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特許7560333フットスイッチ装置、寝台装置、及び医用画像診断装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】フットスイッチ装置、寝台装置、及び医用画像診断装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/03 20060101AFI20240925BHJP
【FI】
A61B6/03 530Z
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020192744
(22)【出願日】2020-11-19
(65)【公開番号】P2022081295
(43)【公開日】2022-05-31
【審査請求日】2023-10-11
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】塚原 祐太郎
(72)【発明者】
【氏名】松澤 洋平
【審査官】佐野 浩樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-121959(JP,A)
【文献】特開2018-191842(JP,A)
【文献】特開2019-000589(JP,A)
【文献】特表2001-516911(JP,A)
【文献】特開2006-020858(JP,A)
【文献】特開2008-036278(JP,A)
【文献】特開2020-175004(JP,A)
【文献】特開2001-046365(JP,A)
【文献】特開2002-224098(JP,A)
【文献】特表2003-533252(JP,A)
【文献】登録実用新案第3132178(JP,U)
【文献】特開平07-023978(JP,A)
【文献】特開2017-099508(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0092887(US,A1)
【文献】中国実用新案第202801643(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/055、 6/00 - 6/58 、
8/00 - 8/15 、
G01T 1/161- 1/166、
G05G 1/00 -25/04 、
G06F 3/01 、 3/048- 3/04895
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの足による操作に応じて動作する操作子と、
前記操作子の動作に応じて、医用画像診断装置に対する信号を出力する出力部と、
前記操作子を、前記操作子の配置または前記操作に応じた信号出力のされ方の少なくともいずれか一方が異なる複数の状態の間で切り替える切替部と、を備え
前記切替部は、前記操作子の状態を、操作性を優先する第1状態と、誤操作の防止を優先する第2状態と、の間で切り替え、
前記切替部は、前記医用画像診断装置に設けられた受部と、前記操作子に設けられ、前記受部に対して、異なる複数の向きで着脱可能な取付部と、を備え、
前記操作子は、前記受部に対する前記取付部の向きが異なることで、前記第1状態と前記第2状態が切り替え可能とされている、
フットスイッチ装置。
【請求項2】
前記操作子は、回転軸周りに揺動するフットペダルを備え、
前記第1状態は、前記フットペダルが前記回転軸周りに押し下げられて揺動する状態であり、
前記第2状態は、前記フットペダルが前記回転軸周りに押し上げられて揺動する状態である、
請求項に記載のフットスイッチ装置。
【請求項3】
前記受部が複数設けられている、
請求項1または2に記載のフットスイッチ装置。
【請求項4】
前記操作子を、前記複数の受部の間で移動させるレールを更に備える、
請求項に記載のフットスイッチ装置。
【請求項5】
前記操作子は、前記ユーザの足による操作に応じて動作可能な可動部と、
前記可動部の周囲に設けられ、前記可動部を他の物体との接触からガードするガード部と、を備え、
前記第1状態は、前記ガード部が前記可動部の下方に設けられた状態であり、
前記第2状態は、前記ガード部が前記可動部の上方に設けられた状態である、
請求項に記載のフットスイッチ装置。
【請求項6】
前記ガードの位置に応じて、前記ガードに対する前記可動部の動作方向が切り替えられる、
請求項に記載のフットスイッチ装置。
【請求項7】
前記操作子の状態を前記切替部に切り替えさせる切替制御部を更に備える、
請求項1からのうちいずれから1項に記載のフットスイッチ装置。
【請求項8】
前記医用画像診断装置は、被検者が載置される寝台を備え、
前記操作子は、前記寝台に設けられており、
前記寝台は、前記出力部により出力される信号に応じて上下動動作する、
請求項1からのうちいずれか1項に記載のフットスイッチ装置。
【請求項9】
前記寝台を上昇させるための第1操作子と、前記寝台を下降させるための第2操作子と、が前記寝台に設けられている、
請求項に記載のフットスイッチ装置。
【請求項10】
前記医用画像診断装置は、放射線を曝射可能な放射部を備え、
前記放射部は、前記出力部により出力される信号に応じて放射線を曝射する、
請求項1からのうちいずれか1項に記載のフットスイッチ装置。
【請求項11】
前記医用画像診断装置は、被検体を挿入可能な開口が設けられた架台装置を備え、
前記架台装置は、前記出力部により出力される信号に応じて駆動する、
請求項1からのうちいずれか1項に記載のフットスイッチ装置。
【請求項12】
前記操作子は、前記医用画像診断装置から離れて設けられ、
前記出力部は、前記医用画像診断装置に前記信号を無線通信で送信する、
請求項1からのうちいずれか1項に記載のフットスイッチ装置。
【請求項13】
前記操作子は、前記ユーザの足による操作に応じて動作可能な可動部と、
前記可動部の周囲に設けられ、前記可動部を他の物体との接触からガードするガード部と、を備え、
前記切替部は、前記可動部に対する前記ガード部の配置に応じて、前記操作に応じた信号出力のされ方を切り替える、
請求項に記載のフットスイッチ装置。
【請求項14】
請求項1からのうちのいずれか1項に記載されたフットスイッチ装置と、
被検者を載置する寝台と、を備える。
寝台装置。
【請求項15】
請求項13に記載のフットスイッチ装置と、
被検体を載置する寝台と、
前記フットスイッチ装置における取付部が着脱可能な受部と、を備え、
前記取付部は、前記ガード部の配置が異なる複数の方向を向いて前記受部に対して取付可能である、
寝台装置。
【請求項16】
請求項1から13のうちのいずれか1項に記載されたフットスイッチ装置と、
前記出力部により出力される信号を受信する受信部と、を備える、
医用画像診断装置。
【請求項17】
操作者が出入りする第1出入口が設けられた第1壁部と、被検者が利用する第2出入口が設けられた第2壁部とを備える診察室に設置され、
前記フットスイッチ装置は、前記第2壁部側に配置されている、
請求項16に記載の医用画像診断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、フットスイッチ装置、寝台装置、及び医用画像診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、被検体を載置する寝台を備える医用画像診断装置において、寝台を上下動させたり、被検体に対するX線の曝射を開始させたりするスイッチとして、フットスイッチ装置が用いられることがある。フットスイッチ装置は、例えば、操作者が足で踏み込むことによって操作される。フットスイッチ装置は、例えば、寝台に載置された被検者の近くで操作者によって操作される。このため、フットスイッチ装置は、例えば、寝台や寝台の近くに配置されていた。
【0003】
操作者がフットスイッチ装置を誤操作した場合には、寝台が不意に上下動してしまい、被検体を驚かせてしまうことがある。フットスイッチの誤操作を防止するため、従来、例えば、フットスイッチの上方に障害物となるバーを設け、操作者がフットスイッチを誤って操作しないようにしていた。
【0004】
しかし、寝台や寝台の近くにフットスイッチ装置が配置されていると、操作者以外にも、例えば被検体が寝台から降りようとする際に、被検体が誤ってかかとでフットスイッチ装置を踏みつけてしまうことがある。また、被検体を寝台まで運ぶストレッチャーの車輪でスイッチを踏みつけてしまうこともある。
【0005】
被検体が寝台から降りる際にかかとによる踏みつけを防止するために、例えば、障害物のバーを長くすることが考えられる。ところが、障害物のバーを長くすると、操作者がフットスイッチ装置を操作しにくくなったり、寝台にストレッチャーを横づけることが難しくなり、被検体の乗せ降ろし時の作業性に悪影響を及ぼしたりするという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2008-188110号公報
【文献】特開2018-187124号公報
【文献】特開2011-79007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題は、操作性の低下を抑制しながらフットスイッチ装置の誤操作を防止することができるようにすることである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態のフットスイッチ装置は、操作子と、出力部と、切替部と、を持つ。操作子は、ユーザの足による操作に応じて動作する。出力部は、前記操作子の動作に応じて、医用画像診断装置に対する信号を出力する。切替部は、前記操作子を、操作性を優先する第1状態と、誤操作の防止を優先する第2状態と、の間で切り替える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施形態に係るX線CT装置1の構成図。
図2】X線CT装置1の斜視図。
図3】フットスイッチ装置70の側断面図。
図4A】フットスイッチ装置70の動作の一例を示す側断面図。
図4B】フットスイッチ装置70の動作の一例を示す側断面図。
図5】第2の実施形態のフットスイッチ装置80の側断面図。
図6】制御装置18の処理の一例を示すフローチャート。
図7A】フットスイッチ装置80の動作の一例を示す側断面図。
図7B】フットスイッチ装置80の動作の一例を示す側断面図。
図8】制御装置18の処理の一例を示すフローチャート。
図9】第3の実施形態のフットスイッチ装置90の側断面図。
図10A】フットスイッチ装置90の動作の一例を示す側断面図。
図10B】フットスイッチ装置90の動作の一例を示す側断面図。
図10C】フットスイッチ装置90の動作の一例を示す側断面図。
図11A】診察室内のフットスイッチ装置70の配置の一例を示す平面図。
図11B】診察室内のフットスイッチ装置70の配置の一例を示す平面図。
図11C】診察室内のフットスイッチ装置70の配置の一例を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、実施形態のフットスイッチ装置、寝台装置、及び医用画像診断装置について説明する。フットスイッチ装置は、医用画像診断装置における寝台装置に設けられる。実施形態の医用画像診断装置は、X線CT(Computed Tomography:コンピュータ断層診断)装置である。医用画像診断装置は、例えば、PET(positron emission tomography:陽電子放射)-CT装置でもよいし、MRI(Magnetic Resonance Imaging:磁気共鳴断層撮影)装置などでもよい。
【0011】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るX線CT装置1の構成図、図2は、X線CT装置1の斜視図である。X線CT装置1は、例えば、架台装置10と、寝台装置30と、コンソール装置40とを有する。図1では、説明の都合上、架台装置10をZ軸方向から見た図とX軸方向から見た図の双方を掲載しているが、実際には、架台装置10は一つである。実施形態では、寝台装置30の天板33の長手方向をZ軸方向(前後方向)、Z軸方向に直交し、床面に対して水平である軸をX軸方向(左右方向)、Z軸方向に直交し、床面に対して垂直である方向をY軸方向(上下方向)とそれぞれ定義する。Z軸方向の一側であり、架台装置10における寝台装置30が設けられている側を「前側」、Z軸方向の他側であり、寝台装置30が設けられている側の反対側を「後側」、X軸方向の一側を「左側」、他側を「右側」、Y軸方向の一側を「上側」、他側を「下側」とそれぞれ定義する。
【0012】
架台装置10は、例えば、X線管11と、ウェッジ12と、コリメータ13と、X線高電圧装置14と、X線検出器15と、データ収集システム(以下、DAS:Data Acquisition System)16と、回転フレーム17と、制御装置18と、架台19と、を備える。X線管11、ウェッジ12、コリメータ13、X線高電圧装置14、X線検出器15、DAS16、及び回転フレーム17は、架台19に収容される。
【0013】
X線管11は、X線高電圧装置14からの高電圧の印加により、陰極(フィラメント)から陽極(ターゲット)に向けて熱電子を照射することでX線を発生させる。X線管11は、真空管を含む。例えば、X線管11は、回転する陽極に熱電子を照射することでX線を発生させる回転陽極型のX線管である。X線管11は、X線を曝射可能である。
【0014】
ウェッジ12は、X線管11から被検体Pに照射されるX線量を調節するためのフィルタである。ウェッジ12は、X線管11から被検体Pに照射されるX線量の分布が予め定められた分布になるように、自身を透過するX線を減衰させる。ウェッジ12は、ウェッジフィルタ(wedge filter)、ボウタイフィルタ(bow-tie filter)とも呼ばれる。ウェッジ12は、例えば、所定のターゲット角度や所定の厚みとなるようにアルミニウムを加工したものである。
【0015】
コリメータ13は、ウェッジ12を透過したX線の照射範囲を絞り込むための機構である。コリメータ13は、例えば、複数の鉛板の組み合わせによってスリットを形成することで、X線の照射範囲を絞り込む。コリメータ13は、X線絞りと呼ばれる場合もある。コリメータ13の絞り込み範囲は、機械的に駆動可能であってよい。
【0016】
X線高電圧装置14は、例えば、高電圧発生装置と、X線制御装置とを有する。高電圧発生装置は、変圧器(トランス)および整流器などを含む電気回路を有し、X線管11に印加する高電圧を発生させる。X線制御装置は、X線管11に発生させるべきX線量に応じて高電圧発生装置の出力電圧を制御する。高電圧発生装置は、上述した変圧器によって昇圧を行うものであってもよいし、インバータによって昇圧を行うものであってもよい。X線高電圧装置14は、回転フレーム17に設けられてもよいし、架台装置10の固定フレーム(不図示)の側に設けられてもよい。
【0017】
X線検出器15は、X線管11が発生させ、被検体Pを通過して入射したX線の強度を検出する。X線検出器15は、検出したX線の強度に応じた電気信号(光信号などでもよい)をDAS18に出力する。X線検出器15は、例えば、複数のX線検出素子列を有する。複数のX線検出素子列のそれぞれは、X線管11の焦点を中心とした円弧に沿ってチャネル方向に複数のX線検出素子が配列されたものである。複数のX線検出素子列は、スライス方向(列方向、row方向)に配列される。
【0018】
X線検出器15は、例えば、グリッドと、シンチレータアレイと、光センサアレイとを有する間接型の検出器である。シンチレータアレイは、複数のシンチレータを有する。それぞれのシンチレータは、シンチレータ結晶を有する。シンチレータ結晶は、入射するX線の強度に応じた光量の光を発する。グリッドは、シンチレータアレイのX線が入射する面に配置され、散乱X線を吸収する機能を有するX線遮蔽板を有する。なお、グリッドは、コリメータ(一次元コリメータまたは二次元コリメータ)と呼ばれる場合もある。光センサアレイは、例えば、光電子増倍管(フォトマルチプライヤー:PMT)等の光センサを有する。光センサアレイは、シンチレータにより発せられる光の光量に応じた電気信号を出力する。X線検出器15は、入射したX線を電気信号に変換する半導体素子を有する直接変換型の検出器であってもよい。
【0019】
DAS16は、例えば、増幅器と、積分器と、A/D変換器とを有する。増幅器は、X線検出器15の各X線検出素子により出力される電気信号に対して増幅処理を行う。積分器は、増幅処理が行われた電気信号をビュー期間(後述)に亘って積分する。A/D変換器は、積分結果を示す電気信号をデジタル信号に変換する。DAS16は、デジタル信号に基づく検出データをコンソール装置40に出力する。検出データは、生成元のX線検出素子のチャンネル番号、列番号、及び収集されたビューを示すビュー番号により識別されたX線強度のデジタル値である。ビュー番号は、回転フレーム17の回転に応じて変化する番号であり、例えば、回転フレーム17の回転に応じてインクリメントされる番号である。従って、ビュー番号は、X線管11の回転角度を示す情報である。ビュー期間とは、あるビュー番号に対応する回転角度から、次のビュー番号に対応する回転角度に到達するまでの間に収まる期間である。DAS16は、ビューの切り替わりを、制御装置18から入力されるタイミング信号によって検知してもよいし、内部のタイマーによって検知してもよいし、図示しないセンサから取得される信号によって検知してもよい。フルスキャンを行う場合においてX線管11によりX線が連続曝射されている場合、DAS16は、全周囲分(360度分)の検出データ群を収集する。ハーフスキャンを行う場合においてX線管11によりX線が連続曝射されている場合、DAS16は、半周囲分(180度分)の検出データを収集する。
【0020】
回転フレーム17は、X線管11、ウェッジ12、およびコリメータ13と、X線検出器15とを対向支持する円環状の部材である。回転フレーム17は、固定フレームによって、内部に導入された被検体Pを中心として回転自在に支持される。回転フレーム17は、更にDAS16を支持する。DAS16が出力する検出データは、回転フレーム17に設けられた発光ダイオード(LED)を有する送信機から、光通信によって、架台装置10の非回転部分(例えば固定フレーム)に設けられたフォトダイオードを有する受信機に送信され、受信機によってコンソール装置40に転送される。なお、回転フレーム17から非回転部分への検出データの送信方法として、前述の光通信を用いた方法に限らず、非接触型の任意の送信方法を採用してよい。回転フレーム17は、X線管11などを支持して回転させることができるものであれば、円環状の部材に限らず、アームのような部材であってもよい。
【0021】
X線CT装置1は、例えば、X線管11とX線検出器15の双方が回転フレーム17によって支持されて被検体Pの周囲を回転するRotate/Rotate-TypeのX線CT装置(第3世代CT)であるが、これに限らず、円環状に配列された複数のX線検出素子が固定フレームに固定され、X線管11が被検体Pの周囲を回転するStationary/Rotate-TypeのX線CT装置(第4世代CT)であってもよい。
【0022】
制御装置18は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサを有する処理回路と、モータやアクチュエータなどを含む駆動機構とを有する。処理回路は、例えば、ハードウェアプロセッサが記憶装置(記憶回路)に記憶されたプログラムを実行することにより、これらの機能を実現するものである。
【0023】
ハードウェアプロセッサとは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit; ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device; SPLD)または複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device; CPLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array; FPGA)などの回路(circuitry)を意味する。記憶装置にプログラムを記憶させる代わりに、ハードウェアプロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むように構成しても構わない。この場合、ハードウェアプロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。ハードウェアプロセッサは、単一の回路として構成されるものに限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのハードウェアプロセッサとして構成され、各機能を実現するようにしてもよい。記憶装置は、非一時的(ハードウェアの)記憶媒体でもよい。また、複数の構成要素を1つのハードウェアプロセッサに統合して各機能を実現するようにしてもよい。
【0024】
制御装置18は、例えば、回転フレーム17を回転させたり、架台装置10の架台19をチルトさせたり、寝台装置30の天板33を上下動動作などで移動させたり、X線管11からX線を放射(曝射)させたりする。制御装置18は、架台装置10に設けられてもよいし、コンソール装置40に設けられてもよい。
【0025】
架台19は、寝台装置30の近傍に配置される。架台19には、被検体Pを挿入可能であり、略円筒形状を有する開口19Aが設けられている。開口19Aには、例えば、被検体Pが載置された状態の寝台装置30の天板33が挿入される。架台19の開口19Aに挿入された被検体Pがスキャン対象となる。被検体Pは、被検者の一例である。
【0026】
寝台装置30は、スキャン対象となる被検体Pを載置して移動させ、架台装置10の回転フレーム17の内部に導入する装置である。寝台装置30は、例えば、基台31と、寝台駆動装置32と、天板33と、支持フレーム34と、を備える。
【0027】
寝台装置30における基台31は、支持フレーム34を鉛直方向(Y軸方向)に移動可能に支持する筐体を含む。寝台駆動装置32は、モータやアクチュエータを含む。寝台駆動装置32は、被検体Pが載置された天板33を、支持フレーム34に沿って、天板33の長手方向(Z軸方向)に移動させる。天板33は、被検体Pが載置される板状の部材である。寝台駆動装置32は、天板33を後退させて架台19の開口19Aに挿入させる。寝台駆動装置32は、天板33を前進させて架台19から引き抜く。天板33は、寝台の一例である。
【0028】
寝台装置30には、フットスイッチ装置70が着脱可能かつ逆転可能に取り付けられている。フットスイッチ装置70は、例えば、基台31における床面に近い位置に取り付けられる。図3は、フットスイッチ装置70の側断面図である。図2及び図3に示すように、フットスイッチ装置70は、例えば、第1スイッチ部71Aと、第2スイッチ部71Bと、リブ72と、出力部73と、を備える。第1スイッチ部71A及び第2スイッチ部71Bは、同一の構成を有している。以下の説明においては、第1スイッチ部71A及び第2スイッチ部71Bを区別しない場合には、スイッチ部71と総称して説明する。
【0029】
スイッチ部71は、例えば、ベース部74と、フットペダル75と、切替部76と、を備える。ベース部74は、例えば、ガード部74Aと、支持部74Bと、を備える。ガード部74Aは、板状であり、床面に平行に配置される。ガード部74Aは、フットペダル75の周囲に設けられ、フットペダル75を他の物体、例えば被検体Pの足との接触からガードする。支持部74Bは、立方体に近い塊状をなしており、ガード部74Aを支持する。
【0030】
フットペダル75は、ガード部74Aに取り付けられている。フットペダル75は、操作者の足による操作に応じて動作可能であり、水平軸(X軸)周りに揺動可能である。水平軸は、フットペダル75における基台31から遠い側の端辺に設けられる。フットペダル75は、操作者の足による動作に応じて作動する。具体的には、フットペダル75は、操作者が踏み込むことより水平軸周りに揺動してその先端部が下降する。
【0031】
フットペダル75は、操作者による踏み込み後(以下「操作後状態」という)の状態を踏み込み前の状態(以下「操作前状態という」)に復帰させるための復帰構造、例えば、ばねなどの付勢部を備える。フットペダル75は、操作者によって操作されていないときには、付勢部の作用によって操作前状態に維持され、操作者がフットペダル75を踏み込むことで操作後状態とされる。操作後状態のときに、例えば、操作者がフットペダル75から足を離すと、フットペダル75は、付勢部の付勢力によって操作前状態に復帰する。フットペダル75は、操作子の一例である。フットペダル75は、踏込後状態でロックできるようにしてもよい。第1スイッチ部71Aのフットペダル75は、第1操作子及び可動部の一例であり、第2スイッチ部71Bのフットペダル75は、第2操作子の一例であり、操作者は、ユーザの一例である。
【0032】
切替部76は、取付部76Aと受部76Bとを備える。取付部76Aは、ベース部74における支持部74Bから側方に突出し、受部76Bに対して嵌め込み可能な部材を備える。このため、スイッチ部71は、基台31に対して着脱可能となっており、言い換えると、フットスイッチ装置70は、寝台装置30に対して着脱可能となっている。取付部76Aは、受部76Bに対して、異なる複数の向きでフットペダル75を取り付け可能とされている。
【0033】
フットスイッチ装置70は、着脱可能であり、寝台装置30に対して、機械的なロック機構によって固定されている。フットスイッチ装置70を寝台装置30に固定する手段は、他の手段でもよい。例えば、フットスイッチ装置70を寝台装置30に固定する手段は磁石による吸着などの手段を用いてもよい。
【0034】
取付部76Aの垂直断面形状は、例えば、長方形状をなしており、取付部76Aの天地を逆転させたいずれの状態でも受部76Bに対して嵌め込み可能となっている。以下の説明において、スイッチ部71の配置として、ガード部74Aが切替部76よりも下方に位置するように取付部76Aが受部76Bに嵌め込まれたスイッチ部71(フットペダル75)の状態を第1状態とし、ガード部74Aが切替部76よりも上方に位置するように取付部76Aが受部76Bに嵌め込まれたスイッチ部71(フットペダル75)の状態を第2状態とする。第2状態は、第1状態のスイッチ部71を逆転させて配置させた状態である。
【0035】
受部76Bは、基台31の表面における床面に近接した位置に設けられる。取付部76Aの断面形状と略同一の断面形状を有する穴部である。受部76Bには、取付部76Aが嵌め込み可能である。受部76Bは、受部76Bは、スイッチ部71が第1状態にあるときには、ガード部74Aが床面に近接して配置され、スイッチ部71が第2状態にあるときには、支持部74Bが床面に近接した位置に配置される高さ位置に設けられている。第1状態は、フットペダル75が回転軸周りに押し下げられて揺動する状態であり、第2状態は、フットペダル75が前記回転軸周りに押し上げられて揺動する状態である。
【0036】
取付部76Aは、受部76Bから取り外し可能とされている。例えば、操作者が取付部76Aを受部76Bから取り外して天地を反転させて取り付け替えることにより、切替部76は、向きが異なり、スイッチ部71の配置を第1状態と第2状態との間で切り替える。このように、切替部76は、手動でスイッチ部71の配置を切り替え可能である。取付部76A及び受部76Bの垂直断面は、他の形状でもよく、例えば、長方形以外の正多角形でもよいし、円形や楕円形などの曲線を有する形状でもよい。取付部76A及び受部76Bの垂直断面は、一致していなくてもよい。
【0037】
取付部76Aには、接点出力インターフェースが設けられ、受部76Bには、スイッチ入力インターフェースが設けられている。接点出力インターフェースは、スイッチ入力インターフェースに対して、スイッチ部71のオンオフ信号を出力する。スイッチ入力インターフェースは、出力接点インターフェースにより出力された信号を出力部73に出力する。取付部76Aが受部76Bに嵌め込まれるときには、接点出力インターフェースからスイッチ入力インターフェースに対してオンオフ信号の出力が可能となる。
【0038】
接点出力インターフェースとスイッチ入力インターフェースの電気接続は、フットスイッチ装置70が第1状態と第2状態との間で切り替えらえても変わらないようにされている。例えば、第1状態と第2状態を切り替えたとしても、フットペダル75の操作によって寝台装置30の上昇及び下降の動作が入れ替わらない電気接続とされている。
【0039】
スイッチ部71には、図示しない接点が設けられている。スイッチ部71は、第1状態のときにはフットペダル75の先端が作動位置まで下降することで接点がオン状態となり、第2状態のときにはフットペダル75の先端が作動位置まで上昇することで接点がオン状態となる。
【0040】
オンオフ信号には、例えば、第1オン信号、第2オン信号、第1オフ信号、第2オフ信号が含まれる。第1スイッチ部71A及び第2スイッチ部71Bにおいて、接点が接続されてオン状態となると、各接点から第1オン信号及び第2オン信号がそれぞれ接点出力インターフェースに出力される。第1スイッチ部71Aから第1オン信号が出力されると、寝台装置30の天板33が上昇し、第2スイッチ部71Bから第2オン信号が出力されると、寝台装置30の天板33が下降する。第1スイッチ部71Aのフットペダル75は、天板33を上昇させるための操作子であり、第2スイッチ部71Bのフットペダル75は、天板33を下降させるための操作子である。
【0041】
第1スイッチ部71A及び第2スイッチ部71Bにおいて、接点の接続が解除されてオフ状態となると、各接点から第1オフ信号及び第2オフ信号がそれぞれ接点出力インターフェースに出力される。第1スイッチ部71Aから第1オフ信号が出力されると、上昇中の天板33が停止し、第2スイッチ部71Bから第2オン信号が出力されると、下降中の天板33が停止する。接点出力インターフェースは、各接点により出力されたオンオフ信号をスイッチ入力インターフェースに出力する。
【0042】
リブ72は、例えばスイッチ部71の側方に立設されている。図3に示す状態において、リブ72の高さは、フットペダル75よりも高い位置まで延在している。フットペダル75の可動範囲は、リブ72の高さの範囲に収められている。リブ72は、例えば、第1スイッチ部71Aと第2スイッチ部71Bの間に配置されている。リブ72は、第1スイッチ部71Aと第2スイッチ部71Bの両方または一方のみに設けられていてもよいし、設けられていなくてもよい。
【0043】
出力部73は、例えば、基台31の内部に設けられている。出力部73は、スイッチ入力インターフェースにより出力された第1オン信号、第2オン信号、第1オフ信号、及び第2オフ信号を制御装置18に出力する。寝台装置30の天板33は、出力部73により出力される信号に応じて上下動動作する。制御装置18は、受信回路18Aを備えており、出力部73により出力される信号を受信回路18Aで受信する。受信回路18Aは、受信部の一例である。
【0044】
寝台駆動装置32は、天板33だけでなく、支持フレーム34を天板33の長手方向に移動させてもよい。また、上記とは逆に、架台装置10がZ軸方向に移動可能であり、架台装置10の移動によって回転フレーム17が被検体Pの周囲に来るように制御されてもよい。また、架台装置10と天板33の双方が移動可能な構成でもよい。
【0045】
コンソール装置40は、例えば、メモリ41と、ディスプレイ42と、入力インターフェース43と、処理回路50とを有する。実施形態では、コンソール装置40は架台装置10とは別体として説明するが、架台装置10にコンソール装置40の各構成要素の一部または全部が含まれてもよい。
【0046】
メモリ41は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等により実現される。メモリ41は、例えば、検出データや投影データ、再構成画像データ、CT画像データ等を記憶する。これらのデータは、メモリ41ではなく(或いはメモリ41に加えて)、X線CT装置1が通信可能な外部メモリに記憶されてもよい。外部メモリは、例えば、外部メモリを管理するクラウドサーバが読み書きの要求を受け付けることで、クラウドサーバによって制御されるものである。
【0047】
ディスプレイ42は、各種の情報を表示する。例えば、ディスプレイ42は、処理回路によって生成された医用画像(CT画像)や、医師や技師などの操作者による各種操作を受け付けるGUI(Graphical User Interface)画像等を表示する。ディスプレイ42は、例えば、液晶ディスプレイやCRT(Cathode Ray Tube)、有機EL(Electroluminescence)ディスプレイ等である。ディスプレイ42は、架台装置10に設けられてもよい。ディスプレイ42は、デスクトップ型でもよいし、コンソール装置40の本体部と無線通信可能な表示装置(例えばタブレット端末)でもよい。
【0048】
入力インターフェース43は、操作者による各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作の内容を示す電気信号を処理回路50に出力する。例えば、入力インターフェース43は、検出データまたは投影データを収集する際の収集条件、CT画像を再構成する際の再構成条件、CT画像から後処理画像を生成する際の画像処理条件などの入力操作を受け付ける。入力インターフェース43は、例えば、マウスやキーボード、タッチパネル、ドラッグボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、カメラ、赤外線センサ、マイク等により実現される。入力インターフェース43は、コンソール装置40の本体部と無線通信可能な表示装置(例えばタブレット端末)により実現されてもよい。
【0049】
なお、本明細書において入力インターフェースはマウス、キーボードなどの物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を制御回路へ出力する電気信号の処理回路も入力インターフェースの例に含まれる。
【0050】
処理回路50は、X線CT装置1の全体の動作を制御する。処理回路50は、例えば、制御機能51と、前処理機能52と、再構成処理機能53と、画像処理機能54とを備える。処理回路50は、例えば、ハードウェアプロセッサが記憶装置(記憶回路)に記憶されたプログラムを実行することにより、これらの機能を実現するものである。
【0051】
ハードウェアプロセッサとは、例えば、CPU、GPU、特定用途向け集積回路、プログラマブル論理デバイスまたは複合プログラマブル論理デバイス、フィールドプログラマブルゲートアレイなどの回路を意味する。記憶装置にプログラムを記憶させる代わりに、ハードウェアプロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むように構成しても構わない。ハードウェアプロセッサは、単一の回路として構成されるものに限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのハードウェアプロセッサとして構成され、各機能を実現するようにしてもよい。記憶装置は、非一時的(ハードウェアの)記憶媒体でもよい。また、複数の構成要素を1つのハードウェアプロセッサに統合して各機能を実現するようにしてもよい。
【0052】
コンソール装置40または処理回路50が有する各構成要素は、分散化されて複数のハードウェアにより実現されてもよい。処理回路50は、コンソール装置40が有する構成ではなく、コンソール装置40と通信可能な処理装置によって実現されてもよい。処理装置は、例えば、一つのX線CT装置と接続されたワークステーション、或いは、複数のX線CT装置に接続され、以下に説明する処理回路50と同等の処理を一括して実行する装置(例えばクラウドサーバ)である。
【0053】
制御機能51は、入力インターフェース43が受け付けた入力操作に基づいて、処理回路50の各種機能を制御する。例えば、制御機能51は、X線高電圧装置14、DAS16、制御装置18および寝台駆動装置32を制御することで、架台装置10における検出データの収集処理等を実行する。
【0054】
前処理機能52は、DAS16により出力された検出データに対して対数変換処理やオフセット補正処理、チャネル間の感度補正処理、ビームハードニング補正等の前処理を行い、投影データを生成し、生成した投影データをメモリ41に記憶させる。
【0055】
再構成処理機能53は、前処理機能52によって生成された投影データに対して、フィルタ補正逆投影法や逐次近似再構成法等による再構成処理を行って、CT画像データを生成し、生成したCT画像データをメモリ41に記憶させる。
【0056】
画像処理機能54は、入力インターフェース43が受け付けた入力操作に基づいて、CT画像データを公知の方法により、三次元画像データや任意断面の断面像データに変換する。三次元画像データへの変換は、前処理機能52によって行われてもよい。
【0057】
次に、フットスイッチ装置70の作用について説明する。第1の実施形態のX線CT装置1において、フットスイッチ装置70は、切替部76により、スイッチ部71の配置を、ガード部74Aが下方に位置する第1状態と、ガード部74Aが上方に位置する第2状態との間で切り替え可能とされている。
【0058】
図4A図4Bは、フットスイッチ装置70の動作の一例を示す断面図である。スイッチ部71が第1状態であるときには、図4Aに仮想線で示すように、フットペダル75の先端が作動位置S1まで下降すると、接点がオン状態となり、寝台装置30の天板33が上昇または下降する。このため、操作者は、フットペダル75を足Fで踏み込みだけで天板33を上昇または下降させることができるので、スイッチ部71が第1状態であるときには、操作性に優れる。
【0059】
スイッチ部71が第2状態であるときには、図4Bに仮想線で示すように、フットペダル75の先端が作動位置S2まで上昇すると、接点がオン状態となり、寝台装置30の天板33が上昇または下降する。このため、操作者は、例えばフットペダル75を足Fのつま先で押し上げることで天板33を下降させることができることとなる。ところが、フットペダル75を足Fのつま先で押し上げる操作は、フットペダル75を踏み込む操作よりも難しいため、第2状態は、第1状態よりも操作性には劣る。
【0060】
その一方で、スイッチ部71が第1状態であるときに、例えば寝台装置30から被検体Pである被検者が下りようとした場合に、スイッチ部71のフットペダル75を誤ってまたは不意に踏み込んでしまうことが考えられる。この場合、操作者や被検者が意図することなく天板33が上昇または下降してしまい、被検者を驚かせてしまうことがある。
【0061】
これに対して、スイッチ部71が第1状態であるときには、例えば寝台装置30から被検者が下りようとした場合において、スイッチ部71のフットペダル75を誤ってまたは不意に踏み込んでしまうことはない。したがって、操作者や被検体が意図することなく天板33が上昇または下降してしまうといった動作を抑制することができる。したがって、第1状態は、誤操作を防止するよりも操作性を優先する配置、第2状態は、操作性よりも誤操作の防止を優先する配置である。
【0062】
以上説明した第1実施形態のフットスイッチ装置70において、スイッチ部71は、操作性を優先する第1状態と、誤操作の防止を優先する第2状態を、切替部76によって切替可能である。このため、被検体Pの診断を行うにあたり、被検体Pを寝台装置30の天板33に載置する際には、スイッチ部71を第2状態としておき、被検体Pを天板33に載置する際に、天板33が不意に上下動することを抑制することができる。
【0063】
その後、被検体Pを天板33に載置した後、被検体Pのスキャンを行う前には、被検体Pが天板33から降りることがない状態となっている。このため、第1実施形態のフットスイッチ装置70は、例えば、スイッチ部71を第2状態から第1状態に逆転させ、誤操作の防止よりも操作性を優先する状態とする。こうして、被検体Pが天板33から降りる状態にないときには、被検体Pを載置した天板33の位置調整を、操作性の高いスイッチ部71によって実行することができる。
【0064】
その後、被検体Pのスキャンが終了し、被検体Pが寝台装置30から降りる前には、誤操作の心配が大きくなる。そのため、第1実施形態のフットスイッチ装置70においては、再びスイッチ部71を第2状態から第1状態に逆転させて、誤操作を防止する状態とする。こうして、被検体Pが誤ってフットペダル75を踏みつけてしまうことによるスイッチ部71の誤操作を防止することができる。したがって、第1実施形態のフットスイッチ装置70によれば、操作性の低下を抑制してユーザビリティを確保しながらフットスイッチ装置の誤操作を防止することができる。
【0065】
また、第1実施形態のフットスイッチ装置70は、寝台装置30に対して着脱可能とされている。このため、例えば寝台装置30の複数個所にスイッチ入力インターフェースが設けられている場合に、複数のスイッチ入力インターフェースのいずれに対してもフットスイッチ装置70を取り付けることができる。したがって、フットスイッチ装置70を自由に配置替えしたり増設したりすることができる。
【0066】
なお、第1の実施形態では、フットスイッチ装置70は、天板33を上昇させる第1スイッチ部71Aと、天板33を下降させる第2スイッチ部71Bを備えるが、スイッチ部71は、天板33を上昇させる第1スイッチ部71A及び天板33を下降させる第2スイッチ部71Bの一方のみを備えるものでもよい。
【0067】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。図5は、第2の実施形態のフットスイッチ装置80の側断面図である。第2の実施形態のフットスイッチ装置80は、第1実施形態のフットスイッチ装置70と同様に、例えば、図1に示す寝台装置30の基台31に設けられる。
【0068】
フットスイッチ装置80は、例えば、スイッチ部81と、リブ72と、出力部73と、を備える。このうち、リブ72及び出力部73の構成は、第1の実施形態と共通である。スイッチ部81は、例えば、ベース部84と、フットペダル85と、切替部86と、を備える。
【0069】
ベース部84は、例えば、ガード部84Aと、支持部84Bと、を備える。ガード部84Aは、板状であり、床面に平行に配置される。支持部84Bは、円盤状をなしており、基台31に対して回転可能に支持されている。支持部84Bが回転することにより、ガード部84Aは天地が入れ替わって天地の配置が逆転し、スイッチ部81が第1状態と第2状態に切り替えられる。第2の実施形態において、第1状態は、ガード部84Aがフットペダル85の下方に設けられた状態であり、第2状態は、ガード部84Aがフットペダル85の上方に設けられた状態である。
【0070】
フットペダル85は、ベース部84の支持部84Bに取り付けられている。フットペダル85は、水平軸周りに揺動可能である。水平軸は、フットペダル85における基台31に近い側の端辺に設けられる。フットペダル85は、操作者の足による動作または押し上げる動作に応じて作動する。フットペダル85は、第1状態及び第2状態のいずれにおいても、操作者が踏み込むことで天板33が下降し、操作者が押し上げることで天板33が上昇するように制御される。
【0071】
そのため、フットスイッチ装置80においては、ガード部84Aの位置に応じて、ガード部84Aに対するフットペダル85の動作方向が切り替えらえる。具体的には、天板33を下降させる場合に、スイッチ部81が第1状態にあるとき、フットペダル85は、操作者が踏み込むことより水平軸周りに揺動してその先端部が下降する。その結果、フットペダル85の動作方向は、ガード部84Aに近づく方向となる。一方、スイッチ部81が第2状態にあるとき、フットペダル85は、操作者が踏み込むことより水平軸周りに揺動してその先端部が上昇する。その結果、フットペダル85の動作方向は、ガード部84Aから離れる方向となる。
【0072】
出力部73は、フットペダル85の操作に応じた信号を制御装置18に出力する。出力部73から出力される信号出力のされ方は、第1状態であるときと第2状態であるときとで異なる。具体的に、フットペダル85が第1状態であるときには、フットペダル85の動作方向がガード部84Aに近づく方向である場合に、天板33を下降させる信号(以下、「下降信号」という)が出力部73から制御装置18に出力される。フットペダル85が第1状態であるときには、フットペダル85の動作方向がガード部84Aから遠ざかる方向である場合に、天板33を上昇させる信号(以下、「上昇信号」という)を制御装置18に出力する。フットペダル85が第2状態であるときには、フットペダル85の動作方向がガード部84Aに近づく方向である場合に、上昇信号が出力部73から制御装置18に出力される。フットペダル85が第2状態であるときには、フットペダル85の動作方向がガード部84Aから遠ざかる方向である場合に、下降信号が出力部73から制御装置18に出力される。第2の実施形態では、出力部73により出力される信号の種類が異なることで出力部73から出力される信号出力のされ方が異なる。
【0073】
フットペダル85は、操作者による操作後の状態を操作前の状態に復帰させるための復帰構造、例えば、ばねなどの付勢部を備える。操作前の状態は、フットペダル85が水平に配置された状態であり、操作後の状態は、スイッチ部81が第1状態のときには、フットペダル85が下方に移動させられた状態であり、スイッチ部81が第2状態のときには、フットペダル85が上方に移動させられた状態である。フットペダル85は、操作子の一例である。
【0074】
切替部86は、フットペダル85が揺動する中心となる水平軸と直交する水平軸周りに回転する回転軸を備える。入力インターフェース43には、例えば、フットスイッチ装置80におけるスイッチ部81の第1状態と第2状態を切り替えるためのスイッチが設けられている。例えば、操作者がこのスイッチを操作すると、制御装置18は、スイッチの操作に応じた制御信号をモータ86Mに出力する。モータ86Mは、例えば制御装置18の制御によって駆動する。
【0075】
切替部86は、制御装置18により出力される制御信号に基づいてモータ86Mを駆動させることにより、ベース部84の天地を逆転させるように回転させる。支持部84Bと基台31の間には、図示しないベアリングが介在されている。切替部86は、回転軸周りにベース部84を回転させることにより、フットペダル85の操作に応じた信号出力のされ方を第1状態と第2状態との間で切り替える。制御装置18は、フットペダル85の操作に応じた信号出力のされ方を、第1状態と第2状態との間で切替部86に切り替えさせる。制御装置18は、切替制御部の一例である。制御装置18は、設定に基づいて切替部86を制御してもよいし、ガード部84Aの配置等に基づいて切替部86を制御してもよい。
【0076】
次に、フットスイッチ装置80を制御する制御装置18の処理について説明する。図6は、制御装置18の処理の一例を示すフローチャートである。フットスイッチ装置80における出力部73は、フットペダル85が操作されると、操作に応じた信号を制御装置18に送信する。続いて、制御装置18は、フットスイッチ装置80の出力部73により送信される上昇信号を受信したか否かを判定する(ステップS101)。上昇信号を受信したと判定した場合、制御装置18は、アクチュエータやモータを作動させて天板33を上昇させる(ステップS103)。その後、制御装置18は、図6に示す処理を終了する。
【0077】
上昇信号を受信していないと判定した場合、制御装置18は、下降信号を受信したか否かを判定する(ステップS105)。下降信号を受信したと判定した場合、制御装置18は、アクチュエータやモータを作動させて天板33を下降させる(ステップS107)。その後、制御装置18は、図6に示す処理を終了する。下降信号を受信していないと判定した場合にも、制御装置18は、図6に示す処理を終了する。
【0078】
次に、フットスイッチ装置80の作用について説明する。第2の実施形態のX線CT装置1において、フットスイッチ装置80は、切替部86により、スイッチ部81の配置を、ガード部84Aが下方に位置する第1状態と、ガード部84Aが上方に位置する第2状態との間で切り替え可能とされている。
【0079】
図7A図7Bは、フットスイッチ装置80の動作の一例を示す断面図である。スイッチ部81が第1状態であるときには、図7Aに仮想線で示すように、フットペダル85の先端が作動位置S1まで下降すると、寝台装置30の天板33が上昇する。このため、操作者は、フットペダル85を足Fで踏み込みだけで天板33を上昇させることができるので、スイッチ部81が第1状態であるときには、操作性に優れることになる。
【0080】
スイッチ部81が第2状態であるときには、図7Bに仮想線で示すように、フットペダル75の先端が作動位置S2まで上昇すると、寝台装置30の天板33が下降する。このため、操作者は、天板33を下降させるために、フットペダル85を足Fのつま先で押し上げる必要があり、フットペダル85を踏み込む操作と比較して操作性には劣るが、ガード部84Aがフットペダル85の上方に位置するので、スイッチ部81が第2状態であるときには、誤操作の防止に優れることになる。
【0081】
第2の実施形態のフットスイッチ装置80は、第1の実施形態のフットスイッチ装置70と同様に、スイッチ部81が第1状態と第2状態との間で切り替え可能とされている。このため、操作性の低下を抑制してユーザビリティを確保しながらフットスイッチ装置の誤操作を防止することができる。
【0082】
さらに、第2の実施形態のフットスイッチ装置80は、操作者が入力インターフェース43を操作することにより、スイッチ部81を第1状態と第2状態の間で切り替え可能とされている。このため、操作者がスイッチ部81を第1状態と第2状態の間で切り替える手間を軽減することができる。
【0083】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。第3の実施形態は、図5に示す第2の実施形態と比較して、フットスイッチ装置80の構成、出力部73からの信号出力のされ方、及び制御装置18における処理が主に異なる。以下、第3の実施形態のフットスイッチ装置80について、第2の実施形態との相違点を中心として説明する。
【0084】
フットスイッチ装置80は、フットペダル85が第1状態であるか第2状態であるかを検知する検知部を備える。出力部73は、検知部が検知したフットペダルの状態を状態信号として制御装置18に送信する。具体的に、出力部73は、検知部が第1状態を検知した場合には第1状態信号、検知部が第2状態を検知した場合には第2状態信号を状態信号として制御装置18に送信する。
【0085】
寝台装置30に設けられた受部76Bには、フットスイッチ装置80における取付部76Aが着脱可能である。取付部76Aは、ガード部84Aの配置が異なる複数の方向を向いて受部76Bに取付可能である。具体的に、取付部76Aは、ガード部84Aがフットペダル85の下方に配置される方向及び上方に配置される方向を向いて受部76Bに取付可能である。
【0086】
出力部73は、フットペダル85がガード部84Aに近づく方向に操作された場合に第1操作信号を制御装置18に送信する。出力部73は、フットペダル85がガード部84Aから遠ざかる方向に操作された場合に第2操作信号を制御装置18に送信する。第3の実施形態では、出力部73により出力される信号は、フットペダル85の状態によらず共通であるが、フットペダル85の状態が異なることを制御装置18が認識することで出力部73から出力される信号出力のされ方が異なる。
【0087】
次に、フットスイッチ装置80を制御する制御装置18の処理について説明する。図8は、制御装置18の処理の一例を示すフローチャートである。フットスイッチ装置80における出力部73は、検知部がフットペダル85の状態を検知した場合に、状態信号を制御装置18に送信する。制御装置18は、フットスイッチ装置80の出力部73により送信される状態信号を受信しているか否かを判定する(ステップS201)。状態信号を受信していないと判定した場合、制御装置18は、図8に示す処理を終了する。
【0088】
状態信号を受信したと判定した場合、制御装置18は、受信した状態信号が第1状態信号であるか第2状態信号であるかを判定する(ステップS203)。受信した状態信号が第1状態信号であると判定した場合、制御装置18は、フットペダル85が第1状態であることを示す第1状態フラグを制御装置18が備える記憶部に格納する(ステップS205)。受信した状態信号が第2状態信号であると判定した場合、制御装置18は、フットペダル85が第2状態であることを示す第2状態フラグを記憶部に格納する(ステップS207)。
【0089】
続いて、制御装置18は、出力部73により出力された第1操作信号を受信したか否かを判定する(ステップS209)。第1操作信号を受信したと判定した場合、制御装置18は、記憶部に格納されたフラグが第1状態フラグであるか第2状態フラグであるかを判定する(ステップS211)。
【0090】
記憶部に格納されたフラグが第1状態フラグである場合、制御装置18は、アクチュエータやモータを作動させて天板33を上昇させる(ステップS213)。記憶部に格納されたフラグが第2状態フラグである場合、制御装置18は、アクチュエータやモータを作動させて天板33を下降させる(ステップS215)。
【0091】
第1操作信号を受信していないと判定した場合、制御装置18は、出力部73により出力された第2操作信号を受信したか否かを判定する(ステップS217)。第2操作信号を受信したと判定した場合、制御装置18は、記憶部に格納されたフラグが第1状態フラグであるか第2状態フラグであるかを判定する(ステップS219)。
【0092】
記憶部に格納されたフラグが第1状態フラグである場合、制御装置18は、アクチュエータやモータを作動させて天板33を下降させる(ステップS215)。記憶部に格納されたフラグが第2状態フラグである場合、制御装置18は、アクチュエータやモータを作動させて天板33を上昇させる(ステップS221)。こうして、制御装置18は、図8に示す処理を終了する。
【0093】
第3の実施形態のフットスイッチ装置80は、第1の実施形態のフットスイッチ装置70と同様に、スイッチ部81が第1状態と第2状態との間で切り替え可能とされている。このため、操作性の低下を抑制してユーザビリティを確保しながらフットスイッチ装置の誤操作を防止することができる。
【0094】
第3の実施形態のフットスイッチ装置80は、第2の実施形態のフットスイッチ装置80と同様に、操作者が入力インターフェース43を操作することにより、スイッチ部81を第1状態と第2状態の間で切り替え可能とされている。このため、操作者がスイッチ部81を第1状態と第2状態の間で切り替える手間を軽減することができる。
【0095】
なお、第3の実施形態では、スイッチ部81が第1状態であるか第2状態であるかを検知部が検知するが、制御装置18の情報を利用してスイッチ部81が第1状態であるか第2状態であるかを判定してもよい。例えば、制御装置18は、モータ86Mに出力した制御信号に基づいて、スイッチ部81が第1状態であるか第2状態であるかを判定してもよい。
【0096】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態について説明する。図9は、第4の実施形態のフットスイッチ装置90の側断面図である。第3の実施形態のフットスイッチ装置90は、第1実施形態のフットスイッチ装置70と同様に、例えば、図1に示す寝台装置30の基台31に設けられる。
【0097】
フットスイッチ装置90は、例えば、スイッチ部91と、リブ72と、出力部73と、を備える。このうち、リブ72及び出力部73の構成は、第1の実施形態と共通である。スイッチ部91は、例えば、ベース部84と、フットレバー95と、切替部86と、を備える。このうち、ベース部84及び切替部86の構成は、第2の実施形態と共通である。第4の実施形態において、切替部86は、第2の実施形態と共通する形態としているが、第1の実施形態と共通する形態としてもよいし、他の態様としてもよい。
【0098】
フットレバー95は、ベース部84の支持部84Bに取り付けられている。フットレバー95は、支持部84Bの方向に向けて移動可能である。フットレバー95は、操作者の足による押込み動作に応じて作動する。具体的には、フットレバー95は、操作者が押し込むことよって支持部84Bの方向に水平に移動する。
【0099】
スイッチ部91は、フットレバー95の支持部84Bからの延出長さが長い第1延出状態と、延出長さが短い第2延出状態との間で切り替え可能である。フットレバー95は、第2延出状態を第1延出状態に復帰させるための復帰構造、例えば、ばねなどの付勢部を備える。フットレバー95は、操作者によって操作されていないときには、付勢部の作用によって第1延出状態に維持され、操作者がフットレバー95を押し込むことで第2延出状態とされる。操作後の状態のときに、例えば、操作者がフットレバー95から足を離すと、フットレバー95は、付勢部の付勢力によって第1延出状態に復帰する。フットレバー95は、第2延出状態でロックできるようにしてもよい。フットレバー95は、操作子の一例である。
【0100】
第4の実施形態においても、上記第1、第2の実施形態と同様に、スイッチ部91には第1状態と第2状態がある。スイッチ部91の第1状態は、ガード部84Aがフットレバー95の下方に設けられた状態であり、第2状態は、ガード部84Aがフットレバー95の上方に設けられた状態である。
【0101】
図10A図10B図10Cは、フットスイッチ装置90の動作の一例を示す断面図である。スイッチ部91が第1状態であるときには、スイッチ部91が第1延出状態であるときには、フットレバー95の先端を仮想線で示す第2延出状態となる位置まで移動させると、寝台装置30の天板33が上昇する。このため、操作者は、フットペダル85を足Fで押し込むだけで天板33を上昇させることができるので、スイッチ部81が第1状態であるときには、操作性に優れることになる。
【0102】
スイッチ部91が第2状態であるときにも、フットレバー95の先端を仮想線で示す第2延出状態となる位置まで移動させると、寝台装置30の天板33が上昇する。ところが、ガード部84Aが上方に位置することから、ガード部84Aが操作者の足首に当たってしない、スイッチ部91が第1状態であるときと比較して操作性には劣る。
【0103】
他方、例えば、寝台装置30の近傍にキャスターなど搬入された場合、スイッチ部91が第1状態では、ガード部84Aに乗り上げてしまい、フットペダル85を押し込む誤操作が生じることが考えられる。この点、スイッチ部91が第2状態であると、ガード部84Aが上方に位置するので、図10Cに示すように、キャスターKが搬入されて寝台装置30に近づいて、例えばスイッチ部91に接触したとしても、キャスターKの車輪または脚部がガード部84Aに当接する。その結果、キャスターKがフットペダル85を押し込む誤操作を防止することができる。
【0104】
第4の実施形態のフットスイッチ装置90は、第1の実施形態のフットスイッチ装置70と同様に、スイッチ部91が第1状態と第2状態との間で切り替え可能とされている。このため、操作性の低下を抑制してユーザビリティを確保しながらフットスイッチ装置の誤操作を防止することができる。
【0105】
さらに、第4の実施形態のフットスイッチ装置90は、フットレバー95を押し込むことで天板33が上下動するが押し込み式であるため、被検体Pが天板33から降りる場合の誤操作の可能性を低くすることができる。フットレバー95が押し込み式の場合、寝台装置30にキャスターKなどの物体が近づいたときに、その物体によってフットレバー95が誤操作される懸念がある。この点、第3の実施形態のフットスイッチ装置90は、第2状態のときにガード部84Aが上方に位置するので、その物体によるフットスイッチ装置90の誤操作を防止することができる。
【0106】
(診察室内に設置されるX線CT装置1におけるフットスイッチ装置の配置)
次に、上記第1の実施形態のフットスイッチ装置70を備えるX線CT装置1を診察室に設置する場合のフットスイッチ装置70の配置の例について説明する。ここで説明する例においては、第1の実施形態のフットスイッチ装置70の一部または全部を、第2の実施形態のフットスイッチ装置80から第4の実施形態のフットスイッチ装置90のいずれかに置き換えてもよい。
【0107】
図11A図11Cは、いずれも診察室内のフットスイッチ装置の配置の一例を示す平面図である。以下に、フットスイッチ装置70の第1の配置例から第3の配置例について説明する。ここでの診察室内における寝台装置30に取り付けられるフットスイッチ装置70は、正逆反転が可能でないものでもよい。
【0108】
各配置例において、診察室R1は、操作者が出入りする第1出入口E1が設けられた第1壁部W1と、被検者が利用する第2出入口E2が設けられた第2壁部W2を備える。診察室R1における第1壁部W1の反対側の部屋は、例えば、操作者がX線CT装置1の操作をするコンソール装置40などが設けられた操作室R2である。診察室R1における第2壁部W2の反対側の部屋は、例えば、被検者が待機する待合室R3や廊下である。第1出入口E1からは、例えば操作者が出入りし、第2出入口E2からは、例えば、被検者が単独でまたは被検者がストレッチャーに乗せられて出入りする。
【0109】
寝台装置30には、例えば、フットスイッチ装置70の取付可能位置として、第1取付可能位置P1から第4取付可能位置P4が設けられている。寝台装置30の位置側に架台装置10が配置されている。第1取付可能位置P1は、寝台装置30の第1壁部W1側であって架台装置10側、第2取付可能位置P2は、寝台装置30の第1壁部W1側であって架台装置10側の反対側に設けられている。第3取付可能位置P3は、寝台装置30の第2壁部W2側であって架台装置10側、第4取付可能位置P4は、寝台装置30の第2壁部W2側であって架台装置10の反対側に設けられている。第1取付可能位置P1から第4取付可能位置P4には、それぞれスイッチ入力インターフェースが設けられている。このため、寝台装置30には、複数の入力インターフェース(受部76B)が設けられている。
【0110】
(第1の配置例)
まず、図11Aを参照して、フットスイッチ装置70の第1の配置例について説明する。第1の配置例として、寝台装置30には、第1取付可能位置P1及び第2取付可能位置P2にフットスイッチ装置70が取り付けられている。第1取付可能位置P1及び第2取付可能位置P2におけるフットスイッチ装置70は、いずれも第1状態で取り付けられる。
【0111】
第1の配置例では、寝台装置30における第1壁部W1側にのみフットスイッチ装置70が設けられ、第2壁部W2側には設けられていない。被検体は、第1壁部W1側から寝台装置30に乗降することが多いので、この配置例では、被検体がフットスイッチ装置70に近づく機会は少ない。このため、第1取付可能位置及び第2取付可能位置に、操作性を優先した第1状態でフットスイッチ装置70を取り付けることにより、操作性の低下を抑制してユーザビリティを確保しながらフットスイッチ装置の誤操作を防止することができる。
【0112】
(第2の配置例)
次に、図11Bを参照して、フットスイッチ装置70の第2の配置例について説明する。第2の配置例として、寝台装置30には、第1取付可能位置P1及び第3取付可能位置P3にフットスイッチ装置70が取り付けられている。第1取付可能位置P1におけるフットスイッチ装置70は、第1状態で取り付けられる。第3取付可能位置P3におけるフットスイッチ装置70は、第2状態で取り付けられる。
【0113】
第2の配置例では、寝台装置30における第1壁部W1側のほかに第2壁部W2側にもフットスイッチ装置70が設けられている。このため、操作者は、寝台装置30の両側のいずれでも作業を行うことができる。フットスイッチ装置70は、被検体の寝台装置30に対する乗降が少ない第1壁部W1側では第1状態とされ、被検体の寝台装置30に対する乗降が比較的多い第2壁部W2側では、第2状態とされている。このため、操作性の低下を抑制してユーザビリティを確保しながらフットスイッチ装置の誤操作を防止することができる。
【0114】
(第3の配置例)
次に、図11Cを参照して、フットスイッチ装置70の第3の配置例について説明する。第3の配置例として、寝台装置30には、第1取付可能位置P1~第4取付可能位置P4にフットスイッチ装置70が取り付けられている。第1取付可能位置P1及び第2取付可能位置P2におけるフットスイッチ装置70は、第1状態で取り付けられる。第3取付可能位置P3及び第4取付可能位置P4におけるフットスイッチ装置70は、第2状態で取り付けられる。
【0115】
第2の配置例では、寝台装置30における架台装置10が設けられた側のほかに、架台装置10が設けられていない側にもフットスイッチ装置70が設けられている。このため、操作者は、寝台装置30の架台装置10に近い側と架台装置10から遠い側のいずれでも作業を行うことができる。フットスイッチ装置70は、被検体の寝台装置30に対する乗降が少ない第1壁部W1側では第1状態とされ、被検体の寝台装置30に対する乗降が比較的多い第2壁部W2側では、第2状態とされている。このため、操作性の低下を抑制してユーザビリティを確保しながらフットスイッチ装置の誤操作を防止することができる。
【0116】
上記の実施形態では、フットスイッチ装置70の出力部73により出力される信号は、寝台装置30の天板33を上下動させる信号あるが、他の信号でもよい。例えば、出力部73により出力される信号は、X線管11にX線を曝射させる曝射信号でもよい。この場合、制御装置18は、出力部73により曝射信号が出力された場合に、X線管11にX線を曝射させる。X線管11は、出力部73により出力された出力される曝射信号に応じて、X線を曝射する。X線管11は、放射部の一例であり、X線は放射線の一例である。曝射信号を出力するためのフットスイッチ装置は、上記各実施形態のように、複数設けられる必要はなく、1つのみでもよい。
【0117】
あるいは、出力部73により出力される信号は、架台装置10を駆動する駆動信号でもよい。この場合、制御装置18は、出力部73により架台装置10を駆動する駆動信号が出力された場合に、架台装置10を駆動する。架台装置10の駆動には、架台装置10の種々の装置における駆動が含まれ、例えば、架台装置10の筐体が移動可能である場合に、筐体を移動させる態様や、架台装置10に含まれる回転フレーム17を回転させる態様が含まれる。
【0118】
また、上記の実施形態において、フットスイッチ装置70のスイッチ部71は、寝台装置30に取り付けられているが、スイッチ部71は、寝台装置30から離れた位置に設けられていてもよい。この場合、スイッチ部71は、ワイヤレスであり、スイッチ部71により出力される信号を無線通信等によって寝台装置30や制御装置18に送信するようにしてもよい。
【0119】
さらに、フットスイッチ装置70は、スイッチ部71を複数の受部の間で移動させるレールを備えていてもよい。スイッチ部71は、例えば、レールを介して、寝台装置30における複数の取付位置の間で移動するものでもよいし、寝台装置30と、寝台装置30から離れた位置の間を移動するものでもよい。
【0120】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、ユーザの足による操作に応じて動作する操作子と、前記操作子の動作に応じて、医用画像診断装置に対する信号を出力する出力部と、前記操作子を、操作性を優先する第1状態と、誤操作の防止を優先する第2状態と、の間で切り替える切替部と、を備える、フットスイッチ装置であることにより、操作性の低下を抑制しながらフットスイッチ装置の誤操作を防止することができる。
【0121】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0122】
1…X線CT装置
10…架台装置
11…X線管
18…制御装置
18A…受信回路
19…架台
19A…開口
30…寝台装置
31…基台
33…天板
40…コンソール装置
43…入力インターフェース
50…処理回路
70,80,90…フットスイッチ装置
71,81,91…スイッチ部
71A…第1スイッチ部
71B…第2スイッチ部
72…リブ
73…出力部
74,84…ベース部
74A,84A…ガード部
74B,84B…支持部
75,85…フットペダル
76,86…切替部
76A…取付部
76B…受部
86M…モータ
95…フットレバー
E1…第1出入口
E2…第2出入口
F…足
K…キャスター
P…被検体
P1…第1取付可能位置
P2…第2取付可能位置
P3…第3取付可能位置
P4…第4取付可能位置
R1…診察室
R2…操作室
R3…待合室
W1…第1壁部
W2…第2壁部
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図11A
図11B
図11C