IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 新電元メカトロニクス株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-ソレノイド 図1
  • 特許-ソレノイド 図2
  • 特許-ソレノイド 図3
  • 特許-ソレノイド 図4
  • 特許-ソレノイド 図5
  • 特許-ソレノイド 図6
  • 特許-ソレノイド 図7
  • 特許-ソレノイド 図8
  • 特許-ソレノイド 図9
  • 特許-ソレノイド 図10
  • 特許-ソレノイド 図11
  • 特許-ソレノイド 図12
  • 特許-ソレノイド 図13
  • 特許-ソレノイド 図14
  • 特許-ソレノイド 図15
  • 特許-ソレノイド 図16
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】ソレノイド
(51)【国際特許分類】
   H01F 7/16 20060101AFI20240925BHJP
   H01F 27/08 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
H01F7/16 E
H01F7/16 Z
H01F27/08 153
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020177776
(22)【出願日】2020-10-23
(65)【公開番号】P2022068936
(43)【公開日】2022-05-11
【審査請求日】2023-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】302038741
【氏名又は名称】新電元メカトロニクス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】樋口 丈洋
(72)【発明者】
【氏名】高橋 一雄
【審査官】五貫 昭一
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-135343(JP,A)
【文献】実開昭50-140351(JP,U)
【文献】実開昭52-66394(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 7/16
H01F 27/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイルワイヤを巻回して略円筒形状に形成されたコイルと、
略棒状に形成されると共に、該コイルに通電したときに前記コイルの中心軸に沿って直動するよう設けられたプランジャと、
前記コイルを取り囲むように、かつ、前記コイルの側方の一部が外部に露出するように設けられたヨーク部材を有しているソレノイドであって、
前記コイルは、両端部が開口すると共に、前記プランジャが挿通された中空部を備え、
前記ヨーク部材は、冷却空気が流れて来る風上側と該冷却空気が流れ出て行く風下側とに開口していると共に、前記コイルの近傍を流れて行くように前記冷却空気の流れを誘導する流動規制部を備えていることを特徴とするソレノイド。
【請求項2】
前記ヨーク部材は、前記風上側に、前記冷却空気が前記コイルに向かって流れて行くように前記冷却空気の流れを誘導する集風部をさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載のソレノイド。
【請求項3】
前記冷却空気を送出可能な冷却ファンをさらに有し、
前記ヨーク部材は、前記風上側に、前記冷却ファンが固定されるファン支持部をさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載のソレノイド。
【請求項4】
前記ヨーク部材に囲まれた空間に前記冷却空気を吸い込み可能な冷却ファンと、
前記ヨーク部材は、前記風下側に、前記冷却ファンが固定されるファン支持部をさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載のソレノイド。
【請求項5】
圧縮空気の供給路に接続されると共に、該圧縮空気を前記冷却空気として前記コイルに向かって噴出可能なノズルをさらに有し、
前記ヨーク部材は、前記風上側に、前記ノズルが固定されるノズル支持部をさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載のソレノイド。
【請求項6】
前記ヨーク部材は、略矩形板状に形成されると共に、前記コイルの長手方向に沿うように設けられた第1の側板部及び第2の側板部をさらに備え、
前記流動規制部は、前記第1の側板部と前記第2の側板部との少なくともいずれか一方に設けられていることを特徴とする請求項2乃至請求項5のいずれか一項に記載のソレノイド。
【請求項7】
前記ヨーク部材は、前記流動規制部が第1の流動規制部と第2の流動規制部とからなり、該第1の流動規制部と該第2の流動規制部とは、それぞれ略矩形板状に形成されると共に、前記第1の側板部と前記第2の側板部との前記風下側の縁辺から互いに接近する方向に延びるように、かつ、冷却空気の流れる方向に斜行するように設けられていることを特徴とする請求項6に記載のソレノイド。
【請求項8】
前記ヨーク部材は、前記ファン支持部が第1のファン支持部と第2のファン支持部とからなり、該第1のファン支持部と該第2のファン支持部とは、第1の側板部と第2の側板部との前記風上側の縁辺から互いに離隔する方向に延びるように、かつ、固定された前記冷却ファンが前記コイルに正対又はほぼ正対するように設けられていることを特徴とする請求項3に記載のソレノイド。
【請求項9】
前記ヨーク部材は、前記風上側に、前記コイルに向かって前記冷却空気を送出可能な冷却ファンが固定されるファン支持部と、前記冷却空気が前記コイルに向かって流れて行くように前記冷却空気の流れを誘導する集風部とを備え、
前記集風部は、前記ファン支持部に固定された前記冷却ファンが送出する前記冷却空気を前記コイルに向かって流れて行くように前記冷却空気の流れを誘導するように設けられていることを特徴とする請求項1に記載のソレノイド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソレノイドに関し、特に、コイルの冷却に関する構成を有しているソレノイドに関する。
【背景技術】
【0002】
ソレノイドには、比較的大きな電流を流して使用するものや、電流を継続的に流して使用するものなどがある。このようなソレノイドは、コイルの発熱量が大きくなることから、コイルの冷却に関する様々な発明考案が提案されている。それらの発明考案の多くは、バルブ用のものであり、バルブを設けた液圧回路を流れる油や水をコイルの冷却に利用するものである。また、バルブ用でないソレノイドは液体を利用できないので、ソレノイドの雰囲気を冷却空気として利用するものが多い。以下に、雰囲気を冷却空気として利用する構成を有している従来のソレノイドについて説明する。
【0003】
図16は、従来技術に係る冷却に関する構成を有するソレノイドを示す斜視図である。図16において、100はソレノイド、110はコイルボビン、111は巻胴部、112は第1のフランジ部、112a、112b、112c及び112dはスリット、113は第2のフランジ部、113a、113b、113c及び113dはスリット、114は中心コア、115はヨーク、116はプランジャ、117はスプリング、118はカバー、119はワイヤ、120はコイルである。
である。
【0004】
図16は、実全平4-118780号公報で開示された考案を表したものである。ソレノイド100は、打点印字を行うワイヤドット装置においてワイヤを直動させるために設けられるものである。図16(b)に示すように、ソレノイド100のコイルボビン110は、巻胴部111の両端部に設けられた第1のフランジ部112と第2のフランジ部113とに、十字状のスリット112a、112b、112c及び112dと、スリット113a、113b、113c及び113dとが形成されている。また、巻胴部111にはコイルワイヤを巻回してコイル120が形成されている。さらに、巻胴部111の中空部には、固定的磁極である中心コア114と、中心コア114に吸引されて直動するプランジャ116とが設けられている。プランジャ116が中心コア114側に直動すると、プランジャ116に固定されたワイヤ119も同時に直動する。ヨーク115と共にソレノイド100の外殻を構成しているカバー118の内部にはスプリング117が設けられており、プランジャ116を中心コア114から離隔する方向に付勢している。
【0005】
以上の構成によれば、コイル120に通電して、プランジャ116が中心コア114に吸引されて直動すると、中心コア114の周囲の空気はプランジャ116によって圧縮されながら、スリット113a、113b、113c及び113dを通り抜けてコイル120の外周面の周囲に移動する。さらに、スリット112a、112b、112c及び112dを通り抜けてスプリング117の周囲まで移動する。コイル120への通電を停止して、プランジャ116が元の位置に復帰すると、今度は逆方向に空気が流れる。したがって、コイル120の周囲の空気がプランジャ116の直動に応じて移動することによって、コイル120が冷却されることになる。
【0006】
しかし、以上の構成では、コイル120とヨーク115との間の雰囲気がコイル120のオン時又はオフ時にのみ、ソレノイド100の内部空間の別の空気と入れ替わるだけであり、コイル120の冷却効果はあまりにも小さいと言える。また、コイル120に連続的に通電しているときには、コイル120の発熱が継続しているのに対し、ソレノイド100の内部空間の空気には動きがないので、全く冷却されない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】実全平4-118780号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述の課題を解決するために、コイルのオン・オフ状態に関係なく、連続的に冷却でき、かつ、十分な量の冷却空気を供給可能な構成を有するソレノイドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、コイルワイヤを巻回して略円筒形状に形成されたコイルと、 略棒状に形成されると共に、該コイルに通電したときに前記コイルの中心軸に沿って直動するよう設けられたプランジャと、前記コイルを取り囲むように、かつ、前記コイルの側方の一部が外部に露出するように設けられたヨーク部材を有しているソレノイドであって、 前記コイルは、両端部が開口すると共に、前記プランジャが挿通された中空部を備え、前記ヨーク部材は、冷却空気が流れて来る風上側と該冷却空気が流れ出て行く風下側とに開口していると共に、前記コイルの近傍を流れて行くように前記冷却空気の流れを誘導する流動規制部を備えていることを特徴とするソレノイドである。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記ヨーク部材は、前記風上側に、前記冷却空気が前記コイルに向かって流れて行くように前記冷却空気の流れを誘導する集風部をさらに備えていることを特徴とするソレノイドである。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記冷却空気を送出可能な冷却ファンをさらに有し、前記ヨーク部材は、前記風上側に、前記冷却ファンが固定されるファン支持部をさらに備えていることを特徴とするソレノイドである。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記ヨーク部材に囲まれた空間に前記冷却空気を吸い込み可能な冷却ファンと、前記ヨーク部材は、前記風下側に、前記冷却ファンが固定されるファン支持部をさらに備えていることを特徴とするソレノイドである。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、圧縮空気の供給路に接続されると共に、該圧縮空気を前記冷却空気として前記コイルに向かって噴出可能なノズルをさらに有し、前記ヨーク部材は、前記風上側に、前記ノズルが固定されるノズル支持部をさらに備えていることを特徴とするソレノイドである。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の発明において、前記ヨーク部材は、略矩形板状に形成されると共に、前記コイルの長手方向に沿うように設けられた第1の側板部及び第2の側板部をさらに備え、前記流動規制部は、前記第1の側板部と前記第2の側板部との少なくともいずれか一方に設けられていることを特徴とするソレノイドである。
【0015】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、前記ヨーク部材は、前記流動規制部が第1の流動規制部と第2の流動規制部とからなり、該第1の流動規制部と該第2の流動規制部とは、それぞれ略矩形板状に形成されると共に、前記第1の側板部と前記第2の側板部との前記風下側の縁辺から互いに接近する方向に延びるように、かつ、冷却空気の流れる方向に斜行するように設けられていることを特徴とするソレノイドである。
【0016】
請求項8に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記ヨーク部材は、前記集風部が第1の集風部と第2の集風部とからなり、該第1の集風部と該第2の集風部とは、それぞれ略矩形板状に形成されると共に、前記第1の側板部と前記第2の側板部との前記風上側の縁辺から互いに離隔する方向に延びるように、かつ、冷却空気の流れる方向に斜行するように設けられていることを特徴とするソレノイドである。
【0017】
請求項9に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記ヨーク部材は、前記ファン支持部が第1のファン支持部と第2のファン支持部とからなり、該第1のファン支持部と該第2のファン支持部とは、第1の側板部と第2の側板部との前記風上側の縁辺から互いに離隔する方向に延びるように、かつ、固定された前記冷却ファンが前記コイルに正対又はほぼ正対するように設けられていることを特徴とするソレノイドである。
【0018】
請求項10に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記ヨーク部材は、前記風上側に、前記コイルに向かって前記冷却空気を送出可能な冷却ファンが固定されるファン支持部と、前記冷却空気が前記コイルに向かって流れて行くように前記冷却空気の流れを誘導する集風部とを備え、前記集風部は、前記ファン支持部に固定された前記冷却ファンが送出する前記冷却空気を前記コイルに向かって流れて行くように前記冷却空気の流れを誘導するように設けられていることを特徴とするソレノイドである。
【発明の効果】
【0019】
請求項1に記載の発明によれば、流動規制部が冷却空気の流れを誘導するので、ソレノイドが冷却空気の流れがあるところに配置されていれば、ソレノイド自体に冷却ファンを設けているか否かに関係なく、コイルが冷却される。さらに、冷却空気が流れている限り、プランジャが動作中であるかなどに関係なく、コイルを冷却することが可能である。
【0020】
請求項2に記載の発明によれば、集風部が冷却空気をコイルに向かって誘い込むので、さらに冷却能が向上する。
【0021】
請求項3に記載の発明によれば、コイルに向かって冷却空気を送出するように冷却ファンを設けることが可能になるので、ソレノイドを実装した機器の冷却ファンの能力や、機器内部の冷却空気の流れなどに関係なく、ソレノイドのコイルを冷却するのに必要十分な冷却能が得られる。
【0022】
請求項4に記載の発明によれば、ヨーク部材に囲まれた空間に冷却空気を引き込むように冷却ファンを設けることが可能になるので、風上側に冷却ファンを設ける空間的な余地がない機器においても冷却ファンを設けることができる、さらにソレノイドを実装した機器の冷却ファンの能力や、機器内部の冷却空気の流れなどに関係なく、ソレノイドのコイルを冷却するのに必要十分な冷却能が得られる。
【0023】
請求項5に記載の発明によれば、圧縮空気を冷却空気としてコイルに噴出するようにノズルを設けることが可能になるので、コイルに対する冷却能がさらに高くなる。
【0024】
請求項6に記載の発明によれば、磁性板材を加工してヨーク部材を形成する際に、流動規制部も同時に、かつ、一体に形成できる。
【0025】
請求項7に記載の発明によれば、第1の流動規制部と第2の流動規制部とを両開き戸のように形成及び配置することができるので、冷却空気をコイルの周側面に沿って流れるように誘導する構造を安価に製造できる。また、第1の流動規制部及び第2の流動規制部によって磁束の外部への漏出を低減できるので、ソレノイドの吸引力特性も向上する。
【0026】
請求項8に記載の発明によれば、第1の集風部と第2の集風部とを両開き戸のように形成及び配置することができるので、冷却空気をコイルに向かって流れるように誘い込む構造を安価に製造できる。また、第1の集風部及び第2の集風部によって磁束の外部への漏出を低減できるので、ソレノイドの吸引力特性も向上する。
【0027】
請求項9に記載の発明によれば、冷却ファンをコイルに正対させて設けるので、コイルの冷却能が極めて向上する。
【0028】
請求項10に記載の発明によれば、集風部と冷却ファンとの双方を設けるので、例えば冷却ファンをコイルに正対させる構成を採用できない場合においても、コイルの冷却能を大幅に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の第1の実施の形態に係るソレノイドの冷却関連部分の断面図であり、(a)は非送風状態における断面図、(b)は送風状態における断面図である。
図2】本発明の第1の実施の形態に係るソレノイドを示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は底面図である。
図3】本発明の第1の実施の形態に係るソレノイドを示し、(a)は背面図、(b)は左側面図、(c)は右側面図である。
図4】本発明の第1の実施の形態に係るソレノイドを示し、(a)はB-B線断面図、(b)はA-A線断面図、(c)は第1の流動規制部及び第2の流動規制部の変形例を示す断面図である。
図5】本発明の第1の実施の形態に係るソレノイドのヨーク部材を示し、(a)は第1のフレーム部材の正面図、(b)は第1のフレーム部材の背面図、(c)は第1のフレーム部材の左側面図、(d)は第1のフレーム部材の右側面図、(e)は第2のフレーム部材の正面図である。
図6】本発明の第2の実施の形態に係るソレノイドの冷却関連部分の断面図であり、(a)は非送風状態における断面図、(b)は送風状態における断面図である。
図7】本発明の第2の実施の形態に係るソレノイドを示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は底面図である。
図8】本発明の第2の実施の形態に係るソレノイドを示し、(a)は背面図、(b)は左側面図、(c)は右側面図である。
図9】本発明の第2の実施の形態に係るソレノイドを示し、(a)はB-B線断面図、(b)はA-A線断面図である。
図10】本発明の第2の実施の形態に係るソレノイドのヨーク部材を示し、(a)は正面図、(b)は背面図、(c)は左側面図、(d)は右側面図である。
図11】本発明の第3の実施の形態に係るソレノイドを示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は底面図、(d)は右側面図である。
図12】本発明の第4の実施の形態に係るソレノイドの冷却関連部分の断面図であり、(a)は非送風状態における断面図、(b)は送風状態における断面図である。
図13】本発明の第4の実施の形態に係るソレノイドを示し、(a)は平面図、(b)は正面図である。
図14】本発明の第5の実施の形態に係るソレノイドを示し、(a)は左側面図、(b)は正面図、(c)は平面図である。
図15】本発明の第6の実施の形態に係るソレノイドの冷却関連部分の送風状態における断面図である。
図16】従来技術に係る冷却に関する構成を有するソレノイドを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
まず、以下に説明する本発明の実施の形態のソレノイドの全て、及び、特許請求の範囲において、コイルの「中心軸」とは、コイルの長手方向における中心線を指すものとする。なお、この「中心軸」は、プランジャ及びコイルボビンの巻胴部の中心軸と一致しており、プランジャはこの「中心軸」に沿って直動する。また、以下に説明する本発明の各実施の形態に係るソレノイドにおいては、冷却ファン、又は、圧縮空気を供給するノズルをソレノイドの周囲、あるいは、ソレノイド自体に設けることが前提となる。さらに、冷却空気が流入する側の開口部に正対する面を正面図としているが、説明の便宜上設定した方向付けであって、これらのソレノイドを実際に使用(実装)する際の方向とは関係ない。また、冷却空気は、少なくともコイルの表面温度よりも低温であれば何度でもよいが、室温の空気を利用することが一般的である。くわえて、プランジャが突出する方向が逆方向、つまり、第2のフレーム部材の開口部から突出するのではなく、第1のフレーム部材の開口部から突出するものであってもよい。さらに、ソレノイドと冷却ファンとの距離は、図1等に示したものに限られるものではなく、これらの図に示したものよりも離隔又は接近していてもよい。
【0031】
図1は、 本発明の第1の実施の形態に係るソレノイドの冷却関連部分の断面図であり、(a)は非送風状態における断面図、(b)は送風状態における断面図である。図1において、20は第1のフレーム部材、21は第1の流動規制部、22は第2の流動規制部、23は第1の側板部、24は第2の側板部、50はコイル、54は巻胴部、58はプランジャ、90は冷却ファンである。また、図2は、本発明の第1の実施の形態に係るソレノイドを示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は底面図である。図2において、10はソレノイド、23a、23b、24a及び24bは切り欠き部、25aは第1のかしめ部、25bは第2のかしめ部、26aは第1のかしめ部、26bは第2のかしめ部、27は底板部、56は第1の係止部、57は第2の係止部、59はベース、51はコイルボビン、52は第1のフランジ部、53は第2のフランジ部、55は第2のフレーム部材であり、その他の符号は図1と同じものを示す。さらに、図3は、本発明の第1の実施の形態に係るソレノイドを示し、(a)は背面図、(b)は左側面図、(c)は右側面図である。図3において用いた符号は、図1及び図2と同じものを示す。くわえて、図4は、本発明の第1の実施の形態に係るソレノイドを示し、(a)はB-B線断面図、(b)はA-A線断面図、(c)は第1の流動規制部及び第2の流動規制部の変形例を示す断面図である。図4において、93は第1のフレーム部材、94は第1の流動規制部、95は第2の流動規制部、96は第1の側板部、97は第2の側板部であり、その他の符号は図1及び図2と同じものを示す。
【0032】
最初に、本発明の第1の実施の形態に係るソレノイド10の概要について説明する。図1及び図2に示すように、第1の実施の形態に係るソレノイド10は、直動型のソレノイドである。すなわち、ソレノイド10は、ヨーク部材である第1のフレーム部材20及び第2のフレーム部材55によってコイル50の平面(上面)側、底面側、右側面側及び左側面側を取り囲む一方、正面側と背面側とが開口している、いわゆるオープンフレーム型ソレノイドである。また、ソレノイド10のコイル50は、コイルボビン51の巻胴部54にコイルワイヤを巻回して形成されている。巻胴部54の中空部には、プランジャ58が直動可能な状態で配置されている。プランジャ58は、コイル50に通電することによって、ベース59、第2のフレーム部材55、第1のフレーム部材20及びプランジャ58を巡る磁気回路が生成され、ベース59に吸引される。なお、この実施の形態に係るソレノイド10に加えて、以下に説明する各実施の形態に係るソレノイドは、ベース59を設けた構成となっているが、ベースを設けないオープンフレーム型ソレノイドにも好ましく適用できる。
【0033】
ところで、プランジャ58を繰り返し動作させるためにコイル50への通電と通電停止を長時間繰り返す、あるいは、プランジャ58がベース59に吸引されている状態を保持するためにコイル50に連続的に通電すると、コイル50が連続的に発熱してソレノイド10が加熱されることになる。そこで、ソレノイド10及び他の実施の形態に係るソレノイドでは、後述するように、正面側と背面側との開口領域を冷却空気の流通のために利用し、冷却能を大幅に高めるようにしている。さらに、これらの実施の形態に係るソレノイドでは、冷却のために設ける部材は、第1のフレーム部材又は第2のフレーム部材とそれぞれ共通の磁性板材から形成されているので、コイルへの通電時に磁束のソレノイド外部への漏出を低減して磁気効率を高める作用も有している。
【0034】
続けて、第1の実施の形態に係るソレノイドの構造並びに各部材の形状及び機能について詳細に説明する。図5は、本発明の第1の実施の形態に係るソレノイドのヨーク部材を示し、(a)は第1のフレーム部材の正面図、(b)は第1のフレーム部材の背面図、(c)は第1のフレーム部材の左側面図、(d)は第1のフレーム部材の右側面図、(e)は第2のフレーム部材の正面図である。図5において、27a及び55aは開口部、98aは流出側開口領域、98bは流入側開口領域であり、その他の符号は図1及び図2と同じものを示す。
【0035】
本発明の第1の実施の形態に係るソレノイド10の第1のフレーム部材20は、図1及び図5(a)乃至(d)に示すように、コイル50に対して、平面(上側)に第1の側板部23、右側面側に底板部27、下面側に第2の側板部24が配置されている。また、コイル50の左側面側には、図5(e)に示す第2のフレーム部材55が配置されている。前述のように、第1のフレーム部材20及び第2のフレーム部材55は、ヨーク部材としての役割を持つが、この他にコイル50、コイルボビン51、プランジャ58及びベース59を支持し、かつ、保護するケースとしての役割も併せ持つ。くわえて第1のフレーム部材20及び第2のフレーム部材55は、磁性板材にプレス加工等を施すことによって形成されている。また、後述するように、第1の流動規制部21及び第2の流動規制部22も、第1のフレーム部材20と同じ磁性板材から形成されているので、これらの流動規制部もヨークとしての役割を併せ持つ。
【0036】
また、第1のフレーム部材20の第1の側板部23と第2の側板部24とは、底板部27と直交又はほぼ直交するように形成されており、さらに、これらの右側面側の縁辺部が底板部27の縁辺部に連続している。第1の側板部23と第2の側板部24とは、第2のフレーム部材55の第1の係止部56と第2の係止部57とを配置するために、底板部27とは反対側に位置する縁辺部、すなわち、第2のフレーム部材55側の縁辺部に、図2(a)及び(c)に示した切り欠き部23aと切り欠き部24aとが形成されている。また、第1の側板部23と第2の側板部24とは、切り欠き部23aと切り欠き部24aとの両側部に、第1のかしめ部25a及び第1のかしめ部25bと、第2のかしめ部26a及び第2のかしめ部26bとがそれぞれ形成されている。第1のかしめ部25a及び第1のかしめ部25bと、第2のかしめ部26a及び第2のかしめ部26bとは、切り欠き部23aと切り欠き部24aとにそれぞれ第1の係止部56と第2の係止部57とを挿入した状態においてかしめられる。これらのかしめによって、第2のフレーム部材55は第1のフレーム部材20に対して固定される。
【0037】
また、底板部27は、その中央部分に円形の開口部27aが形成されている。開口部27aには、ベース59を固定するために形成された孔である。第2のフレーム部材55も、中央部分にプランジャ58を外部に導出し、直動可能とするたけに、円形の開口部55aが形成されている。また、第1のフレーム部材20の第1の側板部23と第2の側板部24との正面側は、図1に示した冷却ファン90が配置されている側であり、冷却空気が流れてくる風上側になる。そこで、図5(a)の流入側開口領域98bに示すように、第1のフレーム部材20は、従来技術に係るオープンフレーム型ソレノイドと同様に何にも設けずに完全に開口した状態とし、冷却空気を流入側開口領域98bの全体で取り込めるようにしている。一方、第1の側板部23と第2の側板部24との背面側には、図5(a)乃至(d)に示すように、第1の流動規制部21及び第2の流動規制部22が設けられている。なお、第1の流動規制部21と第2の流動規制部22とは、曲げ加工を容易にするために、底板部27側に切り欠き部24bと切り欠き部23bとを形成している。
【0038】
第1の流動規制部21及び第2の流動規制部22は、流入側開口領域98bから第1のフレーム部材20及び第2のフレーム部材55に囲まれた空間に流れ込んだ冷却空気が第1の流動規制部21と第2の流動規制部22と平行な方向に沿って、つまり、そのまま水平に流出することを阻止し、コイル50に接近して流れるようにするために設けられたものである。すなわち、第1の流動規制部21と第2の流動規制部22とは、冷却空気の風上となる方、つまり正面側の縁辺部に第1の側板部23と第2の側板部24との背面側の縁辺部に連続して形成されている。また、第1の流動規制部21と第2の流動規制部22とは、背面側に行くに従って漸次接近する、すなわち、図5(c)に示すように、第1の流動規制部21が背面側(先端側)に向かって下り勾配となり、第2の側板部24が背面側(先端側)に向かって上り勾配となるように形成され、両開き戸が開きかけたような状態になされている。このように形成すると、図5(a)の流出側開口領域98aに示すように、流入側開口領域98bよりもかなり幅が狭い状態となる。
【0039】
以上のように、第1の流動規制部21と第2の流動規制部22とが背面側に行くに従って漸次接近するように形成すると、図1(a)に示すように、第1の流動規制部21と第2の流動規制部22とがコイル50に接近する。したがって、図1(b)に示すように、第1のフレーム部材20及び第2のフレーム部材55に囲まれた空間に流れ込んだ冷却空気がコイル50に接近して流れる、すなわち、コイル50の周側面に沿って流れるようになる。また、第1の流動規制部21及び第2の流動規制部22がコイル50に接近しているので、ヨーク部材としても機能する。なお、ソレノイド10においては、第1の流動規制部21と第2の流動規制部22とを同じ形状及び大きさに形成しているが、例えば実装する機器の配置用スペースや冷却ファンの位置などの状況に応じて、図4(c)の第1のフレーム部材93に示すように、第1の側板部96と第2の側板部97との背面側に、コイル50の中心軸と直交する方向において互いに長さの異なる第1の流動規制部94と第2の流動規制部95とを設けてもよい。
【0040】
以上のように、本発明の第1の実施の形態に係るソレノイド10は、第1の流動規制部21及び第2の流動規制部22が冷却ファン90からの冷却空気の流れをコイル50に接近するように誘導するので、ソレノイド10が冷却空気の流れがあるところに配置されていれば、ソレノイド10自体に冷却ファンを設けているか否かに関係なく、コイル50が冷却される。さらに、冷却空気が流れている限り、プランジャが動作中であるかなどに関係なく、コイル50を冷却することが可能である。第1の流動規制部21と第2の流動規制部22とを両開き戸のように形成及び配置することができるので、冷却空気をコイル50の周側面に沿って流れるように誘導する構造を安価に製造できる。また、第1の流動規制部21及び第2の流動規制部22によって磁束の外部への漏出を低減できるので、ソレノイド10の吸引力特性も向上する。
【0041】
続けて、本発明の第2の実施の形態に係るソレノイドについて説明する。図6は本発明の第2の実施の形態に係るソレノイドの冷却関連部分の断面図であり、(a)は非送風状態における断面図、(b)は送風状態における断面図である。図6おいて、30は第1のフレーム部材、31は第1の流動規制部、32は第2の流動規制部、33は第1の側板部、34は第2の側板部、38は第2の集風部、39は第1の集風部であり、その他の符号は図1と同じものを示す。また、図7は、本発明の第2の実施の形態に係るソレノイドを示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は底面図である。図7において、11はソレノイド、33a、33b、34a及び34bは切り欠き部、35aは第1のかしめ部、35bは第2のかしめ部、36aは第1のかしめ部、36bは第2のかしめ部、37は底板部であり、その他の符号は図1及び図6と同じものを示す。さらに、図8は、本発明の第2の実施の形態に係るソレノイドを示し、(a)は背面図、(b)は左側面図、(c)は右側面図である。図8において用いた符号は、図1図6及び図7と同じものを示す。くわえて、図9は、本発明の第2の実施の形態に係るソレノイドを示し、(a)はB-B線断面図、(b)はA-A線断面図である。図9において用いた符号は、図1図6及び図7と同じものを示す。また、図10は、本発明の第2の実施の形態に係るソレノイドのヨーク部材を示し、(a)は正面図、(b)は背面図、(c)は左側面図、(d)は右側面図である。図10において、99aは流出側開口領域、99bは流入側開口領域であり、その他の符号は図6図7及び図8と同じものを示す。
【0042】
第2の実施の形態に係るソレノイド11は、ソレノイド10と同様に直動型のソレノイドである。すなわち、ソレノイド11は、ヨーク部材である第1のフレーム部材30及び第2のフレーム部材55によってコイル50の平面(上面)側、底面側、右側面側及び左側面側を取り囲む一方、正面側と背面側とが開口している、いわゆるオープンフレーム型ソレノイドである。ソレノイド11のコイル50は、その中空部にプランジャ58が直動可能な状態で配置されている。プランジャ58は、コイル50に通電することによって、ベース59、第2のフレーム部材55、第1のフレーム部材30及びプランジャ58を巡る磁気回路が生成され、ベース59に吸引される。また、コイル50の発熱対策として、正面側と背面側との開口領域を冷却空気の流通のために利用し、冷却能を大幅に高める構成としたことはソレノイド10と同様であるが、ソレノイド11は、後述するように、冷却空気を積極的に誘い込む点がソレノイド10とは大きく異なっている。なお、ソレノイド11も、ソレノイド10と同様にベース59を設けないオープンフレーム型ソレノイドにも好ましく適用できる。
【0043】
また、ソレノイド11の第1のフレーム部材30は、図6及び図10(a)乃至(d)に示すように、コイル50に対して、平面(上側)に第1の側板部33、右側面側に底板部37、下面側に第2の側板部34が配置されている。また、コイル50の左側面側には、図5(e)に示す第2のフレーム部材55が配置されている。前述のように、第1のフレーム部材30及び第2のフレーム部材55は、ヨーク部材としての役割を持つが、この他にコイル50、コイルボビン51、プランジャ58及びベース59を支持し、かつ、保護するケースとしての役割も併せ持つ。くわえて第1のフレーム部材30及び第2のフレーム部材55は、磁性板材にプレス加工等を施すことによって形成されている。また、後述するように、第1の流動規制部21及び第2の流動規制部22も、第1のフレーム部材20と同じ磁性板材から形成されているので、これらの流動規制部もヨークとしての役割を併せ持つ。
【0044】
また、第1のフレーム部材20の第1の側板部33と第2の側板部34とは、底板部37と直交又はほぼ直交するように形成されており、さらに、これらの右側面側の縁辺部が底板部37の縁辺部に連続している。第1の側板部33と第2の側板部34とは、第2のフレーム部材55の第1の係止部56と第2の係止部57とを配置するために、底板部27とは反対側に位置する縁辺部、すなわち、第2のフレーム部材55側の縁辺部に、図7(a)及び(c)に示した切り欠き部33aと切り欠き部34aとが形成されている。また、第1の側板部33と第2の側板部34とは、切り欠き部33aと切り欠き部34aとの両側部に、第1のかしめ部35a及び第1のかしめ部35bと、第2のかしめ部36a及び第2のかしめ部36bとがそれぞれ形成されている。第1のかしめ部35a及び第1のかしめ部35bと、第2のかしめ部36a及び第2のかしめ部36bとは、切り欠き部33aと切り欠き部34aとにそれぞれ第1の係止部56と第2の係止部57とを挿入した状態においてかしめられる。これらのかしめによって、第2のフレーム部材55は第1のフレーム部材30に対して固定される。
【0045】
また、底板部37は、その中央部分に円形の開口部37aが形成されている。開口部37aには、ベース59を固定するために形成された孔である。第2のフレーム部材55も、中央部分にプランジャ58を外部に導出し、直動可能とするたけに、円形の開口部55aが形成されている。また、第1のフレーム部材30の第1の側板部33と第2の側板部34との正面側は、図6に示した冷却ファン90が配置されている側であり、冷却空気が流れてくる風上側になる。ソレノイド11では、冷却ファン90からの冷却空気を積極的に誘い入れるために、図6(a)に示すように、第1の側板部33と第2の側板部34との正面(前面)側に連続するように第1の集風部39と第2の集風部38とが形成されている。第1の集風部39と第2の集風部38とは、冷却ファン90に行くに従って漸次離隔して行く。すなわち、図10(c)に示すように、第1の集風部39が正面(先端)側に向かって下り勾配となり、第2の集風部38が正面(先端)に向かって上り勾配となるように形成され、両開き戸が大きく開いたような状態になされている。このように形成すると、図10(a)の流入側開口領域99bに示すように、ソレノイド10の流入側開口領域98bよりも幅が広い。したがって、図6(b)に示すように、第1の側板部33と第2の側板部34との間の空間の幅を超えて冷却空気をコイルに向かって誘い込む作用効果を奏する。
【0046】
また、第1の側板部33と第2の側板部34とには、これらの背面側の縁辺部に連続して第1の流動規制部31と第2の流動規制部32とが形成されている。第1の流動規制部31と第2の流動規制部32とは、流入側開口領域98bから第1のフレーム部材30及び第2のフレーム部材55に囲まれた空間に流れ込んだ冷却空気そのまま水平に流出することを阻止し、コイル50に接近して流れるようにするために設けられたものである。
また、第1の流動規制部31と第2の流動規制部32とは、背面側に行くに従って漸次接近する、すなわち、図10(c)に示すように、第1の流動規制部31が背面側(先端側)に向かって下り勾配となり、第2の側板部34が背面側(先端側)に向かって上り勾配となるように形成され、両開き戸が開きかけたような状態になされている。なお、第1のフレーム部材30の切り欠き部33a及び33b、切り欠き部34a及び34b、第1のかしめ部35a、第1のかしめ部35b、第2のかしめ部36a、第2のかしめ部36b、並びに、開口部37aは、ソレノイド10の第1のフレーム部材20の切り欠き部23a及び23b、切り欠き部24a及び24b、第1のかしめ部25a、第1のかしめ部25b、第2のかしめ部26a、第2のかしめ部26b、並びに、開口部27aと同じ形状及び大きさに形成されている。
【0047】
上述のように、第1の集風部39と第2の集風部38とが正面側に行くに従って末広がりに漸次離隔するように形成しているので、図6(b)に示すように、第1のフレーム部材30及び第2のフレーム部材55に囲まれた領域を超える広い範囲の冷却空気を誘い込むことができる。また、第1の流動規制部31と第2の流動規制部32とが冷却空気をコイル50の周側面に沿って流れるように規制する。また、第1の流動規制部31、第2の流動規制部32、第1の集風部39及び第2の集風部38がコイル50の周囲にあるで、ヨーク部材としても機能する。また、コイル50のオン・オフ状態に関係なく、連続的に冷却できる。なお、ソレノイド11においては、第1の集風部39と第2の集風部38とを同じ形状及び大きさに形成しているが、例えば実装する機器の配置用スペースや冷却ファンの位置などの状況に応じて、コイル50の中心軸と直交する方向において互いに長さの異なるものとしてもよい。
【0048】
以上のように、本発明の第2の実施の形態に係るソレノイド11は、本発明の第1の実施の形態に係るソレノイド10の効果に加えて、第1の集風部39及び第2の集風部38が冷却ファン90からの冷却空気の流れを呼び込むので、コイル50がさらに効率的に冷却される。さらに、冷却空気が流れている限り、プランジャが動作中であるかなどに関係なく、コイル50を冷却することが可能である。第1の集風部39と第2の集風部38とを両開き戸のように形成及び配置することができるので、冷却空気を誘い込む構造を安価に製造できる。
【0049】
続けて、本発明の第3の実施の形態に係るソレノイド、及び、本発明の第4の実施の形態に係るソレノイドについて説明する。図11は、本発明の第3の実施の形態に係るソレノイドを示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は底面図、(d)は右側面図である。図11において、12はソレノイド、40は第1のフレーム部材、41は第1の流動規制部、42は第1の側板部、42a及び42bは切り欠き部、43は前板部、43aは係止部、44aは第1のかしめ部、44bは第2のかしめ部、45は第2のフレーム部材、46は第2の流動規制部、47は第2の側板部、47a及び47bは切り欠き部、48は底板部、48aは係止部、49aは第1のかしめ部、49bは第2のかしめ部であり、その他の符号は図2及び図3と同じものを示す。また、図12は、本発明の第4の実施の形態に係るソレノイドの冷却関連部分の断面図であり、(a)は非送風状態における断面図、(b)は送風状態における断面図である。図12において、13はソレノイド、70は第1のフレーム部材、71は第1の流動規制部、72第2の流動規制部、73は第1の側板部、74は第2の側板部であり、その他の符号は図2及び図3と同じものを示す。さらに、図13は、本発明の第4の実施の形態に係るソレノイドを示し、(a)は平面図、(b)は正面図である。図13において、74a及び74bは切り欠き部、76a及び76bは第2のかしめ部、77は底板部、78は集風部であり、その他の符号は図2図3及び図12と同じものを示す。
【0050】
本発明の第3の実施の形態に係るソレノイド12は、L字状の第1のフレーム部材40と第2のフレーム部材45とを組み合わせることによって、コイル50の平面側、底面側、右側面側及び左側面側を取り囲む構成にしている。すなわち、図11に示すように、第1のフレーム部材40の第1の側板部42の切り欠き部42aに第2のフレーム部材45の底板部48の係止部48aを挿入し、第2のフレーム部材45の第2の側板部47の切り欠き部47aに第1のフレーム部材40の前板部43の係止部43aを挿入した状態で、第1の側板部42の第1のかしめ部44a及び第2のかしめ部44bをかしめて係止部48aを固定し、第2の側板部47の第1のかしめ部49a及び第2のかしめ部49bをかしめて係止部43aを固定している。したがって、前板部43は、ソレノイド10の第1のフレーム部材20及び第2のフレーム部材55に相当すると言える。なお、第1のフレーム部材40の第1の流動規制部41及び切り欠き部42b、並びに、第2のフレーム部材45の第2の流動規制部46及び切り欠き部47bは、ソレノイド10の第1のフレーム部材20の第1の流動規制部21及び切り欠き部23a、並びに、第2の流動規制部22及び切り欠き部24bとほぼ同じ形状及び大きさに形成されている。
【0051】
以上のように、本発明の第3の実施の形態に係るソレノイド12によれば、ヨーク部材をコ字状のフレーム部材と単純な矩形板状のフレーム部材とで構成するのではなく、L字状の2つのフレームを組み合わせた構成としたので、コ字状のフレーム部材と単純な矩形板状のフレーム部材を組み立てる手順と異なる手順によって組み立てることができる。なお、ベースの固定が可能であるならば、前板部43と底板部48との開口部を同じ形状及び大きさにすることによって、第1のフレーム部材40と第2のフレーム部材45とを同じ形状及び大きさ、つまり、共通の部材としてもよい。
【0052】
次に、本発明の第4の実施の形態に係るソレノイド13は、ソレノイドを実装する機器における部品配置の制約等から、冷却ファン90をコイル50に対して正対できない場合に好適なものである。すなわち、図12及び13に示すように、第1のフレーム部材70の第2の側板部74の正面側の縁辺部に連続するように集風部78を設けている。集風部78は、略矩形板状に形成されており、冷却ファン90に向かって斜行するように設けられている。これに対して、第1の側板部73は、その正面側の縁辺部側には何も設けられておらず、コイル50の中心軸と直交する方向において第2の側板部74よりも短く形成されている。したがって、コイル50は、冷却ファン90に向かって一部露出した状態になっている。また、冷却ファン90は、第1の側板部73及び第2の側板部74に対して約30度傾斜した状態に配置されている。よって、冷却ファン90からの冷却空気は、集風部78に当たるとコイル50に向かって誘い込まれる、つまり、冷却空気の流れる方向を変えているので、誘い込まれた冷却空気によってコイル50が冷却されることになる。さらに、第1の側板部73をコイル50の中心軸と直交する方向において第2の側板部74よりも短く形成したので、冷却ファン90から送出されてくる冷却空気をコイル50側に取り込みやすくなっている。なお、第1のフレーム部材70の第1の流動規制部71、第2の流動規制部72、切り欠き部74a、切り欠き部74b、第2のかしめ部76a、第2のかしめ部76b及び底板部77は、ソレノイド10の第1のフレーム部材20と同様である。
【0053】
以上のように、本発明の第4の実施の形態に係るソレノイド13によれば、冷却ファン90がコイル50に向かって冷却空気が流れて行きにくい方向に向けて配置されている場合であっても、集風部78によってソレノイド13の近傍を流れる冷却右記を誘い込むので、コイル50の冷却が可能になる。なお、集風部78は、図13に示した形状に限られるものではなく、冷却空気をさらに誘い込み易くするために、先端側部分を冷却ファン90側にさらに斜行させる、あるいは、冷却ファン90側に開いた半円筒板状に形成するなど、冷却ファン90の配置に応じて適宜変更できる。
【0054】
続けて、冷却ファンを一体的に設けた本発明の第5の実施の形態に係るソレノイド、及び、本発明の第6の実施の形態に係るソレノイドについて説明する。図14は、本発明の第5の実施の形態に係るソレノイドを示し、(a)は左側面図、(b)は正面図、(c)は平面図である。図14において、14はソレノイド、60は第1のフレーム部材、61は第1の流動規制部、62は第2の流動規制部、63は第1の側板部、64は第2の側板部、64a及び64bは切り欠き部、65aは第1のかしめ部、65bは第2のかしめ部、66aは第1のかしめ部、66bは第2のかしめ部、67は底板部、68は第1のファン支持部、69は第2のファン支持部、91a、91b、91c及び91dはボルト、92a、92b、92c及び92dはナットであり、その他の符号は図2及び図3と同じものを示す。また、図15は、本発明の第6の実施の形態に係るソレノイドの冷却関連部分の送風状態における断面図である。図15において、15はソレノイド、80は第1のフレーム部材、81は第1の流動規制部、82は第2の流動規制部、83は第1の側板部、84は第2の側板部、87は底板部、88はファン支持部、89は集風部であり、その他の符号は図2及び図3と同じものを示す。
【0055】
本発明の第5の実施の形態に係るソレノイド14は、図14に示すように、第1のフレーム部材60に対して冷却ファン90を付設した点に特徴がある。すなわち、第1の側板部63と第2の側板部64との正面(前面)側に連続するように第1のファン支持部68と第2のファン支持部69とが形成されている。第1のファン支持部68と第2のファン支持部69とは、冷却ファン90に向かって大きく開くように、かつ、第1の側板部63と第2の側板部64に対して直交するように形成されている。また、第1のファン支持部68と第2のファン支持部69とは、図14には現れていないが、冷却ファン90を固定するための小開口部が2箇所ずつ、計4箇所に形成されている。冷却ファン90は、これら4箇所の小開口部に設けたボルト91a、91b、91c及び91d、並びに、ナット92a、92b、92c及び92dによって固定されている。なお、第1のフレーム部材60の第1の流動規制部61、第2の流動規制部62、第1のかしめ部65a、第1のかしめ部65b、第2のかしめ部66a、第2のかしめ部66b及び底板部67、並びに、他の構成は、ソレノイド11と同様である。
【0056】
以上のように、本発明の第5の実施の形態に係るソレノイド13によれば、冷却ファン90をソレノイド14に対して直接設け、かつ、コイル50に対して非常に接近して正対した状態にしているので、冷却ファン90からの冷却空気をコイル50に強く吹きかけることができ、冷却能が極めて高くなると言うメリットがある。また、第1のファン支持部68及び第2のファン支持部69を第1のフレーム部材60と同じ母材から形成することができるので、部品点数を増やさずに冷却ファン90を固定できるという利点もある。
【0057】
なお、ソレノイド14の変形例として、冷却ファン90を逆向きに設けてもよい。すなわち、冷却ファン90を、正面側から空気を吸い込むのではなく、正面側に空気を排出するように設けてもよい。このように冷却ファン90を設けると、冷却空気を背面側にある第1の流動規制部71と第2の流動規制部72との間隙やその他の間隙を介して第1のフレーム部材70に囲まれた空間に向かって吸い込み、冷却ファン90を通過して正面側に排出する。言い換えると、図14(a)を左右対にしたような構成となり、第1の流動規制部71と第2の流動規制部72とソレノイド14の正面側(風上側)に設けたことになり、同様に、冷却ファン90、並びに、第1のファン支持部68及び第2のファン支持部69をレノイド14の背面側(風下側)に設けたことになる。ところで、第1の流動規制部71と第2の流動規制部72とは、背面側に向かって互いに接近するように設けられているので、仮にソレノイド14の背面側の近傍に冷却ファン90があるものとすると、第1の流動規制部71及び第2の流動規制部72が冷却空気の誘い込みを阻害することになる。しかし、この変形例では、冷却ファン90によって冷却空気が第1の流動規制部71と第2の流動規制部72との間隙やその他の間隙を介して第1のフレーム部材70に囲まれた空間に向かってスムーズに吸い込まれて行くので、第1の流動規制部71及び第2の流動規制部72が冷却空気の誘い込みを阻害することはほとんどない。
【0058】
また、本発明の第6の実施の形態に係るソレノイド15は、ソレノイド13の集風部78と、ソレノイド14の第1のファン支持部68及び第2のファン支持部69とを組み合わせた構成になっている。すなわち、ソレノイド15は、図15に示すように、第1のフレーム部材80の第1の側板部83の正面(前面)側に連続するように、かつ、同一平面をなすように設けられたファン支持部88と、第1のフレーム部材80の第2の側板部84の正面側の縁辺部に連続するように、かつ、冷却ファン90に向かってやや斜行するように集風部89が設けられている。また、ファン支持部88の集風部89に対向している面には、冷却ファン90がソレノイド14と同じ手段によって固定されている。したがって、冷却ファン90からの冷却空気は、集風部89に誘い込まれてコイル50に向かうように流れる。このように構成したことによって、冷却ファン90の配置の制約に対応しつつ、コイル50に対する強い冷却能を得ることができる。なお、第1のフレーム部材80の底板部87、第1のフレーム部材80、第1の流動規制部81及び第2の流動規制部82、並びに、その他の構成は、ソレノイド13及びソレノイド15と同様である。
【0059】
本発明は、以上に説明した実施の形態の構成に限定されるものではなく、例えば、本発明の第5の実施の形態に係るソレノイド13において、第1のファン支持部68及び第2のファン支持部69に代えてノズル支持部を設け、このノズル支持部に対して、圧縮空気の供給路に接続されると共に、圧縮空気を冷却空気としてコイル50に向かって噴出可能なノズルを固定することによって、コイルに対する冷却能がさらに高くしてもよい。このように、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限りにおいて種々のソレノイドに適用することが可能である。
【符号の説明】
【0060】
10 ソレノイド
11 ソレノイド
12 ソレノイド
13 ソレノイド
14 ソレノイド
15 ソレノイド
20 第1のフレーム部材
21 第1の流動規制部
22 第2の流動規制部
23 第1の側板部
23a 切り欠き部
23b 切り欠き部
24 第2の側板部
24a 切り欠き部
24b 切り欠き部
25a 第1のかしめ部
25b 第2のかしめ部
26a 第1のかしめ部
26b 第2のかしめ部
27 底板部
27a 開口部
30 第1のフレーム部材
31 第1の流動規制部
32 第2の流動規制部
33 第1の側板部
33a 切り欠き部
33b 切り欠き部
34 第2の側板部
34a 切り欠き部
34b 切り欠き部
35a 第1のかしめ部
35b 第2のかしめ部
36a 第1のかしめ部
36b 第2のかしめ部
37 底板部
37a 開口部
38 第2の集風部
39 第1の集風部
40 第1のフレーム部材
41 第1の流動規制部
42 第1の側板部
42a 切り欠き部
42b 切り欠き部
43 前板部
43a 係止部
44a 第1のかしめ部
44b 第2のかしめ部
45 第2のフレーム部材
46 第2の流動規制部
47 第2の側板部
47a 切り欠き部
47b 切り欠き部
48 底板部
48a 係止部
49a 第1のかしめ部
49b 第2のかしめ部
50 コイル
51 コイルボビン
52 第1のフランジ部
53 第2のフランジ部
54 巻胴部
55 第2のフレーム部材
55a 開口部
56 第1の係止部
57 第2の係止部
58 プランジャ
59 ベース
60 第1のフレーム部材
61 第1の流動規制部
62 第2の流動規制部
63 第1の側板部
64 第2の側板部
64a 切り欠き部
64b 切り欠き部
65a 第1のかしめ部
65b 第2のかしめ部
66a 第1のかしめ部
66b 第2のかしめ部
67 底板部
68 第1のファン支持部
69 第2のファン支持部
70 第1のフレーム部材
71 第1の流動規制部
72 第2の流動規制部
73 第1の側板部
74 第2の側板部
74a 切り欠き部
74b 切り欠き部
77 底板部
78 集風部
80 第1のフレーム部材
81 第1の流動規制部
82 第2の流動規制部
83 第1の側板部
84 第2の側板部
87 底板部
88 ファン支持部
89 集風部
90 冷却ファン
91a ボルト
91b ボルト
91c ボルト
91d ボルト
92a ナット
92b ナット
92c ナット
92d ナット
93 第1のフレーム部材
94 第1の流動規制部
95 第2の流動規制部
96 第1の側板部
97 第2の側板部
98a 流出側開口領域
98b 流入側開口領域
99a 流出側開口領域
99b 流入側開口領域
100 ソレノイド
110 コイルボビン
111 巻胴部
112 第1のフランジ部
112a スリット
112b スリット
112c スリット
112d スリット
113 第2のフランジ部
113a スリット
113b スリット
113c スリット
113d スリット
114 中心コア
115 ヨーク
116 プランジャ
117 スプリング
118 カバー
119 ワイヤ
120 コイル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16