(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】画像処理装置、画像処理方法、および画像処理システム
(51)【国際特許分類】
H04N 23/12 20230101AFI20240925BHJP
【FI】
H04N23/12
(21)【出願番号】P 2021010664
(22)【出願日】2021-01-26
【審査請求日】2023-09-22
(31)【優先権主張番号】P 2020073508
(32)【優先日】2020-04-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】322003857
【氏名又は名称】パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】藤濤 伸敏
(72)【発明者】
【氏名】平島 毅
(72)【発明者】
【氏名】瀧田 健児
【審査官】彦田 克文
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-050030(JP,A)
【文献】特開2012-074763(JP,A)
【文献】特開2019-140674(JP,A)
【文献】国際公開第2013/145487(WO,A1)
【文献】特開2008-205940(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イメージセンサから得られる第1の複数の色の信号値を用いて、第2の複数の色の信号値を算出する演算部と、
前記第1の複数の色の信号値を用いて、前記第1の複数の色の少なくとも1つが飽和しているか否かを判定する飽和判定部と、
前記飽和判定部によって前記第1の複数の色の少なくとも1つが飽和していると判定された場合、
前記第2の複数の色の信号値から再現される画像を本来の色に近づけるべく、前記第2の複数の色の少なくとも1つの信号値を補正し、補正後の信号値を出力する補正部とを備える、
画像処理装置。
【請求項2】
前記補正部は、前記第2の複数の色のうち補正の対象となる色の信号値と、前記第2の複数の色のうち補正の対象とならない1以上の色の信号値の平均値とを比較し、前記補正の対象となる色の信号値および前記平均値のうち大きい方を、前記補正の対象となる色の補正後の信号値として出力する、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記補正部は、前記第2の複数の色のうち補正の対象とならない1以上の色の信号値の平均値を、前記第2の複数の色のうち補正の対象となる色の補正後の信号値として出力する、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記第1の複数の色は、全波長領域の光を透過させるフィルタを透過しかつ前記イメージセンサに受光された光の色を含む、
請求項2または3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記飽和判定部は、前記第1の複数の色のうち前記フィルタを透過しかつ前記イメージセンサに受光された光の色が飽和しているか否かを判定する、
請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記補正部は、前記第2の複数の色のうち前記第1の複数の色にない色の信号値を補正する、
請求項2から5のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記第1の複数の色は、赤色、青色、および前記フィルタを透過しかつ前記イメージセンサに受光された光の色であり、
前記第2の複数の色は、赤色、青色、および緑色であり、
前記補正部は、前記第2の複数の色のうち、緑色の信号値を補正し、赤色の信号値および青色の信号値を用いて前記平均値を算出する、
請求項4または5に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記飽和判定部によって前記第1の複数の色の少なくとも1つが飽和していると判定された場合、前記補正部によって出力された補正後の信号値に対して、空間方向および時間方向の少なくとも一方に平滑化処理を行う平滑化フィルタをさらに備える、
請求項1から7のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項9】
さらに、前記演算部の前段に、前記イメージセンサから取得したRAW画像に対して補間フィルタを用いてデモザイク処理を施して、前記第1の複数の色の信号値を算出するデモザイク処理部を備える、
請求項1から8のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記デモザイク処理部は、注目画素と隣接する2つの画素から出力されかつ相互に同じ色の信号値である2つの信号値の差に応じて、前記補間フィルタを切り替える、
請求項9に記載の画像処理装置。
【請求項11】
イメージセンサから得られる第1の複数の色の信号値を用いて、第2の複数の色の信号値を算出し、
前記第1の複数の色の信号値を用いて、前記第1の複数の色の少なくとも1つが飽和しているか否かを判定し、
前記第1の複数の色の少なくとも1つが飽和していると判定された場合、
前記第2の複数の色の信号値から再現される画像を本来の色に近づけるべく、前記第2の複数の色の少なくとも1つの信号値を補正し、補正後の信号値を出力する、
画像処理方法。
【請求項12】
請求項1から10のいずれか1項に記載の画像処理装置を複数備え、
前記複数の画像処理装置は、互いに露光時間の異なる撮像によって得られた複数の露光画像であって、前記第1の複数の色の信号値によって形成される複数の露光画像を処理する、
画像処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像処理装置、画像処理方法、および画像処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、全波長を透過する白画素と、第1の波長より高い波長領域をカットする多層膜またはフォトニック結晶を有する第1の色分離画素と、第1の波長より高い第2の波長より高い波長領域をカットする多層膜またはフォトニック結晶を有する第2の色分離画素とを備える装置が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の装置では、色飽和が発生すると、生成された画像が実際の色とは異なる色に着色され、画像の品質が低下するという課題がある。
【0005】
そこで、本開示は、画像の品質の低下を抑制できる画像処理装置、画像処理方法、および画像処理システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る画像処理装置は、イメージセンサから得られる第1の複数の色の信号値を用いて、第2の複数の色の信号値を算出する演算部と、前記第1の複数の色の信号値を用いて、前記第1の複数の色の少なくとも1つが飽和しているか否かを判定する飽和判定部と、前記飽和判定部によって前記第1の複数の色の少なくとも1つが飽和していると判定された場合、前記第2の複数の色の少なくとも1つの信号値を補正し、補正後の信号値を出力する補正部とを備える。
【0007】
本開示の一態様に係る画像処理方法は、イメージセンサから得られる第1の複数の色の信号値を用いて、第2の複数の色の信号値を算出し、前記第1の複数の色の信号値を用いて、前記第1の複数の色の少なくとも1つが飽和しているか否かを判定し、前記第1の複数の色の少なくとも1つが飽和していると判定された場合、前記第2の複数の色の少なくとも1つの信号値を補正し、補正後の信号値を出力する。
【0008】
本開示の一態様に係る画像処理システムは、上記の画像処理装置を複数備え、前記複数の画像処理装置は、互いに露光時間の異なる撮像によって得られた複数の露光画像であって、前記第1の複数の色の信号値によって形成される複数の露光画像を処理する。
【発明の効果】
【0009】
本開示の画像処理装置、画像処理方法、および画像処理システムは、画像の品質の低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施の形態1における画像処理装置を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、
図1の画像処理装置の補正部による補正について説明するための図であり、補正の対象とならない1以上の色の信号値の平均値を、補正の対象となる色の補正後の信号値とする場合について説明するための図である。
【
図3】
図3は、
図1の画像処理装置の補正部による補正について説明するための図であり、補正の対象となる色の信号値を、補正の対象となる色の補正後の信号値とする場合について説明するための図である。
【
図4】
図4は、
図1の画像処理装置の飽和判定部の動作の一例を示すフロー図である。
【
図5】
図5は、
図1の画像処理装置の補正部の動作の一例を示すフロー図である。
【
図6】
図6は、実施の形態2における画像処理装置を示すブロック図である。
【
図7】
図7は、
図6の画像処理装置の平滑化フィルタによる空間方向の平滑化処理を説明するための図である。
【
図8】
図8は、
図6の画像処理装置の平滑化フィルタによる時間方向の平滑化処理を説明するための図である。
【
図9】
図9は、実施の形態3における画像処理システムを示すブロック図である。
【
図10】
図10は、実施の形態4における画像処理システムを示すブロック図である。
【
図11】
図11は、補間フィルタの一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0012】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、同じ構成部材については同じ符号を付している。
【0013】
(実施の形態1)
実施の形態1における画像処理装置10について説明する。
【0014】
図1は、実施の形態1における画像処理装置10を示すブロック図である。
図1を参照して、画像処理装置10の機能構成について説明する。
【0015】
図1に示すように、画像処理装置10は、演算部12と、飽和判定部14と、補正部16とを備える。たとえば、演算部12、飽和判定部14、および補正部16は、回路等によって実現される。
【0016】
演算部12は、イメージセンサ(図示せず)から得られる第1の複数の色の信号値を用いて、第2の複数の色の信号値を算出する。信号値とは、色空間を表現する成分の値であり、たとえば、輝度および色差等である。また、たとえば、色空間は、RGB色空間、およびYUV色空間等である。
【0017】
イメージセンサは、並んで配列される複数の画素(図示せず)を有している。複数の画素はそれぞれ、受光した光の光量に応じた信号値を出力する。実施の形態1では、複数の画素は、複数の赤画素、複数の青画素、および複数の白画素で構成されている。赤画素は、赤色の波長領域の光を透過させるフィルタを透過した光を受光し、受光した光の光量に応じた信号値を出力する。青画素は、青色の波長領域の光を透過させるフィルタを透過した光を受光し、受光した光の光量に応じた信号値を出力する。白画素は、全波長領域の光を透過させるフィルタを透過した光を受光し、受光した光の光量に応じた信号値を出力する。なお、白画素は、フィルタを透過していない光を受光し、受光した光の光量に応じた信号値を出力してもよい。たとえば、赤色の波長領域は、620nm~750nmであり、青色の波長領域は、450nm~495nmであり、全波長領域は、可視光の波長領域の全領域である。
【0018】
演算部12は、イメージセンサの赤画素から出力される赤色の信号値、およびイメージセンサの青画素から出力される青色の信号値を取得する。また、演算部12は、イメージセンサの白画素から出力される信号値であって、全波長領域の光を透過させるフィルタを透過しかつイメージセンサに受光された光の色の信号値を取得する。このように、実施の形態1では、第1の複数の色は、赤色、青色、および全波長領域の光を透過させるフィルタを透過しかつイメージセンサに受光された光の色である。なお、以下の説明では、全波長領域の光を透過させるフィルタを透過しかつイメージセンサに受光された光の色を、クリアと呼ぶ場合がある。
【0019】
演算部12は、イメージセンサから取得した赤色の信号値、青色の信号値、およびクリアの信号値を用いて、赤色の信号値、青色の信号値、および緑色の信号値を算出する。このように、実施の形態1では、第2の複数の色は、赤色、青色、および緑色であり、演算部12は、イメージセンサから得られる第1の複数の色の信号値を用いて、第1の複数の色にはない色の信号値を算出する。なお、以下の説明では、第1の複数の色のうち、赤色の信号値をRで示し、青色の信号値をBで示し、クリアの信号値をCで示す場合がある。また、以下の説明では、第2の複数の色のうち、赤色の信号値をR1で示し、青色の信号値をB1で示し、緑色の信号値をG1で示す場合がある。
【0020】
演算部12は、R、B、およびCを用いて、以下の式
【数1】
によって、R1、B1、およびG1を算出する。このように、演算部12は、R、B、およびCを用いて、行列演算(マトリックス演算)を行う。上述した式において、a、b、c、d、e、f、g、h、i、b0、b1、およびb2は、定数であり、たとえば、R=R1となりかつB=B1となるように設定される。
【0021】
飽和判定部14は、イメージセンサから出力されて演算部12に入力される第1の複数の色の信号値を用いて、第1の複数の色の少なくとも1つが飽和しているか否かを判定する。実施の形態1では、飽和判定部14は、クリアの信号値を用いて、クリアが飽和しているか否かを判定する。具体的には、飽和判定部14は、クリアの信号値が所定の閾値以上か否かを判定し、クリアの信号値が所定の閾値以上であれば、クリアが飽和していると判定し、クリアの信号値が所定の閾値以上でなければ、クリアが飽和していないと判定する。たとえば、クリアの信号値が8ビットの値である場合、所定の閾値は、255に設定される。この場合、飽和判定部14は、クリアの信号値が255以上か否かを判定し、クリアの信号値が255以上であればクリアが飽和していると判定し、クリアの信号値が255以上でなければクリアが飽和していないと判定する。
【0022】
補正部16は、飽和判定部14によって第1の複数の色の少なくとも1つが飽和していると判定された場合、演算部12によって算出された第2の複数の色の少なくとも1つの信号値を補正し、補正後の信号値を出力する。具体的には、補正部16は、第2の複数の色のうち第1の複数の色にない色であって、飽和している色の信号値を用いて算出される色の信号値を補正する。実施の形態1では、補正部16は、飽和判定部14によってクリアが飽和していると判定された場合、第2の複数の色のうち緑色の信号値を補正し、当該緑色の補正後の信号値を出力する。このように、実施の形態1では、第2の複数の色のうち補正の対象となる色は緑色である。なお、以下の説明では、第2の複数の色のうち緑色の補正後の信号値を、G2で示す場合がある。
【0023】
補正部16は、平均値算出部18と、最大値選択部20とを有する。
【0024】
平均値算出部18は、第2の複数の色のうち補正の対象とならない1以上の色の信号値の平均値を算出する。実施の形態1では、第2の複数の色のうち補正の対象とならない1以上の色は、赤色および青色であり、平均値算出部18は、第2の複数の色のうち赤色の信号値および青色の信号値を用いて、赤色の信号値および青色の信号値の平均値を算出する。
【0025】
最大値選択部20は、第2の複数の色のうち補正の対象となる色の信号値と、第2の複数の色のうち補正の対象とならない1以上の色の信号値の平均値すなわち平均値算出部18によって算出された平均値とを比較し、当該補正の対象となる色の信号値および当該平均値のうち大きい方を選択する。実施の形態1では、最大値選択部20は、第2の複数の色のうち緑色の信号値と、第2の複数の色のうち赤色の信号値および青色の信号値の平均値とを比較し、これらのうち大きい方を選択する。
【0026】
補正部16は、飽和判定部14によってクリアが飽和していると判定された場合(
図1のyes参照)、最大値選択部20によって選択された値を、G2として出力する。
【0027】
一方、補正部16は、飽和判定部14によってクリアが飽和していないと判定された場合(
図1のno参照)、G1を、G2として出力する。
【0028】
図2は、
図1の画像処理装置10の補正部16による補正について説明するための図であり、補正の対象とならない1以上の色の信号値の平均値を、補正の対象となる色の補正後の信号値とする場合について説明するための図である。
図3は、
図1の画像処理装置10の補正部16による補正について説明するための図であり、補正の対象となる色の信号値を、補正の対象となる色の補正後の信号値とする場合について説明するための図である。
図2および
図3を参照して、補正部16による補正について説明する。
【0029】
たとえば、
図2の(a)に示すようにクリアが飽和している場合、演算部12によって算出されるR1、B1、およびG1は、
図2の(b)に示すような値になる。しかし、本来、R1、B1、およびG1は、
図2の(c)に示すような値になるべきである。このように、
図2の(a)に示すようにクリアが飽和している場合、演算部12によって算出されるG1と、本来算出されるべきG1とは異なっている。これによって、本来は白っぽい色であったにも拘わらず、画像においてはマゼンタ色に着色されたような色になってしまう。
【0030】
そこで、
図2の(d)に示すように、補正部16は、R1およびB1の平均値を、G2として出力する。G2は、演算部12によって算出されるG1(
図2の(b)参照)よりも、本来のG1(
図2の(c)参照)に近い値であることがわかる。したがって、画像を本来の色に近づけることができる。
【0031】
また、たとえば、
図3の(a)に示すように、
図2の(a)に示す場合よりもRおよびBが小さい状態においてクリアが飽和している場合、演算部12によって算出されるR1、B1、およびG1は、
図3の(b)に示すような値になる。この場合、本来、R1、B1、およびG1は、
図3の(c)に示すような値になるべきである。このように、
図3の(a)に示すようにクリアが飽和している場合においても、演算部12によって算出されるG1と、本来算出されるべきG1とは異なっている。
【0032】
ここで、
図3の(d)に示すように、上述した場合と同様、R1およびB1の平均値を、G2として出力すると、G2は、演算部12によって算出されるG1(
図3の(b)参照)よりも小さい値となり、当該G1よりも、本来のG1(
図3の(c)参照)に遠い値であることがわかる。このように、R1およびB1の平均値を、G2として出力すると、G2が、演算部12によって算出されるG1(
図3の(b)参照)よりも、本来のG1(
図3の(c)参照)に遠い値になってしまう場合がある。
【0033】
以上のことから、補正部16は、R1とB1との平均値が演算部12によって算出されたG1よりも大きい場合、当該平均値をG2として出力する。一方、補正部16は、演算部12によって算出されたG1がR1とB1との平均値よりも大きい場合、当該G1をG2として出力する。
【0034】
以上、本実施の形態における画像処理装置10の構成について説明した。
【0035】
次に、本実施の形態における画像処理装置10の動作について説明する。
【0036】
図4は、画像処理装置10の飽和判定部14の動作の一例を示すフロー図である。
図4を参照して、飽和判定部14の動作の一例について説明する。
【0037】
図4に示すように、まず、飽和判定部14は、第1の複数の色のうちクリアの信号値が所定の閾値以上か否かを判定する(ステップS1)。所定の閾値は、予め設定され、メモリ(図示せず)等に記憶されている。上述したように、たとえば、クリアの信号値が8ビットの値である場合、所定の閾値は、255に設定される。この場合、飽和判定部14は、クリアの信号値が255以上か否かを判定する。
【0038】
飽和判定部14は、第1の複数の色のうちクリアの信号値が所定の閾値以上である場合(ステップS1でYes)、クリアが飽和していると判定する(ステップS2)。たとえば、所定の閾値が255に設定されている場合、飽和判定部14は、クリアの信号値が255以上であれば、クリアが飽和していると判定する。
【0039】
一方、飽和判定部14は、クリアの信号値が所定の閾値以上でない場合(ステップS1でNo)、クリアが飽和していないと判定する(ステップS3)。たとえば、所定の閾値が255に設定されている場合、飽和判定部14は、クリアの信号値が255以上でなければ、クリアが飽和していないと判定する。
【0040】
図5は、画像処理装置10の補正部16の動作の一例を示すフロー図である。
図5を参照して、補正部16の動作の一例について説明する。
【0041】
図5に示すように、まず、補正部16は、クリアが飽和していると判定されたか否かを判定する(ステップS11)。具体的には、補正部16は、飽和判定部14によってクリアが飽和していると判定されたか否かを判定する。
【0042】
補正部16は、飽和判定部14によってクリアが飽和していると判定された場合(ステップS11でYes)、第2の複数の色のうち赤色の信号値および青色の信号値の平均値を算出する(ステップS12)。たとえば、赤色の信号値および青色の信号値が8ビットの値であり、赤色の信号値が100であり、青色の信号値が150である場合、補正部16は、125を平均値として算出する。
【0043】
補正部16は、第2の複数の色のうち赤色の信号値および青色の信号値の平均値を算出すると、第2の複数の色のうち緑色の信号値および当該平均値のうちの大きい方を、当該緑色の補正後の信号値として出力する(ステップS13)。
【0044】
補正部16は、飽和判定部14によってクリアが飽和していないと判定された場合(ステップS11でNo)、第2の複数の色のうち緑色の信号値を、当該緑色の補正後の信号値として出力する(ステップS14)。
【0045】
以上、本実施の形態における画像処理装置10について説明した。
【0046】
以上、本実施の形態における画像処理装置10は、イメージセンサから得られる第1の複数の色の信号値を用いて、第2の複数の色の信号値を算出する演算部12と、第1の複数の色の信号値を用いて、第1の複数の色の少なくとも1つが飽和しているか否かを判定する飽和判定部14と、飽和判定部14によって第1の複数の色の少なくとも1つが飽和していると判定された場合、第2の複数の色の少なくとも1つの信号値を補正し、補正後の信号値を出力する補正部16とを備える。
【0047】
これによれば、第1の複数の色の少なくとも1つが飽和することによって、第2の複数の色の少なくとも1つの信号値が本来算出されるべき値と異なっている場合に、当該信号値を補正して出力できる。したがって、第2の複数の色の信号値が本来算出されるべき値と異なることによって画像の色が実際の色と異なる色になることを抑制でき、画像の品質が低下することを抑制できる。
【0048】
また、本実施の形態における画像処理装置10において、補正部16は、第2の複数の色のうち補正の対象となる色の信号値と、第2の複数の色のうち補正の対象とならない1以上の色の信号値の平均値とを比較し、当該補正の対象となる色の信号値および当該平均値のうち大きい方を、当該補正の対象となる色の補正後の信号値として出力する。
【0049】
補正の対象とならない1以上の色の信号値の平均値が、補正の対象となる色の信号値よりも大きい場合、補正の対象となる色の本来算出されるべき信号値は、当該平均値に近い値になり易い。したがって、当該平均値を、補正の対象となる色の補正後の信号値として出力することによって、画像の色を本来の色に近づけ易くなる。
【0050】
一方、補正の対象となる色の信号値が、補正の対象とならない1以上の色の信号値の平均値よりも大きい場合、補正の対象となる色の本来算出されるべき信号値は、補正の対象となる色の信号値に近い値になり易い。したがって、補正の対象となる色の信号値を、補正の対象となる色の補正後の信号値として出力することによって、画像の色を本来の色に近づけ易くなる。
【0051】
これによって、画像の色が実際の色と異なる色になることを抑制でき、画像の品質が低下することをさらに抑制できる。
【0052】
また、補正部16は、第2の複数の色のうち補正の対象とならない1以上の色の信号値の平均値を、第2の複数の色のうち補正の対象となる色の補正後の信号値として出力する。
【0053】
これによれば、本来は白っぽい色であった箇所が、画像において着色されることを抑制し易くなり、画像の品質が低下することをさらに抑制できる。
【0054】
また、本実施の形態における画像処理装置10において、第1の複数の色は、クリアを含む。
【0055】
これによれば、多くの光を取り入れることができるので、夜間等に撮像された画像の品質が低下することを抑制できる。
【0056】
また、本実施の形態における画像処理装置10において、飽和判定部14は、第1の複数の色のうちクリアが飽和しているか否かを判定する。
【0057】
これによれば、クリアは、他の色に比べて飽和し易いので、第1の複数の色の少なくとも1つが飽和しているか否かを容易に判定できる。
【0058】
また、本実施の形態における画像処理装置10において、補正部16は、第2の複数の色のうち第1の複数の色にない色の信号値を補正する。
【0059】
第2の複数の色のうち第1の複数の色にない色の信号値は、第1の複数の色のうち飽和している色の信号値を用いて算出される場合がある。この場合、第1の複数の色にない色の信号値は、本来算出されるべき値と異なり易い。したがって、第1の複数の色にない色の信号値を補正することによって、当該信号値を本来算出されるべき値に近づけ易くなり、画像の品質が低下することをさらに抑制できる。
【0060】
また、本実施の形態における画像処理装置10において、第1の複数の色は、赤色、青色、およびクリアであり、第2の複数の色は、赤色、青色、および緑色であり、補正部16は、第2の複数の色のうち、緑色の信号値を補正し、赤色の信号値および青色の信号値を用いて平均値を算出する。
【0061】
これによれば、第2の複数の色のうちの緑色を、赤色、青色、およびクリアを用いて算出できる。また、クリアが飽和している場合、緑色の信号値を、赤色の信号値および青色の信号値の平均値を用いて補正でき、画像の品質が低下することをさらに抑制できる。
【0062】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2における画像処理装置10aについて説明する。
【0063】
図6は、実施の形態2における画像処理装置10aを示すブロック図である。画像処理装置10aは、平滑化フィルタ22をさらに備えている点において、画像処理装置10と主に異なっている。以下の説明では、画像処理装置10との相違点について、主に説明する。
【0064】
図6に示すように、画像処理装置10aは、平滑化フィルタ22をさらに備える。平滑化フィルタ22は、飽和判定部14によって第1の複数の色の少なくとも1つが飽和していると判定された場合、補正部16によって出力された緑色の補正後の信号値に対して、空間方向および時間方向の少なくとも一方に平滑化処理を行う。また、平滑化フィルタ22は、演算部12によって算出された赤色の信号値および青色の信号値に対しても、空間方向および時間方向の少なくとも一方に平滑化処理を行う。平滑化フィルタ22は、平滑化処理後の赤色の信号値、青色の信号値、および緑色の信号値を出力する。以下の説明では、平滑化処理後の赤色の信号値をR3で示し、平滑化処理後の青色の信号値をB3で示し、平滑化処理後の緑色の信号値をG3で示す場合がある。
【0065】
図7は、
図6の画像処理装置10aの平滑化フィルタ22による空間方向の平滑化処理を説明するための図である。
図7に示すように、たとえば、ディスプレイの複数の画素が並んで配置されている場合、演算部12は、複数の画素のそれぞれについて、R、B、およびCを取得し、R1、B1、およびG1を算出する。飽和判定部14は、複数の画素のそれぞれについて、クリアが飽和しているか否かを判定する。補正部16は、複数の画素のそれぞれについて、G1を補正し、G2を出力する。
【0066】
たとえば、平滑化フィルタ22は、複数の画素のうち画素24について、飽和判定部14によってクリアが飽和していると判定された場合、画素24についてのR1、B1、およびG2に対して、空間方向に平滑化処理を行う。具体的には、たとえば、平滑化フィルタ22は、画素24と隣り合う画素26のR1、B1、およびG2、ならびに画素28のR1、B1、およびG2を参照し、画素24のR1、B1、およびG2に対して平滑化処理を行い、R3、B3、およびG3を出力する。このようにして、平滑化フィルタ22は、R1、B1、およびG2に対して、空間方向に平滑化処理を行う。
【0067】
図8は、
図6の画像処理装置10aの平滑化フィルタ22による時間方向の平滑化処理を説明するための図である。
図8に示すように、たとえば、平滑化フィルタ22は、複数の画素のうち画素24bについて、飽和判定部14によってクリアが飽和していると判定された場合、画素24bについてのR1、B1、およびG2に対して、時間方向(
図8の矢印A参照)に平滑化処理を行う。具体的には、たとえば、平滑化フィルタ22は、画素24bの時間方向の前方の画素24aのR1、B1、およびG2、ならびに後方の画素24cのR1、B1、およびG2を参照し、画素24bのR1、B1、およびG2に対して平滑化処理を行い、R3、B3、およびG3を出力する。
【0068】
以上、本実施の形態における画像処理装置10aについて説明した。
【0069】
以上、本実施の形態における画像処理装置10aは、飽和判定部14によって第1の複数の色の少なくとも1つが飽和していると判定された場合、補正部16によって出力された補正後の信号値に対して、空間方向および時間方向の少なくとも一方に平滑化処理を行う平滑化フィルタ22をさらに備える。
【0070】
これによれば、飽和判定部14によって第1の複数の色の少なくとも1つが飽和していると判定された場合、平滑化フィルタ22によって補正後の信号値に対して平滑化処理が行われるので、画像の品質が低下することを抑制できる。
【0071】
(実施の形態3)
次に、実施の形態3における画像処理システム100について説明する。
【0072】
図9は、実施の形態3における画像処理システム100を示すブロック図である。
図9に示すように、画像処理システム100は、複数の画像処理装置10b~10dを備える。複数の画像処理装置10b~10dは、上記の画像処理装置10と同様の構成である。つまり、言い換えると、画像処理システム100は、上記の画像処理装置10を複数備える。
【0073】
複数の画像処理装置10b~10dは、並列に並べて配置されており、互いに露光時間の異なる撮像によって得られた複数の露光画像であって、第1の複数の色の信号値によって形成される複数の露光画像を処理する。上述したように、複数の画像処理装置10b~10dはそれぞれ、画像処理装置10と同様の構成であるので、上述した画像処理装置10の説明を参照することにより、複数の画像処理装置10b~10dの詳細な説明を省略する。
【0074】
画像処理装置10bは、複数の露光画像のうちの第1の露光時間によって撮像された第1の露光画像を処理する。具体的には、画像処理装置10bは、第1の露光画像を形成する第1の複数の色の信号値を取得し、当該第1の複数の色の信号値を処理することによって、第1の露光画像を処理する。当該第1の複数の色の信号値は、赤色の信号値(
図9のRa参照)、青色の信号値(
図9のBa参照)、およびクリアの信号値(
図9のCa参照)である。画像処理装置10bは、当該第1の複数の色の信号値を用いて、実施の形態1で説明した画像処理装置10と同様の処理を行い、第2の複数の色のうちの赤色の信号値(
図9のR1a参照)、青色の信号値(
図9のB1a参照)、および緑色の補正後の信号値(
図9のG2a参照)を出力する。このように、画像処理装置10bは、第1の露光画像を形成する第1の複数の色の信号値を処理することによって、第1の露光画像を処理する。
【0075】
画像処理装置10cは、複数の露光画像のうちの第2の露光時間によって撮像された第2の露光画像を処理する。具体的には、画像処理装置10cは、第2の露光画像を形成する第1の複数の色の信号値を取得し、当該第1の複数の色の信号値を処理することによって、第2の露光画像を処理する。当該第1の複数の色の信号値は、赤色の信号値(
図9のRb参照)、青色の信号値(
図9のBb参照)、およびクリアの信号値(
図9のCb参照)である。画像処理装置10cは、当該第1の複数の色の信号値を用いて、実施の形態1で説明した画像処理装置10と同様の処理を行い、第2の複数の色のうちの赤色の信号値(
図9のR1b参照)、青色の信号値(
図9のB1b参照)、および緑色の補正後の信号値(
図9のG2b参照)を出力する。このように、画像処理装置10cは、第2の露光画像を形成する第1の複数の色の信号値を処理することによって、第2の露光画像を処理する。たとえば、第2の露光時間は、第1の露光時間よりも長い。
【0076】
画像処理装置10dは、複数の露光画像のうちの第3の露光時間によって撮像された第3の露光画像を処理する。具体的には、画像処理装置10dは、第3の露光画像を形成する第1の複数の色の信号値を取得し、当該第1の複数の色の信号値を処理することによって、第3の露光画像を処理する。当該第1の複数の色の信号値は、赤色の信号値(
図9のRc参照)、青色の信号値(
図9のBc参照)、およびクリアの信号値(
図9のCc参照)である。画像処理装置10dは、当該第1の複数の色の信号値を用いて、実施の形態1で説明した画像処理装置10と同様の処理を行い、第2の複数の色のうちの赤色の信号値(
図9のR1c参照)、青色の信号値(
図9のB1c参照)、および緑色の補正後の信号値(
図9のG2c参照)を出力する。このように、画像処理装置10dは、第3の露光画像を形成する第1の複数の色の信号値を処理することによって、第3の露光画像を処理する。たとえば、第3の露光時間は、第1の露光時間よりも長く、かつ第2の露光時間よりも長い。
【0077】
なお、実施の形態3では、複数の画像処理装置が3個である場合について説明したが、これに限定されない。たとえば、複数の画像処理装置は、2個であってもよいし、4個以上であってもよい。
【0078】
また、実施の形態3では、画像処理システム100が、複数の画像処理装置10を備える場合について説明したが、これに限定されない。たとえば、画像処理システムは、複数の画像処理装置10aを備えていてもよい。
【0079】
以上、本実施の形態における画像処理システム100について説明した。
【0080】
以上、本実施の形態における画像処理システム100は、上記の画像処理装置10を複数備え、複数の画像処理装置10は、互いに露光時間の異なる撮像によって得られた複数の露光画像であって、第1の複数の色の信号値によって形成される複数の露光画像を処理する。
【0081】
これによれば、互いに露光時間の異なる撮像が行われた場合に、当該撮像によって得られる複数の露光画像を、複数の画像処理装置10によって処理することができる。
【0082】
(実施の形態4)
次に、実施の形態4における画像処理装置10eについて説明する。
【0083】
図10は、実施の形態4における画像処理装置10eを示すブロック図である。画像処理装置10eは、デモザイク処理部30をさらに備えている点において、画像処理装置10と主に異なっている。以下の説明では、画像処理装置10との相違点について、主に説明する。
【0084】
図10に示すように、画像処理装置10eは、演算部12の前段にデモザイク処理部30をさらに備える。デモザイク処理部30は、イメージセンサ(図示せず)から取得した原画像データ(RAW画像)に対して補間フィルタを用いてデモザイク処理を施して、第1の複数の色の信号値を算出する。デモザイク処理部30は、算出した第1の複数の色の信号値を演算部12に出力する。
【0085】
本実施の形態では、第1の複数の色は、赤色、青色、およびクリアであり、デモザイク処理部30は、イメージセンサから取得したRAW画像に補間フィルタを用いて、赤色の信号値、青色の信号値、およびクリアの信号値を算出する。具体的には、デモザイク処理部30は、イメージセンサの複数の画素のそれぞれに注目し、複数の画素のそれぞれに対応する第1の複数の色の信号値を算出する。以下の説明では、イメージセンサの複数の画素のうち、デモザイク処理部30が注目している画素を、注目画素と呼ぶ場合がある。補間フィルタは、たとえば、注目画素において第1の複数の色の信号値を算出する場合、注目画素の色と異なる色の信号値については、注目画素に隣接しかつ相互に同じ色の画素同士の値を用いて算出する。
【0086】
図11は、補間フィルタの一例を説明するための図である。
【0087】
図11の(a)は、注目画素が赤画素である場合を説明する図である。
図11の(a)に示すように、注目画素から出力される赤色の信号値がRIであり、当該注目画素に隣接する複数の青画素から出力される青色の信号値がBI,BII,BIII,BIVであり、当該注目画素に隣接する複数の白画素から出力されるクリアの信号値がCI,CII,CIII,CIVである。この場合、デモザイク処理部30は、第1の複数の色のうち、赤色の信号値としてRIを出力し、青色の信号値として注目画素と隣接している複数の青画素から出力されるBI,BII,BIII,BIVの平均値を出力し、クリアの信号値として注目画素と隣接している複数の白画素から出力されるCI,CII,CIII,CIVの平均値を出力する。つまり、デモザイク処理部30は、R=RIとし、B=(BI+BII+BIII+BIV)/4とし、C=(CI+CII+CIII+CIV)/4として、演算部12に出力する。
【0088】
図11の(b)は、注目画素が青画素である場合を説明する図である。
図11の(b)に示すように、注目画素から出力される青色の信号値がBIであり、当該注目画素に隣接する複数の赤画素から出力される赤色の信号値がRI,RII,RIII,RIVであり、当該注目画素に隣接する複数の白画素から出力されるクリアの信号値がCI,CII,CIII,CIVである。この場合、デモザイク処理部30は、第1の複数の色のうち、青色の信号値としてBIを出力し、赤色の信号値として注目画素と隣接している複数の赤画素から出力されるRI,RII,RIII,RIVの平均値を出力し、クリアの信号値として注目画素と隣接している複数の白画素から出力されるCI,CII,CIII,CIVの平均値を出力する。つまり、デモザイク処理部30は、B=BIとし、R=(RI+RII+RIII+RIV)/4とし、C=(CI+CII+CIII+CIV)/4として、演算部12に出力する。
【0089】
図11の(c)は、注目画素が白画素である場合を説明する図である。
図11の(c)に示すように、注目画素から出力されるクリアの信号値がCIIIであり、当該注目画素に隣接する複数の赤画素から出力される赤色の信号値がRI,RIIであり、当該注目画素に隣接する複数の青画素から出力される青色の信号値がBI,BIIである。この場合、デモザイク処理部30は、第1の複数の色のうち、クリアの信号値としてCIIIを出力し、赤色の信号値として注目画素と隣接している複数の赤画素から出力されるRI,RIIの平均値を出力し、青色の信号値として注目画素と隣接している複数の青画素から出力されるBI,BIIの平均値を出力する。つまり、デモザイク処理部30は、C=CIIIとし、R=(RI+RII)/2とし、B=(BI+BII)/2として、演算部12に出力する。
【0090】
なお、デモザイク処理部30は、注目画素と隣接する同じ色同士の画素から出力される信号値の差の大きさに応じて、補間フィルタを適応的に切替えてもよい。つまり、デモザイク処理部30は、注目画素と隣接する2つの画素から出力されかつ相互に同じ色の信号値である2つの信号値の差に応じて、補間フィルタを切り替えてもよい。たとえば、第1の複数の色のうち、注目画素の色と異なる色の信号値を算出する場合に、注目画素と隣接する2つの画素であって、同じ色同士の2つの画素から出力される2つの信号値の差が所定の閾値以下の場合には、当該2つの信号値の平均値を出力し、当該2つの信号値の差が所定の閾値よりも大きい場合には、当該平均値より小さい値を出力する補間フィルタに切り替えてもよい。
【0091】
また、平均値ではなく重みづけ平均で算出した値を出力する補間フィルタに切り替えてもよい。また、閾値は色ごとに設定してもよく、可変としてもよい。
【0092】
以上、本実施の形態における画像処理装置10eについて説明した。
【0093】
以上、本実施の形態における画像処理装置10eは、さらに、演算部12の前段に、イメージセンサから取得したRAW画像に対して補間フィルタを用いてデモザイク処理を施して、第1の複数の色の信号値を算出するデモザイク処理部30を備える。
【0094】
これにより、RAW画像より、第1の複数の色の信号値、つまり赤色の信号値、青色の信号値、およびクリアの信号値を取得することができる。
【0095】
また、デモザイク処理部30は、注目画素と隣接する2つの画素から出力されかつ相互に同じ色の信号値である2つの色の信号値の差に応じて、補間フィルタを切り替える。
【0096】
これにより、エッジ部など、隣接画素との信号値の差が大きい画素について色のバランスが崩れることが低減される。そのため、後段の処理で得られる画像に対しての着色をさらに抑制することができる。
【0097】
(他の実施の形態等)
以上、一つまたは複数の態様に係る画像処理装置、画像処理方法、および画像処理システムについて、実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、この実施の形態に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものも、本開示の範囲内に含まれてもよい。
【0098】
上述した実施の形態では、第1の複数の色が、赤色、青色、およびクリアである場合について説明したが、これに限定されない。第1の複数の色は、任意の2つ以上の色であればよい。
【0099】
上述した実施の形態では、第2の複数の色が、赤色、青色、および緑色である場合について説明したが、これに限定されない。第2の複数の色は、任意の2つ以上の色であればよい。
【0100】
上述した実施の形態では、演算部12が、赤色の信号値、青色の信号値、およびクリアの信号値の3つの信号値を用いて、第2の複数の色の信号値を算出する場合について説明したが、これに限定されない。たとえば、演算部は、赤色の信号値、緑色の信号値、およびクリアの信号値の3つの信号値を用いて、青色を含む第2の複数の色の信号値を算出してもよいし、赤色の信号値、クリアの信号値、および他のクリアの信号値の3つの信号値を用いて、第2の複数の色の信号値を算出してもよい。また、演算部は、赤色の信号値、クリアの信号値、他のクリアの信号値、およびさらに他のクリアの信号値の4つの信号値を用いて、第2の複数の色の信号値を算出してもよい。また、演算部は、5つ以上の信号値を用いて、第2の複数の色の信号値を算出してもよい。
【0101】
上述した実施の形態では、飽和判定部14が、第1の複数の色のうちクリアが飽和しているか否かを判定する場合について説明したが、これに限定されない。たとえば、飽和判定部14は、第1の複数の色のうちクリアおよび赤色の2つの色が飽和しているか否かを判定してもよい。この場合、たとえば、第1の複数の色のうちクリアおよび赤色の2つの色が飽和していると判定されれば、補正部16は、第2の複数の色のうち赤色の信号値および緑色の信号値を補正してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本開示は、画像を撮像する撮像装置等に利用可能である。
【符号の説明】
【0103】
10,10a,10b,10c,10d,10e 画像処理装置
12 演算部
14 飽和判定部
16 補正部
18 平均値算出部
20 最大値選択部
22 平滑化フィルタ
30 デモザイク処理部
100 画像処理システム