係に評価した結果に基づいて、当該配信者の属するランクを変更するか否かを決定することと、
配信者に、当該配信者の属するランクと当該配信者の配信時間とに基づく量の報酬を付与するための処理を行うことと、を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、サーバ及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
IT技術の発展と共に情報のやりとりの様も移り変わってきた。昭和の時代には新聞やテレビなどの一方通行の情報伝達が主であった。平成になると、ケータイやパソコンが普及し、インターネットの通信速度も大きく改善されたので、チャットサービスなどの即時双方向通信サービスが台頭し、また記憶コストの低減に伴ってオンデマンド型の動画配信サービスが受け入れられていった。そして、現在、令和の時代となり、スマートフォンの高機能化や5Gに代表されるネットワークの速度のさらなる向上を受けて、動画によるリアルタイムのコミュニケーションを実現するサービス、特にライブ配信(Live Streaming)サービスが急速に認知度を高めている。ライブ配信サービスは、離れた場所にいても皆が同じ楽しい時間を共有できるサービスとして、若者を中心に利用者が拡大している。
【0003】
特許文献1には、ライブ動画の配信者への報酬を時間給で支払う仕組みが開示されている。特許文献1では、配信者をランク付けし、ランク帯内の配信ポイントの順位にしたがってランクメータ値を変動させ、配信者のランクメータ値に基づいて配信者のランクを更新する。時間給なので、初心者の配信者であっても、ライブ動画の配信を継続することによって、配信時間と基準報酬数量とに基づく数量の報酬を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-021445号公報
【文献】特許第7272570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ランクやランク帯に属する配信者の数が少ない場合、順位付けによって配信者のランクの更新を判断するやり方が、配信者の実際のがんばりや才能を反映しない判断結果をもたらすことがある。順位付けによる判断ではポジティブな評価を受ける配信者とネガティブな評価を受ける配信者とが必ず生じるからである。
【0006】
本開示はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ライブ配信の配信者のがんばりをより適切に評価できる技術の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様は、サーバに関する。このサーバは、ライブ配信プラットフォームを提供するサーバであって、異なる複数のランクのうちの一部のランクに属する配信者について、当該配信者に対する応援の度合いを示す応援パラメータの値と、当該配信者が属するランクに属する他の配信者の応援パラメータの値と、の比較結果に基づいて、当該配信者の属するランクを変更するか否かを決定する第1決定手段と、複数のランクのうちの残りのランクに属する配信者について、当該配信者の応援パラメータの値を、他の配信者の応援パラメータの値とは無関係に評価した結果に基づいて、当該配信者の属するランクを変更するか否かを決定する第2決定手段と、配信者に、当該配信者の属するランクと当該配信者の配信時間とに基づく量の報酬を付与するための処理を行う付与手段と、を備える。
【0008】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや、本発明の構成要素や表現を装置、方法、システム、コンピュータプログラム、コンピュータプログラムを格納した記録媒体などの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ライブ配信の配信者のがんばりをより適切に評価できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の実施の形態に係るライブ配信システムの構成を示す模式図である。
図2図1のユーザ端末の機能および構成を示すブロック図である。
図3図1のサーバの機能および構成を示すブロック図である。
図4図3のストリームDBの一例を示すデータ構造図である。
図5図3のユーザDBの一例を示すデータ構造図である。
図6図3のギフトDBの一例を示すデータ構造図である。
図7図3の基準DBの一例を示すデータ構造図である。
図8】ライブ配信システムにおける時間給の付与に係る一連の処理の流れを示すフローチャートである。
図9】視聴者のユーザ端末のディスプレイに表示されるライブ配信ルーム画面の代表画面図である。
図10】休止中の配信者のユーザ端末のディスプレイに表示されるランク情報表示画面の代表画面図である。
図11】本実施の形態に係る情報処理装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理、信号には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面において説明上重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0012】
実施の形態に係るライブ配信システムでは、配信者に時間給の報酬形態が提供される。時間給は時間単位の報酬であり、配信者の時給(一時間あたりの報酬単価)に配信者の配信時間を乗算することにより算出される。時間給における時給は、配信者のランクが高くなるほ高くなる。配信者がライブ配信内やライブ配信外でユーザからギフティングやエール(時間回復型の無料アイテム)などの応援活動を受けると、その配信者の応援スコアが上昇する。システムは、一日の締め時刻が到来すると、その時点の応援スコアに基づいて配信者のランクの変動を決定する。本実施の形態では、配信者のランクを決める際に相対的評価と絶対的評価とを併用する。例えば、属する配信者が比較的多い低いランクについては相対的評価を採用する。この場合、配信者を応援スコアで順位付けし、上位X%にランクインした配信者のランクスコアを増やす。属する配信者が比較的少ない高いランクについては絶対的評価を採用する。この場合、配信者の応援スコアがランク固有の固定値であるしきい値を上回っていればその配信者のランクスコアを増やす。システムはランクスコアが所定の上限値に達するとその配信者のランクを上げ、所定の下限値に達するとその配信者のランクを下げる。
【0013】
このように配信者のランクを決める際に相対的評価と絶対的評価とを併用することで、ランクの特徴に応じて各ランクに適切な評価基準を導入できる。これにより、配信者間の公正な競争を惹起し、全体として配信の質を高め、がんばっている配信者がより報われるライブ配信システムを提供することができる。例えば、属する人数が多いランクでは相対的評価を採用することで、締めごとにランクスコアが増える配信者、減る配信者が必ず生じるので、配信者間の健全な競争を促すことができる。また、固定しきい値などの絶対的評価とは異なり、仮に現在ある配信者が上位にいたとしても締めが到来するまでその順位が維持される保証はなく、むしろ締めが近づくにつれて他の配信者がより活動を強化することで順位が下がる虞があるので、当該配信者は締めが到来するまで質の高いライブ配信を継続するよう動機付けられる。これにより、全体としてライブ配信の品質を向上させることができる。
【0014】
属する人数が少ないランクでは絶対的評価を採用することで、各配信者のがんばりが独立して評価される。属する人数が少ないランクではほとんどの配信者または全員ががんばっているという状況が生じる可能性が十分にあるので、そこに相対的評価を導入すると、がんばっているのにランクスコアが減る配信者が生じてしまう虞がある。逆もしかりであり、ほとんどの配信者または全員ががんばっていない場合、相対的評価ではがんばっていないのにランクスコアが増える配信者が生じてしまう虞がある。絶対的評価であればそのような不都合の発生は抑制または除去される。例えば、比較的高いランクについては、属する配信者の数が少ない、かつ、各配信者のクオリティや経験やモチベーションが高い場合が多いので、絶対的評価を導入することで配信者のがんばりをより適切に評価することができる。また、高いランクには相応の高いしきい値を設定可能なので、配信者に継続的に質の高い配信を行うよう動機付けることができ、全体としてライブ配信の品質を向上させることができる。
【0015】
図1は、本開示の実施の形態に係るライブ配信システム1の構成を示す模式図である。ライブ配信システム1は、配信者(ライバー、ストリーマ(Streamer)ともいう)LVと視聴者(オーディエンスともいう)AU(AU1、AU2、…)とがリアルタイムでやりとりできる双方向型のライブ配信サービスを提供する。図1に示すように、ライブ配信システム1は、サーバ10と、配信者側のユーザ端末20と、視聴者側のユーザ端末30(30a、30b、…)と、を備える。ライブ配信を配信している配信者、ライブ配信を視聴している視聴者の他に、ライブ配信プラットフォームにログインしたが配信も視聴もしていないユーザもいる。このようなユーザをアクティブユーザという。配信者、視聴者およびアクティブユーザをユーザと総称することがある。サーバ10は、ネットワークNWに接続された一または複数の情報処理装置によって構成されてもよい。ユーザ端末20、30は例えばスマートフォンやタブレット型端末やラップトップPCやレコーダや携帯型ゲーム機やウェアラブル装置などの携帯端末であってもよいし、デスクトップPCなどの据え置き型の装置であってもよい。サーバ10、ユーザ端末20およびユーザ端末30は、有線または無線の各種ネットワークNWにより互いに通信可能に接続される。
【0016】
ライブ配信システム1には、配信者LVと、視聴者AUと、サーバ10を管理する管理者(不図示)と、が関与する。配信者LVは、自分の歌や、トーク、パフォーマンス、占い、ゲーム実況などのコンテンツを自身のユーザ端末20で録音・録画してそのままサーバ10にアップロードすることで、リアルタイムにコンテンツを発信する者である。管理者は、サーバ10においてコンテンツのライブ配信のためのプラットフォームを提供し、また、配信者LVと視聴者AUとのリアルタイムのやりとりを仲介または管理する。視聴者AUは、ユーザ端末30でプラットフォームにアクセスして所望のコンテンツを選択し、視聴する。このコンテンツのライブ配信中に視聴者AUがユーザ端末30を介してコメントをしたり応援したり占いを依頼したりするための操作を行い、当該コンテンツを提供する配信者LVがそのようなコメントや応援や依頼に反応し、当該反応が映像および/または音声で視聴者AUに伝わることで、双方向のコミュニケーションが成立する。
【0017】
本明細書において「ライブ配信」は、配信者LVのユーザ端末20で録音・録画されたコンテンツが実質的にリアルタイムで視聴者AUのユーザ端末30で再生され視聴可能となる状態を実現するデータの伝送態様を意味するものであってもよく、またはそのような伝送態様により実現される配信そのものを意味してもよい。ライブ配信は、HTTP Live StreamingやCommon Media Application FormatやWeb Real-Time CommunicationsやReal-Time Messaging ProtocolやMPEG DASHなどの既存のライブ配信技術を用いて実現されてもよい。ライブ配信は、配信者LVがコンテンツを録音・録画しているときに、視聴者AUが所定の遅延をもって当該コンテンツを視聴可能な伝送態様を含む。遅延の大きさについて、少なくとも、配信者LVと視聴者AUとのやりとりが成立する程度の大きさの遅延は許される。ただし、ライブ配信は、コンテンツを録音・録画したデータ全体をいったんサーバに保存し、その後の任意のタイミングでユーザからの求めに応じて当該データをサーバからユーザに提供するいわゆるオンデマンド型の配信とは区別される。
【0018】
本明細書において「動画データ」は、ユーザ端末20、30の撮像機能により生成される画像データ(ビデオデータともいう)と、ユーザ端末20、30の音声入力機能により生成される音声データ(オーディオデータともいう)と、を含むデータである。動画データは、ユーザ端末20、30で再生されることで、ユーザによるコンテンツの視聴を可能とする。本実施の形態では、動画データが配信者のユーザ端末で生成されてから視聴者のユーザ端末で再生されるまでの間に、圧縮や伸張や符号化や復号やトランスコーディングなどの、データの形式やサイズや仕様を変更する処理が行われることが想定されている。このような処理の前後で動画データが表す内容(例えば、動画像や音声)は実質的に変わらないので、本実施の形態ではそのような処理が行われた後の動画データはそのような処理が行われる前の動画データと同じであるとして説明する。すなわち、動画データが配信者のユーザ端末で生成されてからサーバ10を経由して視聴者のユーザ端末で再生される場合、配信者のユーザ端末で生成された動画データと、サーバ10を通過する動画データと、視聴者のユーザ端末で受信されて再生される動画データと、は全て同じ動画データである。
【0019】
本明細書において「配信時間」は、ひとつのライブ配信に関連付けられたパラメータであって、当該ライブ配信が継続した期間の長さを指す。配信時間は、当該ライブ配信に視聴者がいるか否かとは無関係に算出される。
本明細書において「総配信時間」は、配信者に関連付けられたパラメータであって、所定の期間において対象の配信者が行ったライブ配信の配信時間を通算することで得られる時間である。
本明細書において「視聴時間」は、視聴者と配信者とのペアに関連付けられたパラメータであって、当該視聴者が当該配信者のライブ配信を視聴した期間の長さ(view duration)を指す。
本明細書において「被視聴時間」は、配信者に関連付けられたパラメータであって、当該配信者のライブ配信が視聴者に視聴された期間の長さ(viewed duration)を指す。この場合の視聴者はランダムに選択された一名であってもよいし、ランダムに選択された視聴者の部分集合であってもよいし、全ての視聴者であってもよい。あるいはまた、被視聴時間は視聴者に亘って算出された平均値であってもよい。被視聴時間は、配信者のライブ配信が視聴者側でどの程度視聴されているかを示す指標である。
本明細書において「総被視聴時間」は、被視聴時間の一態様であって、所定の期間において対象の配信者のライブ配信を視聴した全ての視聴者について、その視聴時間を通算することで得られる時間である。
【0020】
例えば、所定の期間において配信者Aのライブ配信を視聴者Bが2時間、視聴者Cが3時間、視聴者Dが4時間、視聴した場合、以下のようになる。
視聴者Bの視聴時間=2時間
視聴者Cの視聴時間=3時間
視聴者Dの視聴時間=4時間
配信者Aのライブ配信の総被視聴時間=2+3+4=9時間
配信者Aのライブ配信の平均被視聴時間=9/3=3時間
配信者Aのライブ配信の被視聴時間:総被視聴時間でもよいし、平均被視聴時間でもよい。
【0021】
図1の例では、配信者LVがトークをライブ配信している。配信者LVのユーザ端末20はトークを行っている配信者LVの像および音声を録画・録音することで動画データを生成し、ネットワークNWを介してサーバ10に送信する。併せてユーザ端末20は、録画された配信者LVの動画像VDをユーザ端末20のディスプレイに表示させることで、配信者LVによる配信内容の確認を可能とする。
【0022】
配信者LVのライブ配信の視聴をプラットフォームに要求した視聴者AU1、AU2のユーザ端末30a、30bはそれぞれ、ネットワークNWを介してライブ配信に係る動画データを受信し、受信した動画データを再生することでディスプレイに動画像VD1、VD2を表示させると共にスピーカーから音声を出力する。各ユーザ端末30a、30bで表示される動画像VD1、VD2は配信者LVのユーザ端末20が撮像した動画像VDと実質的に同一であり、各ユーザ端末30a、30bで出力される音声も配信者LVのユーザ端末20が録音した音声と実質的に同一である。
【0023】
配信者LVのユーザ端末20における録音・録画と、視聴者AU1、AU2のユーザ端末30a、30bにおける動画データの再生と、は実質的に同時に行われる。配信者LVのトークの内容についてひとりの視聴者AU1がコメントをユーザ端末30aに入力すると、サーバ10は当該コメントをリアルタイムで配信者LVのユーザ端末20に表示させると共に各視聴者AU1、AU2のユーザ端末30a、30bにも表示させる。当該コメントを読んだ配信者LVがその内容に被せたトークを展開すると、そのトークの動画像と音声が各視聴者AU1、AU2のユーザ端末30a、30bで出力され、これにより配信者LVと視聴者AU1との会話が成立したと認識される。このように、ライブ配信システム1では、一方通行でない双方向のコミュニケーションを可能とするライブ配信が実現される。
【0024】
図2は、図1のユーザ端末20の機能および構成を示すブロック図である。ユーザ端末30はユーザ端末20と同様の機能および構成を有する。図2および以後のブロック図に示す各ブロックは、ハードウェア的には、コンピュータのCPUをはじめとする素子や機械装置で実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組み合せによっていろいろなかたちで実現できることは、本明細書に触れた当業者には理解されるところである。
【0025】
配信者LVおよび視聴者AUは、ダウンロードサイトからネットワークNWを介して、本実施の形態に係るライブ配信アプリケーションプログラム(以下、ライブ配信アプリという)をユーザ端末20、30にダウンロードし、インストールする。あるいはまた、ライブ配信アプリはユーザ端末20、30にプリインストールされていてもよい。ライブ配信アプリがユーザ端末20、30により実行されることにより、ユーザ端末20、30はネットワークNWを介してサーバ10と通信し、各種機能を実現する。以下、ユーザ端末20、30(のCPUなどのプロセッサ)がライブ配信アプリを実行することにより実現する機能をユーザ端末20、30の機能として説明する。それらの機能は実際はライブ配信アプリがユーザ端末20、30に実現させる機能である。なお、他の実施の形態では、これらの機能は、サーバ10からユーザ端末20、30のウェブブラウザにネットワークNWを介して送信され、そのウェブブラウザによって実行される、HTML(HyperText Markup Language)などのプログラミング言語により記述されたコンピュータプログラムにより実現されてもよい。
【0026】
ユーザ端末20は、ユーザの像および音声を記録した動画データを生成してサーバ10に提供する配信部100と、サーバ10から動画データを取得して再生する視聴部200と、アクティブユーザによる要求を処理する配信外処理部400と、を備える。ユーザは、配信を行う場合は配信部100を、視聴を行う場合は視聴部200を、視たいライブ配信を探したり配信者のプロフィールを視たりアーカイブを視たりする場合は配信外処理部400を、それぞれ起動する。配信部100がアクティブとなっているユーザ端末は配信者側、つまり動画データの生成側のユーザ端末であり、視聴部200がアクティブとなっているユーザ端末は視聴者側、つまり動画データの再生側のユーザ端末であり、配信外処理部400がアクティブとなっているユーザ端末はアクティブユーザのユーザ端末である。
【0027】
配信部100は、撮像制御部102と、音声制御部104と、動画送信部106と、配信側UI制御部108と、配信側通信部110と、を含む。撮像制御部102は図2では不図示のカメラと接続され、カメラによる撮像を制御する。撮像制御部102はカメラから画像データを取得する。音声制御部104は図2では不図示のマイクロフォンと接続され、マイクロフォンによる音声入力を制御する。音声制御部104は、マイクロフォンから音声データを取得する。動画送信部106は、撮像制御部102により取得された画像データおよび音声制御部104により取得された音声データを含む動画データを、ネットワークNWを介してサーバ10に送信する。動画送信部106による動画データの送信はリアルタイムで行われる。すなわち、撮像制御部102および音声制御部104による動画データの生成と、生成された動画データの動画送信部106による送信と、は実質的に同時に行われる。
【0028】
配信側UI制御部108は、配信者向けのUIを制御する。配信側UI制御部108は、図2では不図示のディスプレイと接続され、動画送信部106による送信対象となっている動画データを再生することにより動画像をディスプレイに表示させる。配信側UI制御部108は、図2では不図示のタッチパネルやキーボードやディスプレイなどの入力手段と接続され、それら入力手段を介して配信者による入力を取得する。配信側UI制御部108は、動画像に所定のフレーム画像を重畳させる。フレーム画像は、配信者から入力を受け付けるための様々なユーザインタフェースオブジェクト(以下、単にオブジェクトという)と、視聴者により入力されたコメントと、サーバ10から取得した情報と、を含む。配信側UI制御部108は例えば配信者によるオブジェクトに対するタップ入力を受け付ける。
【0029】
配信側通信部110は、ライブ配信中のサーバ10との間の通信を制御する。配信側通信部110は、配信側UI制御部108が取得した配信者による入力の内容を、サーバ10にネットワークNWを介して送信する。配信側通信部110は、ライブ配信に関連付けられた各種の情報をサーバ10からネットワークNWを介して受信する。
【0030】
視聴部200は、視聴側UI制御部202と、視聴側通信部204と、を含む。視聴側通信部204は、ライブ配信中のサーバ10との間の通信を制御する。視聴側通信部204は、ネットワークNWを介してサーバ10から、配信者と視聴者とが参加するライブ配信に係る動画データを受信する。
【0031】
視聴側UI制御部202は、視聴者向けのUIを制御する。視聴側UI制御部202は、図2では不図示のディスプレイおよびスピーカと接続され、受信された動画データを再生することにより動画像をディスプレイに表示させると共に音声をスピーカから出力させる。ディスプレイに画像が出力されると共にスピーカから音声が出力されることを、合わせて「動画データが再生」されていると言うことができる。視聴側UI制御部202は、図2では不図示のタッチパネルやキーボードやディスプレイなどの入力手段と接続され、それら入力手段を介して視聴者による入力を取得する。視聴側UI制御部202は、サーバ10から取得された動画データの画像に所定のフレーム画像を重畳させる。フレーム画像は、視聴者から入力を受け付けるための様々なオブジェクトと、視聴者により入力されたコメントと、サーバ10から取得した情報と、を含む。視聴側通信部204は、視聴側UI制御部202が取得した視聴者による入力の内容を、ネットワークNWを介してサーバ10に送信する。
【0032】
配信外処理部400は、配信外UI制御部402と、配信外通信部404と、を含む。配信外UI制御部402は、アクティブユーザ向けのUIを制御する。例えば、配信外UI制御部402は、現在参加可能なライブ配信のリストを表示してアクティブユーザによるライブ配信の選択を受け付けるライブ配信選択画面を生成し、ディスプレイに表示させる。配信外UI制御部402は、任意のユーザのプロフィール画面を生成し、ディスプレイに表示させる。配信外UI制御部402は、過去のライブ配信を録音・録画することにより生成されたアーカイブを再生する。
【0033】
配信外通信部404は、ライブ配信外のサーバ10との間の通信を制御する。配信外通信部404は、ネットワークNWを介してサーバ10から、ライブ配信選択画面を生成するための情報や、プロフィール画面を生成するための情報や、アーカイブのデータを受信する。配信外通信部404は、アクティブユーザによる入力の内容を、ネットワークNWを介してサーバ10に送信する。
【0034】
図3は、図1のサーバ10の機能および構成を示すブロック図である。サーバ10は、配信情報提供部302と、中継部304と、ギフト処理部308と、支払い処理部310と、ストリームDB314と、ユーザDB318と、ギフトDB320と、応援スコア更新部330と、低ランク管理部332と、高ランク管理部334と、報酬付与部336と、基準DB338と、を備える。
【0035】
図4は、図3のストリームDB314の一例を示すデータ構造図である。ストリームDB314は現在行われているライブ配信の情報を保持する。ストリームDB314は、ライブ配信システム1が提供するライブ配信プラットフォームにおいてライブ配信を特定するストリームIDと、当該ライブ配信の配信者を特定するユーザIDである配信者IDと、当該ライブ配信の視聴者を特定するユーザIDである視聴者IDと、を対応付けて保持する。
【0036】
本実施の形態に係るライブ配信システム1が提供するライブ配信プラットフォームでは、ユーザがライブ配信を行う場合そのユーザは配信者となり、また同じユーザが他のユーザが配信するライブ配信を視聴する場合は視聴者となる。したがって、配信者・視聴者の別は固定的なものではなく、あるとき配信者IDとして登録されていたユーザIDが別のタイミングでは視聴者IDとして登録されることもある。
【0037】
図5は、図3のユーザDB318の一例を示すデータ構造図である。ユーザDB318は、ユーザに関する情報を保持する。ユーザDB318は、ユーザを特定するユーザIDと、当該ユーザが有しているポイントと、当該ユーザに付与された報酬と、当該ユーザの応援スコアと、当該ユーザのランクスコアと、当該ユーザのランクと、当該ユーザの本日の総配信時間と、当該ユーザの本日の総被視聴時間と、当該ユーザが現在が属するラウンド(以下、現ラウンドという)において休止中か否かを示す情報である休止中フラグと、当該ユーザが有する休止チケットの残数と、当該ユーザの利益分配に係る還元率と、を対応付けて保持する。
【0038】
ポイントは、ライブ配信プラットフォーム内で流通する電子的価値である。ユーザはクレジットカードや他の決済手段によりポイントを購入する。報酬はライブ配信プラットフォーム内で定義される電子的価値であり、配信者がライブ配信プラットフォームの管理者から受け取る金銭の額を決めるための指標である。ライブ配信プラットフォームでは、ライブ配信内やライブ配信外で視聴者が配信者にギフトを贈ると、視聴者のポイントが消費され、併せて配信者の報酬がギフトの対価ポイントに還元率を乗算した数量分だけ増加する。本実施の形態では、配信者の還元率は当該配信者のランクやランクスコアや応援スコアとは無関係に設定される。例えば、還元率は配信者と管理者との契約に基づき設定されてもよい。還元率は配信者ごとに異なっていてもよいし、同じであってもよい。
【0039】
応援スコアは、配信者としてのユーザに対する他のユーザからの応援の度合いを示す応援パラメータである。本実施の形態では応援パラメータとして応援スコアという数値を採用するが、他の実施の形態では応援パラメータは、獲得したポイントの価値および/または個数、もらったコメントの数、受け取ったギフトの価値および/または個数、被視聴時間、またはそれらの任意の組み合わせ、またはそれらのうちの少なくともひとつを基に算出されるパラメータであってもよい。
【0040】
配信者の応援スコアは当該配信者に対する他のユーザのエンゲージメントの強さを表す。配信者の応援スコアの値は当該配信者に対して他のユーザにより行われた応援活動に基づき更新される。応援活動は、例えばライブ配信内・外でのギフティングやコメント、ライブ配信を視聴すること、配信者やライブ配信をシェアすることを含む。配信者の応援スコアの値は、当該配信者がライブ配信内で受け取ったギフトの量、ライブ配信外で受け取ったギフトの量、当該配信者が提供するライブ配信で投稿されたコメントの数および/または頻度、ライブ配信外の、例えば当該配信者のタイムラインや当該配信者とのダイレクトメッセージにおいて投稿されたコメントの数および/または頻度、当該配信者の被視聴時間、当該配信者が提供するライブ配信で送信されたエールの数、視聴者数(通算、平均等)、シェア数、ギフトを贈ってくれた視聴者の数などにより変動する。一例では、応援スコアを算出するための式は、配信者がライブ配信内・外で受け取ったギフトの量が多いほど、および/または、コメントの数が多いほど、および/または、被視聴時間が多いほど、および/または、エール数が多いほど、応援スコアの値が大きくなるよう設定される。応援スコアは応援活動に基づき増えることもあれば減ることもある。例えば、一定の期間内に配信者に対して応援活動がなければその配信者の応援スコアは減少してもよい。
【0041】
配信者の応援スコアは、応援してくれる他のユーザの属性により変動してもよい。例えば、応援スコアは、同じ応援活動の量に対して、より多くのユーザに応援してもらう場合のほうが、特定の少数のユーザに応援してもらう場合よりも応援スコアの値が大きくなるよう設定されてもよい。例えば、配信者が1000ポイントのギフトを一人のユーザから受け取った場合は応援スコアが+10となり、五人のユーザから200ポイントずつ受け取った場合は応援スコアが+15となってもよい。
【0042】
本実施の形態に係るライブ配信プラットフォームにおいてランクスコアおよびランクは周期的に更新される。周期は一日、一週間、一ヶ月または一年であってもよい。以下では周期を一日とし、一周期をラウンドと称す。ランクスコアおよびランクの更新のためにそれまでのラウンドにおける応援スコアを確定し、次のラウンドのために応援スコアをリセットして初期値(0)に戻す締めのタイミングを午前0時とする。
【0043】
各ラウンドの締めのタイミングで確定した応援スコアの値に基づき配信者のランクスコアが維持されるか、変動する。配信者のランクスコアは、当該配信者の応援スコアの値を、後述する基準DB338に保持されるランクごとの基準に従い評価することで更新される。
【0044】
各ラウンドの締めのタイミングで更新されたランクスコアの値に基づき配信者のランクが維持されるか、変動する。配信者のランクは、当該配信者のランクスコアの更新された値に基づき維持されるか上下する。本実施の形態では、配信者のランクスコアの更新された値が2に達した場合、当該配信者のランクが1上がり、ランクスコアはリセットされて初期値(0)になる。配信者のランクスコアの更新された値が-2に達した場合、当該配信者のランクが1下がり、ランクスコアはリセットされて初期値(0)になる。それ以外の場合はランクは維持される(変動しない)。ランクは、ライブ配信プラットフォームにおけるユーザの配信者としての実績を示す指標であるとも言える。
【0045】
本日の総配信時間は、現ラウンドにおける配信者の配信時間の累計である。
本日の総被視聴時間は、現ラウンドにおける配信者の総被視聴時間である。
【0046】
休止チケットは各ユーザに配布されるデジタルアイテムである。休止チケットは周期的に、例えば一月に一回または一年に一回、管理者から各ユーザに決まった数が配布される。配信者があるラウンドを指定して休止チケットを使用した場合、当該配信者は指定されたラウンドにおけるランクスコア・ランクの更新処理から除外される。すなわち、指定されたラウンドにおいて当該配信者のランクスコアおよびランクは維持される。ある配信者が次のラウンドを指定して休止チケットを使用した場合、当該配信者の残り休止チケットの数が1だけ減算される。次のラウンドが開始されると、当該配信者に対応する休止中フラグがYに設定される。
【0047】
図6は、図3のギフトDB320の一例を示すデータ構造図である。ギフトDB320は、ライブ配信において視聴者が使用可能なギフトに関する情報を保持する。ギフトは、以下の特徴を有する電子アイテムまたは電子データである。
・ポイントや金銭を対価として購入可能、または無料で付与可能。
・視聴者が配信者に贈ることができるもの。配信者にギフトを贈ることを、ギフトを使用する、またはギフトを投げるともいう。
・ギフトの購入と使用とがセットで同時に発生するタイプのものもあれば、購入した後、視聴者が任意のタイミングで使用可能なタイプのものもある。
・視聴者が配信者にギフトを贈ると、その配信者に相応の報酬が付与される。
・ギフトが使用された場合、ギフトに関連付けられた効果が生じることがある。例えば、ギフトに対応するエフェクトがライブ配信ルーム画面に表れる。
【0048】
ギフトDB320は、ギフトを特定するギフトIDと、当該ギフトを配信者に贈った場合に当該配信者に付与される報酬の基本値である付与報酬と、当該ギフトを配信者に贈った場合に当該配信者に付与される応援スコアの値である付与応援スコアと、当該ギフトを使用する際に支払うべき対価である対価ポイントと、を対応付けて保持する。視聴者は、ライブ配信の視聴中に、所望のギフトの対価ポイントを支払うことで配信者に当該ギフトを贈ることができる。この対価ポイントの支払いは適宜の電子的決済手段により行われてもよく、例えば対価ポイントを視聴者が管理者に支払うことで行われてもよい。あるいはまた、銀行振込やクレジットカードによる支払いが用いられてもよい。付与報酬と対価ポイントとの関係は管理者が任意に設定可能である。例えば、付与報酬=対価ポイントに設定してもよい。または付与報酬に1.2などの所定の係数を乗じて得られるポイントを対価ポイントに設定してもよいし、付与報酬に所定の手数料ポイントを加算して得られるポイントを対価ポイントに設定してもよい。本実施の形態では、視聴者から配信者にギフトが贈られた場合、当該ギフトの付与報酬に当該配信者の還元率を乗算して得られる値を当該配信者の報酬に加算する。例えば、図6のギフト「GFT1」が配信者に贈られ、当該配信者の還元率が0.4(40%)である場合、当該配信者には80(基本値)×0.4=32の報酬が付与される。
【0049】
ギフトには、配信者の報酬を増加させるが応援スコアには寄与しないタイプ(図6のGFT1、GFT2)と、配信者の報酬を増加させると共に応援スコアも増加させるタイプ(図6のSUP1)と、配信者の報酬には寄与しないが応援スコアを増加させるタイプ(図6のSUP2)と、がある。このように、報酬への寄与および応援スコアへの寄与に関して異なるタイプのギフトを設けることにより、ギフティングによる応援に戦略性を持たせることができる。例えば、同じ対価ポイントのギフト(図6のGFT2、SUP2)を投げるにしても、配信者が現ラウンドでランク落ちの危機にあれば応援スコアへの寄与が大きなギフト(SUP2)を投げると喜ばれるであろうし、逆に現ラウンドでランク維持が堅いのであれば報酬への寄与が大きなギフト(GFT2)の方が喜ばれるであろう。ユーザ(視聴者)としては、配信者により喜ばれるギフトを贈ることで満足と楽しみを得ることができる。
【0050】
図7は、図3の基準DB338の一例を示すデータ構造図である。基準DB338は、配信者の応援スコアの値を評価してランクスコアの増減または増減なしを決めるための基準を保持する。基準DB338は、0から5の6つのランクのそれぞれについて、当該ランクの時給と、ランクスコアが+1となるための条件と、ランクスコアを変動させないための条件と、ランクスコアが-1となるための条件と、を保持する。時給は配信時間を報酬に変換するためのレートであり、ランクが高いほど高くなる。
【0051】
基準DB338に保持される基準には相対的基準と絶対的基準とがある。6つの異なるランクのうちの低ランク、すなわちランク0、ランク1、ランク2、ランク3については相対的基準が設定される。6つの異なるランクのうちの高ランク、すなわちランク4、ランク5については絶対的基準が設定される。高ランクは低ランクよりも高く、それらに重複はないように設定される。
【0052】
相対的基準に従う場合、配信者の応援スコアの値と、当該配信者が属するランクに属する他の配信者の応援スコアの値と、の比較結果に基づいて、当該配信者のランクスコアの増減または増減なしが決定される。図7の例では、ランク2に属する配信者全員を応援スコアの値で順位付けし、上位30%に入る配信者のランクスコアを+1し、下位30%に入る配信者のランクスコアを-1し、残りの40%の配信者のランクスコアは増減なしとする。
【0053】
絶対的基準に従う場合、配信者の応援スコアの値を、他の配信者の応援スコアの値とは無関係に評価した結果に基づいて、当該配信者のランクスコアの増減または増減なしが決定される。本実施の形態では無関係に評価する方法として配信者の応援スコアの値と当該配信者の属するランクに固有の定数であるしきい値との比較結果を用いる場合を説明するが、他の実施の形態では前ラウンドにおける応援スコアの値と現ラウンドにおける応援スコアの値との差としきい値との比較結果を用いてもよいし、応援スコアの上昇率としきい値との比較結果を用いてもよい。図7の例では、ランク4に属する各配信者について、当該配信者の応援スコアの値が4000以上であれば当該配信者のランクスコアを+1し、2000以上4000未満であればランクスコアは増減なしとし、2000未満であればランクスコアを-1する。
【0054】
図3に戻り、配信情報提供部302は、ネットワークNWを介して、配信者のユーザ端末20からライブ配信を開始する旨の通知を受けると、当該ライブ配信を特定するストリームIDと、当該ライブ配信の配信者の配信者IDと、をストリームDB314に登録する。配信情報提供部302は、ネットワークNWを介して、アクティブユーザのユーザ端末の配信外通信部404からライブ配信に関する情報の提供要求を受けると、ストリームDB314を参照して現在視聴可能なライブ配信のリストを生成する。配信情報提供部302は、ネットワークNWを介して、生成されたリストを要求元のユーザ端末に送信する。要求元のユーザ端末の配信外UI制御部402は、受信したリストに基づいてライブ配信選択画面を生成し、ユーザ端末のディスプレイに表示させる。
【0055】
ユーザ端末の配信外UI制御部402は、ライブ配信選択画面におけるアクティブユーザによるライブ配信の選択を受け付けると、選択されたライブ配信のストリームIDを含む配信要求を生成し、ネットワークNWを介してサーバ10に送信する。配信情報提供部302は、受信した配信要求に含まれるストリームIDにより特定されるライブ配信の、要求元のユーザ端末への提供を開始する。配信情報提供部302は、当該ストリームIDの視聴者IDに要求元のユーザ端末のアクティブユーザのユーザIDが含まれるようにストリームDB314を更新する。これにより、アクティブユーザは選択されたライブ配信の視聴者となる。
【0056】
中継部304は、配信情報提供部302によって開始されたライブ配信において、配信者のユーザ端末20から視聴者のユーザ端末30への動画データの伝送を中継する。中継部304は、ライブ配信中すなわち動画データの再生中における視聴者によるユーザ入力を示す信号を視聴側通信部204から受信する。ユーザ入力を示す信号は、ユーザ端末30のディスプレイに表示されたオブジェクトの指定を示すオブジェクト指定信号であってもよく、当該オブジェクト指定信号は、視聴者の視聴者IDと、視聴者が視聴しているライブ配信を行っている配信者の配信者IDと、オブジェクトを特定するオブジェクトIDと、を含む。オブジェクトがギフトアイコンである場合、オブジェクトIDはギフトIDとなる。その場合のオブジェクト指定信号は、視聴者による配信者に対するギフトの使用を示すギフト使用信号となる。オブジェクトがエールアイコンである場合のオブジェクト指定信号は、視聴者による配信者に対するエールの使用を示すエール使用信号となる。同様に、中継部304は、動画データの再生中における配信者によるユーザ入力を示す信号、例えばオブジェクト指定信号をユーザ端末20の配信部100の配信側通信部110から受信する。
【0057】
ギフト処理部308は、ギフト使用信号に含まれるギフトIDで特定されるギフトの付与報酬および還元率に応じて配信者の報酬を増加させるようにユーザDB318を更新する。ギフト処理部308は、ギフトDB320を参照し、受信したギフト使用信号に含まれるギフトIDに対応する付与報酬を特定する。ギフト処理部308は、ギフト使用信号に含まれる配信者IDに対応する報酬に、特定された付与報酬に還元率を乗算した値を加えるようユーザDB318を更新する。
【0058】
支払い処理部310は、ギフト使用信号の受信に応じて、視聴者によるギフトの対価の支払いを処理する。支払い処理部310は、ギフトDB320を参照し、ギフト使用信号に含まれるギフトIDで特定されるギフトの対価ポイントを特定する。支払い処理部310は、ギフト使用信号に含まれる視聴者IDで特定される視聴者のポイントから特定された対価ポイントを差し引くようユーザDB318を更新する。
【0059】
応援スコア更新部330は、配信者によるライブ配信中に当該配信者に対して視聴者により行われた応援活動に基づき、当該配信者の応援スコアの値を更新する。応援スコア更新部330は、進行中のライブ配信の視聴者のユーザ端末からギフト使用信号を受信すると、ギフトDB320を参照し、受信したギフト使用信号に含まれるギフトIDに対応する付与応援スコアを特定する。応援スコア更新部330は、ギフト使用信号に含まれる配信者IDに対応する応援スコアに、特定された付与応援スコアの値を加えるようユーザDB318を更新する。応援スコア更新部330は、進行中のライブ配信の視聴者のユーザ端末からエール使用信号を受信すると、エールの使用に対応する付与応援スコア(1、10、50などの所定の値)を特定する。応援スコア更新部330は、エール使用信号に含まれる配信者IDに対応する応援スコアに、特定された付与応援スコアの値を加えるようユーザDB318を更新する。応援スコア更新部330は、進行中のライブ配信の視聴者のユーザ端末からコメント入力信号(後述)を受信すると、コメントの入力に対応する付与応援スコア(1、2、3などの所定の値)を特定する。応援スコア更新部330は、コメント入力信号に含まれる配信者IDに対応する応援スコアに、特定された付与応援スコアの値を加えるようユーザDB318を更新する。応援スコア更新部330は、周期的に、例えば30分に1度、1時間に1度等の頻度で、各ユーザの本日の総被視聴時間を取得し、取得された総被視聴時間に対応する付与応援スコア(1時間あたり1などの所定の割合で算出する)を特定する。応援スコア更新部330は、各ユーザの応援スコアに、特定された付与応援スコアの値を加えるようユーザDB318を更新する。他の実施の形態では、ギフト、コメント、エール、被視聴時間のそれぞれと応援スコアの更新量との関係は管理者が任意に設定可能である。
【0060】
応援スコア更新部330は、配信者がライブ配信を提供していないときに当該配信者に対して他のユーザにより行われた応援活動に基づき、当該配信者の応援スコアの値を更新する。配信者がライブ配信を提供していないとき、すなわちライブ配信外における他のユーザによる応援活動は、ライブ配信外のギフティングと、ライブ配信外のエールと、を含む。
【0061】
本実施の形態に係るライブ配信プラットフォームは、配信者がライブ配信を提供していないときに当該配信者に対して他のユーザからギフト(以下、配信外ギフトという)およびエール(以下、配信外エールという)を贈ることが可能なように構成される。配信外ギフトおよび配信外エールは、例えば特許文献2に記載される技術を用いて実現されてもよい。応援スコア更新部330は、アクティブユーザのユーザ端末から配信外ギフトの使用を示す配信外ギフト使用信号を受信すると、ギフトDB320を参照し、受信した配信外ギフト使用信号に含まれるギフトIDに対応する付与応援スコアを特定する。応援スコア更新部330は、配信外ギフト使用信号に含まれる贈り先ユーザIDに対応する応援スコアに、特定された付与応援スコアの値を加えるようユーザDB318を更新する。応援スコア更新部330は、アクティブユーザのユーザ端末から配信外エールの使用を示す配信外エール使用信号を受信すると、エールの使用に対応する付与応援スコア(1、10、50などの所定の値)を特定する。応援スコア更新部330は、配信外エール使用信号に含まれる贈り先ユーザIDに対応する応援スコアに、特定された付与応援スコアの値を加えるようユーザDB318を更新する。
【0062】
応援スコア更新部330は、配信者から休止チケットを受け付けた場合でも、当該休止チケットで指定されるラウンドにおいて、当該配信者に対して行われた応援活動に基づく応援スコアの更新を継続する。これは、配信者が属するランクに依らない処理であり、かつ、応援活動がライブ配信内で行われたかライブ配信外で行われたかに依らない処理である。例えば、応援スコア更新部330は、高ランクに属する配信者から次のラウンドの指定を伴う休止チケットを受け付けた場合でも、当該次のラウンドにおいて、当該配信者に対してライブ配信外で行われたギフティングおよび/またはエールに基づく応援スコアの更新を継続する。その結果、配信者の休止中のラウンドにおいても当該配信者の応援スコアは変動する。
【0063】
低ランク管理部332は、ラウンドの締めが到来すると、低ランクに属する配信者について、当該配信者が当該ラウンド内に獲得した応援スコアの値と、当該配信者が属するランクに属する他の配信者が当該ラウンド内に獲得した応援スコアの値と、の比較結果に基づいて、当該配信者の属するランクを変更するか否かを決定する。
【0064】
低ランク管理部332は、ラウンドの締めが到来すると、ユーザDB318を参照し、ランクが0~3のいずれかであり、かつ、休止中フラグがNとなっているユーザのユーザIDおよび応援スコアを抽出し、ランクごとに評価対象リストを生成する。低ランク管理部332は、評価対象リストに含まれるユーザIDを応援スコアでソートする。低ランク管理部332は、基準DB338を参照し、ランクに対応する相対的基準を当該ランクのソートされた評価対象リストに適用することで、ランクスコアを+1するユーザと、ランクスコアを-1するユーザと、ランクスコア増減なしのユーザと、を特定する。低ランク管理部332は、特定されたランクスコアの変動をユーザDB318のランクスコアに反映させることでランクスコアを更新する。
【0065】
低ランク管理部332は、ランクが0~3のいずれかであり、かつ、休止中フラグがNとなっているユーザのそれぞれについて、更新後のランクスコアが上限値に達した場合は当該ユーザのランクを+1すると共にランクスコアを0に戻す。低ランク管理部332は、更新後のランクスコアが下限値に達した場合は当該ユーザのランクを-1すると共にランクスコアを0に戻す。低ランク管理部332は、更新後のランクスコアが下限値と上限値との間にある場合は当該ユーザの属するランクを変更しないと決定する。
【0066】
低ランク管理部332は、低ランクに属する配信者からラウンドの指定を伴う休止チケットを受け付けた場合、当該配信者について指定されたラウンドにおける比較結果に基づくランクの変更を行わない。低ランク管理部332は、ラウンドの締めが到来すると、ランクが0~3のいずれかであり、かつ、休止中フラグがYとなっているユーザを特定し、特定されたユーザを当該ラウンドにおけるランクスコア・ランクの更新対象から除外する。その結果、除外されたユーザのランクスコアおよびランクは更新されず維持される。
【0067】
高ランク管理部334は、ラウンドの締めが到来すると、高ランクに属する配信者について、当該配信者の応援スコアの値を、他の配信者の応援スコアの値とは無関係に評価した結果に基づいて、当該配信者の属するランクを変更するか否かを決定する。
【0068】
高ランク管理部334は、ラウンドの締めが到来すると、ユーザDB318を参照し、ランクが4、5のいずれかであり、かつ、休止中フラグがNとなっているユーザのユーザIDおよび応援スコアを抽出し、ランクごとに評価対象リストを生成する。高ランク管理部334は、基準DB338を参照し、ランクに対応する絶対的基準を当該ランクの評価対象リストに含まれる各ユーザに個別に適用することで、当該ユーザのランクスコアを+1するか、-1するか、あるいは増減なしとするか、を決定する。高ランク管理部334は、あるランクの評価対象リストに含まれるユーザIDごとに、当該ユーザIDの応援スコアと、基準DB338に保持される当該ランクに固有の定数であるしきい値と、を比較する。高ランク管理部334は、応援スコアが+1のしきい値以上であればランクスコアを+1し、応援スコアが-1のしきい値未満であればランクスコアを-1し、それ以外の場合はランクスコアの増減なし、と決定する。高ランク管理部334は、決定されたランクスコアの変動をユーザDB318のランクスコアに反映させることでランクスコアを更新する。
【0069】
高ランク管理部334は、ランクが4、5のいずれかであり、かつ、休止中フラグがNとなっているユーザのそれぞれについて、更新後のランクスコアが上限値に達した場合は当該ユーザのランクを+1すると共にランクスコアを0に戻す。高ランク管理部334は、更新後のランクスコアが下限値に達した場合は当該ユーザのランクを-1すると共にランクスコアを0に戻す。高ランク管理部334は、更新後のランクスコアが下限値と上限値との間にある場合は当該ユーザの属するランクを変更しないと決定する。
【0070】
高ランク管理部334は、高ランクに属する配信者からラウンドの指定を伴う休止チケットを受け付けた場合、当該配信者について指定されたラウンドにおけるランクの変更を行わない。高ランク管理部334は、ラウンドの締めが到来すると、ランクが4、5のいずれかであり、かつ、休止中フラグがYとなっているユーザを特定し、特定されたユーザを当該ラウンドにおけるランクスコア・ランクの更新対象から除外する。その結果、除外されたユーザのランクスコアおよびランクは更新されず維持される。
【0071】
報酬付与部336は、ラウンドの締めが到来すると、上記のランクスコアおよびランクの更新よりも前に、配信者に、当該配信者の属するランクと当該配信者の配信時間とに基づく量の報酬を付与するための処理を行う。報酬付与部336は、配信者に、当該配信者の属するランクが高いほど高くなる時給にしたがい、当該配信者の配信時間が長いほど多くなる報酬を付与するための処理を行う。
【0072】
報酬付与部336は、ユーザDB318に登録されている各ユーザについて、当該ユーザのランクに対応する時給と、締められたラウンドにおける総配信時間と、を特定する。報酬付与部336は基準DB338を参照することでランクに対応する時給を特定する。総配信時間には上限値(例えば3時間)が設定されている。報酬付与部336は、ユーザDB318に登録されている総配信時間がこの上限値を超える場合は総配信時間として上限値を用いる。報酬付与部336は、各ユーザについて、特定された時給と特定された総配信時間とを乗算することで、締められたラウンドにおける時間給を算出する。報酬付与部336は、ユーザについて算出された時間給の値がそのユーザの報酬に加算されるようにユーザDB318を更新する。
【0073】
以上の構成によるライブ配信システム1の動作を説明する。
図8は、ライブ配信システム1における時間給の付与に係る一連の処理の流れを示すフローチャートである。サーバ10は、ラウンドの締め時刻が到来したか否かを判定する(S202)。到来していない場合(S202のN)、サーバ10は配信者(ユーザ)に対する応援活動が検出されたか否かを判定する(S204)。検出されない場合(S204のN)、処理はステップS202に戻る。検出された場合(S204のY)、サーバ10は応援された配信者の応援スコアを更新する(S206)。その後、処理はステップS202に戻る。
【0074】
ラウンドの締め時刻が到来した場合(S202のY)、サーバ10は、配信者の配信時間と配信者のランクに応じた時給とから当該配信者に付与すべき報酬の量を算出し、算出された量の報酬を当該配信者に付与する(S208)。サーバ10は、低ランクに属する配信者について、配信者間の応援スコアの比較結果に基づいてランクスコアを更新する(S210)。サーバ10は、低ランクに属する配信者について、更新されたランクスコアに基づいてランクを変更するか否かを決定する(S212)。
【0075】
サーバ10は、高ランクに属する配信者について、応援スコアをランク固有かつ固定のしきい値と比較した結果に基づいてランクスコアを更新する(S214)。サーバ10は、高ランクに属する配信者について、更新されたランクスコアに基づいてランクを変更するか否かを決定する(S216)。
【0076】
サーバ10は、各配信者の応援スコアと配信時間と総被視聴時間とをリセットし、初期値に戻す(S218)。サーバ10は、次のラウンドを開始する(S220)。その後、処理はステップS202に戻る。
【0077】
図9は、視聴者のユーザ端末30のディスプレイに表示されるライブ配信ルーム画面608の代表画面図である。ライブ配信ルーム画面608は、配信者のユーザ端末20で生成された動画像をリアルタイムで表示する。ライブ配信ルーム画面608は、サーバ10から受信した動画データを再生することにより得られる配信者の動画像610と、ギフトアイコン612と、コメント入力領域616と、コメント表示領域618と、視聴終了ボタン620と、エールオブジェクト622と、を有する。視聴側UI制御部202は、動画データを再生することにより得られる動画像610に、他のオブジェクト、すなわちギフトアイコン612、コメント入力領域616、コメント表示領域618、視聴終了ボタン620、エールオブジェクト622、を重畳表示することによりライブ配信ルーム画面608を生成する。
【0078】
コメント表示領域618は、視聴者により入力されたコメントと、他の視聴者により入力されたコメントと、システムからの通知と、を含みうる。システムからの通知は、配信者に誰がどのギフトを贈ったかを示す情報を含むことができる。視聴側UI制御部202はサーバ10から受信した他の視聴者のコメントおよびシステムからの通知を含むコメント表示領域618を生成し、生成されたコメント表示領域618をライブ配信ルーム画面608に含める。
【0079】
コメント入力領域616は視聴者によるコメントの入力を受け付ける。視聴側通信部204は、コメント入力領域616に入力されたコメントを含むコメント入力信号を生成し、ネットワークNWを介してサーバ10に送信する。併せて視聴側UI制御部202は、コメント入力領域616に入力されたコメントを表示するようにコメント表示領域618を更新する。
【0080】
視聴終了ボタン620は、ライブ配信の視聴を止めるための指示を視聴者から受け付けるためのオブジェクトである。
【0081】
ユーザ端末30の視聴側UI制御部202は、ギフトアイコン612へのタップが検出されると、ギフト情報要求を生成し、ネットワークNWを介してサーバ10に送信する。サーバ10の中継部304は、ギフト情報要求を受信すると、ギフトDB320を参照して使用可能なギフトのギフトIDを特定する。サーバ10は、特定されたギフトIDを含むギフト情報を生成し、要求元のユーザ端末30に送信する。ユーザ端末30の視聴側UI制御部202は、受信したギフト情報に基づき、ギフトの選択を受け付けるためのギフト領域を生成する。ギフト領域は、受信したギフト情報に含まれるギフトIDで特定されるギフトのギフトオブジェクトを含む。視聴側UI制御部202は生成されたギフト領域をライブ配信ルーム画面608に表示させる。視聴者がギフト領域のギフトオブジェクトをタップすると、ユーザ端末30の視聴側UI制御部202は当該視聴者による当該ギフトオブジェクトの指定を受け付ける。視聴側UI制御部202は、指定されたギフトオブジェクトが表すギフトに対応するエフェクトを生成する。視聴側UI制御部202は、生成されたエフェクトをライブ配信ルーム画面608に表示させる。併せて視聴側通信部204は指定されたギフトオブジェクトが表すギフトのギフトIDを含むギフト使用信号を生成してサーバ10に送信する。
【0082】
ユーザ端末30の視聴側通信部204は、エールオブジェクト622へのタップが検出されると、エール使用信号を生成してサーバ10に送信する。
【0083】
図10は、休止中の配信者のユーザ端末20のディスプレイに表示されるランク情報表示画面630の代表画面図である。ユーザ端末20は、配信者からランク情報の閲覧の要求を受け付けると、配信者のユーザIDを含むランク情報要求信号を生成し、ネットワークNWを介してサーバ10に送信する。配信情報提供部302は、ランク情報要求信号を受信すると、ユーザDB318から、当該信号に含まれるユーザIDに対応付けて保持される応援スコア、ランクスコア、ランク、本日の総配信時間、本日の総被視聴時間、休止中フラグ、残り休止チケット数を取得する。配信情報提供部302は、取得された情報を含むランク情報応答信号を生成し、ネットワークNWを介して要求元のユーザ端末20に送信する。ユーザ端末20は、受信したランク情報応答信号に含まれる情報に基づいてランク情報表示画面630を生成し、ディスプレイに表示させる。ランク情報表示画面630は、配信者の現在のランクを表示するランク表示領域632と、配信者の現在のランクスコアを表示するランクスコア表示領域634と、配信者のステータスを表示する詳細情報表示領域636と、配信開始ボタン638と、を有する。
【0084】
詳細情報表示領域636に表示される情報は、配信者が現ラウンドにおいて休止中か否か、すなわちランク情報応答信号に含まれる休止中フラグがYかNかによって異なる。休止中フラグがNの場合、詳細情報表示領域636は現ラウンドにおける現時点での相対的基準または絶対的基準の進度を表示する。休止中フラグがYの場合(図10)、詳細情報表示領域636は、現ラウンドにおいて配信者が休止中であることを示す情報640と、配信者が現在有している休止チケットの数642と、現ラウンドにおいて現在までに配信者に対する応援活動により獲得された応援スコアの値644と、現ラウンドの締め時刻までの残り時間646と、を有する。応援スコアの値644は、現ラウンドにおいて配信者がライブ配信を行っていない場合、ライブ配信外のギフティングやエールにより獲得された応援スコアの値である。詳細情報表示領域636は、配信者が現ラウンドの休止を解除して配信を開始した場合、応援スコアの値644を得ることができる旨のテキストを表示する。これにより、例えば配信者が休止中に思わず多額の配信外ギフトを得た場合に、その配信者が詳細情報表示領域636の表示を見て配信開始しランク更新に参加することで、その配信者がランクアップまたはランクポイント獲得のチャンスをより確実に活かすことができるようになる。その他、何らかの理由で配信者が休止を止めようと思っているときに、応援スコアが既に貯まっていることを知らせることでライブ配信の再開を後押しすることができる。
【0085】
ユーザ端末20は、配信開始ボタン638へのタップが検出されると、ライブ配信を開始する旨の通知を生成し、ネットワークNWを介してサーバ10に送信する。
【0086】
上述の実施の形態において、DBの例は、ハードディスクや半導体メモリである。また、本明細書の記載に基づき、各部を、図示しないCPUや、インストールされたアプリケーションプログラムのモジュールや、システムプログラムのモジュールや、ハードディスクから読み出したデータの内容を一時的に記憶する半導体メモリなどにより実現できることは本明細書に触れた当業者には理解される。
【0087】
本実施の形態に係るライブ配信システム1によると、比較的多くの配信者が属するランクでは相対的評価を採用し、比較的少ない配信者が属するランクでは絶対的評価を採用する。これにより、ランクの特徴に合わせて最適な配信者評価を行うことができる。
【0088】
また、本実施の形態に係るライブ配信システム1では、配信者に、ギフティングによる収益の分配と時間給とを合わせたハイブリッド型の報酬形態が提供される。収益の分配は出来高制の報酬であり、配信者が受けたギフティングの量に還元率(割合)を乗算することにより算出される。還元率は配信者ごとに定められ、配信者間で異なりうるが、ランクやランクスコアや応援スコアとは無関係である。このようなハイブリッド型の報酬形態を採用することで、配信者の性格の違いにより寛容で、配信者が稼ぐ戦略を立てやすいライブ配信プラットフォームを提供できる。例えば、ランクが低くても還元率を高く設定することで、コツコツ稼ぐよりも一回の大当たりで稼ぐ方が性に合っている配信者を受け入れやすくなる。また、還元率が低くても応援スコアを地道に集めることでランクが高くなっていくので、コツコツ稼ぐ方を好む配信者を受け入れやすくなる。
【0089】
また、本実施の形態に係るライブ配信システム1では、配信者がライブ配信を提供していないときに当該配信者に対して行われた応援活動に基づき、当該配信者の応援スコアが更新される。したがって、視聴者はライブ配信の中でも外でもどちらでも配信者のランクアップに貢献できるようになるので、視聴者による応援の自由度が向上する。
【0090】
また、本実施の形態に係るライブ配信システム1では、配信者が休止中のラウンドにおいても当該配信者の応援スコアの更新は継続される。したがって、配信者の気が変わって休止を解除する際に、当該配信者がライブ配信外で受けた応援活動を有効に活用することができる。また、例えばラウンドの後半で気が変わった場合でも、既に応援スコアが累積していれば配信を再開しやすくなる。
【0091】
図11を参照して、本実施の形態に係る情報処理装置のハードウェア構成について説明する。図11は、本実施の形態に係る情報処理装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。図示された情報処理装置900は、例えば、本実施の形態におけるサーバ10およびユーザ端末20、30のそれぞれを実現しうる。
【0092】
情報処理装置900は、CPU901、ROM(Read Only Memory)902、およびRAM(Random Access Memory)903を含む。また、情報処理装置900は、ホストバス907、ブリッジ909、外部バス911、インタフェース913、入力装置915、出力装置917、ストレージ装置919、ドライブ921、接続ポート925、通信装置929を含んでもよい。さらに、情報処理装置900は、カメラなどの撮像装置(不図示)を含む。CPU901は、本明細書中に記載されている構成要素により実現される機能を実現するためのハードウェア構成の例である。本明細書に記載されている機能は、当該記載された機能を実現するようにプログラムされた回路(circuitry)により実現されてもよい。本明細書に記載されている機能を実現するようにプログラムされた回路(circuitry)は、CPU(a Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、汎用プロセッサ、特定用途プロセッサ、集積回路、ASICs(Application Specific Integrated Circuits)、および/又はこれらの組合せを含む。本明細書において特定の機能を実現するユニット、は、当該機能を実現するようにプログラムされた回路として実現されてもよい。
【0093】
CPU901は、演算処理装置および制御装置として機能し、ROM902、RAM903、ストレージ装置919、またはリムーバブル記録媒体923に記録された各種プログラムに従って、情報処理装置900内の動作全般またはその一部を制御する。例えば、CPU901は、本実施の形態におけるサーバ10およびユーザ端末20、30のそれぞれに含まれる各機能部の動作全般を制御する。ROM902は、CPU901が使用するプログラムや演算パラメータなどを記憶する。RAM903は、CPU901の実行において使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータなどを一次記憶する。CPU901、ROM902、およびRAM903は、CPUバスなどの内部バスにより構成されるホストバス907により相互に接続されている。さらに、ホストバス907は、ブリッジ909を介して、PCI(Peripheral Component Interconnect/Interface)バスなどの外部バス911に接続されている。
【0094】
入力装置915は、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、スイッチおよびレバーなど、ユーザによって操作される装置であってもよいし、マイクロフォンなどの音センサ、加速度センサ、傾きセンサ、赤外線センサ、深度センサ、温度センサ、湿度センサなど物理量を電気信号に変換する装置であってもよい。入力装置915は、例えば、赤外線やその他の電波を利用したリモートコントロール装置であってもよいし、情報処理装置900の操作に対応した携帯電話などの外部接続機器927であってもよい。入力装置915は、ユーザが入力した情報または感知した物理量に基づいて入力信号を生成してCPU901に出力する入力制御回路を含む。ユーザは、この入力装置915を操作することによって、情報処理装置900に対して各種のデータを入力したり処理動作を指示したりする。
【0095】
出力装置917は、取得した情報をユーザに対して視覚的または聴覚的に通知することが可能な装置で構成される。出力装置917は、例えば、LCD、PDP、OELDなどのディスプレイ、スピーカおよびヘッドホンなどの音響出力装置、ならびにプリンタ装置などでありうる。出力装置917は、情報処理装置900の処理により得られた結果を、テキストまたは画像などの映像として出力したり、音響などの音として出力したりする。
【0096】
ストレージ装置919は、情報処理装置900の記憶部の一例として構成されたデータ格納用の装置である。ストレージ装置919は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)などの磁気記憶部デバイス、半導体記憶デバイス、光記憶デバイス、または光磁気記憶デバイスなどにより構成される。このストレージ装置919は、CPU901が実行するプログラムや各種データ、および外部から取得した各種のデータなどを格納する。
【0097】
ドライブ921は、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリなどのリムーバブル記録媒体923のためのリーダライタであり、情報処理装置900に内蔵、あるいは外付けされる。ドライブ921は、装着されているリムーバブル記録媒体923に記録されている情報を読み出して、RAM903に出力する。また、ドライブ921は、装着されているリムーバブル記録媒体923に記録を書き込む。
【0098】
接続ポート925は、機器を情報処理装置900に直接接続するためのポートである。接続ポート925は、例えば、USB(Universal Serial Bus)ポート、IEEE1394ポート、SCSI(Small Computer System Interface)ポートなどでありうる。また、接続ポート925は、RS-232Cポート、光オーディオ端子、HDMI(登録商標)(High-Definition Multimedia Interface)ポートなどであってもよい。接続ポート925に外部接続機器927を接続することで、情報処理装置900と外部接続機器927との間で各種のデータが交換されうる。
【0099】
通信装置929は、例えば、ネットワークNWに接続するための通信デバイスなどで構成された通信インタフェースである。通信装置929は、例えば、有線または無線LAN(Local Area Network)、Bluetooth(登録商標)、またはWUSB(Wireless USB)用の通信カードなどでありうる。また、通信装置929は、光通信用のルータ、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)用のルータ、または、各種通信用のモデムなどであってもよい。通信装置929は、例えば、インターネットや他の通信機器との間で、TCP/IPなどの所定のプロトコルを用いて信号などを送受信する。また、通信装置929に接続される通信ネットワークNWは、有線または無線によって接続されたネットワークであり、例えば、インターネット、家庭内LAN、赤外線通信、ラジオ波通信または衛星通信などである。なお、通信装置929は、通信部としての機能を実現する。
【0100】
カメラなどの撮像装置(不図示)は、例えばCCD(Charge Coupled Device)またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの撮像素子、および撮像素子への被写体像の結像を制御するためのレンズなどの各種の部材を用いて実空間を撮像し、撮像画像を生成する装置である。当該撮像装置は、静止画を撮像するものであってもよいし、または動画を撮像するものであってもよい。
【0101】
以上、実施の形態に係るライブ配信システム1の構成と動作について説明した。この実施の形態は例示であり、各構成要素や各処理の組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本開示の範囲にあることは当業者に理解される。
【0102】
実施の形態では、応援スコアからランクスコアの変動を決め、ランクスコアの多寡によってランクの変動を決める場合を説明したが、これに限られず、例えば応援スコアを相対的にまたは絶対的に評価することでランクの変動を直接決めてもよい。この場合、ランクの変化の頻度を高めることができる。
【0103】
実施の形態では、還元率は配信者ごとに定められ、配信者間で異なりうるが、ランクやランクスコアや応援スコアとは無関係である場合を説明したが、これに限られず、例えば還元率を配信者によらない一律の値としてもよいし、ランクに応じて還元率を定めてもよい。
【0104】
実施の形態におけるギフトの対価ポイントから付与報酬への換算率は一例であって、これらは例えばライブ配信システムの管理者により適宜設定されてもよい。
【0105】
実施の形態に係る技術的思想を、配信者の画像の代わりに配信者の動きと同期した動きをするアバターを用いるバーチャルライブ配信や、ライブコマースに適用してもよい。また、実施の形態では、配信者のユーザ端末で生成されたライブ配信に係る動画データをサーバが中継して視聴者のユーザ端末に送信する場合を説明したが、これに限られない。例えば、実際の配信者の代わりに仮想の配信者を設定する場合に、本実施の形態に係る技術的思想を適用してもよい。仮想の配信者は、例えば、外見はアバターを用い、音声はTTS(Text-To-Speech)エンジンで構成し、発言内容は視聴者のコメントを入力とする機械学習モデルから得るAIバーチャル配信者である。この場合、配信者のユーザ端末は存在せず、配信者側の処理はサーバにて行われる。
【0106】
本明細書において説明された処理手順、特にフロー図、フローチャートを用いて説明された処理手順においては、その処理手順を構成する工程(ステップ)の一部を省略すること、その処理手順を構成する工程として明示されていない工程を追加すること、及び/又は当該工程の順序を入れ替えることが可能であり、このような省略、追加、順序の変更がなされた処理手順も本開示の趣旨を逸脱しない限り本開示の範囲に含まれる。
【0107】
サーバ10により実現される機能の少なくとも一部は、サーバ10以外の装置、例えばユーザ端末20、30により実現されてもよい。ユーザ端末20、30により実現される機能の少なくとも一部は、ユーザ端末20、30以外の装置、例えば、サーバ10により実現されてもよい。例えば、視聴者のユーザ端末で行われる動画データの画像への所定のフレーム画像の重畳は、サーバ10で行われてもよいし、配信者のユーザ端末で行われてもよい。
【要約】

【課題】ライブ配信の配信者のがんばりをより適切に評価する。
【解決手段】サーバは、ライブ配信プラットフォームを提供するサーバであって、異なる複数のランクのうちの一部のランクに属する配信者について、当該配信者に対する応援の度合いを示す応援パラメータの値と、当該配信者が属するランクに属する他の配信者の応援パラメータの値と、の比較結果に基づいて、当該配信者の属するランクを変更するか否かを決定する第1決定手段と、複数のランクのうちの残りのランクに属する配信者について、当該配信者の応援パラメータの値を、他の配信者の応援パラメータの値とは無関係に評価した結果に基づいて、当該配信者の属するランクを変更するか否かを決定する第2決定手段と、配信者に、当該配信者の属するランクと当該配信者の配信時間とに基づく量の報酬を付与するための処理を行う付与手段と、を備える。
【選択図】図8
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11