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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】光学駆動装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/04 20210101AFI20240925BHJP
   G03B 5/00 20210101ALI20240925BHJP
   G03B 30/00 20210101ALI20240925BHJP
【FI】
G02B7/04 E
G03B5/00 J
G03B30/00
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2024500937
(86)(22)【出願日】2022-09-14
(86)【国際出願番号】 JP2022034340
(87)【国際公開番号】W WO2023157358
(87)【国際公開日】2023-08-24
【審査請求日】2024-07-25
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2022/006975
(32)【優先日】2022-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】524229897
【氏名又は名称】PiAct株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 康
(72)【発明者】
【氏名】桑名 稔
(72)【発明者】
【氏名】岡本 泰弘
(72)【発明者】
【氏名】小林 孝生
(72)【発明者】
【氏名】加納 健博
(72)【発明者】
【氏名】陸 聖
【審査官】▲うし▼田 真悟
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2021/0373278(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第113126232(CN,A)
【文献】韓国公開特許第10-2020-0144349(KR,A)
【文献】特開2021-12235(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/04
G03B 5/00
H04N 23/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定部材と、
前記固定部材に対して移動可能な被駆動部材と、
前記固定部材に対する前記被駆動部材の移動を予め定められた方向へ制限する案内部材と、
を有し、
前記案内部材は、
前記固定部材と前記被駆動部材のいずれか一方に形成されるV字断面形状の第1の溝と、
前記固定部材と前記被駆動部材の他方に形成される前記第1の溝に嵌合する第1の凸部と、
前記第1の溝と前記第1の凸部とのギャップに介在し、前記第1の溝の長手方向および前記長手方向に直交する方向に複数配され、転がり摩擦を生じさせる微小球と、
を有する、光学駆動装置。
【請求項2】
前記固定部材と前記被駆動部材のいずれか一方に設けられ、前記固定部材と前記被駆動部材とを吸着する磁性体をさらに有する、請求項1に記載の光学駆動装置。
【請求項3】
前記案内部材は、
前記固定部材と前記被駆動部材のいずれか一方に形成される平坦断面形状の第2の溝と、
前記固定部材と前記被駆動部材の他方に形成される前記第2の溝に嵌合する第2の凸部と、
前記第2の溝と前記第2の凸部とのギャップに介在し、前記第2の溝の長手方向および前記長手方向に直交する方向に複数配され、転がり摩擦を生じさせる微小球と、
をさらに有する、請求項1に記載の光学駆動装置。
【請求項4】
前記案内部材は、
前記固定部材と前記被駆動部材のいずれか一方に形成される平坦断面形状の第2の溝と、
前記固定部材と前記被駆動部材の他方に形成される前記第2の溝に嵌合する第2の凸部と、
前記第2の溝と前記第2の凸部とのギャップに介在し、前記第2の溝の長手方向および前記長手方向に直交する方向に複数配され、転がり摩擦を生じさせる微小球と、
をさらに有し、
前記磁性体は、前記第1の溝および前記第1の凸部と、前記第2の溝および前記第2の凸部との間に設けられる、請求項2に記載の光学駆動装置。
【請求項5】
前記案内部材は、
前記固定部材と前記被駆動部材のいずれか一方に形成されるV字断面形状の第2の溝と、
前記固定部材と前記被駆動部材の他方に形成される前記第2の溝に嵌合する第2の凸部と、
前記第2の溝と前記第2の凸部とのギャップに介在し、前記第2の溝の長手方向および前記長手方向に直交する方向に複数配され、転がり摩擦を生じさせる微小球と、
をさらに有する、請求項1に記載の光学駆動装置。
【請求項6】
前記案内部材は、
前記固定部材と前記被駆動部材のいずれか一方に形成されるV字断面形状の第2の溝と、
前記固定部材と前記被駆動部材の他方に形成される前記第2の溝に嵌合する第2の凸部と、
前記第2の溝と前記第2の凸部とのギャップに介在し、前記第2の溝の長手方向および前記長手方向に直交する方向に複数配され、転がり摩擦を生じさせる微小球と、
をさらに有し、
前記磁性体は、前記第1の溝および前記第1の凸部と、前記第2の溝および前記第2の凸部との間に設けられる、請求項2に記載の光学駆動装置。
【請求項7】
前記磁性体の吸着力(M)と、前記被駆動部材の重量(m)と、前記案内部材の基準点と前記磁性体の中心との間の距離(D1)、および前記案内部材の基準点と前記被駆動部材の重心との間の距離(D2)との関係が、M>1.5m×D2/D1である、請求項2に記載の光学駆動装置。
【請求項8】
前記第1の溝を形成する面に、前記微小球を含むゲルが塗布され、前記微小球の拡散を防止するゲル収容部が設けられる、請求項1に記載の光学駆動装置。
【請求項9】
前記第1の凸部を形成する面の端に、前記微小球を前記ギャップに誘い込む傾斜部が設けられる、請求項1に記載の光学駆動装置。
【請求項10】
前記被駆動部材がSIDM(Smooth Impact Drive Mechanism)によって駆動される、請求項1に記載の光学駆動装置。
【請求項11】
前記被駆動部材がVCM(Voice Coil Motor)によって駆動される、請求項1に記載の光学駆動装置。
【請求項12】
前記被駆動部材がSMA(Shape Memory Alloy)によって駆動される、請求項1に記載の光学駆動装置。
【請求項13】
前記被駆動部材が複数設けられ、複数の前記被駆動部材は各々独立に駆動される、請求項1に記載の光学駆動装置。
【請求項14】
前記微小球は非磁性体である、請求項1に記載の光学駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
手振れ補正のために撮像素子を移動させる構成において、圧電素子の伸縮により駆動軸を往復移動させて駆動することが開示されている(例えば、特許文献1)。また、移動式キャリッジと直線ガイドを備えた装置において、滑り面に流体潤滑剤を使用する構成が開示されている(例えば、特許文献2)。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1] 特開2008-225349
[特許文献2] 特開2012-152892
【一般的開示】
【0003】
本発明の一態様においては、光学駆動装置が提供される。光学駆動装置は、固定部材と、上記固定部材に対して移動可能な被駆動部材と、上記固定部材に対する上記被駆動部材の移動を予め定められた方向へ制限する案内部材と、上記固定部材と上記被駆動部材のいずれか一方に設けられ、上記固定部材と上記被駆動部材とを吸着する磁性体と、を有し、上記案内部材は、上記固定部材と上記被駆動部材のいずれか一方に形成されるV字断面形状の第1の溝と、上記固定部材と上記被駆動部材の他方に形成される上記第1の溝に嵌合する第1の凸部と、上記第1の溝と上記第1の凸部とのギャップに介在し、上記第1の溝の長手方向および上記長手方向に直交する方向に複数配され、転がり摩擦を生じさせる微小球と、を有する。
【0004】
上記案内部材は、上記固定部材と上記被駆動部材のいずれか一方に形成される平坦断面形状の第2の溝と、上記固定部材と上記被駆動部材の他方に形成される上記第2の溝に嵌合する第2の凸部と、上記第2の溝と上記第2の凸部とのギャップに介在し、上記第2の溝の長手方向および上記長手方向に直交する方向に複数配され、転がり摩擦を生じさせる微小球と、をさらに有してよい。
【0005】
上記案内部材は、上記固定部材と上記被駆動部材のいずれか一方に形成されるV字断面形状の第2の溝と、上記固定部材と上記被駆動部材の他方に形成される上記第2の溝に嵌合する第2の凸部と、上記第2の溝と上記第2の凸部とのギャップに介在し、上記第2の溝の長手方向および上記長手方向に直交する方向に複数配され、転がり摩擦を生じさせる微小球と、をさらに有してよい。
【0006】
上記磁性体は、上記第1の溝および上記第1の凸部と、上記第2の溝および上記第2の凸部との間に設けられてよい。
【0007】
上記磁性体の吸着力(M)と、上記被駆動部材の重量(m)と、上記案内部材の基準点と上記磁性体の中心との間の距離(D1)、および上記案内部材の基準点と上記被駆動部材の重心との間の距離(D2)との関係が、M>1.5m×D2/D1であってよい。
【0008】
上記第1の溝を形成する面に、上記微小球を含むゲルが塗布され、上記微小球の拡散を防止するゲル収容部が設けられてよい。
【0009】
上記第1の凸部を形成する面の端に、上記微小球を上記ギャップに誘い込む傾斜部が設けられてよい。
【0010】
上記被駆動部材がSIDM(Smooth Impact Drive Mechanism)によって駆動されてよい。
【0011】
上記被駆動部材がVCM(Voice Coil Motor)によって駆動されてよい。
【0012】
上記被駆動部材がSMA(Shape Memory Alloy)によって駆動されてよい。
【0013】
上記被駆動部材が複数設けられ、複数の上記被駆動部材は各々独立に駆動されてよい。
【0014】
上記微小球は非磁性体であってよい。
【0015】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1の実施形態における光学駆動装置100の概略構成を示す正面図である。
図2】第1の実施形態における光学駆動装置100の概略構成を示す側面図である。
図3】第1の実施形態における光学駆動装置100のカバーを外した状態を示す斜視図である。
図4】第1の実施形態における光学駆動装置100の概略構成を示す分解斜視図である。
図5図2のA-A断面図である。
図6】第1の実施形態における案内部材4の詳細構成について示す図である。
図7】第1の実施形態における案内部材4の詳細構成について示す図である。
図8】他の例における案内部材4gを示す。
図9】第1の実施形態における電気機械変換素子5aの概略構成を示す側面図である。
図10】第1の実施形態における電気機械変換素子5aの概略構成を示す正面図である。
図11】第2の実施形態における光学駆動装置200の概略構成を示す斜視図である。
図12】第2の実施形態における光学駆動装置200の概略構成を示す分解斜視図である。
図13】第2の実施形態における駆動ユニット26b周辺の概略構成を示す斜視図である。
図14】第2の実施形態における駆動ユニット26b周辺の概略構成を示す分解斜視図である。
図15】第2の実施形態における駆動ユニット26b周辺の概略構成を示す正面図である。
図16】第2の実施形態における光学駆動装置200の概略構成を示す正面図である。
図17図16のA-A断面図である。
図18図16のB-B断面図である。
図19図16のC-C断面図である。
図20】第3の実施形態におけるズームカメラユニット300の概略構成を示す斜視図である。
図21】第3の実施形態におけるズームカメラユニット300のカバー320を外した状態を示す斜視図である。
図22図20のA-A断面図である。
図23】第3の実施形態におけるズームカメラユニット300の概略構成を示す分解斜視図である。
図24】第3の実施形態における第3レンズ群380の概略構成を示す斜視図である。
図25】第3の実施形態における第3レンズ群380周辺の概略構成を示す部分拡大正面図である。
図26】第3の実施形態における第3レンズ群380周辺の概略構成を示す側面断面図である。
図27図26の範囲Fの拡大図である。
図28】第4の実施形態におけるレンズ駆動装置400の構成を示す分解斜視図である。
図29】第4の実施形態におけるレンズ駆動装置400の構成を示す断面図である。
図30】レンズ駆動装置400の他の構成を示す断面図である。
図31】第5の実施形態における光学駆動装置500の斜視図である。
図32】第5の実施形態における光学駆動装置500のカバー501を外した状態を示す斜視図である。
図33】第5の実施形態における光学駆動装置500の概略構成を示す分解斜視図である。
図34】第5の実施形態における光学駆動装置500のカバー501を外した状態を示す側面図である。
図35図34のA-A断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0018】
[第1の実施形態の構成]
図1は、第1の実施形態における光学駆動装置100の概略構成を示す正面図であり、図2は、第1の実施形態における光学駆動装置100の概略構成を示す側面図であり、図3は、第1の実施形態における光学駆動装置100のカバー8を外した状態を示す斜視図である。図1から図3に示す光学駆動装置100は、レンズ7aを固定枠2に対して光軸方向に移動させることによりオートフォーカスを行う装置、例えば、撮像装置に組み込まれて使用される。図1から図3にはxyz座標系が示される。xy方向は光学駆動装置100のレンズ7aの光軸方向に直交する方向であり、z方向は、光学駆動装置100のレンズ7aの光軸方向であって予め定められた方向である。
【0019】
図4は、第1の実施形態における光学駆動装置100の概略構成を示す分解斜視図である。図4に示すように、光学駆動装置100は、センサ基板1と、固定部材としての固定枠2と、検出ユニット3と、案内部材4と、駆動ユニット5と、被駆動部材としてのレンズ枠6と、レンズホルダ7と、カバー8と、を備える。
【0020】
固定枠2には、画像センサ1aを有するセンサ基板1が固定される。画像センサ1aは、例えば、CCD(Charge Coupled Device)や、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などのイメージセンサである。固定枠2は略矩形形状であり、4辺を有する。固定枠2の上部の辺2aにはレンズ枠6を移動可能に支持する支持部材2bが形成される。支持部材2bには案内部材4の第1の凸部4aと第2の凸部4bが形成される。支持部材2bの上面には、検出ユニット3の補強板3aが設けられる。
【0021】
検出ユニット3は、補強板3aと、レンズ枠6に設けられた検出用マグネット3bと、支持部材2bに設けられたホール素子3cが搭載されたFPC(Flexible printed circuits)基板3dと、で構成される検出装置である。検出用マグネット3bは、レンズ枠6の上部の辺6aに設けられる。ホール素子3cは、支持部材2bの検出用マグネット3bに対向する検出面に設けられる。支持部材2bに設けられたホール素子3cが、レンズ枠6に設けられた検出用マグネット3bの磁界を検出し、レンズ7aの光軸方向における、レンズ枠6の固定枠2に対する相対位置を検出する。ホール素子3cが搭載された補強板3aは磁性体で構成されており、補強板3aと検出用マグネット3bとが磁力によって互いに吸引することにより、レンズ枠6が固定枠2にy方向へ吸引される。したがって、固定枠2とレンズ枠6とが遊離することが予防される。
【0022】
案内部材4は、支持部材2bに設けられた第1の凸部4a、第2の凸部4bと、レンズ枠6に設けられた第1の溝4c、第2の溝4dとで構成される。案内部材4は、検出ユニット3と同一の辺(辺2aおよび辺6a)に設けられる。案内部材4は、レンズ枠6を予め定められた方向であるレンズ7aの光軸方向に案内する。
【0023】
駆動ユニット5は、固定枠2に固着された非図示の駆動回路基板と結合される電気機械変換素子5aと、駆動軸5bと、伝達部材としてのコイルバネ5cとで構成される。電気機械変換素子5aは非図示の駆動回路と接続され、電圧のON、OFFで伸張収縮し、その伸びと縮みの速度が調整可能である。電気機械変換素子5aは駆動軸5bと接続され、駆動軸5bに摩擦係合したコイルバネ5cを駆動軸5bの軸方向に駆動する。駆動軸5bの軸方向はレンズ7aの光軸方向に平行であることが好ましいが、ずれがあってもよい。
【0024】
電気機械変換素子5aは、圧電セラミックからなる複数の圧電材料と内部電極とが交互に積層された積層型圧電素子である。電気機械変換素子5aは、例えばSIDM(Smooth Impact Drive Mechanism:登録商標)である。駆動軸5bは、電気機械変換素子5aの伸縮方向の一端に接着剤で接合されたロッド状の部材である。電気機械変換素子5aと駆動軸5bとは接着により固着する。
【0025】
コイルバネ5cには駆動軸5bが圧入される。コイルバネ5cはその内径が駆動軸5bの外径より小さく、コイルバネ5cに駆動軸5bが圧入されることで弾性体であるコイルバネ5cが拡径し、コイルバネ5cと駆動軸5bとが摩擦係合する。コイルバネ5cは、コイル部5dと2つのアーム部5eおよび5fとを有する。コイルバネ5cの固定枠2側のアーム部5eは、レンズ枠6に設けられた当接部6cに当接する。コイルバネ5cのレンズ枠6側のアーム部5fは、レンズ枠6に設けられた当接部6dに当接する。各アーム部5e、5fと対応する当接部6c、6dとは、光軸方向に直交する方向について摺動可能であることが好ましい。
【0026】
コイルバネ5cの2つのアーム部5eおよび5fが、レンズ枠6に設けられた2カ所の当接部6cおよび6dを弾性的に押し出す方向へ押圧することにより、駆動軸5bに伝えられた±z方向の駆動力をレンズ枠6に伝達する。より詳細には、コイルバネ5cの固定枠2側のアーム部5eによってレンズ枠6を+z方向(固着側)に駆動し、コイルバネ5cのレンズ枠6側のアーム部5fによってレンズ枠6を-z方向(軸先側)に駆動する。これにより、レンズ枠6がレンズ7aの光軸方向(±z方向)に移動する。なお、レンズ枠6がレンズの光軸に直交する方向(xy方向)に移動する構成としてもよい。
【0027】
以上のように、コイルバネ5cによって駆動ユニット5からの駆動力が伝達されることにより、コイルバネ5cとレンズ枠6とは一体的に移動する。コイルバネ5cのアーム部5eおよび5fが被駆動部材であるレンズ枠6に作用する作用点と、コイル部5dの巻き外周部との間の距離は、コイルバネ5cの線径の6倍以下であることが好ましい。これにより、駆動時にアーム部5eおよび5fの弾性変形を抑えて伝達効率を上げられ、また外部から衝撃がかかった場合のアーム部5eおよび5fの塑性変形を抑えられる。
【0028】
伝達部材を弾性力を有するコイルバネ5cで構成することにより、駆動ユニット5からの駆動力をレンズ枠6に伝達する際に生じ得るガタを低減できる。また、伝達部材をコイルバネ5cで構成することにより駆動ユニット5における駆動軸5b周辺の部材のスペースを小さくできる。また、伝達部材をコイルバネ5cで構成することにより、駆動軸5bと伝達部材との接触箇所が螺旋状になって圧力が分散するため、駆動軸5bの摩耗を低減できる。
【0029】
レンズ枠6は、駆動ユニット5によって駆動される被駆動部材であり、固定枠2に対して相対的に移動可能である。レンズ枠6には、レンズ7aを保持するレンズホルダ7が挿入され、螺合されている。レンズ枠6は、カバー8内でレンズ7aの光軸方向に移動する。レンズ枠6は、一例として樹脂を用いて、略矩形状に成形されている。レンズ枠6の上部の辺6aには、案内部材4の第1の溝4cおよび第2の溝4dが形成される。
【0030】
第1の溝4cは、V字断面形状の第1の溝である。第1の溝4cは、固定枠2の支持部材2bに設けられた第1の凸部4aに対向する位置に設けられている。第1の凸部4aは、V字断面形状の第1の凸部である。第2の溝4dは、平坦断面形状の第2の溝である。第2の溝4dは、第2の凸部4bに対向する位置に設けられている。第2の凸部4bは、平坦断面形状の第2の凸部である。また、レンズ枠6の上部の辺6aには、検出ユニット3の検出用マグネット3bが設けられる。
【0031】
図5は、図2のA-A断面図を示す。図5は、レンズ7aの光軸方向から見た光学駆動装置100を示している。図5に示すように、案内部材4は略矩形形状を有する光学駆動装置100の上部の辺に2つ設けられており、検出ユニット3を構成するFPC基板3dと補強板3a、検出用マグネット3b、およびホール素子3cは、案内部材4と同一の辺であって、第1の凸部4aおよび第1の溝4cと第2の凸部4bおよび第2の溝4dの間に設けられている。駆動ユニット5は、案内部材4と同一の辺の+x方向側に案内部材4とは別個に設けられている。
【0032】
図6および図7は、第1の実施形態における案内部材4の詳細構成について示す図である。図6は、レンズ7aの光軸方向から見た案内部材4の、第1の凸部4a、第1の溝4c側の断面形状を示し、図7は、案内部材4の、第2の凸部4b、第2の溝4d側の断面形状を示している。案内部材4は、検出ユニット3と同一の辺(辺2aおよび辺6a)に設けられる。図5から図7に示すように、案内部材4は、固定枠2の支持部材2bに形成された第1の凸部4a、第2の凸部4bと、レンズ枠6に形成された第1の溝4c、第2の溝4dと、複数の微小球(ミクロパール:登録商標)4eを含むゲル4f(以下、単に「微小球ゲル」ともいう)で構成される。微小球4eは、検出用マグネット3bからの影響を受けないように非磁性体で構成される。微小球4eは、例えば、樹脂製またはセラミック製であることが望ましい。
【0033】
説明の便宜を図るため、図6、7では複数の微小球4eの径を大きく描いているが、複数の微小球4eの径は、φ0.01~φ0.15(mm)であってよい。本件を採用する光学駆動装置において、微小球4eが転動する凸部や溝の面粗度と平面度を考慮するとφ0.01mmより小さい径の球を使うことは現実的でなく、またφ0.15mmより大きい球を用いることは装置の小型化を図るうえで好ましくない。
【0034】
図6に示すように、レンズ7aの光軸方向から見て、第1の凸部4aと第1の溝4cはV字形状を有する。固定枠2とレンズ枠6との間にはy方向に予め定められた厚さの隙間p1(ギャップ)が形成される。複数の微小球4eは、第1の凸部4aと第1の溝4cとの隙間p1に介在し、第1の溝4cの長手方向(±z方向)および長手方向に直交する方向(xy方向)に複数配される。複数の微小球4eは、第1の凸部4aと第1の溝4cに隙間なく密着しながら回転する。
【0035】
また、図7に示すように、レンズ7aの光軸方向から見て、第2の凸部4bと第2の溝4dは、x方向に平坦面のある略矩形形状を有する。固定枠2とレンズ枠6との間にはy方向に予め定められた厚さの隙間p1が形成され、x方向に予め定められた厚さの隙間p2(ギャップ)が形成される。複数の微小球4eは、第2の凸部4bと第2の溝4dとの隙間p2に介在し、第2の溝4dの長手方向(±z方向)および長手方向に直交する方向(±x方向)に複数配される。複数の微小球4eは、第2の凸部4bと第2の溝4dの平坦面に隙間なく密着しながら回転する。
【0036】
この構成によれば、レンズ枠6は複数の微小球4eを含むゲル4fを介して固定枠2の支持部材2bに圧着され、±z方向に移動可能に支持される。複数の微小球4eは各々同一の直径を有しており、これらが第1の凸部4aと第1の溝4cに、また第2の凸部4bと第2の溝4dに接触しながら転がるため、第1の凸部4aと第1の溝4cとの間、および第2の凸部4bと第2の溝4dとの間は一定の距離が保たれ、第1の溝4cは第1の凸部4aに対して平行に移動し、また第2の溝4dは第2の凸部4bに対して平行に移動する。したがって、第1の凸部4aと第2の凸部4bを有する固定枠2と、第1の溝4cと第2の溝4dを有するレンズ枠6との間には一定の距離が保たれ、レンズ枠6は固定枠2に対して平行に(±z方向に)移動する。
【0037】
これにより、レンズ枠6が画像センサ1aの受光面に対して傾いて(±z方向以外の方向に)移動することが防止される。また、レンズ枠6は複数の微小球4eを含むゲル4fを介して固定枠2に対して移動可能に支持されるため、レンズ枠6の移動の際に微小球4eの転がり摩擦による駆動抵抗のみが生じ、レンズ枠6は大きな抵抗力を持たずに移動可能である。なお、凸部4a、4bがレンズ枠6に形成され、溝4c、4dが固定枠2に形成されていてもよい。
【0038】
図5のように、第1の凸部4aと第1の溝4cをV字形状とする一方で、第2の凸部4bと第2の溝4dをx方向に隙間p2を有する矩形形状とすることで、x方向に過拘束となることを防いでいる。第2の凸部4bと第2の溝4dは、お互いの当接面を確実に設定し、ゲル4fの拡散を防ぐために凸部と溝にしているが、拡散防止剤など他の手段でゲル4fの拡散を防止したうえで、第2の溝4dをなくして凸部と平面部で当接させてもよい。
【0039】
第1の凸部4aと第1の溝4cとの間、および第2の凸部4bと第2の溝4dとの間に、同一の外形サイズを有する複数の微小球4eを含むゲル4fを入れることで、潤滑層の厚みを一定にすることができ、第1の凸部4aと第1の溝4cとの間、および第2の凸部4bと第2の溝4dとの間の摩擦の安定化が実現される。また、第1の凸部4aおよび第2の凸部4bを有する固定枠2と、第1の溝4cおよび第2の溝4dを有するレンズ枠6の平行度を維持することが容易となる。なお、複数の微小球を含むゲル4fは、組み込み時に第1の溝4c、第2の溝4dにあるいは第1の凸部4a、第2の凸部4bに塗布するだけで良いため、従来のボールガイド機構に比べ、取り扱いが簡単になり、組み立てが容易となる。
【0040】
図8は、他の例における案内部材4gを示す。図8は、レンズ7aの光軸方向から見た光学駆動装置100の断面図の他の例を示している。図8に示すように、他の例における案内部材4gは、V字形状の第1の凸部4aと第1の溝4cと、V字形状の第2の凸部4a'と第2の溝4c'と、を有する。V字形状の第1の凸部4aと第1の溝4cとの間、およびV字形状の第2の凸部4a'と第2の溝c'との間には、複数の微小球4eを含むゲル4fが配置される。このような構成とすることで、固定枠2に対するレンズ枠6のx方向における拘束力を強めたい場合に対応することができる。
【0041】
図9は、第1の実施形態における電気機械変換素子5aの概略構成を示す側面図であり、図10は、第1の実施形態における電気機械変換素子5aの概略構成を示す正面図である。電気機械変換素子5aは、内部電極を有する圧電素子部分51と内部電極を有しない不活性部分52とを有し、圧電素子部分51と不活性部分52が一体的に構成されている。圧電素子部分51において、内部電極は複数の層が積層された櫛歯電極構造となっている。
【0042】
図9および図10に示すように、電気機械変換素子5aの両側面の、圧電素子部分51から不活性部分52に渡る部分には、外部電極53が形成されている。電気機械変換素子5aの両側面の外部電極53のさらに外側には、はんだ盛り55が形成されており、フレキシブル基板54と電気機械変換素子5aとの電気的接続を行っている。はんだ盛り55は予め定められた重量を有しており、不活性部分52と共に電気機械変換素子5aの錘として寄与している。
【0043】
図9および図10に示すように、外部電極53の圧電素子部分51の上部に絶縁層56が設けられる。これにより、はんだ盛り55が圧電素子部分51の外部電極53上には乗らないようにすることができ、これにより、はんだ熱による内部電極の破壊が抑えられる。
【0044】
[第1の実施形態の効果]
[効果1]
第1の実施形態における光学駆動装置100によれば、被駆動部材であるレンズ枠6はゲル4f内の微小球4eの転がりによって駆動されるため、固定枠2に対するレンズ枠6の駆動抵抗を低減できる。これにより、駆動ユニット5は被駆動部材であるレンズ枠6の重量を移動する程度の駆動力を有していればよく、駆動ユニット5を小型化できるので光学駆動装置100全体のサイズを小さくできる。
【0045】
[効果2]
第1の実施形態における光学駆動装置100によれば、微小球4eを含むゲル4fを当接部に塗布するだけでよいため、通常のボールガイドによる構成と比較して、取り扱いが簡単で組み立てが容易となる。
【0046】
[効果3]
第1の実施形態における光学駆動装置100によれば、従来のボールガイドによる構成と比較して、ボールが占めていたスペースおよび重量が不要になり、光学駆動装置100の小型軽量化が可能となる。したがって、例えば、光学駆動装置100を携帯端末に搭載する場合に、携帯端末で要求される厳しい薄型化に応えることができる。
【0047】
[効果4]
従来のボールガイドによる構成では、衝撃等によってボールや装置に圧痕が生じる問題があった。これに対して、第1の実施形態における光学駆動装置100によれば、微小球4eを含むゲル4fを使用するため、衝撃力が多数の微小球4eに分散し、圧痕が生じにくい。
【0048】
[効果5]
従来のボールガイドによる構成では、ボールを転がらせるために、ボール収容空間にボールの大きさに対応するクリアランスを設ける必要があった。これに対して、第1の実施形態における光学駆動装置100によれば、従来のボールよりも直径が小さい微小球4eを使用するため、微小球4eの直径に依存して非常に小さいクリアランスを設ければよく、光学駆動装置100の小型化が可能となる。
【0049】
[効果6]
従来のボールガイドによる構成では、ボールの抜け防止のため、ボールの移動を阻止する収容端面やボール位置を固定するリテーナが必要であった。これに対して、第1の実施形態における光学駆動装置100によれば、ゲル4fの粘性が微小球4eの離脱を阻止するので、収容端面やリテーナのような物理的構造物を備える必要がなく、光学駆動装置100の小型化が可能となる。
【0050】
[効果7]
従来のボールガイドによる構成では、ボールを収容するために収容端面を有していたため、衝撃等によりボールが収容端面に密着する位置まで移動した場合、ボールが自由に転がれずに動きが悪くなる場合があった。これに対して、第1の実施形態における光学駆動装置100によれば、収容端面を設ける必要がないため微小球4eが転がる範囲を広くとることができ、また、微小球4eの転がりの動きが悪くなることがない。
【0051】
[第2の実施形態の構成]
図11は、第2の実施形態における光学駆動装置200の概略構成を示す斜視図である。図11の光学駆動装置200は、画像センサをレンズの光軸に垂直な平面に沿って平行移動および回転移動させることにより手ぶれ補正を行う装置、例えば、撮像装置に組み込まれて使用される。以下、第2の実施形態における光学駆動装置200の説明に際して、第1の実施形態における光学駆動装置100と同一または類似の構成については重複する説明を省略する。
【0052】
図12は、第2の実施形態における光学駆動装置200の概略構成を示す分解斜視図である。図12に示すように、光学駆動装置200は、撮像センサユニット21と、ベース枠22と、x方向移動枠23と、y方向移動枠24と、回転枠25と、を備える。光学駆動装置200は、ベース枠22、x方向移動枠23、y方向移動枠24、回転枠25の順序で積層される。図11および図12にはxyz座標系が示される。xy方向は光学駆動装置200の画像センサの受光面に平行な方向であり、z方向は、光学駆動装置200の画像センサの受光面に直交する方向である。
【0053】
光学駆動装置200は、さらに3つの駆動ユニット26a、26b、26cを有する。駆動ユニット26aは、x方向移動枠23をベース枠22に対して±x方向に平行移動する駆動ユニットであり、駆動ユニット26bは、y方向移動枠24をx方向移動枠23に対して±y方向に平行移動する駆動ユニットであり、駆動ユニット26cは、回転枠25をy方向移動枠24に対してxy平面に沿って回転移動する駆動ユニットである。
【0054】
3つの駆動ユニット26a、26b、26cは、それぞれ、電気機械変換素子と、駆動軸と、コイルバネとで構成される。3つの駆動ユニット26a、26b、26cの動作原理は、第1の実施形態における駆動ユニット5の動作原理と同様である。
【0055】
回転枠25には、画像センサ21aを有する撮像センサユニット21が固定される。ベース枠22の左下の角部には駆動ユニット26aを支持する支持部材22aが形成される。支持部材22aの+x方向側の一端には、駆動ユニット26aの電気機械変換素子が固着され、駆動ユニット26aが駆動することによりx方向移動枠23をベース枠22に対して±x方向に平行移動する。ベース枠22の-z方向側を向いた面の4隅には、2つのV字状溝部31と2つの平坦状溝部32が形成されており、4つの溝部31、32のそれぞれに複数の微小球を含むゲルが収納される。
【0056】
x方向移動枠23は、駆動ユニット26aによって駆動される被駆動部材であり、固定部材としてのベース枠22に対して±x方向に移動可能である。x方向移動枠23の左下の角部には、駆動ユニット26aのコイルバネが当接することにより駆動ユニット26aからの駆動力を受ける当接部23aが形成される。x方向移動枠23の右上の角部には駆動ユニット26bを支持する支持部材23bが形成される。支持部材23bの-y方向側の一端には、駆動ユニット26bの電気機械変換素子が固着され、駆動ユニット26bが駆動することによりy方向移動枠24をx方向移動枠23に対して±y方向に平行移動する。
【0057】
x方向移動枠23の+z方向側を向いた面の4隅の、ベース枠22の4つの溝部31、32に対向する部分には、4つの凸部(不図示)が形成されており、ベース枠22の溝部31、32とx方向移動枠23の4つの凸部との間に複数の微小球を含むゲルがそれぞれ収納される。4つの凸部のうちの2つの凸部は、V字状溝部31に嵌合するようにV字断面形状を有する凸部であり、他の2つの凸部は、平坦状溝部32に嵌合するように平坦断面形状を有する凸部である。V字状溝部31と、平坦状溝部32と、4つの凸部とは、第2の実施形態における案内部材を構成する。ベース枠22とx方向移動枠23とは、複数の微小球を挟んで積層される。x方向移動枠23の-z方向側を向いた面の4隅には、2つのV字状溝部35と2つの平坦状溝部36が形成されており、4つの溝部35、36のそれぞれに複数の微小球を含むゲルが収納される。
【0058】
y方向移動枠24は、駆動ユニット26bによって駆動される被駆動部材であり、x方向移動枠23に対して±y方向に移動可能である。y方向移動枠24の右上の角部には、駆動ユニット26bのコイルバネが当接することにより駆動ユニット26bからの駆動力を受ける当接部24aが形成される。y方向移動枠24の左上部には駆動ユニット26cを支持する支持部材24bが形成される。支持部材24bの-x方向側の一端には、駆動ユニット26cの電気機械変換素子が固着され、駆動ユニット26cが駆動することにより回転枠25をy方向移動枠24に対してxy平面に沿って回転移動する。
【0059】
y方向移動枠24の+z方向側を向いた面の4隅の、x方向移動枠23の4つの溝部35、36に対向する部分には、2つの凸部37および2つの凸部38(図17および図18参照)が形成されており、x方向移動枠23の2つの溝部35および2つの溝部36とy方向移動枠24の2つの凸部37および2つの凸部38との間に複数の微小球を含むゲルがそれぞれ収納される。すなわち、x方向移動枠23とy方向移動枠24とは、複数の微小球を挟んで積層される。溝部35はV字断面形状の第1の溝部であり、凸部37はV字断面形状の第1の凸部である。溝部36は平坦断面形状の第2の溝部であり、凸部38は平坦断面形状の第2の凸部である。溝部35、溝部36、凸部37、および凸部38は、第2の実施形態における案内部材を構成する。
【0060】
y方向移動枠24は、中央に円形状の孔部24cを有しており、孔部24cの内径は回転枠25の外形よりも大きい。y方向移動枠24の孔部24cに6つのボール39を介して回転枠25が収納される。すなわち、y方向移動枠24と回転枠25とは、ボール39を挟んで積層される。
【0061】
回転枠25は、駆動ユニット26cによって駆動される被駆動部材であり、y方向移動枠24に対してxy平面に沿って回転可能に構成される。回転枠25の上部には、駆動ユニット26cのコイルバネが当接することにより駆動ユニット26cからの回転駆動力を受ける当接部25aが形成される。
【0062】
以上のように、x方向移動枠23はベース枠22に対して±x方向に移動可能に構成され、y方向移動枠24はx方向移動枠23に対して±y方向に移動可能に構成され、回転枠25はy方向移動枠24に対してxy平面に平行な方向に回転可能に構成される。したがって、回転枠25はベース枠22に対して、±x方向および±y方向に移動可能であり、かつ、xy平面に沿って回転可能である。
【0063】
図12に示すように、光学駆動装置200は金属磁性体で形成された板44と、検出用マグネット42およびホール素子43をさらに有する。検出用マグネット42は、y方向移動枠24に固定される。ホール素子43は、検出用マグネット42に対向して配置され、板44とともにx方向移動枠23に固定される。
【0064】
図12に示すように、光学駆動装置200は金属磁性体で形成された板45と、検出用マグネット47およびホール素子46をさらに有する。検出用マグネット47は、x方向移動枠23に固定される。ホール素子46は、検出用マグネット47に対向して配置され、板45とともにベース枠22に固定される。
【0065】
また、図12に示すように、光学駆動装置200は金属磁性体で形成された板41および板48とマグネット40をさらに有する。図12に示すように、マグネット40は、検出用マグネット42、検出用マグネット47の配置される位置とは光軸を挟んだ対角位置で、x方向移動枠23に固定される。板41はマグネット40に対向してベース枠22に配置され、板48はマグネット40に対向してy方向移動枠24に配置される。
【0066】
以下、3つの駆動ユニット26a、26b、26cを代表して、駆動ユニット26bについて説明を行い、他の駆動ユニット26a、26cについては駆動ユニット26bと重複する説明を一部省略する。図13は、第2の実施形態における駆動ユニット26b周辺の概略構成を示す斜視図であり、図14は、第2の実施形態における駆動ユニット26b周辺の概略構成を示す分解斜視図であり、図15は、第2の実施形態における駆動ユニット26b周辺の概略構成を示す正面図である。
【0067】
図13および図14に示すように、駆動ユニット26bは、電気機械変換素子261bと、駆動軸262bと、伝達部材としてのコイルバネ263bとを有する。コイルバネ263bは、コイル部264bと、2つのアーム部265bとを有する。コイルバネ263bには駆動軸262bが圧入される。コイルバネ263bはその内径が駆動軸262bの外径より小さく、コイルバネ263bに駆動軸262bが圧入されることで弾性体であるコイルバネ263bが拡径し、コイルバネ263bと駆動軸262bとが摩擦係合する。
【0068】
図13から図15に示すように、駆動ユニット26bの電気機械変換素子261bは、x方向移動枠23の支持部材23bの-y方向側の一端231aに固定される。駆動ユニット26bの駆動軸262bは、x方向移動枠23の+y方向側の一端231bに形成されたU溝部に挿入される。駆動ユニット26bのコイルバネ263bの2つのアーム部265bが、y方向移動枠24の当接部24aに設けられた係合孔241aに挿入されることにより、コイルバネ263bに伝達された駆動力をy方向移動枠24に伝達する。電気機械変換素子261bが±y方向に伸縮することにより、駆動軸262bが往復移動し、コイルバネ263bを±y方向に移動させ、y方向移動枠24を±y方向に駆動することができる。
【0069】
同様に、駆動ユニット26aの電気機械変換素子が±x方向に伸縮することにより、駆動軸が往復移動し、コイルバネを±x方向に移動させ、x方向移動枠23を±x方向に駆動することができる。また、駆動ユニット26cの電気機械変換素子が回転枠25の接線方向に伸縮することにより、駆動軸が往復移動し、コイルバネを回転枠25の接線方向に移動させ、回転枠25を回転移動することができる。
【0070】
図16は、第2の実施形態における光学駆動装置200の概略構成を示す正面図である。図17は、図16のA-A断面図であり、図18は、図16のB-B断面図であり、図19は、図16のC-C断面図である。
【0071】
図17に示すように、x方向移動枠23の溝部35とy方向移動枠24の凸部37は複数の微小球を含むゲル50を介して当接し、y方向に延在する。したがって、y方向移動枠24のx方向移動枠23に対する移動が±y方向に制限される。
【0072】
図18に示すように、x方向移動枠23の溝部36とy方向移動枠24の凸部38は複数の微小球を含むゲル50を介して当接し、y方向に延在する。溝部36と凸部38は図のようにx方向に隙間を有して配置されており、溝部35と凸部37によるx方向移動枠23とy方向移動枠24の移動を、±y方向に制限する一方で、±x方向に過拘束となることを防いでいる。このx方向の隙間は、第1の実施形態における隙間p2(図7参照)と同様である。
【0073】
y方向移動枠24のx方向移動枠23に対する移動が±y方向に制限されることと同様に、ベース枠の溝部31、32とx方向移動枠の凸部33、34によって、x方向移動枠23のベース枠22に対する移動が±x方向に制限される。また、y方向移動枠24と回転枠25との間に配置されたボール39によって、回転枠25のy方向移動枠24に対する移動がxy平面に平行な回転方向に制限される。
【0074】
図19に示すように、金属磁性体で形成された板44が、検出用マグネット42によって磁力により互いに引き付けられる。これにより、板44が固定されたx方向移動枠23と、検出用マグネット42が固定されたy方向移動枠24とが磁力により互いに引き付けられ一体となる。
【0075】
同様に金属磁性体で形成された板45が固定されたベース枠22と、検出用マグネット47が固定されたx方向移動枠23とが磁力により互いに引き付けられ一体となる。また、x方向移動枠23に固定されたホール素子43が、y方向移動枠24に固定された検出用マグネット42の磁界を検出し、xy平面方向における、y方向移動枠24のx方向移動枠23に対する相対位置を検出する。同様に、ホール素子46はx方向移動枠23のベース枠22に対する相対位置を検出する。なお、x方向移動枠23に固定されたマグネット40とy方向移動枠24に固定された板48、ベース枠22に固定された板41に働く磁力により、x方向移動枠23、y方向移動枠24、ベース枠22間の吸引の補助をしている。
【0076】
[第2の実施形態の効果]
[効果2-1]
第2の実施形態における光学駆動装置200によれば、回転枠25は、ベース枠22に対して、±x方向および±y方向に移動可能であり、かつ、xy平面に平行な方向に回転可能である。したがって、画像センサ21aをレンズの光軸に垂直な平面に沿って平行移動および回転移動させることにより、手ぶれ補正装置として使用できる。
【0077】
[効果2-2]
第2の実施形態における光学駆動装置200によれば、上述の第1の実施形態における光学駆動装置100の[効果1-1]から[効果1-7]と同様の効果を奏することができる。
【0078】
[第3の実施形態の構成]
図20は、第3の実施形態におけるズームカメラユニット300の概略構成を示す斜視図であり、図21は、第3の実施形態におけるズームカメラユニット300のカバー320を外した状態を示す斜視図であり、図22は、図20のA-A断面図である。図23は、第3の実施形態におけるズームカメラユニット300の概略構成を示す分解斜視図である。
【0079】
図24は、第3の実施形態における第3レンズ群380の概略構成を示す斜視図であり、図25は、第3の実施形態における第3レンズ群380周辺の概略構成を示す部分拡大正面図であり、図26は、第3の実施形態における第3レンズ群380周辺の概略構成を示す側面断面図であり、図27は、図26の範囲Fの拡大図である。図20から図27に示すズームカメラユニット300は、複数のレンズ群をそれぞれ移動させることにより変倍と焦点合わせを行う装置、例えば、撮像装置に組み込まれて使用される。以下、第3の実施形態におけるズームカメラユニット300の説明に際して、第1の実施形態における光学駆動装置100と同一または類似の構成については重複する説明を省略する。
【0080】
図20に示すように、第3の実施形態におけるズームカメラユニット300は、固定部材としての固定枠310と、カバー320とを有する。カバー320には、被写体側開口部321が設けられる。図21から図23に示すように、ズームカメラユニット300は、レンズ位置検出部330と、アクチュエータ部350と、第1レンズ群360と、第2レンズ群370と、被駆動部材としての第3レンズ群380と、被駆動部材としての第4レンズ群390と、をさらに有する。
【0081】
第3の実施形態におけるズームカメラユニット300は、カバー320の被写体側開口部321から入光した光線をプリズムである第1レンズ群360で90°折り曲げ、第2レンズ群370、第3レンズ群380、第4レンズ群390を介して固定枠310の撮像素子固定部311の像側開口部312に固定された不図示の撮像素子に導き結像させる。
【0082】
第1レンズ群360と第2レンズ群370は固定レンズ群であり、第3レンズ群380と第4レンズ群390は可動レンズ群である。第3レンズ群380と第4レンズ群390は、アクチュエータ部350により光軸方向(±y方向)にそれぞれ独立して移動し、第2レンズ群370、第3レンズ群380、第4レンズ群390、撮像素子間の相対距離を変化させる。これにより、変倍と焦点合わせを行う。
【0083】
図23および図25に示すように、固定枠310には、撮像素子固定部311と、像側開口部312と、V字状凸部314aと、平坦状凸部314bと、V字状凸部周囲溝314cと、平坦状凸部周囲溝314dと、アクチュエータ保持部(固定側)315aと、アクチュエータ保持部(可動側)315a'と、アクチュエータ保持部(固定側)315bと、アクチュエータ保持部(可動側)315b'と、が形成される。
【0084】
図23に示すように、V字状凸部314aはV字断面形状の第1の凸部であり、固定枠310と一体的に形成される。V字状凸部314aは、第3レンズ群380に形成されたV字断面形状の第1の溝であるV字状溝384aと嵌合する。図25および図27に示すように、V字状凸部314aの周囲にはV字状凸部周囲溝314cが形成される。V字状凸部周囲溝314cは、微小球ゲルの拡散を防止するために形成されるゲル収容部である。
【0085】
図23に示すように、平坦状凸部314bは平坦断面形状の第2の凸部であり、固定枠310と一体的に形成される。平坦状凸部314bは、第3レンズ群380に形成された平坦断面形状の第2の溝である平坦状溝384bと嵌合する。図25に示すように、平坦状凸部314bの周囲には平坦状凸部周囲溝314dが形成される。平坦状凸部周囲溝314dは、微小球ゲルの拡散を防止するために形成されるゲル収容部である。
【0086】
図23および図24に示すように、第3レンズ群380には、V字状溝384aと、平坦状溝384bと、V字状溝周囲溝384cと、平坦状溝周囲溝384dと、V字状溝端斜面384eと、平坦状溝端斜面384fと、コイルバネ係合部385とが形成される。第4レンズ群390には、V字状溝394aと、平坦状溝394bと、コイルバネ係合部395とが形成される。
【0087】
V字状溝384aは、V字状凸部314aに嵌合するV字断面形状の第1の溝である。平坦状溝384bは、平坦状凸部314bに嵌合する平坦断面形状の第2の溝である。V字状溝周囲溝384cと、平坦状溝周囲溝384dは、微小球ゲルの拡散を防止するために形成される溝である。V字状溝端斜面384eと、平坦状溝端斜面384fは、微小球ゲルを安定的に嵌合面に誘い込むための傾斜部である。コイルバネ係合部385には、アクチュエータ部350のコイルバネ353aが係合する。
【0088】
第4レンズ群390におけるV字状溝394aは、V字状凸部314aに嵌合するV字断面形状の第1の溝である。平坦状溝394bは、平坦状凸部314bに嵌合する平坦断面形状の第2の溝である。コイルバネ係合部395には、アクチュエータ部350のコイルバネ353bが係合する。
【0089】
V字状凸部314aと、平坦状凸部314bと、V字状溝384aと、平坦状溝384bとは、第3の実施形態におけるズームカメラユニット300の案内部材を構成する。他の実施形態と同様に、V字状凸部314aとV字状溝384aとの嵌合面、および平坦状凸部314bと平坦状溝384bとの嵌合面に微小球ゲルが挿入されることにより、第3レンズ群380および第4レンズ群390は固定枠310に対して、それぞれ独立して、図23における±y方向に大きな抵抗なく移動可能である。
【0090】
図23に示すように、アクチュエータ部350は、第3レンズ群380のアクチュエータである、電気機械変換素子351aと、駆動軸352aと、コイルバネ353aと、錘354aとを有する。また、アクチュエータ部350は、第4レンズ群390のアクチュエータである、電気機械変換素子351bと、駆動軸352bと、コイルバネ353bと、錘354bとを有する。アクチュエータ部350における各構成要素は、第1の実施形態における駆動ユニット5と同様の構成であり、同様の機能を有する。
【0091】
図23に示すように、錘354aは、電気機械変換素子351aの振動を、駆動軸352a側に伝えるために駆動軸352aより慣性質量が十分大きな材質で構成される。錘354aは、電気機械変換素子351aの駆動軸352a側と反対側の端面に固定されている。同様に、錘354bは、電気機械変換素子351bの振動を、駆動軸352b側に伝えるために駆動軸352bより慣性質量が十分大きな材質で構成される。錘354bは、電気機械変換素子351bの駆動軸352b側と反対側の端面に固定されている。
【0092】
図23に示すように、固定側のアクチュエータ保持部315aと、可動側のアクチュエータ保持部315a'との間には、第3レンズ群380用のアクチュエータが固定される。固定側のアクチュエータ保持部315a側には、錘354aが固定され、可動側のアクチュエータ保持部315a'側には、駆動軸352aの先端部が軸方向移動可能に保持される。電気機械変換素子351aが伸縮することにより、コイルバネ353aが上下方向(図23における±y方向)に移動し、コイルバネ353aと第3レンズ群380とがコイルバネ係合部385で係合していることにより、第3レンズ群380が上下方向(図23における±y方向)に移動する。第3レンズ群380が移動することにより、第2レンズ群370、第3レンズ群380、および第4レンズ群390間の相対距離が調整される。
【0093】
図23に示すように、固定側のアクチュエータ保持部315bと、可動側のアクチュエータ保持部315b'との間には、第4レンズ群390用のアクチュエータが固定される。固定側のアクチュエータ保持部315b側には、錘354bが固定され、可動側のアクチュエータ保持部315b'側には、駆動軸352bの先端部が軸方向移動可能に保持される。電気機械変換素子351bが伸縮することにより、コイルバネ353bが上下方向(図23における±y方向)に移動し、コイルバネ353bと第4レンズ群390とがコイルバネ係合部395で係合していることにより、第4レンズ群390が上下方向(図23における±y方向)に移動する。第4レンズ群390が移動することにより、第3レンズ群380、第4レンズ群390、および撮像素子間の相対距離が調整される。
【0094】
図23に示すように、レンズ位置検出部330は、固定枠310に固定されるプレート331を有する。プレート331は、磁性体で構成される。プレート331には、FPC335が貼付され、FPC335には、第3レンズ群380の位置検出用のホール素子333aと、第4レンズ群390の位置検出用のホール素子333bとが搭載される。
【0095】
ホール素子333aが、第3レンズ群380に固定されたマグネット332aの磁界を検出し、y方向における、第3レンズ群380の固定枠310に対する相対位置を検出する。ホール素子333bが、第4レンズ群390に固定されたマグネット332bの磁界を検出し、y方向における、第4レンズ群390の固定枠310に対する相対位置を検出する。
【0096】
ホール素子333aおよびホール素子333bが搭載されたプレート331は磁性体であり、プレート331とマグネット332aおよびマグネット332bとが磁力によって互いに吸引することにより、第3レンズ群380および第4レンズ群390が固定枠310に対して+z方向へ吸引される。したがって、固定部材としての固定枠310と、被駆動部材としての第3レンズ群380および第4レンズ群390とが遊離することが予防される。
【0097】
図22には、-z方向に重力が働く場合に、第3レンズ群380の重力とマグネット332aの吸着力のモーメントのつりあいを考えるときの支点位置と、磁性体であるマグネット332aのx方向における中心位置との間の距離がDx1(mm)であることが示される。また、上記支点位置と、被駆動部材である第3レンズ群380のx方向における基準点である重心位置との間の距離がDx2(mm)であることが示される。ここで、マグネット332aの吸着力をM(kgf)、第3レンズ群380の重量をm(kgf)とした場合、M>1.5m×Dx2/Dx1であることが望ましい。
【0098】
Dx1(mm)、Dx2(mm)、M(kgf)、m(kgf)が上記関係式を満たすことにより、マグネット332aの吸着力により第3レンズ群380が固定枠310に対して十分な吸着力で吸着され、第3レンズ群380が案内部材であるV字状凸部314aに沿って固定枠310に対して±y方向に移動可能となる。
【0099】
図26には、-y方向に重力が働く場合に、第3レンズ群380の重力とマグネット332aの吸引力のモーメントのつりあいを計算するときの支点と、磁性体であるマグネット332aのy方向における中心位置との間の距離がDy1(mm)であることが示される。また、上記支点と、被駆動部材である第3レンズ群380のz方向における基準点である重心位置との間の距離がDy2(mm)であることが示される。ここで、マグネット332aの吸着力をM(kgf)、第3レンズ群380の重量をm(kgf)とした場合、M>1.5m×Dy2/Dy1であることが望ましい。
【0100】
Dy1(mm)、Dy2(mm)、M(kgf)、m(kgf)が上記関係式を満たすことにより、マグネット332aの吸着力により第3レンズ群380が固定枠310に対して十分な吸着力で吸着され、第3レンズ群380が案内部材であるV字状凸部314aに沿って固定枠310に対して±y方向に移動可能となる。
【0101】
[第3の実施形態の効果]
[効果3-1]
第3の実施形態におけるズームカメラユニット300によれば、被駆動部材である第3レンズ群380および第4レンズ群390は、固定部材としての固定枠310に対して移動可能である。したがって、変倍と焦点合わせを行うズームカメラユニットとして使用できる。
【0102】
[効果3-2]
第3の実施形態におけるズームカメラユニット300によれば、上述の第1の実施形態における光学駆動装置100の[効果1-1]から[効果1-7]と同様の効果を奏することができる。
【0103】
[第4の実施形態の構成]
図28は、第4の実施形態におけるレンズ駆動装置400の構成を示す分解斜視図である。図29は、第4の実施形態におけるレンズ駆動装置400の構成を示す断面図である。図28においては分解斜視図を示しており、図29においてはレンズ駆動装置400の構成を分解せずに示したものである。図28および図29に示すレンズ駆動装置400は、レンズを光軸方向に移動させることによりオートフォーカスを行う装置、例えば、撮像装置に組み込まれて使用される。以下、第4の実施形態におけるレンズ駆動装置400の説明に際して、第1の実施形態における光学駆動装置100と同一または類似の構成については重複する説明を省略する。
【0104】
図28および図29に示すように、レンズ駆動装置400は、固定部材としてのカバー401、被駆動部材としてのボビン402、駆動ユニット403、案内部材としての支持ユニット404、検出ユニット405、プレート406、およびベース407から構成されている。図28における(A)はカバー401およびプレート406を示し、図28における(B)はボビン402およびベース407を示す。
【0105】
図28に示すように、ボビン402は、レンズ(非図示)を保持するレンズ保持部421を備え、カバー401内でレンズの光軸方向(±z方向)に移動する。ボビン402は、一例として樹脂を用いて、正方形状の上面を有する角筒状に成形されている。
【0106】
図29に示すように、駆動ユニット403は、カバー401に付されたコイル431と、ボビン402に付された駆動用マグネット432とから構成される。駆動用マグネット432はレンズの光軸方向(±z方向)に異なる磁極を有する。コイル431に流れる所定の方向の電流によってボビン402に対して+z方向の電磁力を与えることができ、それと逆向きの電流によってボビン402に対して-z方向の電磁力を与えることができる。すなわち、コイル431に流す電流を制御してボビン402を±z方向の任意の位置に駆動することができる。
【0107】
図29に示すように、案内部材としての支持ユニット404は、第1の実施形態と同様に、カバー401に設けられたV字状凸部441と平坦状凸部443、およびボビン402に設けられたV字状溝442と平坦状溝444から構成される。V字状凸部441とV字状溝442はV字断面形状の面で対向し、平坦状凸部443と平坦状溝444は平坦断面形状の面で対向している。第1の実施形態と同様に、V字状凸部441とV字状溝442、および平坦状凸部443と平坦状溝444は、金属製の基板452と検出用マグネット453の引力によって、図示しない複数の微小球を含むゲル445を介して圧着されている。
【0108】
したがって第1の実施形態と同様に、ボビン402はゲル445を介してカバー401に圧着され、支持される。ゲル445内の複数の微小球は同一の直径を有しており、凸部441,443と溝442,444に接触して転がるので、ボビン402の光軸方向(±z方向)の移動については大きな抵抗力を持たずに行われる。
【0109】
図29に示すように、検出ユニット405は、カバー401に装着されるホール素子451および基板452と、ボビン402に装着される検出用マグネット453と、から構成される。ホール素子451が検出用マグネット453の磁界を検出し、ボビン402のカバー401に対する相対位置を検出する。
【0110】
検出ユニット405によって検出されたボビン402の位置とボビン402を配置したい位置とが相違する場合には、コイル431に電流を流し、駆動ユニット403によってボビン402を移動させることができる。
【0111】
駆動ユニット403(コイル431および駆動用マグネット432)は、断面矩形状のカバー401およびボビン402の、矩形の1辺に設けられている。支持ユニット404(V字状凸部441、V字状溝442および平坦状凸部443、平坦状溝444)並びに検出ユニット405(ホール素子451、基板452および検出用マグネット453)は、駆動ユニット403が設けられた1辺と直交する他辺に設けられている。なお、駆動ユニット403が設けられた1辺と、支持ユニット404および検出ユニット405が設けられた他辺とは直交しなくても、平行でなければよい。
【0112】
図30は、レンズ駆動装置の他の構成を示す断面図である。図29においては、支持ユニット404が、駆動ユニット403が設けられた1辺と直交する他辺に設けられていた。これに対して、図30においては、支持ユニット404が駆動ユニット403と同一の辺に設けられている。図30においては、駆動ユニット403の外形側に金属板433が配されており、駆動用マグネット432との磁力によりボビン402はx方向に、カバー401に圧着される。駆動ユニット403および支持ユニット404の構成は図28および図29に示す実施形態と同様である。
【0113】
なお、第4の実施形態におけるレンズ駆動装置400では駆動ユニット403としてVCM(ボイスコイルモータ:Voice Coil Motor)を用いているが、これに限定するものではなく、他のアクチュエータ、例えば、回転型や直動型の超音波モータなどを使用することも可能である。
【0114】
[第4の実施形態の効果]
[効果4-1]
第4の実施形態におけるレンズ駆動装置400によれば、被駆動部材としてのボビン402が固定部材としてのカバー401に対して移動可能である。したがって、レンズを光軸方向に移動させることによりオートフォーカスを行うことができる。
【0115】
[効果4-2]
第4の実施形態におけるレンズ駆動装置400によれば、上述の第1の実施形態における光学駆動装置100の[効果1-1]から[効果1-7]と同様の効果を奏することができる。
【0116】
[第5の実施形態の構成]
図31は、第5の実施形態における光学駆動装置500の斜視図であり、図32は、第5の実施形態における光学駆動装置500のカバー501を外した状態を示す斜視図であり、図33は、第5の実施形態における光学駆動装置500の概略構成を示す分解斜視図であり、図34は、第5の実施形態における光学駆動装置500のカバー501を外した状態を示す側面図であり、図35は、図34のA-A断面図である。
【0117】
図31から図35に示す光学駆動装置500は、レンズを固定部材に対して光軸方向に移動させることによりオートフォーカスを行う装置、例えば、撮像装置に組み込まれて使用される。以下、第5の実施形態における光学駆動装置500の説明に際して、第1の実施形態における光学駆動装置100と同一または類似の構成については重複する説明を省略する。
【0118】
図31に示すように、第5の実施形態における光学駆動装置500は、カバー501と、固定部材としての固定枠502と、被駆動部材としてのレンズ枠503と、レンズ504とを有する。図32に示すように、固定枠502の上部の辺には、V字断面形状の第1の凸部502aと、平坦断面形状の第2の凸部502bとが形成される。図33に示すように、レンズ枠503の上部の辺には、V字断面形状の第1の溝503aと、平坦断面形状の第2の溝503bとが形成される。第1の溝503aは、第1の凸部502aと対向する位置に設けられ、第2の溝503bは、第2の凸部502bと対向する位置に設けられる。
【0119】
第1の溝503aと、第1の凸部502aと、第2の溝503bと、第2の凸部502bとは、第5の実施形態における光学駆動装置500の案内部材を構成する。他の実施形態と同様に、第1の溝503aと第1の凸部502aとの当接面、および第2の溝503bと第2の凸部502bとの当接面に微小球ゲルが挿入されることにより、レンズ枠503は固定枠502に対して、レンズ504の光軸方向(±z方向)に大きな抵抗なく移動可能である。
【0120】
図33および図35に示すように、固定枠502の上部の辺には、金属板508aと、フレキシブル基板508bと、ホール素子508cとが設けられる。レンズ枠503の上部の辺には、マグネット509が設けられる。固定枠502に設けられたホール素子508cが、レンズ枠503に設けられたマグネット509の磁界を検出し、レンズ504の光軸方向(±z方向)における、レンズ枠503の固定枠502に対する相対位置を検出する。ホール素子508cが搭載された金属板508aは磁性体で構成されており、金属板508aとマグネット509とが磁力によって互いに吸引することにより、レンズ枠503が固定枠502に対して+y方向へ吸引される。したがって、固定枠502とレンズ枠503とが遊離することが予防される。
【0121】
図33に示すように、レンズ枠503の側面に凸部503cが形成される。凸部503cには光軸方向の底付き穴503dが設けられ、コイルスプリング505が収容される。固定枠502には凸部503cを挿入して固定するための切欠き502eが形成される。コイルスプリング505は、カバー501を固定枠502に接着等で固定した状態ではカバー501端面で光軸方向(+z方向)に押されて圧縮され、ばねの弾性力によりレンズ枠503を光軸方向(+z方向)に押し付ける。通常の状態ではレンズ枠503は凸部503cの後端部が固定枠502の切欠き端部502fに当接した位置で静止している。
【0122】
図33に示すように、固定枠502の側面には、端子板用凹部502cおよび端子板用凹部502dが形成される。端子板用凹部502cには金属端子板507aが圧入され接着等で固定され、端子板用凹部502dには金属端子板507bが圧入されて接着等で固定される。金属端子板507aと金属端子板507bは、形状記憶合金であるSMA(Shape Memory Alloy)ワイヤー506に通電するための端子である。SMAワイヤー506の両端には、金属端子板507aと金属端子板507bが接着や溶接などで固定される。図34に示すように、金属端子板507aと金属端子板507bが固定枠502の所定位置に固定された状態でSMAワイヤー506はレンズ枠503の凸部503cの後端部にあるフック(不図示)に引っ掛けられている。
【0123】
金属端子板507aと金属端子板507bに通電しSMAワイヤー506に電流が流れると、SMAワイヤー506は発熱し収縮する。このためレンズ枠503は光軸方向(-z方向)に繰り出される。また、金属端子板507aと金属端子板507bへの通電を断つとSMAワイヤー506はもとの長さに復帰し、レンズ枠503はコイルスプリング505の弾性力で+z方向に繰り戻される。以上のように、SMAワイヤー506への通電をONOFFすることにより、光学駆動装置500のフォーカス動作がなされる。
【0124】
[第5の実施形態の効果]
[効果5-1]
第5の実施形態における光学駆動装置500によれば、被駆動部材であるレンズ枠503がSMAワイヤー506の伸縮によって駆動され、光学駆動装置500のフォーカス動作がなされる。レンズ枠503の駆動部材として形状記憶合金であるSMAワイヤー506を用いることにより、耐食性、耐摩耗性に優れ、また繰り返し特性が良好である。
【0125】
[効果5-2]
第5の実施形態における光学駆動装置500によれば、上述の第1の実施形態における光学駆動装置100の[効果1-1]から[効果1-7]と同様の効果を奏することができる。
【0126】
[他の実施形態]
上記第1から第5の実施形態において、固定部材と被駆動部材に対する、溝と凸部の配置が逆であってもよい。即ち、溝が固定部材に配置され、凸部が被駆動部材に配置されていてもよく、溝が被駆動部材に配置され、凸部が固定部材に配置されていてもよい。同様に、固定部材と被駆動部材に対する、ホール素子とマグネットの配置が逆であってもよい。即ち、ホール素子が固定部材に配置され、マグネットが被駆動部材に配置されていてもよく、ホール素子が被駆動部材に配置され、マグネットが固定部材に配置されていてもよい。
【0127】
上記第1から第5の実施形態において、V字断面形状の第1の溝および第1の凸部と、平坦断面形状の第2の溝および第2の凸部とを組み合わせて使用した。しかしながら、V字断面形状の第1の溝および第1の凸部と、V字断面形状の第2の溝および第2の凸部とを組み合わせて使用してもよい。
【0128】
上記第3の実施形態において、図22に示す、Dx1(mm)、Dx2(mm)、M(kgf)、m(kgf)について、M>1.5m×Dx2/Dx1の関係式を満たすことが望ましく、図26に示す、Dy1(mm)、Dy2(mm)、M(kgf)、m(kgf)について、M>1.5m×Dy2/Dy1の関係式を満たすことが望ましいと記載した。この関係式は、他の実施形態(第1、第2、第4、第5の実施形態)にも同様に適用されてよい。
【0129】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、請求の範囲の記載から明らかである。
【0130】
請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0131】
1 センサ基板、1a 画像センサ、2 固定枠、2a 辺、2b 支持部材、3 検出ユニット、3a 補強板、3b 検出用マグネット、3c ホール素子、3d FPC基板、4 案内部材、4a 第1の凸部、4a' 第2の凸部、4b 第2の凸部、4c 第2の溝、4c' 第2の溝、4d 第2の溝、4e 微小球、4f ゲル、5 駆動ユニット、5a 電気機械変換素子、5b 駆動軸、5c コイルバネ、5d コイル部、5e アーム部、5f アーム部、6 レンズ枠、6a 辺、6c 当接部、6d 当接部、7 レンズホルダ、7a レンズ、8 カバー、21 撮像センサユニット、21a 画像センサ、22 ベース枠、22a 支持部材、23 x方向移動枠、23a 当接部、23b 支持部材、24 y方向移動枠、24a 当接部、24b 支持部材、24c 孔部、25 回転枠、25a 当接部、26a 駆動ユニット、26b 駆動ユニット、26c 駆動ユニット、31 溝部、32 溝部、33 凸部、34 凸部、35 溝部、36 溝部、37 凸部、38 凸部、39 ボール、40 マグネット、41 板、42 検出用マグネット、43 ホール素子、44 板、45 板、46 ホール素子、47 検出用マグネット、48 板、50 ゲル、51 圧電素子部分、52 不活性部分、53 外部電極、54 フレキシブル基板、55 はんだ盛り、56 絶縁層、100 光学駆動装置、200 光学駆動装置、241a 係合孔、261b 電気機械変換素子、262b 駆動軸、263b コイルバネ、264b コイル部、265b アーム部、300 ズームカメラユニット、310 固定枠、311 撮像素子固定部、312 像側開口部、314a V字状凸部、314b 平坦状凸部、314c V字状凸部周囲溝、314d 平坦状凸部周囲溝、315a アクチュエータ保持部、315a' アクチュエータ保持部、315b アクチュエータ保持部、315b' アクチュエータ保持部、320 カバー、321 被写体側開口部、330 レンズ位置検出部、331 プレート、332a マグネット、332b マグネット、333a ホール素子、333b ホール素子、335 FPC、350 アクチュエータ部、351a 電気機械変換素子、351b 電気機械変換素子、352a 駆動軸、352b 駆動軸、353a コイルバネ、353b コイルバネ、354a 錘、354b 錘、360 第1レンズ群、370 第2レンズ群、380 第3レンズ群、384a V字状溝、384b 平坦状溝、384c V字状溝周囲溝、384d 平坦状溝周囲溝、384e V字状溝端斜面、384f 平坦状溝端斜面、385 コイルバネ係合部、390 第4レンズ群、394a V字状溝、394b 平坦状溝、395 コイルバネ係合部、400 レンズ駆動装置、401 カバー、402 ボビン、403 駆動ユニット、404 支持ユニット、405 検出ユニット、406 プレート、407 ベース、421 レンズ保持部、431 コイル、432 駆動用マグネット、433 金属板、441 V字状凸部、442 V字状溝、443 平坦状凸部、444 平坦状溝、445 ゲル、451 ホール素子、452 基板、453 検出用マグネット、500 光学駆動装置、502 固定枠、502a 第1の凸部、502b 第2の凸部、502c 端子板用凹部、502d 端子板用凹部、502e 切欠き、502f 切欠き端部、503 レンズ枠、503a 第1の溝、503b 第2の溝、503c 凸部、503d 底付き穴、504 レンズ、505 コイルスプリング、506 SMAワイヤー、507a 金属端子板、507b 金属端子板、508a 金属板、508b フレキシブル基板、508c ホール素子、509 マグネット、p1 隙間、p2 隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
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図28
図29
図30
図31
図32
図33
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図35