(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】電子装置
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1333 20060101AFI20240925BHJP
G02F 1/1368 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
G02F1/1333 500
G02F1/1333
G02F1/1368
(21)【出願番号】P 2020006861
(22)【出願日】2020-01-20
【審査請求日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】201910105115.X
(32)【優先日】2019-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510134581
【氏名又は名称】群創光電股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Innolux Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】弁理士法人牛木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】曾 宇志
(72)【発明者】
【氏名】▲らい▼ ▲ちゅう▼宏
【審査官】鈴木 俊光
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/125477(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/170350(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0192819(US,A1)
【文献】特開2018-081186(JP,A)
【文献】特開2018-124437(JP,A)
【文献】特開2003-195273(JP,A)
【文献】国際公開第2007/097068(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1333
G02F 1/1368
G09F 9/00 - 9/46
H10K 59/10 - 59/19
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のポリマー基板と、
前記第1のポリマー基板に配置される複数の薄膜トランジスタと、
前記第1のポリマー基板とは反対側に配置される第2のポリマー基板と、
前記第1のポリマー基板と前記第2のポリマー基板との間に配置される液晶層と、
前記複数の薄膜トランジスタと前記第1のポリマー基板との間に配置される透明なフォトレジスト層と、を備え、
前記第1のポリマー基板が第1の厚さを有し、前記第2のポリマー基板が第2の厚さを有し、前記第1の厚さが前記第2の厚さより厚いことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記第1の厚さ、および前記第2の厚さが、以下の式:
【数6】
に従い、
ここで、x1が前記第1の厚さであり、x2が前記第2の厚さであることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第1の厚さ、または前記第2の厚さが、5μm以上かつ45μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第1のポリマー基板は、複数の突出要素が前記第1のポリマー基板の上面の下方に配置された場合に、前記複数の突出要素の1つにそれぞれ対応する複数の突出部が形成され、
前記複数の突出部が前記第1のポリマー基板の前記上面から突出し、
前記表示装置が、前記複数の突出部の中の1つを横切る金属パターン層を備えることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
前記金属パターン層の厚さが、前記複数の突出部の中の1つの高さよりも大きいことを特徴とする請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記第1のポリマー基板に配置された無機層または有機層をさらに備え、
前記無機層または前記有機層が突出部を備え、
当該突出部の幅が、前記複数の突出要素の中の1つの幅よりも小さく、
当該突出部の高さが、前記複数の突出要素の中の1つの高さよりも低いことを特徴とする請求項4に記載の表示装置。
【請求項7】
前記複数の薄膜トランジスタと前記第1のポリマー基板との間に配置される応力緩衝層をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項8】
中立面を有し、
前記中立面と前記第1のポリマー基板との間の距離が、前記中立面と前記第2のポリマー基板との間の距離よりも短いことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項9】
前記液晶層と前記第1のポリマー基板との間に位置する中立面、または前記第1のポリマー基板内に位置する中立面を有することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項10】
前記第1のポリマー基板における前記複数の薄膜トランジスタとは反対の側面に配置された第1の位相差フィルムをさらに備え、
面内方向における前記第1のポリマー基板の位相差値が0であり、膜厚方向における前記第1のポリマー基板の位相差値が300nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年2月1日に出願された中国特許出願第201910105115.X号の利益を主張し、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は電子装置に関し、より具体的には、基板として可撓性材料を使用している電子装置に関する。
【背景技術】
【0003】
技術の進歩に伴い、明るさおよび薄さのトレンドに向けて、表示装置が次第に開発されている。液晶表示装置において、全体の重量と全体の厚さを減少させるために、プラスチック材料で形成された可撓性基板にガラス基板を置き換えることができ、当該液晶表示装置が、プラスチック液晶ディスプレイ(PLCD)と呼ばれる場合がある。しかしながら、このPLCDは、改善する必要があるいくつかの欠点を未だに有している。これらの欠点の1つが、プラスチック基板を形成するときに異物が存在する虞があり、あるいは、製造過程の清浄度が低いことに起因して当該プラスチック材料の溶質が沈殿しやすく、その結果、構成部品を形成するために使用される当該プラスチック基板の表面が隆起してしまう、ということである。このような理由により、このプラスチック基板において形成される金属トレースがこの突出面に容易に形成されず、この突出面における金属線が容易に破断されるようになり、または過度の抵抗を有するようになり、例えば輝線や輝点など、この表示装置の表示不良をもたらしている。他の欠点が、液晶表示装置の2つのプラスチック基板の厚さが薄くなり、この液晶表示装置の薄膜トランジスタ層における非対称な応力が大量に生成されるようになるため、この薄膜トランジスタ層での電極、信号線または絶縁層が、曲げることに起因して容易に破損し、液晶表示装置の表示不良の原因となっている、ということである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、第1のポリマー基板、複数の薄膜トランジスタ、第2のポリマー基板、液晶層および透明なフォトレジスト層を含んでいる電子装置を提供している。薄膜トランジスタが第1のポリマー基板に配置される。第2のポリマー基板が第1のポリマー基板とは反対側に配置される。液晶層が、第1のポリマー基板と第2のポリマー基板との間に配置される。透明なフォトレジスト層が複数の薄膜トランジスタと第1のポリマー基板との間に配置される。第1のポリマー基板が第1の厚さを有し、第2のポリマー基板が第2の厚さを有し、第1の厚さは第2の厚さよりも厚い。
【0005】
本開示のこれらの目的および他の目的は、様々な図および図面に示される実施形態の以下の詳細な説明を理解した後で、当業者にも明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本願開示の第1の実施形態による電子装置の断面図を示している概略図である。
【
図2A】曲げる前の第1の実施形態による電子装置の断面図を示している概略図である。
【
図2B】曲げた後の第1の実施形態による電子装置の断面図を示している概略図である。
【
図3】第1の実施形態による電子装置および中立面の斜視図を示している概略図である。
【
図4】本願開示の第1の実施形態の変形した実施形態による電子装置の断面図を示している概略図である。
【
図5】本願開示の第2の実施形態による電子装置の断面図を示している概略図である。
【
図6】本願開示の第2の実施形態による、曲げている間の電子装置の断面図を示している概略図である。
【
図7】本願開示の第3の実施形態による電子装置の断面図を示している概略図である。
【
図8】本願開示の第3の実施形態による、曲げている間の電子装置の断面図を示している概略図である。
【
図9】本願開示の第4の実施形態による電子装置の断面図を示している概略図である。
【
図10】本願開示の第5の実施形態による電子装置の断面図を示している概略図である。
【
図11】
図9の上面図を示す示している概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に記載されるように、図面と併せて以下の詳細な説明を参照することにより、本願開示を理解できる。なお、説明の明確化のため、および読者に容易に理解されるようにするため、本願開示の様々な図面は電子装置の一部を示しており、様々な図面の特定の構成部品が縮尺通りに描かれていない場合がある。加えて、これらの図面に示されるそれぞれの構成部品の数および寸法は一例にすぎず、本願開示の範囲を限定することを意図するものではない。
【0008】
特定の構成部品を参照するために、明細書および特許請求の範囲の全体に亘って一定の用語が使用される。当業者が理解するように、電子機器メーカーが、異なる名称により構成部品に言及するかもしれない。本出願書類は、名称が異なるが機能が異ならない構成部品同士を区別することを意図していない。以下の詳細な説明および特許請求の範囲において、用語“含む(include)”、“備える(comprise)”および“有している(have)”は上限がない種類であり、したがって、これらの用語が「...を含むが、これに限定されない」を意味していると解釈されるべきである。
【0009】
以下の実施形態で使用される、例えば“上方(above)”、“上(on)”、“下方(beneath)”、“下(below)”、“下方(under)”、“左(left)”、“右(right)”、“前方(before)”、“前(front)”、“後(after)”、“後方(behind)”などの、空間的に相対的な用語は、図面における方向のみを言及しており、本願開示を限定することを意図していない。図面における構成部品が、関連技術の当業者に周知である任意の種類の構成で配置される場合があり、所定の方法でこれらの構成部品を記載していることを理解されたい。さらに、ある層が他の層または基板の“上”にあるとき、当該ある層が、当該他の層または当該基板の“上に直接”あってもよく、あるいは、当該ある層が当該他の層または当該基板の上にあり、あるいは、他の層が当該ある層と、当該他の層または当該基板との間に挟まれていてもよい。
【0010】
なお本明細書において、例えば“下(lower)”、“底(bottom)”、“上(upper)”または“最上部(top)”などの相対表現が使用されて、他の構成部品に対するある構成部品の位置を記載する場合がある。図中の装置がひっくり返された場合、その結果、“下(lower)”と記載された構成部品が“上(upper)の構成部品に向けられるだろうことが理解される。
【0011】
ここで、用語“略(about)”、“略(approximately)”および“実質的に(substantially)”は、通常は所定の値または範囲の20%以内を意味し、好ましくは所定の値または範囲の10%以内を意味し、より好ましくは所定の値または範囲の5%以内を意味している。特定されていないことを意味している、数として略一定であることは、依然として“略(about)”、“略(approximately)”および“実質的に(substantially)”という意味を含んでいる。
【0012】
例えば“第1”、“第2”などの用語が詳細な説明や以下の特許請求の範囲で使用されて、特許請求の範囲の様々な構成要素を記載する場合があるが、これらの用語は、請求された構成要素に順序があることを意味も示してもおらず、ある請求された構成要素および他の請求された構成要素の順序、または製造方法の順番を示していない。これらの用語は、ある種類を備える請求された構成要素を、同一の種類を備える他の1つの請求された構成要素から区別するために使用される。
【0013】
なお、以下の説明に記載される異なる実施形態の技術的特徴は、本願開示の趣旨から逸脱することなく、別の実施形態を構成するために、お互いに交換、再結合または混合できることに留意されたい。
【0014】
図1は、本願開示の第1の実施形態による電子装置の断面図を示している概略図である。電子装置10が第1の構成基板102を含んでおり、この第1の構成基板102が、第1のポリマー基板104および構成部品層106を含んでいる。第1のポリマー基板104は、構成部品層106を支持するために使用されて、曲げることができる特性を有し、例えば、第1のポリマー基板104が、ポリマー基板または他の適切な基板を含んでいる。例として第1のポリマー基板104の材料が、ポリイミド(PI)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリアリレート(PAR)、他の適切な材料、またはこれらの任意の組み合わせを含んでもよいが、これらに限定されない。構成部品層106が第1のポリマー基板104の上に配置される。この構成部品層106は、電子装置10の種類に従って、必要な駆動部品、表示部品または表示機能のない構成部品を含んでもよい。いくつかの実施形態において、電子装置10が液晶表示装置であってもよく、第1の構成基板102が薄膜トランジスタ基板であるようにし、構成部品層106がピクセルのグレースケールを制御するための複数の薄膜トランジスタ108を含むようにしている。例えば薄膜トランジスタ108が、ゲート電極G、ゲート絶縁層GI、半導体層SEM、ソース電極Sおよびドレイン電極Dを含んでもよく、当該薄膜トランジスタ108において、ゲート電極Gが第1の金属パターン層M1で形成されてもよく、ソース電極Sおよびドレイン電極Dが第2の金属パターン層M2で形成されてもよい。いくつかの実施形態において、上述の表示装置が自発光型の表示装置であってもよく、したがって、構成部品層106が、画像を表示するための複数の薄膜トランジスタ108、制御線および発光部品を含んでもよい。この発光部品は、例として有機発光ダイオード(OLED)または無機発光ダイオードであってもよく、例えば、量子ドット発光ダイオード(Q-LED)、マイクロ発光ダイオード(マイクロLED)またはミニ発光ダイオード(ミニLED)などであってもよい。他の実施形態において、複数の液晶表示装置または複数の自発光型の表示装置が使用されて、大型のタイリングディスプレイを形成してもよい。いくつかの実施形態において、構成部品層106は、異なる線や電極をお互いに電気的に絶縁するための絶縁層または保護層をさらに含んでもよい。いくつかの実施形態において表示装置が、封止層、障壁層またはカバーフィルムをさらに含んでもよく、当該封止層、障壁層またはカバーフィルムは、構成部品層106の上に配置されて、薄膜トランジスタ108や発光部品を保護するために使用される。いくつかの実施形態において、構成部品層106が表示機能を有さなくてもよく、例えば、構成部品層106が液晶アンテナを含んでもよい。このような状況において、構成部品層106が誘電体層および回路層を含んでもよく、この誘電体層が液晶層または他の適切な誘電体材料であってもよい。この回路層が薄膜処理により形成されてもよく、またスイッチ部品を任意に含んでもよく、例えばアモルファス薄膜トランジスタ、低温ポリシリコン薄膜トランジスタ、金属酸化物薄膜トランジスタなどを含んでもよいが、これらに限定されない。一実施形態において、構成部品層106が液晶アンテナである場合、この液晶アンテナの動作範囲が実際の有効な動作領域に対応する範囲に言及しており、例えば電磁波信号や光信号などを送信または受信可能な領域に言及している。当該実際の有効な動作領域ではない他の領域が非動作領域に対応している。上述された説明は一例にすぎず、限定されない。いくつかの実施形態において、第1の構成基板102がカラーフィルタ基板であってもよく、当該カラーフィルタ基板において、構成部品層106が、ブラックマトリックス層および/またはカラーフィルタ層を含んでもよい。本願開示の構成部品層106は、上述されたものに限定されない。
【0015】
なお、第1のポリマー基板104が曲げることができる特性を有するため、第1のポリマー基板104の上に構成部品層106を形成する前に、当該第1のポリマー基板104が、例えばガラス基板の上に形成された、キャリアプレート(図示せず)の上に形成されてもよいことに留意されたい。いくつかの実施形態において、キャリアプレートの上に溶液をコーティングし、次に、第1のベーキングによりこの溶液を成形し、その後、第2のベーキングによりこの溶液を完全に硬化することにより、第1のポリマー基板104が形成されてもよい。他の実施形態において、キャリアプレートの上に溶液をコーティングし、次に、照射(例えば、紫外線または赤外線)によりこの溶液を完全に硬化させることにより、第1のポリマー基板104が形成されてもよい。上述されたものは一例にすぎず、限定されない。処理環境の清浄度が不十分であることに起因して、例えば異物や浮遊する粒子など、いくつかの突出要素110がキャリアプレートの上に存在する場合がある。あるいはベーキング中に、溶液中の溶質が溶媒に溶解しない場合があるために、このキャリアプレートに近い溶液における溶質の一部を分離することがある。その結果、この形成された第1のポリマー基板104は、当該第1のポリマー基板104の上面104sの下に配置された複数の突出要素110を含んでいる。これらの突出要素110は一定の厚さを有するため、キャリアプレートの上に形成された第1のポリマー基板104の厚さが薄すぎると、この突出要素110に対応する第1のポリマー基板104の上面104sが突出することがあり、このことは、この第1のポリマー基板104が、上面104sから突出している複数の突出部104aを含むことを意味している。これらの突出部104aの中の1つの上面104sの断面形状は、曲面であることに限られず、凹凸であってもよい。上述された説明は一例にすぎず、限定されない。突出部104aの高さが、電子装置10の平面視方向VDにおける、当該突出部104aのない上面104sの一部の平均的な高さと、当該突出部104aの最上部の高さとの差の絶対値として定義されてもよい。この差の絶対値の範囲が、実質的に3μm以下であってもよい。上述された説明は一例にすぎず、限定されない。突出部104aの最上部の高さでは、
図11の以下の関連する説明を参照してもよい。一実施形態において、突出部104aのない上面104sが完全な平坦面でなくてもよく、そのため、上面104sの平均的な高さが、単位領域(例えば、10μm×10μmの領域)における上面104sの最上部の高さと底部の高さを平均することにより取得されてもよいが、この説明は一例にすぎず、限定されない。例えば基準の高さに基づく、最上部の高さと当該基準の高さとの差の絶対値、および底部の高さと当該基準の高さとの差の絶対値をそれぞれ計算することにより、上面104sの最上部の高さと底部の高さが取得されてもよく、電子装置10の断面図において、当該底部の高さが、当該最上部の高さと当該基準の高さとの間に位置してもよく、また当該基準の高さが、例えば上面104sの反対側の、第1のポリマー基板104の底面であってもよい。本願開示において、溶液をベーキングすることにより第1のポリマー基板104が形成されるため、コーティングされた第1のポリマー基板104の厚さが増加すると、突出部104aの突出している高さを減少させることができ、この第1のポリマー基板104の上面104sの平坦性を向上させるようにしている。したがって、第1のポリマー基板104の上に形成された構成部品層106への損傷を軽減することができる。いくつかの実施形態において、第2のベーキング中に温度を段階的に変更することにより、突出部104aの高さが低減されてもよい。
図1に示された構成部品層106における薄膜トランジスタ108は、例えばボトムゲート型であり、構成部品層106の第1の金属パターン層M1(当該第1の金属パターン層M1が、走査線(図示せず)や、当該薄膜トランジスタ108のゲート電極Gを含んでもよい)が第1のポリマー基板104の上に形成される。突出部104aの高さが低減され、第1の金属パターン層M1の厚さを当該突出部104aの高さよりも大きくするため、第1の金属パターン層M1が突出部104aを横切るときに、この第1の金属パターン層M1が破壊されず、または第1の金属パターン層M1の抵抗が著しく低下しない。例えば、第1のポリマー基板104が5μm以上で45μm以下の第1の厚さx1を有してもよいが、これらに限定されない。突出部104aの高さが、例えば2μm未満であってもよいが、これに限定されない。
【0016】
いくつかの実施形態において、第1の構成基板102が応力緩衝層を任意に含んでもよく、当該応力緩衝層は、構成部品層106と第1のポリマー基板104との間に配置される。キャリアプレートの上に形成された第1のポリマー基板104と当該キャリアプレートとの間に応力が存在するため、第1のポリマー基板104の縁部に近接する当該第1のポリマー基板104の一部が、第1のポリマー基板104とは反対側のキャリアプレート側に向かって曲げられ、湾曲した第1のポリマー基板104を形成するようにしている。キャリアプレートとは反対側の第1のポリマー基板104側に応力緩衝層112を形成することにより、第1のポリマー基板104の折れ曲がり現象を軽減することができ、それにより、構成部品層106を当該第1のポリマー基板104の上に形成することを容易にしている。例えば、応力緩衝層112が酸化ケイ素、窒化ケイ素、またはこれらの組み合わせを含んでもよく、第1のポリマー基板104上のキャリアプレートの応力の平衡を保つようにしている。この応力緩衝層112の厚さは、例えば略2,500オングストローム以上かつ略7500オングストローム以下であってもよいが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、応力緩衝層112が、第1のポリマー基板104の上面104sの上に等角的に形成されてもよく、この第1のポリマー基板104の突出部104aに対応している応力緩衝層112の一部も、突出部112aを有してもよいようにしている。このような状況において、第1の金属パターン層M1の厚さが、突出部112aの高さよりも依然として大きくてもよく、突出部104aを横切っている第1の金属パターン層M1の部分の抵抗が、当該突出部112aの影響を受けない。突出部112aの高さが、例えば2μm未満であってもよいが、これに限定されない。
【0017】
さらに電子装置10は、曲げられている間に中立面114を有し、この電子装置10が曲げられたとき、当該中立面114にある電子装置10の構成部品への応力は、0に近いか等しい。本願開示において、第1のポリマー基板104の厚さx1を増加させることにより、電子装置10の中立面114が第1の構成基板102に隣接して位置するように、または第1のコンポーネント基板102内に位置するように、調整されされてもよく、構成部品層106が当該中立面114に近接するようにしている。したがって、曲げられている間での構成部品層106への応力を軽減することができ、それにより、曲げることに起因する構成部品層106への損傷を低減させている。
【0018】
電子装置10の中立面114の定義が、以下の説明でさらに詳述される。
図2Aおよび
図2Bは、それぞれ曲げる前および曲げた後の電子装置10の断面図を示す概略図であり、
図3は、電子装置10および中立面114の斜視図を示す概略図である。電子装置10が曲げられていない時、点a1から点a2までの部分A、点b1から点b2までの部分B、および点c1から点c2までの部分Cが、実質的に同一の長さを有している。電子装置10が曲げられるとき、点a1から点a2までの部分A’、点b1から点b2までの部分B’、および点c1から点c2までの部分C’が異なる長さを有しており、上述の部品Cおよび部品C’が実質的に同一の長さを有しているとき、当該部分Cおよび部分C’が中立面114上に位置するものとして機能を果たすことができる。
【0019】
以下の説明では、曲げることの前後で実質的に長さの変化がない部分Cおよび部分C’が、応力が0の中立面114に位置するべきである、ということにさらに言及している。
図2Aに示されるように、点m1から点m2までの部分Mや上述の部分Cが距離を有し、例えば最短の距離を有している。電子装置10が曲げられていない時、点m1から点m2までの部分Mが部分Cと実質的に同一の長さを有することができる。
図2Bに示されるように、電子装置10が曲げられるとき、点m1から点m2までの部分M’の長さが(r+y1)×θであってもよく、ここで、rは電子装置10が曲げられたときの部分C'の曲率半径、θは部分C’の曲げ角度であり、y1は部分M’の曲率半径と部分C’の曲率半径との差であり、例えば、部分M’と部分C’との間の最短の距離である。その結果、曲げることに起因する部分M’のひずみ値εが、[(r+y1)×θ-r×θ]/r×θで取得され、これにより、ひずみ値εをy1/rとして取得している。フックの法則(Hooke’s law)によると、部分M’の応力σはE×y1/rであり、ここで、Eは弾性定数である。
図3に示されるように、電子装置10全体における力の合計Fは、以下の式のように、全ての単位面積dAにおける応力σの合計である:
【0020】
【0021】
力の合計Fが0である時、上述の応力σを上記の式に導入して、以下の式を取得することができる。
【数2】
Eおよびrは0ではないため、
【数3】
が取得され、当該式3は、y1が0であることを意味している。以上のように、曲げることの前後で実質的に長さの変化がない部分Cおよび部分C’は力の合計Fが0の位置にあり、このことは、中立面114における電子装置10の応力が0であることを意味している。電子装置10の中立面114は、例えばAbaqusやANSYSソフトウェアなどの応力計算ソフトウェアにより計算されてもよいが、これらに限定されない。中立面114が電子装置10の中心に位置する必要はなく、中立面114の位置は、フィルム層の材料と、電子装置10のフィルム同士の間の応力または層同士の間の応力と、に従って計算される。
【0022】
図1に示されるように、この実施形態において、第1のポリマー基板104の厚さを増加させることにより、第1の構成基板102に位置するように、電子装置10の中立面114が調整されてもよく、例えば、中立面114が構成部品層106に位置してもよく、電子装置10を曲げているときに、この構成部品層106における薄膜トランジスタ108および線における応力を軽減することができ、それにより、曲げることに起因する薄膜トランジスタ108および線の損傷を低減させるようにしている。
【0023】
本願開示の電子装置は、上述した実施形態に限定されるものではなく、異なる変形した実施形態や他の実施形態を有していてもよい。説明を簡略化するために、他の実施形態において同一の構成要素には、第1の実施形態における同一の記号が付けられている。第1の実施形態と他の実施形態との相違点を都合よく比較するため、以下の説明は、第1の実施形態と他の実施形態との間の相違点を詳細に説明し、同一の特徴は重複して説明されない。
【0024】
図4は、本願開示の第1の実施形態の変形した実施形態による電子装置の断面図を示す概略図である。この変形した実施形態において、電子装置12が応力緩衝層を含まなくてもよく、また、電子装置12が構成部品層106と第1のポリマー基板104との間に配置された透明なフォトレジスト層116を含んでもよい。具体的には、構成部品層106を形成する前に、透明なフォトレジスト層116が第1のポリマー基板104の上面104sの上に形成される。透明なフォトレジスト層116が流体特性を有するため、形成された透明なフォトレジスト層116の上面116sが、第1のポリマー基板104の上面104sと比較してより良好な平坦性を有し、これにより、構成部品層106の製造を容易にしている。いくつかの実施形態において、電子装置12が、透明なフォトレジスト層116と第1のポリマー基板104との間に形成された応力緩衝層112も含んでもよい。
【0025】
図5は、本願開示の第2の実施形態による電子装置の断面図を示している概略図であり、
図6は、本願開示の第2の実施形態による、曲げている間の電子装置の断面図を示している概略図である。それぞれのフィルム層の屈曲を明確に示すため、かつ、突
出要素および突起部の図が、曲げている間に不鮮明になる場合があるという理由のために、
図6では突
出要素および突起部を省略しているが、これに限定されない。本実施形態の電子装置20と
図1に示される電子装置10との違いは、電子装置20が液晶表示装置であってもよく、例えば、第2の構成基板202と液晶層204とをさらに含んでもよく、当該液晶層204が、第1の構成基板102と第2の構成基板202との間に配置される、ということである。この第2の構成基板202が、第1のポリマー基板104の反対側に配置された第2のポリマー基板206を含んでもよい。この第2のポリマー基板206が、例えばポリマー基板、または他の適切な基板を含んでもよい。例えば、第2のポリマー基板206の材料には、ポリイミド(PI)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)またはポリアリレート(PAR)、他の適切な材料、またはそれらの任意の組み合わせが含まれてもよいが、これらに限定されない。第2のポリマー基板206が第2の厚さx2を有している。構成部品層106における応力を減少させるために、電子装置20の平面視方向VDにおいて、第1のポリマー基板104の第1の厚さx1が、第2のポリマー基板206の第2の厚さx2よりも厚くなるように調整されてもよく、中立面114と第1のポリマー基板104との間の距離が、中立面114と第2のポリマー基板206との間の距離未満であることができるようにしている。例えば、この実施形態の中立面114が、構成部品層106近傍の液晶層204に位置してもよい。また、いくつかの実施形態において中立面114が、(
図1に示されるように)液晶層204と第1のポリマー基板104との間に位置してもよく、または(
図4に示されるように)第1のポリマー基板104内に位置してもよい。例えば、第1の厚さx1および第2の厚さx2が以下の式に従ってもよい:
【数4】
(x1-x2)/x1が、例えば0.7以上かつ0.9以下であってもよい。第2の厚さx2が、例えば略5μm以上かつ略45μm以下であってもよい。
【0026】
この実施形態において第2の構成基板202が、液晶層204と第2のポリマー基板206との間に配置された、ブラックマトリクス208およびカラーフィルタ層210をさらに含んでもよい。このカラーフィルタ層210が、例えば赤色カラーフィルタ、緑色カラーフィルタおよび青色カラーフィルタなどの異なる色のカラーフィルタ(図示せず)を含んでもよく、当該異なる色のカラーフィルタが、ブラックマトリクス208の異なる開口部に対応して、それぞれ配置される。いくつかの実施形態において第2の構成基板202が、カラーフィルタ層210と第2のポリマー基板206との間、およびブラックマトリックス208と第2のポリマー基板206との間に配置される別の応力緩衝層212を、さらに任意に含んでもよい。この応力緩衝層212が、応力緩衝層112と同一の機能および構造を有してもよく、重複して詳細に説明されない。
【0027】
いくつかの実施形態において、暗状態における光漏れを低減させるために、表示装置20が、第1の位相差フィルム214および第2の位相差フィルム216をさらに含んでもよい。この第1の位相差フィルム214は、第1のポリマー基板104の薄膜トランジスタ108と反対の側面に配置され、この第2の位相差フィルム216は、第2のポリマー基板206のカラーフィルタ層210と反対の側面に配置される。なお、第1のポリマー基板104が位相差特性を有し、そのため第1の位相差フィルム214を使用して、第1のポリマー基板104の位相差を補償できることに留意されたい。例えば第1のポリマー基板104が、-Cプレートの位相差特性を有する。すなわち、第1の方向D1における第1のポリマー基板104の屈折率nx1および第2の方向D2における第1のポリマー基板104の屈折率ny1が、お互いに実質的に等しくてもよく、膜厚方向TDにおける第1のポリマー基板104の屈折率nz1が、第1の方向D1における第1のポリマー基板104の屈折率nx1よりも小さくてもよく、当該第1の方向D1および当該第2の方向D2が膜厚方向TDに垂直な平面にあり、膜厚方向TDは、例えば、電子装置20の平面視方向VDであってもよい。したがって、面内方向における第1のポリマー基板104の位相差値R0(すなわち(nx1-ny1)×d)が略0であり、膜厚方向TDにおける第1のポリマー基板104の位相差値Rth(すなわち[(nx1+ny1)/2-nz1]×d)が0ではなく、ここで、dが対応するフィルムの厚さである。第1のポリマー基板104の位相差を補償するために、第1の位相差フィルム214が、例えば+Cプレートの位相差特性を有してもよい。すなわち、第1の方向D1における第1の位相差フィルム214の屈折率および第2の方向D2における屈折率が実質的に等しくてもよく、膜厚方向TDにおける第1の位相差フィルム214の屈折率が、第1の方向D1における第1の位相差フィルム214の屈折率nx1および第2の方向D2における第1の位相差フィルム214の屈折率ny1よりも大きい。したがって、膜厚方向TDにおける第1の位相差フィルム214の位相差値も0ではない。第1の位相差フィルム214が補償できる位相差値を超えないようにするために、第1のポリマー基板104の第1の厚さx1の増加により、膜厚方向TDにおける第1の位相差フィルム214の位相差値を増加させる必要があるため、第1のポリマー基板104の第1の厚さx1が、45μm以下であってもよい。例えば、膜厚方向TDにおける第1の位相差フィルム214の位相差値が、0より大きく300nm以下であってもよい。同様に、例えば第2のポリマー基板206が、-Cプレートの位相差特性を有してもよい。すなわち、第1の方向D1における第2のポリマー基板206の屈折率nx2および第2の方向D2における第2のポリマー基板206の屈折率ny2が、お互いに実質的に等しくてもよく、膜厚方向TDにおける第2のポリマー基板206の屈折率nz2が、第1の方向D1における第2のポリマー基板206の屈折率nx2よりも小さい。したがって、面内方向における第2のポリマー基板104の位相差値R0(すなわち(nx2-ny2)×d)が略0であり、膜厚方向TDにおける第2のポリマー基板104の位相差値Rth(すなわち[(nx2+ny2)/2-nz2]×d)が0ではない。第2の位相差フィルム216が補償できる位相差値を超えることを避けるため、第2のポリマー基板206の第2の厚さx2が45μm以下であってもよい。膜厚方向TDにおいて第2の位相差フィルムが補償可能な位相差値が、例えば0より大きく300nm以下であってもよい。いくつかの実施形態において、表示装置20が第1の偏光子218および第2の偏光子220をさらに含んでもよく、第1の位相差フィルム214が当該第1の偏光子218と第1のポリマー基板104との間に位置し、第2の位相差フィルム216が当該第2の偏光子220と第2のポリマー基板206との間に位置している。
【0028】
いくつかの実施形態において第1のポリマー基板104が、厚さ10μm毎に、CIE1931色空間のx座標における0.002の色の変化(color variation)と、CIE1931色空間のy座標における0.003の色の変化とを有している。換言すると、光が厚さ10μmの第1のポリマー基板104を通過するとき、この光のCIE1931色空間のx座標の値が0.002増加し、この光のCIE1931色空間のy座標の値が0.003増加する。したがって、第1のポリマー基板104の第1の厚さx1の増加により引き起こされる色ずれを低減するために、当該第1の厚さx1が上限値を有しており、例えば、当該第1の厚さx1が45μm以下である。同様に、第2のポリマー基板206により引き起こされる色ずれを低減するために、第2の厚さx2も上限値を有しており、例えば、当該第2の厚さx2が45μm以下である。
【0029】
図7は、本願開示の第3の実施形態による電子装置の断面図を示している概略図であり、
図8は、本願開示の第3の実施形態による、曲げている間の電子装置の断面図を示している概略図である。それぞれのフィルム層の屈曲を明確に示すため、かつ、突
出要素および突起部の図が、曲げている間に不鮮明になる場合があるという理由のために、
図8では突
出要素および突起部を省略しているが、これに限定されない。本実施形態の電子装置30と
図5に示される電子装置20との違いは、電子装置30の構成部品層がブラックマトリックス208およびカラーフィルタ層210を含み、この構成部品層を配置するための第2のポリマー基板306の第2の厚さx2が、電子装置20の平面
図VDにおける第1のポリマー基板304の第1の厚さx1よりも大きく、中立面114が、第2のコンポーネント基板302に隣接して位置できるようにしており、または第2のコンポーネント基板302内に位置できるようにしていることである。例えば、中立面114がブラックマトリックス208にあってもよく、電子装置30が曲げられるとき、または曲げられないときに、ブラックマトリクス208の開口部の大きさの変化を低減でき、それにより、隣接するサブピクセルの光漏れまたは光混合を低減している。例えば、第1の厚さx1および第2の厚さx2が以下の式に従ってもよい:
【数5】
(x2-x1)/x2が、例えば0.7以上かつ0.9以下であってもよい。第1の厚さx1および第2の厚さx2が、例えば略5μm以上かつ略45μm以下であってもよい。
【0030】
いくつかの実施形態において第2のポリマー基板306も、第2のポリマー基板306のブラックマトリックス208と反対の側面の表面上に配置された、例えば異物や懸濁粒子などの複数の突出要素310を含んでもよい。これらの突出要素310が一定の厚さを有するため、第2のポリマー基板306も、当該第2のポリマー基板306の底面306sから突出する複数の突出部306aを含んでもよい。突出部306aの高さが、電子装置30の平面視方向VDにおける、当該突出部306aのない底面306sの平均的な高さと、当該突出部306aの底部の高さとの差の絶対値として定義されてもよい。関連する計算方法が、
図1の関連し対応している段落で説明されており、そのため再度説明しない。第2のポリマー基板306の厚さを増加させることにより、突出部306aの突出している高さを低減でき、第2のポリマー基板306の底面306sの平坦度を向上させている。いくつかの実施形態において、カラーフィルタ層210の厚さが突出部306aの高さより大きくてもよく、そのため当該カラーフィルタ層210が当該突出部306aを横切ってもよい。例として突出部306aの高さが、例えば2μm未満であってもよいが、これに限定されない。
【0031】
図9および
図10は、本願開示の第4の実施形態および第5の実施形態による電子装置の断面図を示している概略図である。突出要素および対応する突出部を明確に示すために、
図9および
図10が単一の構成基板を示しており、当該構成基板における構成部品層が省略されており、
図9および
図10の構成基板は上述の第1の構成基板を例にとっているが、これに限定されない。
図9に示されるように、第4の実施形態の電子装置40は、突出要素110、第1のポリマー基板104、および無機層422を含んでおり、当該第1のポリマー基板104が当該突出要素110を覆い、当該無機層422が当該第1のポリマー基板104を覆っている。この突
出要素110に起因して、第1のポリマー基板104が、当該突
出要素110に対応している上面104sから突出する突起部104aを含んでおり、無機層422が、上述の対応する突出要素110および突出部104aにおける無機層422の上面422sから突出している突出部422aを含んでいる。この無機層422が、例えば酸化ケイ素、窒化ケイ素、またはこれらの組み合わせなどの無機材料を含んでいる。この無機層422の突出部422aの最大幅W1が、突出要素110の最大幅W2より小さくてもよく、または突出部422aの最大高さH1が、突出要素110の最大高さH2より小さくてもよい。いくつかの実施形態において、第1のポリマー基板104の突出部104aの最大幅W3が、突出要素110の最大幅W2と無機層422の突出部422aの最大幅W1との間であってもよく、あるいは無機層422の突出部422aの最大幅W1に実質的に等しくてもよい。また第1のポリマー基板104の突出部104aの最大高さH3が、突出要素110の最大高さH2と無機層422の突出部422aの最大幅H1との間であってもよく、あるいは無機層422の突出部422aの最大高さH1に実質的に等しくてもよい。
【0032】
図10に示されるように第5の実施形態の電子装置50は、無機層422が有機層522に置き換えられている点で、第4の実施形態の電子装置40と異なる。この有機層522が、例えばフォトレジスト材料、PFAまたは他の適切な有機材料などの有機材料を含んでおり、流体特性を有するため、この形成された有機層522の上面522sが、上述の無機層よりも良好な平坦性を有し、当該有機層522の突出部522aの最大幅W4が、第4の実施形態の無機層422の突出部422aの最大幅W1より小さくてもよく、または突出部522aの最大高さH4が、第4の実施形態の無機層422の突出部422aの最大高さH1より小さくてもよい。有機層522の突出部522aの最大幅W4および最大高さH4が、突出要素110の最大幅W2および最大高さH2よりも、それぞれ小さくてもよい。
【0033】
本願開示による突出要素の最上部の高さと、突出部の最上部の高さとを測定する方法が、以下でさらに詳細に説明される。
図9の平面図を示している概略図である
図11を参照されたい。
図11は第4の実施形態の無機層422を例にとっており、構成基板における構成部品層を省略しているが、これに限定されない。例えば同一の基準の高さに基づいて、場所と基準の高さとの差の絶対値を計算することにより、後述する突出部422aの高さを取得できる。無機層422の突出部422aの最上部の高さを測定する方法では、平面視方向VDにおいて突出部422aを通過する少なくとも3つの仮想線分を決めることを含んでもよく、3つの仮想線分は全て、突起422aの中心に近接する位置(例えば、この中心の左側で当該中心から突出部422aの幅の6分の1だけ離れて配置された位置から、この中心の右側で当該中心から突出部422aの幅の6分の1だけ離れて配置された別の位置までの範囲内、すなわち、突出部422aの幅の3分の1の中間部分内)を通過している。これらの3つの仮想線分が、例えば、それぞれ第1の仮想線分L1、第2の仮想線分L2、および第3の仮想線分L3であってもよい。次に、それぞれの仮想線分上の突
出要素110の最上部の高さと基準の高さとの間の差の絶対値が測定され、その後に絶対値の加算および平均(例えば、(PH1+PH2+PH3)/3)が続き、例えば、第1の仮想線分L1に対応している第1の最上部の高さPH1、第2の仮想線分L2に対応している第2の最上部の高さPH2、および第3の仮想線分L3に対応している第3の最上部の高さPH3を加算および平均することで、突出部422aの最上部の高さを取得するようにしている。いくつかの実施形態において、突出部422aの最上部の高さを測定する方法では、それぞれの仮想線分上の突出部422aの最上部の高さと基準の高さとの間の差の絶対値、およびそれぞれの仮想線分上の突出部422aの底部の高さと基準の高さとの間の差の絶対値も測定することができ、底部の高さと基準の高さとの間の差の絶対値が、例えば第1の底部の高さPL1、第2の底部の高さPL2および第3の底部高さPL3などの底部の高さである。次に、それぞれの仮想線分の最上部の高さと底部の高さの平均値をそれぞれ計算し、その後、これらの仮想線分の平均値を合計および平均して平均値を取得し(例えば、((PH1+PL1)/2+(PH2+PL2)/2+(PH3+PL3)/2)/3)、これにより、突出部422aの最上部の高さを取得している。一実施形態において、突出部422aの底部の高さは、突出部422aの縁部の高さを除いている。最上部の高さおよび底部の高さの測定用の器具が、例えば共焦点顕微鏡であってもよい。いくつかの実施形態において、上述の方法により有機層の突出部の最上部の高さも測定できる。上術の方法と組み合わせて、無機層または有機層を除去することにより、第1のポリマー基板の突出部の最上部の高さも測定できる。上術の方法と組み合わせて、無機層または有機層と第1のポリマー基板とを除去することにより、突
出要素の最上部の高さを測定できる。
【0034】
要約すると、本願開示の電子装置において、第1のポリマー基板の第1の厚さ、または第2のポリマー基板の第2の厚さを増加させることにより、突出部の突出している高さを低減させることができ、第1のポリマー基板または第2のポリマー基板の表面平坦性を向上させて、それにより、第1のポリマー基板または第2のポリマー基板に形成された構成部品層への損傷を低減させている。あるいは第1のポリマー基板の第1の厚さ、または第2のポリマー基板の第2の厚さを増加させることにより、第1の構成基板または第2の構成基板に隣接して位置するように、あるいは第1の構成基板内または第2の構成基板内に位置するように、中立面を調整することができ、それにより、曲げている間の構成部品の損傷を減少させ、または表示装置の表示不良を減少させている。
【0035】
当業者は、本開示の教示を保持しながら、装置および方法の多数の修正および変更がなされ得ることを容易に気付くだろう。したがって上述の開示は、添付された特許請求の範囲の境界によってのみ限定されると解釈されるべきである。