(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】電磁誘導加熱式の大型回転調理釜
(51)【国際特許分類】
A47J 27/14 20060101AFI20240925BHJP
H05B 6/02 20060101ALI20240925BHJP
A47J 27/00 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
A47J27/14 E
H05B6/02 Z
A47J27/00 104Z
(21)【出願番号】P 2023044356
(22)【出願日】2023-03-20
【審査請求日】2023-03-20
(73)【特許権者】
【識別番号】391026209
【氏名又は名称】中井機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】230115336
【氏名又は名称】山下 あや理
(72)【発明者】
【氏名】中井 節
(72)【発明者】
【氏名】平木 大太
【審査官】木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-313764(JP,A)
【文献】特開2015-061576(JP,A)
【文献】特開2015-057794(JP,A)
【文献】中国実用新案第2922362(CN,Y)
【文献】特開2010-075097(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107177863(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/14
H05B 6/02- 6/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面がフラットな食材収容鍋と、その食材収容鍋の底面を加熱する電磁誘導加熱器と、
上記食材収容鍋の底面中心部に固着された軸受ボスへ、上端部が下方から一体回転し得るように螺合締結された垂直のセンター支軸と、そのセンター支軸を回転させる食材収容鍋用水平回転駆動機構と
を備えた電磁誘導加熱式の大型回転調理釜
であって、
上記電磁誘導加熱器を断面ほぼU字形に造形された鍋受け台内の水平な仕切り棚板よりも上段位置へ設置する一方、その仕切り棚板よりも下段位置に上記食材収容鍋用水平回転駆動機構の駆動モーターを設置すると共に、
上記鍋受け台の開口上面を施蓋する天板を、上記食材収容鍋の底面と電磁誘導加熱器の加熱作用平面との上下相互間
に介在するフラットな断熱カバーとして、
その断熱カバーの中央部へ上記軸受ボスの挿通口が形成されたシールフランジを、水密状態に取り付け固定し、
しかも、そのシールフランジにおける軸受ボス挿通口の開口縁部へ、上記軸受ボスとの水密状態を保つOリングを嵌め付けたことを特徴とする電磁誘導加熱式の大型回転調理釜。
【請求項2】
食材収容鍋
をオーステナイト系ステンレス(SUS304)の胴面と、その胴面よりも厚肉な蓄熱層として機能するフェライト系ステンレス(SUS430)の底面とから溶接一体化して、
その底面における中央加熱区域と周辺加熱区域との加熱ムラを吸収し得るように定めたことを特徴とする請求項1記載の電磁誘導加熱式の大型回転調理釜。
【請求項3】
鍋受け台の天板がガラス繊維により補強された耐熱性の合成樹
脂から成り、食材収容鍋の底面から発する輻射熱が電磁誘導加熱器の加熱コイルや加熱用インバーターへ伝播することを防ぐ断熱カバーとして機能し得るようになっていることを特徴とする請求項1記載の電磁誘導加熱式の大型回転調理釜。
【請求項4】
鍋受け台内の水平な仕切り棚板における中央部の下面に、断面ほぼ倒立U字形の床梁を左右方向へ延在する水平状態に固定横架させて、
食材収容鍋の底面から上記仕切り棚板の貫通状態に垂下するセンター支軸の下端部を、上記床梁に軸受けさせる一方、その床梁の下面に食材収容鍋用水平回転駆動機構の駆動モーターを取り付け固定すると共に、
その駆動モーターの出力軸に嵌め付けた駆動スプロケットと、上記センター支軸の中途高さ位置に嵌め付けた従動スプロケットとを、上記床梁の内部に延在する無端な伝動チェンによって連結したことを特徴とする請求項1記載の電磁誘導加熱式の大型回転調理釜。
【請求項5】
鍋受け台の内部を左右方向へ延在する水平な床梁の両端部から、左右一対の吊持アームを上向き一体的に起立させて、
その両吊持アームの上端部から各々外向き一体的に張り出す水平な釜転倒軸を向かい合う左右一対の据付けボックスへ、その水平軸線周りでの起伏的な回動自在に枢着することにより、
上記鍋受け台上にある食材収容鍋を前後方向へ約90度ずつ転倒し得るように定めたことを特徴とする請求項
4記載の電磁誘導加熱式の大型回転調理釜。
【請求項6】
鍋受け台内の
仕切り棚板を電磁誘導加熱器の水平な器体フレームとして、
その電磁誘導加熱器における食材収容鍋の底面中央加熱区域を加熱する中央電磁誘導加熱コイルの1個を、上記器体フレームの中央部へ中央電磁誘導加熱コイル用受け止めブラケットと複数のネジ支柱により、設置高さの調整自在に取り付け固定すると共に、
上記電磁誘導加熱器における食材収容鍋の底面周辺加熱区域の加熱を分担する第1、2周辺電磁誘導加熱コイルの2個ずつを、上記器体フレームの周辺部へ第1、2周辺電磁誘導加熱コイル用受け止めブラケットと複数ずつのネジ支柱により、設置高さと前後方向への取付位置を調整できるように取り付け固定したことを特徴とする請求項
1記載の電磁誘導加熱式の大型回転調理釜。
【請求項7】
電磁誘導加熱器における第1、2周辺電磁誘導加熱コイルの2個ずつをその各個の受け止めブラケットへ、何れも加熱用インバーターとその放熱ファンも一緒に組み付けられたユニット体の汎用品として搭載する一方、
上記第1、2周辺電磁誘導加熱コイルよりも巻き径の大きな中央電磁誘導加熱コイルの1個をその受け止めブラケットへ、食材収容鍋のセンター支軸を包囲し得る渦巻き状態の専用品として搭載すると共に、
その中央電磁誘導加熱コイルの加熱用インバーターとその放熱ファンを、上記第1周辺電磁誘導加熱コイル用受け止めブラケット同士の隣り合う相互間又は上記第2周辺電磁誘導加熱コイル用受け止めブラケット同士の隣り合う相互間へ、別個に介挿設置したことを特徴とする請求項6記載の電磁誘導加熱式の大型回転調理釜。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は各種食材の煮練りや炒め、泡立て、和え、その他の調理を効果的に行える業務用の電磁誘導加熱(IH)式の大型回転調理釜に関する。
【背景技術】
【0002】
食材収容鍋の底面を加熱する電磁誘導加熱器と、その食材収容鍋の水平回転駆動機構とを構えた業務用の電磁誘導加熱式大型回転調理釜が、特許文献1、2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許3418936号公報
【文献】特許3643027号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1、2に開示された電磁誘導加熱式の大型回転調理釜は、その両者の
図3からも明白なように、実質上同一の構成を備えているため、今特許文献1を代表例に挙げて言えば、その特許文献1に記載された食材収容鍋(A)の水平回転駆動機構(B)では、食材収容鍋(A)の胴面に捲き付けられたチエン(16)と、垂直な回転伝動軸(28)の上端部に嵌め付けられた出力スプロケット(32)とが噛合する状態にあり、駆動モーター(21)により伝動チエン(31)を介して、上記食材収容鍋(A)が水平回転されるようになっている。
【0005】
そのため、食材収容鍋(A)の胴面から張り出す係合フランジ(14)と、断面ほぼコ字型をなす鍋受リング(17)の内部に軸支した多数の包囲ローラー(18)とを、係合するようになっていることとも相俟って、水平回転駆動機構(B)の必要部品点数が非常に多く、複雑・特殊化する結果、量産効果を達成することができない。
【0006】
また、下端部に入力スプロケット(30)と上端部に出力スプロケット(32)とが嵌め付けられた回転伝動軸(28)を、食材収容鍋(A)における胴面の周辺部へ垂直に立設していると共に、このような伝動系統を被覆する必要もあるため、重量バランスが
図3の右側において過度に重く不均衡となり、設置状態と鍋転倒作用の安定性に劣る問題もある。
【0007】
それにもまして、上記したように食材収容鍋(A)の胴面に捲き付けられたチェン(16)と、垂直な回転伝動軸(28)の上端部にある出力スプロケット(32)とが、噛合する状態にあるばかりでなく、同じく食材収容鍋(A)の胴面から張り出す係合フランジ(14)と、鍋受リング(17)側の包囲ローラー(18)とが、係合するようになっている構成上、食材収容鍋(A)の胴面に沿って流下する水を封止することが困難であり、食材収容鍋(A)の底面に臨む電磁誘導加熱器(D)の電磁誘導加熱コイル(33)やその周辺部を、食材収容鍋(A)の洗浄水やその食材の水分などから防水状態に保つことができず、延いては食品衛生上の問題を招くことになる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明はこのような諸問題の改良を目的としており、その目的を達成するために、請求項1では底面がフラットな食材収容鍋と、その食材収容鍋の底面を加熱する電磁誘導加熱器と、上記食材収容鍋の底面中心部に固着された軸受ボスへ、上端部が下方から一体回転し得るように螺合締結された垂直のセンター支軸と、そのセンター支軸を回転させる食材収容鍋用水平回転駆動機構とを備えた電磁誘導加熱式の大型回転調理釜であって、
【0009】
上記電磁誘導加熱器を断面ほぼU字形に造形された鍋受け台内の水平な仕切り棚板よりも上段位置へ設置する一方、その仕切り棚板よりも下段位置に上記食材収容鍋用水平回転駆動機構の駆動モーターを設置すると共に、
【0010】
上記鍋受け台の開口上面を施蓋する天板を、上記食材収容鍋の底面と電磁誘導加熱器の加熱作用平面との上下相互間に介在するフラットな断熱カバーとして、
【0011】
その断熱カバーの中央部へ上記軸受ボスの挿通口が形成されたシールフランジを、水密状態に取り付け固定し、
【0012】
しかも、そのシールフランジにおける軸受ボス挿通口の開口縁部へ、上記軸受ボスとの水密状態を保つOリングを嵌め付けたことを特徴とする。
【0013】
請求項2では食材収容鍋をオーステナイト系ステンレス(SUS304)の胴面と、その胴面よりも厚肉な蓄熱層として機能するフェライト系ステンレス(SUS430)の底面とから溶接一体化して、
【0014】
その底面における中央加熱区域と周辺加熱区域との加熱ムラを吸収し得るように定めたことを特徴とする。
【0015】
請求項3では鍋受け台の天板がガラス繊維により補強された耐熱性合成樹脂から成り、食材収容鍋の底面から発する輻射熱が電磁誘導加熱器の加熱コイルや加熱用インバーターへ伝播することを防ぐ断熱カバーとして機能し得るようになっていることを特徴とする。
【0016】
請求項4では鍋受け台内の水平な仕切り棚板における中央部の下面に、断面ほぼ倒立U字形の床梁を左右方向へ延在する水平状態に固定横架させて、
【0017】
食材収容鍋の底面から上記仕切り棚板の貫通状態に垂下するセンター支軸の下端部を、上記床梁に軸受けさせる一方、その床梁の下面に食材収容鍋用水平回転駆動機構の駆動モーターを取り付け固定すると共に、
【0018】
その駆動モーターの出力軸に嵌め付けた駆動スプロケットと、上記センター支軸の中途高さ位置に嵌め付けた従動スプロケットとを、上記床梁の内部に延在する無端な伝動チェンによって連結したことを特徴とする。
【0019】
請求項5では鍋受け台の内部を左右方向へ延在する水平な床梁の両端部から、左右一対の吊持アームを上向き一体的に起立させて、
【0020】
その両吊持アームの上端部から各々外向き一体的に張り出す水平な釜転倒軸を向かい合う左右一対の据付けボックスへ、その水平軸線周りでの起伏的な回動自在に枢着することにより、
【0021】
上記鍋受け台上にある食材収容鍋を前後方向へ約90度ずつ転倒し得るように定めたことを特徴とする。
【0022】
請求項6では鍋受け台内の仕切り棚板を電磁誘導加熱器の水平な器体フレームとして、
【0023】
その電磁誘導加熱器における食材収容鍋の底面中央加熱区域を加熱する中央電磁誘導加熱コイルの1個を、上記器体フレームの中央部へ中央電磁誘導加熱コイル用受け止めブラケットと複数のネジ支柱により、設置高さの調整自在に取り付け固定すると共に、
【0024】
上記電磁誘導加熱器における食材収容鍋の底面周辺加熱区域の加熱を分担する第1、2周辺電磁誘導加熱コイルの2個ずつを、上記器体フレームの周辺部へ第1、2周辺電磁誘導加熱コイル用受け止めブラケットと複数ずつのネジ支柱により、設置高さと前後方向への取付位置を調整できるように取り付け固定したことを特徴とする。
【0025】
請求項7では電磁誘導加熱器における第1、2周辺電磁誘導加熱コイルの2個ずつをその各個の受け止めブラケットへ、何れも加熱用インバーターとその放熱ファンも一緒に組み付けられたユニット体の汎用品として搭載する一方、
【0026】
上記第1、2周辺電磁誘導加熱コイルよりも巻き径の大きな中央電磁誘導加熱コイルの1個をその受け止めブラケットへ、食材収容鍋のセンター支軸を包囲し得る渦巻き状態の専用品として搭載すると共に、
【0027】
その中央電磁誘導加熱コイルの加熱用インバーターとその放熱ファンを、上記第1周辺電磁誘導加熱コイル用受け止めブラケット同士の隣り合う相互間又は上記第2周辺電磁誘導加熱コイル用受け止めブラケット同士の隣り合う相互間へ、別個に介挿設置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
請求項1の上記構成によれば、大型の食材収容鍋をその底面中心部に固着された軸受ボスへ、下方から螺合締結されたセンター支軸の1本によって支持しており、これを鍋受け台内の上段位置にある電磁誘導加熱器よりも下段位置にある食材収容鍋用水平回転駆動機構の駆動モーターによって、水平回転させるようになっているため、冒頭の特許文献1、2に開示された従来技術に比して、その食材収容鍋の水平回転駆動機構を著しく簡素化することができ、回転調理釜の重量としても左右均衡した安定な設置状態に保てる効果がある。
【0029】
また、鍋受け台の開口上面を施蓋する天板が、食材収容鍋の底面とその電磁誘導加熱器の加熱作用平面との上下相互間に介在するフラットな断熱カバーとして兼用されているため、合理的であり、必要な構成の簡素化に役立つ。
【0030】
しかも、上記軸受ボスの挿通口が形成されたシールフランジを、断熱カバーの中央部へ水密状態に取り付け固定していると共に、そのシールフランジにおける軸受ボス挿通口の開口縁部へ、上記軸受ボスとの水密状態を保つOリングを嵌め付けてあるため、上記電磁誘導加熱器の加熱コイルやその周辺部を食材収容鍋の洗浄水や、食材収容鍋の胴面に沿って流下する食材の水分などから、確実な防水状態に保てる効果がある。
【0031】
更に、鍋受け台における内部の水平な仕切り棚板よりも上段位置を言わば電磁誘導加熱器の格納室とし、同じく仕切り棚板よりも下段位置を食材収容鍋用水平回転駆動機構の格納室として、その電磁誘導加熱器と食材収容鍋用水平回転駆動機構とを上下に振り分け配置することができ、食材収容鍋の底面から上記仕切り棚板の貫通状態に垂下するセンター支軸を、その下方から上記水平回転駆動機構の駆動モーターによって、円滑に安定良く水平回転させ得る効果もある。
【0032】
その場合、請求項2の構成を採用するならば、食材収容鍋の特に厚肉化された底面が、蓄熱層として機能することにより、その底面の加熱ムラを吸収し得るほか、食材の投入時に起こる表面温度の低下を抑制することができ、その底面の加熱された例えば300度での高温調理を行える効果もある。
【0033】
請求項3の構成を採用するならば、鍋受け台の天板を断熱カバーとして、食材収容鍋の底面から発する輻射熱が電磁誘導加熱器の加熱コイルや加熱用インバーターへ伝播することを防止することができる。
【0034】
請求項4の構成を採用するならば、上記鍋受け台における電磁誘導加熱器の格納室と食材収容鍋用水平回転駆動機構の格納室との境界部を物理的に補強する床梁が、上記仕切り棚板の中央部を左右方向へ横断する水平状態に架設されていて、その床梁に上記センター支軸の下端部が軸受けされていると共に、下方から上記食材収容鍋用水平回転駆動機構の駆動モーターが取り付け固定されているため、これらの極めて安定・強固な取付状態を得られるのであり、耐用性にも著しく優れる。
【0035】
また、請求項5の構成を採用するならば、上記仕切り棚板の中央部を左右方向へ延在する水平な床梁の両端部から一体的に起立する吊持アームが、その上端部から各々横方向へ張り出す水平な釜転倒軸を介して、向かい合う左右一対の据付けボックスへ起伏的な回動自在に枢着されているため、その回転調理釜の吊持状態が著しく安定し、これを円滑に前後方向へ転倒させることができる。
【0036】
請求項6の構成を採用するならば、鍋受け台の内部を仕切る水平な仕切り棚板を電磁誘導加熱器の器体フレームとして、その食材収容鍋における底面中央加熱区域を加熱する中央電磁誘導加熱コイルの1個が、その器体フレームの中央部へ設置高さの調整自在に取り付け固定されている一方、上記食材収容鍋における底面周辺加熱区域の加熱を分担する第1、2周辺電磁誘導加熱コイルの2個ずつが、上記器体フレームの周辺部へ設置高さと前後方向への取付位置を調整できるように取り付け固定されているため、その電磁誘導加熱コイルの加熱作用平面を食材収容鍋におけるフラットな底面との関係上、全体的な均一に保ちやすく、便利良く調整作業できる効果がある。
【0037】
更に、請求項7の構成を採用するならば、電磁誘導加熱器をなす特に第1、2周辺電磁誘導加熱コイルの2個ずつが、その各個の受け止めブラケットへ、何れも加熱用インバーターとその放熱ファンも一緒に組み付けられたユニット体の汎用品として搭載されているため、その電磁誘導加熱コイルの各個を作成する必要がなく、万一故障した場合でも、その市販されている新品の汎用ユニット体を着脱・交換して使える効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】
本発明の実施形態に係る電磁誘導加熱式の大型回転調理釜を適用した食材炒め機械の斜面図である。
【
図2】
図1の回転調理釜を転倒させた姿勢状態の斜面図である。
【
図3】
図1の回転調理釜を破断して示す拡大正面図である。
【
図6】
図3の回転調理釜だけを抽出して更に拡大した正面図である。
【
図8】
食材収容鍋用水平回転駆動機構を抽出して示す斜面図である。
【
図11】
図6の回転調理釜における食材収容鍋用水平回転駆動機構の位置関係を示す平面図である。
【
図12】
図6の回転調理釜における電磁誘導加熱器の位置関係も併せて示す平面図である。
【
図16】
電磁誘導加熱器における電磁誘導加熱コイルの点在分布する全体的な設置状態を示す平面図である。
【
図17】
電磁誘導加熱器における周辺電磁誘導加熱コイルの組み付けユニット体(単品)を抽出して示す斜面図である。
【
図21】
食材収容鍋の底面に対する電磁誘導加熱コイルの加熱区域とその分布パターンの全体を示す平面模式図である。
【
図22】
電磁誘導加熱器の電磁誘導加熱コイルを加熱するインバーターの制御回路図である。
【
図23】
回転調理釜の釜底カバーを抽出して示す斜面図である。
【
図26】
回転調理釜における鍋受け台の天板兼断熱カバーを抽出して示す平面図である。
【
図28】
図26からシールフランジと支持スタンドを抽出して示す斜面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、図面に基づいて本発明の好適な実施形態を詳述する。図1~16は主に焼き飯や野菜炒めなどの食材炒め機械用としてふさわしい電磁誘導加熱(IH)式の大型回転調理釜(火床)を示しており、(1L)(1R)は作業床に固定される左右一対の据付けボックスであって、その何れか一方(図1~4の左側)の据付けボックス(1L)には撹拌機駆動ボックス(2)が内部の連通状態に搭載されていると共に、残る他方(同図の右側)の据付けボックス(1R)には後述の釜転倒作動機構(A)が内蔵されている。
【0040】
(T)は上記据付けボックス(1L)(1R)の左右相互間に介在する回転調理釜であり、円形の大型食材収容鍋(3)を保持することになる。その食材収容鍋(3)は図3、6のようなフラットな底面(3a)と、例えば1100mmの直径並びに294mmの深さを備えている。その底面(3a)は導電性を有し、特に蓄熱層を形成するために厚肉化されている。
【0041】
この点、図例の食材収容鍋(3)ではオーステナイト系ステンレス(SUS304)の胴面(3b)とフェライト系ステンレス(SUS430)の底面(3a)とが溶接一体化されており、その底面(3a)の厚みが12mmとして、胴面(3b)の厚み(4mm)の3倍になっているが、導電性のフラットな底面(3a)を有する食材収容鍋(3)である限り、鉄とステンレス又はアルミとのクラッド材やステンレスとアルミとの3層グラッド材(内側:SUS304+中間:アルミ+外側:SUS430)、磁性体である鉄粉の発熱被膜が溶着された銅などから作成しても良く、磁性体の鉄も勿論採用することができる。
【0042】
(M)は上記回転調理釜(T)の鍋受け台であって、ステンレス(SUS304)から図3、6や図11~13のような断面ほぼU字形に造形されており、その内部の水平な仕切り棚板(4)よりも上段位置には食材収容鍋(3)の電磁誘導加熱器(H)が格納設置されている。その電磁誘導加熱器(H)の具体的な構成については詳しく後述する。
【0043】
上記鍋受け台(M)は平面視のほぼ矩形をなし、その仕切り棚板(4)と床板(5)との上下相互間における中央部には、図11~15のような骨材となる断面ほぼ倒立U字形の床梁(6)が左右方向へ延在する状態(食材収容鍋の直径線上に対応位置する横断状態)として、水平に固定横架されている。その仕切り棚板(4)と床板(5)並びに床梁(6)は、何れもステンレス(SUS304)から成る。
【0044】
そして、その仕切り棚板(4)の下面に取り付け固定された床梁(6)と向かい合う開口幅の広い断面ほぼU字形の釜底カバー(7)が、図13~15のように上記鍋受け台(M)の床板(5)へ下方から取り付け固定されており、その釜底カバー(7)によって食材収容鍋(3)における後述するセンター支軸の下端部やその食材収容鍋用水平回転駆動機構のギヤードモーターなどを包囲するようになっている。
【0045】
(8L)(8R)は上記鍋受け台(M)の骨材となる床梁(6)の両端部から上向き一体的に起立された左右一対の吊持アームであり、その吊持アーム(8L)(8R)の上端部から各々外向き一体的に張り出す水平な釜転倒軸(9L)(9R)が、図3~5のように左右一対の上記据付けボックス(1L)(1R)へ軸受メタル(10)などを介して、何れも回動自在に枢着されている。その左右一対の釜転倒軸(9L)(9R)は図3、6から明白なように、ステンレス(SUS304)のシームレスパイプから成り、その中空内部を電気配線通路として活用できるようになっている。
【0046】
先に一言した釜転倒作動機構(A)をなす駆動モーター(11)は減速機(12)付きとして、図3~5の右側据付けボックス(1R)内の下部に据え付け固定されている。(13)は左右一対の上記釜転倒軸(9L)(9R)における駆動モーター(11)と対応位置する右側(駆動側)釜転倒軸(9R)の張り出し先端部へ、一体回転し得るように取り付け固定された伝動スプロケットであり、これと減速機(12)の径大な伝動スプロケット(14)との上下相互間には、無端な第2伝動チェン(15)が巻き掛けられている。(16)はその減速機(12)の径小な伝動スプロケット(17)と上記駆動モーター(11)の出力スプロケット(18)との前後相互間に巻き掛けられた無端な第1伝動チェンである。
【0047】
上記釜転倒作動機構(A)の駆動モーター(11)によって釜転倒軸(9L)(9R)を回転させれば、鍋受け台(M)の床梁(6)と吊持アーム(8L)(8R)を介して吊持されている回転調理釜(T)が、その両釜転倒軸(9L)(9R)の水平軸線(X-X)を中心として、起伏的に回動するため、その鍋受け台(M)に保持された食材収容鍋(3)を図2のように、前方と後方へ約90度ずつ転倒させることができ、その食材収容鍋(3)から例えば炒め調理された焼き飯などの食材を容易に便利良く取り出せるのである。
【0048】
(19)は上記食材収容鍋(3)における厚肉な底面(3a)の中心部へ、好ましくは溶接により固着一体化された軸受ボスであって、ステンレス(SUS304)の筒ナットなどから成り、これに対して下方から食材収容鍋(3)のセンター支軸(20)が一体回転し得るように螺合締結されている。
【0049】
図例では、上記軸受ボス(19)と同じステンレス鋼棒(SUS304)から成るセンター支軸(20)の上端部に、M36の右ネジが刻設されており、そのセンター支軸(20)の下端部へスパナやその他の回動操作工具(図示省略)を掛け止めて、上記食材収容鍋(3)の軸受ボス(19)へ図6、7のように下方からねじ込み固定することができるようになっている。
【0050】
その場合、食材収容鍋(3)の底面(3a)から一体的に垂下するセンター支軸(20)は、図6や図13~15から明白なように、上記回転調理釜(T)における鍋受け台(M)の水平な仕切り棚板(4)と床梁(6)を貫通して、釜底カバー(7)の内部まで到達しており、その下端部が軸受ベース(21)やライナープレート(22)、フランジピロー(23)などを介して、上記床梁(6)の下面へ回動自在に支持されている。(24)はそのセンター支軸(20)のスラストベアリングである。
【0051】
(B)は上記食材収容鍋(3)の水平回転駆動機構であって、その食材収容鍋(3)のセンター支軸(20)を回転駆動するギヤードモーター(25)が、図6や図8~10のように上記床梁(6)の下面へやはりモーターベース(26)やライナープレート(27)などを介して取り付け固定されており、その上記食材収容鍋(3)のセンター支軸(20)と平行に垂立する出力軸(28)の上端部には、駆動スプロケット(29)が嵌め付け一体化されている。
【0052】
そのギヤードモーター(25)の駆動スプロケット(29)と対応する従動スプロケット(30)は、上記センター支軸(20)の中途高さ位置に嵌め付け一体化されており、その並列する両スプロケット(29)(30)の左右相互間に亘って、無端な伝動チェン(31)が巻き掛けられている。このような伝動系統は図6、11、15から明白なように、上記鍋受け台(M)の骨材をなす床梁(6)の内部へ格納された状態にある。
【0053】
そのため、上記ギヤードモーター(25)によって食材収容鍋(3)を、そのセンター支軸(20)の垂直軸線(Y-Y)周りに水平回転させることができる。その回転速度は一例として2.9~11.6rpm、好ましくは10rpmである。
【0054】
上記電磁誘導加熱器(H)は図12~16に抽出して示すように、食材収容鍋(3)の底面中央加熱区域(Z)を加熱する1個の中央電磁誘導加熱コイル(32)と、同じく底面周辺加熱区域(Z1)(Z2)の加熱を分担する2個ずつの第1、2周辺電磁誘導加熱コイル(33a)(33b)との合計5個から成り、その2個ずつの第1、2周辺電磁誘導加熱コイル(33a)(33b)が中央電磁誘導加熱コイル(32)を中心とする全体的な放射配置型に点在分布されている。
【0055】
しかも、その場合2個ずつの第1、2周辺電磁誘導加熱コイル用受け止めブラケット(34a)(34b)は、上記鍋受け台(M)の水平な仕切り棚板(4)を電磁誘導加熱器(H)の器体フレームとして、図6、12から明白なように、その器体フレーム(4)の周辺部へ複数(図例では4本)ずつのネジ支柱(35)により、設置高さと前後方向への取付位置を調整できるように取り付けられている。(36)はその各ネジ支柱(35)の受け入れ長孔であり、器体フレーム(4)の前後方向に沿って切り欠かれている。(37)は同じく各ネジ支柱(35)に締結された固定ナットであり、上記器体フレーム(4)を上下方向から挟み付けるようになっている。
【0056】
他方、1個の中央電磁誘導加熱コイル用受け止めブラケット(38)は同じく器体フレーム(4)の中央部へ、図6、13、14のように倒立U字形の架台(39)とその上面に据え立てられた支持脚(40)を介して、やはり複数(図例では4本)ずつのネジ支柱(41)により、設置高さの調整自在に取り付けられている。その各ネジ支柱(41)は支持脚(40)の水平な上面を貫通しており、これに締結された固定ナット(42)が、その支持脚(40)の上面を上下方向から挟み付けるようになっている。
【0057】
また、上記食材収容鍋(3)のセンター支軸(20)は鍋受け台(M)内の上段位置にある架台(39)の上面を貫通しており、その上面へ上下方向から挟み付け固定された一対のフランジピロー(43)によって、その中途高さ位置が回転自在に安定良く軸受けされている。上記電磁誘導加熱コイル用受け止めブラケット(34a)(34b)(38)と架台(39)並びに支持脚(40)は、何れもステンレス(SUS304)から成る。
【0058】
更に、上記2個ずつの第1、2周辺電磁誘導加熱コイル(33a)(33b)は互いに同じ巻き径に密巻きされた形態の汎用品(市販品)であって、その単品を抽出した図17~20から示唆されるように、各受け止めブラケット(34a)(34b)へ何れも加熱用インバーター(高周波電源)(44a)(44b)とその放熱ファン(45)も一緒に組み付けられたユニット体として搭載されており、好ましくは5kwの小出力な汎用インバーター(44a)(44b)を使って、大型食材収容鍋(3)の広い底面全体を効率良く加熱することができるようになっている。
【0059】
これに比して、1個の中央電磁誘導加熱コイル(32)はその受け止めブラケット(38)へ、長い1本物の銅線(リッツ線)から上記第1,2周辺電磁誘導加熱コイル(33a)(33b)よりも大きな巻き径の周辺加熱コイル部(b)と、小さな巻き径の中央加熱コイル部(a)とが、サークル状の分離間隙(d)を保つ同芯渦巻き形態の専用品(特注品)として搭載されており、その加熱用インバーター(高周波電源)(46)と放熱ファン(47)が上記ブラケット(38)上に搭載された中央電磁誘導加熱コイル(32)と別個独立して、図12、16のように上記第2周辺電磁誘導加熱コイル用受け止めブラケット(34b)同士の隣り合う相互間に介挿設置されている。但し、その中央電磁誘導加熱コイル(32)の加熱用インバーター(46)とその放熱ファン(47)は上記第1周辺電磁誘導加熱コイル用受け止めブラケット(34a)同士の隣り合う相互間へ介挿設置してもさしつかえない。
【0060】
上記電磁誘導加熱器(H)をなす第1、2周辺電磁誘導加熱コイル(33a)(33b)の2個ずつは、食材収容鍋(3)におけるセンター支軸(20)の垂直軸線(水平回転の中心線)(Y-Y)からの距離(半径)(R1)(R2)が遠近(長短)に相違変化している。
【0061】
つまり、図21の底面模式図に示す如く、2個の第1周辺電磁誘導加熱コイル(33a)は上記食材収容鍋(3)における水平回転の中心線(Y-Y)から近い距離(短い半径)(R1)を保つ偏心位置に臨まされており、他方同じく2個の第2周辺電磁誘導加熱コイル(33b)は上記水平回転の中心線(Y-Y)から第1周辺電磁誘導加熱コイル(33a)よりも遠い距離(長い半径)(R2)を保つ偏心位置に配設されている。
【0062】
そして、上記食材収容鍋(3)は水平回転されるため、第1周辺電磁誘導加熱コイル(33a)の巻き径を一定帯幅(D1)とする比較的径小なサークル状の底面周辺加熱区域(Z1)が、その第1周辺電磁誘導加熱コイル(33a)によって加熱されると共に、第2周辺電磁誘導加熱コイル(33b)の巻き径を一定帯幅(D2)とする比較的径大なサークル状の底面周辺加熱区域(Z2)が、その第2周辺電磁誘導加熱コイル(33b)によって加熱されることとなる。
【0063】
その場合、食材収容鍋(3)の底面(3a)を加熱する温度は、その水平回転の中心線(Y-Y)からの距離(半径)の2乗に反比例して低下する関係上、第2周辺電磁誘導加熱コイル(33b)による底面周辺加熱区域(Z2)の加熱温度が、第1周辺電磁誘導加熱コイル(33a)による底面周辺加熱区域(Z1)のそれよりも低下する結果となり、その底面周辺加熱区域(Z1)(Z2)同士の隣り合う相互間において、加熱温度差(加熱ムラ)を生じるおそれがある。
【0064】
そこで、図22の制御回路から示唆されるように、上記食材収容鍋(3)における底面周辺加熱区域(Z1)(Z2)の現在加熱温度を非接触式の温度センサー(48)によって検知し、その検知出力信号に基づいてシーケンサー(Programmable Logic Controller)又は温度調整コントローラー(49)が、上記第1、2周辺電磁誘導加熱コイル(33a)(33b)の対応する加熱用インバーター(44a)(44b)と中央電磁誘導加熱コイル(32)の対応する加熱用インバーター(46)も制御することにより、合計5個の電磁誘導加熱コイル(32)(33a)(33b)へ供給する高周波電流(例えば25KHz)を増減調整して、上記底面中央加熱区域(Z)と底面周辺加熱区域(Z1)(Z2)の加熱温度差(加熱ムラ)を無くすと共に、食材の加熱調理に必要な目標温度(例えば180℃~300℃)に保つのである。
【0065】
上記非接触式の温度センサー(48)としては、例えばサーモパイルやサーミスターなどの赤外線センサーを採用し、これを図3や図12~14に併記したように、上記釜底カバー(7)内の底面に据え立て固定し、食材収容鍋(3)の底面周辺加熱区域(Z1)(Z2)を指向させれば良い。
【0066】
その際、温度センサー(48)が上向く中途高さ位置を遮断する上記鍋受け台(M)の床梁(6)並びに仕切り棚板(4)や、その鍋受け台(M)の後述する天板などには、各々透過孔や間隙(図示省略)が悉く対応合致する位置関係の貫通状態に開口していることは言うまでもない。
【0067】
上記釜底カバー(7)の両側面からは図23~25に示す如く、上記鍋受け台(M)の吊持アーム(8L)(8R)に被着される左右一対の吊持アームカバー(50)が一体的に垂立しているほか、同じく両側面には上記電磁加熱器(H)の放熱を促進する吸・排気用ファンモーター(51a)(51b)とその通気口カバー(52)との左右一対ずつも設置されている。(53)は点在分布する複数の水抜き孔である。
【0068】
図示の実施形態では、第1、2周辺電磁誘導加熱コイル(33a)(33b)による底面周辺加熱区域(Z1)(Z2)同士の隣り合う相互が、図21のように一定帯幅(W)だけオーバーラップする関係状態に設定されており、そのため上記加熱温度差(加熱ムラ)の発生を防止することに役立つ。
【0069】
また、上記食材収容鍋(3)の底面(3a)が厚肉化されることにより、蓄熱層を形成していることも、その底面(3a)における加熱温度差(加熱ムラ)の防止上、有機的に働くと言える。その底面(3a)の高い熱伝導性が加熱温度差を吸収することになるからである。
【0070】
尚、1個の上記中央電磁誘導加熱コイル(32)と2個ずつの第1、2周辺電磁誘導加熱コイル(33a)(33b)との合計5個が点在分布する各電磁誘導加熱コイル(32)(33a)(33b)同士の隣り合う相互間には、図16、21に示唆するような磁界の影響し合うことを防ぐために必要な例えば60mm~100mmのクリヤランスが確保されていることは言うまでもない。
【0071】
更に、回転調理釜(T)の鍋受け台(M)は上記したとおり、断面ほぼU字形をなし且つ平面視のほぼ矩形に造形されているが、その開口上面を施蓋する別個のフラットな天板(54)が上記食材収容鍋(3)のフラットな底面(3a)と、鍋受け台(M)の上段位置に内蔵された電磁誘導加熱器(H)の全体的な加熱作用平面(55)との上下相互間に介在している。
【0072】
その天板(54)は図26~28に抽出して示すように、4mm程度の一定厚みを備えた耐熱性のFRPやその他の合成樹脂(商品名:ベスサーモ)、特に好ましくはガラス繊維により補強された熱硬化性樹脂から成り、電磁誘導加熱器(H)によって加熱された食材収容鍋(3)の底面(3a)から発する輻射熱が、その電磁誘導加熱器(H)の上記電磁誘導加熱コイル(32)(33a)(33b)や加熱用インバーター(46)(44a)(44b)へ伝播することを防ぐ断熱(絶縁)カバーとして機能し得るようになっている。
【0073】
(56)は上記天板(54)の中央部へ点在分布する複数の合成樹脂製止めネジ(57)によって取り付け固定されたシールフランジであり、フッ素樹脂(テフロン:登録商標)から上記食材収容鍋(3)の軸受ボス挿通口(58)を備えた段付き円盤状に作成されている。
【0074】
しかも、図27の部分拡大図から明白なように、その軸受ボス挿通口(58)の凹段面をなす開口縁部には、上記軸受ボス(19)との水密状態を保つシリコン製のOリング(59)が嵌め付けられていると共に、上記天板(54)へ取り付け固定されたシールフランジ(56)の周縁部も、図外のシリコンコーキングによって水密状態に封止されている。(60)はそのシールフランジ(56)の下面に裏当てされた合成樹脂製のシールサポートである。
【0075】
そのため、回転調理釜(T)の鍋受け台(M)上に保持されている食材収容鍋(3)の洗浄水やその収容鍋(3)から落下する食材の水分などが、鍋受け台(M)の内部にある電磁誘導加熱器(H)やその周辺部へ浸透するおそれはなく、安定な防水状態に保てるのであり、耐用性の向上にも役立つ。
【0076】
(61)は上記天板(54)の周辺部に貫通形成された透過孔であり、釜底カバー(7)の非接触式温度センサー(48)と対応位置する。(62)は同じく天板(54)の撓み変形を防ぐ左右一対の支持スタンドであって、そのステンレス(SUS304)の脚座(63)が上記鍋受け台(M)内の水平な仕切り棚板(4)上に取り付け固定されており、その脚座(63)の上面から垂立するアルミ製ヘッドパイプ(64)によって、上記天板(54)を下方から安定な水平の設置状態に受け止め支持している。(65)はその並列する各ヘッドパイプ(64)の上端部に嵌め付けられたアルミのセットカラーである。
【0077】
尚、電磁誘導加熱器(H)における上記電磁誘導加熱コイル(32)(33a)(33b)の全体的な加熱作用平面(55)には、絶縁・防水用の薄肉な合成樹脂フィルム(望ましくはテフロン(登録商標)のシート)(図示省略)をシリコン系コーティング剤やその他の接着剤によって被着一体化することが好ましい。
【0078】
そうすれば、経年使用中に万一上記断熱カバー(54)の傷付きや割れなどが起こっても、電磁誘導加熱器(H)の電磁誘導加熱コイル(32)(33a)(33b)をその平面(55)上の合成樹脂フィルムによって、防水状態と絶縁状態に保つことができ、平常では上記断熱カバー(54)との重畳的な防水効果と絶縁効果を得られることになる。
【符号の説明】
【0079】
(1L)(1R)・・・据付けボックス
(3)・・・・・食材収容鍋
(3a)・・・・底面
(3b)・・・・胴面
(4)・・・・・仕切り棚板(器体フレーム)
(5)・・・・・床板
(6)・・・・・床梁
(7)・・・・・釜底カバー
(8L)(8R)・・・吊持アーム
(9L)(9R)・・・釜転倒軸
(19)・・・・軸受ボス
(20)・・・・センター支軸
(25)・・・・ギヤードモーター(駆動モーター)
(28)・・・・出力軸
(29)・・・・駆動スプロケット
(30)・・・・従動スプロケット
(31)・・・・伝動チエン
(32)・・・・中央電磁誘導加熱コイル
(33a)・・・第1周辺電磁誘導加熱コイル
(33b)・・・第2周辺電磁誘導加熱コイル
(34a)・・・第1周辺電磁誘導加熱コイル用受け止めブラケット
(34b)・・・第2周辺電磁誘導加熱コイル用受け止めブラケット
(35)(41)・・・ネジ支柱
(38)・・・・中央電磁誘導加熱コイル用受け止めブラケット
(39)・・・・架台
(40)・・・・支持脚
(44a)・・・第1周辺電磁誘導加熱コイルの加熱用インバーター
(44b)・・・第2周辺電磁誘導加熱コイルの加熱用インバーター
(45)(47)・・・放熱ファン
(46)・・・・中央電磁誘導加熱コイルの加熱用インバーター
(48)・・・・温度センサー
(54)・・・・天板(断熱カバー)
(55)・・・・電磁誘導加熱器の加熱作用平面
(56)・・・・シールフランジ
(58)・・・・軸受ボス挿通口
(59)・・・・Oリング
(60)・・・・シールサポート
(62)・・・・支持スタンド
(A)・・・・・釜転倒作動機構
(B)・・・・・食材収容鍋用水平回転駆動機構
(d)・・・・・分離間隙
(H)・・・・・電磁誘導加熱器
(M)・・・・・鍋受け台
(T)・・・・・回転調理釜
(W)・・・・・一定幅(オーバーラップ量)
(X-X)・・・釜転倒軸の水平軸線
(Y-Y)・・・センター支軸の垂直軸線(水平回転の中心線)
(Z)・・・・・底面中央加熱区域
(Z1)・・・・第1底面周辺加熱区域
(Z2)・・・・第2底面周辺加熱区域
【要約】
【課題】
食材収容鍋の底面を加熱する電磁誘導加熱器がその鍋底から発する輻射熱を受けることの断熱(絶縁)効果や、洗浄水などを受けることの防水効果などを達成できるように保つ。
【解決手段】
底面(3a)がフラットな食材収容鍋(3)と、その食材収容鍋の底面を加熱する電磁誘導加熱器(H)と、同じく食材収容鍋の底面から一体的に垂下するセンター支軸(20)を、電磁誘導加熱器よりも下方位置から回転させる食材収容鍋用水平回転駆動機構(B)と、食材収容鍋の底面(3a)と電磁誘導加熱器の加熱作用平面(55)との上下相互間へ、水平設置状態に介在するフラットな断熱カバー(54)とを備えた電磁誘導加熱式の大型回転調理釜(T)である。
【選択図】
図6