(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】光硬化性樹脂組成物、光硬化性樹脂物品、及び斯かる物品を作製する方法
(51)【国際特許分類】
B29C 64/314 20170101AFI20240925BHJP
B29C 64/106 20170101ALI20240925BHJP
B33Y 80/00 20150101ALI20240925BHJP
C08F 290/06 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
B29C64/314
B29C64/106
B33Y80/00
C08F290/06
(21)【出願番号】P 2021521408
(86)(22)【出願日】2019-10-18
(86)【国際出願番号】 US2019056862
(87)【国際公開番号】W WO2020081891
(87)【国際公開日】2020-04-23
【審査請求日】2022-10-03
(32)【優先日】2018-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506115514
【氏名又は名称】ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア
【氏名又は名称原語表記】The Regents of the University of California
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【氏名又は名称】池田 達則
(74)【代理人】
【識別番号】100170852
【氏名又は名称】白樫 依子
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャミン エム.ウー
(72)【発明者】
【氏名】ジョバンニー,エフ.アコスタ-ベレス
【審査官】岡部 佐知子
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-043793(JP,A)
【文献】特表平08-512346(JP,A)
【文献】特開2004-244426(JP,A)
【文献】国際公開第2018/071920(WO,A1)
【文献】特表2003-507499(JP,A)
【文献】特表2020-528479(JP,A)
【文献】特表2019-521188(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/314
B33Y 80/00
B29C 64/106
C08F 290/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のステップ:
第一の光硬化性樹脂、及び第二の光硬化性樹脂を提供し;
該第一の光硬化性樹脂、及び第二の光硬化性樹脂を3Dプリントして物品を形成し;そして
該物品を硬化させること、
を含む方法によって製造される3Dプリントした樹脂物品であって、
該第一の光硬化性樹脂は、75~85重量パーセントの
第一のウレタン(メタ)アクリラート、10~25重量パーセントの
第一のジ(メタ)アクリラート、及び5重量パーセント未満の
第一の光開始剤を含
み;
該第二の光硬化性樹脂は、第二のウレタン(メタ)アクリラート、第二のジ(メタ)アクリラート、及び第二の光開始剤、及び1,1-トリメチロールプロパントリアクリラートを含み;
該第一及び第二のウレタン(メタ)アクリラートは独立して、2,4-トルエンジイソシアナート、2,5-トルエンジイソシアナート、2,6-トルエンジイソシアナート、及び4,4'-メチレンビス(フェニルイソシアナート)から成る群から選択されるジイソシアナート;並びにポリ(エチレングリコール)メタクリラート、ポリ(エチレングリコール)アクリラート、ポリ(プロピレングリコール)メタクリラート、ポリ(プロピレングリコール)アクリラート、2-ヒドロキシエチルアクリラート、2-ヒドロキシエチルメタクリラート、2-ヒドロキシプロピルアクリラート、及び2-ヒドロキシプロピルメタクリラートから成る群から選択されるヒドロキシ(メタ)アクリラートを含み;
該第一及び第二のジ(メタ)アクリラートは独立して、トリエチレングリコールジメタクリラート、ジ(エチレングリコール)ジメタクリラート、プロピレングリコールジメタクリラート、及びジ(プロピレングリコール)ジメタクリラートから成る群から選択され;
該第一及び第二の光開始剤は独立して、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、2,4,6-トリメチルベンゾイルエトキシフェニルホスフィンオキシド、及びビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニル-ホスフィンオキシドから成る群から選択され;そして
該物品は、該第一の光硬化性樹脂を含む内側微細構造と該第二の光硬化性樹脂を含む固体状コーティングを含み、ここで、該固体状コーティングが該内側微細構造を封入している、
3Dプリントした樹脂物品。
【請求項2】
前記
第一の光硬化性樹脂が以下の:ビス(2,2,6,6-テトラメチル-1-オクチルオキシ-4-ピペリジル)セバケート;ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート;メチル1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルセバケート;ジメチルセバケート;及びビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケートから成る群から選択される安定化剤をさらに含む、請求項1に記載の
3Dプリントした樹脂
物品。
【請求項3】
前記微細構造が、0.5mm~5mmの内径を有する細孔を含む、請求項
1に記載の
3Dプリントした樹脂物品。
【請求項4】
前記微細構造が、0.1mm~3mmの厚みを有する光硬化樹脂を含む、請求項
1に記載の
3Dプリントした樹脂物品。
【請求項5】
前記物品が、0.01Nの前負荷で試験されたとき、0.45MPa~1.6MPaの初期応力を有する、請求項
1に記載の
3Dプリントした樹脂物品。
【請求項6】
前記物品が、0.01Nの前負荷で試験したとき、2時間後に50%~65%の応力緩和を有する、請求項
1に記載の
3Dプリントした樹脂物品。
【請求項7】
前記物品が、歯のアライナーである、請求項
1に記載に記載の
3Dプリントした樹脂物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年10月19日付で出願された米国特許仮出願第62/747,694号に対する優先権を主張するものであり、その全体を参照により本明細書に援用する。
【背景技術】
【0002】
本発明の背景
歯の咬合異常は世界人口の約60%~75%(46~57億人)に影響を及ぼしている。その結果、咬合異常を補正するための矯正治療に対してとてつもなく大きな世界的需要がある。ざっと、これらの症例の15%が歯科矯正用の透明なアライナーを用いて治療され(年間で患者6.9~8.55億人)、そして15億ドルの市場規模を意味している。この市場セグメントは、2018年から2021年にかけて毎年複利的に12.16%の予想成長があり、2021年までに27億ドルに達することが見込まれる。アライナーは、以下の手順を通じて製造される:1) 患者の歯科印象を3Dスキャナでスキャンし;2) その歯科印象をデジタル化し、そしてステレオリトグラフィCADソフトウェアに準拠したSTLファイルに変換し;3) 矯正治療プランを、現状の歯から完全な笑顔に至る、治療の様々なステージを表す患者の歯の3Dモデルが得られるソフトウェアによって作成し;4) そのモデルをステレオリトグラフィによって3Dプリントし;5) 熱可塑性プラスチック材料のシートを加熱し、3Dプリントモデル上に真空吸着させて、設計された治療計画に類似したアライナーをもたらし;6) そのアライナーを、ミリングを用いて調製し、その後、滑らかにし;7) そのアライナーを歯列矯正医又は直接患者に梱包して、届ける。
【0003】
現在の歯科矯正用歯科アライナーの使用は、一つには、機械的特性制限、アライナーの製造に利用される固有の熱可塑性プラスチック材料が原因で、軽度/中程度の歯科矯正症例に制限されている。歯の移動を引き起こすために一定力を発揮する従来の金属装具と異なり(Zhang et al., 2011, Dent. Mater. J., 30: 954-959; Lombardo et al., 2017, Angle. Orthod., 87: 11-18)、任意の歯の移動を達成するまでの最初の8時間の適用を通じて、透明な歯科矯正用アライナーによって発揮される力は有意に減少する(15%~45%)。これは熱可塑性プラスチック材料の間で一般的に見られる応力緩和として知られている現象によって引き起こされる。試験では、固定矯正治療と比較して、これらの材料の機械的劣化がそれらの制限された症例適用や不十分な臨床効率につながった。そのうえ、歯列矯正医の70%~80%は、彼らの患者が中間軌道修正、症例の絞り込み、又は治療終了前の固定式矯正装具への転換を求めたと報告している。
【0004】
さらに、それらが所望のアライナーの形状に類似した前もって形成された鋳型に1片のプラスチックシートを加熱圧着することによって作製されるので、厚さと機械的強度は透明な歯科矯正用アライナーにおける一様な特性である。しかしながら、理想的な矯正治療では、移動させるべき各歯が、その自然な位置に再配置されるように異なった量の力を必要とするであろう。これを達成するために、アライナーは、その再配置のために必要な強制力でそれぞれの個別の歯を操作するために異なった局所的強度を特徴としなければならないであろう。これは、材料の同質性に起因して現在の熱可塑性アライナーでは達成されない。
【0005】
初期応力緩和期間後にも対応するプラスチックの中で応力を取り戻し、かつ、また組み立て工程も考慮した光硬化性材料、並びにワンステップシステムにかかわる歯科矯正用アライナーを作製する方法が当該技術分野で必要とされている。本発明はこのまだ対処されていない要求を満たす。
【発明の概要】
【0006】
本発明の概要
一態様において、本発明は、75~85重量パーセントのウレタン(メタ)アクリラート、10~25重量パーセントのジ(メタ)アクリラート、及び5重量パーセント未満の光開始剤を含む光硬化性樹脂(photocurable resin)に関する。一実施形態において、ウレタン(メタ)アクリラートはジイソシアナートとヒドロキシ(メタ)アクリラートを含む。一実施形態において、ジイソシアナートは以下の:2,4-トルエンジイソシアナート、2,5-トルエンジイソシアナート、2,6-トルエンジイソシアナート、及び4,4'-メチレンビス(フェニルイソシアナート)から成る群から選択され;並びにヒドロキシ(メタ)アクリラートは以下の:ポリ(エチレングリコール)メタクリラート、ポリ(エチレングリコール)アクリラート、ポリ(プロピレングリコール)メタクリラート、ポリ(プロピレングリコール)アクリラート、2-ヒドロキシエチルアクリラート、2-ヒドロキシエチルメタクリラート、2-ヒドロキシプロピルアクリラート、及び2-ヒドロキシプロピルメタクリラートから成る群から選択される。一実施形態において、ジ(メタ)アクリラートは以下の:トリエチレングリコールジメタクリラート、ジ(エチレングリコール)ジメタクリラート、プロピレングリコールジメタクリラート、及びジ(プロピレングリコール)ジメタクリラートから成る群から選択される。一実施形態において、光開始剤は以下の:ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド;2,4,6-トリメチルベンゾイルエトキシフェニルホスフィンオキシド;ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニル-ホスフィンオキシドから成る群から選択される。一実施形態において、組成物は以下の:ビス(2,2,6,6-テトラメチル-1-オクチルオキシ-4-ピペリジル)セバケート;ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート;メチル1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルセバケート;ジメチルセバケート;及びビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケートから成る群から選択される安定化剤をさらに含む。
【0007】
一実施形態において、組成物は、第二のウレタン(メタ)アクリラート、第二のジ(メタ)アクリラート、トリアクリラート、及び第二の光開始剤を含む第二の光硬化性樹脂組成物をさらに含む。一実施形態において、第二の光硬化性樹脂の第二のウレタン(メタ)アクリラートはジイソシアナートとヒドロキシ(メタ)アクリラートを含み、ここで、該ジイソシアナートは以下の:2,4-トルエンジイソシアナート、2,5-トルエンジイソシアナート、2,6-トルエンジイソシアナート、4,4'-メチレンビス(フェニルイソシアナート)、及びその組み合わせから成る群から選択され;並びにここで、該ヒドロキシ(メタ)アクリラートは以下の:ポリ(エチレングリコール)メタクリラート、ポリ(エチレングリコール)アクリラート、ポリ(プロピレングリコール)メタクリラート、ポリ(プロピレングリコール)アクリラート、2-ヒドロキシエチルアクリラート、2-ヒドロキシエチルメタクリラート、2-ヒドロキシプロピルアクリラート、2-ヒドロキシプロピルメタクリラート、及びその組み合わせから成る群から選択される。一実施形態において、第二の光硬化性樹脂の第二のジ(メタ)アクリラートは以下の:トリエチレングリコールジメタクリラート、ジ(エチレングリコール)ジメタクリラート、プロピレングリコールジメタクリラート、及びジ(プロピレングリコール)ジメタクリラートから成る群から選択される。一実施形態において、トリアクリラートは1,1-トリメチロールプロパントリアクリラートである。一実施形態において、第二の光硬化性樹脂の第二の光開始剤は以下の:ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド;2,4,6-トリメチルベンゾイルエトキシフェニルホスフィンオキシド;ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニル-ホスフィンオキシドから成る群から選択される。
【0008】
本発明はまた、一部分において、以下のステップ:75~85重量パーセントのウレタン(メタ)アクリラート、10~25重量パーセントのジ(メタ)アクリラート、及び5重量パーセント未満の光開始剤を含む光硬化性樹脂を提供し;その光硬化性樹脂を3Dプリントして物品を形成し;そして物品を硬化させること、を含む物品を作製する方法に関する。一実施形態において、光硬化性樹脂を提供するステップは、第二のウレタン(メタ)アクリラート、第二のジ(メタ)アクリラート、トリアクリラート、及び第二の光開始剤を含む第二の光硬化性樹脂を提供するステップを含み、及び光硬化性樹脂を3Dプリントするステップは、第二の光硬化性樹脂を3Dプリントするステップを含む。
【0009】
本発明はさらに、一部分において、3Dプリントした樹脂物品に関し、ここで、該物品は、光硬化樹脂(photocured resin)を含む内側微細構造(inner microarchitecture)と第二の光硬化樹脂を含む固体状コーティングを含み;ここで、該固体状コーティングは内側微細構造を封入している。一実施形態において、微細構造は0.5mm~5mmの内径を有する細孔を含む。一実施形態において、微細構造は0.1mm~3mmの厚みを有する光硬化樹脂を含む。一実施形態において、物品は、0.01Nの前負荷で試験されたとき、0.45MPa~1.6MPaの初期応力がある。一実施形態において、物品は、0.01Nの前負荷で試験したとき、2時間後に50%~65%の応力緩和がある。一実施形態において、物品は歯のアライナー(tooth aligner)である。
【0010】
図面の簡単な説明
以下の本発明の様々な実施形態の詳細な説明は、添付の図面に関連して読まれるとき、より十分に理解される。本発明を例示する目的のために、説明に役立つ実施形態が図面に示されている。しかしながら、本発明が、図面に示された実施形態の正確な配置や手段に限定されないことは理解されなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、光硬化性樹脂組成物を作製するための例示的な方法のフローチャートである。
【
図2】
図2は、4,4'-メチレンビス(フェニルイソシアナート)(MDI)とポリ(エチレングリコール)メタクリラート(PEGMA)からのMDI-PEGMAの合成を示す。光反応性に対して感受性を有するメタクリラート基を赤色で示す。
【
図3】
図3は、DMSO中のMDI-PEGMAの
1H NMRスペクトルを示す。
【
図4】
図4は、
図4A及び
図4Bを含み、Fourier Transform Infrared Spectroscopy(FTIR)分析を使用したMDI-PEGMAの特性評価を示す。
図4Aは、遊離イソシアナート基を有するMDI-PEGMA樹脂のFTIR分析スペクトルを示す。
図4Bは、イソシアナート基が反応済であった場合のMDI-PEGMA樹脂のFTIR分析スペクトルを示す。
【
図5】
図5は、プラスチックの上層及び底層のために設計された正方形のものを示す。
【
図6】
図6は、
図6A及び
図6Bを含み、ビーハイブ微細構造を示す。
図6Aは、内径3.0mmのビーハイブ微細構造を示す。
図6Bは、内径1.5mmのビーハイブ微細構造を示す。
【
図7】
図7は、
図7A、
図7B、
図7C、及び
図7Dを含み、プリントされた部品と後硬化プロセスを示す。
図7Aは、内径3.0mmのビーハイブを示す。
図7Bは、内径1.5mmのビーハイブを示す。
図7Cは、UV光下での後硬化のために調製されたガラススライド間に配置された正方形の構造物を示す。
図7Dは、強度増加のためのプリントピースに対するUV光曝露を示す。
【
図8】
図8は、
図8A、
図8B、及び
図8Cを含み、微細構造プラスチックシートの調製のためのプラスチックシートの組み立て物を示す。
図8Aは、上層上にBioink2の薄層を有する正方形のピースを示す。
図8Bは、底部の正方形の層と組み合わせた3.0mmのビーハイブ構造を示す。
図8Cは、光曝露によって微細構造を用いて上層と底層とを組み合わせるための追加のBioink2の添加を示す。
【
図9】
図9は、動的機械分析(DMA)のためのサンプル調製を示す。
【
図11】
図11は、
図11A、
図11B、
図11C、及び
図11Dを含み、支持材を伴った3Dプリントアライナーを示す。
図11Aは、3Dプリンタプラットフォームに結合した支持材を伴った3Dプリントアライナーを示す。
図11Bは、支持材を伴った3Dプリントアライナーの上面図を示す。
図11Cは、支持材を伴った3Dプリントアライナーの正面図を示す。
図11Dは、支持材を伴った3Dプリントアライナーの側面図を示す。
【
図12】
図12は、
図12A、
図12B、
図12C、
図12D、
図12E、及び
図12Fを含み、支持材が取り除かれた3Dプリントアライナーを示す。
図12Aは、支持材が取り除かれた3Dプリントアライナーの側面図を示す。
図12Bは、支持材が取り除かれた3Dプリントアライナーの上面図及びアライナーの横断面図を示す。
図12Cは、支持材が取り除かれた3Dプリントアライナーの横断面位置を示す。
図12Dは、支持材が取り除かれた3Dプリントアライナーの横断面図を示す。
図12Eは、支持材が取り除かれた3Dプリントアライナーの上面図を示す。
図12Fは、支持材が取り除かれた3Dプリントアライナーの拡大上面図を示す。
【
図13】
図13は、
図13A、
図13B、
図13C、及び
図13Dを含み、機械的特性分析のためにBioinksの重合を示す。
図13Aは、金型へのBioinkの堆積を示す。
図13Bは、1分間415nmの光に晒されたBioink材料を示す。
図13Cは、金型から取り外した光重合性Bioinkプラスチックシートを示す。
図13Dは、黒線を描いた白色面上に置いたときにわかる光重合性Bioinkプラスチックの透明性を示す。その線は、該材料の正面と背後ではっきりと観察できる。
【
図14】
図14は、歯科矯正用アライナー材料の応力緩和を示す。
【
図15】
図15は、
図15A、
図15B、
図15C、
図15D、
図15E、及び
図15Fを含み、微細構造プラスチックシートの調製を示す。
図15Aは、微細構造プラスチックシートの調製のためのパターンBの金型を示す。
図15Bは、微細構造プラスチックシートの調製のためのパターンAの金型を示す。
図15Cは、パターンA鋳型に分注されたBioink2を示す。最終製品内での可視化目的のために製剤に赤色の染料(die)を加えた。
図15Dは、パターンA鋳型におけるBioink2の光重合を示す。
図15Eは、網目の半面へのBioink1層の添加を示す。この層を重合化し、そのピースをひっくり返し、第二の層を分注し、そして、2つのBioink1層内にBioink2の網目を完全に埋め込むように重合化した。
図15Fは、Bioink2で構成されたパターンA微細構造が埋め込まれたBioink1の光重合性プラスチックシートを示す。
【
図16】
図16は、網目デザインとSmartTrackの応力緩和を示す。
【
図17】
図17は、
図17Aと
図17Bを含み、層形成パターンを示す。
図17Aは、三層のBioink1で構成されたパターンCの光重合性プラスチックシートを示す。
図17Bは、二層のBioink1の間に挟み込まれた一層のBioink2で構成されたパターンDの光重合性プラスチックシートを示す。
【
図19】
図19は、
図19A、
図19B、
図19C、
図19D、
図19E、及び
図19Fを含み、DMAの結果を示す。
図19Aは、インビザライン(Invisalign)と比較した、3.0mmのビーハイブの応力を示す。
図19Bは、インビザラインと比較した、1.5mmのビーハイブの応力を示す。
図19Cは、微細構造とインビザラインとの応力比較を示す。
図19Dは、インビザラインと比較した、3.0mmのビーハイブの残留応力パーセントを示す。
図19Eは、インビザラインと比較した、1.5mmのビーハイブの残留応力パーセントを示す。
図19Fは、微細構造とインビザラインとの残留応力パーセントの比較を示す。
【
図20】
図20は、走査レーザーを用いたボトムアップ方式(左)又はデジタル光プロジェクションを用いたトップダウン設置(右)による光硬化性樹脂のステレオリトグラフィ重合を示す(Chia et al., 2015, J. Biomed. Mater. Res.-Part B Appl. Biomater., 103: 1415-1423)。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の詳細な説明
本発明の図と説明は、本発明を明確に理解するうえで適切である例示的要素に簡素化してあると同時に、光硬化性樹脂組成物に見られる他の多くの要素、並びに斯かる材料の作製方法や使用方法は、明瞭さを目的として省略されていることを理解すべきである。当業者には、本発明の実施において他の要素及び/又はステップが望ましい及び/又は必要であることが認識され得る。しかしながら、斯かる要素及び/又はステップはこの技術分野において周知であり、それらは本発明を深く理解することにはつながらないため、これらの要素及び/又はステップについて本明細書では説明しない。本明細書の開示は、当業者に公知である斯かる要素及び方法のすべてのバリエーションと変更形態を含むものとする。
【0013】
本明細書において使用する場合、以下の用語のそれぞれは、このセクションにおいてその用語に関連づけられる意味を有する。別段の定義がある場合を除き、本明細書において使用する技術用語及び科学用語はすべて、本発明が属する技術分野における通常の技能を有する者が一般に理解しているものと同じ意味を有する。
【0014】
冠詞「a」及び「an」は、1つ又は複数(すなわち少なくとも1つ)の、その冠詞の文法上の目的語を指すために本明細書において使用される。例えば「要素(an element)」とは、1つの要素又は2つ以上の要素を意味する。
【0015】
本明細書において使用する用語「約」は、当技術分野における通常の技能を有する者には理解され、それが使用される文脈によってある程度変動するであろう。測定可能な値、例えば量、継続時間などに関して、本明細書において使用する場合、用語「約」は、指定された値からの±20%又は±10%、より好ましくは±5%、より一層好ましくは±1%、そしてさらに一層好ましくは±0.1%の変動を包含するものとする。そのような変動はここに開示する方法の実施にとって適当だからである。
【0016】
この開示の全体を通して、本発明のさまざまな局面は、範囲形式で表される場合がある。範囲形式での記載は単に便宜及び簡潔のために過ぎず、発明の範囲に対する融通のきかない限定であると解釈すべきではないと、理解すべきである。したがって、範囲の記載は、具体的に開示された可能な部分範囲のすべて、及びその範囲内の個々の数値を含むとみなすべきである。例えば1~6などの範囲の記載は、具体的に開示された部分範囲、例えば1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6など、及びその範囲内の個々の数字、例えば1、2、2.7、3、4、5、5.3、及び6を含むとみなすべきである。これは範囲の広さとは無関係に適用される。
【0017】
説明
一態様において、本発明は光硬化性樹脂組成物に関する。第二の態様において、本発明は光硬化性樹脂組成物を作製する方法に関する。別の態様において、本発明は光硬化性樹脂を含む物品を作製する方法に関する。第四の態様において、本発明は、3Dプリントした光硬化樹脂を組み立てて、物品を形成する方法に関する。
【0018】
光硬化性樹脂組成物
一態様において、本発明は光硬化性樹脂組成物に関する。一実施形態において、光硬化性樹脂組成物は、重合に感受性を有する1若しくは複数の二重結合を含む第一の化合物を含む。一実施形態において、第一の化合物は、二重結合を含んでいる1若しくは複数のイソシアナート反応性化合物と1若しくは複数のジイソシアナートの反応生成物を含む。例示的なジイソシアナートとしては、これだけに限定されるものではないが、2,2,4-トリメチルヘキサメチレン-1,6-ジイソシアナート;ヘキサメチレン-1,6-ジイソシアナート(FIDI);シクロヘキシル-1,4-ジイソシアナート;4,4'-メチレン-ビス(シクロヘキシルイソシアナート);1,1'-メチレンビス(4-イソシアナート)シクロヘキサン;イソホロンジイソシアナート;4,4'-メチレンジフェニルジイソシアナート(MDI);1,4-テトラメチレンジイソシアナート;メタ-及びパラ-テトラメチルキシレンジイソシアナート;1,4-フェニレンジイソシアナート;2,4'及び4,4'-ジフェニルメタンジイソシアナート;3-メチルヘキサン-1,6-ジイソシアナート;3-エチル-1,6-ヘキサンジイソシアナート;5-メチル-1,9-ノナンジイソシアナート;5-エチル-1,10-デカンジイソシアナート;10-ヘキシル-1,2,4-テトラコサン-ジイソシアナート;2,3-ジメチル-1,6-ヘキサンジイソシアナート;2,4-ジメチル-1,8-オクタンジイソシアナート;2,4,6-トリメチル-1,7-ヘプタンジイソシアナート;2,3-ジメチル-5-エチル-1,8-オクタンジイソシアナート;2-メチル-4,6,8,10-テトラプロピル-1,12-ドデカンジイソシアナート;1,6-ヘキサンジイソシアナート(HDI);1,8-オクタメチレンジイソシアナート、テトラメチルキシレンジイソシアナート(TMXDI);4,4'-ジシクロヘキシルメタンジイソシアナート(HMDI);3,3'-ジメチル-4,4'ビフェニレンジイソシアナート;3,3'-ジメチルジフェニルメタン-4,4'-ジイソシアナート;4-ブロモ-6-メチル-1,3-フェニレンジイソシアナート;2,4-トルエンジイソシアナート;2,5-トルエンジイソシアナート;2,6-トルエンジイソシアナート;1,5-ナフタレンジイソシアナート;及びその組み合わせが挙げられる。
【0019】
一実施形態において、二重結合を含むイソシアナート反応性化合物は、ヒドロキシアクリラート又はヒドロキシメタクリラート(すなわち、ヒドロキシ(メタ)アクリラート)を含む。例示的なヒドロキシ(メタ)アクリラートは、これだけに限定されるものではないが、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリラート;2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリラート;3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリラート;4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリラート;8-ヒドロキシオクチル(メタ)アクリラート);12-ヒドロキシドデカノイル(メタ)アクリラート;2-ヒドロキシ-3-クロロプロピル(メタ)アクリラート;2-ヒドロキシ-3-アクリルオキシプロピル(メタ)アクリラート;2-ヒドロキシ-B-メタクリルオキシプロピル(メタ)アクリラート;2-ヒドロキシ-3-アリルオキシプロピル(メタ)アクリラート;2-ヒドロキシ-3-シンナミルプロピル(メタ)アクリラート;2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリラート;2-ヒドロキシ-3-(o-クロロフェノキシ)プロピル(メタ)アクリラート;2-ヒドロキシ-3-(p-クロロフェノキシ)プロピル(メタ)アクリラート;2-ヒドロキシ-3-(2,4-ジクロロフェノキシ)プロピル(メタ)アクリラート;2-ヒドロキシ-3-アセトキシプロピルアクリラート2-ヒドロキシ-3-プロピオノキシプロピル(メタ)アクリラート;2-ヒドロキシ-3-クロロアセトキシプロピルアクリラート2-ヒドロキシ-3-ジクロロアセトキシプロピル(メタ)アクリラート;2-ヒドロキシ-3-トリクロロアセトキシプロピル(メタ)アクリラート;2-ヒドロキシ-3-ベンズオキシプロピルアクリラート2-ヒドロキシ-3-(o-クロロベンズオキシ)プロピル(メタ)アクリラート;2-ヒドロキシ-3-(p-クロロベンズオキシ)プロピル(メタ)アクリラート;2-ヒドロキシ-3-(2,4-ジクロロベンズオキシ)プロピル(メタ)アクリラート;2-ヒドロキシ-3-(3,4-ジクロロベンズオキシ)プロピル(メタ)アクリラート;2-ヒドロキシ-3-(2,4,6-トリクロロフェノキシ)プロピル(メタ)アクリラート; 2-ヒドロキシ-3-(2,4,5-トリクロロフェノキシ)プロピル(メタ)アクリラート;2-ヒドロキシ-3-(o-クロロフェノキシアセトキシ)プロピル(メタ)アクリラート;ポリ(プロピレングリコール)(メタ)アクリラート;ポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリラート及びその組み合わせである。
【0020】
一実施形態において、二重結合を含むイソシアナート反応性化合物は、不飽和カルボン酸を含む。例示的な不飽和カルボン酸としては、これだけに限定されるものではないが、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタンコン酸性、グルタコン酸、ムコン酸、アコニット酸、クロトン酸、αリノレン酸、ステアリドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、リノール酸、γリノレン酸、ジホモ-γ-リノレン酸、アラキドン酸、ドコサテトラエン酸、パルミトレイン酸、バクセン酸、パウリン酸、オレイン酸、エライジン酸、ゴンドイン酸、エルカ酸、ネルボン酸、ミード酸、及びその組み合わせが挙げられる。
【0021】
一実施形態において、二重結合を含むイソシアナート反応性化合物は、不飽和無水物を含む。例示的な不飽和無水物としては、これだけに限定されるものではないが、マレイン酸無水物、フマル酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、クロロマレイン酸無水物、メトキシマレイン酸無水物、エチルマレイン酸無水物、及びその組み合わせが挙げられる。
【0022】
一実施形態において、二重結合を含むイソシアナート反応性化合物対ジイソシアナートのモル比は1:1~20:1の間にある。一実施形態において、二重結合を含むイソシアナート反応性化合物対ジイソシアナートのモル比は1:1~18:1の間にある。一実施形態において、二重結合を含むイソシアナート反応性化合物対ジイソシアナートのモル比は1:1~16:1の間にある。一実施形態において、二重結合を含むイソシアナート反応性化合物対ジイソシアナートのモル比は1:1~14:1の間にある。一実施形態において、二重結合を含むイソシアナート反応性化合物対ジイソシアナートのモル比は1:1~12:1の間にある。一実施形態において、二重結合を含むイソシアナート反応性化合物対ジイソシアナートのモル比は1:1~10:1の間にある。一実施形態において、二重結合を含むイソシアナート反応性化合物対ジイソシアナートのモル比は1:1~8: 1の間にある。一実施形態において、二重結合を含むイソシアナート反応性化合物対ジイソシアナートのモル比は1:1~6:1の間にある。一実施形態において、二重結合を含むイソシアナート反応性化合物対ジイソシアナートのモル比は1:1~4:1の間にある。一実施形態において、二重結合を含むイソシアナート反応性化合物対ジイソシアナートのモル比は2:1~3:1の間にある。
【0023】
一実施形態において、光硬化性樹脂組成物は、重合に感受性を有する1若しくは複数の二重結合を含む第二の化合物を含む。一実施形態において、第二の化合物は、ジアクリレート又はジメタクリラート(すなわち、ジ(メタ)アクリラート)を含む。例示的なジ(メタ)アクリラートとしては、これだけに限定されるものではないが、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリラート(TEG DMA)、ジ(エチレングリコール)ジ(メタ)アクリラート、エチレングリコールジ(メタ)アクリラート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリラート、ジ(プロピレングリコール)ジ(メタ)アクリラート、ブタングリコールジ(メタ)アクリラート、グリセロールジ(メタ)アクリラート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリラート、1,4-フェニレンジ(メタ)アクリラート、ブタンジオールジ(メタ)アクリラート、ヘキサンジオールジメタクリラート、及びその組み合わせが挙げられる。
【0024】
一実施形態において、第二の化合物は、トリアクリラート又はトリメタクリラート(すなわち、トリ(メタ)アクリラート)を含む。例示的なトリ(メタ)アクリラートとしては、これだけに限定されるものではないが、1,1-トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリラート;エトキシ化又はプロポキシル化1,1,1-トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリラート;エトキシ化又はプロポキシル化グリセロールトリ(メタ)アクリラート;ペンタエリスリトールモノヒドロキシトリ(メタ)アクリラート;エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリラート;エトキシ化(9)トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリラート;ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリラート、プロポキシル化(3)グリセリルトリ(メタ)アクリラート;プロポキシル化(3)トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリラート;tris(2-ヒドロキシルエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリラート;及びその組み合わせが挙げられる。
【0025】
一実施形態において、第二の化合物は不飽和カルボン酸を含む。例示的な不飽和カルボン酸を本明細書中の他の場所に記載する。一実施形態において、第二の化合物は不飽和無水物を含む。例示的な不飽和無水物を本明細書中の他の場所に記載する。
【0026】
一実施形態において、光硬化性樹脂組成物は、重合に感受性を有する1若しくは複数の二重結合を含む追加化合物を含む。例示的な追加化合物は、不飽和カルボン酸、不飽和酸無水物、ジ(メタ)アクリラート、トリ(メタ)アクリラート、及びその組み合わせを含む。例示的な不飽和カルボン酸、不飽和酸無水物、ジ(メタ)アクリラート、及びトリ(メタ)アクリラートを本明細書中の他の場所に記載する。
【0027】
一実施形態において、光硬化性樹脂組成物は1若しくは複数の光重合開始剤を含む。例示的な光重合開始剤としては、これだけに限定されるものではないが、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン;ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド;2,4,6-トリメチルベンゾイルエトキシフェニルホスフィンオキシド;ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニル-ホスフィンオキシド及び他のアシルホスフィン;フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(BAPO);2-メチル-1-(4-メチルチオ)フェニル-2-(4モルホリニル)-1-プロパノン;1-(4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン;2-ベンジル2-ジメチルアミノ1-(4-モルホリノフェニル)-ブタノン-1;2-ヒドロキシ-1-(4-(4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオニル)ベンジル)-フェニル)-2-メチルプロパン-1-オン;2-ジメチルアミノ-2-(4-メチルベンジル)-1-(4-モルホリン-4-イル-フェニル)-ブタン-1-オン;チタノセン;イソプロピルチオキサントン;1-ヒドロキシ-シクロヘキシルフェニルケトン;ベンゾフェノン;2,4,6-トリメチルベンゾフェノン;4-メチルベンゾフェノン;ジフェニル-(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド;2,4,6-トリメチルベンゾイルフェニルホスフィン酸エチルエステル;オリゴ(2-ヒドロキシ-2-メチル-1-(4-(1-メチルビニル)フェニル)プロパノン);2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-1-プロパノン;ベンジル-ジメチルケタール;ベンジル;2,3-ボランジオン(カンファキノン);9-フルオレン;2-メチルアントラキノン;ジアセチル;ベンゾアントロン;チオキサンテン-9-オン;ベンゾインイソブチルエーテル;2-ヒドロキシ-2,2-ジメチル-アセトフェノン;2,4,5,7-テトラブロモフルオレセイン(エオシンY);4,5-ジブロモ-2,7-ジニトロフルオレセイン二ナトリウム塩;リボフラビン;フルオレセイン;n5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)((1,2,3,4,5,6-n)-(1-メチルエチル)ベンゼン)-鉄(+)-ヘキサフルオロホスフェート(-1);2-ベンジル-2-n-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-1-ブタノン;ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4トリメチルペンチルホスフィンオキシド(DMBAPO);2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン(HMMP);4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル-(2-ヒドロキシプロピル)ケトン;2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン(BDK);2-メチル-1-(4-(メチルチオ)フェニル)-2-モルホリノプロパン-1-オン(MMMP);2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン(HMPP);5,7-ジヨード-3-ブトキシ-6-フルオレン;2,4,5,7-テトラヨード-3-ヒドロキシ-6-フルオレン;2,4,5,7-テトラヨード-9-シアノ-3-ヒドロキシ-6-フルオレン;及びその組み合わせが挙げられる。
【0028】
一実施形態において、光硬化性樹脂組成物は1若しくは複数の安定化剤を含む。例示的な安定化剤としては、これだけに限定されるものではないが、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ヘキサデシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ジアミノペンタン、ジアミノヘキサン、ジアミノヘプタン、ジアミノオクタン、ジアミノノナン、ジアミノデカン、ジアミノオクタン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン、メチルプロピルアミン、エチルプロピルアミン、プロピルブチルアミン、エチルブチルアミン、エチルペンチルアミン、プロピルペンチルアミン、ブチルペンチルアミン、トリブチルアミン、トリヘキシルアミン、ポリエチレングリコール、ポリビニルピリジン、ポリビニルピロリドン、ブタンチオール、ペンタンチオール、ヘキサンチオール、ヘプタンチオール、オクタンチオール、デカンチオール、ドデカンチオール、1,2-エタンジチオール、1,3-プロパンジチオール、1,4-ブタンジチオール、O-メチルキサンタート、O-エチルキサンタート、O-プロピルキサントゲン酸、O-ブチルキサントゲン酸、O-ペンチルキサントゲン酸、O-ヘキシルキサントゲン酸、O-ヘプチルキサントゲン酸、O-オクチルキサントゲン酸、O-ノニルキサントゲン酸、O-デシルキサントゲン酸、O-ウンデシルキサントゲン酸、O-ドデシルキサントゲン酸、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-1-オクチルオキシ-4-ピペリジル)セバケート;ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート;メチル1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルセバケート;ジメチルセバケート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、及びその組み合わせが挙げられる。
【0029】
一実施形態において、光硬化性樹脂組成物は1若しくは複数の染料を含む。例示的な染料としては、これだけに限定されるものではないが、クロム-コバルト-酸化アルミニウム;クエン酸第二鉄アンモニウム;ピロガロール;ログウッドエキス;1,4-ビス[(2-ヒドロキシ-エチル)アミノ]-9,10-アントラセンジオンビス(2-プロペノイック)エステル共重合体;1,4-ビス[(2-メチルフェニル)アミノ]-9,10-アントラセンジオン;1,4-ビス[4-(2-メタクリルオキシエチル)フェニルアミノ]アントラキノン共重合体;カルバゾールバイオレット;クロロフィリン-銅複合体;酸化クロムグリーン;C.I. Vatオレンジ1;2-[[2,5-ジエトキシ-4-[(4-メチルフェニル)チオール]フェニル]アゾ]-1,3,5-ベンゼントリオール;7,16-ジクロロ-6,15-ジヒドロ-5,9,14,18-アントラジンテトロン;Reactive Black5;Reactive Blue21;Reactive Orange78;Reactive Yellow15;Reactive Blue No.19;Reactive Blue No.4;C.I. Reactive Red11;C.I. Reactive Yellow86;C.I. Reactive Blue163;C.I. Reactive Red180;4-[(2,4-ジメチルフェニル)アゾ]-2,4-ジヒドロ-5-メチル-2-フェニル-3H-ピラゾール-3-オン;6-エトキシ-2-(6-エトキシ-3-オキソベンゾ[b]チエン-2(3H)-イリデン)ベンゾ[b]チオフェン-3(2H)-オン;フタロシアニングリーン;鉄酸化物;二酸化チタン;及びその組み合わせが挙げられる。
【0030】
一実施形態において、光硬化性樹脂組成物は、第一の光硬化性樹脂組成物と第二の光硬化性樹脂組成物を含む。一実施形態において、第一の光硬化性樹脂組成物は、二重結合を含む1若しくは複数のイソシアナート反応性化合物と1若しくは複数のジイソシアナートとの反応から形成される化合物を100wt%~50wt%含む。一実施形態において、第一の光硬化性樹脂組成物は、二重結合を含む1若しくは複数のイソシアナート反応性化合物と1若しくは複数のジイソシアナートとの反応から形成される化合物を100wt%~60wt%含む。一実施形態において、第一の光硬化性樹脂組成物は、二重結合を含む1若しくは複数のイソシアナート反応性化合物と1若しくは複数のジイソシアナートとの反応から形成される化合物を100wt%~70wt%含む。一実施形態において、第一の光硬化性樹脂組成物は、二重結合を含む1若しくは複数のイソシアナート反応性化合物と1若しくは複数のジイソシアナートとの反応から形成される化合物を90wt%~70wt%含む。一実施形態において、第一の光硬化性樹脂組成物は、二重結合を含む1若しくは複数のイソシアナート反応性化合物と1若しくは複数のジイソシアナートとの反応から形成される化合物を85wt%~75wt%含む。一実施形態において、第一の光硬化性樹脂は、1若しくは複数のヒドロキシ(メタ)アクリラートと1若しくは複数のジイソシアナートとの反応から形成される化合物を含む。例示的なヒドロキシ(メタ)アクリラートを本明細書中の他の場所に記載する。一実施形態において、1若しくは複数のヒドロキシ(メタ)アクリラートと1若しくは複数のジイソシアナートとの反応から形成される化合物は、ウレタン(メタ)アクリラートを含む。
【0031】
一実施形態において、第一の光硬化性樹脂組成物は、1若しくは複数の二重結合を含む第二の化合物を5wt%~50wt%含む。一実施形態において、第一の光硬化性樹脂組成物は、1若しくは複数の二重結合を含む第二の化合物を5wt%~45wt%含む。一実施形態において、第一の光硬化性樹脂組成物は、1若しくは複数の二重結合を含む第二の化合物を5wt%~40wt%含む。一実施形態において、第一の光硬化性樹脂組成物は、1若しくは複数の二重結合を含む第二の化合物を5wt%~35wt%含む。一実施形態において、第一の光硬化性樹脂組成物は、1若しくは複数の二重結合を含む第二の化合物を5wt%~30wt%含む。一実施形態において、第一の光硬化性樹脂組成物は、1若しくは複数の二重結合を含む第二の化合物を5wt%~25wt%含む。一実施形態において、第一の光硬化性樹脂組成物は、1若しくは複数の二重結合を含む第二の化合物を10wt%~25wt%含む。一実施形態において、第一の光硬化性樹脂組成物は、ジ(メタ)アクリラートを含む第二の化合物を含む。例示的なジ(メタ)アクリラートを本明細書中の他の場所に記載する。
【0032】
一実施形態において、第一の光硬化性樹脂組成物は30wt%未満の光開始剤を含む。一実施形態において、第一の光硬化性樹脂組成物は25wt%未満の光開始剤を含む。一実施形態において、第一の光硬化性樹脂組成物は20wt%未満の光開始剤を含む。一実施形態において、第一の光硬化性樹脂組成物は15wt%未満の光開始剤を含む。一実施形態において、第一の光硬化性樹脂組成物は10wt%未満の光開始剤を含む。一実施形態において、第一の光硬化性樹脂組成物は5wt%未満の光開始剤を含む。
【0033】
一実施形態において、第一の光硬化性樹脂組成物は30wt%未満の安定化剤を含む。一実施形態において、第一の光硬化性樹脂組成物は25wt%未満の安定化剤を含む。一実施形態において、第一の光硬化性樹脂組成物は20wt%未満の安定化剤を含む。一実施形態において、第一の光硬化性樹脂組成物は15wt%未満の安定化剤を含む。一実施形態において、第一の光硬化性樹脂組成物は10wt%未満の安定化剤を含む。一実施形態において、第一の光硬化性樹脂組成物は5wt%未満の安定化剤を含む。
【0034】
一実施形態において、第二の光硬化性樹脂組成物は、二重結合を含む1若しくは複数のイソシアナート反応性化合物と1若しくは複数のジイソシアナートとの反応から形成される化合物を10wt%~60wt%含む。一実施形態において、第二の光硬化性樹脂組成物は、二重結合を含む1若しくは複数のイソシアナート反応性化合物と1若しくは複数のジイソシアナートとの反応から形成される化合物を20wt%~60wt%含む。一実施形態において、第二の光硬化性樹脂組成物は、二重結合を含む1若しくは複数のイソシアナート反応性化合物と1若しくは複数のジイソシアナートとの反応から形成される化合物を30wt%~60wt%含む。一実施形態において、第二の光硬化性樹脂組成物は、二重結合を含む1若しくは複数のイソシアナート反応性化合物と1若しくは複数のジイソシアナートとの反応から形成される化合物を40wt%~60wt%含む。一実施形態において、第二の光硬化性樹脂組成物は、二重結合を含む1若しくは複数のイソシアナート反応性化合物と1若しくは複数のジイソシアナートとの反応から形成される化合物を45wt%~55wt%含む。一実施形態において、第二の光硬化性樹脂は、1若しくは複数のヒドロキシ(メタ)アクリラートと1若しくは複数のジイソシアナートとの反応から形成される化合物を含む。例示的なヒドロキシ(メタ)アクリラートを本明細書中の他の場所に記載する。一実施形態において、1若しくは複数のヒドロキシ(メタ) アクリラートと1若しくは複数のジイソシアナートとの反応から形成される化合物は、ウレタン(メタ)アクリラートを含む。
【0035】
一実施形態において、第二の光硬化性樹脂組成物は1若しくは複数の二重結合を含む第二の化合物を5wt%~50wt%含む。一実施形態において、第二の光硬化性樹脂組成物は1若しくは複数の二重結合を含む第二の化合物を5wt%~45wt%含む。一実施形態において、第二の光硬化性樹脂組成物は1若しくは複数の二重結合を含む第二の化合物を5wt%~40wt%含む。一実施形態において、第二の光硬化性樹脂組成物は1若しくは複数の二重結合を含む第二の化合物を5wt%~35wt%含む。一実施形態において、第二の光硬化性樹脂組成物は1若しくは複数の二重結合を含む第二の化合物を5wt%~30wt%含む。一実施形態において、第二の光硬化性樹脂組成物は1若しくは複数の二重結合を含む第二の化合物を5wt%~25wt%含む。一実施形態において、第二の光硬化性樹脂組成物は1若しくは複数の二重結合を含む第二の化合物を10wt%~25wt%含む。一実施形態において、第二の光硬化性樹脂組成物は1若しくは複数の二重結合を含む第二の化合物を12wt%~22wt%含む。一実施形態において、第二の光硬化性樹脂組成物はジ(メタ)アクリラートを含む第二の化合物を含む。例示的なジ(メタ)アクリラートを本明細書中の他の場所に記載する。
【0036】
一実施形態において、第二の光硬化性樹脂組成物は1若しくは複数の二重結合を含む追加化合物を含む。一実施形態において、第二の光硬化性樹脂組成物は1若しくは複数の二重結合を含む追加化合物を5wt%~50wt%含む。一実施形態において、第二の光硬化性樹脂組成物は1若しくは複数の二重結合を含む追加化合物を10wt%~50wt%含む。一実施形態において、第二の光硬化性樹脂組成物は1若しくは複数の二重結合を含む追加化合物を15wt%~50wt%含む。一実施形態において、第二の光硬化性樹脂組成物は1若しくは複数の二重結合を含む追加化合物を20wt%~50wt%含む。一実施形態において、第二の光硬化性樹脂組成物は1若しくは複数の二重結合を含む追加化合物を25wt%~50wt%含む。一実施形態において、第二の光硬化性樹脂組成物は1若しくは複数の二重結合を含む追加化合物を25wt%~45wt%含む。一実施形態において、第二の光硬化性樹脂組成物は1若しくは複数の二重結合を含む追加化合物を25wt%~40wt%含む。一実施形態において、第二の光硬化性樹脂組成物は1若しくは複数の二重結合を含む追加化合物を25wt%~35wt%含む。一実施形態において、第二の光硬化性樹脂組成物はトリ(メタ)アクリラートを含む追加化合物を含む。例示的なトリ(メタ)アクリラートを本明細書中の他の場所に記載する。
【0037】
一実施形態において、第二の光硬化性樹脂組成物は30wt%未満の光開始剤を含む。一実施形態において、第二の光硬化性樹脂組成物は25wt%未満の光開始剤を含む。一実施形態において、第二の光硬化性樹脂組成物は20wt%未満の光開始剤を含む。一実施形態において、第二の光硬化性樹脂組成物は15wt%未満の光開始剤を含む。一実施形態において、第二の光硬化性樹脂組成物は10wt%未満の光開始剤を含む。一実施形態において、第二の光硬化性樹脂組成物は5wt%未満の光開始剤を含む。
【0038】
一実施形態において、第二の光硬化性樹脂組成物は30wt%未満の安定化剤を含む。一実施形態において、第二の光硬化性樹脂組成物は25wt%未満の安定化剤を含む。一実施形態において、第二の光硬化性樹脂組成物は20wt%未満の安定化剤を含む。一実施形態において、第二の光硬化性樹脂組成物は15wt%未満の安定化剤を含む。一実施形態において、第二の光硬化性樹脂組成物は10wt%未満の安定化剤を含む。一実施形態において、第二の光硬化性樹脂組成物は5wt%未満の安定化剤を含む。
【0039】
光硬化性樹脂組成物を作製する方法
一態様において、本発明は、光硬化性樹脂組成物を作製する方法に関する。例示的なプロセス100が
図1に示される。ステップ110では、ジイソシアナートが提供される。ステップ120では、二重結合を含むイソシアナート反応性化合物が提供される。ステップ130では、ジイソシアナートとイソシアナート反応性化合物が合わせられ、そして反応させて、重合に感受性を有する1若しくは複数の二重結合を含む第一の化合物を形成する。ステップ140では、第一の化合物は、重合に感受性を有する1若しくは複数の二重結合を含む第二の化合物と混合されて、混合物を形成する。ステップ150では、光開始剤がその混合物に加えられる。
【0040】
ステップ110では、ジイソシアナートは、当業者に知られている任意のジイソシアナートであってもよい。例示的なジイソシアナートを本明細書中の他の場所に記載する。一実施形態において、ジイソシアナートは固体である。一実施形態において、ジイソシアナートは溶媒と混合されている。一実施形態において、ジイソシアナートは有機溶媒と混合されている。例示的な有機溶媒としては、これだけに限定されるものではないが、ペンタン、ヘキサン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、アセトン、ベンゼン、トルエン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、DMF、ジクロロメタン、クロロホルム、及びその組み合わせが挙げられる。一実施形態において、ジイソシアナートは加熱される。一実施形態において、ジイソシアナートは溶けるように加熱される。一実施形態において、ジイソシアナートは10℃~100℃で加熱される。一実施形態において、ジイソシアナートは10℃~90℃で加熱される。一実施形態において、ジイソシアナートは10℃~80℃で加熱される。一実施形態において、ジイソシアナートは10℃~70℃で加熱される。一実施形態において、ジイソシアナートは20℃~70℃で加熱される。一実施形態において、ジイソシアナートは30℃~70℃で加熱される。一実施形態において、ジイソシアナートは40℃~70℃で加熱される。一実施形態において、ジイソシアナートは50℃~70℃で加熱される。一実施形態において、ジイソシアナートは55℃~65℃で加熱される。
【0041】
ステップ120では、二重結合を含むイソシアナート反応性化合物は、当業者に知られている、二重結合を含む任意のイソシアナート反応性化合物であってもよい。例示的なイソシアナート反応性化合物を本明細書中の他の場所に記載する。一実施形態において、イソシアナート反応性化合物は溶媒と混合される。一実施形態において、イソシアナート反応性化合物は有機溶媒と混合される。例示的な有機溶媒を本明細書中の他の場所に記載する。
【0042】
ステップ130では、ジイソシアナートと二重結合を含むイソシアナート反応性化合物は、当業者に知られている任意の方法を使用して合わせられ得る。一実施形態において、イソシアナート反応性化合物は滴下してジイソシアナートに加えられる。一実施形態において、イソシアナート反応性化合物はジイソシアナートに一度に加えられる。一実施形態において、イソシアナート反応性化合物が加えられているとき、ジイソシアナートは撹拌されている。一実施形態において、ジイソシアナートとイソシアナート反応性化合物は室温にて反応する。一実施形態において、ジイソシアナートとイソシアナート反応性化合物は高温にて反応する。一実施形態において、反応は10℃~100℃の温度にて起こる。一実施形態において、反応は10℃~90℃の温度にて起こる。一実施形態において、反応は10℃~80℃の温度にて起こる。一実施形態において、反応は10℃~70℃の温度にて起こる。一実施形態において、反応は20℃~70℃の温度にて起こる。一実施形態において、反応は30℃~70℃の温度にて起こる。一実施形態において、反応は40℃~70℃の温度にて起こる。一実施形態において、反応は50℃~70℃の温度にて起こる。一実施形態において、反応は55℃~65℃の温度にて起こる。一実施形態において、ジイソシアナートとイソシアナート反応性化合物の間の反応中に存在した溶媒は取り除かれる。溶媒は、当業者に知られている任意の方法を使用して取り除かれる。一実施形態において、溶媒は濾過を使用して取り除かれる。一実施形態において、溶媒はロータリーエバポレーションによって取り除かれる。
【0043】
ステップ140では、重合に感受性を有する1若しくは複数の二重結合を含む第二の化合物は、当業者に知られている、重合に感受性を有する1若しくは複数の二重結合を含む任意の化合物であってもよい。例示的な、重合に感受性を有する1若しくは複数の二重結合を含む化合物を本明細書中の他の場所に記載する。一実施形態において、第二の化合物は溶媒と混合される。一実施形態において、第二の化合物は有機溶媒と混合される。例示的な有機溶媒を本明細書中の他の場所に記載する。
【0044】
いくつかの実施形態において、第一の化合物と、重合に感受性を有する1若しくは複数の二重結合を含む第二の化合物とを混合して、混合物を形成するステップは、ステップ142をさらに含み、ここで、重合に感受性を有する1若しくは複数の二重結合を含む追加化合物が、その混合物に加えられる。重合に感受性を有する1若しくは複数の二重結合を含む追加化合物は、当業者に知られている、重合に感受性を有する1若しくは複数の二重結合を含む任意の化合物であってもよい。例示的な追加化合物を本明細書中の他の場所に記載する。一実施形態において、追加化合物は溶媒と混合される。一実施形態において、追加化合物は有機溶媒と混合される。例示的な有機溶媒を本明細書中の他の場所に記載する。
【0045】
ステップ150では、光開始剤は当業者に知られている任意の光開始剤であってもよい。例示的な光重合開始剤を本明細書中の他の場所に記載する。一実施形態において、光開始剤は溶媒と混合される。一実施形態において、光開始剤は有機溶媒と混合される。例示的な有機溶媒を本明細書中の他の場所に記載する。
【0046】
いくつかの実施形態において、混合物に光開始剤を加えるステップは、ステップ152をさらに含み、ここで、安定化剤がその混合物に加えられる。安定化剤は、当業者に知られている任意の安定化剤であってもよい。例示的な安定化剤を本明細書中の他の場所に記載する。一実施形態において、安定化剤は溶媒と混合される。一実施形態において、安定化剤は有機溶媒と混合される。例示的な有機溶媒を本明細書中の他の場所に記載する。
【0047】
いくつかの実施形態において、混合物に光開始剤を加えるステップはステップ154をさらに含み、ここで、染料がその混合物に加えられる。染料は、当業者に知られている任意の染料であってもよい。例示的な染料を本明細書中の他の場所に記載する。一実施形態において、染料は溶媒と混合される。一実施形態において、染料は有機溶媒と混合される。例示的な有機溶媒を本明細書中の他の場所に記載する。一実施形態において、染料は水性溶媒と混合される。例示的な水性溶媒としては、これだけに限定されるものではないが、水、蒸留水、脱イオン水、塩水、及びその組み合わせが挙げられる。
【0048】
光硬化性樹脂組成物を3Dプリントする方法
一態様において、本発明は、光硬化性樹脂組成物を3Dプリントする方法に関する。3Dプリント技術は、当業者に知られている任意のものであってもよい。例示的な3Dプリント技術としては、これだけに限定されるものではないが、連続液界面製造(CLIP)、ステレオリトグラフィ、デジタル光処理、溶融堆積モデリング、選択的レーザー焼結、選択的レーザー融解、薄膜積層製造、デジタルビーム融解、カーボンプリント、及び材料噴射(Polyjet3Dプリンティングなど)が挙げられる。一実施形態において、光硬化性樹脂は、ステレオリトグラフィを使用してプリントされる。一実施形態において、ステレオリトグラフィプリンタは、走査レーザーを含むボトムアップ方式である。一実施形態において、ステレオリトグラフィプリンタは、デジタル光プロジェクションを含むトップダウン方式である。一実施形態において、光硬化性樹脂は、材料噴射を使用してプリントされる。
【0049】
一実施形態において、3DプリンタはSTL形式ソフトウェアを使用する。一実施形態において、3DプリンタはML形式ソフトウェアを使用する。一実施形態において、3Dプリンタは、次にデジタル化され、そしてSTL又はMLファイルに変換される、3Dスキャナを使用して採取される印象をプリントする。
【0050】
一実施形態において、プリントスピードは1mm/時間~100mm/時間である。一実施形態において、プリントスピードは1mm/時間~90mm/時間である。一実施形態において、プリントスピードは1mm/時間~80mm/時間である。一実施形態において、プリントスピードは1mm/時間~70mm/時間である。一実施形態において、プリントスピードは1mm/時間~60mm/時間である。一実施形態において、プリントスピードは1mm/時間~50mm/時間である。一実施形態において、プリントスピードは1mm/時間~40mm/時間である。一実施形態において、プリントスピードは1mm/時間~30mm/時間である。一実施形態において、プリントスピードは10mm/時間~30mm/時間である。一実施形態において、プリントスピードは12mm/時間~25mm/時間である。
【0051】
一実施形態において、光硬化性樹脂は、支持体上にプリント又は堆積させる。支持体は、当業者に知られている任意の支持体であってもよい。一実施形態において、光硬化性樹脂は、所望の光硬化性樹脂構造が支持構造物上にプリントされる前に、プリントされて支持構造物を形成する。一実施形態において、所望のプリント光硬化性樹脂構造物は、支柱を使用して支持構造物に保持される。一実施形態において、支持構造物は、3Dプリントプラットフォームに取り付けられる。
【0052】
一実施形態において、光硬化性樹脂は、プリントプロセス中に照射される。一実施形態において、光硬化性樹脂にはUV光が照射される。一実施形態において、光硬化性樹脂には可視光が照射される。一実施形態において、光硬化性樹脂には、380nm~750nmの光が照射される。一実施形態において、光硬化性樹脂には、380nm~700nmの光が照射される。一実施形態において、光硬化性樹脂には、380nm~650nmの光が照射される。一実施形態において、光硬化性樹脂には、380nm~600nmの光が照射される。一実施形態において、光硬化性樹脂には、380nm~550nmの光が照射される。一実施形態において、光硬化性樹脂には、380nm~500nmの光が照射される。一実施形態において、光硬化性樹脂には、380nm~450nmの光が照射される。一実施形態において、光硬化性樹脂には、395nm~415nmの光が照射される。一実施形態において、照射はレーザーから提供される。一実施形態において、光硬化性樹脂組成物には、プリント中に継続的に照射される。一実施形態において、光硬化性樹脂組成物には、プリント中に非連続的に照射される。一実施形態において、照射は、光硬化性組成物を光重合させる。一実施形態において、照射は光硬化性組成物を硬化させる。
【0053】
一実施形態において、組成物に照射されるとき、光硬化性組成物は薄層を形成する。一実施形態において、層は、高さ5μm~500μmである。一実施形態において、層は、高さ5μm~450μmである。一実施形態において、層は、高さ5μm~400μmである。一実施形態において、層は、高さ5μm~350μmである。一実施形態において、層は、高さ5μm~300μmである。一実施形態において、層は、高さ5μm~250μmである。一実施形態において、層は、高さ5μm~200μmである。一実施形態において、層は、高さ5μm~150μmである。一実施形態において、層は、高さ5μm~100μmである。一実施形態において、層は、高さ40μm~100μmである。一実施形態において、層は、高さ40μm~60μmである。
【0054】
一実施形態において、光硬化性樹脂のそれぞれの層の照射の長さは樹脂層の所望の高さに依存する。一実施形態において、40μm~60μmの高さの層は1秒~1分間にわたり照射を受ける。一実施形態において、40μm~60μmの高さの層は1秒~50分間にわたり照射を受ける。一実施形態において、40μm~60μmの高さの層は1秒~40分間にわたり照射を受ける。一実施形態において、40μm~60μmの高さの層は1秒~30分間にわたり照射を受ける。一実施形態において、40μm~60μmの高さの層は1秒~20分間にわたり照射を受ける。一実施形態において、40μm~60μmの高さの層は5秒~15分間にわたり照射を受ける。
【0055】
一実施形態において、光硬化性樹脂はプリントされて、固体構造物を形成する。一実施形態において、光硬化性樹脂はプリントされて、固体状コーティングを形成する。一実施形態において、固体構造と固体状コーティングの両方がプリントされる。一実施形態において、固体状コーティングをプリントするのに使用される光硬化性樹脂は、固体構造をプリントするのに使用される光硬化性樹脂と異なった組成を有する。一実施形態において、固体構造をプリントするのに使用される光硬化性樹脂は、異なった組成を有する2以上の光硬化性樹脂の混合物を含む。一実施形態において、固体状コーティングをプリントするのに使用される光硬化性樹脂は、異なった組成を有する2以上の光硬化性樹脂の混合物を含む。一実施形態において、固体構造をプリントするのに使用される光硬化性樹脂は、異なった組成を有する2以上の光硬化性樹脂のグラジエントを含む。一実施形態において、固体状コーティングをプリントするのに使用される光硬化性樹脂は、異なった組成を有する2以上の光硬化性樹脂のグラジエントを含む。一実施形態において、固体状コーティングと固体構造は、別々に3Dプリントされ、次に、プリント後に組み立てられる。一実施形態において、固体構造は、プリントされて内部構造を形成し、次に、固体状コーティングが、該内部構造の1若しくは複数の面上のコーティング/被覆(covering)の形態でプリントされる。
【0056】
一実施形態において、光硬化性樹脂組成物は、特定の微細構造を含む構造を形成するようにプリントされる。一実施形態において、微細構造は、3Dプリント構造の隅々まで連続的である。一実施形態において、微細構造は、3Dプリント構造の隅々まで非連続的である。一実施形態において、微細構造は、特定の微細構造を欠いている領域に接続された特定の微細構造の領域を含む。一実施形態において、微細構造は細孔又は穴を含む。一実施形態において、微細構造は網目構造を含む。一実施形態において、固体状コーティングと微細構造の両方がプリントされる。固体状コーティングを本明細書中の他の場所に記載する。一実施形態において、微細構造をプリントするのに使用される光硬化性樹脂は、固体状コーティングをプリントするのに使用される光硬化性樹脂と異なった組成を有する。一実施形態において、微細構造をプリントするのに使用される光硬化性樹脂は、異なった組成を有する2以上の光硬化性樹脂の混合物を含む。一実施形態において、微細構造をプリントするのに使用される光硬化性樹脂は、異なった組成を有する2以上の光硬化性樹脂のグラジエントを含む。一実施形態において、固体状コーティングと微細構造は、別々に3Dプリントされ、次に、プリント後に組み立てられる。一実施形態において、微細構造は、プリントされて内部構造を形成し、次に、固体状コーティングが、該内部構造の1若しくは複数の面上のコーティング/被覆の形態でプリントされる。
【0057】
微細構造は、3Dプリントプロセス中に作成されてもよい。一実施形態において、微細構造は、物理的手段、化学的手段、生物学的手段、及びその組み合わせによって作製されてもよい。一実施形態において、微細構造は、3Dプリントプロセスの間に形成される。一実施形態において、微細構造の固形部分は、光硬化性樹脂の特定の領域を照射することによって形成される。一実施形態において、微細構造の細孔又は穴が、光硬化性樹脂の特定の領域を照射しないことによって形成される。一実施形態において、微細構造は化学的手段によって作製される。一実施形態において、化学的手段はボクセルレベルプリティングを含む。一実施形態において、化学的手段はサブレベルプリティングを含む。一実施形態において、微細構造は物理的手段によって作製される。例示的な物理的手段としては、これだけに限定されるものではないが、機械的手段、光学的手段、熱的手段、電気的手段、電磁操作、及びその組み合わせが挙げられる。一実施形態において、微細構造は、生物学的手段によって作製される。例示的な生物学的手段としては、これだけに限定されるものではないが、生化学反応、酵素反応、生きた生体細胞、合成生体細胞、ウイルス、小胞、及びその組み合わせが挙げられる。一実施形態において、生物学的手段は外部刺激に応答する。一実施形態において、生物学的手段は局所刺激に応答する。
【0058】
一実施形態において、内部構造はプリントされ、そして内部構造の1若しくは複数の側面を覆う固体状コーティングが同時にプリントされる。一実施形態において、内部構造は微細構造を含む。一実施形態において、内部構造は固体構造を含む。一実施形態において、内部構造は、微細構造領域と固体領域の混合物を含む。一実施形態において、内部構造と固体状コーティングは、ステレオリトグラフィを使用してプリントされる。一実施形態において、内部構造と固体状コーティングは、異なる光硬化性樹脂組成物を含む。一実施形態において、異なる光硬化性樹脂組成物が、同じ3Dプリントバス内に配置される。一実施形態において、異なる光硬化性樹脂は、異なる波長にて光硬化性樹脂を重合させる異なる光重合開始剤を含む。一実施形態において、異なる光硬化性樹脂は、異なる波長にて光硬化性樹脂を硬化させる異なる光重合開始剤を含む。一実施形態において、異なる光硬化性樹脂組成物が、別々の3Dプリントバスに配置される。一実施形態において、内部構造の層は、光硬化性樹脂の1つのバスから3Dプリントされ、次に、コーティングの層は第二の、別々のバスから3Dプリントされる。
【0059】
一実施形態において、内部構造と固体状コーティングは、材料噴射を使用してプリントされる。一実施形態において、内部構造と固体状コーティングは、材料噴射を使用して本明細書中の他の場所に記載したようにプリントできる。一実施形態において、内部構造と固体状コーティングは、1若しくは複数の印字ヘッドを使用して同時に噴射される材料を使用してプリントできる。一実施形態において、材料噴射は、それらを堆積させた直後に、次に重合化及び/又は硬化される1若しくは複数の光硬化性樹脂の小さな液滴を堆積させる。一実施形態において、材料噴射は、それらを堆積させたとき、次に、重合化及び/又は硬化させる1若しくは複数の光硬化性樹脂の小さな液滴を堆積させる。
【0060】
一実施形態において、内部構造と固体状コーティングは、カーボンプリンティングを使用してプリントされる。一実施形態において、内部構造と固体状コーティングは、カーボンプリンティングを使用して本明細書中の他の場所に記載したようにプリントできる。一実施形態において、光硬化性樹脂は、第一の光硬化性樹脂の1つのバスからカーボンプリンティングを使用してプリントされる。一実施形態において、光硬化性樹脂は、第一の光硬化性樹脂の1つのバスからカーボンプリンティングを使用してプリントされ、ここで、該バスが1若しくは複数の印字ヘッドを含む。一実施形態において、1若しくは複数の印字ヘッドは、バス内に1若しくは複数の追加光硬化性樹脂を分注する。一実施形態において、(単数若しくは複数の)追加光硬化性樹脂は、第一の光硬化性樹脂と異なる組成を有するが、第一の光硬化性樹脂と混和される。一実施形態において、1若しくは複数の印字ヘッドは、(単数若しくは複数の)追加光硬化性樹脂に対する第一の光硬化性樹脂のグラジエントが得られた3Dプリント物品全体にわたって形成されるように、プリントプロセス中を通じてバス内に異なる量の1若しくは複数の追加光硬化性樹脂が分注される。
【0061】
一実施形態において、光硬化性樹脂は、3Dプリンティングを使用してプリントされて、微細構造、固体状コーティング構造、又はその2つの構造の組み合わせを含む物品を形成する。一実施形態において、光硬化性樹脂は、3Dプリンティングを使用してプリントされて、固体構造、固体状コーティング構造、又はその2つの構造の組み合わせを含む物品を形成する。一実施形態において、物品は、溶媒で洗浄されて、プリンティングが完了した後の余分な樹脂を取り除く。溶媒は、当業者に知られている任意の溶媒であり得る。例示的な溶媒としては、これだけに限定されるものではないが、水、蒸留水、水、脱イオン水、ヘキサン、ジエチルエーテル、アセトン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ジクロロメタン、トルエン、THF、ベンゼン、酢酸エチル、及びその組み合わせが挙げられる。
【0062】
一実施形態において、支柱を切断することによって、3Dプリント物品を支持体から取り外す。一実施形態において、支柱が切断された後に、3Dプリント物品の表面が滑らかにされる。一実施形態において、3Dプリント物品の表面は研摩によって滑らかにされる。一実施形態において、3Dプリント物品の表面は、歯科用ドリルを使用して滑らかにされる。一実施形態において、歯科用ドリルはラバーポイントを含む。一実施形態において、歯科用ドリルは1若しくは複数のディスクアタッチメントを含む。一実施形態において、支持体は溶解される。一実施形態において、支持体は酸性溶液で溶解される。例示的な酸としては、これだけに限定されるものではないが、塩酸、硫酸、酢酸、硝酸、クエン酸、リン酸、炭酸、ホウ酸、及びその組み合わせが挙げられる。一実施形態において、支持体は塩基を含む塩基性溶液で溶解される。例示的な塩基としては、これだけに限定されるものではないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、重炭酸ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、アンモニア、及びその組み合わせが挙げられる。一実施形態において、塩基性溶液は水酸化ナトリウムを0.1wt%~50wt%含む。一実施形態において、塩基性溶液は水酸化ナトリウムを0.1wt%~40wt%含む。一実施形態において、塩基性溶液は水酸化ナトリウムを0.1wt%~30wt%含む。一実施形態において、塩基性溶液は水酸化ナトリウムを0.1wt%~20wt%含む。一実施形態において、塩基性溶液は水酸化ナトリウムを0.1wt%~10wt%含む。一実施形態において、塩基性溶液は水酸化ナトリウムを1wt%~5wt%含む。一実施形態において、塩基性溶液はケイ酸塩をさらに含む。一実施形態において、塩基性溶液は0.1wt%~50wt%のケイ酸ナトリウムを含む。一実施形態において、塩基性溶液は0.1wt%~40wt%のケイ酸ナトリウムを含む。一実施形態において、塩基性溶液は0.1wt%~30wt%のケイ酸ナトリウムを含む。一実施形態において、塩基性溶液は0.1wt%~20wt%のケイ酸ナトリウムを含む。一実施形態において、塩基性溶液は0.1wt%~10wt%のケイ酸ナトリウムを含む。一実施形態において、塩基性溶液は0.1wt%~3wt%のケイ酸ナトリウムを含む。
【0063】
一実施形態において、3Dプリント物品は後硬化される。一実施形態において、3Dプリント物品は、10秒~60分間にわたり後硬化される。一実施形態において、3Dプリント物品は、10秒~50分間にわたり後硬化される。一実施形態において、3Dプリント物品は、10秒~40分間にわたり後硬化される。一実施形態において、3Dプリント物品は、10秒~30分間にわたり後硬化される。一実施形態において、3Dプリント物品は、10秒~20分間にわたり後硬化される。一実施形態において、3Dプリント物品は、10秒~10分間にわたり後硬化される。一実施形態において、3Dプリント物品は、30秒~2分間にわたり後硬化される。一実施形態において、3Dプリント物品は、UV光の照射によって後硬化される。一実施形態において、3Dプリント物品は、可視光の照射によって後硬化される。一実施形態において、3Dプリント物品は、UV光と可視光の照射によって後硬化される。一実施形態において、後硬化に使用される光の波長は、使用される光開始剤の吸収性能によって決定される。
【0064】
3Dプリント光硬化樹脂を組み立てて、物品を形成する方法
いくつかの実施形態において、3Dプリント及び光硬化樹脂構造物は、プリントした後に組み立てられて、物品を形成する。一実施形態において、固体状コーティング構造は、それが1若しくは複数の側面の微細構造を被覆して、所望の3Dプリント物品を形成するように、3Dプリント後に、微細構造に接続される。一実施形態において、固体状コーティング構造は、それが1若しくは複数の側面の固体構造を被覆して、所望の3Dプリント物品を形成するように、3Dプリント後に、固体構造に接続される。一実施形態において、所望の3Dプリント物品は、特定の微細構造を含むか、又は固体状コーティングによって1若しくは複数の側面を被覆された固体構造を含む内部構造を含む。
【0065】
一実施形態において、固体状コーティング構造は、追加光硬化性樹脂を使用した内部構造に保持される。一実施形態において、追加光硬化性樹脂は、固体状コーティング構造に対して適用され、次に、内部構造が上部に配置されて、二層物品を形成する。一実施形態において、二層物品は、固体状コーティングに内部構造を付着させるために照射を受ける。一実施形態において、二層物品は10秒~60分間にわたり照射を受ける。一実施形態において、二層物品は10秒~50分間にわたり照射を受ける。一実施形態において、二層物品は10秒~40分間にわたり照射を受ける。一実施形態において、二層物品は10秒~30分間にわたり照射を受ける。一実施形態において、二層物品は10秒~20分間にわたり照射を受ける。一実施形態において、二層物品は10秒~10分間にわたり照射を受ける。一実施形態において、二層物品は10秒~1分間にわたり照射を受ける。一実施形態において、二層物品にはUV光が照射される。一実施形態において、二層物品には可視光が照射される。一実施形態において、二層物品にはUV光が照射される。一実施形態において、二層物品には、UV光と可視光の両方が照射される。二層物品に照射するのに使用され得るUV及び/又は可視光の波長は、本明細書中の他の場所に開示された任意の波長であってもよい。
【0066】
一実施形態において、固体状コーティングで被覆されなかった内部構造の一側面は、第二の層の固体状コーティング構造で被覆されて、三層物品を形成する。一実施形態において、第二の層の固体状コーティング構造は、追加光硬化性樹脂を使用して内部構造に保持される。一実施形態において、内部構造は微細構造を含み、その微細構造内の細孔は追加光硬化性樹脂で満たされ、次に、第二の固体状コーティング構造が微細構造上に配置されて、三層物品を形成する。一実施形態において、三層物品は、第二の固体状コーティング構造に内部構造を付着させるために照射を受ける。一実施形態において、照射は、内部構造に対する第一の固体状コーティング構造の密着性をさらに強化する。一実施形態において、三層物品は10秒~60分間にわたり照射を受ける。一実施形態において、三層物品は10秒~50分間にわたり照射を受ける。一実施形態において、三層物品は10秒~40分間にわたり照射を受ける。一実施形態において、三層物品は10秒~30分間にわたり照射を受ける。一実施形態において、三層物品は10秒~20分間にわたり照射を受ける。一実施形態において、三層物品は10秒~10分間にわたり照射を受ける。一実施形態において、三層物品は30秒~2分間にわたり照射を受ける。
【0067】
一実施形態において、三層物品にはUV光が照射される。一実施形態において、三層物品には可視光が照射される。一実施形態において、三層物品にはUV光が照射される。一実施形態において、三層物品にはUV光と可視光の両方が照射される。三層物品の照射に使用され得るUV及び/又は可視光の波長は、本明細書中の他の場所に開示された任意の波長であってもよい。
【0068】
3Dプリント樹脂物品
一態様において、本発明は3Dプリント物品に関する。3Dプリント物品は、当業者に知られているあらゆる形状を含んでもよい。一実施形態において、3Dプリント物品は医療用デバイスである。一実施形態において、3Dプリント物品は歯科用物品である。一実施形態において、3Dプリント物品は歯科用アライナーである。一実施形態において、3Dプリント物品は透明である。一実施形態において、3Dプリント物品は色付きである。
【0069】
一実施形態において、3Dプリント物品は、照射を受けたか又は光硬化された2以上の光硬化性樹脂組成物を含む。例示的な光硬化性樹脂組成物を、本明細書中の他の場所に記載する。一実施形態において、物品は、第一の樹脂組成物を含む内部層を含む。一実施形態において、内部層には、0.1mm~1.5mmの厚みがある。一実施形態において、内部層には、0.1mm~1.4mmの厚みがある。一実施形態において、内部層には、0.1mm~1.3mmの厚みがある。一実施形態において、内部層には、0.1mm~1.2mmの厚みがある。一実施形態において、内部層には、0.1mm~1.1mmの厚みがある。一実施形態において、内部層には、0.1mm~1.0mmの厚みがある。一実施形態において、内部層には、0.1mm~0.9mmの厚みがある。一実施形態において、内部層には、0.1mm~0.8mmの厚みがある。一実施形態において、内部層には、0.2mm~0.8mmの厚みがある。一実施形態において、内部層には、0.3mm~0.8mmの厚みがある。
【0070】
一実施形態において、第一の樹脂組成物を含む内部層は、微細構造を含む。一実施形態において、内部層は、微細構造の領域と微細構造を欠いている領域を含む。一実施形態において、微細構造は、細孔又は穴を含む。一実施形態において、細孔はサイズが一定である。一実施形態において、細孔は様々なサイズである。一実施形態において、細孔は0.1mm~50mmの内径である。一実施形態において、細孔は0.1mm~45mmの内径である。一実施形態において、細孔は0.1mm~40mmの内径である。一実施形態において、細孔は0.1mm~35mmの内径である。一実施形態において、細孔は0.1mm~30mmの内径である。一実施形態において、細孔は0.1mm~25mmの内径である。一実施形態において、細孔は0.1mm~20mmの内径である。一実施形態において、細孔は0.1mm~15mmの内径である。一実施形態において、細孔は0.1mm~10mmの内径である。一実施形態において、細孔は0.1mm~5mmの内径である。一実施形態において、細孔は一定の間隔を空けていない。一実施形態において、細孔は一定の間隔を空けている。一実施形態において、微細構造はハニカム/ビーハイブ構造を含む。一実施形態において、微細構造は網目構造を含む。
【0071】
一実施形態において、微細構造は、0.1mm~50mmの細孔間の厚さを有する光硬化樹脂を含む。一実施形態において、微細構造は、0.1mm~45mmの細孔間の厚さを有する光硬化樹脂を含む。一実施形態において、微細構造は、0.1mm~40mmの細孔間の厚さを有する光硬化樹脂を含む。一実施形態において、微細構造は、0.1mm~35mmの細孔間の厚さを有する光硬化樹脂を含む。一実施形態において、微細構造は、0.1mm~30mmの細孔間の厚さを有する光硬化樹脂を含む。一実施形態において、微細構造は、0.1mm~25mmの細孔間の厚さを有する光硬化樹脂を含む。一実施形態において、微細構造は、0.1mm~20mmの細孔間の厚さを有する光硬化樹脂を含む。一実施形態において、微細構造は、0.1mm~15mmの細孔間の厚さを有する光硬化樹脂を含む。一実施形態において、微細構造は、0.1mm~10mmの細孔間の厚さを有する光硬化樹脂を含む。一実施形態において、微細構造は、0.1mm~3mmの細孔間の厚さを有する光硬化樹脂を含む。
【0072】
一実施形態において、内部層は、照射を受けたか又は光硬化された第二の光硬化性樹脂で被覆される。一実施形態において、第二の光硬化樹脂は、内部層の両側が被覆される。一実施形態において、第二の光硬化樹脂は、内部層の片側が被覆される。一実施形態において、光硬化樹脂被覆は、いずれの細孔又は穴を有しない固体状コーティングを含む。一実施形態において、光硬化樹脂被覆は、0.01mm~1mmの厚みを有する。一実施形態において、光硬化樹脂被覆は、0.01mm~0.9mmの厚みを有する。一実施形態において、光硬化樹脂被覆は、0.01mm~0.8mmの厚みを有する。一実施形態において、光硬化樹脂被覆は、0.01mm~0.7mmの厚みを有する。一実施形態において、光硬化樹脂被覆は、0.01mm~0.6mmの厚みを有する。一実施形態において、光硬化樹脂被覆は、0.01mm~0.5mmの厚みを有する。一実施形態において、光硬化樹脂被覆は、0.01mm~0.4mmの厚みを有する。
【0073】
一実施形態において、光硬化樹脂被覆は、内部層に使用される同じ樹脂である。一実施形態において、光硬化樹脂被覆は、内部層に使用される第一の光硬化樹脂と異なる樹脂である。一実施形態において、光硬化樹脂被覆は、光硬化性樹脂組成物のグラジエントを含む。一実施形態において、内部層は、光硬化性樹脂組成物のグラジエントを含む。一実施形態において、光硬化樹脂被覆は、内部層を形成するのに使用される光硬化樹脂と異なる機械的強度を有する。一実施形態において、内部層を被覆するのに使用される光硬化樹脂は、内部層を形成するのに使用される光硬化樹脂より低い機械的強度を有する。一実施形態において、内部層を被覆するのに使用される光硬化樹脂は、内部層を形成するのに使用される光硬化樹脂より高い機械的強度を有する。一実施形態において、内部層は、物品の様々な場所にて多様な局所的な機械的強度を有する。一実施形態において、被覆は、物品の様々な場所にて多様な局所的な機械的強度を有する。
【0074】
一実施形態において、3Dプリント物品は、0.01Nの前負荷で試験したとき、0.1MPa~50MPaの初期応力を有する。一実施形態において、3Dプリント物品は、0.01Nの前負荷で試験したとき、0.1MPa~45MPaの初期応力を有する。一実施形態において、3Dプリント物品は、0.01Nの前負荷で試験したとき、0.1MPa~40MPaの初期応力を有する。一実施形態において、3Dプリント物品は、0.01Nの前負荷で試験したとき、0.1MPa~35MPaの初期応力を有する。一実施形態において、3Dプリント物品は、0.01Nの前負荷で試験したとき、0.1MPa~30MPaの初期応力を有する。一実施形態において、3Dプリント物品は、0.01Nの前負荷で試験したとき、0.1MPa~25MPaの初期応力を有する。一実施形態において、3Dプリント物品は、0.01Nの前負荷で試験したとき、0.1MPa~20MPaの初期応力を有する。一実施形態において、3Dプリント物品は、0.01Nの前負荷で試験したとき、0.1MPa~15MPaの初期応力を有する。一実施形態において、3Dプリント物品は、0.01Nの前負荷で試験したとき、0.45MPa~10MPaの初期応力を有する。
【0075】
一実施形態において、物品は、0.01Nの前負荷で試験したとき、2時間後に5%~95%の応力緩和を示す。一実施形態において、物品は、0.01Nの前負荷で試験したとき、2時間後に10%~95%の応力緩和を示す。一実施形態において、物品は、0.01Nの前負荷で試験したとき、2時間後に15%~95%の応力緩和を示す。一実施形態において、物品は、0.01Nの前負荷で試験したとき、2時間後に20%~95%の応力緩和を示す。一実施形態において、物品は、0.01Nの前負荷で試験したとき、2時間後に25%~95%の応力緩和を示す。一実施形態において、物品は、0.01Nの前負荷で試験したとき、2時間後に30%~95%の応力緩和を示す。一実施形態において、物品は、0.01Nの前負荷で試験したとき、2時間後に35%~95%の応力緩和を示す。一実施形態において、物品は、0.01Nの前負荷で試験したとき、2時間後に40%~95%の応力緩和を示す。一実施形態において、物品は、0.01Nの前負荷で試験したとき、2時間後に45%~95%の応力緩和を示す。一実施形態において、物品は、0.01Nの前負荷で試験したとき、2時間後に45%~90%の応力緩和を示す。一実施形態において、物品は、0.01Nの前負荷で試験したとき、2時間後に45%~85%の応力緩和を示す。
【実施例】
【0076】
実験例
本発明を、以下の実施例を参照してここで記載する。これらの実施例は、例示のためだけに提供されているので、本発明は、これらの実施例に限定されないが、むしろ、本明細書中に提供された教示の結果として明白なすべてのバリエーションを包含する。
【0077】
材料と方法
光硬化性MDI-PEGMAの合成
MDI-PEGMAを、(不活性雰囲気、撹拌子が入った丸底フラスコ内に加えられ、60℃まで加熱される)4,4'-メチレンビス(フェニルイソシアナート)(MDI)(10.00g、40.00mmol)を使用して合成した。MDI試薬の溶解時に、ポリ(エチレングリコール)メタクリラート(PEGMA)(32.55mL、100.00mmol)を滴下して加え、60℃にて8時間反応させた。その後、反応を、室温にて一晩進めさせた。合成した化合物(MDI-PEGMA)を、容積式ピペットを使用して回収し、そしてBruker AV300ブロードバンドFT NMR Spectrometer(Billerica, MA, USA)によるプロトン磁気共鳴スペクトル法(1H NMR)によって、及びPerkinElmer Spectrum Two FT-IR Spectrometer(Waltham, MA, USA)によるFourier Transform Infrared Spectroscopy(FTIR)によって特性評価した。
【0078】
MDI-PEGMAの特性評価
光硬化性樹脂(通称Bioinks)は、ヒドロキシ(メタ)アクリラートのジイソシアナート基とヒドロキシル基との間の反応で合成されるウレタン含有化合物を含む。
図2は、合成をどのように実施したかを描写する反応スキームを示す。最終製品、MDI-PEGMAに光反応性を付加するそのアクリラート基に起因して、MDIをジイソシアナート剤として利用し、PEGMAをヒドロキシル基含有試薬として選択した。生成物を
1H NMRによって試験して、イソシアナートとヒドロキシル基との間の反応を確認した(
図3)。4個の芳香族陽子を表すδ7.32ppm(C)の芳香族ピークの外観で、PEGMAを用いたMDIの反応を確認する。FTIR分析をおこなって、イソシアナートの完全な反応を確認する(
図4A及び4B)。2000-2400cm
-1領域内のピークの不存在は、イソシアナート基の消失を示すので、PEGMA内のヒドロキシル基とその反応をさらに確認する。
【0079】
光硬化性Bioinksの合成
MDI-PEGMAを含むBioinks:Bioinks1及び2の合成
ウレタン含有化合物の合成のときに、光開始剤ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシドと安定化剤ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケートを、それぞれ2%と1%の終濃度にて、MDI-PEGMAに加えた。さらに、化合物トリエチレングリコールジメタクリラートとトリメチロールプロパントリアクリレートは、より軟質の材料をもたらすBioink (Bioink1)の形成と、より丈夫なプラスチック (Bioink2)の形成のために異なる比で混ぜ合わせられる。すべての化学物質をSigma-Aldrichから購入した。
【0080】
2つのBioinksを、樹脂の主成分としてMDI-PEGMAを使用して作製した。低機械的強度を有するように設計した第一のもの(Bioink1)は80%のMDI-PEGMA、17%のトリエチレングリコールジメタクリラート、光開始剤としての2%のジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、及びスタビライザとしての1%のビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケートを含んだ。
【0081】
50%のMDI-PEGMA、17%のトリエチレングリコールジメタクリラート、30%のトリメチロールプロパントリアクリレート、光開始剤としての2%のジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、及びスタビライザとしての1%のビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケートを含む、より丈夫なBioink(Bioink2)を設計した。
【0082】
Bioink3の合成
より丈夫な樹脂(Bioink3)を、ジイソシアナートとしてのトリレン-2,4-ジイソシアナート(TDI)及びアクリル化ウレタン含有化合物の形成のための、ポリ(エチレングリコール)メタクリラートとヒドロキシル基としての2-ヒドロキシエチルアクリラートと組み合わせを利用して合成した。トリレン-2,4-ジイソシアナート(25.00g、143.5mmol)を、不活性雰囲気、撹拌子の入った丸底フラスコに加え、そして60℃に加熱した。それに続いて、ポリ(エチレングリコール)メタクリラート(PEGMA)(23.38mL、71.8mmol)とアクリラート-2-ヒドロキシエチル(32.97mL、287.1mmol)を滴下して加えて、60℃にて4時間反応させた。その後、反応を、室温にて一晩進めさせた。最終的な光硬化性Bioink3樹脂の77%がこの反応の生成物を含んだ。Bioink3樹脂の残りを、トリエチレングリコールジメタクリラート(20%)、光開始剤としてのジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(2%)、及びスタビライザとしてのビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート(1%)から作製した。
【0083】
Bioink重合化と機械的特性
これらのBioinksの重合能力を試験するために、1.50mLを、コンピュータ数値制御(CNC)ミリング機械装置によって制作される平らなシート判(53mmの長さ、29mmの幅)に類似した金型上にピペットで取り出した。次に、樹脂を、その重合能力を確認するために、10秒間の25mW/cm2の強度にて青色光(415nm)(Polylight(登録商標)PL500, Rofin Forensic)に1秒間、10秒間、及び1分間晒した。1分間の光曝露後に得られたプラスチックシートを、10mmの長さ及び2.5mmの幅に切り落とすと、0.8mmの厚みを有した。得られた断片を、120分間にわたる0.01Nの前負荷を用いたDMA分析によって試験し、そしてそれらの初期応力と応力緩和を評価した。この試験をBioink1、Bioink2、及びインビザラインアライナー(SmartTrack)で利用される材料のサンプルを用いて実施した。
【0084】
低い応力緩和のための材料微細構造の設計
CNC機械装置を利用して、網目パターン(パターンAとパターンB)を含む2つの金型を作製した。鋳型のパターンを、160μLのBioink2(より丈夫な材料)で満たし、光に晒してその重合を引き起こした。さらに、320μLのBioink1を、金型に配置されたままの網の上に加え、そして光重合させた。それに続いて、その小片をひっくり返し、320μLのBioink1を加え、そして網のもう片方の面を重合させた。生成物である、より丈夫な材料で構成された内部足場を含有するプラスチックシートを、前項で指定した寸法に切り、そして120分間にわたる0.01Nの前負荷を用いたDMA分析によって試験した。
【0085】
さらに、応力緩和に対する積層した材料の効果を試験するために、及び材料に埋め込まれた網目とそれを比べるために、Bioink1とBioink2の層の組み合わせによって層を光重合することによって、プラスチックシートを作製した。2つの層形成の組み合わせをこの分析のために評価した。第一のものでは、600μLのBioink1を第二項で使用される金型上にピペットで取り出し、光重合させた。この層には、続いて、0.8mmの合計厚及び一緒に積み重ねられた三層のBioink1で構成されたプラスチックシートのために、もう二層のBioink1を加えた。第二のサンプルを作製するために、600μLのBioink1を第二項で利用した金型上にピペットで取り出し、重合させた。それに続いて、600μLのBioink2を加え、そして、重合させたBioink1の上に重合させた。最後に、Bioink1(600μL)の第三層を先の二層の上に加え、そしてその上下の二枚の軟層とより丈夫な中間層で構成されたプラスチックシートの形成のために重合させた。二層形成サンプルを、20分間にわたる0.01Nの前負荷を用いたDMA分析によって試験した。
【0086】
Bioink2(より丈夫なMDI-PEGMA樹脂)とTDI樹脂(Bioink3)を利用して、いくつかの部品を3Dプリントし、三層で構成されたプラスチックシートを形成するために一緒に組み立てた。上下のシートを、より柔らかい2つの樹脂(Bioink2)とステレオリトグラフィ3Dプリント機械装置を使用して、正方形のものを3Dプリントした(
図5)。中間層は、3DプリンティングによってBioink3から作製したビーハイブ構造を有するシートであった。この層の2つのバージョンを作製し、一方は3.0mmのビーハイブ内径を有し(
図6A)及びもう一方は1.5mmの内径を有した(
図6B)。さらに、使用されるラインは、それぞれ厚さ1.0mm及び0.5mmのものであった。
【0087】
プリントした部品を掃除し、そして余分な樹脂を取り除いた。各部分を、UV光下で1分間にわたり後硬化させて、そのより高い強度能力まで樹脂を完全に重合させた。
図7A~7Dは、3つのプリント部品を示し、それらの平板構造を維持し、かつ、材料が曲がることを避けるために、それらの各々を、後硬化プロセスの前にガラススライドの間にどのように配置したかを実証する。
【0088】
部品のプリント後に、3つの層を、光曝露と、層間の接着物質としての役割を果たす更なるBioink2の添加によって一つに結合した(
図8A~8C)。最初に、正方形のシートの上にBioink2の薄層を加え、上にビーハイブ構造を配置し、そして30秒間光で照らしてシートを組み合わせることによって、正方形のシートとビーハイブを接着した。追加のBioink2を、ビーハイブの上に加えて、上に最上部の正方形の層を配置する及びプロセスを完了するための1分間の光曝露の前に、空いている隙間を覆った。この追加のBioink2が、上層と底層が一緒に組み合わせられていることを保証した。
【0089】
プラスチックシートの組み立てに続いて、DMA試験のためにサンプルを調製した。ストレートハンドピースと切断用ディスクを利用して、小片を作製した(
図9)。
【0090】
歯科矯正用の透明なアライナーのステレオリトグラフィ3Dプリンティング
歯科矯正用の透明なアライナーを、Bioink2とステレオリトグラフィ3Dプリンタ(Wanhao Duplicator 7 Plus Touch Screen UV DLP Resin3D Printer)を使用して構築した。405nmの波長にて10秒間の光曝露時間を50μmの層厚に利用した。これらの条件下で、プロセスを18mm/時間のプリントスピードにて実施した。アライナーの3D製図が入ったSTLファイルを、プリンタにロードし(
図10A~10D)、そしてステレオリトグラフィの性質によりプリントするのに必要とされる支持構造物を要素に加えた。この追加プリント物を考慮する場合、アライナーのプリント時間は2時間~3時間に及ぶ。プリント後に、アライナー及び3Dプリントプロセスに利用した支持足場を、プリンティングプラットフォームの表面に取り付けた(
図11A)。本発明の重合物は、3Dプリンタから取り出した直後に良好な強度を有する透明な固形物をもたらしたので、後処理の準備が整っていた。次に、その部分をプラットフォームから取り外し、そしてエタノール洗浄で余分な樹脂を取り除いた(
図11B)。アライナーに取り付けられた足場をトリミングすること、及び/又は歯科用ドリルを使用することによって、支持材を取り除いた。アライナーを支持体足場に取り付けている支柱を
図11Cで見ることができるが、その一方で、
図11Dは、いくつかの支柱がトリミングされたアライナーを示す。次に、アライナーを、エタノールバス内に一晩置き、そして翌日、圧縮空気下で乾燥させる。後硬化を必要としなかった。
【0091】
その支持材料のトリミング後のアライナーの様々な像は、後処理後のアライナー全体(
図12A及び12B)、分割した像(
図12C)、横断面図(
図12D)、底部(
図12E)、及び支持材のトリミング後のその領域の仕上がり(
図12F)の画像を含めた、完成製品の品質を示す。これらの図面は、研摩した生成物がステレオリトグラフィの3Dプリンティングによって得ることができることを実証する。
【0092】
結果と考察
本発明は、本明細書中に記載した方法を使用して形成された新規光硬化性材料及び歯科矯正用アライナーの製造のための優れたプラスチックとしてのこれらの光硬化性材料の使用の一部に関する。本発明は、光硬化性樹脂Bioink1、Bioink2、及びBioink3のの作製、並びにこれらの樹脂を使用した制御パターンを用いたプラスチックの形成に一部基づく。この新規材料の微細構造及びプラスチック組成物は、応力緩和をもたらす。
【0093】
Bioink重合化と機械的特性
機械的試験のためにサンプルを調製するために、1.50mLのBioink1を金型上にピペットで取り出し、1分間青色光に晒した(
図13A及び13B)。その機械的特性を評価するためのDMA試験によって分析した透明なプラスチックをもたらす鋳型から重合化部分を取り出した(
図13C及び13D)。同じ手順を、Bioink2を用いておこなった。
【0094】
市販の歯科矯正用アライナーを製造する会社によって一般的に使用される熱可塑性プラスチック材料(Invisalign and Align Technologies(MC))とポリ(エチレンテレフタレート)で作られたアライナー(PETG)をDMAによって試験し(
図14)、そして本発明のbioinkと比較した。DMAの結果は、Bioink1とBioink2との間の初期応力と応力緩和の差を示し、そこでは、Bioink1(1.11MPa、98.36%)と比較したとき、Bioink2は、より高い初期応力(3.62MPa)とより低い応力緩和(91.18%)を有した(表1)。インビザラインの材料であるSmartTrackもまた、同じDMA分析及び条件によって試験し、そして5.05MPaの初期応力と88.95%の応力緩和を示した。これらの結果は、SmartTrackがBioink2よりわずかに高い初期応力(1.43MPaの差)と、たった2.23%の差しかない類似した120分間の応力緩和を示す。初期応力がわずかに高く同じ応力緩和を維持することは、機械的特性に関してマーケットリーダーと、Bioink2を同じカテゴリに位置づけるであろう。しかしながら、応力緩和に対する顕著な改善が、より軟質の、かつ、より快適な材料の使用と同時に、歯科矯正の臨床治療に向けた関連機械的強度を維持することを可能にする可能性がある。
【0095】
【0096】
低い応力緩和のための材料の微細構造デザイン
本発明は、歯科矯正用の透明なアライナー適用のための材料における応力緩和の低減を目標とした高分子シートの規定された微細構造の使用に関する。この方法論を証明するために、2つのアプローチを試験した。パターンAとパターンBを有する2つの金型を作製し(
図15A~15F)、重合化構造の形成のためにBioink2で満たした。次に、重合化構造を、プラスチックシートを完成するために、より柔らかいBioink1の2つの層の間に挟み込んだ。Bioink1の層をピペッティングし、そして構造物のそれぞれの側でそれを重合化することによってこれを実施した。得られたプラスチックシートを、0.01Nの前負荷にて120分間にわたりDMAによって試験した。
【0097】
データは、光重合プラスチック内の規定した微細構造を有する足場が、材料が受ける応力緩和を有意に低減することを示す。パターンA、パターンB、及びSmartTrackサンプルの応力緩和曲線の比較は、SmartTrackが有意に高い初期応力を有していたにもかかわらず、2時間後に、残留応力がSmartTrackと網目サンプルとの間で非常に類似していたことを示す(
図16)。特に、パターンAとBは、2時間後に、88.95%の応力緩和を示した、現在の市場の標準的なSmartTrack(Align Technologies)と比較したときに、有意により低い値である、それぞれ、56.57%と60.51%の応力緩和を有した(表2)。
【0098】
【0099】
SmartTrack材料によって得られる初期応力(5.05MPa)と大きな応力緩和(88.95%)を考慮する場合、2時間後に、アライナーの残留応力は0.5580MPaであると結論づけられる。パターンAの網を用いて同じ分析をおこなうとき、SmartTrackと比較したときに、0.0803MPaだけ差がある、0.4777MPaの残留応力が得られた。これらの結果から2つの主要な結論:1) 歯科矯正用の透明なアライナー適用のために設計したプラスチックの微細構造と空間的な材料組成を制御することで、これらのデバイスによって得られる応力緩和を有意に低減する;2) 患者によって装着されるより軟質の、そのためより快適であり、同時に、成功した臨床成果を達成するために必要な機械的応力を適用する、材料を設計することが可能である、を得ることができる。この微細構造概念は、3Dプリンティングと、市場で現在使用されているプラスチックシートの従来の熱成形との両方で適用され得る。後者の場合では、異なるパターンと一緒に積み重ねられた異なるプラスチックのシートは所望の初期応力と応力緩和特性を達成するであろう。
【0100】
この網目アプローチに加えて、見られた応力緩和効果に対して、微細構造デザインが実際に重要であるかどうか、又は同じ若しくは様々な機械的強度を有する材料で層を作製することだけで観察された結果を得るのに十分であるかどうか試験するために、層形成の設定を実行した。第一の層形成パターン(パターンC)(
図17A)は、層形成の純粋な効果を試験するためにBioink1の三層で構成された。第二のパターン(パターンD)(
図17B)は、二層のBioink1の間に一層のBioink2を伴った。プラスチックシート内により丈夫な材料を有することだけで応力緩和を低減するのに十分であるか、又は所望の結果を得るために微細構造が実際は必要であるか試験するために、このパターンを設計した。
【0101】
DMA分析(20分)の結果は、パターンCとDに関してそれぞれ75.69%と74.23%の応力緩和を示す(
図18及び表3)。これらのデータは、これらの値が網目を含有するサンプルで得られたものより有意に高かったので(51.92%と56.16%)、微細構造がより低い応力緩和を獲得するのに実際に必要であることを示唆している。歯科矯正用の透明なアライナー技術におけるこの前進は、該分野における大きな技術革新を表す。
【0102】
【0103】
DMA分析を様々な網目サンプルに対して実施し、そしてウレタン基で一部構成されるインビザラインアライナーの材料と比較した。1.5mm又は3.0mmのビーハイブ微細構造を有する(単数若しくは複数の)本発明の材料を含むサンプルは、2時間後にインビザラインの同じ応力に達し(
図19A~C)、そして初期喪失後の応力の獲得がすべてのサンプルで観察された。本発明の材料とプラスチック構造デザインは、初期変形後に経時的に発揮される応力を増強する。インビザラインは初期応力の14%で終了したが、その一方で、3.0mmのビーハイブ微細構造を含む本発明の生成物は、初期応力の36%を維持した(
図19D及び19F)。同じような挙動はより小さい1.5mmのビーハイブ微細構造でも観察され、そして32%の残留応力をもたらした(
図19E及び19F)。(単数若しくは複数の)本発明の材料と微細構造デザインとの組み合わせは、初期応力緩和時間後に回復応力をもたらす。これは、より低い初期応力値にて長期間にわたりインビザラインと同じ応力を適用する生成物をもたらし、そして患者にとってより快適なアライナーの潜在的デザインを可能にする(
図19C及び19F)。
【0104】
歯科矯正用の透明なアライナーのステレオリトグラフィ3Dプリンティング
現在の歯科用アライナーは主にポリウレタン基で構成された熱可塑性樹脂を利用した熱成形手順によって製造される。本願発明では、アライナーを、青色光曝露時のBioinksの硬化性を利用した3Dプリンティングによって制作した。ステレオリトグラフィ、つまり、3D対象の形成のために光硬化性樹脂上に層様式による層状に光に晒されるエネルギー付与技術(Wang et al., 2016, Int. J. Pharm., 503: 207-212)(
図20)は、歯科用アライナーの製造に利用される3Dプリンティング技術であった。本発明のBioinksは、アクリル化基により修飾されたウレタン化合物を含んでいる。ウレタン基は、材料の弾性特性を提供する一方で、アクリラート基は、重合能力と形成された固体材料の強度の微調整を提供する。一般に、イソシアナートが歯科矯正用の透明なアライナー分野においてうまく使用され、そして厳密な生物適合性の基準を満たしてきた。
【0105】
ステレオリトグラフィは最近使用されるプリンティング技術であるが、他のワンステッププリンティング法もまた興味深いものである。本発明のBioinksの修飾は、材料噴射技術(PolyJet 3D Printing)又は連続液界面製造(CLIP)に向けられ、定常的な光曝露によるより速い重合化と短縮されたアライナープリンティング時間を可能にするであろう。そのうえ、支持材除去プロセスは、過剰材料がトリミングされるステレオリトグラフィ下での支持体の抜き出しと比較して、より簡単になるであろう。材料噴射技術下では、支持材は、塩基性pHを有する溶液で溶解され得る。CLIP下では、支持材のプリントは必要ない。最後に、材料噴射は、アライナー内への複数の材料の取り込みを可能にし、我々に高度な機械的特性を有する生成物を作製させ、さらに透明なアライナー分野において潜在的な追加適用をさせる。
【0106】
3Dプリンティングを使用してアライナー全体が一度にプリントされるこのワンステップ作製プロセスは、マルチステップ作製プロセスにおいて、空洞の格子が3Dプリントされ、続いて、他の従来法によって充填される他の技術とは対照的である。この作製の違いは、制御されるべき様々な機械的特性を有する複数のインクの置換を可能にし、そしてそれは、機械的特性に関する独特な結果と各患者に対してカスタマイズされ得るアライナーの両方をもたらす。そのうえ、このプロセスは、1mm未満の造作を有する構造の作製を可能にし、そしてそれが更なる効率改善をもたらし得る。
【0107】
本発明は、現在の歯科矯正用アライナーとそれらの製造方法の改善に関する。1つの改善は、削減された、アライナーセットあたりのコストである:アライナーのダイレクト3Dプリンティングは、アライナーの熱成形前の歯の鋳型の3Dプリンティングの削減による政策プロセスのコスト削減をもたらす。別の改善は、より幅広い症例適用と増強された治療転帰である:3Dプリンティングアライナーは、より複雑な造作、並びに正確で高度な力の送達のための付加物の取り込みを可能にする。加えて、アライナーの様々な領域が、現在、異なる厚さ又は材料でプリントでき、一本の歯に合わせた所望の機械的特性を発揮し、これにより、治療の不具合を取り除くことによって治療効能を大いに高める。さらに、これは、市場における現在のアライナー製品が治療することができないより複雑な症例の治療を可能にする。
【0108】
第三の改善は、低い応力緩和のための微細構造の導入である:この技術は、歯の咬合異常の治療向けに必要な機械的強度を依然として発揮する、より軟質の、より快適な材料を用いたアライナーの作製を可能にするであろう。第四の改善は、プロセスが環境に優しいということである:3Dプリンティングは、樹脂製モデルを作製するのに使用される不可欠な手順であり、そしてそこに、熱可塑性プラスチック材料が押し付けられて、アライナートレイを形成する。典型的な治療では、25~50個のアライナーが患者に届けられる。よって、それぞれに最終的な歯の移動転帰に向けて連動した段階的なわずかな違いがある、25~50セットの対応する樹脂モデルが作製される。アライナーが届けられた時点で、これらのモデルは使い捨ての廃棄物となる。様々な国が樹脂モデルの処分廃棄物に対して様々な割合の環境税又は料金を課し、そしてそれが製造コストをさらに高くする。製造コストを抑えるのに加えて、本発明の技術はまた、これらの3Dプリント鋳型に関して廃棄物処理のコストを削減し、同時に、より環境に優しい製造プロセスにもなるであろう。
【0109】
本明細書中に引用したそれぞれの特許、特許出願、及び刊行物の開示を、全体として参照により本明細書に援用する。本願発明を特定の実施形態に関して開示したが、本願発明の他の実施形態及びバリエーションが、本発明の真の要旨及び範囲から逸脱することなく他の当業者によって考案され得ることは明らかである。添付した請求項では、すべての斯かる実施形態及び同等のバリエーションを含むように解釈されることが意図される。
本発明の態様の一部を以下に記載する。
1.75~85重量パーセントのウレタン(メタ)アクリラート、10~25重量パーセントのジ(メタ)アクリラート、及び5重量パーセント未満の光開始剤を含む光硬化性樹脂。
2.前記ウレタン(メタ)アクリラートが、ジイソシアナートとヒドロキシ(メタ)アクリラートを含む、項目1に記載の樹脂。
3.前記ジイソシアナートが、以下の:2,4-トルエンジイソシアナート、2,5-トルエンジイソシアナート、2,6-トルエンジイソシアナート、及び4,4'-メチレンビス(フェニルイソシアナート)から成る群から選択され;並びに前記ヒドロキシ(メタ)アクリラートが以下の:ポリ(エチレングリコール)メタクリラート、ポリ(エチレングリコール)アクリラート、ポリ(プロピレングリコール)メタクリラート、ポリ(プロピレングリコール)アクリラート、2-ヒドロキシエチルアクリラート、2-ヒドロキシエチルメタクリラート、2-ヒドロキシプロピルアクリラート、及び2-ヒドロキシプロピルメタクリラートから成る群から選択される、項目2に記載の樹脂。
4.前記ジ(メタ)アクリラートが以下の:トリエチレングリコールジメタクリラート、ジ(エチレングリコール)ジメタクリラート、プロピレングリコールジメタクリラート、及びジ(プロピレングリコール)ジメタクリラートから成る群から選択される、項目1に記載の樹脂。
5.前記光開始剤が以下の:ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド;2,4,6-トリメチルベンゾイルエトキシフェニルホスフィンオキシド;及びビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニル-ホスフィンオキシドから成る群から選択される、項目1に記載の樹脂。
6.前記樹脂が以下の:ビス(2,2,6,6-テトラメチル-1-オクチルオキシ-4-ピペリジル)セバケート;ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート;メチル1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルセバケート;ジメチルセバケート;及びビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケートから成る群から選択される安定化剤をさらに含む、項目1に記載の樹脂。
7.第二のウレタン(メタ)アクリラート、第二のジ(メタ)アクリラート、トリアクリラート、及び第二の光開始剤を含む第二の光硬化性樹脂をさらに含む、項目1に記載の樹脂。
8.前記第二の光硬化性樹脂の第二のウレタン(メタ)アクリラートが、ジイソシアナートとヒドロキシ(メタ)アクリラートを含み、ここで、該ジイソシアナートが以下の:2,4-トルエンジイソシアナート、2,5-トルエンジイソシアナート、2,6-トルエンジイソシアナート、4,4'-メチレンビス(フェニルイソシアナート)、及びその組み合わせから成る群から選択され;並びにここで、該ヒドロキシ(メタ)アクリラートが以下の:ポリ(エチレングリコール)メタクリラート、ポリ(エチレングリコール)アクリラート、ポリ(プロピレングリコール)メタクリラート、ポリ(プロピレングリコール)アクリラート、2-ヒドロキシエチルアクリラート、2-ヒドロキシエチルメタクリラート、2-ヒドロキシプロピルアクリラート、2-ヒドロキシプロピルメタクリラート、及びその組み合わせから成る群から選択される、項目7に記載の樹脂。
9.前記第二の光硬化性樹脂の第二のジ(メタ)アクリラートが以下の:トリエチレングリコールジメタクリラート、ジ(エチレングリコール)ジメタクリラート、プロピレングリコールジメタクリラート、及びジ(プロピレングリコール)ジメタクリラートから成る群から選択される、項目7に記載の樹脂。
10.前記トリアクリラートが1,1-トリメチロールプロパントリアクリラートである、項目7に記載の樹脂。
11.前記第二の光硬化性樹脂の第二の光開始剤が以下の:ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド;2,4,6-トリメチルベンゾイルエトキシフェニルホスフィンオキシド;及びビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニル-ホスフィンオキシドから成る群から選択される、項目7に記載の樹脂。
12.物品を作製する方法であって、以下のステップ:
75~85重量パーセントのウレタン(メタ)アクリラート、10~25重量パーセントのジ(メタ)アクリラート、及び5重量パーセント未満の光開始剤を含む光硬化性樹脂を提供し;
該光硬化性樹脂を3Dプリントして物品を形成し;そして
該物品を硬化させること、
を含む方法。
13.光硬化性樹脂を提供する前記ステップが、第二のウレタン(メタ)アクリラート、第二のジ(メタ)アクリラート、トリアクリラート、及び第二の光開始剤を含む第二の光硬化性樹脂を提供するステップを含み、及び光硬化性樹脂を3Dプリントする前記ステップが、該第二の光硬化性樹脂を3Dプリントするステップを含む、項目12に記載の方法。
14.項目13に記載の方法によって製造される3Dプリントした樹脂物品。
15.前記物品が、光硬化樹脂を含む内側微細構造と第二の光硬化樹脂を含む固体状コーティングを含み;ここで、該固体状コーティングが該内側微細構造を封入している、項目14に記載の樹脂物品。
16.前記微細構造が、0.5mm~5mmの内径を有する細孔を含む、項目15に記載の樹脂物品。
17.前記微細構造が、0.1mm~3mmの厚みを有する光硬化樹脂を含む、項目15に記載の樹脂物品。
18.前記物品が、0.01Nの前負荷で試験されたとき、0.45MPa~1.6MPaの初期応力を有する、項目15に記載の樹脂物品。
19.前記物品が、0.01Nの前負荷で試験したとき、2時間後に50%~65%の応力緩和を有する、項目15に記載の樹脂物品。
20.前記物品が、歯のアライナーである、項目15に記載に記載の樹脂物品。