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特許7560360プロピレンカーボネートを含む殺虫混合物の製剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】プロピレンカーボネートを含む殺虫混合物の製剤
(51)【国際特許分類】
   A01N 43/40 20060101AFI20240925BHJP
   A01P 7/04 20060101ALI20240925BHJP
   A01N 43/36 20060101ALI20240925BHJP
   A01N 43/713 20060101ALI20240925BHJP
   A01N 47/06 20060101ALI20240925BHJP
   A01N 47/40 20060101ALI20240925BHJP
   A01N 43/56 20060101ALI20240925BHJP
   A01N 53/08 20060101ALI20240925BHJP
   A01N 25/30 20060101ALI20240925BHJP
   A01N 25/04 20060101ALI20240925BHJP
   A01N 25/22 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
A01N43/40 101C
A01P7/04
A01N43/36 C
A01N43/713
A01N47/06 D
A01N47/40 Z
A01N43/40 101A
A01N43/56 D
A01N53/08 120
A01N25/30
A01N25/04 102
A01N25/22
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020556313
(86)(22)【出願日】2019-04-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-26
(86)【国際出願番号】 EP2019059475
(87)【国際公開番号】W WO2019197635
(87)【国際公開日】2019-10-17
【審査請求日】2022-04-11
(31)【優先権主張番号】18167288.2
(32)【優先日】2018-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】591063187
【氏名又は名称】バイエル アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Bayer Aktiengesellschaft
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】オリヴァー・ガエルツェン
(72)【発明者】
【氏名】トビアス・ドゥルベルク
(72)【発明者】
【氏名】エミーリア・ヒルツ
【審査官】前田 憲彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-515352(JP,A)
【文献】特表2008-532940(JP,A)
【文献】特表2010-539203(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0281727(US,A1)
【文献】特表2013-504527(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N 43/
A01P 7/
A01N 53/
A01N 25/
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)少なくとも1つの式(I):
【化1】
(式中、
WおよびYは独立に、水素、C1~C4-アルキル、塩素、臭素、ヨウ素またはフッ素であり、
Xは、C1~C4-アルキル、C1~C4-アルコキシ、塩素、臭素またはヨウ素であり、
A、Bおよびこれらが結合している炭素原子は、それが結合している炭素原子と一緒になって5員または6員ケタールを形成する、場合によりC1~C4-アルキル-またはC 1 ~C 4 -アルコキシ-C 1 ~C 2 -アルキル置換されたアルキレンジオキシ基によって置換されたC3~C6-シクロアルキルであり、
Gは水素(a)である、または基
【化2】
(式中、
Eは金属イオンまたはアンモニウムイオンであり、
Mは酸素または硫黄であり、
R1は直鎖または分岐C1~C6-アルキルであり、
R2は直鎖または分岐C1~C6-アルキルである)
のうちの1つである)
のテトラミン酸誘導体と、
b)少なくとも1つのa)以外の有機溶媒に可溶性の有効成分と、
c)少なくとも1つのアンモニウム塩と、
d)少なくとも1つのアルキルプロポキシレートエトキシレートのクラスの分散剤と、
e)1つまたは複数のポリカルボキシレート型の界面活性剤と、
f)ヒュームドシリカの混合物と、
g)少なくとも1つの炭酸エステルの群の溶媒と、
h)場合により、さらなるアジュバントと
を含む組成物であって、
分a)は前記選択される溶媒g)に不溶性または難溶性である、組成物。
【請求項2】
a)が、5g/l以下の前記選択される溶媒g)中の溶解度を有する式(I)のテトラミン酸誘導体の群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
成分a)が式(I-2)の化合物
【化3】
であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
b)が、nAChRアゴニスト、フロニカミド、および4-[[(6-クロロピリジン-3-イル)メチル](3-フルオロ-n-プロピル)アミノ]フラン-2(5H)-オン、4-[[(6-クロロピリジン-3-イル)メチル](3,3-ジクロロプロパ-2-エン-1-イル)アミノ]フラン-2(5H)-オン、4-[[(6-クロロピリジン-3-イル)メチル](2-フルオロエチル)アミノ]フラン-2(5H)-オン、(E/Z)-4-[[(6-クロロピリジン-3-イル)メチル](2-フルオロビニル)アミノ]-5-メチルフラン-2(5H)-オン、4-[[(6-クロロピリジン-3-イル)メチル](2,2-ジフルオロエチル)アミノ]-5-メチルフラン-2(5H)-オン、3-ブロモ-4-[[((6-クロロピリジン-3-イル)メチル](2,2-ジフルオロエチル)アミノ]フラン-2(5H)-オン、3-クロロ-4-[[((6-クロロピリジン-3-イル)メチル](2,2-ジフルオロエチル)アミノ]フラン-2(5H)-オン、および4-[メチル[(6-クロロピリジン-3-イル)メチル](アミノ)]フラン-2(5H)-オンを含む殺虫剤の群から選択されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
b)が、イミダクロプリド、クロチアニジン、フルピラジフロンおよびアセタミプリドからなる群から選択されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
b)がフルピラジフロンであることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
c)が、炭酸アンモニウム、硫酸水素アンモニウム、硫酸アンモニウム(AMS)、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウムおよびリン酸水素二アンモニウム(DAHP)を含む群から選択されることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
d)が、一般式(III-a)のアルキルポリプロピレングリコール-ポリエチレングリコール化合物
【化4】
(式中、RはC1~C4フラグメントであり、
Aは、10~40個のプロピレンオキシド(PO)単位(式III-b)からなるポリプロピレングリコールフラグメントであり、
Bは、10~50個のエチレンオキシド(EO)単位(式III-c)と0~10個のプロピレングリコール(PO)単位からなるランダム共重合ポリエチレングリコール―ポリプロピレングリコールフラグメントである)、
【化5】
および一般式(IIId)のアルキルポリプロピレングリコール-ポリエチレングリコール化合物
【化6】
(式中、
RおよびR’は独立に、水素、直鎖C1~C5-アルキル基または分岐C3-もしくはC4-アルキル基であり;
mは2または3であり;
nは2または3であり;
xは5~150であり;
yは5~150であり、
一方の基nまたはmは2の意味を有し、他方の基nまたはmは3の意味を有する)
を含む群から選択されることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
g)が、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、ジイソプロピルカーボネート、ジブチルカーボネートおよびその異性体、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネート、トリメチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ペンチレンカーボネート、ヘキシレンカーボネートならびにオクチレンカーボネートを含む群から選択されることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記成分が以下の通り存在することを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物:
a)2~15重量%
b)2~15重量%
c)15~30重量%
d)10~30重量%
e)0.5~2.5重量%
f)1~10重量%
h)0.05~6重量%
g)1リットルまで。
【請求項11】
a)以下の構造を有する式(I-2)を有する化合物:
【化7】
b)フルピラジフロン、
c)硫酸アンモニウム(AMS)およびリン酸水素二アンモニウム(DAHP)を含む群から選択される少なくとも1つのアンモニウム塩、
d)一般式(III-a)のアルキルポリプロピレングリコール-ポリエチレングリコール化合物
【化8】
(式中、RはC1~C4フラグメントであり、
Aは、10~40個のプロピレンオキシド(PO)単位(式III-b)からなるポリプロピレングリコールフラグメントであり、
Bは、10~50個のエチレンオキシド(EO)単位(式III-c)と0~10個のプロピレングリコール(PO)単位からなるランダム共重合ポリエチレングリコール―ポリプロピレングリコールフラグメントである)、
【化9】
および一般式(IIId)のアルキルポリプロピレングリコール-ポリエチレングリコール化合物
【化10】
(式中、個々の基および指数は以下の定義を有する:
RおよびR’は独立に、水素、直鎖C1~C5-アルキル基または分岐C3-もしくはC4-アルキル基であり;
mは2または3であり;
nは2または3であり;
xは5~150であり;
yは5~150であり、
一方の基nまたはmは2の意味を有し、他方の基nまたはmは3の意味を有する)
を含む群から選択される少なくとも1つの分散剤、
e)ポリカルボキシレート型少なくとも1つの界面活性剤、
f)ヒュームドシリカの混合物
g)プロピレンカーボネートを含む群から選択される少なくとも1つの溶媒、
h)場合により、さらなるアジュバント
を含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
昆虫を防除するための、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高温および低温での良好な貯蔵安定性ならびに高い有効成分浸透を有する、少なくとも1つの溶解有効成分と、1つの固体形態の有効成分とを含む殺虫有効成分製剤、その製造方法ならびに存在する有効成分を施用するためのその使用に関する。本発明はさらに、両有効成分の浸透を改善するための、少なくとも1つの溶解有効成分と、少なくとも1つの固体形態の有効成分とを有する殺虫有効成分製剤のためのアジュバント組み合わせに関する。
【背景技術】
【0002】
生物学的有効性を示すために、浸透性活性農薬成分、特に浸透性殺虫剤は、植物/標的生物への有効成分の取り込みを可能にする製剤を必要とする。対応する有効成分が使用するために水溶液に希釈される、および/または、好ましくは既に濃縮物に溶解状態であり、結果としていつでも高有効成分濃度が利用可能であるという点で最高の効果を達成することができる。
【0003】
これは、有効成分または有効成分組み合わせが乳剤(EC)または可溶性液剤(SL)として製剤化される場合は常に当てはまるが、溶解および懸濁した有効成分の利用可能性は、溶解平衡によって制限される。
【0004】
さらに、適切なアジュバント/浸透剤を添加することによって、生物活性を場合によりさらに高めることができる。
【0005】
上記のように、フロアブル剤(SC)および/または油性懸濁製剤(OD)などの製剤では、有効成分または有効成分組み合わせが溶解形態ではなく固体粒子形態であるため、製剤中のこれらの有効成分は、典型的には、良好なバイオアベイラビリティを備えていない。ここでは、本質的に適切なアジュバント/浸透剤の添加によってのみ生物活性を増加させることが可能であるが、それにもかかわらず、これは、上記のECまたはSL製剤と比較して、生物活性の低下をもたらす。
【0006】
活性農薬成分は、それらの物理化学的特性、例えば水、溶媒および/または油への溶解度、融点および沸点、極性、モル質量等を含む面で互いに異なることが知られている。これらの特性は、有効成分の製剤化性(formulability)に影響を及ぼす。例えば、多くの既知の活性農薬成分は、高い融点を有し、したがって、例えば、フロアブル剤の製造において生じるような熱応力に耐えることができる。対照的に、低融点の有効成分は、これらの製造条件に耐えることが困難であり、高温での有効成分の軟化または溶融が予想されるため、非常に限られた程度でのみ貯蔵安定性懸濁剤として製造することができる。しかしながら、有効成分がもはや結晶形態ではない場合、製剤化された製品の物理的安定性はしばしば有意に低下し、それはもはや実用性を有さなくなる。
【0007】
有機物質はさまざまな水溶性を有し、これらの水溶性は、化学的特性に従って、例えば塩形成を通して、pH依存性であり得ることがさらに知られている。
【0008】
例えば、(例えば、異なる作用機序を組み合わせることにより)耐性の形成を防止するために、または有害生物が異なる有効成分に対して異なって反応する場合に、または混合物の作用スペクトルを拡大するために、活性農薬成分を互いに組み合わせることがしばしば適切であることも知られている。後者の場合の有効成分の混合は、例えば、有効な施用量を明らかに減少させることができ、これは、有益な生物に過度にまたは全く害を及ぼすことなく、有害昆虫の特定の防除を可能にする。有効成分混合物を使用する別の理由は、有効成分の作用持続時間(植物または土壌での半減期)が異なり、結果としてただ1回の処理で非常に長期間にわたって保護が得られるようにするためであるだろう。
【0009】
長期間(12~24か月)にわたって、および広い温度範囲(0~54℃)にわたって、物理的および化学的に貯蔵安定性があることが、安定なフロアブル剤の特徴である。この広い温度範囲は、同じ有効成分または有効成分組み合わせを含む単一製剤のみを異なる気候の地域で有利に使用できるようにするために必要である。
【0010】
フロアブル剤の貯蔵安定性は、とりわけ、これらのフロアブル剤の容器が、貯蔵期間にわたって、たとえあるとしても、低い相分離しか有さないことを特徴とする。フロアブル剤の安定性のさらなるパラメータは、例えば、フロアブル剤中の凝集物の存在または非存在下で明らかにされる、フロアブル剤中の分散液の安定性である。
【0011】
先行技術はまた、活性農薬成分のための溶媒としてプロピレンカーボネートを開示している。例えば、国際公開第2006/089661号パンフレット(米国特許出願公開第2008/0255204号明細書、Daviesら)は、活性農薬成分が溶解形態であるプロピレンカーボネート含有農薬製剤を記載している。本発明に記載される複雑なフロアブル剤の物理的安定性に関して、そこから全く結論を導き出すことはできない。本発明による製剤は、プロピレンカーボネート、ならびに分散したアンモニウム塩および特定のポリマー界面活性剤の存在下で溶解した有効成分と分散した有効成分の組み合わせに基づく。国際公開第2006/089661号パンフレットの全体は、単一の溶解有効成分を有する農薬製剤を対象とする。さらなる可溶性有効成分との潜在的な混合物は、例として、[0009]によって言及されているだけであり、詳細には示されていない。段落[0015]は、とりわけ、同様に[0041]~[0050]に記載されている作物保護組成物の浸透補助剤としてのプロピレンカーボネートの使用について記載している。しかしながら、浸透性付与効果は、例として1つの有効成分(イミダクロプリド)のみで論じられている;さらに、国際公開第2006/089661号パンフレットに示されるプロピレンカーボネートの浸透性付与効果は、プロピレンカーボネートを含まない製剤と比較して、製剤において比較的小さいと見なされるべきである。作物保護組成物の構造転換およびその結果としての異なる物理化学特性により、専門家でさえ、この浸透性付与効果が他の有効成分にも適用可能であると直接結論づけることは不可能であり、まして特に異なる相にある場合、異なる有効成分の組み合わせにも適用可能であると直接結論づけることは不可能である。
【0012】
国際公開第2011/029552号パンフレットは、アルキルポリプロピレングリコール-ポリエチレングリコール(例えば、Antarox B/848)含有農薬製剤を記載しており、ここではこの界面活性剤クラスが活性農薬成分の乳化剤および/または浸透剤として使用される。
【0013】
さらに、国際公開第2003/000053号パンフレットは、油中の有機作物保護製品のための分散剤として、特定のアルキルポリプロピレングリコール-ポリエチレングリコール、例えばAtlas G5000を記載している。
【0014】
活性農薬成分の作用を増強するためのアンモニウム塩の使用は文献で知られている。例えば、国際公開第2011/131623号パンフレット(米国特許出願公開第2011/0281727号明細書、Fischerら)は、アンモニウム塩の存在下で改善された有効性を有するヘテロシクリル系テトラミン酸に基づく殺虫および/または除草製剤を記載している。さらに、国際公開第2007/068428号パンフレットは、アンモニウム塩の存在下でのフェニル置換環状ケト-エノールの活性増強効果を記載している。国際公開第2011/131623号パンフレットは、式[I]の物質の群から選択される単一有効成分と有機または無機のアンモニウムまたはホスホニウム塩の組み合わせ、および適切な浸透剤の存在下または非存在下での水性スプレー液におけるその使用に関する。専門家は、国際公開第2011/131623号パンフレットの教示から進んで、さらなる有効成分の組み合わせを有する製剤、またはこれらの混合製剤の物理的および化学的安定性に関して、いかなる結論も導き出すことができない。適切な浸透剤が段落[0111]~[0171]に広く記載されており、一般的に[0178]で主張されているが、菜種油メチルエステルのみが植物油誘導体の例として引用され、Genapol LROがアニオン性アルコールエーテル硫酸塩の例として引用されている。プロピレンカーボネートは、その化学的特性により、引用された例にも、浸透剤として記載されている主な物質とも一致しない。したがって、式[I]の物質の群から選択される化合物または式[I]による記載で網羅されていない化合物に対するプロピレンカーボネートの浸透性付与効果の間に直接的相関関係を確立することは不可能である。
【0015】
本発明による溶解有効成分および非溶解有効成分の良好な浸透を有する製剤は、国際公開第2011/131623号パンフレットには記載も示唆もされていない。
【0016】
アンモニウム塩を含有する油性製剤も同様に文献で知られている。例えば、国際公開第2008/151725号パンフレットは、アンモニウム塩が分散形態である油をベースとするアジュバント組成物を記載している。さらに、欧州特許第2193712号明細書は、アンモニウム塩が分散形態である油性農薬製剤を記載している。しかしながら、アンモニウム塩の水混和性溶媒中懸濁液についての記載はない。
【0017】
しかしながら、要約すると、上に引用される文献のいずれも、個別にまたはまとめて見た場合、アルキルポリプロピレングリコール-ポリエチレングリコール、例えばAntarox B/848を、特に懸濁および溶解した有効成分と組み合わせた、プロピレンカーボネートなどの極性水溶性溶媒中での高負荷の無機アンモニウム塩の有効な分散剤として使用することができることを示唆していない。
【0018】
テトラミン酸誘導体の可溶性水性濃縮物は、先行技術から、例えば、国際公開第2009/115262号パンフレットから知られている。溶解性の課題のため、これらは特定の作物保護製品および製剤成分と組み合わせることができない。さらに、これらの水性SL製剤は一般的に高いpH値を有し、これが同様に特定の塩基感受性作物保護製品および製剤成分との不適合をもたらす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【文献】国際公開第2006/089661号パンフレット
【文献】米国特許出願公開第2008/0255204号明細書
【文献】国際公開第2011/029552号パンフレット
【文献】国際公開第2003/000053号パンフレット
【文献】国際公開第2011/131623号パンフレット
【文献】米国特許出願公開第2011/0281727号明細書、
【文献】国際公開第2007/068428号パンフレット
【文献】国際公開第2008/151725号パンフレット
【文献】欧州特許第2193712号明細書
【文献】国際公開第2009/115262号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
よって、対処される課題は、溶解した有効成分と懸濁した有効成分の組み合わせからなり、両有効成分の優れたバイオアベイラビリティおよび浸透能力を有し、高温と低温の両方で優れた貯蔵安定性を有する安定な製剤を開発するというものであった。有効成分は、好ましくは殺虫剤である。
【課題を解決するための手段】
【0021】
この課題は、有効成分組み合わせと、アンモニウム塩と、溶媒としての炭酸エステルとを含む、以下に記載される製剤によって解決された。
【0022】
したがって、本発明は、
a.少なくとも1つの、好ましくは選択される溶媒g)に不溶性または難溶性である、室温で固体の有効成分と、
b.少なくとも1つのa)以外の有機溶媒に可溶性の有効成分と、
c.少なくとも1つのアンモニウム塩と、
d.少なくとも1つのアルキルプロポキシレートエトキシレートのクラスの分散剤と、
e.場合により、1つまたは複数の界面活性剤と、
f.少なくとも1つの水不溶性フィラーと、
g.少なくとも1つの炭酸エステルの群の溶媒と、
h.場合により、さらなるアジュバントと
を含む殺虫組成物を提供する。
【0023】
好ましい実施形態では、成分e)が必須である。
【0024】
さらに、好ましい実施形態における組成物は水を含まない、またはさらになる代替実施形態では水を本質的に含まない。
【0025】
本発明によると、対応する組成物は、存在する両活性農薬成分についての優れた浸透促進特性および高い安定性を有することが分かった。有効成分a)およびb)の異なる特性を考えると、これは驚くべきことであった。
【0026】
本発明では、式、例えば式(I)において、特に明言しない限り、場合により置換された基は、一置換または多置換されていてもよく、多置換の場合の置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0027】
さらに、本発明で明言される好ましさの範囲において、さまざまなレベルの好ましさは、順列で互いに組み合わせることができるように理解されるべきであるが、いずれの場合でも、同レベルの好ましさ、特に最も好ましい実施形態/好ましさのレベルがいずれの場合も互いに組み合わされるべきであり、実際にこのような組み合わせとして開示される。
【0028】
必須の成分(任意の成分ではない)のみからなる、本出願に記載される組成物も、同様に開示されていると見なされるべきである。
【0029】
本発明の文脈における室温とは、特に明言しない限り、20℃~25℃の温度を意味する。
【0030】
成分a~hを以下でさらに定義する。
【0031】
a.室温で固体の有効成分
室温で固体の有効成分は、好ましくは、殺虫剤、除草剤および殺真菌剤を含む群から選択される。さらに好ましくは、選択される有効成分は、選択される溶媒g)に不溶性または難溶性である。室温で固体であり、選択される溶媒g)に不溶性または難溶性である活性殺虫成分がさらに好ましい。
【0032】
本発明の文脈における難溶性または不溶性有効成分は、室温で固体であり、好ましくは5g/l以下、さらに好ましくは4g/l以下、なおさらにより好ましくは2.5g/l以下、特に好ましくは1g/l以下の選択される溶媒g)中20℃での溶解度を有する有効成分である。
【0033】
なおさらに好ましくは、有効成分が、ジアミド殺虫剤(ブロフラニリド、クロラントラニリプロール、シアントラニリプロール、シクラニリプロール、シハロジアミド、フルベンジアミド、テトラクロラントラニリプロールおよびテトラニリプロール)、スピノシン(IRACグループ5)、いわゆる「メクチン」(例えば、アバメクチン、エマメクチン安息香酸塩、ミルベメクチン;IRACグループ6)、エチプロール、トリフルムロン、デルタメトリンならびにテトロン酸およびテトラミン酸誘導体(IRACグループ23、以下に指定される式IおよびIIの化合物を含む)を含む群から選択される。
【0034】
好ましい実施形態では、本発明による組成物中の成分a)が、テトラミン酸に基づくケト-エノール、好ましくは式(I)の化合物
【化1】
(式中、
WおよびYは独立に、水素、C1~C4-アルキル、塩素、臭素、ヨウ素またはフッ素であり、
Xは、C1~C4-アルキル、C1~C4-アルコキシ、塩素、臭素またはヨウ素であり、
A、Bおよびこれらが結合している炭素原子は、それが結合している炭素原子と一緒になって5員または6員ケタールを形成する、場合によりC1~C4-アルキル-またはC1~C4-アルコキシ-C1~C2-アルキル置換されたアルキレンジオキシ基によって置換されたC3~C6-シクロアルキルであり、
Gは水素(a)である、または基
【化2】
(式中、
Eは金属イオンまたはアンモニウムイオンであり、
Mは酸素または硫黄であり、
R1は直鎖または分岐C1~C6-アルキルであり、
R2は直鎖または分岐C1~C6-アルキルである)
のうちの1つである)
である。
【0035】
基が以下の通り定義される:
Wがより好ましくはメチルであり、
Xがより好ましくは塩素またはメチル(より好ましくはメチル)であり、
Yがより好ましくは塩素、臭素またはメチルであり、
A、Bおよびこれらが結合している炭素原子が、より好ましくは、それが結合している炭素原子と一緒になって5員または6員ケタールを形成するアルキレンジオキシ基によって置換された飽和C6-シクロアルキルであり、
Gがより好ましくは水素(a)である、または基
【化3】
(式中、
Mは酸素であり、
Eは、1つの金属イオン等価物またはアンモニウムイオン(具体的にはナトリウムまたはカリウム)であり、
R1はより好ましくは、直鎖または分岐C1~C4-アルキルであり、
R2はより好ましくは、直鎖または分岐C1~C4-アルキルである)
のうちの1つである、
上記の式(I)のテトラミン酸誘導体が特に好ましく使用可能である。
【0036】
G=水素(a)である上記の式(I)のテトラミン酸誘導体が具体的に使用可能である。
【0037】
同様に、G=E(d)である上記の式(I)のテトラミン酸誘導体が具体的に使用可能である。
【0038】
基が以下の通り定義される上記の式(I)のテトラミン酸誘導体が特に好ましく使用可能である:
【化4】
【0039】
【表1】
【0040】
特に好ましい実施形態では、成分a)が、式
【化5】
の化合物である。
【0041】
化合物I-2は、好ましくはその最も熱力学的に安定な多形構造の形態で使用される。この結晶構造およびさらなる物理データは以下の通り決定した:
【0042】
試料調製:
化合物I-2(C19H22ClNO4/MW=363.84 g/mol)をメタノールから結晶化させ、室温で乾燥させて、modification Aを得た。
【0043】
I-2のmodification Aは、25℃でCu-Kα1放射線(1.5406Å)を使用して記録された対応する回折図に基づくX線粉末回折法によって特徴付けることができる(図1)。
【0044】
本発明によるmodification Aは、図1に示されるように、少なくとも3個、好ましくは少なくとも5個、さらに好ましくは少なくとも7個、なおさらに好ましくは少なくとも10個、最も好ましくは全ての反射を示す。
【0045】
本発明によるmodification Aはまた、図1に示されるX線回折図を特徴とする。
【0046】
modification Aの単結晶の結晶学的研究は、結晶構造が単斜晶系であることを示した。単位胞はP21/c空間群を有する。
【0047】
【表2】
【0048】
【表3】
【0049】
I-1のmodification Aの多形形態は、4cm-1の分解能でダイアモンドATR装置を使用して25℃で記録された対応するスペクトルを使用して、IR分光法によって決定することができる(図2)。本発明のmodification Aは、図2に示され、表2cに記載されるように、少なくとも3個、好ましくは少なくとも5個、さらに好ましくは少なくとも7個、より好ましくは全てのバンドを示す。
【0050】
【表4】
【0051】
代替実施形態では、成分a)が、式(II)のテトラミン酸
【化6】
(式中、
WおよびYは独立に、水素、C1~C4-アルキル、塩素、臭素、ヨウ素またはフッ素であり、
Xは、C1~C4-アルキル、C1~C4-アルコキシ、塩素、臭素またはヨウ素であり、
V1は、水素、ハロゲン、C1~C6-アルキル、C1~C6-アルコキシ、C1~C6-アルキルチオ、C1~C6-アルキルスルフィニル、C1~C6-アルキルスルホニル、C1~C4-ハロアルキル、C1~C4-ハロアルコキシ、ニトロまたはシアノであり、
V2は、水素、ハロゲン、C1~C6-アルキルまたはC1~C6-アルコキシであり、
V3は水素またはハロゲンであり、
A、Bおよびこれらが結合している炭素原子は、1つの環員が酸素によって置き換えられており、C1~C8-アルキル、C1~C8-アルコキシまたはC1~C6-アルキルオキシ-C1~C6-アルキルによって場合により一置換されている飽和C5~C6-シクロアルキルであり、
Gは水素(a)である、または基
【化7】
(式中、
Eは金属イオンまたはアンモニウムイオンであり、
Lは酸素または硫黄であり、
Mは酸素または硫黄であり、
R1は直鎖または分岐C1~C6-アルキルであり、
R2は直鎖または分岐C1~C6-アルキルである)
のうちの1つである)
を含む。
【0052】
基が以下の通り定義される:
Wがより好ましくは水素またはメチルであり、
Xがより好ましくは塩素またはメチルであり、
Yがより好ましくは水素であり、
V1がより好ましくはフッ素または塩素(具体的には4位のフッ素または塩素)であり、
V2がより好ましくは水素またはフッ素(具体的には3位のフッ素)であり、
V3がより好ましくは水素またはフッ素(具体的には5位のフッ素)であり、
A、Bおよびこれらが結合している炭素原子が、より好ましくは、1つの環員が酸素によって置き換えられている飽和C6-シクロアルキルであり、
Gがより好ましくは水素(a)である、または基
【化8】
(式中、
Eは、より好ましくは、1つの金属イオン等価物またはアンモニウムイオン(具体的にはナトリウムまたはカリウム)であり、
R1はより好ましくは、直鎖または分岐C1~C4-アルキルであり、
R2はより好ましくは、直鎖または分岐C1~C4-アルキルである)
のうちの1つである、
上記の式(I)のテトラミン酸誘導体が特に好ましく使用可能である。
【0053】
G=水素(a)である上記の式(I)のテトラミン酸誘導体が具体的に使用可能である。
【0054】
同様に、G=E(d)である上記の式(I)のテトラミン酸誘導体が具体的に使用可能である。
【0055】
基が以下の通り定義される上記の式(II)のテトラミン酸誘導体が特に好ましく使用可能である:
【0056】
【表5】
【0057】
特に好ましい代替実施形態では、a)が
【化9】
である。
【0058】
b.可溶性有効成分
可溶性有効成分は、好ましくは殺虫剤、除草剤および殺真菌剤の群から選択される。さらに好ましくは、選択される有効成分は、選択される溶媒g)への優れたまたは十分な溶解度を有し、20℃での溶解度は好ましくは少なくとも10g/l、さらに好ましくは少なくとも20g/l、なおさらに好ましくは少なくとも30g/l、より好ましくは少なくとも40g/lである。
【0059】
可溶性有効成分は、好ましくは殺虫剤の群から選択される。なおさらに好ましくは、有効成分が、nAChRアゴニスト(IRACグループ4、例えば、イミダクロプリド、チアクロプリド、クロチアニジン、チアメトキサム、アセタミプリド、スルホキサフロル、ニテンピラムおよびフルピラジフロン)、フロニカミドおよび国際公開第2007/115644号パンフレットに記載されるさらなる殺虫剤、例えば、4-[[(6-クロロピリジン-3-イル)メチル](3-フルオロ-n-プロピル)アミノ]フラン-2(5H)-オン、4-[[(6-クロロピリジン-3-イル)メチル](3,3-ジクロロプロパ-2-エン-1-イル)アミノ]フラン-2(5H)-オン、4-[[(6-クロロピリジン-3-イル)メチル](2-フルオロエチル)アミノ]フラン-2(5H)-オン、(E/Z)-4-[[(6-クロロピリジン-3-イル)メチル](2-フルオロビニル)アミノ]-5-メチルフラン-2(5H)-オン、4-[[(6-クロロピリジン-3-イル)メチル](2,2-ジフルオロエチル)アミノ]-5-メチルフラン-2(5H)-オン、3-ブロモ-4-[[((6-クロロピリジン-3-イル)メチル](2,2-ジフルオロエチル)アミノ]フラン-2(5H)-オン、3-クロロ-4-[[((6-クロロピリジン-3-イル)メチル](2,2-ジフルオロエチル)アミノ]フラン-2(5H)-オン、または国際公開第2009/118025号パンフレットでは、例えば4-[メチル[(6-クロロピリジン-3-イル)メチル](アミノ)]フラン-2(5H)-オンの群から選択される。
【0060】
より好ましくは、有効成分b)が、イミダクロプリド、クロチアニジン、フルピラジフロンおよびアセタミプリドから選択される。
【0061】
最も好ましくは、有効成分b)がフルピラジフロンである。
【0062】
c.アンモニウム塩
アンモニウム塩は、好ましくは水溶性無機アンモニウム塩を含む群から選択される。
【0063】
さらに好ましくは、c)が、炭酸アンモニウム、硫酸水素アンモニウム、硫酸アンモニウム(AMS)、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウムおよびリン酸水素二アンモニウム(DAHP)を含む群から選択される。
【0064】
より好ましくは、c)がDAHPおよびAMSである。
【0065】
d.分散剤
成分d)は、好ましくは以下を含む群から選択される:一般式(III-a)のアルキルポリプロピレングリコール-ポリエチレングリコール化合物
【化10】
(式中、RはC1~C4フラグメント、好ましくはC3~C4フラグメント、より好ましくはC4フラグメントであり、
Aは、10~40個のプロピレンオキシド(PO)単位(式III-b)からなる、好ましくは15~35個のPO単位からなる、より好ましくは20~30個のPO単位からなるポリプロピレングリコールフラグメントであり、
Bは、10~50個のエチレンオキシド(EO)単位(式III-c)と0~10個のプロピレングリコール(PO)単位からなる、好ましくは20~40個のEO単位と0~8個のPO単位からなる、より好ましくは30~40個のPO単位と0~5個のPO単位からなるランダム共重合ポリエチレングリコール―ポリプロピレングリコールフラグメントである)
【0066】
【化11】
【0067】
「アルキルポリプロピレングリコール-ポリエチレングリコール化合物」の例は以下である:
【0068】
【表6】
および一般式(IIId)の化合物
【化12】
(式中、個々の基および指数は以下の定義を有する:
RおよびR’は独立に、水素、直鎖C1~C5-アルキル基または分岐C3-もしくはC4-アルキル基であり;
mは2または3であり;
nは2または3であり;
xは5~150であり;
yは5~150であり、
一方の基nまたはmは2の意味を有し、他方の基nまたはmは3の意味を有する)。
【0069】
本発明の文脈において、直鎖C1~C5-アルキル基は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基またはn-ペンチル基を意味すると理解される。
【0070】
本発明の文脈において、分岐C3~C4アルキル基は、イソプロピル基、イソブチル基またはtert-ブチル基を意味すると理解される。
【0071】
好ましい実施形態では、RおよびR’基が、メチル基、n-ブチル基および水素からなる群から独立に選択される。
【0072】
さらにより好ましい実施形態では、RおよびR’基が、n-ブチル基および水素からなる群から独立に選択される。
【0073】
ポリエチレンおよびポリプロピレン単位の配置に関しては、
(a)mが2の値を、nが3の値をとり得る;
(b)またはmが3の値を、nが2の値をとり得る。
【0074】
m=3およびn=2である構成(b)が好ましい。
【0075】
mが3であり、
nが2であり、
xが5~80であり、
yが5~80であり、
Rがn-ブチルまたは水素であり、
R’が水素である、
式(IIId)のアルキルポリプロピレングリコール-ポリエチレングリコール化合物が極めて特に好ましい。
【0076】
e.本発明の文脈における適切な界面活性剤e)は、以下を含む群から選択される:
e1)ポリカルボキシレート型の界面活性剤、例えば、疎水性修飾くし形ポリマー、例えばポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリマレイン酸、ポリマレイン酸無水物、マレイン酸または無水マレイン酸とオレフィン(イソブチレンまたはジイソブチレンなど)のコポリマー、アクリル酸とイタコン酸のコポリマー、メタクリル酸とイタコン酸のコポリマー、マレイン酸または無水マレイン酸とスチレンのコポリマー、アクリル酸とメタクリル酸のコポリマー、アクリル酸とメタクリレートのコポリマー、アクリル酸と酢酸ビニルのコポリマー、スチレンとメタクリル酸のコポリマー、スチレンとメタクリル酸の修飾コポリマー、マレイン酸または無水マレイン酸とアクリル酸のコポリマー、N-メチル脂肪酸(例えば、C8~C18)サルコシネート、カルボン酸、例えば樹脂酸または脂肪酸(例えば、C8~C18)またはこのようなカルボン酸の塩。上記のコポリマーは、それらの塩、例えばアルカリ金属塩(好ましくはLi、Na、K)、アルカリ土類金属塩(好ましくはCa、Mg)、アンモニウムまたはさまざまなアミンの形態であってもよい。上記のコポリマーの例としては、Geropon T/36、Geropon TA/72、Tersperse 2700、Atlox Metasperse 550 S、Geropon Ultrasperse、Narlex D-72、Versa TL3およびAgrilan 789 Dryが挙げられる、および
e2)アルキル芳香族による硫酸化ホルムアルデヒド縮合生成物の塩、例えばMORWET D-425(Akzo Nobel製);OPARYL DT 120、OPARYL DT 201、OPARYL DT 530(Bozzetto製);TERSPERSE 2020(Huntsman製)およびジトリルエーテルによる硫酸化ホルムアルデヒド縮合生成物の塩(例えば、BAYKANOL SL、Levaco製)およびシクロヘキサノンによる硫酸化ホルムアルデヒド縮合生成物の塩(例えば、LUCRAMUL DAC 210、Levaco製)からなる群から選択される界面活性剤、および
e3)リグノスルホネートおよびその塩の群から選択される、好ましくは、Borregaard製のBorresperse NA、Borresperse 3A、Ultrazine NA、Ufoxane 3A、Vanisperse CB、Marasperse AG、MARASPERSE N 22、MARASPERSE C 21、MARASPERSE CBOS-4、WAFEX CA122およびBorresperse CA;Ingevity製のKRAFTSPERSE EDF-350、KRAFTSPERSE 25M、KRAFTSPERSE EDF-450、REAX 100M、REAX 83A、REAX 85A、REAX 88A、REAX 88B、REAX 907、REAX 910、POLYFON H、POLYFON OおよびPOLYFON T;Tembec製のAGRINOL DN 19およびAgrinol C12からなるリグノスルホネートおよびその塩の群から選択される界面活性剤、および
e4)硫酸化アルキルアリールスルホネートおよびその塩、例えば、AEROSOL OS(Solvay製);AGNIQUE ANS 3DNP-U、AGNIQUE ANS 4DNP、AGNIQUE NSC 2NP-U、NEKAL BX DRY(BASF製);MORWET B、MORWET DB、MORWET EFW、MORWET IP(Akzo Nobel製);OPARYL MT 704、OPARYL MT 800、OPARYL MT 804(Bozzetto製);RHODACAL BX 78、SUPRAGIL WP(Solvay製);SURFOM HRB(Oxiteno製)などのアルキルアリールスルホネートおよびその塩からなる群から選択される界面活性剤、および
e5)ジ-/トリスチリルフェノールエトキシレートホスフェートおよびその塩、DISPERSOGEN LFH、DISPERSOGEN TP 160(Clariant製);LUCRAMUL PPS 16、LUCRAMUL PPS K 16(Levaco製);PHOSPHOLAN PHB 14(Akzo Nobel製);SOPROPHOR 3 D 33、SOPROPHOR TS 20-F、SOPROPHOR FL、SOPROPHOR FLK(Solvay製);STEPFAC TSP-PE、STEPFAC TSP PE-K(Stepan製);SURFOM 1323 SC、SURFOM 1325 SC(Oxiteno製);TERSPERSE 2222(Huntsman製)の群;ならびにアルコールエトキシレートホスフェート、例えばEMPIPHOS 03 D(Akzo Nobel製);MULTITROPE 1214、Crodafosシリーズ、Atphos 3226(Croda製);PHOSPHOLAN PE 169(Akzo Nobel製);RHODAFAC RS-410、RHODAFAC RS-710、RHODAFAC TD 20 F(Solvay製);SERVOXYL VPDZ 20/100(Elementis製);STEPFAC 8180(Stepan製);CRAFOL AP261(BASF製);GERONOL CF/AR(Clariant製)の群の界面活性剤。
【0077】
さらに好ましくは、適切な界面活性剤は、界面活性剤e1)、e2)、e3)およびe4)を含む群から選択される。
【0078】
さらに好ましくは、適切な界面活性剤は、界面活性剤e1)、e2)およびe3)を含む群から選択される。
【0079】
なおさらに好ましくは、適切な界面活性剤は、界面活性剤e1)およびe2)を含む群から選択される。
【0080】
より好ましくは、適切な界面活性剤は、界面活性剤e1)を含む群から選択される。
【0081】
マレイン酸とオレフィンのコポリマーのナトリウム塩(例えば、Geropon T/36/Solvay;Duramax D-305/Dow);およびメタクリル酸とスチレンのコポリマーのナトリウム塩(Tersperse 2700/Huntsman;Atlox Metasperse 500S/Croda);特にマレイン酸とオレフィンのコポリマーのナトリウム塩(例えば、Geropon T/36)を含む群e1)の界面活性剤が極めて特に好ましい。
【0082】
Tersperse 2700などの適切な界面活性剤は、国際公開第2008036865号パンフレットにも記載されている。
【0083】
上記の界面活性剤は、個別にまたは組み合わせて使用することができ、マレイン酸とオレフィンのコポリマーのナトリウム塩とアルキル芳香族による硫酸化ホルムアルデヒド縮合生成物ならびにリグノスルホネートおよびその塩の群から選択される界面活性剤の組み合わせが好ましい。
【0084】
f.水不溶性フィラー
適切なフィラーは、好ましくは、以下を含む群から選択される
f1)化学的に修飾されたベントナイト、ヘクトライト、アタパルジャイト、モンモリロナイト、スメクタイトなどの修飾天然ケイ酸塩、またはBentone(登録商標)(Elementis)、Attagel(登録商標)(BASF)、Agsorb(登録商標)(Oil-Dri Corporation)、Pangel B(Tolsa)もしくはHectorite(登録商標)(Akzo Nobel)などの他のケイ酸塩鉱物、
f2)合成ケイ酸塩およびヒュームドシリカ、例えばSipernat(登録商標)、Aerosil(登録商標)、またはDurosil(登録商標)シリーズ(Degussa)、CAB-O-SIL(登録商標)シリーズ(Cabot)、またはVan Gelシリーズ(R.T.Vanderbilt)、および
f3)合成ポリマーに基づくフィラー、例えばThixin(登録商標)またはThixatrol(登録商標)シリーズ(Elementis)の増粘剤。
【0085】
群f2のフィラーがさらに好ましい。
【0086】
単独または混合物でのAerosil製品、Aerosil R製品およびCab-O-Sil製品などのフィラーf)としてのヒュームドシリカ、ならびにアタパルジャイトが特に好ましい。
【0087】
g.溶媒
溶媒g)は、好ましくは炭酸エステルの群から、さらに好ましくはジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、ジイソプロピルカーボネート、ジブチルカーボネートおよびその異性体、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネート、トリメチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、グリセロールカーボネート、ブチレンカーボネート、ペンチレンカーボネート、ヘキシレンカーボネートならびにオクチレンカーボネートを含む群から選択される。
【0088】
なおさらに好ましくは、g)が、環状炭酸エステル、すなわち、例えば、炭酸とトリメチレンカーボネートを形成するプロパン-1,3-ジオール、または炭酸とプロピレンカーボネートを形成するプロパン-1,2-ジオールの場合のように、ジオールが架橋されている炭酸エステルの群から選択される。
【0089】
より好ましくは、g)がプロピレンカーボネートである。
【0090】
h.さらなるアジュバント
本発明の組成物は、場合によりさらなるアジュバントh)、例えば場合により乳化剤、保湿剤、発泡防止剤、保存剤、色素、安定剤および抗酸化剤の群の物質を含む。
【0091】
有用な乳化剤には、農薬製品で典型的に使用される表面活性特性を有する、全ての慣例的な非イオノゲン性(nonionogenic)、アニオン性、カチオン性および両性イオン性物質が含まれる。これらの物質には、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪アルコール、脂肪アミン、アルキルフェノールまたはアルキルアリールフェノールとエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドおよび/またはブチレンオキシドの反応生成物ならびにその硫酸エステル、リン酸モノエステルおよびリン酸ジエステル、ならびにエチレンオキシドとプロピレンオキシドの反応生成物、ならびにさらにアルキルスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、アリール硫酸塩、ハロゲン化テトラアルキルアンモニウム、ハロゲン化トリアルキルアリールアンモニウム、アルキルアミンスルホン酸塩、末端基キャップ化および非末端基キャップ化のアルコキシル化直鎖および分岐、飽和および不飽和アルコール(例えば、ブトキシポリエチレン-プロピレングリコール)、ならびにポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールが含まれる。
【0092】
乳化剤は、個別に、または混合物で使用され得る。好ましい例としては、ヒマシ油とエチレンオキシドのモル比1:20~1:60の反応生成物、C6~C20アルコールとエチレンオキシドのモル比1:5~1:50の反応生成物、C6~C20アルコールとプロピレンオキシドおよびエチレンオキシドのモル比1:1:1~1:5:10の反応生成物、脂肪アミンとエチレンオキシドのモル比1:2~1:25の反応生成物、1molのフェノールと2~3molのスチレンおよび10~50molのエチレンオキシドの反応生成物、C8~C12-アルキルフェノールとエチレンオキシドのモル比1:5~1:30の反応生成物、アルキルグリコシド、C8~C16-アルキルベンゼンスルホン酸塩、例えばカルシウム、モノエタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウムおよびトリエタノールアンモニウム塩が挙げられる。
【0093】
有用な保湿剤は、農薬組成物においてこの目的のために典型的に使用可能な全ての物質である。水溶性液体が好ましく、例としてはグリセロールが挙げられる。
【0094】
有用な発泡防止剤は、農薬組成物においてこの目的のために典型的に使用可能な全ての物質である。シリコーン油、例えばSAG1572、およびステアリン酸マグネシウムが好ましい。
【0095】
有用な抗酸化剤は、農薬組成物においてこの目的のために典型的に使用可能な全ての物質である。ブチルヒドロキシトルエンが好ましい。
【0096】
有用な色素は、農薬組成物においてこの目的のために典型的に使用可能な全ての物質である。例としては、二酸化チタン、黒色顔料、酸化亜鉛および青色顔料、およびPermanent Red FGRも挙げられる。
【0097】
使用される可能性のある安定剤は、例えば、酸または塩基であり得る。酸の例としては、クエン酸、ギ酸、酢酸またはホウ酸が挙げられる。塩基の例としては、カルボン酸のナトリウム塩およびモノ-またはポリ-アルキル置換アミンが挙げられる。
【0098】
好ましい実施形態では、本発明は、以下を含む殺虫組成物を提供する:
a.式(I)の化合物
【化13】
(式(I)の化合物は以下の定義を有する:
Wはメチルであり、
Xは塩素またはメチルであり、
Yは塩素、臭素またはメチルであり、
A、Bおよびこれらが結合している炭素原子は、それが結合している炭素原子と一緒になって、5員または6員ケタールを形成するアルキレンジオキシ基によって置換された飽和C6シクロアルキルであり、
Gは水素(a)である、または基
【化14】
(式中、
Mは酸素であり、
Eは、1つの金属イオン等価物またはアンモニウムイオンであり、
R1は直鎖または分岐C1~C4-アルキルであり、
R2は直鎖または分岐C1~C4-アルキルである)
のうちの1つである)。
b.少なくとも1つの有効成分は、好ましくはnAChRアゴニスト、フロニカミド、および4-[[(6-クロロピリジン-3-イル)メチル](3-フルオロ-n-プロピル)アミノ]フラン-2(5H)-オン、4-[[(6-クロロピリジン-3-イル)メチル](3,3-ジクロロプロパ-2-エン-1-イル)アミノ]フラン-2(5H)-オン、4-[[(6-クロロピリジン-3-イル)メチル](2-フルオロエチル)アミノ]フラン-2(5H)-オン、(E/Z)-4-[[(6-クロロピリジン-3-イル)メチル](2-フルオロビニル)アミノ]-5-メチルフラン-2(5H)-オン、4-[[(6-クロロピリジン-3-イル)メチル](2,2-ジフルオロエチル)アミノ]-5-メチルフラン-2(5H)-オン、3-ブロモ-4-[[((6-クロロピリジン-3-イル)メチル](2,2-ジフルオロエチル)アミノ]フラン-2(5H)-オン、3-クロロ-4-[[((6-クロロピリジン-3-イル)メチル](2,2-ジフルオロエチル)アミノ]フラン-2(5H)-オン、および4-[メチル[(6-クロロピリジン-3-イル)メチル](アミノ)]フラン-2(5H)-オンを含む殺虫剤の群から選択される。
c.炭酸アンモニウム、硫酸水素アンモニウム、硫酸アンモニウム(AMS)、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウムおよびリン酸水素二アンモニウム(DAHP)を含む群から選択される少なくとも1つのアンモニウム塩、
d.一般式(III-a)のアルキルポリプロピレングリコール-ポリエチレングリコール化合物
【化15】
(式中、RはC1~C4フラグメント、好ましくはC3~C4フラグメント、より好ましくはC4フラグメントであり、
Aは、10~40個のプロピレンオキシド(PO)単位(式III-b)からなる、好ましくは15~35個のPO単位からなる、より好ましくは20~30個のPO単位からなるポリプロピレングリコールフラグメントであり、
Bは、10~50個のエチレンオキシド(EO)単位(式III-c)と0~10個のプロピレングリコール(PO)単位からなる、好ましくは20~40個のEO単位と0~8個のPO単位からなる、より好ましくは30~40個のPO単位と0~5個のPO単位からなるランダム共重合ポリエチレングリコール―ポリプロピレングリコールフラグメントである)、
【化16】
および一般式(IIId)のアルキルポリプロピレングリコール-ポリエチレングリコール化合物
【化17】
(式中、個々の基および指数は以下の定義を有する:
RおよびR’は独立に、水素、直鎖C1~C5-アルキル基または分岐C3-もしくはC4-アルキル基であり、
mは2または3であり、
nは2または3であり、
xは5~150であり、
yは5~150であり、
一方の基nまたはmは2の意味を有し、他方の基nまたはmは3の意味を有する)
を含む群から選択される少なくとも1つの分散剤、
e.ポリカルボキシレート型、アルキル芳香族による硫酸化ホルムアルデヒド縮合生成物の塩、ジトリルエーテルによる硫酸化ホルムアルデヒド縮合生成物の塩、シクロヘキサノンによる硫酸化ホルムアルデヒド縮合生成物の塩、リグノスルホネートおよびその塩、硫酸化アルキルアリールスルホン酸塩およびこれらの塩、ジ-/トリスチリルフェノールエトキシレートホスフェートおよびこれらの塩、ならびにアルコールエトキシレートホスフェートを含む群から選択される少なくとも1つの界面活性剤。
f.修飾された天然ケイ酸塩、ケイ酸塩鉱物、合成ケイ酸塩およびヒュームドシリカ、アタパルジャイト、および合成ポリマーに基づくフィラーを含む群から選択される少なくとも1つのフィラー。
g.炭酸エステルの群から選択される少なくとも1つの溶媒、
h.場合により、さらなるアジュバント。
【0099】
さらに好ましい実施形態では、本発明は、以下を含む殺虫組成物を提供する:
a.以下の化合物から選択される式(I)の化合物:
【化18】
【0100】
【表7】
【0101】
b.少なくとも1つの有効成分は、好ましくはイミダクロプリド、チアクロプリド、クロチアニジン、チアメトキサム、アセタミプリド、スルホキサフロル、ニテンピラムおよびフルピラジフロン、フロニカミド、および4-[[(6-クロロピリジン-3-イル)メチル](3-フルオロ-n-プロピル)アミノ]フラン-2(5H)-オン、4-[[(6-クロロピリジン-3-イル)メチル](3,3-ジクロロプロパ-2-エン-1-イル)アミノ]フラン-2(5H)-オン、4-[[(6-クロロピリジン-3-イル)メチル](2-フルオロエチル)アミノ]フラン-2(5H)-オン、(E/Z)-4-[[(6-クロロピリジン-3-イル)メチル](2-フルオロビニル)アミノ]-5-メチルフラン-2(5H)-オン、4-[[(6-クロロピリジン-3-イル)メチル](2,2-ジフルオロエチル)アミノ]-5-メチルフラン-2(5H)-オン、3-ブロモ-4-[[((6-クロロピリジン-3-イル)メチル](2,2-ジフルオロエチル)アミノ]フラン-2(5H)-オン、3-クロロ-4-[[((6-クロロピリジン-3-イル)メチル](2,2-ジフルオロエチル)アミノ]フラン-2(5H)-オン、および4-[メチル[(6-クロロピリジン-3-イル)メチル](アミノ)]フラン-2(5H)-オンを含む殺虫剤の群から選択される。
c.炭酸アンモニウム、硫酸水素アンモニウム、硫酸アンモニウム(AMS)、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウムおよびリン酸水素二アンモニウム(DAHP)を含む群から選択される少なくとも1つのアンモニウム塩、
d.一般式(III-a)のアルキルポリプロピレングリコール-ポリエチレングリコール化合物
【化19】
(式中、RはC1~C4フラグメント、好ましくはC3~C4フラグメント、より好ましくはC4フラグメントであり、
Aは、10~40個のプロピレンオキシド(PO)単位(式III-b)からなる、好ましくは15~35個のPO単位からなる、より好ましくは20~30個のPO単位からなるポリプロピレングリコールフラグメントであり、
Bは、10~50個のエチレンオキシド(EO)単位(式III-c)と0~10個のプロピレングリコール(PO)単位からなる、好ましくは20~40個のEO単位と0~8個のPO単位からなる、より好ましくは30~40個のPO単位と0~5個のPO単位からなるランダム共重合ポリエチレングリコール―ポリプロピレングリコールフラグメントである)、
【化20】
および一般式(IIId)のアルキルポリプロピレングリコール-ポリエチレングリコール化合物
【化21】
(式中、個々の基および指数は以下の定義を有する:
RおよびR’は独立に、水素、直鎖C1~C5-アルキル基または分岐C3-もしくはC4-アルキル基であり、
mは2または3であり、
nは2または3であり、
xは5~150であり、
yは5~150であり、
一方の基nまたはmは2の意味を有し、他方の基nまたはmは3の意味を有する)
を含む群から選択される少なくとも1つの分散剤、
e.ポリカルボキシレート型、アルキル芳香族による硫酸化ホルムアルデヒド縮合生成物の塩、ジトリルエーテルによる硫酸化ホルムアルデヒド縮合生成物の塩、シクロヘキサノンによる硫酸化ホルムアルデヒド縮合生成物の塩、ならびにリグノスルホネートおよびその塩を含む群から選択される少なくとも1つの界面活性剤、
f.修飾された天然ケイ酸塩、ケイ酸塩鉱物、合成ケイ酸塩およびヒュームドシリカ、アタパルジャイト、および合成ポリマーに基づくフィラーを含む群から選択される少なくとも1つのフィラー。
g.ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、ジイソプロピルカーボネート、ジブチルカーボネートおよびその異性体、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネート、トリメチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ペンチレンカーボネート、ヘキシレンカーボネートならびにオクチレンカーボネートを含む群から選択される少なくとも1つの溶媒、
h.場合により、さらなるアジュバント。
【0102】
特に好ましい実施形態では、本発明は、以下を含む殺虫組成物を提供する:
好ましい実施形態では、本発明は、以下を含む殺虫組成物を提供する:
a.以下の構造を有する式(I-2)を有する化合物:
【化22】
b.フルピラジフロン、
c.硫酸アンモニウム(AMS)およびリン酸水素二アンモニウム(DAHP)を含む群から選択される少なくとも1つのアンモニウム塩、
d.一般式(III-a)のアルキルポリプロピレングリコール-ポリエチレングリコール化合物
【化23】
(式中、RはC1~C4フラグメント、好ましくはC3~C4フラグメント、より好ましくはC4フラグメントであり、
Aは、10~40個のプロピレンオキシド(PO)単位(式III-b)からなる、好ましくは15~35個のPO単位からなる、より好ましくは20~30個のPO単位からなるポリプロピレングリコールフラグメントであり、
Bは、10~50個のエチレンオキシド(EO)単位(式III-c)と0~10個のプロピレングリコール(PO)単位からなる、好ましくは20~40個のEO単位と0~8個のPO単位からなる、より好ましくは30~40個のPO単位と0~5個のPO単位からなるランダム共重合ポリエチレングリコール―ポリプロピレングリコールフラグメントである)、
【化24】
および一般式(IIId)のアルキルポリプロピレングリコール-ポリエチレングリコール化合物
【化25】
(式中、個々の基および指数は以下の定義を有する:
RおよびR’は独立に、水素、直鎖C1~C5-アルキル基または分岐C3-もしくはC4-アルキル基であり;
mは2または3であり;
nは2または3であり;
xは5~150であり;
yは5~150であり、
一方の基nまたはmは2の意味を有し、他方の基nまたはmは3の意味を有する)
を含む群から選択される少なくとも1つの分散剤、
e.ポリカルボキシレート型を含む群から選択される少なくとも1つの界面活性剤、
f.ヒュームドシリカおよびアタパルジャイトを含む群から選択される少なくとも1つのフィラー。
g.プロピレンカーボネートを含む群から選択される少なくとも1つの溶媒、
h.場合により、さらなるアジュバント。
【0103】
化合物I-2は、好ましくはその最も熱力学的に安定な多形構造の形態で使用される。
【0104】
パーセンテージ-特に明言しない限り-重量パーセンテージと見なされるべきであり、組成物の重量%は合計が100になる。
【0105】
以下の個々の成分の割合は、それぞれ組成物の総重量に基づいており、組成物全体の最大1リットルまでの割合が、成分h)(溶媒)で構成されている。したがって、成分h)の割合は、好ましくは1重量%~80重量%、さらに好ましくは20~60重量%である。
【0106】
本発明による組成物中の固体有効成分(成分a)の割合は、
好ましくは0.5~30重量%、
さらに好ましくは1~20重量%、
より好ましくは1~15重量%
である。
【0107】
本発明による組成物中の溶解有効成分(成分b)の割合は、
好ましくは1~30重量%、
さらに好ましくは2~20重量%、
より好ましくは2~15重量%
である。
【0108】
本発明による組成物中のアンモニウム塩(成分c)の割合は、
好ましくは1~40重量%、
さらに好ましくは5~35重量%、
より好ましくは15~30重量%
である。
【0109】
本発明による組成物中の分散剤(成分d)の割合は、
好ましくは0.5~40重量%、
さらに好ましくは2.5~35重量%、
より好ましくは5~30重量%
である。
【0110】
本発明による組成物中の界面活性剤(成分e)の割合は、
好ましくは0~10重量%、
さらに好ましくは0.3~8重量%、
より好ましくは0.5~2.5重量%
である。
【0111】
組成物中のフィラー(成分f)の割合は、
好ましくは0.1~10重量%、
さらに好ましくは0.5~10重量%、
より好ましくは2~10重量%
である。
【0112】
本発明による組成物中のさらなるアジュバント(成分h)(存在する場合)の割合は、
好ましくは0~10重量%、
さらに好ましくは0.01~8重量%、
より好ましくは0.05~6重量%
である。
【0113】
本発明の好ましい実施形態は、成分
a)1~30重量%と、
b)1~30重量%と、
c)1~40重量%と、
d)1~40重量%と、
e)0~10重量%と、
f)0.1~15重量%と、
h)0~10重量%と、
g)1リットルまでと
を含む組成物である。
【0114】
本発明のさらに好ましい実施形態は、成分
a)2~20重量%と、
b)2~20重量%と、
c)5~35重量%と、
d)5~35重量%と、
e)0.3~8重量%と、
f)0.5~12.5重量%と、
h)0.01~8重量%と、
g)1リットルまでと
を含む組成物である。
【0115】
本発明のなおさらに好ましい実施形態は、成分
a)2~15重量%と、
b)2~15重量%と、
c)15~30重量%と、
d)10~30重量%と、
e)0.5~2.5重量%と、
f)1~10重量%と、
h)0.05~6重量%と、
g)1リットルまでと
を含む組成物である。
【0116】
本発明はさらに、
c.少なくとも1つのアンモニウム塩と、
d.アルキルプロポキシル化エトキシレートのクラスの少なくとも1つの分散剤と
を含む、両有効成分の浸透を改善するための、少なくとも1つの溶解有効成分と、1つの固体形態の有効成分とを有する殺虫有効成分製剤のためのアジュバント組み合わせに関する。
【0117】
好ましい実施形態では、アジュバント組み合わせが、
g.炭酸エステルの群の少なくとも1つの溶媒
をさらに含む。
【0118】
アジュバント組み合わせのアンモニウム塩は、好ましくは水溶性無機アンモニウム塩を含む群から選択される。
【0119】
さらに好ましくは、c)が、炭酸アンモニウム、硫酸水素アンモニウム、硫酸アンモニウム(AMS)、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウムおよびリン酸水素二アンモニウム(DAHP)を含む群から選択される。
【0120】
より好ましくは、b)がDAHPおよびAMSである。
【0121】
アジュバントの組み合わせの成分d)(分散剤)は、好ましくは、以下を含む群から選択される:一般式(III-a)のアルキルポリプロピレングリコール-ポリエチレングリコール化合物
【化26】
(式中、RはC1~C4フラグメント、好ましくはC3~C4フラグメント、より好ましくはC4フラグメントであり、
Aは、10~40個のプロピレンオキシド(PO)単位(式III-b)からなる、好ましくは15~35個のPO単位からなる、より好ましくは20~30個のPO単位からなるポリプロピレングリコールフラグメントであり、
Bは、10~50個のエチレンオキシド(EO)単位(式III-c)と0~10個のプロピレングリコール(PO)単位からなる、好ましくは20~40個のEO単位と0~8個のPO単位からなる、より好ましくは30~40個のPO単位と0~5個のPO単位からなるランダム共重合ポリエチレングリコール―ポリプロピレングリコールフラグメントである)
【0122】
【化27】
【0123】
「アルキルポリプロピレングリコール-ポリエチレングリコール化合物」の例は以下である:
【0124】
【表8】
【0125】
および一般式(IIId)の化合物
【化28】
(式中、個々の基および指数は以下の定義を有する:
RおよびR’は独立に、水素、直鎖C1~C5-アルキル基または分岐C3-もしくはC4-アルキル基であり;
mは2または3であり;
nは2または3であり;
xは5~150であり;
yは5~150であり、
一方の基nまたはmは2の意味を有し、他方の基nまたはmは3の意味を有する)。
【0126】
本発明の文脈において、直鎖C1~C5-アルキル基は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基またはn-ペンチル基を意味すると理解される。
【0127】
本発明の文脈において、分岐C3-またはC4-アルキル基は、イソプロピル基、イソブチル基またはtert-ブチル基を意味すると理解される。
【0128】
好ましい実施形態では、RおよびR’基が、メチル基、n-ブチル基および水素からなる群から独立に選択される。
【0129】
さらにより好ましい実施形態では、RおよびR’基が、n-ブチル基および水素からなる群から独立に選択される。
【0130】
ポリエチレンおよびポリプロピレン単位の配置に関しては、
(a)mが2の値を、nが3の値をとり得る;
(b)またはmが3の値を、nが2の値をとり得る。
【0131】
m=3およびn=2である構成(b)が好ましい。
【0132】
mが3であり、
nが2であり、
xが5~80であり、
yが5~80であり、
Rがn-ブチルまたは水素であり、
R’が水素である、
式(IIId)のアルキルポリプロピレングリコール-ポリエチレングリコール化合物が極めて特に好ましい。
【0133】
アジュバント組み合わせで使用される溶媒g)は、好ましくは炭酸エステルの群から、さらに好ましくはジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、ジイソプロピルカーボネート、ジブチルカーボネートおよびその異性体、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネート、トリメチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ペンチレンカーボネート、ヘキシレンカーボネートならびにオクチレンカーボネートを含む群から選択される。
【0134】
なおさらに好ましくは、g)が、環状炭酸エステル、すなわち、例えば、炭酸とトリメチレンカーボネートを形成するプロパン-1,3-ジオールの場合のように、ジオールが架橋されている炭酸エステルの群から選択される。
【0135】
より好ましくは、g)がプロピレンカーボネートである。
【0136】
本発明の好ましい実施形態は、3:1~1:3、好ましくは2:1~1:2、より好ましくは1.3:1~1:1.3のc)とd)の比(各場合で質量に基づく)を有するアジュバント組み合わせである。
【0137】
製剤全体の重量に基づくアジュバント組み合わせの割合は、好ましくは
c)1~40重量%
d)1~40重量%、
さらに好ましくは
c)5~35重量%
d)5~35重量%、
さらにより好ましくは
c)15~30重量%
d)10~30重量%
である。
【0138】
本発明による製剤の施用量は、比較的広範囲内で変えることができる。これは、それぞれの有効成分および組成物中のそれらの含有量によって導かれる。
【0139】
本発明による組成物の助けにより、殺虫有効成分混合物を、植物および/またはそれらの生息地に特に有利な方法で配置することができる。
【0140】
本発明による組成物を使用して、全ての植物および植物の部分を処理することができる。本文脈における植物は、所望のおよび望まれない野生植物または作物植物(天然に存在する作物植物を含む)などの全ての植物および植物集団を含むと理解される。作物植物は、従来の育種および最適化方法によって、またはトランスジェニック植物を含むならびに植物育種家の権利によって保護可能または保護不可能な植物栽培品種を含むバイオテクノロジーおよび遺伝子工学方法またはこれらの方法の組み合わせによって得ることができる植物であり得る。植物の部分は、例として、葉、針葉、柄、茎、花、子実体、果実および種子、ならびに塊茎、根および根茎も挙げられる、苗条、葉、花および根などの地上および地下の植物の全ての部分および器官を意味すると理解されるべきである。植物部分はまた、収穫された材料ならびに栄養性および生殖性の繁殖材料、例えば、挿し穂、塊茎、根茎、シュートおよび種子を含む。
【0141】
好ましくは、本発明による製剤は、以下の有害生物科の動物有害生物に対するスプレー施用によって使用される:
ワタムシ(ペムフィギダエ(Pemphigidae))科から:例えば、柑橘類、仁果類、核果類、葉野菜、根菜および塊茎野菜ならびに観賞植物などの作物の、エリオソマ属種(Eriosoma spp.)、ペムフィグス属種(Pemphigus spp)が好ましい。
【0142】
ブドウシラミ(ブドウネアブラムシ(Phylloxeridae))科から:ブドウ、堅果類、柑橘類のフィロキセラ属(Phylloxera)種が好ましい。
【0143】
キジラミ(キジラミ(Psyllidae))科から:例えば、仁果類、核果類、柑橘類、野菜、ジャガイモなどの作物、熱帯作物のサイラ属種(Psylla spp.)、パラトリオザ属種(Paratrioza spp.)、テナラファラ属種(Tenalaphara spp.)、ジアフォリナ属種(Diaphorina spp.)、トリオザ属種(Trioza spp.)が好ましい。
【0144】
カタカイガラムシ(カタカイガラムシ(Coccidae))科から:例えば、柑橘類、仁果類、核果類、オリーブ、ブドウ、コーヒー、茶、熱帯作物、観賞植物、野菜などの多年生作物のセロプラステス属種(Ceroplastes spp.)、ドロシカ属種(Drosicha spp.)、プルビナリア属種(Pulvinaria spp.)、プロトプルミナリア属種(Protopulminaria spp.)、サイセチア属種(Saissetia spp.)、コッカス属種(Coccus spp.)が好ましい。
【0145】
マルカイガラムシ(マルカイガラムシ(Diaspididae))科から:例えば、柑橘類、仁果類、核果類、アーモンド、ピスタチオ、堅果類、オリーブ、茶、観賞植物、ブドウ、熱帯作物などの作物のクアドラスピジオツス属種(Quadraspidiotus spp.)、アオニジエラ属種(Aonidiella spp.)、レピドサフェス属種(Lepidosaphes spp.)、アスピジオツス属種(Aspidiotus spp.)、アスピス属種(Aspis spp.)、ジアスピス属種(Diaspis spp.)、パルラトリア属種(Parlatoria spp.)、プセウダウラカスピス属種(Pseudaulacaspis spp.)、ウナスピス属種(Unaspis spp.)、ピナスピス属種(Pinnaspis spp.)、セレナスピダス属種(Selenaspidus spp.)が好ましい。
【0146】
ハカマカイガラムシ(ハカマカイガラムシ(Ortheziidae))科から:柑橘類、仁果類、核果類のオルテジア属種(Orthezia spp.)が好ましい。
【0147】
コナカイガラムシ(コナカイガラムシ(Pseudococcidae))科から:例えば柑橘類、核果類および仁果類、茶、ブドウ、野菜、観賞植物および熱帯作物などの作物のペリセルガ(Pericerga)、シュードコッカス属種(Pseudococcus spp)、プラノコッカス属種(Planococcus spp.)、ジスミコッカス属種(Dysmicoccus spp.)が好ましい。
【0148】
コナジラミ(コナジラミ(Aleyrodidae))科から:例えば野菜、ジャガイモ、メロン、ジャガイモ、タバコ、柔らかい果実、柑橘類、観賞植物、綿、大豆および熱帯作物などの作物のタバココナジラミ(Bemisia tabaci)、シルバーリーフコナジラミ(Bemisia argentifolii)、オンシツコナジラミ(Trialeurodes vaporariorum)、ミカンワタコナジラミ(Aleurothrixus floccosus)、アレウロデス属種(Aleurodes spp.)、ジアレウロデス属種(Dialeurodes spp.)、ヤマモモコナジラミ(Parabemisia myricae)がさらに好ましい。
【0149】
さらに、アブラムシ(アブラムシ(Aphididae))科から:
タバコ、核果類、柔らかい果実、果菜類、葉菜類、塊茎および根菜類、メロン、ジャガイモ、観賞植物、香辛料のミズス属種(Myzus spp.)、
野菜のエンドウヒゲナガアブラムシ(Acyrthosiphon onobrychis)、
タバコ、柑橘類、仁果類、核果類、メロン、イチゴ、柔らかい果実、果菜類、葉菜類、塊茎、茎および根菜類、鑑賞植物、ジャガイモ、カボチャ、香辛料のアフィス属種(Aphis spp.)、
イチゴのバラミドリアブラムシ(Rhodobium porosum)、
葉菜類のレタスヒゲナガアブラムシ(Nasonovia ribisnigri)、
観賞植物、ジャガイモ、葉菜類および果菜類、イチゴのマクロシフム属種(Macrosiphum spp.)、
ホップのホロドン・フムリ(Phorodon humuli)、
葉菜類のダイコンアブラムシ(Brevicoryne brassicae)、
柑橘類、核果類、アーモンド、堅果類、香辛料のトキソプテラ属種(Toxoptera spp.)、
柑橘類、ジャガイモ、果菜類および葉菜類のアウラコルツム属種(Aulacorthum spp.)、
野菜のアヌラフィス・カルドゥイ(Anuraphis cardui)、
ヒマワリのブラキカウズス・ヘリクリシイ(Brachycaudus helycrisii)、
野菜のエンドウヒゲナガアブラムシ(Acyrthosiphon onobrychis)
が好ましい。
【0150】
同様に、アザミウマ(アザミウマ(Thripidae))科から:例えば、果実、綿、ブドウ、茶、堅果類、熱帯作物、観賞植物、針葉樹、タバコ、香辛料、野菜、柔らかい果実、メロン、柑橘類およびジャガイモなどの作物のアナホスリップス属種(Anaphothrips spp.)、バリオスリップス属種(Baliothrips spp.)、カリオスリップス属種(Caliothrips spp.)、フランクリニエラ属種(Frankliniella spp.)、ヘリオスリップス属種(Heliothrips spp.)、ヘルシノスリップス属種(Hercinothrips spp.)、リピホロスリップス属種(Rhipiphorothrips spp.)、シルトスリップス属種(Scirtothrips spp.)、カコスリップス属種(Kakothrips spp.)、セレノスリップス属種(Selenothrips spp.)およびスリップス属種(Thrips spp.)が好ましい。
【0151】
さらに、リーフマイナーフライ(ハモグリバエ(Agromyzidae))およびルートマゴットフライ(ハナバエ(Anthomyiidae))科から:例えば、野菜、メロン、ジャガイモ、堅果類、観賞植物などの作物のアグロミザ属種(Agromyza spp.)、アマウロミザ属種(Amauromyza spp.)、クキイエバエ属種(Atherigona spp.)、クロロプス属種(Chlorops spp.)、リリオミザ属種(Liriomyza spp.)、オシネラ属種(Oscinella spp.)、ペゴミイア属種(Pegomyia spp.)が好ましい。
【0152】
ヨコバイ(ヨコバイ(Cicadellidae))およびウンカ(ウンカ(Delphacidae))科から:例えば、柑橘類、果実、ブドウ、ジャガイモ、野菜、鑑賞植物、針葉樹、メロン、柔らかい果実、茶、堅果類、イネおよび熱帯作物などの作物のキルクリフェラ属種(Circulifer spp.)、ダルブス属種(Dalbus spp.)、エムポアスカ属種(Empoasca spp.)、エリトロネウラ属種(Erythroneura spp.)、ホマロディスカ属種(Homalodisca spp.)、イオディオスコパス属種(Iodioscopus spp.)、ラオデルファクス属種(Laodelphax spp.)、ツマグロヨコバイ属種(Nephotettix spp.)、トビイロウンカ属種(Nilaparvata spp.)、オンコメトピア属種(Oncometopia spp.)、ソガテラ属種(Sogatella spp.)が好ましい。
【0153】
リーフマイナーモス(ホソガ(Gracillariidae))科から:
仁果類、核果類、ブドウ、堅果類、柑橘類、針葉樹、ジャガイモ、コーヒーなどの作物のカロプティリア属種(Caloptilia spp.)、グラシラリア属種(Gracillaria spp.)、リトコレチス属種(Lithocolletis spp.)、ロイコプテラ属種(Leucoptera spp.)、フトリマエア属種(Phtorimaea spp.)、フィロクニスチス属種(Phyllocnistis spp.)が好ましい。
【0154】
タマバエ(タマバエ(Cecidomyiidae))科から:
柑橘類、仁果類、核果類、野菜、ジャガイモ、香辛料、柔らかい果実、針葉樹、ホップなどの作物のコンタリニア属種(Contarinia spp.)、ダシネウラ属種(Dasineura spp.)、ディプロシス属種(Diplosis spp.)、プロディプロシス属種(Prodiplosis spp.)、テコディプロシス属種(Thecodiplosis spp.)、シトディプロシス属種(Sitodiplosis spp.)、ハプロディプロシス属種(Haplodiplosis spp.)が好ましい。
【0155】
同様に、ミバエ(ミバエ(Tephritidae))科から:
野菜、柔らかい果実、メロン、仁果類および核果類、鑑賞植物、ジャガイモ、ブドウ、熱帯作物、柑橘類、オリーブなどの作物のアナストレファ属種(Anastrepha spp.)、ケラチチス属種(Ceratitis spp.)、ダクス属種(Dacus spp.)、ラゴレチス属種(Rhagoletis spp.)が好ましい。
【0156】
さらに、ハダニ(ハダニ(Tetranychidae))およびフシダニ(フシダニ(Eriophydae))科から:
野菜、ジャガイモ、観賞植物、柑橘類、ブドウ、針葉樹などの作物のナミハダニ属種(Tetranychus spp.)、マルハダニ属種(Panonychus spp.)、アクロプス属種(Aculops spp.)が好ましい。
【0157】
本発明による組成物による植物および植物の部分の本発明による処理は、慣用的な処理方法、例えば灌注、浸漬、噴霧、蒸発、霧化、散布、塗布により、播種材料の場合、特に種子の場合には、1種または複数のコートを塗布することによって、直接または組成物が周囲、環境もしくは貯蔵空間に作用することを可能にすることによって行われる。
【0158】
好ましくは、処理される植物は、綿、大豆、タバコ、野菜、香辛料、鑑賞植物、針葉樹、柑橘類植物、果実、熱帯作物、堅果類およびブドウからなる群から選択される。
【0159】
好ましくは、本発明による組成物は、ワタムシ、ブドウシラミ、キジラミ、カタカイガラムシ、マルカイガラムシ、ハカマカイガラムシ、コナカイガラムシ、コナジラミ、アブラムシ、アザミウマ、ヨコバイ、ウンカ、リーフマイナーフライ、タマバエ、ミバエ、リーフマイナーモス、ハダニ、フシダニの科の有害生物に対して作用する。
【0160】
また、本発明による組成物を、以下のステップを有する方法によって製造することができることも分かった:
1)成分(a)~(h)を混合し、その後均質化およびビーズ粉砕を行う。均質化およびビーズ粉砕に関連する装置は、当業者に知られている。
【0161】
この方法もまた、本発明の主題の一部を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0162】
図1図1は、化合物I-2のmodification AのX線回折図を示す。
図2図2は、化合物I-2のmodification AのIR分光法の結果を示す。
【0163】
最後に、本発明による組成物は、存在する活性農薬成分の植物および/またはその生息地への施用に極めて良く適していることが分かった。この方法もまた、本発明の主題の一部を形成する。以下の実施例は、本発明の主題を限定することなく説明する。
【0164】
【表9A】
【表9B】
【0165】
実施例I
表Ia~cに記載される実験による全ての製剤成分を25ml PEスクリュートップボトル中で合わせ、ガラスビーズ(サイズ1~1.25mm)10gを添加する。ボトルを閉じ、攪拌装置(Retsch MM301)に固定し、30Hzで40分間処理する。この過程で、試料が加熱する。時間が経過した後、試料を室温まで冷却し、製剤の一貫性を評価する。その後、顕微鏡(Zeiss透過光顕微鏡、倍率40倍)によって、粒径を決定し、その特性について分散を評価する。非常に小さい粒径は、良好な粉砕性を示すが、凝集物の存在は、分散特性が不十分であることを示す。
【0166】
【表10】
【0167】
【表11】
【0168】
【表12】
【0169】
実験の評価:
界面活性剤を添加しないフルピラジフロン、アンモニウム塩およびプロピレンカーボネートに基づく製剤(実験I-1、I-2)は、指定された実験条件下でそれぞれのアンモニウム塩の基本的な粉砕性を示すが、濃縮物中の塩結晶の有意な凝集が顕微鏡下で観察され、これは、個々の粒子が液相に分散されているとしても、非常に不十分であることを意味する。大量の浸透補助剤、例えば、Lucramul HOT 5902を添加した場合、乏しい分散特性は、浸透補助剤を用いない実験(実験I-3、I-4)と比較して変化しないままである。対照的に、Lucramul HOT 5902を同じ量の別の界面活性剤、例えばAntarox B/848によって置き換えた場合、アンモニウム塩の粉砕性は同様に優れているが(実験I-5、I-6)、顕微鏡下ではより少ないより小さな凝集物が観察され、これは、塩結晶の分散の明確な改善を示す。少量の特定の分散剤を添加することにより、顕微鏡下で、凝集がたとえあるとしても事実上観察されないように、液相での塩結晶の分散をさらに改善することが可能である(実験I-7、I-8、I-9、I-10、I-16)。分散補助剤によって、使用されるアンモニウム塩に違いが見られる(実験I-11対I-12、実験I-13対I-14)。対照的に、少量の他の特定の補助剤を添加した場合、場合によっては、改善された効果が得られない、または逆の効果が得られるおそれさえある(実験I-15およびI-17~I-24)。これらの場合、Antarox B/848のみを分散剤として含有する試料の場合よりも、顕微鏡下でより多くのより大きな凝集物を観察することができ(実験I-5およびI-6対実験I-19~I-24参照)、一貫性および全体的粉砕性も悪化する(実験I-20、I-23およびI-24)。
【0170】
実施例II
特定の固体有効成分の粉砕性および分散性を試験する目的で、対応する有効成分以外の他の結晶性固体(例えば、アンモニウム塩)を含有しないように製剤を選択した。表IIによる全ての製剤成分を25ml HDPEスクリュートップボトル中で合わせ、ガラスビーズ(サイズ1~1.25mm)10gを添加する。ボトルを閉じ、攪拌装置(Retsch MM301)に固定し、30Hzで40分間処理する。時間が経過した後、温試料を室温まで冷却し、製剤の一貫性を試験する。その後、顕微鏡(Zeiss透過光顕微鏡、倍率40倍)によって、粒径および分散特性を確認する。非常に小さい粒径は、良好な粉砕性を示すが、凝集物の存在は、分散特性が不十分であることを示す。
【0171】
【表13】
【0172】
実験の評価:
全ての実施例(II-1~II-7)で、分散補助剤としてのAntarox B/848とGeropon T/36の組み合わせは、有効成分粒子の凝集物を形成することなく、本発明による製剤中に種々の固体活性有効を分散させるのに適していることが示され得る。
【0173】
実施例III
適切な分散補助剤の存在下での適切な増粘剤を試験する目的で、表IIIに指定される全ての製剤成分を合わせ、攪拌しながら均質化する。その後、ビーズ粉砕を行い(Dispermat SL50、80%2mmビーズ、4000rpm、40分間の循環粉砕)、得られた製剤を分析する。その後、高温で貯蔵試験を行い、次いで、特性(例えば、外観、一貫性および再分散性)の定性的評価、および貯蔵後の相分離の定量的評価を行う。
【0174】
貯蔵直後の相分離を沈降物含有量として報告され、H1[沈降相と上清との間の界面層のレベル]をH0[試料の全充填高さ]で割った商から、またはこの場合のように、上清含有量として計算される:
沈降物含有量=(H1/H0)*100[%]または
上清含有量=100-沈降物含有量[%]
【0175】
試料の再分散性または再均質化可能性(rehomogenizability)は、試料を振ってその後試料容器の底を評価することによって、定性的に決定される。短い貯蔵時間後の顕著な相分離は、貯蔵安定性が限られており、貯蔵中に、たとえあったとしても困難を伴ってのみ分散可能である沈降物の形成の有意な傾向を示す。
【0176】
特性の評価は、DIN 10964「官能検査-簡単な記述的試験」と同様に行われる。この目的のために、検査する試料を視覚的に、必要に応じて、振盪および傾斜によって、形状、物質の状態および色、ならびにさらなる特性(特に、例えば塊、固化、沈降物形成、沈降物のその後の濃厚化、マーブリング等)について検査する。
【0177】
【表14】
【0178】
【表15】
【0179】
実験の評価:
追加の分散補助剤を使用せずに、Attagel 50、Aerosil 200、Aerosil 812SまたはBentone EWなどの特定の不溶性フィラー、およびこれらの特定の組み合わせを使用して、さまざまな粘度(III-1およびIII-10低粘度;III-4、III-7およびIII-13高粘度)を有する安定な製剤を製造することが可能である。さまざまな条件下で2週間または4週間貯蔵した後、これらは相分離が低く、場合によっては再分散性が良好である。追加の分散補助剤、例えばGeropon T/36(III-2、III-5、III-8、III-11、III-14)を使用することにより、低粘度製剤が全体的に達成され、その沈降および再分散特性はその他の点で同一の条件下で少なくとも同等、またはより優れている。対照的に、追加の分散補助剤として、例えばSoprophor 3D33を使用すると(III-3、III-6、III-9、III-12)、いくつかの望ましくな特性、例えばマーブリング(III-3)、粘着性沈降物(III-6、III-9、III-12)または極端な相分離(III-6)を有する製剤が得られる。
【0180】
実施例IV
適切なフィラー/分散系組み合わせを試験する目的で、表IVに指定される全ての製剤成分を合わせ、攪拌しながら均質化する。その後、ビーズ粉砕を行い(Dispermat SL50、80%2mmビーズ、4000rpm、40分間の循環粉砕)、得られた製剤を分析する。その後、高温で貯蔵試験を行い、次いで、貯蔵後の外観、一貫性および相分離を評価し、粘度(CIPAC MT192、「回転粘度測定による液体の粘度」に準拠)および2%水性希釈液での分散安定性を決定する。分散安定性の定性的測定では、水性分散液が一定で均質な印象を与える期間を報告する。
【0181】
【表16A】
【表16B】
【0182】
実験の評価:
分散補助剤としてGeropon T/36を同時に使用しながら、さまざまな量のAerosil 200を使用することにより、低粘度の安定な製剤(IV-1)を製造することが可能である。より多くの量のAerosil 200(IV-2)を使用すると粘度が増加するが、54℃で2週間貯蔵する過程で、製剤が凝固する。対照的に、Aerosil 200とAerosil R812Sの組み合わせを使用すると、より高粘度の安定な製剤(IV-3)を製造することが可能になる。さらに、Geropon T/36とさらなる分散補助剤の組み合わせを使用する場合、製剤特性をさらに改善することが可能である。例えば、Soprophor FLKを使用する場合の粘度は事実上変化しないままであり(IV-4)、Morwet D-425(IV-5)を使用すると粘度が増加する。Geropon T/36を省略し、分散補助剤を使用しない、または別の分散助剤のみを使用する実験(IV-6~IV-8)では、Morwet D-425を単独で使用しても、十分に安定な製剤が得られることが分かる。
【0183】
製剤安定性を確認するためのさらなる因子は、水性希釈液における製剤の分散安定性である。特に、Geropon T/36とさらなる分散補助剤、例えばSoprophor FLKまたはMorwet D-425の組み合わせは、単一分散補助剤を使用する場合、または全く使用しない場合よりも優れた分散安定性をもたらすことが分かる。
【0184】
実施例V
フルピラジフロンおよびI-2によるクチクラ浸透
実験手順:
この試験は、リンゴの木の葉の酵素的に単離されたクチクラを通した有効成分の浸透を測定するものである。
【0185】
発達した状態でリンゴの木から切り取り、SchonherrおよびRiederer(Schonherr,J.、Riederer,M.(1986))に記載される方法によって単離した葉を使用する。さらに、気孔および毛のない葉の表側のクチクラのみを使用する。
【0186】
膜輸送試験では、このようにして得られたクチクラ膜をステンレス鋼拡散セル(=輸送チャンバー)に入れる。この目的のために、クチクラをピンセットで拡散セルのシリコングリースが塗られた端の中央に配置し、同様にグリースが塗られたリングで密封する。配置は、クチクラの外側の形態が外側、すなわち、空気の方に向けられ、元の内側が拡散セルの内側に面するように選択する。拡散セルを、水または水と溶媒の混合物で満たし、生理学的に適切なpH5.5に緩衝化する。拡散セル内の媒体は、アポプラスト、すなわち、葉内の自然吸収媒体をシミュレートすることになっている。この方法は、作物保護組成物の浸透に対する製剤、アジュバントおよび溶媒の効果を理解することを目的とした、体系的および機械的試験に良く適している。
【0187】
浸透を決定するために、各場合で、以下の指定される製剤(表V参照)で有効成分フルピラジフロンおよびI-1を含有するスプレー液5μlをクチクラの外側に施用する。有効成分濃度は、実際の慣用的な現場施用量に対応する。スプレー液を調製するために、所与の量の対応する成分を水道水に入れ、混合することによって均質化する。
【0188】
スプレー液を施用した後、水を各場合で蒸発させ、次いで、チャンバーを反転させ、これらを恒温槽に入れ、定義された空気湿度および温度の空気を各場合でクチクラの外側に吹き付ける。したがって、侵入開始は、相対空気湿度56%および設定温度25℃で起こる。一定の間隔で、オートサンプラーを使用して試料を採取し、浸透した有効成分の含有量をHPLCによって測定する。報告される数値は、各場合で5~10の個々の測定値の平均値である。
【0189】
【表17】
【0190】
実験の評価:
試験した2つの活性物質、フルピラジフロンおよびI-2は、添加物なしで使用した場合、またはプロピレンカーボネートの存在下で使用した場合、それ自体は、クチクラ浸透をたとえあるとしてもほとんど示さない(表V、1、2行目)。リン酸水素二アンモニウム(DAHP)および特にAntarox B/848の存在下で有効成分を施用すると、独立に、試験した両有効成分のクチクラ浸透が改善する。ここでのプロピレンカーボネートの存在は、実際には悪影響があるように見える(表V、3~6行目)。全ての成分を組み合わせて使用するとすぐに、製剤中の両有効成分についての個々の効果の付加的組み合わせである最大浸透能力が分かる。
図1
図2