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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】バッテリーモニタリング装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/367 20190101AFI20240925BHJP
   G01R 31/382 20190101ALI20240925BHJP
   G01R 31/385 20190101ALI20240925BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
G01R31/367
G01R31/382
G01R31/385
H01M10/48 P
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2023516590
(86)(22)【出願日】2022-05-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-28
(86)【国際出願番号】 KR2022007258
(87)【国際公開番号】W WO2022250390
(87)【国際公開日】2022-12-01
【審査請求日】2023-03-13
(31)【優先権主張番号】10-2021-0067882
(32)【優先日】2021-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム、チャン-フーン
【審査官】島▲崎▼ 純一
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-528573(JP,A)
【文献】国際公開第2016/203655(WO,A1)
【文献】米国特許第06388447(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/367
G01R 31/382
G01R 31/385
H01M 10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリーのSOCに対する前記バッテリーの電圧変化率を示す微分電圧と前記SOCとの対応関係を示す微分プロファイルを生成するプロファイル生成部と、
前記微分プロファイルにおいて予め設定されたSOC区間に対応する曲率を算出し、算出された曲率を前記バッテリーに対して予め設定された基準曲率と比較して、比較結果に基づいて前記バッテリーのリチウムの析出有無を判断する制御部と、を含む、バッテリーモニタリング装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記算出された曲率と前記基準曲率との大きさを比較する、請求項1に記載のバッテリーモニタリング装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記算出された曲率が前記基準曲率以下であれば、前記バッテリーに前記リチウムが析出されていないと判断し、
前記算出された曲率が前記基準曲率を超過すれば、前記バッテリーに前記リチウムが析出されたと判断する、請求項2に記載のバッテリーモニタリング装置。
【請求項4】
前記プロファイル生成部は、
1つ以上の前記微分プロファイルを生成し、
前記制御部は、
前記プロファイル生成部によって生成された1つ以上の微分プロファイルの各々から前記曲率を算出し、算出された1つ以上の曲率の中で、前記基準曲率を超過する曲率の数を算出し、算出されたに基づいて前記バッテリーのリチウム析出有無を判断する、請求項2に記載のバッテリーモニタリング装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記算出されたが予め設定された基準値を超過した場合、前記バッテリーに前記リチウムが析出されたと判断する、請求項4に記載のバッテリーモニタリング装置。
【請求項6】
前記プロファイル生成部は、
複数の前記微分プロファイルを生成する、請求項4に記載のバッテリーモニタリング装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記算出されたが予め設定された基準値を超過した場合、前記基準曲率を超過すると判断された複数の曲率の増減パターンを決定し、決定された増減パターンに基づいて前記リチウムの析出有無を判断する、請求項に記載のバッテリーモニタリング装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記決定された増減パターンが増加パターンである場合、前記バッテリーに前記リチウムが析出されたと判断する、請求項7に記載のバッテリーモニタリング装置。
【請求項9】
前記制御部は、
前記バッテリーに前記リチウムが析出されたと判断された場合、前記リチウムの析出と関わる診断コードを生成して出力する、請求項に記載のバッテリーモニタリング装置。
【請求項10】
前記制御部は、
前記バッテリーの休止期間を算出し、算出された休止期間が予め設定された基準期間以下の状態であるとき、前記プロファイル生成部によって生成された微分プロファイルに対して前記曲率を算出する、請求項に記載のバッテリーモニタリング装置。
【請求項11】
前記制御部は、
前記微分プロファイルにおいて前記予め設定されたSOC区間に含まれたターゲットピークを決定し、前記ターゲットピークに対応する曲率を算出する、請求項に記載のバッテリーモニタリング装置。
【請求項12】
請求項1から8のいずれか一項に記載のバッテリーモニタリング装置を含む、バッテリーパック。
【請求項13】
バッテリーのSOCに対する前記バッテリーの電圧変化率を示す微分電圧と前記SOCとの対応関係を示す微分プロファイルを生成する微分プロファイル生成段階と、
前記微分プロファイル生成段階で生成された微分プロファイルにおいて予め設定されたSOC区間に対応する曲率を算出する曲率算出段階と、
前記曲率算出段階で算出された曲率を前記バッテリーに対して予め設定された基準曲率と比較する曲率比較段階と、
前記曲率比較段階の比較結果に基づいて前記バッテリーのリチウム析出有無を判断するリチウム析出有無の判断段階と、を含む、バッテリーモニタリング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリーモニタリング装置及び方法に関し、より詳しくは、バッテリーの状態がモニター可能なバッテリーモニタリング装置及び方法に関する。
【0002】
本出願は、2021年5月26日出願の韓国特許出願第10-2021-0067882号に基づく優先権を主張し、当該出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
最近、ノートブックPC、ビデオカメラ、携帯電話などのような携帯用電子製品の需要が急増し、エネルギー貯蔵用蓄電池、ロボット、衛星などの開発が本格化するにつれ、反復的な充放電の可能な高性能バッテリーについての研究が活発に進行しつつある。
【0004】
現在、商用化したバッテリーとしては、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池、リチウムバッテリーなどがあり、このうち、リチウムバッテリーは、ニッケル系のバッテリーに比べてメモリー効果がほとんど起こらず、充放電が自由で、自己放電率が非常に低くてエネルギー密度が高いという長所から脚光を浴びている。
【0005】
但し、バッテリーは、多様な原因によって内部短絡が発生することがあり、深刻な場合には火事が発生する危険がある。代表的には、バッテリーの内部にリチウム金属が析出される場合、バッテリーに内部短絡が発生し得る。例えば、電気車に備えられたバッテリーで内部短絡が発生し、このようなバッテリーが運用し続けられる場合には電気車に火事が発生する危険がある。
【0006】
このような問題を解決するために、従来からバッテリーの短絡有無を検出する研究が進んでいる。しかし、非破壊的な方式で電気車またはエネルギー貯蔵システムなどに備えられたバッテリーの短絡有無を正確に検出することには限界がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、バッテリーの電圧及びSOC(State of charge)に基づいてリチウムの析出有無がモニター可能なバッテリーモニタリング装置及び方法を提供することを目的とする。
【0008】
本発明の他の目的及び長所は、下記の説明によって理解でき、本発明の実施例によってより明らかに理解されるであろう。また、本発明の目的及び長所は、特許請求の範囲に示される手段及びその組み合わせによって実現することができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一面によるバッテリーモニタリング装置は、バッテリーのSOCに対する前記バッテリーの電圧変化率を示す微分電圧と前記SOCとの対応関係を示す微分プロファイルを生成するように構成されたプロファイル生成部と、前記微分プロファイルにおいて予め設定されたSOC区間に対応する曲率を算出し、算出された曲率を前記バッテリーに対して予め設定された基準曲率と比較して、比較結果に基づいて前記バッテリーのリチウム析出有無を判断するように構成された制御部と、を含み得る。
【0010】
前記制御部は、前記算出された曲率と前記基準曲率との大きさを比較するように構成され得る。
【0011】
前記制御部は、前記算出された曲率が前記基準曲率以下であれば、前記バッテリーに前記リチウムが析出されていないと判断するように構成され得る。
【0012】
前記制御部は、前記算出された曲率が前記基準曲率を超過すれば、前記バッテリーに前記リチウムが析出されたと判断するように構成され得る。
【0013】
前記制御部は、前記算出された曲率が前記基準曲率を超過する回数を算出し、算出された回数に基づいて前記バッテリーのリチウム析出有無を判断するように構成され得る。
【0014】
前記制御部は、前記算出された回数が予め設定された基準値を超過した場合、前記バッテリーに前記リチウムが析出されたと判断するように構成され得る。
【0015】
前記プロファイル生成部は、複数の前記微分プロファイルを生成するように構成され得る。
【0016】
前記制御部は、前記プロファイル生成部によって生成された複数の微分プロファイルの各々から前記曲率を算出し、算出された複数の曲率が前記基準曲率を超過する回数を算出するように構成され得る。
【0017】
前記制御部は、前記算出された回数が予め設定された基準値を超過した場合、前記基準曲率を超過すると判断された曲率に対する増減パターンを決定し、決定された増減パターンに基づいて前記リチウム析出の有無を判断するように構成され得る。
【0018】
前記制御部は、前記決定された増減パターンが増加パターンである場合、前記バッテリーに前記リチウムが析出されたと判断するように構成され得る。
【0019】
前記制御部は、前記バッテリーに前記リチウムが析出されたと判断された場合、前記リチウム析出と関わる診断コードを生成して出力するように構成され得る。
【0020】
前記制御部は、前記バッテリーの休止期間を算出し、算出された休止期間が予め設定された基準期間以下の状態であるとき、前記プロファイル生成部によって生成された微分プロファイルに対して前記曲率を算出するように構成され得る。
【0021】
前記制御部は、前記微分プロファイルにおいて前記予め設定されたSOC区間に含まれたターゲットピークを決定し、前記ターゲットピークに対応する曲率を算出するように構成され得る。
【0022】
本発明の他面によるバッテリーパックは、本発明の一面によるバッテリーモニタリング装置を含み得る。
【0023】
本発明のさらに他面による自動車は、本発明の一面によるバッテリーモニタリング装置を含み得る。
【0024】
本発明のさらに他面によるバッテリーモニタリング方法は、バッテリーのSOCに対する前記バッテリーの電圧変化率を示す微分電圧と前記SOCとの対応関係を示す微分プロファイルを生成する微分プロファイル生成段階と、前記微分プロファイル生成段階で生成された微分プロファイルにおいて予め設定されたSOC区間に対応する曲率を算出する曲率算出段階と、前記曲率算出段階で算出された曲率を前記バッテリーに対して予め設定された基準曲率と比較する曲率比較段階と、前記曲率比較段階の比較結果に基づいて前記バッテリーのリチウム析出有無を判断するリチウム析出有無の判断段階と、を含み得る。
【発明の効果】
【0025】
本発明の一面によれば、非破壊的な方式でバッテリーのリチウム析出有無をモニターすることができる。これによって、リチウム析出によるバッテリーの短絡及びこのような短絡による火事の発生を防止することができる。
【0026】
本発明の効果は上述した効果に制限されず、言及されていない本発明の他の効果は請求範囲の記載から当業者にとって明らかに理解されるだろう。
【0027】
本明細書に添付される次の図面は、本発明の望ましい実施例を例示するものであり、発明の詳細な説明とともに本発明の技術的な思想をさらに理解させる役割をするため、本発明は図面に記載された事項だけに限定されて解釈されてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の一実施例によるバッテリーモニタリング装置を概略的に示した図である。
図2】本発明の一実施例による第1バッテリーの微分プロファイルを概略的に示した図である。
図3】本発明の他の実施例による第2バッテリーの微分プロファイルを概略的に示した図である。
図4】本発明のさらに他の実施例による第3バッテリーの微分プロファイルを概略的に示した図である。
図5】本発明のさらに他の実施例による第4バッテリーに対する複数の曲率を概略的に示した図である。
図6】本発明の一実施例によるバッテリーモニタリング装置を含むバッテリーパックの例示的構成を示した図である。
図7】本発明の他の実施例によるバッテリーモニタリング方法を概略的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施例を詳しく説明する。これに先立ち、本明細書及び特許請求の範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されねばならない。
【0030】
したがって、本明細書に記載された実施例及び図面に示された構成は、本発明のもっとも望ましい一実施例に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを代弁するものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解せねばならない。
【0031】
また、本発明を説明することにおいて、関連する公知の機能または構成についての具体的な説明が、本発明の要旨をぼやかすと判断される場合、その説明を省略する。
【0032】
第1、第2などのように序数を含む用語は、多様な構成要素のうちいずれか一つを残りと区別する目的として使用され、このような用語によって構成要素が限定されることではない。
【0033】
なお、明細書の全体にかけて、ある部分が、ある構成要素を「含む」とするとき、これは特に反する記載がない限り、他の構成要素を除くことではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0034】
さらに、明細書の全体に亘って、ある部分が他の部分と「連結(接続)」されているとするとき、これは、「直接的に連結(接続)」されている場合のみならず、その中間に他の素子を介して「間接的に連結(接続)」されている場合も含む。
【0035】
以下では、添付された図面を参考して本発明の望ましい実施例について説明する。
【0036】
図1は、本発明の一実施例によるバッテリーモニタリング装置100を概略的に示した図である。
【0037】
図1を参照すると、バッテリーモニタリング装置100は、プロファイル生成部110及び制御部120を含み得る。
【0038】
プロファイル生成部110は、バッテリーのSOC(State of charge)に対するバッテリーの電圧変化率を示す微分電圧とSOCとの対応関係を示す微分プロファイルを生成するように構成され得る。
【0039】
ここで、バッテリーは負極端子及び正極端子を備え、物理的に分離可能な一つの独立したセルを意味する。一例で、リチウムイオン電池またはリチウムポリマー電池がバッテリーとして看做され得る。また、バッテリーは、複数のセルが直列及び/または並列に接続されたバッテリーモジュールを意味し得る。以下では、説明の便宜のために、バッテリーが一つの独立したセルを意味することに説明する。
【0040】
具体的には、プロファイル生成部110は、バッテリーのSOCと電圧に関わるバッテリー情報を獲得し得る。そして、プロファイル生成部110は、各々のSOCに対応する電圧の変化率を示す微分電圧(dV/dSOC)を算出し得る。そして、プロファイル生成部110は、SOCと微分電圧との対応関係を示す微分プロファイルを生成し得る。
【0041】
例えば、プロファイル生成部110は、獲得したバッテリー情報に基づいてSOCと電圧との対応関係を示すバッテリープロファイルを先に生成し得る。そして、プロファイル生成部110は、各々のSOCに対する微分電圧を算出し、SOCと微分電圧との対応関係を示す微分プロファイルを生成し得る。
【0042】
図2は、本発明の一実施例による第1バッテリーの微分プロファイルを概略的に示した図である。具体的には、図2は、第1バッテリーの微分プロファイルにおいてSOC70%~85%区間を示した図である。
【0043】
図2の実施例で、基準微分プロファイルRP1は、第1バッテリーがBOL(Beginning of life)状態であるときに生成されたものであり得る。ここで、基準微分プロファイルRP1は、外部で予め生成された後、プロファイル生成部110によって得られることが可能であり、または第1バッテリーのBOLデータに基づいてプロファイル生成部110が直接生成することも可能である。
【0044】
また、図2の実施例で、第1微分プロファイルDP11及び第2微分プロファイルDP12は、所定の時間間隔を置いて生成されたものであり得る。例えば、第2微分プロファイルDP12は、第1微分プロファイルDP11が生成されてから3日が経過した時点で生成されたものであり得る。
【0045】
制御部120は、微分プロファイルにおいて予め設定されたSOC区間に対応する曲率を算出するように構成され得る。以下では、基準プロファイルRP1における予め設定されたSOC区間に対応する曲率は予め設定されたことに仮定して説明する。
【0046】
具体的には、制御部120は、微分プロファイルにおいて予め設定されたSOC区間に含まれたターゲットピークを決定するように構成され得る。
【0047】
例えば、予め設定されたSOC区間は、SOC50%~100%区間に設定され得る。望ましくは、SOC区間は、SOC70%~85%区間に設定され得る。
【0048】
ここで、ピークは、微分プロファイルにおいて瞬間変化率が0である箇所を意味し得る。即ち、微分プロファイルにおいてSOCに対する微分電圧の瞬間変化率が0である箇所がピークとして決定され得る。
【0049】
制御部120は、SOCに対する微分電圧の瞬間変化率を考慮して予め設定されたSOC区間で一つ以上のピークを決定し得る。そして、制御部120は、決定されたピークのうち微分電圧が最も低いピークをターゲットピークとして決定し得る。
【0050】
望ましくは、ターゲットピークは、SOC70%~85%区間で決定され得る。また、制御部120は、ターゲットピークを速かに決定するために、予め設定されたSOC区間で下方へ膨らんでいる概形を示す一つ以上のピークを決定し得る。即ち、ターゲットピークは、微分電圧が最も低いピークを意味するため、制御部120は、上方へ膨らんでいる概形を示すピークは除いて、下方へ膨らんでいる概形を示すピークをターゲットピークの候補群に決定し得る。
【0051】
例えば、図2の実施例で、制御部120は、第1バッテリーに対する第1微分プロファイルDP11から第1ターゲットピークBを決定し得る。また、制御部120は、第1バッテリーに対する第2微分プロファイルDP12から第2 ターゲットピークCを決定し得る。
【0052】
制御部120は、ターゲットピークに対応する曲率を算出するように構成され得る。
【0053】
例えば、制御部120は、決定されたターゲットピークに内接する接触円(Circle of curvature)を算出し、曲率半径(算出された接触円の半径)の逆数をターゲットピークに対応する曲率として算出し得る。ここで、ターゲットピークに内接する接触円が一つ以上算出される場合、制御部120は、曲率半径が最も大きい接触円を選択し、選択された接触円の曲率半径によってターゲットピークに対応する曲率として算出し得る。即ち、制御部120は、ターゲットピークに対する最小曲率をターゲットピークに対応する曲率として算出し得る。
【0054】
図2の実施例で、制御部120は、第1微分プロファイルDP11から第1ターゲットピークBに対応する第1曲率を算出し得る。また、制御部120は、第2微分プロファイルDP12から第2ターゲットピークCに対応する第2曲率を算出し得る。
【0055】
制御部120は、算出された曲率をバッテリーに対して予め設定された基準曲率と比較するように構成され得る。具体的には、制御部120は、算出された曲率と基準曲率との大きさを比較するように構成され得る。
【0056】
例えば、図2の実施例で、基準微分プロファイルRP1の基準ピークAに対応する曲率に基づいて予め設定され得る。望ましくは、第1バッテリーに対する基準曲率は、基準ピークAに対応する曲率に予め設定され得る。
【0057】
制御部120は、基準曲率と第1曲率との大きさと、基準曲率と第2曲率との大きさを各々比較し得る。
【0058】
制御部120は、比較結果に基づいてバッテリーのリチウム析出有無を判断するように構成され得る。
【0059】
例えば、制御部120は、算出された曲率が基準曲率以下であれば、バッテリーにリチウムが析出されていないと判断し得る。逆に、制御部120は、算出された曲率が基準曲率を超過すれば、バッテリーにリチウムが析出されたと判断し得る。
【0060】
例えば、図2の実施例で、基準ピークAに対応する基準曲率の大きさは、第1 ターゲットピークBに対応する第1曲率及び第2ターゲットピークCに対応する第2曲率の大きさよりも小さい。これによって、制御部120は、第1バッテリーにリチウムが析出されたと判断し得る。具体的には、制御部120は、第1バッテリーの負極にリチウム金属が析出されるリチウムプレーティング(Li-plating)が発生したと判断し得る。
【0061】
即ち、本発明の一実施例によるバッテリーモニタリング装置100は、バッテリーにリチウムが析出された場合に現れるSOC及び微分電圧の挙動変化に基づき、非破壊的な方式でリチウムの析出有無を判断し得る。これによって、バッテリーを直接分解しなくても、バッテリーのリチウム析出有無をモニター可能であるので、リチウム析出による内部短絡及び内部短絡による火事を予め防止することができる。
【0062】
一方、バッテリーモニタリング装置100に備られた制御部120は、本発明で行われる多様な制御ロジッグを実行するために当業界に知られたプロセッサ、 ASIC(application specific integrated circuit,特定用途向け集積回路)、他のチップセット、論理回路、レジスター、通信モデム、データ処理装置などを選択的に含み得る。また、制御ロジッグがソフトウェアとして具現される場合、制御部120は、プログラムモジュールの集合によって具現され得る。この際、プログラムモジュールはメモリーに保存され、制御部120によって実行され得る。メモリーは、制御部120の内部または外部に存在し、公知の多様な手段で制御部120と接続され得る。
【0063】
また、バッテリーモニタリング装置100は、保存部130をさらに含み得る。保存部130は、バッテリーモニタリング装置100の各構成要素が動作及び機能を行うのに必要なデータやプログラムまたは動作及び機能が行われる過程で生成されるデータなどを保存し得る。保存部130は、データを記録、消去、更新及び読出可能な公知の情報保存手段であれば、その種類は特に制限されない。一例として、情報保存手段には、RAM、フラッシュメモリー(登録商標)、ROM、EEPROM、レジスターなどが含まれ得る。また、保存部130は、プロファイル生成部110及び制御部120によって実行可能なプロセスが定義されたプログラムコードを保存し得る。
【0064】
例えば、保存部130は、バッテリーの電圧とSOCに関わるバッテリー情報を保存し得る。プロファイル生成部110は、外部からバッテリー情報を直接獲得するか、または保存部130にアクセスしてバッテリー情報を獲得し得る。そして、プロファイル生成部110は、獲得されたバッテリー情報に基づいて微分プロファイルを生成し得る。この過程で、バッテリー情報から微分プロファイルを生成するためのプログラムコードなどが保存部130に保存され得る。
【0065】
また、保存部130は、プロファイル生成部110によって生成された微分プロファイルを保存し得る。制御部120は、プロファイル生成部110から直接微分プロファイルを受信することも、保存部130にアクセスして保存された微分プロファイルを獲得することも可能である。
【0066】
制御部120は、バッテリーの休止期間を算出するように構成され得る。ここで、休止期間とは、バッテリーが休止状態(Idle state)に維持される期間を意味する。即ち、休止期間とは、バッテリーが無負荷状態である期間を意味し得る。制御部120は、バッテリーの充電及び放電有無を考慮して、バッテリーの休止期間を算出し得る。
【0067】
具体的には、バッテリーの休止期間が長くなるほどバッテリーは安定化され得る。この場合、制御部120がバッテリーに対する微分プロファイルからターゲットピークに対応する曲率を算出しても、算出された曲率と基準曲率との差が有意味に示されないことがある。これによって、制御部120は、算出された休止期間が予め設定された基準期間以下の状態であるとき、プロファイル生成部110によって生成された微分プロファイルに対して曲率を算出するように構成され得る。
【0068】
そして、制御部120は、算出された曲率と基準曲率との大きさを比較してリチウムの析出有無を判断するに際し、予め設定された臨界値をさらに考慮し得る。
【0069】
例えば、制御部120は、算出された曲率と基準曲率との差が臨界値未満であれば、バッテリーにリチウムが析出されていないと判断するように構成されることができる。逆に、制御部120は、算出された曲率と基準曲率との差が臨界値以上であれば、バッテリーにリチウムが析出されたと判断するように構成され得る。
【0070】
図2の実施例において、第1バッテリーは、休止期間が予め設定された基準期間以下の状態であり得る。そして、第1微分プロファイルDP11と第2微分プロファイルDP12は、休止期間が予め設定された基準期間以下である第1バッテリーのSOC及び電圧に基づいて生成されたものであり得る。これによって、制御部120は、第1ターゲットピークBに対応する第1曲率及び第2ターゲットピークCに対応する第2曲率のいずれか一つでも基準ピークAに対応する基準曲率との差が臨界値以上であれば、第1バッテリーにリチウムが析出されたと判断し得る。逆に、制御部120は、第1曲率と基準曲率との差及び第2曲率と基準曲率との差がいずれも臨界値未満であれば、第1バッテリーにリチウムが析出されていないと判断し得る。
【0071】
図3は、本発明の他の実施例による第2バッテリーの微分プロファイルを概略的に示した図である。図4は、本発明のさらに他の実施例による第3バッテリーの微分プロファイルを概略的に示した図である。
【0072】
図3の実施例において、基準プロファイルRP2は、BOL状態の第2バッテリーのSOC及び電圧に対応するように生成されたプロファイルであり、第1微分プロファイルDP21は、所定の第1時点で第2バッテリーのSOC 及び電圧に対応するように生成されたプロファイルであり、第2微分プロファイルDP22は、所定の第2時点で第2バッテリーのSOC及び電圧に対応するように生成されたプロファイルである。
【0073】
図4の実施例において、基準プロファイルRP3は、BOL状態の第3バッテリーのSOC及び電圧に対応するように生成されたプロファイルであり、第1微分プロファイルDP31は、所定の第1時点で第3バッテリーのSOC及び電圧に対応するように生成されたプロファイルであり、第2微分プロファイルDP32は、所定の第2時点で第3バッテリーのSOC及び電圧に対応するように生成されたプロファイルである。
【0074】
具体的には、図3の実施例において第2バッテリーの状態は、第1時点と第2時点で休止期間が予め設定された基準期間以下である状態であるが、図4の実施例において第3バッテリーの状態は、休止期間が予め設定された基準期間を超過した状態であり得る。また、第2バッテリーと第3バッテリーは、実質的に同じ退化状態に維持されるように調整された状態であり得る。
【0075】
図3を参照すると、第2バッテリーの第1ターゲットピークEに対応する第1曲率と基準ピークDに対応する基準曲率との差は、臨界値以上であり得る。また、第2バッテリーの第2ターゲットピークFに対応する第2曲率と基準ピークDに対応する基準曲率との差は、臨界値以上であり得る。即ち、これによって、制御部120は、第2バッテリーにリチウムが析出されたと判断し得る。
【0076】
逆に、図4を参照すると、第3バッテリーの第1ターゲットピークIに対応する第1曲率と基準ピークHに対応する基準曲率との差は、臨界値未満であり得る。また、第3バッテリーの第2ターゲットピークJに対応する第2曲率と基準ピークHに対応する基準曲率との差は、臨界値未満であり得る。即ち、これによって、制御部120は、第3バッテリーにリチウムが析出されていないと判断し得る。
【0077】
即ち、第2バッテリーは、休止期間が予め設定された基準期間以下に維持されたため、基準曲率(基準ピークDに対応する曲率)と、第1曲率(第1ターゲットピークEに対応する曲率)及び第2曲率(第2ターゲットピークFに対応する曲率)との各々の差が臨界値以上である一方、第3バッテリーは、休止期間が予め設定された基準期間を超過するように維持されたため、基準曲率(基準ピークHに対応する曲率)と、第1曲率(第1ターゲットピークIに対応する曲率)及び第2曲率(第2ターゲットピークJに対応する曲率)との各々の差が臨界値未満であり得る。
【0078】
したがって、バッテリーモニタリング装置100は、バッテリーの休止期間をさらに考慮してバッテリーのリチウム析出有無を判断することで、より正確にバッテリーの状態をモニターできるという長所がある。
【0079】
他の実施例で、制御部120は、算出された曲率が基準曲率を超過する回数を算出するように構成され得る。以下では、算出された曲率が基準曲率を超過する実施例について説明するが、算出された曲率と基準曲率との差が臨界値未満である場合の実施例に対しても同様に適用可能であることに留意する。
【0080】
例えば、BOL状態のバッテリーに対しては、曲率が基準曲率を超過する回数が0に設定され得る。
【0081】
先ず、プロファイル生成部110は、複数の微分プロファイルを生成するように構成され得る。
【0082】
例えば、プロファイル生成部110は、バッテリーが放電される過程で測定されたSOCと電圧に関わるバッテリー情報を獲得すると、獲得されたバッテリー情報に基づいて微分プロファイルを生成し得る。即ち、微分プロファイルは、バッテリーが放電される場合に生成され得ることから、周期的にまたは非周期的に生成され得る。
【0083】
制御部120は、プロファイル生成部110によって生成された複数の微分プロファイルの各々から曲率を算出するように構成され得る。そして、制御部120は、算出された複数の曲率が基準曲率を超過する回数を算出するように構成され得る。
【0084】
図5は、本発明のさらに他の実施例による第4バッテリーに対する複数の曲率を概略的に示した図である。
【0085】
図5の実施例において、t0時点で第4バッテリーはBOL状態であり得る。即ち、第4バッテリーの基準ピークに対応する曲率はRCであり得る。
【0086】
そして、プロファイル生成部110は、t1、t2、t3、t4、t5及びt6の時点で総6個の微分プロファイルを生成し得る。制御部120は、6個の微分プロファイルの各々から曲率を算出し得る。
【0087】
具体的には、t1時点で第4バッテリーの第1ターゲットピークに対応する第1曲率はC1であり得る。t2時点で第4バッテリーの第2ターゲットピークに対応する第2曲率は、C2であり得る。t3時点で第4バッテリーの第3ターゲットピークに対応する第3曲率は、C3であり得る。t4時点で第4バッテリーの第4ターゲットピークに対応する第4曲率は、C4であり得る。t5時点で第4バッテリーの第5ターゲットピークに対応する第5曲率は、C5であり得る。t6時点で第4バッテリーの第6ターゲットピークに対応する第6曲率は、C6であり得る。第4バッテリーに対する基準プロファイル及び第1~第6の微分プロファイルは図示していないが、図2図4の基準プロファイルA、D、H、第1微分プロファイルB、E、I及び第2微分プロファイルC、F、Jから類推可能であることに留意する。
【0088】
また、図5の実施例で、基準曲率RCを超過する曲率は、第3曲率C3、第4曲率C4、第5曲率C5及び第6曲率C6であり得る。これによって、制御部120は、算出された曲率C1、C2、C3、C4、C5、C6が基準曲率RCを超過する回数を4として算出し得る。
【0089】
そして、制御部120は、算出された回数に基づいてバッテリーのリチウム析出有無を判断するように構成され得る。
【0090】
具体的には、制御部120は、算出された回数が予め設定された基準値を超過した場合、バッテリーにリチウムが析出されたと判断するように構成され得る。
【0091】
ここで、基準値は、バッテリーの仕様、使用先などに対応するように予め設定され得る。例えば、図5の実施例では、基準値が3に設定されたと仮定する。制御部120は、算出された回数(4)が基準値(3)を超過するため、第4バッテリーにリチウムが析出されたと判断し得る。
【0092】
即ち、バッテリーにリチウム金属が析出された場合、当該バッテリーは短絡が発生することがあり、このような短絡によって火事が発生するか、または爆発する危険がある。これによって、リチウム金属が析出されたと診断されたバッテリーは、不用バッテリーとして処理され、点検及び交替が求められる。
【0093】
したがって、バッテリーモニタリング装置100は、算出された曲率が基準曲率を超過した回数に基づいてバッテリーにリチウム金属が析出されたかを保守的に判断することで、バッテリーの状態が誤診断される可能性を低めることができる。ここで、誤診断とは、リチウム金属が析出されていない正常のバッテリーに対してリチウム金属が析出されたバッテリーと間違って診断することを意味し得る。
【0094】
さらに他の実施例で、制御部120は、算出された回数が予め設定された基準値を超過した場合、基準曲率を超過すると判断された曲率に対する増減パターンを決定するように構成され得る。
【0095】
ここで、増減パターンは、基準曲率を超過すると判断された曲率の値が増加するか否かによって増加パターンまたは減少パターンに決定され得る。
【0096】
具体的には、増加パターンは、基準曲率を超過すると判断された曲率の値が増加するパターンであり得る。逆に、減少パターンは、基準曲率を超過すると判断された曲率の値が同一であるか、または減少するパターンであり得る。即ち、バッテリーのリチウム金属の析出有無が保守的に判断されるように、基準曲率を超過すると判断された曲率の値が同一に維持される場合にも減少パターンとして決定され得る。
【0097】
前述した実施例のように、図5の実施例において、基準曲率を超過すると判断された曲率は、第3曲率C3、第4曲率C4、第5曲率C5及び第6曲率C6であり、算出された回数(4)が基準値(3)を超過したので、制御部120は、第3~第6曲率C3、C4、C5、C6の増減パターンを決定し得る。第4曲率C4は、第3曲率C3よりも減少したが、第5曲率C5は、第3曲率C3及び第4曲率C4より増加しており、第6曲率C6も第5曲率C5よりも増加したため、制御部120は第3~第6曲率C3、C4、C5、C6の増減パターンを増加パターンに決定し得る。
【0098】
制御部120は、決定された増減パターンに基づいてリチウムの析出有無を判断するように構成され得る。
【0099】
具体的には、制御部120は、決定された増減パターンが増加パターンである場合、バッテリーにリチウムが析出されたと判断するように構成され得る。逆に、制御部120は、決定された増減パターンが減少パターンである場合、バッテリーにリチウムが析出されていないと判断するように構成され得る。
【0100】
例えば、図5の実施例で、制御部120は、第3~第6曲率C3、C4、C5、C6の増減パターンを増加パターンに決定し得る。これによって、制御部120は、第4バッテリーにリチウム金属が析出されたと判断し得る。
【0101】
即ち、バッテリーモニタリング装置100は、算出された曲率が基準曲率を超過した回数のみならず、算出された曲率間の増減パターンをさらに考慮してバッテリーのリチウム析出有無を判断し得る。これによって、バッテリーにリチウム金属が析出されたかがさらに保守的に判断可能であるため、誤診断の可能性をさらに低めることができる。
【0102】
制御部120は、バッテリーにリチウムが析出されたと判断された場合、リチウム析出に関わる診断コードを生成して出力するように構成され得る。
【0103】
ここで、診断コードとは、DTC(Diagnostic trouble code)であって、バッテリーに対する診断結果を示す標準化した故障診断コードであり得る。
【0104】
具体的には、制御部120は、診断コードを出力することで、バッテリーにリチウムが析出されたという情報を出力し得る。また、制御部120は、診断コードと共に、バッテリーの識別情報などを出力することで、リチウムが析出されたバッテリーを特定して提供し得る。
【0105】
例えば、制御部120は、生成された診断コードを通信可能に接続されたサーバー及び/または使用者の端末などに出力し得る。また、制御部120は、生成された診断コードを保存部130に保存し得る。
【0106】
即ち、制御部120は、生成された診断コードを外部に出力してバッテリー状態に対する診断結果を知らせることができ、生成された診断コードを保存部130に保存することでバッテリーに対する使用履歴を累積して保存することもできる。
【0107】
本発明によるバッテリーモニタリング装置100は、BMS(Battery Management System)に適用可能である。即ち、本発明によるBMSは、上述したバッテリーモニタリング装置100を含み得る。このような構成において、バッテリーモニタリング装置100の各構成要素の少なくとも一部は、従来のBMSに含まれた構成の機能を補完または追加することで具現され得る。例えば、バッテリーモニタリング装置100のプロファイル生成部110、制御部120及び保存部130は、BMSの構成要素として具現され得る。
【0108】
また、本発明によるバッテリーモニタリング装置100は、バッテリーパックに備えられ得る。即ち、本発明によるバッテリーパックは、上述したバッテリーモニタリング装置100及び一つ以上のバッテリーセルを含み得る。また、バッテリーパックは、電装品(リレー、ヒューズなど)及びケースなどをさらに含み得る。
【0109】
図6は、本発明の一実施例によるバッテリーモニタリング装置100を含むバッテリーパックの例示的構成を示した図である。
【0110】
バッテリー10の正極端子は、バッテリーパック1の正極端子P+と接続され、バッテリー10の負極端子は、バッテリーパック1の負極端子P-と接続され得る。
【0111】
測定部20は、第1センシングラインSL1、第2センシングラインSL2及び第3センシングラインSL3と接続され得る。具体的には、測定部20は、第1センシングラインSL1によってバッテリー10の正極端子に接続され、第2センシングラインSL2によってバッテリー10の負極端子に接続され得る。測定部20は、第1センシングラインSL1と第2センシングラインSL2の各々で測定された電圧に基づき、バッテリー10の電圧を測定し得る。
【0112】
そして、測定部20は、第3センシングラインSL3によって電流測定ユニット30と接続され得る。例えば、電流測定ユニット30は、バッテリー10の充電電流及び放電電流が測定可能な電流計またはシャント抵抗であり得る。測定部20は、第3センシングラインSL3によってバッテリー10の充電電流を測定して充電量を算出し得る。また、測定部20は、第3センシングラインSL3によってバッテリー10の放電電流を測定して放電量を算出し得る。
【0113】
負荷2は、一端がバッテリーパック1の正極端子P+と接続され、他端がバッテリーパック1の負極端子P-と接続され得る。これによって、バッテリー10の正極端子、バッテリーパック1の正極端子P+、負荷2、バッテリーパック1の負極端子P-及びバッテリー10の負極端子は電気的に接続され得る。
【0114】
例えば、負荷2は充放電装置であるか、またはバッテリー10から電源が供給される電気車のモーターなどであり得る。
【0115】
図7は、本発明の他の実施例によるバッテリーモニタリング方法を概略的に示した図である。
【0116】
望ましくは、バッテリーモニタリング方法の各段階は、バッテリーモニタリング装置100によって行われ得る。以下では、前述した内容と重複する内容は省略するか、または簡略に説明する。
【0117】
図7を参照すると、バッテリーモニタリング方法は、微分プロファイル生成段階S100、曲率算出段階S200、曲率比較段階S300及びリチウム析出有無の判断段階S400を含み得る。
【0118】
微分プロファイル生成段階S100は、バッテリーのSOCに対するバッテリーの電圧変化率を示す微分電圧とSOCとの対応関係を示す微分プロファイルを生成する段階であって、プロファイル生成部110によって行われ得る。
【0119】
例えば、プロファイル生成部110は、バッテリーの放電過程で獲得されたバッテリー情報(SOC及び電圧)に基づき、SOCと微分電圧(dV/dSOC)との対応関係を示す微分プロファイルを生成し得る。
【0120】
曲率算出段階S200は、微分プロファイル生成段階S100で生成された微分プロファイルにおいて予め設定されたSOC区間に対応する曲率を算出する段階であって、制御部120によって行われ得る。
【0121】
制御部120は、予め設定されたSOC区間でターゲットピークを決定し、決定されたターゲットピークに対応する曲率を算出し得る。
【0122】
もし、ターゲットピークに対応する接触円が複数である場合、制御部120は、複数の接触円のうち曲率が最小(曲率半径が最大)の接触円を選択し、選択した接触円に対応する曲率をターゲットピークに対応する曲率として算出し得る。
【0123】
曲率比較段階S300は、曲率算出段階S200で算出された曲率をバッテリーに対して予め設定された基準曲率と比較する段階であって、制御部120によって行われ得る。
【0124】
例えば、基準曲率は、バッテリーがBOL状態であるときに設定されたものであり得る。即ち、基準曲率は、BOL状態のバッテリーに対する基準プロファイルに含まれた基準ピークに対応するように設定され得る。
【0125】
リチウム析出有無の判断段階S400は、曲率比較段階S300の比較結果に基づいてバッテリーのリチウム析出有無を判断する段階であって、制御部120によって行われ得る。
【0126】
例えば、制御部120は、算出された曲率と基準曲率を比較した結果によってバッテリーのリチウム析出有無を判断し得る。また、制御部120は、バッテリーのリチウム析出有無をさらに保守的に判断するために、算出された曲率が基準曲率を超過した回数及び/または算出された曲率間の増減パターンをさらに考慮し得る。
【0127】
以上で説明した本発明の実施例は、必ずしも装置及び方法を通じて具現されることではなく、本発明の実施例の構成に対応する機能を実現するプログラムまたはそのプログラムが記録された記録媒体を通じて具現され得、このような具現は、本発明が属する技術分野における専門家であれば、前述した実施例の記載から容易に具現できるはずである。
【0128】
以上、本発明を限定された実施例と図面によって説明したが、本発明はこれに限定されず、本発明の属する技術分野で通常の知識を持つ者によって本発明の技術思想と特許請求の範囲の均等範囲内で多様な修正及び変形が可能であることは言うまでもない。
【0129】
また、上述の本発明は、本発明が属する技術分野における通常の知識を持つ者によって本発明の技術思想から脱しない範囲内で多様な置換、変形及び変更が可能であるため、上述の実施例及び添付された図面によって限定されず、多様な変形が行われるように各実施例の全部または一部を選択的に組み合わせて構成可能である。
【符号の説明】
【0130】
1 バッテリーパック
2 負荷
10 バッテリー
20 測定部
30 電流測定ユニット
100 バッテリーモニタリング装置
110 プロファイル生成部
120 制御部
130 保存部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7