IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東芝メディカルシステムズ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-医用画像診断装置及び医用画像処理装置 図1
  • 特許-医用画像診断装置及び医用画像処理装置 図2
  • 特許-医用画像診断装置及び医用画像処理装置 図3
  • 特許-医用画像診断装置及び医用画像処理装置 図4
  • 特許-医用画像診断装置及び医用画像処理装置 図5
  • 特許-医用画像診断装置及び医用画像処理装置 図6
  • 特許-医用画像診断装置及び医用画像処理装置 図7
  • 特許-医用画像診断装置及び医用画像処理装置 図8
  • 特許-医用画像診断装置及び医用画像処理装置 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】医用画像診断装置及び医用画像処理装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/14 20060101AFI20240925BHJP
【FI】
A61B8/14
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020094732
(22)【出願日】2020-05-29
(65)【公開番号】P2021186257
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】高田 優子
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 正毅
【審査官】永田 浩司
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-107084(JP,A)
【文献】特開2015-037491(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0193048(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 - 8/15
G06T 1/00 - 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体を撮影して前記被検体に関する超音波画像データを取得する取得部と、
前記超音波画像データから、ユーザにより設定可能な第1の画質条件に基づいて観察用医用画像を生成し、前記観察用医用画像の生成に用いられた前記超音波画像データから、画像解析を行う学習済みモデルに対応する第2の画質条件に基づいて解析用医用画像を生成する生成部と、
前記解析用医用画像に前記学習済みモデルを適用することで、前記解析用医用画像の画像解析を行う解析部と、
前記観察用医用画像と、前記解析用医用画像に前記画像解析の結果が重畳された画像とを表示する表示部と、
を具備する医用画像診断装置。
【請求項2】
前記生成部は、前記ユーザにより前記第1の画質条件が更新された場合、更新された第1の画質条件に基づいて新たな観察用医用画像を生成する、請求項1に記載の医用画像診断装置。
【請求項3】
前記観察用医用画像及び前記解析用医用画像を表示する形式に関する表示モードを、複数の表示モードから決定する決定部をさらに具備する請求項1又は請求項2に記載の医用画像診断装置。
【請求項4】
前記表示部は、前記決定部により、前記複数の表示モードのうち、前記観察用医用画像及び前記解析用医用画像を切り替えて表示する第1の表示モードが決定された場合、
前記ユーザからの画像の切り換え指示に応じて、前記観察用医用画像及び前記解析用医用画像を切り換えて表示する、請求項3に記載の医用画像診断装置。
【請求項5】
前記表示部は、前記決定部により、前記複数の表示モードのうち、前記観察用医用画像及び前記解析用医用画像を並列して表示する第2の表示モードが決定された場合、
前記観察用医用画像及び前記解析用医用画像を並列して表示する、請求項3に記載の医用画像診断装置。
【請求項6】
記表示部は、前記画像解析の結果を、前記画像解析が行われていない他方の医用画像に重畳表示する、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の医用画像診断装置。
【請求項7】
前記画像解析の結果に対して演算処理する演算部をさらに具備し、
前記生成部は、単数の前記観察用医用画像及び複数の前記解析用医用画像を生成し、
前記解析部は、前記複数の解析用医用画像のそれぞれに対して画像解析を行い、
前記演算部は、それぞれの画像解析の結果を総合する演算処理をし、
前記表示部は、前記演算部により演算された結果を前記単数の観察用医用画像に重畳表示する、請求項6に記載の医用画像診断装置。
【請求項8】
前記表示部は、前記演算部により、前記それぞれの画像解析の結果の論理積又は論理和を演算処理して、前記論理積又は論理和を前記単数の観察用医用画像に重畳表示する、請求項に記載の医用画像診断装置。
【請求項9】
前記表示部は、前記演算部により、前記それぞれの画像解析の結果の解析確度が閾値以上か否かを演算処理して、前記閾値以上である画像解析の結果を前記単数の観察用医用画像に重畳表示する、請求項記載に記載の医用画像診断装置。
【請求項10】
前記第1の画質条件及び前記第2の画質条件は、ゲイン、ダイナミックレンジ、γカーブ、及びRGBのうち少なくとも1つを含む画質パラメータにより規定される、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の医用画像診断装置。
【請求項11】
前記観察用医用画像及び前記解析用医用画像にそれぞれ対応付けられて、前記第1の画質条件及び前記第2の画質条件が記憶される、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の医用画像診断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、医用画像診断装置及び医用画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医用画像診断装置は、画像データに関してゲイン、ダイナミックレンジ、γカーブ、及びRGB等の各種画質パラメータをそれぞれ所定の値に設定する。医用画像診断装置は、各種画質パラメータにより規定される画質条件に基づいて、医用画像を生成して表示する。
【0003】
医用画像診断装置には、例えば、表示機器上に表示される医用画像(観察用画像とも呼ぶ)に各種画像解析を施すための画像解析アプリケーションが内蔵されるものがある。画像解析には、例えば、医用画像上でユーザが指定した関心領域(Region Of Interest:ROI)に含まれる特定の構造物を抽出するものがある。このような構造物抽出を含む画像解析は、例えば、深層学習(Deep Learning)により訓練された学習済みモデルを医用画像に適用することで実現可能である。ここで、学習済みモデルによる画像解析の精度を保証するためには、所定の画質条件に固定された多数の医用画像を学習データとして学習モデルを訓練する必要がある。これに伴い、解析される医用画像(解析用画像とも呼ぶ)を上述の学習データを用いて訓練された学習済みモデルを用いて解析する場合は、解析用画像の画質条件を学習データと同一の画質条件に固定する必要がある。
【0004】
したがって、上記の医用画像診断装置では、観察用画像に対して画像解析を行う場合(すなわち、観察用画像と解析用画像とが同一である場合)、観察用画像は画像解析に用いる学習済みモデルの訓練時の画質条件と同一の画質条件に固定されて表示されるため、医療従事者等のユーザが普段見慣れた画質とは大きく異なることがある。また、解析対象となる観察用画像の画質条件をユーザが自由に変更した場合、変更後のそれぞれの画質条件において、学習済みモデルによる画像解析の精度検証が必要となる。よって、精度検証に要する作業負荷を省くため、上記の医用画像診断装置では、ユーザが解析対象となる観察用画像の画質条件を自由に変更できない仕様とすることが多い。これにより、例えば、ユーザは所望の画質条件で観察用画像を観察することが出来ない上に、観察用画像上に表示された画像解析の結果を正当に評価しにくい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2009-17991号公報
【文献】特開2015-8839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、学習済みモデルによる画像解析を医用画像に行う際に、ユーザが普段見慣れている画質で医用画像を表示可能とすることである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態に係る医用画像診断装置は、取得部と、生成部と、表示部とを具備する。取得部は、被検体を撮影して前記被検体に関する画像データを取得する。生成部は、前記画像データから、ユーザにより設定可能な第1の画質条件に基づいて第1の医用画像を生成し、画像解析を行う学習済みモデルの訓練に使用された第2の画質条件に基づいて第2の医用画像を生成する。表示部は、前記第1の医用画像及び前記第2の医用画像を対応付けて表示可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施形態に係る超音波診断装置の構成を示す図。
図2】第1の実施形態に係る超音波診断装置の動作を示す図。
図3】シングル表示モードにおける観察用画像の表示形式を示す図。
図4】シングル表示モードにおける解析用画像の表示形式を示す図。
図5】デュアル表示モードにおける観察用画像及び解析用画像の表示形式を示す図。
図6】第1の実施形態に係る超音波診断装置の別の動作を示す図。
図7】クアッド表示モードにおける観察用画像及び解析用画像の表示形式を示す図。
図8】クアッド表示モードにおける観察用画像及び解析用画像の別の表示形式を示す図。
図9】第2の実施形態に係る医用画像処理装置の構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら本実施形態に係る医用画像診断装置及び医用画像処理装置について説明する。以下の実施形態では、同一の参照符号を付した部分は同様の動作を行うものとして、重複する説明を適宜、省略する。以下、医用画像診断装置の一例として、超音波診断装置を例に説明するが、これに限らない。例えば、X線CT(Computed Tomography)装置、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置、核医学診断装置、及びX線診断装置等の各種医用画像診断装置にも本実施形態に係る構成が適用可能である。
【0010】
(第1の実施形態)
第1の実施形態に係る超音波診断装置の構成について図1を参照して説明する。図1は、第1の実施形態に係る超音波診断装置1の構成例を示すブロック図である。図1に示されるように、超音波診断装置1は、本体装置10及び超音波プローブ30を含む。本体装置10は、ネットワーク100を介して外部装置40と接続される。また、本体装置10は、表示機器50及び入力装置60と接続される。
【0011】
超音波プローブ30は、複数の超音波振動子(以下、単に素子とも呼ぶ)、素子に設けられる整合層、及び素子から後方への超音波の伝播を防止するバッキング材等を有する。超音波プローブ30は、本体装置10と着脱自在に接続される。なお、超音波プローブ30は、被検体Pに接地して使用される。
【0012】
図1に示される本体装置10は、超音波プローブ30が受信した反射波信号に基づいて超音波画像を生成する装置である。本体装置10は、図1に示すように、超音波送信回路11、超音波受信回路12、Bモード処理回路13、ドプラ処理回路14、3次元処理回路15、表示処理回路16、内部記憶回路17、画像メモリ18(シネメモリ)、画像データベース19、入力インタフェース回路20、通信インタフェース回路21、及び制御回路22を含む。
【0013】
超音波送信回路11は、超音波プローブ30に駆動信号を供給するプロセッサである。超音波送信回路11は、例えば、トリガ発生回路、遅延回路、及びパルサ回路等により実現される。トリガ発生回路は、所定のレート周波数で、送信超音波を形成するためのレートパルスを繰り返し発生する。遅延回路は、超音波プローブ30から発生される超音波をビーム状に集束して送信指向性を決定するために必要な素子毎の送信遅延時間を、トリガ発生回路が発生する各レートパルスに対し与える。パルサ回路は、レートパルスに基づくタイミングで、超音波プローブ30に駆動信号(駆動パルス)を印加する。遅延回路により各レートパルスに対し与える送信遅延時間を変化させることで、素子面からの送信方向が任意に調整可能となる。
【0014】
超音波受信回路12は、超音波プローブ30が受信した反射波信号に対して各種処理を施し、受信信号を生成するプロセッサである。超音波受信回路12は、例えば、アンプ回路、A/D変換器、受信遅延回路、及び加算器等により実現される。アンプ回路は、超音波プローブ30が受信した反射波信号をチャンネル毎に増幅してゲイン補正処理を行なう。A/D変換器は、ゲイン補正された反射波信号をデジタル信号に変換する。受信遅延回路は、デジタル信号に受信指向性を決定するのに必要な受信遅延時間を与える。加算器は、受信遅延時間が与えられた複数のデジタル信号を加算する。加算器の加算処理により、受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調された受信信号が発生する。
【0015】
Bモード処理回路13は、超音波受信回路12から受け取った受信信号に基づき、Bモードデータを生成するプロセッサである。Bモード処理回路13は、超音波受信回路12から受け取った受信信号に対して包絡線検波処理、及び対数増幅処理等を施し、信号強度が輝度の明るさで表現されるデータ(以下、Bモードデータ)を生成する。生成されたBモードデータは、超音波走査線上のBモードRAWデータとして不図示のRAWデータメモリに記憶される。なお、BモードRAWデータは、後述の内部記憶回路17に記憶されてもよい。
【0016】
ドプラ処理回路14は、超音波受信回路12から受け取った受信信号に基づき、ドプラ波形、及びドプラデータを生成するプロセッサである。ドプラ処理回路14は、受信信号から血流信号を抽出し、抽出した血流信号からドプラ波形を生成すると共に、血流信号から平均速度、分散、及びパワー等の情報を多点について抽出したデータ(以下、ドプラデータ)を生成する。
【0017】
3次元処理回路15は、Bモード処理回路13、及びドプラ処理回路14により生成されたデータに基づき、2次元の画像データ又は3次元の画像データ(以下、ボリュームデータともいう)を生成可能なプロセッサである。3次元処理回路15は、RAW-ピクセル変換を実行することで、ピクセルから構成される2次元画像データを生成する。
【0018】
また、3次元処理回路15は、RAWデータメモリに記憶されたBモードRAWデータに対し、空間的な位置情報を加味した補間処理を含むRAW-ボクセル変換を実行することで、所望の範囲のボクセルから構成されるボリュームデータを生成する。3次元処理回路15は、発生したボリュームデータに対してレンダリング処理を施し、レンダリング画像データを生成する。以下、BモードRAWデータ、2次元画像データ、ボリュームデータ及びレンダリング画像データを総称して超音波データとも呼ぶ。
【0019】
表示処理回路16は、3次元処理回路15において発生された各種画像データに対し、ゲイン、ダイナミックレンジ、及びγカーブに関する補正、並びにRGB変換等の各種処理を実行することで、画像データを表示用データ(例えばビデオ信号)に変換する。表示処理回路16は、表示用データに基づく医用画像を生成し、表示機器50に生成した医用画像を表示させる。なお、表示処理回路16は、操作者が入力インタフェース回路20により各種指示を入力するためのユーザインタフェース(GUI:Graphical User Interface)を生成し、GUIを表示機器50に表示させてもよい。表示機器50としては、例えば、CRTディスプレイや液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、LEDディスプレイ、プラズマディスプレイ、又は当技術分野で知られている他の任意のディスプレイが適宜、利用可能である。
【0020】
内部記憶回路17は、例えば、磁気的若しくは光学的記録媒体、又は半導体メモリ等のプロセッサにより読み取り可能な記録媒体等を有する。内部記憶回路17は、超音波送受信を実現するための制御プログラム、画像処理を行うための制御プログラム、及び表示処理を行なうための制御プログラム等を記憶している。また、内部記憶回路17は、例えば、診断情報(例えば、被検体ID、医師の所見等)、診断プロトコル、ボディマーク生成プログラム、及び映像化に用いるカラーデータの範囲を診断部位毎に予め設定する変換テーブル等のデータ群を記憶している。また、内部記憶回路17は、生体内の臓器の構造に関する解剖学図譜、例えば、アトラスを記憶してもよい。
【0021】
本実施形態において、内部記憶回路17は、各種画像解析を行うための各種学習済みモデルと、各学習済みモデルに対応付けられる訓練時の画質条件とを記憶するものとする。学習済みモデルと画質条件とは、例えば、LUT(Look Up Table)形式で対応付けて記憶されてもよい。画質条件は、画像データに関するゲイン、ダイナミックレンジ、γカーブ、及びRGB等の各種画質パラメータにより規定される。なお、画質パラメータは、数値に限らず、カラーマップのような色の設定を含む。また、内部記憶回路17は、表示機器50上で医用画像を表示する際のレイアウトを規定する各種表示モードを実現するための各プログラムを記憶しているものとする。
【0022】
また、内部記憶回路17は、入力インタフェース回路20を介して入力される記憶操作に従い、3次元処理回路15で生成された2次元画像データ、ボリュームデータ、及びレンダリング画像データを記憶する。なお、内部記憶回路17は、入力インタフェース回路20を介して入力される記憶操作に従い、3次元処理回路15で生成された2次元画像データ、ボリュームデータ、及びレンダリング画像データを、操作順番及び操作時間を含めて記憶してもよい。内部記憶回路17は、記憶しているデータを、通信インタフェース回路21を介して外部装置40へ転送することも可能である。
【0023】
画像メモリ18は、例えば、磁気的若しくは光学的記録媒体、又は半導体メモリ等のプロセッサにより読み取り可能な記録媒体等を有する。画像メモリ18は、入力インタフェース回路20を介して入力されるフリーズ操作直前の複数フレームに対応する画像データを保存する。画像メモリ18に記憶されている画像データは、例えば、連続表示(シネ表示)される。
【0024】
画像データベース19は、外部装置40から転送される画像データを記憶する。例えば、画像データベース19は、外部装置40に保存される過去の診察において取得された同一被検体に関する過去の医用画像データを受け取って記憶する。過去の医用画像データには、超音波画像データ、CT画像データ、MR画像データ、PET(Positron Emission Tomography)-CT画像データ、PET-MR画像データ、及びX線画像データが含まれる。
【0025】
なお、画像データベース19は、MO、CD-R、DVD等の記憶媒体(メディア)に記録された画像データを読み込むことで、所望の画像データを格納してもよい。
【0026】
入力インタフェース回路20は、入力装置60を介して、ユーザからの各種指示を受け付ける。入力装置60は、例えば、マウス、キーボード、パネルスイッチ、スライダースイッチ、トラックボール、ロータリーエンコーダ、タッチコマンドスクリーン(TCS)、及び操作パネル等である。入力インタフェース回路20は、例えばバスを介して制御回路22に接続され、操作者から入力される操作指示を電気信号へ変換し、電気信号を制御回路22へ出力する。なお、本実施形態において入力インタフェース回路20は、マウス及びキーボード等の物理的な操作部品と接続するものだけに限られない。例えば、超音波診断装置1とは別体に設けられた外部の入力装置から入力される操作指示に対応する電気信号を無線信号として受け取り、この電気信号を制御回路22へ出力する電気信号の処理回路も入力インタフェース回路20の例に含まれる。例えば、操作者のジェスチャによる指示に対応する操作指示を無線信号として送信できるような外部の入力装置でもよい。
【0027】
通信インタフェース回路21は、ネットワーク100を介して外部装置40と接続され、外部装置40との間でデータ通信を行う。外部装置40は、例えば、各種の医用画像のデータを管理するシステムであるPACS(Picture Archiving and Communication Systems)のデータベース、医用画像が添付された電子カルテを管理する電子カルテシステムのデータベース等である。また、外部装置40は、例えば、X線CT装置、MRI装置、核医学診断装置、及びX線診断装置等、本実施形態に係る超音波診断装置1以外の各種医用画像診断装置でもよい。なお、外部装置40との通信規格は、如何なる規格であってもよいが、例えば、DICOM(Digital Imaging and COmmunications in Medicine)が挙げられる。
【0028】
制御回路22は、例えば、超音波診断装置1の中枢として機能するプロセッサである。制御回路22は、内部記憶回路17に記憶されている制御プログラムを実行することで、当該プログラムに対応する機能を実現する。具体的には、制御回路22は、取得機能101、生成機能102、解析機能103、演算機能104、決定機能105、及び表示機能106を実行する。
【0029】
取得機能101を実行することで、制御回路22は、被検体を撮影して被検体に関する画像データを取得する。
生成機能102を実行することで、制御回路22は、画像データから、ユーザにより設定可能な第1の画質条件に基づいて第1の医用画像を生成し、画像解析を行う学習済みモデルの訓練に使用された第2の画質条件に基づいて第2の医用画像を生成する。
解析機能103を実行することで、制御回路22は、第1の医用画像及び第2の医用画像のうち少なくともどちらか一方に対して、第2の画質条件で訓練された学習済みモデルを適用することで画像解析を行う。
演算機能104を実行することで、制御回路22は、画像解析の結果に対して演算処理する。
決定機能105を実行することで、制御回路22は、第1の医用画像及び第2の医用画像を表示する形式に関する表示モードを、複数の表示モードから決定する。
表示機能106を実行することで、制御回路22は、第1の医用画像及び第2の医用画像を対応付けて表示可能とする。また、表示機能106は、画像解析の結果を、画像解析が行われた医用画像に重畳表示する。また、表示機能106は、一方の医用画像に対する画像解析の結果を、画像解析が行われていない他方の医用画像に重畳表示する。
【0030】
なお、取得機能101、生成機能102、解析機能103、演算機能104、決定機能105、及び表示機能106は、制御プログラムとして組み込まれていてもよいし、制御回路22自体又は本体装置10に、各機能を実行可能な専用のハードウェア回路が組み込まれていてもよい。
【0031】
制御回路22は、これら専用のハードウェア回路を組み込んだ特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(Field Programmable Logic Device:FPGA)、他の複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、又は単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)により実現されてもよい。
【0032】
第1の実施形態に係る超音波診断装置の動作について図2を参照して説明する。図2は、第1の実施形態に係る超音波診断装置1の動作例を示すフロー図である。なお、本動作例は、後述する図3図5のシングル表示モードやデュアル表示モードにおいて観察用画像や解析用画像を表示するための動作例である。
【0033】
ステップS201において、制御回路22は、被検体の画像データを取得する。具体的には、制御回路22は取得機能101を実行することで、被検体を撮影して前記被検体に関する画像データを取得する。なお、制御回路22は、画像データベース19に記憶されている画像データを取得してもよい。取得される画像データは、3次元処理回路15で生成される2次元画像データ、ボリュームデータ、又はレンダリング画像データであり、所定の画像フォーマットで内部記憶回路17に記憶される。画像フォーマットは、例えば、JPEG、PNG、GIF、SVG、TIFF、DICOM等を含む。なお、画像データとしては、リアルタイムで取得された複数のフレームであってもよいし、単数のフレームであってもよい。
【0034】
ステップS202において、制御回路22は、観察用画像及び解析用画像を生成する。具体的には、制御回路22は生成機能102を実行することで、画像データから、ユーザにより設定可能な画質条件に基づいて観察用画像を生成し、画像解析を行う学習済みモデルの訓練に使用された画質条件に基づいて解析用画像を生成する。制御回路22は、例えば、ユーザが操作パネル等の入力装置60を介して入力した指示を受け付けて、観察用画像の画質条件を設定すればよい。また、制御回路22は、内部記憶回路17に記憶される学習済みモデルに対応付けられる訓練時の画質条件に基づいて、解析用画像の画質条件を設定すればよい。また、解析用画像の画質条件を規定する画質パラメータの一部(例えば、ゲイン)は、ユーザ入力により変更されてもよい。なお、ユーザにより観察用画像の画質条件が更新された場合、更新された画質条件に基づいて新たな観察用画像を生成してもよい。生成された観察用画像及び解析用画像は、ステップS201と同様な画像フォーマットで内部記憶回路17に記憶される。このとき、観察用画像及び解析用画像にそれぞれ対応付けられて、観察用画像の画質条件及び解析用画像の画質条件が内部記憶回路17に記憶される。
【0035】
なお、観察用画像及び解析用画像は、それぞれ少なくとも1枚生成されればよい。例えば、観察用画像に関しては、ユーザが複数の異なる画質条件を設定した場合、それぞれの画質条件に基づく複数の観察用画像が生成されてもよい。解析用画像に関しては、複数の異なる学習済みモデルに対応付けられる、それぞれの学習済みモデルの訓練時の画質条件に基づいて複数の解析用画像が生成されてもよい。
【0036】
なお、ステップS202において、制御回路22は、取得された画像データからユーザが設定した画質条件に基づいて観察用画像を生成したが、これに限らない。例えば、ステップS201において、制御回路22は、ユーザが設定した超音波の送受信等に係るパラメータに基づいて、観察用画像のための画像データを取得してもよい。ひいては、当該画像データに基づいて観察用画像を生成してもよい。これにより、画質パラメータの調整では困難な、観察用画像の画質の調整が可能となる。
【0037】
ステップS203において、制御回路22は、画像解析を行う。具体的には、制御回路22は解析機能103を実行することで、解析用画像に対して、ステップS202で解析用画像を生成する際に基づいた学習済みモデルを適用することで画像解析を行う。このとき、制御回路22は、ユーザが操作パネル等の入力装置60を介して医用画像に設定した関心領域に限定して、学習済みモデルを適用してもよい。なお、画像解析は、観察用画像に対しても行われてもよい。すなわち、制御回路22は解析機能103を実行することで、観察用画像に対して学習済みモデルを適用し画像解析を行ってもよい。画像解析の結果は、画像解析が行われた医用画像に対応付けられて、内部記憶回路17に記憶される。
【0038】
ここで、解析用画像の画質条件は、学習済みモデルの訓練に用いられた画質条件と同一であるため、学習済みモデルによる解析用画像に対する画像解析の結果は精度が保証される。一方、観察用画像の画質条件は、学習済みモデルの訓練に用いられた画質条件とは異なる場合がある。しかし、観察用画像に対しても学習済みモデルを適用することで、ユーザは観察用画像に対する画像解析の結果を、解析用画像に対する画像解析の結果と比較することができる。
【0039】
また、画像解析の種類としては、医用画像上に写る病変部や組織、臓器等の特定の構造物を抽出する解析であってもよいが、これに限らない。例えば、特定の構造物の短径や長径の長さの測定、がんのカテゴリ判定等の病変の判定処理等、医用画像に対するその他の目的の解析であってもよい。
【0040】
ステップS204において制御回路22は、表示モードを決定する。具体的には、制御回路22は決定機能105を実行することで、観察用画像及び解析用画像を表示する形式に関する表示モードを、複数の表示モードから決定する。複数の表示モードは、例えば、観察用画像及び表示用画像を切り替えて表示するシングル表示モードと、観察用画像及び表示用画像を並列して表示するデュアル表示モード及びクアッド表示モードとを含む。なお、シングル表示モードにおいては1枚の医用画像が表示され、デュアル表示モードにおいては、最大で2枚の医用画像が表示され、クアッド表示モードでは、最大で4枚の医用画像が表示される。
【0041】
なお、制御回路22は、例えば、ユーザが操作パネル等の入力装置60を介して入力した指示を受け付けて表示モードを決定してもよいし、予め初期設定(デフォルト)として設定されている表示モードを決定してもよい。
【0042】
ステップS205において、制御回路22は、観察用画像や解析用画像を表示する。具体的には、制御回路22は表示機能106を実行することで、観察用画像及び解析用画像を対応付けて表示可能とする。このとき、表示モードごとに規定される各レイアウトに基づいて、観察用画像や解析用画像を表示機器50に表示する。さらに、ステップS203における画像解析の結果を、観察用画像や解析用画像に重畳して表示する。例えば、画像解析の結果を、画像解析が行われた医用画像に重畳表示してもよい。また、一方の医用画像に対する画像解析の結果を、画像解析が行われていない他方の医用画像に重畳表示してもよい。
【0043】
以下、ステップS201-S205の一連の動作を超音波診断装置1が実行した結果として、シングル表示モード及びデュアル表示モードにおける観察用画像及び解析用画像の表示形式を図3図5に示す。なお、適用される学習済みモデルとして、特定の構造物を抽出する学習済みモデルを例に説明する。また、観察用画像及び解析用画像の一例である観察用画像310及び解析用画像320は、同一のファントムを超音波撮影することで取得された同一の画像データに基づいて、それぞれ異なる画質条件で生成されたものである。なお、実際には観察用画像310及び解析用画像320は、リアルタイムでフレームが更新されて表示される。
【0044】
シングル表示モードにおける観察用画像の表示形式について図3を参照して説明する。図3は、シングル表示モードにおける観察用画像の表示例を示す模式図である。
図3では、表示機器50に観察用画像310が表示される。具体的には、図4の解析用画像320の関心領域321において学習済みモデルを適用した結果である検出領域322が、解析が行われていない観察用画像310に検出領域312として重畳表示される。なお、観察用画像310の関心領域311と、解析用画像320の関心領域321とは同一に設定されている。ここでは、検出領域312は、円形の構造物を抽出した結果であり、抽出された構造物を囲むような枠で表される。また、ユーザが設定した画質パラメータの一部として、例えば、ゲイン「G:80」、ダイナミックレンジ「DR:70」が、観察用画像310の近傍に付随して表示される。また、観察用画像310の表示中において、ユーザは例えば、操作パネル等の入力装置60に設けられた切り替えボタンを押下することで、超音波診断装置1は、図4に示す解析用画像320に切り替えて表示する。
【0045】
シングル表示モードにおける解析用画像の表示形式について図4を参照して説明する。図4は、シングル表示モードにおける解析用画像の表示例を示す模式図である。
図4では、表示機器50に解析用画像320が表示される。具体的には、解析用画像320の関心領域321において学習済みモデルを適用した結果である検出領域322が、解析が行われた解析用画像320に重畳表示される。また、ユーザが設定した画質パラメータの一部として、ゲイン「G:80」が、解析用に自動で固定された画質パラメータの一部として、ダイナミックレンジ「DR:80」が、解析用画像320の近傍に付随して表示される。また、解析用画像320の表示中において、ユーザは例えば、操作パネル等の入力装置60に設けられた切り替えボタンを押下することで、超音波診断装置1は、図3に示す観察用画像310に切り替えて表示する。
【0046】
このように、シングル表示モードでは、観察用画像と解析用画像とを切り替えて表示することで、いずれかの医用画像が表示機器に表示される。よって、1枚の医用画像を画面上の比較的大きな領域を用いて表示できる。また、ユーザが解析結果に疑問がある場合等に観察用画像から解析用画像に切り換えて表示することで、解析用画像がどのように描画されるかを容易に確認できる。また、解析用画像に表示される検出領域は、学習済みモデルの適用に適した画質条件の解析用画像に基づく解析結果である。よって、ユーザが見やすい観察用画像上に、解析用画像上で検出された高精度な検出領域を重畳表示できる。さらに、観察用画像及び解析用画像を画面上の同一の位置に同一の大きさで表示すれば、切り替えた際に観察用画像及び解析用画像の画質の違いや、検出領域の位置や大きさの違いを容易に比較することができる。また、観察用画像及び解析用画像の画質条件を規定する一部の画質パラメータを数値として付随して表示することで、定量的に画質の違いを比較することができる。
【0047】
デュアル表示モードにおける観察用画像及び解析用画像の表示形式について図5を参照して説明する。図5は、デュアル表示モードにおける観察用画像及び解析用画像の表示例を示す模式図である。
図5では、表示機器50に観察用画像310及び解析用画像320が表示される。具体的には、図3に示す観察用画像310を含む画面構成が左側に、図4に示す解析用画像320を含む画面構成が右側に並列されて表示される。なお、図5では観察用画像310及び解析用画像320がお互いに1つの辺で隣接しており、画質パラメータを含む付随情報は隣接部と反対側に配置される。なお、観察用画像310及び解析用画像320は、お互いに左右を入れ替えてもよいし、上下に並列して表示してもよい。
【0048】
なお、図5では観察用画像310の検出領域312は非表示に設定されているが、これに限らない。例えば、観察用画像310の関心領域311を非表示に設定してもよい。
【0049】
このように、デュアル表示モードでは、観察用画像と解析用画像とを並列して表示することで、2枚の医用画像が表示機器に表示される。すなわち、2枚の医用画像を同一の画面上に表示できる。また、観察用画像と解析用画像とを切り換えずに、同一の画面上で解析用画像及び解析用画像がどのように描画されるかを容易に確認できる。また、観察用画像の関心領域や検出領域を非表示に設定することで、ユーザが観察用画像を読影しやすい状態にできる。さらに、同一の画面上で観察用画像及び解析用画像の画質の違いや、検出領域の位置や大きさの違いを容易に比較することができる。また、観察用画像及び解析用画像の画質条件を規定する一部の画質パラメータを数値として付随して表示することで、定量的に画質の違いを比較することができる。
【0050】
第1の実施形態に係る超音波診断装置の別の動作について図6を参照して説明する。
図6は、第1の実施形態に係る超音波診断装置の別の動作例を示すフロー図である。なお、本動作例は、後述する図7図8のクアッド表示モードにおいて観察用画像や解析用画像を表示するための動作例である。
【0051】
ステップS601において、制御回路22は、被検体の画像データを取得する。ステップS601の動作は、ステップS201の動作と同様である。
【0052】
ステップS602において、制御回路22は、観察用画像及び解析用画像を生成する。具体的には、制御回路22は、単数の観察用画像及び複数の解析用画像を生成する。
【0053】
ステップS603において、制御回路22は、画像解析を行う。具体的には、制御回路22は、複数の解析用画像のそれぞれに対して画像解析を行う。
【0054】
ステップS604において、制御回路22は、演算処理を行う。具体的には、制御回路22は演算機能104を実行することで、それぞれの画像解析の結果を総合する。演算処理として、例えば、それぞれの画像解析の結果の論理積(AND)又は論理和(OR)を演算してもよい。また、それぞれの画像解析の結果の解析確度が閾値以上か否かを演算してもよい。なお、演算処理の結果は、内部記憶回路17に記憶される。
【0055】
ステップS605において、制御回路22は、表示モードを決定する。ステップS605の動作は、ステップS204の動作と同様である。
【0056】
ステップS606において、制御回路22は、観察用画像や解析用画像を表示する。さらに、制御回路22は、演算された結果を単数の観察用画像に重畳表示する。また、制御回路22は、解析確度が閾値以上である画像解析の結果を単数の観察用画像に重畳表示してもよい。
【0057】
クアッド表示モードにおける観察用画像及び解析用画像の表示形式について図7を参照して説明する。図7は、クアッド表示モードにおける観察用画像及び解析用画像の表示例を示す模式図である。なお、図7図8に示すクアッド表示モードでは、観察用画像が1枚生成され、解析用画像が3枚生成されているものとする。また、各解析用画像の画質条件及び適用される学習済みモデルは、解析用画像ごとに異なるものとする。なお、観察用画像及び解析用画像の総数が4枚に満たない場合でもクアッド表示モードにより表示可能であるが、この場合、医用画像が存在しない領域には何も表示しないようにしてもよい。
【0058】
図7では、左上に観察用画像310、右上に解析用画像320、右下に解析用画像330、左下に解析用画像340が表示される。各解析用画像では、異なる構造物を抽出する異なる画像解析が行われた結果として、それぞれに検出領域が重畳表示される。具体的には、解析用画像320では、円形の構造物を検出する学習済みモデルを関心領域321に適用した結果が、検出領域322として重畳表示される。解析用画像330では、四角形の構造物を検出する学習済みモデルを関心領域331に適用した結果が、検出領域332として重畳表示される。解析用画像340では、三角形の構造物を検出する学習済みモデルを関心領域341に適用した結果が、検出領域342として重畳表示される。これら異なる画像解析のそれぞれの結果の論理和(OR)が演算されて、観察用画像310に重畳表示される。なお、観察用画像310の関心領域311と、解析用画像320の関心領域321と、解析用画像330の関心領域331と、解析用画像340の関心領域341とは全て同一に設定されている。
【0059】
なお、検出領域322、検出領域332、及び検出領域342はそれぞれ異なる色や異なる枠線の形態(例えば実線、破線、点線)等によって区別して表示されてもよく、観察用画像310で重畳されたときに識別できればよい。
【0060】
クアッド表示モードにおける観察用画像及び解析用画像の別の表示形式について図8を参照して説明する。図8は、クアッド表示モードにおける観察用画像及び解析用画像の別の表示例を示す模式図である。なお、図7では、異なる構造物を抽出する異なる学習済みモデルを適用したが、図8では、同一の構造物を抽出する異なる学習済みモデルを適用する点が異なる。
【0061】
図8では、左上に観察用画像310、右上に解析用画像320、右下に解析用画像330、左下に解析用画像340が表示される。各解析用画像では、同一の構造物を抽出する異なる画像解析が行われた結果として、それぞれに検出領域が重畳表示される。具体的には、解析用画像320では、円形の構造物を検出する学習済みモデルを関心領域321に適用した結果が、検出領域322として重畳表示される。解析用画像330では、円形の構造物を検出する学習済みモデルを関心領域331に適用した結果が、検出領域332として重畳表示される。解析用画像340では、円形の構造物を検出する学習済みモデルを関心領域341に適用した結果が、検出領域342として重畳表示される。これら異なる画像解析のそれぞれの結果の論理積(AND)が演算されて、観察用画像310に検出領域312として重畳表示される。
【0062】
なお、観察用画像310の検出領域312は3つの解析手法の結果のANDだが、これに限らない。例えば、各検出領域の重複領域のうち、全ての解析手法の結果において構造物を包含している確度が所定の閾値以上の領域をANDの領域としてもよい。当該閾値は、プリセットから選択してもよい。また、3つの解析手法のうち2つの解析手法で閾値を超えた領域も含める等、ANDの取り方を軟化させてもよい。また、ユーザが3つの解析手法の解析結果を比較しながら、ANDをとるべき解析手法を3つの解析手法のうちから任意で選択してもよい。
【0063】
このように、クアッド表示モードでは、観察用画像と解析用画像とを並列して表示することで、4枚の医用画像が表示機器に表示される。すなわち、4枚の医用画像を同一の画面上に表示できる。また、観察用画像と解析用画像とを切り換えずに、解析用画像及び解析用画像がどのように描画されるかを同一の画面上で容易に確認できる。さらに、同一の画面上で観察用画像及び解析用画像の画質の違いや、検出領域の位置や大きさの違いを容易に比較することができる。また、観察用画像及び解析用画像の画質条件を規定する一部の画質パラメータを数値として付随して表示することで、定量的に画質の違いを比較することができる。さらに、複数の解析用画像それぞれで異なる解析を行った結果を演算処理して、1枚の観察用画像に重畳して表示することができる。これにより、ユーザが見やすい観察用画像上に、高精度な演算結果を重畳表示できる。
【0064】
(その他変形例)
以上、各表示モードにおける観察用画像及び解析用画像の表示形式を示したが、これに限らない。例えば、ゲインやダイナミックレンジ以外の画質パラメータとして、γカーブ、及びRGB等を観察用画像や解析用画像に付随して表示してもよい。これにより、観察用画像及び解析用画像それぞれの画質条件の違いを、ユーザが医用画像とともに表示機器の画面上で比較することができる。
【0065】
また、観察用画像及び解析用画像に対応するカラーバーを付随して表示することで、観察用画像及び解析用画像のカラーマップに関する画質条件の違いを比較することができる。また、表示機器上に表示されない一部の画質パラメータを操作パネル上で表示すれば、当該画質パラメータによる観察用画像及び解析用画像の画質条件の違いを操作パネル上で比較することができる。
【0066】
なお、観察用画像の関心領域と、解析用画像の関心領域は、同一ではなく、異なってもよい。この場合、解析用画像の関心領域は、観察用画像の関心領域を包含する範囲で設定されればよい。これにより、少なくともユーザが設定した観察用画像の関心領域に対して、解析用画像上で画像解析することができる。
【0067】
なお、シングル表示モード、デュアル表示モード、クアッド表示モードを含む各表示モードは、例えば、操作パネル等の入力装置に設けられた切り替えボタンを押下することで切り替え可能としてもよい。もちろん、4枚よりも多い画像を表示する表示モードを設定してもよい。
【0068】
以上説明した第1の実施形態によれば、ユーザが所望する画質条件やレイアウトで観察用画像を観察できる。また、観察用画像と解析用画像とを対応付けて表示することで、各医用画像の画質や解析結果の違いを比較することができる。また、解析用画像の画質条件は1種類に固定されるため、当該画質条件に付いてのみ精度を検証すればよく、精度検証に係る作業負荷を最低限に抑えることができる。なお、解析用画像の画質条件は、解析の精度検証が可能な範囲で複数種類あってもよい。
【0069】
(第2の実施形態)
第2の実施形態に係る医用画像処理装置の構成について図9を参照して説明する。第1の実施形態に係る超音波診断装置では、被検体を超音波撮影して得られた画像データに基づいて、観察用画像及び解析用画像を同時に生成して表示する。第2の実施形態における医用画像処理装置では、被検体を撮影する機構を持たず、画像データを外部装置から取得する点が異なる。第2の実施形態に係る医用画像処理装置は、例えばワークステーションなど解析装置に含まれる場合を想定するが、他の装置に搭載されてもよい。それ以外の点については、超音波診断装置1と同様である。
【0070】
図9は、第2の実施形態に係る医用画像処理装置9の構成例を示すブロック図である。医用画像処理装置9は、制御回路90、メモリ91、入力インタフェース回路92、通信インタフェース回路93、表示機器94、入力装置95、ネットワーク96、及び外部装置97を含む。なお、医用画像処理装置9の各構成部は、超音波診断装置1において対応する各構成部と同様な機能を果たすものとし、重複する説明を適宜、省略する。
【0071】
制御回路90は、例えば、医用画像処理装置9の中枢として機能するプロセッサである。制御回路90は、メモリ91に記憶されている制御プログラムを実行することで、当該プログラムに対応する機能を実現する。具体的には、制御回路90は、取得機能901、生成機能902、解析機能903、演算機能904、決定機能905、及び表示機能906を実行する。
【0072】
取得機能901を実行することで、制御回路22は、被検体に関する画像データを取得する。
生成機能902(生成機能102に相当)を実行することで、制御回路22は、画像データから、ユーザにより設定可能な第1の画質条件に基づいて第1の医用画像を生成し、画像解析を行う学習済みモデルの訓練に使用された第2の画質条件に基づいて第2の医用画像を生成する。
解析機能903(解析機能103に相当)を実行することで、制御回路22は、第1の医用画像及び第2の医用画像のうち少なくともどちらか一方に対して、第2の画質条件で訓練された学習済みモデルを適用することで画像解析を行う。
演算機能904(演算機能104に相当)を実行することで、制御回路22は、画像解析の結果に対して演算処理する。
決定機能905(決定機能105に相当)を実行することで、制御回路22は、第1の医用画像及び第2の医用画像を表示する形式に関する表示モードを、複数の表示モードから決定する。
表示機能906(表示機能106に相当)を実行することで、制御回路22は、第1の医用画像及び第2の医用画像を対応付けて表示可能とする。また、表示機能906は、画像解析の結果を、画像解析が行われた医用画像に重畳表示する。また、表示機能906は、一方の医用画像に対する画像解析の結果を、画像解析が行われていない他方の医用画像に重畳表示する。
【0073】
メモリ91(内部記憶回路17に相当)は、制御回路90の各機能を実現するための各プログラムを記憶する。また、ネットワーク96(ネットワーク100に相当)を介して外部装置97(外部装置40に相当)から取得された画像データを記憶する。
【0074】
入力インタフェース回路92(入力インタフェース回路20に相当)は、入力装置95(入力装置60に相当)を介して、ユーザからの各種指示を受け付ける。
【0075】
通信インタフェース回路93(通信インタフェース回路21に相当)は、ネットワーク96(ネットワーク100に相当)を介して外部装置97と接続され、外部装置97との間でデータ通信を行う。外部装置97は、画像データを記憶する。
【0076】
表示機器94(表示機器50に相当)は、医用画像を表示する。
【0077】
以上説明した第2の実施形態によれば、外部装置から得た画像データに基づいて、同時に観察用画像及び解析用画像を生成することができる。また、ユーザが所望する画質条件やレイアウトで観察用画像を観察できる。また、観察用画像と解析用画像とを対応付けて表示することで、各医用画像の画質や解析結果の違いを比較することができる。また、解析用画像の画質条件は1種類に固定されるため、当該画質条件に付いてのみ精度を検証すればよく、精度検証に係る作業負荷を最低限に抑えることができる。なお、解析用画像の画質条件は、解析の精度検証が可能な範囲で複数種類あってもよい。
【0078】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、学習済みモデルによる画像解析を医用画像に行う際に、ユーザが普段見慣れている画質で医用画像を表示可能とすることができる。
【0079】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0080】
1・・・超音波診断装置、9・・・医用画像処理装置、10・・・本体装置、11・・・超音波送信回路、12・・・超音波受信回路、13・・・Bモード処理回路、14・・・ドプラ処理回路、15・・・次元処理回路、16・・・表示処理回路、17・・・内部記憶回路、18・・・画像メモリ、19・・・画像データベース、20,92・・・入力インタフェース回路、21,93・・・通信インタフェース回路、22,90・・・制御回路、30・・・超音波プローブ、40,97・・・外部装置、50,94・・・表示機器、60,95・・・入力装置、91・・・メモリ、96,100・・・ネットワーク、101,901・・・取得機能、102,902・・・生成機能、103,903・・・解析機能、104,904・・・演算機能、105,905・・・決定機能、106,906・・・表示機能、310・・・観察用画像、311,321,331,341・・・関心領域、312,322,332,342・・・検出領域、320,330,340・・・解析用画像
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9