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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】クラフトパーツおよびその製作方法
(51)【国際特許分類】
   A44C 27/00 20060101AFI20240925BHJP
   A44C 25/00 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
A44C27/00
A44C25/00 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021074765
(22)【出願日】2021-04-27
(65)【公開番号】P2022169017
(43)【公開日】2022-11-09
【審査請求日】2023-10-13
(73)【特許権者】
【識別番号】592196123
【氏名又は名称】株式会社パジコ
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 進
(72)【発明者】
【氏名】強矢 邦夫
【審査官】大内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3138835(JP,U)
【文献】特開2016-063916(JP,A)
【文献】特開2019-188113(JP,A)
【文献】登録実用新案第3211296(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A44C 1/00~27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材層と前記基材層に積層されたインク受容層とを備えたレジン転写シートの前記インク受容層に絵柄を印刷する工程と、
前記絵柄とその周囲の部分とを含む前記インク受容層の一部の領域に流動性の硬化性樹脂を塗布する工程と、
前記硬化性樹脂を硬化させて、前記インク受容層の前記領域の上で主レジンパーツを形成する工程と、
前記主レジンパーツを前記レジン転写シートから剥離させることにより、前記基材層から前記インク受容層の前記領域のみを剥離させて前記主レジンパーツの背面に前記領域を付着させる工程と、を有し、
前記主レジンパーツにより形成されるレジンパーツからなるクラフトパーツを製作するクラフトパーツの製作方法。
【請求項2】
請求項1記載のクラフトパーツの製作方法において、
前記主レジンパーツの背面に前記インク受容層の前記領域を介して付着される副レジンパーツを形成するように、前記主レジンパーツの背面に付着している前記インク受容層の前記領域に流動性の硬化性樹脂を塗布する工程と、
前記硬化性樹脂を硬化させて前記副レジンパーツを形成する工程と、を有し、
前記主レジンパーツと前記副レジンパーツとにより形成されるレジンパーツからなるクラフトパーツを製作するクラフトパーツの製作方法。
【請求項3】
基材層と前記基材層に積層されたインク受容層とを備えたレジン転写シートの前記インク受容層に絵柄を印刷する工程と、
成形型に設けられた成形凹部に流動性の硬化性樹脂を充填する工程と、
前記成形凹部に充填された前記硬化性樹脂の背面に、前記絵柄とその周囲の部分とを含む前記インク受容層の一部の領域を付着させる工程と、
前記硬化性樹脂を硬化させて、背面に前記インク受容層の前記領域が付着した主レジンパーツを形成する工程と、
前記レジン転写シートを前記主レジンパーツから除去することにより、前記基材層から前記インク受容層の前記領域のみを剥離させて前記主レジンパーツの背面に前記領域を付着させる工程と、を有し、
前記主レジンパーツにより形成されるレジンパーツからなるクラフトパーツを製作するクラフトパーツの製作方法。
【請求項4】
請求項3記載のクラフトパーツの製作方法において、
流動性の硬化性樹脂からなり、前記主レジンパーツの背面に前記インク受容層の前記領域を介して付着される副レジンパーツを形成する工程を有し、
前記主レジンパーツと前記副レジンパーツとにより形成されるレジンパーツからなるクラフトパーツを製作するクラフトパーツの製作方法。
【請求項5】
請求項4記載のクラフトパーツの製作方法において、
前記副レジンパーツの形成工程は、
成形型に設けられた成形凹部に流動性の硬化性樹脂を充填する工程と、
前記成形凹部に充填された前記硬化性樹脂の背面に、前記主レジンパーツの背面に付着している前記インク受容層の前記領域を付着させる工程と、
前記硬化性樹脂を硬化させる工程と、を有する、クラフトパーツの製作方法。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載のクラフトパーツの製作方法において、
前記レジンパーツに付加部品を取り付ける工程を有する、クラフトパーツの製作方法。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載のクラフトパーツの製作方法において、
前記硬化性樹脂は、光を照射すると硬化する光硬化性樹脂である、クラフトパーツの製作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアクセサリパーツ等のクラフトパーツおよびその製作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ネックレス、イヤリング、キーホルダ、ペンダントなどの装飾品つまりアクセサリには、紫外線硬化性樹脂(UVレジン)等の光硬化性樹脂、または化学反応により硬化させる2液性エポキシ樹脂からなる硬化性樹脂を成形材料とし、成形型を用いて成形するものがある。特許文献1には、アクセサリの形状に対応した複数の成形凹部が形成された成形型が記載されている。成形材料である硬化性樹脂としての光硬化性樹脂を成形凹部に充填した後に、充填された成形材料に紫外線等の光を照射することにより成形材料を硬化すると、成形凹部に対応した形状のレジンからなるペンダント、ブローチ、ネックレスおよびボタン等のアクセサリパーツ、つまりアクセサリ部品を容易に手作りすることができる。
【0003】
光硬化性樹脂を成形材料とするレジンパーツには、アクセサリパーツ以外に、名札表、プラモデルパーツ、モビールパーツ等があり、これらの手作りできる部材は総称してクラフトパーツと言われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-188113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
光硬化性樹脂等の硬化性樹脂を形成材料とするレジンつまり樹脂からなるクラフトパーツの製造方式には、上述した成形型を使用する場合のみならず、シート材の上に硬化性樹脂を塗布してネックレス等を製造する方式もある。その場合には、硬化性樹脂が塗布されるシートとしては、表面層が剥離性のものが使用されている。硬化性樹脂からなるレジンパーツは、硬化された後にシートから剥離され、表面や背面に色彩を塗布することにより製品化される。
【0006】
レジンパーツに手書きの絵柄のみならず、印刷物に描かれた風景や動物の絵柄等をレジンパーツに描くことができれば、レジンパーツからなるクラフトパーツの装飾性やデザイン価値を高めることができる。
【0007】
本発明の目的は、印刷された絵柄とレジンパーツとからなり、デザイン性を高めることができるクラフトパーツを得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のクラフトパーツの製作方法は、基材層と前記基材層に積層されたインク受容層とを備えたレジン転写シートの前記インク受容層に絵柄を印刷する工程と、背面に前記インク受容層が付着した主レジンパーツを形成するように、前記絵柄の領域流動性の硬化性樹脂を塗布する工程と、前記主レジンパーツを硬化させる工程と、前記絵柄が印刷されたインク受容層が背面に付着された前記主レジンパーツを、前記レジン転写シートの基材層から剥離する工程と、を有し、前記主レジンパーツにより形成されるレジンパーツからなるクラフトパーツを製作する。
【0009】
本発明のクラフトパーツの製作方法は、基材層と前記基材層に積層されたインク受容層とを備えたレジン転写シートの前記インク受容層に絵柄を印刷する工程と、成形型に設けられた成形凹部に流動性の硬化性樹脂を充填する工程と、成形凹部に充填された硬化性樹脂の背面に、前記インク受容層が付着した主レジンパーツを形成するように、前記レジン転写シートを付着させる工程と、前記主レジンパーツを硬化させる工程と、絵柄が印刷された領域の前記インク受容層が背面に付着された前記主レジンパーツから、前記レジン転写シートの前記基材層を剥離する工程と、を有し、前記主レジンパーツにより形成されるレジンパーツからなるクラフトパーツを製作する。
【0010】
本発明のクラフトパーツは、絵柄が描かれたインク受容層と、硬化性樹脂により形成され、背面に前記インク受容層の絵柄の領域が付着し硬化した主レジンパーツと、を有するレジンパーツを備えている。
【0011】
本発明のクラフトパーツは、絵柄が描かれたインク受容層と、表面に成形面が設けられ、硬化性樹脂により形成されて背面に前記インク受容層が付着して硬化した主レジンパーツと、を有するレジンパーツからなるレジンパーツを備えている。
【発明の効果】
【0012】
クラフトパーツは、硬化性樹脂により形成される主レジンパーツと、レジン転写シートのインク受容層に印刷されて主レジンパーツの背面に付着される絵柄とを有しており、主レバンパーツを形成する硬化性樹脂を硬化させる前に絵柄が印刷されたインク受容層の絵柄領域を接触させると、絵柄領域は主レジンパーツの背面に接着される。次いで、主レジンパーツを硬化させると、印刷された絵柄が転写された主レジンパーツが得られる。これにより、印刷物に描かれた動物等の絵柄が形成されたクラフトパーツの装飾性やデザイン価値を高めることができる。
【0013】
主レジンパーツの背面に硬化性樹脂により副レジンパーツを形成すると、主レジンパーツと副レジンパーツとの間に絵柄が挟み込まれたクラフトパーツが得られ、クラフトパーツのデザイン価値を高めることができる。
【0014】
このクラフトパーツは、ペンダントやイヤリング等のアクセサリやその他のプラモデルパーツや置物を容易に製作することができる。硬化性樹脂として、光硬化性樹脂を使用すると、製作時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】一実施の形態であるクラフトパーツの製作方法を示す工程図である。
図2図2(A)は基材層とインク受容層とを備えたレジン転写シートのインク受容層に印刷された絵柄を示す斜視図であり、(B)は(A)における1B-1B線拡大断面図であり、(C)は(A)における1C-1C線拡大断面図である。
図3】絵柄の領域に流動性の光硬化性樹脂を塗布して主レジンパーツを形成している状態を示す斜視図である。
図4】主レジンパーツに光を照射して主レジンパーツを硬化している状態を示す斜視図である。
図5】絵柄の領域が印刷されたインク受容層が背面に付着された主レジンパーツを転写シートの基材層から剥離している状態を示す斜視図である。
図6】基材層から剥離された主レジンパーツの表裏を反転させて背面に付着したインク受容層に光硬化性樹脂を塗布して副レジンパーツを形成している状態を示す斜視図である。
図7】副レジンパーツに光を照射して副レジンパーツを硬化させている状態を示す斜視図である。
図8】主レジンパーツと副レジンパーツとからなるレジンパーツに付加部品が取り付けられて形成されたクラフトパーツを示す正面図である。
図9】他の実施の形態であるクラフトパーツの製作方法を示す工程図である。
図10】基材層とインク受容層とを備えたレジン転写シートのインク受容層に印刷された絵柄を示す斜視図である。
図11】複数の成形凹部が設けられた成形型を示す斜視図である。
図12】(A)は図11の正面図であり、(B)は(A)における12B-12B線断面図である。
図13】(A)は成形凹部に光硬化性樹脂を充填した状態を示す断面図であり、(B)は充填された光硬化性樹脂からなる主レジンパーツの背面にレジン転写シートのインク受容層を付着している状態を示す断面図であり、(C)は主レジンパーツに光を照射して主レジンパーツを硬化させている状態を示す断面図であり、(D)はインク受容層の絵柄の領域が付着された主レジンパーツからレジン転写シートの基材層を剥離している状態を示す断面図であり、それぞれは図12に示された成形型における12B-12B断面の部分を示す。
図14】インク受容層の絵柄の領域が付着された主レジンパーツを成形型から取り出した状態における主レジンパーツの背面を示す斜視図である。
図15】主レジンパーツの背面に副レジンパーツを形成し、副レジンパーツを硬化させた状態を示す斜視図である。
図16】主レジンパーツと副レジンパーツとからなるレジンパーツに付加部品が取り付けられたクラフトパーツを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、クラフトパーツの製作方法の各工程が示されており、図1にはクラフトパーツの一例としてのペンダントの製作方法が示しており、ペンダントは工程1~工程7を経て製作される。
【0017】
図1に示した印刷工程1は、図2(A)に示すようにレジン転写シート11に絵柄12を印刷する工程である。レジン転写シート11は、図2(B)に示されるように、基材層13と基材層13に積層された透明なインク受容層14とを備えており、インクジェットプリンタや熱転写プリンタ等のプリンタにより、インク受容層14には絵柄12が印刷された絵柄領域15が形成される。図2に示す絵柄12は、動物の猫のアニメ画像であるが、絵柄としては、動物、植物、風景、人物像、アニメのキャラクタ等のように、プリンタにより印刷することができる絵柄であれば、任意の絵柄とすることができる。また、絵柄12としては、カラー画像でも、モノクロ画像でもよい。
【0018】
絵柄領域15には、塗布工程2において、光透過性を有する流動性の光硬化性樹脂が塗布される。図3は、流動状態の光硬化性樹脂Lが容器16から吐出されて絵柄領域15に塗布されている状態を示しており、絵柄領域15は、絵柄12とその周囲の部分とからなり、ペンダントとして製品化される主レジンパーツ21の部分を示す。図3においては、絵柄の領域15に光硬化性樹脂Lが塗布されて、主レジンパーツ21が形成された状態を示す。光透過性を有する光硬化性樹脂により主レジンパーツ21が形成されているので、主レジンパーツ21の背面に付着した絵柄12は、主レジンパーツ21の表面側から目視することができる。絵柄12が表面側から目視できる程度の光透過性を有していれば、着色された光硬化性樹脂を使用することもできる。
【0019】
光硬化性樹脂は特定波長の光によって重合し硬化する樹脂であり、紫外線硬化性樹脂つまりUVレジンを光硬化性樹脂として使用することができる。UVレジンとしては、ウレタンアクリレート、アクリル樹脂アクリレート、エポキシアクリレート等を使用することができ、UVレジンは波長が365nmの紫外線により硬化される。光硬化性樹脂としては、波長が365nmまたは405nmのいずれかの波長のLEDの光で硬化するLEDレジン等を使用することができる。
【0020】
主レジンパーツ21の成形材料としては、光硬化性樹脂のみならず、2液性エポキシ樹脂を使用することができる。2液性エポキシ樹脂は、A剤とB剤の2液を混合させると化学反応により硬化する樹脂であり、光硬化性樹脂が短時間で硬化するのに対して、12~24時間で硬化する。
【0021】
図示する実施の形態のように、光硬化性樹脂により形成された主レジンパーツ21は、硬化工程3において、光が照射されて硬化される。図4は主レジンパーツ21に光Uを照射している状態を示す。UVレジンを光硬化性樹脂として使用した場合には、紫外線が主レジンパーツ21に照射される。これにより、主レジンパーツ21は常温で短時間に硬化され、その背面にはインク受容層14の絵柄領域15が付着される。
【0022】
一方、2液性エポキシ樹脂を硬化性樹脂として使用した場合には、12時間以上放置することにより、主レジンパーツ21を硬化させることができる。短時間でレジンパーツを製作するには、2液性エポキシ樹脂を使用するよりも、光硬化性樹脂を使用することが好ましい。
【0023】
図5は、剥離工程4において主レジンパーツ21がレジン転写シート11から剥離された状態を示す。主レジンパーツ21の背面には絵柄領域15が接着しており、主レジンパーツ21をレジン転写シート11から剥離すると、主レジンパーツ21は基材層13から剥離される。主レジンパーツ21は硬化しているので、レジン転写シート11を折り曲げることにより、容易に主レジンパーツ21をレジン転写シート11から剥離することができる。硬化性樹脂は、光硬化性樹脂であっても、2液性エポキシ樹脂であっても、硬化させることにより、主レジンパーツ21に絵柄領域15が付着される。
【0024】
背面に絵柄領域15が付着した主レジンパーツ21は、図1の工程1~工程4に記載された製作方法により製作され、表面側からも背面側からも絵柄12を観察することができ、主レジンパーツ21をレジンパーツとして、それをクラフトパーツの製品とすることができる。このクラフトパーツは、絵柄が描かれたインク受容層14と、光硬化性樹脂により形成され背面にインク受容層14の領域が付着した主レジンパーツ21から形成される。
【0025】
図6は、基材層13から剥離された主レジンパーツ21の表裏を反転させて、主レジンパーツ21の背面に付着したインク受容層14の絵柄領域15に、塗布工程5において光透過性を有する流動性の光硬化性樹脂Lを塗布している状態を示す。この光硬化性樹脂Lの塗布により主レジンパーツ21の背面にはインク受容層14を覆うように、副レジンパーツ22が形成される。
【0026】
主レジンパーツ21と同様に光硬化性樹脂により形成された副レジンパーツ22は、硬化工程6において、光が照射されて硬化される。図7は副レジンパーツ22に光Uを照射している状態を示す。UVレジンを光硬化性樹脂として使用した場合には、紫外線が副レジンパーツ22に照射され、副レジンパーツ22は常温で短時間に硬化され、絵柄領域15のインク受容層14を介して主レジンパーツ21と一体となる。これにより、主レジンパーツ21の絵柄領域15は副レジンパーツ22により覆われて、副レジンパーツ22が主レジンパーツ21に接着される。このように、主レジンパーツ21と副レジンパーツ22とによりレジンパーツ20が形成され、それをクラフトパーツの製品とすることができる。副レジンパーツ22を構成する光硬化性樹脂は、光透過性を有しており、図7に示されるように、副レジンパーツ22の外面から絵柄12を目視することができる。図7において、副レジンパーツ22の外面から観察される絵柄12は、主レジンパーツ21の外面から観察される絵柄12の背面である。
【0027】
副レジンパーツ22についても、上述のように、2液性エポキシ樹脂を硬化性材料としてインク受容層14を覆うように、塗布して形成するようにしてもよい。
【0028】
このように、主レジンパーツ21と副レジンパーツ22とが一体となったレジンパーツ20をクラフトパーツの製品であるペンダントとするために、図8に示されるように、レジンパーツ20には吊り下げ部23が装着され、吊り下げ部23には吊り下げ用の紐部材24が装着される。吊り下げ部23は、予め製作された環状のパーツをレジンで接着することによりレジンパーツ20に装着することができる。このように、吊り下げ部23の素材としては、光硬化性樹脂により形成するようにしてもよく、他の材料により予め製作された吊り下げ部をレジンパーツ20に装着するようにしてもよい。吊り下げ部23および紐部材24は、それぞれレジンパーツに対する付加部品を構成する。このように、装着工程7において、付加部品がレジンパーツ20に装着されることにより、レジンパーツからなるペンダントとしてのクラフトパーツの製作が完了する。
【0029】
図5に示すように、背面に絵柄の領域15が付着した主レジンパーツ21を、上述のように、製品とすることも可能である。その場合には、主レジンパーツ21に穴を設けるようにしてもよく、吊り下げ部23を接着するようにしてもよい。これにより、絵柄12が転写された主レジンパーツ21からなるペンダントとしてのクラフトパーツが得られる。
【0030】
図2図8は、クラフトパーツであるペンダントを製作する場合について示しているが、背面に絵柄が形成された主レジンパーツ21からなるクラフトパーツ、または主レジンパーツ21と副レジンパーツ22とからなるクラフトパーツとしては、これに限られることなく、ネックレス、イヤリング、ピアス、キーホルダ、名札表、モビールパーツ、プラモデルパーツ等を同様の方法により製作することができる。
【0031】
図9は、他の実施の形態であるクラフトパーツの製作方法を示す工程図であり、図9においては、図1に示した工程と共通性を有する工程には同一の符号が付されている。図10は、図2示したレジン転写シート11と同様に、基材層13とインク受容層14とを備えたレジン転写シート11のインク受容層14に、図9に示す印刷工程1において、絵柄12が印刷された状態を示す。
【0032】
一方、図11は複数の成形凹部31が設けられた成形型32を示す斜視図であり、図12(A)は図11の正面図であり、図12(B)は図12(A)における12B-12B線断面図である。
【0033】
図11および図12(A)に示された複数の成形凹部31のうち右下に示された成形凹部31を使用して主レジンパーツ21を形成するには、充填工程2aにおいて、成形凹部31に光透過性を有する流動性の光硬化性樹脂を充填する。図13(A)は成形凹部31に充填された光硬化性樹脂により主レジンパーツ21が成形された状態を示す。光硬化性樹脂の充填は、図3に示した場合と同様に、容器16から光硬化性樹脂Lを吐出させて成形凹部31に塗布することにより行われる。主レジンパーツ21の表面は成形凹部31の底面33により成形され、主レジンパーツ21の背面は成形型32の表面34と同一面となるように平坦に形成される。
【0034】
次いで、印刷工程1においてインク受容層14に絵柄12が印刷されたレジン転写シート11が、付着工程2bにおいて、平坦な主レジンパーツ21の背面に付着される。主レジンパーツ21の背面には、図13(B)に示されるように、印刷工程1において絵柄12が印刷されたインク受容層14が付着され、基材層13は外部に露出される。この付着工程2bは、主レジンパーツ21が硬化する前に行われる。
【0035】
主レジンパーツ21の背面にレジン転写シート11が貼り付けられた状態のもとで、図13(C)に示されるように、硬化工程3において、主レジンパーツ21には光が照射されて、主レジンパーツ21は硬化される。主レジンパーツ21が硬化すると、主レジンパーツ21の背面にはインク受容層14の絵柄領域15が接着される。迅速に硬化させるためには、基材層13も光透過性を有していることが好ましく、成形型32を透明材料により形成した場合には、図13(C)において下側から光を照射して主レジンパーツ21を硬化させることもできる。
【0036】
主レジンパーツ21が硬化した後に、図13(D)に示されるように、レジン転写シート11が除去される。このように、レジン転写シート11を成形型32の表面34から除去すると、主レジンパーツ21がレジン転写シート11の基材層13から剥離する剥離工程4が行われる。これにより、絵柄領域15は主レジンパーツ21の背面に付着した状態で残る。
【0037】
硬化した主レジンパーツ21を成形型32から取り出すと、図14に示すように、背面に絵柄12が描かれた主レジンパーツ21が製作される。主レジンパーツ21の表面は、成形凹部31と底面33の形状に対応した成形面が形成される。図14は主レジンパーツ21の背面を示しており、絵柄領域15の絵柄12が直接目視される。上述した場合と同様に、背面に絵柄領域15が付着した主レジンパーツ21をレジンパーツとして、それをクラフトパーツの製品とすることができる。
【0038】
一方、図15に示すように、主レジンパーツ21の背面に副レジンパーツ22を形成すると、主レジンパーツ21と副レジンパーツ22とを備えたレジンパーツ20が製作される。副レジンパーツ22を形成する方法としては、主レジンパーツ21を製作する方法と同様に、図9の形成工程5aにおいて、成形型32の成形凹部31に、光透過性を有する流動性の光硬化性樹脂Lを充填することにより副レジンパーツ22が成形される。副レジンパーツ22は、成形型32により形成される成形面からなる表面と、主レジンパーツ21のインク受容層14に付着される付着面とを有しており、付着面は副レジンパーツ22の背面である。
【0039】
次いで、付着工程5bにおいて、副レジンパーツ22の背面に主レジンパーツ21の背面を付着させた後に、硬化工程6において、副レジンパーツ22に光を照射させて副レジンパーツ22を硬化させる。これにより、それぞれ成形型32により作られた主レジンパーツ21と副レジンパーツ22とからなるレジンパーツを製作することができる。
【0040】
図16は、このようにして形成されたレジンパーツ20に付加部品としての台座25が装着されたクラフトパーツを示す正面図である。このクラフトパーツは、テーブルの上等に配置しておく置物、つまりアクセサリとして使用することができる。図14に示したように、背面に絵柄12が形成された主レジンパーツ21からなるクラフトパーツを製品化する場合には、主レジンパーツ21に台座25が装着される。
【0041】
成形型32を用いて主レジンパーツ21と副レジンパーツ22とを形成する形態においても、2液性エポキシ樹脂を硬化性樹脂として使用することができる。
【0042】
副レジンパーツ22の製作方式としては、成形型32を使用することなく、図6に示したように、主レジンパーツ21の背面に容器16から光硬化性樹脂Lを直接塗布するようにしてもよい。その場合には、成形型32により製作された主レジンパーツ21と成形型を使用しないで製作された副レジンパーツ22とからなるレジンパーツ20が得られる。
【0043】
成形型を使用した製作方法においても、製作できるクラフトパーツとしては、ネックレス、イヤリング、ピアス、キーホルダ、名札表、モビールパーツ、プラモデルパーツ等がある。
【0044】
このように、主レジンパーツ21と副レジンパーツ22は、硬化性樹脂をレジン転写シート11に塗布する形態と、成形型32の成形凹部31に硬化性樹脂を充填して形成する形態とがあり、さらに主レジンパーツ21と副レジンパーツ22のいずれか一方を、成形型32を用いて形成し、他方をレジン転写シート11に塗布して形成する形態とがある。
【0045】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、実施の形態においては、紫外線硬化樹脂が硬化性樹脂として使用しているが、光硬化性樹脂に限られず、化学反応により硬化する2液性エポキシ樹脂を使用してもよい。
【符号の説明】
【0046】
11 レジン転写シート
12 絵柄
13 基材層
14 インク受容層
15 絵柄領域
20 レジンパーツ
21 主レジンパーツ
22 副レジンパーツ
23 吊り下げ部
24 紐部材
25 台座
31 成形凹部
32 成形型
図1
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