(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】操縦可能医療デバイスおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61B 34/35 20160101AFI20240925BHJP
A61B 17/00 20060101ALI20240925BHJP
A61M 25/092 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
A61B34/35
A61B17/00
A61M25/092 500
(21)【出願番号】P 2019559294
(86)(22)【出願日】2018-04-27
(86)【国際出願番号】 US2018029996
(87)【国際公開番号】W WO2018204202
(87)【国際公開日】2018-11-08
【審査請求日】2020-01-29
【審判番号】
【審判請求日】2022-02-03
(32)【優先日】2017-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】596130705
【氏名又は名称】キヤノン ユーエスエイ,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CANON U.S.A.,INC
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】奥村 一郎
(72)【発明者】
【氏名】加藤 貴久
【合議体】
【審判長】平瀬 知明
【審判官】村上 哲
【審判官】土田 嘉一
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-172028(JP,A)
【文献】特表2007-503285(JP,A)
【文献】特表2014-504897(JP,A)
【文献】特表2017-505199(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 34/35
A61B 17/00
A61M 25/092
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
湾曲可能体内に構成された第1の駆動ワイヤと、前記湾曲可能体内に構成された第2の駆動ワイヤと、前記湾曲可能体内に構成された第3の駆動ワイヤとを有する前記湾曲可能体と、
先細のブレイクアウトユニットであって、
遠位ガイドチューブ、
前記遠位ガイドチューブの外径よりも大きい外径を有する近位ガイドチューブ、
前記第1の駆動ワイヤ
の近位端に取り付けられた第1のブレイクアウトワイヤ、
前記第2の駆動ワイヤ
の近位端に取り付けられた第2のブレイクアウトワイヤ、
前記第3の駆動ワイヤ
の近位端に取り付けられた第3のブレイクアウトワイヤ、および
前記第1の駆動ワイヤの長手方向の少なくとも一部に沿って前記第1の駆動ワイヤを包囲する第1の収縮ガイ
ドであって、前記第1の収縮ガイ
ドは前記第1の駆動ワイヤに対して可動であ
り、前記第1の収縮ガイドは、遠位端において前記遠位ガイドチューブと接触するとともに、近位端において前記第1のブレイクアウトワイヤと接触するように設けられる、第1の収縮ガイ
ド、
を有するブレイクアウトユニットと、
前記湾曲可能体の管状形状の中心線としてのQ軸に沿って、前記第1のブレイクアウトワイヤを介して前記第1の駆動ワイヤを後退および前進させ、
前記Q軸に沿って前記第2のブレイクアウトワイヤを介して前記第2の駆動ワイヤを後退および前進させ、
前記Q軸に沿って前記第3のブレイクアウトワイヤを介して前記第3の駆動ワイヤを後退および前進させるように構成され、前記湾曲可能体を3次元で操作するように構成されたアクチュエータと、
を備え、
前記第1の駆動ワイヤが後退及び前進する際に、前記ブレイクアウトユニットが上記配置をとる前記第1の収縮ガイドを有することにより、前記第1の駆動ワイヤの座屈が防止され、
前記第1のブレイクアウトワイヤの直径は、前記第1の駆動ワイヤの直径よりも大きい、
医療装置。
【請求項2】
前記湾曲可能体は、前記湾曲可能体の中心の周りにチャネルを有し、前記湾曲可能体の操作前、操作時および操作後において、前記チャネルの直径は同じである、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記チャネルは、手術ツールを収容するように構成される、
請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記第1の駆動ワイヤは、前記湾曲可能体の遠位端へ延び、前記湾曲可能体の中心線からオフセットされる、
請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記第1の収縮ガイ
ドは、前記第1の駆動ワイヤと平行であり前記第1の駆動ワイヤを包囲する第1のばねを有する、
請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記第2の駆動ワイヤを包囲する第2の収縮ガイ
ドをさらに備える、
請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記アクチュエータは、前記第2のブレイクアウトワイヤを介して前記第2の駆動ワイヤを後退および前進させるように構成される、
請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記第2の駆動ワイヤは、前記湾曲可能体に対して、前記第1の駆動ワイヤとは異なる位置に構成される、
請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記第1のブレイクアウトワイヤは、前記収縮ガイ
ドが収縮するときに前記収縮ガイ
ドを押すように構成される、
請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記湾曲可能体は少なくとも2つのガイドリングを含み、前記少なくとも2つのガイドリングは互いに平行に整列し、それらの間に距離を有し、各ガイドリングは、前記第1の駆動ワイヤまたは前記第2の駆動ワイヤを少なくとも受けるように構成された少なくとも1つのくぼみを含む、
請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記第1の駆動ワイヤと平行であり前記第1の駆動ワイヤを包囲する第1のばねと、前記第1のばねの周りに構成され、前記第1のばねの螺旋方向とは異なる螺旋方向を有する第2のばねと、をさらに備える、
請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記ブレイクアウトユニットは、前記装置の前記アクチュエータの近位における前記第1の駆動ワイヤのオフセット距離を増大させるように構成される、
請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記ブレイクアウトユニットは、前記アクチュエータから取り外し可能であるように構成される、
請求項1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連特許出願の相互参照
本願は、2017年5月3日に米国特許商標庁において出願された米国仮特許出願第62/500723号からの優先権を主張し、その開示の全体が本明細書において参照により組み込まれる。
【0002】
本開示は概して、医療用途のための装置および方法に関し、より詳細には、内視鏡、カメラおよびカテーテルを含む、医療処置におけるガイドツールおよびデバイスに適用可能な操縦可能医療デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
内視鏡手術デバイスおよびカテーテルなどの可撓性医療機器が手術および試験(probative)の状況において広く用いられており、医療分野における受け入れが続いている。医療デバイスは概して、一般にスリーブまたはシースと呼ばれる可撓性チューブを有し、可撓性チューブは、シースの遠位端に位置するエンドエフェクタへのアクセスを可能にするために、シースに沿って(通常はシースの内部に)延びる1つ以上のツールチャネルを有する。
【0004】
デバイスは、狭い経路を通してねじり剛性および縦剛性(longitudinal rigidity)を保持しつつ、狭い空間内の対象病変への少なくとも1つ以上の曲線部を有する可撓性の接近手段を提供するために考案された。医師は、患者の外側からデバイスの近位端を操作することによって、シースの遠位端に位置するエンドエフェクタを作動させる。したがって、遠位端からのシースの作動は、デバイスに対する医師の可制御性を達成しつつ、エンドエフェクタへのフレキシブルなアクセスを確実にし、したがって医師が患者に対してプロービングおよび/または手術を行うことを援助するうえで、重要な役割を果たす。
【0005】
例として、米国特許第8365633号(「’633号特許」)は、マルチバックボーンシースを有する、手術用の押し引き作動式手術デバイスを提供する。複数のバックボーンのうち、1つの第1バックボーンは中心に位置し、ベースディスクおよび末端ディスクに取り付けられる。第2バックボーンは末端ディスクに取り付けられ、互いに等距離にある。曲げモーメントを発生させるために、第2バックボーンはベースディスクに対して押し引きされる。第2バックボーンは、リニアスライダおよびモータを有するアクチュエーションユニットに接続され、これらのモータによって作動させられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、既存の技術は、可撓性医療デバイスの使用を制限し妨げる多数の欠点を抱えている。例えば、’633号特許における第2バックボーンは、第2バックボーンがシースとアクチュエータとの間の自由空間を通り抜ける必要があるので、サイズの縮小が制限される。この支えのない長さ区間(free-standing length)により、押込み操作の際に第2バックボーンの座屈が生じるので、第2バックボーンの直径は、座屈を回避するのに十分な硬さを維持するために制限される。したがって、第2バックボーンの座屈のせいでシースの小型化が停滞してしまう。
【0007】
さらに、’633号特許における第2バックボーンのせいで、デバイスは自由空間内で長距離にわたって延びることができず、それゆえ、アクチュエータは第2バックボーンの近位端に近接して配置される必要がある。このようなアクチュエータの制限により、複数のアクチュエータを統合することが困難になり、’633号特許デバイスの範囲および有用性が大きく制限される。加えて、隣接するアクチュエータ同士の機械的干渉のせいで、第2バックボーンの円周ピッチを縮小することができない。したがって、シースの小型化がさらに制限される。
【0008】
したがって、3軸におけるデバイスの制御された操作を可能としつつ、縮小された全径を有する操縦可能医療デバイスを開示することが特に有益となる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
よって、当業界におけるこのような例示的な要求に対処するために、本開示の装置、システムおよび方法は、非回避的(non-evasive)外科処置において利用される医療装置であって、湾曲可能体内に構成された少なくとも第1の駆動ワイヤを有する、患者への挿入のための湾曲可能体と、伸張ユニットであって、第1の駆動ワイヤに取り付けられた第1のブレイクアウト(break-out)ワイヤ、および第1の駆動ワイヤに対して可動である収縮ガイド、を有する伸張ユニットと、を備え、第1のブレイクアウトワイヤは、湾曲可能体を操作するように構成されたアクチュエータに接続されている、医療装置を教示する。
【0010】
様々な実施形態では、第1の駆動ワイヤは湾曲可能体の遠位端へ延び、湾曲可能体の中心線からオフセットされ、湾曲可能体の中心を通る中空通路を可能にする。中空通路は、従来の手術ツールおよび機器が患者の内部要素に到達することができるように、ツールおよび機器が湾曲可能体の中心を通り抜けることを可能にする。
【0011】
本開示の他の実施形態では、医療装置は、湾曲可能体内に構成された第2、第3および/または追加の駆動ワイヤと、対応する駆動ワイヤに取り付けられた対応する第2、第3および/または追加のブレイクアウトワイヤと、をさらに備えてもよい。第2、第3および/または追加のブレイクアウトワイヤはアクチュエータに接続され、アクチュエータが湾曲可能体を操作することを可能にする。
【0012】
他の実施形態では、第2、第3および/または追加の駆動ワイヤは、少なくとも部分的に湾曲可能体内へ延びてよい。第2、第3および/または追加の駆動ワイヤは湾曲可能体の中心線からオフセットされ、よって、湾曲可能体の中心を通る中空通路を保ちまたは促進する。
【0013】
本開示の様々な実施形態では、アクチュエータは、対応する第1、第2、第3および/または追加のブレイクアウトワイヤの操作を介して、第1、第2、第3および/または追加の駆動ワイヤを独立して後退および前進させるように構成される。
【0014】
他の実施形態では、主題の医療装置は、第1の駆動ワイヤの少なくとも一部にわたって第1の駆動ワイヤと平行である少なくとも1つの収縮ガイドを備え、一方で収縮ガイドは、第1の駆動ワイヤを包囲するように配置されてよく、第1の駆動ワイヤと接触するようにさらに構成されてよい。
【0015】
実施形態によっては、収縮ガイドは第1の駆動ワイヤと平行である少なくとも1つの1次コイルばねであってよく、一方で該ばねは、第1の駆動ワイヤを包囲するように配置されてよく、第1の駆動ワイヤと接触するようにさらに構成されてよい。追加の駆動ワイヤを包囲するように追加のばねが利用されてよい。
【0016】
様々な実施形態では、1次コイルばねおよび2次コイルばねが互いに連動して第1の駆動ワイヤに作用するように、第1の駆動ワイヤを包囲するために1次コイルばねと組み合わせて2次コイルばねが収縮ガイドに組み込まれてもよい。様々な実施形態では、1次コイルばねは、2次コイルばねの螺旋方向とは異なる螺旋方向に構成されてよい。
【0017】
様々な実施形態では、ブレイクアウトユニットは、第1のブレイクアウトワイヤの直径が第1の駆動ワイヤの直径よりも大きくなるように構成されてよい。さらに、第2、第3および/または追加のブレイクアウトワイヤは、対応する第2、第3および/または追加の駆動ワイヤの直径よりも大きい直径を有してよい。
【0018】
様々な実施形態では、少なくとも1本のブレイクアウトワイヤを収容するためのブレイクアウトユニットは、1つ以上のガイドチューブを有してよく、ガイドチューブの直径は類似しても異なってもよい。ガイドチューブは、例えばブレイクアウトワイヤを誘導する、例えばガイドチューブによって規定される経路に沿ってブレイクアウトワイヤを誘導するというように、ブレイクアウトワイヤを誘導するように構成することができる。
【0019】
主題の装置のさらなる実施形態では、湾曲可能体は、バックボーンと、バックボーンに構成され得る少なくとも2つの湾曲部分とを有してよい。少なくとも2つの湾曲部分は、互いに平行に整列しており、それらの間に距離を有し、よって、少なくとも2つの湾曲部分を湾曲させるための空間を作り出す。湾曲部分はそれぞれ、第1の駆動ワイヤまたは第2の駆動ワイヤを少なくとも受けるように構成された少なくとも2つのガイドくぼみ(fissure)をさらに含む。
【0020】
様々な実施形態では、ブレイクアウトユニットは、装置のアクチュエータの近位における駆動ワイヤのオフセット距離を増大させるように構成されてよい。様々な実施形態では、アクチュエータは、作動ハンドルの操作が湾曲可能体の湾曲に対応するように、第1のブレイクアウトワイヤに連絡した作動ハンドルを含む。追加のブレイクアウトワイヤおよび対応する駆動ワイヤの出現時には、湾曲可能体を操作するために、各ブレイクアウトワイヤに対して指定されかつ取り付けられた追加の作動ハンドルが利用されてもよい。
【0021】
他の企図される実施形態では、ブレイクアウトユニットは、アクチュエータユニットから取り外し可能であるように構成される。さらに、湾曲可能体は、ブレイクアウトユニットから取り外し可能であるように構成されてよい。
【0022】
本開示のこれらおよび他の目的、特徴および利点は、本開示の例示的な実施形態の以下の詳細な説明を、添付の図面および提供された段落と併せて読むことで明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本発明のさらなる目的、特徴および利点は、本発明の例示の実施形態を示す添付の図面と併せて、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0024】
【
図1】
図1は、本主題の1つ以上の実施形態に係る、操縦可能医療デバイスの側面斜視図を示す。
【
図2】
図2は、本主題の1つ以上の実施形態に係る、操縦可能医療デバイスの正面斜視図である。
【
図3】
図3は、本主題の1つ以上の実施形態に係る、操縦可能医療デバイスの少なくとも一部の上面斜視図を提供する。
【
図4】
図4は、本主題の1つ以上の実施形態に係る、操縦可能医療デバイスの少なくとも一部の上面斜視図を提供する。
【
図5】
図5は、本主題の1つ以上の実施形態に係る、操縦可能医療デバイスの少なくとも一部の側面斜視図を詳解する。
【
図6】
図6は、本主題の1つ以上の実施形態に係る、操縦可能医療デバイスの少なくとも一部の側面斜視図を示す。
【
図7】
図7は、本主題の1つ以上の実施形態に係る、操縦可能医療デバイスの側面斜視図を示す。
【
図8】
図8は、本主題の1つ以上の実施形態に係る、操縦可能医療デバイスの側面斜視図を示す。
【
図9】
図9は、本主題の1つ以上の実施形態に係る、操縦可能医療デバイスの少なくとも一部の断面図を提供する。
【
図10】
図10は、本主題の1つ以上の実施形態に係る、操縦可能医療デバイスの少なくとも一部の断面図を示す。
【
図11】
図11は、本主題の1つ以上の実施形態に係る、例示的な操縦可能医療デバイスの写真を提供する。
【
図12】
図12は、本主題の1つ以上の実施形態に係る、例示的な操縦可能医療デバイスの少なくとも一部を提供する写真である。
【
図13】
図13は、本主題の1つ以上の実施形態に係る、例示的な操縦可能医療デバイスの少なくとも一部を提供する写真である。
【
図14】
図14は、本主題の1つ以上の実施形態に係る、例示的な操縦可能医療デバイスの少なくとも一部を提供する写真である。
【0025】
図面全体を通して、同じ参照符号および文字は、別段の記載がない限り、図示の実施形態の同様の特徴、要素、構成要素または部分を示すために用いられる。加えて、参照符号は、記号「’」を含むことによって(例えば12’または24’)、同じ性質および/または種類の2次要素および/または参照を意味する。さらに、これから本開示が図面を参照して詳細に説明されるが、それは、例示の実施形態に関連してなされる。説明される実施形態に対しては、添付の段落によって定義される本開示の真の範囲および主旨から逸脱することなく、変更および修正を行うことができることが意図されている。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本開示は、通路を通した誘導のために操縦可能である医療デバイスを詳述する。より具体的には、主題の医療デバイスは、内視鏡、カメラおよびカテーテルを含む医療ツールおよびデバイスを受けるための空洞を含み、通路を通して医療ツールまたはデバイスを誘導または操作する能力を含む。
【0027】
図1は、本主題の1つ以上の実施形態に係る、操縦可能医療デバイス10の側面斜視図を提供する。操縦可能医療デバイス10は、湾曲可能体12、ブレイクアウトユニット28およびアクチュエータ36を備える。湾曲可能体12は、少なくとも2本の駆動ワイヤ16および16’を収容する少なくとも2つのガイドリング14と、ガイドリング14を支持するための可撓性バックボーン18と、駆動ワイヤ16を誘導することを目的とする、駆動ワイヤ16の各々に対するくぼみ40とを含む。ガイドリング14は中心において中空であり、設計された間隔をもって接着層42を用いてバックボーン18に固定される。バックボーン18と組み合わせてガイドリング14を組み立てることにより、デバイス10を通して2次ツールを受けるためのチャネル44が作り出される。湾曲可能体12はまた、湾曲可能体12の管状形状の中心線としての中心軌跡(centroid)Qを規定し、ブレイクアウトユニット28に近い方を近位端Cとし、ブレイクアウトユニット28から遠い方を遠位端Dとする。バックボーン18は近位端Cにおいて機械的に固定されてよく、中心軌跡Qに沿って弾性的に操縦可能であってよい。
【0028】
図2は、
図1において提供された操縦可能医療デバイス10の正面断面斜視図をさらに提供する。したがって、断面A-A(
図1参照)における湾曲可能体12の断面図により、ガイドリング14が少なくとも2本の駆動ワイヤ16を誘導するための少なくとも2つのガイドくぼみ40を含むことがより明瞭に詳解される。
図2はさらに、接着層42と、2次ツールを受け入れさらに中心軌跡Qを規定するチャネル44とを詳解する。
【0029】
図1に戻ると、ガイドリング14は、接着層42を用いてバックボーン18に固定されてよく、駆動ワイヤ16および16’がガイドくぼみ40に沿って自由に摺動する間に、駆動ワイヤ16および16’をそれぞれのくぼみ40内に保持してよい。隣接するガイドリング14の間では、駆動ワイヤ16および16’は、いかなる機械的支持構造体がなくても自立(stand)する。ガイドリング14の間の空間により、1つのガイドリング14を第2のガイドリング14に対して操作することができ、したがって、医療デバイス10の操縦につながる。
【0030】
ブレイクアウトユニット28は、遠位ガイドチューブ22、近位ガイドチューブ24、少なくとも2本のブレイクアウトワイヤ26および26’、ならびにばね46(
図5参照)を有する。近位ガイドチューブ24は機械的に固定される。また、遠位ガイドチューブ22も近位ガイドチューブ24の内壁に固定される。これらの遠位ガイドチューブ22および近位ガイドチューブ24がそれぞれ近位小穴(eyelet)領域50および遠位小穴領域48を作り出す(
図5参照)。
【0031】
図1はさらにアクチュエータ36を示し、アクチュエータ36は、患者の近くに構成することができ、ブレイクアウトユニット28を介して湾曲可能体12に機械的に接続される。アクチュエータ36は牽引器30を有し、牽引器30は、ブレイクアウトワイヤ26をQ軸に沿って前進および後退させるために、ブレイクアウトワイヤ26、主ねじ32およびモータ34に接続される。ブレイクアウトワイヤ26はこの間隔で自由空間を通り、真っ直ぐに保たれる。
【0032】
図3および
図4に示されるように、駆動ワイヤ16および16’は留め具58によって異なる位置でガイドリング14に固定される。具体的には、駆動ワイヤ16は留め具58によって位置Eにおいて第1のガイドリング14に固定され、その一方で、駆動ワイヤ16’は留め具58’によって位置Fにおいて第2のガイドリング14に固定される。各駆動ワイヤ16および16’の残りの部分は、それらがブレイクアウトユニット28に到達するまで、それぞれのガイドくぼみ40を通って自由に延びる。留め具58および58’は、機械的、化学的および/または音波溶接の手段によって、それぞれのガイドリングに取り付けられてよい。これらの終端位置EおよびFにより、湾曲可能体12は2つの湾曲部分100および100’に分割され、湾曲部分は、バックボーン18と、駆動ワイヤ16または16’と、この領域の全てのガイドリング14との組立体を含む、実質的な湾曲領域である。
図3および
図4において、本主題の操縦可能医療デバイス10の2つの異なる実施が見られる。
図3は、まず駆動ワイヤ16’を後退させ、次に駆動ワイヤ16を後退させることによって達成される、左に弧状を描くS字湾曲を描写する。
図4における右に弧状を描くS字湾曲は、まず駆動ワイヤ16’を前進させ、次に駆動ワイヤ16を前進させることによって達成される。別の言い方をすれば、駆動ワイヤ16がモータ34によって後退させられると、位置EおよびFの間の湾曲部分は駆動ワイヤ16の方向へ湾曲する(
図3)。また、駆動ワイヤ16が前進させられると、位置EおよびFの間の湾曲部分は反対方向へ湾曲することができる(
図4)。同じように、駆動ワイヤ16’が後退させられると、位置FおよびGの間の湾曲部分は駆動ワイヤ16’の方向へ湾曲し、前進させられると、湾曲部分は反対方向へ湾曲する。位置FおよびGの間の湾曲部分においては、駆動ワイヤ16および16’からの曲げモーメントが互いに干渉するが、駆動ワイヤ16および16’について適切な作動力を選択することによって、位置FおよびGの間の湾曲部分を独立して湾曲させることができる。したがって、2本以上の駆動ワイヤを用いることによって、2つ以上の対応する湾曲部分が独立して湾曲可能である。理解することができるように、追加の駆動ワイヤおよび湾曲可能体と共に追加の湾曲部分が追加されてよく、これにより、追加の独立した湾曲がもたらされるであろう。
【0033】
図5に提供されるように、駆動ワイヤ16をブレイクアウトワイヤ26に取り付けることによって、駆動ワイヤ16の近位端はブレイクアウトユニット28に接続される。近位小穴領域50は駆動ワイヤ16およびブレイクアウトワイヤ26を含み、Q軸に沿ってブレイクアウトワイヤ26を機械的に誘導する。近位小穴領域50は、駆動ワイヤ16をQ軸に沿って誘導するためのばね46(本明細書においてコイルばねとして例示される)を含んでよい。ばね46は両端において遠位ガイドチューブ22とブレイクアウトワイヤ26に接してよい。遠位ガイドチューブ22とブレイクアウトワイヤ26との間において、駆動ワイヤ16がブレイクアウトワイヤ26によって延ばされると、ばね46は収縮する。ばね46が収縮している間に、ばね46は、ばね46が圧縮される前の直径と比べて実質的に同一の内径をもって駆動ワイヤ16を誘導する働きをする。したがって、駆動ワイヤ16の後退および前進は、ブレイクアウトワイヤ26を介して、座屈を生じることなく達成される。
【0034】
さらに、ばね46は、ブレイクアウトワイヤ26が前進させられた時に、動いている構成要素、例えばアクチュエータユニット36の牽引器30および主ねじ32におけるバックラッシュによって生じる不快な機械的運動から、ばね46の復元力によってブレイクアウトワイヤ26および駆動ワイヤ16の運動を安定させる。
【0035】
ブレイクアウトユニット28が1つ以上のばね46を包含するので、駆動ワイヤの直径は座屈を引き起こすことなく縮小することができる。アクチュエータユニット36からの作動力を伝達する際に、ばね46を有するブレイクアウトユニットは、特に湾曲可能体12からアクチュエータユニット36への架橋領域において、駆動ワイヤ16の座屈を回避することができる。駆動ワイヤ16の直径が縮小されると、湾曲可能体12のツールチャネル44のサイズを最大化しつつ、湾曲可能体12の外径を小型化することができる。したがって、湾曲可能体12は治療における侵襲性を低減することができ、ツールが用いられる範囲を増大させることができる。さらに、駆動ワイヤ16を、より大きな直径を有するブレイクアウトワイヤ26に変換することによって、ブレイクアウトユニット28は、駆動ワイヤ16とアクチュエータユニット36のモータ34(またはハンドル)との間の位置合わせの許容範囲を増大させることができる。ブレイクアウトワイヤ26は、モータ34およびハンドル52から駆動ワイヤ16への力の方向のずれに対応する湾曲を伴って、後退力/前進力を伝達することができる。したがって、アクチュエータユニット36により、製作、組立ておよび保守のためのコストが削減され、動作の信頼性が高まり、不整合によって生じる機能不良が回避される。
【0036】
また、駆動ワイヤ16を近位端において近位ガイドチューブ24で収容することにより、駆動ワイヤ16の露出領域を近位端において低減することができ、外部環境、例えば機械的衝突、摩耗、湿気、苛酷な化学的環境などによって誘発される損傷から保護することができる。駆動ワイヤ16の部分的損傷でさえも、潜在的に、駆動ワイヤ16の座屈および/または駆動ワイヤ16の切断の開始点になり得る。
【0037】
最後に、ブレイクアウトワイヤ26は駆動ワイヤ16よりも太い直径を有するので、ブレイクアウトワイヤ26は、座屈を生じることなくより長い自由空間を通り抜けることができ、最終的にアクチュエータ36(またはハンドル)に接続される。したがって、ブレイクアウトワイヤ26に接続されたアクチュエータ36(またはハンドル)は、特に中心軌跡の方向に関して、より多様なレイアウトオプションをもって構成することができる。このようなレイアウトオプションにより、アクチュエータユニット36のサイズを最小化し、駆動ワイヤ16に接続されるアクチュエータの数を増大させることが可能となる。
【0038】
様々な実施形態では、主題の操縦可能医療デバイス10と共に複数のばね46が利用されてよい。
図6は、第1のばね46と同心状に構成された第2のばね46’の使用を示す。これらの2つのばね46および46’は近位小穴領域50を埋め、駆動ワイヤ16を機械的に誘導する。ばね46および46’は本実施形態ではコイルばねであり、さらに互いに反対の螺旋方向を有し、したがってばね46および46’のからまりを回避する。2つ以上のばね46および46’を有することによって、駆動ワイヤ16の直径が小型化されるので、ばねは機械的コンプライアンスを低下させることを回避することができる。コイルばねが図示されたが、コイルばね46および46’の一方または両方の代わりとして、板ばねや張力要素などを含む他の弾性手段が置換および/または増補されてよいと考えられる。
【0039】
複数のコイルばね46を利用することによって、ばね46の適切な剛直性を保ちながら、駆動ワイヤ16をより大きな直径を有するブレイクアウトワイヤ26に変換することができる。したがって、ブレイクアウトユニット28を中心軌跡軸に沿って短くすることができる。
【0040】
また、より小さな直径を有するコイルばね46を既存のばね46の内側に追加することによって、駆動ワイヤ12に対するばね46の有効内径を調整することができるので、コイルばね46は、より小さな直径を有する駆動ワイヤ12の座屈を防止することができる。したがって、ブレイクアウトユニット28はより小さな湾曲可能体を作動させることができ、治療における侵襲性を低減することができ、使用され得る手術ツールの範囲を増大させる。
【0041】
モータ12は、ブレイクアウトワイヤ26を延ばすことによって、Q軸に沿って直列に配置することができる。ブレイクアウトユニット28が駆動ワイヤ16および16’の直径をブレイクアウトワイヤ26および26’の直径に変換するので、ブレイクアウトワイヤ26および26’の座屈を伴うことなくブレイクアウトワイヤ26および26’をモータ12へ伸ばすように、ブレイクアウトワイヤ26および26’の適切な直径を設計することができる。したがって、本開示は、モータ12のレイアウト設計から駆動ワイヤ16および16’の座屈の問題を解消することができ、はるかにより細い直径を有する駆動ワイヤ16および16’によって小型化された湾曲本体12を作動させることを可能にする。
【0042】
ブレイクアウトワイヤ26の直径は、牽引器30(
図7)のずれに関連付けられるいかなる損害をも解消するように十分なロバスト性を有するように選択することができる。
図7における牽引器30のずれ(H)は、座屈を伴うことなくブレイクアウトワイヤ26をたわませることによって許容することができる。したがって、本革新は、近位ガイドチューブ24に対する牽引器30の場所についての許容範囲を増大させることができ、位置校正と、環境因子すなわち温度、熱サイクルおよび湿度によるずれに対する対応策を軽減することを可能にすることができる。
【0043】
さらに、ずれに対する操縦可能医療デバイス10のロバスト性により、ブレイクアウトワイヤ26と牽引器30との間で機械的相互作用が可能となり、これによって湾曲可能体12は交換可能となり、再使用可能なアクチュエータユニット36を有するブレイクアウトユニット28が可能となる。ずれに対する操縦可能医療デバイス10のロバスト性により、様々な異なる個々の部品の取付け時、取外し時および再取付け時の位置のばらつきに対応することができ、本開示の有用性および利点がさらに広がる。具体的には、操縦可能医療デバイスは、滅菌使い捨てツールとして開発することができ、また、滅菌プロセス後に使用時間が制限されたツールとして開発することができる。
【0044】
図8~
図10は、先細のブレイクアウトユニット28と手動操作されるアクチュエータユニット36とを採用した、操縦可能医療デバイス10の様々な図を提供する。
図8は、操縦可能医療デバイス10の側面図である。
図9および
図10は、線I-Iおよび線J-Jにおける医療デバイス10の断面図である。本実施形態では、ブレイクアウトユニット28は近位側から遠位側へ先細になっている。ブレイクアウトユニット28の遠位端は、駆動ワイヤ16および16’のオフセットOをブレイクアウトワイヤ26および26’のオフセットPへ増大させている。同時に、ブレイクアウトユニット28の円形レイアウトの円周も、円周Rから円周Sへ増大する。
【0045】
アクチュエータユニット36は、エンドユーザによって手動で操作され得る回転ハンドル52を含む。回転ハンドル52はハンドル小穴(図示なし)を含み、ブレイクアウトワイヤ26および26’を保持する。ブレイクアウトワイヤ26および26’はハンドル小穴に沿って摺動することができる。ブレイクアウトワイヤ26を介して、位置Kにおいて終端する駆動ワイヤ16は位置Nにおいて回転ハンドルに接続される。また、ブレイクアウトワイヤ26’を介して、位置Lにおいて終端する駆動ワイヤ16’は位置Mにおいて回転ハンドルに接続される。
【0046】
回転ハンドル52は構造的に湾曲可能体12に類似する。回転ハンドル52は弾性チューブ(図示なし)によって支持されて、ちょうど湾曲可能体12のように湾曲することができる。湾曲時、各ハンドル52はブレイクアウトワイヤ26および26’を回転させることができる。具体的には、位置Mと位置Nにおける回転ハンドル52は、それぞれ位置Kと位置Lにおける湾曲可能体12の湾曲角を決定する。回転ハンドル52は、同様の複数の湾曲部分を用いることによって、複数のブレイクアウトワイヤを用いて複数の湾曲部分の湾曲角を制御することができる。
【0047】
より具体的には、駆動ワイヤ16および16’のオフセットRがブレイクアウトワイヤ26および26’のオフセットSへ増大させられるので、回転ハンドル52の制御角は、湾曲可能体12の湾曲角よりも小さくなるように構成されてよい。湾曲可能体12の湾曲角と回転ハンドル52の制御角との比は、オフセットRとオフセットSとの比と比例的に逆になる。さらに、これらの比率は、湾曲可能体12のより大きいまたはより小さい有限制御(more or less finite control)を可能にするように調整されてもよく、それゆえ、主題の操縦可能医療デバイス10に有用性をさらに付加する。
【0048】
駆動ワイヤ16のオフセット距離を増大させるブレイクアウトユニット28を考案することによって、ブレイクアウトユニット28は、湾曲可能体12内の駆動ワイヤ16の円ピッチが、隣接するブレイクアウトワイヤ26の機械的干渉を生じさせる時に、ブレイクアウトワイヤ26のための十分な円ピッチを作り出すことができ、より小さな外径を有する湾曲可能体12を作動させることができる。したがって、湾曲可能体12は使用時における侵襲性を低減することができ、湾曲可能体12のために必要なより直径が小さくなるので、湾曲可能体12内に挿入することができるツールの範囲を増大させることができる。
【0049】
さらに、ブレイクアウトユニット29に対して湾曲可能体12の切離しおよび接続が可能であるので、操縦可能医療デバイス10の様々な部品を独立して滅菌することが可能になる。したがって、湾曲可能体12は、アクチュエータユニット36および/またはブレイクアウトユニット28を滅菌する必要なく、容易かつ経済的に滅菌することができる。また、湾曲可能体12は使い捨て可能とすることができ、その一方で、アクチュエータユニット36および/またはブレイクアウトユニット28は再使用可能である。
【0050】
さらに、ブレイクアウトユニット28を反復的に直列接続することができ、これにより、くぼみにおける摩擦損失と座屈のリスクを低減するために複数のステップによって円ピッチをさらに増大させることができる。
【0051】
また、回転ハンドル52をアクチュエータユニットとして組み合わせた場合には、この増大したオフセット距離により、湾曲可能体12の目標湾曲角を達成するための回転ハンドル52の回転角が低減される。したがって、ユーザは、より小さな操作ストロークで目標湾曲角を達成することができる。
【0052】
回転作動ハンドル52により、操作者は、湾曲可能体12の湾曲平面に対応する平面上の回転運動を用いることによって、湾曲可能体12を手動で作動させることができ、ハンドル52は、単純で小さな構造で複数の駆動ワイヤ16を作動させることができる。複数の駆動ワイヤ16を採用した湾曲可能体12が、中心軌跡に沿って湾曲する複数の区分を作り出すとき、ハンドル52は、個々に湾曲する複数の区分を制御するための独立した回転運動を伴う縦列要素(tandem elements)を構成することができる。また、複数の駆動ワイヤ16を有する湾曲可能体12が1つの湾曲部分内に複数の湾曲度を含むときには、ハンドル52は、複数の回転運動を伴う要素を構成することができる。したがって、アクチュエータユニット36を小型化することができ、操縦可能医療デバイス10が、移動性を備え、任意の所望の局所において構成しやすく操作しやすくなることを可能にする。
【0053】
回転作動ハンドル52は、湾曲可能体12と回転作動ハンドル52との間の構造全体をアクチュエータから切り離し、それに接続することができるよう、アクチュエータに接続することができる。本実装形態では、駆動ワイヤ16およびブレイクアウトワイヤ26の両方をカプセルに入れることができ、外部環境、例えば機械的衝突、摩耗、湿気、刺激の強い化学物質などによって誘発される損傷から保護することができる。
【0054】
図11および
図12に写真として提供される本開示の実施形態は、
図1および
図2における操縦可能医療デバイスと同様の構成を有するが、湾曲本体12は6つの湾曲部分を含む。
図11は操縦可能医療デバイス10の斜視図であり、
図12は、6つの湾曲部分が実施された湾曲可能体12の上面図である。本実施形態における操縦可能医療デバイス10は、複数のモータ34を含むモータ回路54と、牽引器30と、中間シャフト56と、湾曲可能体12とを備える。中間シャフト56はブレイクアウトユニット28に対応する。アクチュエータユニット36はモータ回路54および牽引器30に対応する。6つの湾曲可能区分は、駆動ワイヤと、互い違いの場所において駆動ワイヤに取り付けられたガイドリングとの6つのセットによって達成される。加えて、各駆動ワイヤの後退または前進による医療デバイス10の独立した湾曲を容易にするために、6本の駆動ワイヤの各々のためにアクチュエータが必要とされるであろう。
【0055】
図13は、本主題の1つ以上の実施形態に係る、例示的な湾曲可能体12の写真を提供する。
図13において提供される湾曲可能体12は2つのサイズで提供された。一方の例(「A」)は、3.4mmの外径と、0.25mmのピッチを有するガイドリングとを有する。例Aはまた、1.4mmの直径を有するツールチャネル44を含む。第2の例(「B」)は、1.7mmの外径と、0.2mmのピッチを有するガイドリングとを有する。どちらの例も、超弾性チタン-ニッケル合金製のバックボーンを有する。バックボーンはレーザー切断によって機械加工されており、湾曲可能体12が湾曲平面で湾曲することができるよう、隣接するガイドリングの間の位置において、一体化された湾曲たわみ部(integrated bending flexures)を含む。
【0056】
複数の湾曲部分を組み込むことによって、操縦可能医療デバイス10は、より深い到達可能区域をもって、かつ広い配向オプションをもって、湾曲可能体12の先端の位置を制御することができる。また、湾曲可能体12は、湾曲可能体12の複数の湾曲を用いることによって、複雑な経路を通って目標に到達することができる。
【0057】
図14は、ブレイクアウトワイヤ26との駆動ワイヤ16の接続の近接図を示す。ここでは、0.12mmの直径を有する駆動ワイヤ16が、0.35mmの直径を有するブレイクアウトワイヤ26に接続された。駆動ワイヤ16はブレイクアウトワイヤ26内に挿入され、接着剤を用いて固定された。2つのコイルばね46および46’が駆動ワイヤの周りに配置されて、駆動ワイヤ16の座屈を防止する。
図14において提供される画像では、外側のばね46および内側のばね46’が、それらの相互の関係と湾曲可能体12との関係をよりうまく示すために、部分的に分離されている。ばね46および46’の螺旋方向は、それぞれ時計方向と反時計方向であることが見てとれる。100mmの長さで0.12mmの直径を有する駆動ワイヤ16は、この例示的な操縦可能医療デバイス10を用いることによって、目標押込み力(pushing force)(>5N)を伝達することが示された。