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特許7560285空気入りタイヤ、空気入りタイヤの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】空気入りタイヤ、空気入りタイヤの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B60C 13/00 20060101AFI20240925BHJP
   B60C 13/02 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
B60C13/00 D
B60C13/02
B60C13/00 E
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020123840
(22)【出願日】2020-07-20
(65)【公開番号】P2022020378
(43)【公開日】2022-02-01
【審査請求日】2023-05-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】TOYO TIRE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】園田 悠介
【審査官】松岡 美和
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-179964(JP,A)
【文献】特開2008-001249(JP,A)
【文献】特開2017-165150(JP,A)
【文献】国際公開第2008/038462(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0291369(US,A1)
【文献】特開2018-094890(JP,A)
【文献】特開平08-216620(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 33/02
B29C 35/02
B29D 30/06
B60C 11/00-13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接地面を形成するトレッドゴムと、
前記トレッドゴムのタイヤ幅方向外側の側面を覆うサイドウォールゴムと、を備え、
前記サイドウォールゴムは、タイヤのトレッドを形成するトレッドモールドと前記タイヤのサイドウォールを形成するサイドモールドとの嵌合面によって形成される嵌合面跡を有し、
前記サイドウォールゴムのうち前記嵌合面跡が形成されている部位のタイヤ幅方向の厚みが2mm以上である、空気入りタイヤ。
【請求項2】
前記サイドウォールゴムは、前記トレッドゴムのタイヤ幅方向外側に配置される第1サイドゴムと、前記第1サイドゴムのタイヤ幅方向外側に配置される第2サイドゴムと、を含み
前記第1サイドゴムと前記第2サイドゴムとはゴム配合が異なり、
前記第1サイドゴムのタイヤ径方向外側端は、前記第2サイドゴムのタイヤ径方向外側端よりもタイヤ径方向外側に配置されており、
前記第1サイドゴムと前記第2サイドゴムの界面のタイヤ外表面への露出部位は、前記嵌合面跡からタイヤ径方向に5mm以上離れている、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
【請求項3】
前記サイドウォールゴムのタイヤ径方向外側端は、前記接地面のタイヤ幅方向外側端からタイヤ幅方向に10mm以内に配置されている、請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
【請求項4】
生タイヤを、タイヤのトレッドを形成するトレッドモールドとタイヤのサイドウォールを形成するサイドモールドとを有するモールド内に配置する配置ステップと、
前記配置ステップの後に、加熱により前記生タイヤを加硫する加硫ステップと、を含み、
前記生タイヤは、接地面を形成するトレッドゴムと、前記トレッドゴムのタイヤ幅方向外側の側面を覆うサイドウォールゴムと、を備え、前記サイドウォールゴムは、前記トレッドゴムのタイヤ幅方向外側に配置される第1サイドゴムと、前記第1サイドゴムのタイヤ幅方向外側に配置される第2サイドゴムと、を含み、
前記第1サイドゴムのタイヤ径方向外側端は、前記第2サイドゴムのタイヤ径方向外側端よりもタイヤ径方向外側に配置され、
前記第1サイドゴムと前記第2サイドゴムの界面のタイヤ外表面への露出部位は、前記トレッドモールドと前記サイドモールドとの嵌合面からタイヤ径方向に5mm以上離れて配置される、空気入りタイヤの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空気入りタイヤ、空気入りタイヤの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
空気入りタイヤは、生タイヤ(加硫前の未加硫タイヤ)をモールドに入れて加熱し加硫することで成形される。モールドは、特許文献1に開示されるように、タイヤのトレッドを形成するトレッドモールドと、タイヤのサイドウォールを形成するサイドモールドとを有する。
【0003】
トレッドモールド及びサイドモールドは、各々の成形面が連なるように嵌合される。しかし、各々のモールドの嵌合面間にゴムが入り、タイヤ表面に嵌合面跡が形成される。トレッドモールドとサイドモールドの嵌合面に接するサイドウォールゴムは、吸われて嵌合面間に入るため、嵌合面に接する部位のサイドウォールゴムが薄くなりやすい。その結果、サイドウォールゴムのうちの薄い部位にクラックが生じやすい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2011/105390号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、クラックの発生を抑制する空気入りタイヤ及び空気入りタイヤの製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の空気入りタイヤは、接地面を形成するトレッドゴムと、前記トレッドゴムのタイヤ幅方向外側の側面を覆うサイドウォールゴムと、を備え、前記サイドウォールゴムは、タイヤのトレッドを形成するトレッドモールドと前記タイヤのサイドウォールを形成するサイドモールドとの嵌合面によって形成される嵌合面跡を有し、前記サイドウォールゴムのうち前記嵌合面跡が形成されている部位のタイヤ幅方向の厚みが2mm以上である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態の空気入りタイヤを示すタイヤ子午線断面図。
図2】モールドを示す断面図。
図3図1の要部を拡大して示す図。
図4】第1実施形態の空気入りタイヤとモールドの嵌合面との関係を示す断面図。
図5】第2実施形態の空気入りタイヤの要部を示すタイヤ子午線断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<第1実施形態>
以下、本開示の第1実施形態の空気入りタイヤについて、図面を参照して説明する。図において、「CD」はタイヤ周方向を意味し、「WD」はタイヤ幅方向を意味し、「RD」はタイヤ径方向を意味する。各図は、タイヤ新品時の形状を示す。
【0009】
図1及び図4は、タイヤ赤道CLからタイヤ幅方向WDの一方側のみを示すタイヤ子午線断面図である。図1に示すように、空気入りタイヤは、一対のビード1と、各々のビード1からタイヤ径方向外側RD1に延びるサイドウォール2と、サイドウォール2のタイヤ径方向外側RD1端同士を連ねるトレッド3とを備える。ビード1には、鋼線等の収束体をゴム被覆してなる環状のビードコア1aと、ビードフィラー1bとが配置されている。ビード1は、リム(非図示)のビードシートに装着され、空気圧が所定圧(例えばJATMAで決められた空気圧)であれば、タイヤ内圧によりリムフランジに適切にフィッティングし、タイヤがリムに嵌合される。
【0010】
また、このタイヤは、トレッド3からサイドウォール2を経てビード1に至るトロイド状のカーカス4を備える。カーカス4は、一対のビード1同士の間に設けられ、その端部がビードコア1aを介して巻き上げられた状態で係止されている。カーカス4の内周側には、空気圧を保持するためのインナーライナーゴム5が配置されている。
【0011】
トレッド3は、接地面30を形成するトレッドゴム31を有する。トレッドゴム31は、カーカス4のタイヤ径方向外側RD1に配置されるベースゴム31bと、ベースゴム31bのタイヤ径方向外側RD1に配置されるキャップゴム31aと、を有する。キャップゴム31aは、接地面30を有する。接地面30は、タイヤを正規リムにリム組みし、正規内圧を充填した状態でタイヤを平坦な路面に垂直に置き、正規荷重を加えたときに路面に接触する。接地端LEは、接地面30のタイヤ幅方向外側WD1の端である。本実施形態のように、重荷重用タイヤにおいてはトレッド3の角の稜線が該当する。
【0012】
正規リムは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤごとに定めるリムであり、例えば、JATMAであれば標準リム、TRA及びETRTOであれば「Measuring Rim」となる。正規内圧は、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤごとに定めている空気圧であり、JATMAであれば最高空気圧、TRAであれば表「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に記載の最大値、ETRTOであれば「INFLATION PRESSURE」である。なお、タイヤが乗用車用である場合には180kPaとし、さらに、Extra LoadまたはReinforcedと記載されたタイヤである場合には220kPaとする。正規荷重は、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤごとに定めている荷重であり、JATMAであれば最大負荷能力、TRAであれば上記の表に記載の最大値、ETRTOであれば「LOAD CAPACITY」であるが、タイヤが乗用車用である場合には内圧の対応荷重の88%とする。
【0013】
サイドウォール2は、カーカス4のタイヤ幅方向外側WD1にタイヤの外表面を形成するサイドウォールゴム20を有する。サイドウォールゴム20は、トレッドゴム31のタイヤ幅方向外側WD1の側面を覆う。すなわち、本実施形態のタイヤは、SWOT(SideWall On Tread)構造である。図1に示すように、サイドウォールゴム20には、嵌合面跡23が形成されている。嵌合面跡23は、トレッドモールド80とサイドモールド81との嵌合面83によって形成される。具体的には、図2に示すように、タイヤを成形するためのモールド8は、タイヤのトレッド3を形成するトレッドモールド80と、タイヤのサイドウォール2を形成する一対のサイドモールド81と、タイヤのビード1が嵌合される一対のビードモールド82と、を有する。トレッドモールド80の成形面80aと、サイドモールド81の成形面81aとは連なるが、微小な隙間が生じる。タイヤの加硫時には、トレッドモールド80の嵌合面83とサイドモールド81の嵌合面83との間に、サイドウォールゴム20が侵入して、タイヤ周方向に連なる円環状の突起が形成される。図3に示すように、突起のタイヤ径方向の幅は1mm以下であり、シート状である。また、製品は突起をカットした状態であり、カットされた状態の突起のタイヤ幅方向の突出量は1mm以下である。図1及び図3に示す嵌合面跡23は、突起がカットされた後の跡である。また、嵌合面跡23は、タイヤの外径φ1(図1参照)の85%の径φ2よりもタイヤ径方向外側RD1に配置されていることが好ましい。本実施形態では、サイドウォールゴム20は、径φ2よりもタイヤ径方向内側RD2に、装飾目的としてタイヤ周方向に凹凸となる凹凸部分25を有する。これら凹凸部分25と嵌合面跡23とが異なる意味である。
【0014】
上記径は、タイヤを正規リムに装着し、正規内圧を適用した無負荷状態において定められる。
【0015】
図1に示すように、本実施形態では、サイドウォールゴム20のうち嵌合面跡23が形成されている部位のタイヤ幅方向WDの厚みD1が2mm以上であることが好ましい。嵌合面跡23がある部分のサイドウォールゴム20は、ゴムが嵌合面83の間に吸い込まれて薄くなりやすく、使用時にクラックが発生しやすい。そこで、当該部分の厚みD1を2mm以上にすることで、クラックの発生を低減することが可能になる。
【0016】
サイドウォールゴム20は、トレッドゴム31のタイヤ幅方向外側WD1に配置される第1サイドゴム21と、第1サイドゴム21のタイヤ幅方向外側WD1に配置される第2サイドゴム22と、を有する。第1サイドゴム21は、トレッドゴム31のタイヤ幅方向外側WD1の側面に接触する。第2サイドゴム22は、第1サイドゴム21のタイヤ幅方向外側WD1の側面に接触する。第1サイドゴム21のタイヤ径方向外側端21aは、第2サイドゴム22のタイヤ径方向外側端22aよりもタイヤ径方向外側RD1に配置されていることが好ましい。これにより、第2サイドゴム22は、成型時に拡張されて拡張前の元の部材厚みよりも薄くなるが、第2サイドゴム22が薄くなっても第1サイドゴム21及び第2サイドゴム22を合わせたサイドウォールゴム20の厚みを確保しやすくなり、クラックを抑制可能となる。第1サイドゴム21はタイヤ表面に露出している。
【0017】
第1サイドゴム21と第2サイドゴム22の界面24のタイヤ外表面への露出部位(第2サイドゴム22のタイヤ径方向外側端22a)は、嵌合面跡23からタイヤ径方向RDに5mm以上離れていることが好ましい。すなわち、嵌合面跡23から露出部位22aまでのタイヤ径方向RDの距離D2は、5mm以上であることが好ましい。嵌合面跡23と露出部位22aが近ければ、嵌合面83でゴムが吸引されることによって界面24に隙間が生じ、その隙間がクラックを発生させるおそれがある。上記のように距離D2が5mm以上あれば、クラックの発生を低減可能となる。
【0018】
第1サイドゴム21と第2サイドゴム22のゴム配合は、同じでもよいし、異なっていてもよい。第1サイドゴム21と第2サイドゴム22のゴム配合が異なる場合には、第2サイドゴム22が第1サイドゴムよりも低発熱性のゴムにすることが好ましい。図1に示す実施形態では、嵌合面跡23は、第2サイドゴム22に形成されている。嵌合面跡23は、露出部位22aよりもタイヤ径方向内側RD2に配置されている。
【0019】
サイドウォールゴム20のタイヤ径方向外側端21aは、接地面30のタイヤ幅方向外側端LE(以下、接地端LEともいう)からタイヤ幅方向WDに10mm以内に配置されている。すなわち、接地端LEからサイドウォールゴム20のタイヤ径方向外側端21aまでのタイヤ幅方向WDの距離D3が10mm以下であることが好ましい。この構成によれば、トレッドゴム31の側面を、耐候性を有するサイドウォールゴム20でほぼ覆うので、耐久性を向上させることが可能となる。
【0020】
[空気入りタイヤの製造方法]
上記空気入りタイヤの製造方法は、生タイヤをモールド8内に配置するステップを含む。図4に示すように、生タイヤは、接地面30を形成するトレッドゴム31と、トレッドゴム31の側面を覆うサイドウォールゴム20とを有する。サイドウォールゴム20は、トレッドゴム31のタイヤ幅方向外側WD1に配置される第1サイドゴム21と、第1サイドゴム21のタイヤ幅方向外側WD1に配置される第2サイドゴム22と、を有する。生タイヤの成形方法は、インナーライナーゴム5、カーカス4、ベースゴム31b、キャップゴム31a及び第1サイドゴム21が積層されたトレッド部品が成形される工程と、トレッド部品にビードコア1a及びビードフィラー1bが置かれてカーカス4の端部をビードコア1a及びビードフィラー1bに巻き上げる工程と、トレッド部品の側面に第2サイドゴム22を貼り付ける工程と、を含む。よって、第1サイドゴム21と第2サイドゴム22とは、生タイヤの製造工程において別部材である。図4に示すように、第1サイドゴム21のタイヤ径方向外側端21aは、第2サイドゴム22のタイヤ径方向外側端22aよりタイヤ径方向外側RD1に配置される。第1サイドゴム21と第2サイドゴム22の界面24のタイヤ外表面への露出部位22aが、嵌合面83からタイヤ径方向RDに5mm以上離れて配置する。生タイヤのモールド8内への配置が完了すると、加熱により生タイヤが加硫されて空気入りタイヤが製造される。
【0021】
<第2実施形態>
図5は、第2実施形態の空気入りタイヤを示すタイヤ子午線断面図である。第2実施形態において、嵌合面跡23が第1サイドゴム21に形成されている。第1サイドゴム21と第2サイドゴム22との界面24の露出部位22aが嵌合面跡23よりもタイヤ径方向内側RD2に配置されている。それ以外の構成は、第1実施形態と同じである。具体的には、嵌合面跡23が形成されている部位のタイヤ幅方向WDの厚みD1が2mm以上である。第1サイドゴム21のタイヤ径方向外側端21aは、第2サイドゴム22のタイヤ径方向外側端22aよりもタイヤ径方向外側RD1に配置されている。第1サイドゴム21と第2サイドゴム22の界面24のタイヤ外表面への露出部位22aは、嵌合面跡23からタイヤ径方向RDに5mm以上離れている。サイドウォールゴム20のタイヤ径方向外側端21aは、接地面30のタイヤ幅方向外側端LEからタイヤ幅方向WDに10mm以内に配置されている。
【0022】
以上のように、第1及び第2実施形態の空気入りタイヤは、接地面30を形成するトレッドゴム31と、トレッドゴム31のタイヤ幅方向外側WD1の側面を覆うサイドウォールゴム20と、タイヤのトレッド3を形成するトレッドモールド80とタイヤのサイドウォール2を形成するサイドモールド81との嵌合面83によってサイドウォールゴム20に形成される嵌合面跡23と、を備え、サイドウォールゴム20のうち嵌合面跡23が形成されている部位のタイヤ幅方向WDの厚みD1が2mm以上であることが好ましい。
【0023】
本実施形態のように、空気入りタイヤの製造方法は、生タイヤを、タイヤのトレッド3を形成するトレッドモールド80とタイヤのサイドウォール2を形成するサイドモールド81とを有するモールド8内に配置するステップを含み、生タイヤは、接地面30を形成するトレッドゴム31と、トレッドゴム31のタイヤ幅方向外側WD1の側面を覆うサイドウォールゴム20と、を備え、サイドウォールゴム20は、トレッドゴム31のタイヤ幅方向外側WD1に配置される第1サイドゴム21と、第1サイドゴム21のタイヤ幅方向外側WD1に配置される第2サイドゴム22と、を含み、第1サイドゴム21のタイヤ径方向外側端21aは、第2サイドゴム22のタイヤ径方向外側端22aよりもタイヤ径方向外側RD1に配置され、第1サイドゴム21と第2サイドゴム22の界面24のタイヤ外表面への露出部位22aは、トレッドモールド80とサイドモールド81との嵌合面83からタイヤ径方向RDに5mm以上離れて配置されることが好ましい。
【0024】
嵌合面83に接するサイドウォールゴム20は、吸われやすく嵌合面83の隙間に侵入する。嵌合面83に侵入したゴムは、そのまま突起として残されて加硫後の仕上げ時にカットされて嵌合面跡23となる。嵌合面跡23がある部位は吸引により薄くなりやすく、薄いためにタイヤ使用時にクラックが発生しやすい。そこで、当該部位の厚みD1が2mm以上あることで、クラックの発生を防止可能となる。
【0025】
特に限定されないが、第1及び第2実施形態のように、サイドウォールゴム20は、トレッドゴム31のタイヤ幅方向外側WD1に配置される第1サイドゴム21と、第1サイドゴム21のタイヤ幅方向外側WD1に配置される第2サイドゴム22と、を含み、第1サイドゴム21のタイヤ径方向外側端21aは、第2サイドゴム22のタイヤ径方向外側端22aよりもタイヤ径方向外側RD1に配置されていることが好ましい。
【0026】
第2サイドゴム22は、成形時に拡張されて拡張前の元の厚みよりも薄くなるが、第1サイドゴム21のタイヤ径方向外側端21aが第2サイドゴム22よりもタイヤ径方向外側RD1に配置されていれば、第2サイドゴム22が薄くなっても、第1サイドゴム21及び第2サイドゴム22を合わせたサイドウォールゴム20の厚みを確保しやすくなり、クラックを抑制可能となる。
【0027】
特に限定されないが、第1及び第2実施形態のように、サイドウォールゴム20は、トレッドゴム31のタイヤ幅方向外側WD1に配置される第1サイドゴム21と、第1サイドゴム21のタイヤ幅方向外側WD1に配置される第2サイドゴム22と、を含み、第1サイドゴム21と第2サイドゴム22の界面24のタイヤ外表面への露出部位22aは、嵌合面跡23からタイヤ径方向RDに5mm以上離れていることが好ましい。
【0028】
第1サイドゴム21と第2サイドゴム22の界面24のタイヤ外表面への露出部位22aが、嵌合面跡23に近ければ、嵌合面83でゴムが吸引されることによって界面24に隙間が生じ、当該隙間がクラックを発生させる要因となるおそれがある。そこで、上記のように5mm以上離れていることにより、クラックの発生を低減可能となる。
【0029】
特に限定されないが、第1及び第2実施形態のように、サイドウォールゴム20のタイヤ径方向外側端21aは、接地面30のタイヤ幅方向外側端LEからタイヤ幅方向WDに10mm以内に配置されていることが好ましい。
【0030】
この構成によれば、トレッドゴム31の側面を、耐候性を有するサイドウォールゴム20でほぼ覆うので、耐久性を向上させることが可能となる。
【0031】
以上、本開示の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した実施形態の説明だけではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0032】
上記の各実施形態で採用している構造を他の任意の実施形態に採用することは可能である。各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【0033】
<変形例>
(1)図1に示す第1実施形態および図5に示す第2実施形態において、第1サイドゴム21のタイヤ径方向外側端21aは、第2サイドゴム22のタイヤ径方向外側端22aよりもタイヤ径方向外側RD1に配置されており、これにより、第1サイドゴム21の一部がタイヤ表面に露出しているが、この構成に限定されない。例えば、全ての第1サイドゴム21が第2サイドゴム22に被覆されていてもよい。その場合、第1サイドゴム21のタイヤ径方向外側端21aと第2サイドゴム22のタイヤ径方向外側端22aとがタイヤ径方向において同じ高さに配置されていてもよい。また、第2サイドゴム22のタイヤ径方向外側端22aが、第1サイドゴム21のタイヤ径方向外側端21aよりもタイヤ径方向外側RD1に配置されていてもよい。
【0034】
(2)第1実施形態及び第2実施形態は、サイドウォールゴム20が第1サイドゴム21及び第2サイドゴム22を有するが、サイドウォールゴム20が第1サイドゴム21及び第2サイドゴム22に分かれていなくてもよい。
【符号の説明】
【0035】
20…サイドウォールゴム、21…第1サイドゴム、22…第2サイドゴム、23…嵌合面跡、30…接地面、31…トレッドゴム、8…モールド、80…トレッドモールド、81…サイドモールド
図1
図2
図3
図4
図5