(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】車種判別装置、ホームドア制御システム、ホームドア制御方法、及びホームドア制御プログラム
(51)【国際特許分類】
B61L 25/02 20060101AFI20240925BHJP
B61B 1/02 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
B61L25/02 Z
B61B1/02
(21)【出願番号】P 2020129541
(22)【出願日】2020-07-30
【審査請求日】2023-07-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000196587
【氏名又は名称】西日本旅客鉄道株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】509335144
【氏名又は名称】株式会社JR西日本テクシア
(73)【特許権者】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】横井 偉士
(72)【発明者】
【氏名】田中 昌樹
(72)【発明者】
【氏名】阿久津 昌兵
(72)【発明者】
【氏名】福井 有朋
【審査官】岩田 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-013725(JP,A)
【文献】特開2018-199434(JP,A)
【文献】特開2015-147481(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61L 25/02
B61B 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
列車の車両屋根に設置されている機器の特徴点及び前記車両屋根の特徴点の少なくとも1つを検出する
複数の特徴点センサと、
前記特徴点と前記特徴点を有する車種情報とを対応付けた列車情報を記憶する記憶部と、
前記
複数の特徴点センサで検出された特徴点と前記記憶部に記憶された列車情報とに基づいて該当する車種を判別する判別部とを備え
、
前記複数の特徴点センサは、前記特徴点センサのそれぞれの検出範囲に存在する物体を検出し、
前記判別部は、前記検出範囲と前記検出範囲に存在する物体との組み合わせを前記車種情報の特徴点として前記車種を判別する
車種判別装置。
【請求項2】
前記特徴点は、前記車両屋根の形状、前記機器の形状、及び前記機器の設置位置の少なくとも1つである
請求項1に記載の車種判別装置。
【請求項3】
前記機器は、集電装置、集電装置カバー、空調装置、通信アンテナ、ケーブルヘッド、及びコンプレッサの少なくとも1つである
請求項1又は2に記載の車種判別装置。
【請求項4】
前記特徴点センサは、駅のプラットホームに設置されている
請求項1~3のいずれか一項に記載の車種判別装置。
【請求項5】
前記記憶部は、他の駅に設けられた車種判別装置の記憶部を兼ねる
請求項1~4のいずれか一項に記載の車種判別装置。
【請求項6】
前記列車の車両屋根の異物を検出する異物検出部を備える
請求項1~
5のいずれか一項に記載の車種判別装置。
【請求項7】
列車の車両屋根に設置されている機器の特徴点及び前記車両屋根の特徴点の少なくとも1つを検出する
複数の特徴点センサと、
前記特徴点と前記特徴点を有する車種情報とを対応付けた列車情報を記憶する記憶部と、
前記
複数の特徴点センサで検出された特徴点と前記記憶部に記憶された列車情報とに基づいて該当する車種を判別する判別部と、
前記列車の停止位置を検出する位置検出部と、
前記列車の停止位置及び前記車種情報に基づいて該当するホームドアの開閉制御を行う制御部とを備え
、
前記複数の特徴点センサは、前記特徴点センサのそれぞれの検出範囲に存在する物体を検出し、
前記判別部は、前記検出範囲と前記検出範囲に存在する物体との組み合わせを前記車種情報の特徴点として前記車種を判別する
ホームドア制御システム。
【請求項8】
列車の車両屋根に設置されている機器の特徴点及び前記車両屋根の特徴点の少なくとも1つを
複数の特徴点センサが検出する特徴点検出ステップと、
前記特徴点と前記特徴点を有する車種情報とを対応付けた列車情報を記憶部が記憶する記憶ステップと、
前記特徴点検出ステップで検出された特徴点と前記記憶部に記憶された列車情報とに基づいて該当する車種を判別部が判別する判別ステップと、
前記列車の停止位置を位置検出部が検出する位置検出ステップと、
前記列車の停止位置及び前記車種情報に基づいて該当するホームドアの開閉制御を制御部が行う制御ステップとを備え
、
前記複数の特徴点センサは、前記特徴点センサのそれぞれの検出範囲に存在する物体を検出し、
前記判別ステップは、前記検出範囲と前記検出範囲に存在する物体との組み合わせを前記車種情報の特徴点として前記車種を判別する
ホームドア制御方法。
【請求項9】
列車の車両屋根に設置されている機器の特徴点及び前記車両屋根の特徴点の少なくとも1つを
複数の特徴点センサが検出する特徴点検出ステップと、
前記特徴点と前記特徴点を有する車種情報とを対応付けた列車情報を記憶する記憶ステップと、
前記特徴点検出ステップで検出された特徴点と前記記憶ステップで記憶された列車情報とに基づいて該当する車種を判別する判別ステップと、
前記列車の停止位置を検出する位置検出ステップと、
前記列車の停止位置及び前記車種情報に基づいて該当するホームドアの開閉制御を行う制御ステップとを有
し、
前記複数の特徴点センサは、前記特徴点センサのそれぞれの検出範囲に存在する物体を検出し、
前記判別ステップは、前記検出範囲と前記検出範囲に存在する物体との組み合わせを前記車種情報の特徴点として前記車種を判別する
ホームドア制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車種判別装置、ホームドア制御システム、ホームドア制御方法、及びホームドア制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の車種判別装置では、車両の扉を走査することで扉の枚数を検出して、検出した扉の枚数に基づいて車種を判別している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1に記載の車種判別装置では、扉を走査するため、乗降客が扉の前に位置していると乗降客の体等で走査することができないことがある。
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、乗降客の影響を受けることなく、車種を判別することのできる車種判別装置、ホームドア制御システム、ホームドア制御方法、及びホームドア制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する車種判別装置は、列車の車両屋根に設置されている機器の特徴点又は前記車両屋根の特徴点の少なくとも1つを検出する特徴点センサと、前記特徴点と前記特徴点を有する車種情報とを対応付けた対応情報を記憶する記憶部と、前記特徴点センサで検出された特徴点と前記記憶部に記憶された列車情報とに基づいて該当する車種を判別する判別部とを備える。
【0006】
上記構成によれば、列車の車両屋根に設置されている機器の特徴点及び車両屋根の特徴点の少なくとも1つに基づいて車種を判別するため、乗降客の影響を受けることなく車種を判別することができる。
【0007】
上記車種判別装置について、前記特徴点は、前記車両屋根の形状、前記機器の形状、及び前記機器の設置位置の少なくとも1つであることが好ましい。
上記構成によれば、列車の車両屋根の形状、車両屋根に設置されている機器の形状や設置位置が車種毎に異なることが多いため、特徴点を検出し易い。
【0008】
上記車種判別装置について、前記機器は、集電装置、集電装置カバー、空調装置、通信アンテナ、ケーブルヘッド、及びコンプレッサの少なくとも1つであることが好ましい。
上記構成によれば、特に、上記の機器は車種毎に異なることが多いため、特徴点を検出し易い。
【0009】
上記車種判別装置について、前記特徴点センサは、駅のプラットホームに設置されていることが好ましい。
上記構成によれば、プラットホームに入線してくる列車の車両屋根に設置されている機器を検知し易い。
【0010】
上記車種判別装置について、前記記憶部は、他の駅に設けられた車種判別装置の記憶部を兼ねることが好ましい。
上記構成によれば、記憶部を複数の車種判別装置で共有するため、記憶部の数を減らすことができる。
【0011】
上記車種判別装置について、前記特徴点センサを複数備えることが好ましい。
上記構成によれば、複数の特徴点センサによって列車の車両屋根に設置されている機器の特徴点を検出するため、冗長化することができる。
【0012】
上記車種判別装置について、前記列車の車両屋根の異物を検出する異物検出部を備えることが好ましい。
上記構成によれば、雪等の異物を異物検出部が検出することで、列車の車両屋根に設置されている機器の誤検出を抑制することができる。
【0013】
上記課題を解決するホームドア制御システムは、列車の車両屋根に設置されている機器の特徴点又は前記車両屋根の特徴点の少なくとも1つを検出する特徴点センサと、前記特徴点と前記特徴点を有する車種情報とを対応付けた対応情報を記憶する記憶部と、前記特徴点センサで検出された特徴点と前記記憶部に記憶された列車情報とに基づいて該当する車種を判別する判別部と、前記列車の停止位置を検出する位置検出部と、前記列車の停止位置及び前記車種情報に基づいて該当するホームドアの開閉制御を行う制御部とを備える。
【0014】
上記構成によれば、列車の車両屋根に設置されている機器の特徴点及び車両屋根の特徴点の少なくとも1つに基づいて車種を判別するため、乗降客の影響を受けることなく車種を判別することができる。そして、車種情報と停止位置情報とによってホームドアの開閉制御を行うことができるため、上位システムから情報を貰うことなくホームドアの開閉制御を行うことができる。
【0015】
上記課題を解決するホームドア制御方法は、列車の車両屋根に設置されている機器の特徴点及び前記車両屋根の特徴点の少なくとも1つを特徴点センサが検出する特徴点検出ステップと、前記特徴点と前記特徴点を有する車種情報とを対応付けた列車情報を記憶部が記憶する記憶ステップと、前記特徴点検出ステップで検出された特徴点と前記記憶部に記憶された列車情報とに基づいて該当する車種を判別部が判別する判別ステップと、前記列車の停止位置を位置検出部が検出する位置検出ステップと、前記列車の停止位置及び前記車種情報に基づいて該当するホームドアの開閉制御を制御部が行う制御ステップとを備える。
【0016】
上記方法によれば、列車の車両屋根に設置されている機器の特徴点及び車両屋根の特徴点の少なくとも1つに基づいて車種を判別するため、乗降客の影響を受けることなく車種を判別することができる。そして、車種情報と停止位置情報とによってホームドアの開閉制御を行うことができるため、上位システムから情報を貰うことなくホームドアの開閉制御を行うことができる。
【0017】
上記課題を解決するホームドア制御プログラムは、列車の車両屋根に設置されている機器の特徴点及び前記車両屋根の特徴点の少なくとも1つを検出する特徴点検出ステップと、前記特徴点と前記特徴点を有する車種情報とを対応付けた列車情報を記憶する記憶ステップと、前記特徴点検出ステップで検出された特徴点と前記記憶ステップで記憶された列車情報とに基づいて該当する車種を判別する判別ステップと、前記列車の停止位置を検出する位置検出ステップと、前記列車の停止位置及び前記車種情報に基づいて該当するホームドアの開閉制御を行う制御ステップとを有する。
【0018】
上記プログラムによれば、列車の車両屋根に設置されている機器の特徴点及び車両屋根の特徴点の少なくとも1つに基づいて車種を判別するため、乗降客の影響を受けることなく車種を判別することができる。そして、車種情報と停止位置情報とによってホームドアの開閉制御を行うことができるため、上位システムから情報を貰うことなくホームドアの開閉制御を行うことができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、乗降客の影響を受けることなく、車種を判別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】車種判別装置を備えるホームドア制御システムの一実施形態の駅のプラットホーム及び列車の一例を示す概略図。
【
図2】同実施形態のホームドア制御システムの概略構成を示すブロック図。
【
図3】同実施形態のホームドア制御システムの動作を説明するための駅のプラットホームの平面図であって、(a)は列車が停止位置に停止した状態を示し、(b)は列車が停止位置からずれた位置に停止した状態を示す。
【
図4】同実施形態のホームドア制御システムの動作を説明するための駅のプラットホームに列車が停止した状態を示す平面図。
【
図5】同実施形態のホームドア制御システムの動作を説明するための駅のプラットホームに列車が停止した状態を示す平面図。
【
図6】同実施形態のホームドア制御システムの処理手順を示すフローチャート。
【
図7】車種判別装置の変形例の概略構成を示すブロック図。
【
図8】ホームドア制御システムの変形例の概略構成を示すブロック図。
【
図9】車種判別装置及びホームドア制御システムの特徴点センサの変形例を示す駅のプラットホームの平面図。
【
図10】車種判別装置及びホームドア制御システムの特徴点センサの変形例を示す駅のプラットホームの平面図。
【
図11】列車の車両屋根に設けられる機器の変形例を示す平面図。
【
図12】列車の車両屋根に設けられる機器の変形例を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、
図1~
図6を参照して、車種判別装置を備えるホームドア制御システムの一実施形態について説明する。なお、ホームドア制御システムは、車種判別装置の判別結果に基づいてホームドア装置を制御するシステムである。
【0022】
図1に示すように、駅1は、列車10が走行する軌道2と、列車10の乗客が乗降を行うプラットホーム3とを備えている。プラットホーム3には、プラットホーム3を覆う上屋屋根4が設置されている。上屋屋根4は、支柱5によって支持されている。
【0023】
プラットホーム3には、軌道2とプラットホーム3側とを区分けするホームドア装置40が設置されている。ホームドア装置40は、列車10がプラットホーム3の所定位置に停止していないときはホームドアを閉じ、列車10がプラットホーム3の所定位置に停止すると、列車10の車両の扉に対応するホームドアを開く。
【0024】
列車10の車両屋根11には、集電装置(パンタグラフ)12及び集中型の冷房装置13、通信アンテナ14等の機器が設置されている。パンタグラフ12は、架線に接触して架線から電力を列車10に取り込む装置である。冷房装置13は、空調装置の一例であって、列車10内に冷風を供給する装置である。通信アンテナ14は、通信指令室等の外部と無線通信するアンテナである。
【0025】
プラットホーム3の上屋屋根4には、列車10の車両屋根11に設置されている機器の特徴点を検出する第1特徴点センサ23、第2特徴点センサ24、及び第3特徴点センサ25の3個が設置されている。第1特徴点センサ23、第2特徴点センサ24、及び第3特徴点センサ25は、特定の領域の物体を検知可能な2次元センサであり、例えばカメラやレーザセンサ等である。ホームドア装置40には、列車10の位置を検出する位置センサ33が設置されている。
【0026】
図2に示すように、ホームドア制御システム7は、列車10の種類を判別する車種判別装置20と、列車10の停止位置を判定する停止位置判定装置30と、ホームドア装置40を制御するホームドア制御装置41とを備えている。
【0027】
車種判別装置20は、第1特徴点センサ23、第2特徴点センサ24、及び第3特徴点センサ25から検出結果を取得する。第1特徴点センサ23、第2特徴点センサ24、及び第3特徴点センサ25は、列車10の車両屋根11に設置されている機器の位置に対応して、プラットホーム3の延出方向において異なる位置に設置されている。なお、第1特徴点センサ23、第2特徴点センサ24、及び第3特徴点センサ25は、各特徴点センサが特徴点を検出する機器の位置に対応して設置されている。
図3(a)に示すように、第1特徴点センサ23は、所定の停止位置に停止した第1列車10Aの車両屋根11に設置されているパンタグラフ12の位置に対応して設置されている。また、
図4に示すように、第2特徴点センサ24は、所定の停止位置に停止した第2列車10Bの車両屋根11に設置されているパンタグラフ12の位置に対応して設置されている。また、
図5に示すように、第3特徴点センサ25は、所定の停止位置に停止した第3列車10Cの車両屋根11に設置されているパンタグラフ12の位置に対応して設置されている。
【0028】
第1特徴点センサ23、第2特徴点センサ24、及び第3特徴点センサ25は、列車10の車両屋根11に設置されている機器の特徴点を検出するため、列車10の車両屋根11に指向して検出範囲が設定されている。第1特徴点センサ23、第2特徴点センサ24、及び第3特徴点センサ25は、検出範囲に存在する物体を検出し、その検出情報を車種判別装置20に出力する。
【0029】
図2に示すように、車種判別装置20は、列車10の車両屋根11に設置されている機器の特徴点と特徴点を有する車種情報とを対応付けた列車情報を記憶する記憶部21と、第1特徴点センサ23、第2特徴点センサ24、及び第3特徴点センサ25で検出された検出結果から該当する車種を判別する車種判別部22とを備えている。
【0030】
車種判別部22は、第1特徴点センサ23、第2特徴点センサ24、及び第3特徴点センサ25が検出した検出結果から列車10の車両屋根11に設置されている機器を特定した上で、列車10の車両屋根11に設置されている機器の形状や設置位置から車種を判別する。例えば、車種判別部22は、パンタグラフ12の形状からそのパンタグラフ12の特徴点となる上端の集電舟12Aや集電舟12Aを支持する枠体12B等を抜き出して、列車情報に含まれる車種情報の特徴点と照合することで車種を判別する。車種判別部22は、列車10が停止したときに、第1特徴点センサ23、第2特徴点センサ24、及び第3特徴点センサ25が検出した検出結果に含まれる機器の形状や設置位置によって車種を判別する。車種判別部22は、判別した車種情報を停止位置判定装置30に出力する。
【0031】
停止位置判定装置30は、列車10の停止位置を検出する位置センサ33から検出結果を取得する。位置センサ33は、列車10の進行方向先端の位置によって停止位置を検出してその位置情報を停止位置判定装置30に出力する。停止位置判定装置30は、列車10の車種情報と列車10の停止位置とを対応付けた停止位置情報を記憶する記憶部31と、位置センサ33が検出した列車10の停止位置と停止位置情報とから列車10の停止位置が正しいか否かを判定する位置判定部32とを備えている。位置判定部32は、位置センサ33が検出した列車10の停止位置と停止位置情報に含まれる車種毎の停止位置とが一致するもしくは許容範囲内であるか否かを判定する。位置判定部32は、列車10の停止位置が正しくないと判定したときには、停止位置が正しくないことを外部に報知する。停止位置判定装置30は、車種判別装置20が判別した車種情報と位置判定部32が判定した判定結果とをホームドア制御装置41に出力する。位置判定部32は、列車10の停止位置が正しくなければ、停止位置が正しくないことを報知する。停止位置が正しくないことの報知は、列車10の運転士向けや車掌向けの表示装置や表示灯、及びプラットホーム3に存在するホームドアの表示装置や表示灯によって報知する。
【0032】
ホームドア装置40は、車種情報及び停止位置の判定結果に基づいてホームドアの開閉制御を行うホームドア制御装置41と、各ホームドアを開閉駆動する複数の駆動部42とを備えている。ホームドア制御装置41は、停止位置の判定結果から列車10の停止位置が正しくない場合にはホームドアを閉じたままとし、列車10の停止位置が正しい場合にはホームドアを開く。ホームドア制御装置41は、ホームドアを開くときには、車種情報から該当する列車10の編成やドアの位置に対応したホームドアを選択して開く。なお、ホームドアを選択する必要がないときには、ホームドア制御装置41は、予め設定したホームドアを開く。
【0033】
次に、
図6を併せ参照して、ホームドア制御システム7の処理手順について説明する。ここでは、ホームドア制御システム7を構成する車種判別装置20、停止位置判定装置30、及びホームドア装置40の各処理をまとめて説明する。
【0034】
なお、ホームドア制御システム7は、以下の記憶ステップ、特徴点検出ステップ、判別ステップ、位置検出ステップ、及び制御ステップを有するホームドア制御方法、ホームドア制御プログラムによってホームドアを制御する。なお、記憶部21には、列車10の車両屋根11に設置されている機器の特徴点と特徴点を有する車種情報とを対応付けた列車情報が記憶されている(記憶ステップ)。
【0035】
まず、ホームドア制御システム7は、列車10が停止したか否かを判定する(ステップS1)。すなわち、車種判別装置20は、第1特徴点センサ23、第2特徴点センサ24、及び第3特徴点センサ25の検出情報に移動物体が含まれていないと列車10が停止していると判定し、検出情報に移動物体が含まれていると列車10が停止していないと判定する。そして、車種判別装置20は、列車10が停止していないと判定するとステップS1に移行して、列車10が停止するまで待機する。
【0036】
一方、ホームドア制御システム7は、列車10が停止したと判定すると、車種を判別する(ステップS2)。すなわち、車種判別装置20の車種判別部22は、第1特徴点センサ23、第2特徴点センサ24、及び第3特徴点センサ25の検出結果から特徴点を抜き出して(特徴点検出ステップ)、記憶部21に記憶された列車情報に含まれる車種情報の特徴点と照合することで車種を判別する(判別ステップ)。車種判別装置20は、判別した車種情報を停止位置判定装置30に出力する。
【0037】
ここで、
図3に示すように、第1特徴点センサ23の検出範囲にパンタグラフ12が位置していると、車種判別部22は、パンタグラフ12が1両目の後ろ寄りに設置されている第1列車10Aと車種を判別する。また、
図4に示すように、第2特徴点センサ24の検出範囲にパンタグラフ12が位置していると、車種判別部22は、パンタグラフ12が2両目の前寄りに設置されている第2列車10Bと車種を判別する。また、
図5に示すように、第3特徴点センサ25の検出範囲にパンタグラフ12が位置していると、車種判別部22は、パンタグラフ12が2両目の後ろ寄りに設置されている第3列車10Cと車種を判別する。
【0038】
次に、ホームドア制御システム7は、列車10の停止位置が正しいか否かを判定する(ステップS3)。すなわち、位置判定部32は、記憶部31に記憶された停止位置情報に含まれる列車10の車種情報に対応する列車10の停止位置と、位置センサ33が検出した列車10の位置とが一致する、もしくは許容範囲であるか否かを判定する。
【0039】
例えば、
図3(b)に示すように、列車10のパンタグラフ12が第1特徴点センサ23によって検出されていながら、列車10の停止位置が
図3(a)に示す所定の停止位置とずれたときには、位置判定部32は、列車10の停止位置が正しくないと判定する(ステップS3:NO)。そして、停止位置判定装置30は、停止位置が正しくないことを報知して(ステップS5)、列車10を移動させて列車10の位置を変更する可能性が高いのでステップS1に移行する。
【0040】
一方、列車10が
図3(a)に示す所定の停止位置に停止したときには、ホームドア制御システム7は、列車10の停止位置が正しいと判定する(ステップS3:YES)。ホームドア開閉制御を行い(ステップS4)、処理を終了する。すなわち、ホームドア制御装置41は、車種情報に基づいて開くホームドアを選択して、ホームドアを開くように駆動部42を制御する。そして、ホームドア制御装置41は、列車10の乗客の乗降が終わり、列車10の扉が閉まるのに合わせて、ホームドアを閉じるように駆動部42を制御する。ステップS4が制御ステップに相当する。
【0041】
次に、本実施形態の効果について説明する。
(1)列車10の車両屋根11に設置されている機器であるパンタグラフ12に基づいて車種を判別するため、乗降客の影響を受けることなく車種を判別することができる。
【0042】
(2)列車10の車両屋根11に設置されている機器の形状や設置位置が車種毎に異なることが多いため、特徴点を検出し易い。
(3)第1特徴点センサ23、第2特徴点センサ24、及び第3特徴点センサ25がプラットホーム3に設置されているため、プラットホーム3に入線してくる列車10の車両屋根11に設置されている機器を検知し易い。
【0043】
(4)第1特徴点センサ23、第2特徴点センサ24、及び第3特徴点センサ25によって列車10の車両屋根11に設置されている機器の特徴点を検出するため、冗長化することができる。
【0044】
(5)車種情報と停止位置情報とによってホームドア装置40の開閉制御を行うことができるため、上位システムから情報を貰うことなくホームドア装置40の開閉制御を行うことができる。
【0045】
(他の実施形態)
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0046】
・上記構成において、特徴点センサに加えて、列車10の車両屋根11に設置されている機器以外の異物、例えば雪等を検知する異物検出部としての異物センサを備えてもよい。
図7に示すように、第1特徴点センサ23、第2特徴点センサ24、及び第3特徴点センサ25が雪等の異物を機器として検出しないように、各特徴点センサの検出範囲を含む範囲を検出する第1異物センサ53、第2異物センサ54、及び第3異物センサ55が設けられている。第1異物センサ53、第2異物センサ54、及び第3異物センサ55は、雪等の異物を色や反射強度等によって検出し、列車10の車両屋根11に雪等の異物があることを車種判別装置20に出力する。車種判別部22は、列車10の車両屋根11の検出範囲に異物があるときには、列車10の車両屋根11に設置されている機器を正確に特定することができないので車種判別を停止する。このような構成によれば、雪等の異物を第1異物センサ53、第2異物センサ54、及び第3異物センサ55が検出することで、列車10の車両屋根11に設置されている機器の誤検出を抑制することができる。
【0047】
・上記実施形態では、車種判別装置20と停止位置判定装置30とホームドア装置40とによってホームドア制御システム7を構成したが、別々の装置ではなく、記憶部、車種判別部、位置判定部、開閉制御部を備える装置であってもよい。例えば、
図8に示すように、ホームドア制御装置60は、記憶部61と車種判別部62と位置判定部63と開閉制御部64とを備えている。記憶部61は、特徴点と特徴点を有する車種情報とを対応付けた列車情報と、列車10の車種情報と列車10の停止位置とを対応付けた停止位置情報とを記憶している。ホームドア制御装置60には、第1特徴点センサ23、第2特徴点センサ24、第3特徴点センサ25、及び位置センサ33から検出結果が入力される。
【0048】
・上記実施形態では、列車10の車両屋根11に設置されている機器のそれぞれの位置に対応する特徴点センサとして第1特徴点センサ23、第2特徴点センサ24、及び第3特徴点センサ25を設けた。しかしながら、列車10の車両屋根11の広範囲を検出可能で、列車10の車両屋根11に設置されている機器それぞれを検出する特徴点センサを設けてもよい。例えば、
図9に示すように、第1特徴点センサ23、第2特徴点センサ24、及び第3特徴点センサ25に代えて、第1特徴点センサ23、第2特徴点センサ24、及び第3特徴点センサ25の検出範囲を含む第4特徴点センサ26を設けてもよい。第4特徴点センサ26は、列車10の車両屋根11に設置されている機器とその設置位置を検出してその検出結果を車種判別装置20に出力する。
【0049】
・上記実施形態では、プラットホーム3に停止した列車10の車両屋根11に設置されている機器のそれぞれの位置に対応する特徴点センサを設けた。しかしながら、通過する列車10に対して列車10の車両屋根11に設置されている機器を検出する特徴点センサを設けてもよい。例えば、
図10に示すように、列車10が進入してくる側のプラットホーム3の先端に第5特徴点センサ27を設けてもよい。第5特徴点センサ27は、列車10が通過する際に、列車10の車両屋根11を走査してその検出結果を車種判別装置20に出力する。このようにすれば、列車10が停止する前に車種を判別して、停止後に直ちに停止位置の判定を行うことができる。
【0050】
・上記構成において、特徴点センサ及び異物センサに画像センサを採用してもよい。そして、画像センサによるパターン認識によって、車種判別部22が列車10の車両屋根11に設置されている機器を特定してもよい。また、特徴点センサ及び異物センサに、特定の領域の物体の奥行きも検知可能な三次元センサを採用してもよい。
【0051】
・上記実施形態では、車種判別装置20に記憶部21を設けた。しかしながら、記憶部21を、他のプラットホーム3に設けられた車種判別装置20の記憶部を兼ねてもよいし、他の駅に設けられた車種判別装置20と情報を共有してもよい。このような構成によれば、記憶部の数を減らすことができる。
【0052】
・上記実施形態において、車種は、同じ種類の編成数の異なる列車10を別の種類としてもよい。このようにすれば、編成数に合わせて開閉するホームドアを変更することが可能となる。
【0053】
・上記実施形態では、駅1の上屋屋根4に第1特徴点センサ23、第2特徴点センサ24、及び第3特徴点センサ25を設置した。しかしながら、特徴点センサを設置するためにポール等をプラットホーム3に別途設置してもよい。このようにすれば、駅1の上屋屋根4の形状によって制限されず、列車10の車両屋根11に設置されている機器の位置に対応させて特徴点センサを設置することができる。
【0054】
・上記実施形態では、位置センサ33をホームドア装置40に設置した。しかしながら、位置センサ33をプラットホーム3に直接設置してもよい。また、位置センサ33をプラットホーム3の上屋屋根4に設置してもよい。
【0055】
・上記実施形態において、車種判別装置20は、パンタグラフ12の位置によって車種を判別した。しかしながら、車種判別装置20は、列車10の車両屋根11に設置されているパンタグラフ12に限らず、列車10の車両屋根11に設置されている他の機器によって車種を判別してもよい。例えば、
図11及び
図12に示すように、車種判別装置20は、列車10の車両屋根11に設置されている集中型の冷房装置13、通信アンテナ14、集電装置カバー15、ケーブルヘッド16、分散型の冷房装置17、コンプレッサ18等の機器によって車種を判別してもよい。
【0056】
・上記実施形態では、空調装置として冷房のみを行う冷房装置13,17としたが、冷房及び暖房を行う空調装置であってもよく、暖房のみを行う暖房装置としてもよい。
・上記実施形態では、列車10の車両屋根11に設置されている機器の特徴点を検出した。しかしながら、列車10の車両屋根11の特徴点を検出してもよい。例えば、列車10の車両屋根11の表面の凸凹や車両屋根11の外形等を特徴点として検出してもよい。
【符号の説明】
【0057】
1…駅、2…軌道、3…プラットホーム、4…上屋屋根、5…支柱、7…ホームドア制御システム、10…列車、10A…第1列車、10B…第2列車、10C…第3列車、11…車両屋根、12…集電装置(パンタグラフ)、13…冷房装置(集中型)、14…通信アンテナ、15…集電装置カバー、16…ケーブルヘッド、17…冷房装置(分散型)、18…コンプレッサ、20…車種判別装置、21…記憶部、22…車種判別部、23…第1特徴点センサ、24…第2特徴点センサ、25…第3特徴点センサ、26…第4特徴点センサ、27…第5特徴点センサ、30…停止位置判定装置、31…記憶部、32…位置判定部、33…位置センサ、40…ホームドア装置、41…ホームドア制御装置、42…駆動部、53…第1異物センサ、54…第2異物センサ、55…第3異物センサ、60…ホームドア制御装置、61…記憶部、62…車種判別部、63…位置判定部、64…開閉制御部。