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特許7560255ヘミアスタリン誘導体を含む抗体薬物複合体を含有する医薬
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】ヘミアスタリン誘導体を含む抗体薬物複合体を含有する医薬
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/07 20060101AFI20240925BHJP
   A61K 38/08 20190101ALI20240925BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20240925BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240925BHJP
   A61K 47/65 20170101ALI20240925BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240925BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240925BHJP
   C07K 16/18 20060101ALN20240925BHJP
【FI】
A61K38/07
A61K38/08
A61K47/68
A61K39/395 N
A61K39/395 Y
A61K47/65
A61P35/00
A61P43/00 121
C07K16/18
【請求項の数】 32
(21)【出願番号】P 2020022548
(22)【出願日】2020-02-13
(65)【公開番号】P2020132638
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2022-12-20
(31)【優先権主張番号】P 2019023972
(32)【優先日】2019-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002912
【氏名又は名称】住友ファーマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100126653
【弁理士】
【氏名又は名称】木元 克輔
(72)【発明者】
【氏名】坂 仁志
(72)【発明者】
【氏名】諏訪 篤志
(72)【発明者】
【氏名】高梨 洋輔
【審査官】横田 倫子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/057436(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/123582(WO,A1)
【文献】特表平11-505211(JP,A)
【文献】特表2016-516063(JP,A)
【文献】特表2011-500725(JP,A)
【文献】特表2012-522513(JP,A)
【文献】国際公開第2015/151079(WO,A1)
【文献】特表2017-506234(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 38/00
A61K 39/00
A61K 47/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(2-1):
【化1】

[式中、
mAbは、抗体を表し、
qは1~8の整数を表し、
bは1~の整数を表し、
Zは、式(Z-1)、式(Z-2)又は式(Z-3):
【化2】

(式中、
nは0~4の整数を表し、
AAは、グルタミン酸残基(Glu)又はアスパラギン酸残基(Asp)を表し、AAが複数ある場合、それぞれのAAは互いに同一であっても異なっていてもよく、また、AA同士はアミド結合を介して結合しており、
(AA)のN末端窒素原子はカルボニル基(a)と共にアミド結合を形成しており、
Qは、式(Qa-1)、式(Qa-2)又は式(Qa-7):
【化3】

(式中、
ab及びRacは、それぞれ独立して、水素原子又はハロゲン原子を表し、
ad、Rae及びRafは、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、カルボキシル基、フェニル基又は1~3個のフッ素原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基を表す)
で表される基を表し、
1a及びR1bは、それぞれ独立して、水素原子又はメチル基を表し、
は、-(CH-CORを表し、
uは1又は2を表し、
は、-OH又は-(AB)を表し、
ABは、Glu又はAspを表し、
は、-OHを表し、
pは1を表す)
で表される基である]
で表される、抗体薬物複合体又はその製薬学的に許容される塩を含有する医薬。
【請求項2】
前記抗体薬物複合体が、式(2-1):
【化4】

[式中、
mAbは、抗体を表し、
qは1~8の整数を表し、
bは2~4の整数を表し、
Zは、式(Z-1)、式(Z-2)又は式(Z-3):
【化5】

(式中、
nは0~の整数を表し、
AAは、グルタミン酸残基(Glu)又はアスパラギン酸残基(Asp)を表し、AAが複数ある場合、それぞれのAAは互いに同一であっても異なっていてもよく、また、AA同士はアミド結合を介して結合しており、
(AA)のN末端窒素原子はカルボニル基(a)と共にアミド結合を形成しており、
Qは、無置換フェニル基又は式(Q-1):
【化6】

で表される基を表し、
1a及びR1bは、それぞれ独立して、水素原子又はメチル基を表し、
は、-(CH-CORを表し、
uは1又は2を表し、
は、-OH又は-(AB)を表し、
ABは、Glu又はAspを表し
pは1を表し、
は、-OHを表す
で表される基である]
で表される抗体薬物複合体である、請求項1に記載の医薬。
【請求項3】
bが2である、請求項1又は2に記載の医薬。
【請求項4】
nが0である、請求項1~3のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項5】
が、-(AB) であり、nとpの和が、1又は2である、請求項1~3のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項6】
が、-OHであり、
nが0である、請求項1~3のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項7】
が、-(AB) であり、
nが0であり、pは1である、請求項5に記載の医薬。
【請求項8】
bが2であり、
Zが式(Z-3)で表される基であり、
nが0であり、
Qが無置換フェニル基であり、
1a がメチル基であり、
1b が水素原子であり、
が-OHである、請求項1~3のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項9】
bが2であり、
Zが式(Z-1)で表される基であり、
nが0であり、
Qが無置換フェニル基であり、
1a がメチル基であり、
1b が水素原子であり、
が、-(CH -COR であり、
uが1又は2を表し、
が-OHである、請求項1~3のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項10】
式(2-2):
【化7】

[式中、
mAbは、抗体を表し、
qは1~8の整数を表し、
hは~5の整数を表し、
Z’は、式(Z-4)又は式(Z-5):
【化8】

(式中、
nは0又は1を表し、
AAは、グルタミン酸残基(Glu)又はアスパラギン酸残基(Asp)をし、
(AA)のN末端窒素原子はカルボニル基(a)と共にアミド結合を形成しており、
Qは、式(Qa-1)又は式(Qa-2):
【化9】

(式中、
ab及びRacは、それぞれ独立して、水素原子又はハロゲン原子を表し、
ad、Rae及びRafは、それぞれ独立して、水素原子又はハロゲン原子を表す)
で表される基を表し、
1a及びR1bは、それぞれ独立して、水素原子又はメチル基を表す)
で表される基である]
で表される、抗体薬物複合体又はその製薬学的に許容される塩を含有する医薬。
【請求項11】
前記抗体薬物複合体が、式(2-2):
【化10】

[式中、
mAbは、抗体を表し、
qは1~8の整数を表し、
hは~5の整数を表し、
Z’は、式(Z-4)又は式(Z-5):
【化11】

(式中、
nは0又は1を表し、
AAは、グルタミン酸残基(Glu)又はアスパラギン酸残基(Asp)をし、
(AA)のN末端窒素原子はカルボニル基(a)と共にアミド結合を形成しており、
Qは、無置換フェニル基又は式(Q-1):
【化12】

で表される基を表し、
1a及びR1bは、それぞれ独立して、水素原子又はメチル基を表す)
で表される基である]
で表される抗体薬物複合体である、請求項10に記載の医薬。
【請求項12】
hが5である、請求項10又は11に記載の医薬。
【請求項13】
nが0である、請求項10~12のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項14】
Qが、式(Qa-1)又は式(Qa-2)で表される基であり、
ab及びRacは、それぞれ独立して、水素原子又はフッ素原子であり、
ad、Rae及びRafは、それぞれ独立して、水素原子又はフッ素原子である、請求項1又は10に記載の医薬。
【請求項15】
以下から選択される抗体薬物複合体又はその製薬学的に許容される塩を含有する医薬。
【化13】

[式中、mAbは抗体を表し、qは1~8の整数を表す。]
【請求項16】
以下に記載の抗体薬物複合体又はその製薬学的に許容される塩を含有する医薬。
【化14】

[式中、mAbは抗体を表し、qは1~8の整数を表す。]
【請求項17】
以下に記載の抗体薬物複合体又はその製薬学的に許容される塩を含有する医薬。
【化15】

[式中、mAbは抗体を表し、qは1~8の整数を表す。]
【請求項18】
以下に記載の抗体薬物複合体又はその製薬学的に許容される塩を含有する医薬。
【化16】

[式中、mAbは抗体を表し、qは1~8の整数を表す。]
【請求項19】
以下に記載の抗体薬物複合体又はその製薬学的に許容される塩を含有する医薬。
【化17】

[式中、mAbは抗体を表し、qは1~8の整数を表す。]
【請求項20】
mAbが、ブレンツキシマブ、トラスツズマブ、イノツズマブ、ゲムツズマブ、グレムバツムマブ、ラベツズマブ、サシツズマブ、リファスツズマブ、インデュサツマブ、ポラツズマブ、ピナツズマブ、コルツキシマブ、インダツキシマブ、ミラツズマブ、ロバルピツズマブ、アネツマブ、チソツマブ、ミアベツキシマブ、ロルボツズマブ(lorvotuzumab)、リツキシマブ、デパツキシズマブ、デニンツズマブ、エンホルツマブ、テルソツズマブ、バンドルツズマブ、ソフィツズマブ、ボルセツズマブ、ミルベツキシマブ(mirvetuximab)、ナラツキシマブ、カンツズマブ、ラプリツキシマブ、ビバツズマブ、バダスツキシマブ、ルパルツマブ、アプルツマブ、アバゴボマブ、アブシキシマブ、アビツズマブ、アブリルマブ、アクトクスマブ、アダリブマブ、アデカツムマブ、アデュカヌマブ、アファセビクマブ、アフェリモマブ、アラシズマブ、アレムツズマブ、アリロクマブ、アルツモマブ、アマツキシマブ、アナツモマブ、アニフロルマブ、アンルキンズマブ、アポリズマブ、アルシツモマブ、アスクリンバクマブ、アセリズマブ、アテゾリズマブ、アチヌマブ、アトロリムマブ、アベルマブ、アジンツキシズマブ、バピネズマブ、バシリキシマブ、バビツキシマブ、ベクツモマブ、ベゲロマブ、ベリムマブ、ベンラリズマブ、ベルチリムマブ、ベシレソマブ、ベバシズマブ、ベズロトクスマブ、ビシロマブ、ビマグルマブ、ビメキズマブ、ブレセルマブ、ブリナツモマブ、ブロンツベトマブ、ブロソズマブ、ボコシズマブ、ブラジクマブ、ブリアキヌマブ、ブロダルマブ、ブロルシズマブ、ブロンチクツズマブ、ブロスマブ、カビラリズマブ、カムレリズマブ、カプラシズマブ、カプロマブ、カルルマブ、カロツキシマブ、カツマゾマブ、セデリズマブ、セルトリズマブ、セツキシマブ、シタツズマブ、シキスツムマブ、セレノリキシマブ、クリバツズマブ、コドリツズマブ、コナツムマブ、コンシズマブ、コスフロビキシマブ、クレネズマブ、クリザンリズマブ、クロテデュマブ、ダセツズマブ、ダクリズマブ、ダロツズマブ、ダピロリズマブ、ダラツムマブ、デクトレクマブ、デムシズマブ、デノスマブ、デツモマブ、デザミズマブ、ジヌツキシマブ、ジリダブマブ、ドマグロズマブ、ドルリモマブ、ドロジツマブ、デュリゴツズマブ、デュピルマブ、デュルバルマブ、デュシギツマブ、デュボルツキシズマブ、エクロメキシマブ、エクリズマブ、エドバコマブ、エドレコロマブ、エファリズマブ、エフングマブ、エルデルマブ、エレザムマブ、エロツズマブ、エルシリモマブ、エマクツズマブ、エマパルマブ、エミベツズマブ、エミシズマブ、エナバツズマブ、エンリモマブ、エノブリツズマブ、エノキズマブ、エノチクマブ、エンシツキシマブ、エピツモマブ、エプラツズマブ、エプチネズマブ、エレヌマブ、エルリズマブ、エルツマキソマブ、エタラシズマブ、エトロリズマブ、エビナクマブ、エボロクマブ、エクスビビルマブ、ファラリモマブ、ファルレツズマブ、ファシヌマブ、フェルビズマブ、フェザキヌマブ、フィクラツズマブ、フィギツムマブ、フィリブマブ、フラボツマブ、フレチクマブ、フォントリズマブ、フォラルマブ、フォラビルマブ、フレマネズマブ、フレソリムマブ、フルネベトマブ、フルラヌマブ、フツキシマブ、ガルカネズマブ、ガリキシマブ、ガニツマブ、ガンテネルマブ、ガチポツズマブ、ガビリモマブ、ゲディブマブ、ゲボキズマブ、ギルベトマブ、ギレンツキシマブ、ゴリムマブ、グセルクマブ、イバリズマブ、イブリツモマブ、イクルクマブ、イダルシズマブ、イファボツズマブ、イゴボマブ、イマルマブ、イムシロマブ、イムガツズマブ、インクラクマブ、イネビリズマブ、インフリキシマブ、イノリモマブ、インテツムマブ、イピリムマブ、イラツムマブ、イサツキシマブ、イトリズマブ、イキセキズマブ、ケリキシマブ、ラクノツマブ、ランパリズマブ、ラナデルマブ、ランドグロズマブ、ラルカビキシマブ、レブリキズマブ、レマレソマブ、レンジルマブ、レルデリムマブ、レソファブマブ、レトリズマブ、レキサツムマブ、リビリルマブ、リファツズマブ、リゲリズマブ、リロトマブ、リンツズマブ、リリルマブ、ロデルシズマブ、ロキベトマブ、ロロボツズマブ、ロサツキシマブ、ルカツムマブ、ルリズマブ、ルムレツズマブ、ルチキズマブ、マパツムマブ、マルゲツキシマブ、マサリモマブ、マツズマブ、マブリリムマブ、メポリズマブ、メテリムマブ、ミニテルモマブ、ミツモマブ、モドツキシマブ、モガムリズマブ、モナリズマブ、モロリズマブ、モタビズマブ、モキセツモマブ、ムロモナブ、ナコロマブ、ナミルマブ、ナプツモマブ、ナルナルマブ、ナタリズマブ、ナビシキシズマブ、ナビブマブ、ネバクマブ、ネシツムマブ、ネモリズマブ、ネレリモマブ、ネスバクマブ、ニモツズマブ、ニボルマブ、オビルトキサキシマブ、オビヌツズマブ、オカラツズマブ、オクレリズマブ、オデュリモマブ、オファツムマブ、オララツマブ、オレクルマブ、オレンダリズマブ、オロキズマブ、オマリズマブ、オナルツズマブ、オンツキシズマブ、オピシヌマブ、オポルツズマブ、オレゴボマブ、オレチクマブ、オルチクマブ(orticumab)、オテリキシズマブ、オトレルツズマブ、オキセルマブ、オザネズマブ、オゾラリズマブ、パギバキシマブ、パリビズマブ、パムレブルマブ、パニツムマブ、パノバクマブ、パルサツズマブ、パスコリズマブ、パソツキシズマブ、パテクリズマブ、パトリツマブ、ペンブロリズマブ、ペラキズマブ、ペルツズマブ、ペキセリズマブ、ピディリズマブ、プラクルマブ、プロザリズマブ、ポネズマブ、ポルガビキシマブ、プレザルマブ、プリリキシマブ、プリトキサキシマブ、プリツムマブ、クイリズマブ、ラコツモマブ、ラドレツマブ、ラフィビルマブ、ラルパンシズマブ、ラムシルマブ、ラネベトマブ、ラニビズマブ、ラキシバクマブ、レファネズマブ、レガビルマブ、レムトルマブ、レスリズマブ、リロツムマブ、リニクマブ、リサンキズマブ、リババズマブ、ロバツムマブ、ロレデュマブ、ロモソズマブ、ロンタリズマブ、ロスマンツズマブ、ロベリズマブ、ロザノリキシズマブ、ルプリズマブ、サマリズマブ、サリルマブ、サトラリズマブ、サツモマブ、セクキヌマブ、セリクレルマブ、セリバンツマブ、セトキサキシマブ、セビルマブ、シブロツズマブ、シファリムマブ、シルツキシマブ、シムツズマブ、シプリズマブ、シルクマブ、ソラネズマブ、ソリトマブ、ソンツズマブ、スタムルマブ、スレソマブ、スムタブマブ、スビズマブ、スブラトクマブ、タバルマブ、タドシズマブ、タリズマブ、タムツベトマブ、タネズマブ、タプリツモマブ、タレクスツマブ、タボリキシズマブ、ファノレソマブ、ノフェツモマブ、ピンツモマブ、テフィバズマブ、テリモマブ、テリソズマブ、テナツモマブ、テネリキシマブ、テプリズマブ、テプロツムマブ、テシドルマブ、テゼペルマブ、ティガツズマブ、ティルドラキズマブ、チミグツズマブ、チモルマブ、トシリズマブ、トムゾツキシマブ、トラリズマブ、トサトクスマブ、トシツモマブ、トベツマブ、トラロキヌマブ、トレガリズマブ、トレメリムマブ、トレボグルマブ、ツコツズマブ、ツビルマブ、ウブリツキシマブ、ウロクプルマブ、ウレルマブ、ウルトキサズマブ、ウステキヌマブ、ウトミルマブ、バンチクツマブ、バヌシズマブ、バパリキシマブ、バリサクマブ、バルリルマブ、バテリズマブ、ベドリズマブ、べルツズマブ、ベパリモマブ、ベセンクマブ、ビシリズマブ、ボバリリズマブ、ボロシキシマブ、ボンレロリズマブ、ボツムマブ、ブナキズマブ、タカツズマブ、ザルツズマブ、ザノリムマブ、ジラリムマブ、ゾリモマブ、カミダンルマブ、コフェツズマブ、ラジラツズマブ、ロンカスツズマブ、テリソツズマブ、エナポタマブ、AMG595の抗体又は抗エンビジン抗体である、請求項1~19のいずれか一項に記載の医薬。
【請求項21】
mAbが、ブレンツキシマブ、トラスツズマブ、イノツズマブ、ゲムツズマブ、ラベツズマブ、ポラツズマブ、コルツキシマブ、インダツキシマブ、アネツマブ、リツキシマブ、デニンツズマブ、ラプリツキシマブ、バダスツキシマブ、グレムバツムマブ、セツキシマブ、アレムツズマブ又はデパツキシズマブである、請求項20に記載の医薬。
【請求項22】
mAbが、ブレンツキシマブ又はトラスツズマブである、請求項21に記載の医薬。
【請求項23】
請求項1~22のいずれか一項に記載の医薬を含有する、医薬組成物。
【請求項24】
請求項1~22のいずれか一項に記載の医薬と、
抗がん性アルキル化剤、抗がん性代謝拮抗剤、抗がん性抗生物質、抗がん性白金配位化合物、抗がん性カンプトテシン誘導体、抗がん性チロシンキナーゼ阻害剤、抗がん性セリンスレオニンキナーゼ阻害剤、抗がん性リン脂質キナーゼ阻害剤、抗がん性モノクローナル抗体、インターフェロン、生物学的応答調節剤、ホルモン剤、免疫チェックポイント阻害剤、エピジェネティクス関連分子阻害剤、及びタンパク質翻訳後修飾阻害剤からなる群より選択される1種以上の抗がん性化合物又はその製薬学的に許容される塩とを含む医薬組成物。
【請求項25】
抗がん性アルキル化剤、抗がん性代謝拮抗剤、抗がん性抗生物質、抗がん性白金配位化合物、抗がん性カンプトテシン誘導体、抗がん性チロシンキナーゼ阻害剤、抗がん性セリンスレオニンキナーゼ阻害剤、抗がん性リン脂質キナーゼ阻害剤、抗がん性モノクローナル抗体、インターフェロン、生物学的応答調節剤、ホルモン剤、免疫チェックポイント阻害剤、エピジェネティクス関連分子阻害剤、及びタンパク質翻訳後修飾阻害剤からなる群より選択される1種以上の抗がん性化合物又はその製薬学的に許容される塩と併用してがんを治療するための、請求項23に記載の医薬組成物。
【請求項26】
乳がん、胃がん、肺がん、肝臓がん、子宮頸がん、大腸がん、直腸がん、結腸がん、神経膠腫、リンパ腫、卵巣がん、膵がん、前立腺がん、腎がん、尿路上皮がん、皮膚がん、甲状腺がん、膀胱がん、頭頸部がん、子宮体がん、中皮腫、黒色腫、多発性骨髄腫及び白血病からなる群より選択されるがんの治療に用いられる、請求項23~25のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項27】
請求項1~22のいずれか一項に記載の医薬を含有する、抗がん剤。
【請求項28】
がんが、乳がん、胃がん、肺がん、肝臓がん、子宮頸がん、大腸がん、直腸がん、結腸がん、神経膠腫、リンパ腫、卵巣がん、膵がん、前立腺がん、腎がん、尿路上皮がん、皮膚がん、甲状腺がん、膀胱がん、頭頸部がん、子宮体がん、中皮腫、黒色腫、多発性骨髄腫又は白血病である、請求項27に記載の抗がん剤。
【請求項29】
抗がん剤を製造するための、請求項1~22のいずれか一項に記載の医薬の使用。
【請求項30】
抗がん剤が、乳がん、胃がん、肺がん、肝臓がん、子宮頸がん、大腸がん、直腸がん、結腸がん、神経膠腫、リンパ腫、卵巣がん、膵がん、前立腺がん、腎がん、尿路上皮がん、皮膚がん、甲状腺がん、膀胱がん、頭頸部がん、子宮体がん、中皮腫、黒色腫、多発性骨髄腫及び白血病からなる群より選択されるがんの治療に用いられる、請求項29に記載の使用。
【請求項31】
請求項1~22のいずれか一項に記載の医薬と、
抗がん性アルキル化剤、抗がん性代謝拮抗剤、抗がん性抗生物質、抗がん性白金配位化合物、抗がん性カンプトテシン誘導体、抗がん性チロシンキナーゼ阻害剤、抗がん性セリンスレオニンキナーゼ阻害剤、抗がん性リン脂質キナーゼ阻害剤、抗がん性モノクローナル抗体、インターフェロン、生物学的応答調節剤、ホルモン剤、免疫チェックポイント阻害剤、エピジェネティクス関連分子阻害剤、及びタンパク質翻訳後修飾阻害剤からなる群より選択される1種以上の抗がん性化合物又はその製薬学的に許容される塩を含む、医薬製品。
【請求項32】
がん治療用である、請求項31に記載の医薬製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘミアスタリン誘導体を含む抗体薬物複合体を含有する医薬に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘミアスタリンは、海綿から単離される、トリペプチド構造を有する天然化合物であり、細胞中での微小管脱重合及び有糸分裂停止に関与している(非特許文献1)。
【0003】
これまでに、いくつかのグループが、ヘミアスタリン誘導体の構造修飾を行い、がん等の疾患の治療のために、強力な細胞毒性及び抗有糸分裂作用を示すヘミアスタリン誘導体を見いだしてきた(特許文献1~5、非特許文献2~5)。しかし、これらのヘミアスタリン誘導体は、標的指向性がないため全身に送達され、正常細胞に対しても細胞毒性を示し、副作用を示すことが報告されている(非特許文献6)。
【0004】
抗体薬物複合体は、抗体と薬物を直接的に、又は適切なリンカーを介して、結合させた複合体である。そして、抗体薬物複合体は、標的細胞に発現している抗原に結合する抗体を介して薬物を標的細胞へ送達することにより、薬物の全身曝露を抑え、標的細胞への薬効を高める特徴を持つ。
【0005】
また、これまでに、いくつかのグループが、マレイミド基を有するヘミアスタリン誘導体と抗体等のシステイン残基とでチオスクシンイミドを形成した複合体を報告している(特許文献4、6~8)。そして、当該チオスクシンイミド部位は生体内で解離と結合の可逆的反応を起こしていることが報告されている(非特許文献7、8)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】国際公開第2004/026293号
【文献】国際公開第96/33211号
【文献】米国特許第7579323号
【文献】国際公開第2014/144871号
【文献】国際公開第2003/082268号
【文献】国際公開第2015/095952号
【文献】国際公開第2015/095953号
【文献】国際公開第2014/057436号
【非特許文献】
【0007】
【文献】Talpir,R. et al.,Tetrahedron Lett.,1994,35,4453-4456.
【文献】Zask,A. et. al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.,2004,14,4353-4358.
【文献】Zask,A. et. al.,J.Med.Chem.,2004,47,4774-4786.
【文献】Yamashita,A. et. al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.,2004,14,5317-5322.
【文献】Nieman, J. A. et. al.,J,Nat.Prod.,2003,66,183-199.
【文献】Rocha-Lima,C.M. et. al.,Cancer,2012,118,4262-4270.
【文献】Alley,S. C. et. al.,Bioconjugate Chem.,2008,19,759-765.
【文献】Baldwin, A. D. et. al.,Bioconjugate Chem.,2011,22, 1946-1953.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、抗体と結合させた抗体薬物複合体とすることで、標的細胞に対して特異的に細胞傷害を与える一方で、正常細胞への細胞毒性は抑えられたヘミアスタリン誘導体を含む抗体薬物複合体を含有する医薬を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、鋭意研究を行った結果、式(2-1)又は(2-2)で表される抗体薬物複合体が強い抗腫瘍活性を有し、かつ、正常細胞への細胞毒性は抑えられることを見出し、本発明を完成させた。
【0010】
すなわち、本発明は、以下の通りである。
【0011】
[項1]
式(1-1):
【化1】

[式中、
bは1~5の整数を表し、
Zは、式(Z-1)、式(Z-2)、式(Z-3)、式(Za-1)、式(Za-2)、式(Za-3)、式(Za-4)又は式(Za-5):
【化2】

【化3】

(式中、
nは0~4の整数を表し、ここにおいて、Zが式(Za-4)又は式(Za-5)で表される基である場合、nは1~4の整数であり、
AAは、グルタミン酸残基(Glu)、アスパラギン酸残基(Asp)又はリシン残基(Lys)を表し、AAが複数ある場合、それぞれのAAは互いに同一であっても異なっていてもよく、また、AA同士はアミド結合を介して結合しており、
(AA)のN末端窒素原子はカルボニル基(a)と共にアミド結合を形成しており、
aaは、C1-6アルキル基を表し、
Qは、式(Qa-1)、式(Qa-2)、式(Qa-3)、式(Qa-4)、式(Qa-5)、式(Qa-6)又は式(Qa-7):
【化4】

(式中、
ab及びRacは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、C1-6アルキル基又はC1-6アルコキシ基を表し、
ad、Rae及びRafは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、アミノ基、カルボキシル基、フェニル基、1~3個のフッ素原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基又はC1-6アルキルエステル基を表す)
で表される基を表し、
1a及びR1bは、それぞれ独立して、水素原子又はメチル基を表し、
は、-(CH-CORを表し、
uは1又は2を表し、
及びRは、それぞれ独立して、-OH又は-(AB)を表し、
ABは、Glu、Asp又はLysを表し、ABが複数ある場合、それぞれのABは互いに同一であっても異なっていてもよく、また、AB同士はアミド結合を介して結合しており、
pは1~4の整数を表し、
ただし、R又はRが-(AB)であるとき、nとpの和は1~5の整数である)
で表される基である]
で表される、化合物又はその塩を含有する医薬。
【0012】
[項2]
上記化合物が、式(1-1):
【化5】

[式中、
bは1~5の整数を表し、
Zは、式(Z-1)、式(Z-2)又は式(Z-3):
【化6】

(式中、
nは0~4の整数を表し、
AAは、グルタミン酸残基(Glu)、アスパラギン酸残基(Asp)又はリシン残基(Lys)を表し、AAが複数ある場合、それぞれのAAは互いに同一であっても異なっていてもよく、また、AA同士はアミド結合を介して結合しており、
(AA)のN末端窒素原子はカルボニル基(a)と共にアミド結合を形成しており、
Qは、無置換フェニル基又は式(Q-1):
【化7】

で表される基を表し、
1a及びR1bは、それぞれ独立して、水素原子又はメチル基を表し、
は、-(CH-CORを表し、
uは1又は2を表し、
及びRは、それぞれ独立して、-OH又は-(AB)を表し、
ABは、Glu、Asp又はLysを表し、ABが複数ある場合、それぞれのABは互いに同一であっても異なっていてもよく、また、AB同士はアミド結合を介して結合しており、
pは1~4の整数を表し、
ただし、R又はRが-(AB)であるとき、nとpの和は1~5の整数である)
で表される基である]
で表される化合物である、項1に記載の医薬。
【0013】
[項3]
bが2である、項1又は2に記載の医薬。
【0014】
[項4]
式(1-2):
【化8】

[式中、
hは1~5の整数を表し、
Z’は、式(Z-4)、式(Z-5)、式(Za-6)、式(Za-7)、式(Za-8)、式(Za-9)、式(Za-10)又は式(Za-11):
【化9】

【化10】

(式中、
nは0~4の整数を表し、ここにおいて、Zが式(Za-6)、式(Za-7)、式(Za-8)、式(Za-9)、式(Za-10)又は式(Za-11)で表される基である場合、nは1~4の整数であり、
AAは、グルタミン酸残基(Glu)、アスパラギン酸残基(Asp)又はリシン残基(Lys)を表し、AAが複数ある場合、それぞれのAAは互いに同一であっても異なっていてもよく、また、AA同士はアミド結合を介して結合しており、
(AA)のN末端窒素原子はカルボニル基(a)と共にアミド結合を形成しており、
Qは、式(Qa-1)、式(Qa-2)、式(Qa-3)、式(Qa-4)、式(Qa-5)、式(Qa-6)又は式(Qa-7):
【化11】

(式中、
ab及びRacは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、C1-6アルキル基又はC1-6アルコキシ基を表し、
ad、Rae及びRafは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、アミノ基、カルボキシル基、フェニル基、1~3個のフッ素原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基又はC1-6アルキルエステル基を表す)
で表される基を表し、
1a及びR1bは、それぞれ独立して、水素原子又はメチル基を表す)
で表される基である]
で表される、化合物又はその塩を含有する医薬。
【0015】
[項5]
上記化合物が、式(1-2):
【化12】

[式中、
hは1~5の整数を表し、
Z’は、式(Z-4)又は式(Z-5):
【化13】

(式中、
nは0~4の整数を表し、
AAは、グルタミン酸残基(Glu)、アスパラギン酸残基(Asp)又はリシン残基(Lys)を表し、AAが複数ある場合、それぞれのAAは互いに同一であっても異なっていてもよく、また、AA同士はアミド結合を介して結合しており、
(AA)のN末端窒素原子はカルボニル基(a)と共にアミド結合を形成しており、
Qは、無置換フェニル基又は式(Q-1):
【化14】

で表される基を表し、
1a及びR1bは、それぞれ独立して、水素原子又はメチル基を表す)
で表される基である]
で表される化合物である、項4に記載の医薬。
【0016】
[項6]
hが5である、項4又は5に記載の医薬。
【0017】
[項7]
Qが、式(Qa-1)又は式(Qa-2)で表される基であり、
ab及びRacが、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、C1-6アルキル基又はC1-6アルコキシ基であり、
ad、Rae及びRafが、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、1~3個のフッ素原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基である、項1又は4に記載の医薬。
【0018】
[項8]
nが0~2の整数である、項1~7のいずれか一項に記載の医薬。
【0019】
[項9]
又はRが、-(AB)であり、nとpの和が、1又は2である、項1~3のいずれか一項に記載の医薬。
【0020】
[項10]
(AA)が、式(A-1):
【化15】

(式中、AA及びAAは、それぞれ独立して、Glu、Asp又はLysで表される)
で表される基である、項2又は5に記載の医薬。
【0021】
[項11]
(AA)が、式(A-2):
【化16】

(式中、AA及びAAは、それぞれ独立して、Glu、Asp又はLysで表される)
で表される基である、項2又は5に記載の医薬。
【0022】
[項12]
及びRが、-OHであり、
nが0~2の整数である、項1~3のいずれか一項に記載の医薬。
【0023】
[項13]
及びRが、-(AB)であり、
nが0であり、pは2であるか、又はn及びpがそれぞれ1である、項1~3のいずれか一項に記載の医薬。
【0024】
[項14]
上記化合物が以下の化合物から選択される、項1~3のいずれか一項に記載の医薬。
【化17】
【0025】
[項15]
上記化合物が以下の化合物である、項4~6のいずれか一項に記載の医薬。
【化18】
【0026】
[項16]
式(2-1):
【化19】

[式中、
mAbは、抗体を表し、
qは1~8の整数を表し、
bは1~5の整数を表し、
Zは、式(Z-1)、式(Z-2)、式(Z-3)、式(Za-1)、式(Za-2)、式(Za-3)、式(Za-4)又は式(Za-5):
【化20】

【化21】

(式中、
nは0~4の整数を表し、ここにおいて、Zが式(Za-4)又は式(Za-5)で表される基である場合、nは1~4の整数であり、
AAは、グルタミン酸残基(Glu)、アスパラギン酸残基(Asp)又はリシン残基(Lys)を表し、AAが複数ある場合、それぞれのAAは互いに同一であっても異なっていてもよく、また、AA同士はアミド結合を介して結合しており、
(AA)のN末端窒素原子はカルボニル基(a)と共にアミド結合を形成しており、
aaは、C1-6アルキル基を表し、
Qは、式(Qa-1)、式(Qa-2)、式(Qa-3)、式(Qa-4)、式(Qa-5)、式(Qa-6)又は式(Qa-7):
【化22】

(式中、
ab及びRacは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、C1-6アルキル基又はC1-6アルコキシ基を表し、
ad、Rae及びRafは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、アミノ基、カルボキシル基、フェニル基、1~3個のフッ素原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基又はC1-6アルキルエステル基を表す)
で表される基を表し、
1a及びR1bは、それぞれ独立して、水素原子又はメチル基を表し、
は、-(CH-CORを表し、
uは1又は2を表し、
及びRは、それぞれ独立して、-OH又は-(AB)を表し、
ABは、Glu、Asp又はLysを表し、ABが複数ある場合、それぞれのABは互いに同一であっても異なっていてもよく、また、AB同士はアミド結合を介して結合しており、
pは1~4の整数を表し、
ただし、R又はRが-(AB)であるとき、nとpの和は1~5の整数である)
で表される基である]
で表される、抗体薬物複合体又はその製薬学的に許容される塩を含有する医薬。
【0027】
[項17]
上記抗体薬物複合体が、式(2-1):
【化23】

[式中、
mAbは、抗体を表し、
qは1~8の整数を表し、
bは1~5の整数を表し、
Zは、式(Z-1)、式(Z-2)又は式(Z-3):
【化24】

(式中、
nは0~4の整数を表し、
AAは、グルタミン酸残基(Glu)、アスパラギン酸残基(Asp)又はリシン残基(Lys)を表し、AAが複数ある場合、それぞれのAAは互いに同一であっても異なっていてもよく、また、AA同士はアミド結合を介して結合しており、
(AA)のN末端窒素原子はカルボニル基(a)と共にアミド結合を形成しており、
Qは、無置換フェニル基又は式(Q-1):
【化25】

で表される基を表し、
1a及びR1bは、それぞれ独立して、水素原子又はメチル基を表し、
は、-(CH-CORを表し、
uは1又は2を表し、
及びRは、それぞれ独立して、-OH又は-(AB)を表し、
ABは、Glu、Asp又はLysを表し、ABが複数ある場合、それぞれのABは互いに同一であっても異なっていてもよく、また、AB同士はアミド結合を介して結合しており、
pは1~4の整数を表し、
ただし、R又はRが-(AB)であるとき、nとpの和は1~5の整数である)
で表される基である]
で表される抗体薬物複合体である、項16に記載の医薬。
【0028】
[項18]
bが2である、項16又は17に記載の医薬。
【0029】
[項19]
式(2-2):
【化26】

[式中、
mAbは、抗体を表し、
qは1~8の整数を表し、
hは1~5の整数を表し、
Z’は、式(Z-4)、式(Z-5)、式(Za-6)、式(Za-7)、式(Za-8)、式(Za-9)、式(Za-10)又は式(Za-11):
【化27】

【化28】

(式中、
nは0~4の整数を表し、ここにおいて、Zが式(Za-6)、式(Za-7)、式(Za-8)、式(Za-9)、式(Za-10)又は式(Za-11)で表される基である場合、nは1~4の整数であり、
AAは、グルタミン酸残基(Glu)、アスパラギン酸残基(Asp)又はリシン残基(Lys)を表し、AAが複数ある場合、それぞれのAAは互いに同一であっても異なっていてもよく、また、AA同士はアミド結合を介して結合しており、
(AA)のN末端窒素原子はカルボニル基(a)と共にアミド結合を形成しており、
Qは、式(Qa-1)、式(Qa-2)、式(Qa-3)、式(Qa-4)、式(Qa-5)、式(Qa-6)又は式(Qa-7):
【化29】

(式中、
ab及びRacは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、C1-6アルキル基又はC1-6アルコキシ基を表し、
ad、Rae及びRafは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、アミノ基、カルボキシル基、フェニル基、1~3個のフッ素原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基又はC1-6アルキルエステル基を表す)
で表される基を表し、
1a及びR1bは、それぞれ独立して、水素原子又はメチル基を表す)
で表される基である]
で表される、抗体薬物複合体又はその製薬学的に許容される塩を含有する医薬。
【0030】
[項20]
上記抗体薬物複合体が、式(2-2):
【化30】

[式中、
mAbは、抗体を表し、
qは1~8の整数を表し、
hは1~5の整数を表し、
Z’は、式(Z-4)又は式(Z-5):
【化31】

(式中、
nは0~4の整数を表し、
AAは、グルタミン酸残基(Glu)、アスパラギン酸残基(Asp)又はリシン残基(Lys)を表し、AAが複数ある場合、それぞれのAAは互いに同一であっても異なっていてもよく、また、AA同士はアミド結合を介して結合しており、
(AA)のN末端窒素原子はカルボニル基(a)と共にアミド結合を形成しており、
Qは、無置換フェニル基又は式(Q-1):
【化32】

で表される基を表し、
1a及びR1bは、それぞれ独立して、水素原子又はメチル基を表す)
で表される基である]
で表される抗体薬物複合体である、項19に記載の医薬。
【0031】
[項21]
hが5である、項19又は20に記載の医薬。
【0032】
[項22]
Qが、式(Qa-1)又は式(Qa-2)で表される基であり、
ab及びRacは、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、C1-6アルキル基又はC1-6アルコキシ基であり、
ad、Rae及びRafは、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、1~3個のフッ素原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基である、項16又は19に記載の医薬。
【0033】
[項23]
nが0~2の整数である、項16~22のいずれか一項に記載の医薬。
【0034】
[項24]
又はRが、-(AB)であり、nとpの和が、1又は2である、項16~18のいずれか一項に記載の医薬。
【0035】
[項25]
(AA)が、式(A-1):
【化33】

(式中、AA及びAAは、それぞれ独立して、Glu、Asp又はLysで表される)
で表される基である、項17又は20に記載の医薬。
【0036】
[項26]
(AA)が、式(A-2):
【化34】

(式中、AA及びAAは、それぞれ独立して、Glu、Asp又はLysで表される)
で表される基である、項17又は20に記載の医薬。
【0037】
[項27]
及びRが、-OHであり、
nが0~2の整数である、項16~18のいずれか一項に記載の医薬。
【0038】
[項28]
及びRが、-(AB)であり、
nが0であり、pは2であるか、又はn及びpがそれぞれ1である、項16~18のいずれか一項に記載の医薬。
【0039】
[項29]
mAbが、ブレンツキシマブ、トラスツズマブ、イノツズマブ、ゲムツズマブ、グレムバツムマブ、ラベツズマブ、サシツズマブ、リファスツズマブ、インデュサツマブ、ポラツズマブ、ピナツズマブ、コルツキシマブ、インダツキシマブ、ミラツズマブ、ロバルピツズマブ、アネツマブ、チソツマブ、ミアベツキシマブ、ロルボツズマブ(lorvotuzumab)、リツキシマブ、デパツキシズマブ、デニンツズマブ、エンホルツマブ、テルソツズマブ、バンドルツズマブ、ソフィツズマブ、ボルセツズマブ、ミルベツキシマブ(mirvetuximab)、ナラツキシマブ、カンツズマブ、ラプリツキシマブ、ビバツズマブ、バダスツキシマブ、ルパルツマブ、アプルツマブ、アバゴボマブ、アブシキシマブ、アビツズマブ、アブリルマブ、アクトクスマブ、アダリブマブ、アデカツムマブ、アデュカヌマブ、アファセビクマブ、アフェリモマブ、アラシズマブ、アレムツズマブ、アリロクマブ、アルツモマブ、アマツキシマブ、アナツモマブ、アニフロルマブ、アンルキンズマブ、アポリズマブ、アルシツモマブ、アスクリンバクマブ、アセリズマブ、アテゾリズマブ、アチヌマブ、アトロリムマブ、アベルマブ、アジンツキシズマブ、バピネズマブ、バシリキシマブ、バビツキシマブ、ベクツモマブ、ベゲロマブ、ベリムマブ、ベンラリズマブ、ベルチリムマブ、ベシレソマブ、ベバシズマブ、ベズロトクスマブ、ビシロマブ、ビマグルマブ、ビメキズマブ、ブレセルマブ、ブリナツモマブ、ブロンツベトマブ、ブロソズマブ、ボコシズマブ、ブラジクマブ、ブリアキヌマブ、ブロダルマブ、ブロルシズマブ、ブロンチクツズマブ、ブロスマブ、カビラリズマブ、カムレリズマブ、カプラシズマブ、カプロマブ、カルルマブ、カロツキシマブ、カツマゾマブ、セデリズマブ、セルトリズマブ、セツキシマブ、シタツズマブ、シキスツムマブ、セレノリキシマブ、クリバツズマブ、コドリツズマブ、コナツムマブ、コンシズマブ、コスフロビキシマブ、クレネズマブ、クリザンリズマブ、クロテデュマブ、ダセツズマブ、ダクリズマブ、ダロツズマブ、ダピロリズマブ、ダラツムマブ、デクトレクマブ、デムシズマブ、デノスマブ、デツモマブ、デザミズマブ、ジヌツキシマブ、ジリダブマブ、ドマグロズマブ、ドルリモマブ、ドロジツマブ、デュリゴツズマブ、デュピルマブ、デュルバルマブ、デュシギツマブ、デュボルツキシズマブ、エクロメキシマブ、エクリズマブ、エドバコマブ、エドレコロマブ、エファリズマブ、エフングマブ、エルデルマブ、エレザムマブ、エロツズマブ、エルシリモマブ、エマクツズマブ、エマパルマブ、エミベツズマブ、エミシズマブ、エナバツズマブ、エンリモマブ、エノブリツズマブ、エノキズマブ、エノチクマブ、エンシツキシマブ、エピツモマブ、エプラツズマブ、エプチネズマブ、エレヌマブ、エルリズマブ、エルツマキソマブ、エタラシズマブ、エトロリズマブ、エビナクマブ、エボロクマブ、エクスビビルマブ、ファラリモマブ、ファルレツズマブ、ファシヌマブ、フェルビズマブ、フェザキヌマブ、フィクラツズマブ、フィギツムマブ、フィリブマブ、フラボツマブ、フレチクマブ、フォントリズマブ、フォラルマブ、フォラビルマブ、フレマネズマブ、フレソリムマブ、フルネベトマブ、フルラヌマブ、フツキシマブ、ガルカネズマブ、ガリキシマブ、ガニツマブ、ガンテネルマブ、ガチポツズマブ、ガビリモマブ、ゲディブマブ、ゲボキズマブ、ギルベトマブ、ギレンツキシマブ、ゴリムマブ、グセルクマブ、イバリズマブ、イブリツモマブ、イクルクマブ、イダルシズマブ、イファボツズマブ、イゴボマブ、イマルマブ、イムシロマブ、イムガツズマブ、インクラクマブ、イネビリズマブ、インフリキシマブ、イノリモマブ、インテツムマブ、イピリムマブ、イラツムマブ、イサツキシマブ、イトリズマブ、イキセキズマブ、ケリキシマブ、ラクノツマブ、ランパリズマブ、ラナデルマブ、ランドグロズマブ、ラルカビキシマブ、レブリキズマブ、レマレソマブ、レンジルマブ、レルデリムマブ、レソファブマブ、レトリズマブ、レキサツムマブ、リビリルマブ、リファツズマブ、リゲリズマブ、リロトマブ、リンツズマブ、リリルマブ、ロデルシズマブ、ロキベトマブ、ロロボツズマブ、ロサツキシマブ、ルカツムマブ、ルリズマブ、ルムレツズマブ、ルチキズマブ、マパツムマブ、マルゲツキシマブ、マサリモマブ、マツズマブ、マブリリムマブ、メポリズマブ、メテリムマブ、ミニテルモマブ、ミツモマブ、モドツキシマブ、モガムリズマブ、モナリズマブ、モロリズマブ、モタビズマブ、モキセツモマブ、ムロモナブ、ナコロマブ、ナミルマブ、ナプツモマブ、ナルナルマブ、ナタリズマブ、ナビシキシズマブ、ナビブマブ、ネバクマブ、ネシツムマブ、ネモリズマブ、ネレリモマブ、ネスバクマブ、ニモツズマブ、ニボルマブ、オビルトキサキシマブ、オビヌツズマブ、オカラツズマブ、オクレリズマブ、オデュリモマブ、オファツムマブ、オララツマブ、オレクルマブ、オレンダリズマブ、オロキズマブ、オマリズマブ、オナルツズマブ、オンツキシズマブ、オピシヌマブ、オポルツズマブ、オレゴボマブ、オレチクマブ、オルチクマブ(orticumab)、オテリキシズマブ、オトレルツズマブ、オキセルマブ、オザネズマブ、オゾラリズマブ、パギバキシマブ、パリビズマブ、パムレブルマブ、パニツムマブ、パノバクマブ、パルサツズマブ、パスコリズマブ、パソツキシズマブ、パテクリズマブ、パトリツマブ、ペンブロリズマブ、ペラキズマブ、ペルツズマブ、ペキセリズマブ、ピディリズマブ、プラクルマブ、プロザリズマブ、ポネズマブ、ポルガビキシマブ、プレザルマブ、プリリキシマブ、プリトキサキシマブ、プリツムマブ、クイリズマブ、ラコツモマブ、ラドレツマブ、ラフィビルマブ、ラルパンシズマブ、ラムシルマブ、ラネベトマブ、ラニビズマブ、ラキシバクマブ、レファネズマブ、レガビルマブ、レムトルマブ、レスリズマブ、リロツムマブ、リニクマブ、リサンキズマブ、リババズマブ、ロバツムマブ、ロレデュマブ、ロモソズマブ、ロンタリズマブ、ロスマンツズマブ、ロベリズマブ、ロザノリキシズマブ、ルプリズマブ、サマリズマブ、サリルマブ、サトラリズマブ、サツモマブ、セクキヌマブ、セリクレルマブ、セリバンツマブ、セトキサキシマブ、セビルマブ、シブロツズマブ、シファリムマブ、シルツキシマブ、シムツズマブ、シプリズマブ、シルクマブ、ソラネズマブ、ソリトマブ、ソンツズマブ、スタムルマブ、スレソマブ、スムタブマブ、スビズマブ、スブラトクマブ、タバルマブ、タドシズマブ、タリズマブ、タムツベトマブ、タネズマブ、タプリツモマブ、タレクスツマブ、タボリキシズマブ、ファノレソマブ、ノフェツモマブ、ピンツモマブ、テフィバズマブ、テリモマブ、テリソズマブ、テナツモマブ、テネリキシマブ、テプリズマブ、テプロツムマブ、テシドルマブ、テゼペルマブ、ティガツズマブ、ティルドラキズマブ、チミグツズマブ、チモルマブ、トシリズマブ、トムゾツキシマブ、トラリズマブ、トサトクスマブ、トシツモマブ、トベツマブ、トラロキヌマブ、トレガリズマブ、トレメリムマブ、トレボグルマブ、ツコツズマブ、ツビルマブ、ウブリツキシマブ、ウロクプルマブ、ウレルマブ、ウルトキサズマブ、ウステキヌマブ、ウトミルマブ、バンチクツマブ、バヌシズマブ、バパリキシマブ、バリサクマブ、バルリルマブ、バテリズマブ、ベドリズマブ、べルツズマブ、ベパリモマブ、ベセンクマブ、ビシリズマブ、ボバリリズマブ、ボロシキシマブ、ボンレロリズマブ、ボツムマブ、ブナキズマブ、タカツズマブ、ザルツズマブ、ザノリムマブ、ジラリムマブ、ゾリモマブ、カミダンルマブ、コフェツズマブ、ラジラツズマブ、ロンカスツズマブ、テリソツズマブ、エナポタマブ、AMG595の抗体又は抗エンビジン抗体である、項16~28のいずれか一項に記載の医薬。
【0040】
[項30]
mAbが、ブレンツキシマブ、トラスツズマブ、イノツズマブ、ゲムツズマブ、ラベツズマブ、ポラツズマブ、コルツキシマブ、インダツキシマブ、アネツマブ、リツキシマブ、デニンツズマブ、ラプリツキシマブ、バダスツキシマブ、グレムバツムマブ、セツキシマブ、アレムツズマブ又はデパツキシズマブである、項29に記載の医薬。
【0041】
[項31]
mAbが、ブレンツキシマブ又はトラスツズマブである、項30に記載の医薬。
【0042】
[項32]
項16~31のいずれか一項に記載の医薬を含有する、医薬組成物。
【0043】
[項33]
項16~31のいずれか一項に記載の医薬と、
抗がん性アルキル化剤、抗がん性代謝拮抗剤、抗がん性抗生物質、抗がん性白金配位化合物、抗がん性カンプトテシン誘導体、抗がん性チロシンキナーゼ阻害剤、抗がん性セリンスレオニンキナーゼ阻害剤、抗がん性リン脂質キナーゼ阻害剤、抗がん性モノクローナル抗体、インターフェロン、生物学的応答調節剤、ホルモン剤、免疫チェックポイント阻害剤、エピジェネティクス関連分子阻害剤、及びタンパク質翻訳後修飾阻害剤からなる群より選択される1種以上の抗がん性化合物又はその製薬学的に許容される塩と、を含む医薬組成物。
【0044】
[項34]
項16~31のいずれか一項に記載の医薬を含有する、抗がん剤。
【0045】
[項35]
がんが、乳がん、胃がん、肺がん、肝臓がん、子宮頸がん、大腸がん、直腸がん、結腸がん、神経膠腫、リンパ腫、卵巣がん、膵がん、前立腺がん、腎がん、尿路上皮がん、皮膚がん、甲状腺がん、膀胱がん、頭頸部がん、子宮体がん、中皮腫、黒色腫、多発性骨髄腫又は白血病である、項34に記載の抗がん剤。
【0046】
[項36]
治療が必要な患者に、項16~31のいずれか一項に記載の医薬を投与することを含む、がんの治療方法。
【0047】
[項37]
抗がん剤を製造するための、項1~15のいずれか一項に記載の医薬の使用。
【0048】
[項38]
抗がん剤を製造するための、項16~31のいずれか一項に記載の医薬の使用。
【0049】
[項39]
がんの治療に使用するための、項16~31のいずれか一項に記載の医薬。
【0050】
[項40]
抗がん性アルキル化剤、抗がん性代謝拮抗剤、抗がん性抗生物質、抗がん性白金配位化合物、抗がん性カンプトテシン誘導体、抗がん性チロシンキナーゼ阻害剤、抗がん性セリンスレオニンキナーゼ阻害剤、抗がん性リン脂質キナーゼ阻害剤、抗がん性モノクローナル抗体、インターフェロン、生物学的応答調節剤、ホルモン剤、免疫チェックポイント阻害剤、エピジェネティクス関連分子阻害剤、及ぶタンパク質翻訳後修飾阻害剤からなる群より選択される1種以上の抗がん性化合物又はその製薬学的に許容される塩と併用してがんを治療するための、項16~31のいずれか一項に記載の医薬。
【発明の効果】
【0051】
本発明のヘミアスタリン誘導体と抗体とで形成した抗体薬物複合体を含有する医薬は、抗原発現細胞に対して特異的に細胞傷害活性を示し、抗原発現細胞以外の正常細胞での細胞毒性が低いため、安全性に優れた抗がん剤と成り得る。
【発明を実施するための形態】
【0052】
本明細書において、「C1-6アルキル基」とは、炭素原子数が1~6の直鎖状又は分枝鎖状の飽和炭化水素基を意味する。「C1-6アルキル基」として、好ましくは「C1-4アルキル基」が挙げられ、より好ましくは「C1-3アルキル基」が挙げられ、さらに好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基又はイソプロピル基が挙げられ、特に好ましくはメチル基又はエチル基が挙げられる。
【0053】
「C1-3アルキル基」の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基及びイソプロピル基が挙げられる。「C1-4アルキル基」の具体例としては、例えば、「C1-3アルキル基」の具体例として挙げたものに加え、ブチル基、1、1-ジメチルエチル基、1-メチルプロピル基、2-メチルプロピル基等が挙げられる。「C1-6アルキル基」の具体例として、例えば、「C1-4アルキル基」の具体例として挙げたものに加え、ペンチル基、3-メチルブチル基、2-メチルブチル基、2,2-ジメチルプロピル基、1-エチルプロピル基、1,1-ジメチルプロピル基、ヘキシル基、4-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、1-メチルペンチル基、3,3-ジメチルブチル基、2,2-ジメチルブチル基、1,1-ジメチルブチル基、1,2-ジメチルブチル基等が挙げられる。
【0054】
本明細書において、「C1-6アルキルエステル」とは、エステル(-COOR’)のR’が上記「C1-6アルキル基」であるエステルを意味する。「C1-6アルキルエステル」として、好ましくは「C1-4アルキルエステル」が挙げられ、より好ましくは「C1-3アルキルエステル」が挙げられ、さらに好ましくはメチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル又はターシャリーブチルエステルが挙げられ、特に好ましくはメチルエステル又はエチルエステルが挙げられる。
【0055】
「C1-3アルキルエステル」の具体例として、例えば、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル又はイソプロピルエステルが挙げられる。「C1-4アルキルエステル」の具体例としては、例えば、「C1-3アルキルエステル」の具体例として挙げたものに加え、ブチルエステル、ターシャリーブチルエステル等が挙げられる。「C1-6アルキルエステル」の具体例としては、例えば、「C1-4アルキルエステル」の具体例として挙げたものに加え、ペンチルエステル、3-メチルブチルエステル、2-メチルブチルエステル、2,2-ジメチルプロピルエステル、1-エチルプロピルエステル、1,1-ジメチルプロピルエステル、ヘキシルエステル、4-メチルペンチルエステル、3-メチルペンチルエステル、2-メチルペンチルエステル、1-メチルペンチルエステル、3,3-ジメチルブチルエステル、2,2-ジメチルブチルエステル、1,1-ジメチルブチルエステル、1,2-ジメチルブチルエステル等が挙げられる。
【0056】
本明細書において、「C1-6アルコキシ基」とは、「C1-6アルキル基」によって置換されたオキシ基を意味する。「C1-6アルコキシ基」として、好ましくは「C1-4アルコキシ基」が挙げられ、より好ましくは「C1-3アルコキシ基」が挙げられ、さらに好ましくはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基又は1-メチルエトキシ基が挙げられ、特に好ましくはメトキシ基又はエトキシ基が挙げられる。
【0057】
「C1-3アルコキシ基」の具体例としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基又は1-メチルエトキシ基が挙げられる。「C1-4アルコキシ基」の具体例としては、例えば、「C1-3アルコキシ基」の具体例として挙げたものに加え、ブトキシ基、1,1-ジメチルエトキシ基、1-メチルプロポキシ基、2-メチルプロポキシ基等が挙げられる。「C1-6アルコキシ基」の具体例としては、例えば、「C1-4アルコキシ基」の具体例として挙げたものに加え、ペンチロキシ基、3-メチルブトキシ基、2-メチルブトキシ基、2,2-ジメチルプロポキシ基、1-エチルプロポキシ基、1,1-ジメチルプロポキシ基、ヘキシロキシ基、4-メチルペンチロキシ基、3-メチルペンチロキシ基、2-メチルペンチロキシ基、1-メチルペンチロキシ基、3,3-ジメチルブトキシ基、2,2-ジメチルブトキシ基、1,1-ジメチルブトキシ基、1,2-ジメチルブトキシ基等が挙げられる。
【0058】
本明細書において、「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子が挙げられる。好ましくはフッ素原子又は塩素原子が挙げられ、より好ましくはフッ素原子が挙げられる。
【0059】
<ヘミアスタリン誘導体>
式(1-1)若しくは式(1-2)で表される化合物及びその塩(以下、「本発明のヘミアスタリン誘導体」と称することもある。)は、以下のとおりである。
【0060】
(1)式(1-1)で表される化合物及びその塩
まず、本発明のヘミアスタリン誘導体のうち、下記の式(1-1)で表される化合物及びその塩について説明する。
【化35】
【0061】
式中、bは、1~5の整数を表す。すなわち、bは、1、2、3、4、又は5である。bの1態様としては、1~4の整数が挙げられ、別の1態様としては、1~3の整数が挙げられ、別の1態様としては、2又は3が挙げられる。
【0062】
式中、Zは、式(Z-1)、式(Z-2)、式(Z-3)、式(Za-1)、式(Za-2)、式(Za-3)、式(Za-4)、式(Za-5):
【化36】

【化37】

で表される基を表す。
【0063】
これらの式中、AAは、グルタミン酸残基、アスパラギン酸残基又はリシン残基を表し、好ましくはグルタミン酸残基又はアスパラギン酸残基が挙げられる。本明細書において、特に区別する必要がある場合を除き、α-アミノ酸及び対応するアミノ酸残基の両方を表すのに、下記の3文字略語表記を用いることがある。また、α-アミノ酸の光学活性は、特に指定していない場合は、DL体、D体又はL体のいずれをも含み得るものとする。例えば、「グルタミン酸」又は「Glu」は、DL-グルタミン酸若しくはその残基、D-グルタミン酸若しくはその残基、又はL-グルタミン酸若しくはその残基を表している。
Asp…アスパラギン酸、Glu…グルタミン酸、Lys…リシン
【0064】
これらの式中、nは0~4の整数を表す。すなわち、nは、0、1、2、3又は4である。nの1態様としては、0~2の整数が挙げられ、別の1態様としては、0又は1が挙げられ、別の1態様としては、1又は2が挙げられ、別の1態様としては、1~3の整数が挙げられ、別の1態様としては、0が挙げられる。ただし、Zが式(Za-4)又は式(Za-5)で表される基である場合、nは1~4の整数である。
【0065】
AAが複数ある場合、それぞれのAAは互いに同一であっても異なっていてもよく、また、AA同士はアミド結合を介して結合している。「AA同士はアミド結合を介して結合」とは、一のアミノ酸のカルボキシル基と、他のアミノ酸のアミノ基が縮合し、アミド結合を形成していることを意味する。例えば、nが2であり、2つのAAが共にGluである場合、一のGluの窒素原子(d)と他のGluのカルボニル基(c)が、下式で表すようにアミド結合を形成して連結していてもよい。
【化38】
【0066】
(AA)のN末端窒素原子はカルボニル基(a)と共にアミド結合を形成している。「AAのN末端窒素原子はカルボニル基(a)と共にアミド結合を形成している」とは、例えば、AAがAspである場合、Aspの窒素原子(b)とカルボニル基(a)が、下式で表すようにアミド結合を形成して連結していることを意味する。
【化39】
【0067】
(AA)の1態様としては、nが2である、式(A-1)又は式(A-2)で表される基が挙げられる。
【化40】

これらの式中、AA及びAAは、それぞれ独立して、Glu、Asp又はLysで表される。
【0068】
式(Z-1)、式(Z-2)、及び式(Z-3)において、Qは、式(Qa-1)、式(Qa-2)、式(Qa-3)、式(Qa-4)、式(Qa-5)、式(Qa-6)又は式(Qa-7):
【化41】

で表される基を表す。
【0069】
式(Qa-1)において、Rab及びRacは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、C1-6アルキル基又はC1-6アルコキシ基を表す。式(Qa-2)において、Rad、Rae及びRafは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、アミノ基、カルボキシル基、フェニル基、1~3個のフッ素原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基又はC1-6アルキルエステル基を表す。ハロゲン原子は、例えば、フッ素原子、塩素原子又は臭素原子であってよい。
【0070】
Qは、式(Qa-2)又は式(Qa-1)で表される基であってよく、無置換フェニル基又は式(Q-1):
【化42】

で表される基であってもよい。
【0071】
式(Z-1)、式(Z-2)、式(Z-3)、式(Za-4)、及び式(Za-5)において、R1a及びR1bは、それぞれ独立して、水素原子又はメチル基を表す。R1aがメチル基であり、R1bが水素原子であることが好ましい。
【0072】
本明細書において、水素原子はHであっても、H(D)であってもよい。すなわち、例えば、式(1-1)で表される化合物の1つ又は2つ以上のHをH(D)に変換した重水素変換体も、式(1-1)で表される化合物に包含される。
【0073】
式(Z-1)及び式(Za-1)において、Rは-(CH-CORを表す。ここで、uは1又は2であり、Rは、-OH又は-(AB)を表す。ABは、Glu、Asp又はLysを表し、ABが複数ある場合、それぞれのABは互いに同一であっても異なっていてもよく、また、AB同士はアミド結合を介して結合している。ABとして、好ましくはGlu又はAspが挙げられる。pは1~4の整数、すなわち、1、2、3又は4である。pの1態様としては、1又は2が挙げられ、別の1態様としては、1が挙げられ、別の1態様としては、2が挙げられ、別の1態様としては、1~3の整数が挙げられ、別の1態様としては、3が挙げられる。
【0074】
式(Z-2)、式(Z-3)、式(Za-2)及び式(Za-3)において、Rは、-OH又は-(AB)を表す。ここで、-(AB)は、式(Z-1)及び式(Za-1)におけるそれと同義である。
【0075】
式(Z-1)、式(Z-2)、式(Z-3)、式(Za-1)、式(Za-2)及び式(Za-3)において、R又はRが-(AB)である場合、nとpの和は1~5の整数、すなわち、1、2、3、4又は5である。nとpの和の1態様としては1~4の整数が挙げられ、別の1態様としては1~3の整数が挙げられ、別の1態様としては1又は2が挙げられる。
【0076】
式(Za-1)、式(Za-2)及び式(Za-3)において、RaaはC1-6アルキル基である。Raaは、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等であってよい。
【0077】
一態様において、Zは、式(Z-1)、式(Z-2)又は式(Z-3)で表される基であってよく、Qは、無置換フェニル基又は式(Q-1)で表される基であってよい。
【0078】
式(1-1)における、R、R及びnの組合せの1態様としては、R及びRが-OHを表し、nが0~2の整数であるものが挙げられる。また、R、R、n及びpの組合せの1態様としては、R及びRが-(AB)であり、nが0であり、pは2であるか、又はn及びpが1であるものが挙げられる。
【0079】
本発明のヘミアスタリン誘導体の1つの態様としては、以下の(1-1-A)が挙げられる。
(1-1-A)
式(1-1)において、
bが2、3、4又は5であり、
nが、0又は1の整数であり、
Zが、式(Z-1)、式(Z-2)又は式(Z-3)で表される基であり、
Qが、無置換フェニル基又は式(Q-1)で表される基であり、
1aが、メチル基であり、
1bが、水素原子であり、
AAが、Glu又はAspであり、
が、-(CH-CORであり、
uが、1又は2の整数であり、Rが、-OH又は-(AB)であり、
が、-OH又は-(AB)であり、
pが、1又は2の整数であり、
ABは、Glu又はAspを表し、ABが複数ある場合、それぞれのABは互いに同一であっても異なっていてもよく、また、AB同士はアミド結合を介して結合しており、
又はRが-(AB)であるとき、nとpの和が1又は2である、
化合物又はその塩。
【0080】
本発明のヘミアスタリン誘導体の1態様として、以下のいずれかの化合物又はその塩が挙げられる。
【化43】
【0081】
(2)式(1-2)で表される化合物及びその塩
次に、本発明のヘミアスタリン誘導体のうち、下式(1-2)で表される化合物及びその塩について説明する。
【化44】
【0082】
式中、hは1~5の整数を表す。すなわち、hは、1、2、3、4、又は5である。hの1態様としては、2~5の整数が挙げられ、別の1態様としては、3~5の整数が挙げられ、別の1態様としては、4又は5が挙げられる。
【0083】
式中、Z’は、式(Z-4)、式(Z-5)、式(Za-6)、式(Za-7)、式(Za-8)、式(Za-9)、式(Za-10)又は式(Za-11):
【化45】

【化46】

で表される基を表す。ここで、n、AA、Q、R1a及びR1bは、式(1-1)におけるそれらと同義である。ただし、Z’が、式(Za-6)、式(Za-7)、式(Za-8)、式(Za-9)、式(Za-10)又は式(Za-11)で表される基である場合、nは1~4の整数である。
【0084】
一態様において、Z’は、式(Z-4)又は式(Z-5)で表される基であってよく、Qは、無置換フェニル基又は式(Q-1)で表される基であってよい。
【0085】
本発明のヘミアスタリン誘導体の1つの態様としては、以下の(1-2-A)が挙げられる。
(1-2-A)
式(1-2)において、
hが2、3、4又は5であり、
Z’が、式(Z-4)又は式(Z-5)で表される基であり、
Qが、無置換フェニル基又は式(Q-1)で表される基であり、
1aが、メチル基であり、
1bが、水素原子であり、
AAが、Glu又はAspであり、
nが0、1、又は2である、
化合物又はその塩。
【0086】
本発明のヘミアスタリン誘導体の1態様として、以下の化合物又はその塩が挙げられる。
【化47】
【0087】
<抗体薬物複合体>
式(2-1)又は式(2-2)で表される抗体薬物複合体又はその製薬学的に許容される塩(以下、「本発明の抗体薬物複合体」と称することもある。)は、以下に示すように、抗体分子由来の抗体部分と薬物分子由来の薬物部分が、直接的に共有結合している複合体である。本明細書において、「抗体薬物複合体」を「ADC」という場合もある。
【化48】
【0088】
式(2-1)及び式(2-2)における、Z、Z’、b及びhは、式(1-1)及び式(1-2)におけるこれらの符号と同義である。
【0089】
qは、式(2-1)及び式(2-2)で表される抗体薬物複合体分子における、薬物抗体比(Drug Antibody Ratio、又はDARともいう。)を示す。薬物抗体比qは、抗体薬物複合体1分子において、抗体分子1つ当たりの、すなわち、抗体薬物複合体1分子当たりの、薬物分子の数を意味する。なお、化学合成により得られる抗体薬物複合体は、異なる薬物抗体比qを有し得る複数の抗体薬物複合体分子の混合物である場合が多い。本明細書において、このような抗体薬物複合体の混合物における全体の薬物抗体比(すなわち、それぞれの抗体薬物複合体の薬物抗体比qの平均値)を、「平均薬物抗体比」又は「平均DAR」と呼ぶ。
【0090】
qは、1、2、3、4、5、6、7又は8である。qの1態様としては、2~8の整数が挙げられ、別の1態様としては、2~6の整数が挙げられ、別の1態様としては、4~8の整数が挙げられ、別の1態様としては、6~8の整数が挙げられ、別の1態様としては、2又は4が挙げられ、別の1態様としては、6又は8が挙げられ、別の1態様としては、8が挙げられる。
【0091】
平均DARの1態様としては、2~8が挙げられ、別の1態様としては、3.5~4.5が挙げられ、別の1態様としては、1~2、2~3、3~4、4~5、5~6、6~7又は7~8が挙げられる。平均DARは、SDS-PAGE、質量分析、ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)等の、平均DARの決定に通常用いられる方法によって決定することができる。疎水性相互作用カラムクロマトフィー(HIC)HPLC、逆相HPLC、電気泳動等の方法により、異なるDARを有する複数の抗体薬物複合体の混合物から、特定のDARの抗体薬物複合体の分離、精製及び特性決定を行うことができる。
【0092】
式(2-1)及び式(2-2)において、抗体mAbは、標的細胞の表面に存在する抗原を認識し得る抗体であれば特に制限されない。標的細胞は、ヘミアスタリン誘導体による治療を必要とする細胞であればよく、がん細胞であることが好ましい。標的細胞の表面に存在する抗原は、正常細胞で発現されない又は発現量の少ない、標的細胞に特異的な抗原であることが好ましい。mAbの1態様としては、上記列挙された既知の抗体が挙げられ、別の一態様としては、ブレンツキシマブ、トラスツズマブ、イノツズマブ、ゲムツズマブ、グレムバツムマブ、ラベツズマブ、サシツズマブ、リファスツズマブ、インデュサツマブ、ポラツズマブ、ピナツズマブ、コルツキシマブ、インダツキシマブ、ミラツズマブ、ロバルピツズマブ、アネツマブ、チソツマブ、ミアベツキシマブ、ロルボツズマブ(lorvotuzumab)、リツキシマブ、デパツキシズマブ、デニンツズマブ、エンホルツマブ、テルソツズマブ、バンドルツズマブ、ソフィツズマブ、ボルセツズマブ、ミルベツキシマブ(mirvetuximab)、ナラツキシマブ、カンツズマブ、ラプリツキシマブ、ビバツズマブ、バダスツキシマブ、ルパルツマブ、アプルツマブ、アバゴボマブ、アブシキシマブ、アビツズマブ、アブリルマブ、アクトクスマブ、アダリブマブ、アデカツムマブ、アデュカヌマブ、アファセビクマブ、アフェリモマブ、アラシズマブ、アレムツズマブ、アリロクマブ、アルツモマブ、アマツキシマブ、アナツモマブ、アニフロルマブ、アンルキンズマブ、アポリズマブ、アルシツモマブ、アスクリンバクマブ、アセリズマブ、アテゾリズマブ、アチヌマブ、アトロリムマブ、アベルマブ、アジンツキシズマブ、バピネズマブ、バシリキシマブ、バビツキシマブ、ベクツモマブ、ベゲロマブ、ベリムマブ、ベンラリズマブ、ベルチリムマブ、ベシレソマブ、ベバシズマブ、ベズロトクスマブ、ビシロマブ、ビマグルマブ、ビメキズマブ、ブレセルマブ、ブリナツモマブ、ブロンツベトマブ、ブロソズマブ、ボコシズマブ、ブラジクマブ、ブリアキヌマブ、ブロダルマブ、ブロルシズマブ、ブロンチクツズマブ、ブロスマブ、カビラリズマブ、カムレリズマブ、カプラシズマブ、カプロマブ、カルルマブ、カロツキシマブ、カツマゾマブ、セデリズマブ、セルトリズマブ、セツキシマブ、シタツズマブ、シキスツムマブ、セレノリキシマブ、クリバツズマブ、コドリツズマブ、コナツムマブ、コンシズマブ、コスフロビキシマブ、クレネズマブ、クリザンリズマブ、クロテデュマブ、ダセツズマブ、ダクリズマブ、ダロツズマブ、ダピロリズマブ、ダラツムマブ、デクトレクマブ、デムシズマブ、デノスマブ、デツモマブ、デザミズマブ、ジヌツキシマブ、ジリダブマブ、ドマグロズマブ、ドルリモマブ、ドロジツマブ、デュリゴツズマブ、デュピルマブ、デュルバルマブ、デュシギツマブ、デュボルツキシズマブ、エクロメキシマブ、エクリズマブ、エドバコマブ、エドレコロマブ、エファリズマブ、エフングマブ、エルデルマブ、エレザムマブ、エロツズマブ、エルシリモマブ、エマクツズマブ、エマパルマブ、エミベツズマブ、エミシズマブ、エナバツズマブ、エンリモマブ、エノブリツズマブ、エノキズマブ、エノチクマブ、エンシツキシマブ、エピツモマブ、エプラツズマブ、エプチネズマブ、エレヌマブ、エルリズマブ、エルツマキソマブ、エタラシズマブ、エトロリズマブ、エビナクマブ、エボロクマブ、エクスビビルマブ、ファラリモマブ、ファルレツズマブ、ファシヌマブ、フェルビズマブ、フェザキヌマブ、フィクラツズマブ、フィギツムマブ、フィリブマブ、フラボツマブ、フレチクマブ、フォントリズマブ、フォラルマブ、フォラビルマブ、フレマネズマブ、フレソリムマブ、フルネベトマブ、フルラヌマブ、フツキシマブ、ガルカネズマブ、ガリキシマブ、ガニツマブ、ガンテネルマブ、ガチポツズマブ、ガビリモマブ、ゲディブマブ、ゲボキズマブ、ギルベトマブ、ギレンツキシマブ、ゴリムマブ、グセルクマブ、イバリズマブ、イブリツモマブ、イクルクマブ、イダルシズマブ、イファボツズマブ、イゴボマブ、イマルマブ、イムシロマブ、イムガツズマブ、インクラクマブ、イネビリズマブ、インフリキシマブ、イノリモマブ、インテツムマブ、イピリムマブ、イラツムマブ、イサツキシマブ、イトリズマブ、イキセキズマブ、ケリキシマブ、ラクノツマブ、ランパリズマブ、ラナデルマブ、ランドグロズマブ、ラルカビキシマブ、レブリキズマブ、レマレソマブ、レンジルマブ、レルデリムマブ、レソファブマブ、レトリズマブ、レキサツムマブ、リビリルマブ、リファツズマブ、リゲリズマブ、リロトマブ、リンツズマブ、リリルマブ、ロデルシズマブ、ロキベトマブ、ロロボツズマブ、ロサツキシマブ、ルカツムマブ、ルリズマブ、ルムレツズマブ、ルチキズマブ、マパツムマブ、マルゲツキシマブ、マサリモマブ、マツズマブ、マブリリムマブ、メポリズマブ、メテリムマブ、ミニテルモマブ、ミツモマブ、モドツキシマブ、モガムリズマブ、モナリズマブ、モロリズマブ、モタビズマブ、モキセツモマブ、ムロモナブ、ナコロマブ、ナミルマブ、ナプツモマブ、ナルナルマブ、ナタリズマブ、ナビシキシズマブ、ナビブマブ、ネバクマブ、ネシツムマブ、ネモリズマブ、ネレリモマブ、ネスバクマブ、ニモツズマブ、ニボルマブ、オビルトキサキシマブ、オビヌツズマブ、オカラツズマブ、オクレリズマブ、オデュリモマブ、オファツムマブ、オララツマブ、オレクルマブ、オレンダリズマブ、オロキズマブ、オマリズマブ、オナルツズマブ、オンツキシズマブ、オピシヌマブ、オポルツズマブ、オレゴボマブ、オレチクマブ、オルチクマブ(orticumab)、オテリキシズマブ、オトレルツズマブ、オキセルマブ、オザネズマブ、オゾラリズマブ、パギバキシマブ、パリビズマブ、パムレブルマブ、パニツムマブ、パノバクマブ、パルサツズマブ、パスコリズマブ、パソツキシズマブ、パテクリズマブ、パトリツマブ、ペンブロリズマブ、ペラキズマブ、ペルツズマブ、ペキセリズマブ、ピディリズマブ、プラクルマブ、プロザリズマブ、ポネズマブ、ポルガビキシマブ、プレザルマブ、プリリキシマブ、プリトキサキシマブ、プリツムマブ、クイリズマブ、ラコツモマブ、ラドレツマブ、ラフィビルマブ、ラルパンシズマブ、ラムシルマブ、ラネベトマブ、ラニビズマブ、ラキシバクマブ、レファネズマブ、レガビルマブ、レムトルマブ、レスリズマブ、リロツムマブ、リニクマブ、リサンキズマブ、リババズマブ、ロバツムマブ、ロレデュマブ、ロモソズマブ、ロンタリズマブ、ロスマンツズマブ、ロベリズマブ、ロザノリキシズマブ、ルプリズマブ、サマリズマブ、サリルマブ、サトラリズマブ、サツモマブ、セクキヌマブ、セリクレルマブ、セリバンツマブ、セトキサキシマブ、セビルマブ、シブロツズマブ、シファリムマブ、シルツキシマブ、シムツズマブ、シプリズマブ、シルクマブ、ソラネズマブ、ソリトマブ、ソンツズマブ、スタムルマブ、スレソマブ、スムタブマブ、スビズマブ、スブラトクマブ、タバルマブ、タドシズマブ、タリズマブ、タムツベトマブ、タネズマブ、タプリツモマブ、タレクスツマブ、タボリキシズマブ、ファノレソマブ、ノフェツモマブ、ピンツモマブ、テフィバズマブ、テリモマブ、テリソズマブ、テナツモマブ、テネリキシマブ、テプリズマブ、テプロツムマブ、テシドルマブ、テゼペルマブ、ティガツズマブ、ティルドラキズマブ、チミグツズマブ、チモルマブ、トシリズマブ、トムゾツキシマブ、トラリズマブ、トサトクスマブ、トシツモマブ、トベツマブ、トラロキヌマブ、トレガリズマブ、トレメリムマブ、トレボグルマブ、ツコツズマブ、ツビルマブ、ウブリツキシマブ、ウロクプルマブ、ウレルマブ、ウルトキサズマブ、ウステキヌマブ、ウトミルマブ、バンチクツマブ、バヌシズマブ、バパリキシマブ、バリサクマブ、バルリルマブ、バテリズマブ、ベドリズマブ、べルツズマブ、ベパリモマブ、ベセンクマブ、ビシリズマブ、ボバリリズマブ、ボロシキシマブ、ボンレロリズマブ、ボツムマブ、ブナキズマブ、タカツズマブ、ザルツズマブ、ザノリムマブ、ジラリムマブ、ゾリモマブ又は抗エンビジン抗体が挙げられ、別の1態様としては、ブレンツキシマブ、トラスツズマブ、イノツズマブ、ゲムツズマブ、ラベツズマブ、ポラツズマブ、コルツキシマブ、インダツキシマブ、アネツマブ、リツキシマブ、デニンツズマブ、ラプリツキシマブ、バダスツキシマブ、グレムバツムマブ、セツキシマブ、アレムツズマブ又はデパツキシズマブが挙げられ、別の1態様としてはブレンツキシマブ、トラスツズマブ、リツキシマブ又は抗エンビジン抗体が挙げられ、別の1態様としてはブレンツキシマブ又はトラスツズマブが挙げられ、好ましくはブレンツキシマブが挙げられる。
【0093】
mAbの別の1態様として、抗19A抗体、抗AXL抗体、抗BCMA抗体、抗C4.4a抗体、抗CA6抗体、抗CA9抗体、抗CA-125抗体、抗カドヘリン-6抗体、抗CD166抗体、抗CD19抗体、抗CD20抗体、抗CD22抗体、抗CD25抗体、抗CD27抗体、抗CD30抗体、抗CD33抗体、抗CD37抗体、抗CD40抗体、抗CD41抗体、抗CD44v6抗体、抗CD51抗体、抗CD52抗体、抗CD56抗体、抗CD70抗体、抗CD74抗体、抗CD79抗体、抗CD79b抗体、抗CEACAM5抗体、抗c-Met抗体、抗DLL3抗体、抗DPEP3抗体、抗EGFR抗体、抗EGFRvIII抗体、抗ENPP3抗体、抗EpCAM抗体、抗EphA4抗体、抗FGFR2抗体、抗FGFR3抗体、抗FTL3抗体、抗葉酸受容体α抗体、抗グリピカン3抗体、抗gpNMB抗体、抗HER2抗体、抗HER3抗体、抗IL-3RA抗体、抗LAMP1抗体、抗LIV-1抗体、抗LRRC15抗体、抗Ly6E抗体、抗メソテリン抗体、抗MUC-16抗体、抗NaPi2b抗体、抗ネクチン-4抗体、抗CD352抗体、抗P-カドヘリン抗体、抗PMSA抗体、抗プロテインチロシンキナーゼ7抗体、抗SLITRK抗体、抗STEAP1抗体、抗CD138抗体、抗組織因子抗体、抗CD71抗体、抗TIM-1抗体、抗Trop2抗体、抗5T4抗体、抗B7-H3抗体、抗CD163マクロファージ受容体抗体、抗CD38抗体、抗CD48抗体、抗cKit抗体、抗グアニル酸シクラーゼC抗体、抗ガストリン放出ペプチド抗体、抗溶質輸送体抗体、抗腫瘍関係MUC-1抗体、抗GD2抗体、抗α4β7インテグリン抗体、又は抗エンビジン抗体が挙げられる。mAbの別の1態様として、抗CD19抗体、抗CD20抗体、抗CD22抗体、抗CD30抗体、抗CD33抗体、抗CD52抗体、抗CD70抗体、抗CD79b抗体、抗CEACAM5抗体、抗EGFR抗体、抗EGFRvIII抗体、抗gpNMB抗体、抗HER2抗体、抗メソテリン抗体、抗CD138抗体、抗CD38抗体、又は抗GD2抗体が挙げられる。mAbの別の1態様として、抗CD19抗体、抗CD20抗体、抗CD22抗体、抗CD30抗体、抗CD33抗体、抗CD52抗体、抗CD79b抗体、抗CEACAM5抗体、抗EGFR抗体、抗EGFRvIII抗体、抗gpNMB抗体、抗HER2抗体、抗メソテリン抗体、又は抗CD138抗体が挙げられる。
【0094】
ここで、「抗体」は、少なくとも重鎖の可変ドメイン及び軽鎖の可変ドメインを含む抗体であればよく、完全抗体であっても、完全抗体の断片であって抗原認識部位を有する抗原結合断片であってもよい。完全抗体は、2つの全長の軽鎖と2つの全長の重鎖とを有し、それぞれの軽鎖と重鎖とはジスルフィド結合によって連結されている。完全抗体は、IgA、IgD、IgE、IgM及びIgGを含み、IgGは、サブタイプとして、IgG、IgG、IgG及びIgGを含む。また、抗体はモノクローナル抗体であることが好ましい。抗体部分と薬物部分とは、抗体中のジスルフィド結合が還元され得られたスルフヒドリル基を介して結合している。
【0095】
「AMG595の抗体」とは、Mol. Cancer Ther., 2015,14, 1614-1624に記載された方法で得られる抗EGFRvIII抗体を意味する。
【0096】
一態様において、Zは、式(Z-1)、式(Z-2)又は式(Z-3)で表される基であってよく、Qは、無置換フェニル基又は式(Q-1)で表される基であってよい。
【0097】
一態様において、Z’は、式(Z-4)又は式(Z-5)で表される基であってよく、Qは、無置換フェニル基又は式(Q-1)で表される基であってよい。
【0098】
本発明の抗体薬物複合体の1つの態様としては、以下の(2-1-A)が挙げられる。
(2-1-A)
式(2-1)において、
mAbが、ブレンツキシマブであり、
qが、1~8の整数であり、
bが2、3、4又は5であり、
Zが、式(Z-1)、式(Z-2)又は式(Z-3)で表される基であり、
nが、0又は1の整数であり、
Qが、無置換フェニル基又は式(Q-1)で表される基であり、
1aが、メチル基であり、
1bが、水素原子であり、
が、-(CH-CORであり、
uが、1又は2の整数であり、、
AAが、Glu又はAspであり、
が、-OH又は-(AB)であり、
が、-OH又は-(AB)であり、
pが、1又は2の整数であり、ABが、Glu又はAspを表し、ABが複数ある場合、それぞれのABは互いに同一であっても異なっていてもよく、また、AB同士はアミド結合を介して結合しており、 R又はRが-(AB)であるとき、nとpの和が1又は2である、
抗体薬物複合体又はその製薬学的に許容される塩。
【0099】
本発明の抗体薬物複合体の1つの態様としては、以下の(2-1-B)が挙げられる。
(2-1-B)
式(2-1)において、
mAbが、トラスツズマブであり、
qが、1~8の整数であり、
bが2、3、4又は5であり、
Zが、式(Z-1)、式(Z-2)又は式(Z-3)で表される基であり、
nが、0又は1の整数であり、
Qが、無置換フェニル基又は式(Q-1)で表される基であり、
1aが、メチル基であり、
1bが、水素原子であり、
が、-(CH-CORであり、
uが、1又は2の整数であり、
AAが、Glu又はAspであり、
が、-OH又は-(AB)であり、
が、-OH又は-(AB)であり、
pが、1又は2の整数であり、
ABが、Glu又はAspを表し、ABが複数ある場合、それぞれのABは互いに同一であっても異なっていてもよく、また、AB同士はアミド結合を介して結合しており、
又はRが-(AB)であるとき、nとpの和が1又は2である、
抗体薬物複合体又はその製薬学的に許容される塩。
【0100】
本発明の抗体薬物複合体の1つの態様としては、以下の(2-1-C)が挙げられる。
(2-1-C)
式(2-1)において、
mAbが、ゲムツズマブであり、
qが、1~8の整数であり、
bが2、3、4又は5であり、
Zが、式(Z-1)、式(Z-2)又は式(Z-3)で表される基であり、
nが、0又は1の整数であり、
Qが、無置換フェニル基又は式(Q-1)で表される基であり、
1aが、メチル基であり、
1bが、水素原子であり、
が、-(CH-CORであり、
uが、1又は2の整数であり、
AAが、Glu又はAspであり、
が、-OH又は-(AB)であり、
が、-OH又は-(AB)であり、
pが、1又は2の整数であり、ABが、Glu又はAspを表し、ABが複数ある場合、それぞれのABは互いに同一であっても異なっていてもよく、また、AB同士はアミド結合を介して結合しており、
又はRが-(AB)であるとき、nとpの和が1又は2である、
抗体薬物複合体又はその製薬学的に許容される塩。
【0101】
本発明の抗体薬物複合体の1つの態様としては、以下の(2-1-D)が挙げられる。
(2-1-D)
式(2-1)において、
mAbが、イノツズマブであり、
qが、1~8の整数であり、
bが2、3、4又は5であり、
Zが、式(Z-1)、式(Z-2)又は式(Z-3)で表される基であり、
nが、0又は1の整数であり、
Qが、無置換フェニル基又は式(Q-1)で表される基であり、
1aが、メチル基であり、
1bが、水素原子であり、
が、-(CH-CORであり、
uが、1又は2の整数であり、
AAが、Glu又はAspであり、
が、-OH又は-(AB)であり、
が、-OH又は-(AB)であり、
pが、1又は2の整数であり、ABが、Glu又はAspを表し、ABが複数ある場合、それぞれのABは互いに同一であっても異なっていてもよく、また、AB同士はアミド結合を介して結合しており、
又はRが-(AB)であるとき、nとpの和が1又は2である、
抗体薬物複合体又はその製薬学的に許容される塩。
【0102】
本発明の抗体薬物複合体の1つの態様としては、以下の(2-1-E)が挙げられる。
(2-1-E)
式(2-1)において、
mAbが、リツキシマブであり、
qが、1~8の整数であり、
bが2、3、4又は5であり、
Zが、式(Z-1)、式(Z-2)又は式(Z-3)で表される基であり、
nが、0又は1の整数であり、
Qが、無置換フェニル基又は式(Q-1)で表される基であり、
1aが、メチル基であり、
1bが、水素原子であり、
が、-(CH-CORであり、
uが、1又は2の整数であり、
AAが、Glu又はAspであり、
が、-OH又は-(AB)であり、
が、-OH又は-(AB)であり、
pが、1又は2の整数であり、ABが、Glu又はAspを表し、ABが複数ある場合、それぞれのABは互いに同一であっても異なっていてもよく、また、AB同士はアミド結合を介して結合しており、
又はRが-(AB)であるとき、nとpの和が1又は2である、
抗体薬物複合体又はその製薬学的に許容される塩。
【0103】
本発明の抗体薬物複合体の1つの態様としては、以下の(2-1-F)が挙げられる。
(2-1-F)
式(2-1)において、
mAbが、セツキシマブであり、
qが、1~8の整数であり、
bが2、3、4又は5であり、
Zが、式(Z-1)、式(Z-2)又は式(Z-3)で表される基であり、
nが、0又は1の整数であり、
Qが、無置換フェニル基又は式(Q-1)で表される基であり、
1aが、メチル基であり、
1bが、水素原子であり、
が、-(CH-CORであり、
uが、1又は2の整数であり、
AAが、Glu又はAspであり、
が、-OH又は-(AB)であり、
が、-OH又は-(AB)であり、
pが、1又は2の整数であり、
ABが、Glu又はAspを表し、ABが複数ある場合、それぞれのABは互いに同一であっても異なっていてもよく、また、AB同士はアミド結合を介して結合しており、
又はRが-(AB)であるとき、nとpの和が1又は2である、
抗体薬物複合体又はその製薬学的に許容される塩。
【0104】
本発明の抗体薬物複合体の1つの態様としては、以下の(2-1-G)が挙げられる。
(2-1-G)
式(2-1)において、
mAbが、コルツキシマブであり、
qが、1~8の整数であり、
bが2、3、4又は5であり、
Zが、式(Z-1)、式(Z-2)又は式(Z-3)で表される基であり、
nは、0又は1の整数であり、
Qが、無置換フェニル基又は式(Q-1)で表される基であり、
1aが、メチル基であり、
1bが、水素原子であり、
が、-(CH-CORであり、
uが、1又は2の整数であり、
AAが、Glu又はAspであり、
が、-OH又は-(AB)であり、
が、-OH又は-(AB)であり、
pが、1又は2の整数であり、
ABが、Glu又はAspを表し、ABが複数ある場合、それぞれのABは互いに同一であっても異なっていてもよく、また、AB同士はアミド結合を介して結合しており、
又はRが-(AB)であるとき、nとpの和が1又は2である、
抗体薬物複合体又はその製薬学的に許容される塩。
【0105】
本発明の抗体薬物複合体の1つの態様としては、以下の(2-1-H)が挙げられる。
(2-1-H)
式(2-1)において、
mAbが、デニンツズマブであり、
qが、1~8の整数であり、
bが2、3、4又は5であり、
Zが、式(Z-1)、式(Z-2)又は式(Z-3)で表される基であり、
nが、0又は1の整数であり、
Qが、無置換フェニル基又は式(Q-1)で表される基であり、
1aが、メチル基であり、
1bが、水素原子であり、
が、-(CH-CORであり、
uが、1又は2の整数であり、
AAが、Glu又はAspであり、
が、-OH又は-(AB)であり、
が、-OH又は-(AB)であり、
pが、1又は2の整数であり、
ABが、Glu又はAspを表し、ABが複数ある場合、それぞれのABは互いに同一であっても異なっていてもよく、また、AB同士はアミド結合を介して結合しており、
又はRが-(AB)であるとき、nとpの和が1又は2である、
抗体薬物複合体又はその製薬学的に許容される塩。
【0106】
本発明の抗体薬物複合体の1つの態様としては、以下の(2-1-I)が挙げられる。
(2-1-I)
式(2-1)において、
mAbが、アレムツズマブであり、
qが、1~8の整数であり、
bが2、3、4又は5であり、
Zが、式(Z-1)、式(Z-2)又は式(Z-3)で表される基であり、
nが、0又は1の整数であり、
Qが、無置換フェニル基又は式(Q-1)で表される基であり、
1aが、メチル基であり、
1bが、水素原子であり、
が、-(CH-CORであり、
uが、1又は2の整数であり、
AAが、Glu又はAspであり、
が、-OH又は-(AB)であり、
が、-OH又は-(AB)であり、
pが、1又は2の整数であり、
ABが、Glu又はAspを表し、ABが複数ある場合、それぞれのABは互いに同一であっても異なっていてもよく、また、AB同士はアミド結合を介して結合しており、
又はRが-(AB)であるとき、nとpの和が1又は2である、
抗体薬物複合体又はその製薬学的に許容される塩。
【0107】
本発明の抗体薬物複合体の1つの態様としては、以下の(2-1-J)が挙げられる。
(2-1-J)
式(2-1)において、
mAbが、アネツマブであり、
qが、1~8の整数であり、
bが2、3、4又は5であり、
Zが、式(Z-1)、式(Z-2)又は式(Z-3)で表される基であり、
nが、0又は1の整数であり、
Qが、無置換フェニル基又は式(Q-1)で表される基であり、
1aが、メチル基であり、
1bが、水素原子であり、
が、-(CH-CORであり、
uが、1又は2の整数であり、
AAが、Glu又はAspであり、
が、-OH又は-(AB)であり、
が、-OH又は-(AB)であり、
pが、1又は2の整数であり、
ABが、Glu又はAspを表し、ABが複数ある場合、それぞれのABは互いに同一であっても異なっていてもよく、また、AB同士はアミド結合を介して結合しており、
又はRが-(AB)であるとき、nとpの和が1又は2である、
抗体薬物複合体又はその製薬学的に許容される塩。
【0108】
本発明の抗体薬物複合体の1つの態様としては、以下の(2-1-K)が挙げられる。
(2-1-K)
式(2-1)において、
mAbが、ポラツズマブであり、
qが、1~8の整数であり、
bが2、3、4又は5であり、
Zが、式(Z-1)、式(Z-2)又は式(Z-3)で表される基であり、
nが、0又は1の整数であり、
Qが、無置換フェニル基又は式(Q-1)で表される基であり、
1aが、メチル基であり、
1bが、水素原子であり、
が、-(CH-CORであり、
uが、1又は2の整数であり、
AAが、Glu又はAspであり、
が、-OH又は-(AB)であり、
が、-OH又は-(AB)であり、
pが、1又は2の整数であり、
ABが、Glu又はAspを表し、ABが複数ある場合、それぞれのABは互いに同一であっても異なっていてもよく、また、AB同士はアミド結合を介して結合しており、
又はRが-(AB)であるとき、nとpの和が1又は2である、
抗体薬物複合体又はその製薬学的に許容される塩。
【0109】
本発明の抗体薬物複合体の1つの態様としては、以下の(2-1-L)が挙げられる。
(2-1-L)
式(2-1)において、
mAbが、バダスツキシマブであり、
qが、1~8の整数であり、
bが2、3、4又は5であり、
Zが、式(Z-1)、式(Z-2)又は式(Z-3)で表される基であり、
nが、0又は1の整数であり、
Qが、無置換フェニル基又は式(Q-1)で表される基であり、
1aが、メチル基であり、
1bが、水素原子であり、
が、-(CH-CORであり、
uが、1又は2の整数であり、
AAが、Glu又はAspであり、
が、-OH又は-(AB)であり、
が、-OH又は-(AB)であり、
pが、1又は2の整数であり、
ABが、Glu又はAspを表し、ABが複数ある場合、それぞれのABは互いに同一であっても異なっていてもよく、また、AB同士はアミド結合を介して結合しており、
又はRが-(AB)であるとき、nとpの和が1又は2である、
抗体薬物複合体又はその製薬学的に許容される塩。
【0110】
本発明の抗体薬物複合体の1つの態様としては、以下の(2-1-M)が挙げられる。
(2-1-M)
式(2-1)において、
mAbが、グレムバツムマブであり、
qが、1~8の整数であり、
bが2、3、4又は5であり、
Zが、式(Z-1)、式(Z-2)又は式(Z-3)で表される基であり、
nが、0又は1の整数であり、
Qが、無置換フェニル基又は式(Q-1)で表される基であり、
1aが、メチル基であり、
1bが、水素原子であり、
が、-(CH-CORであり、
uが、1又は2の整数であり、
AAが、Glu又はAspであり、
が、-OH又は-(AB)であり、
が、-OH又は-(AB)であり、
pが、1又は2の整数であり、
ABが、Glu又はAspを表し、ABが複数ある場合、それぞれのABは互いに同一であっても異なっていてもよく、また、AB同士はアミド結合を介して結合しており、
又はRが-(AB)であるとき、nとpの和が1又は2である、
抗体薬物複合体又はその製薬学的に許容される塩。
【0111】
本発明の抗体薬物複合体の1つの態様としては、以下の(2-1-N)が挙げられる。
(2-1-N)
式(2-1)において、
mAbが、インダツキシマブであり、
qが、1~8の整数であり、
bが2、3、4又は5であり、
Zが、式(Z-1)、式(Z-2)又は式(Z-3)で表される基であり、
nが、0又は1の整数であり、
Qが、無置換フェニル基又は式(Q-1)で表される基であり、
1aが、メチル基であり、
1bが、水素原子であり、
が、-(CH-CORであり、
uが、1又は2の整数であり、
AAが、Glu又はAspであり、
が、-OH又は-(AB)であり、
が、-OH又は-(AB)であり、
pが、1又は2の整数であり、
ABが、Glu又はAspを表し、ABが複数ある場合、それぞれのABは互いに同一であっても異なっていてもよく、また、AB同士はアミド結合を介して結合しており、
又はRが-(AB)であるとき、nとpの和が1又は2である、
抗体薬物複合体又はその製薬学的に許容される塩。
【0112】
本発明の抗体薬物複合体の1つの態様としては、以下の(2-1-O)が挙げられる。
(2-1-O)
式(2-1)において、
mAbが、デパツキシズマブであり、
qが、1~8の整数であり、
bが2、3、4又は5であり、
Zが、式(Z-1)、式(Z-2)又は式(Z-3)で表される基であり、
nが、0又は1の整数であり、
Qが、無置換フェニル基又は式(Q-1)で表される基であり、
1aが、メチル基であり、
1bが、水素原子であり、
が、-(CH-CORであり、
uが、1又は2の整数であり、、
AAが、Glu又はAspであり、
が、-OH又は-(AB)であり、
が、-OH又は-(AB)であり、
pが、1又は2の整数であり、
ABが、Glu又はAspを表し、ABが複数ある場合、それぞれのABは互いに同一であっても異なっていてもよく、また、AB同士はアミド結合を介して結合しており、
又はRが-(AB)であるとき、nとpの和が1又は2である、
抗体薬物複合体又はその製薬学的に許容される塩。
【0113】
本発明の抗体薬物複合体の1つの態様としては、以下の(2-1-P)が挙げられる。
(2-1-P)
式(2-1)において、
mAbが、ラプリツキシマブであり、
qが、1~8の整数であり、
bが2、3、4又は5であり、
Zが、式(Z-1)、式(Z-2)又は式(Z-3)で表される基であり、
nが、0又は1の整数であり、
Qが、無置換フェニル基又は式(Q-1)で表される基であり、
1aが、メチル基であり、
1bが、水素原子であり、
が、-(CH-CORであり、
uが、1又は2の整数であり、
AAが、Glu又はAspであり、
が、-OH又は-(AB)であり、
が、-OH又は-(AB)であり、
pが、1又は2の整数であり、
ABが、Glu又はAspを表し、ABが複数ある場合、それぞれのABは互いに同一であっても異なっていてもよく、また、AB同士はアミド結合を介して結合しており、
又はRが-(AB)であるとき、nとpの和が1又は2である、
抗体薬物複合体又はその製薬学的に許容される塩。
【0114】
本発明の抗体薬物複合体の1つの態様としては、以下の(2-1-Q)が挙げられる。
(2-1-Q)
式(2-1)において、
mAbが、ラベツズマブであり、
qが、1~8の整数であり、
bが2、3、4又は5であり、
Zが、式(Z-1)、式(Z-2)又は式(Z-3)で表される基であり、
nが、0又は1の整数であり、
Qが、無置換フェニル基又は式(Q-1)で表される基であり、
1aが、メチル基であり、
1bが、水素原子であり、
が、-(CH-CORであり、
uが、1又は2の整数であり、
AAが、Glu又はAspであり、
が、-OH又は-(AB)であり、
が、-OH又は-(AB)であり、
pが、1又は2の整数であり、
ABが、Glu又はAspを表し、ABが複数ある場合、それぞれのABは互いに同一であっても異なっていてもよく、また、AB同士はアミド結合を介して結合しており、
又はRが-(AB)であるとき、nとpの和が1又は2である、
抗体薬物複合体又はその製薬学的に許容される塩。
【0115】
本発明の抗体薬物複合体の1つの態様としては、以下の(2-2-A)が挙げられる。
(2-2-A)
式(2-2)において、
mAbが、ブレンツキシマブであり、
qが、1~8の整数であり、
hが2、3、4又は5であり、
Z’が、式(Z-4)又は式(Z-5)で表される基であり、
Qが、無置換フェニル基又は式(Q-1)で表される基であり、
1aが、メチル基であり、
1bが、水素原子であり、
AAが、Glu又はAspであり、
nが0、1、又は2である、
抗体薬物複合体又はその製薬学的に許容される塩。
【0116】
一般に、抗体薬物複合体の作製及び解析は、当業者に公知の任意の技術によって行うことができる。このような方法としては、例えば、Antibody-Drug Conjugates(Laurent Ducry編集、Humana Press刊行、2013年)等に記載の方法が挙げられる。
【0117】
本発明の抗体薬物複合体は、例えば、抗体中のジスルフィド結合をスルフヒドリル基に還元し、このスルフヒドリル基を、ヘミアスタリン誘導体と反応させることによって形成することができる。
【0118】
本発明の抗体薬物複合体は、標的細胞(抗原発現細胞)内で抗体が代謝され、薬物部分、又は抗体の一部(抗体断片)と薬物部分を含む構造が放出されうる。例えば、Doronina S.O.ら、2006,Bioconjugate Chem.17:114-124では、抗体の代謝によって、細胞内で、抗体薬物複合体のCys-薬物部分が放出されることが記載されている。
【0119】
本発明の抗体薬物複合体は、血中ペプチダーゼによって切断され難い構造を有するため、薬物部分と抗体部分とが結合した状態を血中でも維持することができ、血中への遊離薬物の放出が抑えられる。したがって、本発明の抗体薬物複合体によれば、標的細胞に到達する前に薬物が血液中に放出されてしまうことが低減される。
【0120】
また、本発明の抗体薬物複合体の薬物部分は細胞膜透過性が低いため、一度標的細胞内で放出された薬物部分は細胞外へ移行しにくい。そのため、薬効は標的細胞内でのみ発揮され、抗原発現細胞特異的に、薬物による細胞毒性を与えることができる。
【0121】
さらに、仮に、非特許文献7、8で報告される、生体内におけるチオスクシンイミド部位の解離が本発明の抗体薬物複合体で生じて、抗体薬物複合体が標的細胞に到達する前に血液中で薬物部分が放出されたとしても、本発明の抗体薬物複合体の薬物部分は細胞膜透過性が低いため、薬物は正常細胞に受動拡散されにくく、速やかに代謝及び排泄される。
【0122】
以上より、本発明の抗体薬物複合体によれば、抗原発現細胞特異的に薬物(ヘミアセタリン誘導体)による細胞毒性を与えることができ、全身暴露による副作用が少ないことが期待できる。
【0123】
「塩」は、本発明のヘミアスタリン誘導体の好適な塩及び医薬品原料として許容しうる塩であり、好ましくは慣用の無毒性塩である。「塩」としては、例えば、有機酸塩(例えば酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、ギ酸塩又はp-トルエンスルホン酸塩等)及び無機酸塩(例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩又はリン酸塩等)のような酸付加塩、アミノ酸(例えばアルギニン、アスパラギン酸又はグルタミン酸等)との塩、アルカリ金属塩(例えばナトリウム塩又はカリウム塩等)及びアルカリ土類金属塩(例えばカルシウム塩又はマグネシウム塩等)等の金属塩、アンモニウム塩、又は有機塩基塩(例えばトリメチルアミン塩、トリエチルアミン塩、ピリジン塩、ピコリン塩、ジシクロヘキシルアミン塩又はN,N’-ジベンジルエチレンジアミン塩等)等の他、適当な塩を当業者が適宜選択することができる。
【0124】
「製薬学的に許容される塩」としては、酸付加塩及び塩基付加塩が挙げられる。例えば、酸付加塩としては、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、リン酸塩等の無機酸塩、又はクエン酸塩、シュウ酸塩、フタル酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、リンゴ酸塩、酢酸塩、ギ酸塩、プロピオン酸塩、安息香酸塩、トリフルオロ酢酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、カンファースルホン酸塩等の有機酸塩が挙げられる。また、塩基付加塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、バリウム塩、アルミニウム塩等の無機塩基塩、又はトリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、2,6-ルチジン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン[トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン]、tert-ブチルアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N-ジベンジルエチルアミン等の有機塩基塩が挙げられる。さらに、「製薬学的に許容される塩」としては、アルギニン、リシン、オルニチン、アスパラギン酸、グルタミン酸等の、塩基性アミノ酸又は酸性アミノ酸との塩(アミノ酸塩)も挙げられる。
【0125】
本発明のヘミアスタリン誘導体又は抗体薬物複合体の塩を取得したいとき、目的の化合物が塩の形で得られる場合には、それをそのまま精製すればよく、また、遊離の形で得られる場合には、それを適当な有機溶媒に溶解又は懸濁させ、酸又は塩基を加えて通常の方法により塩を形成させればよい。
【0126】
本発明のヘミアスタリン誘導体及び抗体薬物複合体は、水和物及び/又は各種溶媒との溶媒和物(エタノール和物等)の形で存在することもあり、これらの水和物及び/又は溶媒和物も本発明のヘミアスタリン誘導体及び抗体薬物複合体に含まれる。さらに、本発明には、本発明のヘミアスタリン誘導体及び抗体薬物複合体のあらゆる様態の結晶形も含まれる。
【0127】
本発明のヘミアスタリン誘導体及び抗体薬物複合体の中には、光学活性中心に基づく光学異性体、分子内回転の束縛により生じた軸性又は面性キラリティーに基づくアトロプ異性体、その他のあらゆる立体異性体、互変異性体、及び幾何異性体等が存在し得るものがあるが、これらを含め、全ての可能な異性体は本発明の範囲に包含される。
【0128】
特に、光学異性体やアトロプ異性体は、ラセミ体として得ることができ、また光学活性の出発原料や中間体が用いられた場合には光学活性体として、それぞれ得ることができる。必要であれば、下記製造法の適切な段階で、対応する原料、中間体又は最終品のラセミ体を、光学活性カラムを用いた方法、分別結晶化法等の、公知の分離方法によって、物理的に又は化学的に光学対掌体に光学分割することができる。具体的には、例えばジアステレオマー法では、光学活性分割剤を用いる反応によってラセミ体から2種のジアステレオマーを形成する。この異なるジアステレオマーは一般に物理的性質が異なるため、分別結晶化等の公知の方法によって光学分割することができる。
【0129】
本発明のヘミアスタリン誘導体の製造方法について以下に述べる。式(1-1)又は(1-2)で表される本発明のヘミアスタリン誘導体は、例えば、下記の製造法A~I、L~P、T、U又はWにより製造することができる。
【0130】
製造法A
Zが式(Z-1)で表される基であり、Qが式(Q-1)で表される基であり、R1aがメチル基であり、R1bが水素原子又はメチル基であり、Rが-(CH-COOHの場合、式(1-1)で表される化合物は、例えば、下記の製法によって製造することができる。
【化49】

(式中、AA、u、b及びnは、項2に定義されるとおりであり、R、R、R、R及びRZは、それぞれ独立に、C1-6アルキル基又はベンジル基を表し、Pはアミノ基の保護基を意味する。)
【0131】
上記Pで表されるアミノ基の保護基としては、ProtectiveGroupsin Organic Synthesis(Theodora W. Greene, PeterG. M.Wuts著、John Wiley & Sons, Inc.発行、1999年)に記載の保護基等を使用できる。
【0132】
化合物a1は、例えば、J. Med. Chem., 2007,50,4329-4339等に記載されている方法により製造できるか、又は市販品として購入できる。化合物a15は、例えば、Tetrahedron Lett., 1997, 38, 317-320等に記載されている方法により製造できるか、又は市販品として購入できる。
【0133】
[A-1工程]
化合物a2は、化合物a1を、適当な塩基存在下、適当な溶媒中で、種々のメチル化試薬を反応させることにより製造することができる。メチル化試薬としては、例えば、ハロゲン化メチル等が挙げられ、好ましくはヨウ化メチル、臭化メチル、塩化メチル等が挙げられる。塩基としては、好ましくはカリウムヘキサメチルジシラジドが挙げられる。溶媒としては、好ましくはテトラヒドロフランが挙げられる。反応時間は、通常5分~48時間であり、好ましくは10分~2時間である。反応温度は、通常-78℃~100℃であり、好ましくは-78℃~10℃である。本工程は、J. Nat. Prod. 2003, 66, 183-199等に記載されている方法に準じて行うことができる。
【0134】
[A-2工程]
化合物a3は、化合物a2より、上記A-1工程に記載の方法に準じて製造することができる。
【0135】
[A-3工程]
化合物a4は、化合物a3を、適当な溶媒中で、適当な還元剤と反応させることにより製造することができる。還元剤としては、通常の有機合成反応に用いられる還元剤から適宜選択されるが、好ましくは水素化ジイソブチルアルミニウムが挙げられる。溶媒としては、好ましくはジエチルエーテルが挙げられる。反応時間は、通常5分~48時間であり、好ましくは10分~24時間である。反応温度は、通常-78℃~100℃であり、好ましくは-78℃~50℃である。本工程は、J. Nat. Prod. 2003, 66, 183-199等に記載されている方法に準じて行うことができる。
【0136】
[A-4工程]
化合物a5は、化合物a4を、適当な溶媒中、適当な酸化剤を用いて酸化することにより製造することができる。酸化剤としては、通常の有機合成反応に用いられる酸化剤から適宜選択することができるが、好ましくは過ルテニウム酸テトラプロピルアンモニウムが挙げられる。溶媒としては、好ましくはジクロロメタンが挙げられる。反応時間は、通常5分~72時間であり、好ましくは30分~24時間である。反応温度は、通常-78℃~100℃であり、好ましくは、-78℃~50℃である。本工程は、J. Nat. Prod. 2003, 66, 183-199等に記載されている方法に準じて行うことができる。
【0137】
[A-5工程]
化合物a6は、化合物a5のアルデヒドを、適当な溶媒中、α-アミノシアノ化することにより製造することができる。溶媒としては、好ましくはトルエン及びジクロロメタンが挙げられる。反応時間は、通常5分~96時間であり、好ましくは24時間~72時間である。反応温度は、通常0℃~200℃であり、好ましくは0℃~100℃である。本工程は、Org. Lett. 2002, 4, 695-697等に記載されている方法に準じて行うことができる。
【0138】
[A-6工程]
化合物a7は、化合物a6を、適当な塩基存在下又は非存在下、適当な溶媒中で、適当な酸化剤を用いて製造することができる。酸化剤としては、通常の有機合成反応で用いられる酸化剤から適宜選択することができるが、好ましくは過酸化水素が挙げられる。塩基としては、好ましくは炭酸カリウムが挙げられる。溶媒としては、好ましくはメタノールが挙げられる。反応時間は、通常5分~72時間であり、好ましくは30分~24時間である。反応温度は、通常0℃~200℃であり、好ましくは0℃~60℃である。本工程は、J. Org. Chem. 2001, 66, 7355-7364等に記載されている方法に準じて行うことができる。
【0139】
[A-7工程]
化合物a8は、化合物a7を、適当な溶媒中、適当な触媒存在下で、還元剤を用いて還元することにより製造することができる。還元剤としては、通常の有機合成反応で用いられる還元剤から適宜選択することができるが、好ましくは水素、ギ酸アンモニウム等のギ酸の塩又はヒドラジンが挙げられる。触媒としては、パラジウム、ニッケル、ロジウム、コバルト、白金等の遷移金属、その塩若しくはその錯体又は上記遷移金属をポリマー等の担体に担持させたものが挙げられる。溶媒としては、好ましくはエタノール又はメタノールが挙げられる。反応時間は、通常5分~72時間であり、好ましくは30分~24時間である。反応温度は、通常0℃~200℃であり、好ましくは0℃~100℃である。本工程は、J. Org. Chem. 2001, 66, 7355-7364等に記載されている方法に準じて行うことができる。
【0140】
[A-8工程]
化合物a9は、化合物a8のアミノ基を保護基Pで保護することにより製造することができる。本工程は、Protective Groups in Organic Synthesis(TheodoraW.Greene, Peter G. M. Wuts著、John Wiley & Sons,Inc.発行、1999年)に記載されている方法等に準じて行うことができる。
【0141】
[A-9工程]
化合物a11は、化合物a9と種々のアシル化試薬(例えば、化合物a10)を、適当な塩基存在下又は非存在下、適当な溶媒中で、反応させることにより製造することができる。アシル化試薬としては、例えば、カルボン酸ハロゲン化物、カルボン酸無水物等が挙げられ、好ましくはジ-tertブチルジカルボネートが挙げられる。塩基としては、好ましくはジイソプロピルエチルアミンが挙げられる。溶媒としては、好ましくはクロロホルムが挙げられる。反応時間は、通常5分~72時間であり、好ましくは30分~24時間である。反応温度は、通常0℃~200℃であり、好ましくは0℃~50℃である。
【0142】
[A-10工程]
化合物a12は、化合物a11を、適当な溶媒中、適当なアルカリ金属アルコキシド類と反応させることにより製造することができる。アルカリ金属アルコキシド類としては、通常の有機合成反応で用いられるアルカリ金属アルコキシド類から適宜選択することができるが、好ましくはリチウムメトキシド又はリチウムエトキシドが挙げられる。溶媒としては、好ましくはメタノール又はエタノールが挙げられる。反応時間は、通常5分~72時間であり、好ましくは30分~6時間である。反応温度は、通常-78℃~200℃であり、好ましくは-78℃~50℃である。
【0143】
[A-11工程]
化合物a13は、化合物a12に、適当な塩基存在下、適当な溶媒中で、種々のメチル化試薬を反応させることにより製造することができる。メチル化試薬としては、例えば、ハロゲン化メチル等が挙げられ、好ましくはヨウ化メチル、臭化メチル、塩化メチル等が挙げられる。塩基としては、好ましくは水素化ナトリウムが挙げられる。溶媒としては、好ましくはテトラヒドロフランが挙げられる。反応時間は、通常5分~48時間であり、好ましくは10分~2時間である。反応温度は、通常-78℃~100℃であり、好ましくは-78℃~10℃である。
【0144】
[A-12工程]
化合物a14は、化合物a13のエステルを、適当な塩基存在下、適当な溶媒中で、加水分解することにより製造できる。塩基としては、好ましくは水酸化リチウムが挙げられる。溶媒としては、好ましくは水又はメタノールが挙げられる。反応時間は、通常5分~72時間であり、好ましくは30分~24時間である。反応温度は、通常0℃~200℃、好ましくは0℃~100℃である。
【0145】
[A-13工程]
化合物a16は、化合物a14と化合物a15を、適当な溶媒中、適当な塩基存在下で、種々の縮合剤を用いて、縮合することにより製造することができる。縮合剤としては、通常の有機合成反応に用いられる種々の縮合剤を使用することができるが、好ましくは(1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド又はブロモトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェートが挙げられる。また、必要に応じて、縮合反応の効率を向上させるために、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール等のカルボニル活性化試薬を共に用いることができる。塩基としては、好ましくはジイソプロピルエチルアミンが挙げられる。溶媒としては、好ましくはN,N-ジメチルホルムアミドが挙げられる。反応時間は、通常5分~72時間であり、好ましくは30分~24時間である。反応温度は、通常-78℃~200℃であり、好ましくは0℃~100℃である。本工程は、Tetrahedron Lett., 1997, 38, 317-320等に記載されている方法に準じて行うことができる。
【0146】
[A-14工程]
化合物a17は、化合物a16のエステルを、上記A-12工程に記載の方法に準じて加水分解することにより、製造することができる。本工程は、Tetrahedron Lett., 1997, 38, 317-320等に記載されている方法に準じて行うことができる。
【0147】
[A-15工程]
化合物a18は、化合物a17とN-ヒドロキシスクシンイミドを、適当な溶媒中、適当な塩基存在下で、種々の縮合剤を用いて反応させることにより製造することができる。縮合剤としては、通常の有機合成反応に用いられる種々の縮合剤を使用することができるが、好ましくは(1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド又はブロモトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェートが挙げられる。また、必要に応じて、反応の効率を向上させるために、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール等のカルボニル活性化試薬を共に用いることができる。塩基としては、好ましくはジイソプロピルエチルアミンが挙げられる。溶媒としては、好ましくはN,N-ジメチルホルムアミドが挙げられる。反応時間は、通常5分~72時間であり、好ましくは30分~24時間である。反応温度は、通常-78℃~200℃であり、好ましくは0℃~100℃である。
【0148】
[A-16工程]
化合物a19は、化合物a18を、適当な塩基存在下、適当な溶媒中で、アミノ酸又はペプチドのエステル体と反応させることにより製造することができる。塩基としては、好ましくはジイソプロピルエチルアミンが挙げられる。溶媒としては、好ましくはN,N-ジメチルホルムアミドが挙げられる。反応時間は、通常5分~72時間であり、好ましくは30分~24時間である。反応温度は、通常0℃~200℃であり、好ましくは0℃~100℃である。
【0149】
[A-17工程]
化合物a20は、化合物a19とアミノアルキルマレイミド化合物を、上記A-13工程に記載の方法に準じて縮合することにより、製造することができる。
【0150】
[A-18工程]
化合物A1は、化合物a20のアミノ基の保護基Pを、脱保護することにより製造することができる。本工程は、Protective Groups in Organic Synthesis(TheodoraW.Greene, Peter G. M. Wuts著、John Wiley & Sons,Inc.発行、1999年)に記載されている方法等に準じて行うことができる。
また、(AA)がエステル又は保護されたアミノ基を有する場合、必要に応じて、本脱保護工程でエステルの加水分解及びアミノ基の保護基の脱保護を行なうこともできる。
【0151】
[A-19工程]
化合物A2は、化合物A1とホルムアルデヒドを、適当な溶媒中で、適当な還元剤とともに反応させることで製造することができる。溶媒としては、好ましくはアセトニトリルが挙げられる。還元剤としては、通常の有機合成反応に用いられる種々の還元剤を使用することができるが、好ましくは水素化トリアセトキシホウ素ナトリウムが挙げられる。反応時間は、通常5分~72時間であり、好ましくは30分~24時間である。反応温度は、通常0℃~約200℃であり、好ましくは0℃~100℃である。
【0152】
製造法B
Zが式(Z-1)で表される基であり、Qが無置換フェニル基であり、R1aがメチル基であり、R1bが水素原子又はメチル基であり、Rが-(CH-COOHの場合、式(1-1)で表される化合物は、例えば、下記の製法によって製造することができる。
【化50】

(式中、AA、u、b及びnは、項2に定義されるとおりであり、R、R及びRは、C1-6アルキル基又はベンジル基を表し、Pはアミノ基の保護基を意味する。)
【0153】
化合物b1は、例えば、市販品として購入できる。化合物b11は、例えば、TetrahedronLett.,1997, 38, 317-320等に記載されている方法により製造できるか、又は市販品として購入できる。
【0154】
[B-1工程]
化合物b2は、化合物b1に、種々のルイス酸存在下、ベンゼンを反応させることにより製造することができる。ルイス酸としては、例えば、ハロゲン化ホウ素、ハロゲン化アルミニウム、ハロゲン化ガリウム、ハロゲン化鉄、ハロゲン化チタン等が挙げられ、好ましくは塩化アルミニウム、塩化鉄等が挙げられる。反応時間は、通常5分~48時間であり、好ましくは30分~4時間である。反応温度は、通常-78℃~200℃であり、好ましくは50℃~150℃である。本工程は、J. Nat. Prod. 2003, 66, 183-199等に記載されている方法に準じて行うことができる。
【0155】
[B-2工程]
化合物b3は、化合物b2を、適当な塩基存在下、適当な溶媒中で、種々のカルボン酸ハロゲン化物と反応させた後、アルカリ金属化4-アルキル-2-オキサゾリジノンを反応させることにより製造することができる。塩基としては、好ましくはトリエチルアミン又はジイソプロピルエチルアミンが挙げられる。溶媒としては、好ましくはテトラヒドロフランが挙げられる。カルボン酸ハロゲン化物としては、例えば、カルボン酸塩化物等が挙げられ、好ましくはピバロイルクロライド等が挙げられる。アルカリ金属化4-アルキル-2-オキサゾリジノンとしては、4-アルキル-2-オキサゾリジノンリチウム、4-アルキル-2-オキサゾリジノンナトリウム等が挙げられ、好ましくは4-イソプロピル-2-オキサゾリジノンリチウムが挙げられる。反応時間は、通常5分~48時間であり、好ましくは10分~24時間である。反応温度は、通常-78℃~100℃であり、好ましくは-78℃~50℃である。本工程は、J. Nat. Prod. 2003, 66, 183-199等に記載されている方法に準じて行うことができる。
【0156】
[B-3工程]
化合物b4は、化合物b3を、適当な塩基存在下、適当な溶媒中で、種々のアジド化試薬と反応させることにより製造することができる。アジド化試薬としては、例えば、アジ化ナトリウム、トリメチルシリルアジド、ジフェニルリン酸アジド等が挙げられ、好ましくはトリメチルシリルアジドが挙げられる。塩基としては、好ましくはカリウムヘキサメチルジシラジドが挙げられる。溶媒としては、好ましくはテトラヒドロフランが挙げられる。反応時間は、通常5分~72時間であり、好ましくは30分~24時間である。反応温度は、通常-78℃~200℃であり、好ましくは-78℃~75℃である。本工程は、J. Nat. Prod. 2003, 66, 183-199等に記載されている方法に準じて行うことができる。
【0157】
[B-4工程]
化合物b5は、化合物b4より、上記A-7工程に記載の方法に準じて製造することができる。
【0158】
[B-5工程]
化合物b6は、化合物b5より、上記A-8工程に記載の方法に準じて製造することができる。
【0159】
[B-6工程]
化合物b7は、化合物b6を、適当な塩基存在下、適当な溶媒中で、適当な酸化剤を用いることにより製造することができる。塩基としては、好ましくは水酸化リチウムが挙げられる。溶媒としては、好ましくはメタノール、テトラヒドロフラン又は水が挙げられる。酸化剤としては、通常の有機合成反応で用いられる酸化剤から適宜選択することができるが、好ましくは過酸化水素が挙げられる。反応時間は、通常5分~72時間であり、好ましくは30分~24時間である。反応温度は、通常0℃~200℃であり、好ましくは0℃~60℃である。本工程は、J. Nat. Prod. 2003, 66, 183-199等に記載されている方法に準じて行うことができる。
【0160】
[B-7工程]
化合物b8は、化合物b7に、適当な塩基存在下、適当な溶媒中で、種々のアルキル化試薬を反応させることにより製造することができる。アルキル化試薬としては、例えば、ハロゲン化アルキル等が挙げられ、好ましくはヨウ化アルキル、臭化アルキル、塩化アルキル等が挙げられる。塩基としては、好ましくは炭酸ナトリウム、炭酸カリウムが挙げられる。溶媒としては、好ましくはN,N-ジメチルホルムアミドが挙げられる。反応時間は、通常5分~48時間であり、好ましくは10分~2時間である。反応温度は、通常-78℃~100℃であり、好ましくは-10℃~25℃である。本工程は、Protective Groups in Organic Synthesis(TheodoraW.Greene, Peter G. M. Wuts著、John Wiley & Sons,Inc.発行、1999年)に記載されている方法等に準じて行うことができる。
【0161】
[B-8工程]
化合物b9は、化合物b8より、上記A-11工程に記載の方法に準じて製造することができる。
【0162】
[B-9工程]
化合物b10は、化合物b9より、上記A-12工程に記載の方法に準じて製造することができる。
【0163】
[B-10工程]
化合物b12は、化合物b10と化合物b11より、上記A-13工程に記載の方法に準じて製造することができる。
【0164】
[B-11工程]
化合物b13は、化合物b12のエステルを、上記A-12工程に記載の方法に準じて加水分解することにより、製造することができる。
【0165】
[B-12工程]
化合物b14は、化合物b13より、上記A-15工程に記載の方法に準じて製造することができる。
【0166】
[B-13工程]
化合物b15は、化合物b14より、上記A-16工程に記載の方法に準じて製造することができる。
【0167】
[B-14工程]
化合物b16は、化合物b15より、上記A-17工程に記載の方法に準じて製造することができる。
【0168】
[B-15工程]
化合物B1は、化合物b16より、上記A-18工程に記載の方法に準じて製造することができる。
【0169】
[B-16工程]
化合物B2は、化合物B1より、上記A-19工程に記載の方法に準じて製造することができる。
【0170】
製造法C
Zが式(Z-1)で表される基であり、R1aがメチル基であり、R1bが水素原子又はメチル基であり、Rが-(CH-COOHの場合、式(1-1)で表される化合物は、例えば、下記の製法によって製造することができる。
【化51】

(式中、Q、AA、u、b及びnは、項2に定義されるとおりであり、R及びPは上記と同義である。)
【0171】
化合物c1は、製造法Aの化合物a18又は製造法Bの化合物b14を表す。
【0172】
[C-1工程]
化合物c2は、化合物c1より、上記A-16工程に記載の方法に準じて製造することができる。
【0173】
[C-2工程]
化合物c3は、化合物c2より、上記A-15工程に記載の方法に準じて製造することができる。
【0174】
[C-3工程]
化合物c4は、化合物c3より、上記A-16工程に記載の方法に準じて製造することができる。
【0175】
[C-4工程]
化合物c5は、化合物c4より、上記A-17工程に記載の方法に準じて製造することができる。
【0176】
[C-5工程]
化合物C1は、化合物c5より、上記A-18工程に記載の方法に準じて製造することができる。
【0177】
[C-6工程]
化合物C2は、化合物C1より、上記A-19工程に記載の方法に準じて製造することができる。
【0178】
製造法D
Zが式(Z-1)で表される基であり、R1aがメチル基であり、R1bが水素原子又はメチル基であり、Rが-(CH-CORであり、Rが-(AB)であり、nが1、2、3又は4の場合、式(1-1)で表される化合物は、例えば、下記の製法によって製造することができる。
【化52】

(式中、Q、AA、AB、u、b及びpは、項2に定義されるとおりであり、Pはアミノ基の保護基を意味し、R、R及びPは上記と同義である。)
【0179】
上記Pで表されるアミノ基の保護基としては、ProtectiveGroupsin Organic Synthesis(Theodora W. Greene, PeterG. M.Wuts著、John Wiley & Sons, Inc.発行、1999年)に記載の保護基等を使用できる。
【0180】
化合物d1は、例えば、市販品として購入できる。化合物d6は、製造法Aの化合物a18又は製造法Bの化合物b14を表す。
【0181】
[D-1工程]
化合物d2は、化合物d1とアスパラギン酸ジエステル又はグルタミン酸ジエステルを、上記A-13工程に記載の方法に準じて縮合することにより、製造することができる。
【0182】
[D-2工程]
化合物d3は、化合物d2のエステルを、上記A-12工程に記載の方法に準じて加水分解することにより、製造することができる。
【0183】
[D-3工程]
化合物d4は、化合物d3と(AB)を、上記A-13工程に記載の方法に準じて縮合することにより、製造することができる。
【0184】
[D-4工程]
化合物d5は、化合物d4のエステルの加水分解及びアミノ基の保護基の脱保護を、上記A-18工程に記載の方法に準じて行うことにより、製造することができる。また、(AB)がエステル又は保護されたアミノ基を有する場合、必要に応じて、本脱保護工程でエステルの加水分解及びアミノの保護基の脱保護を行なうこともできる。
【0185】
[D-5工程]
化合物d7は、化合物d5と化合物d6より、上記A-16工程に記載の方法に準じて製造することができる。
【0186】
[D-6工程]
化合物d8は、化合物d7より、上記A-17工程に記載の方法に準じて製造することができる。
【0187】
[D-7工程]
化合物D1は、化合物d8より、上記A-18工程に記載の方法に準じて製造することができる。
【0188】
[D-8工程]
化合物D2は、化合物D1より、上記A-19工程に記載の方法に準じて製造することができる。
【0189】
製造法E
Zが式(Z-2)又は式(Z-3)で表される基であり、R1aがメチル基であり、R1bが水素原子又はメチル基であり、Rが-OHの場合、式(1-1)で表される化合物は、例えば、下記の製法によって製造することができる。
【化53】

(式中、Q、AA、b、及びnは、項2に定義されるとおりであり、gは1又は2を表し、R及びPは上記と同義である。)
【0190】
化合物e1は、製造法Aの化合物a18又は製造法Bの化合物b14を表す。
【0191】
[E-1工程]
化合物e2は、化合物e1より、上記A-16工程に記載の方法に準じて製造することができる。
【0192】
[E-2工程]
化合物e3は、化合物e2より、上記A-17工程に記載の方法に準じて製造することができる。
【0193】
[E-3工程]
化合物E1は、化合物e3より、上記A-18工程に記載の方法に準じて製造することができる。
【0194】
[E-4工程]
化合物E2は、化合物E1より、上記A-19工程に記載の方法に準じて製造することができる。
【0195】
製造法F
Zが式(Z-2)又は式(Z-3)で表される基であり、R1aがメチル基であり、R1bが水素原子又はメチル基であり、Rが-OHの場合、式(1-1)で表される化合物は、例えば、下記の製法によって製造することができる。
【化54】

(式中、Q、AA、b及びnは、項2に定義されるとおりであり、g、R及びPは上記と同義である。)
【0196】
化合物f1は、製造法Aの化合物a18又は製造法Bの化合物b14を表す。
【0197】
[F-1工程]
化合物f2は、化合物f1より、上記A-16工程に記載の方法に準じて製造することができる。
【0198】
[F-2工程]
化合物f3は、化合物f2より、上記A-15工程に記載の方法に準じて製造することができる。
【0199】
[F-3工程]
化合物f4は、化合物f3より、上記A-16工程に記載の方法に準じて製造することができる。
【0200】
[F-4工程]
化合物f5は、化合物f4より、上記A-17工程に記載の方法に準じて製造することができる。
【0201】
[F-5工程]
化合物F1は、化合物f5より、上記A-18工程に記載の方法に準じて製造することができる。
【0202】
[F-6工程]
化合物F2は、化合物F1より、上記A-19工程に記載の方法に準じて製造することができる。
【0203】
製造法G
Zが式(Z-2)又は式(Z-3)で表される基であり、R1aがメチル基であり、R1bが水素原子又はメチル基であり、Rが-(AB)の場合、式(1-1)で表される化合物は、例えば、下記の製法によって製造することができる。
【化55】

(式中、Q、AA、AB、b、p及びnは、項2に定義されるとおりであり、g、R、R、P及びPは上記と同義である。)
【0204】
化合物g1は、例えば、市販品として購入できる。化合物g6は、製造法Aの化合物a18又は製造法Bの化合物b14を表す。
【0205】
[G-1工程]
化合物g2は、化合物g1とアスパラギン酸ジエステル又はグルタミン酸ジエステルを、上記A-13工程に記載の方法に準じて縮合することにより、製造することができる。
【0206】
[G-2工程]
化合物g3は、化合物g2のエステルを、上記A-12工程に記載の方法に準じて加水分解することにより、製造することができる。
【0207】
[G-3工程]
化合物g4は、化合物g3と(AB)より、上記A-13工程に記載の方法に準じて製造することができる。
【0208】
[G-4工程]
化合物g5は、化合物g4のエステルの加水分解及びアミノの保護基の脱保護を、上記A-18工程に記載の方法に準じて行うことにより、製造することができる。また、(AB)がエステル又は保護されたアミノ基を有する場合、必要に応じて、本脱保護工程でエステルの加水分解及びアミノ基の保護基の脱保護を行なうこともできる。
【0209】
[G-5工程]
化合物g7は、化合物g5及び化合物g6より、上記A-16工程に記載の方法に準じて製造することができる。
【0210】
[G-6工程]
化合物g8は、化合物g7より、上記A-17工程に記載の方法に準じて製造することができる。
【0211】
[G-7工程]
化合物G1は、化合物g8より、上記A-18工程に記載の方法に準じて製造することができる。
【0212】
[G-8工程]
化合物G2は、化合物G1より、上記A-19工程に記載の方法に準じて製造することができる。
【0213】
製造法H
Z’が式(Z-4)で表される基であり、R1aがメチル基であり、R1bが水素原子又はメチル基の場合、式(1-2)で表される化合物は、例えば、下記の製法によって製造することができる。
【化56】

(式中、Q、AA、h及びnは、項5に定義されるとおりであり、R、P及びPは上記と同義である。)
【0214】
化合物h1は、製造法Aの化合物a18又は製造法Bの化合物b14を表す。化合物h5は、例えば、市販品として購入できる。
【0215】
[H-1工程]
化合物h2は、化合物h1より、上記A-16工程に記載の方法に準じて製造することができる。
【0216】
[H-2工程]
化合物h3は、化合物h2とリシン誘導体を、上記A-13工程に記載の方法に準じて縮合することにより、製造することができる。
【0217】
[H-3工程]
化合物h4は、化合物h3より、上記A-18工程に記載の方法に準じて製造することができる。
【0218】
[H-4工程]
化合物H1は、化合物h4と化合物h5より、上記A-16工程に記載の方法に準じて製造することができる。
【0219】
[H-5工程]
化合物H2は、化合物H1より、上記A-19工程に記載の方法に準じて製造することができる。
【0220】
製造法I
Z’が式(Z-5)で表される基であり、R1aがメチル基であり、R1bが水素原子又はメチルの場合、式(1-2)で表される化合物は、例えば、下記の製法によって製造することができる。
【化57】

(式中、Q、AA、h及びnは、項5に定義されるとおりであり、R、P及びPは上記と同義である。)
【0221】
化合物i1は、製造法Aの化合物a18又は製造法Bの化合物b14を表す。化合物i5は、例えば、市販品として購入できる。
【0222】
[I-1工程]
化合物i2は、化合物i1より、上記A-16工程に記載の方法に準じて製造することができる。
【0223】
[I-2工程]
化合物i3は、化合物i2とリシン誘導体を、上記A-13工程に記載の方法に準じて縮合することにより、製造することができる。
【0224】
[I-3工程]
化合物i4は、化合物i3より、上記A-18工程に記載の方法に準じて製造することができる。
【0225】
[I-4工程]
化合物I1は、化合物i4と化合物i5より、上記A-16工程に記載の方法に準じて製造することができる。
【0226】
[I-5工程]
化合物I2は、化合物I1より、上記A-19工程に記載の方法に準じて製造することができる。
【0227】
製造法L
化合物l6は、Zが式(Z-1)、式(Z-2)、又は式(Z-3)で表される基であり、Qが式(Qa-1)、式(Qa-2)、式(Qa-3)、式(Qa-4)、式(Qa-5)又は式(Qa-6)で表される基である、式(1-1)で表される化合物L1の、製造中間体である。化合物l6は、例えば、下記の製法によって製造することができる。また、化合物L1は、化合物l6より、製造法AのA-16工程からA-19工程に記載の製造法に準じて、製造することができる。
【化58】

(式中、R1a及びbは項1に定義されるとおりであり、RはC1-6アルキル基を表す。)
【0228】
化合物l1は、例えば、市販品として購入できる。化合物a15は、例えば、製造法Aに記載の方法で製造できる。
【0229】
[L-1工程]
化合物l2は、例えば、Bioorg. Med. Chem. Lett. 14(2004) 5317-5322等に記載されている方法に準じて製造することができる。
【0230】
[L-2工程]
化合物l3は、例えば、Bioorg. Med. Chem. Lett. 14(2004) 5317-5322等に記載されている方法に準じて製造することができる。
【0231】
[L-3工程]
化合物l4は、例えば、Bioorg. Med. Chem. Lett. 14(2004) 5317-5322等に記載されている方法に準じて製造することができる。
【0232】
[L-4工程]
化合物l5は、化合物l4より、製造法AのA-14工程に準じて製造することができる。
【0233】
[L-5工程]
化合物l6は、化合物l5より、製造法AのA-15工程に準じて製造することができる。
【0234】
製造法M
化合物m7は、Zが式(Z-1)、式(Z-2)、又は式(Z-3)で表される基であり、Qが式(Qa-7)で表される基である、式(1-1)で表される化合物Ma1の製造中間体である。化合物m7は、例えば、下記の製法によって製造することができる。また、化合物Ma1は、化合物m7より、製造法AのA-16工程からA-19工程に記載の製造法に準じて、製造することができる。
【化59】

(式中、R1a及びbは項1に定義されるとおりであり、RはC1-6アルキル基を表す。)
【0235】
化合物m1は、例えば、市販品として購入できる。化合物a15は例えば製造法Aに記載の方法で製造できる。
【0236】
[M-1工程]
化合物m2は、例えば、Bioorg. Med. Chem. Lett. 14(2004) 5317-5322等に記載されている方法に準じて製造することができる。
【0237】
[M-2工程]
化合物m3は、例えば、Bioorg. Med. Chem. Lett. 14(2004) 5317-5322等に記載されている方法に準じて製造することができる。
【0238】
[M-3工程]
化合物m4は、例えば、J. Med. Chem. 2004, 47,4774-4786等に記載されている方法に準じて製造することができる。
【0239】
[M-4工程]
化合物m5は、例えば、Bioorg. Med. Chem. Lett. 14(2004) 5317-5322等に記載されている方法に準じて製造することができる。
【0240】
[M-5工程]
化合物m6は、化合物m5より、製造法AのA-14工程に準じて製造することができる。
【0241】
[M-6工程]
化合物m7は、化合物m6より、製造法AのA-15工程に準じて製造することができる。
【0242】
製造法N
化合物n5は、Zが式(Za-1)、式(Za-2)又は式(Za-3)で表される基である、式(1-1)で表される化合物N1の、製造中間体である。化合物n5は、例えば、下記の製法によって製造することができる。また、化合物N1は、化合物n5より、製造法AのA-16工程からA-18工程に記載の製造法に準じて、製造することができる。
【化60】

式中、Raa及びbは項1に定義されるとおりであり、RはC1-6アルキル基を表す。)
【0243】
化合物n1は、例えば、市販品として購入できる。化合物a15は、例えば、製造法Aに記載の方法で製造できる。
【0244】
[N-1工程]
化合物n2は、例えば、国際公開第2003/082268号等に記載されている方法に準じて製造することができる。
【0245】
[N-2工程]
化合物n3は、化合物n2より、A-13工程に記載されている方法に準じて製造することができる。
【0246】
[N-3工程]
化合物n4は、化合物n3より、A-14工程に記載されている方法に準じて製造することができる。
【0247】
[N-4工程]
化合物n5は、化合物n4より、製造法AのA-15工程に準じて製造することができる。
【0248】
製造法O
化合物O1及び化合物O2は、Zが式(Za-4)又は式(Za-5)で表される基である、式(1-1)で表される化合物である。化合物O1及び化合物O2は、例えば、下記の製法によって製造することができる。
【化61】

(式中、AA、R1a、b及びnは項1に定義されるとおりであり、ELは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、トリフルオロメチルスルホニル基又はトシル基を表し、Rzzは水素原子又は-COORを表し、Pはアミノ基の保護基を表し、Pはカルボキシル基の保護基を表し、RはC1-6アルキル基を表す。)
【0249】
化合物o1は、例えば、国際公開第2004/026293号、国際公開第2016/123582号等に記載されている方法により製造できるか、又は市販品として購入できる。化合物a15は、例えば、製造法Aに記載の方法で製造できる。
【0250】
[O-1工程]
化合物o2は、化合物o1より、例えば、国際公開第2004/026293号、Bioorg.Med. Chem.Lett. 14 (2004) 5317-5322等に記載されている方法に準じて製造することができる。
【0251】
[O-2工程]
化合物o3は、化合物o2より、上記A-8工程に記載の方法に準じて製造することができる。
【0252】
[O-3工程]
化合物o4は、化合物o3より、上記A-11工程に記載の方法に準じて製造することができる。
【0253】
[O-4工程]
化合物o5は、化合物o4より、例えば、国際公開第2004/026293号に記載されている方法等により製造できる。
【0254】
[O-5工程]
化合物o6は、化合物o5より、例えば、国際公開第2004/026293号等に記載されている方法により製造できる。
【0255】
[O-6工程]
化合物o7は、化合物o6より、例えば、国際公開第2004/026293号等に記載されている方法により製造できる。
【0256】
[O-7工程]
化合物o8は、化合物o7のカルボキシル基を保護基Pで保護することにより製造することができる。本工程は、Protective Groups in Organic Synthesis(TheodoraW.Greene, Peter G. M. Wuts著、John Wiley & Sons,Inc.発行、1999年)に記載されている方法等に準じて行うことができる。
【0257】
[O-8工程]
化合物o9は、化合物o8より、上記A-12工程に記載の方法に準じて製造することができる。
【0258】
[O-9工程]
化合物o10は、化合物o9より、上記A-13工程に記載の方法に準じて製造することができる。
【0259】
[O-10工程]
化合物o11は、化合物o10より、上記A-14工程に記載の方法に準じて製造することができる。
【0260】
[O-11工程]
化合物o12は、化合物o11より、上記A-15工程に記載の方法に準じて製造することができる。
【0261】
[O-12工程]
化合物o13は、化合物o12より、上記A-16工程に記載の方法に準じて製造することができる。
【0262】
[O-13工程]
化合物o14は、化合物o13より、保護基Pを脱保護することにより製造することができる。本工程は、Protective Groups in Organic Synthesis(TheodoraW.Greene, Peter G. M. Wuts著、John Wiley & Sons,Inc.発行、1999年)に記載されている方法等に準じて行うことができる。
【0263】
[O-14工程]
化合物O1は、化合物o14より、上記A-17工程に記載の方法に準じて製造することができる。
【0264】
[O-15工程]
化合物O2は、化合物O1より、上記A-19工程に記載の方法に準じて製造することができる。
【0265】
製造法P
化合物P1及び化合物P2は、Zが式(Za-8)又は式(Za-9)で表される基である、式(1-2)で表される化合物である。化合物P1及び化合物P2は、例えば、下記の製法によって製造することができる。
【化62】

(式中、AA、n、h及びR1aは項4に定義されるとおりであり、Pはアミノ基の保護基を表し、Pは水酸基の保護基を表し、RはC1-6アルキル基を表す。)
【0266】
化合物p1は、例えば、市販品として購入できる。化合物a15は、例えば、製造法Aに記載の方法で製造できる。
【0267】
[P-1工程]
化合物p2は、化合物p1より、例えば国際公開第2004/026293号等に記載されている方法に準じて製造することができる。
【0268】
[P-2工程]
化合物p3は、化合物p2より、保護基Pを脱保護することにより製造することができる。本工程は、Protective Groups in Organic Synthesis(TheodoraW.Greene, Peter G. M. Wuts著、John Wiley & Sons,Inc.発行、1999年)に記載されている方法等に準じて行うことができる。
【0269】
[P-3工程]
化合物p4は、化合物p3より、例えば国際公開第2004/026293号等に記載されている方法に準じて製造することができる。
【0270】
[P-4工程]
化合物p5は、化合物p4のアミノ基及び水酸基を、保護基P及び保護基Pでそれぞれ保護することにより製造することができる。本工程は、Protective Groups in Organic Synthesis(TheodoraW.Greene, Peter G. M. Wuts著、John Wiley & Sons,Inc.発行、1999年)に記載されている方法等に準じて行うことができる。
【0271】
[P-5工程]
化合物p6は、化合物p5より、保護基Pを脱保護することにより製造することができる。本工程は、Protective Groups in Organic Synthesis(TheodoraW.Greene, Peter G. M. Wuts著、John Wiley & Sons,Inc.発行、1999年)に記載されている方法やTetrahedron Lett.45 (2004)495-499等に準じて行うことができる。
【0272】
[P-6工程]
化合物p7は、化合物p6より、A-13工程に記載されている方法に準じて製造することができる。
【0273】
[P-7工程]
化合物p8は、化合物p7より、上記A-18工程に記載の方法に準じて製造することができる。
【0274】
[P-8工程]
化合物p9は、化合物p8より、上記A-13工程に記載の方法に準じて縮合することにより、製造することができる。また、(AA)がエステル又は保護されたアミノ基を有する場合、縮合反応後、必要に応じて、Protective Groups in Organic Synthesis(TheodoraW.Greene, Peter G. M. Wuts著、John Wiley & Sons,Inc.発行、1999年)に記載されている方法等に準じて、エステルの加水分解及びアミノ基の保護基の脱保護を行なうこともできる。
【0275】
[P-9工程]
化合物P1は、化合物p9とスクシンイミド誘導体から、上記A-16工程に記載の方法に準じて縮合することにより、製造することができる。
【0276】
[P-10工程]
化合物P2は、化合物P1より、上記A-19工程に記載の方法に準じて製造することができる。
【0277】
製造法T
化合物T1及び化合物T2は、Zが式(Za-6)又は式(Za-7)で表される基である、式(1-2)で表される化合物である。化合物T1及び化合物T2は、例えば、下記の製法によって製造することができる。
【化63】

(式中、AA、n、h及びR1aは項4に定義されるとおりであり、ELは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、トリフルオロメチルスルホニル基またはトシル基を表し、P及びPはアミノ基の保護基を表し、RはC1-6アルキル基を表す。)
【0278】
化合物t1は、例えば、国際公開第2004/026293号、国際公開第2016/123582号等に記載されている方法により製造できるか、又は市販品として購入できる。化合物a15は、例えば、製造法Aに記載の方法で製造できる。
【0279】
[T-1工程]
化合物t2は、化合物t1より、例えば国際公開第2004/026293号、Bioorg.Med. Chem. Lett. 14 (2004) 5317-5322等に記載されている方法に準じて製造することができる。
【0280】
[T-2工程]
化合物t3は、化合物t2より、上記A-8工程に記載の方法に準じて製造することができる。
【0281】
[T-3工程]
化合物t4は、化合物t3より、例えば、国際公開第2016/123582号等に記載されている方法により製造できる。
【0282】
[T-4工程]
化合物t5は、化合物t4のアミノ基を保護基Pで保護することにより製造することができる。本工程は、Protective Groups in Organic Synthesis(TheodoraW.Greene, Peter G. M. Wuts著、John Wiley & Sons,Inc.発行、1999年)に記載されている方法等に準じて行うことができる。
【0283】
[T-5工程]
化合物t6は、化合物t5より、上記A-13工程に記載されている方法に準じて製造することができる。
【0284】
[T-6工程]
化合物t7は、化合物t6より、上記A-14工程に記載の方法に準じて製造することができる。
【0285】
[T-7工程]
化合物t8は、化合物t7より、上記A-13工程に記載されている方法に準じて製造することができる。
【0286】
[T-8工程]
化合物t9は、化合物t8の保護基P及びPを脱保護することにより製造することができる。本工程は、Protective Groups in Organic Synthesis(TheodoraW.Greene, Peter G. M. Wuts著、John Wiley & Sons,Inc.発行、1999年)に記載されている方法、Tetrahedron Lett.45 (2004)495-499等に準じて行うことができる。また、(AA)がエステル又は保護されたアミノ基を有する場合、必要に応じて、本脱保護工程でエステルの加水分解及びアミノ基の保護基の脱保護を行なうこともできる。
【0287】
[T-9工程]
化合物T1は、化合物t9より、上記A-13又はA-16工程に記載されている方法に準じて製造することができる。
【0288】
[T-10工程]
化合物T2は、化合物T2より、上記A-19工程に記載の方法に準じて製造することができる。
【0289】
製造法U
化合物U1及び化合物U2は、Zが式(Za-10)で表される基である、式(1-2)で表される化合物である。化合物U1及び化合物U2は、例えば、下記の製法によって製造することができる。
【化64】

(式中、AA、h、Q、n及びR1aは項4に定義されるとおりであり、Pはアミノ基の保護基を表す。)
【0290】
[U-1工程]
化合物U1は、化合物c2より、上記A-18に記載されている方法に準じて製造することができる。
【0291】
[U-2工程]
化合物U2は、化合物U1より、上記A-13又はA-16に記載されている方法に準じて製造することができる。
【0292】
製造法W
化合物W1は、Zが式(Za-11)で表される基である、式(1-2)で表される化合物である。化合物W1は、例えば、下記の製法によって製造することができる。
【化65】

(式中、AA、h及びnは、項4に定義されるとおりであり、Pはアミノ基の保護基を表し、RはC1-6アルキル基を表す。)
【0293】
化合物w1は、例えば、市販品として購入できる。化合物a15は、例えば、製造法Aに記載の方法で製造できる。
【0294】
[W-1工程]
化合物w2は、化合物w1のアミノ基を、保護基Pで保護することにより製造することができる。本工程は、Protective Groups in Organic Synthesis(TheodoraW.Greene, Peter G. M. Wuts著、John Wiley & Sons,Inc.発行、1999年)に記載されている方法等に準じて行うことができる。
【0295】
[W-2工程]
化合物w3は、化合物w2より、上記A-13工程に記載されている方法に準じて製造することができる。
【0296】
[W-3工程]
化合物w4は、化合物w3より、上記A-14工程に記載されている方法に準じて製造することができる。
【0297】
[W-4工程]
化合物w5は、化合物w4より、上記A-13工程に記載されている方法に準じて製造することができる。
【0298】
[W-5工程]
化合物w6は、化合物w5の保護基Pを脱保護することにより製造することができる。本工程は、Protective Groups in Organic Synthesis(TheodoraW.Greene, Peter G. M. Wuts著、John Wiley & Sons,Inc.発行、1999年)に記載されている方法、Tetrahedron Lett.45 (2004)495-499等に準じて行うことができる。また、(AA)がエステル又は保護されたアミノ基を有する場合、必要に応じて、本脱保護工程でエステルの加水分解及びアミノ基の保護基の脱保護を行なうこともできる。
【0299】
[W-6工程]
化合物W1は、化合物w6より、上記A-13又は上記A-16工程に記載されている方法に準じて製造することができる。
【0300】
本発明の抗体薬物複合体の製造方法について以下に述べる。式(2-1)又は(2-2)で表される本発明の抗体薬物複合体は、例えば、下記の製造法J又は製造法Kにより製造することができる。
【0301】
製造法J
【化66】

(式中、mAb、q、b及びZは、項16に定義されるとおりであり、mAb’は、ジスルフィド結合を還元したmAbを表し、qqは1~8の整数を表す。)
【0302】
[J-1工程]
化合物j2は、化合物j1を、適当なジスルフィド還元剤と、適当な緩衝液中で、反応させることにより製造することができる。ジスルフィド還元剤としては、例えば、ジチオトレイトール、メルカプトエタノール、トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン等が挙げられ、好ましくはトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィンが挙げられる。緩衝液としては、Tris-HCl、PBS、HEPES、酢酸系、ホウ酸系、リン酸系、炭酸系緩衝液が挙げられ、好ましくは、Tris-HClやPBSが挙げられる。反応時のpHは、通常2~12であり、好ましくは4~9である。反応時間は、通常5分~24時間であり、好ましくは5分~5時間である。反応温度は、通常-10℃~50℃であり、好ましくは0℃~40℃である。
【0303】
[J-2工程]
化合物J1は、化合物j2と化合物j3を、適当な緩衝液中で、反応させることにより製造することができる。緩衝液としては、Tris-HCl、PBS、HEPES、酢酸系、ホウ酸系、リン酸系、炭酸系緩衝液が挙げられ、好ましくは、Tris-HClやPBSが挙げられる。反応時のpHは、通常2~12であり、好ましくは4~9である。反応時間は、通常5分~72時間であり、好ましくは30分~24時間である。反応温度は、通常-78℃~200℃であり、好ましくは0℃~25℃である。
【0304】
製造法K
【化67】

(式中、mAb、q、h及びZ’は、項19に定義されるとおりであり、mAb’は、ジスルフィド結合を還元したmAbを表し、qqは1~8の整数を表す。)
【0305】
[K-1工程]
化合物k2は、化合物k1より、上記J-1工程に記載の方法に準じて製造することができる。
【0306】
[K-2工程]
化合物K1は、化合物k2と化合物k3より、上記J-2工程に記載の方法に準じて製造することができる。
【0307】
上記に本発明のヘミアスタリン誘導体及び抗体薬物複合体の製造法を示している。しかし、これら以外の方法であっても、例えば、当業者に公知の方法を適宜組み合わせることによっても、本発明のヘミアスタリン誘導体及び抗体薬物複合体を製造することができる。
【0308】
製造法ZA
Zが式(Z-2)又は式(Z-3)で表される基であり、Qが無置換フェニル基又は式(Q-1)で表される基であり、nが0であり、R1aがメチル基であり、R1bが水素原子であり、Rが-OHである、式(1-1)で表される化合物は、例えば、下記の製法によって製造することができる。
【化68】

(式中、bは、項1に定義されるとおりであり、P、R及びgは、上記と同義である。)
【0309】
化合物za1及び化合物za4は、例えば、市販品として購入できる。
【0310】
[工程ZA-1]
化合物za2は、化合物za1より、製造法AのA-13工程に準じて製造することができる。
【0311】
[工程ZA-2]
化合物za3は、化合物za2より、製造法AのA-18工程に準じて製造することができる。
【0312】
[工程ZA-3]
化合物za5は、化合物za3と化合物za4を、製造法AのA-13工程に準じて製造することができる。
【0313】
[工程ZA-4]
化合物ZA1は、化合物za5のエステル基-COORを脱保護することにより製造することができる。本工程は、Protective Groups in Organic Synthesis(TheodoraW.Greene,Peter G. M. Wuts著、John Wiley & Sons,Inc.発行、1999年)に記載されている方法等に準じて行うことができる。
【0314】
製造法ZB
Zが式(Z-2)又は式(Z-3)で表される基であり、Qが無置換フェニル基又は式(Q-1)で表される基であり、nが0であり、R1aがメチル基であり、R1bが水素原子であり、Rが-OHである、式(1-1)で表される化合物は、例えば、下記の製法によって製造することができる。
【化69】

(式中、bは、項1に定義されるとおりであり、P、R及びgは、上記と同義である。)
【0315】
化合物zb1及び化合物zb4は、例えば、市販品として購入できる。
【0316】
[工程ZB-1]
化合物zb2は、化合物zb1より、製造法AのA-13工程に準じて製造することができる。
【0317】
[工程ZB-2]
化合物zb3は、化合物zb2の保護基を脱保護することにより製造することができる。本工程は、Protective Groups in Organic Synthesis(TheodoraW.Greene,Peter G. M. Wuts著、John Wiley & Sons,Inc.発行、1999年)に記載されている方法等に準じて行うことができる。
【0318】
[工程ZB-3]
化合物zb5は、化合物zb4より、製造法AのA-15工程に準じて製造することができる。
【0319】
[工程ZB-4]
化合物ZB1は、化合物zb5より、製造法AのA-16工程に準じて製造することができる。
【0320】
上記の各製造法の各工程において使用される適当な塩基は、反応や原料化合物の種類等によって適宜選択されるべきであるが、例えば、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム等の重炭酸アルカリ類;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の炭酸アルカリ類;水素化ナトリウム、水素化カリウム等の金属水素化物;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;ナトリウムメトキシド、ナトリウムt-ブトキシド等のアルカリ金属アルコキシド類;ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド等の有機金属塩基類;トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン(DBU)等の有機塩基類等が挙げられる。
【0321】
上記の各製造法の各工程において使用される適当な溶媒は、反応や原料化合物の種類等によって適時選択されるべきであるが、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類;アセトン、メチルケトン等のケトン類;塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類;テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン等のエーテル類;トルエン、ベンゼン等の芳香族炭化水素類;ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類;酢酸エチル、酢酸プロピル等のエステル類;N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N-メチル-2-ピロリドン等のアミド類;ジメチルスルホキシド(DMSO)等のスルホキシド類;アセトニトリル等のニトリル類;蒸留水等が挙げられ、これらの溶媒は単独又は2種類以上を混合して用いることができる。また、反応の種類によっては、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン等の有機塩基類を溶媒として用いてもよい。
【0322】
本発明のヘミアスタリン誘導体及び抗体薬物複合体は、当業者に公知の方法で分離、精製することができる。例えば、抽出、分配、再沈殿、カラムクロマトグラフィー(例えば、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、イオン交換カラムクロマトグラフィー若しくは分取液体クロマトグラフィー)又は再結晶等が挙げられる。
【0323】
再結晶溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、2-プロパノール等のアルコール系溶媒;ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒;酢酸エチル等のエステル系溶媒;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒;アセトン等のケトン系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン系溶媒;ヘキサン等の炭化水素系溶媒;ジメチルホルムアミドアセトニトリル等の非プロトン系溶媒;水;又はこれらの混合溶媒等を用いることができる。
【0324】
その他の精製方法としては、実験化学講座(日本化学会編、丸善)1巻等に記載されている方法等を用いることができる。また、本発明のヘミアスタリン誘導体及び抗体薬物複合体の分子構造の決定は、それぞれの原料化合物に由来する構造を参照して、核磁気共鳴法、赤外吸収法、円二色性スペクトル分析法等の分光学的手法、又は質量分析法により容易に行える。
【0325】
また、上記製造方法における中間体又は最終生成物は、その官能基を適宜変換すること、また特に、アミノ基、水酸基、カルボニル基、ハロゲン原子等を足がかりに種々の側鎖を伸張すること、及びその際に必要に応じて上記官能基の保護、脱保護を行うことによって、本発明に含まれる別の化合物へ導く事もできる。官能基の変換及び側鎖の伸張は、通常行われる一般的方法(例えば、Comprehensive Organic Transformations, R. C. Larock, John Wiley&Sons Inc.(1999)等を参照)によって行うことができる。
【0326】
本発明のヘミアスタリン誘導体及び抗体薬物複合体には、不斉が生じる場合又は不斉炭素を有する置換基を有する場合があり、そのような化合物にあっては光学異性体が存在する。光学異性体は通常の方法に従って製造することができる。製造方法としては、例えば、不斉点を有する原料を用いる方法又は途中の段階で不斉を導入する方法が挙げられる。例えば、光学異性体の場合、光学活性な原料を用いるか、製造工程の適当な段階で光学分割等を行うことで、光学異性体を得ることができる。光学分割法としては、例えば、本発明のヘミアスタリン誘導体及び抗体薬物複合体が、塩基性官能基を有する場合には、不活性溶媒中(例えば、メタノール、エタノール、2-プロパノール等のアルコール系溶媒;ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒;酢酸エチル等のエステル系溶媒;トルエン等の炭化水素系溶媒;アセトニトリル等の非プロトン系溶媒;又は上記溶媒から選択される2種以上の混合溶媒)で、光学活性な酸(例えば、マンデル酸、N-ベンジルオキシアラニン、乳酸等のモノカルボン酸;酒石酸、o-ジイソプロピリデン酒石酸、リンゴ酸等のジカルボン酸;カンファースルホン酸、ブロモカンファースルホン酸等のスルホン酸等)を用いて、塩を形成させるジアステレオマー法が挙げられる。本発明のヘミアスタリン誘導体又はその合成中間体が、カルボキシル等の酸性官能基を有する場合には、光学活性なアミン(例えば、1-フェニルエチルアミン、キニン、キニジン、シンコニジン、シンコニン、ストリキニーネ等の有機アミン)を用いて、塩を形成させることにより、光学分割を行うこともできる。
【0327】
塩を形成させる温度としては、-50℃から溶媒の沸点までの範囲が挙げられ、好ましくは0℃から沸点までの範囲が挙げられ、より好ましくは室温から溶媒の沸点までの範囲が挙げられる。光学純度を向上させるためには、一旦、溶媒の沸点付近まで温度を上げることが望ましい。析出した塩を濾取する際、必要に応じて冷却し、収率を向上させることができる。光学活性な酸又はアミンの使用量は、基質に対し約0.5~約2.0当量の範囲が挙げられ、好ましくは1当量前後の範囲が挙げられる。必要に応じて、結晶を不活性溶媒中(例えば、メタノール、エタノール、2-プロパノール等のアルコール系溶媒;ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒;酢酸エチル等のエステル系溶媒;トルエン等の炭化水素系溶媒;アセトニトリル等の非プロトン系溶媒;又は上記溶媒から選択される2種以上の混合溶媒)で再結晶し、高純度の光学活性な塩を得ることもできる。また、必要に応じて、光学分割した塩を通常の方法で酸又は塩基で処理し、フリー体として得ることもできる。
【0328】
上記の各々の製造法における原料又は中間体のうち、特にあらためてその製造法を記載しなかったものについては、市販化合物であるか、又は市販化合物から当業者に公知の方法若しくはそれに準じた方法によって合成することができる。
【0329】
本発明の医薬は、本発明の抗体薬物複合体又はその製薬学的に許容される塩を含有する。また、本発明の医薬組成物は、上記医薬を含有する。本発明の医薬及び医薬組成物は、抗がん剤(例えば、乳がん、胃がん、肺がん、肝臓がん、子宮頸がん、大腸がん、直腸がん、結腸がん、神経膠腫、リンパ腫、卵巣がん、膵がん、前立腺がん、腎がん、尿路上皮がん、皮膚がん、甲状腺がん、膀胱がん、頭頸部がん、子宮体がん、中皮腫、黒色腫、多発性骨髄腫、白血病等の治療薬)として有用である。
【0330】
本発明の抗体薬物複合体は、直接又は適当な剤形を用いて医薬として製剤化し、経口投与又は非経口投与により投与することができる。剤形は、例えば、液剤、懸濁剤、注射剤等が挙げられるがこれに限らない。これらの製剤は、薬学的に許容される添加剤を用いて、公知の方法で製造される。
【0331】
添加剤としては、目的に応じて、賦形剤、崩壊剤、結合剤、流動化剤、滑沢剤、コーティング剤、溶解剤、溶解補助剤、増粘剤、分散剤、安定化剤、甘味剤、香料等を用いることができる。具体的には、例えば、乳糖、マンニトール、結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、トウモロコシデンプン、部分α化デンプン、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ステアリン酸マグネシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、酸化チタン、タルク等が挙げられる。
【0332】
本発明の医薬と併用又は組み合わせることができる「抗がん性化合物」としては、例えば、抗がん性アルキル化剤、抗がん性代謝拮抗剤、抗がん性抗生物質、抗がん性白金配位化合物、抗がん性カンプトテシン誘導体、抗がん性チロシンキナーゼ阻害剤、抗がん性セリンスレオニンキナーゼ阻害剤、抗がん性リン脂質キナーゼ阻害剤、抗がん性モノクローナル抗体、インターフェロン、生物学的応答調節剤、ホルモン剤、免疫チェックポイント阻害剤、エピジェネティクス関連分子阻害剤、タンパク質翻訳後修飾阻害剤、及びその他抗腫瘍剤からなる群から選択される少なくとも1種以上の抗腫瘍剤が挙げられる。併用又は組み合わせることができる「抗がん性化合物」の具体例としては、例えば、アザシチジン、ボリノスタット、デシタビン、ロミデプシン、イダルビシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エノシタビン、シタラビン、ミトキサントロン、チオグアニン、エトポシド、イホスファミド、シクロフォスファミド、ダカルバジン、テモゾロミド、ニムスチン、ブスルファン、プロカルバジン、メルファラン、ラニムスチン、オールトランス型レチノイン酸、タミバロテン、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、イリノテカン、ブレオマイシン、マイトマイシンC、メトトレキサート、パクリタキセル、ドセタキセル、ゲムシタビン、タモキシフェン、チオテパ、テガフール、フルオロウラシル、エベロリムス、テムシロリムス、ゲフィチニブ、エルロチニブ、イマチニブ、クリゾチニブ、オシメルチニブ、アファチニブ、ダサチニブ、ボスチニブ、バンデタニブ、スニチニブ、アキシチニブ、パゾパニブ、レンバチニブ、ラパチニブ、ニロチニブ、イブルチニブ、セリチニブ、アレクチニブ、トファシチニブ、バリシチニブ、ルキソリチニブ、オラパリブ、ソラフェニブ、ベムラフェニブ、ダブラフェニブ、トラメチニブ、パルボシクリブ、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ、リツキシマブ、セツキシマブ、トラスツズマブ、ベバシズマブ、パニツムマブ、ニボルマブ、アテゾリズマブ、モガムリズマブ、アレムツズマブ、オファツムマブ、イピリムマブ、ラムシルマブ、ブレンツキシマブ ベドチン、トラスツズマブ エムタンシン、ゲムツズマブ オゾガマイシン、イノツズマブ オゾガマイシン等が挙げられる。
【0333】
以上より、本発明の医薬及び医薬組成物は、がんの治療に使用することができる。すなわち、本発明の1態様は、がんを患う対象に、本発明の医薬又は医薬組成物を投与することを含む、がんの治療方法であるともいえる。がんを患う対象は、ヒト患者であってもよいし、ヒト以外の動物であってもよい。
【実施例
【0334】
以下に本発明を、参考例、実施例及び試験例により、さらに具体的に説明するが、本発明はもとよりこれに限定されるものではない。なお、以下の参考例及び実施例において示された化合物名は、必ずしもIUPAC命名法に従うものではない。
【0335】
参考例及び実施例の化合物は、反応後の処理等の方法により、TFA塩等の酸付加塩として得られることもある。
【0336】
明細書の記載を簡略化するために参考例、実施例及び実施例中の表において以下に示すような略号を用いることもある。置換基として用いられる略号として、Meはメチル基、Etはエチル基、Bocはtert-ブトキシカルボニル基、Fmocは9-フルオレニルメチルオキシカルボニル基、trtはトリチル基、Phはフェニル基、Bnはベンジル基を意味する。TFAはトリフルオロ酢酸、THFはテトラヒドロフラン、TCEPはトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン、Tris-HClはトリスヒドロキシメチルアミノメタン塩酸塩、PBSはリン酸緩衝生理食塩水、HEPESは2-[4-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-1-イル]エタンスルホン酸、PIPESはピペラジン-1,4-ビス(2-エタンスルホン酸)を意味する。NMRに用いられる記号としては、sは一重線、dは二重線、ddは二重線の二重線、tは三重線、qは四重線、mは多重線、brは幅広い、brsは幅広い一重線、brdは幅広い二重線、brmは幅広い多重線、Jは結合定数を意味する。
【0337】
高速液体クロマト質量分析計;LCMSの測定条件は、以下の通りであり、観察された質量分析の値[MS(m/z)]を[M+nH]n+/n、[M+Na]、[M-nH]n-/nで、保持時間をRt(min)で示す。なお、各実測値においては、測定に用いた測定条件をA~D又はF~Hで付記する。
【0338】
測定条件A
検出機器:島津 LCMS-IT-TOF
Column:Phenomenex Kinetex(1.7μm C18,50mm×2.10mm)
Solvent:A液:0.1% HCOOH/CHCN、B液:0.1% HCOOH/H
Gradient Condition:
0.0分;A/B=1:99
0.0-1.4分 Linear gradient from A 1% to 95%
1.4-1.6分;A/B=95:5
1.6-2.0分;A/B=1:99
Flow rate:1.2mL/分
UV:220/254nm
カラム温度:40℃
【0339】
測定条件B
検出機器:島津 LCMS-IT-TOF
Column:Phenomenex Kinetex(1.7μm C18,50mm×2.10mm)
Solvent:A液:0.1% HCOOH/CHCN、B液:0.1% HCOOH/H
Gradient Condition:
0.0分;A/B=10:90
0.0-1.4分 Linear gradient from A 10% to 90%
1.4-1.6分;A/B=90:10
1.6-2.0分;A/B=10:90
Flow rate:1.2mL/分
UV:220/254nm
カラム温度:40℃
【0340】
測定条件C
検出機器:島津 LCMS-IT-TOF
Column:Phenomenex Kinetex(1.7μm C8,50mm×2.10mm)
Solvent:A液:0.1 % HCOOH/CHCN、B液:0.1% HCOOH/H
Gradient Condition:
0.0分;A/B=1:99
0.0-1.4分 Linear gradient from A 1% to 95%
1.4-1.6分;A/B=95:5
1.6-2.0分;A/B=1:99
Flow rate:1.2mL/分
UV:220/254nm
カラム温度:40℃
【0341】
測定条件D
検出機器:島津 LCMS-IT-TOF
Column:Phenomenex Kinetex(1.7μm C8,50mm×2.10mm)
Solvent:A液:0.1% HCOOH/CHCN、B液:0.1% HCOOH/H
Gradient Condition:
0.0分;A/B=10:90
0.0-1.4分 Linear gradient from A 10% to 90%
1.4-1.6分;A/B=90:10
1.6-2.0分;A/B=10:90
Flow rate:1.2mL/分
UV:220/254nm
カラム温度:40℃
【0342】
測定条件F
検出機器:ACQUITY(登録商標)SQdetecter(ウォーターズ社)
HPLC:ACQUITY(登録商標)system
Column:Waters ACQUITY UPLC(登録商標)BEH C18(1.7μm,2.1mm×30mm)
Solvent:A液:0.06%ギ酸/CHCN、B液:0.06%ギ酸/H
Gradient Condition:0.0-1.3min Linear gradient from A 2% to 96%
Flow rate:0.8mL/分
UV:220/254nm
カラム温度:25℃
【0343】
測定条件G
検出機器:島津 LCMS-IT-TOF
Column:Phenomenex Kinetex(1.7μm C8,50mm×2.10mm)
Solvent:A液:0.1% HCOOH/CHCN、B液:0.1% HCOOH/H
Gradient Condition:
0.0分;A/B=10:90
0.0-1.4分 Linear gradient from A 10% to 95%
1.4-1.6分;A/B=95:5
1.6-2.0分;A/B=10:90
Flow rate:1.2mL/分
UV:220/254nm
カラム温度:40℃
【0344】
測定条件H
検出機器:島津 LCMS-IT-TOF
Column:Phenomenex Kinetex(1.7μm C8,50mm×2.10mm)
Solvent:A液:0.1% HCOOH/CHCN、B液:0.1% HCOOH/H
Gradient Condition:
0.0分;A/B=40:60
0.0-1.4分 Linear gradient from A 40% to 95%
1.4-1.6分;A/B=95:5
1.6-2.0分;A/B=5:95
Flow rate:1.2mL/分
UV:220/254nm
カラム温度:40℃
【0345】
高速液体クロマトグラフ;平均薬物抗体比(平均DAR)を求める測定条件は、以下の通りであり、保持時間をRt(min)で示す。なお、各実測値においては、測定に用いた測定条件をE又はIで付記する。
【0346】
測定条件E
HPLC:Shimadzu LC-10A series
Column:nonporous TSKgel Butyl-NPR column(TosohBioscience,2.5μm,35mm×4.6mm)
Solvent:A液:1.5mol/L硫酸アンモニウム,25mmol/Lリン酸ナトリウム水溶液(pH6.95)、B液:25%イソプロパノール/25 mmol/Lリン酸ナトリウム水溶液(pH6.95)
Gradient Condition:
0.0分;A/B=100:0
0.0-12.0分 Linear gradient from B 0% to 100%
12.1-18.0分;A/B=100:0
Flowrate:0.8mL/分
UV:230nm
カラム温度:25℃
【0347】
測定条件I
HPLC:Shimadzu LC-10A series
Column:nonporous TSKgel Butyl-NPR column
(TosohBioscience,2.5μm,35mm×4.6mm)
Solvent:A液:1.5mol/L硫酸アンモニウム,25mmol/Lリン酸ナトリウム水溶液(pH6.95)、B液:25%イソプロパノール/25mmol/Lリン酸ナトリウム水溶液(pH6.95)
Gradient Condition:
0.0分;A/B=100:0
0.0-24.0分 Linear gradient from B 0% to 100%
24.1-30.0分;A/B=100:0
Flow rate:0.8mL/分
UV:230nm
カラム温度:25℃
【0348】
参考例1
tert-ブチル(6S,9S,12S,13E,17R)-9-tert-ブチル-17-(3-{[2-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロ-ル-1-イル)エチル]アミノ}-3-オキソプロピル)-2,2,5,11,14-ペンタメチル-6-[2-(1-メチル-1H-インドール-3-イル)プロパン-2-イル]-4、7、10、15-テトラオキソ-12-(プロパン-2-イル)-3-オキソ-5,8,11,16-テトラアザオクタデカ-13-エン-18-カルボン酸エステル
【化70】
【0349】
a)メチル 2-(1-メチル-1H-インドール-3-イル)プロパノエート(化合物A1)の製造
窒素雰囲気下、-78℃のインドール-3-酢酸メチルエステル(3.8g)のテトラヒドロフラン(87mL)溶液にカリウムヘキサメチルジシラジド(1mol/Lテトラヒドロフラン溶液、65.5mL)を滴下した後、0℃で2時間撹拌した。反応液を-78℃に冷却後、ヨウ化メチル(23g)を滴下した後、0℃で3時間撹拌した。反応終了後、水を加え、ジエチルエーテルで抽出した。有機層を、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;ヘキサン:酢酸エチル)で精製することにより化合物A1(3.95g)を得た。
1H-NMR(400MHz, CDCl3):1.60 (3H, d, J =7.1 Hz),3.67 (3H, s), 3.76 (3H, s), 4.02(1H, q, J = 7.1 Hz), 7.00 (1H, s),7.12 (1H, t,J = 7.8 Hz), 7.23 (1H, t,J = 7.8Hz), 7.29 (1H, d,J = 7.8 Hz),7.66(1H, d, J= 7.8Hz).
【0350】
b)メチル 2-メチル-2-(1-メチル-1H-インドール-3-イル)プロパノエート(化合物A2)の製造
窒素雰囲気下、-78℃の化合物A1(3.94g)のテトラヒドロフラン(200mL)溶液にカリウムヘキサメチルジシラジド(1mol/Lテトラヒドロフラン溶液、27.7mL)を滴下した後、0℃で2時間撹拌した。反応液を-78℃に冷却後、ヨウ化メチル(15.4g)を滴下した後、0℃で3時間撹拌した。反応終了後、水を加え、ジエチルエーテルで抽出した。有機層を、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;ヘキサン:酢酸エチル)で精製することにより化合物A2(3.59g)を得た。
1H-NMR(400MHz, CDCl3):1.66 (6H,s), 3.61 (3H,s), 3.73 (3H,s), 6.91 (1H,s), 7.06(1H, t,J = 8.0 Hz), 7.19 (1H, t,J = 8.0 Hz), 7.27 (1H,d,J = 8.0 Hz), 7.61 (1H,d,J =7.9 Hz).
【0351】
c)2-メチル-2-(1-メチル-1H-インドール-3-イル)プロパン-1-オール(化合物A3)の製造
窒素雰囲気下、-78℃の化合物A2(3.59g)のジエチルエーテル(169mL)及びジクロロメタン(47mL)溶液に水素化ジイソブチルアルミニウム(1mol/L n-ヘキサン溶液、38.8mL)を滴下した後、0℃で1時間撹拌した。反応終了後、水を加えた後、25℃の反応混合物を、飽和酒石酸カリウムナトリウム水溶液を加えた後、ジエチルエーテルで抽出した。有機層を、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;ヘキサン:酢酸エチル)で精製することにより化合物A3(3.14g)を得た。
1H-NMR(400MHz, CDCl3):1.42 (6H,s), 3.74 (3H,s), 3.77 (2H,s), 6.87 (1H,s), 7.07(1H,t, J = 7.9 Hz), 7.20 (1H,t, J = 7.9 Hz), 7.29(1H,d, J = 8.0 Hz), 7.75(1H,d,J = 8.0 Hz).
【0352】
d)2-メチル-2-(1-メチル-1H-インドール-3-イル)プロパナール(化合物A4)の製造
窒素雰囲気下、化合物A3(3.14g)、過ルテニウム酸テトラプロピルアンモニウム(271mg)、N-メチルモルホリン-N-オキシド(3.26g)及びモレキュラーシーブ4A(7.7g)のジクロロメタン(110mL)混合溶液を、25℃で1時間撹拌した。反応終了後、セライトにて濾過後、溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;ヘキサン:酢酸エチル)で精製することにより化合物A4(2.4g)を得た。
1H-NMR(400MHz, CDCl3):1.53 (6H,s), 3.77 (3H,s), 6.94 (1H,s), 7.07 (1H,t, J =8.0 Hz), 7.22 (1H,t, J = 8.0 Hz), 7.30 (1H,d, J = 8.0 Hz), 7.53(1H,d, J = 8.0Hz), 9.47 (1H,s).
【0353】
e)(2S)-2-{[(1R)-2-ヒドロキシ-1-フェニルエチル]アミノ}-3-メチル-3-(1-メチル-1H-インドール-3-イル)ブタンニトリル(化合物A5)の製造
窒素雰囲気下、化合物A4(2.4g)及び(R)-(-)-2-フェニルグリシノール(1.63g)のトルエン(47mL)溶液を1.5時間加熱還流し、ディーン・スターク装置で水を留去した後、溶媒を留去した。窒素雰囲気下、残渣に0℃のジクロロメタン(69mL)を加えた後、トリメチルシリルシアニド(2.36g)を加え、25℃で96時間撹拌した。反応溶液にフッ化テトラ-n-ブチルアンモニウム(1mol/Lテトラヒドロフラン溶液、1mL)を加え、さらに30分間撹拌した後、水を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;ヘキサン:酢酸エチル)で精製することにより化合物A5(2.74g)を得た。
1H-NMR(400MHz, CDCl3):1.64 (3H,s), 1.65 (3H,s), 3.49-3.55 (1H,m), 3.73 (1H,dd,J = 10.9, 4.2 Hz), 3.79 (1H,s), 3.80 (3H,s), 4.05 (1H,dd, J = 7.9, 3.6 Hz),6.96-7.00 (2H,m), 7.11(2H,d, J = 8.0 Hz), 7.21-7.40 (6H,m).
【0354】
f)Nα-[(1R)-2-ヒドロキシ-1-フェニルエチル]-β,β,1-トリメチル-L-トリプトファンアミド(化合物A6)の製造
化合物A5(2.74g)、ジメチルスルホキシド(6.16g)及び炭酸カリウム(10.9g)のメタノール(50mL)及び水(2.1mL)懸濁液に30%過酸化水素水(8.94mL)を0℃で加えた後、45℃で1.5時間撹拌した。反応終了後、飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を、水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;クロロホルム:メタノール)で精製することにより化合物A6(2.32g)を得た。
1H-NMR(400MHz, CDCl3):1.49 (3H,s),1.51 (3H, s), 2.06-2.14 (1H, br), 2.37(1H,dd, J = 6.0, 6.0 Hz), 3.44-3.50 (1H, m),3.50-3.54 (1H, m), 3.56-3.63(m,2H), 3.75 (3H, s), 5.52 (1H, brs), 6.14 (1H, brs), 6.71-6.73 (2H, m),6.81-6.85(2H, m), 6.97-7.00 (2H, m), 7.10-7.18 (2H, m), 7.24-7.28 (2H, m).
【0355】
g)β,β,1-トリメチル-L-トリプトファンアミド(化合物A7)の製造
化合物A6(2.32g)のメタノール(65mL)溶液に水酸化パラジウム/炭素(2.8g)を加え、水素雰囲気下、室温にて3時間攪拌した。セライトにて濾過後、溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;クロロホルム:メタノール)で精製することにより化合物A7(1.27g)を得た。
1H-NMR(400MHz, DMSO-d6):1.24 (2H, brs), 1.28 (3H, s), 1.42(3H, s), 3.68 (1H,s), 3.71 (3H, s), 6.93-7.00 (2H, m), 7.06 (1H, s), 7.11 (1H,t, J = 7.7 Hz),7.29 (1H, brs), 7.36 (1H, d, J = 8.3 Hz), 7.88 (1H, d, J = 8.2Hz).
【0356】
h)Nα-(tert-ブトキシカルボニル)-β,β,1-トリメチル-L-トリプトファンアミド(化合物A8)の製造
化合物A7(1.27g)、炭酸水素ナトリウム(522mg)、ジ-tert-ブチルジカルボネート(1.35g)、テトラヒドロフラン(13mL)、クロロホルム(13mL)及び水(6.5mL)の混合液を25℃にて16時間攪拌した。反応終了後、水を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;クロロホルム:メタノール)で精製することにより化合物A8(1.80g)を得た。
1H-NMR(400MHz, CDCl3):1.33 (3H, s), 1.47 (9H, s),1.50 (3H, s), 3.73 (3H, d, J= 1.3 Hz), 4.51 (1H, brs), 4.86 (1H, brs), 5.02(1H, brd, J = 8.2 Hz), 5.59 (1H,brd, J = 6.4 Hz), 6.83 (1H, d, J = 1.8 Hz),7.15 (1H, t, J = 7.3 Hz), 7.21-7.25(1H, m), 7.30 (1H, d, J = 8.2 Hz), 8.05(1H, brd, J = 7.3 Hz).
LC-MS:346 (M+H)+ (1.211 min,測定条件A).
【0357】
i)N,N,Nα-トリス(tert-ブトキシカルボニル)-β,β,1-トリメチル-L-トリプトファンアミド(化合物A9)の製造
化合物A8(1.79g)、ジ-tert-ブチルジカルボネート(2.8g)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(2.68g)、4-ジメチルアミノピリジン(0.19g)及びクロロホルム(20mL)の混合液を25℃にて2.5時間撹拌した。反応終了後、水を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;ヘキサン:酢酸エチル)で精製することにより化合物A9(1.99g)を得た。
1H-NMR(400MHz, CDCl3):1.08-1.58 (33H, m), 3.70(3H, s), 4.67-4.90 (0.2H, m),5.25-5.45 (0.8H, m), 6.00-6.03 (1H, m), 6.81-6.87(1H, m), 7.04-7.09 (1H, m),7.13-7.18 (1H. m), 7,21-7,27 (1H, m), 7.91-7.94(1H, m).
LC-MS:546 (M+H)+ (1.630 min,測定条件A)
【0358】
j)メチル N-(tert-ブトキシカルボニル)-β,β,1-トリメチル-L-トリプトファンエート(化合物A10)の製造
窒素雰囲気下、化合物A9(2.29g)のメタノール溶液(21mL)に、リチウムメトキシド(176mg)を0℃で加えた後、25℃にて2時間撹拌した。反応終了後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;ヘキサン:酢酸エチル)で精製することにより化合物A10(927mg)を得た。
1H-NMR(400MHz, CDCl3): 1.17-1.59 (15H, m), 3.45 and 3.58 (3H, 2brs), 3.71(3H,s), 4.56-4.73 (1.2H, m), 5.06 (0.8H, brd, J = 7.3 Hz), 6.81-6.82 (1H,m),7.05-7.10 (1H, m), 7.16-7.21 (1H, m), 7.24-7.29 (1H, m), 7.73-7.80 (1H, m).
LC-MS: 361 (M+H)+ (1.379min, 測定条件A).
【0359】
k)メチル N-(tert-ブトキシカルボニル)-N,β,β,1-テトラメチル-L-トリプトファナート(化合物A11)の製造
窒素雰囲気下、化合物A10(927mg)のN,N-ジメチルホルムアミド溶液(13mL)に、60%含有水素化ナトリウム(168mg)を0℃で加えた後、25℃にて15分撹拌した。反応懸濁液を0℃にした後、ヨウ化メチル(1.1g)を加え、その後、25℃にて1時間撹拌した。反応終了後、水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;ヘキサン:酢酸エチル)で精製することにより化合物A11(915mg)を得た。
1H-NMR(400 MHz, CDCl3):1.42(9H, s), 1.52 and 1.64 (6H, 2s), 2.80 and 2.86(3H, 2s), 3.46 (3H, s), 3.71 (3H,s), 5.27 and 5.52 (1H, 2s), 6.85 (1H, s),7.07-7.27(3H, m), 7.78 and 7.92 (1H,2d, J = 7.88 Hz).
LC-MS: 397 (M+Na)+ (1.406min, 測定条件B)
【0360】
l)N-(tert-ブトキシカルボニル)-N,β,β,1-テトラメチル-L-トリプトファン(化合物A12)の製造
化合物A11(639mg)の水(11mL)-メタノール(44mL)溶液に、1mol/L水酸化リチウム(13.5mL)を加え、60℃にて24時間撹拌した。反応終了後、1mol/Lシュウ酸水溶液を加え、反応溶液をpH4にした後、水を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;クロロホルム:メタノール)で精製することにより化合物A12(610mg)を得た。
1H-NMR(400MHz, CDCl3):1.43 (9H, s), 1.53 (3H, s), 1.63 (3H, s), 2.76 and2.89(3H, 2s), 3.71 (3H, s), 5.36 and 5.44 (1H, 2s), 6.85 and 6.87 (1H,2s),7.02-7.11 (1H, m), 7.18 (1H, t, J = 7.3 Hz), 7.24-7.27 (1H, m), 7.81 and7.96 (1H,2d, J = 7.9 Hz).
LC-MS: 361 (M+H)+, 359 (M-H)-(1.300min, 測定条件A).
【0361】
m)N-(tert-ブトキシカルボニル)-N,β,β,1-テトラメチル-L-トリプトフイル-N-[(3S,4E)-6-エトキシ-2,5-ジメチル-6-オキソヘキサ-4-エン-3-イル]-N,3-ジメチル-L-バリンアミド(化合物A13)の製造
化合物A12(500mg)、エチル(2E,4S)-2,5-ジメチル-4-[メチル(3-メチル-L-バリル)アミノ]ヘキサ-2-エノエート(520mg)、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(399mg)、1-ヒドロキシ-1H-ベンゾトリアゾール・1水和物(425mg)及びN,N-ジメチルホルムアミド(5mL)の混合液を、25℃にて16時間撹拌した。反応終了後、水を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;ヘキサン:酢酸エチル)で精製することにより化合物A13(759mg)を得た。
LC-MS: 655 (M+H)+ (1.714min, 測定条件A)
【0362】
n)N-(tert-ブトキシカルボニル)-N,β,β,1-テトラメチル-L-トリプトフイル-N-[(3S,4E)-5-カルボキシ-2-メチルヘキサ-4-エン-3-イル]-N,3-ジメチル-L-バリンアミド(化合物A14)の製造
化合物A13(127mg)の水(1.55mL)-メタノール(4.65mL)溶液に、1mol/L水酸化リチウム(1.65mL)を加え、25℃にて24時間撹拌した。反応終了後、1mol/Lシュウ酸水溶液を加え、反応溶液をpH4にした後、水を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;クロロホルム:メタノール)で精製することにより化合物A14(93mg)を得た。
LC-MS: 627 (M+H)+ (1.508min, 測定条件A)
【0363】
o)N-(tert-ブトキシカルボニル)-N,β,β,1-テトラメチル-L-トリプトフイル-N-{(3S,4E)-6-[(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)オキシ]-2、5-ジメチル-6-オキソヘキサ-4-エン-3-イル}-N,3-ジメチル-L-バリンアミド(化合物A15)の製造
化合物A14(185mg)、N-ヒドロキシスクシンイミド(97mg)、ブロモトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスファート(391mg)、4-ジメチルアミノピリジン(102mg)、N、N-ジイソプロピルエチルアミン(108mg)及びN,N-ジメチルホルムアミド(2.8mL)の混合液を、25℃にて4時間撹拌した。反応終了後、水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;クロロホルム:メタノール)で精製することにより化合物A15(166mg)を得た。
1H-NMR(400MHz, CDCl3): 8.27 and 7.96 (1H, 2d, J = 7.9 Hz), 7.16-7.04 (4H,m),6.88 (1H, d, J = 9.1 Hz), 6.17 and 6.09 (1H, 2d, J = 8.5 Hz), 5.96 and 5.66(1H,2s), 5.07 (1H, t, J = 9.3 Hz), 4.45 and 3.87 (1H, 2d, J = 8.6 Hz), 3.74and 3.73(3H, 2s), 2.99 (3H, s), 2.95 (3H, s), 2.83 (4H, brs), 1.97 (3H, s),1.92-1.86(1H, m), 1.57-1.42 (14H, m), 0.89 (3H, d, J = 6.1 Hz), 0.83-0.80 (3H,m), 0.48and 0.41 (9H, 2s).
LC-MS: 724 (M+H)+ (1.573min, 測定条件A)
【0364】
p)(6S,9S,12S,13E,17R)-17-(tert-ブトキシカルボニル)-9-tert-ブチル-2,2,5,11,14-ペンタメチル-6-[2-(1-メチル-1H-インドール-3-イル)プロパン-2-イル]-4、7,10,15-テトラオキソ-12-(プロパン-2-イル)-3-オキサ-5,8,11,16-テトラアザイコサ-13-エン-20-カルボン酸(化合物A16)の製造
化合物A15(30mg)、D-グルタミン酸 α-tert-ブチルエステル塩酸塩(10.7mg)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(49.7mg)及びN,N-ジメチルホルムアミド(1.0mL)の混合液を、25℃にて3時間撹拌した。反応終了後、水を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;クロロホルム:メタノール)で精製することにより化合物A16(14.2mg)を得た。
LC-MS 834 (M+Na)+ (1.574min, 測定条件D)
【0365】
q)tert-ブチル(6S,9S,12S,13E,17R)-9-tert-ブチル-17-(3-{[2-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロ-ル-1-イル)エチル]アミノ}-3-オキソプロピル)-2,2,5,11,14-ペンタメチル-6-[2-(1-メチル-1H-インドール-3-イル)プロパン-2-イル]-4,7,10,15-テトラオキソ-12-(プロパン-2-イル)-3-オキサ-5,8,11,16-テトラアザオクタデカ-13-エン-18-カルボン酸エステル(参考例1)の製造
化合物A16(14mg)、N-(2-アミノエチル)マレイミド塩酸塩(3.0mg)、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(6.6mg)、1-ヒドロキシ-1H-ベンゾトリアゾール・1水和物(5.2mg)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(4.4mg)及びN,N-ジメチルホルムアミド(0.5mL)の混合液を、25℃にて2時間撹拌した。反応終了後、水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;クロロホルム:メタノール)で精製することにより参考例1(11.6mg)を得た。
LC-MS: 934 (M+H)+ (1.597min, 測定条件D)
【0366】
参考例2
N-(tert-ブトキシカルボニル)-N,β,β-トリメチル-L-フェニルアラニル-N-{(3S,4E)-6-[(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)オキシ]-2、5-ジメチル-6-オキソヘキサ-4-エン-3-イル}-N,3-ジメチル-L-バリンアミド
【化71】
【0367】
a)3-メチル-3-フェニルブタン酸(化合物J1)の製造
3-メチル-2-ブテン酸(15g)のベンゼン(100mL)溶液に、10℃にて塩化アルミニウム(24.1g)を加え、30分撹拌した後、40℃で1時間撹拌した。0℃に冷却後、氷水を加え、tert-ブチルメチルエーテルで抽出し、ある程度濃縮し、有機層を飽和炭酸水素化ナトリウム水溶液で抽出した。水層を濃塩酸でpH2にし、tert-ブチルメチルエーテルで抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去し、化合物J1(26.3g)を得た。
1H-NMR(400MHz, CDCl3):1.46 (6H, s), 2.65 (2H, s),7.20 (1H, t, J = 7.2 Hz),7.31 (1H, t, J = 7.2 Hz), 7.37 (2H, d, J = 7.2 Hz).
【0368】
b)(4S)-3-(3-メチル-3-フェニルブタノイル)-4-(プロパン-2-イル)-1,3-オキサゾリジン-2-オン(化合物J2)の製造
化合物J1(17.2g)のTHF溶液(900mL)に、-78℃でトリエチルアミン(23.7mL)及びピバロイルクロリド(15.3mL)を加えた。0℃に昇温して1時間撹拌した。別途、(S)-イソプロピルオキサゾリジノン(19.5g)のTHF溶液(760mL)に、-78℃でn-ブチルリチウム(1.64mol/Lヘキサン溶液89.8mL)を加え、30分撹拌し、リチウム塩を調製した。先の反応液を-78℃にし、リチウム塩を滴下し、1時間撹拌した後、0℃に昇温し、さらに30分撹拌した後、水を加え、tert-ブチルメチルエーテルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;ヘキサン:tert-ブチルメチルエーテル)で精製し、化合物J2(27.0g)を得た。
1H-NMR(400MHz, CDCl3):0.723 (3H, d, J = 6.8 Hz),0.80 (3H, d, J = 6.8 Hz), 1.49(s, 6H), 2.13-2.18 (m, 1H), 3.36 (s, 3H),3.99-4.09 (m, 2H), 4.20-4.23 (m, 1H),7.16-7.20 (m, 1H), 7.28-7.32 (m, 2H),7.38-7.40 (m, 2H).
【0369】
c)(4S)-3-[(2S)-2-アジド-3-メチル-3-フェニルブタノイル]-4-(プロパン-2-イル)-1,3-オキサゾリジン-2-オン(化合物J3)の製造
化合物J2(27.0g)のTHF懸濁液(560mL)に、-78℃に冷却し、カリウムヘキサメチルジシラジド(1.06mol/Lテトラヒドロフラン溶液、99.5mL)を加え、1.5時間した。-78℃の2,4,6-トリイソプロピルベンゼンスルホニルアザイド(40g)のTHF溶液(330mL)を加え、10分後、酢酸(24.5mL)を加え、40℃に昇温し、1時間撹拌した。飽和食塩水を加え、tert-ブチルメチルエーテルで抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄した後、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;ヘキサン:クロロホルム)にて精製し、化合物J3(16.4g)を得た。
1H-NMR(400MHz, CDCl3):0.80 (3H, d, J = 6.8 Hz),0.84 (3H, d, J = 7.2 Hz), 1.54(3H, s), 1.56 (3H, s), 2.28-2.33 (1H, m),3.54-3.59 (1H, m), 3.87-3.90 (1H, m),3.95-3.98 (1H, m), 5.66 (1H, s),7.23-7.420 (5H, m).
【0370】
d)tert-ブチル{(2S)-3-メチル-1-オキソ-1-[(4S)-2-オキソ-4-(プロパン-2-イル)-1,3-オキサゾリジン-3-イル]-3-フェニルブタン-2-イル}カルバメート(化合物J4)の製造
化合物J3(16.4g)の酢酸エチル溶液(1200mL)に、ジ-tert-ブチルジカルボネート(24.0g)及び10%Pd-C(11.6g、50%ウェット)を加え、水素雰囲気下、2時間撹拌した。セライトろ過し、酢酸エチルで洗浄した。溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;ヘキサン:tert-ブチルメチルエーテル)にて精製し、化合物J4(16.1g)を得た。
1H-NMR(400MHz, CDCl3):0.77 (3H, d, J = 6.8 Hz),0.82 (3H, d, J = 6.8 Hz), 1.42(3H, s), 1.43 (9H, s), 1.48 (3H, s), 2.20-2.29(1H, m), 3.45 (1H, t, J = 8.8Hz), 3.80-3.83 (1H, m), 3.89-3.92 (1H, dd, J =2.0 Hz, J = 8.4 Hz), 5.16 (1H,brs), 6.13 (1H, d, J = 9.6 Hz), 7.21-7.26 (1H,m), 7.29-7.33 (2H, m). 7.42 (2H,d, J = 7.2 Hz).
【0371】
e)N-(tert-ブトキシカルボニル)-β,β-ジメチル-L-フェニルアラニン(化合物J5)の製造
化合物J4(16.1g)のTHF(468mL)及び水(117mL)溶液に、0℃にて30%過酸化水素水(32.5mL)及び水酸化リチウム水溶液(1mol/L,119mL)を加え、25℃に昇温し、3時間撹拌した。0℃にて硫酸水素ナトリウム水溶液(1.5mol/L,470mL)を加え、25℃に昇温し、1時間撹拌した。クエン酸水溶液(1mol/L)でpH3にし、tert-ブチルメチルエーテルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、化合物J5(14.2g)を得た。
1H-NMR(400MHz, CDCl3):1.38 (9H, s), 1.44 (3H, s),1.46 (3H, s), 4.56 (1H, brd,J = 11.6 Hz), 4.94 (1H, brd, J = 14.4 Hz),7.21-7.38 (5H, m).
【0372】
f)メチル N-(tert-ブトキシカルボニル)-β,β-ジメチル-L-フェニルアラニンエステル(化合物J6)の製造
化合物J5(14.2g)のN,N-ジメチルホルムアミド溶液(84mL)に、炭酸ナトリウム(8.44g)及びヨウ化メチル(9.91mL)を加え、25℃で15時間撹拌した。0℃に冷却後、冷水を加え、tert-ブチルメチルエーテルで抽出し、得られた有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;ヘキサン:tert-ブチルメチルエーテル)で精製し、化合物J6(11.1g)を得た。
1H-NMR(400MHz, CDCl3):1.36 (9H, s), 1.37 (3H, s),1.41 (3H, s), 3.48 (3H, brs),4.49 (1H, brd, J = 9.8 Hz), 4.98 (1H, brd, J =9.1 Hz), 7.18-7.22 (1H, m),7.27-7.33 (4H, m).
【0373】
g)メチル N-(tert-ブトキシカルボニル)-N,β,β-トリメチル-L-フェニルアラニンエステル(化合物J7)の製造
参考例1-k)と同様の手法で、化合物J6(307mg)から化合物J7(245mg)を得た。
LC-MS: 344 (M+Na)+ (1.589min, 測定条件C)
【0374】
h)N-(tert-ブトキシカルボニル)-N,β,β-トリメチル-L-フェニルアラニン(化合物J8)の製造
参考例1-l)と同様の手法で、化合物J7(235mg)から化合物J8(195mg)を得た。
LC-MS: 330 (M+Na)+ (1.420min, 測定条件C)
【0375】
i)N-(tert-ブトキシカルボニル)-N,β,β-トリメチル-L-フェニルアラニル-N-[(3S,4E)-6-エトキシ-2,5-ジメチル-6-オキソヘキサ-4-エン-3-イル]-N,3-ジメチル-L-バリンアミド(化合物J9)の製造
参考例1-m)と同様の手法で、化合物J8(195mg)から化合物J9(307mg)を得た。
LC-MS: 624 (M+Na)+ (1.797min, 測定条件C)
【0376】
j)N-(tert-ブトキシカルボニル)-N,β,β-トリメチル-L-フェニルアラニル-N-[(3S,4E)-5-カルボキシ-2-メチルヘキサ-4-エン-3-イル]-N,3-ジメチル-L-バリンアミド(化合物J10)の製造
参考例1-n)と同様の手法で、化合物J9(307mg)から化合物J10(286mg)を得た。
LC-MS: 596 (M+Na)+, 572(M-H)-(1.596 min, 測定条件C)
【0377】
k)N-(tert-ブトキシカルボニル)-N,β,β-トリメチル-L-フェニルアラニル-N-{(3S,4E)-6-[(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)オキシ]-2、5-ジメチル-6-オキソヘキサ-4-エン-3-イル}-N,3-ジメチル-L-バリンアミド(参考例2)の製造
参考例1-o)と同様の手法で、化合物J10(286mg)から参考例2(227mg)を得た。
LC-MS: 693 (M+Na)+ (1.658min, 測定条件C)
【0378】
参考例3
ジ-tert-ブチル(6S,9S,12S,13E,17R,22R)-9-tert-ブチル-28-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)-2,2,5,11,14-ペンタメチル-6-[2-(1-メチル-1H-インドール-3-イル)プロパン-2-イル]-4,7,10,15,20,25-ヘキサオキソ-12-(プロパン-2-イル)-3-オキサ-5,8,11,16、21、26-ヘキサアザオクタコサ-13-エン-17、22-カルボン酸ジエステル
【化72】
【0379】
a)tert-ブチル(6S,9S,12S,13E,17R)-9-tert-ブチル-17-{3-[(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)オキシ]-3-オキソプロピル}-2,2,5,11,14-ペンタメチル-6-[2-(1-メチル-1H-インドール-3-イル)プロパン-2-イル]-4,7,10,15-テトラオキソ-12-(プロパン-2-イル)-3-オキサ-5,8,11,16-テトラアザオクタデカ-13-エン-18-カルボン酸エステル(化合物C1)の製造
参考例1-o)と同様の手法で製造を行い、化合物A16(90.2mg)から化合物C1(51.8mg)を得た。
LC-MS: 931 (M+Na)+ (1.662min, 測定条件D)
【0380】
b)(6S,9S,12S,13E,17R,22R)-17,22-ビス(tert-ブトキシカルボニル)-9-tert-ブチル-2,2,5,11,14-ペンタメチル-6-[2-(1-メチル-1H-インドール-3-イル)プロパン-2-イル]-4,7,10,15,20-ペンタオキソ-12-(プロパン-2-イル)-3-オキサ-5,8,11,16,21-ペンタアザペンタコサ-13-エン-25-カルボン酸(化合物C2)の製造
参考例1-p)と同様の手法で製造を行い、化合物C1(51.8mg)から化合物C2(40mg)を得た。
LC-MS: 1019 (M+Na)+ (1.422min, 測定条件D)
【0381】
c)ジ-tert-ブチル(6S,9S,12S,13E,17R,22R)-9-tert-ブチル-28-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)-2,2,5,11,14-ペンタメチル-6-[2-(1-メチル-1H-インドール-3-イル)プロパン-2-イル]-4,7,10,15,20,25-ヘキサオキソ-12-(プロパン-2-イル)-3-オキサ-5,8,11,16,21,26-ヘキサアザオクタコサ-13-エン-17、22-カルボン酸ジエステル(参考例3)の製造
参考例1-q)と同様の手法で製造を行い、化合物C2(40mg)から参考例3(14mg)を得た。
LC-MS: 1141 (M+Na)+ (1.618min, 測定条件D)
【0382】
参考例4
N-{(2E,4S)-2,5-ジメチル-4-[メチル(N,β,β,1-テトラメチル-L-トリプトフイル-3-メチル-L-バリル)アミノ]ヘキサ-2-エノイル}-D-γ-グルタミル-L-リシン
【化73】
【0383】
a)(6S,9S,12S,13E,17R)-9-tert-ブチル-17-(エトキシカルボニル)-2,2,5,11,14-ペンタメチル-6-[2-(1-メチル-1H-インドール-3-イル)プロパン-2-イル]-4,7,10,15-テトラオキソ-12-(プロパン-2-イル)-3-オキサ-5,8,11,16-テトラアザイコサ-13-エン-20-カルボン酸(化合物D1)の製造
化合物A15(160mg)、α-エチル D-グルタミン酸エステル・トリフルオロ酢酸塩(122mg)、N、N-ジイソプロピルエチルアミン(100mg)及びN,N-ジメチルホルムアミド(2.2mL)の混合液を、25℃にて6時間撹拌した。反応終了後、1mol/Lシュウ酸水溶液でpH4にし、クロロホルムで抽出した。有機層を水と飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;クロロホルム:メタノール)で精製することにより化合物D1(155mg)を得た。
1H-NMR(400MHz, CDCl3): 8.26 and 7.97 (1H, 2d, J = 7.9 Hz), 7.32-7.05 (4H,m),6.71 (1H, t, J = 6.7 Hz), 6.45 (1H, d, J = 8.6 Hz), 6.31-6.26 (1H, m), 5.95and5.63 (1H, 2s), 4.94-4.82 (1H, m), 4.64-4.59 (1H, m), 4.51 and 4.41 (1H, 2d,J =9.1 Hz), 4.21 (2H, q, J = 7.3 Hz), 3.75 and 3.74 (3H, 2s), 3.00 (3H, s),2.97and 2.95 (3H, 2s), 2.52-2.38 (2H, m), 2.29-2.20 (1H, m), 2.10-2.00 (1H,m),1.98-1.90 (1H, m), 1.90 (3H, s), 1.57-1.45 (14H, m), 1.28 (3H, t, J = 7.3Hz),0.88 (3H, d, J = 6.1 Hz), 0.82 (3H, d, J = 6.7 Hz), 0.53 and 0.46 (9H,2s).
LC-MS 784 (M+H)+, 782 (M-H)-(1.472 min, 測定条件A)
【0384】
b)17-エチル 22-メチル(6S,9S,12S,13E,17R、22S)-9-tert-ブチル-2,2,5,11,14,30,30-ヘプタメチル-6-[2-(1-メチル-1H-インドール-3-イル)プロパン-2-イル]-4,7,10,15,20,28-ヘキサオキソ-12-(プロパン-2-イル)-3,29-ジオキサ-5,8,11,16,21,27-ヘキサアザヘントリアコンタ-13-エン-17,22-ジカルボン酸エステル(化合物D2)の製造
参考例1-m)と同様の手法で、化合物D1(20mg)から化合物D2(13mg)を得た。
LC-MS: 1026 (M+H)+ (1.597min, 測定条件D)
【0385】
c)14-エチル 19-メチル(3S,6S,9S,10E,14R、19S)-23-アミノ-6-tert-ブチル-8,11-ジメチル-3-[2-(1-メチル-1H-インドール-3-イル)プロパン-2-イル]-4,7,12,17-テトラオキソ-9-(プロパン-2-イル)-2,5,8,13,18-ペンタアザトリコサ-10-エン-14,19-ジカルボン酸エステル(化合物D3)の製造
化合物D2(13mg)のクロロホルム溶液(1.0mL)にトリフルオロ酢酸(0.2mL)を加えて、25℃で1時間撹拌した。反応終了後、反応液をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;メタノール:クロロホルム)で精製することにより化合物D3(10mg)を得た。
LC-MS: 826 (M+H)+, 824 (M-H)-(0.978 min, 測定条件D)
【0386】
d)N-{(2E,4S)-2,5-ジメチル-4-[メチル(N,β,β,1-テトラメチル-L-トリプトフイル-3-メチル-L-バリル)アミノ]ヘキサ-2-エノイル}-D-γ-グルタミル-L-リシン(参考例4)の製造
参考例1-n)と同様の手法で製造を行い、逆相カラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;0.1%TFAアセトニトリル:水)で精製することにより化合物D3(10mg)から参考例4(7.2mg)を得た。
LC-MS: 784 (M+H)+, 782 (M-H)-(0.889 min, 測定条件D)
【0387】
参考例5
tert-ブチル N5-(2-(2,5-ジオキソ-2,5-ジハイドロ-1H-ピロール-1-イル)エチル)-D-グルタミネート
【化74】
【0388】
a)tert-ブチル N2-(tert-ブトキシカルボニル)-N5-(2-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)エチル)-D-グルタミネートの製造
BOC-D-グルタミン酸 α-tert-ブチルエステル(2.061g)、1-(2-アミノ-エチル)-ピロール-2,5-ジオン ハイドロクロリド(1.20g)、2-(1H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルイソウロニウムヘキサフルオロフォスフェイト(V)(3.87g)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(3.47mL)及びN,Nージメチルホルムアミド(10mL)の混合液を、室温にて1時間攪拌した。反応終了後、酢酸エチルを加え、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム液、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶出溶媒;ヘキサン:酢酸エチル)で生成することによりtert-ブチル N2-(tert-ブトキシカルボニル)-N5-(2-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)エチル)-D-グルタミネート(2.8g)を得た。
LC-MS:426(M+H)(1.030min、測定条件F)
【0389】
b)tert-ブチル N5-(2-(2,5-ジオキソ-2,5-ジハイドロ-1H-ピロール-1-イル)エチル)-D-グルタミネート(参考例5)の製造
tert-ブチル N2-(tert-ブトキシカルボニル)-N5-(2-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)エチル)-D-グルタミネート(51.8mg)、TFA(1mL)の混合液を室温にて1時間20分攪拌した。反応液を氷冷後、減圧濃縮し、参考例5を得た。化合物は、精製せずに次の反応に用いた。
LC-MS:326(M+H)(0.496min、測定条件F)
【0390】
参考例6
N5-(2-(2,5-ジオキソ-2,5-ジハイドロ-1H-ピロール-1-イル)エチル)-D-グルタミン
【化75】
【0391】
tert-ブチル N2-(tert-ブトキシカルボニル)-N5-(2-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)エチル)-D-グルタミネート(64.8mg)、TFA(1mL)の混合液を室温にて17時間攪拌した。反応終了後、減圧濃縮し、参考例6を得た。化合物は、精製せずに次の反応に用いた。
LC-MS:270(M+H)(0.254min、測定条件F)
【0392】
参考例7
N5-[2-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)エチル]-D-グルタミニル-D-グルタミン酸
【化76】
【0393】
a)ジ-tert-ブチル ((R)-2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-5-メトキシ-5-オキソペンタノイル)-D-グルタメートの製造
N-α-(tert-ブトキシカルボニル)-D-グルタミン酸 γ-メチルエステル(261mg)、D-グルタミン酸 ジ-tert-ブチルエステルハイドロクロリド(295mg)、2-(1H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルイソウロニウムヘキサフルオロフォスフェイト(V)(456mg)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.446mL)及びN,Nージメチルホルムアミド(4mL)の混合物を室温にて2時間攪拌した。反応終了後、水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を、水及び飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶出溶媒;ヘキサン:酢酸エチル)で精製することにより、(ジ-tert-ブチル ((R)-2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-5-メトキシ-5-オキソペンタノイル)-D-グルタメート(502mg)を得た。
1H-NMR(400 MHz, CDCl3):1.42 (18H, s), 1.44 (9H, s), 1.84-1.94 (2H, m),2.12 (2H, dtt, J = 22.5, 8.4, 3.0 Hz), 2.26 (2H, dtd, J = 25.2, 10.0, 4.5 Hz),2.43 (2H, tdd, J = 24.8, 14.2, 7.5 Hz), 3.67 (3H, s), 4.14 (1H, t, J = 6.1 Hz),4.43 (1H, td, J = 7.9, 4.9 Hz), 5.23 (1H, d, J = 7.3 Hz), 6.81 (1H, d, J = 7.3Hz).
【0394】
b)(R)-4-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-5-(((R)-1,5-ジ-tert-ブトキシ-1,5-ジオキソペンタン-2-イル)アミノ)-5-オキソペンタン酸の製造
ジ-tert-ブチル ((R)-2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-5-メトキシ-5-オキソペンタノイル)-D-グルタメート(502mg)、1mol/L水酸化リチウム水溶液(0.999mL)及びメタノール(5mL)混合物を室温にて16時間攪拌した。反応終了後、1mol/Lクエン酸水溶液を加え、酸性(pH4)溶液とし、メタノールを減圧留去したのちクロロホルムで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶出溶媒;クロロホルム:メタノール)で精製することにより、(R)-4-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-5-(((R)-1,5-ジ-tert-ブトキシ-1,5-ジオキソペンタン-2-イル)アミノ)-5-オキソペンタン酸(393mg)を得た。
LC-MS:489(M+H)(1.417min、測定条件G)
【0395】
c)ジ-tert-ブチル N2-(tert-ブトキシカルボニル)-N5-(2-(2,5-ジオキソ-2,5-ジハイドロ-1H-ピロール-1-イル)エチル)-D-グルタミニル-D-グルタメートの製造
(R)-4-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-5-(((R)-1,5-ジ-tert-ブトキシ-1,5-ジオキソペンタン-2-イル)アミノ)-5-オキソペンタン酸(205mg)、1-(2-アミノ-エチル)-ピロール-2,5-ジオン ハイドロクロリド(89mg)、2-(1H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルイソウロニウムヘキサフルオロフォスフェイト(V)(191mg)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.187mL)及びN,Nージメチルホルムアミド(3mL)の混合液を室温にて16時間攪拌した。反応終了後、水を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶出溶媒;クロロホルム:メタノール)で精製することにより、ジ-tert-ブチル N2-(tert-ブトキシカルボニル)-N5-(2-(2,5-ジオキソ-2,5-ジハイドロ-1H-ピロール-1-イル)エチル)-D-グルタミニル-D-グルタメート(13mg)を得た。
LC-MS:611(M+H)(1.638min、測定条件G)
【0396】
d)N5-[2-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)エチル]-D-グルタミニル-D-グルタミン酸(参考例7)の製造
ジ-tert-ブチル N2-(tert-ブトキシカルボニル)-N5-(2-(2,5-ジオキソ-2,5-ジハイドロ-1H-ピロール-1-イル)エチル)-D-グルタミニル-D-グルタメート(13mg)を実施例M1と同様に反応及び処理することで、参考例7を合成した。合成した参考例7は精製することなく、そのまま次の反応に用いた。
【0397】
参考例8~18
文献(Bioorg Med Chem Lett. 2004 Nov 1;14(21):5317-22、J Med Chem. 2004 Sep 9;47(19):4774-86.、国際公開第2003/082268号及び国際公開第2016/123582号)に記載の方法に従い、下表1に示す化合物を得た。
【表1-1】

【表1-2】
【0398】
参考例19
N,3,3-トリメチル-2-((S)-3-メチル-2-(メチルアミノ)-3-(m-トリル)ブタナミド)ブタナミド)ヘキサ-2-エノン酸
【化77】
【0399】
(S,E)-4-((S)-2-((S)-3-(3-ブロモフェニル)-3-メチル-2-(メチルアミノ)ブタナミド)-N,3,3-トリメチルブタナミド)-2,5-ジメチルヘキサ-2-エノン酸(62.5mg)、テトラキス(トリフェニルフォスフィン)パラジウム(0)(13.07mg)、ジメチル亜鉛(0.113mL)及びテトラヒドロフラン(5mL)の混合液を60℃にて2時間半攪拌した。反応終了後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶出溶媒;クロロホルム:メタノール)で精製することにより参考例19(29.7mg)を得た。
LC-MS:488(M+H)(0.68min、測定条件F)
【0400】
参考例20
(S,E)-4-((S)-2-((S)-3-(3-シアノフェニル)-3-メチル-2-(メチルアミノ)ブタナミド)-N,3,3-トリメチルブタナミド)-2,5-ジメチルヘキサ-2-エノン酸
【化78】
【0401】
(S,E)-4-((S)-2-((S)-3-(3-ブロモフェニル)-3-メチル-2-(メチルアミノ)ブタナミド)-N,3,3-トリメチルブタナミド)-2,5-ジメチルヘキサ-2-エノン酸(76.1mg)、テトラキス(トリフェニルフォスフィン)パラジウム(0)(15.92mg)、亜鉛(18.01mg)、シアン化亜鉛(32.3mg)及びN,Nージメチルホルムアミド(1mL)の混合液を120℃にてマイクロ波照射下1時間攪拌した。反応終了後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶出溶媒;クロロホルム:メタノール)で粗精製後、逆相HPLC(移動相は0.1%TFA水/0.035%TFA アセトニトリル溶媒)により参考例20(53.5mg)を得た。
LC-MS:499(M+H)(0.99min、測定条件F)
【0402】
参考例21
(S,E)-4-((S)-2-((S)-3-([1,1’-ビフェニル]-3-イル)-3-メチル-2-(メチルアミノ)ブタナミド)-N,3,3-トリメチルブタナミド)-2,5-ジメチルヘキサ-2-エノン酸
【化79】
【0403】
(S,E)-4-((S)-2-((S)-3-(3-ブロモフェニル)-3-メチル-2-(メチルアミノ)ブタナミド)-N,3,3-トリメチルブタナミド)-2,5-ジメチルヘキサ-2-エノン酸(64.3mg)、テトラキス(トリフェニルフォスフィン)パラジウム(0)(13.45mg)、フェニルボラン酸(28.4mg)、炭酸ナトリウム(24.67mg)及びテトラヒドロフラン(5mL)の混合液を80℃にて3時間半攪拌した。溶媒を減圧留去した。逆相HPLC(移動相は0.1%TFA水/0.035%TFA アセトニトリル溶媒)により参考例21(10.7mg)を得た。
LC-MS:550(M+H)(0.88min、測定条件F)
【0404】
参考例22
4-(4-(((S)-1-(((S,E)-5-カルボキシ-2-メチルヘキサ-4-エン-3-イル)(メチル)アミノ)-3,3-ジメチル-1-オキサブタン-2-イル)アミノ)-2-メチル-3-(メチルアミノ)-4-オキソブタン-2-イル)安息香酸
【化80】
【0405】
a)4-(4-(((S)-1-(((S,E)-6-エトキシ-2,5-ジメチル-6-オキソヘキサ-4-エン-3-イル)(メチル)アミノ)-3,3-ジメチル-1-オキサブタン-2-イル)アミノ)-2-メチル-3-(メチルアミノ)-4-オキサブタン-2-イル)安息香酸の製造
エチル (9S,12S,E)-6-(2-(4-(tert-ブトキシカルボニル)フェニル)プロパン-2-イル)-9-(tert-ブチル)-12-イソプロピル-2,2,5,11,14-ペンタメチル-4,7,10-トリオキソ-3-オキサ-5,8,11-トリアザペンタデク-13-エン-15-オエート(400mg)、TFA(2mL)及びクロロホルム(8mL)の混合液を室温にて4時間攪拌した。溶媒を減圧留去し、4-(4-(((S)-1-(((S,E)-6-エトキシ-2,5-ジメチル-6-オキソヘキサ-4-エン-3-イル)(メチル)アミノ)-3,3-ジメチル-1-オキサブタン-2-イル)アミノ)-2-メチル-3-(メチルアミノ)-4-オキサブタン-2-イル)安息香酸(376mg)を得た。得られた化合物は、精製せずに次の反応に用いた。
LC-MS:546(M+H)(1.15min、測定条件F)
【0406】
b)4-(4-(((S)-1-(((S,E)-5-カルボキシ-2-メチルヘキサ-4-エン-3-イル)(メチル)アミノ)-3,3-ジメチル-1-オキサブタン-2-イル)アミノ)-2-メチル-3-(メチルアミノ)-4-オキソブタン-2-イル)安息香酸(参考例22)の製造
4-(4-(((S)-1-(((S,E)-6-エトキシ-2,5-ジメチル-6-オキソヘキサ-4-エン-3-イル)(メチル)アミノ)-3,3-ジメチル-1-オキサブタン-2-イル)アミノ)-2-メチル-3-(メチルアミノ)-4-オキサブタン-2-イル)安息香酸(55.2mg)、メタノール(3mL)及び水(1mL)の混合液を氷冷下攪拌中、水酸化リチウム(16.98mg)を加えた。室温にて2日間攪拌した。溶媒を減圧留去した。残渣を逆相HPLC(移動相は0.1%TFA水/0.035%TFA アセトニトリル溶媒)することにより参考例22(21.1mg)を得た。
LC-MS:518(M+H)(1.18min、測定条件F)
【0407】
参考例23
(4S,E)-4-((2S)-2-(3-(4-(tert-ブトキシカルボニル)フェニル)-3-メチル-2-(メチルアミノ)ブタンアミド)-N,3,3-トリメチルブタンアミド)-2,5-ジメチルヘキサ-2-エン酸
【化81】

tert-ブチル 4-(4-(((S)-1-(((S,E)-6-エトキシ-2,5-ジメチル-6-オキソヘキサ-4-エン-3-イル)(メチル)アミノ)-3,3-ジメチル-1-オキソブタン-2-イル)アミノ)-2-メチル-3-(メチルアミノ)-4-オキソブタン-2-イル)ベンゾエートから、参考例1の工程n)と同様にして、参考例23に示す化合物を得た。
LC-MS:574(M+H)(1.29min、測定条件G)
【0408】
参考例24
(S,E)-4-((S)-2-((S)-3-(4-(tert-ブトキシカルボニル)フェニル)-3-メチル-2-(メトキシアミノ)ブタナミド)-N,3,3-トリメチルブタナミド)-2,5-ジメチルヘキサ-2-エノン酸
【化82】
【0409】
a)tert-ブチル 4-((S)-4-(((S)-1-(((S,E)-6-エトキシ-2,5-ジメチル-6-オキソヘキサ-4-エン-3-イル)(メチル)アミノ)-3,3-ジメチル-1-オキソブタン-2-イル)アミノ)-2-メチル-3-(メチルアミノ)-4-オキソブタン-2-イル)ベンゾエートの製造
4-(4-(((S)-1-(((S,E)-6-エトキシ-2,5-ジメチル-6-オキソヘキサ-4-エン-3-イル)(メチル)アミノ)-3,3-ジメチル-1-オキソブタン-2-イル)アミノ)-2-メチル-3-(メチルアミノ)-4-オキソブタン-2-イル)安息香酸(104.0mg)及びトルエン(1mL)の混合液に、N,N-ジメチルフルオロアミド-ジ-tert-ブチルアセテート(0.456mL)を加え、14時間加熱還流した後に、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにて精製することにより、tert-ブチル 4-((S)-4-(((S)-1-(((S,E)-6-エトキシ-2,5-ジメチル-6-オキソヘキサ-4-エン-3-イル)(メチル)アミノ)-3,3-ジメチル-1-オキソブタン-2-イル)アミノ)-2-メチル-3-(メチルアミノ)-4-オキソブタン-2-イル)ベンゾエート(21.0mg)を得た。
LC-MS:602(M+H)(1.47min、測定条件F)
【0410】
b)(S,E)-4-((S)-2-((S)-3-(4-(tert-ブトキシカルボニル)フェニル)-3-メチル-2-(メトキシアミノ)ブタナミド)-N,3,3-トリメチルブタナミド)-2,5-ジメチルヘキサ-2-エノン酸(参考例24)の製造
tert-ブチル 4-((S)-4-(((S)-1-(((S,E)-6-エトキシ-2,5-ジメチル-6-オキソヘキサ-4-エン-3-イル)(メチル)アミノ)-3,3-ジメチル-1-オキソブタン-2-イル)アミノ)-2-メチル-3-(メチルアミノ)-4-オキソブタン-2-イル)ベンゾエート(10.5mg)、メタノール(3mL)及び水(1.000mL)の混合液に水酸化リチウム(4.39mg)を加えて、室温にて2日間攪拌した。溶媒を減圧留去し、残渣を逆相HPLC(移動相は0.1%TFA水/0.035%TFA アセトニトリル溶媒)にて精製し、参考例24(7.0mg)を得た。
LC-MS:574(M+H)(1.49min、測定条件F)
【0411】
参考例25
4-((S)-4-(((S)-1-(((S,E)-5-カルボキシ-2-メチルヘキサ-4-エン-3-イル)(メチル)アミノ)-3,3-ジメチル-1-オキソブタン-2-イル)アミノ)-2-メチル-3-(メチルアミノ)-4-オキソブタン-2-イル)安息香酸
【化83】
【0412】
tert-ブチル 4-((S)-4-(((S)-1-(((S,E)-6-エトキシ-2,5-ジメチル-6-オキソヘキサ-4-エン-3-イル)(メチル)アミノ)-3,3-ジメチル-1-オキソブタン-2-イル)アミノ)-2-メチル-3-(メチルアミノ)-4-オキソブタン-2-イル)ベンゾエート(10.5mg)、メタノール(3mL)及び水(1mL)の混合液に水酸化リチウム(4.39mg)を加え、室温にて5日間攪拌した後に、溶媒を減圧留去した。残渣をクロロホルム(4mL)に溶解し、トリフルオロ酢酸(1mL)を加え、室温にて17時間攪拌した後に、溶媒を減圧留去した。残渣を逆相HPLC(移動相は0.1%TFA水/0.035%TFA アセトニトリル溶媒)にて精製し、参考例25(7.40mg)を得た。
LC-MS:518(M+H)(1.08min、測定条件F)
【0413】
参考例26
(4S,E)-4-((2S)-2-(3-(4-ハイドロキシフェニル)-3-メチル-2-(メチルアミノ)ブチル)-N,3,3-トリメチルブタナミド)-2,5-ジメチルヘキサ-2-エノン酸
【化84】
【0414】
a)3-(4-ハイドロキシフェニル)-3-メチル-2-(メチルアミノ)ブタン酸の製造
窒素雰囲気下、3-(4-ハイドロキシフェニル)-3-メチル-2-オキソブタン酸(54.9g)の無水テトラヒドロフラン(480mL)溶液を氷冷し、メチルアミン(280mL)(2mol/Lテトラヒドロフラン溶液)を滴下した。室温にて1時間攪拌した後、ボラン-ピリジン錯体(27.5mL)を滴下して、55℃で2時間半攪拌した。氷冷下、メタノール(240mL)を滴下した後、室温にて2時間攪拌した。溶媒を減圧留去した後、テトラヒドロフランを加え懸濁液を吸引濾過した。粉末をテトラヒドロフランで洗浄し、3-(4-ハイドロキシフェニル)-3-メチル-2-(メチルアミノ)ブタン酸(40.7g)を得た。
1H-NMR(400 MHz, D2O):1.21 (3H, s), 1.24 (3H, s), 2.04 (3H, s), 3.06 (1H,s), 6.52 (2H, d, J = 8.8 Hz), 7.11 (2H, d, J = 8.8).
【0415】
b)2-((tert-ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ)-3-(4-((tert-ブトキシカルボニル)オキシ)フェニル)-3-メチルブタン酸の製造
窒素雰囲気下、化合物i1(10.2g)の1,4-ジオキサン/水(1:1)(160mL)の懸濁液に、ジ-tert-ブチルカーボネート(39.9g)及び炭酸カリウム(25.4g)を加え、40℃で終夜攪拌した。反応液に酢酸エチル及び水を加え、1mol/L硫酸水素カリウム水溶液でpH2~3とした後、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶出溶媒;クロロホルム:メタノール)にて精製することにより、2-((tert-ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ)-3-(4-((tert-ブトキシカルボニル)オキシ)フェニル)-3-メチルブタン酸(15.7g)を得た。
1H-NMR(400 MHz, DMSO-D6):1.38 (12H, s), 1.48 (12H, s), 2.64 (3H, s), 7.09(2H, d, J = 8.4 Hz), 7.40 (2H, d, J = 8.8).
【0416】
c)(S)-2-((tert-ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ)-3-(4-ハイドロキシフェニル)-3-メチルブタン酸の製造
窒素雰囲気下、2-((tert-ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ)-3-(4-((tert-ブトキシカルボニル)オキシ)フェニル)-3-メチルブタン酸(15.7g)をジクロロメタン(370mL)に溶解し、28%ナトリウムメトキシドメタノール溶液(15.8g)とメタノール(14mL)を加え、室温で1時間半攪拌した。反応液に酢酸エチル及び4%硫酸水素カリウム水溶液を加え抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶出溶媒;クロロホルム:メタノール)にて精製することにより、(S)-2-((tert-ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ)-3-(4-ハイドロキシフェニル)-3-メチルブタン酸(153.7mg)を得た。
1H-NMR(400 MHz, DMSO-D6):1.36 (12H, s), 1.42 (3H, s), 2.60 (3H, s), 6.66(2H, d, J = 8.0 Hz), 7.15 (2H, d, J = 8.4).
【0417】
d)エチル (9S,12S,E)-9-(tert-ブチル)-6-(2-(4-ハイドロキシフェニル)プロパン-2-イル)-12-イソプロピル-2,2,5,11,14-ペンタメチル-4,7,10-トリオキソ-3-オキサ-5,8,11-トリアザペンタデク-13-エン-15-オエートの製造
(S)-2-((tert-ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ)-3-(4-ハイドロキシフェニル)-3-メチルブタン酸(153.7mg)、エチル (S,E)-4-((S)-2-アミノ-N,3,3-トリメチルブタナミド)-2,5-ジメチルヘキサ-2-エノエート塩酸塩(117.6mg)、N-エチル-N-イソプロピルプロパン-2-アミン(0.172mL),1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(129mg)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(103mg)及びN,N-ジメチルホルムアミド(5mL)の懸濁液を室温にて17時間攪拌した。溶媒を減圧留去した後に、クロロホルムを加え、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶出溶媒;ヘキサン:酢酸エチル)で精製することにより、エチル (9S,12S,E)-9-(tert-ブチル)-6-(2-(4-ハイドロキシフェニル)プロパン-2-イル)-12-イソプロピル-2,2,5,11,14-ペンタメチル-4,7,10-トリオキソ-3-オキサ-5,8,11-トリアザペンタデク-13-エン-15-オエート(206.3mg)を得た。
LC-MS:618(M+H)(1.69min、測定条件F)
【0418】
e)エチル(4S,E)-4-((2S)-2-(3-(4-ハイドロキシフェニル)-3-メチル-2-(メチルアミノ)ブタナミド)-N,3,3-トリメチルブタナミド)-2,5-ジメチルヘキサ-2-エノエートの製造
エチル (9S,12S,E)-9-(tert-ブチル)-6-(2-(4-ハイドロキシフェニル)プロパン-2-イル)-12-イソプロピル-2,2,5,11,14-ペンタメチル-4,7,10-トリオキソ-3-オキサ-5,8,11-トリアザペンタデク-13-エン-15-オエート(189.2mg)及びクロロホルム(4mL)混合液にTFA(1mL)を加え室温にて1時間攪拌した後に、溶媒を減圧留去した。残渣にクロロホルムを加え、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶出溶媒;ヘキサン:酢酸エチル)で精製することにより、エチル(4S,E)-4-((2S)-2-(3-(4-ハイドロキシフェニル)-3-メチル-2-(メチルアミノ)ブタナミド)-N,3,3-トリメチルブタナミド)-2,5-ジメチルヘキサ-2-エノエート(110.1mg)を得た。
LC-MS:518(M+H)(1.09min、測定条件F)
【0419】
f)(4S,E)-4-((2S)-2-(3-(4-ハイドロキシフェニル)-3-メチル-2-(メチルアミノ)ブチル)-N,3,3-トリメチルブタナミド)-2,5-ジメチルヘキサ-2-エノン酸(参考例26)の製造
エチル (4S,E)-4-((2S)-2-(3-(4-ハイドロキシフェニル)-3-メチル-2-(メチルアミノ)ブタナミド)-N,3,3-トリメチルブタナミド)-2,5-ジメチルヘキサ-2-エノエート(110.1mg)、メタノール(3mL)及び水(1mL)の混合液に氷冷下、水酸化リチウム(35.7mg)を加え室温にて2日間攪拌した。溶媒を減圧留去し、残渣を逆相HPLC(移動相は0.1%TFA水/0.035%TFA アセトニトリル溶媒)で精製することにより参考例26(113.2mg)を得た。
LC-MS:490(M+H)(1.03min、測定条件F)
【0420】
参考例27
((4S,E)-4-((2S)-2-(3-(4-ヒドロキシフェニル)-3-メチル-2-(メチルアミノ)ブタナミド)-N,3,3-トリメチルブタナミド)-2,5-ジメチルヘキサ-2-エノイル)-D-グルタミン酸
【化85】
【0421】
a)ジメチル ((4S,E)-4-((2S)-2-(3-(4-ヒドロキシフェニル)-3-メチル-2-(メチルアミノ)ブタナミド)-N,3,3-トリメチルブタナミド)-2,5-ジメチルヘキサ-2-エノイル)-D-グルタメートの製造
(4S,E)-4-((2S)-2-(3-(4-ヒドロキシフェニル)-3-メチル-2-(メチルアミノ)ブタナミド)-N,3,3-トリメチルブタナミド)-2,5-ジメチルヘキサ-2-エノン酸 トリフルオロ酢酸塩(21.4mg)、N-エチル-N-イソプロピルプロパン-2-アミン(22.91mg)、ジメチル D-グルタメート 塩酸塩(15.01mg)、3-(((エチルイミノ)メチレン)アミノ)-N,N-ジメチルプロパン-1-アミン塩酸塩(13.59mg)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(9.58mgl)及びN,N-ジメチルホルムアミド(1mL)の混合物を室温にて15時間攪拌した。反応液に酢酸エチルを加え、飽和食塩水で洗浄後、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶出溶媒;クロロホルム/メタノール)で精製することにより、ジメチル ((4S,E)-4-((2S)-2-(3-(4-ヒドロキシフェニル)-3-メチル-2-(メチルアミノ)ブタナミド)-N,3,3-トリメチルブタナミド)-2,5-ジメチルヘキサ-2-エノイル)-D-グルタメート(21.6mg)を得た。
LC-MS:647(M+H)(1.21min、測定条件F)
【0422】
b)((4S,E)-4-((2S)-2-(3-(4-ヒドロキシフェニル)-3-メチル-2-(メチルアミノ)ブタナミド)-N,3,3-トリメチルブタナミド)-2,5-ジメチルヘキサ-2-エノイル)-D-グルタミン酸(参考例27)の製造
ジメチル ((4S,E)-4-((2S)-2-(3-(4-ヒドロキシフェニル)-3-メチル-2-(メチルアミノ)ブタナミド)-N,3,3-トリメチルブタナミド)-2,5-ジメチルヘキサ-2-エノイル)-D-グルタメート(21.6mg)、メタノール(3mL)及び水(1mL)の混合液に室温にて水酸化リチウム(5.61mg)を加え攪拌した。溶媒を減圧留去した。残渣を高速液体クロマトグラフィーにて精製し、参考例27(15.8mg)を得た。
LC-MS:619(M+H)(1.04min、測定条件F)
【0423】
参考例28
N6-(tert-ブトキシカルボニル)-N2-((R)-4-((S,E)-4-((S)-2-((S)-2-((tert-ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ)-3-(5-フルオロ-1-メチル-1H-インドール-3-イル)-3-メチルブタナミド)-N,3,3-トリメチルブタナミド)-2,5-ジメチルヘキサ-2-エナミド)-4-カルボキシブタノイル)リジン
【化86】
【0424】
a)メチル N6-(tert-ブトキシカルボニル)-N2-((R)-4-((S,E)-4-((S)-2-((S)-2-((tert-ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ)-3-(5-フルオロ-1-メチル-1H-インドール-3-イル)-3-メチルブタナミド)-N,3,3-トリメチルブタナミド)-2,5-ジメチルヘキサ-2-エナミド)-5-エトキシ-5-オキソペンタノイル)リジネートの製造
(6S,9S,12S,17R,E)-9-(tert-ブチル)-17-(エトキシカルボニル)-6-(2-(5-フルオロ-1-メチル-1H-インドール-3-イル)プロパン-2-イル)-12-イソプロピル-2,2,5,11,14-ペンタメチル-4,7,10,15-テトラオキソ-3-オキサ-5,8,11,16-テトラアザイコス-13-エン-20-オイック酸(54.5mg)及びN,N-ジメチルホルムアミド(2mL)の混合液に氷冷下、1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾール[4,5-b]ピリジニウム 3-オキシド ヘキサフルオロホスフェイト(31.0mg)を加え30分攪拌した。N-(tert-ブトキシカルボニル)-L-リジン メチルエステル塩酸塩(24.20mg)及びN-エチル-N-イソプロピルプロパン-2-アミン(0.028mL)を加え室温にて17時間攪拌した後に、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶出溶媒;クロロホルム:メタノール)で精製することにより、メチル N6-(tert-ブトキシカルボニル)-N2-((R)-4-((S,E)-4-((S)-2-((S)-2-((tert-ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ)-3-(5-フルオロ-1-メチル-1H-インドール-3-イル)-3-メチルブタナミド)-N,3,3-トリメチルブタナミド)-2,5-ジメチルヘキサ-2-エナミド)-5-エトキシ-5-オキソペンタノイル)リジネート(71mg)を得た。
LC-MS:1067(M+Na)(1.557min、測定条件G)
【0425】
b)N6-(tert-ブトキシカルボニル)-N2-((R)-4-((S,E)-4-((S)-2-((S)-2-((tert-ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ)-3-(5-フルオロ-1-メチル-1H-インドール-3-イル)-3-メチルブタナミド)-N,3,3-トリメチルブタナミド)-2,5-ジメチルヘキサ-2-エナミド)-4-カルボキシブタノイル)リジン(参考例28)の製造
メチル N6-(tert-ブトキシカルボニル)-N2-((R)-4-((S,E)-4-((S)-2-((S)-2-((tert-ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ)-3-(5-フルオロ-1-メチル-1H-インドール-3-イル)-3-メチルブタナミド)-N,3,3-トリメチルブタナミド)-2,5-ジメチルヘキサ-2-エナミド)-5-エトキシ-5-オキソペンタノイル)リジネート(71mg)、メタノール(4mL)及び1mol/L水酸化リチウム水溶液(4mL)の混合液を60℃で17時間攪拌した。反応液に飽和クエン酸水溶液を加え酸性としたのち、酢酸エチルで抽出した。有機層を、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をODSカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;水:アセトニトリル)で精製することにより参考例28(49.0mg)を得た。
LC-MS:1024(M+Na)(1.416min、測定条件G)
【0426】
参考例29
ジ-tert-ブチル ((S,E)-4-((S)-2-((R)-1-(tert-ブトキシカルボニル)ピペリジン-2-カルボキシアミド)-N,3,3-トリメチルブタナミド)-2,5-ジメチルヘキサ-2-エノイル)-D-グルタメート
【化87】
【0427】
a)(R)-1-(tert-ブトキシカルボニル)ピペリジン-2-カルボン酸の製造
D-ピぺコリン酸、ジ-tert-ブチルジカーボネート(8.36mL)、5mol/L水酸化ナトリウム水溶液(19.20mL)、テトラヒドロフラン(10mL)及び水(10mL)の混合液を室温にて8時間攪拌した後に、溶媒を減圧留去した。ジエチルエーテルにて水相を洗浄後、0.1mol/L塩酸水にて水相を中性(pH7)とし、ジエチルエーテルで抽出した。無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去し、(R)-1-(tert-ブトキシカルボニル)ピペリジン-2-カルボン酸(432.3mg)、を得た。
LC-MS:228(M-H)(1.51min、測定条件F)
【0428】
b)tert-ブチル (R)-2-(((S)-1-(((S,E)-6-エトキシ-2,5-ジメチル-6-オキソヘキサ-4-エン-3-イル)(メチル)アミノ)-3,3-ジメチル-1-オキソブタン-2-イル)カルバモイル)ピペリジン-1-カルボキシレートの製造
(R)-1-(tert-ブトキシカルボニル)ピペリジン-2-カルボン酸(432.3mg)、エチル (S,E)-4-((S)-2-アミノ-N,3,3-トリメチルブタナミド)-2,5-ジメチルヘキサ-2-エノエート(393mg),o-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェイト(953mg)、N-エチル-N-イソプロピルプロパン-2-アミン(0.659mL)及びN,N-ジメチルホルムアミド(3mL)の懸濁液を室温にて15時間攪拌した後に、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶出溶媒;ヘキサン:酢酸エチル)で精製することにより、tert-ブチル (R)-2-(((S)-1-(((S,E)-6-エトキシ-2,5-ジメチル-6-オキソヘキサ-4-エン-3-イル)(メチル)アミノ)-3,3-ジメチル-1-オキソブタン-2-イル)カルバモイル)ピペリジン-1-カルボキシレート(658mg)を得た。
LC-MS:546(M+Na)(1.51min、測定条件F)
【0429】
c)(((S,E)-4-((S)-2-((R)-1-(tert-ブトキシカルボニル)ピペリジン-2-カルボキシアミド)-N,3,3-トリメチルブタナミド)-2,5-ジメチルヘキサ-2-エノン酸の製造
tert-ブチル (R)-2-(((S)-1-(((S,E)-6-エトキシ-2,5-ジメチル-6-オキソヘキサ-4-エン-3-イル)(メチル)アミノ)-3,3-ジメチル-1-オキソブタン-2-イル)カルバモイル)ピペリジン-1-カルボキシレート(508.1mg)、メタノール(8mL)、水(2mL)及び水酸化リチウム(204mg)の混合液を室温にて4日間攪拌した後に、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去し、(((S,E)-4-((S)-2-((R)-1-(tert-ブトキシカルボニル)ピペリジン-2-カルボキシアミド)-N,3,3-トリメチルブタナミド)-2,5-ジメチルヘキサ-2-エノン酸を得た。得られた化合物は精製することなくそのまま次の反応に用いた。
LC-MS:518(M+Na)(1.19min、測定条件F)
【0430】
d)ジ-tert-ブチル ((S,E)-4-((S)-2-((R)-1-(tert-ブトキシカルボニル)ピペリジン-2-カルボキシアミド)-N,3,3-トリメチルブタナミド)-2,5-ジメチルヘキサ-2-エノイル)-D-グルタメート(参考例29)の製造
(S,E)-4-((S)-2-((R)-1-(tert-ブトキシカルボニル)ピペリジン-2-カルボキシアミド)-N,3,3-トリメチルブタナミド)-2,5-ジメチルヘキサ-2-エノン酸(481mg)、N-エチル-N-イソプロピルプロパン-2-アミン(0.501mL)、3-(((エチルアミノ)メチレン)アミノ)-N,N-ジメチルプロパン-1-アミン塩酸塩(372mg),1H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-1-オール(262mg)、D-グルタミン酸ジ-tert-ブチルエステル塩酸塩(287mg)及びN,N-ジメチルホルムアミド(10mL)の混合液を室温にて20時間攪拌した後に、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶出溶媒;ヘキサン:酢酸エチル)で精製することにより参考例29(673.0mg)を得た。
LC-MS:759(M+Na)(1.35min、測定条件H)
【0431】
参考例30~52
参考例1のA15中間体、参考例2及び参考例53を原料化合物としてを用い、参考例1の工程p)と同様に反応及び処理をし、下表2に示す化合物を得た。
【表2-1】

【表2-2】

【表2-3】

【表2-4】

【表2-5】
【0432】
参考例53
対応する原料化合物を用い、参考例1と同様に反応及び処理をし、下表3に示す化合物を得た。
【表3】
【0433】
参考例54~73
対応する原料化合物を用いて、参考例3の工程c)と同様に反応および処理をし、下表4に示す化合物を得た。
【0434】
【表4-1】

【表4-2】

【表4-3】

【表4-4】
【0435】
参考例74~78
対応する原料化合物を用いて、実施例M1と同様に反応及び処理をし、下表5に示す化合物を得た。
【表5】
【0436】
参考例79~88
対応する原料化合物及び参考例5を用いて、参考例1の工程m)と同様に反応及び処理をし、下表6に示す化合物を得た。
【表6-1】

【表6-2】
【0437】
参考例89~95
対応する原料化合物を用いて、参考例1の工程o)と同様に反応及び処理をし、下表7に示す化合物を得た。
【表7】
【0438】
参考例96
対応する原料化合物を用いて、実施例M1と同様に反応及び処理をし、下記表8に示す化合物を得た。
【表8】
【0439】
参考例97
(R)-4-((R)-4-((R)-4-アミノ-5-(tert-ブトキシ)-5-オキソペンタナミド)-5-(tert-ブトキシ)-5-オキソペンタナミド)-5-(tert-ブトキシ)-5-オキソペンタン酸
【化88】
【0440】
a)1-(tert-ブチル) 5-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル) (((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)-D-グルタミン酸の製造
参考例1-o)と同様の手法で、(R)-4-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-5-(tert-ブトキシ)-5-オキソペンタン酸(500mg)から1-(tert-ブチル) 5-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル) (((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)-D-グルタミン酸(520mg)を得た。
LC-MS:523(M+H)(1.324min、測定条件G)
【0441】
b)(R)-4-((R)-4-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-5-(tert-ブトキシ)-5-オキソペンタナミド)-5-(tert-ブトキシ)-5-オキソペンタン酸の製造
参考例1-p)と同様の手法で、1-(tert-ブチル) 5-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル) (((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)-D-グルタミン酸(520mg)から(R)-4-((R)-4-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-5-(tert-ブトキシ)-5-オキソペンタナミド)-5-(tert-ブトキシ)-5-オキソペンタン酸(428.7mg)を得た。
LC-MS:611(M+H)(1.551min、測定条件G)
【0442】
c)1-(tert-ブチル) 5-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)((R)-4-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-5-(tert-ブトキシ)-5-オキソペンタノイル)-D-グルタミン酸の製造
参考例1-o)と同様の手法で、(R)-4-((R)-4-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-5-(tert-ブトキシ)-5-オキソペンタナミド)-5-(tert-ブトキシ)-5-オキソペンタン酸(100mg)から1-(tert-ブチル) 5-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)((R)-4-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-5-(tert-ブトキシ)-5-オキソペンタノイル)-D-グルタミン酸(33mg)を得た。
LC-MS:708(M+H)(1.598min、測定条件G)
【0443】
d)(5R,10R,15R)-5,10,15-トリs(tert-ブトキシカルボニル)-1-(9H-フルオレン-9-イル)-3,8,13-トリオキソ-2-オキサ-4,9,14-トリアザオクタデカン-18-オイック酸の製造
参考例1-p)と同様の手法で、1-(tert-ブチル) 5-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)((R)-4-((((9H-フルオレン-9-イル)メトキシ)カルボニル)アミノ)-5-(tert-ブトキシ)-5-オキソペンタノイル)-D-グルタミン酸(33mg)から(5R,10R,15R)-5,10,15-トリs(tert-ブトキシカルボニル)-1-(9H-フルオレン-9-イル)-3,8,13-トリオキソ-2-オキサ-4,9,14-トリアザオクタデカン-18-オイック酸(16.6mg)を得た。
LC-MS:796(M+H)(1.119min、測定条件F)
【0444】
e)(R)-4-((R)-4-((R)-4-アミノ-5-(tert-ブトキシ)-5-オキソペンタナミド)-5-(tert-ブトキシ)-5-オキソペンタナミド)-5-(tert-ブトキシ)-5-オキソペンタン酸(参考例97)の製造
(5R,10R,15R)-5,10,15-トリス(tert-ブトキシカルボニル)-1-(9H-フルオレン-9-イル)-3,8,13-トリオキソ-2-オキサ-4,9,14-トリアザオクタデカン-18-オイック酸(16.6mg)のピペリジン(0.3mL)及びN,N-ジメチルホルムアミド(1.5mL)の混合液を25℃にて7時間攪拌した後に、反応溶液を逆相カラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;0.1%TFAアセトニトリル:水)で精製することにより参考例97(7.5mg)を得た。
LC-MS:574(M+H)(0.698min、測定条件F)
【0445】
参考例98
対応する原料化合物を用いて、参考例2と同様に反応及び処理をし、下記表9に示す化合物を得た。
【表9】
【0446】
参考例99
参考例98及び参考例5を用いて、参考例1の工程m)と同様に反応及び処理をし、下表10に示す化合物を得た。
【表10】
【0447】
参考例100
ジ-tert-ブチル ((4S,E)-4-((2S)-2-(3-(4-((2-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)エチル)カルバモイル)フェニル)-3-メチル-2-(メチルアミノ)ブタナミド)-N,3,3-トリメチルブタナミド)-2,5-ジメチルヘキサ-2-エノイル)-D-グルタミン酸
【化89】
【0448】
a)tert-ブチル 4-(4-(ベンジルオキシ)-3-((tert-ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ)-2-メチル-4-オキソブタン-2-イル)ベンゾエートの製造
2-((tert-ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ)-3-(4-(tert-ブトキシカルボニル)フェニル)-3-メチルブタン酸(1.48g)、炭酸ナトリウム(0.77g)及びN,N-ジメチルホルムアミド(7mL)の懸濁液に臭化ベンジル(0.647mL)を加え、室温にて17時間攪拌した。反応液に酢酸エチル加えた。有機層を水及び飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶出溶媒;ヘキサン:酢酸エチル)で精製することにより、tert-ブチル 4-(4-(ベンジルオキシ)-3-((tert-ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ)-2-メチル-4-オキソブタン-2-イル)ベンゾエート(1.78g)を得た。
LC-MS:520(M+Na)(1.778min、測定条件G)
【0449】
b)4-(4-(ベンジルオキシ)-2-メチル-3-(メチルアミノ)-4-オキソブタン-2-イル)安息香酸 トリフルオロ酢酸塩の製造
tert-ブチル 4-(4-(ベンジルオキシ)-3-((tert-ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ)-2-メチル-4-オキソブタン-2-イル)ベンゾエート(1.78g)及びクロロホルム(40mL)の混合液にトリフルオロ酢酸(10mL)を加え、室温にて5時間攪拌した。溶媒を減圧留去し、4-(4-(ベンジルオキシ)-2-メチル-3-(メチルアミノ)-4-オキソブタン-2-イル)安息香酸 トリフルオロ酢酸塩を得た。化合物は精製せず次の反応に用いた。
LC-MS:342(M+H)(1.05min、測定条件F)
【0450】
c)メチル 4-(4-(ベンジルオキシ)-2-メチル-3-(メチルアミノ)-4-オキソブタン-2-イル)ベンゾエートの製造
4-(4-(ベンジルオキシ)-2-メチル-3-(メチルアミノ)-4-オキソブタン-2-イル)安息香酸 トリフルオロ酢酸塩、炭酸ナトリウム(379mg)及びN,N-ジメチルホルムアミド(9mL)の懸濁液にヨードメタン(0.169mL)を加え室温にて攪拌した。反応液に酢酸エチル加えた。有機層を水及び飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶出溶媒;ヘキサン:酢酸エチル)で精製することによりメチル 4-(4-(ベンジルオキシ)-2-メチル-3-(メチルアミノ)-4-オキソブタン-2-イル)ベンゾエート(362.3mg)を得た。
LC-MS:356(M+H)(1.08min、測定条件F)
【0451】
d)3-(4-(メトキシカルボニル)フェニル)-3-メチル-2-(メチルアミノ)ブタン酸の製造
メチル 4-(4-(ベンジルオキシ)-2-メチル-3-(メチルアミノ)-4-オキソブタン-2-イル)ベンゾエート(362.3mg)、パラジウム-炭素(85.5mg)及び酢酸エチル(10mL)の懸濁液を水素雰囲気下、室温にて5時間攪拌した。さらに、5時間攪拌した。反応液を濾紙により濾過後、溶媒を減圧留去し、3-(4-(メトキシカルボニル)フェニル)-3-メチル-2-(メチルアミノ)ブタン酸を得た。得られた化合物は精製せず参考例100-g)の反応に使用した。
LC-MS:266(M+H)(0.82min、測定条件F)
【0452】
e)ジ-tert-ブチル ((S,E)-4-((S)-2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-N,3,3-トリメチルブタナミド)-2,5-ジメチルヘキサ-2-エノイル)-D-グルタミン酸の製造
(S,E)-4-((S)-2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-N,3,3-トリメチルブタナミド)-2,5-ジメチルヘキサ-2-エノン酸(220.2mg)、ジ-tert-ブチルD-グルタミン酸塩酸塩(254mg)、N-エチル-N-イソプロピルプロパン-2-アミン(0.300mL)、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(220mg)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(175mg)及びN,N-ジメチルホルムアミドの混合液を室温にて17時間攪拌した。反応液に酢酸エチル加えた。有機層を水及び飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。ジ-tert-ブチル ((S,E)-4-((S)-2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-N,3,3-トリメチルブタナミド)-2,5-ジメチルヘキサ-2-エノイル)-D-グルタミン酸(232.4mg)を得た。
LC-MS:626(M+H)(1.76min、測定条件F)
【0453】
f)ジ-tert-ブチル ((S,E)-4-((S)-2-アミノ-N,3,3-トリメチルブタナミド)-2,5-ジメチルヘキサ-2-エノイル)-D-グルタミン酸の製造
ジ-tert-ブチル ((S,E)-4-((S)-2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-N,3,3-トリメチルブタナミド)-2,5-ジメチルヘキサ-2-エノイル)-D-グルタミン酸(232.4mg)及び酢酸エチル(3.7mL)の混合液に氷冷下、塩酸(13.54mg)酢酸エチル溶液を加え、室温にて1時間20分攪拌した。反応液を氷冷し、28%アンモニア水を加え、酢酸エチルにて抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去し、ジ-tert-ブチル ((S,E)-4-((S)-2-アミノ-N,3,3-トリメチルブタナミド)-2,5-ジメチルヘキサ-2-エノイル)-D-グルタミン酸(62.2mg)を得た。化合物は精製せず次の反応に用いた。
LC-MS:526(M+H)(1.14min、測定条件F)
【0454】
g)ジ-tert-ブチル ((4S,E)-4-((2S)-2-(3-(4-(メトキシカルボニル)フェニル)-3-メチル-2-(メチルアミノ)ブタナミド)-N,3,3-トリメチルブタナミド)-2,5-ジメチルヘキサ-2-エノイル)-D-グルタミン酸の製造
3-(4-(メトキシカルボニル)フェニル)-3-メチル-2-(メチルアミノ)ブタン酸(31.4mg)、ジ-tert-ブチル ((S,E)-4-((S)-2-アミノ-N,3,3-トリメチルブタナミド)-2,5-ジメチルヘキサ-2-エノイル)-D-グルタミン酸(62.2mg)、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(45.4mg)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(32.0mg)、N-エチル-N-イソプロピルプロパン-2-アミン(0.062mL)及びN,N-ジメチルホルムアミド(2mL)の懸濁液を室温にて17時間攪拌した。溶媒を減圧留去した。残渣に酢酸エチルを加え水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及び飽和食塩水で洗浄後、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶出溶媒;ヘキサン:酢酸エチル)で精製することによりジ-tert-ブチル ((4S,E)-4-((2S)-2-(3-(4-(メトキシカルボニル)フェニル)-3-メチル-2-(メチルアミノ)ブタナミド)-N,3,3-トリメチルブタナミド)-2,5-ジメチルヘキサ-2-エノイル)-D-グルタミン酸(60.1mg)を得た。
LC-MS:774(M+H)(1.341min、測定条件G)
【0455】
h)4-((7R,12S,15S,E)-7-(tert-ブトキシカルボニル)-15-(tert-ブチル)-12-イソプロピル-2,2,10,13,19-ペンタメチル-18-(メチルアミノ)-4,9,14,17-テトラオキソ-3-オキサ-8,13,16-トリアザイコス-10-エン-19-イル)安息香酸の製造
tert-ブチル ((4S,E)-4-((2S)-2-(3-(4-(メトキシカルボニル)フェニル)-3-メチル-2-(メチルアミノ)ブタナミド)-N,3,3-トリメチルブタナミド)-2,5-ジメチルヘキサ-2-エノイル)-D-グルタミン酸(56.3mg)、メタノール(4mL)及び水(1mL)の混合液に氷冷下、水酸化リチウム(9.17mg)を加え、室温にて17時間攪拌した。溶媒を減圧留去した。残渣を逆相HPLC(移動相は0.1%TFA水/0.035%TFA アセトニトリル溶媒)で精製することにより4-((7R,12S,15S,E)-7-(tert-ブトキシカルボニル)-15-(tert-ブチル)-12-イソプロピル-2,2,10,13,19-ペンタメチル-18-(メチルアミノ)-4,9,14,17-テトラオキソ-3-オキサ-8,13,16-トリアザイコス-10-エン-19-イル)安息香酸(14.8mg)を得た。
LC-MS:759(M+H)(1.334min、測定条件G)
【0456】
i)ジ-tert-ブチル ((4S,E)-4-((2S)-2-(3-(4-((2-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)エチル)カルバモイル)フェニル)-3-メチル-2-(メチルアミノ)ブタナミド)-N,3,3-トリメチルブタナミド)-2,5-ジメチルヘキサ-2-エノイル)-D-グルタミン酸(参考例100)の製造
4-((7R,12S,15S,E)-7-(tert-ブトキシカルボニル)-15-(tert-ブチル)-12-イソプロピル-2,2,10,13,19-ペンタメチル-18-(メチルアミノ)-4,9,14,17-テトラオキソ-3-オキサ-8,13,16-トリアザイコス-10-エン-19-イル)安息香酸(14.8mg)、3-(((エチルイミノ)メチレン)アミノ)-N,N-ジメチルプロパン-1-アミン 塩酸塩(7.48mg)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(5.97mg)、N-エチル-N-イソプロピルプロパン-2-アミン(0.014mL)、1-(2-アミノエチル)-ピロール-2,5-ジオン 塩酸塩(6.86mg)及びN,N-ジメチルホルムアミド(2mL)の混合液を室温にて3時間攪拌した。酢酸エチルを加え、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及び飽和食塩水で洗浄後、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶出溶媒;クロロホルム:メタノール)で精製することにより参考例100(9.00mg)を得た。
LC-MS:881(M+H)(1.287min、測定条件G)
【0457】
参考例101
tert-ブチル(3S,6S,9S,10E,14R)-6-tert-ブチル-14-(3-{[2-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール1-イル)エチル]アミノ}-3-オキソプロピル)-8,11-ジメチル-4,7,12-トリオキソ-3-(2-フェニルプロパン-2-イル)-9-(プロパン-2-イル)-2,5,8,13-テトラアザペンタデカ-10-エン-15-オエート
【化90】

参考例5(760mg)、タルトブリン(1.1g)、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(896mg)、1-ヒドロキシ-1H-ベンゾトリアゾール・1水和物(715mg)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(604mg)及びN,N-ジメチルホルムアミド(11mL)の混合液を、25℃にて2時間撹拌した。反応終了後、水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;クロロホルム:メタノール)で精製することにより参考例101(1.2g)を得た。
LC-MS:781(M+H)(1.155min,測定条件G)
【0458】
参考例102
N、β、β-トリメチル-L-フェニルアラニル-N-{(3S,4E)-6-[(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)オキシ]-2,5-ジメチル-6-オキソヘキサ-4-エン-3-イル}-N、3-ジメチル-L-バリンアミド
【化91】

タルトブリン(1.0g)、2-(1H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルイソウロニウムヘキサフルオロフォスフェイト(V)(803mg)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(273mg)及びN,N-ジメチルホルムアミド(10mL)の混合液を、0℃にて30分間撹拌した後、N-ヒドロキシスクシンイミド(243mg)を加え、25℃にて16時間撹拌した。反応終了後、水を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;クロロホルム:メタノール)で精製することにより参考例102(1.1g)を得た。
LC-MS:571(M+H)(1.082min,測定条件G)
【0459】
実施例M1
(3S,6S,9S,10E,14R)-6-tert-ブチル-14-(3-{[2-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロ-ル-1-イル)エチル]アミノ}-3-オキソプロピル)-8,11-ジメチル-3-[2-(1-メチル-1H-インドール-3-イル)プロパン-2-イル]-4,7,12-トリオキソ-9-(プロパン-2-イル)-2,5,8,13-テトラアザペンタデカ-10-エン-15-カルボン酸
【化92】

参考例1(14mg)のクロロホルム溶液(1.0mL)にトリフルオロ酢酸(0.2mL)を加えて、25℃で4時間撹拌した。その後、トリフルオロ酢酸(0.2mL)を追加し、さらに25℃で2時間撹拌した。反応終了後、溶媒を減圧留去し、残渣を逆相カラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;0.1%TFAアセトニトリル:水)で精製することにより実施例M1(2.8mg)を得た。
LC-MS: 778 (M+H)+, 776 (M-H)-(1.081min, 測定条件D)
【0460】
実施例M2
N-{(2E,4S)-2,5-ジメチル-4-[メチル(N,β,β,1-テトラメチル-L-トリプトフイル-3-メチル-L-バリル)アミノ]ヘキサ-2-エノイル}-D-γ-グルタミル-N-[6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサノイル]-L-リシン
【0461】
【化93】

参考例4(7.2mg)、N-スクシンイミジル6-マレイミドヘキサノエート(2.8mg)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(2.3mg)及びN,N-ジメチルホルムアミド(1mL)の混合液を、25℃にて18時間撹拌した。反応終了後、反応溶液を逆相カラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;0.1%TFAアセトニトリル:水)で精製することにより実施例M2(2.8mg)を得た。
LC-MS: 977 (M+H)+, 975 (M-H)-(1.061 min, 測定条件D)
【0462】
実施例M3~M8
対応する原料化合物を用いて実施例M1又はM2と同様に反応及び処理し、下表11に示す化合物を得た。なお、表11の「(AA)」の列に示す式中、「L」は、(AA)の2つの末端のうちLと結合している方の末端を示している。また、表11の「L」の列に示す式中、「(AA)」は、Lの2つの末端のうち(AA)と結合している方の末端を示している。
【表11】
【0463】
実施例M4
[化合物名:(3S,6S,9S,10E,14R)-6-tert-ブチル-14-(3-{[2-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール1-イル)エチル]アミノ}-3-オキソプロピル)-8,11-ジメチル-4,7,12-トリオキソ-3-(2-フェニルプロパン-2-イル)-9-(プロパン-2-イル)-2,5,8,13-テトラアザペンタデカ-10-エン-15-カルボン酸]は以下の手法によっても製造することができる。
参考例101(390mg)、トリフルオロ酢酸(2mL)及びクロロホルム(5mL)の混合液を、25℃にて12時間撹拌した。溶媒を減圧留去した後、逆相カラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;0.1%TFAアセトニトリル:水)で精製することにより実施例M4(258mg)を得た。
LC-MS:725(M+H)(0.998min,測定条件G)
【0464】
また別の方法として、実施例M4は以下の手法によっても製造することができる。
参考例102(640mg)、参考例6(430mg)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(435mg)及びN,N-ジメチルホルムアミド(15mL)の混合液を、25℃にて5日間撹拌した。溶媒を減圧留去した後、逆相カラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;0.1%TFAアセトニトリル:水)で精製することにより実施例M4(250mg)を得た。
LC-MS:725(M+H)(0.984min,測定条件G)
【0465】
実施例M9~25
対応する原料化合物を用いて、実施例M1と同様に反応及び処理をし、下表12に示す化合物を得た。
【表12-1】

【表12-2】
【0466】
実施例M26~30
対応する原料化合物を用いて、実施例M2と同様に反応及び処理をし、下表13に示す化合物を得た。
【表13】
【0467】
実施例M31~40
対応する原料化合物を用いて、実施例M1と同様に反応及び処理をし、下表14に示す化合物を得た。
【表14-1】

【表14-2】
【0468】
実施例M41~46
対応する原料化合物を用いて、参考例1の工程p)と同様に反応及び処理をし、下表15に示す化合物を得た。
【表15】
【0469】
実施例M47
((4S,E)-4-((2S)-2-(3-(4-((2-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)エチル)カルバモイル)フェニル)-3-メチル-2-(メチルアミノ)ブタナミド)-N,3,3-トリメチルブタナミド)-2,5-ジメチルヘキサ-2-エノイル)-D-グルタミン酸
【化94】

参考例100(9.0mg)及びクロロホルム(4mL)の混合液にトリフルオロ酢酸(1mL)を加え、室温にて4時間攪拌した。溶媒を減圧留去した。残渣を逆相HPLC(移動相は0.1%TFA水/0.035%TFA アセトニトリル溶媒)で精製することにより実施例M47(5.4mg)を得た。
LC-MS:769(M+H)(0.919min、測定条件G)
【0470】
実施例M48
参考例96を原料化合物に用いて、実施例M2と同様に反応及び処理をし、下表16に示す化合物を得た。
【0471】
【表16】
【0472】
実施例M49
-((S,E)-4-((S)-2-((S)-2-(ジメチルアミノ)-3-メチル-3-フェニルブタンアミド)-N,3,3-トリメチルブタンアミド)-2,5-ジメチルヘキサ-2-エノイル)-N-(2-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロロ-1-イル)エチル)-D-グルタミン
【化95】

実施例M4のモノトリフルオロ酢酸塩(10mg)のアセトニトリル(1mL)溶液にホルムアルデヒド水溶液(1mL)を加え、ナトリウムトリアセトキシボレート(15mg)を加え、室温で3時間撹拌した。反応液を濃縮後、逆相HPLC(移動相は0.1%TFA水/0.035%TFA アセトニトリル溶媒)で、精製するとにより実施例M49(5.4mg)を得た。
LC-MS:739(M+H)(1.007min、測定条件G)
【0473】
実施例M50
参考例99を原料化合物に用いて、実施例M1と同様に反応及び処理をし、下表に示す化合物を得た。
【表17】
【0474】
実施例M4、M29、M31、M32、M33、M35及びM41~M45のNMRデータを下表に示す。
【表18-1】

【表18-2】
【0475】
実施例ADCに用いた抗体は、購入可能であるか、又は下表に示す文献に従って製造することができる。
【表19】
【0476】
実施例ADC1
ブレンツキシマブ-実施例M3複合体(平均薬物抗体比:7.55)
【化96】

ブレンツキシマブ(1mg)のリン酸緩衝生理水溶液(0.039mL)に、1mmol/Lのトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)のトリスヒドロキシメチルアミノメタン塩酸緩衝液(0.133mL)を加え、37℃にて45分間インキュベートした。抗体溶液を0℃に冷却した後、リン酸緩衝生理水溶液で予備平衡させたPD-10脱塩カラムで処理することにより、還元されたブレンツキシマブのリン酸緩衝生理水溶液を得た。これを0℃に冷却した後、リン酸緩衝生理水溶液で10倍希釈した実施例M3の1mmol/L DMSO溶液(0.133mL)を加え、完全に混合し、4℃にて16時間インキュベートした。その後、リン酸緩衝生理水溶液で予備平衡させたPD-10脱塩カラムで精製した後、遠心濃縮することで、実施例ADC1(0.819mg)を得た。
【0477】
得られたADCの平均DARは、還元性若しくは非還元性SDS-PAGE、又はHPLC-HICによって測定した。また、平均DARは、紫外可視吸収分光法(UV-Vis)、還元性又は非還元性SDS-PAGE、HPLC-HIC、SEC、RP-HPLC、LC-MS等によって、定性的又は定量的に測定することができる。これらの技術は、Antibody Drug Conjugates,Methods in Molecular Biology vol.1045,2013.pp267-284.L.Ducry,Ed.に記載される。
【0478】
上記のプロトコールで得られた実施例ADC1のHPLC-HIC解析(測定条件E)を行った結果、DARが8である実施例ADC1のピークのRtは5.67minであった。
【0479】
実施例ADC2~ADC9
対応する抗体と修飾化剤(実施例の化合物)を用いて実施例ADC1と同様に反応及び処理し、下表20に示すADCを得た。
【化97】

【表20】
【0480】
上表20における実施例のADCのRt(min)は、HPLC-HIC解析(測定条件E)により観測された、DARが8であるADCのピークのものである。また、比較例3のADCのRt(min)は、DARが8であるADCのピークのものである。
【0481】
上表20の比較例化合物とは、国際公開第2014/057436号(特許文献8)に開示されている下記化合物を表す。
【化98】
【0482】
実施例ADC10~44
ブレンツキシマブと修飾化剤(実施例の化合物)とを用いて、実施例ADC1と同様に反応及び処理をして、下表21に示す実施例ADCを得た。
【表21】
【0483】
「SDS-PAGEにてADC生成を確認した」とは、SeeBlue(登録商標)Plus2(サーモフィッシャーサイエンティフィック社)をマーカーに、実施例ADCをジスルフィド非還元条件下でSDS-PAGE解析した結果、分子量50kDa及び分子量25kDa付近のバンドを強く検出したことを意味する。これは、抗体の軽鎖-重鎖間及びヒンジのジスルフィド結合に関与するシステイン残基に修飾化剤がコンジュゲートしたことを示し、ADCが得られたことを意味する。
【0484】
実施例ADC45~62
抗体と修飾化剤(実施例の化合物)を用いて、実施例ADC1と同様して、下表22に示す実施例ADCを得た。
【表22】
【0485】
実施例ADC63~ADC64
ブレンツキシマブと修飾化剤(実施例の化合物)を用いて、実施例ADC1と同様に反応及び処理をして、下表23に示す実施例ADCを得た。
【表23】
【0486】
試験例
以下に、本発明の抗体薬物複合体の特定の実施例に係る薬理試験結果を示し、その薬理作用を説明するが、本発明はこれらの試験例に限定されるものではない。
【0487】
試験例1:細胞傷害性試験(1)
ヒトリンパ腫細胞株であるKarpas-299細胞(European Collection of Authenticated Cell Cultures、以下、ECACC)を、10%のウシ胎児血清(MP Biomedicals)を含むRPMI1640(GIBCO)(以下、「培地」という)で培養した。細胞を培地で2×10cells/mLになるように調製し、96穴細胞培養用マイクロプレートに50μLずつ添加した。培地で8段階に4倍希釈した実施例の化合物又は比較例化合物を、マイクロプレートに50μLずつ添加した。これらを37度、5%CO下で4日間培養した。培養後、マイクロプレートをインキュベーターから取り出し室温で10分間静置した。各ウェルに50μLのCellTiter-Glo Luminescent Cell Viability Assay(Promega)を添加し、撹拌した。この混合物を暗所で20分インキュベートした。マイクロプレートルミノメーターを用いて各ウェルにおける発光を計測することにより、細胞生存率を算出した。また、細胞生存率の値からIC50値を計算した。結果を表24に示す。
【0488】
IC50値は下式で算出した。
IC50(nM)=antilog(LOG10(a÷b)×(e-d)÷(c-d)+LOG10b)
a:被検物質の濃度a
b:被検物質の濃度b
c:濃度aの被検物質を添加した時の細胞生存率
d:濃度bの被検物質を添加した時の細胞生存率
e:各濃度の被験物質を添加した時の細胞生存率の中で、最大と最小の中間値
(a、bは細胞生存率eをまたぐ濃度で、a>bを表す。)
【0489】
各濃度における細胞生存率は次式で算出した。
細胞生存率(%)=a’÷b’×100
a’:被検物質を添加したウェルの発光量の平均値(n=6)
b’:被検物質を添加しなかったウェルの発光量の平均値(n=6)
(nは被験物質1濃度当りに実施した評価の数を表す。)
【0490】
【表24-1】

【表24-2】
【0491】
上表24に示すように、比較例化合物は、Karpas-299細胞に対して、強い細胞傷害性を示した。一方、実施例の化合物は、Karpas-299細胞に対して、弱い細胞傷害性を示した。この細胞傷害活性の違いは、試験例4で示す膜透過性の違いによるものと推察される。
【0492】
試験例2:細胞傷害性試験(2)
ヒト乳がん細胞株であるSK-BR-3細胞(ATCC)を10%のウシ胎児血清(MP Biomedicals)を含むMcCoy’s5A(GIBCO)(以下、この試験において、「培地」という)で培養した。SK-BR-3細胞を培地で2×10cells/mLになるように調製し、96穴細胞培養用マイクロプレートに50μLずつ添加し、37度、5%CO下で一晩培養した後、培地で8段階に4倍希釈した実施例の化合物又は比較例化合物を、マイクロプレートに50μLずつ添加した。これらを37度、5%CO下で3日間培養した。培養後、マイクロプレートをインキュベーターから取り出し室温で10分間静置した。各ウェルに50μLのCellTiter-Glo Luminescent Cell Viability Assay(Promega)を添加し、撹拌した。この混合物を暗所で20分インキュベートした。マイクロプレートルミノメーターを用いて各ウェルにおける発光を計測することにより、細胞生存率を算出した。IC50値は、試験例1に記載の方法に従い算出した。結果を表25に示す。
【0493】
【表25】
【0494】
上表25に示すように、比較例化合物は、SK-BR-3細胞に対して、強い細胞傷害性を示した。一方、実施例の化合物は、SK-BR-3細胞に対して、弱い細胞傷害性を示した。この細胞傷害活性の違いは、試験例4で示す膜透過性の違いによるものと推察される。
【0495】
試験例3:ADCの細胞傷害性試験(1)
CD30抗原陽性かつHER2抗原陰性であるKarpas-299細胞(ECACC)を、10%のウシ胎児血清(MP Biomedicals)を含むRPMI1640(GIBCO)(以下、この試験において、「培地A」という)で培養した。また、CD30抗原陰性かつHER2抗原陽性であるSK-BR-3細胞(ATCC)を、10%のウシ胎児血清(MP Biomedicals)を含むMcCoy’s5A(GIBCO)(以下、この試験において、「培地B」という)で培養した。Karpas-299細胞及びSK-BR-3細胞を培地A又は培地Bで2×10cells/mLになるように調製し、96穴細胞培養用マイクロプレートに50μLずつ添加した。SK-BR-3細胞は、添加後、37度、5%CO下で一晩培養した。培地A又は培地Bで8段階に4倍希釈したADCを、マイクロプレートに50μLずつ添加し、37度、5%CO下で、Karpas-299細胞を4日間、SK-BR-3細胞を3日間培養した。培養後、マイクロプレートをインキュベーターから取り出し、室温で10分間静置した。各ウェルに50μLのCellTiter-Glo Luminescent Cell Viability Assay(Promega)を添加し、撹拌した。この混合物を暗所で20分インキュベートした。マイクロプレートルミノメーターを用いて発光を計測することにより、ADCの濃度ごとに細胞生存率を算出した。IC50値は、試験例1に記載の方法に従い算出した。結果を表26に示す。
【0496】
【表26-1】

【表26-2】
【0497】
上表26に示すように、実施例ADC1(CD30抗原特異的抗体であるブレンツキシマブと実施例M3との抗体薬物複合体)は、CD30抗原陽性細胞であるKarpas-299細胞に対して強い細胞傷害活性を示したが、CD30抗原陰性細胞であるSK-BR-3細胞に対しては弱い細胞傷害活性を示した。同様に、実施例ADC4(CD30抗原特異的抗体であるブレンツキシマブと実施例M4との抗体薬物複合体)も、CD30抗原陽性細胞であるKarpas-299細胞に対して強い細胞傷害活性を示し、CD30抗原陰性細胞であるSK-BR-3細胞に対しては弱い細胞傷害活性を示した。また、実施例ADC9(HER2抗原特異的抗体であるトラスツズマブと実施例M3との抗体薬物複合体)は、HER2抗原陽性細胞であるSK-BR-3細胞に対して強い細胞傷害活性を示し、HER2抗原陰性細胞であるKarpas-299細胞に対しては弱い細胞傷害活性を示した。
【0498】
すわなち、低膜透過性のために細胞傷害性が弱い化合物(実施例の化合物に該当)であっても、抗体と複合体を形成すること(実施例ADCに該当)により、抗体と特異的に結合する抗原陽性細胞に対して、選択的に強い細胞傷害活性を示した。
【0499】
試験例4:膜透過性試験
人工膜透過性試験(PAMPA)により、次のように実施例の化合物の膜透過性を試験した。Donor plateに実施例の化合物を添加したSystem solution(pION inc.)を200μL、GIT Lipid-0(pION inc.)を4μLずつ添加した。Acceptor plateにAcceptor Sink Buffer(pION inc.)を200μL添加した。両プレートを重ね合わせ、37℃で4時間インキュベートした後、アクセプター側及びドナー側の溶液のUVを、UV plate reader(190-500nm)にて測定した。UV吸収の乏しい化合物はLC-MSにて測定した。薬物の透過係数P(10-6cm/sec)を下式により算出した。結果を表27に示す。
【数1】
【0500】
【表27-1】

【表27-2】
【0501】
試験例1~4の結果から、実施例の化合物が、細胞傷害性試験においては比較例化合物よりも低い活性を示す結果となったのは、これら化合物の細胞膜透過性の違いに基づくものと推察される。すなわち、実施例の化合物の細胞膜透過性が低く、細胞内への実施例化合物の移行が抑えられたため、比較例化合物よりも弱い細胞傷害性を示したのであると考えられる。したがって、実施例の化合物を含む抗体薬物複合体によれば、全身血液中で抗体部分と薬物部分の可逆的な解離が生じたとしても、細胞膜透過性の低い実施例の化合物が正常細胞内に移行されることが抑制され、副作用を低減できることを示唆する。
【0502】
試験例5:CB-17SCIDマウスを用いた、Karpas-299腫瘍型における抗体薬物複合体の有効性試験
本試験は、薬物の抗腫瘍作用を評価する代表的な試験である。Karpasヒト未分化巨大細胞のリンパ腫モデルは、CB-17SCIDマウスに、5×10個の細胞を皮下移植することにより作製する。当該腫瘍モデルにおいて、腫瘍が90~110mm平均体積に達した後に、治療を開始した。マウスに、ADCをリン酸緩衝生理食塩水に溶かしたものを、1回静脈内注射する。腫瘍体積は、式:0.5(最長寸法×垂直寸法)を使用して計算する。その腫瘍が約2000mmになったとき、マウスを試験から除外し、平均腫瘍サイズはそれ以降プロットしない。なお、本試験の方法は、Hamblett K. J. et. al. Clin. Cancer Res., 2004, 10, 7063-7070等に記載されている。
【0503】
試験例6:マウス又はラットを用いた、薬物又は抗体薬物複合体の毒性(安全性)試験
本試験は、抗体薬物複合体の毒性(安全性)を評価する代表的な試験である。毒性は、マウス又はラットに、抗体薬物複合体を単回又は反復尾静脈内投与し、一般症状観察、血液学的検査、血液生化学的検査、骨髄検査、剖検、臓器重量、病理組織学的検査等を実施することによって、確認することができる。なお本試験は、新版トキシコロジー、日本トキシコロジー学会教育委員会 編、朝倉書店 (2009)、独立行政法人 医薬品医療機器総合機構 ブレンツキシマブ ベトチン申請資料概要等に記載されている。
【0504】
試験例7:ADCの細胞傷害性試験(2)
実施例ADC17、実施例ADC18、実施例ADC41及び実施例ADC42を用いて細胞傷害性を測定した。具体的には、Karpas-299細胞(ECACC)を、10%のウシ胎児血清(MP Biomedicals)を含むRPMI1640(GIBCO)(以下、この試験において、「培地A」という)で培養した。Karpas-299細胞を培地Aで2×10cells/mLになるように調製し、96穴細胞培養用マイクロプレートに50μLずつ添加した。培地Aで濃度を2000ng/mLに調製したブレンツキシマブ又は実施例ADCを、マイクロプレートに50μLずつ添加し、37度、5%CO下で、4日間培養した。培養後、マイクロプレートをインキュベーターから取り出し、室温で10分間静置した。各ウェルに50μLのCellTiter-Glo Luminescent Cell Viability Assay(Promega)を添加し、撹拌した。この混合物を暗所で20分インキュベートし、マイクロプレートルミノメーターを用いて発光を計測することにより、ブレンツキシマブで処置した際に残存した細胞数に対する、実施例ADCで処置した際に残存した細胞数の百分率を求めた。下表にその結果を示す。
【表28】
【0505】
試験例7に示す通り、実施例ADCを用いた場合は、その抗体部分であるブレンツキシマブを用いた場合と比較して、より顕著な細胞数の減少が確認された。このことから、本発明のADCは、抗体それ自体と比べて、より強い細胞傷害性を示すことが明らかとなった。
【0506】
試験例8:ADCの細胞傷害性試験(3)
試験例3又は試験例7に記載の方法に準じ、下表中に示す細胞種を用いて、実施例ADCの細胞傷害性を測定した。細胞障害性の指標として、IC50又は333nMのADCにて処理した際の細胞の残存率を測定した。ただし、ADC51については、26.6nMのADC51にて処理した際の細胞の残存率を測定した。その結果を下表に示す。
【表29】
【0507】
上表に示す通り、実施例ADCは、ADCの抗体部分が結合する抗原を発現している細胞に対して、細胞傷害活性を示した。
【0508】
試験例1~8の結果から、実施例の化合物は、細胞傷害性試験において、比較例化合物よりも低い活性を示すことが分かった。一方、実施例化合物と抗体とを結合することにより得られる抗体薬物複合体は、細胞傷害性試験において高い活性を示した。これらの結果から、比較例化合物と実施例化合物の細胞傷害性の差は、細胞膜透過性の違いに基づくものと推察される。すなわち、実施例の化合物の細胞膜透過性が低く、細胞内への実施例化合物の移行が抑えられたため、比較例化合物よりも弱い細胞傷害性を示したのであると考えられる。したがって、実施例の化合物を含む抗体薬物複合体によれば、全身血液中で抗体部分と薬物部分の可逆的な解離が生じたとしても、細胞膜透過性の低い実施例の化合物が正常細胞内に移行されることが抑制され、副作用を低減できることを示唆された。
【産業上の利用可能性】
【0509】
以上で説明したように、本発明の抗体薬物複合体は、抗原発現細胞で選択的に細胞傷害活性を示し、正常細胞での細胞毒性が低いことから、本発明の抗体薬物複合体を含有する医薬は安全性に優れた抗がん剤となることが期待される。