(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】方向制御器及び使い捨て可能な内視鏡
(51)【国際特許分類】
A61B 1/00 20060101AFI20240925BHJP
A61B 1/015 20060101ALI20240925BHJP
A61B 1/008 20060101ALI20240925BHJP
G02B 23/24 20060101ALN20240925BHJP
【FI】
A61B1/00 714
A61B1/015 514
A61B1/008 512
G02B23/24 A
(21)【出願番号】P 2021547987
(86)(22)【出願日】2019-10-29
(86)【国際出願番号】 IL2019051166
(87)【国際公開番号】W WO2020089893
(87)【国際公開日】2020-05-07
【審査請求日】2022-10-19
(32)【優先日】2018-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521180131
【氏名又は名称】ジー.アイ.ビュー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】G.I.View Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】シナイ,アヴラハム
(72)【発明者】
【氏名】ラズ,ユヴァル
(72)【発明者】
【氏名】デリ,ゾハル
(72)【発明者】
【氏名】ローゼンカー,ジヴ
(72)【発明者】
【氏名】スヴィリドフスキー,アルバート
【審査官】増渕 俊仁
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0171159(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0238108(US,A1)
【文献】国際公開第2016/042833(WO,A1)
【文献】特開2016-087236(JP,A)
【文献】特開2015-112323(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00-1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能な曲げ部を有する内視鏡装置の挿入ユニットに接続される方向制御器であって、前記制御器は、
操作者によって操作される軸方向を規定するハンドルと、
前記ハンドルと前記挿入ユニットとを接続する回転可能な軸受構造であって、前記軸方向の周りで前記挿入ユニットの前記回転可能な曲げ部を回転させるように構成されおよび動作可能な回転可能な軸受構造と、
ロックモードおよびロック解除操作モードで前記内視鏡装置を操作できるモードセレクタと、
を具えており、
前記回転可能な軸受構造は、前記モードセレクタの動作時に前記回転可能な軸受構造の回転を阻止するように構成された外輪と、前記外輪による自由回転が可能であり、内側の細長いシャフト構造の先端を保持するように構成された内輪と、を有する歯車機構を具えており、
前記ロックモードの操作は前記回転可能な軸受構造をブロックし、前記ロック解除モードの操作は前記回転可能な軸受構造を解放して、前記回転可能な軸受構造を前記軸方向の周りで回転させることにより、操作者は前記回転可能な曲げ部を回転させることができることを特徴とする方向制御器。
【請求項2】
請求項1の方向制御器において、前記挿入ユニットが、内側の細長いシャフト構造と、前記内側の細長いシャフト構造を取り囲む外側の細長いシャフト構造とを具えており、前記ロック解除操作モードにおいて、前記外輪の回転は、前記内輪を介して前記外側の細長いシャフト構造の内側の前記内側の細長いシャフト構造を回転させ、これにより、体腔内で前記外側
の細長いシャフト構造の位置を変えることなく、前記回転可能な曲げ部をそれ自体の周りで回転させることを特徴とする方向制御器。
【請求項3】
請求項2に記載の方向制御器において、
前記回転可能な軸受構造は、前記内側の細長いシャフト構造と前記ハンドルとの間を接続するように構成された内側の回転可能な軸受部材と、前記外側の細長いシャフト構造に接続された外側の回転可能な軸受部材とを具え、前記回転可能な軸受構造は、前記内側の細長いシャフト構造が前記挿入ユニットの前記外側の細長いシャフトの内側で回転するのを可能にするように構成されていることを特徴とする方向制御器。
【請求項4】
請求項
2又は3に記載の方向制御器において、
前記歯車機構は、前記外側の細長いシャフト構造と前記内側の細長いシャフト構造との間の自由回転を可能にするように構成されており、前記歯車機構は、前記外側の細長いシャフト構造の先端を保持するように構成された外側のシャフトホルダをさらに具え、前記内輪は、前記内側の細長いシャフト構造の先端を保持するように構成されることを特徴とする方向制御器。
【請求項5】
医療機器の曲げ部に接続される挿入ユニットと、請求項1~4のいずれか一項に記載の方向制御器とを具えることを特徴とする挿管システム。
【請求項6】
請求項5に記載の挿管システムにおいて、内側の細長いシャフト構造を含む前記挿入ユニットは、その長さ軸の周りのトルク伝達が可能であり、外側の細長いシャフト構造は、前記内側の細長いシャフト構造を取り囲み、連続した外面を有することを特徴とする挿管システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、医療機器の分野、より具体的には、回転可能な曲げ部を有する内視鏡装置の挿入ユニットに接続される方向制御器、および使い捨て可能な内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡および画像化カテーテルは、体の器官、体腔、通路などの領域を観察するための多くの医療処置で広く使用されている。一般に、そのような画像化装置は、照明光をシースの遠位端に伝えて視野を照らすため、及び観察ポートまたはカメラに光学画像を戻すための光ファイバが配置されている細長いシースまたは同様の構造を含んでいる。1つまたは複数のレンズを画像化装置の遠位端に配置して、機器によって受信された光学画像、または機器によって投じられた照明に焦点を合わせることができる。
【0003】
病気の早期発見の一助として、食道、肺、結腸、子宮、その他の臓器などの消化管や気道などの内部構造の定期的な内視鏡検査から、主要な公衆衛生上の利益があることが十分に確立されている。そのような処置に使用される従来の画像化内視鏡は、外部光源からの照明光をそれが内視鏡を出て検査される組織を照らす遠位先端に向ける光ファイバ光ガイドを備えた可撓性チューブを含む。多くの場合、ファイバ束と遠位先端を出る光の広がりを調整するために、追加の光学部品が組み込まれている。スコープの近位端にあるカメラ、または遠位端にあるイメージングカメラチップと通信する対物レンズと光ファイバイメージングライトガイドは、操作者(通常は医師)に表示される画像を生成する。さらに、ほとんどの内視鏡には、生検鉗子、スネア、高周波プローブ、およびその他の器具などの医療機器が通過できる1つまたは複数の作業チャネルが含まれている。
【0004】
多くの用途において、画像化デバイスの遠位部分は、曲がりくねった又は分岐した解剖学的通路を通るデバイスの誘導を容易にするために、デバイスの近位端から「操縦可能」、屈曲可能、または操作可能であることが望ましい。さらに、デバイスをその遠位端またはその近くで曲げることができるため、操作者は、デバイスの遠位端を曲げるか、そうでなければ操作することによって、拡大された表示領域を視覚的にスキャンすることができる。先端を操作する機能により、臓器の近くの多くの場合極端に分岐した複雑な通路を通ってデバイスの先端を適切にガイドすることが容易になる。
【0005】
画像化デバイスの遠位先端のたわみを制御するために、1つの平面での曲げを制御するための2つの対向する制御ワイヤ、または2つの垂直な平面での曲げを制御するための等間隔の4つのワイヤのいずれかを組み込む多くの設計が導入されている。これらの制御ワイヤは、デバイスの長さ方向に延在し、操縦可能領域の遠位端または遠位先端で終端する。各制御ワイヤの近位端は、手動で回転する個別のドラムまたはスプールに機能的に接続されているか、デバイスに対して制御ワイヤを直線的に前進および後退させるための専用の電気モータまたは流体モータによって接続されている。動作中、ドラムまたはスプールの回転によって制御ワイヤの1つが近位方向に引っ張られると、デバイスの遠位先端は、格納されたワイヤに向かって操作可能な領域で曲がる。
【0006】
人体の通路を進行することは非常に困難な場合がある。人体の一部は見づらい場合があり、スコープや手術器具の位置に対して常に便利な位置に配置されているとは限らない。時として、機器の構造と自由度が進行の成功を妨げたり阻止したりすることがある。従来の結腸内視鏡検査処置の間、結腸内視鏡は、結腸内視鏡が下行結腸に到達するまで、曲がりくねったS状結腸を通って前進する。結腸内視鏡は、S状結腸の冗長性を減らすように操作される。S状結腸が真っ直ぐになると、結腸内視鏡は通常、結腸を通ってさらに前進する。しかしながら、このタイプの処置は、結腸内視鏡が前進するにつれて、特に、曲がりくねったS状結腸の曲げ部の周りを結腸内視鏡が進行中に、結腸内視鏡と結腸壁との間の衝撃時に生じる結腸の伸長のために、一般に実行するのが困難であり、および/または患者にとって苦痛である。複雑で曲がりくねった経路を通る結腸内視鏡の進行は、患者への痛み、副作用、リスク、または鎮静を最小限に抑えて検査を成功させるために重要である。この目的のために、最新の内視鏡は、最小限の撓みまたは周囲の組織との摩擦力で、検査中の構造の通路をたどるようにスコープの遠位先端を撓ませるための手段を含んでいる。遠位端の柔軟な部分を近位内視鏡ハンドルの一連の制御ノブに接続するために、人形のひもと同様の制御ケーブルが内視鏡本体内に運ばれる。扱いにくく、直感的に扱えるものでなく、摩擦が制限されている、そのような従来の制御システムの制限にもかかわらず、制御ノブを操作することにより、操作者は通常、挿入中に内視鏡を操作し、それを関心領域に向けることができる。従来の内視鏡の操作者に共通する問題には、柔軟性の制限、カラムの強度の制限、スコープの長さに沿った操作者による剛性の制御の制限がある。
【0007】
従来の内視鏡は一般に頑丈な材料で作られているため、スコープの柔軟性が低下し、これにより患者の快適さが低下する。さらに、従来の内視鏡は複雑で壊れやすい器具であり、使用中または消毒処置中の損傷の結果として、しばしば費用のかかる修理を必要とする。さらに、操作可能な機器を使用する多くの処置は依然として複雑である。機器を所定の位置に正しく向けるには、多くの場合、多くのスキルと忍耐が必要である。
【0008】
上記のように、内視鏡は体腔の内部を見るのに使用される器具である。従来の医療用内視鏡は、フレキシブルチューブ、フレキシブルチューブの遠位端の位置を指示する機能制御機構、およびカメラを含む。カメラは、医療従事者がフレキシブルチューブの遠位端を位置決めし、遠位端が許容可能な位置に配置されていることを確認するのに役立つ内部体腔の画像を提供する。内視鏡が医療処置で使用される場合、内視鏡のフレキシブルチューブは、一般に、患者の内部体腔に向けられる。内視鏡は、医療従事者による処置での使用中に、高レベルの微生物汚染を受ける可能性がある。このような微生物汚染には、感染性病原体またはいくつかの有害な細菌およびウイルス微生物が含まれる場合がある。場合によっては、ある患者の医療処置で使用される内視鏡が汚染され、不適切または不十分に消毒されてから、別の患者の医療処置で使用される。そのような場合、2番目の患者の健康は微生物感染または病気のリスクにさらされる。
【0009】
内視鏡の洗浄と消毒に厳格な手順を踏むことで、医療従事者は感染症や病気の蔓延を防ぐよう努めている。残念ながら、ほとんどの従来の内視鏡(例えば、気管支鏡、結腸鏡、胃腸内視鏡、鼻咽頭鏡、シグモイドスコープ)は熱に敏感であり、滅菌することができない。代わりに、内視鏡は別の処置を使用して洗浄され、高レベルの消毒剤で拭かれ、さらには浸される。
【0010】
内視鏡が滅菌可能な材料でできている場合、病院は専用の滅菌チャンバを設置し、専用の滅菌装置と対応するオペレータを備える必要がある。必要な滅菌処置は再利用の頻度を制限するが、それでも不完全な滅菌によって引き起こされる交差感染などのリスクを伴う。
【0011】
内視鏡を効果的に洗浄するための厳格な試みにもかかわらず、一部の患者は、ある患者から別の患者に病原体を運ぶ内視鏡の結果として、怪我、病気、さらには死にさえ苦しんでいる。2010年、ECRI研究所は、ECRI Institute(www.ecri.org)により、2012年11月の第39巻第11号から転載された、「2011年の健康技術の危険性トップ10」というタイトルの文書で、内視鏡汚染を健康リスクのトップ10の1つとして引用した。不適切に洗浄された内視鏡の問題を研究および説明した独創的な研究は、米国内科学会によるAnnals of Internal Medicine,1993年;118:117-128の「胃腸内視鏡検査および気管支鏡検査による感染の伝播」である。
【0012】
一般にフレキシブル内視鏡、特に結腸内視鏡は、完全に洗浄および消毒することが困難であり、患者間、および患者とスタッフ間の相互汚染の潜在的な問題につながる。さらに、このような内視鏡は、カメラヘッド、電気機械式操作デバイス、制御電子モジュールといった高価な装置を使用することが多く、これらは容易に滅菌できず、コストがかかるため、使用するたびに廃棄することはできない。
【0013】
米国疾病予防管理センター(CDC)と米国食品医薬品局(FDA)は、再利用可能な医療機器を適切に維持、洗浄、消毒、または滅菌する必要があるという公衆衛生の必要性について、医療提供者と施設に警告している。推奨される再処理手順に準拠していないために感染管理が失効すると、患者の安全性に重大な欠陥が生じる。再利用可能な医療機器を利用する医療施設(例えば、病院、外来手術センター、診療所、医局)は、施設での再処理方法を見直して、機器メーカの指示に従ってすべての手順に準拠していることを確認する必要があり、基準及びガイドラインに一致する適切な方針及び手順を有している。安全通信が、結腸内視鏡を利用する病院や医療施設が、感染のリスクをさらに減らし、これらの医療機器の安全性を高めるための追加の措置を講じるように導くために毎年発行されている。彼らは、すべての医療施設が、特定のリソース、トレーニング、および専門知識を必要とするこれらの対策の1つ以上を実施できるわけではないことを認識している。再処理の指示は、再利用可能な機器を洗浄および消毒または滅菌するための詳細な多段階プロセスとして提供され、プロセスのすべてのステップで再処理の指示に従わないと、感染が伝播する可能性がある。
【発明の概要】
【0014】
従来の内視鏡は半可撓性のシャフトを有しており、十分な柔軟性がないため、元の形状で体腔を通過することはできない。したがって、操作者は、内視鏡を使用して操作を実行し、内視鏡が操作しやすい経路に体腔を再形成する必要がある。体腔を再形成する主な方法は、挿入チューブを回転させることである。ねじれ力を遠位先端に伝達するために、チューブの回転は最初にチューブを真っ直ぐにし、同じように体腔に影響を与える。本発明の新規な構成は、内視鏡装置の曲げ部の撓み(例えば、ノブまたはジョイスティックを使用)と曲げ部の回転の両方を使用することによって、遠位先端の進行を提供することを可能にする。新規な方向制御器を使用すると、操作者は、挿入ユニットを回転させることなく、操作者の方向制御器から曲げ部を回転させることができる。次に、挿入ユニットは、体腔の形状のループ構成に適合する曲がりくねった体腔を通って前進し、挿入ユニットのループ状態の可能性にもかかわらず、一方の端から他方の端に、押し込み力、および任意選択的に回転力および曲げ力を伝達する能力を有する。挿入ユニットは、挿入ユニットを押すことによって内視鏡の挿管を行うことができ、挿入ユニット自体の外側の細長いシャフト構造を回転させることなく、したがって体腔を真っ直ぐにすることなく、挿管システムの曲げ部を完全に操作および回転させることもできる。したがって、本発明は、体腔内で挿入ユニット全体の位置を変えることなく、内視鏡装置の挿入ユニットの内部を回転させることを可能にする。
【0015】
本発明の広い態様によれば、(a)長軸の周りでトルクを伝達することができる内側の細長いシャフト構造と、内側の細長いシャフト構造を取り囲み、連続的な外面を有する外側の細長いシャフト構造と、を具える医療器具の曲げ部に接続される挿入ユニットと、(b)方向制御器が回転すると曲げ部がそれ自体の周りを回転するように、内側の細長いシャフトに取り付けられた方向制御器とを含む挿管システムが提供される。
【0016】
方向制御器は、(例えば、体腔を画像化し、ポリープ切除を実行できるように任意の所望の目的に操作される画像取得装置を具える)内視鏡システムの一体部分であってもよく、または内視鏡を形成する部材に一緒に結合されてもよい。以下では、挿入ユニットは、挿管システムの曲げ部への方向制御器と内視鏡の光学ヘッドとの間を接続する内視鏡装置の部分を指す。したがって、本発明の方向制御器は、任意の市販の挿入ユニットに接続することができる。
【0017】
本発明の別の広い態様によれば、回転可能な曲げ部を有する内視鏡装置の挿入ユニットに接続される方向制御器が提供される。方向制御器は、操作者が取り扱う軸方向を規定するハンドルと、ハンドルと挿入ユニットとの間を接続し、挿入ユニットの回転可能な曲げ部を軸方向の周りに回転させるように構成され動作可能な回転可能な軸受構造と、ロックおよびロック解除された動作モードで内視鏡装置を動作させることができるモードセレクタであって、ロック動作モードの動作により、回転可能な軸受構造がブロックされ、ロック解除された動作モードの動作により、操作者は、回転可能な軸受構造を軸方向を中心としてそれ自身の周りを回転させることにより、体腔内の外側の細長いシャフト構造の位置を変更することなく、回転可能な曲げ部を回転させることができる。ハンドルは方向制御器の静的部分となっている。
【0018】
ある実施形態では、ロック動作モードの動作により、操作者は、ハンドルを軸方向の周りに回転させることによって、回転可能な曲げ部を回転させることができる。したがって、本発明は、体腔内に配置されている内視鏡装置の曲げ部を回転させることができる手動で操作可能な機械的構造(すなわち、方向制御器)を提供する。この特殊な構成により、(1)回転可能な軸受構造をロックした状態で、挿入ユニットに取り付けられた方向制御器のハンドルを回転させることにより、または(2)回転可能な軸受構造のロックを解除した状態で、回転可能な軸受構造を回転させることによって、操作者の手から挿入ユニットの曲げ部にトルクを伝達することができる。したがって、ロックモードでは、細長いシャフト構造自体が回転しないように回転可能な軸受構造がブロックされ、ハンドルとともに剛性ユニットが形成される。
【0019】
代替的に、ロック動作モードの動作は、ハンドルを軸方向に回転させることにより、操作者が回転可能な曲げ部を回転させることを防止する。ロックモード動作のこの構成は、挿管に使用できる。このロックモードにより、体腔をまっすぐにすることなく、最小限の力で前進することができる。ロックモードでは、回転可能な軸受構造は回転できない。ロックモードは、内視鏡を前進させるために押す力が使用される場合に使用できる。したがって、ロックモードは、医療機器が消化管を通過するときに進行モードで使用できる。
【0020】
ロック解除モードでは、ハンドルは挿入ユニットから切り離され、内側の細長いシャフトは自由に動くことができる。したがって、モードセレクタは、回転可能な軸受構造を解放するように構成される。次に、回転可能な軸受構造のロックが解除されている間、回転可能な軸受構造のみを回転させることによってトルクが伝達される。より具体的には、ロック解除モードは、ハンドルの回転が回転可能な軸受構造に影響を及ぼさないように、ハンドルを回転可能な軸受構造から切り離し、内側の細長いシャフト構造および外側の細長い構造に固定される回転可能な軸受構造が、内側の細長いシャフト構造を介して自由に回転して、トルクをそれ自体で遠位先端に直接伝達することができる。次に、内側の細長いシャフト構造自体が、挿入ユニットの位置に影響を与えることなく、外側の細長いシャフト構造内で回転する。
【0021】
回転可能な軸受構造の回転が遠位先端の回転を引き起こすロック解除モードは、特に医療機器の向きを変更する必要があるポリープ切除術に使用できる。より具体的には、ポリープ切除プロセスでは、手術者は、ポリープを検査および除去するために遠位先端を進行させる必要がある。手術者は、正しい位置に到達するために、先端をあらゆる方向に曲げることができ、挿入チューブを回転させ得る必要がある。これに関連して、通常、手術者は、ポリープが器具の出口点に対して6時方向に示されるまで装置を回転させることを好むことに留意されたい。ポリープが12時の方向に見つかった場合は、市販の装置を使用して、手術者は器具を180度回転させてポリープを所望の位置に移動させる必要がある。この目的のために、手術者は、器具を回転させながら、装置を前後に操作して、所望の位置を維持しようとする。この処置は安全ではなく又正確ではなく、ポリープの正確な位置を失い、時間がかかる。方向制御器の新規な構成は、上記の問題を解決する。この技術により、体腔構造に影響を与えることなく、遠位先端を2方向に180°以上回転させることができる。本発明の挿入ユニットのこの独特の構成は、操作機能とともに、ポリープの任意の正確な位置を標的にして治療することを可能にする正確で迅速かつ安全な処置につながる回転機能を提供することを可能にする。上記のように、この独自の構成は、ポリープ切除器具を任意の3次元の望ましい場所と位置に運ぶ機能を提供する。挿管、ポリープのスキャン及び除去を容易にするために、遠位先端のたわみが必要である。したがって、曲げ部は、完全な操作と、それ自身の周りの完全な回転が可能であり、正確なイメージングとポリープ切除を提供する。
【0022】
ある実施形態では、回転可能な軸受構造は、前記内側の細長いシャフト構造と前記ハンドルとの間を接続するように構成された内側の回転可能な軸受部材と、前記外側の細長いシャフト構造に接続された外側の回転可能な軸受部材とを具え、当該回転可能な軸受構造は、前記内側の細長いシャフト構造が前記挿入ユニットの前記外側の細長いシャフトの内側で回転するのを可能にするように構成されている。
【0023】
ある実施形態では、回転可能な軸受構造は、前記モードセレクタの動作時に前記回転可能な軸受構造の回転を阻止するように構成された外輪と、前記外輪による自由回転が可能であり、回転可能な曲げ部の先端を保持するように構成された内輪と、を有する歯車機構を具える。歯車機構は、外側の細長いシャフト構造と内側の細長いシャフト構造との間の自由回転を可能にするように構成される。ロック解除操作モードでは、外輪の回転は、内輪を介して外側の細長いシャフト構造の内側の内側の細長いシャフト構造を回転させ、これにより、体腔内で外側の細長いシャフト構造の位置を変えることなく、それ自身の周りで回転可能な曲げ部を回転させる。
【0024】
ある実施形態では、歯車機構は、前記外側の細長いシャフト構造の先端を保持するように構成された外側のシャフトホルダをさらに具え、前記内輪は、前記内側の細長いシャフト構造の先端を保持するように構成される。
【0025】
方向制御器の新規な構成により、安全な処置を実行できる。挿入ユニットは、患者にとって危険が少ない体腔内に内視鏡を案内するように構成されている。
【0026】
別の広い態様によれば、本発明は、医療器具を殺菌する必要をなくす使い捨て部品を有する新規な使い捨て内視鏡を提供する。この要件には、低コストの材料の使用が含まれる。大量生産技術の要件を満たすために、操作機構は、射出された(例えば、射出成形された)プラスチック部品で作られる。さらに、装置を任意の所望の角度と位置で適切に操作するために、チューブの操作可能な部分は柔軟であり、操作糸が以下の物理的特性を備えている必要がある。すなわち、高負荷(例えば、約20kg)に耐えること、高い耐摩耗性、高いしなやかさ、高い柔軟性、低いスプールメモリである。通常、操作装置に使用される鋼のケーブルには、これらの必要な特性がない。したがって、非金属材料で作られた少なくとも2つの操作糸を有する操作機構を具える内視鏡が提供される。したがって、本発明の操作糸は、プラスチックなどのポリマ材料で作られた糸になるように選択することができる。例えば、操作糸は、編み組まれた釣り糸として構成される。編組糸は、共重合体、フルオロカーボン、ナイロン系モノフィラメントのいずれで作られる。しかしながら、プラスチックの糸は伸縮性がなく、表面が滑りやすいため、適切に結ぶのが難しい。高い力と伸びに耐えながら、非金属の操作糸をプーリに固定することは困難な作業である。この目的のために、本発明は、上記の物理的特性を有する非金属材料で作られた操作糸を適切に保持することを目的とした特別な構成を有する新規の糸引装置を提供する。
【0027】
操作機構は、片手でもいずれかの手でも使えるように構成されている。曲げ部はトルクが安定しており、回転可能で操作可能である。内視鏡装置のハンドル(つまり、方向制御器)と挿入ユニットは、1人の患者に使用するように構成されており、1回の医療処置で使用した後は廃棄される。
【0028】
ある実施形態では、少なくとも2つの操作糸が非金属材料でできている
【0029】
ある実施形態では、内視鏡が、少なくとも2つの非金属製操作糸を固定するように構成され動作可能な糸引装置をさらに具え、前記糸引装置は、前記少なくとも2つの操作糸が巻かれている少なくとも1つのプーリを有する。第1のプーリは、遠位端部分を左右に向けるために構成されおよび操作可能であり、第2のプーリは、前記遠位端部分を上下に向けるために構成されおよび操作可能であり、前記第1及び第2のプーリは互いに結合され、独立して操作される。
【0030】
ある実施形態では、糸引装置は、ロックされた操作位置に前記操作機構をロックするように構成され動作可能なロック機構をさらに具える。
【0031】
本発明の別の広い態様によれば、圧力が特定の閾値に達したときに環境にガスを放出することにより、ガス供給から出る圧力のレベルを制御するように構成されたガス放出弁を具えることを特徴とする内視鏡が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
本発明を理解し、それが実際にどのように実施され得るかを見るために、好ましい実施形態が、非限定的な例としてのみ、添付の図面を参照して説明される。
【
図1】
図1は、本発明のある実施形態による方向制御器を組み込んだ内視鏡装置の一例を概略的に示す。
【
図2A】
図2Aは、本発明のある実施形態による方向制御器の一例の部分図を概略的に示す。
【
図2B】
図2Bは、本発明のある実施形態による方向制御器の別の例の部分図を概略的に示す。
【
図3】
図3A-3Bは、本発明のある実施形態による回転可能な軸受構造の一例の部分断面図を概略的に示す
【
図4】
図4A-4Eは、本発明のある実施形態による機械的操作機構の例の異なる図を示す。
【
図5】
図5は、本発明のある実施形態による放出弁の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
結腸内視鏡検査またはポリープ切除術を実施するには、遠位端を望ましい位置に操作し、治療ツールを使用して処置を実施するために、オペレータからの多大なスキルが必要となっている。操作者のための本発明の方向制御器210を組み込んだ内視鏡装置100の例を示す
図1を参照する。本発明は、安全な処置を実施するために挿入ユニット200に接続される方向制御器210の新規構成を提供する。挿入ユニット200は、患者への危険性が低い状態で体腔を通して内視鏡を案内するように構成される。遠位先端のナビゲーションは、内視鏡装置100の曲げ部310の曲がり(例えば、ノブまたはジョイスティックを使用)と曲げ部310の回転の両方を使用することによって可能である。新規の挿入ユニット200は、下で説明する
図2Aに示す挿入ユニット200の外側の細長いシャフト構造を回転させることなく、操作者が操作者の方向制御器210から曲げ部310を回転させることを可能にする。挿入ユニット200は、ハンドルに配置された方向制御器210(例えば、バルブ、操作ノブおよびボタンを含むつかみ部)と、光学ヘッドを含む曲げ部310との間を接続する。挿入ユニット200は、シャフトのループ状態の可能性にもかかわらず、体腔形状のループ構成にフィットする曲がりくねった体腔を通って前進し、押し込みを伝え、任意選択的に一方の端部から他方の端部に回転および曲げ力を伝える能力を有する。挿入ユニット200に必要な物性は、適切な柔軟性と曲げに対する復元性能、近位端部から遠位側に操作力を伝えるための押し込み性、及びねじれ抵抗(多くの場合「鋭い曲げに対する抵抗」と称される)である。挿入ユニット200は、曲げ部310に接続されている。
【0034】
本発明のある実施形態による、方向制御器210の構成の一例を示す
図2Aを参照する。方向制御器210は、回転可能な操作のための曲げ部を有する内視鏡装置の挿入ユニット200に接続されるように構成される。挿入ユニットは、
図1に示すように、細長いシャフトでできたユニットで形成することができる。ある実施形態では、内側の細長いシャフト構造は、外側の中空の細長いシャフト構造10に囲まれた細長いねじりシャフト30Cによって実施することができる。この文脈において、本明細書および特許請求の範囲において、「ねじりシャフト」は、方向制御器210の出力にリンクされたギアによって駆動される非連続表面を有する回転可能な可撓性非中空ケーブルを指す。内側の細長いシャフト構造の非連続的な特性は、挿入管200の長さに沿って押す力および回転力を伝達することを可能にする。操作者が方向制御器210を両回転方向Rに回すと、方向制御器210はねじりシャフト30Cを両回転方向rに回転させる。このシャフトは、大きなねじれを伝達し、非常に柔軟な状態を保つことができる。これに関連して、ねじりシャフト30Cは中空ではないため、以下でさらに説明するように、複数のチャネルを外部構造10とねじりシャフト30Cとの間に収容することができることを理解されたい。さらに、ねじりシャフト30Cは、結腸によって自然に形成されたループのために、それ自体が巻かれていてもトルクを伝達することができる。
【0035】
上記のように、制御器210は、操作者によって操作される軸方向Aを規定するハンドル42と、ハンドル42とねじりシャフト30Cおよび外側の細長いシャフト構造10との間を接続する回転可能な軸受構造44であって、軸方向Aを中心に曲げ部を回転させるように構成されおよび動作可能な軸受構造44と、ハンドル42を回転させることによって、または回転可能な軸受構造44を回転させることによって、操作者が曲げ部を回転させることができるモードセレクタ48とを備える。モードセレクタ48は、内視鏡装置を2つの動さモード、すなわち、回転可能な軸受構造をブロックすることができる1つのロックモード、および軸方向Aを中心に回転可能な軸受構造44を回転させることによって操作者が曲げ部を回転させることを可能にすることができる1つのロック解除モードで操作することができる。ロック解除モードでは、ハンドル42の回転は、回転可能な曲げ構造44に影響を及ぼさない(すなわち、ハンドル42は、回転可能な軸受構造44から切り離されている)。この2つのモードは、L方向に沿ってモードセレクタ48を往復的に変位させることによって動作させることができる。
【0036】
本発明のある実施形態による、方向制御器210の構成の例を示す
図2Bを参照する。方向制御器210は、回転可能な操作曲げ部を有する内視鏡装置の挿入ユニット200に接続されるように構成される。挿入ユニットは、
図1に示すように、細長いシャフトでできたユニットによって形成することができる。コントローラ210は、操作者が操作するハンドル42と、それ自体の周りを回転できる回転可能な、ハンドル42と挿入ユニット200との間を接続し、曲げ部を回転させるように構成および操作可能である軸受構造44(図には、2つの部材44Aと44Bで示されている)と、2つの動作モードで内視鏡装置を動作させることができるモードセレクタ48とを具える。
【0037】
本発明のある実施形態では、挿入ユニット200は、外側の細長いシャフト構造10によって囲まれた内側の細長いシャフト構造30を具える。したがって、内側の細長いシャフト構造30は、外側の細長いシャフト構造30よりも小さい直径を有する。さらに、内側の細長いシャフト構造30および外側の細長いシャフト構造10は、方向制御器210の片側にある回転可能な軸受構造44を介してその先端で接続する一体化された挿入ユニット200を一緒に形成する。
【0038】
一端で方向制御器210に接続され、他端で曲げ部に接続された内側の細長いシャフト30は、挿入ユニット200の位置に影響を与えることなく、挿入ユニット200を介して方向制御器210の回転を遠位先端に直接伝達することができる。外側の細長いシャフト構造は柔軟性があり、ねじれを伝達することができない。ロックモードでは、回転可能な軸受構造44がブロックされ、ハンドル42とともに剛性ユニットを形成し、その結果、外側の細長いシャフトはねじれを伝達する機能がないため、ハンドル42のいかなる回転も遠位先端/曲げ部を回転させることができない。
【0039】
この構成では、回転可能な軸受構造44は、内側の細長いシャフト構造30とハンドル42との間を接続する内側の回転可能な軸受要素44Aと、内側回転軸受要素44Aが外側の回転可能な軸受要素44B内で回転できるように、外側の細長いシャフト構造10に接続された外側の回転可能軸受要素44Bとを備える。
【0040】
したがって、この構成では、方向制御器210は、外側の細長いシャフト構造10なしで、または外側の細長いシャフト構造10と一緒に、ハンドル42を内側の細長いシャフト構造30に選択的に接続するように構成されおよび動作可能である。方向制御器210は、2つの方向(時計回りまたは反時計回り)に自由に回転できるように構成される。
【0041】
ある実施形態では、モードセレクタ48は、曲げ部(
図1の310)の回転が(ロックモードで)ハンドル42を動かすことによって行われるか、または、曲げ部(
図1の310)の回転が(ロック解除モードで)内側の細長いシャフト構造30自体のみを動かすことによって行われるかどうかを、操作者が決定できるようにすることができる。1つの動作ロックモードでは、これは、回転可能な軸受構造44をブロックすることによって実施することができる。第2の動作ロック解除モードでは、内側の細長いシャフト構造30のみを動かすことによって回転が行われ、回転可能な軸受構造44は、内側の細長いシャフト構造30が単独で自由に動して回転できるように、ハンドル14から解放される。例えば、モードセレクタ48は、外輪840を含み得る。モードセレクタ48の作動時に(例えば、曲げ部への変位)、外輪840は固定可能であり、回転できず、回転可能な軸受構造44をブロックする。モードセレクタ48の非作動時に(例えば、曲げ部とは反対方向の変位)、外輪840を解放して回転させることができ、回転可能な軸受構造44を解放して、内側の細長いシャフト構造30が単独で自由に動いて回転することができる。
【0042】
本発明のある実施形態による歯車機構800を組み込んだ回転可能な軸受構造44の例を示す
図3Aを参照する。歯車機構800は、内側の細長いシャフト構造(例えば、
図2Bのねじりシャフト30C)の先端を保持するように構成された内輪830と、モードセレクタ48がロック解除モードにある間に内輪830を回転させるように構成された外輪840とを備える。より具体的には、外輪840は、本体管腔内の外側細長いシャフト構造の位置を変えることなく、外側細長いシャフト構造10内で内側細長いシャフト構造30を回転させる回転可能な軸受構造44の歯車機構の内輪830を作動させることができる。モードセレクタ48のロックモードへのアクティブ化(例えば、変位)は、回転できない外輪840をブロックする。回転可能な軸受構造44は、外側の細長いシャフト構造の先端を保持するように構成された外側シャフトホルダ810を備える。歯車機構800は、外側の細長いシャフト構造と内側の細長いシャフト構造との間で自由に回転できるように構成される。
【0043】
ある実施形態では、回転可能な軸受構造44は、特に、方向制御器のハンドル部分を収容するためのくぼみ842と、挿入ユニット200の長さを、ハンドルから外側の細長いシャフト構造までまっすぐに延びる複数のチャネルを提供するように構成されたギアホルダ820とを含む。内輪830は、例えば内側軸受832により、及び外輪840の回転により、ギアホルダ820内で自由に動くように構成される。歯車機構は、操作者の手から曲げ部のより大きな動きまで、小さな回転運動を伝達するように構成され、動作可能であり、したがってより広い範囲とより少ない遅延を実現する。
【0044】
本発明のある実施形態による歯車機構800を組み込んだ回転可能な軸受構造44の別の断面図を示す
図3Bを参照する。歯車機構800は、内側の細長いシャフト構造30の先端を保持するように構成された内輪830を備える。外輪は、モードセレクタ48の変位時に回転可能な軸受構造44の回転を阻止するように構成される。上記のように、モードセレクタ48は、操作者が歯車機構800を使用するかどうかを決定することを可能にすることができる。これは、一方のロックされた動作モードにおいて、外輪800が固定されて回転できないように、歯車機構800の外輪840をブロックすることによって実施することができる。例えば、モードセレクタ48の変位は、外輪800をブロックして回転できないようにする。歯車機構800が使用される第2のロック解除動作モードでは、操作者は、外輪840を双方の回転方向Rに回転させることができる。外輪840の回転は、歯車比で曲げ部を回転させることができる。モードセレクタ48は、ロックモードおよびロック解除動作モードの2つのモードを選択的に操作するノブとして構成され得る。歯車の伝達比は、次のように内輪及び外輪の直径から計算できる。
歯車の伝達比=外輪半径/内輪半径。
【0045】
例示のみを目的として、図は、挿入ユニット200の長さ方向をハンドルから真っ直ぐに外側の細長いシャフト構造まで延びる複数のチャネル400を示している。しかしながら、複数のチャネル400は、本発明の一部ではない。本発明のある実施形態による、機械的ノブといった糸引装置300の斜視図を例示する
図4Aを参照する。この構成では、糸引装置300は、2つの制御ホイール16Aおよび24Aによってそれぞれ操作される2つのプーリ16および24を備える。プーリ16および24は、操作の制御を分離するように構成され、一方のプーリは、光学ヘッドを左右に向けるために構成されおよび操作可能であり、他方のプーリは、光学ヘッドを上下に向けるために構成されおよび操作可能である。プーリ16は、光学ヘッドを左右方向に操作するように構成されおよび操作可能であり、プーリ24は、光学ヘッドを上下方向に操作するように構成されおよび操作可能である。この新規な構成により、操作装置を完全に制御できる。制御ホイール16Aおよび24Aは、操作糸を引っ張るために、使用者によって時計回りおよび反時計回りに回転させることができる。この動作により、光学ヘッドが目的の方向に回転する。各プーリは、光学ヘッドを反対方向(つまり、左右または上下)に移動させるように構成された2つの操作糸を保持する。このようにして、一方の糸が引っ張られている間、もう一方の糸は張力から解放される。プーリ16および24は同じように作動するが、異なる方向に対して作動する。
【0046】
ある実施形態では、糸引装置300はまた、操作機構を所望のロック位置にロックするように構成されたロック機構22を備える。したがって、プーリ16および24は、任意の所望の位置に任意の所望の張力で操作糸14を向けるように構成され、所望の位置に達すると、ロック機構22は、操作機構を特定の操作位置にロックし、特定の位置で光学部品をロックするように構成される。本発明の操作機構のロック能力は、体腔内の任意の所望の領域の正確な検査を提供することを可能にする。ロック機構22は、プーリ16および24をロックするが、依然として、ポリープ段階を除去するための非常に細かい操作のために、制御ホイール(例えば、ノブ)24Aおよび16Aの非常に細かい動きを可能にする。より具体的には、ロック機構22は2つの動作モードを有する。通常の動作(例えば、フリーモード)では、ロック機構22のねじはプーリ16および24と接触しない。ねじは、プーリ16および24をロックするために回される。ねじは、プーリ16および24を押して、プーリ16および24に摩擦力を生成し、これらのプーリをロックして移動させる。それらを回転させて摩擦に抗するために、ノブ24Aおよび16Aに大きな力を加えて、ポリープ段階の除去のための非常に細かい操作のための制御ホイール(例えば、ノブ)24Aおよび16Aの非常に細かい動きを提供する必要がある。次に、操作者は、操作機構が最適なロック位置にロックされている間に、特定の関心領域の画像の解像度を上げるかどうかを決定することができる。
【0047】
プーリ16および24は、各プーリが他のプーリに影響を与えることなく動作できるように(例えば、軸受を使用して)互いに連結されている。このようにして、糸引装置300は、360°の光学ヘッド制御を可能にする。これに関連して、糸引装置300の断面図を例示する
図4Bを参照する。軸受28は、プーリ16とプーリ24との間を接続して、各プーリの独立した回転を可能にする。
【0048】
より具体的には、
図4Cに例示されるように、非金属の操作糸14Aおよび14Bの一端/先端は、それぞれ固定点18Aおよび18Bにねじ込まれ、糸14Aおよび14Bがホイール20から外れないように、非金属の操作糸14Aおよび14Bの端を結び付ける。固定点18Aおよび18Bは、各操作糸の先端がそれぞれ通過するテンションホイール20の2つの開口部として構成される。操作糸14Aおよび14Bの先端は、曲げ部を曲げるために回転されるプーリ16に接続され、操作糸14Aおよび14Bは、プーリ16の周りに巻き付けられる。各糸14Aおよび14Bは、ホイール20のそれぞれのスロット20Aおよび20Bの周りに数回巻かれている。糸14Aおよび14Bは、プーリ16に配置された2つの穴(図示せず)を介して通される。糸14Aおよび14Bをロックするために、ホイール20はプーリ16に挿入される。上記のように、各操作糸14Aおよび14Bは、以下の
図4Dに例示されるように、動作制御器26を使用してプーリ16内でテンションホイール20を回転させることによって、それぞれのスロット20Aおよび20Bの周りに巻き付けられる。操作糸14Aおよび14Bの他の端部は、最も外側に間隔を置いて配置された部材の1つまたはチューブの遠位端に接続されている。非金属の糸をテンションホイール20の周りに数回しっかりと巻き付け、ホイール20をプーリ16に挿入することにより操作糸14Aおよび14Bをロックすることによって糸の接続が実装されるこの新規な構成は、非金属の糸をプーリに固定する際の上記の課題を解決する。
【0049】
この新規な構成は、プーリの周りに操作糸の仕付けを提供し、操作糸をプーリに固定すると同時に、ポリープ段階を除去するための操作糸のための制御ホイール(ノブなど)24Aおよび16Aの微動を可能する。これに関連して、糸の表面が小さすぎて剪断応力に耐えることができないため、接着剤を使用して糸をテンションホイールに固定することができないことに留意されたい。例えば、糸の直径は、約0.1から0.5mmの範囲である。
【0050】
さらに、この構成は糸に正確な張力を提供し、テンションホイールの歯によってもたらされる可能性のある糸のたるみを防ぐ。テンションホイール20がその周りに有する歯が多いほど、プーリ16内のホイール20のロック位置がより正確になり、したがって、糸のたるみのより良い防止が容易になることに留意されたい。
【0051】
本発明のある実施形態による、ロック位置にある糸引装置300の裏側の部分図を例示する
図4Dを参照する。この特定の非限定的な例では、ねじ付きホイール20は、動作コントローラ26(例えば、ジグ)を操作する者が動かすと、ロック位置でプーリ16内に固定される。ロック位置では、ねじ付きホイール20のロック歯がそれらの最終位置を挿入するまで、テンションホイール20がプーリ16に向かって押される。プーリ内のホイールの歯の係合は、テンションホイールの回転を防ぐ。
【0052】
図4Eは、ロック位置でプーリ16内に係合されたねじ付きホイール20の拡大断面図を例示している。ねじ付きホイール20は、ねじ付きホイール20の2つの対向する側に配置された2つの固定溝20Aおよび20Bを備える。この新規な構成では、ねじ付きホイール20は、スナップ状構成を有するプーリ16内にねじ付きホイール20を固定する溝状構成を有する締結具として構成された第1の固定溝20Aと、20Aと同じ構成を有する第2の固定点20Bとを有する。操作機構のコストを削減し、操作機構を使い捨てにすることを目的とした上記のような射出プラスチック部材の使用は、スナップを使用することによって部材を互いに固定することを可能にする。この技術は、テンションホイール20をプーリ16内に固定するためのロック部品の簡単、単純、低コストの統合を提供する。
【0053】
図5を参照すると、圧力が特定の閾値に達したときにガスを環境に放出することによってガス供給から出る圧力のレベルを制御するように構成された放出弁が示されている。放出弁200は、内視鏡のハンドル内に統合され、ガス通路を介してガス供給に接続される空洞であって、一端がカバー202によって密封される空洞208(例えば、弁ハウジング)として構成され得る。カバー202は、上にボール206が置かれるばね204に置かれる。ボール206は、ばね204を使用して空洞208に押し付けられて、ガス通路を密封する。ガス通路は、ガス通路に蓄積された圧力(すなわち、結腸内の圧力)もボール表面の一部に加えられるように、管(例えば、PVC)を介して空洞208に接続される。ガス圧からボール206に作用する力(Fpressure)は、ばね204からボール206に作用するばねの力(Fspring)よりも低いままであるが、ガス通路が環境から密閉されるように弁が閉じられる。ボール表面の圧力が特定の閾値に達し、ガス圧からボール206に作用する力Fpressureが、ばね204からボール206に作用する力Fspringよりも高くなると、ボール206のバルブカバー202への動きが起こり、バルブが開き、環境へのガスの排出が可能になる。スプリングは、必要な放出圧力に一致するように選択される。