(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】積層体および包装体
(51)【国際特許分類】
B32B 7/02 20190101AFI20240925BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20240925BHJP
B65D 65/02 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
B32B7/02
B32B27/00 Z
B65D65/02 E
(21)【出願番号】P 2020142441
(22)【出願日】2020-08-26
【審査請求日】2023-07-21
(73)【特許権者】
【識別番号】313004403
【氏名又は名称】株式会社フジシール
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷島 大介
(72)【発明者】
【氏名】節田 征矢
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 彰
【審査官】市村 脩平
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-181874(JP,U)
【文献】特開2014-182455(JP,A)
【文献】特開平02-255332(JP,A)
【文献】特開平7-76170(JP,A)
【文献】特開2018-144280(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B1/00-43/00
B65D65/00-65/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ波照射用の積層体であって、
プラスチックフィルム層と、熱により発色する発色層と、マイクロ波を吸収することで発熱する発熱層とを、この順で外装側から内装側に積層し、
前記マイクロ波によって発熱した前記発熱層により前記発色層が変化する様子を前記外装側から視認可能であ
り、
前記発色層と前記発熱層との間に、前記外装側から前記発熱層を視認困難とする遮蔽層が配置されている、積層体。
【請求項2】
前記発色層は、100℃より高温で発色する、請求項
1に記載の積層体。
【請求項3】
請求項1
または請求項2に記載の積層体を含む包装体であって、
前記積層体の外装側が、前記包装体の外装側に配置され、かつ前記積層体の内装側が、前記包装体の内装側に配置されるように、前記積層体が配置されている、包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、積層体および包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、温度上昇を利用して文字等の情報を浮かび上がらせる技術があった。特許文献1には、電子レンジ等による加熱調理によって容器が高温となることにより容器表面に注意を促す表示が現れる技術が開示されている。特許文献2には、お湯を注ぐことによって容器が高温となることにより容器表面の印刷層が変化し、二次元コードが表示される技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平9-48474号公報
【文献】特開2007-217015号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記各特許文献に開示される技術は、容器自体が高温となることにより文字等の情報を表示させる技術であった。近年、電子レンジによるマイクロ波を用いた昇温の際、容器自体が高温とならないように工夫されているものがある。しかしながら、容器自体が高温とならない場合であっても内容物が高温であることを示したい場合がある。
【0005】
電子レンジによるマイクロ波を用いた加熱調理では、容器内の内容物の特性により内容物の昇温のタイミングが異なることがある。しかしながら、内容物の特性によらず消費者に情報を示したい場合がある。
【0006】
本開示の目的は、マイクロ波を用いて好適に情報を示すことのできる積層体および包装体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係わる積層体は、マイクロ波照射用の積層体であって、プラスチックフィルム層と、熱により発色する発色層と、マイクロ波を吸収することで発熱する発熱層とを、この順で外装側から内装側に積層し、上記マイクロ波によって発熱した上記発熱層により上記発色層が変化する様子を上記外装側から視認可能である。
【0008】
上記発色層と上記発熱層との間に、上記外装側から上記発熱層を視認困難とする遮蔽層が配置されている。
【0009】
上記発色層は、100℃より高温で発色する。
上記の積層体を含む包装体であって、
上記積層体の外装側が、上記包装体の外装側に配置され、かつ上記積層体の内装側が、上記包装体の内装側に配置されるように、上記積層体が配置されている。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、マイクロ波を用いて好適に情報を示すことのできる積層体および包装体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施の形態1の変化前の積層体の断面図である。
【
図2】実施の形態1の変化前の積層体の正面図である。
【
図3】実施の形態1の変化後の積層体の断面図である。
【
図4】実施の形態1の変化後の積層体の正面図である。
【
図5】実施の形態2の変化前の積層体の断面図である。
【
図6】実施の形態2の変化前の積層体の正面図である。
【
図7】実施の形態2の変化後の積層体の断面図である。
【
図8】実施の形態2の変化後の積層体の正面図である。
【
図9】実施の形態3の変化前の積層体の断面図である。
【
図10】実施の形態3の変化前の積層体の正面図である。
【
図11】実施の形態3の変化後の積層体の断面図である。
【
図12】実施の形態3の変化後の積層体の正面図である。
【
図13】実施の形態4の変化前の積層体の断面図である。
【
図14】実施の形態5の変化前の積層体の断面図である。
【
図15】実施の形態6の変化前の積層体の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本実施の形態における積層体について、以下、図面を参照しながら説明する。以下に説明する実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本開示の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。同一の部品、相当部品に対しては、同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。実施の形態における構成を適宜組み合わせて用いることは当初から予定されていることである。図においては、実際の寸法比率では記載しておらず、構造の理解を容易にするために、一部比率を異ならせて記載している場合がある。
【0013】
[実施の形態1]
図1から
図4を参照して、実施の形態1の積層体10について説明する。
図1は、変化前の積層体10の断面図、
図2は、変化前の積層体10の正面図、
図3は、変化後の積層体10の断面図、
図4は、変化後の積層体10の正面図である。
【0014】
図1に示されるように、積層体10は、複数の層により構成されている。積層体10は、外装側から内装側に向けてプラスチックフィルム層1、発色層2、遮蔽層3、および発熱層4を積層した構造で構成されている。
【0015】
プラスチックフィルム層1は、発色層2、遮蔽層3、および発熱層4の担持体(支持体)であり、ラベルの強度、剛性、収縮特性等を担い、透明な樹脂製のフィルムにより構成されている。ここで「透明」とは、発色層2の色相が変化する様子を外装側から視認可能な程度の透明性を有することを意味する。具体的には、プラスチックフィルム層1は、好ましくは20%下のヘイズ値(JIS K 7136準拠、厚み40μm換算)を有し、より好ましくは10%以下のヘイズ値を有する。プラスチックフィルム層1は、無色であることが好ましいが、透明性を損なわない範囲で有色であってもよい。
【0016】
プラスチックフィルム層1の厚みは、例えば5~80μmであり、好ましくは10~70μmである。プラスチックフィルム層1を形成する樹脂の種類は、要求物性、用途、コストなどに応じて、適宜選択することができ、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン-酢酸ビニル共重合体フィルム等が用いられる。
【0017】
発色層2は、加熱により発色する無色あるいは淡色の材料で構成されている。発色層2は、約0.1~5μm(好ましくは0.5~1μm)で構成されている。発色層2には、好ましくはロイコ染料と顕色剤とでなる不可逆性感熱発色インキが用いられる。この場合、発色層2は、熱刺激によってインキに分散されたロイコ染料と顕色剤とが結合して発色する。
【0018】
遮蔽層3は、好ましくは白色のインキから構成されている。遮蔽層3は、例えば約2μm~3μmで構成されている。遮蔽層3は、後述する発熱層4の黒色を外装側のプラスチックフィルム層1側から見え難くしている。
【0019】
発熱層4は、好ましくはカーボンブラックを含んだ材料で構成されている。発熱層4は、例えば約0.3~2μm(好ましくは0.5~1μm)で構成されている。カーボンブラックとしては、例えば、ガスブラック、アセチレンブラック、オイルファーネスブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、ケッチェンブラック、カーボンナノチューブなどが挙げられる。
【0020】
図1に示す積層体10は、
図2に示す積層体10の断面である。
図2に示すように、積層体10は、発色部10Aの位置が正面から確認できるように周囲の色と異なるように構成されていることが好ましい。例えば、発色部10Aは、発熱層4のカーボンブラックによる黒色が遮蔽層3を通して薄く表示されることにより、このような状態となる。
【0021】
図3に示す積層体10は、
図4に示す積層体10の断面である。
図1に示す積層体10は、マイクロ波を照射することにより
図3のように図柄が表示される。
図3に示す積層体10では、マイクロ波を吸収した発熱層4が発熱することにより、その熱が遮蔽層3を通じて発色層2に伝わる。積層体10は、発色層2が「高温」の文字に対応したパターンで印刷されている。発色層2は、ロイコ染料と顕色剤との反応により発色層2の印刷パターンに対応した部分が黒色に変化する。
図2に示す積層体10の発色部10Aは、正面視において何も表示されていない状態から、マイクロ波を照射することにより
図4に示すような「高温」の文字が表示された状態となる。
【0022】
上記のプラスチックフィルム層1以外の層は、印刷層であって、担持体としてのプラスチックフィルム層1無しには自身の形状を維持できない層である。遮蔽層3は、白色インキには限られない。遮蔽層3は、発熱層4の色味が外装側に透けてしまうのを抑制し、変化後の発色層2の色との差が顕著な色であればどのような色のインキであってもよい。遮蔽層3より、発色層2が発色した際の文字等の認識が容易となる。遮蔽性の高さから、遮蔽層3には、白色インキ、灰色インキ、銀色インキを用いることが好ましい。発色層2が透明から黒色に変化する場合、遮蔽性の高さと、黒色に対する差の大きさから、遮蔽層3には白色インキを用いることが好ましい。
【0023】
[実施の形態2]
図5から
図8を参照して、実施の形態2の積層体20について説明する。
図5は、変化前の積層体20の断面図、
図6は、変化前の積層体20の正面図、
図7は、変化後の積層体20の断面図、
図8は、変化後の積層体20の正面図である。
【0024】
図5に示されるように、積層体20は、外装側から内装側に向けてプラスチックフィルム層1、発色層2、遮蔽層3、カラー層5、および発熱層4を積層した構造で構成されている。実施の形態2の積層体20は、実施の形態1の積層体10に対してカラー層5が追加されている。実施の形態1の積層体10は、発色層2がパターン印刷されているのに対し、実施の形態2の積層体20は、発熱層4がパターン印刷されている。
【0025】
カラー層5は、カラーインキから構成されている。カラー層5は、約0.3~2μm(好ましくは0.5~1μm)で構成されている。カラー層5は、発熱層4の色と同等または近似する色を有することが好ましい。例えば、発熱層4がカーボンブラックを含んだ材料で構成される場合には、カラー層5は黒色の染料または顔料を用いて構成されることが好ましい。カラー層5は、パターン印刷された発熱層4の黒色を外装側のプラスチックフィルム層1側から見え難くしている。特に、遮蔽層3に白色インキを用い、発熱層4にカーボンブラックを含んだ材料を用い、かつ発熱層4がパターン印刷されている場合は、発熱層4の色と同等または近似する色のカラー層5を
図5に示すように配置することにより、外装側から発熱層4の外形が透けて見えるのを効果的に抑制できる。
【0026】
図5に示す積層体20は、
図6に示す積層体20の断面である。
図6に示すように、積層体10は、発色部20Aの位置が正面から確認できるように周囲の色と異なるように構成されていることが好ましい。例えば、発色部20Aは、カラー層5の黒色が遮蔽層3を通して薄く表示されることにより、このような状態となる。
【0027】
図7に示す積層体20は、
図8に示す積層体20の断面である。
図5に示す積層体20は、マイクロ波を照射することにより
図7のように図柄が表示される。
図7に示す積層体20では、マイクロ波を吸収した発熱層4が発熱することにより、その熱がカラー層5および遮蔽層3を通じて発色層2に伝わる。積層体20は、発熱層4が「当たり」の文字と、「○☆◇」の記号とに対応したパターンで印刷されている。
【0028】
発色層2は、ロイコ染料と顕色剤との反応により発熱層4の印刷パターンに対応した部分が黒色に変化する。
図6に示す積層体20の発色部20Aは、正面視において何も表示されていない状態から、マイクロ波を照射することにより
図8に示すような「当たり」の文字と、「○☆◇」の記号とが表示された状態となる。
【0029】
[実施の形態3]
図9から
図12を参照して、実施の形態3の積層体30について説明する。
図9は、変化前の積層体30の断面図、
図10は、変化前の積層体30の正面図、
図11は、変化後の積層体30の断面図、
図12は、変化後の積層体30の正面図である。
【0030】
図9に示されるように、積層体30は、外装側から内装側に向けてプラスチックフィルム層1、カラー層6、発色層2、遮蔽層3、カラー層5、および発熱層4を積層した構造で構成されている。実施の形態3の積層体30は、実施の形態1の積層体10に対してカラー層5およびカラー層6が追加されている。実施の形態1の積層体10は、発色層2がパターン印刷されているのに対し、実施の形態3の積層体30は、発熱層4がパターン印刷されている。実施の形態3の積層体30では、カラー層6もパターン印刷されている。
【0031】
カラー層5は、実施の形態2と同様に、パターン印刷された発熱層4の黒色を外装側のプラスチックフィルム層1側から見え難くしている。カラー層6は、「○」の記号に対応したパターンで印刷されている。カラー層6の印刷パターンは、プラスチックフィルム層1を通して外装側から視認可能である。
【0032】
図9に示す積層体30は、
図10に示す積層体30の断面である。
図10に示すように、積層体30は、発色部30Aの位置が正面から確認できるように周囲の色と異なるように構成されていることが好ましい。例えば、発色部30Aは、カラー層5の黒色が遮蔽層3を通して薄く表示されることにより、このような状態となる。発色部30Aは、カラー層6の印刷パターンにより「○」の記号が表示された状態となる。
【0033】
図11に示す積層体30は、
図12に示す積層体30の断面である。
図9に示す積層体30は、マイクロ波を照射することにより
図11のように図柄が表示される。
図11に示す積層体30では、マイクロ波を吸収した発熱層4が発熱することにより、その熱がカラー層5および遮蔽層3を通じて発色層2に伝わる。積層体30は、発熱層4が「○」の記号に対応したパターンで印刷されている。発色層2は、ロイコ染料と顕色剤との反応により発熱層4の印刷パターンに対応した部分が黒色に変化する。
図10に示す積層体30の発色部30Aは、正面視においてカラー層6の印刷パターンにより「○」の記号が表示された状態から、マイクロ波を照射することにより
図12に示すように「○」の記号の内側にさらに「○」の記号が表示された「◎」が表示された状態となる。
【0034】
積層体30のカラー層5およびカラー層6は、同じ構成材料であってもよいし、異なる構成材料であってもよい。カラー層6は、外装側から視認可能なデザインの一部を呈するものであり、種々の色インキを適用できる。これに対してカラー層5は、発熱層4の色と同等または近似する色を有することが好ましい。例えば、発熱層4がカーボンブラックを含んだ材料で構成される場合には、カラー層5は黒色の染料または顔料を用いて構成されることが好ましい。これにより、カラー層5は、パターン印刷された発熱層4の黒色を外装側のプラスチックフィルム層1側から透けて見えてしまうことを抑制することができる。
【0035】
[実施の形態4]
図13を参照して、実施の形態4の積層体40について説明する。
図13は、変化前の積層体40の断面図である。
【0036】
図13に示されるように、積層体40は、外装側から内装側に向けてプラスチックフィルム層1、発色層2、透明発熱層7を積層した構造で構成されている。実施の形態4の積層体40は、実施の形態1の積層体10に対して遮蔽層3が存在せず、発熱層4が透明部材である透明発熱層7となっている点で異なっている。
【0037】
透明発熱層7は、透明または半透明の層で構成されている。透明発熱層7は、約1μmで構成されている。透明発熱層7としては、ポリチオフェン系導電性高分子を含む層等が挙げられる。
【0038】
図13の積層体40では、マイクロ波を吸収した透明発熱層7が発熱することにより、その熱が発色層2に伝わる。積層体40は、発色層2に文字等の情報がパターンで印刷されている。発色層2は、ロイコ染料と顕色剤との反応により印刷パターンに対応した部分が黒色に変化する。実施の形態4の積層体40は、発色層2および透明発熱層7が透明であるため、遮蔽層3によって材料の色を隠す必要がないため、用いる材料を少なくすることができる。
【0039】
[実施の形態5]
図14を参照して、実施の形態5の積層体50について説明する。
図14は、変化前の積層体50の断面図である。
【0040】
図14に示されるように、積層体50は、外装側から内装側に向けて第1層にプラスチックフィルム層1、第2層に発色層2およびカラー層8、第3層に透明発熱層7を積層した構造で構成されている。実施の形態5の積層体40は、実施の形態4の積層体40に対して第2層にカラー層8が追加されている点で異なっている。
【0041】
カラー層8は、上述したカラー層5の顔料と同じ材料であってもよく、異なる材料であってもよい。カラー層8は、外装側から視認可能なデザインの一部を呈するものであり、種々の色インキを適用できる。カラー層8は、例えば、発色層2の印刷パターンを囲むような枠のパターンで印刷されている。
【0042】
図14の積層体50では、マイクロ波を吸収した透明発熱層7が発熱することにより、その熱が発色層2に伝わる。積層体50は、発色層2に文字等の情報がパターンで印刷されている。発色層2は、ロイコ染料と顕色剤との反応により印刷パターンに対応した部分が黒色に変化する。積層体50は、カラー層8の枠の印刷によってマイクロ波の照射前にどの部分に情報が表示されるのかを分かり易くすることができる。
【0043】
[実施の形態6]
図15を参照して、実施の形態6の積層体60について説明する。
図15は、変化前の積層体60の断面図である。
【0044】
図15に示されるように、積層体60は、外装側から内装側に向けてプラスチックフィルム層1、発色層2、デザイン層9、遮蔽層3、発熱層4を積層した構造で構成されている。実施の形態6の積層体60は、実施の形態1の積層体10に対してデザイン層9が追加されている点で異なっている。
【0045】
デザイン層9は、例えば、商品名や製造者名、ロゴマーク、各種デザイン、商品説明、バーコード等を表示するための印刷層である。デザイン層9は、例えば、色材及びバインダ樹脂を含み、また各種添加剤を含んでいてもよい。デザイン層9は、色材を含む1の印刷層によって、または異なる色材を含む2以上の印刷層を組み合わせることによってデザインが形成される。
【0046】
実施の形態6の積層体60では、発色層2よりも内装側にデザイン層9が配置されるが、デザイン層9はプラスチックフィルム層1の内側すぐ、すなわちプラスチックフィルム層1と発色層2との間に配置されてもよい。デザイン層9は、二層以上で構成されてもよい。実施の形態6では、実施の形態1の積層体10に対してデザイン層9が追加された構成を示したが、実施の形態2~5の各積層体に対して、デザイン層9を追加してもよいことは言うまでもない。
【0047】
[積層体の適用例について]
図16から
図21を参照して、上記した積層体の適用例について説明する。
図16は、積層体の第1の適用例を示す図、
図17は、積層体の第2の適用例を示す図、
図18は、積層体の第3の適用例を示す図、
図19は、積層体の第4の適用例を示す図、
図20は、積層体の第5の適用例を示す図、
図21は、積層体の第6の適用例を示す図である。第1~第6の適用例の各包装体(シュリンクラベル、オーバーラップフィルム、タックシール、パウチ容器、ピロー容器、蓋体)において、積層体の外装側が包装体の外装側に配置され、積層体の内装側が包装体の内装側に配置されている。
【0048】
[第1の適用例]
図16を参照して、積層体の第1の適用例について説明する。
図16は、シュリンクラベル100に積層体を適用した例である。
【0049】
シュリンクラベル100は、基材が熱収縮性を有している。
図16に示すように、積層体100Aは、シュリンクラベル100の一部として構成されている。シュリンクラベル100に用いられる基材には、従来公知の樹脂フィルムを適用することができる。筒状のシュリンクラベル100は、軸方向に沿った帯状の接合部により端部が重ね合わされて接合されている。
【0050】
公知の樹脂フィルムの樹脂としては、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、アクリル系樹脂などの熱可塑性樹脂から選択される1種、又は2種以上の混合物が例示できる。2種以上のフィルムを積層した積層フィルムであってもよい。これらのうち、シュリンク特性等の観点からポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、およびこれらの積層体を用いることが好ましく、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂を用いることがより好ましい。
【0051】
上記ポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)系樹脂、ポリ(エチレン-2,6-ナフタレンジカルボキシレート)、ポリ乳酸(PLA)等を用いることができる。中でも、好ましくはポリエチレンテレフタレート(PET)系樹脂である。上記PET系樹脂としては、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を用い、ジオール成分としてエチレングリコールを用いたポリエチレンテレフタレート(PET);ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を用い、ジオール成分としてエチレングリコールを主成分、1,4-シクロヘキサンジメタノール(CHDM)を共重合成分として用いた共重合ポリエステル(CHDM共重合PET);ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を用い、ジオール成分としてエチレングリコールを主成分、ネオペンチルグリコール(NPG)を共重合成分として用いた共重合ポリエステル(NPG共重合PET);ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を用い、ジオール成分としてエチレングリコールを主成分、ジエチレングリコールを共重合成分として用いた共重合ポリエステルなどのジオール変性PET;ジカルボン酸変性PET(ジカルボン酸成分において、テレフタル酸を主成分にイソフタル酸および/またはアジピン酸で変性)などが挙げられる。
【0052】
上記ポリスチレン系樹脂としては、構成モノマーとして、例えばスチレン、α-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、p-エチルスチレン、p-イソブチルスチレン、p-t-ブチルスチレン、クロロメチルスチレン等のスチレン系単量体を1種又は2種以上含む樹脂が挙げられる。具体例としては、スチレンの単独重合体またはスチレンおよびスチレン系単量体との共重合体であるポリスチレン、スチレン-ブタジエン共重合体(SBS)、スチレン-ブタジエン-イソプレン共重合体(SBIS)、スチレン-アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。
【0053】
上記ポリオレフィン系樹脂としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、メタロセン触媒系LLDPE(mLLDPE)等のポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン、プロピレン-α-オレフィン共重合体等のポリプロピレン系樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体、環状オレフィン樹脂などが挙げられる。特に、ポリオレフィン系フィルムとしては、環状オレフィン樹脂を外層とするものが好ましい。例えば、環状オレフィン樹脂を外層とし、ポリエチレン系樹脂又はポリプロピレン系樹脂を内層(中心層)とするものが好ましい。
【0054】
ラベル基材は、良好な熱収縮性を発現するために、少なくとも一方向に延伸(一軸延伸)されていることが好ましい。延伸温度は、フィルムを構成する樹脂の種類によっても異なるが、例えば70~100℃である。延伸倍率は、フィルムの主延伸方向に2~8倍程度であることが好ましい。主延伸方向と直交する方向の収縮、膨張を抑えるために、当該方向にも1.01~2倍程度の倍率で延伸(二軸延伸)してもよい。
【0055】
ラベル基材の熱収縮率は、主延伸方向に対して、20%以上であり、好ましくは30~80%、特に好ましくは40~80%である(加熱処理条件:90℃の温水に10秒間浸漬)。主延伸方向に直交する方向に対しては、好ましくは-3~15%、より好ましくは-1~10%、特に好ましくは-1~5%である(加熱処理条件:同上)。延伸方式は、ロール方式、テンター方式、チューブ方式等を使用できる。なお、シュリンクラベル100は、ラベル基材の主延伸方向が筒の周方向となるように成形されることが好適である。
【0056】
[第2の適用例]
図17を参照して、積層体の第2の適用例について説明する。
図17は、オーバーラップフィルム200に積層体を適用した例である。
【0057】
オーバーラップフィルム200は、基材が熱収縮性を有している。オーバーラップフィルム200は、容器201と蓋材202とを外側から全体的に密封している。蓋材202は、熱シールにより容器201に対して剥離可能に接着されている。積層体200Aは、オーバーラップフィルム200の一部として蓋材202の上面の位置に配置されている。オーバーラップフィルム200に用いられる基材には、第1の適用例で示した材質のフィルムを用いることができる。
【0058】
[第3の適用例]
図18を参照して、積層体の第3の適用例について説明する。
図18は、タックシール300に積層体を適用した例である。
【0059】
図18は、タックシール300の断面図である。
図18に示されるように、タックシール300は、外装側から内装側に向けてプラスチックフィルム層1、発色層2、遮蔽層3、発熱層4、接着層301を積層した構造で構成されている。タックシール300は、実施の形態1の積層体10に対して接着層301が追加されている。
【0060】
接着層301は、従来公知の印刷機を用いて印刷(塗布)されている。接着層301に使用される接着剤としては、例えば、エラストマー系(アクリルゴム、二トリルゴム、ウレタンゴム、スチレンブタジエンゴム等)、熱硬化性樹脂系(ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、メラミン樹脂等)、熱可塑性樹脂系(アクリル樹脂、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、エチレン-酢酸ビニル共重合体等)などの接着剤を使用することができる。特に、常温で粘着性を有する、溶剤型、エマルジョン型またはホットメルト型の感圧性接着剤を使用することが好ましい。
【0061】
[第4の適用例]
図19を参照して、積層体の第4の適用例について説明する。
図19は、パウチ容器400に積層体を適用した例である。
【0062】
図19は、パウチ容器400の正面図である。
図19に示されるように、積層体400Aは、パウチ容器400の一部として配置されている。
【0063】
パウチ容器400を構成する各シートは、通常、樹脂フィルムから構成される。樹脂フィルムには、耐衝撃性、耐磨耗性、および耐熱性など、包装体としての基本的な性能を備えることが要求される。パウチ容器400は、
図19中のハッチングで示すシール部でシールされている。シール部は、通常、ヒートシールにより形成されるので、各シートにはヒートシール性も要求される。各シートは、プラスチックフィルム層としてのベースフィルム層と、ヒートシール性を付与するシーラント層とを有する複層シートが好適であり、高いガスバリア性が要求される場合には、ベースフィルム層とシーラント層との間にガスバリア層を設けることが好ましい。
【0064】
ベースフィルム層そのものにガスバリア性を付与してもよい。この場合は、バリア層をベースフィルム層として用い、バリア層とシーラント層とを有する複層シートとなる。シートの両面にヒートシール性を付与する場合は、シーラント層を形成する単層フィルムを用いてもよく、複層シートの場合は、同種又は異種のシーラント層を二層有するか(このとき、シーラント層の一層を形式的にベースフィルム層として用いることになる)、或いはベースフィルム層の両面にシーラント層を有するシートを用いてもよい。
【0065】
ベースフィルム層、シーラント層、およびガスバリア層の構成材料を例示する。これら各層の積層は、慣用のラミネート法、例えば接着剤によるドライラミネーション、熱接着性層を挟んで熱により接着させる熱ラミネーションなどにより行うことができる。
【0066】
ベースフィルム層を構成するフィルムとしては、ポリエステル(ポリエチレンテレフタート(PET)、ポリエチレンナフタレ-ト(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリカーボネート(PC)など)、ポリオレフィン(ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)など)、ポリアミド(ナイロン-6、ナイロン-66など)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリイミド(PI)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、およびポリエーテルスルフォン(PES)等から構成される一層または二層以上の延伸又は未延伸フィルムが例示できる。ベースフィルム層の厚みは、例えば10μm~200μmであり、好ましくは10μm~100μmである。
【0067】
シーラント層を構成するフィルムとしては、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレン-プロピレン共重合体(EP)、未延伸ポリプロピレン(CPP)、二軸延伸ナイロン(ON)、エチレン-オレフィン共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン-メタクリル酸共重合体(EMAA)およびエチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)等から構成される一層又は二層以上の延伸または未延伸フィルムが例示できる。シーラント層の厚みは、例えば20μm~200μmであり、好ましくは30μm~180μmである。
【0068】
ガスバリア層としては、アルミニウム等の金属薄膜、又は塩化ビニリデン(PVDC)、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)などの樹脂フィルム、或いは任意の合成樹脂フィルム(例えば、ベースフィルム層であってもよい)に、アルミニウム、酸化アルミニウムやシリカ等の無機酸化物などを蒸着(又はスパッタリング)したフィルムが例示できる。
【0069】
積層体400Aは、パウチ容器400のシール部に配置されている。パウチ容器400の被収容物は、マイクロ波が照射されることによって昇温しつつ蒸気を生じさせるものである。代表的には、食品が挙げられるが、非食品であってもよい。被収容物としては、固形状物、半固形状物、液状物などが挙げられる。固形状物としては冷凍食品が代表的に挙げられ、半固形状物および液状物としては、冷蔵食品、常温保存食品などが挙げられる。
【0070】
パウチ容器400においては、蒸気の発生と並行して発熱層が発熱することになる。発熱層の発熱に伴い、発熱層の直下に位置するシール部が溶融または軟化する。シール部が溶融または軟化した部分においては、他の部分と比して小さな力で、シート同士を剥離することができる。すなわち、溶融または軟化した部分が、蒸気の圧力によって剥離され、これに伴い、該剥離部分からの蒸気の開放が可能となる。このため、パウチ容器400によれば、容器の内圧が上昇したとしても容器の破損を生じさせず、効果的に蒸気抜きをすることができる。
【0071】
[第5の適用例]
図20を参照して、積層体の第5の適用例について説明する。
図20は、ピロー容器500に積層体を適用した例である。
【0072】
図20は、ピロー容器500の斜視図である。
図20に示されるように、積層体500Aは、ピロー容器500の一部として構成されている。
【0073】
ピロー容器500は、第4の適用例として示したパウチ容器400のベースフィルム層、シーラント層、およびガスバリア層と同様の材質で構成することができる。
図20において、ピロー容器500の長手方向の両端部分および中央の背張り部分にシール部が構成されている。積層体500Aは、ピロー容器500の背張り部分の中央付近に配置されている。ピロー容器500の被収容物は、マイクロ波が照射されることによって昇温しつつ蒸気を生じさせるものである。代表的には、食品が挙げられるが、非食品であってもよい。被収容物としては、固形状物、半固形状物、液状物などが挙げられる。固形状物としては冷凍食品が代表的に挙げられ、半固形状物および液状物としては、冷蔵食品、常温保存食品などが挙げられる。
【0074】
ピロー容器500においては、蒸気の発生と並行して発熱層が発熱することになる。発熱層の発熱に伴い、発熱層の直下に位置するシール部が溶融または軟化する。シール部が溶融または軟化した部分においては、他の部分と比して小さな力で、シート同士を剥離することができる。すなわち、溶融または軟化した部分が、蒸気の圧力によって剥離され、これに伴い、該剥離部分からの蒸気の開放が可能となる。このため、ピロー容器500によれば、容器の内圧が上昇したとしても容器の破損を生じさせず、効果的に蒸気抜きをすることができる。
【0075】
[第6の適用例]
図21を参照して、積層体の第6の適用例について説明する。
図21は、容器600の蓋体602に積層体を適用した例である。
【0076】
図21に示すように、マイクロ波処理用の容器600は、容器本体601と、容器本体601の開口を封止するための蓋体602とを備える。この容器は、内部に食品などの被収容物が密封された状態で電子レンジに供することが可能な容器である。
【0077】
容器本体601は、軸Z方向の一方側が開口した有底状容器であり、底部と、周壁部と、フランジ部とを有する。容器本体601は、マイクロ波を透過し、かつ電子レンジを用いた加熱に耐え得るものであればよい。具体的には、容器本体601は、ポリエチレン,ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート,ポリエチレンナフタレート,ポリブチレンテレフタラートなどの芳香族ポリエステル系樹脂、ポリ乳酸、ポリグリコール酸などの脂肪族ポリエステル系樹脂、ナイロンなどのポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂(発泡ポリスチレンを含む)などの合成樹脂からなる成形品であることが好ましい。
【0078】
蓋体602は、開口を覆うシート状の積層体である。蓋体602は、摘み部604を有し、かつ、接着領域603において、フランジ部に対して剥離可能に接着されている。この接着は、例えば、蓋体602のシーラント層をフランジ部に対してヒートシールすることにより可能となる。接着領域603は、軸Z方向からの平面視において円環形状を示すが、接着領域603の態様はこれに限られない。接着領域603の幅は特に制限されないが、構成上、少なくともフランジ部の径方向の幅以下となる。
【0079】
図21に示すように、積層体600Aは、蓋体602の一部として構成されている。蓋体602は、第4の適用例として示したパウチ容器400のベースフィルム層にフランジ部に対する接着性を発揮するシーラント層を有している。蓋体602のシーラント層は、例えば、熱可塑性樹脂を主成分とする層である。熱可塑性樹脂としては、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル共重合体などのポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂などが挙げられる。
【0080】
蓋体602は、被収容物を収容した容器600を電子レンジなどで加熱調理する場合に、マイクロ波を吸収して積層体600Aの発熱層が発熱する。被収容物は、マイクロ波が照射されることによって昇温しつつ蒸気を生じさせるものである。代表的には、食品が挙げられるが、非食品であってもよい。被収容物としては、固形状物、半固形状物、液状物などが挙げられる。固形状物としては冷凍食品が代表的に挙げられ、半固形状物および液状物としては、冷蔵食品、常温保存食品などが挙げられる。
【0081】
容器600においては、蒸気の発生と並行して発熱層が発熱することになる。発熱層の発熱に伴い、発熱層の直下に位置するシーラント層(フランジ部にヒートシールされている部分)が溶融または軟化する。直下とは、軸Z方向上方から蓋体602の表面を平面視した場合に、発熱層と重なる部分を意味する。シーラント層が溶融または軟化した部分においては、他の部分と比して小さな力で、容器本体601から蓋体602を剥離することができる。すなわち、溶融または軟化した部分が、蒸気の圧力によって剥離され、これに伴い、該剥離部分からの蒸気の開放が可能となる。このため、容器600によれば、容器の内圧が上昇したとしても容器の破損、変形が起こらないようにすることができる。
【0082】
[作用・効果]
本実施の形態における積層体は、電子レンジ等によるマイクロ波照射用の積層体であって、プラスチックフィルム層1と、熱により発色する発色層2と、マイクロ波を吸収することで発熱する発熱層4とを、この順で外装側から内装側に積層し、マイクロ波によって発熱した発熱層4により発色層2が変化する様子を外装側から視認可能である。
【0083】
本実施の形態における積層体は、マイクロ波を吸収する発熱層4を敢えて設けているため、容器自体や内容物の温度に関係なく発色層2を発色させることができる。例えば、内容物が高温となる場合には、「高温危険」等の情報を表示して注意を促すことができ、内容物が高温とならない場合、または内容物が無い場合であっても、キャンペーン内容等の情報をしっかりと示すことができる。
【0084】
本実施の形態における積層体は、マイクロ波を吸収する発熱層4を敢えて設けているため、容器内の内容物の特性により内容物の昇温のタイミングが異なっていたとしても、内容物ごとに個別設計をする必要がなく、工業的な生産に好ましい。
【0085】
本実施の形態における積層体は、プラスチックフィルム層1を基材として、一方面側に向けて各層が印刷されているため製造が容易である。本実施の形態における積層体は、プラスチックフィルム層1が外装側にあるため、内側の印刷層を容易に保護することができる。
【0086】
本実施の形態における積層体は、発色層2と発熱層4との間に厚みのある基材等が介在していない。このように、本実施の形態における積層体は、発色層2と発熱層4との距離が近いため発熱層4の熱を効果的に発色層2に伝えることができる。
【0087】
本実施の形態における積層体は、発熱層4が、カーボンブラックを含んでいることが好ましい。本実施の形態における積層体は、発色層2と発熱層4との間に、外装側から発熱層4を視認困難とする遮蔽層3が配置されている。遮蔽層3は、外装側から透明のプラスチックフィルム層1と発色層2とを通して発熱層4の黒色が見えてしまうことを防止することができる。特に、遮蔽層3は、発熱層4がパターン印刷されている場合などに、事前にその情報が知られてしまうことを防止することができる。
【0088】
本実施の形態におけるプラスチックフィルム層1は、好ましくは収縮性を有している。
図16で示したシュリンクラベル100の積層体100A、
図17で示したオーバーラップフィルム200の積層体200Aは、プラスチックフィルム層1が収縮性を有しているため、容器等の包装に適している。
【0089】
第1の適用例に示すシュリンクラベル100は、飲料用のプラスチックボトルの外表面に装着されるようにするのが好ましい。例えば、飲料用のプラスチックボトルを購入した消費者は、プラスチックボトルから取り外したシュリンクラベル100を電子レンジで加熱することにより、積層体100Aに浮かび上がるキャンペーン情報等を得ることができる。飲料用のボトルが電子レンジ加熱可能なボトルである場合は、シュリンクラベル100を付けたまま電子レンジで加熱することも可能である。
【0090】
第2の適用例に示すオーバーラップフィルム200は、レンジアップ(電子レンジによる加熱調理)用商品の容器の外表面に装着されるようにするのが好ましい。オーバーラップフィルム200は、積層体を含む包装体として、積層体の外装側が、包装体の外装側に配置され、かつ積層体の内装側が、包装体の内装側に配置されるように、積層体が配置されている。例えば、レンジアップ用商品を購入した消費者が、オーバーラップフィルム200を装着した状態のレンジアップ用商品をレンジアップすることにより、積層体200Aに浮かび上がるキャンペーン情報等を得ることができる。また、レンジアップ用商品に蒸通口がある場合、該蒸気口と重なる位置に積層体200Aが配置されるようにオーバーラップフィルム200を装着することにより、蒸通口がどこにあるのかの視認性を向上させることができる。
【0091】
本実施の形態における積層体は、発熱層4の内装側にシーラント層をさらに備え、プラスチックフィルム層1は、収縮性が無い材料で構成されていてもよい。
図19で示したパウチ容器400の積層体400A、
図20で示したピロー容器500の積層体500A、
図21で示した容器600に用いられる蓋体602の積層体600Aは、シーラント層を備え、プラスチックフィルム層1が収縮性を有していないため、収縮の必要がない包装材に適している。
【0092】
第4の適用例に示すパウチ容器400、第5の適用例に示すピロー容器500、および第6の適用例に示す容器600は、レンジアップ用商品のシール部に積層体が配置されるようにするのが好ましい。これらの容器は、積層体を含む包装体として、積層体の外装側が、包装体の外装側に配置され、かつ積層体の内装側が、包装体の内装側に配置されるように、積層体が配置されている。レンジアップ用商品を購入した消費者が、パウチ容器400、ピロー容器500、および容器600等の包装体をレンジアップすることにより、積層体に浮かび上がるキャンペーン情報等を得ることができるとともに、効果的に蒸気抜きをすることができる。また、積層体に浮かび上がる文字等により、蒸気が出る部分を注意喚起することもできる。
【0093】
図18で示したタックシール300により構成される積層体は、接着層301が設けられており、シーラント層は設けられていない。タックシール300により構成される積層体は、プラスチックフィルム層1に収縮性が無い。タックシール300により構成される積層体は、接着層301によって他の部材に接着することができるため、キャンペーンの内容等を電子レンジで知らせたい場合に効果的である。
【0094】
本実施の形態における積層体は、発熱層4の発熱により発色層2が変化するため、電子レンジで加熱された痕跡を容易に残すことができる。したがって、高齢者等が誤って再度加熱してしまうことを防止することができる。
【0095】
図1に示した積層体10は、発色層2の印刷パターンが発熱層4の印刷領域の範囲に収まるように印刷されている。積層体10は、このような構成により、発色層2の印刷パターンにより示される情報を漏れることなく使用者に示すことができる。
【0096】
図5に示した積層体20は、発熱層4の印刷パターンが発色層2の印刷領域の範囲に収まるように印刷されている。積層体20は、このような構成により、発熱層4の印刷パターンにより示される情報を漏れることなく使用者に示すことができる。
【0097】
発色層2は、蒸気温度(100℃)より高温で発色することが好ましく、110℃より高温で発色することがより好ましく、120℃より高温で発色することが特に好ましい。積層体により構成させる製品は、消費者の手元に届くまでに高温になる機会が想定される。例えば、シュリンク製品がシュリンクされる場合、高温の飲料等が容器内に注がれる場合、積層体により構成される製品が高温の販売機等に入れられる場合、高温で滅菌消毒される場合等が考えられる。このような場合であっても発色層2が蒸気温度(100℃)より高温で発色する構成であれば、意図せずに発色層2が発色してしまうことを防止できる。
【0098】
発熱層4は、金属を含まない方が好ましい。種々の品質検査の際に、金属が不用意に検知されてしまう場合があるためである。なお、発熱層4は、金属を含んだ材料で構成されてもよい。金属としては、例えば、アルミニウムが配合されていてもよい。発熱層4は、金属とカーボンブラックとを含んだ材料により構成されてもよい。
【0099】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0100】
1 プラスチックフィルム層、2 発色層、3 遮蔽層、4 発熱層、5,6,8 カラー層、7 透明発熱層、9 デザイン層、10,20,30,40,50,60,100A,200A,400A,500A,600A 積層体、10A,20A,30A 発色部、100 シュリンクラベル、200 オーバーラップフィルム、300 タックシール、400 パウチ容器、500 ピロー容器、600 容器。