(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】コンロ
(51)【国際特許分類】
F24C 15/00 20060101AFI20240925BHJP
F24C 3/02 20210101ALI20240925BHJP
【FI】
F24C15/00 M
F24C3/02 H
F24C3/02 Q
F24C15/00 S
(21)【出願番号】P 2021016217
(22)【出願日】2021-02-04
【審査請求日】2023-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000112015
【氏名又は名称】株式会社パロマ
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【氏名又は名称】山本 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100174344
【氏名又は名称】安井 雅俊
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 浩也
(72)【発明者】
【氏名】山田 晋也
【審査官】豊島 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-181731(JP,A)
【文献】特開2020-051663(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 9/00 - 15/14
F24C 3/00 - 3/14
H01M 50/20 - 50/298
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向に開口する筒状の収納体と、
前記収納体の下側の前端部に横方向に向けて設けられる揺動軸と、
前記収納体内の下側に設けられ、乾電池を収納する電池収納部と、
操作の入力を受付け可能な操作パネルが設けられた壁部を備える操作部材と
を備え、
前記操作部材は、前記操作部材の下部において前記電池収納部を前記横方向に跨ぐようにして前記揺動軸に軸支され、前記揺動軸を中心に揺動することによって、前記壁部が後方になるにつれて下り傾斜する姿勢で前記収納体内に収納される収納位置と、前記操作パネルが前記収納体の前方に引き出されて操作可能となる操作位置との間で揺動可能となるコンロにおいて、
前記操作部材が前記操作位置にある状態で、前記壁部は、前記操作パネルが設けられる上壁部と、前記上壁部の後端部から後方に対して斜め下方に傾斜して延設される後壁部とを備え、
前記操作部材が前記収納位置にある状態の前記
後壁部の後端部であって、前記電池収納部と重なる位置には、前記
上壁
部側に向けて窪むことによって、前記電池収納部との干渉を避ける凹み部が設けられ
、
前記後壁部の前記後端部には、前記揺動軸から離れる側で且つ上側に突出し、前記後端部と前記凹み部に沿って連続的に延びる突出部が設けられ、
前記収納体の上板部の下面には、前記操作部材が前記収納位置から前記操作位置に向けて揺動する際に、前記凹み部が前記上板部よりも前側に突出しない段階で、前記突出部に前側から当接することにより、前記操作部材の揺動を規制する規制部が設けられたこと
を特徴とするコンロ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンロに関する。
【背景技術】
【0002】
ビルトインコンロの多機能化に伴い、揺動式の操作部の揺動方向のストロークを多く確保し、従来よりも広い面積で、操作部上面の操作パネル部を収納ケース内から前方に引き出して露出可能とするビルトインコンロが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記ビルトインコンロは、操作パネル部の引き出し量を多くできる代わりに、収納ケース内への引き込み量も多くなってしまう。それ故、筐体内に乾電池を横並びに収納する収納部を設けようとした場合、操作部が収納部と干渉する可能性があった。
【0005】
本発明の目的は、操作部材を収納体内に収納した状態において、操作部材が電池収納部と干渉するのを防止できるコンロを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1のコンロは、前後方向に開口する筒状の収納体と、前記収納体の下側の前端部に横方向に向けて設けられる揺動軸と、前記収納体内の下側に設けられ、乾電池を収納する電池収納部と、操作の入力を受付け可能な操作パネルが設けられた壁部を備える操作部材とを備え、前記操作部材は、前記操作部材の下部において前記電池収納部を前記横方向に跨ぐようにして前記揺動軸に軸支され、前記揺動軸を中心に揺動することによって、前記壁部が後方になるにつれて下り傾斜する姿勢で前記収納体内に収納される収納位置と、前記操作パネルが前記収納体の前方に引き出されて操作可能となる操作位置との間で揺動可能となるコンロにおいて、前記操作部材が前記操作位置にある状態で、前記壁部は、前記操作パネルが設けられる上壁部と、前記上壁部の後端部から後方に対して斜め下方に傾斜して延設される後壁部とを備え、前記操作部材が前記収納位置にある状態の前記後壁部の後端部であって、前記電池収納部と重なる位置には、前記上壁部側に向けて窪むことによって、前記電池収納部との干渉を避ける凹み部が設けられ、前記後壁部の前記後端部には、前記揺動軸から離れる側で且つ上側に突出し、前記後端部と前記凹み部に沿って連続的に延びる突出部が設けられ、前記収納体の上板部の下面には、前記操作部材が前記収納位置から前記操作位置に向けて揺動する際に、前記凹み部が前記上板部よりも前側に突出しない段階で、前記突出部に前側から当接することにより、前記操作部材の揺動を規制する規制部が設けられたことを特徴とする。
【0007】
【発明の効果】
【0008】
請求項1のコンロによれば、操作部材を収納体内に収納した状態において、操作部材の後端部が電池収納部と干渉するのを防止できる。また、操作部材を収納位置から操作位置に向けて前方に引き出して揺動したとき、突出部に対して規制部が前方から当接することで、操作部の揺動が規制される。これにより、凹み部が上板部よりも前方に突出して露出するのを防止できる。従って、操作部材が操作位置にあるときの正面の美観が損なわれるのを防止できる。また、突出部は後壁部の後端部に沿って左右方向に延びているので、操作パネルが収納位置にあるとき、上方から操作パネルに落下した煮汁を堰き止める堰としての役割を果たすことができる。突出部は、さらにその堰き止めた煮汁を左右方向に逃がすことができる。これにより、コンロは、操作パネルの下方に位置する電池収納部に煮汁が落下するのを防止できる。
【0009】
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】右パネル部11(操作部材60は収納状態)の正面図である。
【
図3】右パネル部11(操作部材60は収納状態)の背面図である。
【
図4】右パネル部11(操作部材60は収納状態)の右後方からの斜視図である。
【
図5】
図3のI-I線で破断した右パネル部11の右後方からの斜視図である。
【
図6】右パネル部11(操作部材60は操作状態)の正面図である。
【
図7】右パネル部11(操作部材60は操作状態)の背面図である。
【
図8】右パネル部11(操作部材60は操作状態)の右後方からの斜視図である。
【
図9】
図7のII-II線で破断した右パネル部11の右後方からの斜視図である。
【
図10】
図7のII-II線で破断した右パネル部11の右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を説明する。以下に記載される装置などは、特定的な記載がない限り、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明する為に用いられるものである。
【0012】
コンロ1の構造を説明する。
図1に示すように、コンロ1はビルトインコンロであり、筐体2と天板3を備える。天板3は筐体2の上部に固定される。天板3の上面の右手前には右コンロ4、左手前には左コンロ5、中央奥側には奥コンロ6が設けられる。筐体2の前面の中央部にはグリル扉8が設けられる。グリル扉8は手前に引き出し可能に設けられ、筐体2内に設置されるグリル庫(図示略)の前側の開口を開閉する。筐体2の前面において、グリル扉8の右側には右パネル部11、左側には左パネル部12が夫々取り付けられる。
【0013】
右パネル部11は正面視略矩形状に形成され、その前面の上側には、化粧板21が設けられる。化粧板21の中段には、2つの操作つまみ15、16が横並びに設けられる。操作つまみ15、16は前後方向に延びる略円柱状に形成され、右コンロ4、グリルバーナ(図示略)の点火、消火、及び火力調節の為に、押し込み又は回動操作される。
【0014】
右パネル部11の前面の下側には、操作部材60が下部を基点に前後方向に回動可能に設けられる。操作部材60の前面には化粧板22が着脱自在に取り付けられる。化粧板22の上部を指で後方に押し込むと、後述のロック機構部44(
図3参照)によるロックが外れ、操作部材60が下部を基点に前方に回動する。その結果、操作部材60の背面側に設けられた大型の操作パネル35(
図8参照)が前方に引き出される。操作パネル35は、右コンロ4とグリルについて、自動調理、タイマ等の各種設定の受付及び各種情報の表示を行う。操作パネル35は、ユーザ側に向くように水平面に対して所定角度(例えば17°)で傾斜した状態で支持される。操作パネル35の傾斜角度は、使用者から見え易く且つ操作し易い角度が好ましい。
【0015】
化粧板22を取り外すと、
図2に示すように、操作部材60の後述の矩形溝612の内側において、電池ケース90の前端部が露出する。電池ケース90は手前側に引き出し可能に設けられ、コンロ1の電源である乾電池(図示略)を収納する。ユーザは電池ケース90を手前側に引き出すことにより、電池交換ができる。
【0016】
左パネル部12も正面視略矩形状に形成され、その前面の上側には、化粧板23が設けられる。化粧板23の中段には、2つの操作つまみ17、18が横並びに設けられる。操作つまみ17、18は前後方向に延びる略円柱状に形成され、奥コンロ6、左コンロ5の点火、消火、及び火力調節の為に、押し込み又は回動操作される。左パネル部12の前面の下側には、操作部材70が下部を基点に前後方向に回動可能に設けられる。操作部材70の前面には化粧板24が取り付けられる。右パネル部11と同様に、化粧板24の上部を指で後方に押し込むと、ロック機構部(図示略)によるロックが外れ、操作部材70が下部を基点に前方に回動する。その結果、操作部材70の背面側に設けられた大型の操作パネル(図示略)が前方に引き出される。操作部材70の操作パネルは、左コンロ5と奥コンロ6について、自動調理、タイマ等の各種設定の受付及び各種情報の表示を行う。
【0017】
右パネル部11の構造を説明する。本実施形態では、右パネル部11の構造と左パネル部12の構造はほぼ同じなので、右パネル部11の構造のみ説明する。
図2~
図10において、説明の便宜上、化粧板22は省略する。
【0018】
図2~
図4に示すように、右パネル部11は、本体部31(
図3,
図4参照)、枠部32、筒部33(
図3,
図4参照)、操作部材60等を備える。
図3に示すように、本体部31は、右パネル部11の上側に立設され、正面視略矩形状の樹脂製の板部材である。本体部31には、2つの挿通穴311、312が横並びに設けられる。これら挿通穴311、312には、操作つまみ15、16(
図1参照)が前後方向に挿入される。化粧板21は本体部31の前面に固定される。化粧板21の中段には、挿通穴211,212が横並びに設けられ、挿通穴311、312と相対する。
【0019】
枠部32は、右パネル部11の下側に設けられ、正面視略矩形状の樹脂製の枠部材である。枠部32の上端部は、本体部31の下端部と連結する。
図2に示すように、枠部32の下部である下側部321の前面の右側には、右揺動軸41が設けられ、下側部321の前面の左側には、左揺動軸42が設けられる。右揺動軸41と左揺動軸42は横方向に延びる軸である。右揺動軸41と左揺動軸42は、操作部材60の下部に設けられた後述の係合部67,68を揺動可能に軸支する。
【0020】
図3~
図5に示すように、筒部33は、枠部32の背面から後方に突出し、前後方向に貫通する略四角筒状に形成される。筒部33は枠部32の中央の開口と連通する。筒部33は、底板部331、右板部332、左板部333、上板部334を備える。筒部33は、操作部材70を内側に収納可能である。
【0021】
底板部331は底面視略矩形状に形成される。底板部331の上面やや左寄りには、ケース収納部80が設けられる。ケース収納部80は、前後方向に貫通する略角筒状に形成され、底板部331の前端部から後端部まで延びる。ケース収納部80の内側には、電池ケース90が前後方向に移動可能に収納される。
図3に示すように、底板部331の上面の左右方向略中央部には、支持部材43が立設される。支持部材43の上部には、ロック機構部44が支持される。ロック機構部44は、周知のプッシュロック機構を備える。操作部材60の後述する突起69(
図2参照)をロック機構部44に押し込むと、突起69がロックされ、再度押し込むとロックが解除される。
【0022】
底板部331の上面において、支持部材43の右方には、バネ固定部46(
図3,
図5参照)が設けられる。バネ固定部46は、底板部331の上面から上方に突出し、且つ左右方向に長い略直方体状に形成される。バネ固定部46は、バネ37の一端部371を底板部331の上面に固定する。バネ37は捩じりコイルばねであって、左右方向に貫通するコイル状に形成される。バネ37の一端部371は、バネ37の左端部から後方に延び、その先端側が右方に屈曲してバネ固定部46に固定される。バネ固定部46の右斜め前方には、穴部47(
図5,
図9参照)が設けられる。穴部47は平面視矩形状に形成され、底板部331を上下方向に貫通する。
【0023】
図4に示すように、右板部332は、底板部331の右端部に垂直上方に立設される。右板部332には、固定壁部335が設けられる。固定壁部335は、筒部33の左右方向中央側に寄せて配置される。固定壁部335の左面は、操作部材60の後述の右壁部63の右面と隙間を空けて対向する。固定壁部335の右面には、オイルダンパ50が固定される。オイルダンパ50は回転軸(図示略)とピニオンギア51を備える。回転軸は固定壁部335の穴(図示略)を介して右方に突出する。ピニオンギア51は回転軸の先端部に固定される。オイルダンパ50は、ピニオンギア51の回転速度を低下させるように作用する。
【0024】
左板部333は、底板部331の左端部に垂直上方に立設される。左板部333の内面は、操作部材60の後述の左壁部64の外面と隙間を空けて対向する。上板部334は、右板部332の上端部と左板部333の上端部の間に略水平に渡設され、平面視左右方向に長い略矩形状に形成される。上板部334の下面の前端側には、規制部336(
図5参照)が設けられる。規制部336は、底面視左右方向に延びる細長略矩形状に形成され、下方に突出する。
【0025】
操作部材60の構造を説明する。本実施形態は説明の便宜上、操作パネル35が筒部33内に収納された収納状態(
図2~
図5参照)を基本姿勢とし、該基本姿勢の向きで構造を説明する。操作部材70が基本姿勢から前方に回動し、操作パネル35が前方に引き出されて操作可能となった状態を操作状態(
図6~
図10参照)と呼ぶ。操作部材60が収納状態のときの位置を収納位置、操作状態のときの位置を操作位置と呼ぶ。操作部材60は、筒部33の内側において、収納位置と操作位置の間を移動可能に支持される。操作部材60は左右方向に長く、内部が空洞で且つ底面側が開口する箱状に形成される(
図4,
図5参照)。操作部材60は、前壁部61、上壁部62、後壁部65、右壁部63、左壁部64を備える。
【0026】
図2に示すように、前壁部61は略矩形状に形成され、その前面には、上述の化粧板22(
図1参照)が固定される。前壁部61の右側で且つ上端よりもやや下側には、正面視略矩形状の開口部611が設けられる。開口部611の下縁部には、後方に突出する突起69が設けられる。開口部611の左方には、矩形溝612が設けられる。矩形溝612は、前壁部61の下端部の左右両側を除く部分から上方に向けて正面視略矩形状に凹んで形成された溝である。
【0027】
前壁部61の右下角部には係合部67が設けられ、左下角部には係合部68が設けられる。係合部67,68は下方に突出し、側面視略C状に形成される。係合部67は、枠部32の下側部321の前面の右側に設けられた右揺動軸41に回動自在に係合する。係合部68は、枠部32の下側部321の前面の左側に設けられた左揺動軸42に回動自在に係合する。これにより、操作部材60は、下部において、右揺動軸41と左揺動軸42を中心に回動自在に支持される。
【0028】
上壁部62は、前壁部61の上端部から後方に対して斜め下方に延設され、略矩形板状に形成される。上壁部62には、操作パネル35が設けられる。操作パネル35は、左右方向にやや長い略矩形状に形成される。操作パネル35には、複数のボタンと表示部(図示略)が設けられる。上壁部62の後端部には、後壁部65が設けられる。後壁部65は上壁部62の後端部から後方に対して斜め下方に延設され、平面視横長の略矩形状に形成される。
【0029】
後壁部65の後端部の左右方向中央部には、凹み部651が設けられる。凹み部651が設けられる位置は、収納状態においてケース収納部80の上部と重なる位置である。凹み部651は、ケース収納部80の上面形状に合わせ、上壁部62側に向けて背面視略台形状に凹んで形成される。後壁部65の後端部には、突出部652が設けられる。突出部652は、後壁部65の後端部に沿って延びると共に、右揺動軸41と左揺動軸42から離れる側で且つ上側に突出する。
【0030】
上壁部62の内面と前壁部61の内面に挟まれる間には、側面視略三角形状の支持板621(
図7参照)が上下方向に設けられる。支持板621の一辺は上壁部62の内面と接続し、他の一辺は前壁部61の内面と接続し、残りの一辺は後方に向けて配置される。支持板621の後方に向けて配置された一辺の上壁部62側の部分には、バネ固定溝622が設けられる。バネ固定溝622には、バネ37の他端部372が係止する。これにより、操作部材60は、バネ37のバネ力により、収納状態から操作状態に向けて回動するように常時付勢される。
【0031】
図9,
図10に示すように、右壁部63は、前壁部61の右端部と上壁部62の右端部との間を閉塞するように設けられる。右壁部63の右面は、前壁部61の右端部と上壁部62の右端部よりも左方に奥まって位置する。右壁部63の下端部において、後端側を除く部位には、右側面視略矩形状に切り欠いた切り欠き部631が設けられる。切り欠き部631の後側には、切り欠き部631よりも下方に突出する突起部632が設けられる。
【0032】
右壁部63の右面には、ラックギア66が設けられる。ラックギア66は突起部632の下端から前壁部61側に向かって右揺動軸41を中心とする円弧状に形成され、前壁部61の背面に接続する。ラックギア66は、右壁部63の右面部から右側に壁状に突出し、その下側の面に歯部を備える。ラックギア66には、枠部32の右板部322に設けたオイルダンパ50のピニオンギア51が噛合する。左壁部64は、前壁部61の左端部と上壁部62の左端部との間を閉塞するように設けられる(
図3,
図7参照)。
【0033】
収納状態のときの操作部材60の姿勢と保持について説明する。
図5に示すように、操作部材60が収納状態(基本姿勢)のとき、前壁部61は垂直である。前壁部61の前面は本体部31の前面と略面一である。前壁部61の矩形溝612の内側に、ケース収納部80が配置される。これにより、操作部材60は、下部においてケース収納部80を左右方向に跨ぐようにして、右揺動軸41と左揺動軸42に軸支される。
【0034】
そして、操作パネル35は、枠部32の内側に収納され、後ろ側において斜め上方を向いた状態となる。後壁部65の後端部に設けられた凹み部651の内側には、ケース収納部80の上部が配置される。これにより、右パネル部11は、後壁部65の後端部を、ケース収納部80の上部と干渉することなく、ケース収納部80の上部よりも低い位置まで下げることができる。
【0035】
また、操作部材60の右壁部63の下端部において、切り欠き部631は、枠部32の底板部331の上面に配置され、突起部632は、底板部331の穴部74に上方から挿入される。これらの構造により、大型の操作パネル35を備える操作部材60であっても、前壁部61の一部が枠部32の前面から突出することなく、枠部32内に綺麗に収納できる。
【0036】
そして、操作部材60の前壁部61の内面に設けられた突起69は、枠部32の底板部331の支持部材43に支持されたロック機構部44に押し込まれ、ロックされた状態である(
図2参照)。これにより、右パネル部11は、操作部材60の収納状態を保持できる。
【0037】
また、操作部材60の後壁部65の後端部には突出部652が設けられ、突出部652は、後壁部65の後端部に沿って延びているので、操作部材60が収納位置にあるとき、上方から操作パネル35に落下した煮汁を堰き止める堰としての役割を果たすことができる。さらに、突出部652は、その堰き止めた煮汁を左右方向に逃がすことができる。これにより、コンロ1は、操作パネル35の下方に位置するケース収納部80及び電池ケース90に煮汁が落下するのを防止できる。
【0038】
操作パネル35の引き出し操作方法を説明する。操作パネル35を手前に引き出す為、ユーザは、操作部材60の化粧板22(前壁部61)の上側部分を後方に押し込む。これにより、操作部材60側の突起69がロック機構部44に再度押し込まれるので、ロック機構部44によるロックが解除される。すると、
図6~
図9に示すように、操作部材60は、バネ37によるバネ力により、右揺動軸41と左揺動軸42を中心に前側に付勢されて揺動する。このとき、操作部材60と一体して、ラックギア66も右揺動軸41と左揺動軸42を中心に前側に回動する(
図9,
図10参照)。ラックギア66の回動に併せ、ピニオンギア51が回転するが、オイルダンパ50によりその回転速度は制限される。これにより、ラックギア66を介して操作部材60の揺動する速度も制限されるので、操作パネル35は前側に一定の速度でゆっくり安全に引き出される。
【0039】
操作部材60が前側にさらに揺動すると、操作パネル35の後端部は上方に移動する。そして、操作部材60を収納位置から操作位置に向けて前方に引き出して揺動したとき、突出部652に対して規制部336が前方から当接することで、操作部材60の揺動が規制される。これにより、凹み部651が上板部334よりも前方に突出して露出するのを防止できる。従って、操作部材60が操作位置にあるときの正面の美観が損なわれるのを防止できる。操作部材60は、操作パネル35が前側に引き出され、所定角度で傾斜した状態でその姿勢が保持される。
【0040】
以上説明したように、コンロ1は、右パネル部11を備える。右パネル部11は、枠部32、筒部33、右揺動軸41、左揺動軸42、ケース収納部80、電池ケース90、操作部材60を備える。枠部32と筒部33は、前後方向に開口する筒状の部材である。右揺動軸41と左揺動軸42は、枠部32の下側に横方向に向けて設けられる。ケース収納部80は、筒部33内の下側に設けられ、電池ケース90を内側に収納する。操作部材60は、操作の入力を受付け可能な操作パネル35を有する。そして、操作部材60は下部においてケース収納部80を横方向に跨ぐようにして、右揺動軸41と左揺動軸42に軸支され、右揺動軸41と左揺動軸42を中心に揺動することによって、操作パネル35が後方になるにつれて下り傾斜する姿勢で筒部33内に収納される収納位置と、操作パネル35が筒部33の前方に引き出されて操作可能となる操作位置との間で揺動可能となる。このような構成を備えるコンロ1において、操作パネル35が収納位置にある状態の操作パネル35の後端部であって、ケース収納部80と重なる位置には、凹み部651が設けられる。凹み部651は、操作パネル35の前端部側に向けて窪む。これによって、操作部材60とケース収納部80との干渉を避けることができる。
【0041】
上記説明において、枠部32と筒部33は、本発明の「収納体」の一例である。右揺動軸41と左揺動軸42は、本発明の「揺動軸」の一例である。ケース収納部80と電池ケース90は本発明の「電池収納部」の一例である。上壁部62と後壁部65は、本発明の「壁部」の一例である。
【0042】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。上記実施形態のコンロ1はビルトインコンロであるが、テーブルコンロでもよく、グリル無しでもよい。コンロ1は、右パネル部11にケース収納部80及び電池ケース90を備えるが、左パネル部12にそれらを備えてもよい。
【0043】
操作部材60において、後壁部65は上壁部62の後端部から斜め下方に折れ曲がっているが、折れ曲がり角度は自由に変更可能であり、折り曲げずに直線状であってもよい。
【0044】
底板部331の後端部の右側角部には穴部47が設けられるが、操作部材60の右壁部63の突起部632を収容可能であればよく、例えば、底板部331の上面において下方に凹んで形成された凹部、又は切り欠き状に穴を形成してもよい。
【0045】
右パネル部11は、操作部材60の揺動を緩やかにする為、オイルダンパ50を用いているが、他の種類のダンパでもよく、例えば、エアダンパでもよい。
【符号の説明】
【0046】
1 コンロ
32 枠部
33 筒部
35 操作パネル
41 右揺動軸
42 左揺動軸
60 操作部材
62 上壁部
65 後壁部
80 ケース収納部
90 電池ケース
321 下側部
334 上板部
336 規制部
651 凹み部
652 突出部